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1965-03-24 第48回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年三月二十四日(水曜日)    午前十時十五分開議  出席委員    委員長 加藤 高藏君    理事 有田 喜一君 理事 藏内 修治君    理事 壽原 正一君 理事 中川 俊思君    理事 中村 寅太君 理事 多賀谷真稔君    理事 滝井 義高君       倉成  正君    田中 六助君       中村 幸八君    西岡 武夫君       野見山清造君    三原 朝雄君       井手 以誠君    板川 正吾君       中村 重光君    松井 政吉君       八木  昇君    佐々木良作君  出席国務大臣         通商産業大臣  櫻内 義雄君  出席政府委員         内閣法制局参事         官         (第四部長)  田中 康民君         通商産業事務官         (石炭局長)  井上  亮君         通商産業事務官         (公益事業局         長)      宮本  惇君  委員外出席者         通商産業事務官         (石炭局調整課         長)      進   淳君         通商産業事務官         (公益事業局次         長)      金井多喜男君         運輸事務官         (海運局参事         官)      高林 康一君         参  考  人         (石炭鉱業合理         化事業団理事) 町田 幹夫君     ————————————— 三月二十四日  委員岡田春夫君及び伊藤卯四郎辞任につき、  その補欠として板川正吾君及び佐々木良作君が  議長指名委員に選任された。 同日  委員板川正吾君及び佐々木良作辞任につき、  その補欠として岡田春夫君及び伊藤卯四郎君が  議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  電力用炭代金精算株式会社法の一部を改正する  法律案内閣提出第九二号)      ————◇—————
  2. 加藤高藏

    加藤委員長 これより会議を開きます。  内閣提出電力用炭代金精算株式会社法の一部を改正する法律案を議題として、前会に引き続き質疑を行ないます。  本日も、参考人として、石炭鉱業合理化事業団理事町田幹夫君が間もなく出席される予定でございます。  それでは質疑の通告がありますので、これを許します。有田喜一君。
  3. 有田喜一

    有田委員 エネルギーの消費革命の深刻さに備える石炭対策、いろいろな対策があると思いますが、やはり基本的には石炭鉱業自体合理化近代化に対するその熱意、そうして労使の協調、それに加うるに政府の抜本的なる施策、ことに思い切った保護助成策を講ずると同時に、金融界産業界、ことに大口需要家であるところの電力鉄鋼ガスなかんずく電力業界などの協力をまたなければならぬ、これが私は基本的な問題だと思うのです。しかしながら、電力業界はまた公共事業としての、また基礎産業としての豊富、低廉なる電力供給という使命責任を持っている。したがいまして、この協力にもおのずから限界があると私は思うのです。今回の三百円値上げ問題、これは今日の場合しかたがない。私もこの法案にはもとより賛成するものでありますが、しかし、やはり電力業界の理解と納得の上に立って、この協力を求める必要がある。そこで電力業界におきましても、この案をめぐりましていろいろ不安の念を持っておるのじゃないかと思われる。そういう思いをさせながらこれに無理じいをするということは不得策じゃないか。ついては、電力業界方面で危惧されておると思われるような疑問点をこの際ただして、そしてこの不安を一掃してしまいたい。そして心からなる協力を求める。それでこの法案を円滑に推していきたい、こういう私の気持ちなんです。そういう前提に立ちまして、以下若干簡単に質問いたしますので、大臣の明確なる御答弁を得たいと存じます。  第一にお伺いしたいことは、現在の石炭鉱業経理面赤字は、大体四十年度を想定したときに、もしこの値上げがなかったならばどの程度赤字があるだろうか、これは大ざっぱな見通しでようございます。同時に、今回の炭価値上げ、すなわち一般炭が三百円、原料炭が二百円といわれておりますが、その炭価値上げによる増収をどの程度に見込まれておるか。そしてその中で電力鉄鋼ガス、それぞれの増収は幾ばくを見込んでおられるか。なお、四十年度において政府として石炭政策のためにどのくらいの金を出すということを、予算で大体検討しておりますが、その数字の見通し、これらの点をまずお聞きしたい。
  4. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 お尋ねの、今回の炭価値上げをしない場合、四十年度において石炭鉱業の大手十七社の経理トン当たり四百三十二円、総額百五十七億円の赤字が見込まれます。炭価値上げ実施した場合に、トン当たり百八十四円、利子補給その他の助成策で、トン当たり六十円、計二百四十四円の収支改善が見込まれると思います。炭価値上げによる増収合計で約百十億、電力が六十六億円、鉄鋼十七億円、ガス四億円を見込んでおります。  政府予算は、通産省関係では百四十七億円余でございます。労働省の関係が九十六億円余でございます。鉱害復旧事業費他省関係分で約二十億円、港湾整備で約七億円、経済企画庁所管分が三億円余でございます。  それで合計が約二百七十五億五千万円少しばかりになっております。  それからこの予算関係のほかに財政投融資がございます。これは開発銀行で百十億円、合理化事業団整備資金が十五億円、産炭地域振興事業団の三十八億円、鉱害賠償基金の十一億円、合計百七十四億円でございます。
  5. 有田喜一

    有田委員 政府もだんだんと石炭対策のために予算その他の点に力を入れられつつあることは私も認めます。しかしながら、さっきも申しましたように、大口需要家相当額負担をしておるわけであります。そこで今後は、政府ももう一つ力を入れられて、鉱害復旧その他の面において、また多大の迷惑を受けておる点が多いと思いますので、今後予算その他の面におきましても一そう努力していただきたいと思います。私の考え方は、こういう大口需要家負担をかけることはやむを得ないとは思うのですけれども、電力界にしましても、低廉豊富なる電力供給という一つ公益使命を持っておりますから、その間に限界があります。ひとつ政府はそういう点に注意をいただいて、来たるべき予算措置その他において一そう努力していただきたい、こう思います。  それから次にお伺いしたいことは、全国の出炭量がいろんな関係予定どおりいかない場合がある。これは災害事故が起こったり、いろいろな関係もありましょうが、ともかくややもすると予定どおり出炭量が出ない。そのしわ寄せが、大口需要家であるところの電力の引き取り量に一番くる。たとえば三十九年度を見ましても、二千五十万トンの引き取り要請であるが、今日の見通しとしては千八百五十万トン程度よりいかないであろう。また三十八年度の実績を見ましても、二千五十万トンの引き取り要請に対して、千八百四十一万トンですか、その程度でいつも二百万トンほど不足している。このことは電力のほうの立場からいえば、相当迷惑千万なことじゃないかと思うのです。せっかく二千五十万トンくるということを考え計画を立てておるのだが、二百万トンの不足がある。そこで、高い石炭が来ないことはある意味においては歓迎するかもしれませんが、やはり電力供給責任のほうからいえば非常に少なくなってきた。しかもこれはみな石炭側原因からこの不足がきておるのですね。これは非常に考えてもらわなくちゃ困る。そこで電力供給責任を負っておる電力界としては、非常にこういう点が迷惑であるのみならず、また一方関税の戻し税、いわゆる関税還付金、これも要請量よりも引き取り量が少ないために大蔵省方面から非常にやかましく言われて、せっかく還付金があっても全部もらえない。いろんな問題がここに存在しておる。いろんなトラブルが起こっておる。こういうようなことは今後私は避けなくちゃいけないと思う。また一方、これは私の想像ですが、電力用炭が三百円値上げの場合は、値段引き上げ法的規制がありませんから、今度は電力炭のほうにわりあいたくさん集中する、石炭が集まる可能性もあるのじゃないかと思うのです。ところがせっかく集まったと思っておると、一般のほうに石炭が足らないから、じゃ電力炭からまた一般のほうに戻せというようなことが、いままで二、三年前にそういう事例があった。そうするとせっかく集まっておるものがまた減らされたということで、非常に迷惑をかけておる点がある。そこで四十年度は千九百万トンということが言われておりますが、千九百万トンをそのとおり出す確信があったら、それをぜひしっかりやってほしい。しかし現実の問題としましては、先ほども言いましたように、いろんな災害その他の事故があって、そのとおりいかぬ場合がある。そういうことが予想されるならば、私の考えとしては、たとえば千八百万トンはしっかりやる。しかし電力界は千九百万トンまでは引き取りなさいよ、こういう約束をしておいて、その間に弾力性を持たしておいたらどうか。そうすると関税還付金などのときも、そういうトラブルが起こらずに済むのではないか。私はこういう考えです。確かに千九百万トンが確実にいくというなら、それでもけっこう。しかしそういってもなかなか実際には確実にいくこともむずかしいから、少し弾力性を持たして、そうして百万トンやそこらは、余ったら電力が貯炭しておけばいいのですから、千八百万トンから千九百万トンまで買ってやる。こういうような弾力性を持ったやり方をすればどうかと思うのでありますが、これに対して政府の御見解をお聞きしたいと思います。
  6. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 最初に大口消費者である電力業界鉄鋼業界に今回の値上げに伴う負担増についての協力要請したわけです。有田委員お話のとおりに、不当なしわ寄せをしてはいけない、協力についても限界点があるということは、これはよくわかるところであります。したがって今後の施策の上におきまして、できるだけ過重にならないように配慮をしていくことは当然だと思います。  それから、この供給の量につきまして非常に御不安を持っておられるようでございます。確かに過去における三十八年度、三十九年度の実績を見ますると、御指摘のとおりに、計画に対し実績は二百万トン下回っております。今回千九百万トンの目標にいたしておりますが、これについても三十八年、三十九年の状況から考えると、なお計画どおりいけるかどうかということについての御懸念がございますが、三十八年、三十九年の場合は、これは大きな災害があった、あるいは合理化計画の進行に伴う離山ムードのようなことが予想外に大きかったということで、そういうような原因が積み重なって予定どおりいかなかった面があろうかと思いますが、四十年度の場合につきましては、相当詳細に千九百万トンの計画を立てておりますので、これを確保することについて、そう至難ではないと思うのであります。しかし最近における北炭の夕張の災害、あるいはまた伝えられるような三菱の美唄の問題というようなことが、これがまた不安を増すような種になっておるということも否定できません。しかしわれわれといたしましては、計画を遂行すべく最善の努力を払って迷惑をかけないようにする考えでございます。  なお、原重油関税還付の問題でございますが、今回は四十年度における還付額目標を一応立てております。かりに引き取り量が狂っても、この目標還付だけはしてもらうようにいたしたい、こういうことで従来の還付の場合と多少趣きが違うと思うのであります。引き取り量のいかんにかかわらず還付はいたすようにしたい、こういう考え方を持っております。こういうようなことで、せっかく協力電力界に求めるのでありますから、御迷惑のかからないようにいたしたいと思います。
  7. 有田喜一

