○砂田委員 私は自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました
税制関係四法案につきまして、
所得税法案に対する修正案並びにこの修正部分を除く各原案に賛成、
租税特別措置法の一部を
改正する
法律案に対する修正案に反対の意を表するものでございます。
まず第一に、今回の減税計画は
わが国現下の財政状況などに照らして、きわめて適切妥当なる規模を持ったものであると考えます。昭和四十年度の国税の自然増収率は前年度比ほぼ一五%、今回の
改正案による自然増に対する初年度の減税額の割合は一九%に達しており、平年度一千百五十八億円に及ぶ大減税を行なうこととしているのであります。さらに国税、
地方税を通じて大幅減税といわれました三十九年度の
所得税一般減税が平年度七百三十七億円、今回の
所得税の一般減税規模は平年度九百三十二億円に達しており、三十九年度の減税規模をはるかに上回るものでありまして、その規模は決して小さいとは言えず、かつまた
税制調査会の答申にも
基本的に合致したものと私は認めるものであります。
第二に、今回の
所得税減税は特に中小
所得者に重点が置かれているということであります。今回の各種控除の引き上げによって年間
所得五十万円の階層では、前年度比
所得税の負担一〇〇%減、七十万円の階層で四〇%減となり、一千万円の高額階層ではわずかに〇・八%の軽減にとどまり、下に厚く上に薄い適切なものであると考えられるのであります。ただ今回見送られたいわゆる中堅
所得階層の税負担の軽減につきましては、
政府はできるだけ近い将来において税率緩和等によってその軽減をはかられるよう強く要望をいたしておきます。
第三に、
所得税に次いで
法人税の一般的減税に重点が置かれておりますが、これもまた中小
法人の負担軽減をはかることを中心としております。今回の
改正では、同族
会社の留保
所得課税を行なう場合の控除額を引き上げ、特に中小
法人に適用される税率を一段と引き下げることとしているのは、財政並びに金融上の施策と相まって
中小企業の体質改善に資するものであり、まことに時宜を得た措置であります。
第四は、特別措置法の
改正案に盛られている諸問題であります。まず利子
所得の分離
課税特例を二年延長いたしております。これは過度の消費を抑制し、貯蓄を増強することが、
わが国経済安定の至上命令である今日、時宜を得た措置といわねばなりません。
次に配当
所得に対する各種の特例につきましては、本
委員会においても最も熱心に論議され、負担の公平を害し、高額
所得者を優遇するものであるなどの
意見がありました。しかし高額の配当を受ける株主はその適用対象から除外し、いわゆる大衆投資家の有する株式の配当に対してのみその適用を認めることとする配慮がなされておるのでありまして、この
意見は
当たりません。開放経済体制のもと、
企業が長期安定資金を確保し、
わが国企業の最弱点ともいえる資本構成の是正をはかるため、現時点においては資本市場の健全な育成が必要欠くべからざる政策要請であるからには、考えられるあらゆる諸施策を勇敢に集中して、これが育成を期すべきであり、
税制もまたこれに参加せしめるべきであります。木措置は現時点においてはきわめて妥当であると考えるのであります。ただこの措置は緊急臨時的な措置であり、したがって二年の時限が付されておりますが、これによってできるだけ短期間に所期の目的を達した上、本措置が終着することを期待いたします。その他の
改正は、
中小企業対策あるいは輸出振興等を目的とした特別控除等であり、いずれもきわめて適切な
改正措置であります。
最後に、一連の本
改正案論議中の野党の皆さんの御
意見の中にも、まことに傾聴するべき御議論のありましたことに心からなる敬意を表し、
税制上の
国民負担の軽減措置には終着点はない。より高い免税線、より低い税率、より少ない
課税対象人口の実現に、今後も
政府がより一そうの努力をされることを希望し、期待しつつ、
所得税法案に対する修正案並びにこの修正案を除く各原案に賛意を表し、
租税特別措置法の一部を
改正する
法律案に対する修正案に反対の意を表して、私の討論を終わります。(拍手)