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1965-06-01 第48回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年六月一日(火曜日)    午後一時四十二分開議  出席委員    委員長 加藤 高藏君    理事 有田 喜一君 理事 中川 俊思君    理事 中村 寅太君 理事 多賀谷真稔君    理事 滝井 義高君 理事 細谷 治嘉君       小笠 公韶君    田中 六助君       西岡 武夫君    三原 朝雄君       井手 以誠君    中村 重光君       八木  昇君    伊藤卯四郎君  出席国務大臣         通商産業大臣  櫻内 義雄君  出席政府委員         大蔵事務官         (主計局次長) 鳩山威一郎君         通商産業鉱務監         督官         (鉱山保安局         長)      森  五郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  石炭鉱山保安問題      ————◇—————
  2. 加藤高藏

    加藤委員長 これより会議を開きます。  石炭対策に関する件について調査を進めます。  石炭鉱山保安問題について質疑の通告がありますので、これを許します。多賀谷真稔君。
  3. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 さきの五月十八日、本院におきまして、炭鉱災害防止に関する決議案を上程し、可決を得たわけですが、これに対して大臣は、「決議せられました炭鉱災害防止に関する決議につきましては、政府といたしまして、その趣旨を尊重し、善処いたしたいと思います。」こういうように御答弁をなさっておるわけです。そこで、いまから具体的にどういうように処置されるつもりであるか。先般の決議は、項目別には「一、鉱山保安監督行政強化」「二、保安確保自主体制確立」「三、保安施設機器整備改善」「四、保安技術開発促進」「五、遺族及びり災者援護対策確立」をあげており、委員長提案理由内容にわたってきわめて詳細に提案をされておるわけです。  そこでまず、従来、保安監督官指摘をし、その指摘をした個所災害の惹起を見ておる、こういうことで最近における多くの災害にかなり鉱務監督官の活動があらわれておるわけですが、残念ながら、指摘はしたけれどもあと処置が十分でなかったとか、あるいは指摘はしたけれどもその実施がおくれたとか、いろいろあるわけです。あるいは指摘をしない場合もございます。そこで鉱務監督官増員という問題を委員長提案理由の中に入れております。これについて一体どういうように処置されるつもりであるか、まずお聞かせ願いたいわけですが、全体として大臣にお聞かせ願いたいことは、かなりの面について予算措置を伴うわけであります。ところがこれは事人命の問題でありますから、次の年度予算を待っておっては意味がない、どうしても早急にやらなければならない、また、現在予算措置をたとえ予備費等でやるといたしましても、実施はかなり、たとえば機械発注であるとかそういう面でおくれるわけですから、どうしてもすみやかに予算措置を講ずる必要がある、かように私は思うわけですが、まず財政措置についてはどういうようにお考えであるかお聞かせ願いたい。
  4. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 財政要求の前に鉱務監督官の件についてのお尋ねがございましたので、あわせてお答えをしておきたいと思います。  保安確保行政の一そうの拡充強化をはかるために、鉱務監督官を中心とする所要の監督要員確保につきましては、通産省なりの一応の方針を立てまして、現在人員増につきましてもせっかく大蔵当局折衝中でございまして、通産省側の要望に近い線に大蔵側も考慮をしてもらえるものと、かように存じておるのでございます。お話しのように、予算要求の点につきましては、人命に関することでございますので、当然次年度予算を待たず、何らかの措置を講じなければならないと思うのであります。緊急を要する点につきましては、四十年度予算につきまして現在実施段階に入っておりますが、ある程度の流用の可能性もあろうかと思うのでございます。  現在大蔵当局との折衝につきまして大まかな見当は持っておりますけれども、本日その額を申し上げることにつきましては、なお相当折衝の余地があろうかと思うので、お許しをいただくといたしまして、予算要求眼目といたしましては、保安監督強化のための装備拡充、たとえば連絡用無線装置等についてであります。次には保安施設機器整備改善、これにつきましては、現行保安融資のほか、保安専用機器補助金の新設などについて話し合いを進めつつあります。次は保安技術開発、普及をはかるための爆発火災実地試験実施及び資源技術試験所施設拡充でございまして、以上のような三点を眼目といたしまして大蔵省との折衝を続け、またでき得る限り早急に結論を得たい、こういうことでございますので御了承をいただきたいと思います。
