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1965-05-28 第48回国会 衆議院 体育振興に関する特別委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年五月二十八日(金曜日)    午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 大石 武一君    理事 田中 榮一君 理事 田邉 國男君    理事 八田 貞義君 理事 前田榮之助君       伊能繁次郎君    上村千一郎君       海部 俊樹君    川崎 秀二君       砂田 重民君    園田  直君       橋本龍太郎君    毛利 松平君       辻原 弘市君  出席政府委員         内閣官房内閣審         議室長     松永  勇男  委員外出席者         文部事務官         (体育局スポー         ツ課長)    松島 茂善君         参  考  人         (日本バレー         ボール協会副会         長)      今鷹 昇一君         参  考  人         (日本体育協会         理事)     大庭 哲夫君         参  考  人         (国際柔道連盟         スポーツ理事) 川村 禎三君         参  考  人         (柔道評論家) 白崎 秀雄君         参  考  人         (毎日新聞社論         説委員)    高橋 武彦君         参  考  人         (日本バレーボ         ール協会会長) 西川 政一君     ————————————— 五月二十八日  委員古井喜實君及び下平正一辞任につき、そ  の補欠として毛利松平君及び辻原弘市君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員毛利松平君及び辻原弘市君辞任につき、そ  の補欠として古井喜實君及び下平正一君が議長  の指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  体育振興に関する件(オリンピック大会競技  種目に関する問題)      ————◇—————
  2. 大石武一

    大石委員長 これより会議を開きます。  体育振興に関する件について調査を行ないます。  この際、参考人出席要求の件についておはかりいたします。  理事会の協議に基づき、オリンピック競技種目に関する問題について、日本体育協会理事大庭哲夫君、国際柔道連盟スポーツ理事川村禎三君、柔道評論家青江徹君としての白崎秀雄君、毎日新聞社論説委員高橋武彦君及び日本バレーボール協会会長西川政一君、以上五名の方を参考人として御意見を承りたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 大石武一

    大石委員長 御異議なしと認め、そのように決定いたします。  これより参考人から御意見を承ることにいたしますが、この際委員長より参考人方々に対しまして一言ごあいさつを申し上げます。  本日は御多用中のところ、わざわざ本委員会調査のために御出席を賜わりましたことを心から感謝いたします。  オリンピック東京大会は非常な成功に終わりましたが、日本優勝種目であった柔道バレーボールが、次回のメキシコ大会では現在のところ競技種目に入っておらない現状でございまして、われわれとしましてはまことに残念でございます。ことにこの両種目ともりっぱな国際的なスポーツでございまして、競技人口も多く、ぜひともこれを復活いたしたいというのが日本国民の希望でございます。この秋のIOC理事会では、両種目復活が強く望まれておりますので、両種目復活のための御意見、お見通しなどにつきまして承りたいと存ずる次第でございます。
  4. 西川政一

    西川参考人 ちょっと発言したいのですが、いまバレーボールは入っていないとおっしゃったのですが、男子はもう正式に入っておるわけです。女子が入っていない。その点をちょっと・・。
  5. 大石武一

    大石委員長 それでは、女子バレーボールが入っておらないということに訂正いたします。
  6. 西川政一

    西川参考人 しかし、それを加盟させることについては何よりも希望するところでございますから、お含みおき願いたい。
  7. 大石武一

    大石委員長 それではまず参考人方々から、それぞれのお立場から御意見を承りたいと思います。ひとつ簡単に、三分でも五分でもけっこうでございますから、御意見をお述べ願いたいと思います。恐縮ですが、ただいま御着席順序で御発言願いたいと思います。大庭さんから御意見がございましたらおっしゃっていただきたいと思います。
  8. 大庭哲夫

    大庭参考人 大庭でございます。  まず、私のほうから御説明申し上げる前に、本委員会国民の健康並びにスポーツ振興にとりまして何かと日ごろ御尽力いただいておりますことについて、かわりまして私から厚くお礼を申し上げる次第であります。  さて、御説明でありますが、そのいきさつについてはパンフレットを持ってまいっておりますから、いままでのIOC会議でどういうようないきさつで今日の状態になっているかを後ほど一応ごらん願いたいと存じます。  それをかいつまんで申し上げますと、従来のIOC憲章によりますと、大体十五種目以上ということになっていたわけでございますが、三十六年のアテネIOC総会におきまして、最低種目でなしに最高種目までもきめたらどうかということで、十五以上、最大十八までということにきまったのであります。したがいまして次の三十八年の十月のIOCの六十回の総会におきまして、委員による十八の種目投票をいたしました結果、バレーと弓、ハンドボール柔道という四種目が十八から落ちたわけでございます。  しかし三十九年の六十一回のIOC総会におきまして、水泳と水球が分かれていたものが一つ種目になったために、十九番目になっていましたバレーボール、特に男子というものが十八種目の中に追加された。ただし女子については未決定であったわけであります。  三十九年の十月に東京で六十二回のIOC総会を開きました際に、女子バレー追加要求が出まして、これは東京大会実績を見た上で、柔道については特別追加要求JOCからいたしましたが、これも東京大会実績を見た上でということに一応相なっているわけでありまして、今後メキシコ大会種目をふやすということになりますと、次の九月二十八日にローマでNOC会議があります、また十月にIOC総会がマドリッドでありますから、ここにいわゆる種目追加要求を出すという段取りになるのじゃないかと考えています。  現在、バレーボール女子並びにハンドボール柔道、それに弓を加えまして、各種目ともメキシコで十八種目をふやして全種目追加要求が出ているような次第でありまして、JOCといたしましてむこれが追加に各競技団体の強力な推進、いわゆるIFに対する推進と同時に、NOCIOC総会でそれをバックアップしまして、できる限りメキシコにおきましてそれらの種目が実現するように努力するよう現在考慮中でございます。  以上が、かいつまんだいままでのいきさつに対する御報告でございます。どうもありがとうございました。
  9. 大石武一

    大石委員長 ありがとうございました。  次は、お急ぎでございますので、順序を変更いたしまして、毎日新聞論説委員高橋さんにお願いいたします。
  10. 高橋武彦

    高橋参考人 私は柔道ファンの一人として、オリンピックにおける参加について私の考えを述べさせていただきます。  メキシコ大会柔道種目からはずされるということで、私たち柔道ファンとしては非常にがっかりいたしております。この復活について国会筋でもかなりお骨折りを願っているようですが、ただこの復活運動が何か非常にごたごたしているということの原因一つに、日本柔道界、これは詩道館中心でありますが、その講道館と、復活運動に事実上動いておられるヨーロッパ柔道連盟のP・ボネモリ博士との間がしっくりいってないというところにどうも最大原因があるのではないかという気がいたします。その最大原因は、やはりこの前のオリンピックで最も注目されていた無差別級日本完敗をした結果になったのですが、そういうことから、何か日本柔道界一つのコンプレックスを持って、そして柔道主導権ヨーロッパに移ってしまうのではなかろうかという懸念があってそういうことになったんじゃないかということを危惧するものであります。  そこで、今度のメキシコ大会復活するためには、そうした感情的な主導権争いというものを捨てて、やはり柔道のために国際的な団結が大切であるということがまず第一に必要である。それで、日本にもP・ボネモリ博士と通ずる一つのルートがあるようでありますが、そういう人たち詩道館と非常に感情的な対立をして、講道館詩道館でそういう動きを牽制するし、一方そういう人たち詩道館のあり方に対して必要以上の批判をしているようであります。まずこの詩道館というものとヨーロッパ柔道連盟とのそうしたしこりを解きほぐして、そして一本になって柔道復活ということに進んでもらいたい。そのためには、国会にこうしたスポーツ一つ振興委員会ができておることでございますから、この委員会などが中心になって、ヨーロッパ柔道連盟日本講道館との感情的なしこり主導権争いというものを解消することにぜひ御努力願いたい。ことに国会には柔道の先輩の方々もかなりおられますし、こういう方々が積極的にむしろ講道館に対して説得をしていただきたい。  いまや柔道は、そうした主導権争いという段階じゃなくして、いかにしたらメキシコ大会オリンピック種目になることができるか、それをかちとることによって柔道はこれからも当然にオリンピック種目として認められる重大な段階であるということを柔道関係者がここであらためて認識をしていただきたい、かように思うわけであります。
  11. 大石武一

    大石委員長 次に、国際柔道連盟スポーツ理事川村さんにお願いいたします。
  12. 川村禎三

    川村参考人 現在、国際柔道連盟は、六十六カ国、約八百万の柔道人口を持っております。年々ふえる傾向で、昨年のオリンピック当時は五十一カ国であったのが現在十五カ国ふえております。そのように年々急速に国際柔道連盟加盟国がふえておる現状であります。  先ほどJOC専務理事大庭さんからお話がありましたように、一九六三年の十月にバーゲンバーデンのIOC総会で、当時はバレーをはじめ柔道その他二種目メキシコオリンピック大会から一応競技種目から除外されたのでありますけれども、それ以後、会長中心にして、いま毎日新聞高橋さんからお話がありましたけれども事メキシコオリンピック復活問題に関しては一致団結して、会長国際柔道連盟にそういう委員を命じて、先ほども話が出ましたボネモリ事務総長はじめ欧州の会長、それからスポーツ理事というのがおりますが、そういう者に命じて、IOCの本部が近いものですから、事あるごとに積極的に働きかけるようにということを会長名で命じております。したがって、本年の四月ですか、ローザンヌで行なわれたIOC総会にも、P・ボネモリ博士会長代理出席しております。その他、会長から各国柔道連盟会長手紙でもって、その国のオリンピック委員あるいはその国から出ているIOC委員に対して大いに柔道理解させてほしい、そのような手紙あるいは直接運動する機関とか、また昨年は私自身メキシコに行きまして、直接IOC委員と会ってきまして、国際柔道連盟が希望し要求しているところの全種目——現在二十一種目ありますけれども、全種目メキシコ大会参加を要望したのでありますが、このときにIOC委員は、われわれはそうやりたい、メキシコ体育協会あるいはメキシコ選出オリンピック委員は全種目やりたいのだけれどもIOC規約が現在十八種目になっているから、まずその規約を改めなければだめだということを言われました。それではその規約を改めるようにして、何とか二十一種目やるように、特に柔道は現在これこれの況状であるから参加を希望しておるということを述べましたら、大いに大賛成を受けまして、われわれは最善の努力を尽くしてメキシコ大会柔道復活及び二十一種目種目競技ができるように努力していく、メキシコ当局はそういうふうに私たちに確約しております。  現在までそういう現状で、今後もなお会長中心国際柔道連盟が団結して、メキシコ大会における復活努力していきたいと思っております。以上です。
  13. 大石武一

