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1965-02-19 第48回国会 衆議院 大蔵委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年二月十八日(木曜日)委員長指名で、 次の通り小委員及び小委員長を選任した。  税制及び税の執行に関する小委員       伊東 正義君    岩動 道行君       金子 一平君    鴨田 宗一君       砂田 重民君    谷川 和穗君       濱田 幸雄君    渡辺美智雄君       只松 祐治君    平林  剛君       武藤 山治君    横山 利秋君       竹本 孫一君  税制及び税の執行に関する小委員長                 鴨田 宗一君  金融及び証券に関する小委員       奥野 誠亮君    木村 剛輔君       木村武千代君    小山 省二君       田澤 吉郎君    藤井 勝志君       毛利 松平君    渡辺 栄一君       有馬 輝武君    佐藤觀次郎君       平岡忠次郎君    堀  昌雄君       春日 一幸君  金融及び証券に関する小委員長 毛利 松平君 ───────────────────── 昭和四十年二月十九日(金曜日)    午前十時四十六分開議  出席委員    委員長 吉田 重延君    理事 金子 一平君 理事 藤井 勝志君    理事 坊  秀男君 理事 山中 貞則君    理事 有馬 輝武君 理事 堀  昌雄君    理事 武藤 山治君       天野 公義君    伊東 正義君       鴨田 宗一君    木村 剛輔君       木村武千代君    小山 省二君       砂田 重民君    田澤 吉郎君       谷川 和穗君    地崎宇三郎君       西岡 武夫君    福田 繁芳君       毛利 松平君    渡辺 栄一君       佐藤觀次郎君    只松 祐治君       野口 忠夫君    日野 吉夫君       平林  剛君    藤田 高敏君       横山 利秋君    竹本 孫一君  出席政府委員         大蔵政務次官  鍛冶 良作君         大蔵事務官         (主税局長)  泉 美之松君         大蔵事務官         (証券局長)  松井 直行君  委員外出席者         国税庁次長   喜田村健三君         大蔵事務官         (国税庁協議団         本部長)    舛谷 正元君         専  門  員 抜井 光三君     ───────────── 二月十九日  委員竹本孫一君辞任につき、その補欠として  佐々木良作君が議長の指名委員に選任された。     ───────────── 二月十八日  入場税撤廃に関する請願外一件(伊東正義君紹  介)(第七〇八号)  同(武市恭信紹介)(第七四〇号)  同(小川三男紹介)(第七六八号)  同(濱田幸雄紹介)(第七六九号)  同(臼井莊一君紹介)(第七八九号)  同(大倉三郎紹介)(第七九〇号)  同(押谷富三紹介)(第七九一号)  同(鴨田宗一紹介)(第七九二号)  同(菅野和太郎紹介)(第七九三号)  同(小宮山重四郎紹介)(第七九四号)  同外一件(齋藤邦吉紹介)(第七九五号)  同(田中伊三次君紹介)(第七九六号)  同(谷垣專一君紹介)(第七九七号)  同(谷川和穗紹介)(第七九八号)  同(中曽根康弘紹介)(第七九九号)  同(西村英一紹介)(第八〇〇号)  同(長谷川四郎紹介)(第八〇一号)  同(原田憲紹介)(第八〇二号)  同(藤山愛一郎紹介)(第八〇三号)  同(古川丈吉紹介)(第八〇四号)  同(堀川恭平紹介)(第八〇五号)  同(松田竹千代紹介)(第八〇六号)  同(松山千惠子紹介)(第八〇七号)  同(山本勝市君紹介)(第八〇八号)  同(和爾俊二郎紹介)(第八〇九号)  同(井岡大治紹介)(第八八七号)  同(伊能繁次郎紹介)(第八八八号)  同(大出俊紹介)(第八八九号)  同(岡本隆一紹介)(第八九〇号)  同(加賀田進紹介)(第八九一号)  同(久保田鶴松紹介)(第八九二号)  同(五島虎雄紹介)(第八九三号)  同(鈴木茂三郎紹介)(第八九四号)  同(田中武夫紹介)(第八九五号)  同(高田富之紹介)(第八九六号)  同(只松祐治紹介)(第八九七号)  同(野原覺紹介)(第八九八号)  同(野間千代三君紹介)(第八九九号)  同(肥田次郎紹介)(第九〇〇号)  同(藤枝泉介紹介)(第九〇一号)  同(三木喜夫紹介)(第九〇二号)  同(武藤山治紹介)(第九〇三号)  同(山口丈太郎紹介)(第九〇四号)  同(吉川兼光紹介)(第九〇五号)  同(小渕恵三紹介)(第九三七号)  同(田中織之進君紹介)(第九六六号)  同(辻原弘市君紹介)(第九六七号)  同(中嶋英夫紹介)(第九六八号)  同(安藤覺紹介)(第九九七号)  同(篠田弘作紹介)(第九九八号)  同(田中正巳紹介)(第九九九号)  同(早川崇紹介)(第一〇〇〇号)  同(坊秀男紹介)(第一〇〇一号)  同(山口喜久一郎紹介)(第一〇〇二号)  同(菊池義郎紹介)(第一〇三一号)  同(松原喜之次紹介)(第一〇三二号)  同(水田三喜男紹介)(第一〇五〇号)  企業組合に対する課税適正化に関する請願(西  岡武夫紹介)(第七〇九号)  所得税法の一部改正に関する請願志賀義雄君  紹介)(第七七〇号)  同(大倉三郎紹介)(第八一〇号)  同外四件(菅野和太郎紹介)(第八一一号)  同(島村一郎紹介)(第八一二号)  同外一件(中村梅吉紹介)(第八一三号)  同(古川丈吉紹介)(第八五三号)  同外一件(和爾俊二郎紹介)(第八五四号)  同(岩動道行紹介)(第九〇六号)  同(渡辺美智雄紹介)(第九〇七号)  同(濱野清吾紹介)(第九三八号)  同(天野公義紹介)(第九六三号)  同(西尾末廣君紹介)(第九六四号)  同(坊秀男紹介)(第九六五号)  同(伊東正義紹介)(第一〇〇三号)  同(小山省二紹介)(第一〇〇四号)  同(野田卯一紹介)(第一〇〇五号)  バナナの輸入関税引き下げに関する請願(長谷  川四郎紹介)(第一〇四九号) は本委員会に付託された。     ─────────────本日の会議に付した案件  物品税法の一部を改正する法律案内閣提出第  五六号)  相続税法の一部を改正する法律案内閣提出第  五八号)  関税定率法等の一部を改正する法律案内閣提  出第七三号)  昭和四十年度における旧令による共済組合等か  らの年金受給者のための特別措置法等規定に  よる年金の額の改定に関する法律案内閣提出  第七九号)  酒税保全及び酒類業組合等に関する法律の一  部を改正する法律案内閣提出第八〇号)  税制に関する件  証券取引に関する件      ────◇─────
  2. 吉田重延

    吉田委員長 これより会議を開きます。  物品税法の一部を改正する法律案相続税法の一部を改正する法律案関税定率法等の一部を改正する法律案昭和四十年度における旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法等規定による年金の額の改定に関する法律案、及び酒税保全及び酒類業組合等に関する法律の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。
  3. 吉田重延