  5. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 そういたしますと、まず予算関係では、鉱務監督官増員の問題、さらに保安監督装備強化の問題、すなわち連絡用無線取りつけであるとか、さらに保安機器整備の問題、なかんずく専用保安機器については、従来の融資のほかに補助金を支出する、さらに第三は実地試験、さらに資源技術試験所等研究機関拡充強化、こういうものについていま折衝中である、こういうように理解してよろしいですか。
  6. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 そのとおりでございます。
  7. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 そういたしますと、それは予備費でいくわけですか。
  8. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 通産省としては、さような見地に立って折衝をしておるような次第でございます。
  9. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 鉱務監督官は、いまの人員ではどの程度巡回監督ができるわけですか。
  10. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 政府委員のほうからお答えいたさせますので御了承願います。
  11. 森五郎

    森政府委員 お答え申します。第一種の山につきましては、年大体六ないし七回程度巡回になっております。
  12. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 第一種の山については六ないし七回ということですが、ごく最近はありませんけれども、一時乙種炭鉱ばかり災害の起こった時期があるのですね。それから特免区域において災害の起こった時期がある。どうも炭鉱というのは、危険度の多いことがあらかじめわかっておる炭鉱はかなり注意して、もう監督官が手を抜いておるところでぽっと起こる可能性がある。全体としてやはりかなりあぶないところを見て対処しなければならないと思うのですね。それで一時、甲種乙種を区別すべきでないのではないかという議論さえ、本委員会においても起こったこともあります。そういうように、ここはだいじょうぶという特免区域災害が起こったりして、非常に炭鉱全体の危険性を物語るわけです。  そこで、第一種はわかりましたが、その他はどのくらいですか。
  13. 森五郎

    森政府委員 一年に何べんという明確な数字はちょっといま出ておりませんが、大体第二種の五割ないし六割程度頻度かと思っております。
  14. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 本会議が開かれるので時間がありませんから、一項目ずつ質問したいと思ったわけですが、省略して簡潔に質問いたします。  実は、鳩山主計局次長見えておるわけですが、先ほど通産大臣質問をいたしましたが、保安の問題は人命の問題ですから、制度ができまして、たとえば補助金専用保安機器に支給するということになりましても、その機械発注する、そうすると、保安関係機械をつくっておるところは従来比較的小メーカーなんです。大企業のメーカーでない。そこで能力がないという問題も起こるわけです。現に一酸化炭素救命器の場合は、日本にそれだけのメーカーとしての製造能力がないからというので、御存じのようにかなり延ばしておった。延ばしておるうちに、大手はあと回しということで、三池炭鉱のような災害が起こった。あれはほとんどCOで死んでいるわけですね。こういうように、制度をつくりましても、器具の発注をする、それが実際に保安に役立つにはかなり時間がかかる。そこで私は、これは次年度を待たずして本年度においてそういう制度確立が必要ではないか、こういう話をし、さらに鉱務監督官増員の話もいたし、さらに研究機関整備の問題、あるいは実地試験中間試験等お話もし、大臣もそういうようにいま大蔵当局折衝しているということですが、大蔵省としては、この非常に大きな人命の問題、社会問題になっている問題に金を出し惜しみすることなく、早く、しかも一非常災害として予備費等の支出によって解決してもらいたい、私はかように考えるのですが、御意見を承りたい。