    大石委員長 次に、柔道評論家青江徹さんとしての白崎秀雄さんにお願いいたします。
  14. 白崎秀雄

    白崎参考人 ただいま高橋さん及び川村さんから御説明がございましたけれども、先ほど高橋さんがおっしゃいましたように、柔道メキシコオリンピック復活という、ぜひとも実現したいという大目的がある。ちょうどその前で、あたかもヨーロッパ柔道連盟日本柔道連盟が何か対立しているような、あるいはその間しっくりいかないような空気がございまして、それがいろいろジャーナリズムの表面に先般来あらわれております。それで、たとえばP・ボネモリ博士に、日本では国際柔道連盟執行部に対して非常に不満を抱いておる事実があるがどうかというようなインタビューを産経の記者がしております。それが産経に載っておりますけれども、そういうふうになってまいりますと、ただいま川村さんがおっしゃったような理想にもかかわらず、国際柔道連盟の内部に意見対立があるということがIOCの前で露呈するという結果に相なると思うのであります。そして一方、柔道メキシコオリンピック復活という問題は、国際的な柔道マン願いでありますと同時に、日本人としてどうしても実現しなければならぬという必然的な理由を、一日本人としてこの際申し上げますならば、柔道がわれわれの民族の最もオリジナルな文化であると私の信ずるところでありますけれども、その柔道が、先般一九六二年世界選手権以来、一オランダ人にあたかも子供のごとく日本トップレベル選手がほんろうされておる。そうしてまた昨年はオリンピックで、これもまた全然問題にならないような完敗をいたしております。このかくも衰弱した柔道を再び生命力を吹き込んで、そうしてオリンピックあるいは世界選手権、こういうふうな実力をもって世界に覇を争うという、そういう舞台に、どうしても日本人は全種目、特にあの無差別級でぜひとも優勝しなければならぬということは、これはすべての日本人願いではなかろうかと思うのであります。そういう願いがあり、また一方ヨーロッパ人も非常に柔道に熱心でありまして、そうしてどうしても国際オリンピック復活したいという要望が相呼応して、先般毛利国会議員などがローザンヌへ行かれて説得これつとめられたそのやさきに、こういう問題、つまり国際柔連執行部に対して日本柔道連盟不満を抱いておる、場合によってはこれを脱退するもやむを得ないというような、ゆゆしい発言があったのでありますけれども、こういうことはこのオリンピック復活という大目的の前には厳に慎むべき言動ではなかろうか、そうして、いろいろ不満はございましょうけれどもヨーロッパ側とも協調して、メキシコオリンピック復活をはかるということが日本柔道連盟ないしは全日本人願いであるべきである、私はかように考えるのであります。以上。
  15. 大石武一

    大石委員長 御苦労さまであります。  次に、日本バレーボール協会会長西川さんにお願いいたします。
  16. 西川政一

    西川参考人 西川でございます。  まずもって、このバレーボール競技がここまでまいりましたことにつきまして、議会関係をはじめとしてここに御列席の御関係の方打って一丸となった御支援、御鞭撻に対して非常に感謝しておるのでございまして、厚くお礼申し上げます。  男子バレーボールにつきましては、おかげさまで先ほど大庭さんからのお話がございましたようにメキシコ大会にも参加し得るようになりまして、関係者一同非常に喜んでおる次第でございまして、これがうまく成功するように当事者みんなが一致団結して努力を続けておる次第でございます。これもひとえに団体競技というものがIOCメンバー各位認識された結果が非常に大きな原因をなしておる。ブランデージさんなんかに従来お話しいたしましたところによりましても、団体競技というものに対する認識が、私から申しますと、もう一つ不足だというような感じも受けたようなことで、どうも個人競技中心になるような感じを受けておったのでございます。しかし、最近IOC方々もこの点非常に御理解いただいて、これは非常にけっこうなことだと思っております。費用の関係もございますし、時間的ないろいろな支障もございますので、団体競技というものはなかなか国際オリンピックではむずかしいことではございましょうが、なおかつこれだけの人口がどんどんふえるし、また国際的に国民間の親善というふうなことが特にスポーツを通じて必要であろう現段階におきましては、一人でも多くが参加するということが非常に必要でございます。しかも、ただ役員とか関係者だけでなく、スポーツをやる人自体ができるだけ多く接触をする機会を持つことが非常に大事なことで、この点につきまして、こういう団体競技が一たん入ったからには、絶対にメキシコだけというふうなことでなく、できればこれをぜひオリンピック憲章に入れていただく。同時に、これまた女子競技関係するわけでございまするが、男女とも憲章に入れていただくということを私としては非常に希望するところでございます。  女子競技につきましては、東京だけということで、先ほど大庭さんからお話がございましたように東京の結果を見てということでございますが、おかげさまであれだけの結果を得たわけでございます。今度主催されるメキシコ担当者方々に十分認識理解していただいたものだと思っておりまするが、なおかつ、私どもといたしましては向こうからやってきておりました委員諸君並びに中南米方面関心を大いに高めるということが非常に大事なことであろうと、私ども自身が思っておったのみならず、すでに向こう方面代表者がこぞってそういうことをわれわれのほうへ積極的に呼びかけてこられたというふうな事情もあったわけでございまして、今度ニチボーのチームメキシコ中心として中南米方面へ送ったのも、そういう意味合いからあの方面理解関心をひとしお高めて主催国の声を反映させたいという気持ちが非常に強かったわけでございまして、現にまたその実績が着々あがりつつあることを私ども関係者喜んでおる次第でございます。何と申しましても、体育という問題は、女子体育が非常に普及発達しなければ、男子を生み出す母性の問題ということにもなるわけでございまして、女性の心身両面の向上ということを特に考えなければならぬというふうな、この際かってな言い方かもしれませんが、私どもはそういうことで、現に東京オリンピック女子チームを加えさせていただくようにいろいろやった理由の中にもそういったことを強調して、世界各国関係者の同情と理解協力を得たような現段階でございます。そういう意味合いにおきまして、バレーボール自体から申せば、男女とも——男子は入っておりますが、女子も、その取り扱いについては第二の問題として、ともかくもオリンピック憲章に押入するということについて、この上とも関係各位の御協力、御指導をお願いしたいところでございます。  そこで、最近ずっと私の代理として海外交渉をやってもらっておりまする今鷹君にきょうは参考人参考人としてちょっと出席を願っておりますので、足らないところを少しく補足していただきたいと思いますので、御清聴いただければまことに幸いであります。  ありがとうございました。     —————————————
  17. 大石武一

    大石委員長 この際、おはかりいたします。  もう一人バレーボール関係について参考人をお呼びいたしたいと思います。日本バレーボール協会会長鷹昇一さんを参考人として御承認願いたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 大石武一

    大石委員長 御異議なしと認め、そのように決定いたします。     —————————————
  19. 大石武一

    大石委員長 では今鷹さん、ひとつ御発言願います。
  20. 今鷹昇一

    ○今鷹参考人 私、日本協会代理しまして、当初からバレーボール男女オリンピック東京開催の実施ということにつきまして担当しておりまして、モスクワ、アテネIOC総会にも実際に行ってIOCメンバー諸氏に親しくいろいろお会いして今日に至った次第であります。  御承知のように、女子バレーにつきましては、インスブルックにおいて一応憲章に入れるかどうかということをIOC総会ではかったわけであります。そのときに多数決で憲章に入れるということを決定したのであります。しかしある委員発言しまして、一応東京オリンピックではトライアルとして実施していくということになっておる、にもかかわらず、そのトライアルの結果を見ずしてそのまま憲章に入れるということには問題がありはしないか、こういう発言があったために、この投票が一応お流れになりまして、それでは東京オリンピックでの結果を見た上できめよう、こういうことになったわけであります。ところがわれわれとしては、憲章をよく読んでみますと、一たんきめた種目はその後いかなる事情があっても変更できないというような文言のあることを憲章の中に発見いたしました。もしインスブルックで取り上げられたままほっておかれると、東京オリンピックの結果を見た上でということになりますと、次のIOC総会になる。そこで決定してもらっても時すでにおそしで、メキシコでは実施されないんじゃないか、こういうことに気がつきましたので、東京総会において何とかした形で女子バレーボールをもう一度議題にあげてもらって、ここでひとつ議事録にはっきり残しておく、そうすればいつきまってもその条項には抵触しない、こういう判断をいたしましたので、IFと連絡をとりまして、ことさらに東京総会女子問題をもう一度あげてもらって、もう一ぺん確認のために東京オリンピックを見た上でということにしたわけであります。したがって、われわれとしましては、東京大会女子バレーが非常に成功した、この理由でわれわれは東京大会では何らこれを拒否するような材料は提供していない、こういうふうに自信を持っている次第であります。しかし一方考えますと、その後に至りまして、バスケットが同じく女子をやらしてくれということを提案しておる。それからもう一つ、これは若干憶測ではありますが、IOCの中には、女子はなるだけ減らしたい、というのは、いろいろなトラブルをつくる一つの因由をなしておる、そういう空気がわれわれ女子運動をやっているときから流れておったのであります。それがたまたま豪州の某水泳選手の問題から、若干こういったことが女子追加ということに障壁とならないか、この二つのことについて非常に心配されておる次第であります。   〔委員長退席田中(榮)委員長代理着席〕 それからもう一つは、いままで開催国という立場IFをリードするような行き方で日本が動いておりましたが、今度はよその国でやる場合である、したがって日本としての行動が非常にむずかしいという問題があるわけであります。それで私たちは、現在のところ女子運動に対してはもちろんIF表面に立てておりますが、その大義名分といたしましては、東京オリンピックの結果を見た上で決定するということがもし否決になったならば、東京オリンピックの運営がまずかったということに逆理論が成立するわけで、そういったことはあってはならない、われわれは日本のメンツにかけても女子バレーは成功さしたんだ、そういうふうに持っていかなければならないんだという見地から、今後ますます運動を続けていきたい。ただしわれわれとしては、他種目の、たとえばバスケットを認めないために一緒に否決されるような、他の種目をけ落とすような運動をしてはいけない、できればバスケットバレーも両方がいくようにしたい、そういったことからいろいろなことを考えておるのでありますが、結局は、日本の場合と同じように開催国の意思というものが非常に尊重される、したがってメキシコには十分な働きかけをかけて、ぜひひとつどうしてもやりたいのだという熱意から、この憲章に認めさすようにひとつ御協力をお願いしたいと思います。     —————————————
  21. 田中榮一

