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1965-03-31 第48回国会 衆議院 大蔵委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年三月三十一日(水曜日)     午前十時四十八分開議  出席委員    委員長 吉田 重延君    理事 金子 一平君 理事 原田  憲君    理事 藤井 勝志君 理事 坊  秀男君    理事 山中 貞則君 理事 有馬 輝武君    理事 堀  昌雄君 理事 武藤 山治君       天野 公義君    伊東 正義君       岩動 道行君    奥野 誠亮君       鴨田 宗一君    木村 剛輔君       木村武千代君    小山 省二君       砂田 重民君    田澤 吉郎君       谷川 和穗君    地崎宇三郎君       西岡 武夫君    福田 繁芳君       毛利 松平君    渡辺 栄一君       渡辺美智雄君    佐藤觀次郎君       只松 祐治君    野口 忠夫君       平岡忠次郎君    平林  剛君       藤田 高敏君   米内山義一郎君       横山 利秋君    春日 一幸君       竹本 孫一君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 田中 角榮君  出席政府委員         大蔵政務次官  鍛冶 良作君         大蔵事務官         (主計局次長) 鳩山威一郎君         大蔵事務官         (理財局長)  佐竹  浩君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計局法規課         長)      赤羽  桂君         大蔵事務官         (理財局国庫課         長)      原  秀三君         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 本日の会議に付した案件  財政法の一部を改正する法律案内閣提出第三  三号)      ————◇—————
  2. 吉田重延

    吉田委員長 これより会議を開きます。  財政法の一部を改正する法律案を議題といたします。質疑の通告がありますので、順次これを許します。堀昌雄君。
  3. 堀昌雄

    堀委員 今回の財政法改正は、一つ剰余金繰り入れを二分の一から五分の一に減らすという問題でありますが、あと一つ財政制度審議会改正の問題でございます。この財政制度審議会はこれまでも置かれておりますけれども、今度この委員が十二名から二十五名になるということと、特に特別委員とあるのが臨時委員に変わるということと、この二つ中心にしてお伺いをいたしたいと思います。  今度これまでの十二名を二十五名にしたいという積極的な理由は一体どういうところにあるのか、お答えをいただきたいと思います。
  4. 赤羽桂

    赤羽説明員 今回、財政制度審議会のメンバー十二名を二十五人に増員をお願い申し上げておるわけであります。なぜかという御質疑でございますが、財政制度審議会につきましては、今後本格的な活動をやろうといたしておる次第でございます。すなわち、今回お願いしておりますところの剰余金処分の問題、二分の一を五分の一にする、しかしながらこの措置は二年間の臨時措置ということになっておるわけでございます。剰余金処分の問題についてはいろいろと問題があるわけでございまして、御質疑がございますれば御説明申し上げる次第でございます。それからさらに減債基金の問題、いま剰余金減債基金のほうに繰り入れるという形になっておるわけでございまして、一本の形になっているわけでございますが、問題としては本質的に完全に別個の問題でございます。歳計上の剰余金をいかに処分するかという問題と、それから国債償還国債整理基金の問題、減債基金制度というものをどうするかということは一応別個の問題でございます。かような問題を、二カ年間の御猶予をいただきまして早急に恒久的な制度検討いたしたいというのがまず第一の例としてあげられるわけであります。  そのほか、臨時行政調査会におきまして、予算決算会計制度全般について種々答申が出ておるわけでございます。これらにつきましては財政制度審議会に御相談いたしまして、その趣旨を尊重いたしまして、その具体的な実施方法考えていかなければならぬわけでございますが、それにつきましてもいろいろ専門分野にわたりまして委員を増員してまいるという必要がどうしても起こってくるわけでございます。そういった観点から、現行十二名というのはいろいろと割り振ってまいりますといかにも少なくなってしまうのでございまして、二十五人ということにお願いを申し上げているわけでございます。
  5. 堀昌雄

    堀委員 いまのお答えの中で、これまではどうだったかわかりませんが、今後本格的な活動を期待するという表現があったのですが、ことばじりをとらえるわけではないのですが、現在の財政制度審議会というのは一体どんなことをこれまでやってきたのですか。
  6. 赤羽桂

    赤羽説明員 まず、本格的と私申し上げたわけでございますが、この財政制度審議会は、最初会計制度調査会ということで発足をいたしておるわけでございます。これは終戦直後に置かれまして、会計制度調査会ということで、財政法の諸問題ということよりも、国の内部におきますところの会計技術上の問題を主としてずっとやってまいったわけでございます。それが二十五年に至りまして初めて名前財政制度審議会ということに変えまして、かまえといたしましては会計のみならず、財政法上の問題もやろうじゃないかという趣旨になっておったわけでございますが、事実問題として、戦後の混乱状態会計技術的な問題につきましてもいろいろと問題がございまして、名前は変わったわけでございますが、実際やっていることに会計技術的な問題が非常に多うございました。それをずっと続けてまいりまして、いよいよ財政制度に入ろうということで、昭和三十五年あたりからそれぞれ財政法上の問題に入っております。そのころたとえば契約制度の問題の改正、これは会計法上の問題、財政法上の問題、町方にまたがるような問題でございますが、こういった改正問題を手がけておったわけでございます。それから三十六年度ごろになりまして、財政法の例の補正予算改正のための審議を続けておりまして、修正と変更という二つに分かれておりましたが、補正という名前に統一したことというような財政法プロパーの問題に入っております。それが三十六年ないし三十七年度くらいの審議状態でございます。いま申し上げたようなことはいずれもその後実定法になって施行されておるわけでございますが、いよいよ財政法のほうにどっちかというとウエートがかかったのじゃないかと見られますのは三十七年度に入ってからでございます。  三十七年度に財政法上の諸問題と申しまして、財政法全般にわたる改正を将来考えながら御審議お願いするということで、その問題点を総当たりに御披露いたして調査審議お願いしたのが昭和三十七年の十一月ごろの審議会でございます。  その後実は二カ年ほど活動を停止して、去年の十二月中旬に初めて今回のこの改正お願いするために招集いたしたわけでございますが、その間の二年間は臨時行政調査会がちょうど昭和三十七年の終わりごろに発足いたしまして、行財政問題全般につきましてやるのだということでございまして、これと並行してやるのは何か対抗的な感覚を与えるのでよくないというお話が裏話として出てまいりまして、その関係で二年間お休みをいただいたわけでございます。  いま概括的に申し上げたわけでございますが、ややこまかく昔からやってきたことを一応例示申し上げますと、最初のころは物品会計の問題、これは実定法になっているわけですが、支出官制度の問題でございますとか、特別会計企業組織化企業化のために帳簿組織をどうするとか、それからこれもかなり古い話でございますが、公団の予算決算法律、これは実定法になっておりますが、その前提段階といたしましてのいろいろの準備、検討、それからただいま申し上げました契約制度全般の問題、これは二、三年かかったわけでございます。それから補正予算の問題でございますとか、ちょっと申し忘れましたが例の継続費の問題、これはかなり前に改正になっておりますが、そういった問題を中心にいたしまして審議を重ねていったわけでございます。
  7. 堀昌雄

    堀委員 これまでは現在の財政法というワクの中で作業が行なわれてきたと思います。今度の二分の一から五分の一というのは、実はそれまでの財政法の全体の考えの中ではかなり重要な変更なんです。そこでいまお話を聞いておると、これを二年間の時限立法にして、そのうちに全体を洗いかえる、こういう感じに受け取れるわけで。期間が二年だということは、この時限立法性格というのは、二分の一を五分の一にというのは二年間でそれが本法に戻るというよりも、これが二年目に切れるときには財政法を洗いかえした新法を持ってくるために、経過的に二年にした 時限立法にはそういうものもあるかもしれません。もう一つは、本来本則はこういうことであるけれどもやむを得ざる事由によってこれだけの期間だけこういう変更をしますという性格のものもある。だからいまのお話を聞いていると、かなり全体のものを洗いかえるための検討期間を二年と見て、そのために実は二分の一を五分の一へというものが時限立法になるというふうな感じがするのですが、その点はいかがでしょうか。
  8. 赤羽桂

    赤羽説明員 ただいま財政制度審議会の御質疑から入りましたものですからさような印象を与える言い方を申し上げてしまったわけでございますが、二年間というのは、根本的にはあとでまたいろいろ御質問があると存じますが、国債整理基金収支から割り出されております。四十年度、四十一年度は国債整理基金収支を見てまいりますと、いろいろ未確定要素もあるわけでございますが、償還方法は少なくとも目一ぱい見る、入ってくる債券のほうは極力小さく見る。たとえば四十年度剰余金というものは非常にはっきりしているわけでございますが、四十一年度になりますと全然これはわからないわけでございまして、わからない剰余金幾らに見るかという問題があるわけでございますが、一応これはゼロにするというように、歳入歳出を逆に考えまして歳入は非常に小さく、償還のほうは非常に大きく見まして、それで絶対大丈夫だというところが、四十、四十一年度だ、そういう問題が一つ。それから立案の過程におきましては、一年一年延ばすということも考えてみたわけでございます。かつて国債整理基金繰り入れ法律の特例に関する法律というもので毎年毎年昭和二十八年から出していた例がございます。それで三十五年くらいまで毎年毎年出して、国会でおしかりをいただいた。そして当分の間という暫定法に切りかえたわけでございます。そういうようなことも実は考えてみたわけでございますが、さような法律も出しまして、恒久法律を、一年先だったら来年必ず出すかと、こうおっしゃられたときに正直に申し上げまして若干自信がございません。さような点も含み合わせまして、二年ということでお願いを申し上げておるわけでございます。  次に、これが全体を改正するという御表明がございましたが、全体と申しますのは、二年先といったって減債基金並びに剰余金整理の問題につきまして、恒久制度結論が出たら、これと一緒財政法の全体を塗りかえる、かような意味で申し上げているわけではございませんので、財政法を根本的に改正するときは、全部一緒にやるのかという御質問でございましたら、さようなことは事実上もちょっと不可能ではないかと存じます。剰余金処理減債基金制度の問題につきまして、二年間に結論を得たらそれだけでやりたい、かように考えておるわけでございます。
  9. 堀昌雄

    堀委員 いま問題が二つありますが、減債基金のやりくりの問題、このほうはあとでちょっと伺うことにします。  そうすると、ここでちょっと確認をしておきたいんですけれども、今後二年間でこの時限立法が終わる地点では、少なくとも何らかの——これはほっといてもいいわけです。ほっとけば二分の一戻るだけですから、別にそれはかまわない。しかしあなた方の意向では、二分の一というのはどうも適当でない、いまの話を聞いているとそういう感触があるのではないかと思う。だからさっきお話しになったように、これは確かに二つの問題があります。剰余金をどうするのかという問題と、減債基金制度がどうあるべきかという問題と、二つの問題があるわけですが、この二つの問題に限っては、あなた方は現状制度は不十分である、適当でない、こういう判断に立っておるということですか。
  10. 赤羽桂

    赤羽説明員 率直に申し上げましてさような判断に立っておるわけでございます。
  11. 堀昌雄

    堀委員 現状法律状態は適当でない、そうすると、ここで問題が出されておるのは、単に二分の一の繰り入れを五分の一にするというだけですね。そうすると、この制度の中の剰余金については、これでいいんですね。減債基金制度についても十分でないということであるならば、どこかそれに対する挙証が要りますね。どこが十分でないのか、この点をひとつ明らかにしていただきたい。
  12. 赤羽桂

    赤羽説明員 十分でないとおっしゃられましたが、私が現制度のこの規定が問題があるということを申し上げましたのは、二分の一か五分の一というような量の問題ではございません。量の問題はもちろんございますが、まずその前に質的な問題があるかと存じております。剰余金処分をいまのように国債整理基金に直接結びつけておくということの本質的な問題でございます。そもそも剰余金というもの、二分の一を国債整理基金繰り入れる、あとの二分の一は一般会計歳入のとるわけであります。問題はむしろ一般会計歳入にとるということにあるかと思いますが、御存じのとおり剰余金の発生というのは非常に不確定でございまして、年々非常に波動が大きいわけでございます。かようなものを一般会計歳入経常財源といたしまして、機械的に毎年関税がどんどん入ってくるということが全体財政の掌理の立場からいかがなものか。かつて二千億円もする剰余金が出た時代があるわけでございますが、それがぽこっと入ってくるというようなことは、財政平準化と申しますか、景気刺激の面からいっても適当ではない、かようにまず本質的な問題があるわけでございます。しからば剰余金というものはいかに考えるべきであるかということに相なるわけでございますが、いろいろと審議会として御意見が出ております。われわれが事務的に勉強いたしました範囲内でも出ておるわけでございます。一案といたしまして積み立て金的なものを考える。歳入歳出以外の資金にたな上げして積み立てておく。その資金はいかように使うかという問題が出てくるわけです。財政調整資金というものを考える。それから減税資金に充てたらどうかという話も出てまいるわけであります。それから特定の事業災害復旧でございますとか、公共事業でございますとか、あるいは現在行なわれておる国債整理基金への繰り入れという事業にも使うようにしたらどうか、いろいろ御意見が出ておるわけです。これらにつきまして、まず本質的な、理論的な問題として取り上げてよく検討いたし、それが実定法上に具体化いたした場合には、どういう実際の影響があるかというようなことも、今後財政制度調査会中心にして検討いたしたい、かように考えておるわけです。  一方減債基金制度の問題でございますが、これは理財局のほうからもいろいろ御意見があるかと存じますが、一応事務的な考えを申し上げますと、減債基金制度というのは、国債の発行並びに償還というものは非常に波動が大きいわけです。二度に借りる、あるいは一度にどっとくる、さような国債償還というものを、財政平準化立場からなるべくならしていく。あるいは金融市場ともにらみ合わせながら市価維持のために、市価操作のために期限償還をしてまいる。とにかく何らかの金を予備的にためておく、かような制度であるわけです。ところが最近の国債の内容は、かつての普通国債と違いまして交付国債、これは非常に弾力性のないものでございまして、期限が来たら必ず返してやる。一方特殊な国債といたしまして、IMF等に対する出資国債というものがございます。これがまた非常に特殊なものでございます。無期限、無利子要求払いで、要求があったらぱっと払わなければならぬ。いつくるかわからない。かような国債の占める率がだんだん大きくなってまいります。かようなものに対して本来の意味減債基金制度というものをどういうぐあいに考えていったらいいかというような点が、実は本質的な問題になるのではないか、かように考えておるわけです。そういった諸問題を含めまして、理論的並びに実定法上の影響考えながら検討を続けていきたい、かように考えております。
  13. 堀昌雄

    堀委員 理財局長減債基金の問題はあなたのほうの所管ですから、いま法規課長から答弁がありましたけれども、これは今後非常にむずかしい問題になるのではないかと思うのです。いまお話のように、私どもは望ましくないけれども、また農地報償制度なんかを国会に出してきて、また交付公債がずいぶん出るわけです。いまのお話のように交付公債というものの今後は、まさに昔の臨時軍事費みたいなことになってくるんじゃないか。一つを出せばまた次を出さなければならぬということで、臨軍費ほどにはいかないでしょうけれども、今後の日本財政におおいかぶさる一つの黒い霧だろうという感じが私はしております。そういう問題もありますので、減債基金の問題というものは、確かに非常に大きな問題であろうと私は思うのですが、いまの法規課長答弁答弁として、法規課長はいまの制度は十分でないと率直に言っておるわけですから、これについてあなたのほうではどうなのか。
  14. 佐竹浩

