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1965-02-26 第48回国会 衆議院 大蔵委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年二月二十六日(金曜日)     午前十時四十二分開議  出席委員    委員長 吉田 重延君    理事 金子 一平君 理事 原田  憲君    理事 藤井 勝志君 理事 坊  秀男君    理事 山中 貞則君 理事 有馬 輝武君    理事 堀  昌雄君 理事 武藤 山治君       天野 公義君    伊東 正義君       奥野 誠亮君    鴨田 宗一君       木村 剛輔君    木村武千代君       小山 省二君    砂田 重民君       田澤 吉郎君    地崎宇三郎君       西岡 武夫君    福田 繁芳君       毛利 松平君    渡辺 栄一君       渡辺美智雄君    佐藤觀次郎君       只松 祐治君    平岡忠次郎君       平林  剛君    藤田 高敏君       横山 利秋君    春日 一幸君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 田中 角榮君  出席政府委員         大蔵政務次官  鍛冶 良作君         大蔵事務官         (主税局長)  泉 美之松君         大蔵事務官         (国有財産局         長)      江守堅太郎君         国税庁長官   吉岡 英一君  委員外出席者         議     員 武藤 山治君         国税庁次長   喜田村健三君         専  門  員 抜井 光三君     ───────────── 二月二十四日  委員横山利秋辞任につき、その補欠として横  路節雄君が議長指名委員に選任された。 同日  委員横路節雄辞任につき、その補欠として横  山利秋君が議長指名委員に選任された。 同月二十五日  委員藤田高敏君及び横山利秋辞任につき、そ  の補欠として中澤茂一君及び中井徳次郎君が議  長の指名委員に選任された。 同日  委員中井徳次郎君及び中澤茂一辞任につき、  その補欠として横山利秋君及び藤田高敏君が議  長の指名委員に選任された。     ───────────── 二月二十四日  国家公務員共済組合法及び公共企業体職員等共  済組合法等の一部を改正する法律案武藤山治  君外六名提出衆法第四号) 同月二十六日  法人税法案内閣提出第四九号)  租税特別措置法の一部を改正する法律案内閣  提出第七八号)  所得税法案内閣提出第八八号)  会計法の一部を改正する法律案内閣提出第二  三号)(参議院送付)  物品管理法の一部を改正する法律案内閣提出  第三五号)(参議院送付) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  石油ガス税法案内閣提出第五七号)  国家公務員共済組合法及び公共企業体職員等共  済組合法等の一部を改正する法律案武藤山治  君外六名提出衆法第四号)  所得税法案内閣提出第八八号)  法人税法案内閣提出第四九号)  租税特別措置法の一部を改正する法律案内閣  提出第七八号)  税制に関する件  国有財産に関する件      ────◇─────
  2. 吉田重延

    吉田委員長 これより会議を開きます。  石油ガス税法案議題といたします。
  3. 吉田重延

    吉田委員長 政府より提案理由説明を聴取いたします。鍛冶大蔵政務次官
  4. 鍛冶良作

    鍛冶政府委員 ただいま議題となりました石油ガス税法案につきまして、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  政府は、最近における自動車燃料用石油ガスの消費の状況に願人、揮発油に対する課税との権衡等を考慮して、新たに石油ガス税を設けることとするため、この法律案提出した次第であります。  以下、この法律案内容についてその大要を申し上げます。  この法律案は、自動車用石油ガス容器に充てんされている石油ガスについて、石油ガス充てん場からの移出または保税地域からの引き取り課税原因として、その充てん者または引き取り者に対し、石油ガス一キログラムにつき十七円五十銭、一リットルに換算いたしますとほぼ十円の税率で石油ガス税を課することといたしております。  石油ガス税申告及び納付、免税制度等の所要の規定につきましては、制度複雑化を避けるため、他の間接国税の例にならって定めることといたしております。  この法律施行期日は、石油ガスに対し新たに課税を行なうための準備期間等を考慮して、昭和四十一年一月一日といたしております。  なお、石油ガス税収入額の二分の一は、道路整備緊急措置法規定により、国の道路整備財源に充当し、他の二分の一は、地方道路整備財源として、石油ガス譲与税法規定により、地方に譲与することといたしております。  以上が石油ガス税法案提案理由及び概要であります。何とぞ御審議の上すみやかに御賛成くださいますよう御願い申し上げます。
  5. 吉田重延

    吉田委員長 これにて提案理由説明は終わりました。  本案に対する質疑次会に渡ります。      ────◇─────
  6. 吉田重延

    吉田委員長 税制に関する件について、調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。堀昌雄君。
  7. 堀昌雄

    堀委員 国税庁長官、初めて当委員会出席をしていただきまして、ただいまから国税に関する諸問題について質疑を行ないます。特にひとつ国税庁長官として、これからの徴税行政について、あなたのものの考え方といいますか、これから行なわれようという心がまえについて、最初にちょっとお伺いをしておきたいと思います。
  8. 吉岡英一

    吉岡政府委員 お答えを申し上げます。  堀委員十分御承知のとおり、税務行政というものは税法の定めるところを適正、公平に執行する行政であります。大きな機構と五万の職員をもって運営をされておる行政でございます。したがいまして、一長官がかわりましたからといって従来の方針が変わるというようなものではありませんし、そうあってはならないと私は考えております。そういう意味で従来国税庁のとっておりました方針、あるいはことばをかえますと、木村長官のとっておりました基本的な方針を踏襲してまいるつもりでございます。ここ数年来国税庁は、近づきやすい税務署をつくること、適正な課税をする、あるいは綱紀を正し明るい職場をつくることというような三つの基本的な方針を掲げて税務行政運営をやってきたわけであります。私もまことにもっともだと思います。したがって今後もこの三つ基本方針をもとにいたしまして税務行政をやってまいりたいと思います。この三つ方針は、おそらくどこへ出しても御賛成をいただける方針かと思います。問題はこの方針をこの大きな機構、五万の職員の中にどういう形でどこまで徹底し実現をさせていくかというところにあろうかと思います。そういう意味で今後できるだけの努力をしてまいりたいと思います。
  9. 堀昌雄

    堀委員 まあ大きな機構で、人がかわったからそのあくる日から方針が変わるということでないことは私もよくわかります。しかしお互いに人間なんですから、木村さんはやはり木村さんとしての持ち味といいますか、機構を動かすのはやはり人間でありますから、その長たる者がかわったときにはあなたが何から何まで木村さんと同じだというわけにはいかないのではないか。ですからあなたはあなたなりの、もちろんいまの三つの原則、これはそれなりにやっていくのは正しいと思いますけれども、やはり何か新しい熱意か何かを持ってやろうということでなければ、人事交代なんて必要はないのであって、まあいえば、人造人間が並んでればいいことになりかねないのであります。まああなたも就任早々なので多少控え目にしておられるかもしれないけれども、やはり新たな抱負を持って、何もそれをやることが、木村さんがやっておったことをどうこうというのではなくて、人間おのおの持ち味を生かして税務行政の中にやはり新しい風を吹き込むということが、私は人事交代としてのメリットではないか、こういうふうに思うのですが、いまのお話を聞いておりますと、味もそっけもないきわめて事務的な答弁です。もう少し何か味のある答弁はできないものですか。
  10. 吉岡英一

    吉岡政府委員 私が先ほど申し上げましたように、基本的な方針組織としての行政でありますから変わりありませんけれども、おっしゃるとおり人間でございますから、多少持ち味の違いはあろうかと思います。そういう意味で、行政をやってまいりますうちに結果的にそういう違いが出てくるかと思いますけれども、いま私特にこういうふうに変えていきたいとか、こういうところに重点もというほどのものを持ち合わせておりません。私かねがね部内で言うのですが、ある一つ政策なり方針なりが実行されております場合に、これを変えるときに、どういうわけでこういうものが行なわれているのかよくわからないというようなことをいって変える場合がありますけれども、それはある意味で不謹慎と申しますか、思い上がりなんで、ある一つ政策なり方針が実行されております場合には、必ず自分と同等以上の能力責任感を持った先輩か最善のことを考えてやったはずのものであります。したがって、そういう方針がとられました理由なり存在意義なりというものを十分に理解した上で変えるものは変える。その結果、変える場合には百八十度変える場合もあろうと思いますが、変えるについてはやはり相当慎重に現在のものを理解し検討してからでないといけないと、実は思っております。そういう意味で、たいへん恐縮でありますが、いまいろいろの点を勉強いたしておりますので、もうしばらくお待ちを願いたいと思います。
  11. 堀昌雄

    堀委員 非常に慎重な答弁勉強中だそうでございますから、勉強が一段落をいたしましたら、ひとつ長官のほうから進んでお答えをいただきたいと思います。  そこで。私はきょうは税務署分割統合の問題についてちょっと触れたいのでありますが、これに関しては、行政管理庁がこの二月に、「税務行政監察の結果について」という報告を出しております。私、これをずっと拝見をいたしまして、まあおか目八目といいますか、第三者の立場から税務行政全般についていろいろと意見を述べられておる中で、私もやはり検討の必要のある問題というのを感じるわけであります。これを一々やっておりましては時間もありませんから、この中で私の感じたことを二、三特に取り出して伺いたいのであります。  「税務行政組織運営について」という項目の中で、人口のいろいろな状態の変化等に伴って実態に即応した抜本的合理化対策を樹立する必要があるだろうということであります。その中で、「東京国税局特殊性にかんがみ、他の国税局とは異なる観点からの強化充実策検討すること」という一項があります。確かに東京国税局が所管をいたしておりますウエートというのは、日本の他の国税局と比べて著しく差がありますし、東京都を含んでおりますから、ちょうど人口の十分の一、さらにすべての点では十分の一をはかるに上回る問題かここに含まれておるわけでありますから、その意味では東京国税局というものの重要性は非常に大きいと私は思います。これをどういうふうにければいいかということは、いますぐお答えをいただくわけにはいかないと思いますけれども組織人員配置の問題についての一番問題点は、やはり東京の問題だろうというふうに考えるのであります。そこで、これらの問題についてはこれまで何か検討をしてきたことがあるのか、あるいはこれまではしていないけれども今後検討しようという姿勢であるのか、もし検討しようということであるならばどういう方向で検討を進めることになるのか。これらは急の質問でありますから皆さんのほうにどれだけ準備があるかわかりませんが、お答えできればお答え願いたい。
  12. 吉岡英一

    吉岡政府委員 堀委員指摘のとおり東京局の問題は非常に重要な問題だと考えております。従来も事務東京への集中に伴いまして非常に多くの定員の増加、地方からの異動というようなことをやっておりますし、機構的にも東京局はほかの局に比べて大きな機構になってきておるわけであります。私もまだよく検討いたしておりませんので、十分なお答えはできませんが、ともかく一万二千人の職員が一局長のもとで十分な統括ができるか、しろうと考えに考えましても、もうそろそろ限度にきているような感じがいたしますし、仕事の面からいってもいろんな問題があると思いますので、行政管理庁指摘しておりますとおり、東京局をどうするかという問題は従来も検討したようでありますが、今後ほんとうに真剣に検討しなければならないと考えております。ただいきなり分割したほうがいいか、分割する場合にどうするかというようなことは相当問題があるようですから、十分慎重に検討する必要があるかと思います。
  13. 堀昌雄

    堀委員 いまのお話で、私もこれは何らかの検討に値すると思いますので、ひとつ検討を開始をしていただいて合理化をはかってもらいたいと思います。  そこで、それに関連して、これは次長お答えいただいてけっこうなんですが、局単位で見たほうがいいのか税務署単位で見たほうがいいのかわかりませんけれども皆さんのほうでは納税コストというものを出しておいでになりますね。何千とあるのでしょうから小さい税務署納税コストまで一々議論するのはちょっと無理だと思いますので、局単位について、納税コストというのがいまどの程度になっているのか、わかればちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  14. 喜田村健三

    喜田説明員 現在徴税コストは実は局単位にはとっておりません。計算すればあるいは出ることになりますが、いまのところ手元に資料がございません。
  15. 堀昌雄

    堀委員 私どもは小さい税務署分割統合ということも非常に重要だと思うのですが、われわれとしては大まかには局単位として見て一体どういう条件にいまなっているのか、それから徴税密度局単位として見るとどの程度になっているのか。その程度以下のことはわれわれのこの場での論議にはちょっとなりかねると思いますので、ひとつ次回までに局単位納税コスト、それから局単位における納税密度——納税密度の出し方についてはどういうふうに出していただくのがよくわかるのかわかりませんが、申告納税の件数と延べ人員等からでも出していただくか何かで、大数観察のような大まかなものでいいのですけれども、目安として徴税コストの問題といまの密度の問題はちょっと関係があると思いますから、それらについて局単位資料をお出しいただきたいと思います。  その次に、これを読んでおりますと「税務行政民主化について」という項目一つございます。ちょっと読みますと、「税務行政民主化については、最近、相当進歩のあとがみられるが、なお、税務職員納税者にたいする応接態度について、一部に、不満、苦情等がきかれるなど、国民から十分信頼を得られない面も認められる。国税庁は、これらの点についての改善に努めるとともに、あわせて、納税者にたいするサービス向上と、納税者各層の声を税務行政に反映させるためのより効果的な方策について検討する要がある。」こういうふうに述べております。これは私どもが当委員会でしばしば論議をしておるところでありまして、これをわざわざ取り立ててわれわれが言うほどのことではありませんけれども、しかし一番私どもが問題にするのは、この税務行政民主化の問題でありますし、特にその次には法令通達簡素化の問題、それから納税に関する国民一般道義確立についてということで、しごくもっともなことが述べられておるわけです。道義確立という点は、これはなかなかむずかしい問題でありましょうから、さておきまして、民主化といいますか、税務職員のいろいろな態度、それと法令通達簡素化、今度は税法もだいぶ簡素化をされるように聞いておりますけれども、これらについては今後どういうふうに勧告に応じてどういう措置をとられるおつもりであるか。
  16. 吉岡英一

    吉岡政府委員 税務行政民主化の問題は、私も当委員会でいろいろな論議が行なわれたことを速記録でも拝承をいたしております。国税庁としては従来から力を入れてきたところであるようであります。問題は、どこまでそれを実現するかということにかかっているかと思います。したがって、今後もぜひ一番努力をしていかなければならない点だと考えております。私も役人としてでなしに、一市民として出かけました場合の感じやなんかからいって、まだ近づきにくいというような、そういう感じが残っておるようでございますから、ぜひこれは直して、先ほど申し上げました第一の方針である近づきやすい税務署にするように、ぜひ民主化努力してまいりたいと思います。  それから事務簡素化については、いろいろ説明を聞いておりますと、国税局の中でも仕事が非常にふえてまいりましたわりに、従来十年間ほど定員が全然ふえておりません。そういう意味で、ある意味では思い切った簡素化をやっておるようでありますが、まだ決して余地がないとは申せないと思います。なお一そうもっとわかりやすくするというところに努力してまいりたいと思います。
  17. 堀昌雄

    堀委員 私は、一昨年でありましたか、当委員会から税務署納税の時期に視察に参りました、そういうときでも常に感じますのは、どうも税務署職員納税者立場に立っておらないということです。私が一番よく聞きますのは、申告をしてそこで、ここは間違っているからこう直しなさいと言うならまだいいのですが、出直してやり直してこいということを言う場合が非常に多いのです。これはとてもだめです。もう一ぺん出直してやり直していらっしゃい。これは税務署職員がすわっていて人がたくさん待っている。こいつを帰しておいて、次をやってしまえばその日はうまく処置ができるということかもしれません。しかし、納税者から見ると、必ずしも税務署へ行くなんていうのはあまり楽しいことではないのに、思い切って来ておるのに、その件は前にもちょっとここで触れましたけれども、黙って見ていると、実は税務署の側が間違っていることを一生懸命言っているわけです。ところが、どこが間違ったか知らなかったものだから、私がそれちょっと違うのじゃないですか。——これはたばこの小売り人申告でございました。そう言いましたら、横に当時の庁の直税課長がおられて、いや、この点は、何か新しくほかの配置がえがきたものですから、よくわかってなかったようです、と言われたのです。だから、正しくても出直してこいはよくないのですが、税務署のほうが間違っていて、出直してこいと言われたのじゃ、これはどうしようもないと思って、その点は今後はひとつ十分気をつけてくださいとお願いをしたわけですが、一番私が気になるのが出直してこいですね。これは納税申告の時期にはたくさん人もつかえているし、あまり一人で時間をとりたくないという気持ちもわかりますけれども、できるだけその場で処理をして、何回も出直さしたりするようなことのないような処置を考えてもらいたい。そういう点も含めて、いよいよ確定申告の時間も近づいてくるわけですから、税務職員が忙しいのはわかりますけれども納税者立場に立って親切な気持ちで指導をするということをひとつはっきりさせてもらいたいと思います。
  18. 吉岡英一

    吉岡政府委員 税務職員納税者立場に立って親切にいろいろなことをやるようにというお話でございますが、まことにごもっともな話であります。従来も長官の訓辞とか通達等を見ますと、何べんも何べんもそういうことを言っております。ただ、先ほど申し上げましたような大きな機構、五万の職員の問題でありますから、どこまで末端にその趣旨が徹底し、実現をしているかということが問題であります。御指摘の点があるいはあるかもしれないと思いますが、ぜひその点はなくするように、今後なお積極的に努力いたしたいと思います。
  19. 堀昌雄

    堀委員 それから確定申告のときは、本来直税をやっておる人はまだなれておるからいいのですが、いろいろな方が手伝って受け付けをするようです。そうすると、その人たちは本来やっておる業務と違う業務の格好になるものだから、おそらく講習等もあって受け付けにたえられるような準備をしておられると思いますけれども、その点にやはり不十分な点があると、いまのようなことが起きかねないわけですから、あわせてそういう点も、ちょうどこれから山にかかるわけでありますから、十分注意を喚起して遺憾のないようにしていただきたいと思います。  またひとつ委員長お願いしておきますけれども、三月十五日の確定申告の時期がまいりますので、その事前の時期の適当な日に一ぺん、私どももまた東京都内の適当な税務署を選択をして、その確定申告実情等についても当委員会として調査をさせていただきたいと思いますので、あわせてちょっとこの際にお願いをしておきます。
  20. 吉田重延

