○高橋(俊)
政府委員 この考え方に対しまして、まだ私
どもは確実な御
返事をするほど研究が至っておりませんので、その点はいずれ後日十分研究を行なった上で確たる御
返事を申し上げたほうがいいと思います。その前提として、いまの不渡り手形の
金額が低いというお話、だからそれを受け取った者は中小企業に相違ない、こういう御判断ですけれ
ども、必ずしもそうでないんです。この
金額が低いことの一つの
理由は、割賦手形が最近非常に多くなっている。いろいろな割賦販売制度があったりして、これは手形を使っておるわけです。その手形が全体の不渡りのうちの、
金額において二〇%、全く支払い地に指定された
金融機関に取引なしというのが二〇%ぐらいあるのです。
あとは、取引はあるけれ
ども残高なしというふうな
理由で不渡りになるわけですが、その取引なしのうちの六割は実は割賦手形なんですね。これは正確な数字はぴたり出ませんが、大体調べたところでは、六割ぐらいは割賦手形なんですね。全然
銀行取引がない
銀行を支払い場所に書いておる。これは全く無責任な話でございますが、そういう事情であるために、この割賦手形の一面当たりの
金額は非常に低いわけであります。もう何千円という口からあるわけです。そういうこともあって、この不渡りになった分だけを計算いたしますと、一般の平均の一万円当たりよりもかなり低い数字が出てくる。これは
金額から申しましたが、枚数から申しますと、こういう零細なものが非常に多く含まれておる。こういうことから、いまも申したように単位
金額が下がっている割賦手形になりますと、受け取り人は、もちろん販売店もございますが、さかのぼっていくと大メーカーにつながっている。日本ではいわゆる消費者
金融制度がアメリカ式になっておりませんので、そういう
関係でメーカーが割賦の最終の
金融をつけて、
金融を自分で行なっているというふうな事例が多いわけであります。そういうことでございますので、いまそれらの割賦手形をいかに扱うかということをさらに
銀行協会で検討しております。割賦手形が枚数としては非常に多い。
銀行の事務を非常にわずらわすということでございます。不渡りになりますと一万円につきちょっとした手間がかかるわけであります。そういうような、全然自分に
関係のない者から振り出しをされたためにこれを返さなければならぬということが非常に多い。それで、この割賦手形の浄化をどうするかということをいま研究しておるわけでございます。
それから、この保険につきまして私は一つ疑念がございますが、振り出し人が任意
契約で保険料を支払って
契約を結ぶ、この点でございますが、振り出し人がたとえば中堅以上の企業である場合に、それらの企業が、自分が不渡りを出す危険があるからという
理由で——強制なら別でございますよ。強制の場合は別でございますが、任意
契約であれば、自分が不渡りを出す危険があるからといって保険
契約をするのはまずないのではないか。それは権威にかかわるわけであります。自分が他人に不渡りになる危険があるということを申告する者はおそらくないのではないか。これはおそらく、信用を重んずる
会社からいえば、それは結びたくないということになります。そうすると実際にどういう場合に任意の方法によって
契約する人がいるか。その点が実際問題として一番むずかしい点じゃないか。それで非常に悪質なんですが、これはいずれ不渡りになるかもしれぬという可能性を多分に持っておる者だけが保険
契約を結ぶとなりますと、これはとても保険制度がなりたたなくなる。事故を起こす者だけが加入するというのではこれは救いようがない。非常に高い保険料をいただかないと、おそらく五割も八割も保険料を払っていただかないととても成り立たない、こういうことになるものですから、その点非常に困難だ。といって強制ということになりますとこれは重大問題であります。産業界として決してこれに応ずることはないのじゃないか。強制ではむずかしいし、任意にするときわめて悪質な者だけが加入しようとする。そうすると保険料金が高くなる。こういう循環が起こってきまして、その点をどういうふうにお考えなのか、ちょっと御
意見をお聞かせ願いたいと思います。