  15. 鳩山威一郎

    鳩山政府委員 鉱山保安の問題につきましては、当委員会でもたびたび問題とされ、また先般本会議決議がございました。そういうことで、私ども決議趣旨に沿いましていろいろ検討いたしておりますが、ただいまお話しになりました問題につきましては、私まだ通産省当局のほうからお話を伺っておりませんのでございます。至急お話を伺いまして検討いたしたい、こう存じております。
  16. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 個々の問題は別として全体的にいいますと、次年度予算で増額しましょうということでは間に合わぬわけです。いま予備費を出しましょうということになっても、実際坑内にそういう機器が入るのはかなり本年度の終わりになるという形になるのです。ですから私はやはり早くそういう制度をつくって、そうして早く機械を入れる、こういうことが必要ではないか、こういうように思うわけで、具体的な問題は通産省折衝されると思いますが、要するに急速に財政措置をしていただきたい、このことについてひとつ御答弁願いたい。
  17. 鳩山威一郎

    鳩山政府委員 この具体的な問題につきまして、まだ私ども勉強しておりません。至急勉強をいたしまして、至急対策の必要であるものにつきましては、それは必要性を勘案いたしまして、早急にこの措置をとるべきものがあれば、これは何をおいても急いで処置をすべきものと考えます。ただ、まだ内容につきまして勉強いたしておりませんので断定的なことは申し上げられないのでございますけれども、御了承を願います。
  18. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 ぼくが非常に残念に思うのは、三池災害のときに、その前に実は大辻炭鉱災害がありまして、救命具を持たないで坑内に所長以下入ったというので全員死んだ。だからどうしても救命具を備えつけなければならないという決議をして、予算措置をすることにした。ところが機械メーカーのほうが十分の製造能力がないというので、おくれておったわけですね。そして三池のときも間に合わない。三池のときも四百八十数名のうちで、大体四百五十名くらいが一酸化炭素で死んでおるのですよ。ですから、そういうことを考えれば、そういう制度をせっかくつくり、法律の改正をしたのですから、それが間に合っておればああいう大きな災害にならなかった、こういうことを考えて非常に残念に思うわけです。金額としては比較的少ないんですよ、この保安金額というものは、全体の予算あるいは通産省予算石炭政策全体の予算から見ると。ですから私は、この及ぶ影響の大きいことを考えれば、保安に支出する金額というものは、ただ保安だけにとどまらないで、労働者確保の問題にもつながるし、生産意欲の問題にもつながるわけですから、当然早く財政当局としては処置をしてもらいたい、このことをお願いする次第です。  そこで次に決議の中で、「監督官勧告事項等労働者周知徹底するよう措置する」ということが、提案理由の説明の中にあるわけです。あるいはまた、巡回検査頻度の増大、それから保安教育徹底、こういったものについて通産当局としては具体的にどういうようにされるつもりであるか、お聞かせ願いたい。
  19. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 鉱務監督官勧告事項等労働者に対して周知徹底さすということは、当然の私どものつとめだと思います。したがって決議の御趣旨にも沿いまして、巡回検査時等に労働者代表を同行せしめる。また監督官講評の際に立ち会わせる等の措置を逐次現に実施中でございます。
  20. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 これは保安規則かなんか改正されるわけですか、これをひとつあとから答弁願いたいと思うのです。  それから最近、組夫保安教育の不徹底による災害が非常に多いのです。高松炭鉱においても、鉄柱をアセチレン溶接で切断しておるときに、その上のたる木に火がついて、それがぼうぼう発火をしておるなんという、全くこれは初歩の問題です。あるいはまた杵島炭鉱においても、運搬夫がポイントを間違えて、それで炭車が逸走して人を殺しておるのです。これも組夫です。ですから、全体として組夫の問題は、やはり保安の面からもう一度再検討をする必要がある。こんなに教育のない、全く未熟な者をどんどん集めて、人だけ集めればいいというようなこと、そして、それは組夫がけがをするだけではないのです。他にものすごい影響が及ぶわけです。結論的に申すと、炭鉱自体の大きな損害にもなる。ですから組夫の問題を一体どうするか。これをもう一度、労働条件だけの問題でなくて、保安の面からどういうふうに処置するか、ひとつ検討願いたい。
