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横山委員 いま私が
質問をいたしましたのは、ことごとく
政府側において善処を最高首脳部で約束されたことだけであります。
説明をいま求めているわけではないのであります。その点間違いのないようにひとつ。
いま次長がおっしゃたことは、私は百も
承知の上でこの間
質問をして、
大臣から善処をすると約束された。だから私は善処を約束されたことの
経過はどうかと聞いている。その
経過について中村の報告を受けますと、これは全然努力の
あとが見えないと私は判断する。
それから、
あっせん調書の問題については努力をされておると推定をします。ただ、これは御存じだと思いますけれども、時期的に宅建業者が違憲訴訟もしておるし、場所によってはいい悪いは別として調書の
提出も保留をしておる。保留をしておるから、せっかく前向きに
検討なさるというならばチャンスをのがさないようにしてもらいたい。私も、大蔵
委員としてそういう違憲訴訟の今後の展望なり、あるいは県によって調書を保留しておるということについての是非論に若干の問題を持っているのです。したがいまして、大蔵
委員としての一つの職責を尽くしたいと思うから、前向きの
検討については、いつまでたっても結論か出ないということではチャンスを逸しますぞと御忠告申し上げます。
それから、
不渡り手形の問題につきましては、いま
お話しのように五〇%、それ以上は国税局長の承認を得るという現状については不適当であると私は判断しているからお願いをしているのである。それに対して
大臣はごもっともだから
検討しようと約された。そこで、私は
提案として、この不渡りがどのくらい落ちるだろうか、どのくらい回収ができるだろうかということについては、
本人が一番よく情勢を知っておるはずだ。もし一〇〇%損金に落としたところで、回収ができた場合、
あとでごまかしようはないんだ。だからチェックできる
方法は厳としてあるのであるから、
納税者の判断をするところによって、ある納税君は四〇%にでもするだろうし、八〇%として損金に落とす者もあろう、それは
納税者の選択にまかせていいではないか。なぜそれをけちるのか。もう少し情勢に呼応させてもいいではないか。もし落とし過ぎたならば次のときに利益としてちゃんと税金は取れるのであるから、その点について私は一〇〇%以下という状況に変えろ、妙なことで一々国税局長の承認を得なければならぬ必要はないではないか、こう言っております。だから、その点いまの御答弁では不十分でございますから、ひとつすみやかな
検討をされるように要望します。
それから、
大臣にこの間もう一つ、租税裁判所構想について前向きの
検討をいただきますことを約束をいただきました。私が本日
提案いたしますことは、むしろ私のほうの
提案でありまして、この点について御意見を聞きたいという立場で、やや具体的になりますので、ほんとうは
大臣に聞いてもらいたいのでありますけれども、事務当局の皆さんにひとつ考えてもらいたいと思うのであります。
私は、先般の租税裁判所を設置しろということについて、
大臣から、個人的には賛成であり、前向きに
検討されるという御答弁をいただきましたし私も、実は時間があるならば、私の考えておるところをつぶさに申し上げて
検討いただくつもりではありましたものの、大まかな話でとめました。本日は具体的に私の意見を申し上げたいのですが、憲法上との関係にやや議論があるということは、すでに御存じのとおりであります。したがいまして、憲法上の問題を、憲法にいうところの「特別裁判所は、これを設置することができない。」という条項並びに七十六条第一項の「最高裁判所及び
法律の定めるところにより設置する下級裁判所」によって設置をするなら差しつかえないという点を準用いたしまして、今日
政府部内にございますような公正
取引委員会、土地
調整委員会、特許庁審判部、海難審判庁、労働
委員会等のような準司法機能を持つ租税審判所を設置したらどうかと思われるのであります。
政務次官はこの辺のところはベテランでございますから、
政務次官にもぜひ御賛同願いたいと思うのでございますが、性格は準司法機関として、所管は総理
大臣とする。所管は総理
大臣といたしますゆえんのものは、どうしても
大蔵大臣では責任の分野が不明確である。明確にこれは審判機能を持つ立場において、別な立場にしたい。審判員は公務員、弁護士、判事、税理士、公認会計士、学者等の人々から選ぶ。機構は、総理府に租税審判庁を、各国税局管内に事案を整理する租税審判所を設置する。これらを庁が統轄、協議団はこれを廃山する。協議団をなぜ廃止したいかという点については、先般申し上げましたとおりでありますが、結局決定をした人が、みずからの誤りをみずから直さなければならないという理論的矛盾をここで解決をしたいと思います。
訴願との関係でありますが、
納税者が異議申し立てをするときは、税務署長に行なう異議申し立てをするか、あるいは直ちに租税審判所へ申し立てするかは選択することができることにする。訴願は租税審判所の審決を経た後でなければできないという訴願前置主義は従来どおり存置する。審判所の権限は租税行政機構から完全に独立して、
納税者の申し立てを審理する。審理に際しては、事実認定を審判所が行なう権限を付与する。審判所は、国、
納税者、関係者に審判に必要な協力をなさしめることができる。審判は合議制で行なわれ、三人の審判員は事案を精査して、合議の結論を審決する。審判に不服な場合は、訴願前置主義に従って上告を最高裁まですることができる。これが私の言うところの租税審判機構の
改正の要点であります。
言うまでもございませんが、今日の協議団のあり方につきましては、しばしば本
委員会で
指摘をし、改善の余地があり、また改善を少なからずなさったと思いますけれども、根本的に協議団の持っております性格は、税務機構の一環であり、国税局長並びに国税庁長官の指揮下にあるのでありますから、国税庁長官ないしは国税局長がみずから決定したこと、一たん判を押したことをみずからが直さなければならないという論理的矛盾がどうしても解決できないのであります。ただ、しかし、私が租税裁判所にいきなり踏み切り得ないものは何かといいますと、一つは憲法上の問題でございますが、一つは、租税の具体的事案につきまして、
納税者のいまの司法機能に対する敬遠する気持ちとでも申しましょうか、裁判にかかると非常におくれるという感じ、金がかかるという感じ、むずかしいという感じ、そういういまの司法機構に関する
納税者の感覚から申しまして、いきなり租税裁判所にすることがはたして
納税者の気持ちに合うかどうかについて私は疑念を持つわけであります。したがいまして、本質的には租税裁判の機能なり構想を持つわけでありますが、
現実的な租税の現状から推しまして、この協議団に取ってかわり、そしていわゆる地方裁判所の機能と協議団的機能との調和をはかるという意味におきまして、租税審判所を設置することは、今日の租税審査機構に一本筋金を通す、
現実に即し、理論的に矛盾なからしめるという立場におきまして私どもが考えたことなのであります。この点につきまして、いきなり申し上げて、いきなり最終結論を得ようとは思いませんけれども、ひとつ関係の皆さんの御意見を伺いたいと思います。