    吉田委員長 いまの御意見に対しましては、理事会で御相談の上善処いたします。
  21. 堀昌雄

    堀委員 その次に、これは私、この勧告の中で一番興味深く見てまいりましたのは、「調査適正合理化について」という欄で、「調査困難なものに対する税務調査充実について現在の税務調査は、不正所得をより多くは握することに重点をおいて運営されているとみられる。これは、調査能力に制約がある現状では一応妥当な運営と思われるが、反面、資料不足などの理由により能率的な調査が期待できないものについての調査が低調となりがちなのでつぎの改善が望ましい。(1)資料収集および調査にあたり協力の低調な官公庁、金融機関等との密接な連携を図り、税務調査の円滑な遂行を促進するとともに、積極的な連携措置を講じてもなお協力をえがたい傾向が明らかな場合には、必要資料収集について関係機関協力を可能とする法制上の措置等の広範な連携措置検討すること。(2)税務調査に手数を要し、課税所得のは握が行なわれにくいものについて、現在、特調班による調査等措置が講じられているが、さらに充実した調査を実施し適正な課税実現を推進すること」。この二点に触れられております。私もこの点は非常にもっともだと思うのであります。特に一番のほうの課税に関する横の連絡の問題は、これまでも私かつて専売公社問題等にも触れて、逆の面もあるのですが、問題のあるところでありました。そこで行政管理庁は、必要な資料収集について関係機関協力を可能とする法制上の措置等の広範な措置を講じてはどうか、こういうふうにあるのですが、この点について国税庁はどういうふうに考えておられるか。
  22. 喜田村健三

    喜田説明員 ただいま御指摘のとおり、税務署課税標準調査にあたりまして、こういった資料税務署のほうにきておれば、調査としては非常にやりやすい、納税者のほうにもあまり御迷惑をかけないで調査ができる。そのためにそうした資料をいただきたいというのが相当ございます。ただ、たとえばいま不動産登記につきましては、不動産登記所から資料をいただいております。これは不動産の譲渡ないし贈与ということについての移転があった、価格の点ははっきりわかりませんが、移転があったという事実が把握できるということで、こういうことが非常に役立っております。それ以外にもたとえば山林伐採資料、林野庁の系統の官庁でそういうものをとられておるところがあります。そうした資料が出てくれば課税として非常に山林所得把握に役に立つ。あるいは建築を届け出る、そうした場合に建築の届け出の資料があれば建築資金把握に非常に役に立つ。そのほか幾つもこちらとして非常に課税に役に立つという資料はございます。ただ、現在のところたとえば官庁がいろいろな行政目的のために統計をとっているという場合に、それに対してこちらとして義務としてこちらに連絡していただくということが法制上できない。したがいまして、それらは官庁間の協力ということで御協力を願っているわけなんです。各官庁といたしましては、それぞれの統計上の目的あるいは産業上の目的、そうしたいろいろの行政上の目的がございますので、これが税に使われるということになると、そうした目的が十分達成できない。そうしたために必ずしもすべてについて御協力いただけるというような状態ではございません。そういった点につきまして、いろいろ交渉に苦労をいたすというようなことがございます。こちらだけの、課税だけの目的ですべての問題を割り切ってしまうというわけにはまいりませんで、やはりいろいろ行政上の目的がそれぞれあると思います。われわれ自身だけの狭い立場といたしましては、できるだけそうした面について御協力いただけるような体制ができ上がるということは課税の適正化ということに非常に役に立つだろう、こういうふうに考えております。
  23. 堀昌雄

    堀委員 主税局長にお伺いいたしますけれども、ここは法制上の処置ということになっていますが、法制上の処置となればこれはあなたのほうで何らかの法制上の処置を講じなければならぬと思うのです。私はこの間も調査査察部長に出ていただいて公認会計士の監査の経過の中で、ともかく実地たなおろしに立ち会って、責任を持って公認会計士がたなおろしの実情はこうだという資料、あるいは売り掛け金、買い掛け金等について調査を詳しくして、それに基づいて出された資料等について税務調査の参考資料として取り扱ったらどうかということについては、国税庁側からも検討を進めるというお答えをいただいたわけですけれども、各官庁金融機関等私が伝え聞くところによると、アメリカでは納税者番号が全部打たれておって、金融機関等に預金をする場合でも納税者番号がはっきりしていなければ預金も受けつけない。まことに合理的な——資本主義の国としてどちらかといえばルーズではないかと思われるところが実は非常にきちんと処理がされておる。そのことが実は徴税事務を非常に簡素化して、合理的な徴税が行なわれるようになっている、こういうふうに私理解しておるのですが、いまの調査資料の問題も含めて納税者番号の問題も——アメリカでは私が聞いているところでは戸籍がどうもはっきりしていないようですね。州々で独立しているために、日本ほど戸籍その他の点ははっきりしていない。日本ではどっちかというと、戸籍とか住民登録とか、そういう点は諸外国に比べてきちんとしている国のようなんですが、事税金のことになると諸外国に比してこれほどだらしのない国はないと私は思うのです。そこでいまのたとえば納税者番号の問題にしてもそうですが、私どもはこれから税法に入ればいまの架空預金その他の問題にも触れたいわけでありますけれども、これほどちゃんと所番地、住民登録があるのだから住民登録によって確認をされないものは預金ができないとか、何か少なくともその人間であることが確認できるような措置とか、そういう調査を合理的ならしめるような何らかの措置というものがもう少し私は講じられていいのではないか、こういうふうに思うのですが、これは関係官庁との関係もあるし、法制上一般として調査をもう少し可能ならしむるような基盤といいますか、そういう点についてもう少し諸外国を見習って法制を整備してはどうか、主税局長どうですか。
  24. 泉美之松

    ○泉政府委員 お話しのように、課税の適正公平を期するためにはいろいろの面において努力が必要でございます。  まず第一は、お話しのように各官庁間の協力といいますか、これはいわゆる共助義務といわれておるものであります。この点につきましては、実は先年国税通則法を制定しようとする際におきましていろいろ問題になりまして、私どもとしましては各官庁の共助義務を規定いたしたいというつもりでおりましたが、しかし、各官庁にはまた各官庁としてのそれぞれの行政目的がありまして、先ほど国税庁喜田次長からお話がございましたように、山林伐採資料一つ取り上げてみましても、私どもがそういった資料をいただこうとするのは森林政策上好ましくないというような面もございまして、とうとう国税通則法に共助義務の規定を設けることができなかったような次第でございます。しかし、そういう各省のいろいろな政策はあろうと思いますけれども課税が適正公平に行なわれるということが何といっても行政の基本であろうと思いますので、私どもとしましてはそういった面におきまして今後とも努力を続けてまいりたい、かように考えておるのでございます。  それから、お話しのように金融機関であるとかあるいは公認会計士、弁護士、税理士といったような納税者にいろいろ接触する機会のある方、この方々はそれぞれ守秘義務というものを持っておりますので、やはり税務官庁といたしましては、そういう人が持っておられる課税上の資料を得ることは望ましいこととは思いますけれども、やはり職業人としての守秘義務というものも守らなければならぬ面もございます。そこでどういう程度までは守秘義務に反しないか、その辺の程度の問題がなかなかめんどうでございます。しかし、そういう点につきましても今後努力いたしてまいりたいと思っておるのでございます。  しかし、そのためにはやはり課税の公平ということが大切であるということの認識がもっともっと行き渡る必要があるのではないか。何とかして税務署に対してこういう預金があるとかというようなことが知られないようにという空気がある段階では、なかなかいけないことなんです。やはりアメリカにもありますように、非常な預金をした場合には税務署に通報がいくというようにまで国民の間の課税の適正公平に対する認識が高まっていく必要があろうかと考えております。それは非常に骨の折れる問題であろうと思いますが、私どもとしましては、金融機関のほうに対しましては少なくとも架空名義預金、無記名預金だけは廃止してもらいたいということを強くいま申し上げておるような段階でございます。  それから納税者番号のお話がございました。これはアメリカのように非常に電子計算機の発達しておる国で、税務関係におきまして電子計算機を相当多数使ってやっておるところでございますとやり得るわけでございます。日本では電子計算機を若干使っておりますけれども、まだまだそこまでにはとうてい至らないわけでございます。これはそういった方面の機械の開発、購入というようなことが進みませんとなかなか容易でないことと思っております。
  25. 堀昌雄

    堀委員 私もいますぐ納税者番号をつくりなさいというのではないのですけれども、さっき申し上げたように戸籍とか住民登録とか身分を明らかにするものがたくさんあるわけですね。ですから、徴税の合理化という問題は、これ以上職員をふやすということは私はもう限界にきておるのじゃないかと思うのです。国税庁職員をいま五万人を十万人にしてやるということは国民経済的に見てちっともプラスでありませんから、何か制度改善によって、今後さらに膨張してくるであろうそういう徴税事務が合理的にされるような制度上の問題の検討がややおくれているのではないか。裏返して言うと、さっきの山林の問題一つにしても、山林行政に影響があるといっても、しかし所得のある者は税を納めるという一つ法律の原則があるのに、なぜその山林行政に影響があるのか、もしそういうことで山林行政に影響があるとすれば、そういう山林行政を改めなければならない問題なんです。税金がなければ国の存在はないわけですから、要するに税がなければ予算がないのだから、予算を使うためには税は取らなければならぬ、税を取るためにはやはり公平に取らなければならないなんというのはわかり切ったことなんです。この点はもう少し主税当局は姿勢を正して、各省庁に対して要求すべきことを要求しなければならないのではないか。行政管理庁もその点を明らかにして触れておるわけですからね。これはひとつ日をあらためてまた大臣も出てもらい、行政管理庁長官も出てもらいして、少し論議を深めたいと思いますが、今後の徴税の一つの重要な合理化問題点だと思いますので、ひとつ省内でも十分検討を進めていただきたいと思います。  それからもう一点、ここに出ております特調班による調査の問題でありますが、最近の特調班の活動の状態をちょっと御報告をいただきたいと思います。
  26. 喜田村健三

    喜田説明員 実はここに計数がございますのは国税局に置いております特別調査班の計数だけでございます。それについて申し上げますと、所得税の特別調査班では調査件数が八百二十八件、調査をいたしまして一件当たりの増差所得が三百八十七万九千円、それから国税局の法人税の特別調査班の事績については調査件数が千六十八件、そのうち不正発見、仮装隠蔽がありましたのが六百五十二件、それから全部につきましての増差所得の一件当たりが三百三十一万七千円このような計数になっております。
  27. 堀昌雄

    堀委員 ちょっとお伺いしますが、局の特調班ということなんですが、庁にも特調班があるのではございませんか。いま局だけ置かれておるのですか、どうなんですか。
  28. 喜田村健三

    喜田説明員 国税局税務署に置かれております。国税庁には置かれておりません。
  29. 堀昌雄

    堀委員 そうすると、各署に一つずつくらい特調班というのが現在置かれておるわけですか。
  30. 喜田村健三

    喜田説明員 税務署の規模によりまして、特調専担員といったようなやり方もやっておるところもございますし、班になっておるところもございます。あるいは小さな税務署は、特にそうした班を設けず、ねらいをつけた調査対象者については一般調査の中で十分な日数をかける、そういう運営もいたしております。
  31. 堀昌雄

    堀委員 かつて資本金が百億以上でありますか、これに対して処理をしておりましたのは、いまはどういう名前になっておりますか。
  32. 喜田村健三

    喜田説明員 国税局調査査察部の中の特別調査官と申しております。
  33. 堀昌雄

    堀委員 その特別調査官が調査をしておるいまの増差の状態、最近のでわかっている点がありましたら、ちょっとお知らせ願います。
  34. 喜田村健三

    喜田説明員 特別調査官は大体現在のところ資本金——先年までは百億以上でありましたが、最近はもう少し下げて八十億ないし六十億以上の法人でもやっておりますが、現在特別調査官の対象といたしました法人についての処理事績がちょっとここに手元に持っておりませんが、百億以上の資本金の法人についてどうなっているかということだけ申し上げますと、処理件数が三十八事務年度におきまして百四十六件、いまの実地調査の対象を持つものだけを取り上げてみますと、実地調査の対象といたしました件数が百二十四件でございます。実地調査割合が大体その対象法人の九〇%、一件当たり調査日数は延べで百二十一日かけております。一件当たり増差所得が二千百三十八万一千円、こういうことになっております。
  35. 堀昌雄

    堀委員 いまの分で一件当たりにしますと、百四十六件中百二十四件、九〇%もカバレージがあるわけですから非常に薄められていると思うのですが、最高の増差というのはどれくらいになっておるか、わかりますか。
  36. 喜田村健三

    喜田説明員 ちょっと手元にございません。
  37. 堀昌雄

    堀委員 この特別調査班のこれは私ども一つの象徴的な部分だと思いますので、先ほどの一般のおそらく申告所得の増差だと思いますが、八百二十八件、三百八十七万円というこういうもの、あるいは法人の六百五十二件、一件当たり三百三十一万円、こういうふうなものについて、一体その対象になったものは大体とういうもので——平均値だけではちょっとわかりませんから、上限、下限等少し様子のわかるような資料を、ひとつこの三つの問題について後日御提出をいただきたいと思います。  大体以上で——行政管理庁まだほかにたくさん触れられておりますけれども、特に私気づいたのは以上でございます。  全体の資料がないものですから、個々のこまかい税務署分割統合というのを見ておりますと、何かほんとうに氷山の一角の上のてっぺんだけさわっているような感じがしまして、それでもさわらないよりは合理化になると思うのですが、何だか非常にささやかな努力をしておるようで、この点については前会も一回伺いましたけれども分割をするところは問題がないと思うのですが、なくなるところは、おそらく税務署なんというのはふだんはあまりありがたいものだと思っていないのですけれども、なくなるとなるとやはりあったほうがいいのじゃないかというような議論がどうも各地で起こるようであります。これらについては納税者の便益については十分な配慮をしてもらって、なくなったために納税者が不便になるようなことは、これは幾ら何でも避けるべきだと思いますので、その点十分注意して処置をしていただきたいということを要望いたしまして、私の質問を終わります。
  38. 吉田重延

  39. 横山利秋

    横山委員 いま堀委員との質疑応答を聞いておりまして、私も長官に初めて御意見を伺うのでありまするが、少し従来の経過にかんがみて、まずもって御意見を伺うというよりも、私のほうから希望を二、三述べて、それについての所見を伺うことにいたしたいと思います。  第一に、こういうことを言うては恐縮なんですが、ここ二、三代の、国税庁長官は税を知らない人であります。税を知らない人を国税庁長官にするという人事が続いておりますことについてはそれなりの理由があるだろうと思うのであります。私は何も主税局なり国税庁傘下に長官たるの器のある人がないとは必ずしも思わないのであります。それにもかかわりませず、税畑以外から長官をあえて持ってくるということはどういうことなのかという点であります。人物としては長官としての適材も税務畑にありながら、なおかつ他から人材を求めるということは、いかにこの税という問題について、国民の期待が那辺にあるかわかっておりながら、そういう人間的なもの、常識的なものが国税庁のてっぺんにありますよというその意思表示をせざるを得ない、した方がよろしい、こういう観点にあると思います。私の判断が正しければ、新任の長官は税を知らなくてもいいのであります。また、税をこまかく検討をなさって通暁をなさらなくてもいいのであります。要するに長官長官たるゆえん、社会から要請されておるゆえんのものは、税の中にもっと常識を、もっと国民の説得を得るような努力をしていただくことが、私はこの人事の最も必要と見ておるところだと思います。これは私の意見でありまして、あなたにこの点については御意見を伺おうとは思いません。  第二番目の問題は、国税庁というところは各官庁の中で最も人事が広範に行なわれるところであります。七月の定期異動を見ますと、まず三分の一は異動をいたします。これが税務畑にあります特質の第一でありましょう。その特質は何によって行なわれるかといいますと、そもそも税務職員はほかっておいたらろくなことをしないという性悪説に起因をしていると思われるのであります。そうでなければ、三年であろうが四年であろうが、その部署にとどめておいても何ら差しつかえないにかかわりませず、年に一回の大異動の前後はかなえのわくがごとき税務署の大騒動であります。この人事定期異動をどういうふうに処理するかということはきわめてこれは重要な問題であります。私はかねてから人事異動を小幅にすべきである、なぜならば、税務職員たるがゆえに長らく同じつとめにおいたらろくなことをしないという性悪説が根源になっておることは適当でないと強く主張してまいりました。一両年、前長官、並びに前々長官が私の意見に多少は耳をかされたのかしれませんけれども、小幅になされたことはけっこうであります。小幅というか、幅を縮小されたことはまことにけっこうなことだと思います。私がなるべく幅を狭くしろと言ったのは、いまいった性悪説に根源を置いておる、それがいけないと同様に、いま一つは、あまりにもこめ転勤によって住宅問題が起き、それから苦情が多いからであります。もしそれ住宅が解決をし、苦情についての処理が解決をするということであるならば、その機構ができるならば、決して私は否定はしないのであります。残念ながら小刻みの住宅増設それから私が強く主張しております苦情処理の機構についてはお考えが不十分でありますから、今日の段階においてはできる限り転勤は小幅にすべきである、こう考えておるわけであります。まずこの人事異動につきまして長官の御意見を伺いたいと思います。
  40. 吉岡英一

    吉岡政府委員 私も国税庁に着任をいたしまして、従来の人事異動の実績の数字を承知いたしまして、非常に異動の幅が大きいと申しますか、多くの異動が行なわれていることを存じております。なお、昨年の国会等におきまして、横山委員木村長官との間にその問題についてのいろいろの御議論のあったことも速記録で拝承をいたしております。お話のように、住宅その他の環境が必ずしもまだ十分でございませんから、私も不必要な人事異動は極力避けるべきだと考えております。ただここ数年間の異動の実績を見ますと、職員の処遇改善の問題あるいは事務量の増加というようなことで、かなりのポストがふえておる、あるいは地方から都会地の局への事務の集中が行なわれざるを得ない実情があったようであります。そういう意味で、どうしても異動が大幅にならざるを得ないような実情もあったようであります。ことしも、昭和四十年度の予算におきましても、やはり都会の大きな局への事務集中、新しい機構の増加というようなものがありますので、そういう意味で、どうしてもやらざるを得ない異動があろうかと思いますが、お話のような点がございますので、できるだけ必要な最小限度に人事の異動はとどめるべきであると考えております。
  41. 横山利秋