    吉田委員長 政府より提案理由説明を聴取いたします。鍛冶大蔵政務次官
  4. 鍛冶良作

    鍛冶政府委員 ただいま議題となりました物品税法の一部を改正する法律案外四法律案について、提案理由及びその概要説明申し上げます。  初めに物品税法の一部を改正する法律案について申し上げます。  物品税につきましては昭和三十七年度にその税負担の大幅な軽減措置を講じたところでありますが、その際小型乗用自動車カラーフィルム小型レコード及びカラーテレビジョン受像機の四品目につきましては、いずれも開発途上にある物品でありますため、貿易自由化等に対処して国際競争力を培養することを目途とし、昭和四十年三月末日まで三年間に限り、特別の軽減税率として、小型乗用自動車につきましては一五%、その他の三物品につきましては一〇%の税率を適用し、昭和四十年四月から二〇%の基本税率を適用することといたしたのであります。  その後のこれらの物品生産及び取引推移を見ますと、いずれの物品につきましても、この三年間の生産量の増大、コストの低減、技術水準向上等には、めざましい進歩のあとが見られるのであります。  したがいまして、軽減措置は、ほぼその目的を達成したものとも考えられるのでありますが、軽減期間の終了を待って、本年四月から直ちにこれらの物品につき二〇%の基本税率を適用し、その税負担に急激な変化を与えることは、本格的な開放態勢に移行した現在、国際競争力強化見地から、必ずしも適当ではないと認められるのであります。そこでこの際税率を漸次段階的に引き上げつつ、二年後に基本税率に戻すよう、措置することを適当と考え、ここに物品税法の一部を改正する法律案提出することとした次第であります。  この法律案は、ただいま述べました趣旨に其づき、小型乗用自動車につきましては初年度一六%、次年度一八%、その他の三物品につきましては、初年度一三%、次年度一六%の税率による経過措置を講じようとするものであります。  なお、この法律案による改正規定は、本年四日一日から施行することとしております。  次に相続税法の一部を改正する法律案について申し上げます。  政府は、最近における保険普及状況等にかんがみ、相続人の取得する生命保険金非課税限度額引き上げることとするほか、納税者便宜等を考慮して、贈与税申告書提出期限所得税確定申告書提出期限まで延長する等所要規定整備をはかる必要があるので、この法律案提出した次第であります。  以下、この法律案についてその大要を御説明申し上げます。  第一は、相続人の取得する生命保険金非課税限度額引き上げることであります。御承知のとおり、相続税法においては、被相続人死亡に伴い相続人が取得する生命保険金について、一定額を控除することとしておりますが、この際、相続人の取得する生命保険金非課税限度額現行の五十万円から百万円に引き上げるとともに、損害保険契約に基づく死亡保険金生命保険金に準じて取り扱うことといたしております。  また、最近における年金制度等の実態に顧み、これらに関する相続財産範囲及び評価方法を定めるとともに、死亡保険金支払い調書提出について所要規定整備をはかることといたしております。  第二は、贈与税申告書提出期限所得税確定申告書提出期限まで延長することであります。御承知のとおり、贈与によって財産を取得した者は、その年の翌年二月一日から二月末日までに、贈与税申告書提出しなければならないこととなっておりますが、納税者便宜等を考慮して、現行贈与税申告書提出期限である二月末日を、所得税確定申告書提出期限である三月十五日まで延長することといたしております。  次に関税定率法等の一部を改正する法律案について申し上げます。  最近における経済情勢変化に対応するため、関税率等について所要調整を行ない、また、最近における外国貿易の実情にかんがみ、開港として二港を新たに追加することとするほか、船用品及び機用品積み込み手続簡素化をはかる等のため、関税定率法関税暫定措置法及び関税法の一部についてそれぞれ所要改正を行なう必要がありますので、この法律案提出した次第であります。  次に、この法律案内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。  第一は、最近の経済情勢変化に対応して、関税率について、必要な調整を行なうことであります。  わが国の関税率は、昭和三十六年に全面的に改正が行なわれ、その後も三回にわたる部分改正を経た結果、貿易自由化産業構造変化等に対応するための整備は、ほぼ完了したものと考えておりますが、最近の経済情勢変化を顧みますと、なお若干の品目についての調整を要する点があると認められるのであります。そこで、関税定率法及び関税暫定措置法を通じ、二十品目についてその実行税率を変更いたしますとともに、本年三月三十一日に暫定税率適用期限が到来する百九品目のうち九十一品目について、その適用期限を延長することといたしております。なお、実行税率を変更する二十品目の内訳は、税率引き上げるもの一品目税率を引き下げるもの十五品目関税割り当て制度を廃止するもの一品目関税割り当て制度の二次税率を引き下げるもの三品目となっております。  第二は、関税暫定措置法において、期限つきで認めておりますいろいろの関税免税制度及び関税還付制度適用期限の延長と、その拡充措置であります。  現在、関税暫定措置法規定により、重要機械類脱脂粉乳等について関税を免除する免税制度及び一定の場合に関税を還付する還付制度をとっておりますが、これらはいずれも本年三月三十一日で期限が到来いたしますので、適用期限を今後さらに一年間延長することとするとともに、あわせて、次の二つの措置をとることといたしております。  その一は、農林漁業用重油免税制度につきまして、適用対象を最近の需要の推移にかんがみ調整することであります。その二は、化学肥料価格の低下及び輸出振興をはかる見地から、関税納付済み原油等より製造された揮発油アンモニア系窒素肥料の原料として使用した場合には、当該揮発油負担していると認められる関税を還付しようとするものであります。  第三は、関税定率法に基づく免税制度に関する改正でありまして、身体障害者の福祉の増進をはかるため、身体障害者用に特に製作された器具等について関税を免除することとし、また、教育振興に資するため、教育用撮影済みフィルム、スライド、レコード録音済みテープ等特定用途免税対象とすることとしております。  改正の第四点は、輸入許可を受けた貨物許可後引き続き保税地域または税関長の指定する場所に置かれておる間に、災害等により滅失、変質、損傷した場合に、その貨物について納付された関税の全部または一部を払い戻すことができるよう規定整備をはかることであります。  第五は、最近における港湾施設整備状況外国貿易船の入出港状況輸出入貿易額等を考慮して、新たに開港として兵庫県の相生港及び大分県の大分港を指定することであります。  第六は、船用品及び機用品積み込みの場合の手続簡略化及び戻し税制度手続簡素化をはかることとするほか、原産地虚偽表示の防止に関するマドリッド協定改正に伴い関係規定整備すること等のため所要改正を行なうことであります。  次に昭和四十年度における旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法等規定による年金受給者のための特別措置法等規定による年金の額の改定に関する法律案について申し上げます。  この法律案は、旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法昭和三十三年に廃止された旧国家公務員共済組合法及び現行国家公務員共済組合法規定により、現に支給されている年金につきまして、このたび、別途本国会提案されました恩給法等の一部を改正する法律案による恩給の額の改定措置に準じて、年金額引き上げを行なうとともに、所要整備を行なおうとするものであります。  次に、この法律案概要について御説明申し上げます。  第一は、年金額引き上げであります。  まず、旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置及び旧国家公務員共済組合法規定により支給されている年金につきましては、従前と同様に、今回も、恩給法改正措置にならい、一律二割の年金額引き上げを行なうことといたしております。  また、現行国家公務員共済組合法規定により支給されている年金につきましても、今回の恩給法改正措置に準じ、受給者の退職時の俸給を、いわゆる二万円ベースに換算した場合の年金額を、二割引き上げた額が、既裁定年金額を上回るときは、その差額相当額引き上げを行なうことといたしております。  第二は、今回の改正による増加額支給の一時停止についてであります。  まず、旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法及び旧国家公務員共済組合法規定による年金受給者のうち、七十歳未満のものについては、今回の恩給法改正にならい、受給者の年齢に応じて、今回の改正による増加額の一部または全部の支給を三年の間停止する等所要措置を講ずることといたしております。  また、現行国家公務員共済組合法規定による年金につきましては、現行法施行日前の期間に対応する部分についてだけこれと同様の取り扱いを行ない、現行法施行日以後の期間に対応する部分につきましては、保険制度のたてまえ上直ちに全額支給することといたしております。  第三は、今回の年金額改定に要する費用負担についてであります。  旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法及び旧国家公務員共済組合法規定による年金額改定に要する費用は、従前と同様に、全額国負担することといたしております。  また、現行国家公務員共済組合法による年金額改定に要する費用のうち、現行法施行日前の期間に対応するものについては、全額国負担することとし、現行法施行日以後の期間に対応するものについては、国及び組合員負担とすることといたしております。  第四は、現行国家公務員共済組合法の一部改正であります。  現在、職員団体等に専従する組合員に対する長期給付に要する費用のうち、職員団体等は、百分の五十七・五を負担しておりますが、このうち百分の十五に相当する額につきましては、国が負担することといたしております。  第五は、国家公務員共済組合法長期給付に関する施行法の一部改正であります。  まず、高額所得者年金支給停止基準につきましては、恩給法の一部改正と同様の是正を行なうこととしております。  また、現に在職する組合員が旧国家公務員共済組合法適用期間において常勤的非常勤職員として在職した期間を、組合員期間または年金受給資格期間として取り扱うこととするほか、厚生年金保険の被保険者であった期間に対応する年金額計算方法等について所要改善措置を講ずることといたしております。  最後に、酒税保全及び酒類業組合等に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。  最近における酒類取引状況等に顧み、酒類業組合等が、その事業として行なう組合員経営合理化遂行のための規制について、その範囲を広げるとともに、いわゆる不況カルテル要件について表現を改める等所要規定整備をはかるため、この法律案提出した次第であります。  以下、この法律案内容についてその大要を申し上げます。  まず、酒類業組合等は、組合員経営合理化を遂行するため、特に必要がある場合には、酒類の原材料の購入または酒類品種等について規制を行なうことができることとなっておりますが、市場における正常な取引慣行の確立に資するため、今回さらに、その組合員が販売する酒類販売方法についても、規制を行なうことができることとしております。  次に、昨年六月に基準販売価格を定める告示が廃止されたことに伴い、酒類業組合等に関する不況カルテル要件について、所要整備を行なうとともに、大蔵大臣不況事態の有無を判断する基準を、中央酒審議会に諮問して定めることとしております。  なお、その他所要規定整備をはかることとしております。  以上が物品税法の一部を改正する法律案外四法律案提案理由及びその概要であります。  何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成くださりまするようお願い申し上げます。
  5. 吉田重延

    吉田委員長 これにて提案理由説明は終わりました。  各案に対する質疑次会に譲ります。      ────◇─────
  6. 吉田重延

    吉田委員長 税制及び証券取引に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。横山利秋君。
  7. 横山利秋

    横山委員 大臣がおいでくださるという話を聞きましたので、大臣大蔵に所信をただすためのいろいろな準備をしてきたわけでありますが、残念ながらそれができないようであります。大臣個人に対します主要な問題につきましては、次会に回しまして、おいでくださる皆さんに御質問をいたしたいと思います。  まず最初に、先般の本委員会で保留になっておりました問題について簡単に経過を御説明願いたい。  第一は、暴力団課税について、浜松については承知をいたしましたが、名古屋中村税務署の取り上げました暴力団課税が、何か原因不明のままに判然としない結果についての調査をお願いします。  第二番目には、政務次官検討すると約されました不動産あっせん調書についてのその後の経過をお伺いしたい。  第三番目が、大蔵大臣検討を約されました不渡り手形を、その年に、一〇〇%以下という表現を私は使っているのですが、損金に落とすことについて善処を約されました結果をお伺いいたしたい。  以上をまず伺いたい。
  8. 喜田村健三

    ○喜田村説明員 まず最初名古屋での暴力団課税の問題でございますが、個々の事案について詳しくは御返事申し上げにくいので御了承願いたいと思います。  名古屋市内で、お話にありましたような、暴力団ののみ行為による所得について脱税があるという事実につきまして、警察などから資料も連絡を受けまして、これに基づいて現在調査を進めておる最中でございます。ただ、本人が釈放されてからあとなかなか質問調査がうまく進まないという段階で、まだ現在のところ調査の完結というところまでには至っておりませんけれども、局署とも、資料に基づきまして調査の上厳正な課税をするというように努力しているところでございます。
  9. 鍛冶良作