    佐竹政府委員 お答え申し上げます。ただいま堀先生から国債償還減債制度について御心配をいただいて非常にありがたいと思っております。私ども実は国債を預かっておる立場から見ますと、現在の減債制度というものは必ずしも私は完全なものと思いません。ことに財政法第六条というものは、今日終戦以来確立された一つ制度として動いてはおりますけれども、しかしこれとてもはたしてベストの制度であるかといいますと、必ずしもそうじゃないのじゃないか。つまり、たまたま前年度剰余金というものがあればその半額が入れられるということでございますけれども剰余金がない場合を想定したら全くゼロでございます。ということになりますと、これは一見非常に手厚い制度のようでございますけれども、実はその点はきわめて不安であると言わざるを得ない。そこで私どもとしてはもっと合理的な、安定した減債基金制度というものを確立すべきではないかということを実はかねがね考えておるわけでございます。ただこれは先生も御承知のように、各国いろんな制度がございます。わが国といたしましても世界各国の例その他いろいろ研究をいたしまして、日本として一番最善の制度考えようということでありますためにいろいろ時間がかかりまして、今日まで確たるものが出ておりませんけれども、しかしこれは何としても一日も早く確立しなければならぬ。ましてや今日のように安定成長経済情勢になりまして、従来のような大きな自然増収が期待できない、しかもこういう情勢がかなり今後ある程度恒常的な情勢として続いてくるという情勢になりますと、それだけに緊急性が出てくる。そこで先ほど法規課長から御答弁申し上げておりましたように、先年の国会の御決議もございます。そこで財政制度審議会においてこの際抜本的な減債制度というものを審議、確立しよう、こういうことでございますので、これは私どもとしても全くその点は同じ考えでございます。そこでこれとてもあまり長期に時間がかかってはいけません。私どもとしてはできれば一年間くらいで何とかならぬかと思ったわけでございますけれども、しかしこれは何せむずかしい問題でございますので、やはりどうしても二年はかかろうということで、これはまたやむを得ぬかと思います。二年間の間にぜひひとついい制度考えてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  15. 堀昌雄

    堀委員 そうするとこの問題はいま伺ってわかってきたわけですが、そういうことは法律としては表には出ていないけれども、この裏にあるのは少なくともこの六条、七条等については抜本的な改正を二年以内にやるんだということが前提になっておる、こういうふうに理解をしてよろしいわけですね。
  16. 赤羽桂

    赤羽説明員 六条につきましては、二年以内に結論がつくべく最大限の努力をいたしたいと存じます。七条は、これは大蔵省証券及び一時借り入れ金規定でございまして、これは技術的な規定でございますものですから、これはあまり本質的な問題ではないわけでございますが……。いまのは附則のほうでございますね。七条と申しますのは、財政法本則の七条……。
  17. 堀昌雄

    堀委員 そうです、両方にわたっているから議論がちょっとまずいのですが。その意味はそういうことでわかりましたが、そこでいまお話の経過の中で出たこの二年間に限っては四十年度はわかっている、四十一年度は歳入をゼロとして、そして支出の側は全部見て五分の一に下げることによって支障はない、こういう答弁だったわけですね。そこでいまの四十年度、四十一年度に支出として現在あなたのほうで考えられておる最大限目幅一ぱいに見た中には、要するに先ほどのIMF出資等もこの間に起こる、これの償還が起こるということも入っておるわけですか。その点を含めて四十年度、四十一年度の支出のほうをちょっと明らかにしていただきたい。
  18. 佐竹浩

    佐竹政府委員 IMF出資国債償還計画でございますが、四十年度七十二億円、四十一年度同じく七十二億円でございます。二千万ドルでございます。
  19. 堀昌雄

    堀委員 私、いま幾ら出ているのかつまびらかにしないのですが、この百四十四億円で全部になるわけですか。
  20. 佐竹浩

    佐竹政府委員 全部でございません。
  21. 堀昌雄

    堀委員 それでは全額幾らですか。
  22. 原秀三

    原説明員 御説明申し上げます。IMF出資国債償還でございますが、いままでに償還要求のございましたものは、三十六年度に百九十八億、三十九年度に七十二億、それから四十年の三月二十九日でございますが、インドから償還要求がございまして、九億円現金償還しております。  それから出資国債は全部で幾ら出ているかという点でございますが、IMF出資国債残高は、出資総額千八百億円に対しまして七四%を出資国債をもって充てることができるという取りきめになっておりますので、この七四%に相当いたします額は千三百三十一億円でございます。そのうち先ほど御説明申し上げましたような償還要求済みの額がございますので、現在残高として、残っております額は千、五十二億円であります。
  23. 堀昌雄

    堀委員 そうするとその千五十二億円のうち向こう二年間には——あなた方のほうでは過去の三十九年の例を土台にして七十二億円を二年分計上しておるけれども、これ以上には絶対に償還要求されないという何か保証があるのですか。残高が千五十二億あるのですよ。
  24. 佐竹浩

    佐竹政府委員 御指摘のとおりでございます。
  25. 堀昌雄

    堀委員 保証はないということですね。
  26. 佐竹浩

    佐竹政府委員 さようでございます。
  27. 堀昌雄

    堀委員 そうすると、法規課長目一ぱい支出を見たと言うのですが、目一ぱい支出を見るならば、千五十二億円が二年間に償還されるというそれが目一ぱいじゃないのですか。それを、前に三十六年に百九十八億償還したという実績があるにもかかわらず、七十二億二年間計上して、これが支出目一ぱいというのはどういうことなのですか。
  28. 佐竹浩

    佐竹政府委員 ただいま堀先生指摘のように、それは理論的には千五十二億円の全額償還を求められることはあり得るわけでございます。ないとは申せません。ただそれは理論的な話でございます。現実にどうかということになりますと、実際にはまあそのようなことはまずあるまい。過去の実績等から見ましても、あるいはここ一両年を見通しました場合、実際にはそこまで償還請求がくるものとは考えられません。そこで私どもとしては、過去の大体の実績から見まして二千万ドル、七十二億円程度の償還請求はこれはあるものと思いまして——あるはないかもしれません。しかしまあそのぐらいはあろうかということで一応見積もっておるわけでございますが、ただここで、先ほどちょっと私申し上げませんでしたが、そういう先生の御指摘のような懸念もあるわけでございます。つまり七十二億円以上の請求があった場合に動きがとれないということになってはいけないわけでございますので、実はそれに備えましてIMF出資国債等の引き当て資金というものがあるわけでございます。これは四十年度の年度首におきまして五百四十一億円というものがございます。これはなぜこういうものがあるかと申しますと、これは過去において年々IMF出資国債償還計画を立てまして一応予定を組んで立てておる。ところが現実にそこまで償還要求がこなかった。そういたしますと、先生御承知のようにこれは全部繰り越しておるわけでございます。一ペン歳出に出てましたが、実行されないで繰り越してきたというものが積もり積もりまして今日五百四十一億円ございます。ですからいざとなればこれを使うということでございます。
  29. 堀昌雄

    堀委員 そうすると、いまの減債基金の中には何か別の袋があって、そこへ五百四十一億ためてある、こういうことですか。これは色がついている金だ、こういうふうに理解をしていいのですか。
  30. 佐竹浩

    佐竹政府委員 そういう別の袋にため込んでいるという趣旨ではございませんで、これはつまり当然償還されるものと見て計画を立てまして歳出予算に一度組んだものでございますが、それが未実行のため繰り越されたというものでございますから、そういう特別な基金というものじゃございません。
  31. 堀昌雄

    堀委員 そうするとその五百四十一億というのはいまのところは減債基金の、さっき法規課長の答えた目一ぱい支出等というものの、しかし別ワクにはなっている、こういうことなんですね。
  32. 佐竹浩

    佐竹政府委員 目一ぱいというのはどういう意味か、ちょっと私もよくわかりませんですが、一応予想される償還見込み額というものを立てまして、それは先ほど来、あるいはもう法規課長から答弁が出たかと思いますが、来年度におきましては三百十九億円という償還見込みを立てておるわけでございます。この三百十九億円が、たとえばいまおっしゃるようなIMF出資国債償還七十二億と見ておりますものがふえてきた、IMF出資国債がふえてきたという場合には、先ほど申し上げました出資国債引き当て金というものを財源として償還する、ですからこれはその意味で四百十八億というのは見込みの数字でございますので、確定的な計数ではございません。
  33. 堀昌雄

    堀委員 そこで七十二億をお出しになったのは、三十九年が七十二億だったということだと思うのですが、三十六年の百九十八億出た例もある、そうすると、これは何か異常のことなのでしょうか。  今度はこの問題から少し離れますけれども、いまのIMF状態というものは、イギリスのボンド問題及びこのポンドがもし切り下げられるとするならば、小幅な切り下げでは済まないだろう。かなり大幅な切り下げが行なわれる。それに伴って今度はドルに影響してくる。IMFのいまの実情というものは、これまでは比較的安定的であったけれども、今後の世界のこういう国際経済上の問題というのは相当波乱含みの状態だと見るのが正当な予測のしかたではないのかと私は思う。そういう段階に、これまでの平常の段階における引き出しだけが前提になって組まれておるという点は、特に先ほどの法規課長答弁のように、収入のほうは比較的ゼロというふうにかたく見ました、支出のほうは目一ぱい見てまず二年間は心配がない、こういう答弁になっているわけですね、いまの経過は。そうすると収入のほうをゼロと見るのは間違いはないです。これ以上にはないです。極限にきていますね。私は常々言うのですけれども、私の人生に対する対処方として、常に最悪に備えるというのが私の生活信条なんです。常に最悪に備えておれば、そうならなければ常によいわけですからこれは人間の生活信条であると同時に国をあずかるものにとってはその片方をゼロと見るならば片方は理論的に可能な範囲において対処し得る状態に置くことがやはり国の政治上の非常に重要な問題だ、こう思うのです。いまのお話を聞いておりますと、まず七十二億円を二年間計上したというのは根拠がないですね。ただたまたま三十九年に七十二億だから国際的な変動がないとするならば、IMFに大きな問題がないとするならば、そのくらいを見ればいいのではないか、私はやや安易な感じではないかと思うのです。そこで三十六年の百九十八億の償還はどういう実情で一年間に百九十八億あったのか。
  34. 原秀三

    原説明員 先ほど法規課長から目一ぱい七十二億見ておる。それに関連して、ただいまの堀先生の御質問に関連して申し上げたいと思います。  三十六年度の百九十八億円の内訳でございますが、三十六年の八月にインドから十八億円の償還要求がございました。それから同年の八月と九月でございますが、イギリスから百八十億円の償還要求がございまして、合わせて百九十八億円の償還をしたわけでございます。当時実は国債整理基金のほうに資金がございませんでしたので、国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律、これの第七条の規定によりまして、緊急やむを得ないとき、また償還財源に不足があるときは日銀に買い取りを命ずることができる。こういう規定が現在ございます。これによりまして日銀に買い取りをしてもらいまして翌年度一般会計から繰り入れを受けたわけでございます。当時は国債整理基金の財源が非常に苦しゅうございましたので、そういった措置をとったわけでございます。その後国債整理基金への繰り入れの額が相当ふえてまいりましたので、昭和三十八年度におきましては二百億円の引き当てをいたしました。IMF出資国債償還要求として、見込みました二百億円引き当てをいたしました。ところが三十八年度中には実際には償還要求がございませんでした。また三十九年度におきましても二百億円引き当てたわけでございます。ところが先ほど御説明申し上げましたようにイギリスの七十二億円とたまたま一昨日でございますか、インドの償還要求がございまして、九億円実行いたしまして合計八十一億円、これだけの償還要求しかなかったわけでございます。したがいましてIMF出資国債償還見込みといたしまして国債整理基金で引き当てました残額で、先ほど佐竹理財局長から御説明申し上げましたように、相当なゆとりを持つようなことが見込まれるに至りましたので、四十年、四十一年度におきましては一応三十九年度の実績——インドの分を除きまして私ども大体二千万ドル程度を見込んでおりました。実績見込みといたしまして二千万ドル程度に相当いたします。十二億、こう見込んでおった。それを横ばいとして見ていきまして、かりにそれよりふえることがございましても、過去の二カ年間にわたって引き当てました、残高の分を食えば十分これをまかなっていける、こういう見通しを立てまして七十二億円というものを今後二カ年間の国債償還の見込みとして組んでおるわけでございます。
  35. 堀昌雄

    堀委員 さっきのお話で少しわかってきたのですが、やはりこの前の百八十億円もイギリスですね。私はいま一番問題があるのはイギリスの問題だろうと思うのですが、そこで、ちょっといま初めてまた事情がわかった点は、減債基金に金がなかった、IMFの分は、何かそこの点初めて聞くことですから、法律的にどういう解釈になってどうなっておるかわかりませんが、日本銀行から言うならば赤字公債を出したようなかっこうがとられるわけですね。その年度間については財政法上かなり重要な問題で、財政法のワクの外に何かそういう規定があってそういう処理ができておる。この点少し時間をかけて調べて検討する余地のある問題だろう、こう思うのですが、いまの減債基金に金がなければすぐ日銀にかけ込んでそこから金が出るというその仕組みの法律的な背景と財政法との関係は一体どういうことになるのか、財政法本法との関係はどういうふうになるのか、ちょっとそこをつまびらかにしていただきたい。
  36. 赤羽桂

    赤羽説明員 ただいまの点御説明申し上げますが、国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律というのが昭和二十七年にでき上がっております。その法律規定の第七条に、緊急やむを得ないときは、償還財源に不足あるとき日銀にその国債の買い取りを命ずることができる、かような規定が置いてあるわけであります。そのあがりました資金一般会計に入れまして、それから一般会計から国債整理基金繰り入れる、かような措置をとっておるわけでございます。
  37. 堀昌雄

    堀委員 そうすると、ちょっとよくそこがどうも私わからないのですが、何が一体日銀へいって、国債を買い取るという、その国債というのは一体何もIMFの問題に関係のないものが買い取られるわけですか。何が買い取られて、どういうかっこうで金が出てきてそしていくのか、そのメカニズムがよくわからない。
  38. 赤羽桂

    赤羽説明員 IMFに対してなされておりますところの出資国債を日銀が買い取るわけでございます。したがって、対象が変わる、ボンドホルダーが変わるというだけでございまして、その変わり金たる現金を一般会計に吸い取りまして、それを国債整理基金に入れる、かようなかっこうになっております。
  39. 堀昌雄

    堀委員 いまの特別の立法の第七条でそれができることになっているとすると、これはいまの財政法のたてまえからいくと、国の国債をそう簡単に安易に日銀にどんどこどんどこ売り渡しておいてそこから金が一般会計に入ってくるということは、これは財政法に違反にならないですか。法律規定しているのだから、それはその法律のできるときの議論であったかもしれないけれども、原則的な考え方は、ちょっと財政法考え方からして非常に安易な方法になっておると思うのですが、財政法のどこでこれが認められることになっておるか、ちょっと財政法上の説明を聞きたい。
  40. 赤羽桂

    赤羽説明員 ただいまの日銀に買い取らせましたところの金は、翌年度すぐに返還をいたしておるわけでございます。実体的にはこれは一時借り入れ金的なことになるかと存じますが、形式的には確かに先生指摘のように、まあ特則的なもの、したがって法律をもってお願いしておるというかっこうになるかと存じます。
  41. 堀昌雄