    田中(榮)委員長代理 では、質疑の申し出がありますので、これを許します。辻原弘市君。
  22. 辻原弘市

    辻原委員 きょうは、柔道及びバレーメキシコオリンピックでの復活の問題につきまして非常に関心を寄せている私どもが、その関係の権威者の参考人方々にお越しをいただいて、それぞれ意見の交換が委員会を通じてできますことを、私は非常に感謝をいたしておるのであります。  実は客観的に見まして非常に成功いたしました東京オリンピック大会の直後に初めて、わが国伝来の武技である柔道が、次期のメキシコ大会にはその種目として参加できないということを耳にいたしました。あわせて内外に非常に大きく日本女子バレーの名前を喧伝いたしましたバレー種目も同様の運命にあるということを聞いて、全く驚いたのであります。その後どういう経過かということをいろいろ関係者方々から承りますと、先刻それぞれお話を賜わりましたように、すでに東京大会が開かれる前の一九六三年の三月、インスブルックにおける国際競技並びにIOC理事会の合同会議においてこの問題が確定をしておる、こういう話を聞いたのであります。さらにまただんだん聞いてまいりますと、一たん決定はしておるものの、最終的な取りきめは本年十月のマドリッドにおけるIOC総会でやる、こういうことも承ったのであります。  そこで大庭さんにひとつ御見解、御判断を最初に承っておきたいのでありますが、今鷹さんからも多少のお話がございましたバレーについては、マドリッド大会において最終的に確定は見るものの、しかしそのままではこれはむずかしいのだ、したがって東京総会においてさらにその種の発言を重ねていたしておいた、こういう話をいま聞いたのであります。そういうことに相なりますと、形式的にはマドリッド総会で最終確定を見ることができるのだというものの、はたして実際的にはどうなるだろうかという危惧の念が出るのであります。その一つの事例といたしまして、去る四月ローザンヌにおいて開かれました、先ほど申し上げました国際競技IOC理事会との合同会議の直後、ブランデージIOC会長が、柔道メキシコ大会で採用されていないが、IOCによって復活されることは可能性がある、こういうふうにローザンヌ会議のあとで発表され、それがロイター電に伝わっております。ところがそれの解説等をいろいろ見ますと、理論上はあり得るが実際上はむずかしいのではないか、こういうことも言われておるのであります。そこで私どもは、今後何とかひとつ国内において復活の世論を高めていきたいし、国際的にも愛好者相寄り、政府の協力も得て、できるだけの復活運動を展開していきたい、かように考えておるのでありますが、まず、その的確な見通しに立たなければならぬということが一番肝要でありまするから、この際ひとつ大庭さんに、その御判断を承っておきたい。
  23. 大庭哲夫

    大庭参考人 お答えいたします。  いま、判断という問題でございますが、バレーのほうにつきましては、大体問題はないだろうという見解を持っておるわけでございます。柔道の問題につきましては、この前の投票では水泳、水球が一種目ずつになっていましたから二十二種目でありますが、その中の大体最低であったわけであります。七0%の投票者しかなかったということでございますから、これについての復帰と申しますと、相当強力な運動を展開しないことには無理であるということであります。一応その状況判断と申しますか、お答えとして申し上げておきます。   〔田中(榮)委員長代理退席、委員長着席
  24. 辻原弘市

    辻原委員 お話によりますと、バレーについては、先ほどの今鷹さんのお話、また、ただいまの大庭さんのお話は、復活への道程について、東京大会で念を押し、さらに表決の際のいきさつから可能性が非常に強いのではないか、しかしながら、柔道については必ずしも予断を許さない、こういうお話でございます。私は、まあスポーツの愛好者として自認をいたしている一人であり、かつまた柔道愛好者といたしましてもそれなりの努力をいたしておるつもりでありますが、東京大会に初めてオリンピック種目として、すなわち、国際競技としていわゆるスポーツの範疇にわが国柔道が加わったということに非常に大きな意義を見出している私は一人であります。何となれば、あらゆるその国伝統の武技、スポーツというものがオリンピック、すなわちIOCを通じて世界的に広まり、世界的に組織化をされていくということがそれぞれの種目の歴史を見ても明らかである。その機会に国内的武技、国内的スポーツが国際化をされて脱皮をしていく、そういう意味で私は、いわゆる日本の伝統のものがオリンピックでやられる——勝った負けたということのほかに実はそういう意義を見出したのであります。しかし、それをもってわが国伝統の柔道が国際スポーツとして完成せられたのではない。今日、先刻お話しのように、すでに国際柔連に六十六カ国の加盟を得て、世界柔道人口が六百万ないし八百万といわれておりまするが、しかし、それは全体から見るならばまだその道程であって、完成の域ではない。そういうことから考えてみると、国際的にさらにわが国伝統のよさを広め、同時に、柔道が持つ本来の目的、意義というものを——私は、これは武道全般にも通ずると思いますが、それは平和主義である。そういう一つのわが国伝統の精神というものを国際協調の上に有意義に役立てるという機会を持つことは、何としても国際競技中心であるオリンピックを通ずることが第一義である。とするならば、一回だけは日本東京でやるからまあ認めましょう、しかしながら、自後は認めません、ということでは、日本人としてもそのまま黙って引っ込むわけにはまいらないところでございます。したがって、私どもは非常にこの問題を重視いたしまして、特に最近におきましては、私ども国会議員の愛好者がそれぞれ相寄りましていかにすべきか、また、広く一般、各界に呼びかけて何とかひとつ運動を展開しようではないか、こういうことも寄り寄り協議をしているさなかであります。それがしかし見通しがないということでは、われわれはがまんができないのでありまして、何とかその見通しを好転さしていかなければならぬ。そのためにどうすべきかということであります。  そこで私は、まず川村さんにひとつ承っておきたいのでありますが、幸いにして川村さんは、日本柔連の国際部を担当せられている責任者でありますし、日本柔道界における第一人者でもございます。そうした立場で先ほど努力の結果についてのお話がございましたが、高橋さんあるいは青江さんがお話しになられましたような、もしかりにこの復活という問題が世界柔連内部のごたごたによって大きくブレーキをかけられておったり、その前進をはばんでおったりというようなことでありましたならば、これは単に柔道界だけの問題では済まされない。新聞に伝えられるところの国際柔連事務総長ボネモリ氏の、日本柔道界との間における意思の疎通を欠いておるという問題から、あるいは、先ほども青江さんがお述べになりましたが、私、産経の新聞も読みました。あるいはその他スポーツ新聞、あるいは現地におけるフランスの最近のこの問題についての新聞記事等も拝見をいたしましたが、かなり大きく取り上げられております。すなわち、柔道連盟の中から日本が脱退をするのではなかろうか。そういたしますと、必然的にIOCに対する世界柔連が直接の発言権を持っている。その中から有力な、いわば本家である日本が抜けたならばその力が半減することはもう火を見るよりも明らかである。そうでなくてもむずかしい中に、もしいま内部的な分裂を起こすようなことがありましたならば、これはその運動がどういう結果におちいるかは火を見るよりも明らかであります。しかし、私どもとしては、いまの時期に、率直に申してそういうことはしていただきたくない、こういう気持ちが非常に強いのであります。もちろん、その間にはいろいろな理由がございましょう。また、お互い日本という立場ヨーロッパないしフランスという立場における考え方の相違もあるでありましょう。いろいろな理由があるでありましょうが、しかし、現実にそういうことを起こしたならばメキシコにおける復活という問題はもうとうてい望むべくもあらず、そうなってはいけないということがしばしば私どもの耳に伝えられるのであります。したがって、その点についての御判断、これをひとつ川村さんから率直に承りたいと思います。
  25. 川村禎三

    川村参考人 いま御質問がありましたが、その核心は、全日本柔道連盟国際柔道連盟執行部との問題で、それによってメキシコオリンピック競技柔道参加が阻害されるようなことがあってはいけないということだろうと思いますが、私は、国際柔道連盟理事の一員であり、さらに全日本柔道連盟理事の端くれを汚しておる者でございますので、全日本柔道連盟理事会あるいは評議員会は一度も欠席したことがございませんけれども、一度も脱退ということばを聞いたことがないのです。先日の評議員会では、まあここでは申しませんけれども、一部国際柔道連盟執行部の者から、どう考えても天下に公表できない筋の通らぬことが一、二ありましたので、そういう筋の通らぬことに対しては協力できないという気持ちを持ったのですけれども、ただの一言も、脱退ということばはたれからも聞きませんでした。しかし、翌日の新聞なんかを見ますと脱退ということが大きく取り上げられて、こちらがびっくりしたくらいであります。そういうふうにいろいろな意見の相違というものは、私、事柔道に限らず、何の世界にもあるだろうと思います。大いに意見を戦わして、あるいは意見が合わない場合もあるでしょう。いろいろありますけれどもメキシコ大会復活に関しては、先ほど申しましたようにわれわれ国際柔道連盟も全日本柔道連盟もあげて参加のために努力しております。そのことを申し上げて、お答えになりますかどうか・・。
  26. 辻原弘市

    辻原委員 そういたしますと、意見の相違はあったけれども世界柔連から日本柔連が脱退をするなどということはいまだかつて語ったこともなく、そういう考えも毛頭ありませんというふうに私どもは受け取ってよろしいのでございますね。
  27. 川村禎三

    川村参考人 重ねて申しますけれども、私一度も聞いたことはございません。
  28. 辻原弘市

    辻原委員 そういうお考えでございましたならば、いろいろ巷間伝えられているような事態についてはとれは私どもの杞憂であった、こういうふうに思います。しかもいま川村さんがおっしゃったように、確かに柔道に限らずどんな社会でも意見の相違はあります。相違があることがこれは民主的なんですから。したがって意見を戦わすがその意見が分かれたからといってたもとを分かつというようなことはこれは例外です。ですからいま川村さんのおっしゃるとおり、私は全くそのお考えに賛成であります。意見の相違はあるが意見を大いに戦わす。それが進歩である。ぜひそうしていただきたいと思う。  そこで具体的に復活については、日本柔連も講道館中心として非常に熱意を持っておられる。全く喜ばしい話であります。そこで先刻私がどうすれば可能性をもたらし得るかということをお尋ねいたしました。私どもは私どもなりにその可能性を求めていま動いております。たとえば本年四月十一日にローザンヌで開かれたこの理事会は、きわめてその可能性への前進について重要なキーポイントを握っておる理事会であったと私どもは判断をしている。そこでわれわれも送電を受けまして、急遽ここにおられる毛利松平議員が、私ども国会議員柔道連盟の意向を体して、これは何ものにも制肘を受けずに、また何ものにも拘束されず、ごくプライベートな立場で行ったのでありまするが、そのときの公式な速記録等を見ましても、確かにこのローザンヌにおける理事会はきわめて大きな意味合いがあったというふうに私どもは判断をしたわけであります。聞きますると、このローザンヌにおける大会国際柔連会長嘉納先生は招請を受けております。ところが、いかなる理由によるか、この会合には御出席がなかったと聞いております。私は、もちろん個々人の御都合がおありになりますからそのこと自体とかく申すのではございませんけれども、何とか日本柔道界を代表され、その資格を持つ方にぜひ御出席をいただきたかったというふうなことを実はひそかに考えておるのであります。たまたまその直後でありましたか、全米の柔道大会が行なわれた際には嘉納先生は御出席なさっていらっしゃる。何とか御努力をいただいてこのローザンヌにおける理事会に御出席があったならば、いま私は会議録を持っておりますが、この諸外国の代表から述べられておるいわゆる柔道復活、あるいはバレー、あるいは洋弓に対する熾烈な復活の要請というものにさらに私は光彩を添えたであろうと思います。この点について川村さんはどういうふうに御判断をされますか。
  29. 川村禎三