    鍛冶政府委員 暴力団の賭博のテラ銭の問題ですね、テラ銭ということがわかったにもかかわらず税として取るということは何としても私はふに落ちなかったので、現実どういうわけで税で取ることになったかを調査いたしました。すると、それはテラ銭でもうけたということはわかるが、現行犯としてつかまえたものでないから、何月何日にどれだけやって何月何日に幾ら入ったということがわからぬという。それで額がこれだけだということがなかなかつかみにくいので、税法でならば見込み調査できめられるからそれでやれ、こういうことであったそうです。私はやむを得ないものならばしかたがないが、とにかく税法でやれば、どれだけ大きな額であっても三〇%か四〇%より取れない。あと六〇%は本人ふところに残っている。テラ銭ということがわかっておるにもかかわらずふところに残しておくということが理屈に合わないから、それは全部取ることが考えられなくちゃならぬ。どうしてもいかぬならば、法律改正してでもやったほうがよかろうと言っておきましたが、今後現実においてできる限りやれるようなことにし、もしもいかなければ、また別個の方法を講じよう、こういうところまで話を進めましたので、御報告申し上げます。
  10. 泉美之松

    泉政府委員 先般お話のございました所得税法第六十一条第三項の規定に基づきます不動産業者あっせん調書の点でございます。これは御承知のとおり昨年の国会の御審議を経まして設けられました規定でありまして、譲渡所得及び不動産所得課税の適正を期するために必要な制度でありますが、これにつきましていろいろ問題点を御指摘になりました。その問題点について目下、なお検討中でございます。検討内容が、そのとき御指摘がございましたように、現在このあっせん調書宅地建物取引業法に基づきます登録業者のみに限っておるが、はたしてそれでいいのかどうか、いわゆるやみ業者と称せられる非登録の業者についてこの調書を出させないということがはたして適当であるのかどうか、及び現在は不動産のそういったあっせんをした場合、不動産の譲渡等に対して支払われる対価の額が二百万円以上の場合に調書を提出するような義務づけになっておりますが、その二百万円の金額という点について、現在の取引価格の実情から見てはたして適当であるのかどうか、これらの点につきましていろいろ検討をいたしておりますが、まだその結果、それではどういうふうに直すとかいうところまでの結論を得るに至っておりません。
  11. 喜田村健三

    ○喜田村説明員 三つ目の問題の手形の不渡りが出た場合にどういう取り扱いを検討するかという御質問に対しましてお答え申し上げますが、御承知のとおり現在は債務者が不渡り手形を出しまして手形交換取引所の取引停止を受けました場合には、その停止処分のありました日を含む事業年度におきましてその債務者に対する債権額の五〇%以内の金額を貸し倒れとして債権償却特別勘定で処理したときにはこれを貸し倒れとして損金に処理することを認めております。この場合には、その債務者に支払い能力があるかどうかということを問わないで、一応形式的に無条件に一率に五〇%まで損金に落とせるということにしております理由は、不渡り手形が出ましても必ずしもその貸し金が全額回収できなくなおるという場合でもなく、大体不渡り手形に対する回収率は五割程度であるということから、この五割という債権償却を認めたわけでございます。しかしこの五割と申しますのは、全体の平均の回収率でございますので、個々的に見ればあるいはそれよりももっと回収できない、五割以下しか回収できないという場合もあるかと思われますので、その回収率が五割に達しないと見込まれるものにつきましては、現在の取り扱いでは国税局長の承認を受けた場合に、その貸し倒れになると認められる金額まで貸し倒れとして処理することができる、つまり五〇%をこえて貸し倒れとして処理することができるようにしております。ただこの回収率が平均で五割と申しますその基礎資料は、昭和二十九年の不況期の際に、不良債権についての実情調査をしたときに、その資料に基づいて計算したものでございます。この率についてはたして現在それが妥当かどうかということについて再検討をすべく現在調査をやり始めております。ただ貸し倒れにつきましては、ほかに貸し倒れ引き当て金制度もありますし、また最近貸し倒れの認定の通達も相当緩和いたしましたので、直ちに一〇〇%全部損金に算入するということはほかの貸し倒れ認定基準等にも影響いたしますから慎重に検討いたしたいと考えております。
  12. 横山利秋

    横山委員 いま私が質問をいたしましたのは、ことごとく政府側において善処を最高首脳部で約束されたことだけであります。説明をいま求めているわけではないのであります。その点間違いのないようにひとつ。  いま次長がおっしゃたことは、私は百も承知の上でこの間質問をして、大臣から善処をすると約束された。だから私は善処を約束されたことの経過はどうかと聞いている。その経過について中村の報告を受けますと、これは全然努力のあとが見えないと私は判断する。  それから、あっせん調書の問題については努力をされておると推定をします。ただ、これは御存じだと思いますけれども、時期的に宅建業者が違憲訴訟もしておるし、場所によってはいい悪いは別として調書の提出も保留をしておる。保留をしておるから、せっかく前向きに検討なさるというならばチャンスをのがさないようにしてもらいたい。私も、大蔵委員としてそういう違憲訴訟の今後の展望なり、あるいは県によって調書を保留しておるということについての是非論に若干の問題を持っているのです。したがいまして、大蔵委員としての一つの職責を尽くしたいと思うから、前向きの検討については、いつまでたっても結論か出ないということではチャンスを逸しますぞと御忠告申し上げます。  それから、不渡り手形の問題につきましては、いまお話しのように五〇%、それ以上は国税局長の承認を得るという現状については不適当であると私は判断しているからお願いをしているのである。それに対して大臣はごもっともだから検討しようと約された。そこで、私は提案として、この不渡りがどのくらい落ちるだろうか、どのくらい回収ができるだろうかということについては、本人が一番よく情勢を知っておるはずだ。もし一〇〇%損金に落としたところで、回収ができた場合、あとでごまかしようはないんだ。だからチェックできる方法は厳としてあるのであるから、納税者の判断をするところによって、ある納税君は四〇%にでもするだろうし、八〇%として損金に落とす者もあろう、それは納税者の選択にまかせていいではないか。なぜそれをけちるのか。もう少し情勢に呼応させてもいいではないか。もし落とし過ぎたならば次のときに利益としてちゃんと税金は取れるのであるから、その点について私は一〇〇%以下という状況に変えろ、妙なことで一々国税局長の承認を得なければならぬ必要はないではないか、こう言っております。だから、その点いまの御答弁では不十分でございますから、ひとつすみやかな検討をされるように要望します。  それから、大臣にこの間もう一つ、租税裁判所構想について前向きの検討をいただきますことを約束をいただきました。私が本日提案いたしますことは、むしろ私のほうの提案でありまして、この点について御意見を聞きたいという立場で、やや具体的になりますので、ほんとうは大臣に聞いてもらいたいのでありますけれども、事務当局の皆さんにひとつ考えてもらいたいと思うのであります。  私は、先般の租税裁判所を設置しろということについて、大臣から、個人的には賛成であり、前向きに検討されるという御答弁をいただきましたし私も、実は時間があるならば、私の考えておるところをつぶさに申し上げて検討いただくつもりではありましたものの、大まかな話でとめました。本日は具体的に私の意見を申し上げたいのですが、憲法上との関係にやや議論があるということは、すでに御存じのとおりであります。したがいまして、憲法上の問題を、憲法にいうところの「特別裁判所は、これを設置することができない。」という条項並びに七十六条第一項の「最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所」によって設置をするなら差しつかえないという点を準用いたしまして、今日政府部内にございますような公正取引委員会、土地調整委員会、特許庁審判部、海難審判庁、労働委員会等のような準司法機能を持つ租税審判所を設置したらどうかと思われるのであります。政務次官はこの辺のところはベテランでございますから、政務次官にもぜひ御賛同願いたいと思うのでございますが、性格は準司法機関として、所管は総理大臣とする。所管は総理大臣といたしますゆえんのものは、どうしても大蔵大臣では責任の分野が不明確である。明確にこれは審判機能を持つ立場において、別な立場にしたい。審判員は公務員、弁護士、判事、税理士、公認会計士、学者等の人々から選ぶ。機構は、総理府に租税審判庁を、各国税局管内に事案を整理する租税審判所を設置する。これらを庁が統轄、協議団はこれを廃山する。協議団をなぜ廃止したいかという点については、先般申し上げましたとおりでありますが、結局決定をした人が、みずからの誤りをみずから直さなければならないという理論的矛盾をここで解決をしたいと思います。  訴願との関係でありますが、納税者が異議申し立てをするときは、税務署長に行なう異議申し立てをするか、あるいは直ちに租税審判所へ申し立てするかは選択することができることにする。訴願は租税審判所の審決を経た後でなければできないという訴願前置主義は従来どおり存置する。審判所の権限は租税行政機構から完全に独立して、納税者の申し立てを審理する。審理に際しては、事実認定を審判所が行なう権限を付与する。審判所は、国、納税者、関係者に審判に必要な協力をなさしめることができる。審判は合議制で行なわれ、三人の審判員は事案を精査して、合議の結論を審決する。審判に不服な場合は、訴願前置主義に従って上告を最高裁まですることができる。これが私の言うところの租税審判機構の改正の要点であります。  言うまでもございませんが、今日の協議団のあり方につきましては、しばしば本委員会指摘をし、改善の余地があり、また改善を少なからずなさったと思いますけれども、根本的に協議団の持っております性格は、税務機構の一環であり、国税局長並びに国税庁長官の指揮下にあるのでありますから、国税庁長官ないしは国税局長がみずから決定したこと、一たん判を押したことをみずからが直さなければならないという論理的矛盾がどうしても解決できないのであります。ただ、しかし、私が租税裁判所にいきなり踏み切り得ないものは何かといいますと、一つは憲法上の問題でございますが、一つは、租税の具体的事案につきまして、納税者のいまの司法機能に対する敬遠する気持ちとでも申しましょうか、裁判にかかると非常におくれるという感じ、金がかかるという感じ、むずかしいという感じ、そういういまの司法機構に関する納税者の感覚から申しまして、いきなり租税裁判所にすることがはたして納税者の気持ちに合うかどうかについて私は疑念を持つわけであります。したがいまして、本質的には租税裁判の機能なり構想を持つわけでありますが、現実的な租税の現状から推しまして、この協議団に取ってかわり、そしていわゆる地方裁判所の機能と協議団的機能との調和をはかるという意味におきまして、租税審判所を設置することは、今日の租税審査機構に一本筋金を通す、現実に即し、理論的に矛盾なからしめるという立場におきまして私どもが考えたことなのであります。この点につきまして、いきなり申し上げて、いきなり最終結論を得ようとは思いませんけれども、ひとつ関係の皆さんの御意見を伺いたいと思います。
  13. 鍛冶良作