    堀委員 私は、年度内の処理ならば、これはいまの財政法のたてまえとして、年度内にそれをこうやってまた処理ができるならいいけれども、年度を越して問題が起きるとなると、その意味では私はこの法律——その法律がおかしいという議論はその時点ですべきであったことでしょうが、どうも私それは非常に財政法のたてまえをくずしておる。それは緊急やむを得ざるという特例にしても、くずしておる、おかしな立法が行なわれておるような気がしてならないのですが、財政法のたてまえとしてはそういことは規定していませんね。どうですか、鳩山さん。
  42. 鳩山威一郎

    ○鳩山政府委員 ただいまの問題につきまして、現在財政法のたてまえといたしましては、長期国債ということになりますと、これは一般的にその公債によります財源をもって歳出に充ててはならない。これは特定の出資の場合とかあるいは建設事業、こういったものの公債はできますけれども、一般的にはその公債金による収入で歳出をまかなってはならないというたてまえになっておるわけであります。それから、公債を日本銀行に引き受けさせてはならない、こういう二つの点があるわけであります。ところが、現在それに対する例外といたしまして、先ほど堀先生指摘のように、交付公債という制度が戦後相当出ております。このIMFの出資につきましても、これは交付公債という形で出ております。公付公債が実体的に財政法の根本原則に対して違反しておるのではないかという御議論があるといたしますれば、これは考え方によりまして、その財政法の精神というようなものまで抽象的にまいりますと、相当な議論のあるところと存じます。しかし、現在までのところ、この公債金による、それによりました収入、すなわち公債を発行しましたそれの現金収入でもって充てるということはいけない、したがって公債自体で引き渡す、公債によって、一度現金の収入が起こらないで、公債自体でもってその国の需要をある程度満たしておるのが交付公債だと思いますが、こういったものにつきましては、現在はそういう法律の定めるところによりまして、それで交付公債を行なわれておるわけでございます。これは、その解釈といたしましては、やはり歳入金になっていないという点が、そういうことが法律でできて、しかも財政法の根本原則からいきましても形式的には適合しておるのだという解釈をとって、交付公債という制度ができております。  このIMFのただいまの償還の問題でございますが、IMF当局から償還の請求がある。対外的にはこの公債償還を実現しなければいけない。その場合に、何、ぶんにもIMFに対する出資国債というものが、先ほど申しましたように、千三百三十二億というようなばく大な金額になっております。これがどれだけ償還がくるということが、予側も、先ほど堀先生指摘のように、当方できめるわけにいかないものですから、したがって年度途中に相当巨額の償還を求められた場合に、これを即座に国債整理基金で支払われない場合もある。そういった場合を考慮したしまして、財政法としては非常に特例といたしまして、その国債自体を日銀に買わせる、日銀でその資金をつくって償還をする、国のほうは、年度を起しましてから予算措置をとりまして、日銀に対して償還をする、こういうような形に、まあこれは加盟措置法でそういったことを設けた。これは財政法でほかに例があるかということになりますと、特別会計ではいろいろ年度越しの一時借り入れをいたしておりますが、一般会計におきまして年度越しのそういった借り入れということはいたしておりません。でございますから、財政法といたしましては相当大きな例外規定をこの加盟措置に対しまして行なわれているということ、御指摘のとおりだと思いますが、これはやはりそういった必要からきております。ただ、形式的に違反ではないかという点につきましては、これは政府が交付公債を発行いたしまして、その交付公債が、IMFが持っていたものが日銀に移るという点におきまして、ボンドホールダーが変わるということであって、現実にそれによる歳入金を国庫の財源といたしておらないという意味で、形式的には財政法の根本精神についても、特に触れるものではないではないか。それからこういった出資財源というものは、本来公債をもって発行してもいいというような範疇に入っておりますから、したがいまして、財政法の総体から見ましても、財政法でもそういうことを予想しておるという場面に入るかと思うのであります。
  43. 堀昌雄

    堀委員 どうも後段は全然理解できませんね。大体現在の財政法のたてまえは単年度主義になっているわけですから、当然その年における一般会計からの歳出は、当年度における収入をもって充てるのが原則であって、それが年度を越して処理をされるということは、明らかに——まあいろいろ特別立法のようなことがされておりますから、それはいまここで議論をしてもしかたがないことであるけれども一、いまの財政法というものの考え方から見て望ましい状態ではない。だからおそらくそれがあったから、理財局としては百九十八億あったから次は二百億ずつ組んだんだ、こういうことだろうと思うのです。このことがやはり今度の問題にも関係があるのではないのか。要するにさっきの目一ぱいという問題は、なるほど五百四十億ですか、別に引き当て金があるという話でありますが、しかし残っている金は千五十何億あるのですからね。そうするともしここでそういう事態が起こったら、また日銀に売り渡して、日銀から金が出て、これが年度を繰り越してそういう処置をするという可能性は明らかですね。しかしこれは私は緊急と見たくないのですよ。ここでこれだけ議論がしてあるのに、もし起きたら緊急だとは思わない。緊急ということばが非常に安易にここに使われていると思うのですが、これは千五十二億というのは予側されるのですよ。金はいつ償還されるかわからない。相手方にイニシアチブのあるものを考える場合には、千五十二億は準備がしてありました。しかしそれ以外の何らかの要件によって、その当年度内にまた出資金を出して——これは予算等のいろいろな状態は、三十九年度に四十年度を組むわけですから、四十年度に新たに出資をしなさい。そして出資をした。そうしたらそれを今度は償還をしなさい。こうきたら、これは私緊急やむを得ざるものだと思うのですよ。しかし千五十二億なり千三百億からの出資をしておって、償還は、それについてはいつするのかわからないのが緊急やむを得ざる処置だとは、この法律趣旨から見ても、私はどうしてもちょっと考えにくい。そうなればどうしても減債基金の中に、いまの残額の千五十二億が計上されることが、法規課長がさっき言った支出目一ぱい状態です。その目一ぱい状態で、いまの減債基金の引き当て金が五百何十億か残りますね。だからそれは引きましょう。それを引き、今度の百四十億を引いて七百億くらいになれば、あと三百五十億ほどは、依然としてこの二年間に償還の緊急の状態でなく、予測して起り得る状態だ、私はこう理解をしますが、政務次官どうですか。これは常識論だから、私が言っているこの常識論に対して、あなたの法律的常識論を聞きたい。
  44. 鍛冶良作

    ○鍛冶政府委員 先ほどから述べておりまするように、理論的にはそういうことはないとは言われませんけれども、実際においてそういうことを全部やられる、そんなことがやられるということはあり得ないことだと考えられます。
  45. 堀昌雄

    堀委員 政務次官、そんなことを聞いていないのですよ。理論的にはあり得る、あり得ないのじゃなく、緊急やむを得ざる状態というものは、そういうのを組んでおかないで、いまの要するに七十二億、七十二億と組んだのが、足が出るときには、これは緊急やむを得ざる事態、こう理解するのか、そんなことじゃないのですよ。緊急やむを得ざる事態というのは、私はあとで触れたように予測せざる状態ですよ。いいですか。いま私が言うように、全部予測できるのですから、それを予測をしていないというなら、それは緊急やむを得ざるではなくて、政府側の怠慢です。十分な措置がとられていない。だから私は最初から言っておるように、必要にして十分な措置がとってあればそういうことは起きないのです。二十七年度の立法のときは、緊急やむを得ざる問題というのはそういうふうな問題ではなかったのです。当年度に出資をしなさいと言われたら、これは四十年度にまたあるいは三億ドルなら三億、ドルの出資をするという場合もあり得ると思うのですよ。ともかく今度は非常に悪くなった、さらに三鷹ドルを出資しなさいと言われれば、IMFの場合には政府はしなければならぬのでしょう。それで出資をした。それも出資をしたけれども、半年の間で今度は償還をしなさい、こうなった場合に、一千億からの問題が出るわけですから、これは予算を組んだ当時には予測されざるものだから、これは緊急やむを得ざるものですよ。しかしいまはそうじゃないですよ。明らかに残高が千何億ほどあるのだから、これを向こうが支払うのは、一ぺんに支払おうが、どうしようが自由だが、そういう準備が整っていないから百九十八億をここで処理しているのですよ。これは三十六年度ですから、決算でわれわれはもの言いはっけられないけれども決算でもの言いがつけられるときならもう一ぺん決算でもの言いをつけますよ。これは緊急やむを得ない出資じゃないのですよ。政府の要するに不十分な措置によって起きたものだから、そういうことは決算上認められない、こういうことを私が言った場合に、政務次官どうですか。
  46. 鍛冶良作

    ○鍛冶政府委員 どうも承っておりますと、予測の問題ですね。あり得るじゃないか、それを予測せぬのは悪いとあなたはおっしゃる。こちらは、それはめったにない、だからないと心得ておった、しかるにあったものだから、予測しなかった、こういうことですが、しかしそれでいいとは申されません。やはりあなたの言われるように、そういうことを予想して、なるべく手当てをしておくことが当然だと思います。
  47. 堀昌雄

    堀委員 政務次官、いい答弁です。だから予測をして手当てをするのが当然なんですね。いいですね。当然なら、あと幾ら減債基金に入れておけばいいのですか。いまの、差し引きちょっと計算してみてください。残高が千五十二億ですね。その千五十二億を引き、出資引き当て金の五百四十一億を引いて残った額と、あなた方がこの二年間に組んだ百四十四億との差額というのは一体幾らになりますか。
  48. 佐竹浩

    佐竹政府委員 先ほど私五百四十一億円というふうに申しましたのは、非常に大ざっぱな話をいたしましたのです。実はこの中に内訳がいろいろございまして、IMF関係の引き当ての分といたしましては四百十八億でございます。なおそのほかに、先ほど国庫課長が申しましたように、一昨日ですか、インドの九億を償還としてありますので、その分をまた引きますと五百四十一億の残高は五百三十二億ということでございまして、その五百三十二億のうち、IMFに引き当てられております分は四百九億、そこで計算上は、この四百九億を財源計算にいたします。そういたしますと、ただいま千五十二億の残高がある、それで現在七十二億はすでに計上済みでございますから、そこでそれを落とし、さらにこの四百九億の財源を引き当てますと、五百七十一億円、つまり五百七十一億円だけは理論計算上は不足をいたす、こういうことになります。
  49. 堀昌雄

    堀委員 そうすると、法規課長、これは理財局のほうかどうかわかりませんが、五百七十一億は、なおかつ引き出される可能性がある、金があるわけですね。それで、私いまの減債基金の中身をつまびらかにしないけれども、今度はこれを五分の一にしないで、二分の一にして二年間入れていくとします。上五分の一になれば、今度入る分が減るわけです。この前の昭和三十八年の剰余金が二分の一入るのと五分の一入るのとの差額というのはたしか百九十億くらいだったと思います。幾らになりますか。
  50. 赤羽桂

    赤羽説明員 差額は百九十五億でございます。
  51. 堀昌雄

    堀委員 だから、正常の状態で入れておいてもなおかつ一五百七十一億、かりに償還が起きればもう手をあげるのですね。手をあげる状態であるにもかかわらず、百九十五億さらに減らそうというのだから、そうなると、これは重大な問題ですね。そうじゃないですか。政務次官がちゃんとお答えになったように、やはり十分の措置をしておくのが当然だ。こういうふうに政府を代表して答弁している。十分な措置というのは、私がこれまで述べたことなんです。それが必要であるのに、百九十五億を減らさなくても、なおかつ不十分な状態であるのに、さらに百九十五億減らすというのは、これは重大な問題ですよ。さっきのあなたのお話を漫然と聞いていると、ともかく出るほうは目一ぱい組みました。入るほうはゼロと見ました。もう非常に減債基金としては、この点においては、まず不安がないという印象を一般に受けますと、それなら百九十五億くらい減らしてもいいということは成り立ちますよ。しかし、いまの状態がここまで進んできましたならば、百九十五億はおろか、二年間に二百五十億くらいずつ繰り入れがされて、そしてIMFの引き当て金が常にその残高に見合うようになっていて当然なのですよ。そうじゃないですか。それが法律の本来の趣旨で、そうやっておいた上に、さらに新たな出資がきて、それが償還をされた場合は緊急やむを得ざる処置として日銀へ持っていく。それが私は現在の政府が当然国際的にもIMFの加盟国として果たす責務だし、そのためにこそ減債基金が直かれているのではないですか。政務次官、いいですよ。あなたが前言をさわろうとしても、もう私は政務次官に聞きませんから、これはもうはっきり政府の見解として速記に出ているのです。それが明らかになっている際に、そういう措置が行なわれるということは、それは理論的にも実体的にもきわめて不当な措置といわざるを得ないのです。だから政務次官いいですよ。  そこで、ほかの方の質疑もありますし、非常に不当だということで、私はここまでで一応ストップをして、あと別の角度から議論を進めていきたいと思います。この二つ目のものは済んだので、もうこの件はけっこうです。これはあとに問題が残るようにしておきますから。  そこで、委員が二十五人になりますね。この委員を二十五人にする場合には、一体中身は今度はどういうことになりますか。いまの委員は、ちょっとこれ申し上げておきたいのは、表向きはいろいろとほかの職種についていらっしゃるけれども、実は大蔵省のOBが常にこういうかっこうでいろいろなところへ入ってきているわけですね。そこで私は、大蔵省という役所自身、別にどうこう言うのではないのですが、やはり私は、もし外から人が入ったという形をとる場合には、できるだけその大蔵省のOBをはずして、大蔵省は大蔵省で当然職責として出るポストがあるんだから、その他はできるだけOBを除いてこういう問題は議論をするような審議にしてもらいたい、こういう気持ちがあるのです。現状でいいますと、日本開発銀行の副総裁が現在審議会委員になっておりますね。それから日本相互銀行の社長もそうなっておりますね。これはいずれも大蔵省のOBです。そのほかに私ちょっとつまびらかにしませんが、その程度がわずか十二名の委員の中に入っておる。こうなっておるわけですが、今後の二十五名の委員構成というのは一体どういう角度で考えておられるのか、ちょっとお聞かせ稲川いたい。
  52. 赤羽桂

    赤羽説明員 今回十二名を二十五人にお願いをいたしておるわけでございますが、その具体的な内容につきましては、いずれ法律案が成立いたしまして、部内でいろいろ相談をいたしまして構成したいと思っておりますが、一応ほんの激務的なめどを申し上げますと、まず財政関係ですが、これは学者の力とそれから財政経験者という方と二つ考えておるわけです。この方がいま委員の定数といたしまして四名でございます。これを大体七名程度くらいにいたしたい。差し引き三人の増員でございます。それから会計関係とそれから公法、法律の関係でございますが、これがそれぞれ三人でございまして、合わせて六人いらっしゃるわけですが、これを会計関係で一名を増員いたして四人にいたしたい。公法、法律関係は三人程度でいいのではないかと思っております。それから経済金融関係でございますが、これは現在一人しかおられないわけです。これは一応財政対経済金融というような感覚で大体六人程度、したがってここで七名程度、財政関係七名に対しましてこれと同じくらい七名にいたしまして、差し引き六人の増員。それから言論関係、世論の代表者という面がいま一人しかいらっしゃらないわけです。これを四名程度に増員、差し引き三名の増員ということを考えております。
  53. 堀昌雄