    有田委員 大臣の御弁明を私は信ずるものであります。いままでも、ややもするとそういう言明があったにかかわらず、引き取り量が狂ってくる場合がある。したがいまして少なくとも、石炭側の事情によって引き取り量が減った、こういうような場合はせめて還付金だけは完全に電力界に流れるように、大臣もいま言明されましたが、その点はぜひ守っていただきたい、かように私は考えます。  次に、今回の電力向け炭価は一トン当たり三百円値上げ、これは三十九年度の実績の引き取り価格の上に立って上げるものと私は思うのであります。いままで石炭合理化で手が打たれまして、いわゆる千二百円ダウンというものが行なわれた。ところが、これを完全にやったところもありますが、中には、低品位炭のごときは、ほとんどこの間において引き下げが行なわれていない、あるいは、引き下げしても三百円に満たないものがあるわけです。そこで、いままでの実際の引き取り価格の上に三百円を上げるということだと思うのですが、低品位炭のものまで三百円値上げの対角とされると、前の、合理化を始めたころの、三十三年度当時の炭価よりも値上がりすることになるわけですね。そういう点はどういうふうに考えておるか。こういう問題は、画一的に上げずに、ある程度調整をしていかなくちゃならぬ。政府の御見解をお伺いしたいと思います。
  8. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 低品位炭価格実情につきましては、いま有田委員のおっしゃったとおりだと思うのであります。そこで今回の値上げについてどう考えるか、これは一般炭三百円の値上げと全く同一に扱うというものもいかがかとは考えます。そこに実情に即した弾力的な考え方を入れるべきだと思いますが、それかといって低品位炭値上げをしないんだ、こういうこともいかがかし思うのであります。そういうわけで、いま低品位炭の問題につきましては、弾力性を持って考えようということで、せっかく消費者側電力業界とも折衝をしておるわけでございます。ただ今後の見通し考えますのに、低品位炭はなかなか確保しにくい面も出てきたと思います。しかも低品位炭を使用する火力発電所は、発電所の従来のたき方を、今度すぐ高品位炭だとか重油とかをたくように変えるというわけにもいかないと思うのであります。そうしますと、低品位炭をある程度無理してでも供給すべきではないかというようなことにも相なろうかと思います。そういうような実情もございまして、値上げをしないということで低品位炭一つも確保できないということも問題じゃないかと思います。それこれございまして、実情に即して多少弾力性を持って考えたいといえのが方針でございます。
  9. 有田喜一

    有田委員 次にお伺いしたいのは、石炭取引につきましては、他の商品の場合と違いまして、各地においていろいろな商習慣がございます。たとえばカロリーや数量などの過不足について、あるいはボーナス制があったり、ペナルティーの制度があったり、また取引数量の仕切りについてはBL渡しだとか、あるいは改斤渡しだとかというものがある。またその受け渡しについてはCIF、FOBあるいはオンレールというようないろいろな商習慣があるのでございますが、これらの商習慣を今度は画一的に規制しようとされるのか、あるいは従前から永年継続してきた商習慣は、これをそのまま認めるつもりでおられるのか、これをお伺いしたい。
  10. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 今回の、御審議願っておる法案で明らかなように、電力会社供給側とが話し合って、大体話がついたものを、会社のほうでその契約を正式にするようにしておるのであります。お尋ね商慣習につきましては、したがって当然尊重されるべきだと思います。
  11. 有田喜一

    有田委員 その点はよくわかりました。それから今回の法律によりますと、電力用向け石炭販売価格通産大臣決定する、こうなっておりますね。ところがこの販売価格は、先ほど話しました関税還付金の問題もあるし、また、北海道九州のごとく重油を使わない地域もあります。したがって、どうしても炭価プールが行なわれなければならぬと思うのです。ここにこの改正の目的があると私は思うのであります。そうしますと、電力界内部においては、画一的に三百円だ、ある地域においてはもっとわずかな値上げ、いろいろ互いに助け合いの制度になっておる。しかも先ほど言いました低品位炭の問題もある。あるいはいままでの需給価格が相当安いところもあったり、いろいろまちまちです。しかも商習慣によって値段がいろいろ違う。こういうことがありますが、そのためにはやはり電力業界内部においてある程度調整しなくちゃ、これはうまくいかぬ。すぐ大臣がぴしゃっとやるわけには簡単にいかぬと思います。つきましては、最後通産大臣がおきめになるのでしょうが、そのおきめになる場合に電力業界意見を十分お聞きになって、そうして円滑に運用されるようにすべきじゃないか、かように思いますが、大臣はやはり需要者側意見を十分尊重されると私は思うのですけれども、念のために聞いておきますが、決定の前には十分電力業界意見を聞かれておやりになるつもりか、その点をお伺いしたい。
  12. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 お話しのように価格決定は私の、すなわち通産大臣の権限に属しますが、この価格決定につきましては、石炭鉱業審議会需給部会意見を聞いて定めることにいたしております。この需給部会には電力等需要者代表委員として参加せられておりますので、この需給部会におきまして十分お話しのような実情とか、あるいは業界意見というようなものが反映してくるものと思います。この需給部会決定を尊重してきめたいと思いますので、御心配のような点はないと私は思います。
  13. 有田喜一

    有田委員 需給部会意見を尊重するというのはけっこうですが、しかしその需給部会には他の需要者がたくさんおるわけですね。もちろんそういう意見も尊重されると思いますが、私の先ほど申しましたのは、電力固有商習慣各地にあるわけであります。また、いろんな実績が違っておる面もあります。しかも還付金なんかは平等にいくんじゃないですね。産炭地である北海道九州は、やはり三百円上げというわけにいかぬ。やはりプール制でやらなければならぬから、電力業界自体固有意見を相当聞いておやりにならぬと、一方の鉄鋼ガスと一緒のものの意見——もちろんその間には電力業界代表もおりましょうけれども、一人や二人の代表がこうだと言うだけでは、私は円滑にいかないと思いますので、そのほかに電力業界自体意見を聞いておやりになる、その気持ちはないか、ぜひやっていただきたいと思いますが、それをお聞きしたい。
  14. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 この需給部会価格が一応意見としてまとまる、この場合は、いま実情を聞いてみますと、満場一致できめてくるそうでございますから、それを尊重して大臣としては価格をきめたい、こう思います。ただ、お話し共販会社プール制の問題でございますが、これは電力業界意見を十分聞いて、そのプール制実施については意向を反映せしめたい、こう思います。
  15. 有田喜一

    有田委員 ぜひ私は業界意見をよく聞かれて、そして円滑なる運用をお願いしたいと思います。  そこで最後にお聞きするのですが、何といっても今回は電力業界が一番大きな犠牲を受けておるわけですが、これはしかたがないにしましても、いつまでも電力業界ばかりの犠牲によっていくということはいかぬと思う。そこで政府としては、いまはこうするが将来はかくかくにするんだという言明はできないにしましても、方向くらいは政府として何か持っていらしゃると思うのです。それで、たとえば関税の戻し税というものが二十六、七億あるわけでございますけれども、これもよく考えてみれば、財源としてしかたなくあれはやったのでございますが、しかし、石油を多く使えば戻し税が多くなるし、石炭を多く使って重油を減らしてしまうと戻し税が減ってしまうというような、とにかく矛盾したものですね。財源としてはしかたがないにしましても、石炭政策からいえば、個々的にいうと非常に矛盾している。これをいつまでも私はこうしておくわけにはいかぬと思う。私はやはり基本的には国として石炭価格の補助と申しますか、何らか国自身が石炭に対する価格に関しての施策考えなくちゃならぬ、かように思うのです。これは、来年度からこうしますと言うことはできないでしょう。けれども、将来はこういう方向に向かっていくつもりだ、そのくらいのことは通産省としてはお考えだろうと思うので、暫定措置としてはいまの還付金でしかたがないにしても、将来はこうするというお考えをひとつ承りたい。
  16. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 関税還付による負担増対策は、これはとりあえず二年そういう制度をとる、延長してやった、こういうことでございますが、お話のような根本的に考えるべき要素があろうかと思います。これは慎重に検討していきたいと思います。
  17. 有田喜一

    有田委員 もちろん慎重にやってもらわなければなりませんが、片方のほうはいまおっしゃるように時限立法でございますから、もうそれにかわるべき——また延ばして延ばしてということよりも、何か別に私は対策考えるほうが筋が通るのじゃないか、かように思いますので、ぜひ政府としては来たるべきときにいまからそのかまえをして、そうしてあやまちなきを期していただきたい、このことを特に念願いたしまして私の質問を終わりたいと思います。
  18. 加藤高藏