    横山委員 御同意を得てけっこうでございますが、そこで私が順次やってもらいたいということは、その幅をいま狭めてもなおかつ住宅問題が絶えないのであります。共済組合から金を借りて住宅をお建てになる制度を、一昨年でありますか、創設をされて以来、順次住宅増設ができていることはまことにけっこうだと思います。けれども、それをもってしても、転勤の数字と比較いたしますと、こう言っては他省にえらい恐縮なんでありますけれども、住宅の獲得比率は、とても他の官庁に比べますと、転勤の幅から比例いたしますと、きわめて少ない。これはぜひあなたに御努力を願わなければならぬことであります。  それから第二番目に、私は特に、その転勤が非常に多いから、苦情処理のやり方を考えろと強く歴代の長官に力説をしてまいりました。私の言うことは、たとえばあなたなり、その辺にいらっしゃる偉い方は、みんな事前に内示を受けておる。ところが下級の税務職員は内示は全然ないのであります。どこまで内示があるのか、まあ課長さん以上ぐらいになると、事前に内示を受けますけれども、全部内示がないのであります。内示したからといったって本人がいやだという異議は申せませんけれども、心の準備というものがあるから、上ばかり内示をして下を内示をせぬということは、これはいかがなものかというのが一つ。第二番目に、どうしてもその人事について、家庭の事情その他があって困るという人があるのであります。そういう人について苦情処理機構をつくったらどうか、転勤ばかりでなくて、いろいろな問題があるのでありますが、苦情処理機構をつくったらどうかということ言っておる。つくり方はいろいろある。私も国鉄出身で、すでに国鉄にも苦情処理機構があるのでありますが、他の官庁にも例があるのであります。ひとつ苦情処理機構をおつくりになったらどうか。私はあえてそれは組合とでなくてよろしい、職員との問に苦情処理機構をつくってもよろしいのだということまで言っている、なぜならば、組合が二つあるから、三つあるから。その辺のことをよく考えてとにかく苦情処理機構をおつくりになることを検討すべきだと言っている。何かカウンセリングを若干お始めになったようではあるけれども、それでは不十分であります。したがって、この転勤という国税庁の非常に大きな人事運用の基本の問題について、この際、事前の内示、苦情処理の機構について検討をすることが必要である。御意見を伺いたい。
  42. 吉岡英一

    吉岡政府委員 横山委員がかねがね苦情処理の機関をつくるようにという御提案をなさっていらっしゃることは、これもまた速記録等で拝承いたしております。その際に木村長官お答え申し上げましたように、明るい職場をつくるという意味で、苦情がたまっておるというようなことではよくないことは、これはもう当然であります。そういう意味で、御指摘のありましたようなカウンセラー制度というものをつくって発足をいたしまして、いまその実績がだんだんあがりつつあるところのように聞いております。したがいまして、御趣旨はよくわかりますので、いまやっておりますこの制度をもう少し実績を見て、よく検討してみたいと考えております。
  43. 横山利秋

    横山委員 私はそれでは不十分であるということを強く申し上げておきます。  私も御質問するに際して、いろいろと昨年の転勤事情を調べてみました。いま名前は申しませんけれども、あなた方の中で問題になっておる幾つかの転勤について御存じだと思います。私が承知をいたしましたところによりますと、昨年の転勤で、徳島の資産税課に勤務していた人が香川県の小豆局へ転勤された。七十七歳のおばあさんがあって、その人を連れていくわけにはいかない。十歳の女の子は寝たつきりで、少しはよくなったけれども、学校を二学期全部休んでおる。こういうことを事前に税務署長が知らないはずはない。したがって、それをすら小豆島のような遠いところに転勤をさせるについては、よほどの事情があろうと思わざるを得ない。しかしながら、そういう事情がかりにあったところで、これほど本人がいやがっており、周囲の同僚諸君がたいへん気の毒がっておる転勤をなさるということは、これは税務署長の本人についての事前の内示なり、あるいは苦情処理の制度があったら解決しておるはずである、こう考えるわけであります。こういうような特異な例はそんなにはないと思いますけれども、これが税務職員の中で非常な話題になっておるということは感心したことではない。何か税務署長が思いやりがなくて、そうして事情もわからずにやっておるような感じがするのであります。きょうこれを直ちにここでどうにかしろというわけではありませんが、あなたのほうとして、こういう問題が天下の話題になるということは、人事運用についてまずい点があるのじゃないかと痛感をいたします。お答えになるならお答えになってもけっこうですがこの点だけ強く指摘しておきます。  その次に御注文申したいのは、税というものについて報復手段をとってはならぬということであります。こんなことはないと、すべての国税庁の方はおっしゃるに違いありません。けれども現実としてはあるわけであります。たとえば民商に対する手段がそうであります。たとえば飯塚事件がそうであります。私はこの二つの事案についてのあなたのほうの言い分はよくわかっています。わかっていますけれども、税の調査をもって報復手段にするということは厳に戒めなければならないことだと思います。なるほどその必要に基づいて調査をされることはいいけれども、あなたのほうの内部処理において、打ち合わせ会議において、事、民商の会員だとわかったならば特に念を入れて調査をしろと言うことは、言う本人の気持ちは那辺にあろうとも、受け取る税務職員は報復手段としてこれを考えるのであります。飯塚事件につきましても、まさに数百名になんなんとする延べ調査が行なわれている。調査するだけの必要があるとおっしゃるかもしれない。けれども冷静に、客観的にお考えなさるならば、第三者からこれを見るならば、税の調査をもって報復手段にしたといわれても弁解のしようがないのであります。したがいまして、税の調査というものは最も公平でなければならず、税務調査において職員に与えられた権限というものは正当に行使されなければならぬ。那辺にも感情が手伝って行なわれるようなことがあってはならぬ。こう考えるのであります。税につきましてわれわれに陳情する、あるいは国税庁に陳情する人はまさにたくさんある。それが弱いところ痛いところをかりに突いた、あるいはかりに納税者がそのために対抗手段をとったからといったところで、直ちに国税庁がまたそれに報復手段をとるということは厳に戒めなければならぬ。ここのところは非常にむずかしいところでありまして、第一線におります職員にとりましても、生きた人間でありますからそれは感情に走ることがあるかもしれないけれども、そこのところは歴代の長官が、親切な税務行政を説き、得なことは進んで教えよと言っておる、そういう理想像に到達いたしますためには、いやしくも第三者から見て税務行政で報復手段をとっておるというような感じを与えることは厳に戒めなければならぬと思いますが、長官のお考えを伺いたい。
  44. 吉岡英一

    吉岡政府委員 税の調査を報復手段と申しますか、そういうものに使ってはならないというお話でございます。まことにそのとおりだと思います。そういうことがあってはならないということでありまして、厳に戒めなければならないことだと考えます。また感情によって行政が左右されてはよくない、これもまたお話のとおりであります。同時に、税は十分御承知のように公平でなければならないわけであります。正直者が損をするというようなことがあってはならないわけであります。公平な課税をいたしますために、御指摘のように感情的になったり報復手段にするというようなことはもってのほかだと考えております。
  45. 横山利秋

    横山委員 前長官は在任中にいろいろな問題に直面されました。一つは小千谷税務署事件であります。われわれは小千谷税務署事件について前長官がとられた措置について必ずしも同意をしなかったわけであります。そのために長官は一年有余にわたって委員会出席をされませんでした。されないというのは、客観的にそうなったわけであります。また第二番目に飯塚事件で前長官は非常に困難な場面に逢着をされました。われわれはそれは国税庁が報復手段をとった疑いがあると考えたからであります。飯塚事件の黒白、是非についてはまた他日質問をいたしたいと思う、また裁判の動向にまちたいとは思いますけれども、しかし結論的に見て、いま飯塚氏が起訴されていないということを、飯塚がけしからぬと言った人たち立場からは一体どういうふうに説明されるのだということにもなるわけです。それからまた、そのほかの反税諸団体との関係について前長官は非常な苦労をなさいました。まさにこの三つの問題は、歴代の長官の中で最も前長官が苦労をされたことだと思います。われわれとは多少立場が違うのです。違うのですけれども、もう少しわれわれと十分な意思疎通なり何なりをしたならばこのような問題はなかった。ないしはある程度カバーできたのではないかと私は考える。で、新長官が前長官の苦労のあとを受け継がれてこのむずかしい税制に対処されるについて、私は、十分に国会側と意見の疎通をはかってもらいたい。われわれの意見を聞く十分な機会を選んでもらいたい。これは、決して私は前長官の去られたあとでどうこうと前長官を言うわけではなくして、税務行政のために、この今日までの困難な問題の経過から見て、あなたに御注文をしたいわけです。  それから次の注文は、税を徴収する側から見た税制改正の問題であります。税務職員に接触しておりまして、この間も私は大臣に申し上げたのでありますけれども、要するに、税務職員の最後に逃げることばは、私は知りません。法律できまったんですから、あなた方が選んだ代議士がきめたんですから、私は法律どおりにやるんですから、というのが税務職員の逃げることばであります。ということは、納税者側からいって、おれのところばっかりひどい、隣はどうだ、また大企業はどうだ、また汚職はどうだという非難に対して、まともに税務職員はよう答えない。最後は、法律できまってるんですから、私は法律どおりにやるよりしかたがないんです、と言うて逃げておる。逃げられない場合においては、それじゃというわけで、まあまあ他との均衡で査定をするというところで説得をする。こういうところに税務職員の心理はあるわけです。かつて私は引用したのでありますが、ある税務職員が、前の晩に徹夜でマージャンをやったときにはばりばり仕事ができる。前の晩にクラシックを聞いたときには憂うつでしょうがない。これは税務職員人間としての本能でありますが、公平観からいってやりきれないという心理を物語ったものであります。したがって、私があなたに注文したのは、税制改正について、税を徴収する側、つまり第一線の職員気持ちをくんだ意味においての税制改正意見というものは、あなた方、つまり国税庁側から出るべきだという点があります。その点については、たとえばいろんな言い方があるでありましょう。私が一番、最も主張したいのは、いわゆる公平理念であります。税が公平でなければおれたちは自信を持って税が取れないという立場を徹底をなさることでなければなりません。どんなに理屈が国のため、あるいは政策のためといっても、私どもは今度の配当や利子の問題について最も大きな反対意見を持っておるわけであります。どろぼうでも三分の理屈がありますから、決してその問題も理屈がないとは言いませんが、しかしながら、納税者と話し合って説得をし、心よく出していただくためには公平の理念でなければ決して説得力はない。その意味において、公平の理念というものを貫くことをあなたは傘下数万の税務職員を代表して税制改正に強く主張しなければならぬことだと思う。  第二番目には、あなたの傘下職員の数と業務量の関係だと思います。ことし初めて数年来にない増員が認められましたことはけっこうなことだと思います。経済の激変、それから担税能力を持つ人の非常な異動、先ほど堀君も言っていましたけれども、マンモス税務署、マンモス局というふうになってまいりますと、その配置転換その他業務機構の変更もしなければなりませんが、少なくともおれの部下職員はこれだけだからこれだけの仕事ができないということがあってしかるべきでありましょう。もしもそれを凌駕いたしました仕事量では仕事が正確に、迅速にはできないはずであります。したがって、あなたの傘下職員の職務執行能力の限界というものをあなたは主張なさるべきだと思います。  第三番目には、いまの税務行政が非常にむずかしい、わからないという納税者の声、職員の研修をしなければならない限界というものを考えまして、簡素化に全力を注いでいただかなければならぬと思うのであります。いや、簡素化をするようにあなたは主張しなければならぬと思います。今日までの国税庁長官はりっぱな人が続きましたけれども、お仕事の中心は、おおむね主税局なりあるいは大蔵省なりできまったことをいかにしてそしゃくするかということに重点が注がれてきたように思います。しかし、私があえて国税庁に望みたいのは、いま言いましたような諸点、そのほかにもいろいろなことがありますけれども、その限界というもの、みずからの仕事、みずからの納税者に対する説得力の限界というものを心得て、主税局なりあるいは大臣に向かって堂々と意思表示をなさる、税制改正について意思表示をなさることが最も大事なことではないか、こう私は考えるのであります。この点について御意見を伺いたいと思います。
  46. 吉岡英一

    吉岡政府委員 国税庁は税の執行機関として、税の執行上いろいろな意見があるわけであります。おっしゃったように、職員数その他からいう事務の限界もございます。それから、最後におっしゃったわかりやすい税制にしてもらうということが執行面からも非常に望ましいわけであります。そういう意味で、主税局がいろいろなものを立案します際に、執行機関からの意見としていろいろな意見をぜひ私も今後述べたいと考えております。  最初の公平の問題につきましては、御趣旨はわかりますけれども、何が公平かということが問題であろうかと思います。各人がいろいろ公平と思う観念が違うと思うのでありますが、税の執行機関である税務職員が、自分が公平であると思うことに従って税制論議することは慎しまなければならないと私は考えます。税制の問題は、やはり御指摘のように、国会で十分な論議の結果定まるものでありまして、税制について税務職員がかれこれ申すことは差し控えるべきであるというふうに考えます。
  47. 横山利秋

    横山委員 最後のことばがちょっとひっかかりますが、税制について税務職員がとやかく言うことは差し控えるべきであるということはどういう意味でおっしゃったか知りませんけれども、問題が二つに分かれると思うのです。一つは、おそらくあなたの御意見は外に向かっていろいろおっしゃることだと思う。私はその点についても意見を差しはさむのでありますけれども、もう一つの、内にあって、税制改正論は、堂々と現場職員意見を反映なされなければいかぬと思うのです。税務署なりあるいは国税局へ行きましていろいろ意見を聞いておりますと、実に詳しい。よく知っている。けれども、その矛盾ということについての人間的な立場というものについていささか欠くるところがある、私はそう思うのであります。つまり、自分の所管することについて改正意見というものをもっと堂々と上司に向かって主張し——主張と言うと語弊があるかもしれませんけれども、開陳をし、上司が進んでそれを取り入れて、さらに上局に改正意見を出すというようなそういう機構、そういうムードがあって、改正は改正、執行は執行というふうにやらなければ私は常に問題が発展をしない、こう思っております。それから改正意見につきましても、これがいわゆるあなた方のおっしゃる反税的な立場であるか、堂々たる税法改正論であるかについては、必ずしも一がいに税務職員が税について議論をしてはならぬというふうには私は考えないのであります。いかがでございますか。
  48. 吉岡英一

    吉岡政府委員 私が、税務職員税制についてかれこれ言うべきでないと申し上げたのは、主として外部に対しての感じでございます。内部的にいろいろ執行をやっていました経験から、こういうような税制であることが公平な課税をする上において望ましいという意見があれば、それはわれわれの職場の中でいろいろ検討し、国税庁に集めまして、主税局に参考意見として申し述べることは一向に差しつかえないと考えております。
  49. 横山利秋

    横山委員 先般あなたのお見えにならなかったとき、もう一つ希望を申し上げておきました。それは、先ほどとちょっと矛盾するようでありますけれども、しかし、これは国税庁立場でなくて、国の立場において行なわれております暴力団に対する課税措置について、国税庁が非常に逡巡をしておるきらいが見えるということを指摘をいたしました。先般浜松並びに中村の結果を伺いましたけれども、いま暴力団に対する世論はまさにあらゆる角度から国民の声になっておりまして、全力をあげてあらゆる人たちが応援をしておるわけであります。ただしかし、その中におきましてひとり国税庁のみが何かためらいをしておるような感じを受けたわけであります。その点を指摘いたしましたところ、必ずしもそうではないというお気持ちがございましたし、またそれに携わる職員諸君の心理についてもいろいろなお話を承りましたら、ごもっともと思う点がないではありません。しかしながらこれほど天の声、地の声、人の声になっておりますものであって、しかも私は無理にやれと言っているのではなくして、所得のあるところに課税があるという原則になりますならば、普通どおりにでもやらなければならないではないか。普通どおりにやることが何かためらわれておるという現況ではないかという感じがいたすのでありますが、あなたの御意見を伺いたい。
  50. 喜田村健三

    喜田説明員 この間御答弁申し上げましたように、暴力団に対する課税が不徹底であるということのために、暴力団の資金源を助長している、そういうことがあってはならないということで、われわれといたしましては、こうしたことについて十分課税が徹底するように第一線において努力しておるところでありまして、そのために、たとえば資料収集が非常にむずかしいというような点につきましては、警察、検察庁と十分連絡をとりまして、そうしたところから資料の連絡を受け、そして課税する、現在そういうふうにいたしております。ただ、普通以上に課税ないし調査を徹底するということは、先ほどのお話にもございましたが、暴力団の課税がほかの普通一般の課税よりもゆるくある、このために暴力団の資金繰りを助長する、そういうことのないように十分な努力をしているところでございます。
  51. 横山利秋

    横山委員 きょうは長官の所見を伺うのでありますから、具体的な事案にはなるべく触れないで、時間の関係上次に進みたいと思うのでありますが、以上の点について強く私の意見指摘しておきたいと思います。  先ほど堀君が電子計算組織の導入について、国税庁意見をただしておりましたが、承るところによりますと、短期計画をもって、国税庁としては電子計算組織の導入をはかられる模様であります。私の承知いたしましたところによりますと、まさに短期並びに長期計画、膨大な御計画をもちましておやりになるそうでありますが、これによりますと、一体どういう国税庁仕事の変化があるのでありましょうか。私は技術には弱いのでありますけれども事務能率はどういうふうに変化し、そして徴税機構はどういうふうに変化し、また税務職員はどういうふうに変化していくのか。この導入によっての将来の徴税行政機構、人員の展望はどう変化していくのか伺いたい。
  52. 喜田村健三

    喜田説明員 現在電子計算組織の導入につきましては、まだ実験の段階でありまして、東京国税局、麹町税務署、麻布税務署そのほかにおきまして、申告所得税、それから法人税につきまして、その集計、検算その他につきまして現在まだ実験中の段階でございます。ただこれによりまして、将来の見通しといたしましては、まず機械化によりまして人員がある程度削減できる。先ほどお話のありましたように税務行政事務量が非常にふえてまいっておりますが、職員の定数がまだそれほどふえない、こういう段階におきまして、何か仕事を機械化して機械でやれるような仕事は機械にやらしていく。それによって浮いた人員を外部の調査なりあるいは納税者に対するサービス、指導といったところに向けていく。そういうことのために人員の削減、内部事務を引き上げ、機械化することによって人手を浮かす、そういうねらいが一つございます。  それからまた、現在税務でいろいろ業務管理をいたしております。その場合にそろばんで集計することがとてもできないというようないろいろの業務管理資料が、この電子計算組織を使うことによってできる。それによって調査の効率化もはかれるし、また納税者に対するサービスも徹底できる。また歳入予測、税法の改正の効果測定、そうした税制の面についてもいろいろ利用できるであろう。そうした展望のもとに、一つは先ほど申しました人員を効率的に運用するという面、もう一つ業務管理を一そう迅速、的確にやれる、こういう見通しをもって、現在電子計算組織をどのような事務に、どのようにして入れていったらいいかということを実験中の段階でございます。来年度予算におきましては、この電子計算組織の本体が導入されるという見通しになっておりますので、なるべく早く結論を出して、そうした事務合理化、効率化ということに役立てたい、こう考えておる段階でございます。
  53. 横山利秋

    横山委員 それは明年度この短期計画及び長期計画に伴って、予算上どのくらいの費用が要るものであるか、また私はよくわからないのでありますが、どういう事務を電子計算機によってまかなおうとするのであるか、短期計画によってこれがどのくらいの人員が削減されるものであるか、その点を具体的に伺っているのです。
  54. 喜田村健三

