○
横山委員 あなたは銭を使う
大臣であると同時に、銭をもらう
大臣です。あなたは銭を使うことは有能であると思うけれども、銭を取るほうはへただと私は思う。そこで銭を取るほう、つまり税務署の職員の立場、国税庁の立場に立って、おもむろに一ぺんあなたも
考えてみる必要がある。佐藤さんではないけれども、膏血をしぼる立場に立って
考えてごらんなさい。税務署員が納税者のところに行って振り回すのは、これは何といっても
法律である。納税者が常に言うことは、公平にやってくれるならば文句を言わぬ、こういうことです。納税者は、
法律上というよりも、むしろ実質上の公平論を言っている。
法律はそうかもしれぬ、けれども隣はどうだ、お向かいの会社はどうだ、決して公平じゃないじゃないかと言われたときに、税務職員が、
法律できまっていますからしかたがありませんというものの力は弱い。人間対人間で迫られたときに弱い。これが税務職員の偽らざる感懐です。あなたはそれを、あくまで
大臣がいまここで私の聞きもせぬことを言っているように、納税者に対して税務職員が言うと思いますか、そんなこと言えないです。
法律できまっているからしかたがありませんよと言うだけです。私は
法律の執行者ですからと言うだけです。ところが、そういう説得力というものは非常に弱い。あなたも
法律どおり、あそこも
法律どおりと言うよりも、少なくとも公平に私はやっていますから——その公平というものは実質的な公平を
考える。それに一番説得力がある。その点が
大臣は平素税務職員の心境について洞察が足りない。納税者の心理について洞察が足りない。あなたの言う政策
減税がどんなに利点があり、どんなに私は譲るところがあったにしても、納税者と税を徴収する税務職員の立場があまりにも薄過ぎる。私の言いたいのはここです。
そこで今度は、税務行政についてあなたに聞いてもらいたい。私が持ってまいりましたのは「税務通信」という、よく出る新聞でありますが、
木村さんの年頭所感が出ている。タイトルは、おそらく新聞記者がかってにつけたと思うのですが、「公平を保証する税務行政」というタイトル。
木村さんがつけたかだれがつけた知らぬけれども、まさにずばりです、これは。一番納税者に実感を与えているタイトル。しかも
木村さんはその中でいろんなことを言っておるが、まあいいことばかりです。特に私が積年、原さん当時から主張しておることを毎年掲げられておることに、
木村さんに敬意を表する。読んでみます。「さらに納税者の
利益となる
事項については進んでお知らせする心構えをもって、真に納税者の立場に立って公正な課税を行なうように努めております。」と書いてある。これは私が積年言ったことです。私が最初それを切り出したときに、あまり親切に教え過ぎるとひもがついて問題があるということがあるのかもしれないけれども、納税者が知らぬものを、
利益になるように進んで教えてもらいたいと歴年強く要望して、それがいれられていることに私は敬意を表する。そういう税務行政の第一線に立っておる税務職員及び納税者が、今回の
税制改正については不満ですという。それを強くあなたに申し上げておきたい。その気持ちを十分にくまなければ税務行政はう左くいかないということをまず強く申し上げておきます。
そこで、その次は感心した文章の実態に移ります。文章は感心するけれども、実態はあまり感心しない。ということは、こういうことが多く行なわれていないということを私は苦言を呈します。
私は、先般来二、三の税務についての話を税理士からも聞きましたし、納税者側からも聞きました。こういう事例に当たりました。それは、一、二の例を出しますが、修正申告をしたときに、徴収猶予の申告をしなければ徴収猶予の恩典が受けられないと
法律に書いてある。修正申告をしたときに、同時に徴収猶予の申請をしなければ徴収猶予の特典はないという立場に
法律は立っている。ところが修正申告するのは
法人税課であり、あるいは
所得税課です。その課員が徴収部や徴収課の問題について積極的に知らせない。だから、ある納税者がこれを知らなかったために非常な損害を受けた。そんなことを教えてもらえばよかったんだ。すぐやるんだった。ところが、
法律に書いてあるからあとからいってもだめだというのが名古屋のこの間の事例です。
次の例は、新築家屋の登録の際に、この調書を申告しなければ新築家屋の特例が受けられないと書いてある。これもうっかりしておった。あとになってかけつけたら、あのときに調書を出してもらわなかったからだめですと、こう言う。
その次の例は、昨年、
大蔵大臣とそれから
国税庁長官がずいぶん宣伝をなさった最近の
経済事情のもとにおける納税の緩和措置について。新聞にでかっと出ました。中小
企業は不渡り倒産だからひとつこういう緩和措置をしてやると大々的な宣伝でした。これは実効があがっていますか。私はいま統計を言う時間はありませんけれども、何らの実効もあがっていない。こういうことは、納税者に
利益になることはひとつやってやろうと指導をなさっているけれども、実効があがってないのです。私が累次本
委員会で言っているように、税務職員の気持ちをまだ把握していないのではないか。税務職員が腹の中で納税者を説得するだけの気持ちが、一つには私が言いました
税制の公平化というものが薄れかかっているのではないか、一つには税務職員の自分たちの生活問題がある。したがって、私はこの「公平を保証する税務行政」といううたい文句に
大臣も耳をかしてもらいたいし、この中にある
利益になるようなことはやってやれと言ってあるけれども実行はされてない。もっと税務行政という面を
大臣に
考えてやってもらわなければ困るのではないか。これは長官についても同様です。御意見を伺いたい。