    堀委員 その点でちょっと一言いま申し上げておきたいのは、最近臨時行政調査会からも意見が出ておるのですが、委員が非常にダブっておる人が多いわけです。原則としては委員はできるだけダブらせないということをひとつ考えてもらいたいのと、さっき申し上げたように、大蔵省OBについてはできるだけ御遠慮願って、同じ代表を入れるならばそうでない人たちを入れるほうがより幅の広い論議が生まれるのではないか、私はこう考えますので、この二点を要望いたしまして、私の質問を終わります。
  54. 吉田重延

    吉田委員長 横山利秋君。
  55. 横山利秋

    ○横山委員 堀君が時間がなくて最後は要望になりましたが、そこから引き継いでいきます。  十二名を二十五名にふやすならば、かねがねわれわれが要求をいたしておりますように、われら学識経験者をその中に入れるということについて御賛成を願いたいと思いますが、どうですか。
  56. 赤羽桂

    赤羽説明員 われら学識経験者とおっしゃいましたが、われらというのはどういう……。
  57. 横山利秋

    ○横山委員 失礼なことをおっしゃる。われら学織経験者、ここに一ぱいおるじゃないですか。財政法においてわれら学識経験者にまさる者はない。単に法理論やあるいは通俗的な議論はいかぬとは言わぬけれども、要するに財政法の運用に関してはやはり政治的な判断というものが激動する今日においては必要である。したがって国会議員を入れるべきであるとわれわれは言っておる。
  58. 鳩山威一郎

    ○鳩山政府委員 ただいまの問題につきまして、委員の人選等につきましては、法案が成立いたしましてから、内部でいろいろまた研究いたすわけでございますが、私ども考えておりますことを率直に申し上げますと、従来から審議会はそうでございましたが、従来の審議会は何といいましても、会計制度的なものが非常に強かったという意味で、いわば官庁の会計経理の詳しい方というような官庁の関係の方、それから民間のそういったいわば会計学者というような方、こういった方が相当おられます。今回改正をいたしまして、もっと広い視野からいろいろな問題を御審議願いたいという意味で、内容といたしましては、相当幅広いもので審議していただくということになると思います。  そこで、それであれば、国会議員の先生にも御参加を願ったらいいではないかというような御議論があるかと思いますが、財政法自体は、当然重要な問題でございますから、当国会で十分御審議をいただくわけでございます。私どもは、それの前段階の審議という意味で、学識経験者を中心といたしまして、いろいろ御審議をいたしたい。その審議をいたしましたそれぞれの内容につきましては、当委員会でも十分御連絡をとりながら、また十分内容につきましても、御説明をいたしたいと思いますが、審議会自体におきましては、やはり全体の審議の中で、さほど政治的な問題が中心になるのではなくて、いろいろ調査審議という中には、ある面では諸外国等の制度とか、あるいはじみな審議を積み重ねまして、結論を得ましたら、当委員会でも十分御審議をいただくというほうが、能率的にまいるのではないかというふうに考えておりますので、率直に申し上げますと、そういうふうに考えておる次第でございます。
  59. 横山利秋

    ○横山委員 あなたの言う意見二つある。一つは、同じ前審議であって、同じ人に同じ審議をしてもらう必要がないということなんですが、それならば、各種審議会にわれわれ国会側から参加しておるということから考えますと、これは意味がない。それから、幅を広く人材を集めるというならば、われわれの財政法についての経験は買うべきである。それから、財政法国会で提案した以上は、政府側としてはどうしても、各種法案と同じように、議員の修正については非常に憶病である。したがって、原案を固守するくせがあってはいけないから、われわれの意見が十分に反映するためには、この際、国会議員の参加を許すべきである。本来各種審議会に対して、特に大蔵省は偏狭にもわれわれ国会議員の参加を一つも一認めていない。きわめて遺憾千万だとわれわれは考える。税制審議会しかり、各審議会にわれわれを入れることを認めない。ほかの各省においては、国会議員の参加を認めておる例がきわめて多い。したがって、私は百歩、千歩譲って、予算に関係をするということであるならば、いろいろ問題もあろうかと思う。けれども、この財政法という問題、特に今後の審議中心になりますものは、要するに予算弾力性を何とか確保すべきではないかというのが一つ問題点であるわけです。それと官僚支配というものの調整をどうするかという政治的判断にまつものが多いとするならば、われわれ国会議員を参加さしたほうが、財政法の円滑な審議のために不可欠な問題であるとわれわれは考える。あなたも野にいるときは、全く同感のような御意見でございましたが、どうですか。
  60. 鍛冶良作

    ○鍛冶政府委員 傾聴すべき御議論として承っておきます。
  61. 横山利秋

    ○横山委員 これは本来ならば、この要求がいれられなければ、この法案は通さないと言うべきとこなんです。しかしながら、諸般の情勢上、そうもいかないらしいので、特にこれは、いまあなた方も、絶対にいかないとは言わないんだから、十分に考えてもらいたい。  第二番目の問題は、私は国会議員として痛感するのですが、いま一般会計のほか四十三の特別会計、十三の政府関係機関予算、さらに財政投融資、それから地方財政予算等、全く広範多岐にわたって、われわれ自身としても、率直に言うと、予算の全貌、予算の方向を一般会計だけで判断することはもはやできない。いわんや国民の中で、経済学者といえどもこれらの広範な状況を十分に捕捉するわけにはまいらぬ、こういう状況になっておることは、各位の御存じのとおりであります。それというのも、年々歳々非常に増大をする特別会計予算であり、あるいは膨張する財政投融資、あるいは地方財政、こういうような状況であるから、この際財政法審議するにあたっては、もっと国民にわかりやすくというよりも、端的に言えば、もっと国会審議にわかりやすくする方向が絶対不可決だと私ども考える。  今回提案をされます財政法の一部改正は、ほんの剰余金の処理の方法中心であって、根本的な問題には触れていないのであります。しかし、財政法をなぶるということは、将来においてその方向が行なわれるということなんですから、今後財政法をどういう方向に持っていこうというのか、いま審議会の前にそれを言うということもいかがなものであるけれども、大体政府が審議会の人数をふやし、そして財政法の本格的審議を進めるにあたっての政府の心がまえをはっきり聞いておきたい。
  62. 鳩山威一郎

    ○鳩山政府委員 ただいま横山先生のおっしゃいました一般会計のほかに、非常にたくさんな特別会計あるいは政府関係機関予算あるいは財政投融資、こういったものがあり、それらを通じまして、全体的な把握が現行の予算制度では非常にわかりにくいという点は、まさにそのとおりだと存じます。この問題につきましても、相当各方面から非難を受けておる問題でございますので、今後財政制度審議会におきましても、当然重要な問題といたしまして、御審議をいただきたい、かように考えております。  なお、そのほかにどういう根本的なことがあるかということでございますが、これは、ただいまのところ、はっきりした議題まできめてはおりません。ただ従来当委員会でしばしば問題になりましたいろいろな点につきましては、これは重要な問題でございますので、審議会でも御審議いただきたいというふうには考えております。具体的な項目といたしましては、一応この三十七年のときに従来の審議会に対しまして、いろいろこういった問題がございますという点を当方から御披露いたしたことはございます。そういった点は各般にわたって大小さまざまの問題がたくさん入っておりますが、必要があればそれらの点も御説明をいたしますが、ただいまのところはその三十七年の問題点ということにこだわって今後審議していくというつもりもございません。重要な問題から御審議をいただきたいというふうに考えております。
  63. 横山利秋

    ○横山委員 そういう答弁ではだめなんです。なぜ財政法を変えて、財政制度審議会を拡充強化するかということについては積極的な理由がなくてはならぬ。いままでいろいろの問題点があるからそれを審議してもらうのでなくて、政府として審議会を拡充強化する基本的なものの考え方はどこにあるか、どういう方向にものの考え方があるかという点を端的にお伺いしておるのです。
  64. 鳩山威一郎

    ○鳩山政府委員 端的に申し上げますと、財政法昭和二十二年にできまして、本年で十八年になるわけでございます。その間にやはり日本の経済、財政状態、一般的な進歩が非常に大きいわけでありまして、それに対しまして財政法の関係につきましては、従来こまかい改正が九回にわたって行なわれております。しかし非常に根本的な改正というのは従来一つもないわけであります。そういった意味財政法の全体の考え方か、いわば終戦直後からのああいった混乱期を経過をしてきた。その期間におきましては非常に現在の財政法の精神というか規定というか、それだけの機能を果たしてまいったと思いますが、十八年たちまして、今日の財政、経済状態のもとにおきまして、これがやはりそれぞれの問題が起きておるわけであります。剰余金の処理の問題にいたしましてもその一つの問題であり、減債基金制度のあり方につきましても、今日にすれば別の考えでいかなければいけないのではないかという問題が出ているわけであります。そういった意味財政法の全面的なそれぞれの問題につきまして見直す必要がある。これが今度拡充をしていただいてそれで審議をやる、こういったごく大ざっぱなバックグラウンドでございます。個々の問題につきましてはいろいろございますが、何でございましたら個々の問題につきましても御説明をいたしたいと思います。
  65. 横山利秋

    ○横山委員 大臣に聞きたいと思うのですがなかなか来ないので、ひとつ鍛冶さんに判断を願いたいと思います。  いまの憲法並びに予算に関する政治制度におきましては、国会——ここにおられる与党の諸君は一体どういう責任があるかということです。予算編成の際に各省が一生懸命に予算のぶんどりあいをやる。与党の諸君は、ある者は各省の出先機関化する、ある者は政府の予算編成時におけることが自分たちの最後の問題だということでそのときに一生懸命になる。予算の編成が済むとここにおすわりになってものを言わない。国会議員たるの公の職責を尽くさない。これはまことに私は今日の状況からいっておかしな形態だと思う。国会というものは、ここで同じように与野党があなた方に質問をして、予算の修正なりあるいは法案の修正は、与党が与党たる立場、職責を尽くして、それにおいていろいろな修正が国会の場で行なわれる。野党が質問をし、野党が修正をすると、与党の諸君は理屈のいかんを問わずまず反対をする。これはまことに、残念なことである。せいぜい与党が修正を出すのは、野党が質問をしてなるほどもっともだと思うけれども、まあ時間がないからこれはあとで法案をさかのぼって効果を生ずるぐらいのことである。こういうまことにぶざまな状況だと私は思う。本来の与党の諸君の職責が予算の編成のときに行なわれる。これでは議会民主主義というものは、いまの議会というものは野党だけあればいいというふうにも見られる。この根本原因は予算編成の際における圧力団体、いわゆる与党の過当な介入ということにあると思う。政府は予算編成の責任を十分負っていない、こう私は考える。この点はあなたの率直な見解を伺いたい。
  66. 鍛冶良作

    ○鍛冶政府委員 私は同じ国会議員として与党と野党とに任務の差異があるとは思いません。同一であると思います。ただ、予算編成の際に与党の者がいろいろ注文をつけるというのは、これは政党内閣ですから、わが党の内閣であるがゆえにわが党の意見として述べるのであって、それくらいのことがあるのは当然であると思います。それからいよいよ審議に入りますれば、あなたのおっしゃるとおりなんです。それは政府だって間違ったこともあろうし、それから政党から注文したからといってピンからキリまでことごとく注文したことができておるものではありませんが、そこに間違ったところがあれば述べるのは当然であります。当然でありますが、私も横山さんと何べんもそれをやったのだが、私が現実から見ておると、野党のほうでまだ質問が足らないのだ、まだ審議が足らないのだと言われるからそれをみな譲っておるだけなんです。そこであなた方にできるだけのことをやらせて、最後の結論のときには起立をする。もし修正がお互いに相談の上でやれれば、これに賛成して各党共同提案で修正する。そういうことをやっておるので現状だと思いますので、無理やりにどうも野党ばかりにやらせて与党がやらぬというものではないと心得ております。
  67. 横山利秋

    ○横山委員 そういうことになるのは前提がある。それは与党の諸君が、一たん国会へ出した法律案なりあるいは予算案というものは、自分たちが予算編成のときに必死になって自分たちの言い分を通したから、もうあとはそれを通してやるのがわれわれの責任であるというふうに考えさせてしまっておる。予算編成の際における圧力団体なりあるいは与党の行き過ぎに問題がある。もしそれそういう責任をかぶせないのであれば、与党の諸君が法案なり予算について弾力性を持っておるならば、われわれは何も——われわれの主張と共通するところが多いのであるから、決してわれわればかり質問しようとは思わない。国会というところが政府と野党の対決の場、与党というものは法律案予算案を、まあそう言っては失礼ですが、官僚と一緒になって一生懸命通すという潤滑油の役目しかない今日の状態に問題があるのではないか。われわれはそう考えているのです。ですからこの辺のところは財政法審議にあたっても、議院政治のあり方ということについて十分考えるべき点がありはせぬか。そういうことを考えるのは経済学者ではできぬことだ。そういうことを考えるのが、やはり同じ舞台で議論をしている与野党の諸君の政治的判断として、財政法検討する場合に、十分情勢判断なりあるいは今日の事態というものを検討を進むべき重大な要素ではないか、こう考える。
  68. 鍛冶良作

    ○鍛冶政府委員 先ほど申しましたように、政党内閣ですから、政党として内閣にいろいろ注文するのは当然でございます。なおまた政党から注文のないもので、新しいものは政府のほうから政党へ意見を聞いて法案を出すということも、これも当然だと思います。したがいまして、党から自分らが注文したものが出ておれば、それはけっこうだといって通すのはあたりまえだ。また政府から出すものに対して相談を受けて、それはよかろうと言った以上は、無理やりにそれに反対する必要もないものです。しかし何もかもことごとくそうなんだというわけにもいきませんから、そういう場合があればそれは大いに議論もし、修正もすることは当然だと心得ますし、また事実上修正したりいろいろな附帯決議をつけたり、いろいろやっておることは現実でございますから、あなたのおっしゃられるように、何もかも野党をしりぞけてこっちばかり通そうとしておるのではないと心得ます。
  69. 横山利秋

    ○横山委員 大体委員会なり本会議で与党委員の出席がかくも少ないのはどういうわけであるか。要するにここにすわるだけの義務を感じておるだけである。ここにすわって、われわれ野党の質問を、御本人たちに言わせるとしんぼう強く聞いておるのはつらいよ。おれたちは採決のときに来るだけだ。有能な諸君をこういうような心境におちいらせたものは、財政法の中の野党議員、与党議員を参加させないところにある。この改善をはかるべきである。これはあなたも形式論を言わないで、あなた方が出てくれ出てくれと言って頼んでおる立場からいっても、もっと活力ある仕事を与えるべきである。十分に考えなければならぬ問題だ。  その次は財政投融資の問題。一般会計の膨張度が少なくなっていくに従って、財政投融資はどんどんどんどん、年々歳々膨張していく。そうして民間の資金を活用するのだといううたい文句のもとに、どんどんどんどん膨張していく。いまや予算を語るに際して、財政投融資をあわせて語らないものは政治家と言えない。ところがその財政投融資が政府の裁量にゆだねられて、国会審議の対象ではないということになっておる。まことにこれは私は今日の財政法の中の最大の欠陥だとすら思っている。財政投融資は、すべからくこの予算に付随する公式な資料として国会に提出し、そしてその議決を求めなければならぬ段階ではないか。この膨大な、予算の二分の一にもなっておる財政投融資が、単なる自由な政府の参考資料として国会に提出される。なるほど議論は行なわれる、議論は行なわれるけれども、それに対して国会の議決権がない、国会の修正の権利がない。一切あげて政府の自由裁量である。私はその財政投融資がすべて細目にわたってわれわれの議決を待てというわけではない。しかしその骨格なりその基本たるものは、いまや国家財政における大きな比重からいっても、当然国会の議決事項となるべきものである。これはまさに天の声、地の声、人の声である。いかがですか。
  70. 赤羽桂