    喜田説明員 来年度予算に計上されて、いま御審議いただいております予算額といたしましては、四十年度における導入経費は一億八千百万円ということになっておりまして、これは先ほど申しました電子計算組織の本体を導入する、そのための施設整備費及び本体の借料、それから、それまでの間の計算処理の委託費あるいは導入につきましていろいろ専門家の意見を聞くといったようなコンサルティングの費用、こうしたものを全部集計いたしまして、一億八千百万円要求しているところでございます。  それから、そうした場合どのような事務をどのように機械化するかということにつきましては、先ほど申し上げましたように現在まだ実験の段階で、どのような事務を乗せたらいいかということを検討中なんでございますが、大体の見通しといたしましては、法人税、それから申告所得税あるいは源泉所得税というものの検算、それから集計、それから収納——収納と申しますか徴収決定税額、それが幾ら入って幾らまだ滞納になっておるか、そうした収納の問題、それらの個々の計算、管理、それから集計、それから一方、先ほど申しましたような業務管理の徹底を期するような資料を、そうした電子計算組織を使って収集する、こういうことを現在のところ考えております。
  55. 横山利秋

    横山委員 それによりますと非常な業務量の大転換が行なわれるような気がいたしますが、端的にお伺いしたいのですが、人員運用としてはどういう展望を持っていらっしゃるのですか。この電気計算機が傘下局、署、本庁を含めて、非常な配置転換なり、新しいキーパンチャーの職種の増加なりあるいは人員縮減なり、それらに及ぼす影響というものはなかなか容易なことではないと思います。人員運用、つまり現在の実人員を縮減するのか、つまり首を切るのか、あるいは現在人員をもってしてもなお本年度のように増加が、将来展望として必要になるのか、配置転換はどういう規模で行なわれるのか。これは一挙にやられるのではありません。順次に行なわれるのでありますけれども、総体的に人員運用について何か確固たる御方針がおありになるかどうか、伺っておきます。
  56. 喜田村健三

    喜田説明員 先ほど申しましたように電子計算組織によって事務の機械化をはかるという場合に、内部事務では確かに人員のある程度の削減ができます。したがいまして、そこだけは人手が浮いてくるわけでございます。その人員は事務量の増加、現在、——今度定員を認めていただいたとしてもまだ事務量が相当オーバーになっておりますので、そうした事務量のほうに、外部事務、特に機械ではできないような調査、徴収の事務、指導の事務というふうに回すということになっておりまして、これによって人員の削減が生ずるというようなことはないという見通しを持っております。それ以外に、たとえばキーパンチャーをどうするか、あるいは事務官の異動がどうなるか、そうした問題につきましては、先ほど申しましたように現在どうすれば一番効率的かということを実地の税務署事務に乗せて検討中でございます。まだそうした見通しについてはここで申し上げるだけのはっきりした見通しがついておりません。
  57. 横山利秋

    横山委員 おことばの中にあったかどうか知りませんけれども、ちょっとほかのことを考えていましたが、要するに人員運用については、それをもってしてもなお増員の必要があるから首は切らない、こういうふうに解釈してよろしいのですか。
  58. 喜田村健三

    喜田説明員 国税庁としてはそのとおりと考えております。
  59. 横山利秋

    横山委員 長官に別なことを一つお考え順いたいのですが、それは三月十五日の確定申告に関する問題であります。私も各省の状況をいろいろと承知をしておるわけでありますが、たとえば三公社等におきましては、予算措置によりまして、その年の増収ないしは節約があった場合においては、予算総則その他をもって弾力性があるわけであります。つまり夏冬は別として、三月におきましては増収、節約に応じて何かのことを考えるという、言うならば固定給与のほかに三回別の収入があるわけです。たとえばまた郵政省におきましては、年賀郵便が年末に殺到いたしまして、まさに戦場のような状況であります。それで年賀郵便については特別な超過勤務があるのは当然でありまするから、その分についての考慮がなされておるわけであります。私はいま直ちにそれを、三月十五日の確定申告に結びつけることはいたしませんけれども、しかしながら税務職員にとって、また国税庁にとって、戦場のような仕事は三月十五日の確定申告であります。まさに納税者側もそれによって詰めかけ、税務職員もまた税務機構も、確定申告前にはあらゆる準備をしてそれに没頭をいたします。したがいまして、この三月を迎える税務機構というものの特質を、何かの形で考えるべきときではないか、こう私には思われるのであります。おそらくこれは内部でも議論されたことがあるのではないかと思います。それだけの理由、それだけの必要性は、あなたが長官として数万の職員に、三月確定申告についていろいろ考えさせ準備をさせる、そしてそれに対して適切な指導をさせるという、年間の一つの山であるだけに、それなりの超過勤務手当なりそのほかの手段というものをお考えになるのが、他の省の例からいって当然ではなかろうか、こう思うわけでございますが、いきなりそういう話をしたので、御返事がむずかしいかもしれませんけれども気持ちはわかるかどうかという御返事を伺いたい。
  60. 吉岡英一

    吉岡政府委員 お話のように、確定申告時期は税務行政として一番忙しい時期でございます。職員にとりましても相当の超過勤務をしなければならない事情にあるわけでございます。超過勤務につきましては、当然当初から予想されることでございますので、三十九年度については三十九年度の予算で措置をしてあるわけでございます。その予算を使って、必要な超過勤務手当は支給することになっておるわけであります。  ただお話が、どうも三公社のような、いわば業績賞与式のお話になりますと、これはやはり三公社のような企業体と違うわけで、公務員の給与は、すべて法律によって定められた給与を支払うことになっておるわけでありまして、三公社のようなというわけにはまいらないと思います。
  61. 横山利秋

    横山委員 ですから私は気持ちはわかるかという質問をしておるのでありまして、法律上は、三公社はそれぞれ給与総則の中にその弾力性をうたわれておる。それとは別に、郵政等にあっては、年末の繁忙時におけるそれだけの措置がしてある。税務職員にとっては、超過勤務をすればもちろんそれは超過勤務手当が出るのはあたりまえである。しかしあなたは御存じないと思うのですが、税務職員の超過勤務というのは全く実情に適合をしたやり方なり、あるいは総額は配賦されていないのですよ。何となれば、一つには自宅へ持って帰って仕事をする人が非常に多い。これは一回指摘をしましたけれども、非常に多い。それがいい、悪いの問題ではないわけです。結局税務署で夜おそくまで残って仕事をするのにもやはり限界がある。確定申告の際になりますとなかなかそうはいかないので、持って帰るという人が多いわけです。それからもう一つは、同じ机を並べておって、自分のところだけがよく超過勤務をしたからそれだけ余分にもらう。この人はうちへ持って帰って仕事をする。役所に残った人とうちへ持って帰った人とが課長なり係長にはわかっておる。だから、まあそういうことを言うては恐縮でありますけれども、まず大体公平に分けるという慣習がないではないわけです。したがいまして、実働に応じて超過勤務が行なわれているわけではない。それから、予算が少ないから、それまた実働に応じて分けられているわけではないわけです。私が言う意味は二つある。一つは、三月の確定申告において非常に忙しくて超過勤務をするから、その実際の、実質的な意味において、超過勤務をきちんとつけなさいという意味と、もう一つは、年末年始の輸送御苦労さん、年末年始の郵便配達、年賀郵便御苦労さんという気持ちが、あちらにはあるわけです。三月の確定申告御苦労さんという気持ち国税庁にもあっていいではないか。この二つの意味から申し上げておるのです。ですから、気持ちはわかるかと私は聞いておるわけです。
  62. 吉岡英一

    吉岡政府委員 お話の前段の超過勤務は、法令上当然の支給すべきものであるから、十分に支払うようにというお話は、そのとおり、ごもっともだと思います。ただ、後段の問題になりますと、私も主計局、理財局等で、予算や財政の編成をやりました。暮れの時期は相当いろいろな事務がふくそういたしまして勤務をするわけでありますが、といって法令上にないものをどうこうするという性質のものではないように考えます。お気持ちはわかりますが、やはり公務員としては法令に従った給与を支給するということだろうと思います。
  63. 横山利秋

    横山委員 そうなれば鍛冶さんにお返事をいただくよりしようがないですね。私の気持ちはよくわかるでしょう。やろうと思えば方法はあるのですよ。まああんまり方法論まで私がここで言うと、それは速記録に残りますから、差しさわりがあるから言いませんけれども気持ちがわかりますと国税庁長官が答えれば、それは方法はないではないと思うのですよ。鍛冶さんも政務次官におなりになってから、税務署へまだお行きになったことがないと思うのですが、まさに確定申告の状況は戦場のような状況です。しかも、一昨年でありますか、国税地方税と両方を一緒にやるということになりましたものですから、もうそのころには税務署の、ある部屋は全部片づけてしまって、そうして片づけてあるやつをこっちへ持っていって、そうして納税者が来たら次から次へとやるというような、たいへんな騒ぎです。したがいまして、こういうような一年の大仕事のことについて、国鉄や郵政やそのほかのところはそれぞれ一生懸命やってもらったということについてのいろいろなことが考えられるのに、みつぎ取りの皆さんはそういうことについてまことに人情がないのか、そう思うのですが、どうですか。あなたはひとつ骨を折ってやってくれませんか。
  64. 鍛冶良作

    鍛冶政府委員 どうも私はそれらに対する手続とか規則なりはよく知りませんから、どうして出すかということはわかりません。けれども、それは、ずいぶん骨を折っておることがあれば、思いやりがあってしかるべきだということはわかります。
  65. 横山利秋

    横山委員 政務次官のたいへん御好意ある、思いやりのある御答弁でございます。長官も、ひとつ、その確定申告の際に、そういう鍛冶さんの言うような思いやりが、あなたの就任早々、一番最初にありますならば、傘下数万の税務署員は、名長官出現、こう思うに違いないのであります。私も役人——まあ役人の下っぱ上がりでありますが、方法論としてはいろいろあるわけであまりす。ですから、どういう方法、どういう内容のものであるということは問いませんけれども、御就任なさって初めて迎える三月の確定申告に際して、いま鍛冶さんがおっしゃったような思いやりのある措置をくふうしていただきたいと思いますが、どうでしょうか。
  66. 吉岡英一

    吉岡政府委員 たいへん税務職員に対する思いやりのある御発言で、お気持ちはたいへんありがたいと思うのであります。そういう気持ちでいろいろな行政運営していかなければならないと思いますが、具体的ないまのお話になりますと、先ほど申し上げた以上には申し上げかねるという感じがいたします。
  67. 横山利秋

    横山委員 法律論ないしは予算論をここで言っておるわけではない。私の言うておることは、現在の実情からいいましても、超過勤務手当は完全支給されていないという立場があるわけですよ。そして家に持って帰っておることは考えられていないということがあるわけですよ。ですから、その意味においてあなたがみずからの妥当と信ずることをおやりになるだけでも、方法はあると私は言っておるのです。あなたに違法なことを主張しておるわけではない。でありますから、あなたの妥当だと信ぜられることで、しかも私の申し上げておるような実情をくんで、そして三月の確定申告の際のひとつの措置をお考えを願いたいと思います。これはどうですか。
  68. 吉岡英一

    吉岡政府委員 先ほど申しましたように、税務署員に対する非常にあたたかいおことばでございまして、よく拝承をしておきたいと思います。
  69. 横山利秋

    横山委員 あまりくどく言いますと、しかめつららしくなっちゃってうまみがなくなりますから、私が本問題だけで五回も立って、そして新長官に花を持たせようと思っておる気持ちをあなたにくんでもらわなければならぬ。名長官だと言ってもらって、そして税務行政が円滑に行なわれるようにしたいと思っておる気持ちをくんでもらわなければならぬ。ひとつよくこの点は要望しておまきす。  だいぶお待たせをいたしておりますが、泉さんにひとつ伺いますが、相続税の改正案がこの国会に出ています。この相続税法の一部改正案を見ながら考えられることは、夫婦間贈与の問題であります。本件につきましては、税制改正の調査会の答申の中にも若干触れておるわけでありますが、あまり感心した触れ方もしていないのであります。要するに、おやじが一生懸命に働いて得た収入は、女房に縁もゆかりもないというたてまえが今日の税制であります。家庭にあってわれらを送り出し、子供を教育し、われらに後顧の憂いをなからしめる女房の存在というものは、諸外国にもまさってわが国においての女房の働きというものは、われらの収入のうちの少なくとも相当部分は女房の働きである。これはどなたも異存がないと思うのであります。しかしながらわが国の税制は、おやじが働いてもらってきた月給、所得はあげておやじのものであって、女房にこれをやろうとすると譲渡所得として税金がかかるというたてまえになっております。これはいろいろとしかつめらしく現行の法制、民法になり何なりをひもときますと、ゆえんなしとはしない。けれども、実情には合わぬ。このことは私は明白に言えます。お互いに家庭を持ち、夫たりあるいはおやじたり、そして家庭を円満にしていきますためには、夫婦の協力というものは全く重要なことである。したがいまして、夫婦間贈与を一銭たりともやったら、それは贈与税として税金をかけるというものの考え方については、一考を要することではな  かろうかと思いますが、人情豊かなる泉主税局長  の見解を伺いたいと思います。
  70. 泉美之松

    ○泉政府委員 夫婦間贈与の問題につきましては、昨年も当委員会におかれまして問題になりました。私どもといたしましても税制調査会におはかりいたしたのでございますが、この問題は横山委員先ほど仰せられましたように、わが国の民法の制度におきまして、婚姻前から有しておった妻あるいは夫の財産、それから婚姻中自己の名前で得た財産はそれぞれの者の特有財産とするという制度になっております。もちろんわが国の民法におきましても、夫婦財産共有制度というのがございますけれども、現実には夫婦間において共有財産契約を結んで、そういう制度を実施しておる夫婦というものはきわめて少ない。したがって、夫が勤務して得た収入につきましては、民法のたてまえ上それが夫の所得であるということになっております。税法はこれを受けまして、夫の所得を妻に贈与すれば、そこに贈与税の課税を生ずるということになっておるのであります。もちろん夫婦が生活をしていく上におきまして、夫が勤務するのに妻が非常な貢献をしておること、これは所得税の上におきましても配偶者控除の点で認めておるわけでございます。そういう意味では、妻の立場というものを十分考えなければならないのでございますが、しかし民法の制度がそうなっておりますために、民法の制度と違って税法上だけ夫婦間の贈与に課税しないということになりますと、これはひとり相続税、贈与税の問題だけでなしに、所得税の問題にも発展する大きな問題になるわけでございます。そこで税制調査会にいろいろおはかりしたのでありますが、結局これは税法だけの問題でなしに、民法の制度と合わせて考えなければならないであろう。したがって、今後税制調査会にそういう相続税の改正についての特別の委員会を設けて検討すると同時に、しかるべきところ——おそらく法務省となろうかと思いますが、そこにも民法のそういう夫婦間の財産制度についての改正について検討をしてもらうことにして、両者が相協調してこの問題を考えていく必要があろう、こういうことになったのでございます。したがって、私どもといたしましては、今後税制調査会にそういう特別の委員会を設けまして、夫婦間贈与の問題、これはひとり相続税、贈与税だけの問題でなしに、所得税にもからむ問題でありますので、広範に検討してまいりたい、かように考えておるのでございます。
  71. 横山利秋

    横山委員 そういうお答えになるだろうと想像はしておりました。しかしながらあなた方はとかく徴税上有益なことは税法が優先をすると言い——そう言ってはおこるかもしれませんけれども、ちょっと都合の悪いときは民法を直してもらってから、こう言う。私は非常にかってな話だと思うのです。いま夫婦間贈与について、ぼくは全額をしろと言うわけではない。少なくとも一定率ないし一定額については、夫婦間贈与についてはこれを無税にするというようなことをきめてどういう支障があるか。もちろんそのおやじが死んだときの相続税との見合いというものはある。贈与したほうが相続税を払うよりも得だからじゃんじゃん贈与をしてしまうということがあっては少し問題があるから、相続税との見合においてやるということは可能ではないか。一定率、一定額をやるのに、それをやったら民法にどんな支障があるのか。他にどういう矛盾が起こるのか。そんなことはないですよ。だからこの相続税法の一部を改正するのを機会にして、とにかくよう働く女房に——あなたもうちに帰って御苦労さんと言わないのですか。言わないね、あなたは。言わないでも、奥さんはちゃんと一ぱい食膳にのせているでしょう。帰るとうしろから、よく着物を着かえさせるでしょう。そういう女房のありがたさもよくわかっているのじゃないでしょうか。あなたは愛妻家だという話を聞いているのだが、そうだとすれば、あなたが率先して夫婦間贈与については考えてやるべきではないか。町のうわさは逆であって、あなたはそうではないというのなら、それはしようがないけれども、冗談はともかくとして、この現行法制における相続税との見合いにおいて夫婦間贈与を一定率、一定額改正するのに何の支障があるか、その支障を伺いたい。
  72. 泉美之松

    ○泉政府委員 御承知のとおり現在相続税におきましては、配偶者が他の一方の配偶者から財産を相続いたしました場合には、配偶者控除という制度が設けられております。そこでお話の御趣旨は民法の特有財産制度としてはともかくとして、そういった相続税の配偶者控除の制度に似たような——この相続税の配偶者控除は税額控除でございますから、おそらく御趣旨は、贈与税の場合にはそういう税額控除ではなしに、一定率、一定額の贈与については、夫婦間の場合には課税しないようにせよとのおことばかと拝察するのでございますが、その点につきましては、お話のようにその控除を絶対に認めていけないというのは、民法の制度等から全然あるわけではございません。したがって、そういう方向は検討すべき方向であろうかと思いますが、問題はそういうことをする場合に、事業所得舌の場合、いま配偶者にも専従者控除を認めておりますが、それとの関係からいたしまして、贈与の場合に控除を設けた場合、所得税の課税のほうにどういう影響を及ぼすかというような面も縦計いたさなければならない点があるわけでございまして、いずれにしてもそういう姿において夫婦間贈与の場合に軽減をはかって、いまのように夫婦間において一定額以上の贈与をした場合に必ず課税になるということが一般の人情から見て好ましくないというのをある程度解決する方向にはなろうかと思います。しかし夫婦間においていま御承知のように贈与税の非課税の限度は年四十万円になっておりますから、それ以上の夫婦間の贈与について特別の控除をどの程度まで設けるかということになりますと、やはり相続税の負担とのバランスからいたしまして、いろいろ問題はあるところだと思います。いずれにしても、そういった点につきましては、なおよほど検討いたさなければならないと考えております。
  73. 横山利秋

    横山委員 問わず語りに、あなたはむずかしいむずかしいと言いながら、一つの自分の指針、私案を出していらっしゃるような気がするわけです。たとえばいまのお話しの、贈与税には基礎控除が四十万ある、その基礎控除というものがあるんだから、女房については別な基礎控除なりいろいろな手配がそこでできる、しかしリミットは相続税における見合いであるというふうに問わず語りに話をしていらっしゃるように思います。いまの御説明では一歩前進をして、民法が改正されなければやらないというところはおっしゃらなかったように思います。そうですね。ですから、これはだれが考えても納得できるような問題であり、そして税法上そんなにむずかしく判断をしなければならないような、あれこれとの関係はないように私は思うのです。——そんなところで首を振らぬでもいいじゃないですか。大体ここまで近づいてきたのです。あなたは最後になると、ちょっと首を振って抵抗を示すからいかぬのです。こういうところまできたのです。鍛冶さん、あなたはいつも引き出すといい答弁をしてくれるのですが、いかがですか。泉さんに聞かぬでもいいから……。
  74. 鍛冶良作