    川村参考人 問題は二つあると思います。  復活のための可能性ということが第一であると思いますが、復活のためには、バーゲンバーゲンのIOC総会で大体三分の一のIOC委員が賛成しておる。IOC規約を見ますと、三分の二の賛成がなければ規約改正ができないようなことを聞いておりますので、その三分の一以外のIOC委員に対して大いに柔道理解させようと努力しております。  それから二番目の、国際柔道連盟会長が先ごろのIOC常任理事会出席したらよかったのではないかということでありますが、私も確かに出席したほうがよかったと思う一人であります。私個人的にはよくわかりませんけれども、そのときに聞いたところでは、健康がすぐれないから事務総長ボネモリ氏を代理で出すようにするということだけ聞きまして、会長が出られなくてもボネモリ事務総長だったらりっぱに会長代理がつとまる人でありますからけっこうなことである、私はそのときにはそう思っておったのであります。  以上お答えいたします。
  30. 辻原弘市

    辻原委員 出席をしていただきたかったと川村さんもお考えになっておられたということでありますからそれ以上のことは私も申し上げませんが、国際柔連の性格、柔道の性格というのは、現在の段階で私は二元的なものを持っておると思うのです。それは、国際柔連世界柔道が一本化しておることは事実であるけれども、同時に、本家といいますか日本立場というものは、柔道というものを日本という形においても代表しておると思うのです。それが私は現実だと思う。そこに形式的に嘉納さんが会長をおやりになって、ボネモリ氏が事務総長をやっておるから事務総長に委任して事足れりというのはこれはいささか形式過ぎると私は思います。問題のないときであればよろしい。問題があるときであるからあえて私はそういうふうに申し上げます。何としても国民また柔道を愛好する日本人並びに世界各国の人々に日本柔道界もこたえていただかなければならぬ、世界柔連も同時にこたえていただかなければならぬ。そのこたえる一つの問題はメキシコにおける復活であるということであるならば、いささかの可能性をもつかんでそれに対して全力を傾注するということが関係当事者の責任ではなかろうか、こういうふうに考えるので、あえてそのことを申し上げます。幸いにして、さっきも申し上げましたようにその詳細な速記録を拝見いたしますると、各方面から非常に強い復活への希望が寄せられ、また、先ほど申しましたようにブランデージ氏の新聞発表等においても、その可能性あり、こう示唆をいたしておりますから、その点においてどうぞひとつ世界柔連が一体になって、その世界柔連の中においてさらに日本が指導的役割りを果たすという意味において、この復活運動を具体的に効果あらしめるように御展開を願いたいということを私は重ねて川村さんにお願いをするのであります。  それから青江さんに、やはり私は同様のことをお尋ねいたしたいのでありますが、私はたびたびあなたがスポーツ評論家として新聞等に投稿されている記事をしさいに拝見をしている一人であります。あなたがわれわれの言わんとするところをずばり言っておるところに敬意を表しておりますが、こういう機会でありますから、あなたがいま日本柔道界に対してどういう所見を持っておられるか。このことについてのあなたの所見をひとつ承らしていただきたい。
  31. 白崎秀雄

    白崎参考人 先ほどもこの点については少しく触れるところがございましたけれどもオリンピック復活のために国際柔道連盟が打って一丸となって努力するということは、もう申すまでもないことでありますけれども、一方では、私の考えでは柔道そのものの生命力がはなはだ衰弱しておるということは争えない事実であると思うのであります。たとえて申しますと、ただいまの現行の柔道のルールというものは講道館のルールでなければいかぬということになっておりますけれども、このルールは終戦後、当時のGHQに対しまして日本文部省が、非常に極端なことばでいえば、哀願泣訴して学校柔道復活ということをしばしば懇請しております。そうしてアメリカ側も非常に強力なサゼスチョンによってただいまのようなルールにアレンジメントをされているのであります。そうしてこのルールによって柔道をやりますと、非常に端的に申しますと、いまのルールでは座礼ということを禁止しております。全部立礼でこれを行なうことになっておる。しかし私が思いまするに、座礼ということは非常に形式的に見えるけれども日本の文化であるというものには非常に重要な意義をなすものであって、これをあえてアメリカ流の立礼で行なうということは、これは柔道の本質そのものを改変するということにつながるのであります。もう一つ、これはいろいろ具体的な点にわたりますと際限がございませんけれども、たとえば試合場を五十骨に限定しておる。こういうことも柔道の本質を非常にそこなうことはなはだしいものでありまして、しばしば場外に選手は出て、そうして試合としての興味をはなはだしくスポイルしておるということは、現行の柔道の姿でありますけれども、これも当時のGHQに対するそういう迎合といいますか、そういう空気の結果もたらされた一つのルールの改変であろうかと思います。そうしてたまたま終戦後武徳会というものが禁止されまして、そうしてその他帝大柔道会でありますとかいうような強力な柔道の団体、それまで戦前ございました講道館と相競っておったそういう団体が倒れまして、そうして講道館というもののオールマイティーという状態が現出いたしまして、そうして全日本柔道連盟というものが生まれておる。そういう経過をたどって今日の柔道になっておるのでありまして、その全日本柔道連盟ないし講道館が国際的に柔道を広めたということの功績は私は非常に大きいと思うのでありますけれども柔道そのもののオリジナリティーと申しますか、本質と申しますか、そういうものが著しくそこなわれておる。そのことは、たとえば先ほども申し上げましたように、六二年の世界選手権大会以来、日本トップレベル選手が一応オランダ人にほんろうされておる、まるで子供扱いにされておるというような、そういう衰弱した柔道になった一つの有力な原因であろうかと思うのであります。  したがいまして、日本人柔道の本山は日本であるというように思っておるし、また事実いまのところまだそうでありますけれども、その内容ははなはだしく衰弱し、かつての非常に俊敏であり、また縦横無尽にわざを展開しましたそういう柔道とは内容的にはなはだしく異なっておる。そうしていまやその柔道を指導する全日本柔道連盟、その研究機関としての講道館にも高いピジョンが失われておるというのが現実であろうかと思います。そうしてこの高いビジョンが失われておること、それから内容的なはなはだしい低下があるということが、国際的な信望をはなはだしく失わしめておるという現実であろうかと思います。したがいまして、国際柔道連盟内部でオリンピック復活を画策するし、また広範な国民的な運動を展開するということは非常に重要でありますけれども、同時に、柔道そのものの生命力、ほんとうのあるべき姿、オリジナルなその生命力を回復するという努力が、全日本柔道を愛する人々の手によってなされない限り、柔道は衰弱の一途をたどるであろうというふうに私は感じておる次第でございます。
  32. 辻原弘市

    辻原委員 最近テレビの映画に、「姿三四郎」であるとかあるいは「柔」であるとか、いわゆる柔道、柔術というものに対して伝統的な一つのイメージというものは、これは長く明治から大正、昭和にかけて日本国民が持ってきた夢である。依然としてそういう夢はわれわれのみならず子供たちにも消えていないで、やはりテレビ番組としては非常に人気がある。ところが、一たびそれを実際の柔道に見るときに、その間に——もちろんそれ自体が仕組まれたものでありますから、同一視するわけにはいきません。いきませんが、いわゆる柔道あるいはスポーツとしての柔道というものにはあまりに大きな隔たりがあるのではなかろうか。こういう点にも何かを示唆する点があるのではないか。これは青江さんにお答えをいただきたい、川村さんにお答えをいただきたいということではなくて、いわゆる日本柔道世界柔連の中において指導的役割りを果たすということは、いろいろの役割りがあるであろうと思いますが、第一番になすべきものは、それは技術の指導であろうと思います。嘉納治五郎先生によって始められた講道館柔道が、今日の段階において一段の技術的進歩を遂げておるかということについて思いをいたしますと、もちろん優秀な選手がいらっしゃる、優秀な指導者がいらっしゃることは間違いもない事実でありますけれども、全体として考えてみたときには一考を要する点があるのじゃなかろうかということが、現在日本柔道が当面しておる一つの課題でもあろうかと思います。同時に、他面考えていただきたいことは、私が冒頭に申しました青は藍より出て藍より青しであって、これは森羅万象を通ずる一つの事実である。したがっていつまでも日本柔道日本柔道でなければならぬという理屈もなければ、世界のある国の柔道日本柔道よりひいでて悪いという卑屈もない。それが国際性であろうと思います。だから、ある段階においてやはりそういうことがなければならぬ。イギリスにおいて発達をしたイギリスのスポーツが、現在イギリスのものでないスポーツもあります。そういうことから考えてみますと、よい伝統というものが広く世界に形を変えて取り入れられて、そしていつまでもそれが進歩発展の状況の中に生きていくということがより大切であって、スポーツ自体がその国、その国民の健康を保持し、またその国民スポーツ精神、スピリットというものを与えていく、それが国際協調をもたらし、世界平和に寄与するということも、あのオリンピックの景況を見てさらに痛感をした一人であります。これは私のみならずいずれの人も、世界各国の若人が一堂に会し、同じスポーツのもとに武技を競って全心全霊を打ち込んでやるが、終わったならばその勝敗にこだわらず、たもとを分かち、喜々として次の再会を約束するということがすべての国民にできたならば、これは世界に戦争がなくなるのではなかろうか、そういう感懐を受けた者は私一人でなかったと思います。そういう点において柔道界世界的役割りを果たしていただきたいというのが私の念願であり、したがって伝統の武道である。もちろん伝統の武道であることには間違いないが、それぞれの時代に即して新しいスポーツとして、新しい国際競技として生まれかわる必要がある。よい伝統を残しつつ生まれかわる必要がある。そういうことを私は強調したいのであります。そういった意味で、いま青江さんがお述べになりました点については、私は共通する点があろうと思います。しかし現実の問題としてわれわれが承っておるところによると、欧州社会人によって理解された柔道とわれわれ日本人が伝統の中から理解している柔道との間にはギャップのあることも事実でありましょう。確かに話し合いによってなかなか解決のつかない問題もあると思います。具体的に私は申し上げませんけれどもあると思いますが、しかし、そこにはやはり本家としての雅量も必要である。同時にまた新しいものを受け入れるという度量も必要であろうと思いまするし、また技術の上において相手方を心服させるという力も必要であろう。そういうことについて、これは当事者であられる川村さんなり、また直接文筆をもって大いにその面についての裨益をなすっておられる青江さんたちの今後の御努力を私は切に望みたいと思うのであります。  時間もございませんから逐一それについての御意見を承ろうとも思いませんが、私も意見を申し上げ、最後に特に復活という問題については、きょうは政府に直接要請をしたかったのですが、文部大臣あるいは担当の河野大臣もどうしてもという御都合で来られないようでありますから、政府を代表して——松木さんはお見えですか。——実はきょう各界の方々からの御意見も徴し、復活のめど、こういうものを私どもとしてはっけたかったし、皆さんの御努力にお礼も申し上げたかったしという意味もありましたが、同時にオリンピックはそれぞれ都市の問題でありますから、直接政府の関与すべき問題ではないにしても、スポーツを所管する政府はやはりそれなりの努力が必要だ。こう思って文部大臣もスポーツ担当大臣も積極的に出てくるだろうと期待していたのですが、このていたらく。これではわれわれの考えが半分も達せられないわけでありますが、ここに毛利さんがおられてローザンヌにおける会議のあと、各国大使を通じていろんな要請をなされた陰の力と申しますか、そういうものもかなりあずかって力がある。同時に政府は表座敷から堂々と国内世論も起こすし、また世界各国にも要請するという行動がなければならぬ。オリンピックが開かれたならば、政府代表閣僚として、ただのんべんだらりとすわっていてもらうだけでは困る。そういうことを実現をしていく努力を政府は政府なりにする。文部省のスポーツ誤長がみえているようでありますが、これははなはだ失礼な言い分だが、一事務課長をもってなせる問題ではないのです。われわれは政治的にこれをどうするかということを政府の所管大臣から承るつもりであったので、大臣が出られないならば私は質問をやめます。
  33. 大石武一