    赤羽説明員 ただいまの御質疑でございますが、御指摘のとおり、財投の重要性というものは、これは毎年ふえてきておるわけであります。御存じのとおり財政投融資計画は産投資金あるいは資金運用部資金、簡保資金、公債、借入金、外貨債等々によってまかなわれておりまして、予算そのものとして国会の議決を願うものから、あるいは純然たる民間資金にわたる、いわば財政と金融との中間に位置するような性格のものであると考えておるわけであります。言いかえますと予算その他の計画を財政の面から抽出をいたしまして、総合して財投全体としまして包括的に作成して、予算の参考書類ということで出されているのが現在の姿でございます。かような性格のものでございますので、全部を一括して国会の議決に付する性格のものではないではないか、かように考えておるわけでございます。  ただいまも申し上げましたとおり参考資料として国会に提出しておりますところのほか、そのつど御説明申し上げておる次第でございますが、これは内容を見てまいりますと、個々具体的にはそれぞれ国会の御審議、議決をいただいておるわけであります。まず原資面から見てまいりますと、たとえば一例をあげてまいりますが、産投については特別会計予算として国会の御審議をいただいておる。それから資金運用部、簡保資金等につきましてはこれはそれぞれ郵便貯金、保険料の蓄積でございます。国民大衆の貯蓄という性格を持ったものであります。また経済情勢と民間金融の推移に応じ、あるいは予期せざる災害等に適時対応するなど弾力的運営を行なう必要のある性格のものでございます。国会の議決を経るということにはいたしておりませんが、これらの資金の重要性にかんがみまして、法律によりこれらの運用対象というものを限定いたしておるわけでございます。運用にあたりましては一々資金運用審議会審議にもかけておるというような運営をやっておるわけでございます。それから公募債借り入れ金でございますが、かようなものにつきましては民間資金の調達という性格でございますので、予算で定めるということはいたしておりませんが、その大半を占めますところの政府保証債といったようなものについては、発行限度を予算総則できめておるというような、個々に見てまいりますとさような状況でありまして、法律もしくは予算の形をとりまして国会の御審議をいただいておるわけであります。
  71. 横山利秋

    ○横山委員 どうもおずおず答弁をなすっておるようでありますが、あなたが腹の中では笑っておるように、法律案をかけたら、予算をかけたらよいという理屈にはなりませんよ。現に一般会計については国会の議決事項である。予算をかけて、なおかつそれの基礎となる法律も議決事項である。ひとり財政投融資のみが、財政投融資の計画はかけない。これに関する法律案はかける、だからよろしいということにはならぬですよ。今日まで財政法が小手先の修正だけをしてきたので、そのつど言ってはきたが、いま本格的な財政法改正について議論をするならば、当然財政投融資は国会の議決事項にすべき必然の機会に立ち至っておる。これはできないという理屈はどこを聞いてもない。もし財政投融資計画が国会の付議事項であってはならぬという理屈があったら聞きたい。
  72. 鳩山威一郎

    ○鳩山政府委員 先ほどの財政制度審議会の御審議をいただく事項として申し上げました際に、各特別会計あるいは政府関係機関あるいは財政投融資という問題につきましても御審議いただくということもありますが、全体的に国民にわかりやすくするという点についても、現状でよろしいということではないと思います。この点につきましては審議会にも十分御議論いただきまして、どういった形にしたらよいのかということにつきましてはこれはいろいろ議論があると思いますが、今後の問題として十分検討すべき問題であると思っております。
  73. 横山利秋

    ○横山委員 鳩山さんも大体了承されたと思うのですが、政務次官いろいろお考えになって、どういう答弁をしようかとお考えになっておるようですが、これはあなたも国会議員として、今日の財政投融資——一般会計の半分ですね、しかもどんどん比率が上がっていくのですよ。だから、これは国会の付議事項にしない、するべきでないという理由は、私はもはや絶対ないと思いますが、御賛成でしょうね。
  74. 鍛冶良作

    ○鍛冶政府委員 やって悪いということはないでしょうな。審議させてはいかぬということはないと思いますが、どうあってもやらなければならぬかどうか、これは私は直ちにここで答えかねますが、そのためにこの審議会をこれからこしらえるというのですから、そこでひとつ十分きめてもらうことにお願いしたいと思います。しこうして、あなたの御議論は十分それへ組み入れることをひとつ希望いたしておきます。
  75. 横山利秋

    ○横山委員 私の意見も十分取り入れられるということでありますから……
  76. 鍛冶良作

    ○鍛冶政府委員 いまの話、理財局長答弁させては……
  77. 横山利秋

    ○横山委員 理財局長といったって、あなたが答弁したのと反対する答弁があり得ますか。あり得ないですよ。では次の質問に移ります。  三十九年度の予算を見ますと、たしか三兆二千億の中で一兆一千四百億が繰り越し明許だそうですね。建設省は九二%が繰り越し明許だ。これは全く驚くべきことだと私は思います。いまの財政法は単年度制度になっている。けれども、その予算の中で、国庫債務負担行為とか継続費とかあるいは繰り越し明許とかあるいは出資金等々、単年度制度から非常に実質的には変わっておるということが言えると思うのであります。こういうことは、予算を見ながら、実はその金は来年、再来年、再々来年と——防衛庁の予算を見ますと、まさに五年間ぐらいの予算をこの年にきめる。まことにこの点は私はいつの間にやら底が抜けておる、こういう感じがする。しかも予算はこれらのために硬直性を強化し弾力性を失う。このような状態において財政法改正をするとしたならば、これらの繰り越し明許、継続費、債務負担行為についての改善が、何か国会でしっかりチェックするような方法考えなければならぬのではないか。本年度における債務負担行為、継続費、繰り越し明許等はどのぐらいの状況であるか、わかりやすくひとつ説明してもらいたい。
  78. 鳩山威一郎

    ○鳩山政府委員 ただいま至急数字を調べますので、ちょっと御猶予願います。
  79. 横山利秋

    ○横山委員 お調べ中に、時間がもったいないから、この継続費はたしか年度計画が出るが、債務負担行為は年度計画出ないですね。防衛庁、農林省、運輸省筆で四年ないし五年の工事が非常に多い。こういうような傾向というものは、いまの財政法の単年度制度からいうと、今後どんどん継続費あるいは債務負担行為、繰り越し明許というものがふえる傾向にある。これは財政法がきまったときの情勢判断と非常に違っておると思うのです。したがって、いま財政法にきめられておる継続費なり債務負担行為なり繰り越し明許について改善を加えるべきでないか。この二つ一緒にして、それらについての歯どめをきちんとかうというような方法が必要でないか、こう考えますが、いかがですか。
  80. 赤羽桂

    赤羽説明員 ただいままことにありがたい御議論をいただいたわけでありまして、単年度予算原則が財政法にうたってある以上、それの例外をなします国庫債務負担行為、繰り越し明許というような制度は、厳密にチェックしていかなければならぬ、かような御議論かと伺ったわけでございます。ところが、現在臨時行政調査会もしくはその他関係の方々の御意見の全体のムードと申しますのは、むしろ単年度予算原則を緩和して、予算弾力性をもっとふやすべきではないか、かような観点からの御議論が非常に多いわけでございます。その代表的な例として申し上げますのは事業予算でございますが、事業予算制度は、これは先生御案内のとおり、これは現在日本では予算形式をどう変えるかという問題としてつかまえられております。しかしながら、この事業予算と申しますのは、これは思想的に申し上げますと、率直にはっきり申し上げますと、これは事業のために予算が仕えるべきである、かような思想のもとに立っているところのものでございます。したがいまして、この思想を突き詰めてまいりますと、単なる予算形式を、現在の旅費とか庁費とかといったようなものから、事業の内容をすぐに把握できるような形に変えなければならぬという形式上の問題ではなくて、予算単年度主義を積極的に打ち破っていくというような思想につながるわけでございまして、さような点につきまして、われわれといたしましては今後財政制度審議会中心にして検討を続けてまいるつもりでございますが、ただいま先生指摘のとおり、かような要請と、国庫債務負担行為もしくは継続費等の単年度予算原則をむしろもっとゆるめろというような要請が強いわけでございまして、かような調和をどこに求めるか、単年度予算原則というものをあくまでより強く貫くべきか、あるいは緩和すべきか、非常に大事な問題、重大な問題でございます。私らといたしましても、いまここで、こうすべきだ、こうなるであろう、こういう方向で持っていきたいということは、はっきり申し上げられないわけでございますが、制度調査会を中心にして、慎重に、財政の民主化の観点から検討してみたいと思っております。
  81. 横山利秋

    ○横山委員 数字はわかりましたか。——あなた方担当者であって見ても、本年度予算における繰り越し明許、債務負担行為、継続費等がどのくらいになっておるかということもわからぬような、即答できないような、しかもぼくらをもってしても予算書の中ではっきりどのくらいになっておるかという点については十分知り得ないような状況になっておること自身に私は問題があると思うのであります。継続費制度は年度計画が出るけれども債務負担行為についてはその計画が出ない。ことに防衛庁は同じ品で過去何年ものあと始末ばかりしておる。予算の中に出てきますその予算だけで本年の議論ができないというややこしいような状況については、これは何としても改善をしなければならぬ、こう考えます。——わかりましたか、その数字は。
  82. 赤羽桂

    赤羽説明員 四十一年度以降国庫債務負担行為の残っておるのは八百六十二億でございます。同じく継続費につきましては四十年度以降は年割りができておりますから、四十年度以降三百三十五億、それから明許繰り越しはいまちょっと数字があれでございます。
  83. 鳩山威一郎

    ○鳩山政府委員 ただいまの防衛庁の継続費並びに国庫債務負担行為が非常に多いという問題でございますが、防衛庁の調達する物品の中には、一般の市中ですぐ入手できるというものと非常に違ったものが多い。したがいましてこの防衛関係につきましていろいろ国産化を進めてまいりますために、やはり生産計画を立てなければならぬ。これは非常に特殊な物品が多うございますので、計画的にやりませんと何としても国産化できない。これを外国からすぐ調弁して買うということであれば比較的短期にできるかと思いますが、次第に防衛関係につきましては国産化の方向をとっておりますので、そういった面で年々国庫債務負担行為あるいは継続費というものがふえてきておりますのは事実でございます。これはやや特殊な事情がありましてそういった方式がとられております。その点御質問がありましたのでつけ加えておきます。
  84. 横山利秋

    ○横山委員 それはよう知っておって説明というか答弁にならぬのでありますが、この財政法のもう一つの問題として、こういう単年度制度が次から次へと実質上形骸化しておる。しかもそれに対する歯どめが十分でない。私は継続費制度というものが不必要だというわけではない。債務負担行為がまた不必要だというわけではない。しかしながら当初財政法をつくったときの趣旨からいうと、まことにそれが膨大化してしまって本来の財政法立場から違ってきておるから、かりにそれを今日の現状として認めるならば、財政法においてそれをチェックする方法がどうしても必要である。また継続費、債務負担行為、繰り越し明許等についての整理統合なり何なりをはかる必要がある。こう言っておるわけです。その趣旨には賛成ですか。
  85. 赤羽桂

    赤羽説明員 御指摘のとおり私から予算編成の際におきましては、これらのものは単年度予算原則の重大な例外でございます。しかも後年度に財政負担を約束するわけでございまして、予算編成の際におきましては、これらのものについては非常に重大な、慎重な注意を仏っておるわけでございます。この運用につきましてはこの制度を野方図にかってに認めるというようなことはやっていないつもりでございます。かえってかようなものにつきまして当然国庫債務負担行為が適用されてしかるべきであるけれども、適用されていないのはどうかというような案件も一しばしば各省から提起されているような事態にございまして、これらの制度の運用につきましては慎重に慎重を期しておるつもりでございます。
  86. 横山利秋

    ○横山委員 次に、今度の剰余金の二分の一を五分の一にするということは、あなた方の言う前の現状を聞けばそれだけの理由はないとは言いません。けれども財政法を当初きめた立場からいうならば、赤字公債の禁止、日銀資金借り入れ及び公債引き受け発行禁止とあわせて、戦後財政法における健全財政保持の基本精神の宣言であったとある人は言うておる。私はその趣旨はもっともだと思うのです。いま時限立法であるからひとつかんべんしてくれいというのであるけれども、それだったならば、そのあとにかわるべき基本的なものの考え方、基本的な方法はどうするんだということがあわせてここで御答弁が願えなければ、この基本精神の宣言をぶち破るものだ、こう言われてもしかたがないではないか。だから昔に返って別に残高比例償還資金一般会計経費として計上するということも考えられるのか、あるいはどういう方法でこの財政法の立法の精神というものを堅持しようとするのか、それともそんなものはどうでもいいです、ことしの銭さえ足りれば百九十五億ですか、いまの予算編成のためにはそんなものはということなのか、その辺をひとつはっきりしてほしい。
  87. 赤羽桂

    赤羽説明員 御指摘のとおり、ただいまお述べになりました第四条あるいは第五条、第六条と申しますのは、財政法の最大の基本原則でございます。財政法と申しますか財政政策の基本原則でございます。しかしながら財政政策と申しますのは、時の財政事情、経済事情によって変動をいたすのが当然でございまして、財政法として施行当時から二十年になんなんといたしておるわけでございます。こういう観点からかような条文についての適否が問題とされておる事情があるわけでございます。  それからやや事務的なことを申し上げますが、財政法法律の面から、財政法という、これは財政会計の管理法規でございますが、その法律の中にたとえその政策がいいものであっても、法律の中に入れることがいいか悪いか、かような点についても問題として指摘されておるわけでございます。したがいまして、そういった点につきましてもなお財政制度審議会検討をいたしておるわけでございます。
  88. 横山利秋

    ○横山委員 大臣が来られたので、あなたの答弁ははしょったようですが、ぼくも、時間がないのであなたの答弁に不満足でありますが、平林委員あとから質問いたしますので、私は大臣に先ほど質問をいたしました重要な一、二点だけ質問して終わることにいたしたいと思います。  その第一は、端的に言えば財政投融資は国会の付議事項にすべきであるという判断であります。この点についてはお並びになった各位ともに積極的賛成は大臣の手前されなかったけれども、反対は一人もなかったわけであります。よく検討いたしますとかごもっともな点でありますとか、鍛冶政務次官に至りましては御趣旨全く同感な点がございますからよく検討いたします、こう言うのであります。私の立論の趣旨は、いまや一般会計の二分の一にまで膨張し、予算財政投融資をあわせて議論をしなければわが国の経済が語り得ないところまでなった。しかも課長の答弁によりますと、現状そうでありますが、財政投融資に関する法律国会の付議事項になっておるわけです。一般会計予算も付議事項であり、それに伴う法律案国会の付議事項である、ひとり財政法だけが、法案はそうであるけれども財政投融資計画については国会の付議事項ではないということについての御答弁、きわめて不十分であります。当初この財政法が成立いたしましたときの財政投融資とは、質において、量において、政治的立場において、大変革を来たしておるのでありますから、財政法審議にあたっては、当然第一番に、わが国の予算、経済全般を語る上から見ても、財政投融資は国会の付議事項とすべき段階である、まさに天の声、地の声、人の声である、こう言ってお話ししましたところ、ほぼ皆さんの御共感を得ましたので、大臣から明白にひとつお答えを願いたいと思います。
  89. 田中角榮