    鍛冶政府委員 先ほど税法知らぬ者が税のことをやると言われましたが、全く私がそれを言われるように耳が痛かったのですが、税法のことは私よくわかりません。わかりませんが、先ほどから承っておりますると、女房というものは家を守るためにたいへん功労があるんだから、名前を変えても税金を取らぬでもいいじゃないかというようなことでしたが、そのもっと根本に何か根本論があるんじゃないかと思うのです。たとえば夫婦共同生活をしておるときに、おやじが財産をつくったからといって、おやじが一人で財産をつくったんじゃないんだ。これは女房と二人でつくったんだから、どっちへやろうといいんだ、こういうようなことか、いろいろのそういうことの原理からこなかったら……。やはり名前が変わっておやじの財産が女房の財産になった、こういうんですから、どっちかから財産が移って、財産が移ったとすると、法律上財産が移ったときには税金を取らんならぬ、それは取るのはあたりまえだ、私は、何かそういう原理からくるんじゃないかと思うのですが、あなたの根本思想はどこにあるか、承りたい。
  75. 横山利秋

    横山委員 根本思想といわれると私も実は困る。私は人情論、あまり理屈でなく、情におぼれるほうなんですが、主として愛妻論からきているんです。愛妻論の根本になりますのは、やはりおやじですよ。残念ながら平等じゃない。私が最も強く、私が最も一生懸命に働いて私を通じて得た金であるから、原則としては私のものだ。名義上もそうなんです。ただ私ひとりでかせいだ金じゃない。女房がいつも御飯をつくってくれる、送り出してくれる、そうして自分の働きよい環境を整備してくれる。古いことばですが、その内助の功というか、私一人でもうけた金じゃないという人情論が主力になっているのですが、これは理屈からいっても通ると思うのですがね。だからあなたの言うようにどっちへやっても一緒じゃないか、やはりそれは理論としては私であり、そしてその中の幾分かは女房の働きであるから、私は全部とは言わぬから、一定率ないしは一定額は贈与してもこれは税金を安くしてやる、こういうわけです。
  76. 鍛冶良作

    鍛冶政府委員 どうもそういう思想が近ごろ婦人の間でずいぶん主張されますので……(横山委員「男性であるぼくが主張する」と呼ぶ)婦人が主張するから男性も耳を傾けるのです。そういう意味ならば、これは立法上今後考えてしかるべきものじゃないかと思う。ただそうなりますと、それなら夫が前におやじからもらって相続したその女房と関係のない財産は、これはまた別個に取り扱わなければならぬじゃないか、そういうこと等もありますから、これは将来大いに専門家に研究してもらうのには重要な問題だと思います。現在はちょっと困るのじゃないかと思います。
  77. 横山利秋

    横山委員 あなたは問題をはぐらかしてしまってはいかぬ。せっかく泉さんとやっていいところまできたのだから……。それは、私が女房と結婚する前に私の財産があった、この問題はなるほどそうかもしれない。けれども私の言うのは、夫婦になって一緒に働いて、その夫婦として得た所得、私が名義上もらったのだから、その所得についての理論をまずオーソドックスに進めている。あなたは問題をはぐらかして、夫婦になる前に私が持っておった金、土地、建物、こういうことかもしれぬ。けれどもあなたの言うそれをもってしても、私が死んで女房が相続するときには、税金は女房については安いのですよ。だから私がいま主張したような理論は、もうすでに相続税のときには生かされておるのです。死んだときだけは生かす、生きて二人が仲よく働いているときは生かしてやらぬというのはおかしいじゃないか、こういうことなんです。
  78. 鍛冶良作

    鍛冶政府委員 どうも私は専門的なことを言うのもあれだから、あなたからお問いがあるから私の常識だけを述べるのですが、今後そういうことは確かに考慮すべきものじゃないかと考えます。考えますが、女房と二人でもうけたのじゃないものに対しては、それは別ですよ。そういうことで、そのかわり先ほど言われるように、夫婦控除があればそれでやっていくのだ。大いに研究すべきものだとは存じますが、きょうのこの法律で直ちにやれるかどうかは、ちょっと疑問だと思います。
  79. 横山利秋

    横山委員 もう一ぺん言いますが、鍛冶さん、ぼくと彼女が結婚する前に僕が持っておった土地、建物、それでもぼくが死んで女房が相続するときには、女房なるがゆえに特別に安いのですよ。したがって、死んだときには女房の特別な存在価値を認めるというならば、その見合いにおいて愛し愛されているときにもその分を考えてやったらどうだというのです。そういうことなんですから、あなたの言う結婚する前に持っておったやつでも、私が死んだときには女房に対する相続税は女房なるがゆえに特別に安いのですから、それなら、相続税で認めているなら贈与のときでも認めたらどうだ、こういうのが私の理論ですから、鍛冶さんの御質問は回答ができたと私は考えております。よろしゅうございますね——。それではそういうことでお願いします。
  80. 鍛冶良作

    鍛冶政府委員 確かに考慮すべき御議論だと拝聴いたしました。
  81. 横山利秋

    横山委員 ちょうど大臣がお見えになりましたので、だいぶ時間がたちましたけれども、大臣お疲れと思いますので、簡単に大臣に伺いたい点を二、三質問して私の質問を終わります。  大臣には特にこの問本委員会で取り上げて検討お願いしてあるのですけれども、この機会に大臣にお願いだけしておきたい。それは国税庁年報というものが出ておる。事務資料として出ておる。しかしながらいま税について国民が知る資料、わかりやすい資料を知る者が少ない。したがってもっと対外的、国民的、納税者向けの租税白書をつくるべきだというのが私の意見なんであります。税につきましては十分に国民の理解と協力を得なければならぬ。税についてもいろいろな今日議論がありますとき、より広範な人たちの建設的な意見を求めるためにも、国税庁年報というものは金ばかりかかって見る人が少ない。私どもでももらってたなの上に積んでおいて、時によってちょっと開いてみるくらいのものであってもったいない。したがって租税白書をおつくりになったらどうかというておすすめをしておるわけであります。大臣いかがでしょうか。
  82. 田中角榮

    ○田中国務大臣 近年、白書白書といっておりますが、租税に対して白書をつくったほうがいいのか、初めての御質問でございますからいまここで唐突にお答えをすることはちょっとむずかしいと思いますが、せっかく御発言でございますから後ほどお答えをいたします。
  83. 横山利秋

    横山委員 国税庁にも検討お願いしておるところでありますから、まじめにひとつ提案の御検討を願います。  その次は、私ども昭和四十年度税制改正に対する態度というものを天下に発表しておるわけであります。あるいはごらんになったかと思いますけれども、その中で二、三の点につきまして大臣の所見を伺いたいと思います。  一つは政治的な問題でありますが、財政投融資ないしは租税特別措置の対象となっております企業が非常に多いのであります。政府から税金をまけてもらい、低利長期の金を貸してもらいしておる企業については、やはり何らかの自覚というものがなくてはなりません。また政府としてもそういうことをやったことについてのあとの税金をまけた、銭を貸したことについての効率ということを考えてもらわなければなりません。私どもはこの政策減税なりあるいは財政投融資というもののあとの念査というものが不十分ではないか。借りるときにはわあわあいって借りておるのだけれども、あとの念査が不十分である。しかもそれらの受けた企業からいろいろなことが行なわれて、最も忌むべきことは汚職が起こるということであります。汚職が起こるということの原因の一つには、やはり政治献金の問題があります。政治献金を出すくらいの会社なら、何も税金をまけてやったりあるいは税金を貸してやる必要はないのじゃないか。したがってこれらの財政投融資ないしは租税特別措置の対象になっておる企業については、政治献金を禁止するとか何かの念査の方法が必要ではないか、こう考えますが、いかがでございますか。
  84. 田中角榮

    ○田中国務大臣 国と特別の契約を持つものに対しては、公職選挙法で選挙期間中の寄付は禁止しております。こういうものをもっと広げて政治資金規正法に基づくものの中にもそういうものを入れたらどうか、こういう御発言のようであります。私も基本的な姿勢には大体そうあるべきだと思います。そうあるべきだと思いますが、ただ政策実現するためにいろいろな恩典を与えるわけであります。これが財政投融資を原資としておるもの、融資を受けた企業から政治資金を出してはならない、こういうことが規定できるかどうか、なかなかいろいろな問題もあります。これはいまの法律規定をしております法定交際費、その範囲内でもってやるとか、またもちろん税金を払ってまで法定交際費をこして政治献金をする、こういうようないろいろなケースがあるわけでありまして、こういうものが善意の、いわゆる非難さるべきようなものではなく、一般の交際費の程度においてやることまで禁止すべきか、量においてどの程度のものを受けたものに対しては禁止すべきか、これは非常にむずかしい問題があります。いままで政治資金規正法ができました当時から、この問題は議論になっておるわけであります。なっておりますが、なかなか結論が出ないまま今日にきておりますが、政治家自身が身を正していく、姿勢を正すという意味で、みずから受けないというような考え方で解決をしていくということで今日まできておるわけでありますが、これを法定して制限ができるかどうか、これは法律的な微妙なものでありますので、法律のこまかな、純技術的な問題は法律の専門家がおりますから、ひとつ鍛冶政務次官からお答えしますが、政治の基本的な姿勢としては、国家から特別な恩恵を受けておるものからは受くべきでないという基本的な姿勢に対しては同感でございます。
  85. 横山利秋

    横山委員 私は特に大蔵大臣として租税特別措置をおやりになるについでは、私どもの猛烈な反対をときには押し切っておやりになる。それなるがゆえに、大蔵大臣としてはこれだけの反対もあるけれども、みずからの信ずるところをやらなければいかぬといって、この間もお怒りになったけれども、そうだとすれば、健全に免税措置によって企業が発展し、あるいは財投によって円滑にその企業が国策の線に沿ってやるということは、大臣として念査をさるべき責任があると思うのであります。そこの企業が汚職を起こしたりそこの企業が政治献金を行なうということは、どう見ても世間の納得を得るようなことにはならぬと私は思うのであります。もっぱら私ども会議員も、そういう財投なりあるいは特別措置について審議をするたてまえからいっても、審議が公正に行なわれ、そして法律が公正にきまり、その法律効果というものが純粋に進展をいたしますためには、特に税金をまけてもらう、税金を貸してもらうといった企業について、ある程度の責任を負わせるべきだと思う。その責任の一端がとかくの疑念を及ぼしがちである政治献金を禁止をする、これによってこそこれらの特別措置、特別な政府措置もきれいに行われる、こう信ずるのであります。法律的にこれができないことは私はないと思います。それによって憲法に反するとかあるいは何かに反するとか、そういうことはあり得ないことでございます。これは大蔵大臣としての決意で行なわれ得ることであり、最も主張し得る立場が大蔵大臣であろうかと思います。決断をいただきたい、努力を願いたい、こう思います。
  86. 田中角榮

    ○田中国務大臣 基本的姿勢はよくわかるのです。よくわかるのですが、ただ大なり小なり国の恩恵を受けておるということは非常に広範にあるわけであります。いずれにしても、開発銀行の融資を受けておる、開発銀行の融資を受けておる下請までというと非常にこれは広範なものであります。輸出入銀行の資金を受けておる、いまの中共貿易みたいなものに輸出入銀行を使え、非常に安いものである、こういうように細分化してずっと第一線まで考えていきますと、大なり小なり国の恩恵を受けておらない、特別な配慮を受けておらないというものは非常に少ないと思うのです。その特別なものの中には、あなたはそこまで言っておられるのではないと思いますが、いまの税法の中でも、基本的な問題で考えてみると、特別な恩恵だというように考えられるものがあります。取得後三年以上持っていた不動産を売却する場合には、二分の一を控除して、残余の二分の一の金額に七五%までの税率による所得税をかける。この二分の一の控除も恩恵を受けておる、非常な広範なものですから、一体どこでしぼるのか、どういう方法でもってそういうことが規定できるのか、長いこと問題になりながら、集約的に結論が出ないのは、事の性質上非常にむずかしいということで今日まできておるわけです。ですから、政治資金規正法という面から考えてみましても、少なくとも政治家としてそういうものを受けない姿勢というものがなければいかぬ。しかし政治献金を受けるわれわれの選挙区の会社でも、そういうものが国の援助を受けておらぬかということを全部調べる、そういうこともなかなかできないわけでありますし、政党法ができて、政治資金規正法と政党法がうらはらになる場合にはどういう制限をするかということを過去に検討したことがございます。ですからいまの状態においては、法律的規制をしていろいろな混乱を起こす、政党の発達とか民主政治の発達ということにいろいろな問題が起きるということが考えられますので、やはり基本的な姿勢として、政治家自身がそういう対象の企業からは政治献金を受けない、こういうものの考え方を前提として行動すべきだろう、こう思います。いま法律でどう規制できるのか。これは税法で本条の適用を受けておる会社は政治資金を出してはならない、出したら処罰する、こういうことになるか。もらったものは処罰を受けるということになるのか。先ほどからのあなたの言うこともわかります。私も大体そういう基本的な姿勢には同感でありますが、法律技術の問題については私がいまお答えできることではございません、こう申し上げたわけです。いま専門家から補足説明をしてもらいます。
  87. 鍛冶良作

    鍛冶政府委員 国の援助を受けておるから人に金を出していかぬということだけではいかぬと思います。根本はそれを出すことが社会悪でなければいかぬ。それを禁止するのですからね。契約自由の原則は当然でありますから、その契約自由の原則を、おまえそれをやってはいかぬのだと言ってとめるときには、それをやることによって害悪がある、それが前提でなければならぬと思うのです。したがいまして、いま言われるようなものはすべて金を出すと害悪になるとは私は考えられません。政治資金規正法なんかでも、あれは害悪というよりか、なるべく選挙に金を使わせぬことにしょう、そういうよけいなものを使うのだからこれをとめよう、そういう意味で害悪といえば少々害悪でありますが、それだけのことであって、それを渡すことさえが害悪であるとは言えないと思う。それは規正法をつくるときにずいぶん議論をしたのですから。そういう意味で直ちに国の援助を受けておるものは金を出してはいかぬというところにはいかないのじゃないか。もっと実質を調べて、その上でないと確然たる議論はできない、かように考えます。
  88. 横山利秋

    横山委員 専門家はやはり専門的理論でおっしゃるから、ちょっと次元が違うと思うのですね。専門的お立場、お気持ちはわかるのですが、私も政治家のはしくれとして、ほんとうにいまあなたかおっしゃったように、お互いに金を使わないようにしなければいかぬ。今日の選挙ほど金の要ることはありません。金を使わないようにしなければいかぬ。金が入ってこないようにみずからを縛るという大蔵大臣のいまのお話もさはさりながら、全体として縛らなければいかぬ。しかも今日までの汚職の原因というものは、よう働いておったからというので、政党ないしは政治家がそれによって見返りの金をもらっておるというのが大体大宗じゃないでしょうか。だからよう働いておったからお金を出せ、もらうということじゃなくして、それが票につながるならばこれはりっぱなものです。ところが金につながる。金につながる一番の根本になりますものがこういうことではなかろうかと私は思う。したがってこれにはいろいろな規正の方法がありますが、私どもとしては、少なくとも第一歩は財投並びに特別措置の問題です。これならばどこへ行ってもよくわかる問題です。政府から税金を負けてもらい、そうして金を貸してもらうのに、自分のところがよそへ寄付して出せる、しかも政治関係、そんなのはおかしいですよ。そのきめ方については、いまの財投といえば中小企業公庫なんかにも行きますね。だから大臣のおっしゃるように、ずっと底まで行ってしまう。行ってもいいと私は腹をきめている。中小企業公庫でぜにを借りているからそこで政治献金を受ける、そんなみみっちいものを受けてはいかぬ。また禁止しても何ら差しつかえない、私はそう思うのです。ただ大きなマンモス会社なりマンモス工場の問題を言っているのじゃない。下までずっと下がってきめたって何ら差しつかえない。それによって非常に大きな影響を及ぼすであろうけれども、おそらく世論はかっさいしてこれを迎えるであろうと私は思います。しかし突然のあれでありますが、気持としてはお二人とも賛同していただきましたから、自後私は一番こういうことをきめてもらいたいのは大蔵大臣じゃないかと思う。また一番主張し得る立場も大蔵大臣じゃないかと思う。ですからひとつ御検討を願いたい。  その次に伺いたいと思いますのは、これも大臣にお考え願いたいのですが、租税法定主義といわれている税金についてはもう人民の代表がここできめる。ここできまったものが納税者を拘束するのはあたりまえのことだ。あたりまえのことだけれども、実は納税者税務署から聞くものは法律じゃない。内部通達、基本通達、通牒、解釈、そういうものによって税務職員課税し、納税者は縛られておる。いまの日本の税法というのは非常にむずかしい。今度の所得税法、法人税法の全文改正をもっていたしましても、法律が直接に納税者を縛らずに、政令、基本通達、何々という膨大なものがまん中にある。それはやむを得ない部面が非常に多いけれども、一歩でも二歩でも租税法定主義のほうへ努力をしなければならぬ。いま政令なり基本通達の中に本来法律をもって定むべきであると考えられるものがずいぶん多いと私は思います。しかも私が例にいたしますのはたとえば耐用年数の問題でありますか、法律では耐用年数については簡単に書いてある。ところが耐用年数表がずっとあって、それをいじることによって非常な影響というものか各企業——減税てもそうですが、行なわれる。こういうことは考え直すべきではないか。耐用年数表を法律事項にすることによって、多少めんどうかもしれぬ。めんどうかもしれぬけれども、耐用年数を一本いじることによって数百億吹っ飛んでしまうことがある。それが単に政令によってお役人に縦横無尽にきめられる。縦横無尽と言っては失礼かもしれぬが、その裁量によってきめられることはいかがなものかと私は思う。したがってたとえば償却資産の耐用年数表は法律事項にせよ、そのほか今日の政令並びに基本通達において法律事項となさるべき問題については可及的に法律事項にして租税法定主義を貫くべきである、この点について御意見を伺いたいい。
  89. 田中角榮

