○佐々木
政府委員 たいへんに広範な問題をお出しになりましたので、私の所管の関税の面からばかり申し上げても御不満かもしれませんが、最近の
わが国の貿易収支を関税統計で見てみますと、会計年度ではまだ三月が終わっておりませんので、暦年でまず申し上げますと、輸出は関税統計上六十六億四千三百万円、輸入は七十九億三千八百万円、輸出の伸びは前年に対しまして二二・四というかなり高いテンポでございます。輸入は一七・八の増加、輸出に比べて増加趨勢はそれほど強くないという
傾向にあるように思います。なお最近の一、二月、きょうの新聞に載ると思いますが、三月の上旬の数字等を見ますと、輸出の伸びはいままでよりも非常に強くなっておるように思います。一月は前年に比べまして四一%強、二月も四一%、三月上旬では前年同期に比べますと五二・九%の増ということになっておりまして、国内の輸出努力、これに国際的な環境もまたそう逆ではないということになりまして、年度間の国際収支はかなり見通しよりもよくなるのではないかというふうに、関税統計の面からみておるわけであります。
先生が御指摘になりましたように最近の貿易に関します国際情勢の中で、いろいろ目立つことが起きてまいっております。ドルの裏づけをやっておりました米国保有の金の減少の問題、
イギリスの
経済の深刻な様相がだんだん明らかになってまいりまして、ポンドに関する不安の問題、また
イギリスがそれに対してとりました強烈な貿易の自由化に反するようないろいろな政策がとられておるといろ問題等があるわけであります。しかしながらいままでのところ国内の輸出がそれを上回りまして、かなり順調な伸びを見せておると見ていいと思います。
さらにまた今後の動向にかなりの影響を及ぼすものとしまして、
横山委員の御指摘になりました後進国問題というものを、よく個々の政策を立てる機会におきましては、考慮に入れなければならないと
考えるものでございます。後進国問題は、御
承知の去年の春行なわれました国連の貿易開発
会議におきましては、七十七カ国でしたが、七十五カ国でしたか、非常な強固な団結を示しまして、後進国の強い主張を通しておったわけでございます。
日本の立場から申しますると、後進国に対する
日本の輸出というものが、非常に
ウエートを持っておるということは申すまでもないことでございますが、その輸出によりましていまのところ非常な出超で、後進国側の外貨を吸収するようなかっこうになっておりますけれども、これは後進国側の輸入もまたはかりまして、均衝のとれた貿易の拡大というものを目ざさなければならないというのが基調であろうかと存じます。現実の問題といたしまして、
日本の農業の問題鉱山等に
関係します中小企業が非常に多くて、合理化が困難な部面についての輸入、後進国からの物を買ってくれという要請が強くなるということを、今後どうさばくかということが問題であろうと思います。
さらにまた御指摘のありましたケネディラウンドであります。いままでのところ
アメリカと
イギリスが非常に争いまして、
アメリカが高い関税を半分にするのと
イギリスの低い関税を半分にするのと、同じように扱われては困るという
イギリスの主張等から、非常に難航を重ねておりましたところ、ともかく去年の五月の
大臣会議で、まあ作業上の仮説ということになっておりますけれでも、五年間に五〇%引き下げるという原則を、今後のガットにおける作業の前提として認めるという合意が成立しまして、以降かなりの進展を見せました。御指摘になりましたように去年の十一月十六日にケネディラウンドに参加する国におきましては、工業品に関して五〇%引き下げられない品目のリストをお互いに拠出いたしました。年末それに対する審査を若干いたしましたが、双方相手の表のことなど検討するひまが十分ありませんでしたので、年を改めて
各国の出しました例外の表につきまして、審査をいたしたわけでございます。審査はまず自国の出した例外の表が、やむを得ない国家上の利益から、そうせざるを得なかったということをいろいろ詳しく
説明をやったわけでございます。このケネディラウンドの中で
日本の立場と申しますものは、EEC、
アメリカ、
イギリスというふうな先進国グループに入りまして、
日本の輸出を伸ばすためには、相手方の関税を下げさすということが非常に重要要素になるという観点から、積極的にこれに参加しようということでやっておるわけでございます。
日本の出しました例外のリストにつきましては、それはかなり長いのではないかという批評を受けましたことは御
承知のとおりであります。
日本は非常に高い
成長率を誇っておるにかかわらず、そうしてまた非常に輸出も伸びておるにかかわらず、例外品目が非常に広範囲にわたっておるし、また輸出が非常に伸びておるものにまで及んでおるというような非難めいたものもあったわけであります。いままでのところ、そのリストを修正をするまでにまだ話が詰まっておりませんが、個々の貿易上の統計数字が一体どうなっておるのか、例外にされております品目の範囲は、こまかにいろいろな品目になっておるのでございますから、どういう範囲であるかというような技術的な
事項について、話が進められておる段階でございます。今後交渉におきましては、農業問題等も控えておりますので、かなり時間がかかるかと思いますが、
わが国としては輸出促進のために、ケネディラウンドには積極的にこれに特に参加するという立場をとりつつ、また
日本の中小企業、農業等、また今後
発展さすべき新しい産業等につきましては、それが十分
保護されるような配慮も払いながら、かつまた
日本がいろいろ差別待遇を受けておりますものにつきまして、これを排除、解消することをまず志し、これが成功しません場合におきましては、とにかく代償を取る。与えます利益を受けます利益とのバランスをはかりながら、交渉を進めてまいるという方針でやっておるわけでございます。ケネディラウンド、後進国問題等、いろいろ控えておりますので、御審議願っております関税定率法、暫定法等におきましては、これらの進行
状況を見て措置をしなければならぬものがかなりありますので、今回お願いしてあります大幅な
改正というものも含んでいない次第でございます。現実の要請の差し迫ったものにつきまして、小幅な
改正でお願いをしておる次第でございます。