  19. 滝井義高

    滝井委員 電力用炭代金精算会社法の一部を改正する法律案について少し質問をさしていただきたいと思います。  まず第一に、この法律をほんとうに実行しようとするならば、やはり炭価引き上げ実施体制というものを、もう少しわれわれに——いまの質疑応答でもどうも必ずしも納得がいくような御答弁ではないわけです。もう少し実施体制を明確にしてもらわなければならぬということが一つ。いまひとつは、供給側責任履行体制というものを明白にしてもらわなければいかぬ。それから同時にそのことは三百円、二百円上げることによって石炭山収支改善に対する経営者態度というものが明白でなければならぬ。少なくともこの三つだけはわれわれの納得いくような形でひとつ解明をしてもらわなければならぬというのが、私の基本的な態度です。  したがってまず、少なくとも炭価引き上げ実施体制の問題の中で、電力用炭代金精算株式会社というものを改組して石炭共販会社をつくるという構想が初めにあったわけです。それがいつの間にか頭にやはり電力をつけた電力用炭販売株式会社というように、非常に構想が縮小した形になった理由というのは一体どこにあるのか。
  20. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 御指摘のとおりに確かに石炭共販会社構想というものが当初ございましたが、現実考えた場合に、国鉄の場合は、これは公社としての立場がございまして、これを共販会社構想の中へ入れていくということにいろいろ困難性が出てまいりました。それから鉄鋼関係におきましては、やはり共販会社をやる上においての支障が具体的に取り上げてみるとございまして、お話のような縮小した形に最後になったわけでございます。
  21. 滝井義高

    滝井委員 国鉄公社だから、それから鉄鋼は具体的にやる上になかなか問題があったということだけではなかなかわかりかねるのですよ。何も国鉄だって共販会社に入れて悪いことはないので、何百万トンという一般炭を使う国鉄をここに入れて、そうして安い石炭を、しかも安定的に共給をすれば、国鉄だってちっとも差しつかえないわけです。いわんや、鉄鋼だって同じことだと思うのですよ。それを鉄鋼国鉄等が何か理由があるようなぐあいで排除するということのほうがおかしいのであって、むしろいまの石炭価格を安定しようとすれば、電力だけという狭い範囲じゃなくて、もっと広い範囲に基盤を置くほうが、石炭価格も安定するし、供給する側も安心して長期引き取り契約を結んでもらえるわけです。むしろ安定するわけです。狭ければ狭いほど危険の分散率が少なくなるわけですから、むしろ不安定になる。だからいまのような御答弁ではなかなか納得がいかないのですよ。
  22. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 今回の会社構想を立てる場合に種々意見が出ました経緯を、局長から申し述べさせます。
  23. 井上亮

    ○井上政府委員 ただいま滝井先生のお尋ねの、最終的に電力用炭だけにこの共同販売体制をしぼったわけでございますが、当初は御指摘のように、国鉄用炭もこの構想の中に入れたらどうかというような意見もありました。なおこれはごく一部ですが、ごく一部の方々からは、鉄鋼原料炭についても入れたらどうかという意見もございました。この意見は御承知のように、第一次石炭鉱業調査団が答申をまとめられました際に出ました意見でございます。しかし、これも多数の意見にはなりませんでした。その理由は、まず第一に国鉄につきましては、国鉄は御承知のように国の機関が一本で、全国一元的に購入しているという立場でございます。したがいまして、私どもがねらっております価格安定とか、いろいろその他のそれに付帯する業務というような本法のねらいとします点について考えますと、国鉄につきましては、価格については、国の機関であり、しかも買い手一本の立場でもございますので、国の政策には全面的に協力するというような立場から、特にこの石炭共同販売体制の中に入れなければ目的が果たせないということはないというようなことから、しいて入れる必要はないという見解に立ったわけでございます。もししいて入れれば、国鉄側としますれば、価格安定については問題はないのに、いたずらに複雑な手続のみがかかるというような結果になりますので、進んでやめたわけでございます。  それから第二の原料用炭につきましては、これは滝井先生御承知のように、鉄鋼業界は高炉メーカーわずか数社でございます。原料炭供給会社も、これは数社でございます。そういう意味から、価格安定についてはわりあいにやりやすいという点もあります。それからもう一つ、一番困難でありましたのは、原料炭につきましては、御承知のように買い手の高炉メーカーごとに輸入炭と配合して使っております。それから同時に、山によってそれぞれ原料炭の品質が異なっておりまして、輸入炭との配合等に特殊な技術上の問題がありまして、価格等をきめますときにも、山別あるいは銘柄別に輸入炭との関連も考えながらきめなければいかぬ。歴史的に非常に複雑な事情になっておるという意味合いのために、基準炭価決定等、一般炭に比べまして技術上非常に困難な点がございます。そういうような観点とか、あるいは最初に申しましたような、価格安定というような意味ではわりあいに問題が起こらないというようなこともありまして、鉄鋼については見送ったわけでございます。結局最後に、今後の一般炭の需要の大宗である電力用炭を中心にこういう共同販売体制をとることにいたしました。そのために、御承知のように、電力用炭につきましては現在精算会社がありまして、ここで類似行為をいたしておりますので、それの法改正をいたした次第でございます。
  24. 滝井義高

    滝井委員 困難なところはみんな排除した、やさしいところだけやったというけれども、電力も九つしかないので、一つ国鉄を入れればなおそれだけ重みができるわけです。どうもいまの理由では、顧みて他を言うような理由で、ほんとうは、政府が一手に石炭の買い入れをやる、一手に販売をやるということは、何か私企業としてのうまみを減殺してしまうおそれがある、いわゆる石炭の国家管理の道を開くのではないかというようなおそれを石炭業者その他に抱かせるのでそうしておるとしか思えないわけです。これほどまでに石炭業界の苦しんでおるときに、電力だって、公益事業だからやはり押えつけることは押えつけるし、国鉄も押えつけることは押えつける、鉄鋼だって同じことであって、そういう点もう少し踏み切ってやらないと、政策の効果がないのです。そうして、やらないところが多いから電力も、うんともらえるだけもらえということになるのですよ。ごねるだけごねるということになる。だからいつまでもきまらぬ、はっきりしないという、こういう形が出てくるわけです。だからほんとうはみな一緒にして、そうして政治力を発揮してやるという形がなかったことが、この法案がほんとうに実益が少ない——だから社会党も、これはたいして価値はないのだから上げようか、こういうことになる。本腰に議論をする気にならぬわけです。そういうところがあるのですよ。だからもう少し、電力だけをいじめずに、やはりやるのならみんな負担を平等にしてもらって、日本の基礎産業である石炭をどうするかという、よく政府の言う相互扶助の精神というものをもう少し盛っていかなければだめですよ。  次は、いま電力一本にしぼった。そうしますと、この提案理由にあるとおり、炭価引き上げを実効あらしめ、かつ、その供給を円滑にするための措置を講ずることが不可欠だから電力用炭代金精算株式会社を改組して電力用炭の販売株式会社にした、こうなっておる。そうすると、一体電力用炭価格安定のメカニズムというものをどうしてやることになるのですか。
  25. 井上亮

    ○井上政府委員 この法律によりますと、従来は精算会社でございますから代金の精算行為のみを、つまりいわばチェックするような形で行なっておるわけでございますが、今回の改正によりますと、電力用炭販売会社石炭業者から石炭を購入する、購入したものを電力会社に売るというような形になるわけでございますので、その過程を通じてきめられた基準価格によって取引が行なわれることが確保されるというメカニズムになっておる、基本的にはそういう形でございます。ただし、もう少し詳しく申しますと、電力業界、需要部門の従来の商慣習といいますか、取引のフリーチョイス、電力業界の利益を考えまして、これは電力業界ともいろいろ打ち合わせてつくった法律ですが、要するに、電力業界の従来の商慣習、フリーチョイスを認めよう、認めながら、いま言いました価格安定の実があがり、かつはまた、それに伴ういろいろな共同体制、輸送面にまでそういった体制がよりできやすい姿にしようということにいたしたわけでございまして、フリーチョイスの方針をとったというのは、要するに、具体的に言うば、まずこの販売会社石炭を買い、かつ売る契約をいたしますときに、その事前に需要者である電力業界石炭会社とはやはり従来の商談があるわけです。従来の商談があっ七、話がまとまったところで、双方から、つまり石炭サイドからはこの会社に販売の申し込みをし、電力業界は購入の申し込みをする。そして下話は従来の商談がありますから、意見が一致したところで、この会社は双方と購入し販売する契約を結ぶというメカニズムに相なっておるわけであります。この機構を通じまして、従来の精算あるいは価格チェックというような機能でなくて、強化されました機能を通じまして、通産大臣がおきめになりました基準単価はより確実、的確に把握されるということになろうかと思います。
  26. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、会社の外で、会社の経営責任者が入らないところで、石炭の販売業者と電力会社石炭の購入係が話し合って、その話し合いの一致したものだけがその会社を通るというなら、この会社は手数料を取るだけのトンネル会社になっちゃって、何も主導権がないことになる。そういうものではいかぬと思うのです。価格を指示し、主導権を握るのは、その会社でなければいかぬわけです。会社の外で話し合ったものを持ってくるのでは、価格の引き下げにも、安定にもたいして役立たない。そういうなまはんかな構想じゃ話にならぬわけですよ。  そこで、ひとつ問題は、いま有田さんもちょっと触れておりましたが、そういう商習慣を重んじて、そして外でやっておった話ということになりますと、一体、六千カロリの石炭の、あなたのほうのきめる基準価格というのは幾らになるのですか。
  27. 井上亮

    ○井上政府委員 具体的なプール価格は、ただいま検討中でございます。したがいまして、まだ決定はいたしておりません。この法律が通りますれば、この趣旨を体しまして直ちにきめたいというふうに考えております。しかし、一応一般論で申し上げれば、答申にありますように、三百円アップということでございますから、三百円上げの基準価格になろうかというふうに考えます。
  28. 滝井義高

    滝井委員 だから、一般論としては三百円アップになるが、基準炭価は、合理化法の五十八条ですかね、五十八条の一項で、基準額というのは通産大臣がきめるわけでしょう。そうすると、その基準額というものはことしは一体幾らになるかということです。
  29. 井上亮