    ○田中国務大臣 租税法定主義は守っていかなければならぬ、私もそう思います。思いますが、何でも法定主義でやることの限界ということはお互いも考えなければいかぬのじゃないか、こうも思っております。私は大蔵省へ行きましてから、しろうとでありましたから、いまそんな暴論式のことは言いませんが、国民の税負担が軽減されるものは租税法定主義でなくてもいいんじゃないか、こう言ったのです。それはバランスがございますから、大臣だめなんですと言われて、それで教育を受けて今日まで来ているわけでございますが、できるだけ大筋のものは法定主義を貫くということであります。ただいまでさえ税制はわからぬ。わからぬ税制というものは取るほうは都合がいいですが、納めるほうはわからぬのです。だから一体何で取られているかわからぬ。納めているかわからぬ。だから税はとられる。とられるとかいうことは非常におかしいことであります。法律に基づいて納付をする、こういうことでありますが、どうも税はとられるという気持ちが起こるのは税法かわからないというところにも大きな問題があると思います。ですから、私は税法をもっとわかりやすいものにする。いまの税制ですと、やはり所得の把握ということが非常に広範なものであってむずかしいということと、もう一つ政策税率というものが非常によけいとられている。政策を税率の中に吸収しておる。私はその最もわかりやすい税制というのはできないのか、これはできないことはないと思う。間接税は大体非常によくわかります。間接税を中心的にやろうというのじゃありませんが、間接税というものは法律でびしっときまっておりますから、酒を一合飲めば幾ら税金だ。たばこ一本吸えば幾ら税金だということがわかりますが、どうもいまの直接税中心主義ということになりますと、どうしても法律ですべてのものを律するわけにいかない。だから通達というものになるわけであります。その通達というときには、法律以上に過酷に釈解をして徴税を有利にするための通達は出しておりません。これは私は法律解釈ということに対しては、どうしても国民に有利なような解釈をしながら通達を出す。法律を厳密に読み過ぎて過酷な徴税になってはいかぬ。そういうことでもって税の中には通達行政というものを織り込まざるを得ない。これを全部法定主義にしてしまっては、税法は動かなくなるとも私は思います。私自身も二年半ばかり研究してみましたが、大いに改めるべきところはあると思いながら、なかなか具体的にはまだまだ成案を得る段階ではない。こういうことで諸外国の例やいろいろなものを研究しながら日本の実態に合うような税法、租税法定主義を貫きながらも、がんじがらめになって動きのとれない税制になるということは困るわけでありますから、そういうものに調和点を見出しながら前進体制をとっていく、こういうことだと思います。
  90. 横山利秋

    横山委員 私の言っているのは二つの意味があるのです。一つは、法律で定めて、それから政令なり、あるいに通達が逸脱をするおそれがある。その逸脱をためなければならぬという意味において、なるべく法律で定めよという意味と、もう一つ法律できめたあとの裁量ですね。法律をどういうふうに実践するかの裁量権について役人に委任し過ぎてはいかぬ。二つの意味がある。この耐用年数表に至っては完全に委任してしまっているようなかっこうですね。ほとんど委任している。膨大な耐用年数について、われらの審議を経ずして、適当とは言いませんけれども、いろいろ議論はなさって、その変更によって数百億円減税ができる。物品税という声もありましたが、それもそうであります。そういうことは法律で原則を定めたけれども、あまりにも多く委任してはいかぬという第二番目の問題がある。あなたは善意をもって法律できめたことについての逸脱はしておらぬつもりだとおっしゃる。おっしゃるけれども、これはまた別に議論をしましょう。いま提起いたしましたのは、法律で定めて、その法律を実践する過程で役人に委任するのだけれども政府に委任するのだけれども、べらぼうに委任しちゃっている。こういうことはいけませんぞ。こういうことを言っている。
  91. 田中角榮

    ○田中国務大臣 租税法定主義でありますから、あくまでも法律中心でいかなくちゃいかぬ、やむを得ざるものに対して委任をする。こういうことであることは論をまちません。いまの状態が少し委任し過ぎておるか、こう考えると、いいところじゃないかと私は考える。それはいろいろ申し上げましたとおり、どうも少し法定主議というものはこまか過ぎるということもあります。いまいろいろな率を役人にまかしておる。役人というものは絶対に法律違反は行なわない、こういうようにできておるのです。しかも国会においてあなたがいまのような発言をされる。こういうことは一般人よりも非常に手きびしく身にこたえますから、別表まで全部法律につけてしまう、これは法定主義というよりも税法の硬直という面からも考えなければならぬことだと思う。国民によりよき税制、こういう考え方で大蔵省もやっておりますから、現状においてはいいところだ、こう御理解をいだければ幸いであります。
  92. 横山利秋

    横山委員 大臣と抽象的な議論をしておりますと、どうもうまく焦点に入らないのでありますが、あなたも一応はそうおっしゃるものの、一ぺんお考え直しを願って、私の言う法律で定めたものの乱用、ないしは法律政府に委任をし、役人がこれを処理する場合におけるあまりにも広範な自由裁量が与えられるということはよくない。それは租税法定主義に沿ってよくないという立場をひとつ記憶にとどめておいていただきたい。  時間がありませんので、最後に、いま大臣もちょっとお触れになりましたが、どうも大臣は間接税を増徴する雰囲気が非常に強いようです。どうもそんな感じがこの間からしておるのです。間接税はたばこ一本吸いましても税金が幾らだとすぐわかる、こうおっしゃるけれども、そんなものはだれが知っていますか。われわれだから議論ができるが、町の中でだれも知っておらぬ。自分の給料から税金をどのくらい引かれるかは知っておるが、たばこ一本の税金は知らぬ。そこに間接税の中心がある。間接税も私は、累次の委員会で大臣が間接税云々と言ったためにとっちめられておるので、そう強く言いませんけれども一つだけ例を取り上げて御意見を伺いたいと思う。  たとえば入場税、物品税の問題であります。私は映画が好きでありますから、時にはこっそり夕方さっと行っていいのだけ見て帰るのであります。大臣はごらんにならないのかもしれませんが、普通の映画劇場で二割、三割、いい映画ですとやはりいまでもたくさん入ります。普通の映画劇場ですとりょうりょうたるものです。全くこれはひどい。いま映画はほんとうに気の毒だ。興業主に気の毒だというか、映画製作者に気の毒かは別にして、入ってみて、だだっ広いところにまん中にちょんとすわって見ておるのは気の毒だ。映画館の雰囲気がせぬような気がする。映画館というのははなやかにみんながおって、まん中にすわって映画を見ておって、いかにも来たなという気がするのですが、二割、三割では全くさびしい。これは大臣もお考えになっていいのではないか。それから演劇のなまものについては——当世流行のミーちゃんハーちゃんの喜ぶような何とかかんとか、そんなところには行きませんけれども、それは別として、演劇をやっておるところも少ない。そういう状況を大臣は一体御存じないのじゃないか。だから、間接税を取ったらいい、いまの間接税の比率が少ないから、来年は間接税をがちゃっと取るというようなことをあちこちでムードを巻き起こしているために、大恐慌であります。これはちょっと認識が足らぬのじゃないか。入場税、物品税について間接税をどうお考えになっておるのか、伺いたい。
  93. 田中角榮

    ○田中国務大臣 御承知のとおり、税制調査会は三カ年にわたってやったわけであります。三十七年は間接税中心で大幅減税を行なった。三十八年は今度は直接税中心、だんだんとこうなってきて、三年目には答申をいただいておるということでございますから、間接税に対しても直接税とバランスをとりながら減税の方向をとってきたことは事実でございます。いま映画館の話がございましたが、映画などの入場税も非常に安くなったことは事実であります。これはゼロにしたほうがいいという議論かもわかりませんが、私はゼロというのじゃなく、いまの税制が大体いいのじゃないか、こういう考えでございます。いまの時点においては大体そうであります。しかし、非常にテンポが早いから、そのテンポに合わせながら、実情に合うような税制を考えていくということであります。私は間接税とかいろいろなことを言っておりますのは、これは増徴するために、財源を得るために、なかなか財源がとれなくなるから間接税を話しておるというのじゃないのです。すべての基礎になるものは大減税をしたい、こういう考えです。減税をするにはやはり知恵を出さなければならぬ、こういう考えです。より早く上に上がって、いまより合理的な税制がつくれないか、こういう気持ちで、間接税に対してもいますぐやるなんということではありません。間接税も考えてみる必要があります。フランスはうまくいっておるじゃありませんか、こういう話であります。でありますから、私が間接税を増徴しようという基本的な考え方に立っておるものではない。ただ、私がいま考えておりますのは、私いま若い人に会っても、大臣、税金何とかなりませんか、いつもそういうことを聞くのです。聞きながら、君は一体幾らたばこをのんでいるか、五十本のんでいます、こういうことを平気で言っているわけですが、何か調和がとれない。昭和二十八年にガソリン税は二百二億であります。それを当時の政府、大蔵省は大反対した。目的税は憲法違反である、国の予算編成権を拘束するものだと大反対をしましたが、当時の国会の良識、いわゆる超党派で道路整備の財源等に関する法律を議員立法で通した。参議院では百日かかりました。私がその増徴案の提案理由説明をし、私が質疑に応じたわけですが、今年度は二千八百八十億であります。だから公共料金を上げなくてはならぬということの議論に発展するかもしれませんけれども、私はやはりいまの間接税体系の中で新しい財源を見つけることができないというふうに断定してかかるべきではないと思います。ですから国民消費が非常に上がる。しかも奢侈消費がうんと強くなる。それが物価に影響する。少数の人たちの消費が国民全体の経済を狂わすという状態にぶつかったならば、そういう面に過重な税制を適用するということもあり得るわけであります。ですから税制というものは、こんなテンポの早いときには実情に合うように絶えず前向きで検討すべきだ、こういう議論を言っているのであります。ですからその前提となるものは三千億減税、しかも九〇%、八〇%所得税中心の減税をやりたい、やるには何かはかにないか、こういうことを考えているのですから、どうぞそういう意味でひとつ真意を御理解賜わりたい。私はそれが大衆課税になるとか、またいまよりもより悪い税制になるとか、そういう税制改正を考えておるわけではございません。  もう一つは、先ほどから申し上げた、あなたの租税法定主義という問題をうんと詰めていきますとどういうことになるかといいますと、いま私もいろいろ考えてみたのですが、国の恩恵をだれが一体受けているのか、おれは受けているのかいないのかということのきめ手がはっきりしない。いわゆる政策税制政策というものが税法の中に一ぱい入ってきて税法の姿そのものが非常に非合理なものになっておる、いまこういうことになっております。税というものはやはり一律に取ることが一番簡単であります。そして国が必要な面に対しては補助をするとか、そういうことを思い切ってすべきであります。そういう税制が最もわかりやすい。徴税機構そのものが、現在のような状態では、国民所得がどんどんふえてきてとにかく二千万人、二千二百万人というふうに納税人口がふえていく場合に、いまの状態で徴税機構をふやしていくわけにはいかない。しかも徴税機構というのは、電電公社とかまた専売公社とか、そういうものは機械でもって合理化ができるのですが、税に関してだけは機械の導入にはおのずから限度があります。一つずつのケースが全部違うからであります。二千万人といえば二千万人とも違うのであります。どうしても人間がふえる。こう考えてみますと、何かうまいことはないかいな、こういうことはだれでも考えるのであります。私は、そういう意味で現在の税法を固定的にだけ考えないで、もっと合理的に税制を立て直すことができないか、悲願のような気持ちで申し上げておるだけでございまして、私は、いまの税制をみんなひっくりかえして適当にやろうという考えはごうまつもないことを明らかにいたしておきます。
  94. 横山利秋

    横山委員 税制は、公平にきちんと取って、そして必要あれば補助金を出せという根本主張をあなたがお持ちになっておるというのは一驚を喫しました。そういうお考えならば社会党に入党していただいたほうがいいような気持ちがいたします。現実に起こっておるのはそうではないのでありまして、私はあなたがいらっしゃる前に、新長官に対しまして、くどく長官として今度は下向きばかりでなく上向きにがんばってもらいたい。それはあなたがいまはしなくもいろいろおっしゃったように、徴税機構としての限界があるはずだ、人員からも限界があるはずだ、それから公平という意味において納税者を説得するための限界があるはずだ、いろいろな意味で限界があるはずだから、ひとつ新長官は大蔵大臣にたてついてでもいいからやってもらいたい、こう言っておったところが、いまあなたは全く同じようなことを言われた。これはまことに一驚を喫しました。けっこうなことだと思います。ただ、現実に進行しておりますのは、あなたはこの間おおこりになったけれども、配当利子みたいな不公平きわまることをおやりになるから、それでまだ社会党には入党していただけない。  きょうは卓見をいただきまして、お疲れだと思いますし、私もだいぶ長い間やりましたので、これで質問を終わることにいたします。
  95. 吉田重延

    吉田委員長 本会議散会後に委員会を再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時二十六分休憩      ────◇─────    午後三時五十六分開議
  96. 吉田重延

    吉田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  武藤山治君外六名提出国家公務員共済組合法及び公共企業体職員等共済組合法等の一部を改正する法律案議題といたします。     ─────────────
  97. 吉田重延

    吉田委員長 提出者より提案理由説明を聴取いたします。武藤山治君。
  98. 武藤山治

    武藤議員 ただいま委員長より提案になります二法案の説明をいたしたいと思います。  ただいま議題となりました国家公務員共済組合法及び公共企業体職員等共済組合法等の一部を改正する法律案につきまして、提出者を代表して、その提案の趣旨及び内容の概要を御説明申し上げます。最近の急速な経済成長の陰で、わが国の社会保障の水準の相変わらず低い状態に置かれております。特に物価高を背景として、社会保障の飛躍的な拡充が望まれるところであります。さらに、最近における医療費の急激な増加は、各種共済組合の財政収支を悪化させ、組合員に過重な負担をしいる掛け金引き上げを余儀なくさせており、このまま放置するならば医療保険は崩壊の危機に追い込まれるのであります。また、老後の生活安定のための年金保障制度確立は、今日、労働者の切実な関心となっているのであります。  このときにあたり、国は社会保障の立場から強力な財政措置を講ずる必要があると考えるものであります。すなわち、まず第一に、組合員の掛け金及びこれに見合う使用主負担の財源だけで運営されている現在の保険主義の原則を改め、大幅な国庫負担の導入により共済組合の社会保障的性格を強める必要があります。イギリスに例をとれば、国民保険事業に要する費用の七六%が公費負担であり、国民の生命と健康の管理には巨額の予算が組まれております。いやしくも政府が福祉国家の実現を政治スローガンとする限り、医療保障に対する国の財政的裏づけを強化すべきことは当然であります。  第二は、大幅国庫負担の導入つまり社会保障主義の拡大をはかりつつ、ばらばらの各種医療保険を高い給付水準で統合し、医療サービスの格差と不均衡等を是正することであります。政府は、医療保険の中核たる政管健保に薬代半額本人負担を実現し、このようにして押し下げた水準で全体の統合調整を強行しようとしております。われわれは、医療給付水準切り下げの統合調整構想は不当であり、今日必要なことは、働く者の医療保障を前進させる高い水準での制度統合であると考えるものであります。  以上の立場から、特に医療費増高の事態に対処して、さしあたり共済組合短期給付に重点を置き、当面する退職一時金の任意選択権の問題を含めて、本改正案を提出することといたした次第であります。  次に、この法律案内容についてその概要を御説明申し上げします。  第一は、国家公務員共済組合法及び公共企業体職員等共済組合法の一部改正についてであります。  すなわち、共済組合短期給付に要する費用につき、新たに社会保障の立場から、国庫は二割相当分を負担することとするものであります。これにより、国家公務員共済組合につきましては、国庫としての国二割、使用主としての国五割、組合員三割の負担、公共企業体の職員等の共済組合につきましては、国庫としての国二割、公共企業体五割、組合員三割の負担とすることにいたしております。  第二に、通算年金制度を創設するための関係法律の一部を改正する法律の一部改正を行ない、年金通算と退職一時金のいずれかを選択する権利が切れた男子について、国家公務員、公共企業体職員等及び農林漁業団体職員についてはその期限を二年度延長し、女子同様、昭和四十一年十月末日まで選択権を行使することができることといたしております。  なお、本法律案は、国家公務員共済組合法公共企業体職員等共済組合法の改正部分は昭和四十年四月一日から、通算年金制度を創設するための関係法律の一部を改正する法律の改正部分は公布の日からそれぞれ施行することにいたしております。  以上、本法律案提案の趣旨及びその内容の概略を申し述べました。何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。      ────◇─────
  99. 吉田重延

    吉田委員長 次に、ただいま付託になりました内閣提出所得税法案法人税法案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題とし、政府より提案理由説明を聴取するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  100. 吉田重延