    大石委員長 辻原さん、これは委員長の不手ぎわですまなかった。愛知文部大臣はかぜを引いてずっと休んでおりますので、いずれまた後日にそのような機会をつくりたいと思います。
  34. 辻原弘市

    辻原委員 それじゃ参考人方々からいろいろ承りましたので、それぞれの立場、特に川村さんに対しましては私はあるいは失礼なことを申し上げたかもしれませんが、率直にお互い意見を交換して、私どもの念願するところは、要するに日本柔道をさらに発展をさせていきたい。同時に、当面する問題は、メキシコにおいて復活目的を遂げたいという趣旨でありますから、その点はひらに御容赦をお願いいたしたい。と同時に、本日お忙しいのにわざわざ御出席をいただきましたことに衷心からお礼を申し上げまして、今後の柔道バレー復活関係者の特段の御努力を賜わりまするようお願いをいたしまして、私の質問を終わります。
  35. 大石武一

  36. 毛利松平

    毛利委員 私は、きょう質問をする予定でここへ来たのではなくて、傍聴に参りました者ですが、たっての皆さんの要望にこたえて二、三のことを質問いたします。  その前に経過をちょっと御報告いたします。本日は国の最高機関である立法府として時宜に適したこの委員会が開催されたということは、委員長並びに理事諸君の労に対して深く感謝をいたします。なお文部大臣、オリンピック大臣の出席ということを聞いておりましたが、文部大臣はかぜ、オリンピック大臣は外人接待のために急に時間がとれず来れない。まことに残念でありますが、事情やむを得ないものと了承いたします。  つきましては、私が参りました経過を簡単に申し上げますが、四月十日のローザンヌオリンピック常任理事会というのは、八月にも開かれ、十月に総まとめの総会がある。ところが八月は中止になった。四月は重要だからというので、ジョナス事務局長なり世界柔道連盟の事務総長のボネモリさんから、友人である関係上連絡がありまして、財界柔道連盟の幹部の方々十名ばかり、永野重雄さん、安西さん、安川さん、櫻田さん、浜口さん、それから政界の長老の石井さん、さらに世界柔道連盟会長日本柔道連盟会長の加納さんも御出席の上に協議がなされたのであります。そしてつい皆の帰するところ急を要するので君が行ってくれ。私は辞退をいたしましたが、あまりの熱心さに打たれて、二日間の余暇をもらって、つい行くことを承諾したわけであります。行くにつきましては、高石真五郎先生のステートメント、紹介状を正式に持ち、また日本武道館館長であり、国会柔道連盟会長である正力さんの紹介状を持ち、さらに国会柔道連盟の御意思を集約いたしまして、国会終末の多忙の中にやむを得ず行かざるを得なくなって、行く以上は最善を尽くそうという決意のもとに四月七日欧州に向かったのであります。  やってきたことは、まず大事なフランスのスポーツ大臣にお目にかかりました。そうして四月二十三日にメキシコオリンピックのクラーク会長がフランスにおいでになる。フランスのスポーツ大臣はメキシコオリンピックに対して非常な発言力を持っておるという事情がありますのでお願いいたしました。非常に快く承諾され、協力を約しまして、十八種目に固まりつつあるメキシコオリンピック種目を二十一種目にするよう協力しよう。次のオリンピックにはフランスが選手権を持ちたいのだ。こういう意欲を示されました。ローザンヌに参りまして、ブランデージ会長はじめ常任理事方々に私はできる限りのお願いをしてまいりました。皆さん非常に好意的で、しかも東京オリンピックはすばらしかったと、寄る人寄る人が片言の日本語で私に話しかけてまいりました。不幸にして、世界の新聞記者は数十名来ておりましたが、日本の新聞記者は一人も参加していなくて、非常にさびしい思いをしましたが、その後の理事会の模様を聞きますと、先ほど辻原委員からるる話があったように、非常に好感をもって何とか実現してやろうという協議がなされております。オリンピック委員は欧州ファミリーを第一義的に考えている人々であって、しかも常任委員の方は老人であり、その国の最高の名士である。そこで私は、日本の代表である大使を動かすことも最も重要である。英国、フランス、ドイツ、イタリアの大使も私が外務政務次官当時のごく懇意な方々でありますから、特にこういう方々にお願いをいたしまして、その国々の常任理事説得してもらいました。さらに長距離電話でパリからあるいはイタリアから数十カ国の大使に御協力を願ってきたのであります。日本の大使は幸いに日本の代表でありますから、その各国々の常任理事方々に非常に親交を持っております。そういう手を打ってまいりました。結論は、非常に困難ではあるけれども、十八種目を二十一種目に変え得る。きわめて有望である。しかし、非常に困難であるので、今後努力しなければならぬということを認識してまいりました。どこに一番盲点があるかというと、日本柔道連盟に盲点がある。不幸なことであるけれども世界柔道連盟日本柔道連盟の間に不信感や深いみぞがあるということを発見いたしました。そのことのいい悪いは申し上げないのであります。そこで、そういう経過を通じて、いかにこれから集約して、日本柔道界をあげて、宗家である誇りと伝統と権威にかけてこの問題を推進しなければならぬ。特に日本オリンピック委員、それに体育協会の方々の快い積極的な協力を願わなければならぬということで、国会柔道連盟においても、いま辻原委員のおっしゃるごとく、あるいは田中理事にお願いをして寄り寄り協議をしておるという実情でございます。  つきましては、これからの問題でございますが、先ほど大庭参考人から発言がありましたが、バレーのほうは可能性が強い、柔道はよほど努力しなければならぬというおことばがありましたが、これにつきましては体育協会としても、この現状認識、有望ではあるけれども、うちに問題があると同時に、積極的に世界に向かって、六十数カ国の委員に向かって、特に常任理事国に向かってあの手この手を使ってやらなければならぬという認識の上に立って、体育協会が先頭を切って御協力願いたいと思うのであります。そのことについての御見解、決意のほどを、一言簡単でけっこうでありますから、参考人にお願いしたいと思います。
  37. 大庭哲夫

    大庭参考人 先ほど来柔道の問題につきましていろいろお話を聞いたわけですが、私も日本スポーツとしての柔道、これには同感の至りでございまして、これがメキシコに実現されることは心から願うわけでございまして、JOCといたしましてもこれに協力は惜しまないつもりでございます。
  38. 毛利松平

    毛利委員 どうぞひとついまのおことばのごとくぜひお願いを申し上げます。つきましては、二十一種目にするということは、さらにバレーと洋弓の参加を確実にするということも再確認を願いたいのであります。  次に、川村参考人に御質問をいたしますが、先般新聞で、日本柔道連盟脱退かという記事がございまして、いま辻原委員の質問に対して、そういうことは言ったこともない——そのことばのとおりであってほしいし、そう信じます。しかし、新聞の報道は誤報であるかどうかは別として、それの及ぼす影響が、六再万人の世界柔道ファン、愛好者、また日本柔道愛好者がいかにこの新聞報道で失望しているか。その結果、また辻原委員のおっしゃるごとくIOCに響く姿というものは、百万言を費やしても、どちらがいい悪いは別としても、いわゆる日本の権威と誇りということについてプラスではなかった。また、オリンピック実現に対するプラスではなかった、こういう見解に対するあなたの御心境が一点。  さらにまた、来たるべきブラジルの世界柔道選手権において不参加するやのうわさを聞いております。これはうわさでございます。事実は知りません。世界柔道連盟理事として、講道館理事として、日本柔道連盟の最高幹部としての川村さんにおかれて、もしそれがどういういきさつにあっても、不参加という結果が生まれることによって、いかにその意図がなくても世界柔道連盟脱退という結論の裏づけをするものである。それは、先ほど白崎さんのおっしゃるように、遺憾ながら伝統と誇りを持つ日本柔道の体質が弱くなっている、ここに大きな曲がりかどと問題点がある。しかもすべての諸問題が世界の中に生きる日本であり、特にオリンピック内に生きるには、日本の権威と誇りと、宗家としての自重と努力がなされなければならない。そういう観点に対するこの影響の重大さを私は感ずるものであります。まさかブラジルの選手大会に、いかなる事情があろうとも不参加などという結果を招かないことを願うと同時に、これに対する見解を承りたいのです。
  39. 川村禎三

    川村参考人 第一点の、新聞紙上に出たこと、先ほども申したことを反復すると思いますけれども、私も長い間欧州におりましたし、日本のそういう新聞紙上のニュースというものが非常に早く伝わっておりますので、私あのニュースを読みまして非常に残念に思った次第であります。公の評議員会とか理事会の間ではそういう話は一言もなかったのにああいう記事が出たのは、それが全世界に直ちに知られたんだろうと思って非常に残念に思っております。  第二点の、ブラジルの選手権不参加と申されましたが、私は、国際柔道連盟理事立場から、特に技術担当の理事立場から申しまして、ぜひ参加があって、国際柔道連盟目的を達成しなければならない、そう願うものであります。それから、そういう不参加ということは実は私まだ知っておりませんので、ただいまも何かそういうことを聞いているということでございますけれども、私も耳にはしておりますけれども、全日本柔道連盟の常任理事会ですか、そういうようなところで私もまだ正式には聞いておりません。ですから選手権にはぜひ全日本柔道連盟の出場できるように大いに希望するものであります。
  40. 毛利松平