    鍛冶政府委員 いま横山委員の言われたことは、たしか昭和二十四年だったと思いますが、私は党へ提案しまして、それを設置することを、それこそ前向きに研究したのです。いまの大蔵大臣も、それはいいことだと言って賛成してやったと思いますが、結局において司法裁判所としては不適当であるという結論に到達しましたので、司法裁判所というものをやめたわけです。それは、いまあなたの言われたとおり、私のねらいは、早くやること、金がかからぬこと、もしくはいま司法部でやっている調停制度もこの中に加えてやろう、それに不服があれば裁判へいくまでにやろうという構想で私提案したのです。ところが、とうとう負けてしまってできなかった。その根本は、納税決定という行政行為に対する不服の申し立てもしくは再審のことになるのだから、それをすぐ司法裁判所でやるということは不適当だ、それには行政訴訟があるのだからということが一番の原因だったと思います。それと、憲法上疑義があるということです。そこで、それならば行政行為として不服を審判してもらうところをつくろうじゃないかと言ったら、それならば考慮するというので、それがいまあなたの言われた協議団になったのじゃないかと思うのです。確かなことは覚えはないが、とにかく新しいものを設けましょう、それならしかたがない、それでがまんした、それがいまの協議団じゃなかったかと思うのです。そういう意味で、いまやっても、司法裁判所に持っていくということはちょっと困難かと思うが、行政上の不服に対する何かの処置、民意を聞いてこれを更正するというような処置は、協議団がおもしろくないというなら、また何か考えて改良の余地があるのじゃなかろうか、こう考えております。いまの横山委員の御提案はどうもたいへんおもしろいと思いますが、ここでただ聞いておっただけではいかぬから、ひとつそれは文書にして貸していただきたいと思います。本気で研究してみたいと思います。
  14. 横山利秋

    横山委員 私も、せっかく検討をしたものでありますから、ここで皆さんからイエス、ノーというお答えを即座に聞こうとは思いませんので、個人的な見解でもよろしゅうございますから、主税局長なり、国税庁次長なり、協議団本部長なり、それぞれの御意見を伺いたいと思います。
  15. 泉美之松

    泉政府委員 租税の賦課徴収につきまして異議があります場合に、どういうふうな手続をもって納税者の不満の解消をはかるか、これはなかなか重要な問題でございます。横山委員も御承知のとおり、昭和二十四年にシャウプ勧告がありまして、それに基づきまして協議団の制度がとられ、その協議団の制度につきましてもいろいろ改善がはかられて今日に至っていることは、御承知のとおりでございます。しかし、横山委員の仰せられるとおり、協議団は当初から第三者的立場においてということでありますけれども、やはり税務行政機構の中に設置されておりますために、どうも異議のある方としては第三者的立場となかなか受け取りにくい。そこに問題のあることは、私どもも十分承知いたしておるのでございます。この点につきましては、御承知のとおり国税通則法を制定いたします際に税制調査会にもおはかりいたしまして、いま横山委員の仰せられましたように、わが国の憲法のたてまえからいいますと、最終裁判所としての租税裁判所は設けることができないわけでございます。これはどうしても最高裁判所を最終裁判所とする制度の前提のもとでないと、考えることはできない。そこで、その裁判手続に移る前提として、行政部内において準司法的な処理のできる機構を設けたらどうかということで、税制調査会におきましても種々検討が行なわれましたが、しかしその検討の結果はいろいろむずかしい問題があるので、現在の協議団を改善していくよりほかはなかろうという結論に達しておるのでございます。その際ただいま横山委員の仰せられましたような案につきましても、総理大臣の所管にするかどうかというような点まではいっておりませんけれども、いろいろ検討がされました。そのときの問題は二つございます。一つは、そういった租税審判所というのを司法手続の前提として、行政手続として設けました場合におきまして、支分部局を設ける必要がありはしないか。いまのお話は中央にだけそういう租税審判所を設けるのか、それとも少なくとも各国税局単位くらいまでには地方支分部局を設ける必要があると認められるけれども、その点をどうするか、これが問題でございます。そこで、そういう支分部局を設けました場合に、その支分部局の裁決と申しますか、それがそれぞれ異なるようなことになりますと、ぐあいが悪いので、やはり租税審判所におきまして統一的な処理がはかられないと、ある事件については納税者の異議が認められ、ある事件については認められないというような、同じ事件についてそういう処理がされることは好ましくない、そこで支分部局を設けなければならないけれども、そうすると相当多数のそういう人員を新しくつくらなければならない、そこにそういった専門家を設置することがなかなか問題ではないかという点が一つ。  それからいま一つは、現在の場合におきましてもこの協議団の優秀な人員を確保することに非常に困難を感じておるのでございますが、そういう租税審判所ができました場合に、事柄が非常に専門的でありますだけに、その人員を確保することがなかなかむずかしい問題ではないか、もちろんそういう審判員には相当の身分保障を与える必要もございましょうし、給与の面におきましても相当の優遇措置をはからなければいけないと考えるわけでございますけれども、そういったことにつきましてなかなか問題がありはしないかというような検討の結果、現在のところでは協議団を改善していくという形で処理する、その場合問題がございましたのは、従来協議団で処理する場合に、その前に直税部とか間税部とかいう担当部局の意見を聞くということになっております。そこで場合によって原処分庁の上級官庁であるそういった直税部、間税部などの意見が勝つような場合がありまして、そのために協議団の第三者的性格につきまして疑惑を持たれる、こういうような点がございましたので、それらの点につきまして改善をはかっていくという形で今日に至にっておるのでございます。しかしながら横山委員のせっかくの御提案でございます。そういった点、従来検討したことでありますけれども、さらに十分検討をいたしてまいりたい、かように考えるのでございます。
  16. 喜田村健三

    ○喜田村説明員 私、執行機関でございますので、制度の問題についていろいろ個人的にわたりまして意見を申し上げるのは適当でないかと思います。協議団の協議決定がはたしてどんなように行なわれているかという事実を申し上げまして、御審議の御参考にしていただきたいと思うわけでございます。  現在税務署の処分について不服のある者は、先ほどお話のありましたように再調査の請求、異議申し立てができるわけでございます。これが三十八年度に発生いたしましたのが二万七千四百九十一件でございます。そのうち、原処分を全部または一部取り消しまたは変更したというのが、一万二千二百三十九ございます。したがいまして、かなり税務署の段階で原処分の一部または全部の是正が行なわれているということが、こうした計数で出ております。  それから、今度は国税局に審査請求として出てまいりますが、現在この件数が非常にふえてきております。行政部の審査法ができまして協議の制度ができましてから非常にこうした件数がふえてきております。七千七百九十二件の新規発生が三十八年度について出ております。それから同期間中に処理いたしました五千六百四十件について見ますと、先ほども申しましたような取り消しまたは変更というのが二千七百四件ございます。したがいまして、この協議団の協議を経ます審査決定の段階で、相当また納税者の権利救済がはかられているという計数が出ております。  それから三番目に、今度はそれに対してなお不服であるといって訴訟を出す納税者がございます。その訴訟を出した、それで判決のありました件数が、三十八年度で百三十六件ございます。そのうち国側が勝ちましたのは五十六件、それから取り下げたのが四十六件、国側が一部負けたというのが十一件、国側が一部勝ったというのが十四件、したがいまして、訴訟の段階になりますと、先ほどの比率は、国側の原処分が維持されたという例が非常に多くなってきている、ということは、間接的ではございますが、協議団の審議が相当適正な実体的な真実の発見という点に貢献しているのではないか、こう考えております。  なお、協議団の運用につきましては、先ほど主税局長も話しましたように、なるべく協議団の自主的な判断、第三者的な判断というものを尊重するという運用をいたしておりまして、主管部の審理は原則として法令、通達上の疑義があるといったような特殊事案、非常に大きくて影響の大きな事案、そういったものだけに限りまして、それ以外の事案につきましては主管部の審理を省略して協議団の協議決定どおりの審査決定を行なう、それによって第三者的な地位を確保すると同時に、審査事案の早期の処理の促進をはかる、こういった立場をとっておりますし、こうした審査省略基準につきましては昨年の暮れに大幅にこれを協議団の自主性を尊重する方向で改正いたしたところでございます。こうしたように、現在協議団の協議の内容というものをできるだけ尊重するという方向で協議団審査決定の運用を行なっているというところでございます。こうした方向で適正な納税者の権利救済がはかり得るのではないか、こういうふうに私としては考えております。
  17. 横山利秋

