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只松委員 あなたはたいへんな誤解をしておられるわけです。さっきから言うように、
税務署職員の人でさえも全部の
通達を見ておらない。これは
職員に聞いてごらんなさい。私も行って聞いておるのだから、あなた、下部に行って聞いてごらんなさい。ほんとうの話、知らない。ここにおる大蔵
委員の人に、
通達を読んでおる人が何人おるかといって聞いてごらんなさいよ。むずかしいから読まないし、わからないから読まない。国
会議員の場合は忙しいということがありますから、見ておらないので文句がこないのですよ。正しいから文句がこないじゃなくて、見てないから文句がこない。しかも出た
あとですから、出た
あとに文句を言ったってしょうがない。これはいま審議しておる
法案でも、一ぺんあなた
たちは出すとメンツにかけて、きのうも偽りだけで一時間も論争するだけで、悪かったと言えばいいものを、悪かったと言わないで絶対がんばるでしょう。まして出した
通達を改めるなんということは、混乱や何か起こりますから、何が変えますか。きのう各
委員が討論したのをあなたは聞いておったかどうか知らないが、各国は事前に国会が
解釈を下したり、あるいはコントロール
制度というものができておるし、できつつある。こういうことをきのうみんな言ったわけです。したがってそういうふうに日本も、近代国家になるためには努力していかなければならない。専制的な君主国家ではないわけでございますから、そういうことを言っておるわけです。こういうことが近代的なほんとうの民主国家ということになるわけです。それはそれといたしまして、ひとつ誤解のないように、これはあなただけでなくて、議員さんなりみんなによくお考えいただきたいと思う。
認定のことをまだ続いてやりますけれども、大工、左官さんあたりは去年までは
事業所得ですか、大体百万円まではいい。ことしは百五十万円に引き上げられたわけです。これも局でおやりになったと思うのですけれども、百万円と百五十万円といえばだいぶ違うのです。これを二百万にしてもらえばなおいいわけです。ところがどっこい、あなたのほうはそういうふうにしない。これもやはりあなた
たちの一片の
通達でなされておるわけです。こういうふうに
通達、あるいはさっきから言っておりますこの百五十万までは認めるけれども、百六十万になったら
否認するという
否認権、これは決定的に
徴税行政に影響力を持って、むしろ基本法なんかよりも非常に
国民に密接です。さっき一番最初読み上げましたように、それは本来
法律でもなければ、
国民に対して命令を持つ力、拘束力を持つものではないけれども、実際上はそういうことになっておるわけです。したがってそういうことを改めていくためには、さっきからいろいろ言っているように、もっと研究する必要がある。たとえばそういうものを積極的に意思をくみ上げる。
税理士のことでいいますと、
青色申告のことがございます。
青色申告でも皆さま方は相当
否認をされる。これは
青色申告するぐらいなら、人間いろいろありますから、多少ごまかす人もあるかもしれぬけれども、
青色申告しようという人は、
皆さん方にとって善意の人と見なければならない。これとても悪意と見るならば、これは全
国民を犯罪人と見なければならない。そういう人
たちには目をつぶるということではないが、あまりこまかいことを言わないで認めて、順次
青色申告制度を伸ばしていく。子供を育てるときもそうです。あまりこまかいことを言うと、ひねくれてしまう。だから多少のことがあっても、元気にやれということを言っておけば、子供は
自分でわかってきて、成長してまともな子になる。やはり同じことで、
青色申告でも、
皆さん方からいえば、だいぶ大目に見てきているとおっしゃるかもしれませんが、なかなかきびしいらしいです。また白色
申告でも、大工、左官さんというのは、ことばは悪いけれども熊さん、八さんといって、昔から肉体労働をする人々は、なかなか帳面をつけないものです。こういう特殊な人もあります。こういう人でも、たとえば一例をとると、土建労働組合というのがあります。大工、左官の組合というものもありますし、いろいろそういうものがありまして、お互いに
——皆さん方も大蔵官僚は大蔵官僚同士ある程度話をするみたいに、内部同士はそれなりに話をして、いわゆる
良識的な線というものを出すわけなんです。そういうものを
対象にいろいろ御相談になると、これはそうむちゃではない
——表面上はいろいろやっても、落ちつくところに落ちついて、
一つの線というものが出てくるのです。だから
皆さん方も個人で補足しにくい場合には、団体であるとか、そういういろいろな扱い方というものがあると思うのです。
国民の正しい
納税方向を出していこう。だからもっと決定的に
皆さん方のほうでは
通達あるいは
否認権というものを、
法律的
根拠に基づいて、われわれ
税務職員の高い道徳性、
識見、
良識によって、やっておるとおっしゃるけれども、われわれから見ればそうじゃないわけです。ですからここのコントロールをするものとして、さっきから言うように基本的に国会におけるそういうものの
解釈というものをはじめ、
税理士あるいは
青色申告あるいは各団体、こういうものを全部包含していって、非常に
一般の行政と違って、
法律で全部は
規定することはできない。
それから裁判の事件を見ましても、行政法の中で
税金関係の裁判というものはきわめて少ないのです。私もいろいろ判例を調べてみましたが、少ないのです。手数がかかりますし、どうせ最後は容易でないというので、裁判にまで持ち込んで、白黒を争そうのは少ないわけです。したがってそういうことをよく
皆さん方お考えいただかないと、よく言われておりますように、昔陸軍いま大蔵、
国税と、こう言われますように(「いや、いまは総評だ」と呼ぶ者あり)自民党の人は、議員さんはどうか知らぬけれども、
一般国民にお聞きになるなら、何といったって、とにかく
税務職員ぐらいおそろしいものはない。いまごらんなさい。中小企
業者は
税務職員と言いますよ。私が先ほどから言っておりますように、
国税庁とか
税金のことは、以前はあまり考えなかった労働組合員でさえ、
国税庁、
税金というものを考えるようになった。民商みたいな反税闘争ではない、反重税闘争というものを行なうようになったことを考えると、私が二日間にわたって
質問してきた趣旨というものが、よくおわかりいただけると思う。ぜひそういう点を考慮いただきたいということをお願いいたします。
まだ各条文にわたって、一例をあげましたように、偽りというような非常に簡単に、しかもきわめて拡大
解釈ができる、
国民の誤解に対するこういうことばをお使いになっておるかと思えば、一方各条文には、昔ながらの非常にむずかしいことばがそのまま取り入れられておったり、矛盾した面、たとえば期間の問題にいたしましても、刑法上の遡及の期間と
税法上の
更正決定の期間がそごしておったり、あるいは通ってもおらない
税理士法を通ったかのように書いたり、いろいろな問題がこの中にたくさんございます。こういうことを全部指摘して
質問いたしますと、私だけでも二日、三日以上かかりますし、大体私に割り当てられました時間が来ましたので、以上を要望いたしまして、私の
質問を終わりたいと思います。