○武藤委員 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました
交付税及び
譲与税配付金特別会計法の一部を改正する
法律案について、反対の意見を明らかにいたしたいと思います。
御承知のように、現下
地方自治団体は非常に窮状を呈しております。赤字の県が五県、赤字の市町村に至りましては、三百九十七市町村に及んでおります。その
金額も二百七十二億円、市町村分でも二百二十一億円の赤字という非常に苦しい実情にあります。このことは、同じ
日本国内に住む住民が、赤字の市町村に住んでおる者と、黒字の市町村に住んでおる者との非常なアンバランスを来たしておることは言うまでもありません。したがって、私どもはかかる赤字をすみやかに解消する行政指導と同時に、財政的
措置を強く要求をいたしておるところであります。しかるに、今回の改正案は、その引き上げ率が〇・六%という非常にわずかな引き上げ率で、絶対額にしても百四十四億八千万円ということでは、今日の
地方自治団体の実情に沿う引き上げとは断じて言うことはできません。これが引き上げ幅が少ないという立場からの反対の第一の理由であります。
第二の理由は、
昭和三十九年度の経常費に必要であったベースアップに伴う
措置の際に、
政府は百五十億円の貸し付け金という処理のしかたをいたしました。このことは、
地方自治体の実情を無視した暴挙といっても間違いではありません。しかるに、今回この百五十億円の貸し付け金について何ら前向きの
改善策が講じられていない。依然としてこの百五十億円は五カ年間に返済をさせようという過酷な
措置のままであります。私たちは、かかる
政府のとった態度には、
地方自治体の実情を勘案した際に、決して承服できるものではありません。
第三に、いま有馬委員からも御
指摘がありましたが、今日の
地方自治体の公債発行の趨勢であります。年々これは増加の傾向にあり、三十九年庭と四十年度を比較いたしましても、約二百億円の公債の増加であります。このことはいかに
地方自治団体の
一般行政水準を圧迫し、住民の福祉に悪い影響を与えておるかということは申すまでもないのであります。したがって、私たちはこの公募債あるいは非公募債の
地方自治団体の発行に対する適切なる指導、さらにこれに対する財政
措置というものをもっと基本的な態度に立って解決をしなければいけないという主張をいたすものであります。
最後に、したがって私たちは今日の公共料金の引き上げ、公営企業の料金の引き上げ、医療費の引き上げによる国民健康保険税の大幅増徴、ひどい町村に至りましては、七割給付と、今回の医療の引き上げの分と、これらの
改善のために倍に保険税が引き上がる町村があります。低いところでも七割、六割の保険税の増徴を行なわねば健康保険が維持できない市町村がございます。こういう諸般の情勢というものを勘案するときに今回の〇・六%の引き上げはまことに冷淡といわなければなりません。したがって、わが党は
交付税率を三二%、すなわち従来の率を一挙に三・一%引き上げせよと強く要求をいたしてきたところであります。本案にわれわれが反対をする最も基本的な立場は、この
地方自治団体の実情というものを抜本的に
改善をするためになぜ三二%の率を採用できなかったかというところにあります。
以上、わが党の態度並びに本案が寡少に過ぎたという
意味から、わが党はこれに反対の意思を表明するものであります。(拍手)