    横山委員 いろいろの御意見を伺いまして、私も立案者の一人として非常に参考になると思うのですが、ただいま局長のお話を聞きましても、いかに多くの納税者が税に対する苦情を持っておるかということが痛感されるわけであります。お互いに大蔵委員をやりまして税務署なりあるいは局へしばしば出入りをするわけでありますが、年に一度の人事異動というものは税務官吏にとりましてはたいへんな話題になっているのです。そしてみな、最近では私どもの要望も多少受け入れられたのか、人事異動の幅が少し小幅になりましたけれども、それにしても定期異動の直前になりますと全く手がつかぬ。そしてみんなの言っておるのを聞きますと、ほとんど同じように直税へ行きたい、法人へ行きたいがそれがいけなければ所得へ行きたい、いつまでも徴収におるのはいやだと言う。その中で協議団に進んで行きたいという人が私は非常に少ないと思う。協議団に行かれるのは、これは相当の年輩で熟練の士でありますから、直税なりあるいは間税におられても相当の地位にある人だと思う。皆さんが——皆さんというのはあなた方ですが、あなた方が協議団を重視し、協議団にできる限り権能を持たせ、いい人を送ろうとしましても、いまの徴税機構の中における協議団の地位というものは、もう基本的にやはり地位が低いというところに問題がある。しばしば老朽化が伝えられ、しばしばそれに対して人事の刷新が行なわれておるけれども、本質的に協議団に行きたいという希望が少ないのですから、どうしても無理をし、無理をした人は、協議団で適当な時期になったら、そのかわりにどこかいいところへ行く希望を満たせるという条件つきで行なわれるのが、私は現場の普通の状況ではないかと思うのです。その人事運用は、いま主税局長のおっしゃる租税審判所機構においても、それでは本筋の税務機構から離れてそちらへ行く決心がつき得るかといいますと、多少やはり同じような問題は起こるかもしれませんが、少なくとも公取に匹敵しあるいはこのほか公取と同じような、先ほど述べました準司法機関としての行政機構、その身分、その地位が保証されるならば、私は進んで人材を抜てきすることがいまよりはできるのではなかろうかと思うのであります。根本的に私が考えますことは、なるほど局長なりあるいは協議団長なりあるいは協議団に働いておる人々の意欲ないしは努力によってカバーできるものの、基本的に結局同じ人が自分のあやまちを正す。自分は百万円と決定して判こを押したのに対して納税者が異議を申し立ててきた。その審査を自分のところでもう一ぺんするということは、みずからのあやまちを認めなければならぬ。みずからのあやまちを認むるということは、どうしても消極的になる。しかもそれは局長なり所長でなくて、その決裁に当たった課長なりあるいは部長としてはどうしてもそれに対する対抗意識が出ざるを得ない。そこで協議団と直税がやり合って、それを責任をとった局長が判断をして、まあこのへんくらいのことは認めてやらなければなるまいとみずからのあやまちを認める、こういう仕組みに基本的な矛盾がある。この矛盾を正さずしてこの徴税機構の合理性というものは全うできないのではないか。ここはどなたにお伺いしても認められるのであります。ただそれを認めるについては、この租税裁判所というようなものをかりにつくったとして、筋は全うするけれども、それでは快刀乱麻問答無用、税法どおりというようなあり方に近づいて、さてそれでよろしいものかどうかについて私もいろいろ考えてみたのですが、そうなりますと、少し実情、実態から離れる可能性があるのではないかと自問自答したわけであります。そこで地方裁判所と協議団との矛盾を、俗にいえば足して二で割るのでありますけれども、しかしその円滑な運営、迅速な運営、そうして実態に合わせたような運営をいたしますためには租税審判所の機能というものが最も適当ではなかろうか。しかも段鑑遠からず公正取引委員会なり、あるいは土地調整委員会、特許庁審判部、海難審判庁、労働委員会等々すでに前例があるのでありますから、これは決して新たに道を開くものでもないではないか。したがいまして、この臨時税制調査会がどこまで議論をなさったのか知りませんけれども、ここに力点を求めて検討をいたしますならば、今日の租税機構の中で、最も納税者の不満に思っております租税審査のあり方に一本筋が通せるのではあるまいか、こう私は考えるわけであります。それにつきまして先般大蔵大臣税制全般について西ドイツ及びアメリカの税制についてちょっと意見を漏らされましたので、私もさらにそちらのほうの調査をいたしてみますると、すでに米国におきましては米国租税裁判所の制度がありまして、一九二四年の歳入法に租税訴願庁が規定せられ、執行部門から独立の機能となり、一九四二年には合衆国租税裁判所という機能ができた。このほかに、合衆国地方裁判所は、納税者が一度納税したものに対する還付請求書を提出し、その却下または提出の六カ月以後に出訴できる純然たる司法裁判所が第二番目にある。第三番目には合衆国請求裁判所が一八五五年に設立をされておる。要するに純司法機関とそれから行政機能を持つものとの両建てになっておる、西ドイツの租税裁判制度におきましても、連邦財務裁判所が一九五〇年の連邦財務裁判法によって設立されておる。またライヒ租税基本法による訴願手続、控訴手続についての組織があり、その一番末端においては、私も先般西ベルリンでつぶさに見てきたわけでありますが、税務署のいわゆる日本における再調査の機能それ自身から異なっておりまして、それぞれの管掌する租税の第一審の法的救済機関として租税委員会が税務署にあり、一九一九年ライヒ租税基本法によって規定されまして、署長、各市町村代表委員、さらに地方自治機能、行政機能選出の委員四名ないし八名を組織されまして、審議権と裁決権があり、委員長は署長がやっておる。その末端機構についてすでに民主的な租税審査機構が確立され、上部機関についてさらに財務に関する裁判所の機構が確立されておる。もっとも西ドイツにおけるドイツ人の租税に対する理解の観念と、日本におきます租税者の観念とは多少異なったものがありまして、いま直ちに私は西ドイツの税務署におけるこの租税委員会の構想が適当であるかどうかについては、多少まだ疑問があるわけであります。しかしながら上部機関における三者構成ないしは租税行政機構と独立をした機構につきましては、戦後二十年たった今日においては百尺竿頭一歩を進めて確立をなさるべき段階に到達をしておるのではないか、こういう判断をいたしておるわけであります。本日、これほどの問題でございますから、特にこの最終的な御意見を伺うわけにもいきませんし、大臣もいらっしゃらないので、ぜひひとつこれらの問題につきまして慎重に大蔵省内部でも検討されること、それから臨時税制調査会におきましても検討を要請されることをお願いしたいのでありますが、いかがでございましょうか。
  18. 鍛冶良作

    鍛冶政府委員 まことに参考になる御意見だと思います。ただ口で、聞いているだけではなんですから、それは資料をぜひともちょうだいして真摯にひとつ研究してみたいと思います。
  19. 横山利秋

    横山委員 その次の問題は、この租税に対する認識の問題でありまして、これまた実は大蔵大臣にお伺いをしたいと思っておるのですが、私どもがいまの租税状況をいろいろと任務のかたわら見るためには、国税庁年報ないしはいろいろなものがあるわけであります。国民が租税の状況を知るという点につきましては、お役所の国税庁年報なり何なりでありますから十分にわからないのであります。近ごろいわゆる白書ばやりということがいわれておるのでありますが、わが国の租税というものは、きわめて重大なものであるにかかわりませず、国民に対するPRはもっぱら国税庁の税を徴収するための宣伝といっては失礼でありますが、宣伝的立場においてその税務行政の資料、税務行政、税務の実態というものがいわれておるわけであります。私は今日の臨時税制調査会のいろいろな角度からの検討を多とするものでありますが、少なくともわれわれ国会議員なりあるいは町の学識経験者、あらゆる人々が租税について実態を知り、問題点をともに検討するという意味においての材料というものは、公式な毛のはあまりに少ないのではないか。ですから、私どもとしては、この際ひとつ、何も流行を追うつもりではないのですけれども、いろいろな白書があるにかかわりませず、租税白書というものが今日まで出ていないということはどういうことだろうかということを考える。ありていに申せば、いろいろと主税局なり国税庁が常にお出しになるものは、税金を取る立場において国民に知ってもらいたいという色彩が強いのであります。どうもそんな感じがしてならない。もっと公平に公正に国民の中に租税の実態を知らせ、租税の問題点を摘出をし、ともに議論をして民主的な租税制度、行政制度を確立するために、観点を変えた租税白書を年々歳々御発行になるべきだと思うのですが、いかがでございましょうか。
  20. 泉美之松