    ○田中国務大臣 財政投融資を議決案件にしたほうがいいという議論は前からあるわけでありますが、財政投融資を議決案件にするという考えは私にはございません。これはもう、いま当然一般会計予算特別会計予算とともに参考書類として出してはおりまして、こうして御審議いただいておるわけであります。と同時に、財政投融資の貸し出し光というものは大体政府関係機関とかそういうものでありまして、そういうものの法律、それから政府関係機関等の予算、こういうものは大体ほとんど国会で御審議をいただいておるわけでありますので、財政投融資の性格上、これを議決案件にするということに対しては、私はいまの段階においてそうする必要はない、こう思います。これは民間資金、民間融資を補完する、ちょうど一般会計と民間資金との中間にあるものでありまして、現実にもうこうして審議をしていただいておるのでありますから、これを議決案件にするかしないかという問題だけであります。決算に対しても、議決案件にしたほうがいいという議論が長いことございましたが、承認案件ということになっておるわけであります。財政投融資が議決案件にすることによっていまの制度とどう違うのか、こう言ってみると、私は現在のままでいいという考え方をずっといままで持ってきたわけでございます。今日ただいまの段階においても私はそう考えております。
  90. 横山利秋

    ○横山委員 審議をしておるから議決案件にしなくてもいいという議論はきわめて私は空疎な議論だと思う。審議がされておるということを現実にお認めになれば、それを承認案件なり議決案件にしてはならぬという理屈はないのです。
  91. 田中角榮

    ○田中国務大臣 これは一般会計特別会計予算であります。予算でございますから、当然国会の議決を経なければ支出ができない。財政投融資は財政投融資計画でございます。でありますから、財政投融資というものを、法律をみんな変えて、予算——財政投融資予算じゃないですな、やはり財政投融資計画でございます。でございますから、この計画というものに対して、これはやはりその状態において弾力的に運用しなければなりませんし、私はこれを議決案件にしなければならないという理由に乏しいという考え方であります。まあ、地方財政計画、財政投融資計画、こういうものでございます。地方財政計画は年間八千億も違ったことがございます。こういうことはいかぬというのでございますが、税収が非常にふえたということで、八千億も七千億も国会で御審議願ったものよりも多くなったということはございます。経済の動きに対応をしまして、弾力的の性質を必要とするものであります。でありますから、これを国会の議決案件として一体どういう効果があるか。また議決案件としないことによって、国会審議を尊重しないというのではございません。こうしてちゃんと御審議願っておるのです。どうも議決案件にする根拠に乏しい、こういうことでございます。
  92. 横山利秋

    ○横山委員 非常に大臣は消極的なお考えだと承知しますけれども、実際問題として審議をしており、しかも財政投融資のわが国の経済における立場というものは比較にならぬほど立法のときから変わっておるのであります。政府みずからが、民間資金の活用ということと、それから一般会計の伸びがとまっておって財政投融資の政治的、経済的立場における比重というものはきわめて大きい、一体になって経済をやらなければならぬというときであり、しかも自分で審議を求めるという立場であるならば、あえてこの財政法改正について考えるべきときに来ておる。私は冒頭に言ったのですが、いまわれわれが国会議員として職責を尽くすのに、目の前に一般会計がある、しかし一般会計だけで議論するということは子供のやることだ、財政投融資、それから政府関係機関特別会計四十三、地方財政計画全部を擁してわれわれが経済を語り、わが国の方向を語るということになってきておる。その中で予算と相並んできわめて重要なものは財政投融資計画である。その計画をも含めて国会審議を正攻法で求めるというのが今日の事態ではないかというのでありますが、しかし、時間もございません。これはもう各界の一致した意見であるということを強く大臣としても銘記して御検討を願いたいと思う。   〔委員長退席、藤井委員長代理着席〕  その次の問題としては、先ほども、妙なことでありますが、与党の国会議員の諸君の予算編成における立場というものを議論をしました。要するに私が端的に言うことは、民主政治においては、国会において修正、国会においての質疑が実質的に行なわれなければならない。しかしながら、ここにおられる与党の諸君すべてが、予算が編成されるときに全能力を尽くして、国会予算なり法律案が出たらもう黙ってじっと聞いておるだけの能力、こういう状況になっておる。この点については、私は同情しているのですが、いまの政治制度からいっておかしくはないか。同時に圧力団体というものが予算編成にどんどん膨張して、政府の予算編成の責任というものが明確化されていない。こういうことを私は考える。したがって、国会における予算並びに法律審議なりを与野党とも実質的に行なわれるように考うべきではなかろうか。また大蔵大臣として決算について責任はあまりお持ちにならない。会計検査院なりあるいはしかるべきところがあって、予算編成におけるあとの事後処理というものについて、いまの制度では必ずしも大蔵大臣の立場というものは明確でない。こういう点が私ども考えられる。私は先ほど政府側に、財政法改正をする本来の趣旨、本来の望むべき方向は何かといっていろんな角度で聞いたのですが、しかるべき答弁はなかったのであります。きわめて遺憾なことでありました。この際、大臣から、いまの予算編成制度——国会審議について大臣があまりとやかく言われるのはおかしいと思いますからそれは別としましても、いまの予算編成の諸問題、それから財政法改正すべきあなたの体験上の諸問題、これらについてひとつ率直な御意見を承りたい。
  93. 田中角榮

    ○田中国務大臣 財政法は私は非常によくできておる、こう考えております。また、財政法というものをそう一ほかの法律もそうではありますが、財政法というものは財政の基本法でございますから、便宜に改正ができるというようなことではなく、いままででも財政法に対しては非常にきびしい態度をとっておりますし、財政法規定はおおむね妥当なものであるという見方を私はとっております。  それから決算の問題につきましては、確かにいまいろいろ御議論がございますが、会計検査院の制度もございますし、国会において指摘を受けたもの、会計検査院から批難をされたものに対しては、予算編成のときには十分反映をさせておりますし、また出先につきましても、閣議で了解をし、通達等を行なって、非違事項が起こらないようにということを十分考えております。また指摘をせられるようなことによりまして予算の合理性というものもそこから生まれてくるわけでありまして、決算に対しては十分な配慮をいたさなければならないという考えでございます。  与党との問題につきましては、これはもう予算編成は内閣で、最終的に閣議で行なうわけでございます。その前提において議院内閣制でありますし、また政党政治でありますから、そういう意味で今日の段階は私は大体正しいことだと思います。これは社会党が天下をとられても同じであります。党が公約をしておることに対しては政府は当然責任がございますし、そういう意味で事前に与党との意思の調整を行なうということは、国民に対しても、また民主政治の上からも正しいことだと思います。圧力団体ということばがしょっちゅう使われますが、圧力団体を与党が代表しておるわけではありませんし、われわれも圧力団体に屈するということはありません。ただ民主政治というものは国民の声をよく聞く、こういうことでございますから、ですから圧力団体と言われるようなものと、それから国民の声のけじめは非常にむずかしいことでございますから、そういうものに対しては取捨選択を十分やって国民の声を予算に反映せしめる、こういう立場を与党も私たちもとっておるわけでございます。あと国会でもってどうも与党が御質問なさらないということは、国会の問題でございますので、そういう意味で社会党さんの意見を非常によく聞いたりというようなこともあるわけでありますから、これは国会の問題として十分御審議をいただきたいと思います。いずれにしましても、あなたの言わんとするところは十分よくわかりますから、よりよきものをつくるという基本的な姿勢に対してはよくわかりますので、以上をもって御了解願いたいと思います。
  94. 横山利秋

    ○横山委員 大臣は誤解しているのじゃないですか。あなたが国会に出しております法律案二つの柱があって、一つは二分の一を五分の一にすること。もう一つは、委員を十二人を二十五人にして財政法の本格的な検討に入る段階。あなたは何かいまの財政法は非常にうまくいっておる、こういう答弁をなさっているのですが、それなら法律案を出す必要はないですよ。私が聞いているのは、第二の柱である委員を十二人を二十五人にして本格的な財政法検討に入るというならば、所管大臣として、現状についての欠陥なり将来の方向をわれわれが聞きたいというのに対して、いやいまの財政法はまことによろしい、それじゃ法律案を出す必要はない。
  95. 田中角榮

    ○田中国務大臣 そういう意味で申し上げたのじゃありません。あなたの前段の御発言が財政骨融資を議決案件にしなさい。また決算に対して大蔵大臣との調整等、いまの法律でいいか。こういうことにウエートを置かれての発言でありますから、そういう問題に対してお答えをしたわけであります。現状において、私の考えとしては財政法はよくできておる、こういう考えをすなおに申し上げたわけでございます。しかし世の中もむずかしくなってまいりますから、これから実態に即応するようにより高い立場で議論をしていただくことは必要でございます。そういう意味で、財政制度審議会の機構をひとつ拡充しようということは御理解いただけると思います。たえず前進体制をとらなければいかぬ、こういう考え方でございます。まず入れるものをつくっておいて、それに対してまた皆さんの御意見も聞くなり、いろいろなことを御検討願う、こういうことになるわけでございます。いま御審議をいただいておる二本の問題は、財政法規定をいまの段階において御改正を願うということで御審議をいただいておるのでありますから、基本的な私の発言と現実問題とは分けてひとつお考えをいただきたいと思います。
  96. 横山利秋

    ○横山委員 きょうは時間がございませんので、それじゃ大臣、皆さんの御意見を十分聞きながらとおっしゃった中には、われわれ国会議員も入っておるということに了承いたしいと思いますが、よろしゅうございますか。
  97. 田中角榮

    ○田中国務大臣 国会議員の御発言等十分に……。(「委員に」と呼ぶ者あり)いや、委員にということではございませんが、その中でいろいろ検討したり、大蔵省が諮問案をつくったりというときには、あなた方の御意見等も十分腹の中に入れてやりたい、こういうことを申し上げておきます。
  98. 藤井勝志

    ○藤井委員長代理 平林剛君。
  99. 平林剛

    ○平林委員 財政法の一部を改正する法律案につきまして、ただいま横山委員からお尋ねがありました点につきまして、初めに私、大臣の見解を承りたいと思うのであります。  今度の法律改正によりまして、財政制度密蔵会の委員の定数を増加させて、国の予算決算及び会計制度に関する重要な事項を調査審議させる、こういうことになるわけでありますが、時あたかも昨年の九月臨時行政調査会におきまして、予算会計の改革に関する意見が提出をされておるわけであります。この予算会計の改革に関する意見書の中には、現行予算の編成及び執行の効率化をはじめといたしまして、かなり重要な分野にわたって政府に対する勧告が行なわれておるわけでございます。当然こうした問題も財政制度審議会において取り上げられるであろうと思うのでございますが、その点はいかがでしょうか。
  100. 田中角榮

    ○田中国務大臣 臨調からの答申は尊重して、できるものから具体化をはかっていくという基本的な考えはまま申し上げておるとおりであります。しかし、これをそのまま今度の財政制度審議会に諮問しなければならないかということは考えておりません。これはもう答申が出ておるのでありますから、この答申の実現をはかっていく。この臨調と財政制度審議会というのは、性格的にも違うわけであります。財政制度審議会はより専門的なものでございますので、もちろん臨調の答申は尊重してその線に沿っていろいろなことを諮問してまいりますが、性格はおのずから違うということは御理解いただきたいと思います。
  101. 平林剛

    ○平林委員 私もその点が大臣の御回答で解決がつきました。というのは、予算決算の改革に関する意見書というのは、政府に対する勧告でございますから、これを再び財政制度審議会に付託をして審議をさせるとうことは、臨時行政調査会に対する権威の問題にもなるわけであります。そういう意味では同じ問題を二度議論するということになるわけでありまして、ここに盛られた意見というものは、すみやかに政府が実行に移すべきものである、こう心得て運営をはかってもらいたいと考えるわけであります。  そこで、それならば国の予算会計の改革あるいは改善等につきまして、当面責任者である大蔵大臣はどういう問題を考えておられるか。つまりこの臨時行政調査会の勧告以外に政府として当面どういう問題を考えておられるか、具体的構想がございましたらお述べいただきたいと思うのであります。
  102. 田中角榮

    ○田中国務大臣 財政制度審議会は非常に専門的なものを検討していただくわけでありますが、いま何を一体考えておるかということになると、まず財政法財政関係法規等全般にわたって読んでいただきたい。私たちとはまた違う角度において読まれるかもしれないですから、実態に即するものかどうかということの診断も必要であると思います。事務的に申しますと、剰余金の問題等に対してひとつどうすればいいかという問題もあると思います。まず財政制度審議会が非常に具体的な、特に厳密なものを検討いただくというだけではなく、やはり国と地方の財政のあり方とか、やはり広範なものも一応検討してもらうということが必要だと思います。非常に財政法というものは権威のあるものでありますから、財政法自体が、ましてこの法律は戦後つくられたものでありますが、やはりこういうものはよくできておるなということは、確かに大蔵省にまいりましたときに、なかなかりっぱにできておると考えたことは事実であります。ですから、日進月歩のときでありますし、財政に対してはいろいろな問題もございますから、そういう問題を具体的に検討していただくということは必要だと思っております。
  103. 平林剛

    ○平林委員 特に田中大蔵大臣としては、いまお述べになった程度でございまして、具体的なものがあげられませんでした。しかし、含まれているものは幾つもあるわけでございます、また、先ほど横山委員がお尋ねになりました財政投融資計画についての審議の問題をはじめ、当委員会あるいはその他の機会に私どもが主張いたしましたことは、どうかひとつこの中において漏れなく審議をしてもらいたいということを希望いたしておきたいと思うのであります。  そこで、第二の問題についてお尋ねをいたします。これは同僚の平岡委員が本会議におきましても政府の考えをただしましたけれども、今回の財政法の一部を改正する法律案は、剰余金国債償還の割合を二分の一から五分の一に切り下げてきた。これは政府の財源のやりくりの苦しさを示したものでないかという指摘がございました。私もそう考えるのでありまして、産業投資特別会計繰り入れ金を百二十五億円減らして、そこから三十九年度に比べて約四百四十七億円を浮かしたり、この法律案改正のように、二分の一を五分の一にすることによりまして、本来三百二十五億円を入れるべきものを百三十億円に縮小し、しかも百九十五億円を浮かして、合計六百四十二億円をとにかくひねり出してことしの予算編成に当たった。これは昨年の補正予算のときから、いろいろ財源の苦しさということはわれわれうかがい知ることができたのでありまして、三十九年度の補正予算を見ますと、前半で財源の苦しさがそこにあらわれております。たとえば、財源として専売公社のたばこの売り上げ金を二十億円増を見たり、あるいは土地の売り払い代を見たり、あるいは日本銀行の納付金の増を見たりして、すでにここにもかなり財源の苦しさというものがあらわれておるのでありまして、加えて今回のような措置をおとりになった。これは田中大蔵大臣が何と言いましても、最近の政府の経済政策、財政金融の面においての破綻がこうしたところにあらわれてきているのではないかというのは、私あたりまえの認識でないだろうかと思うのであります。もうすでに、政府のこうした面においてのほころびが方々に出てきておる。衣のたてはほころびにけりといり昔のことわざがございますが、昔年の高度成長の行き過ぎが財源の苦しさになりまして、衣のそでは方々にほころびが出てきて今度のような財政法改正になったのではないか、こう思うのでありますけれども、大蔵大臣はどういう御見解でしょうか。
  104. 田中角榮