    ○井上政府委員 ことしの基準額は、これは通産省告示で出しておりますが、六千カロリーの基準品位をとっておりますところは東北と関東と中部でございますが、これにつきましては、東北が基準価格四千二百六十円、それから関東が四千六百円、中部が四千六百円、このようになっております。先ほどお尋ねの今後の価格アップにつきましては、御承知のように、プールして三百円の石炭業者の手取りという構想でいきたいと考えておりますので、いわば揚げ地が、特にこれは負担増との関係もありまして、揚げ地に負担対策が及びますので、揚げ地はやや割り高に、産炭地は低くということにきめられると思いますが、一般的に言えば基準額は平均して三百円アップになるようにというような考え方でございます。
  30. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、平均して三百円だから、三百円よりうんと上げる、五百円、六百円上がるところが出てくるわけですな。
  31. 井上亮

    ○井上政府委員 まだ五百円アップ、六百円アップになるかどうかというのは明確ではございませんが、考え方としては、たとえば揚げ地におきましては、平均して三百円ですから、三百五十円アップとか三百六十円アップというようなことはあろうかと思います。しかしこれは負担増対策とのからみ合いも考慮してきめられると思いますので、あるいはそれ以上になるところもあろうかと思います。   〔委員長退席、中川(俊)委員長代理着席〕
  32. 滝井義高

    滝井委員 まず、揚げ地と産炭地とは違うわけです。しかもその上に、今度は引き取り量がファクターとしてかぶさってくるわけです。これは引き取り量が少なくてもやるにしても、少なければそれだけよけいに炭価を上げないと、石炭対策全体の一定の原資がとれませんからね。だから、当然それはそういう形にしなければいかぬ。二重のファクターが加わってくるわけです。その上に過去の実績というものがある。商習慣を重んずるから、実績が出てくるわけです。そうしますと、さいぜん有田さんがちょっと触れておりましたが、具体的には触れなかったようですが、いままで六千カロリーのものを、四千二百六十円の東北と、関東、中部の四千六百円ということになりますと、実際はその基準価格より電力会社は低くとっておるのです。六千カロリーを四千六百円より低くとっておる。それは、その石炭企業がいままでの自由な取引の中で相当買いたたかれてきておる。資金が苦しかったから電力に入れようというので、買いたたかれてきておる。だから実質的に二百円、三百円低くなってきておる。そこであなた方は合理化法の五十八条の一項を基礎にして基準の価格をきめる、これを基礎にして、そこの電力会社の買う販売会社価格をきめていく、こういうことになるのですが、一方、商習慣というのがあるのですから、四千六百円というものを基礎にするか、それともそれより低い四千三百円とか二百円で買っておったものを基礎にするのか。そうすると、いまあなたの言ったように、この新会社はその商取引にはとりあえず加わらないわけですから、加わるのは最終段階で加わるのだから、したがって電力会社石炭会社の話し合いでは、なるほど大臣の基準は四千六百円かもしれぬ、しかし、おれとお前とのいままでの商習慣ではそれから二百円、三百円引きで取引しておったじゃないかということでまとまってきたら、それでいいのですね。
  33. 井上亮

    ○井上政府委員 値段はかってにきめるというわけにはまいりません。値段はあくまでもやはり基準価格に準拠してきめられました値段取引してもらわなければ困ります。現在でも電力用炭代金精算社会というものがありまして、ここには電力会社別に、一つのこまかいカロリー別に展開した基準額が置かれておりますので、それによって取引をしていただくような体制になっております。したがいまして、滝井先生が御指摘のような、電力業界石炭業者をたたいてそれ以下にするということは、現行法違反でございますから、これは私のほうは取り締まらなければならぬという立場でございます。したがいまして、そういういいかげんな取引は現在でも困りますし、今後も困るという考え方でございます。
  34. 滝井義高

    滝井委員 それならば、この法律の十五条を変えてもらわなければならない。十五条をお読みになると「通商産業大臣は、毎年、電力用炭の品位に応じ、石炭鉱業合理化臨時措置法(昭和三十年法律第百五十六号)第五十八条第一項の規定による石炭販売価格の基準額に準拠して、会社電力用炭の購入価格及び販売価格を定めなければならない。」こうなっておる。準拠するということは、それをそのとおりということではない。それを基準にしてきめればいい、よりどころにすればいいということで、イコールそのものではないのです。この条文の読み方は、私はそう解釈するのです。それならばここを、石炭販売価格の基準額そのもので取引をしなければならぬということにしなければならないわけです。これはそうなっていないわけですね。
  35. 井上亮

    ○井上政府委員 これは私の説明が少し不十分だった点がありますので、ちょっと誤解を招いたようでございます。その点おわび申し上げなければいかぬのですが、合理化臨時措置法五十八条一項の規定による石炭販売価格の基準額、これは先ほど滝井先生の御質問に私が答えましたようなひとつの基準カロリー、六千カロリーとか、あるいは九州でいえば五千カロリーというような基準カロリーに対しまして、これは電力会社別にきめるわけですが、それに基づく基準額というものを合理化法に基づきまして現在告示をいたしておるわけであります。ですからこういう考え方で、会社別の基準品の基準額というものが合理化法できめられるわけでございます。今度改正をお願いしておりますこの価格は、販売会社が直接購入し販売いたしますので、こういう基本的と申しますか基準的価格ではいかに会社別にきまっているとはいえ、もちろんこれに該当するカロリーについてはこの価格でいいわけですが、現実に買っておりますのは、こういう基準カロリーではなくて、いろいろ違った品位、違ったカロリーで取引が行なわれておりますので、ここでいっておりますのは、ただいま申しましたような合理化法の基準額に準拠しましてカロリー別にこまかく展開した値段をつくりたい、こういう意味でございます。したがいましてこの十五条は、こういう形が必要になってくる実際の商取引に使う価格である、そういう意味でございます。
  36. 滝井義高

    滝井委員 したがって、基準を基礎にしてカロリー別の価格の展開をやりますね。その価格で売り買いをしなければならぬということになるわけですね。それならば、外での商習慣というのはこれからなくなるわけですね。もう大臣が展開をしたその価格以外はやみ価格になるので、これはだめになるわけでしょう。それでいいですね。そこを確認しておいてください。
  37. 井上亮

    ○井上政府委員 おっしゃるとおりでございます。ただし、私が商取引実情をやはりできるだけ尊重してということを申しましたのは、価格についてはお説のとおりでございます。しかしながらこれは電力業界の希望もありまして、やはり従来取引のない、あまりほしくない違った銘柄の炭をこの販売会社から押しつけられても困るという需要者気持ちもあるわけです。したがいまして従来、たとえば東京電力にしましても関西電力にしましても、やはり一番自分に適した、有利だと思う取引相手があるわけです。それは炭の技術的な問題もありましょうし、取引上の問題もありましょうが、そういったものと無関係に当てがいぶちをされてはやはり困るという需要者気持ちがあります。したがいましてその点は、電力業界は千九百万トンなら千九百万トン、あるいは二千万トンなら二千万トンという引き取り量というものは励行してくれるという前提がございますから、電力業界、需要部門のフリーチョイスを結果的に認めてもいいのじゃないか。しかし実際の価格面につきましては、滝井先生のおっしゃったとおり、きめられた値段で厳正に行なわれる、こういう姿になるわけであります。
  38. 滝井義高

    滝井委員 外でやるのは、価格ではなくして、ほんとうに電力会社が望む質とカロリーの石炭が入るか入らぬかという話し合いであって、そのものの価格というものは、通産大臣がきちっときめたその基準の価格による、そういうことだそうですから、そう理解しておきます。  そうしますと、この二、三日の新聞を見ると、少しあいまいな点は、北海道は五十円でよろしい、九州は百円だ、その他は三百円だというようなことでまとめたいというような記事が出ていますが、炭価引き上げはそういうことになるのですか。
  39. 井上亮

    ○井上政府委員 先ほども申しましたように、そういうこまかい価格の展開は目下通産省としても研究中でございますし、それからこれはあとで大臣からお話があろうと思いますが、需要部門と最後価格のお打ち合わせをいたしておるという段階でございまして、まだ、希望意見はございますけれども、きまった形には相なっておりません。
  40. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 いま新聞で伝えられておりますのは、この共販会社の発足が現実におくれております。そのおくれておる実情に沿うて共販会社ができるまでの暫定的な措置を折衝しておる、こういうことでございます。
  41. 滝井義高

    滝井委員 おくれておるということになりますと、四月一日からの三百円の炭価引き上げはおくれる可能性がある、こういうことになるのですか。それとも二、三日前に多賀谷さんが質問したときには、四月からは絶対実施をいたしますという言明があったのですが、その点はどうですか。
  42. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 四月一日に三、百円の値上げをすることは間違いないのであります。しかしながら、この会社ができないためにプール計算ができませんから、したがってこの会社ができるまでの暫定的なことをどうするかというのが、新聞に伝えられておるような一応の考え方でございますが、これも現在折衝をしておる、こういうことでございます。しかし値上げをするという本筋は変わらないのであります。
  43. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、四月からやることは変わらない。いま出している五十円とか百円とか三百円というのは、多賀谷さんも言っておったが、仮払いをとりあえずしておこう、こういうことですか。
  44. 井上亮

    ○井上政府委員 仮払になるかどうかは、やはりいま折衝している問題でございます。方針は大臣がおっしゃったとおりでございます。それには違いないわけでございますが、具体的な問題はいままだ折衝過程でございます。特に通産大臣は、先ほど来有田先生からの御質問もありましたけれども、やはり需要部門とできるだけ円満に話し合いをつけて、そのもとに双方理解しつつ、石炭電力業界が理解しつつ実行できるようにという意味で、円満話し合いの終結のためにいま努力しておるわけでございます。大臣は特に石炭鉱業審議会長植村甲午郎さんとか、あるいは調査団団長有沢さん、需給部会長稲葉さんというお三人に特に通産省の希望意見を言われまして、特に円満妥結のためにいま話し合いをしているというような事情でございます。
  45. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、円満妥結のために、政府案による原重油関税還付金というのはいまどのくらい出しているのですか。
  46. 井上亮

    ○井上政府委員 特別還付といたしましては大体二十七億程度を出そう、そのほかに一般還付が十六億くらいありまして、合計して電力業界は全体としては四十二億くらいの還付があるという見通しでございます。
  47. 滝井義高