    泉政府委員 租税白書の問題でございますが、お話のように、納税ということは国民の大きな義務でございまして、非常に国民の関心のあることでございますから、それの実態というものをもっともっと国民に明らかにする必要があるということはお話のとおりだと思います。私どもとしましては、従来から国税庁年報書というのを毎年発行いたしまして、これはまだ必ずしも納税者の方に十分行き渡っているかどうかは問題があるかと思いますけれども、それによって税務行政の実態というものをよく理解をしていただくようにいたしておるつもりでございます。それからまた、お話ございましたが、毎年税制調査会におきまして答申を出すと同時に、その答申を出すまでに至る税制調査会の審議経過並びにその審議に使用いたしました資料を公表いたしまして、そして納税国民に税制問題点についての理解を得るようにつとめておるつもりでございます。この年報書とそういった税制調査会の審議経過といったもののほかに、さらに租税白書と申しますべきものを出すかどうかということになりますと、まあ現在でもそれだけのものを出すのに非常に追われているような事情でございまして、租税白書というものをどういう形で、またどこから出すべきか、なおいろいろ検討しなければならぬ点があろうかと思います。  なお、御承知だと思いますが、アメリカにおきましては、日本の国税庁長官に当たりますコミッショナーが毎年やはり年報告書を出しております。それで租税の実態がわかるような仕組みになっております。アメリカにおきましては、いわばそれが租税白書であるといえるかと思います。現在の国税庁の年報書におきましても、過去一年間の事績をあらわして、納税者の方に理解し得るような形で提供しているつもりでございます。ただお話のように、どうもまだ、税を取るといっては語弊がございましょうが、賦課徴収するものの立場が強く出ておって、納税者のほうから見るとそういう形では不満足だというような向き毛あろうかと思います。そういった点につきまして、今後どういう形、どういう姿においてやっていくべきか、なお検討いたしたいと存じます。
  21. 横山利秋

    横山委員 私も年報はしばしば見るわけでありますが、あれは先ほど言いましたような意味ともう一つ資料集という意味があって、しろうとには、たとえばぼくらが見ますときに、必要に迫られてそこにはどういう統計が出ているかという意味において見るものであって、実際問題として税を知るために全部通読をするという意味において年報が出ておるのではない、またそういうような意味において部外の人が見るものではない。むしろ私は資料として必要ならば国税庁年報はきわめて圧縮して必要最小限度の資料集にすること、そうしてむしろ税制調査会なり、われわれなりあるいは税法研究者なり、一般の国民の中で税の知識を広めるためにも国民に向けて租税白書というものを出すことのほうがより有意義ではないか、国税庁年報をもらってたなの上に積んでおいて、全国の税務職員にしてもどのくらいの人があれを見ておるかということについて、私は疑問を持つわけであります。でありますから、これはまたいつかの機会によく御意見を申し上げて御検討願いたいと思うのでありますが、ひとつそのときまで検討しておいていただきたいと思います。  次は、いつも本委員会で私も取り上げているわけでありますが、今回また協同組合に対する税法の一部改正があるわけであります。いつまでたっても取り残されるのが企業組合であります。この企業組合は、いままでいわゆる脱税をするおそれがあったということで、もうずっと前の話でありますが、非常に国税庁の攻撃を受けました。しかしその後ずっと淘汰されまして、現在運営されております企業組合というものは、ほとんど健全な運営で推移をしているわけであります。私はいま中小企業政策が天下の課題の一つとなり、戦後最大の不渡り、倒産となり、そうして中小企業が新しくどういうところに伸びていくか、新しい中小企業のより強固な団結ということがわれわれの課題となっているときであるから、この際企業組合について新しい観点からものを見るべきである。その意味においては、企業組合に対する法人税の課税については特別法人税率を通用することが必要であるということを、盛んに主張をしてまいりました。すでに通産省におきましてもこの点につきましてはほとんど同意をいたしておるわけでありますが、大蔵省が、何としても頑迷固陋にして、この問題についてかつての企業組合の観点をどうしても脱却できない。それならば、大蔵省は企業組合の実態に触れて検討したかといいますと、私は、残念ながらそのような話を聞いたことがないのであります。第二番目の問題として、企業組合所得のうち組合員に従事分量配当した額について、これを損金扱いにせよという問題がございます。第三番目には、企業組合に対しても留保金の一部についての非課税措置を適用しろという問題、第四番目には、給与以外の所得を有する組合員の申告についての差別扱いを撤廃すること、第五番目には、企業組合の専務理事、常務理事その他これに準ずる者の職員兼務賞与を損金とすること。集約いたしますと企業組合の要望はこれらの五つでありますが、問題は、いまの中小企業政策を政府が全力をあげて推進しておる中でいろいろな形があります。大別いたしますと、中小企業を組織化すること、専門化すること、これが政策の二つの焦点になっています。組織化をするについて、より強固な団結ということが問題になっておる。いまの協同組合からもう一歩突き進むところに企業組合があり、企業組合をさらに団結させるならば、これは株式会社になるわけであります。私は、その意味において政府の中小企業組織化がより充実した協同組合であるならば、明らかにそれは企業組合ではないか。企業組合がさらに結束するならば、もう株式会社しかない。株式会社であるならばこれはいたし方がないが、協同組合の運営をより団結、前進させるならば、企業組合についての実態を考慮して、もういいかげんに特別法人税率を適用するなり何なりの道を開くことが必要ではないか。これは本委員会で取り上げることもほんとうにしばしばでございますし、通産省関係ではほとんど了解し、通産大臣も、まあおれも努力しているんだけれども……、ここまできておるのでありますが、どうして一体大蔵省として踏み切れないであろうか、私は非常に残念に思う。私どもから申し上げていることは、もしそれ、それについて弊害が起こるというのであるならば、これは弊害を除去する方法がある。帳簿が確立していないとするならば、帳簿を確立するようなやり方を指摘すればよい。運営について法に合わない点があるならば、法を若干修正するか運営を正させればいい。戦後の企業組合の状況だけが頭に残っておって、だから企業組合はいかぬという先入主は、いいかげんに主税局なり国税庁としても考えるべきではないか、私は力説してやまないわけであります。この点については、もうこの辺でひとつ前向きにぜひ検討をいただきたい。
  22. 泉美之松

    泉政府委員 企業組合の問題につきましては、お話しのように、過去に企業組合ができる当時にいろいろ問題がございまして、今日に至っておるわけでございます。もちろん私どもも、企業組合がその設立当時の姿から今日になりますとだいぶ姿が変わってきておって、単に租税の軽減のみを目的として設立されましたものは漸次つぶれて、ほんとうの意味で企業組合が中小企業の今後生きていく形として望ましい姿になりつつあるという実情は、よく承知いたしておるのであります。ただ、現実にありまする企業組合の中には、先ほどお話がございましたが、まだその帳簿の記帳等につきまして本来あるべき姿に到達していない。国税局、税務署におきまして法人として認めにくいというものもございます。また法人として認められておるものにつきましても、必ずしも記帳が十分でない、こういったものもあるわけでございます。したがって、それはやはり本来のあるべき企業組合の姿に直していただくという努力もしていただかなければならぬと思います。それに応じて税のほうも、いろいろ検討しなければならぬ点があろうかと思います。  ただいま五つの点につきまして、企業組合についての課税制度を改めるべきではないかという御意見があったのでございます。そのそれぞれにつきまして、いろいろ理由がございましてできておるわけでございますが、ただ今回の税制改正におきましては、その第四点におあげになりました一般の給与所得者の場合におきましては、給与所得以外の所得が五万円以下であります場合には、その部分については申告をしなくてもいいということになっておりますが、企業組合の場合にはその適用がないことになっておりますが、今回はそれを改めまして、企業組合組合員企業組合から受ける給与以外の所得、その中には企業組合から受ける不動産の貸し付けによる所得もあろうかと思いますが、そういったものも含めまして五万円以下である場合には、申告書提出しなくてもいいという制度に改めることにいたしております。五つ仰せられましたうちの一つは解決することにいたしております。  他の四点につきましては、まず法人税率の点につきましては、お話しのように、企業組合が協同組合から企業組合、そしてさらに株式会社へというような一つの企業組織としてのあり方の面から言って、そういう姿であるという御意見のほどはわかりますけれども、やはり協同組合とは違って、個人の企業がなくなって企業組合に没入するという形においては、普通の株式会社と変わるところはないのではないか。そうすれば普通の一般法人としての法人税率を適用するのが望ましいので、協同組合のように私企業の姿を残しながら一つの企業の一部分だけ共同事業でやっておるという場合と、そこは違うのではないかというふうに感じておるのでございます。  それから、従事分量配当につきまして損金算入とするという点も、いま申し上げました私企業の姿を残して一部共同事業を行なっておる協同組合の場合と、それから私企業の姿がなくなって企業組合に没入している姿とでは、やはりそこには考え方に違いがあるべきではないか。  また、留保金につきまして非課税措置をとるかどうかということにつきましては、これは考えようによっていろいろ考え得る余地のある問題でございますけれども、やはりそこに、いままでとらわれております協同組合等の場合と違った面がありはしないかということでございます。  なお、専務理事なんかの賞与の損金算入の問題は、これはやはり一般の株式会社の役員の賞与を損金に入れないということと結びついておる問題でございます。  いずれにしても、現行税制の考え方からいたしますと、いまの四点につきましては、なおいろいろ検討しなければならぬ問題がございます。したがいまして、企業組合の実態の推移を十分考えつつ、そういった問題を今後検討いたしてまいりたい、かように考えておるのでございます。
  23. 横山利秋