    毛利委員 不参加という問題はうわさでありまして、私は単なるデマであってほしいという願いを男頭に申し上げたいと思うのであります。  次に、日本柔道界が今日技術の面で、実力の点で、世界柔道界に生きる日本立場において、特に来たるべきオリンピック参加という意味の大きな意義において、まさに曲がりかどへきている。これに対する深い認識と、さらにこのことがいずれの事情があろうとも、私は日本がさらに過去の伝統と誇りを生かす意味の悩みだ、発展への悩みだ、飛躍への悩みだ、こういうぐあいに認識して、小の虫を殺して大の虫を生かすためにわが柔道界は、特に川村さんの立場におかれては日本柔道連盟をひっさげ、講道館をひっさげ、全力をあげてこの問題に前進するよう御要望申し上げると同時に、決意のほどをもう一度承りたいのであります。
  41. 川村禎三

    川村参考人 国際柔道連盟のほうは常任の一人で、私も大いに発言できるのでありますが、日本柔道連盟のほうは、ただいまお話しのようなひっさげることはまだできる立場ではございません。けれども私も柔道の国際性というものを人一倍願うものでありますし、おそらく私の生涯の仕事だろうと私は決心しているわけで、ひっさげることはできないにしても、私は最善を尽くして努力したいと思います。
  42. 毛利松平

    毛利委員 いまのおことばを深く信じ、かつお願いをするものであります。つきましては、もう一ことばつけ加えますが、ベルリンのオリンピック後に日本オリンピック招致のために、なき老嘉納大先生が私費を使っていかにひたむきの努力をなさったかという、この歴史的事実は欧州の人々が高く評価しております。われわれはそれを聞くたびに胸迫るものがあります。この嘉納先生の精神をいまこそ日本柔道連盟の幹部の方々講道館方々がひとつ回顧していただいて、生かしていただきたい。それを集約するものはメキシコオリンピックへの参加だ、こういうぐあいに私は理解しております。つきましては、辻原委員田中理事等と相はかって、国会柔道連盟が一致団結してひたむきな姿勢になって柔道連盟の団結を要望すると同時に、なるべく早い時期に、いわゆる講道館はもちろん先頭を切っていただきまして、日本武道館もあるいは財界、実業柔道連盟、学生連盟、警視庁、国会議員柔道連盟が相寄り、意識の統一と積極的活動に向かってそういう機会と協議会を持ちたいと私はひそかに考えております。これに対する川村さんの御見解を承りたい。
  43. 川村禎三

    川村参考人 ただいまのおことばを国際柔道連盟としては非常に力強く感じますし、感謝の気持ちで一ぱいでございます。どうかよろしく御支援をお願いする次第であります。
  44. 毛利松平

    毛利委員 白崎さんと高橋先輩にひとつお願いをするのですが、白崎さんがお書きになっておる新聞紙上の問題を、まことに的確にして意欲的で情熱的な御意見と承って、日ごろ私は深く感激しております。つきましては、こういう際、今日日本の言論界のペンの威力というものはまことにおそるべきものがあります。どうぞひとつその点を再御認識いただきまして、一段とこれがまとまるように積極的にいろいろな御意見を忌憚なく時宜に適して御発表願いまして、目的達成に御努力願いたい。それに対するいままでの御見解も承りまして、全部同感でありますが、ひとつお願いをしたい。  さらに、商橋参考人にもお願いいたしますが、大新聞のペンの威力というものを遺憾なくこの際発揮願いまして、どうぞひとつ六百万の柔道愛好者の心をおくみとり願いまして、また、曲がりかどにある日本柔道界の誇りと権威とを回復できるように、オリンピックを焦点にして御支援のほどを願いたいと思うのであります。  つきましては、白崎さんと高橋参考人に、一言御意見を承りたいものと思います。
  45. 白崎秀雄

    白崎参考人 ただいま毛利議員からお話がございましたように、全日本柔道連盟中心として、日本武道館とかあるいはその他財界の柔道連盟であるとかいうようなものが一つ委員会のようなものをつくって、この推進をやったらばどうかという御意見がありまして、これに対して川村さんから、それはまことにけっこうである、感謝にたえないというような御発言があったと思いますけれども、この点は非常に重要な提案であると私は思います。先ほども申し上げましたように、これは決して逆コースというようなことを提唱するのではないのでありますけれども、戦前の柔道界の姿というものは、御承知のように講道館というものが存在して、これが技術的な切磋琢磨をやっておる。しかしまた武徳会というものがございまして、ここにもまたここを拠点として非常に全国的な組織が柔道を研さんしておる。それからまた一方に帝大柔道会というものがございまして、これがまた非常に強力な団体であって、いわゆる高専大会等を主催いたしまして、非常に強力な高い技術を持った柔道をやっておったのであります。また、東京中心にするいわゆる関東学連というものがございまして、毛利さんなどもその一員かと思われますけれども、それもまた非常に商いレベルの柔道をやっておった。警視庁、海兵団その他も同様であります。そうしてこれらが非常に切磋琢磨して相競って非常に高い技術的な水準を維持したことは歴史の証明するところでありまして、それがたまたま不幸にも戦後の敗戦によって全日本柔道連盟が一本化されまして、一本化ということは非常にけっこうなのでありますけれども、ややもすればそういった歴史的な経過とか講道館の完全なオールマイティーであるというふうな傾向が非常に強いのであります。したがいましてそのほかのかつてあったところの、歴史的な伝統を持っておりましたところのいろいろな柔道、多少性格の違った柔道というものが全部なくなりましてこれに一本化されたということは、先ほども申し上げたような柔道生命力の衰弱ということを招いた非常に大きな決定的な原因であろうかと思うのであります。したがいまして、この際、全日本柔道連盟はもちろんきわめて中心的な勢力ではありますけれども日本武道館ですとか、実業団柔道連盟、あるいは国会議員柔道連盟等の強力な団体が委員会をつくって、そうしてメキシコオリンピック復活にはどうしたらいいかということをおのおの真剣に話し合い、また同時に、柔道そのものの生命力を回復するというためにはどうしたらいいかということの、真剣な討議、検討、その運動の展開がまさに国民的な規模でなされるということが必要であろうかと重ねて存ずる次第であります。
  46. 高橋武彦

    高橋参考人 いまの日本柔道がなぜこういう状態になったかということの最大原因は、日本柔道界が実力主義ではなくて、貫禄主義になったということに私は最大原因があると思います。たとえば審判一つを見ましても、先般も大学対抗を見ましたが、ただ若いときにからだが大きくて強かった、段が高いというだけでその人たちが審判をしておる。われわれが見ましても実にミスの多い審判をしておる。そういうことから見ても、これは一つの貫禄主義のあらわれじゃないかと思います。やはりここで柔道を貫禄主義から実力主義へと取り戻すことが必要ではないか。ただ私は一つの希望を持ちましたのは、先般の日本選手大会においては、これがはたして柔道かという、実に柔道ファンの一人として失望したのであります。ところが大学の優勝大会を見ましたときに、ようやく若い層に柔道らしいものが育ちつつあるのじゃないかという一つの萌芽を見たわけであります。ただしかし残念なことには、こういう人たちを指導しておる人が、戦後の非常に柔道の断層期に育った人である。したがって精神的にも技術的にもきわめてレベルの低い人たちがそういう人を指導しておる。ここにいまの柔道一つの悲劇があるのじゃないかと思います。ようやく柔道の反省というものが起こってまいりましたので、この反省の機を逸せずに、鉄は熱いうちに打てということばがありますが、私は実は、オリンピックの前にへーシンクに初めて日本が負けたあと、これはいかぬといって柔道が立ち上がってくれるだろうとひそかな期待を持ったのであります。ところがオリンピックではああいうていたらく。オリンピックの済んだあとの日本選手大会を見ると、あの張り詰めた気持ちは全くなくなって、何をしていたんだということで憤慨をしたのでありますが、幸いに国会でこういうふうにして柔道の問題を取り上げていただいておりますので、講道館だけにまかしていたのではやはり力が足りないといいますか、そこでやはりわれわれ柔道マンとして、またファンとしては非常に遺憾な、さびしいことでありますが、どうか柔道関心を持った方々がひとつむちを当てていただいて、日本柔道をほんとうの柔道の形に取り戻していただきたい。私もこうした筆を持って商売をやっておりますので、機会を与えられるごとに柔道については意見を述べております。ただ残念ながら、終戦後学校柔道推進された当時に、学校柔道復活ということで講道館関係をいたしており、日本柔道選手大会などに批判の筆を——その当時は講道館では書けない、君でなければ思い切ったことは書けない、君が書いてくれといって書かされた記憶があります。ところがそういう人たちが、逆に講道館中心になって今度は批判される立場になると、私たち講道館の機関誌「柔道」などに書く場を与えないようにし始めてきたということを、私個人の経験から感ずるわけであります。やはりわれわれのようなしろうと——専門家から見たら何をしろうとが言っておるかというふうに感じられるかもしれませんが、私も二十年近く柔道をやってきた一人であります。われわれはわれわれの見方があるわけであります。こういう意見を率直に聞く講道館であってほしい。それを聞かせるのはやはり国会の皆さま方の一つの政治的な圧力、と言うと非常に語弊がありますが、そういうものがどうしてもいま必要になってきておるときであるというふうに痛切に感じておる次第でございます。柔道をやってきた者としては非常にさびしい現状でありますが、どうか国会の皆さま方柔道に御理解ある、しかも自分でおやりになった方々がはだで感じておられる柔道というものを、もう一度技術の面で、あるいは精神の面で日本柔道のために惜しみなく注いでいただきたい、これを私のほうからお願いをいたしまして、私の所感といたします。(拍手)
  47. 毛利松平

    毛利委員 ただいままことに貴重な御意見を御多忙中の大ぜいの参考人からいただきまして、私は深く感謝いたします。特に川村参考人に、積極的に意欲と情熱を持った行動を私たちは深く御期待を申し上げておることをお願いをいたしまして私の話を終わりますが、さらに大庭理事に、体育協会をあげて、ひとつ三種目復活への御指導をお願いしておきたいと思います。  次に委員長に、まことに事情はよくわかりましたが、オリンピック大臣、スポーツ大臣の欠席を遺憾といたしますが、今日の論議の焦点を基礎に置いて、委員長から強く国会協力、特に政府の可能な範囲の協力、苦心をしていただきたいとお伝えを願うと同時に、ひとつ協力を両大臣に訴えてもらいたい、これをお願いして私の質問を終わります。  まことに参考人の方ありがとうございました。
  48. 田中榮一