    吉田委員長 御異議なしと認めます。  それではこれより提案理由説明を聴取いたします。田中大蔵大臣。     ─────────────
  101. 田中角榮

    ○田中国務大臣 ただいま議題となりました所得税法案法人税法案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を御説明申し上げます。  政府は、昭利四十年度税制改正に関して、すでに物品税法の一部を改正する法律案等、物価税、相続税の減税をはかるための法律案提出して御審議を願っている次第でありますが、今回の税制改正の一環として国民負担の現状に顧み、中小所得者を中心とする所得税の負担の軽減及び企業課税の軽減を行なうとともに、納税者の理解を容易にする見地から現行の所得税法及び法人税法の体系的な整備と平明化をはかるため、この両法について全面的な改正を行なうこととし、また、最近の経済情勢に応じ、当面要請される諸施策に対応する税制上の特例措置を講ずるため、ここに所得税法案法人税法案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案提出した次第であります。  まず、所得税法案内容について、その大要を申し上げます。  第一は、中小所得者を中心とする所得税負担の軽減をはかることであります。  すなわち、基礎控除を現在の十二万円から十二万円に、配偶者控除を現在の十一万円から十二万円に引き上げることとするほか、扶養控除についても、十三歳以上の者の控除額を現在の五万円から六万円に、十三歳未満の者の控除額を現在の四万円から五万円に、控除対象配偶者がいない場合の第一人目の扶養親族の控除額を現在の七万円から八万円にそれぞれ引き上げることとしております。  また、最近における給与所得者の負担の現状に顧み、給与所得控除について、定額控除を現在の二万円から三万円に、控除率二〇%の適用範囲の限度を現在の四十万円から五十万円に、最高限度額を現在の十四万円から十五万円にそれぞれ引き上げることとしております。  さらに、最近における一船的給与水準の上昇等を考慮して、専従者控除について、青色申告者の場合は、年齢二十歳以上の専従者の控除限度額を現在の十五万円から十八万円に、二十歳未満の専従者の控除限度額を現在の十二万円から十五万円に、白色申告者の場合は、その専従者の控除額を現在の九万円から十二万円にそれぞれ引き上げることとしております。  以上申し述べました諸控除の引き上げにより、所得税が課税されない所得の限度は、夫婦、子三人の計五人家族の標準世帯を例にとりますと、給与所得者では現在の約四十八万円から約五十六万円に、事業所得者のうち、青色申告者については現在の約四十三万円から約五十万円に、白色申告者については現在の約三十七万円から約四十二万円にそれぞれ引き上げられることになるのであります。  このほか、医療費控除について、現在十五万円とされている控除限度瀬を三十万円に引き上げることとし、また、少額貯蓄非課税制度についても、非課税元本の限度額を現在の五十万円から百万円に引き上げることとしております。  第二は、納税者の理解を容易にする見地から、規定の体系的な整備と表現の平明化を中心とする税法の整備をはかるため、現行所得税法の全面的な改正を行なうこととしたことであります。  今回の所得税法の全面的な改正は、税法の体系的な整備、表現の平明化及び規定の整備合理化三つ基本方針としております。  まず、体系的な整備につきましては、租税法律主義をたてまえとしつつ、同時に、一般の納税者にわかりやすい法令体系にするため、現在、政令または省令で規定されている事項で重要なものは法律において規定するとともに、細部はできる限り政令において規定し、省令は原則として手続事項のみについて規定することにしております。  また、法律の構成については、総則的事項、居住者に関する事項、非居住者に関する事項等をそれぞれ別編とする等規定の配列についても理解しやすいものにするよう配意しております。  次に、表現の平明化につきましては、条文の組み立て及び表現方法につき、各条文をできる限り簡潔平明な表現でまとめ上げることに留意し、これが複雑な内容のものである場合には、項または号を設けて結論を読みやすくする等の配慮をしております。  さらに、規定の整備合理化がはかられたおもな事項について申し上げます。  まず、課税標準及び税額の計算に関しましては、いわゆる子供銀行の預金の利子等を非課税所得に加えるとともに、割賦販売等による所得の計上時期の特例及び返品調整引き当て金の制度を新設する等の整備を行なうこととしております。  また、配偶者控除及び扶養控除については、従来の確定申告書記載等の要件をはずすとともに、その他の所得控除及び税額控除についても確定申告書への記載があれば、期限後申告の場合でもこれを認めることとしております。  さらに、申告、納付及び還付の手続に関しても、予定納税制度合理化するとともに、予定申告制度はこれを廃止することとするほか、資産の譲渡の対価が延べ払い条件付で支払われる場合には、五年以内の延納を認めることとする等の整備を行なうこととしております。  次に、法人税法案内容について、その大要を申し上げます。  まず第一は、中小法人を中心とする法人税負担の軽減をはかることであります。すなわち、各事業年度の所得に対する留保分の法人税率を、普通法人にあっては、年三百万円以下の所得金額について現在の三三%から三一%に、年三百万円をこえる所得金額については現在の三八%から三七%に、公益法人、協同組合等にあっては、現在の二八%から二六%にそれぞれ引き下げることとするほか、同族会社の課税留保所得を計算する場合の控除額を、現在の所得金額の二〇%と百万円とのうちいずれか大きい金額から、所得金額の二五%と百万円とのうちいずれか大きい金額に引き上げることとしております。  第二は所得税法の場合と同様、税法の体系的な整備、表現の平明化及び規定の整備合理化三つ基本方針として、法人税法の全面的な改正を行なうこととしたことであります。  まず、体系的な整備及び表現の平明化につきましては、前に申し述べました所得税の場合と同様の方針により、できる限り、法人税法の理解を容易にするよう配意しております。  次に、規定の整備合理化がはかられたおもな事項について申し上げます。  まず、課税標準及び税額の計算に関しましては、法人税法上の損益の計算の原則、割賦販売等の収益計上の時期、有価証券の譲渡原価の計算及び評価の方法並びに寄付金の意義等を明らかにするとともに、賞与引き当て金制度及び返品調整引き当て金制度等を新設する等所要の規定の整備をはかることとしております。  次に申告、納付及び還付の手続に関しましては、納税者の便宜をはかる見地から、設立第一期の中間申告を廃止し、さらに、中間納付額が二万五千円以下の場合には、中間申告を要しないこととする等所要の規定の整備をはかることとしております。  次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案内容について、その大要を申し上げます。  第一は、利子所得及び配当所得の源泉徴収率の軽減措置につき、現在の五%の税率を一〇%に引き上げてなお二年間存続することとする一方、資本市場の育成等に資するため、利子所得の分離課税の特例の適用期限を二年間延長することとし、また、新たに、配当所得について次のような措置を講ずることとしております。その一は、昭和四十年一月一日から二年間に支払いを受ける株式配当金のうち一銘柄につき年五万円以下のものは、確定申告を要しないこととすることであります。  その第二は、昭和四十年五月一日から二年間に支払いを受ける株式配当金については、一銘柄の所有株式数が発行済み株式総数の五%以上の株式の配当と一銘柄につき年五十万円以上の配当とを除き、五%の税率による源泉選択制度を創設することであります。  第二は、鉱産物資源の開発の促進等に資するため、鉱業を営む法人または個人について、昭和四十年四月一日から三年間、特定鉱物の販売金額の一五%とその販売による所得金額の五〇%とのうち、いずれか少ない金額の損金算入を認める探鉱準備制度を創設するとともに、法人については、その事業年度、また、個人については、その年の新鉱床探鉱費の支出額と探鉱準備金取りくずし額とのうち、いずれか少ない金額の損金算入を認める探鉱費の特別控除制度を創設する等の措置を講じております。  第三は、国際競争力の強化等に資するため、技術等海外取引の特別控除制度の適用対象に、新たに対外支払い手段を対価とする建設請負、修理加工及び映画上映権の譲渡等を加えることとし、その控除限度を建設請負及び修理加工については、その収入金額の三%と輸出所得金額の八〇%とのうちいずれか少ない金額とすることとしております。  第四は、中小企業の近代化等に資するため、中小企業近代化資金助成法の小売商業店舗共同化計画に基づく一定の共同店舗について初年度十分の一の特別償却制度を創設することとしております。  第五は、法人の交際費の損金不算入制度の改正であります。すなわち、最近における交際費の支出の状況に顧み、その損金不算入割合を現在の三〇%から五〇%に引き上げることとしております。  第六は、農業協同組合等の留保所得の一部非課税措置の特例を生産事業を行なわない森林組合及び同連合会についても適用することとしております。  第七は、山林所得に対する所得税の課税について、昭和四十年一月一日から三年間に山林を伐採または譲渡した場合には、その年分の山林所得の計算上、大蔵大臣が定めた金額の再植林費特別控除を行なうこととするほか、山林所得の概算経費率の算定方式の合理化をはかることとしております。  第八は、特定公共事業の用地買収等の場合の課税の特例について、その適用対象を、買い取り等の申し出のあった日から一年以内の期間に譲渡した資産に限っておりましたが、この期間を一年から六月に短縮した上、その適用期限をなお二年間延長することとしております。  第九は、外貨債の円滑な発行及び消化に資するため、昭和四十二年三月三十一日までに発行された民間外貨債の利子に対する所得税の税率を一〇%に軽減することとし、また、昭和四十二年三月三十一日までに発行された償還期限五年以上の利付外貨債の償還差益を非課税とすることといております。  第十は、特定の医療法人に対する法人税率の軽減の特例について、その軽減税率を法人税率の引き下げにならない現在の二八%から二六%に引き下げることとしております。  第十一は、ブドウ糖の消費促進をはかるため、一定の規格のブドウ糖混和砂糖については、砂糖消費税の税率を一キログラム当り現在の十六円から十一円に軽減することとしております。  第十二は、登録税の課税の特例でありますが、昭和四十年四月一日から三年間に中小企業近代化資金助成法の工場等集団計画などを行なう事業協同組合が取得した土地をその組合員等が取得する場合の所有権取得登記の登録税について、その税率を現在の千分の五十から千分の六に軽減することとするほか、遠洋区域に出漁する漁船の所有権の保存登記等の登録税について、外航船舶に準じて軽減することとしております。  第十三は、昭和二十九年度末に期限の到来する特別措置のうち、事業用資産の買いかえの場合の課税の特例措置、農業生産法人に現物出資した場合の納期限の延長の特例措置、鉱業用坑道及び造林費の特別償却の特例措置並びに特殊の外貨借入金の利子の税率の軽減措置等についてなお二年間その適用期限を延長することといたしております。  以上、三法律案提案理由及びその大要を申し述べました。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  102. 吉田重延

    吉田委員長 これにて提案理由説明は終わりました。  各案に対する質疑次会に譲ります。      ────◇─────
  103. 吉田重延

    吉田委員長 税制及び国有財産に関する件について質疑を続行いたします。堀昌雄君。
  104. 堀昌雄

    堀委員 時間がありませんから簡単に伺いますけれども、昨日新聞を見ておりましたところが、突然として、日に百六十七円四十八銭で勤労者世帯の標準献立というのが大蔵省から発表されました。これは毎年かなり問題になることなのですが、どうも私どもの手元にも何もこないうち新聞のほうへ実は発表されたので、われわれはきょうちょっと資料を要求をいたしましたら、いま皆さんのお手元にもようやく配付をされたということであります。これを見まして、これは一体どういう意図かあってこういうものを発表されるのか。これはいろいろ議論が出てくる材料にはなりますから非常にけっこうなんですが、その目的はどういうことなんでしょう。
  105. 田中角榮

    ○田中国務大臣 技術的な問題でございますから、政府委員からお答えします。
  106. 泉美之松

    ○泉政府委員 御承知のとおりマーケットバスケット方式による食料費を基礎といたしました基準生計費を基礎といたしまして所得税の課税最低限を毎年考えてまいっております。毎年これは発表いたしておるのでございます。所得税の課税最低限のきめ方は何を目標にしてきめるかということにつきましてはいろいろの御意見がございます。一番極端な意見で言えば、国がそれだけの収入を得るからそれに必要なところで課税最低限をきめるのだというような言い方もございますが、しかしこれははなはだ非論理的でありますので、私どもといたしましては、何とかして所得税の課税最低限を定める基準を見出したいということで、従来から、マーケットバスケット方式によります食料費を基準といたしまして、エンゲル係数で割り返しまして基準生計費というものを出しております。しかし、この内容につきましていろいろ御批判のあることは、私どもも十分承知いたしております。しかし、現在の所得税の課税最低限の実態とか国民生活の実態というものを今後よく考えていかなければならない、そしてまた所得税の課税最低限をできるだけ理論的にきめていこうとする、そういう資料としては有意義なものと考えておるのであります。
  107. 堀昌雄

    堀委員 何とか理屈をつける一つの材料にしたいということだと思いますからその点はわかりますけれども、いまいただいたのを見て、一体あなた方のほうの計算の額でこれができるかどうかという点で私は非常に驚いております。たとえば、ちょっと最初のページの昼というのの例を一つあげますと、「焼そば」という欄があって、中華そば、豚バラ肉、タケノコ、ニンジン、サヤエンドウ、長ネギ、紅ショウガ。まあ油とかしょうゆは別として、これだけ書いてあるのですね。ところが、たとえばタケノコ一つでも、これを売っているやつをちょん切って一人前下さいというふうには買えないのですね。そうすると、タケノコは小さいのでも一本買わなければいかぬのです、かん詰めのやつを。これを四つ割りになっているのか半分割りになっているかは別として、単位はそういうことになっているわけです。その次に、ニンジンだって、これはやっぱりニンジン先のほうだけ四分の一下さいと言って買えないから、これも一本になるわけです。その次はサヤエンドウです。これは十匁とか五匁とか、わずかに買えるかもしれません。ネギもやっぱり普通は束になっていますね。そういうふうに考えてくると、なるほどそれを一人前の単位と区切って、そうしてその長さの中から割り出したら勘定は合うようになっているかもしれないですが、実際問題として、実態と非常につながらないのじゃないか。これもあなたのほうで一人世帯、二人世帯、三人世帯、四人世帯、五人世帯とここに書いてあります。しごくもっともに金額も出ているけれども、一人世帯だったらこれができますか。この献立の価格で、これはどういうことになっているのでしょうね。ちょっと事務当局でいいですからもう一回御説明願いたい。
  108. 泉美之松

    ○泉政府委員 お話のとおり、ここに使われておりますいろいろな食料の材料につきましては、そんな一人前で買うというようなことはできないことは言うまでもございません。したがって、一定数量のものを買って、それを人数が多ければ一日で食べるときもありましょうし、人数が少なければ二日間にわたるとかいうふうにして処理することになろうかと思います。それを数量的に計算いたしまして、たとえばタケノコであればタケノコ、これだけの大きさのものを一つずつ買えば、あるいはグラムで何グラムのものを買えば幾らになる。この際使用するのは何グラムだからというような計算をこまかくいたしております。したがって、そういうふうにして買えば野菜なんか早くしおれてしまいますから、中にむだになる部分がございます。そういったものももちろん考えなければならぬことでございまして、ある程度のそういった点は見ておりますけれども、しかし何ぶんにもそういうふうにして計算いたしますために、かなり単価等についてぎりぎりに計算されて  いるということは確かでございます。
  109. 堀昌雄

    堀委員 おそらくこれを奥さん方に見せて、この値段でやれと言ったって私はできないと思います。そこで大臣、各紙にいろいろなことが書いてありますが、佐藤さんや田中さんは赤坂で一ぺんこの献立で食ってみたらどうだろうか。大蔵委員も含めて一ぺん、せっかく大蔵省が出したのですからごちそうになろうと思うのですが、どうですか。そしてこれはどういう価格で実際にできたか。これは新聞記者の諸君も一緒に食べてもらいます。はたして標準世帯というものは一体どういうものであるか。一ぺんやってみたいと思いますが、大臣どうですか。
  110. 田中角榮

    ○田中国務大臣 私も新聞を見て、赤坂何がし云々と書いてございましたが、そういうものじゃないのです。計算をしますと、大体こうなる、こういうことであります。私は三回ばかりこういうものをもらいました。去年もおととしも同じ議論がございましたが、当時の話でも、実際の食費というものは、こういう基準以内で計算をされているようであります。いまでも各会社の食事代というのが出ておりますが、そういうものが幾らだとかいろいろございます。私もけさ新聞を読んで計算をしてみよう、こう思ったが、やはり標準数値というものはこういうものだろうと考えたのです。われわれの農村でも標準五人世帯がこういう金がなくてめしを食っているのです。実際において私も計算をしてみた。ですから、東京でもってこれだけの献立でこういうふうになるということではなく、実際の年間を通じての食費、そういうものを計算しますと、こういう計算をしたことが間違いであるということはないと思います。私も自分のうちのものとか、いなかのものとか私の選挙区のものとか、そういうものを計算をしてみますと、大蔵省の連中がつくったものは大体信憑性はございます。私は大体そういう考えでございます。
  111. 堀昌雄

    堀委員 そこで私はちょっと「日本生協 連婦人部の家計調査報告より」という熊沢高子さんの「物価高にしわよせされた食生活」というのをごらんになったことがあるかもしれませんけれども、これは「四人家族、消費支出四万二千七百九十円、食費一万六千八十円、」この標準の四人世帯で見ますと、一万五千五百円くらいなのですが、これよりこのほうがまだ少し、高いのです。「エンゲル系数三七・六は政府の発表している数字に似ていますから、標準家庭でありますが食生活の内容は次の通りです。」ということで、魚肉類が一カ月に二千七百三十一円、一人一日三十円三十銭として、こま切れ肉七十二円、上肉が百グラム百円、アジが十五円十銭というのでいろいろと繰り返してやって、平均をとりますと七六%しか実際に必要量は満たされない。その次に乳卵数がある。牛乳一本が十七円なんですが、計算上で見ると十五円八十銭しかとれない。卵も十四円六十銭ですが、合わせて一人一日十五円八十銭ですけれども、この点は五〇%しか充足率がない。野菜で見ると、副食費だけですけれども、結局千八十四円ということになって、これも七五%しか充足率がない。加工食品も七三%、全体を平均すると、副食の四グループを平均して六八・五%という形で、物価が高くなっておるために非常に不十分な状態しか充足できないという資料があるのです。私これを見ておりまして、政府は酪農振興ということでずいぶん力を入れておるというふうに考えておったのですが、私も牛乳を大いに飲みなさい、これは健康上いいからと言ってすすめておるけれども、ぱらぱらとこれを全部めくってみたら、牛乳一木、一ぺんもつけていない。そういう式です。トーストパン、ミルク紅茶、紅茶にミルクがちょっと入った、これはミルク紅茶じゃなくて普通紅茶というのです。その次がトーストパンにレモンティー、ここにくるとまさに牛乳じゃなくて何も入っていない。エッグサラダとある。おそらくは卵が入っておるでしょうが、一個入っておるかどうかわからない。ようやく卵がここに出てきておる。その次はミルクコーヒーと書いてあるから、ミルクかと思うと、コーヒーがインスタントで、今度はスキムミルク、脱脂粉乳です。これで大体こういう式の献立が終わりになっておるところを見ると、これだけの献立の中で牛乳一本も当たらない。政府は酪農振興をやっておると言っておるのに、牛乳一本も飲まさないのが標準家庭だということになると、これはいささかどうかと思うのですが、大臣、いかがですか。
  112. 田中角榮

    ○田中国務大臣 これは私が計算をしたのじゃないので、非常に専門的な立場検討しておりますから、検討した事務当局から答えさせます。私は先ほど申し上げたように、これは基準指数を出しただけであって、実際の年間を通じての食費というものを計算しますと、この範囲に入るという考え方であります。
  113. 堀昌雄

    堀委員 いや、私が伺っておるのは、何もこまかいことを言っておるのじゃないですよ。政府は酪農振興に大いに力を入れておるんだから、少なくともあなた方が国民全体に表示する標準世帯の食料の中に、何か紅茶にちょっとミルクが入ったり、それから脱脂粉乳かちょっと入っておるようなことの標準世帯を出すのはやや適当でないのではないか。これは十何日分あるから、その中に一日一本くらいの牛乳がついてしかるべきじゃないか。これは政治的な判断の問題で、技術的な専門的な問題じゃないのです。いかがですか。
  114. 田中角榮