    滝井委員 しかしいま問題になっているのは、二十七億円盆ことが問題になっているわけですね、一般のは当然のことですから。ことしも北海道に雪がたくさん降ったり、労働力の不足ガスの爆発等で出炭の不足がきておりますね。こういう客観的な情勢の変化がありますと、石炭産業は非常に不安定だから、さっそく出炭減になってくるわけです。そうすると、二十七億差し上げます、こう言っておっても、これは減る可能性が出てくるわけです。あるいは順調にいけばふえる可能性も出るが、ふえる可能性よりか減る可能性のほうが多いわけです。そうすると当然今度は、電力供給しなければならぬから油を使うことになるわけですね。その分だけ石炭がこないのだから、今度は混焼率を上げなければならぬ、こういう場合には一体どういう措置をとることになるのですか。
  48. 金井多喜男

    ○金井説明員 先ほど有田先生から御質問がございまして大臣からお答えいたしましたように、出炭量につきましては、たとえば三十九年度の場合は千八百五十万トン、来年は千九百万トン、こういうめどでございますけれども、ただいま滝井先生のお話のございましたように、私ども電力業界関係する公益事業局のほうといたしましては、できるだけ出炭の約束を確保すべく、役所としても行政指導をやっておりますし、電力業界としても炭が出るならば、電力業界としては絶対に責任を持って引き取る、こういうふうに言明しておりますが、しかしながら来年度実際問題として千九百万トンという数字が確実に出るかどうかということは、ただいま先生御指摘のとおり、天災地変その他によりましてだれしも予想ができないわけでございます。しかしその場合におきましても、大臣が先ほど答弁いたしましたように、もし出炭量が下回った場合には、とにかく最低二十七億程度関税の特別還付は絶対に返るように大蔵省ともほぼ話がきまっております。もしかりにそれが確保できませんと、実は電力業界におきましても発電力のプールが円滑に運びがたい実情にございますので、私ども事務当局のほうも、そういった点からも最低限度二十七億程度は今後ともぜひ確保するように努力いたすつもりでございます。
  49. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、二つ疑問があるのです。まず、千九百万トンというのはいつきまったのか。いままでは千九百五十万トンという説明をしておる。五十万トン減っておる。資料には千九百五十万トンになっておる。ところがいつの間にか千九百万トン、五十万トン下がっている。こういうことが第一非常に不信用です。  それから二十七億円というものは、炭が出ても出なくても最低の保障ですか。そういうこともまたおかしなことなんです。還付制度というものは一つのルールがあってきまっているわけでしょう。そのルールが達成せられないということでそれをやるということになると、それだったら初めから還付を言わずに、これだけやりますということにしなければならない。それならば、もし来年の二十七億がそういう形できまるならば、一体三十九年度はどういう形できまっておるか。いままで三十九年度はどうですかとここで説明を求めても、それはまだ未定でございますと言って説明しなかった。三十九年は電力は二千五十万トンのベースであったわけです。それが千八百五十七万トンに修正された。千八百五十七万トンはいま出るか出ないかわからない、はっきりしない、だから特別還付金の額はわかりませんというのが、いままでの答弁だったのです。ところが三十九年がわからないで、四十年度は二十七億最低保障しますというなら、三十九年度は一体幾らであるかという疑問が出る。質問するたびごとに、ぐるぐる通産省がかわるからわからないのですよ。前の人の答弁とまたあとでやるのと違うのです。だからもう少し、この法案を通そうと思えば、やはり国会に対して明確にきちっとしたルールを敷いて、確定のものを教えておいてもらわぬと、石炭政策というものはしょっちゅうネコの目が変わるよりも早いですよ。毎日委員会に出ておってもわからぬ。これでは困るのです。いまの千九百五十万トンが千九百万トンに変わってしまったとか、それからいまの二十七億というのは、出ても出なくても最低の線で、やるのだということなのか、それでよろしいか、その場合三十九年度は最低幾らの線を確保してやるのか。
  50. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 先ほど有田委員にもお答えいたしましたように、この千九百万トンにつきましては、現在われわれとしてはこれだけはぜひ確保したい。したがって還付も二十七億、こういうことでございます。これは最低とか最高ではないのであって……(滝井委員政府委員は最低と言った」と呼ぶ)そうじゃない。千九百万トンを確保する。またそれに伴うものが二十七億円、こういうふうに申し上げておるのであります。  また、千九百五十万トンの資料が出ておったということは、局長からお答え申し上げます。
  51. 井上亮

    ○井上政府委員 千九百万トンという議論が出たのですが、これは次長が答弁しましたのは一応の試算として千九百万トンを使ったわけでございまして、かりにそれが炭が出ないために千八百五十万トンくらいしか行かなかったという場合でも、最低二十七億くらいは出るように、そのときはおそらく私は下の基準量が下がっていくということになるのではないかと思うのですが、そういう技術的な説明として申し上げたものと私は考えます。来年度電力業界に幾らの炭を引き取ってもらうかということは、近く石炭鉱業審議会合理化部会あるいは需給部会等を開きますので、そこで正式に審議決定していただきたいというふうに考えております。ただ、いまいろいろ原案をつくっておるわけですが、この原案は私は実は来年度につきましては従来の実績にかんがみまして、あまり希望的な出炭目標を掲げて、それに基づく需給計画をつくって、そのために需要部門に迷惑をかけることのないような計画にいたしたい。つまり計画よりも二百万トンも供給力が少ないというようなことのために電力業界も迷惑をしますし、鉄鋼業界も急遽輸入政策をとらざるを得ないというような迷惑はかけたくないということで、実はまた保安上の見地もございますし、あるいはその他の点も考慮いたしまして、やはり出炭につきましては妥当なる見通しを立てまして、それによって需給計画を組みたいという考え方でおります。そういった考え方で現在作業いたしております。それによりますと、まだ結論は先ほど言いましたように需給部会にはからなければ出ませんが、まあ大体千九百万トン程度になるのじゃないだろうか、いま申し上げたような考え方に基づきましてここらになるのじゃないかというふうに考えております。
  52. 滝井義高

    滝井委員 大臣は必ずしも二十七億円というのは最低のものじゃない、千九百万トンに見合うものが二十七億円だ、こう言明されるし、そちらのお二人はそうではないのだ、これは二十七億程度が最低出るものとして技術的に言ったのだと言う。そこらあたりちょっと食い違っておる。ここらはやはり電力としてはきめ手ですよ。最低二十七億円だということになれば、二十七億はもらったものと同じことになる。これを基礎にして金を借りるなり、資金繰りをやることができる。ところが二十七億は千九百万トンが狂うことによってこれも狂うということになると、電力もあいまいな態度をとらざるを得ないことになる。だからここらは大臣答弁と違う。大臣は最低なんだと言っておらぬ、こういうようなニュアンスの御答弁があっんだけれども、そこらは三者もう少しはっきりしておいてくださいよ。
  53. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 これは私が折衝をしたのですから、だから最低とか最高とかいうのではなくて、一応の、この千九百万トンについて二十七億が還付される、こういうめどになったわけであります。たとえば、出炭量が減れば油をよけい使うから、それじゃその場合は還付がうんとふえるんじゃないか、こういうようなお話もございますが、それはふえない。だから、この二十七億というものが一応の、現在電力会社に与えた出炭量に見合う目標でございます。だから、最低とか最高でないのです。そういうことなんです。
  54. 滝井義高

    滝井委員 したがって、石炭が出なくて油をよけい使ったら特別還付は出ない、こう理解して差しつかえないわけでしょう。そこらあたりをきちっとしておかないことには、あいまいもことして——私がさっき言ったように、この法案を通すためには三つの前提が必要だ。炭価引き上げに関する実施体制を確立する。それから、供給責任体制の履行をやってもらう。供給責任をしっかりやってもらうためには、やはり経理責任というものをはっきりしてもらうという、この三つが一つの線に並ばないと、この法案というものは生きてきませんよ。この三つが前提ですよということを一つ一ついま尋ねていっておるわけですよ。合理化その他で供給責任その他を聞いておるわけですけれども、しかし二十七億というものは、これは千九百万トンという出炭体制の確立の上に二十七億が立つわけです。それが確立されなければ、二十七億というものは下がるのは当然です。油をよけい使ったから還付をよけいやったら、電力会社は喜んで油をよけい使ってしまう。それじゃ長期引き取りの意味も何もなくなってしまう。だから、それは無理をしても使ってもらわなければならないことになる。やはり石炭会社も何としても出してもらうということになる。やはり政策というものの路線だけはきちっとしておかないと、路線が右に寄ったり左に寄ったりすると特急列車はひっくり返ってしまいます。それをひっくり返らないようにしてもらいたいということなんです。
  55. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 これは滝井委員のおっしゃるように、千九百万トンを出してもらいたいし、それから、それに伴う還付は二十七億円する、これははっきりした目標、まずとの目標を守っていきたいと思うのです。ただ、もしここで多少弾力的に申し上げますならば、いま電力界のほうからなお希望がございます。二十七億以上にしてくれてもいいじゃないかという希望がございます。あるいは北海道九州に対する暫定措置についても意見がございます。これらの点は、基本方針としては出炭は千九百万トン、還付は二十七億、四月一日から値上げ、こういうふうにしておりますが、多少その間に植村会長のあっせんもお願いしておりますので、若干の弾力的な点があろうかと思いますが、しかしわれわれとしての方針はそういうふうに明白になっておるわけであります。
  56. 滝井義高

    滝井委員 まず方針としては、千九百万トン、二十七億円、千九百万トンが減れば還付金も減る、論理はそうなる。だから、そこらをもう少しいまの大臣のことばでいえば、われわれの路線は千九百万トン、二十七億だという、こういう路線、千八百万トンに減っても二十七億だということになれば、それならそういう答弁をしておいてもらわぬと、これはあとになってあいまいになる。だから私は何だったらちょっと、委員長に大蔵省も呼んでもらいたいと思うのですよ。大臣答弁ははっきりしておらない。弾力的、弾力的、こういうときにあまり弾力的では困るのですよ。
  57. 中川俊思