    ○田中国務大臣 野党の皆さんもそういうふうに手きびしく厳密にお考えになると思います。そのお気持ちもよくわかります。また、いま御指摘になりましたように、財源があり余っているという状態ではありません。また、二、三年前のように十分の自然増収を見込めるという状態でありませんから、そういう問題に比べれば、財源が枯渇をしてきておるということは、比較論として言い得るわけでございます。それに対して反論はいたしません。しかし、もう一歩進めて考えますと、国債償還財源というのは、これは償還する国債というものを見合って繰り入れておくということが正しいわけです。ところが、自然増収が多いと、償還財源、償還するものがあろうがなかろうがたな上げしていくのだ、こういう議論、これはこの前に三百五十億ばかりを産投会計繰り入れをやりましたときに、私がいま申し上げたような理由で社会党の皆さんは反対されたわけであります。こういう財源があるからといって、いつ使うかわからない産投会計などにやることは、超健全の名において財政の効率を乱るものだ、こういう手きびしい御批判があったわけであります。そういう状態考えますと、いままでは自然増収はよけいあったので、要っても要らなくてもはっきり申し上げればたな上げしておくことによって健全性を貫こう、こういう考えであったわけですが、安定成長になって税収そのものがやはり安定的な経済成長を反映しての税収になったということになると、歳出はただ詰めるわけには参りません。政治を行なっていく意味において、また国民の福祉を向上していくためには、必要なものはどうしても歳出要求に応じなければならぬわけであります。そういう意味考えるときには、いままでは少したな上げをし過ぎておったが、そう償還するものもないので、償還するものもないのでということよりも、五分の一に縮めても十分償還計画は立つので、他にこの財源を回すことが財政の効率化になり、より国民のためにもなる、こう判断しましたからこの改正案をお願いしておるわけであります。でありますから金がなくてどうにもならなかったという面だけをお取り上げにならないで、かえって別な角度からいえば、健全財政、健全財政と言いながら、こういうようにしてまだいろいろ使い道もあったのに、大蔵省は超健全性を確保するためにこんなことをしてたな上げをしておった、今日においてこれを改めることはよろしい、こういうようにお考えになっていただければはなはだよく国民はわかると思います。
  105. 平林剛

    ○平林委員 私は政府が予算編成の財源の苦しさのためにこういう財政法の一部を政正すること、また先般税制の問題で議論いたしましたけれども、株の配当金に対する特別な控除をおやりになったこと、私はそういう意味から見ますと、苦しまぎれに方々の衣のたてをほころばしていくということは間違っているのではないかと思うのであります。そういう意味では大蔵大臣も反論ができないはずであります。それだけではない。私はいま大蔵大臣がお答えになったとおり答える、だろうと思ったからそれを手ぐすねひいて待っておった。あなたは今度の剰余金の分を二分の一から五分の一にしたというのは、超健全を健全の方向に持っていったんだ、こういうお話でございます。私はこれは詭弁もはなはだしいのではないだろうか、あるいはごく小さい部分を見てものを言っておる発言でありまして、国の財政金融全般を見て考える大蔵大臣の発言とは受け取らないのであります。なぜかといえば、すでに昭和三十九年度末の内国債はどのくらいあるかといえば四千三百七十八億円あるでしょう。外貨債は六百五十八億円、借り入れ金が二千四億円、短期証券が六千二百三十七億円ある。合計いたしますと一兆三千二百八十三億円という国債並びに借り入れ金の総額は膨大なものであります。それが昭和四十年末の見込みを総トータルで見ますと、一兆五千八百四十八億円になりまして、いいですか、この一年間に国債借り入れ金、総額におきましては相当の膨張になっておるわけであります。   〔藤井委員長代理退席、委員長着席〕  これだけではございません。一般会計の膨張あるいはまた財政投融資における総ワクの増加、国庫負担行為の増加、繰り入れ明許やあるいは継続費の増加ということを考えますと、これは超健全を健全にしたどころではない。今日の国債償還だけに限らず全般の財政のあり方を見ますと、これは放漫財政に入っておる。私はやはり大蔵大臣はそういう反省をしなければならぬのではないかと思うのでございまして、超健全を健全にしたのだなんという理論は、私は大きな意味からいえば成り立たぬ議論だと思うのであります。  そこで今度の財政法の一部改正は、どう考えてみましても経済の安定という方向を柱とする現内閣としては矛盾をしておるのじゃないか、こう思うのですが、どうでしょう。
  106. 田中角榮

    ○田中国務大臣 いま何兆円ございます、こういう御質問でございますが、これは借款とかいろいろなもの全部ひっくるめてのお話でございます。これは世界の先進国と比べても非常によくわかるわけです。国債残高国債整理基金繰り入れる金額との比較、こういうものを比べましても、非常に高い金額になっておるわけであります。それは日本国債というものの残高が少ないということにも基因するわけでございますが、私はそういう意味でやはり自然増収が順当にある場合には、当然こういう健全財政を貫かなければならぬと思います。しかしだんだんと安定成長になってくるということでありますし、乏しい財源の中から効率的な財政運用を考えなければならぬ、こういうことであります。ですからその財政をうんと縮めてしまえば、確かに経済を刺激しないとかいろいろな問題もありましょう。しかし国民生活の向上という面から見ますと、どうしても財政をむちゃに縮めるというわけにもいかないわけであります。でありますから、これは外国に物を払うというのではなく、日本の国民生活をよくするために財政規模がきめられるわけでありますので、まあ必要がある——財政支出の必要度、たな上げをしておくというような国の利益というものを評価をして、今日の段階においてはたな上げするほうが国民のためだと思う、あしたはしかし国の歳出のほうにそれを使うほうがより国民のためである、こういう評価、価値判断をした結果、国債整理基金に二年間くらい——くらいということばも悪いということですから、二年間、五分の一にしても、財政の健全性をゆがめるものでもないし、これが国民生活のためにはより効率的であろう、いみじくもこう判断をしたわけでございます。でありますから超健全——超健全ということばが悪ければ健全性を貫くということはこれは間違いはございません。ただ二分の一を五分の一にしたから、これが放漫財政の糸口である、こういう考え方、これはもう三十九年度、四十年度の予算を見るときに、四十年度のときは公債を発行するかもしくはインベントリーの取りくずしか、どっちか手をつけるだろう、こういう意見がたくさんあったのですが、両方とも手をつけなかったわけであります。それだけではなく、公債などは当分発行すべきではないという議論さえも出しております。その中においていろいろ調整を行なったわけでございますから、こういうものはこの程度——こういうものはいまの段階において国民の側に立って見て、国民のためにはやはりいいことだな、こういう判断でやったわけでございますので、そういう私の苦慮しながらやったことであるということを十分ひとつ御理解を賜わりたい。
  107. 平林剛

    ○平林委員 いまの大蔵大臣のお話にはいろいろ反論したいことがありますが、時間があまりありませんから触れませんけれども、私はいま国債の問題につきましても、公債、国債という範囲をどういうふうに見るか、政府が発行しないから、それは国債、公債じゃない、こういう言い方に立つか、あるいは政府の負担する債務とこういうふうに定義をすれば、その他の短期証券を含めて相当の分野に、現になっておるわけでありますし、それが年々膨張しているということも事実でありますから、決して健全財政をやっておるというようなことにはならぬ、非常に放漫的になっておるということを申し上げておきたいと思うのであります。  ただ、内国債の状況について国民は大体これでいいだろうというお話でございますが、それは実態を御存じないから、全部知っておるわけではない。たとえば私は内国債だけを例にとりますと、昭和三十九年度末に四千三百七十八億ございますね。これが昭和三十年幾らであったかということをさかのぼって考えてみますと、昭和三十年度でも四千二百五十八億円。毎年毎年こうした国債償還財政法規定に基づいて行なわれながら、十年間たってもちっとも変わっていないのですね。三十年の四千二百五十八億円が三十九年度末で四千三百七十八億円、四十年度末でも、やや少なくなりますが四千百二十四億円。ちっとも減っちゃいないじゃないですかね。ただ救われているのは、本会議で大臣も答弁なさいましたように、国の財政から比較すると割合は小さくなったが、そんなものは自慢にはならないのですよ。それは放漫財政によってインフレ的傾向が進んで、この価値が比較的少なくなってきたにすぎないのであって、そんなことを自慢することはないと思うのですよ。私は何よりも内国債昭和三十年度、いまから十年前から比べてちっとも減っておらない、こういう現実こそ問題にすべきであって、これは大事なことだと思うのであります。かつてこれは第三十四回の国会におきまして、大臣もたぶん御承知だと思うのでありますが、附帯決議がこうした国債償還について付せられました。これによりますと、「国債償還費等に充てるための財源措置として、政府は、昭和二十八年度以降、毎年度、木特例法により便宜的措置を講じてきているが、歳計剰余金はその額が予測できないので、政府においては、速やかに国債償還に関する適切なる長期計画を樹立し、合理的な減債基金制度を確立すべきである。」こういう決議があるのですが、いまだもってこれさえできておらない。私は、十年間ちっとも減っていないその内国債、そしてまた決議が実行に移されていない、こういうところに国債償還に対する政府の怠慢というか軽視というものがうかがわれるのでありまして、やはり責任が重いと思うのでございます。この点はいかがですか。
  108. 田中角榮

    ○田中国務大臣 国債につきましては大体あなたが御指摘した期間において、内国債は千五百億償還しておるわけであります。しかしその後交付公債等が出ておる、こういうことでございます。でありますから、まあいまの状態において不健全性ということは言えないと思います。御指摘のように四千億余ございますが、減債基金繰り入れられておる金額は千億余あるわけでありますから、その状態考えますときに、あなたが言われる不健全性ということは、いままでのようにとにかく二分の一繰り入れるということに比較すれば健全性だということは言えないと思いますが、まあ実情に徴して十分償還財源はあるわけでありますから、まあそう超健全の態度を貫かなければいかぬというふうにも考えられないわけであります。
  109. 平林剛

    ○平林委員 私はどうも大臣の御答弁は満足できません。  もう一つ大臣にお伺いしておきたいのは、いまのようにある程度返したのだが次々にできた、こういうお話でございます。しかし私の承知しているところでは、非常に借りかえによって処置していくという慣行ができている。少なくともこの内国債につきましては借りかえが非常に多過ぎるという実績を、私承知しておるわけであります。たとえば昭和二十五年から昭和三十八年までに実際に内国債償還したのは八百五十四億円ございますけれども、しかしこの借りかえのためにその間借りかえ増というものが出てきちゃって、百十八億円もその利息のために増加してしまう。これが借りかえが多いために借りかえ差増というものがふえて、結局昭和三十年から、いまから十年前を見てもなかなか減っておらぬ、かなり返してもその割合には減っておらぬということは、借りかえ借りかえということをやり、借りかえ差増がそれによってふえてきて、今日のように国債償還は結果においてはそう減っておらぬ、こういうことになっておるわけであります。いままでの例を、私最近のやつはわからないのですが、古いやつを調べてみましたら、昭和三十一年のごときは二百七十四億円も借りかえがある。昭和三十二年は三百二十四億円もある。昭和三十三年は二百十億円もある。三十四年は九十八億、昭和三十五年は六百十五億というふうに借りかえ借りかえをやっておる。これじゃ、財政法規定でやれ三分の一だ、五分の一だときめておいても、一方で借りかえをやっておったら、ちっとも国債消化の実があがらぬということに相なるのじゃないでしょうか。そういう意味ではこの借りかえの措置につきましてはもっと慎重でなければならぬ。基準が必要である。そしてまたこの借りかえの措置というのは法律的にちっとも根拠がないじゃないですか。これを政治的判断でおやりになっておるということは、私は、実質的にそういう音一味では赤字公債政策をやっておると変わりない、こういうような見解を持つのでありまして、何らかの改善措置を大臣は検討すべきでないか、こう思うのですが、いかがでしょう。
  110. 田中角榮

    ○田中国務大臣 国債償還は現金でやることが一番原則でございます。原則でございますが、しかしこれは計画的に償還の時期を考えて出したというわけではありませんから、ある時期においては非常に多い、ある年度には何もない、こういうこともあるわけでありますから、そういう意味では国債残額というものに対して平均するという考え方も一つございます。しかしこれは国債の所有者の同意が得られなければだめなわけでありますから、そういう同意が得られた場合、償還の、平準化といいますか、そういうことも一応事務的には考えられるわけであります。しかし無制限に国債を出すというような、国債を発行しなければならないというようなときにこれと合わせましてやるということになると、これは問題があります。ですからそういうことになれば当然基準も考えなければいかぬと思いますが、いまは内国債は発行しない、こういう大体の原則に立っておりまして、四千億というものが交付公債等でもって一時ふえたという場合もございますが、これが雪だるま式に大きくなっていくという事態ではありませんから、そういう意味で借りかえをやっておるということであります。こまかいことはまた事務当局から答えさせますが、無制限ということになるとこれは問題があります。何回でも所有者がいいと言ったら借りかえられるのだということは便宜論になると思いますから、またこれを機会に十分検討いたします。
  111. 平林剛

    ○平林委員 非常に私はこれは便宜主義に流れておると思うのでございまして、ひとつ御検討を願いたいと思うのであります。  それから同時に、今度は政府は二分の一を五分の一にいたしまして、償還財源は結局それだけ少ないわけでございまして、将来、少なくとも昭和四十一年、四十二年、四十三年という情勢考えますと、この改正によって非常に政府は困ることになるのではないか、財政法のたてまえに反するようなことをやらざるを得ないということになる。それが結局赤字公債のあるいは公債政策へ転換をしていくきっかけになるのではないか、こういうことを非常に心配をするのであります。たとえて申し上げますと、現在償還期限の来るものは大体どのくらいあるか、これは事務当局のほうがよく知っておると思うのでありますが、昭和四十年に内国債だけで二百八十七億円ある。四十一年は同じく二百八十七億円ある。しかし昭和四十二年度になりますとぐんとふえて五百五億もくるわけです。そうすれば、今度は二年間を限って二分の一から五分の一にいたしましたけれども、少なくとも昭和四十一年度になりますと償還期限の来る内国債がぐんとふえるわけです。そうすれば、私にいま慎重にやります、検討しますという借りかえ借りかえということの便宜主義でいくか、あるいは今度の改正というものは実情に合わないほんとうの便宜・主義のびぼう策ということに批判を受けざるを得ない結果になるわけでございます。私はそういう点を考えますと、今度の財政法の一部改正というのはまことに適当でないと考えておるわけであります。  同時に、私、大蔵大臣にお尋ねしますが、かりに昭和四十年、四十一年内国債の返還期限が来るものが二百八十七億、二百八十七億、こういうふうに続いておりますけれども、私、ふしぎに思っだのは、昭和四十年度の予算書に、財政法第二十八条に基づいて「国債及び借入国償還年次表」を提出しておりますね。大蔵大臣が国会にそれを提出しておるわけであります。その「国債及び借入金償還年次表」を一覧いたしますと、昭和四十一年の内国債返済の計画は二百三十九億円になっておるわけです。間違いありませんね。ところが償還期限の来る内国債昭和四十一年度には二百八十七億であります。財政法の二十八条に基づいて提出をいたしました償還年次表は早くも、実際償還期限の来るものより少ないのでありまして、もうここで借りかえを初めから予定しているということになります。これはいま大蔵大臣おっしゃったけれども、実際もうこういうことを便宜主義でやっているのですね。これは間違いじゃないですか。私はこの点大蔵大臣に特に反省を求めたいと思うのですが、いかがですか。
  112. 田中角榮