    田中(榮)委員 時間もだいぶ迫りましたので、私ちょっと関連しまして申し上げておきたいと思います。  実はせんだって同志の毛利松平君がスイスのローザンヌに、メキシコ柔道復活のためにわれわれ国会議員の柔道連盟を代表し、かつ日本武道館の正力会長のメッセージを持参いたしまして、個人的の事情としては非常に支障があるので一応お断わり願ったのでありますが、私ども無理やりに毛利君にお願いをしまして、とにかく行ってもらいたいというので毛利君にお願いして、実はローザンヌ参加してもらったのでありますが、そのことがどうもとかく世間に誤解を受けまして何だか毛利代議士が個人的の理由で、自分のために行ったかのように誤伝をされておりますので、その点は絶対にそういうことがないということを私ここではっきり申し上げて、毛利君のために一応弁解をしておきたいと存じます。  それから、立つたついでに一言申し述べたいと思うのですが、今回のメキシコ柔道復活をなぜせねばならないか。一体、柔道東京大会において一回だけ正式に種目として参加を受けて、そうして次のメキシコ大会においてはそれがキャンセルされてしまったということについて、私どもはちょっと解せないのであります。と申しますのは、日本からIOC委員として理事の方が出ておる。実は東京オリンピックが済みまして、オリンピックの施設特別委員会が最後の委員会をやりましたときに、私は東委員に来ていただきまして、今度メキシコ大会において柔道がなくなるそうであるけれども、これについてひとつあなたも大いに復活運動をしてもらいたいと言ったところが、東IOC委員意見は、私は今度理事でなくなりました、だれかほかの人にまたよくお願いしておきます、こういうまことに冷たいおことばであったのでありまして、私は、このIOC日本代表の方々がいま少し熱心に柔道なりバレーを主張していただいたならば、こういうようなことにならないで済んだんじゃないかということを実は考えるのであります。決してIOC日本代表の方々が不熱心であったとは言わないのでありますが、今日のこの事実あることを予期されたならば、なぜもう少し事前に国内の関係者のほうにあらかじめ話しをして、前もってひとつ手を打たせるような用意をしておかなかったかということを私はほんとうに残念に思うのであります。いまさらこういうことを言ってもせんないことでございますが、今後こうしたIOC委員は十分にひとつ、国内の関係団体はもとよりのこと、他の関係されると認むべき団体についても、あらかじめあぶないと思ったような事実については、事前に十分に連絡をしておいてもらいたい、こういう考えを持っておるのでございますが、これにつきまして大庭さん、どういうお考えでございますか、ちょっとこれについて御意見を承りたいと思います。
  49. 大庭哲夫

    大庭参考人 お答え申します。  いまいろいろ御注意があったわけですが、私のほうとしましても状況は逐一委員会説明していますし、委員会には各競技団体も出ていますことでありますから、たとえば柔道連盟柔道の問題その他については十分承知のはずのわけなんでありまして、JOC担当者といたしまして直接これを他に合議を求めなかったということにつきましては、手抜かりがあったと考えられる部分もあるわけですが、何ぶんにもJOCとしまして過去の記録を見ますと、バレーを入れて四つでございますが、四つとも同じような目的、同じような参加の希望がある。したがって四つとも参加をさせるように努力の方向に進めていこうということで取り上げて、東京オリンピックIOC総会にはバレー柔道との復活要求した。先ほど報告のとおりでありますが、今後これを四つとも復活するように努力を続けていこうというのが今後のJOC一つの事業になっているわけですから、先ほども御回答したように、JOCとしましては強力にこれを推進していきたいというように考えておるわけであります。
  50. 田中榮一

    田中(榮)委員 なお今後またこうした問題が起こり得る可能性もございますので、十分にひとつ事前に手を打っていただきたいと考えております。  それから柔道の問題でございますが、オリンピック柔道復活の問題と、IJF、世界柔道連盟日本柔道連盟との関係の問題、この二つの問題は私は全然別個の問題だと思っております。この二つは絶対に混同すべきものではないと思います。かりにIJFと日本柔道連盟との関係がどうあろうとも、いやしくも世界柔道連盟としてはいかなることがありましても、この復活運動には全部が一致した意見で邁進すべきものであろう、これはもちろんのことであろうと私は考えております。そこで、今後この復活運動につきまして、実は日本柔道連盟におきましては具体的に何か復活運動の手を打たれたことがあるのでしょうか。何か過去においてどういう手を打たれたのですか。川村さんにひとつお伺いしたいのでありますが、いかがでしょうか。
  51. 川村禎三

    川村参考人 過去においてはいろいろIOC委員と、個人的にもブランデージ会長にも直接数回会っていますし、ブランデージ会長個人としては非常に柔道復活を望んでおるようであります。何としても十八種目という規約を改正しない限りはむずかしい。努力するということは、ブランデージ会長はわれわれに確約しておりますが、最初に私お話し申し上げましたけれども、過去においては直接IOC委員あるいはメキシコから出ておりますIOC委員のクラーク将軍という方にメキシコへ行って会いまして、いろいろ国際柔道事情を申し上げて、援助の確約を得ております。それからその他IOC本部と近い欧柔連の執行部とも連絡しまして、メキシコオリンピック復活のための委員会というものを会長名でつくっておりまして、問題があるたびに、意見を交換しまして、やってきております。今後のことは、さらに本日の議員先生方の御意見も参考にして、私も国際柔道連盟に大いにアピールしていきたいと思っております。
  52. 田中榮一

    田中(榮)委員 先ほど辻原委員並びに毛利委員からもお話がございましたとおりに、オリンピック柔道復活は、全柔連だけの力ではなかなか私はむずかしいんじゃないかと思います。私は少なくとも全日本国民的な運動としてこれを展開し、それから同時に、世界柔道連盟に所属する国民がいずれもその国々によっての一つ国民運動を展開をして、その国に所属するところのIOC委員に持ち上げて、そしてその各国のIOC委員柔道というものに十分なる理解を持って、復活のブームをつくって初めて私は憲章改定ができると思うのです。  そこで、先ほど辻原毛利委員からもお話がございましたとおり、われわれ国会柔道議員連盟、それから川崎先生がリーダーをやっておりまする国会スポーツ議員連盟、こうしたグループ、それから日本武道館、それから実業、財界の柔道連盟、学生柔道連盟、警察柔道連盟、そうしたものが打って一丸となって、日本日本としてひとつ日本柔道連盟講道館等と一緒になってこの際猛烈な柔道復活国民運動を展開する。それにはどうしても油がなくちゃいかぬ、ガソリンがなくちゃいかぬ。そのガソリンというのが、きょうおいでになりました毎日新聞の論説委員高橋先生やら、それから青江先生なんかの柔道評論家、そうした方々の筆の力、これが油になるわけです。これによってじゃんじゃんとひとつ書き立ててもらって、そしてわれわれがステージに立って踊り、そして高橋先生それから白崎先生等が横合いから大いに音楽を奏していただく。こういうようなことによって、まず日本として復活国民運動を展開する。西ドイツは西ドイツ、東ドイツは東ドイツ、スイスはスイス、英国は英国、アメリカはアメリカというように、各国が同様な国民運動を展開してIOC委員に持ち上げる。そして全国民がそういうムードになったときに、マドリッドにおける理事会に持ち込む。そういうところで憲章の改定ということになれば、私はタイムリーに憲章改定の目的が達成するのではないかと思いますが、今日のこのままの状態では憲章改定ということは非常に困難ではないか。私は、少し悲観的かもしれませんが、このままほっておいたならば、復活はとても無理じゃないか。ある方面からは、いや、今度は多少復活の明るい見通しがついたというような楽観的な報道がございますけれども、私の見方としては、よほど各国がそういうムードに横溢しませんと、憲章改定というものは非常にむずかしいのじゃないか、かように見るわけでございます。そこで講道館におかれましても日本柔道連盟におかれましても、小さなからに閉じこもらずに、門戸を開放して、みんながひとつ手を握ろうじゃないかという大きな気持ちで、日本柔道を愛好するという気持ちでやっていただきたい、こういうふうに念願する次第でございます。  それからもう一つ日本柔道連盟世界柔道連盟関係は、最初に私が申しましたとおり、ある意味においてはお家騒動です。これはわれわれがタッチすべき問題ではなく、日本柔道連盟世界柔道連盟で解決すべき問題であろうと思うのでありますが、一つ私は例を引いて、まことにへたな例でございますが、あばれ馬を調御する人の調御状況を見ますと、まず馬場へ引き出して、手綱を持って何もやらない。あばれほうだいあばれさしておく。一週間でも十日でもただあばれさして、それからだんだんとアクを抜いて、名馬に仕立てるわけです。私は欧州柔道連盟というものは、子供でいうならば、十六か十七のあばれ盛りといいますか、親の言うことは何でも反対する。親が右と言えば左、こう言うような一つの時代じゃないかと思うのであります。したがって、ヨーロッパの連中の言うことは、なるほど私は横紙破りでずいぶんむちゃなことを言うだろうと思うのであります。しかしながら、ある程度の域に達したならば、彼らむおとなになったならば、必ずこれはもとに返ると思うのです。百人一首に「瀬を早み岩にせかるる滝川のわれても末にあはむとぞ思う」ざあっと流れるときには水は分かれるが、もとになればまた一つになってしまう。いま盛んにああだこうだ、ルールがどうだ、重量制がこうだと言っておりますが、だんだん議論が分かれてしまって、どうしても収拾ができないことになってしまうと、それでは柔道のお家元の日本の御意見はどうだろうということになって、結局日本意見というものが将来尊重されるということに私は落ちつくであろうと思います。そういう意味におきまして、現在のところはじゃじゃ馬、あばれ馬、それをこの際調御するという大きな気持ちで、多少重量制なんかでむちゃなことを言うかもしれぬが、それをひとつ目をつぶって、じっとこらえていただく。私は、将来において必ず日本柔道の言うとおりに落ちつくものと確信をいたしております。  何となれば、せんだって毛利君がヨーロッパへ参りまして、向こうの欧州柔道のパンフレットを持ってきました。その巻頭に、なんと、なき加納先生のお写真が飾ってあります。やはり欧州柔道連盟としては、あのなき嘉納先生というものに非常な尊敬とあこがれの気持ちを持っておる。さればこそ、パンフレットには必ず劈頭に、なき嘉納先生のお姿が飾られておるのであります。こういう気持ちから察しますると、彼らもやはり日本柔道というものを心のうちにおいては尊重しておる、こういうことが私は考えられると思うのでございます。そういう意味におきまして、どうかひとつ大きな気持ちで——絶対にこれは放してはいけません。さっきもお話がありましたように、脱退するなんてそんなばかなことはない。こちらは手綱をじっと持っておる。あばれるだけあばれさしておく。放しちゃったらどこへいくかわからない。手綱をじっと握っておいて、あばれるだけあばれさしておく。そうしたら、必ず日本柔道のもとに戻ってまいります。そういうお気持ちでひとつこのヨーロッパ柔道というものを握っておいていただきたい。これが私ども柔道マンの気持ちでございます。どうかひとつ、そういう大きな気持ちで、この世界柔道連盟日本柔道連盟との関係を円満に今後解決していただきますようにお願い申し上げたいと思うのでございますが、最後にひとつ川村先生の御意見を聞きまして、私の質問を終わりたいと思います。
  53. 川村禎三