    横山委員 考え方に違いがありますのは、あなたの考えは、企業組合の実態の推移に応じて考えるとおっしゃる。ところが、時代は先行して、何とか中小企業政策を充実させなければならぬということが、与野党を通じて政策の中心になっておる。だからぼくは、この中小企業政策を推進するために企業組合にライトを当てろ、ライトを当てるについては、もし不十分な点があるならば条件をつけてもいいから踏み切ってやれ、こう言っている。向こうがやったら考えましょうでは、何をやったらいいのかわからぬ。だから企業組合について、こういうふうにするからこのための条件はこれだというなら、話はわかると言っておるのです。いま企業組合についての感覚が乏しいのは、国税庁及び主税局だけですよ。通産省系統その他のところでは——中小企業庁でもそうであります。私が手元に持っておりますのは全国中小企業団体中央会の意見でありますけれども、民間は残らずそうだ。通産省もそう言っているのです。通産委員会の記録もそうなんです。だから私は、理屈を言うなら幾らでもあなたに理屈で対抗できる。一体企業組合は何法によって規定されておるのか。協同組合法じゃないか。明らかに、協同組合法の中の一環として、企業組合法律に制定されておるではないか。それをしも協同組合の一種と認めないということは、おかしいじゃないか。あなたは、企業組合が利潤を目的としておると、こう言われる。利潤を目的としておると言うなら、これは協同組合だって、ある意味ではどころではない、このごろは、調整行為及び経済行為のうちで経済行為のほうが強いではないか。経済行為は、言うまでもなくこれは利益、利潤追求の行為ではないか。いかに共同の歩調でやるといったところで、結局は利潤追求の行為ではないか。その一端が、経済行為のうちでは企業組合と何ら軌を一にして選ぶところがないではないか。そういう理屈をあなたがおっしゃっていくならば、私も幾らでも理論的には対抗できるのです。問題は、そういう水かけ論をしておる段階ではもうないではないか。だから繰り返し言うけれども、そういう水かけ論の原因の一つに企業組合の実際の運営についてまずい点があるというなら、それを承りましょう。それを除去させましょう。条件を付するならけっこうです。そこで踏み切ってもらいたいと言っておるわけです。オールマイティーのことをあなたに議論をふっかけておるわけではない。  それから、たとえば留保金の一部についての非課税措置を適用することについては、いま余地があるとおっしゃった。まさにその点は、あなたもお認めになっておると思うのです。これはもう去年の税法改正で農協、漁業組合、それから事業共同組合のものについては二分の一になった。二分の一について法人税を課さない措置が行なわれたが、信用組合、火災協同組合、企業組合については、これはいま資本蓄積が必要であるといわれておる。その二分の一になった組合よりもこちらのほうのほうが、オーソドックスな立場で推進をしなければならぬのにかかわらず、これが二分の一になってない。これはあなたは余地があるとおっしゃっているのだから、あなたに私の理屈をそうまで言わなくてもおわかりになっておると思うのですけれども、当然のことではなかろうか。  それから企業組合の専務理事その他についてはどうかという御意見だが、これこそ企業組合の特質を御存じない。企業組合というのは、ほんとうに零細企業のとうふ屋さんやげた屋さん、八百屋さんの集まりだ。その集まりの専務理事が職員の職務を兼ねるということは当然あることだ。自分が大きな腰かけ、大きな机にどっしりすわって、企業組合の専務がやれるはずはない。こういう零細企業の名目は専務だけれども、一緒になって帳面をひっくり返してやっているのが企業組合です。それをやっているからあかぬというようなお話だとすれば、零細企業に対する共同団結の認識が全く皆無ではないか。これはもうこの組合の専務、常務等が職員を兼ねている場合が実に多いのだが、その分に対する賞与は損金に認めないということは、何か大きな会社、大きな工場を土台にして考えていらっしゃるのではあるまいか、こう思われる。私はこれで企業組合のことを取り上げのは、大蔵委員十年のうちで何回あるかわからないが、あなたのほうはそういう水かけ論で終始しゃべっておられる。もう国税庁というのはただ税金を取ればいい、国税庁と中小企業政策とは関係ありません、主税局はそんなことはわしらの関係ではない、わしらのほうはただ取れということならともかく、まさかそういうことでもあるまいと思うから、私はいまにいまに、この局長でいかなかったらこの次の局長でやろうか、この長官でいかなかったら次の長官で、私がバッジをつけておる限りは何としてもというぐらいに、時と場所を、適当な時を選んでやっておるのです。いまちょうど泉さんのような人格円満な人が来た機会に、この企業組合についてはぜひ考慮をしてもらいたい。鍛冶さんは、この方面はちょっとお暗いでしょうね。だけれども、私の言うことは大体おわかりになるでしょう。みんな企業組合というのは零細企業なんです。八百屋さん、とうふ屋さん、げた屋さん、みんな集まって一緒にやらないか、株式会社にするのはちょっとえらい、協同組合だけでは何かもの足らぬ、だから一緒に力をそろえてやるまいかといってやっているのが企業組合です。ただ最初のころには、惜しいかな脱税的なうらみがあった。それでいかぬということになった。いかぬのは、それは悪かった。けれども、それから生き残っていま企業組合を全国に運営している人たちは、生き残って、ずっと淘汰されるものはある程度淘汰されて伸びないのです。残ったものはずっと残って、数もふえも減りもせぬけれども、あまり伸びていない。伸びていないのはなぜか。伸びていないのは、協同組合よりも税金が高いということですね。特別法人税が適用されていないということなんです。ここに一歩進めるならば、新しい中小企業、零細企業の団結が生まれていく。生まれるについては、もし何ぞ条件があるならおつけになったらどうだ、こう言っておるのでありますから、もうこの問題だけでも二、三十分やったので、この努力と誠意に免じていい返事をひとついただきたいと思います。
  24. 泉美之松

    泉政府委員 先ほど申し上げましたように、われわれも企業組合につきましていろいろ検討いたしておりますればこそ、御要望の五点のうち一つは、今回の税制改正で認めることにいたしたのでございます。まだあと五分の四残っているではないかという御意見だと思いますけれども、それらにつきましては、先ほど申し上げましたようにいろいろ問題点がございます。もちろん横山委員からお話がございましたように、おまえのほうで注文があるならその注文を出して、そういうふうに直してもらえばいいじゃないか、まことに仰せのとおりでございます。ただしかし、世の中というものは、注文を出したからすぐそれで直るというものでないのでございます。現在ございます企業組合の中でも、やはり相当数のものは、税務当局から見るとどうも企業組合として法人格を認めがたい、やはり個人課税をせざるを得ないというものもあるわけでございます。もちろん私どもとしては、中小企業庁、通産省のほうと常に連絡を保ちまして、われわれの希望としては、企業組合の運営はこういうふうにあってほしいんだということを申し上げておりますが、まだ現在あります企業組合が、全部が全部そういう姿になってまいっておりません。したがって、先ほど申し上げましたように、そういうふうな姿になることを念願して、そういう姿になるということを前提にいろいろ今後検討してまいわたいというのでございます。したがいまして、私どもとしても、過去の企業組合のイメージだけで今日やっておるわけではございません。前向きの姿勢で対処いたしておりますことを御了解願いたいのでございます。
  25. 横山利秋

    横山委員 あなたは、注文だけしてもそういうふうになってくれないからしようがないと言うのだけれども、まだ次元が違う。私の言う注文というのは、条件というのがもしあるんだったら法律できめてしまえばいいじゃないか、そしてこの特別法人税率を適用することにして、その適用条件というものを法定すればいいじゃないか、政令できめればいいじゃないか、こう言っているのですよ。あなたは、企業組合は自分の注文どおりになってもらえば考えると言っているのだが、その自分の注文を文章にあらわせばいいじゃないか、こう言っているのですよ。あなたの言っていることと私の言っていることは、少し次元が違うと思う。あなたは責任を企業組合に転嫁する。けれども、税制企業組合は特別法人税率にすることが望ましいし、正しいし、もう時期だ、こう言っているのですから、そこを一歩踏み込まなければ、百年河清を待つというようなものです。私は具体的な問題についてあなたと十分に議論をしたことはないんだけれども、あなただって何べんも、おそらくこの問題について聞いていらっしゃると思う。ただ惜しいかな、僕も企業組合の現状を知っておるよとおっしゃるけれども、そうは思わぬ。もしあなたが知っておる範囲内においてまずい点があるなら、列挙してください。それが直せるものだったら、踏み切るということなら、私、直さしてみせる。しかし、あまり無理なこと言ってはいかぬですよ。できもせぬようなことを言ってはいかぬです。大体こういうふうにしてやれば特別法人税を適用するということを言ってくだされば、私たち真剣に考えさせますよ。
  26. 泉美之松

    泉政府委員 せっかくのおことばでございますので、私どもといたしましても、従来企業組合につきまして考えてきておるところでありますけれども、さらにお話しの点を加味して今後検討いたしたい。先ほど申し上げたとおりでございます。われわれの要望する企業組合の姿がどういう点にあるか。これは御存じのとおり、経理をきちんと記帳していただきたい。従来の企業組合の中には、それぞれの店舗、従来個人企業をやっておりました当時の店舗で事業を営んでおるわけでございますが、その売り上げというものを企業組合の本部に報告するという伝票組織ができておりますけれども、その中にこういう伝票組織がきちんとしていない企業組合があるわけでございます。中には売り上げの何%は従来の店にそのまま残しておくということでありますが、それはやはり困るのでありまして、ちゃんと企業組合に全部の収入、支出の経理をしていただきたいということであります。  それからまた、個人経営当時の建物が多く、個人所有の姿のままにしておきまして、これを企業組合に貸し付けるということが多いわけでございますが、その間の経理が、必ずしも明確でない場合が多いようでございます。そういった点を明確にしていただきたい。  そのほか、いずれ後ほど書類にいたしたいと思いますが、われわれといたしまして、企業組合のあり方について考えておる点がございます。したがって、そういうふうな経理が行なわれるということを前提といたしまして、今後お話しのような点につきまして検討をいたしてまいりたい、かように考えるのでございます。
  27. 横山利秋

    横山委員 それでは、ひとついまお話しのようなことでけっこうでございますから、企業組合に大蔵省として要望する点を書類で出していただきたい。ただお願いしたいと思いますのは、前向きのつもりで出してもらいたいのです。そんなことは、あなたは人がいいからやらぬと思うけれども、いまの状態からいって絶対むずかしいという条件を出さずに、努力すれば何とかなるということを少しは考えてもらって出してもらいたい。しかし、いまお話を聞いたようなことなら、政務次官、これだから絶対特別法人税率をかけてはならぬという理屈にならぬ、私はそう思いますが、どうなんでしょうか。
  28. 鍛冶良作