    ○中川(俊)委員長 代理滝井委員に申し上げます。もしわからなかったら、大蔵省を呼びますから……。
  58. 井上亮

    ○井上政府委員 ただいまの問題につきましては、大臣は千九百万トンという計画がきまった場合に、その場合二十七億は還付させますということで、滝井先生は千九百万トンがかりに石炭のほうが供給力がなくて、千八百五十万トンあるいは千八百万トンしか出なかった場合、その場合に還付はどうなるか、こういう御質問だと思います。それは私は、先ほど来申しましたような方針で今後の出炭計画をしっかり組み、それに基づいて需給計画を組みますから、私はそこできめられた数字が千九百万トンであれば、それは確実に守られるというふうに確信はいたしておりますけれども、万々一何かの天災その他の事故によりまして、かりに少々減ったというようなことも予想されますが、その場合についてもやはり二十七億は確保できるように、つまり下限の、特別還付制度の御承知の下限を弾力的にスライドするというようなことで確保するという考え方になっているわけであります。ですから基本的には大臣お話——大臣は基本的な施政方針をおっしゃったわけですけれども、その応用面としましてはただいまのような措置をとる、こういうことに明確になっておるわけであります。
  59. 滝井義高

    滝井委員 法律の十七条をごらんになると、そういう場合を書いておる。それは非常に限定をされて、「災害の発生等により特定の地域において電力用炭供給が著しく不足した場合その他電力用炭供給が円滑を欠いていると認められる場合には、会社に対し、その供給の円滑化を図るため必要な措置を講ずるよう指示するものとする。」こうなっているわけですよ。それは一体どういうことか、これは一体還付と結びつくのかどうか。
  60. 井上亮

    ○井上政府委員 御指摘の十七条につきましては、これは本法が単に価格安定ということだけをねらった法律ではございませんで、やはり石炭サイドには需要部門に対する供給責任という問題もございます。需要部門に迷惑をかけてはならないというような思想までもあります。従来とかくその点について批判を受けておった向きもありますので、今回この法律を改正するに際しまして、特に供給の円滑化について、かりに取引上何か事故があってどうしても電力用炭に炭が回らぬというようなことがあります場合には、この会社がやはり炭の供給に一役を買うように通産大臣が指示しますという規定でございまして、先ほどの千九百万トンを欠ける場合ということは、先ほど答弁いたしましたように、かりに需給部会におきまして本年度の電力の引き取り量が千九百万トンときまりますれば、これは私は誠実に守っていく覚悟でございます。そのためにはこの十七条も運用しまして、運用してでも、できるだけ千九百万トンを確保したいという趣旨でございます。しかしそれにもかかわらず、これはそこまで取り越し苦労をせぬでもいいじゃないかと言われれば言えますけれども、とんでもない天災地変か何かありまして、全体的に炭が出ない、これはあまりないことかもしれませんけれども、そういう場合のことを想定しての議論であります。
  61. 滝井義高

    滝井委員 十七条というもので法律的にはてこ入れをしてくれているわけです。そこで、それ以外のことをここで弾力をもってやるなんということになれば、法律に弾力をもってやるようにということを書いてもらわなければならぬわけですよ。その弾力条項というのは十七条にあるわけです。災害その他が起こった場合には、今度できる会社に対して通産大臣が措置をするのだから、その措置をやってなおできなかったときは、一ぺんまた国会で、こうなりましたということを相談をしたらいいのであって、いまから、いやいや、それは千九百万トンやるのだ、それは二十七億だ、しかし弾力的にまたやりますという、そういうあいまいな路線でははっきりしないのです。そうすると、千九百万トン使わなくても二十七億もらえるのだといえば、まとまる話がまとまらなくなる。おれの要求する炭の値段とおまえのほうは違うのだというようなことも起こりかねないのです。だからやはり路線としては、もう千九百万トンに対して二十七億。これは割った場合は二十七億を下げます。しかし十七条というものがあるのですから、その場合に手を尽くしてみたときには、もう一ぺん政治的にものを考えるということでないと、初めから何も原則がないのに、いやいや弾力的に、弾力的にということで逃げ込んだのでは、何のために国会の審議をしているのかわからぬのです。だからそこをはっきりしてくださいと、こう言うのです。だから大臣、やはり所信は貫いて、千九百万トン出炭体制確立、そのときに二十七億、そして千九百万トンは出炭ができるのだから、電力会社電力用炭としてとってもらうのだという、もちろんこれは大きくは五千二百万トンとか五千三百万トンを確立するとの前提で、電力については千九百万トンは何が何でも出すんだという気魄がなかったら、との話は話にならぬわけです。そして初めから話がくずれるという前提で話を進めるのだ。それならば三十九年はどうなりましたか。二千五十万トンはくずれたけれども、そのくずれたものをいままでまだ達成できないでしょう。あなた方は四十年度について二十七億保証すると言うのだが、三十九年は一体幾ら保証するのかということなんです。電力会社にとったら、四十年だって三十九年だって、同じ出血は出血です。そこの答弁は何もおっしゃらないわけです。だからまず前段の、きちっとする方針はだいじょうぶでしょうね。
  62. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 それは先ほどもお答えしたとおり、この千九百万トンが最終的にどうなるか。一応千九百万トン、二十七億、それはそういう方針で進むことには絶対間違いはない。ただ滝井委員から、もし千八百万トンということが出たから、そのときの答弁は、基準量や何かのことを一応の説明をしたわけですけれども、私どもとしてはあくまでもこれは目標をきまればそれを忠実に実行する、これはおっしゃるとおり、これがぐらぐらしておったのではいけない、こう思います。
  63. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 関連。滝井さんの質問の中にもう一つのファクターがある。それは、購入価格販売価格の差があるでしょう。この問題がプール制によって、いまの還付金財源関係があるわけですよ。ですから千九百万トンが二十七億で、そうして局長が弾力性を持ってやれるとおっしゃったけれども、それが動いたら二十七億を下げるということになると、この会社赤字で破産する、今度は財源がないのですから。ですからこの会社が破産するようになるでしょう。そのかね合いが実にむずかしいのです。ですからもし出炭千九百万トンが二十七億に常にリンクしておるのだ、これは固定的なものだと、こう考えておって、出炭が若干変化をする。それは変化はしますよ、いまのような石炭情勢においては……。私はあとから質問しますが、それをやはりそこに原則と弾力条項を頭に描いておかないと、大臣、はっきりした答弁をされると、今度はこの会社自体が赤字をかかえて破産をしてしまう。ですからその点はよく考えていただきたい。一体、もし、滝井さんが指摘されたようなことが起こると仮定しますね。政府はそういう気持ちはなくても、私企業ですからね。ですから起こったとした場合には、一体どういうように処置せられるのか。局長はいまおっしゃったように下限を考えるとおっしゃったが、大臣はその点について答弁はなかったわけです。それはどういうようにお考えですか。
  64. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 仮定の質問でございますが、局長の言われたように下限をかげんするとこういうことでございます。
  65. 滝井義高

    滝井委員 それでまあ弾力的なことは、いま言ったようにぎりぎりというところにいったときに弾力的なことをやるのであって、初めから弾力ではない、こういう理解です。  そうしますと、もう一つ。弾力のことを先に言っちゃったのですが、それは低品位炭です。火力発電その他、低品位炭が相当重要な役割りを占めていることは御存じのとおり。そうしますと、低品位炭価格を三百円上げるか上げないかということをもう少し明白にしなければいかぬわけですよ。これもまた重要なことです。さいぜんの御答弁ではそこらも弾力的にということで終わっちゃったのです。これはどうせあとから質問するから関連質問しなかったのですよ。ここらのものについては引き上げるか、それとも現状のままで低品位炭を除外するのか、そこらをもうちょっとはっきりしておいてもらう必要がある。
  66. 井上亮

    ○井上政府委員 低品位炭価格につきましては、これは大臣が御答弁されたとおりでございますが、もう少しく事務的に申し上げますと、低品位炭につきましては、これは御承知のように電発若松火力とか、あるいは西日本共同火力とか、あるいは常磐共同火力というような発電所におきましては、これは低品位炭のみを使っているわけでございます。こういうところの低品位炭価格につきましては、御承知のように、特に共同火力の場合には石炭資本と電力資本との合弁でできておる特殊なものでもございますし、きめられました価格もその両業界の話し合いによってきめられておる。御承知のように、低品位炭価格のきめ方というのは非常にむずかしいわけでして、いわゆる一般の炭のような厳密な意味のコスト計算はなかなかできがたい。むずかしい問題がありますが、この価格につきましては従来千二百円引きの対象外としてそのまま踏襲されてきておるというのが実情でございます。そういうような関係もありまして、これについては、一般炭三百円アップという原則のもとに必ずそのとおりになるということも、そういったいままでの歴史的な事情からしまして言いがたい面があるわけでございます。しかしだからといって、低品位炭価格を全然いじらない、上げないということでは、今日の石炭産業の現状からしますと、今度は石炭供給力が参っちまうという事情もございますので、これも相当額上げざるを得ないというふうに考えております。  それからもう一つの問題点としましては、要するに低カロリーでございますので、やはりカロリー当たり価格というような問題がありますので、そういった点からバランスをやっぱり考えていくという配慮も必要になろうかと思います。したがいましてそういう配慮をして、まあ一般炭三百円アップと均衡のとれた低品位炭価格引き上げというようなことを考えていきたいというようなことを現在検討いたしておるわけでございます。まだ確定はいたしておりませんが、そういう考え方でいま検討いたしております。いずれにしましても、ただいま申しましたような事情で、現在はっきりいえますことは、できれば、これは電力業界協力をいただければ、石炭局長としては、三百円値上げしていただきたいと低品位炭についても思っております。しかしながらいまのような事情ございますから、これは若干下回らざるを得ないというふうに私も覚悟いたしておるというような事情でございます。   〔中川(俊)委員長代理退席、委員長着席〕
  67. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、まず弾力的ということからだいぶ具体的になってきた。とにかく三百円はちょっと心臓が強過ぎよう。しかし三百円近いところの値上げはやりたい、こういうことで確認しておきます。  そうしますと、次に原料炭、これは今度共販会社が取り扱うわけじゃないですね。そうすると、これは長期引き取り契約をされているこの価格の規制というものは、一体どういう形で売り手と買い手との関係を二百円上げるような形に持っていくのか、その価格形成のメカニズムというのはどういうように行政指導してやるのか、これは公益事業局の側になるのか、石炭局の側になるのか。
  68. 井上亮