  21. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 前段の、規則を変えるのかどうするのかというお尋ねにつきましては、これは行政指導でやっていきたいと思います。  また組夫の現在の災害に対するかまえ方というもので、いろいろ御指摘がございました。私どもとしては当然保安教育徹底を期さなければならない、かように考えております。
  22. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 鉱山保安関係鉱山保安法によってやられておるのであります。その他の災害労働基準法に基く安全衛生規則で行なわれておる。安全衛生規則を見ますると、たとえば一酸化炭素がこういうような場合には周知徹底するように掲示をせよとか、そういう掲示というような面が非常に多いのですよ。ですから、鉱務監督官監督表を出したら、翌日労働者がみなわかるように、毎朝出る職場に張っておけばいい。そういうことが必要じゃないかと思うのです。どうも炭鉱全体が何でも秘密主義ですよ。相当周知をさしておっても坑内のことはなおわからぬわけですから、そういうものを朝繰り込み場の掲示板に張っておく。昨日鉱務監督官はかくかくしかじかの注意事項をしておる。係員並びに労働者全部注意せよ。こういうことぐらいは必要ではないかと思うのですね。これは非常に必要なことだと思うのですよ。そういう点も全然ないのです。どこの繰り込み場に行きましても、そういったことは一つも書いてないのです。ですから、その点、注意事項等は、ごく要点だけでもいいから、どこどこの個所はこういうような状態であぶないというような何があった、だからみな注意してくれ、そういうようなことが必要ではないか。やはり規則を改正して労働者周知徹底する義務を課すべきではないか、こういうように思うのですが……。
  23. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ただいまの御意見は非常に傾聴に値すると思うのでありまして、各鉱山ごとによってそれぞれ措置が違うかと思いますが、われわれとしては掲示による周知徹底を督励するように行政指導をしてまいりたい、こう思います。
  24. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 行政指導ではだめなんです。やっぱり義務化しなければ。義務化しなければそういうのはやりませんよ。ですから、これは隠さないで、やはり規則を改正して周知徹底する方法は、私は一例を言っただけですけれども、いろいろあるでしょう。組合に通知する方法もあるでしょうが、この際やはりこのことは周知徹底する。金をかけるばかりが能でない。こういう簡単なことを通産省でやらずして、大蔵省に金ばかり要求しても意味がない。ですから、少なくともこういった面は隠さないでやる。とにかく日本鉱山行政というのは非常に秘密主義が多いです。鉱区でもそうでしょう。鉱区がどうなっておるか地上権者は全然わからない。鉱害が多くてもそういう状態のところが多い。外国はみなガラス張りです。ですからそういう点を改めないと、今後どうしてもうまくいかない。こういうように考えるわけです。ですから単なる行政指導でなくて、ある一定の義務鉱山保安管理者にかける、こういうことが必要ではないかというふうに思うわけです。そうしないと、もしかけないで事件が起こったら、行政指導だけでしょう、そうすると義務違反は起こってこないですからね。もう本会が始まりますから、最後の答弁をお願いします。
  25. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ただいまの御意見につきましては、さっそくによく検討さしていただきまして御趣旨に沿うように善処をいたしたいと思うのであります。まことに歯切れの悪いことを申すようでございますが、安全衛生規則通産省関係とも違いまして、十分な研究もなしにお答えするのはいかがかと思うのでありますが、また通産省関係のほうでいまおっしゃるようなことを義務づける方法も、いまにわかに私としてお答えしにくいのでありますが、しかし御意見を尊重して十分検討さしていただきまして、御趣旨に沿うようにいたしたいと思います。
  26. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 委員長。これは非常に重大な問題ですから、閉会中といえども委員会をぜひ開いてもらいたい、その際質問をしたい、かように思います。
  27. 加藤高藏

    加藤委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後二時四分散会