    ○田中国務大臣 政治的にはだんだんと内容を向上していくべきだと思います。
  115. 堀昌雄

    堀委員 どうも大臣は慎重な答弁であれですが、私はやっぱりこういうものを見たときに、国民が自分たちの日常生活と引き比べてみて、なるほどとあるべきで、私ちょっと読んでみますと、こういうことが書いてある。「最近の食生活の状況に基、ついてその実情にそった内容の献立に改善し、」と、こう書いてある。なるほど改善されたあとを見ると、インスタントのミルクや何かが入ってきて、そういうものは確かにいまの日常生活の中に入ってきているのではないか、こう思うのですけれども、どうも私ども感じでは、品目が非常にたくさんずらずらずらずら並べてあるけれども、私は一般の家庭でこの経費ならこういうふうにたくさん品目をつくらないで、普通は一つの品目に集中をせざるを得ないのではないか。「いかのさしみ、いもいか、さつまあげとうぐいす菜の清汁」云々と、たいていこれが一汁二葉になっている。私はこの費用では大体一般の家庭では一汁一菜にするのが精一ぱいではないか。残りものか何かが、さっきの局長の話のようにあったら、これは二菜になるのではないかと思うのですが、そこで私が局長にお願いをしたいのは、一ぺんあなたのほうでそういう標準世帯の中に——これはまさにマーケットバスケット理論数値であって、これは学校の教材にはいいかもしれないのですよ。カロリー計算をするための教材にはいい。しかし国民の実感とあまりにかけ離れている点を指摘したい。だから来年度についてはこの所得階層の周辺の実態調査をやって、一体そういう人たちがほんとうは何を食っているのかという、そういう献立の中から問題が選ばれるのならば、私は事実あることだから、これは説得力があると思うのです。しかしこれではいかようにも何か理論生計費といって学問の世界でなら通っても、それは献立をこまかく出せば出すほど、国民の感触とはかけ離れたものになってくるのではないか。説得力がないと思うのです。そういう点はひとつ来年度についてはせっかく出されるなら国民がなるほど自分たちの暮らしと似ているな、それならこれはやむを得ぬなということになるるのではじめて意味があるのではないか。そう思いますが、大臣どうですか。そういう方向でひとつ来年度は指導するように考えていただけますか。
  116. 田中角榮

    ○田中国務大臣 十分検討いたします。
  117. 吉田重延

    吉田委員長 平林剛君。
  118. 平林剛

    ○平林委員 きょうはだいぶ時間もおそいので、第一回戦をやります。私がきょう提起する問題は二回、三回と引き続き政府と議論しなければならぬ性質のものでございますから、まず頭だけを出しまして、政府においても十分御検討を願いたい、こう考えております  私の提起する問題は、最近地域開発が進みまして、だんだんに地方に工場誘致であるとかあるいは新しい道路を建設するとかということで、各県特に東京近郊におきましては、地域開発されていくわけであります。そうすると、そこの土地取得をめぐりまして、いままで自分の土地であると考えておりましたものが、これは政府のものである、おまえのものではないのだというようなことにぶつかりまして、そうしてそこにその土地をめぐって民有地であるか国有地であるかという争いが起きつつあるわけであります。これは現に起きておるのであります。これは次第に増大をしていくだろうと私は思うのであります。一例を申し上げますと、神奈川県に、ある事業会社が二十一万坪ほどの土地を購入いたしまして、本社を建設しようといたしたわけであります。ところがその二十一万五千坪の土地を取得いたしましたけれども、そのうちの一割程度が、いままで自分の土地だと思っておったやつが、いやこれはおれのものだといって政府がちょっかいをかけた、国有地である、待ったというような話がございまして、その土地の所有者あるいはいままでその土地は自分のものだと思っておった人たちの人心を動揺させるとともに、重大な利害関係にも発展をする、こういう事件があるわけでございます。現に発生中であります。そこでこれらの問題につきまして早急に政府の見解というものを統一させる必要かあると考えまして、実はきょうは大臣にお尋ねをいたそうと考えたわけでございます。  最初は私大臣にお尋ねしますが、東海地方で「はざま」と称せられ、あるいは関東地方では青地と称せられ、東北地方では土手しろなどと呼ばれておる畦畔を御存じでしょうか。土地台帳の附図におきましては、「はざま」は実線で帯状に囲まれておりますし、青地というのは緑色にぬられています。土手しろというのは薄黒色で表示をされておりまして、いずれも無番地であります。一般的にいって現地の状態は傾斜地が多いわけであります。たんぼとたんぼの間に傾斜地となっておるのが多いわけでありまして、農地の間に存在をしておる土地でございます。大蔵省の国有財産白書とかその他には一切載っていない脱落地であります。実体不明の土地であります。この「はざま」、青地、土手しろなどというようなことを御存じでしょうか。
  119. 田中角榮

    ○田中国務大臣 御指摘を受けましたが不敏にしてそういうものはよく存じておりません。おりませんが、まあ東京都などでも、非常に古いときに下水であったものがそのまま埋め立てられた、そして台帳面積にはそのまま国の所有地になっているとか都有地とかそういうことで困っておるというようなものがございますが、都有地などに対しては、そういうものは、全然公共の用に使っておらないというものは、非常にすみやかに払い下げをしたというようなことば聞いております。昔はこういうものは払い下げないためにビルが建たないとかそういうことがございましたが、そういうことはないようであります。私が承知しているのは、台帳面積と検証した場合差額が出るので、その差額がいつの門にやら残っているということで、非常に整理か困っておるということも知っておりますが、いま中されたように専門的な表現によるものは不敏にしてわかりませんが、研究いたします。
  120. 平林剛

    ○平林委員 私は、これが一万坪や十万坪であれば問題にしないのです。一つの県に一万坪や十万坪ではないのです。非常に大きな土地でございまして、しかもそれが脱落地となっておる。私が特にきょう問題にいたしますのは、いま指摘をいたしました一般に農地の間に存在をし、一部の地域では二線引きという専門用語を使っている——政府でも使っています。無番地の畦畔地のことを二線引きというのだそうでありまして、実体不明の財産として政府でも調査をしておるはずでございます。私が問題にするのは、その中でいわゆる内畦畔あるいは外畦畔として整理をされている、いままでは民有地として取り扱われておりましたのが、最近になって政府はこれは国有地だといって通牒を出しておるわけであります。昭和三十五年八月二十五日に関東財務局長の名前で通牒を出されまして、今後こういうようなもので土地台帳の変更を申し出てきても受けつけるなという趣旨の通牒を発しておるわけで、ございます。大体そこから問題が発展をしていくわけでございますが、どのくらいあるかということを、財務局ですか、国有財産の係の人から最近調査をなさった実態を大臣にも披露し、また各人の注意を喚起する意味で発表していただきたいと思うのでございます。
  121. 江守堅太郎

    ○江守政府委員 いま仰せになりました二線引き、これは全国に相当の筆数と相当の坪数がございます。これは明治初年にわが国が土地の私有制度を認めましたとき以来の問題でございまして、非常に古い問題でございますのみならず、いま申し上げましたように非常に筆数も多く坪数も多い。そういう関係政府としては、いまだこれを国有財産台帳に登載できるほど正確に把握しておらないのであります。したがいまして、どれだけあるかということは非常にラフな推定で申し上げるよりほかにないのでございますが、静岡県、神奈川県の両県は全国の中でもそういった土地の非常に多い地方でございますが、その辺で筆数にしまして二十万近い筆数——きわめてラフな数字で申しわけございませんが、十六万あるいは十七、八万という筆数で三百五十万坪以上あるであろうというふうに言われております。
  122. 平林剛

    ○平林委員 最近、特に大蔵省のこの問題を担当する人が神奈川県、千葉県、静岡県のそれぞれの地域の登記所を調べまして、そしていわゆる公図、土地台帳の付図を調査いたしましたが、その抽出調査から推定をいたしますと、神一奈川県だけで百九十六万坪あるわけであります。千葉県で二十七万坪、それから静岡県で百四十万坪あります。これはいまのところ神奈川、千葉、静岡だけでございますが、こうした土地のたくさんあるところは、たとえて言うと栃木県、それからあなたの選挙区である新潟県、こういうところに多く存在するわけなんです。これはまだ土地開発が進められないので、そうしていろいろ工場建設とか道路建設とかいうものに直接ぶつからないと発見できませんからそれまでは問題にならないかもしれませんけれども、しかし今日政府が、これは国有財産だ、こういばって、通牒で一切土地台帳の訂正は許さないということになりますとこれは私有権の侵害にもなりますし、この問題を解決しないことにはいろいろな土地開発も非常な支障を来たし、混乱が起きるということがありまして、私は、政府が至急にこの問題について調査を進められる必要があると考えておるわけなんです。  大体問題なのは、昭和三十五年十月二十八日並びに八月二十五日に出された通牒なんでありまして、政府が、これは国有財産であるということを書いて、一切これを受け付けるなという通牒を出しておるわけでございますけれども、この根拠が非常にあいまいだと私は思うのであります。それで念のために、まず最初政府のほうから、これは国有財産であるぞという法的根拠というようなものをもう少し明確にお話しをいただきたいのであります。明治初期の地租改正など私いろいろ調べてみたのでありますけれども政府の言っていることはあまり信用できない。そこで現在、こういう通牒を出された以上は法的根拠もかなりはっきりしておるものだろうと思うものですから、その法的根拠というものをどこに置いてこういう通牒を出されたかということをひとつ明らかにしてもらいたい。
  123. 江守堅太郎

    ○江守政府委員 明治初年に地租を徴収いたしますために民有地の制度をつくったのでございますが、当初は官有地、民有地の区分は明確でなかったのであります。その後明治七年に至りまして、改正地所名称区別という太政官布告百二十号で官、民有の区別が明確になったものというふうに私どもは理解をいたしております。これによりますと山岳、丘陵、原野、湖沼、池沢、道路、田畑、屋敷その他民有地にあらざるもの、これ以外にもたくさん書いてございますが、こういったものを第三種官有地といたしましてこれには番地をつけない。また、もちろんこういうところからは地租を取らないというふうな措置をいたしたのであります。それはその後ずっとただいまに至りますまで、それらのいわゆる無番地の土地はそのまま継承されて国有地になっておるというふうに私どもは理解をいたしております。
  124. 平林剛

    ○平林委員 大蔵大臣、もう少し私の話を聞いていただいてあなたの判断を求めます。  いまお話しになりましたけれども、私はその根拠はあいまいだと申し上げておきます。そしてまた昭利三十五年十月二十八日及び八月二十五日の通牒に書かれてあることも事実と違っておる。したがって政府国有財産であると主張する根拠はない。たとえばこの資料には私の指摘いたしましたような畦畔は明治二年七月諸候藩籍奉還と維新政府の誕生の際の税制改革によって、地価賦税に伴なう一般農民の負担を軽減するの意図もあって国有畦畔として処理されたものである」と書いてある。ところが廃藩置県というのは明治四年七月十四日でございまして、大体明治二年七月なんて書いてあること自体があやしいのであります。それから「一般農民の負担を軽減するの意図もあって国有畦畔として処理されたものである」とありますが、これは明治初年の地租改正の歴史をずっと私は洗ってみたのでありますが、こんな事実はちっとも出てこないのであります。むしろこういう国有畦畔が多いところはたとえば神奈川県、千葉県、静岡県、栃木県、新潟県とございますけれども、いずれも旧徳川の所領であったものであります。わりあいとこの関東八州あたりは、明治初年の地租改正の歴史を調べてみますと西の地域に比べると地租が安かったのです。それでわりあいとこういう土地は西のほうにはないのです。ところが明治初年に地租改正が行なわれることになりまして、全国統一した地租改正を行なうようになりました。これはいわゆる今日の土地台帳の基礎ができるまでには十数年の歴史を要しておりまして、なかなか一生懸命にやったという記録があるわけであります。そうして関東地方に多いのは、その統一地租にした場合に、従来安かったために税金をよけい取られるようになった。そこで、これではたいへんだというので農民の間からはせめて畦畔程度は税金を安くしてもらいたいというような趣旨の陳情請願があったことは事実なんです。そうしてその陳情請願があった後に、それではそこは無税地にしよう、あるいはいろいろな達しがございまして、適当に取り計らえというような趣旨の文献なども出てきているわけなんです。ですからここに書いてありますように「一般農民の負担を軽減するの意図もあって国有畦畔として処理されたものである」というのは事実に相違をしておるわけでございます。私はそういう意味から考えまして、歴史的な沿革から見て、この土地は農民のものである、民有地である、こういう考えに立っておるわけでございまして、政府がこれらの通牒を発したというのは、根拠のない、また非常に根拠があいまいな措置であると考えるわけでございます。そこで、今日までの状況から見ましても、たとえば国有地であるのに、そこの土地で災害が起きて復旧をしなければならないというときに、政府のほうは一銭も補助しておりません。畦畔というのは大体傾斜地が多いわけでございますから、雨が降ったりその他の天災でもってがけくずれがあったり何かする。その復旧にあたりましては政府は一銭も補助をしていないで、各地方において税金で負担をして直しておるわけでございますから、ちっとも政府の補助はないのですから、これを国有地だなんて主張するのは間違いです。土地台帳にも記載されていない。そういう点から考えまして、もう数十年にわたってこれは自分のものであると考えておるものでございますから、それを平地に波乱を起こしていまさら国有地であるというような言い分は政府のほうが少し横紙破りなんじゃないだろうか、こう思うのでございます。そこで、大蔵大臣にひとつ至急この問題について総合的な調査をすることを希望いたしますし、私のこの主張から考えて、少なくともそれらの土地はそういうことであれば民有地であってもよかろうというようなことに結論をつけてもらいたい、こう思うのですけれども、いかがでしょう。
  125. 田中角榮

    ○田中国務大臣 確かに国有地の問題にはいろいろな問題がございます。特に明治初年でありますか、山林等の問題に対しては税金が非常によけいかかったというので国有地でもつて登記してしまう。こういうこともあったようです。それから中には、徳川の親藩などで幕府側に立ったというので財産を国有地に相当多く出さなければいかぬぞというようなことで、東北その他は国有地が非常に多いというので、いま村や町に払い下げろという非常に強い議論があるわけであります。しかしいまの畦畔の問題は、通達を出した場合の内容は間違いである、こう言われましたが、そうでもないようです。いまあなたのお話を聞いておっても、これは農民の土地であるということを仮定して立論しても、税が非常にかかるから畦畔、あぜ道みたいなところでしょう。整理が行なわれない、こういうところですから。これは国でもって登記してもらって無税地にする。国に移したならばきっと台帳にもあるわけですから、公図にあって台帳にないというところに問題がきっとあると思います。ですからこれを国のものでないということはできないと思いますが、国のものであるというのならば、その間の事情をはっきりしなければならぬわけであります。いまの状態、法律上は国のものでないという証拠もありませんし、民有地であるという証拠もないから国のものだ、こういう三段論法できっと計算をしておるのだろうと思います。そういうものはあります。河川地なども登録をしないでおるために非常に困っておるようなものもございますから。ただ非常に歴史があるものであります。太政官布告からというのでありますから、これを全部調べるということになればこれは事務費もたいへんなことだと思いますし、なかなかすぐということじゃないのですが、なかなかむずかしいと思いますが、これは自分がたんぼをやっておって自分のたんぼのあぜが畦畔地であるかないかということを、やっている人は知っているのだろうと思うのです。そういう人たちに払い下げを行なう、払い下げというものはそういう事態を十分注意をして非常に低廉なものにする。こういう考え方は合理的だと私は思います。これは国のものでないというふうに断定することも非常にむずかしい。私いま初めて聞いた話でございますから国有財産局長は知っておるようですから、これを契機に一体これはどうするのだという問題に対して検討をいたしてみたいと思います。
  126. 平林剛

    ○平林委員 きょうは政府に少し時間をかします。この問題は私も相当程度調べました。それですからあなた方が太政官布告なんて言われますけれども、それも間違いです。それは地番をしくときに地租改正のときに地番をしくときの序列だとか、区分をしたものだけでありまして、地番をしかないから国有地であるという理由は成り立たないのです。たとえば内畦畔、外畦畔のようなものはもうすでに公図の中にも含まれておりまして、必ずしも地番がないから国有地だというような環境にはない。それは川の土手であるとか、それから明らかに道路であるとかいうものはようございますけれども、しかし今日それぞれ耕地として使用しておる畑とあぜのようなものは、これは国有財産であるなんという筋は出てこないのです。どうしても出てこない。私はこれはあとで言いますけれどもよく考えてもらいたいと思うのです。いまこれを論争しますから、政府がちゃんとこれをつくったら、そうしたら第二回戦をやります。第二回戦のときもっとほかの各県の例を私申し上げますが、それはそのときまでとっておきます。せいぜいひとつ御研究を願いたい。しかし、かりにそれがもし国有地であるという解釈であったといたしましても、民法の第百六十二条には「二十年間所有ノ意思ヲ以テ平穏且公然ニ他人ノ物ヲ占有シタル者ハ其所有権ヲ取得ス十年間所有ノ意思ヲ以テ平穏且公然ニ他人ノ不動産ヲ占有シタル者カ其占有ノ始善意ニシテ且過失ナカリシトキハ其不動産ノ所有権ヲ取得ス」こうあるわけでして、私はこれは何でもかんでも農民のものにしてしまえる採りだ、そういう利害で言うわけじゃございません。今日土地開発その他が行なわれるときは、農民自身にとってはこれは重大なる影響を与えるわけでございまして、そういう意味から考えますと、私はもしかりにそうでないとしても、こういうものは一応この際けじめをつけて処理すべきだと思うのです。それを私は台帳にもない、国有財産だと言いっぱなし、それでいろいろな天災地災にあったときの損害については補助金も出さないで、いざこれが処分をしなければならぬというようなときになって、おれのものだというようなやり方は、やはり政府としてはおかしいんじゃないか。昔の歴史を見ると、こうした十万坪や二十万坪の土地ならばこんなことは言いませんけれども、地租改正については相当熱意を持って地租改正が完全にできるまではある地域では盆踊りまでやめてそうして真剣になってそれをやったなんという人がおりまして、なかなか熱心にやるものです。そういう点に比べると、最近国有財産の管理というものは、私に言わせればどうもずさん過ぎると思うのです。それを骨が折れるかもしれません、多少お金がかかる、人員も必要とするかもしれませんけれども、しかしこれは国民の生活の基本になるものですから、土地問題はなかなかやかましいものですから十分審査して、結論としては、私はもうこれはそういう昔にさかのぼって議論するのでなく、平穏かつ公然と、そういうものがあるならば、それをひとつこの際けじめをつける意味でこうしようというようなことまで考えていいんじゃないか。それには法律を必要とするかもしれませんけれども、そういうことも御検討願いたいと思うのですが、その御意思いかがでしょうか。
  127. 田中角榮

    ○田中国務大臣 私はまだ唐突に話を聞いただけでありまして、実態をわきまえておりませんので、ちょっといま結論的な御答弁を申し上げるわけにはいかぬと思います。ただ畦畔ということだけで、あぜ道だとかそういうものだと思います。でありますからこれは農地の中に点在しておるとか、これは区画整理などやるとたんぼのまん中に、昔のままであればあぜでありましょうが、耕地整理をする場合に一体どういうふうにこれを取り扱っているか。国の部分に対しては一体国がやっているのか、そういう問題もあります。処理をする場合には立法によらざるを得ないと思います。いずれにしてもこういう問題に対しては十分検討いたします。
  128. 平林剛

    ○平林委員 きょうは一回戦としてこの程度に終わりまして、近い機会にまた政府の見解がまとまりましたら、引き続いて議論をいたしたいと思いますので、本日はこれをもって終わります。
  129. 吉田重延

    吉田委員長 次会は、来たる三月二日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。   午後四時五十八分散会