    ○井上政府委員 原料炭につきましては、これは私自信があるわけでございまして、これは御承知のように、高炉メーカーはわずか六、七社でございます。石炭供給業者は、これは七、八社、十社未満でございます。それはわずかのところを入れれば十社くらいになるかもしれません。石炭サイドの大宗は六、七社くらいというようなところでございます。従来ともに御承知のように、原料炭取引は比較的何といいますか、緊密な関係で商取引が行なわれております。といいますのは、やっぱり先ほど御説明しましたように、高炉メーカーはいろいろ輸入炭との混炭その他の振り合いの関係もあり、山別に非常に親戚の関係になっておりますので、わりあいに両業界の話し合いがしやすい事情がございます。  それからもう一つの点は、御了承のように鉄鋼業界は、これはガス業界もそうですが、一般炭の場合と違いまして、一般炭は、御承知のように、電力をはじめ一般産業も石炭はあまりほしくない、こういう議論をときどきやるわけであります。できれば油にかえたいという議論がございます。しかし原料炭につきましては、原料炭がなければ困る立場でございます。国内で原料炭が足りなければ、輸入してでも原料炭を確保しなきゃいかぬ、これが一般炭原料炭の基本的な違いであります。そういうような事情に原料炭の事情もあるわけでございますので、いわば変な表現でございますが、弱い石炭産業の地位の中にあって、原料炭については石炭業界もやや発言権が強いという面もありますし、いわば対等に話し合いができる立場でもありますので、この価格につきましては、基本的な問題としてはわりあいに妥当に話が進められる可能性が強い。それから具体的には、私ども合理化法による価格の報告聴取を受けております。幾らで取引されておるかという、そういった点でチェックする道もございます。  それからもう一つは、滝井先生御承知の、石炭産業は電力業とほぼ近い経理規制法というものがございます。これは石炭サイドの経理を最大漏らさず監査し、調査し、チェックいたします。この過程で原料炭価格が幾らで取引されておるかというようなチェックの道も、他産業に比べまして非常に強い権限をもって行なえるわけでございますので、そういった面から今後ともに二百円上げということがきまれば、その励行をお願いしていきたいというふうに考えております。  なお、原料炭は、今度の還付の対象にはしませんでしたけれども、鉄鋼業界は今後ともに長期引き取り体制を続けていっていただけるということに相なっております。別なことばで言えば、国内炭優先使用原則というものを鉄鋼業界が確認しておられますので、引き取りの面についてもまずは心配ないというふうに考えております。
  69. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、原料炭というのは、鉄鋼ガス、コークス等を合わせますと、千三百万トン程度輸入をしておるわけです。来年度だって千三百万トンをこえる輸入をやることになる、四十年度の見通しは。そうすると、この輸入炭との関係というのは一体どうなるのか。国内に出る原料炭価格は、あなた自信がある。輸入炭との関係というものは、これは価格上どうなるのですか。
  70. 井上亮

    ○井上政府委員 ただいま申しましたように、鉄鋼業界石炭業界との間には、鉄鋼業界は国内炭を優先使用する。したがいまして、国内炭に供給力がない場合に輸入をするという原則を確認していただいておるわけでございまして、まず優先使用していただく国内炭の価格については、二百円値上げということになれば、それでやっていただける。輸入は、これはもう鉄鋼業界が海外と取引するわけですから、これはいろいろまちまちになることもあろうかと思います。たとえば豪州炭は現在でいえば、わりあいに割安になっておりますが、豪州炭だけで足りなくてアメリカ、イギリスというようなことになれば、やや割高になるというような事情になりまして、このチェックまでは考えておりません。ただ希望を言えば、鉄鋼業界もできるだけ輸入炭は安く買われたほうがよろしいんじゃないかというふうに考えております。
  71. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、鉄鋼とちょっと関係がある都市ガス負担対策ですね。これは都市ガス事業者が石炭をたいて都市にガス供給する。一方コークスができますね、コークスを鉄鋼業にやる。そうすると鉄のほうは、石炭について日本の原料炭還付を受けることになるわけですね。そうすると、鉄に石炭と同じようなコークスを供給する都市のガス事業者というのは、どうもいまの還付の対象にはならぬことになるでしょう。この関係ですね。これをちょっと解明をしておいていただきたいのです。
  72. 宮本惇

    ○宮本政府委員 御指摘のように、ガス事業者に対しましては、関税還付の対象になっておりません。したがいまして、ある意味では問題はあるわけでございます。と申しますのは、結局ガス事業者は、御承知のように、現在は全体としてはなるべく、大手を除きましては、いわゆるガス源を石油のほうに転換指導しております。しかしながら・たとえば四十年度に石炭を使う会社が二十六社ございます。このうち、大手がいわゆる東京、大阪、東邦でございますが、全体の約三百万トンのうち、二百七十万トン程度は大手が使います。残りが中小ということになるわけでございます。中小ガスの場合、しかも石炭だけを使っているようなととろは、引き取り義務はないわけでございますが、しかし、原料炭が入ってこなければガス供給ができないということになりますと、ここに一つ問題が起きるわけでございます。その点はコークス価格を少し上げる。これは小さくなりますと鉄鋼メーカーなどに納めるわけじゃございませんで、一般に市販をするということになるわけでございます。なかなか逃げ道としては、コークス価格に反映させる以外にないわけでございますが、しかしたとえばいま無配で、しかも困っている小さなガス会社に対しては、これはわれわれのほうから石炭業者にお願いをし、その辺はなるべく値段のほうで勉強していただけないかということはお願いをするつもりでございます。たとえば使用量が一千トンとか千五百トンという会社がかなりございますが、これは還付の対象にはなりませんが、そうかといって値上げをしなければおそらく供給してくれないだろうと思いますので、この点は石炭局とも今後御相談をして、多少便宜をはかっていただきたいというのがわれわれのお願いでございます。
  73. 滝井義高

    滝井委員 いま大臣お聞きのように、これは、ガス供給するけれどもコークスを鉄鋼にやるということで、やはり重要な役割りを演じているわけですね。そうすると、どこかで息を抜くところがないと窒息してしまう。そこで一つの方法としては、いま言ったように、コークスの値段を上げるということになると、他に、鉄鋼価格関係してくるわけですね。ここらあたり、電力のような大きなところについては力が強いからそれで大臣も屈服、と言ってはおかしいけれども、頭をちょっと下げる。しかし都市ガスみたいなところは、こういうことになると、ガス値段を上げるか、ガスはちょっと待った、こういうことになる。そうすると、大きいところの鉄鋼値段を上げてかぶせい、こういうことになると、鉄鋼が、何だ、石炭も引き取らしてわずかに二百円くらいしか金をくれぬ、コークスの値段も上げるか、こう出てくるので、そうするとまた大臣が頭を下げなければならぬことになると思うのですが、ここらあたりの矛盾は、やはり何らかの形で解決しておかないと、今度は一番弱い大衆のガス値段引き上げのほうに逆進してくるでしょう。ここらの問題はやはりもうちょっと考えてもらう必要がありますよ。
  74. 宮本惇

    ○宮本政府委員 私の申し上げましたのは、たとえば大手の鉄鋼へ大部分供給しております東京、大阪、東邦というようなところは自分でかぶる。コークスのほうへある程度はね返さざるを得ないというのは、非常に小さいガス会社でございまして、このコークスは別に鉄鋼へは行っているわけじゃございません。まあいわば市販と申しますか、一般売りということで、これの値上げ自体がはたしてうまくできるかどうか問題であります。  それからガス業界自体は、御承知のように最近LPGが出てまいりまして、なかなか値上げできないということになってまいりますと、そういう会社については石炭値段をあまり上げないようにするよりしようがないと思います。これは先ほど申し上げたわけであります。
  75. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、今度は石炭がかぶることになるわけですね。値上げを他のものは二百円、三百円と上げているのに、ガス業者だけについては値段を上げなさんな、こういうことになると、いままでわれわれは電力、鉄、コークス、セメントというのは一つに並べてものを言ってきたわけでしょう。そうすると、それは石炭ががまんをするか、それとももう大手の東京とか大阪のガス会社に値上がり分は吸収してあなたが背負いなさいと言うか、どこかで息を抜くところをきめておかないと、これはやはり最終的には一番弱いところの都市ガス需要者にくる。それはLPGができたからといって、それはだいじょうぶだ、ガス会社値上げできませんよというかもしれませんけれども、やはりすでに家庭に引いてあるガスですから、有無を言わさず使わざるを得ないことになるわけでしょう。ほかに簡単に転換できないですよ。そこらあたりもう少し検討してみてください、これ以上言いませんから。  それから、もう最後ですが、この法律の旧二十四条の手数料は削除した。この手数料はトン当たり三円取っていたわけです。ところが今度は新しい会社をつくって取締役が五人から六人になるわけです。一体この会社のこういう首脳部というのはどういう形で構成をされておるのか。そしてその会社の人的構成というか、人件費その他の経費は、今度手数料を削除したかわりに販売価格と購入価格との利ざやか何かでまかなう以外に方法はないわけです。多賀谷さんもちょっと言っておりましたが、そうするとその場合の利ざやというものは、これは手数料を削除したのだから、手数料にかわるものがなければいかぬですが、これをどの程度取ることになるのか。会社の首脳部、幹部はどういう構成をやり、そしてその社員というものは一体どの程度の人員構成になり、その予算は一体どういう予算の規模になり、そしてその利ざやというものがその予算の運営にどういう影響を与えるか、貢献をするか、こういう点ひとつ御説明を願いたい。
  76. 進淳