    鍛冶政府委員 私は、企業組合というものの実態を知らぬものだから述べられぬが、先ほどから聞いておると、企業組合としてほんとうに組合そのものが事業主体になっておるかどうかということに問題があるんじゃないですか。また、片一方に店があって、ただこっちに団体があるようなことを言っておっても、事業はここに残っておる、それではこっとのものが企業主体とは認められないと思う。こういうことのように考えます。したがってそういうことになれば、ここで事業所得も金銭の出納等もはっきりしなければならぬ、こういうことになるんじゃないかと思いますが、いずれよく勉強したいと思います。
  29. 横山利秋

    横山委員 政務次官、ひとつ企業組合の代表者に一ぺん会ってもらって、よく聞いてやってくれませんか。最初のころは問題があった。いま生き残っておるものは、きちんと看板を掲げ、きちんとした事務所を設けてやっておる。ただ、いまの伝票をはっきりせよとか、売り上げのものを店に残しては困るとか、個人所有の店を貸し付けておるなら貸し付けておる、そこのところをきちんとしろというようなこと、これは指摘されたようなことがあると思います。けれども、そういうことであるならば、どこの中小企業だって完全無欠じゃないのです。ただ特別法人税率をするについては、この辺のことはきちんとしてもらわなければならぬということなら、そのように考えましょうけれども、いまお話しになったようなことであるから、特別法人税率を適用できないということでは説得力がないと私は思う。これはくれぐれも要望いたしておきますが、前向きのつもりでひとつこういう点を是正してもらいたい。いままでは、おそらく大蔵省としても、まともにこの問題について十分に公式に議論をなさったことはないと思いますから、この機会に、ひとつこの問題が数歩前進をいたしますように特にお願いを申し上げておきます。  最後に、私はこの間、三十八年度の決算検査報告並びにそれに対する大蔵省の説明書を拝読して、税金に関しますところをずっと通読をいたしました、これを見ますと、税務署におきましてずいぶん間違いがあるようです。租税の間違いで会計検査院で指摘をされた件数が非常に多くて、税関を含めまして二百四件ですか、税関はほんの少しでありますから、約二百件くらいのものを会計検査院が取り上げたものであります。しかし、私も局におりました当時、検査を受けた例がありますからわかりますけれども、正式な報告以外に、その場で、それじゃ善処いたしますから、まあ御報告はひとつごかんべんをということも含めますと、実にたくさんの間違いがあるということが容易に推定をされる。これに対する国税庁の答弁は、十分に今後は気をつけるという意味のものがあります。私、これを見ましていろいろ考えたのでありますが、一つには、この報告だけ見ますと、こんなことをどうして間違えるんであろうか、こんなあたりまえのことがどうして見のがされたんであろうかという問題が実に多い。それから二番目には、私の見誤りかもしれませんが、徴収不足を来たしたものだけの例であって、納税者に返した例というものがわりあいにない。これは一体どういうふうに考えたらいいのだろうか。税務職員の誤りというものは、常に過不足があってちょうどいいわけじゃなかろうか。それが、徴収不足だけがこれほど列挙されるということは、体どう考えたらいいんだろうかということが痛感されるわけであります。こういう膨大な決算報告を受けられた国税庁側として、私の手元にありますのは三十八年度でありますが、歴年こういう問題がありますが、どういうふうに受け取っていらっしゃるか、御感想を伺いたい。
  30. 喜田村健三

    ○喜田村説明員 ただいま御指摘のありましたように、会計検査院からの指摘事項が毎年相当の数にのぼっておるということでございます。確かにそのとおりでございまして、具体的な原因がどこにあるかという問題、いろいろ検討いたしておるわけでございますが、調査に参りまして申告書の誤りをそのまま見のがしてしまう、あるいは課税資料を各税目間が、たとえば直税なら法人と所得税との間の連絡が悪い、そのために課税漏れになってしまう、あるいは納税者が転出したために処理が非常におくれてしまった、あるいは調査が——非常に実調率が下がっております。調査が省略になっておるとか、あるいは調査日数が不足というために十分に申告書を審理する余裕がなくて発見できなかった、こういったようないろいろの原因がございます。これに対しましては、大蔵省を通じて答弁申し上げましたように、会議とかそのほかの機会にいろいろ繰り返し注意をする。それから特に、先ほど申しました課税資料の収集漏れあるいは連絡漏れというようなことのないように、十分そうした部内連絡の改善をはかる。それから職員の研修を強化するとか、あるいは決議書の審査、決議書をつくった人じゃなくて、別の人が横からチェックする、そうした審査の事務を強化する。そうしたような当面の改善措置を講じますと同時に、根本的な原因が、非常な経済成長を反映して課税事務が非常に多くなってきておる、それに職員数が十分まかなっていけないというために、手が足りなくてこうした見のがしが起こる、連絡の不十分が起こるということでございますので、こうした点につきましては定員の配分の再検討とか、機構の整備であるとか、電子計算機の導入とか、そうした根本的な原因をいろいろ考えまして、そうした点からこうした人手不足のためにあやまちが起こることとのないように配意しているところでございます。  それから、先ほどちょっとお話しのございました取り過ぎが一つも指摘にないではないかということでございますが、最近はそうした例が検査院として指摘される問題はございません。こうした事態につきましては、先ほどの審査請求の段階を通じて納税者のほうから積極的に異議を申し立てる、こういうことによって当初処分が是正されるという機会が完備されておりますために、そうした関係は、検査院の指摘事項として指摘されるまで見つかるという事態には至らない、こういうふうに考えております。
  31. 横山利秋

    横山委員 この問題から、私はいろいろな問題が頭の中に浮かんでくるわけでございますが、きょうは時間がございませんので、このような結果が出る税務職員の審理、納税者の立場という問題については次回に——何か承れば小委員会が今度設置されるそうでありますから、そこでこの検査報告から出発をいたします税務職員の審理、あり方、それから納税者の立場というものを一回御質問してみたいと思います。  時間がおそくなりましたので、最後にもう一つだけ、これはきょうの予定外の問題でありますが、一ぺん政務次官に御検討をわずらわしておきたいことが一つございます。きのう堀君が質問をしておったようでございますが、先般公認会計士法が通りまして、試験がいま行なわれておる模様であります。その試験の状況を二、三聞きますと、まことになみなみならぬ雰囲気で、受験者は平均年齢五十四、五歳だそうでございますね。五十四、五歳の御老人が一生懸命に受験をして、そして聞くところによれば、一人受験者で脳貧血か何かで倒れられた方があるという話であります。法律に基づく試験を公正にやれということを私どもも主張したわけでありますけれども、五十五歳の人がこの法律に基づく試験のために一生懸命に勉強し、受験をしておる心理は、まことに私は同情に値するという気がします。きょうその試験の結果というようなことについて云々するわけではありませんが、将来のこととして、これは何かくふうが必要ではないか。決していま法律を変えろとかどうとかいうことを言うつもりはありませんが、現在仕事について日常計理士なり何なりの仕事をしていらっしゃる平均年齢五十五歳の人が、年に一回なり二回なりの試験を受験するということは並みたいていのことではない。そう言っては恐縮でありますけれども、おそらく常識は豊かであるとしても、受験勉強するための頭の回転は、そんなにうまくいくはずがないと私は思う。ですから、この際ひとつ定期的に講習会なり研修会を政府の手でなさったらどうだろうか、そう思うのです。ですから、公正な受験をしてもらうという過程の中で、お年寄りがスムーズに受験の勉強ができる機会を考えたらどうかという感じがするわけでありますが、どうでしょう。
  32. 鍛冶良作

    鍛冶政府委員 私は、公認会計士の受験の学問程度、知識の程度はどのくらいのものか知りませんから正確なことは申されませんが、弁護士試験に対しては、私はくろうと中のくろうとでございます。われわれと一緒に、いまでも残っておるかどうか知らぬが、六十以上、七十以上になって試験を通った人もおります。警察官か何かの上がりで、こういう人が弁護士になって何するのだろうと思うほどの、しらがになって通った者もある。それから、どこかいなかのほうで聞いてみると、孫がおるのに毎年試験を受けに行くものだから、おじいさんまた試験かといって孫に笑われても、毎年試験に来ておる人がおったそうであります。われわれから見ると、そんな人が試験を受けてどうするのだろうと思うが、やはり人間の目的でございますから、やろうと思ったことをやらなければ死ねぬ、それこそ資格がとれないということでやっておるのだろうと思うのです。しかし、どれだけやっても、われわれから見てこの人はやるだけむだだ、試験に受かるわけがないと思うのだが、受けておるのです。しかし、そう言っても一生懸命やると言いますから、それはあなたの言うようにできるだけ勉学の機会を与える、受験できるように導いてやることが人道上必要なことだと思うのです。ただしかし、政府でやっていいか悪いか、これは考えものだと思います。弁護士のほうは、各法律大学に——われわれの時代には高等研究科と言いました。高文受験の勉強をする、その指導を私は長くやっておりましたからそれを知っておるのですが、そういうものがあることがまことにけっこうだと思いますが、政府でやっていいかどうか、しかし、そういうようなものをこしらえる機会をひとつ考えてみることが何より大切だ、かように考えます。
  33. 横山利秋

    横山委員 終わります。
  34. 吉田重延

    吉田委員長 次会は、来たる二十三日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十分散会