    川村参考人 たいへん感銘する御意見をいただきまして、私も全く同感でございます。欧柔連と日本柔連のいろいろと問題——たいした問題ではございませんけれども意見の食い違いとか何かがあるようですが、あばれ馬のいまの御意見に対して私も全く同感でございますことを、意見として申し上げたいと思うのであります。
  54. 大石武一

    大石委員長 川崎秀二君。
  55. 川崎秀二

    ○川崎(秀)委員 本日は、ここに柔道メキシコ大会復活という問題に国会議員の各位が熱心で、種々御質問なさった。私はせんだって、毛利君の帰国報告並びに田中さんや辻原君が熱心にスポーツ議員連盟の緊急総会を開いてくれ、自分らも柔道の仲間で連盟は持っておるけれども、広い範囲で運動を起こしたいからということで御要請を受けまして、会議を開きました。その結果、国会スポーツ議員連盟としては、あげてメキシコ大会での柔道種目復活するということに決意をいたしまして、自来いろいろ御相談申し上げておるわけですから、先ほど以来、熱意あふるる田中君、辻原さんのお話も伺いまして感銘をしております。われわれ柔道とは直接関係はありませんけれども、広い意味でのスポーツ関係者としまして、大いに助力をし、国民のムードを盛り上げていきたい、こういうことをお誓いする次第です。  私は川村君と一九五三年か一年に、ロンドンでお目にかかったことがあります。私は国会の二年生くらいのところで社会保障の研究をしに行きました。川村君は当時英語の勉強に行っておったようなことを記憶するのであります。  ただ、先ほどの御発言の中で一番キーポイントと思われるのは、オリンピック大会種目を減らそうという考え方は、現在のIOC委員長ブランデージと、そしてイギリスのもとのバーレー卿、すなわちエグゼター侯が非常にこの問題について熱心なんです。種目を減らしていこう。オリンピックはずうたいがでか過ぎて、今後は東京オリンピックとか、あるいはニューヨークとか、パリとかというような有力な大国で、しかも相当な人口を持つ土地でなければ開催ができなくなってきたので、そういうことの理由のためにギリシアのアテネ精神に戻り、陸上競技中心にして十五、六種目のものにしぼりたいというのが彼らの中心の考え方である。ブランデージがたしか七、八年前にこういう提案をして、そうして鋭意努力した結果しぼりつつあるのであって、そういうことに対する考え方の変更がなければ、これはなかなかむずかしいことじゃないかというふうに私は思うのです。私の意見はブランデージの意見と違うのです。これは四年に一回の若人の祭典であるから、どんどん広がってもいいんじゃないか。能力を持たないと思われる国も、あるいはフィンランドのヘルシンキでもやったし、メキシコでもやるのです。将来はそんな大国ばかりでやるわけじゃない。力が足りなければ各国がこれに援助するという形で種目が充実をするということがいいと思っておるのですが、さっき聞いていると、ブランデージが確約をした——種目を減らそうということに努力をしたブランデージが、それじゃ種目をふやそうということにするのは、よほどの事情の変化がなければならぬ。いつどこで、あなたと確約をしたのか、それを承っておきたい。
  56. 川村禎三

    川村参考人 確約と申しますのは、柔道復活努力するということを確約したのでありまして、その努力の点であります。ただブランデージさんの個人的な意見をここで言っていいかどうかわかりませんけれども、ほかに問題のある種目がある。そういうのよりは柔道のほうがずっといいのだということを申しておりました。そういうことから、私はその柔道復活を切に望むんだというその努力を確約したのであります。
  57. 川崎秀二

    ○川崎(秀)委員 よくわかりました。しかしすでに決定したものを否定するという考え方には、なかなかメキシコオリンピック組織委員会はならぬと思うのです。IOCもならぬと思うから、やはりこの際は、種目を増加するということになっていくわけですから、これはよほどの説得力を持って、そうしてIOC中心部へ向かって活動しなければならぬと思う。これは柔道マンだけではなしに、われわれも責任を感じますから、いろいろと今後運動を展開していくのにもねらいをつけて、そうして大きな背景のもとに前進をしてもらいたいと思います。あなたの立場は、ちょうど国際陸上競技連盟の理事をしておる浅野均一君の立場と同じようなわけですから、国際的な立場にも立ちつつ、なお日本の主張も盛り上げていくことに努力してもらいたいと思います。もう質問はいたしません。  ちょっと緊急の問題がありますので、一、二大庭専務理事に伺いたい。  これはわれわれも関係者ですが、ユニバーシアードにあたって、国際水連がいまだ決定をしていない前に、インドネシアが参加するということを言い出したために、昨日から日本水上連盟は、インドネシアが参加するなら自分は参加しない。これは国際水連の精神、ルールを守った者でなければ参加できない。また加盟国でなければ参加できないということであろうと思います。筋としては正しいが、なぜいち早くああいうことをしたものか、これは大庭さん、水連の当局ではないが、その上の組織におられる体協の幹部として、どういうふうに思っておられるか。また、このことのために日本のユニバーシアード参加が影響を受けて、水連も行かない、陸連も行かないというようなことになったらたいへんですから、私の意見ですが、筋としては、やはり国際水連というものが早くユニバーシアード大会におけるインドネシアの参加資格なしということを認定してもらわなければならぬ。幸い、国際水連の木部はどこにあるかちょっと最近知りませんが、名誉主事は清川正二君である。日本人です。東京にいるわけですから、緊急に——やはり国際水連がイニシアチブをとるようにしないで、日本水連が先ばしるとこの問題は非常にこじれていくのではないかというふうに感ずるのですが、体協の責任者であり、ユニバーシアードの委員の一人である大庭さんに御見解を伺いたいと思います。
  58. 大庭哲夫

    大庭参考人 お答えいたします。  実はきょう新聞にいろいろその問題が出たわけであらます。実は昨日夕方、水連でいろいろ打ち合わせした結果が出たのだろうと思いますが、問題は、五月一日までにユニバーシアードの大会に出場する国並びにその国が出場したいエントリーの種目を提出することになっていたわけです。それが出てきたのを見ますと、インドネシアから水泳が入っているという問題がありました。インドネシアは一昨年でしたか、アジア大会の問題から水泳連盟から脱退しているわけです。世界水泳連盟としましては、脱退したり加盟していないところと競技することはできないことになっているわけでありまして、当然インドネシアは加盟していないのですから、水泳を出すはずがなかったはずのものが出ているわけであります。したがいまして、日本水泳連盟としましては、これが撤回されない以上は出場が不可能という立場になるわけですが、御承知のように、六月二十一日にはユニバーシアードのスタンディング・コミッティもありますし、また、いまハンガリーのブダペストで組織委員会あるいは資格審議委員会というものがありまして、まず出てきたものを受け取ったその報告が各国にいったのでありまして、いずれそれは組織委員会なり資格審議委員会で審査しまして、もしもインドネシアがあえて出場するということになれば、ハンガリーはルールを守る国でありますから、おそらくその出場を拒んでいただけるのだと私たちは判断を現在ではしているわけです。もしこれを拒めなくて、拒否できなくて出場するということになりますと、アジア大会の二の舞いを繰り返すことになるわけでありまして、出ていってまた問題が起きるよりもむしろ事前に出ていかないということが起きるかもしれませんが、いまのところの推定といたしましては、要は希望が出たにすぎない。いずれ組織委員会、資格審議委員会でそれを審議した結果拒否することができるわけですから、拒否してもらえるものだ。とりわけ日本のユニバーシアード委員会としましては、そういうことがないように事前にブダペストのほうに連絡はいたしますし、六月二十一日のスタンディング・コミッティには出まして、その事情を聞き、正当に判断さすように手配をとる所存でいます。今後この問題はできる限り問題化しないように、両者の間でうまく話がつくように手配したいという考えでございます。
  59. 川崎秀二

    ○川崎(秀)委員 これで終ります。たいへん明快な御答弁でありました。筋は守りつつ波乱が起きないようにしたい、スタンディング・コミッティでインドネシアが参加する資格がないことを明らかにして他にこれが波及しないようにお願いしたいと思うのです。それは、あなたも十分御承知のように、われわれはオリンピック後における一番大きな国際競技大会として一九六七年にユニバーシアードを招致したいという重大な希望を持って、国会もすでに衆議院の文教委員会では招致を決議しております。本日ほおそらく参議院でも同様のことが行なわれることになっておる段階において、水連のことから問題がこじれていくということはきわめて残念なことであります。国際水連の立場、ことに名誉主事を擁しておるものが明快なる行動をとっていただいて、他の競技に波及することのないように、また水連自身参加することができるように御処置あらんことを望みまして、質問を終ることにいたします。
  60. 大石武一

    大石委員長 最後に、西川参考人より発言を求められておりますので、これを許します。西川参考人
  61. 西川政一

    西川参考人 ちょっと一分間ほど発言させていただきたいと思います。本日はこういう委員会をお開きいただきまして、私ども参考人として呼ばれたことを非常に幸いに存じております。発言された委員諸士が非常な情熱を傾けてこの問題と取っ組んでおられるということをつぶさに身をもって感じまして、非常に私ありがたく思っております。  バレーボールに関しましては、特に女子については非常に楽観的な御報告もございましたし、私どももある程度楽観的ななにもないではないわけですが、選挙においても同様に、最後の五分間までわからぬものでございまして、いな最後の一分間までわからぬものでございますから、どうぞこの上とも御支援、御鞭撻を願いたいわけでございます。  IOCのメンバーにつきまして私申し上げたいことは、先ほど田中さんからお話がございましたが、非常に頭が古いということを私は申し上げたい。これは終身委員になっておったように思いますので、なかなか取っかえられないのですが、それだけにその出発にあたりまして、会合に列席される前に、十分皆さんがお話をされるということが——われわれももうしょっちゅうお願いしておるのでありますが、きょう御発言になった辻原さんをはじめとして非常にその点御心配になっておるわけでありますから、そういう会合の前には、出発の前に懇々と御懇談の上出ていってもらって大いに発言されるというように、この機会に私特にお願い申したいと思うわけでございます。どうもありがとうございました。(拍手)
  62. 大石武一

    大石委員長 それでは、これから閉会いたすわけでございますが、参考人方々にお礼のごあいさつを申し上げます。  きょうはお忙しいところをわざわざお時間をさいていただきまして、貴重な御意見を拝聴できましたことを心から感謝いたします。われわれのこの委員会意見参考人の方よくおわかりでございましょうし、われわれも参考人方々のお考えがわかるわけでありますから、ともに手を取り合ってきょう問題になりました目的努力してまいりたいと思う次第でございます。きょうはまことにありがとうございました。  他に発言もなければ、本日の質疑はこれで終了することにいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十八分散会