    ○田中国務大臣 先ほども言いましたように、無制限に借りかえをするということではいけないということは申し上げたとおりでございます。しかし残額はほとんど固定をしておるという状態でありますので、先ほどもひとつ計画を立てろ、こういうことでございますから、こういう意味で借りかえの計画を立てておるわけでございます。その意味償還の平準化というようなことも先ほど申し上げたわけでありまして、この二百三十九億七千九百万円という中には一部を借りかえるという計画の数字でございます。
  113. 平林剛

    ○平林委員 大臣に基本的な問題をお尋ねいたしまして私の質疑大綱は終わったのでありますが、ただ、私がいま大臣との質疑応答の中で指摘をいたしました数字は大体間違いないと思うのでありますけれども、この機会に私は、法案審議あるいはこの結審の問題とは別といたしまして、資料の提出を要求しておきたいと思うのであります。  一つは、昭和三十年から昭和四十年までの国債償還、これは内国債、外国債含めてでございますけれども償還した数字ですね。  それからもう一つは、その同じ年次で、昭和三十年から昭和四十年まで——三十五年まではさっき私申し上げましたけれども、借りかえの実績ですね。三十年から三十五年は私先ほど申し上げましたが、これは政府の昭和三十五年当時の答弁会議録から見たのですから間違いありません。しかし昭和三十五年から四十年の実績がどういうふうになっておるか、これをひとつ提出をしていただきたいと思うのであります。  同時に、このために借りかえ差増というのは、私先ほど指摘いたしましたように、昭和三十五年から三十八年までに百十八億円もある、こう申し上げましたが、これを同じ年次でひとつ比較をしてもらいたい。昭和三十年から昭和四十年までの借りかえ差増がどういうふうになっておるかということの資料を提出してもらいたいと思うのであります。  この三つの資料を提出していただきたいと思いますが、お返事をいただきたいと思います。
  114. 佐竹浩

    佐竹政府委員 承知いたしました。
  115. 平林剛

    ○平林委員 それから私は、大蔵大臣がおられなくなりましたからあれですけれども、本会議答弁のときに大臣は、二分の一から五分の一にした理由は、この制度をつくった昭和二十二年当時、一般会計の規模と借り入れ金を含む国債の割合が一・四六%であった、それが三十八年は〇・二一%になったというお話がございました。もう一つは、国債の現在高に対するその年度の繰り入れ額の割合が、昭和の初期、二年は二・九五%であったが、五分の一にしても三・三六%になる、だから決して国債償還の割合は少なくしているというわけではないという音加味のお答えがあったのでございます。しかしこれは、先ほど私が指摘いたしました、いろいろ包蔵しておる矛盾、問題点ということをはらんでの単なる数字の羅列でありまして、私は比較するのに適当ではないと思いますが、念のために聞いておきたいと思うのであります。具体的に、昭和初期と現在とはいろいろな比較の数字が違っているわけだが、 こういう数字は、具体的にいえばどういう結果から計算されて出てきたのか。信憑性を確かめて会議録にも残しておきたいと思うのでございます。それはいかがですか。
  116. 赤羽桂

    赤羽説明員 いま御質疑の中に出ました、一・四六%とたしかおっしゃいましたが、これは一・四六倍でございます。それに対して〇・二一%も〇・二一倍になっておるという意味でございます。その点ちょっと、大臣の御発言がそのように速記録に残っておったそうでございますが、そういう意味でございますので……。  ただいま御質疑がございました、昭和二年でございますが、これは二・九五%になって、ことし四十年度二分の一を五分の一にいたしましてもこれは三・三%で、まあ大きい。この数字の根拠というお話でございます。  これは、まず昭和元年の二・九五%の根拠でございますが、昭和元年に繰り入れた分といたしましては九千八百万ばかり数字がございます。これは国債整理基金特別会計法に基づきますところの例の一万分の百十六で、当時はそのままでございますけれども、二年に繰り入れた分が九千八百万ございまして、これの中身といたしましては、国債整理基金特別会計法は当時生きておりました、一万分の百十六という数字に基づいた数字が五千百万。それから、昭和元年は歳計剰余金の四分の一を国債整理基金繰り入れるという制度が発足をいたしました最初の年でございます。この四分の一を繰り入れ制度はその後約四年か五年続いただけで終わっておるわけでございますが、その歳計剰余金の四分の一に当たる数字が四千四百万でございます。合わせて九千八百万ばかりの数字になるわけでございますが、これの前年度末の国債一般会計の負担額の減——ここでは減と申し上げたっていいのですが、一般会計繰り入れのこれが三十三億四千四百万ばかりございます。これの比率が二・九五%ということに相なるわけでございます。  一方、昭和四十年度でございますが、これに繰り入れますのが、現行法におきましては国債整理基金特別会計法に基づく一万分の百十六の三分の一、こういうのが国債整理基金に充てるべき資金の繰入れの特例に関する法律というのによりまして殺されておるわけでございます。これはゼロでございます。したがいまして、剰余金だけになるわけでございますが、剰余金の五分の一が百三十億ということになります。それに対しますところの前年度の初めの国債の一般負担額と申しますのは三千八百七十五億という数字でございます。これの数字が三・三六%になるわけでございます。三千八百七十五億と申し上げる数字は、先生のお手元にございます諸資料、国債統計年報でございますとかあるいはほかのいろいろな統計をごらんになるときに、すぐには出てこない数字でございます。これは三十八年度末におきまして四千四百八十億という一般会計の負担国債でございます。これは借り入れ金及び短期証券は除いてございますが、出資国債なんかも入れた数字でございます。この中から、電電並びに国鉄が特別会計時代に負担いたしておりましたところの国債がございますが、これが一般会計に承継いたしております。この分につきましては、一般会計から国債整理基金繰り入れて仏っておるわけでございますが、それに相当するところの財源は、特別な法律によりまして国鉄並びに電電から歳入として入ってくるわけでございます。償還財源を入れてもらっておるわけでございます。かような要素は昭和二年と比較いたしますと、これは別の要素でございますので、これは別に配慮するという意味におきまして四千四百八十億、この数字があっちこっちに出ている数字でございますが、これから国鉄分の四百七十八億、電電分の百二十六億を差し引いたものが三千八百七十五億という数字になって出てまいっております。
  117. 平林剛

    ○平林委員 なおお尋ねしたいことがございますが、本会議のあれもありますから、一応私の質問をこれで終わっておきます。(拍手)
  118. 吉田重延

    吉田委員長 本案に対しまして、岩動君外二十三名より修正案が提出されております。     —————————————
  119. 吉田重延

    吉田委員長 この際、提出者の趣旨説明を求めます。岩動道行君。
  120. 岩動道行

    岩動委員 ただいま議題となりました財政法の一部を改正する法律案に対する修正案について、提出者を代表して修正の趣旨を御説明いたします。案文の朗読は便宜省略させていただきます。  御承知のように、政府原案では、この法律昭和四十年四月一日より施行することとなっておりますが、これを「公布の日から施行し、改正後の附則第七条の規定は、昭和四十年度分の予算から適用する。」ことに改めようとするものであります。施行期日をこのように改めましたのは、国会審議とにらみ合わせて必要と認めたからにほかならないからであります。  何とぞ、御審議の上、御賛成あらんことを希望いたします。
  121. 吉田重延

    吉田委員長 修正案の趣旨説明は終わりました。  本案並びに修正案に対する質疑はこれにて終了いたしました。     —————————————
  122. 吉田重延

    吉田委員長 引き続き原案並びに修正案について討論に入ります。  通告がありますので、順次これを許します。野口忠夫君。
  123. 野口忠夫

    ○野口委員 私は、日本社会党を代表して、ただいま提案されております財政法の一部改正案について反対の意見を述べるものであります。  本改正案の反対理由は、昭和四十年度予算編成にあたり、追い込められた財源不足をどうにかして切り抜けようとする政府の一方的方便として、財政法改正、収入支出決算上の剰余金のうち、国債償還財源として繰り入れるべきものの繰り入れ金を少なくして充当せんとするところにあります。  その一つは、深刻な財源不足はなぜ起こったかであります。決してゆえなくして起こったのではなく、この財源不足の原因は、高度経済成長政策に続く大企業中心の歴代内閣のとってきた放漫財政のもたらした決壊口なのであります。その決壊口となった財政政策の根本的転換の検討、対策を抜きにして、いたずらに流出する濁流に抗し、あわてて土のうを積んでも、しょせん押し流されるものなのであります。本改正案によって、一時の財源不足をここに求め、さらに膨張拡大の財政支出を企図することは、明年度以降に影響を及ぼし、さらにその財源充当を暗くするもので、本末転倒もはなはだしく、財源不足の要因たる政府財政政策の根本的転換なくして、このような一時的糊塗策をもってなされる改正案には、賛同しかねるものであります。  その第二は、財政法の安易なる改定の態度であります。申すまでもなく財政法は、公権の財政運用の基本的事項について規定したもので、公債発行の制限、減債基金制度の設定は、国の財政の健全均衡を守る原則的制限規定なのであります。特に、四十年度以降財政見通しは、その財源不足の様相がますます深刻化することが予想され、四十一年公債発行も必至と言われる状態の中で、赤字公債を避け、健全財政確立のためには、国債減少を理由に一時的財源充当に、制度そのものをくずすようなことは厳に慎むべきであります。  第三に、政府言明のとおり、財政についての根本的検討を行なうために、財政制度審議会の人員増大を提案しておりますが、従前の審議会人員構成の状況は、大蔵省職員、あるいはかっての大蔵省官僚がその大部分を占め、政府原案が形式的審議を通して常に強行されて批判の対象となっているところであります。専門的であり、知性を要し、世論を聞く、これが審議会構成の要素であることは申すまでもありません。国民主権に基づく財政の新しい改定を、この審議機関を通じてなそうとするこのような情勢の中で、特に人事構成については上辺の者ばかりでなく、下辺の者、いわば国民大衆の全体の世論が反映するような、——政府単独で審議会が運営されるような、そのような審議会構成であってはならず、こうした精神を法文に明らかにすることが必要であろうと思うのであります。特に政治的立場が非常に強い本法につきましては、国会議員をこれに加えるということは、この委員会の中でもたびたび要請があったのでございますが、何か大蔵省はこうした審議会の設定にあたって、あまりやかましいものは必要としないというような態度でおられるようでありまして、このような審議会設定が常に民主的なものとして国民の前で提案されながら、形式化しておりましたことについては、今回の審議会充実につきましても、これについて満足するわけにはいかないわけであります。佐藤総理は常に人間尊重のことばを青い、日の当たらないところに日を当てるということを言っておりますが、この人間尊重、日の当たらないところに日を当てるということは、倒産と重税と物価高に苦しんでいる国民あるいは繁栄の谷間に苦しんでいる農民にとっては、このことばに最大の期待をかけているのであります。国民の求めるこの精神を貫く財政政策の確立に、強く政府にその基本的な態度の転換を求めて、一時的財源不足の充当の糊塗策としての本改正案に反対し、討論を終わりたいと思うのであります。
  124. 吉田重延

    吉田委員長 小山省二君。
  125. 小山省二

    ○小山(省)委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、本案に賛成の意見を表明するものであります。  本案が内容とする財政法改正点は、財政法第六条による国債償還財源への剰余金繰り入れ措置の特例を、今後二年間設けることと、財政制度審議会を充実することの二点でありますが、第一点につきましては、現行の規定が設けられました終戦直後と異なり、国債の負担割合が大きく減少しており、また剰余金の二分の一以上の繰り入れによって、国債整理基金に相当の余裕を生ずるに至っている現在におきましては、従来の超健全とも言える財政法第六条の適用を、財政の全般的な効率化のために再検討する必要があると考えられるのであります。したがいまして、本案のごとく、二年間暫定的に現行の繰り入れ率を二分の一から五分の一に変更することによって、国債償還に何らの支障を来たさないということであり、また恒久的な制度改正を今後基本的に検討するということでありますので、本案は、財政の全般的な効率化のための暫定措置として適切なものであると考え、本案に賛成するものであります。  第二の改正点であります財政制度審議会の充実につきましては、第一の点に関係します国債償還制度及び剰余金処理問題を恒久的に解決するための方策、並びにその他本委員会において指摘された財政法上の諸問題をあわせて、財政会計制度の全般的な再検討を進めてまいりますためには、ぜひとも必要な措置であると考えられるのであります。  今後、この審議会において、広く識者の意見に基づき、財政制度の全般的かつ基本的な研究が十分に行なわれ、すみやかにその具体案が作成されることを期待するものであります。  以上が本案について賛成する理由であります。
  126. 吉田重延

    吉田委員長 竹本孫一君。
  127. 竹本孫一

    ○竹本委員 私は、民主社会党を代表して、ただいま議題となりました財政法の一部を改正する法律案並びにその修正案に対しまして、反対の意見を表明いたすものであります。  反対の理由の第一は、今回の改正は、わが国財政制度における健全均衡主義を著しく後退せしめるという点であります。すなわち財政法第六条において一般会計決算上の剰余金のうち、二分の一を下らない金額を翌々年度までに公債または借り入れ金償還財源に充てなければならないと規定したのは、過去における苦い経験にかんがみて、戦後公債の整理を強く推進して財政の健全化を貫こうとした決意のあらわれであります。  財政法第六条は、第四条、第五条と不可分一体の関係において健全財政をささえる基本的な柱であります。税の自然増収が高かったこれまでは、国債償還費にも比較的に余裕がございましたけれども、税の自然増収は鈍化の傾向にあります。さらに今後新たに交付公債として、戦没者遺家族に対する特別弔慰金百二十億円や、農地報償法案がもし成立すれば千五百億円の交付公債の発行が見込まれる事態に対し、国債償還財源はきわめて窮屈になりつつあります。かかる段階において繰り入れ率を五分の一にしようとするのは、まさに健全均衡主義に逆行するものといわなければなりません。おそらくこの措置は二カ年では済まず、日本財政の健全性を長く大きくそこなうであろうことを私どもは憂えるものであります。  第二に、今回の措置に示された政府の四十年度予算編成の基本的姿勢そのものに反対であります。すなわち、この措置は、四十年度予算が極度の財源難におちいり、新規政策費を確保する見通しが立たなくなったために、あるいは産投会計への繰り入れ金を前年度に比較して四百四十七億円も減らしてみたり、あるいは十億円の利子補給で三機関に対する支出を三百八十億円を浮かせてみたり、さらにはこの繰り入れ金を二分の一から五分の一にすることによって、百九十五億円の財源を浮力したものと考えられるのでありまして、はなはだ遺憾な便宜的措置といわなければなりません。長期的かつ合理的な減債基金制度を確立すべしという多年のわれわれの要望も一向に顧みられず、ますますこの制度が混迷におちいり、崩壊しつつあることは、まことに遺憾に存ずる次第であります。  以上の理由により、私は本改正案並びにその修正案に対して、反対の意思を表明して討論を終わります。
  128. 吉田重延

    吉田委員長 これにて討論は終局いたしました。  続いて採決に入ります。  まず、岩動道行君外二十三名提出の修正案について採決いたします。  本修正案を可決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  129. 吉田重延

    吉田委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。  これを可決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  130. 吉田重延

    吉田委員長 起立多数。よって、本案は修正議決いたしました。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  131. 吉田重延

    吉田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。   〔報告書は附録に掲載〕
  132. 吉田重延

    吉田委員長 次会は、来たる四月七日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時五十九分散会