    ○進説明員 ただいまの精算会社の定員といたしまして五十八名おるわけでございますが、この改組に伴いまして新たに売買の業務がつけ加えられますので、その点につきましては現在検討中でございますが、大体現在のところでは三十名程度の増員になろうかと思っておりますが、これはまだ最終的にきまっておりません。この点につきましては予算との関連がございますし、極力業務を少数精鋭主義で簡素化いたしたいということでございますので、実はまだ法律も通っておりませんので、私ども内々事務的に検討いたしておるわけでございますが、最終的にはこれを多少縮めたいとは思っておりますので、お含み置き願いたいと思います。  なお、これをまかないます手数料につきましては、現在のところは一トンにつき二円八十銭手数料を徴収と申しますか、いただいておりますが、今後は先ほどからの御質問にございましたように、売買という形をとりますので、売買の価格の差異、この手数料となりますものを織り込みましてこれをもらいますという形をとりますので、したがいまして、従来の手数料の規定は不要になったわけでございます。現在の見込み金といたしましては六円ちょっとで、七円をこすことはないと思っておりますけれども、その程度で十分まかなえるであろうというふうに目算を立てております。
  77. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、五十八人に三十人程度ふやすと八十八人程度になる。しかもこれもでさるだけ縮小するようにしよう、手数料は六円、七円を上回らないということになると、この会社経理というものは、総額はどのくらいになるのか。それからいままで国が一億円以内を出資することになっておりますが、一億五千万円と書いてありますね。一体この会社の資本金というのは幾らになるのか。その全体の経理と資本金をちょっと言ってください。
  78. 進淳

    ○進説明員 資本金は現在三億円でありまして、そのうち政府出資が一億円、民間石炭関係業者が二億円と相なっておりますが、今回この法律が通りますれば一億増資をいたしまして、そのうち五千万円を政府出資、五千万円を従来の関係株主で引き受けるということになるわけでございます。したがいまして四億円ということになります。  なお予算といたしましては、現在のところ三十九年度の予算は一億一千四百五十三万円に大体落ちつくわけでございます。当初は一億二千七百万円程度予定いたしておりましたが、御承知のように石炭の引き取り量も減ってまいりまして、手数料の減等もありましたので、若干節約をいたしまして、このように落ちつく見込みになっております。今後の予算につきましては、実はまだ定員、機構その他検討中でありまして、最終的にどの程度になるか明確にきめ得ないわけでありますが、おおよそのところでは、先ほど申し上げましたように、六円ないし七円の手数料でまかなうようにいたしたいということで概算いたしております。
  79. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、千八百万トンくらいだったら六円だと一億にならないわけでしょう。
  80. 進淳

    ○進説明員 先ほど申し上げました予算は、これは精算会社の重要部門といたしまして専用船の配船をいたしております。その関係の手数料が入っておりまして、予算の内訳を申し上げますと、電力用炭代金の手数料収入が五千百二十四万円、それから専用船の手数料といたしまして四千百八十五万円、配船調整委託手数料が七百六十万円、受け取り利息が千三百八十五万円ということに相なっております。
  81. 滝井義高

    滝井委員 四十年度も結局同じような形で予算を組むことになるわけですね。わかりました。  それからこの会社の首脳部の構成というものは、どういうところから入ってやることになるわけですか。需要業界、生産業界から入ってやるのですか。
  82. 井上亮

    ○井上政府委員 現在の首脳部は、滝井先生御承知だと思いますが、社長は稲葉という石炭業界出身の方がやっておられます。それから重役連も大体石炭サイドから出ておるわけでありますが、今度法律で重役の数もふやしていただくということもお願いしております。私の気持ちといたしましては、できますれば重役陣の中に電力業界からも入っていただきたいというふうに考えておるわけでございます。もっと個人的な意見まで率直に申し上げれば、首脳部というよりか社長は、何も石炭業界代表でなくともよいということすら考えております。これらの点につきましては、この法律が通りますれば、大臣とも御相談申し上げ、あるいは関係方面とも相談いたしまして、早急に善処いたしたいと考えております。
  83. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、いままでのような首脳部というものは全部一新をされて、新たな会社になるのだから、社長以下全部かわって新しい装いでいくという、こういう形になるわけですね。
  84. 井上亮

    ○井上政府委員 現在おられます方は、大体適材がきておられまして、今度販売会社になったからといって、業務の性質が、個人の才能というような点から見れば、根本的に変わるわけではありません。したがいまして一新ということは、見通しでございますが、私はなかろうかと思いますけれども、しかし、より強力な人材を求めるということはぜひしなければいかぬじゃないかというふうに考えております。
  85. 滝井義高

    滝井委員 では、ひとつより強力な人材で十分この会社が機能を果たすように運営していただくことを要望して、質問を終わります。
  86. 加藤高藏

  87. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 この法案の審議で、私は大体いま質疑を聞いておりまして、大事な話が出ておりますが、まず石炭産業の基本的な対策について伺って、それからその次に、電力用炭の具体的な問題について、値上げを中心にして伺い、最後にこの販売会社法の条文の一部について伺いたいと思います。  したがいまして、そういう感じでお伺いをいたしますが、この合理化法の今度提案されておりますものも、それからこの会社法も、あわせて石炭産業対策立場からできておるのだろうと思いますので、まず政府は、ことし昭和四十年度の石炭鉱業赤字がどれぐらいあって、それに対してどういう穴埋め対策を持っておられるのか、ちょっと事務的に簡単に教えてください。
  88. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 大手十七社の経理は、トン当たり四百三十二円、総額百五十七億円の赤字見込みということでございます。
  89. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 そういうのを聞いているのじゃないのだ。先ほどのお話では、今度電力に千九百万トンやって、三百円上げる、そうすると五十七億円ぐらいはプラスになる、こういうそろばんになるのでしょう。そういうそろばんで石炭赤字を埋めようということなんでしょう。どれだけぐらい赤字があって、どこからどれぐらい埋めようとされているのか、政府石炭対策も含めて数字を承りたい。それは局長のほうがよくはないですか。
  90. 井上亮

    ○井上政府委員 具体的な質問でございますので、私から答弁さしていただきたいと思いますが、御承知のように、石炭産業の今日の経理状態は、本日配付しました資料にも出ておると思いますので、これを簡単に見ていただきたいと思いますが、これの……。
  91. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 そんなこまかいのは要らぬのです。ことし、四十年度値段を上げるのでしょう。その前提になっている数字です。
  92. 加藤高藏

    加藤委員長 答弁は簡単に願います。
  93. 井上亮

    ○井上政府委員 ことしは、四十年度につきましては、電力につきましては、これは先ほど来話がありましたように、低品位炭価格等につきましてまだ未確定の部分がありますが、大体電力から六十億余り程度の収入になるのじゃないか。それから鉄からは大体十七億程度というようなことが想定されております。なお、石炭業界赤字としましては、四十年度は、このまま推移するとすれば、大体トン当たり平均四百三十円程度赤字になるというふうに考えております。ただ、今度値上げしますと、どの程度値上げによる増収が見込まれますか、政府考えとしましては、まず国としましても、最大限の助成をするという立場から、利子補給制度考えております。利子補給によりまして、やはり相当額会社経理改善を見、それからもう一つ、鉱害の国の補助率の引き上げということによりまして、たとえば農地等におきましては、鉱業権者の負担は従来の半分ぐらいになりますので、その面だけ改善されるというような措置とか、あるいは無利子融資の額を増大いたす、そういうような面で、利子補給以外に、今後の融資面についての経理改善をはかるというようなことで、全体として石炭企業の収支改善は、二百四、五十円ぐらいの収支改善は見込まれるのではないかというふうに考えております。平均四百円の赤字に対して二百四、五十円の経理改善になるのじゃないかというふうに考えております。
  94. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 政府から出す金は、いまのやつを合計すると、全部がどれくらいになるのですか。
  95. 井上亮

    ○井上政府委員 四十年度の予算につきましては、石炭関係予算全体では二百七十五億でございます。内訳としまして、石炭局プロパーの一般会計予算としましては百四十七億、このほかに鉱害の他省分、つまり農林省だとか建設省等の他省分が二十億、それから労働省関係石炭予算が九十六億円、それから産炭地港湾整備関係が約七億円、それから経済企画庁にいま便宜つけております産炭地関係調整費でございますが、これが三億八千七百万円、合計いたしまして二百七十五億五千五百万円でございます。それから、なおこのほかに、財投関係としましては、開銀、合理化事業団産炭地振興、鉱害賠償基金等を入れまして、百七十四億円の財投を一応予定いたしております。
  96. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 石炭産業の四十年の赤字トン当たりで四百円というのですが、それに見合って政府が出す金というのは、どのくらいあるのですか。
  97. 井上亮

    ○井上政府委員 その計算は実は非常にむずかしいわけでございまして、これは結局、利子補給は大体いま半期で九億円でございます。ですから、年間に直しますと十八、九億円になります。それから鉱害関係は、これはまるまる経理改善に役立ちますが、これは大体二十七億ぐらいであろうかと思います。それから、無利子融資があるわけですが、無利子融資は大体六十億程度でございます。これは一般会計の融資でございます。そのほか、低利の財投の資金等は、これは計算に入れませんで、まあそういうようなことでございます。
  98. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 そうすると、大ざっぱに見て、大体ことしの赤字がトン四百円というと、二百億ぐらいな石炭産業の赤字に対して、政府が直接出すのが、それに見合って赤字の穴埋めに使われるようなものが、百十億から二十億ぐらいのところ、半分ぐらいのものですね。
  99. 井上亮

    ○井上政府委員 それはもうちょっと多いのではないかと思います。たとえば、そのほか合理化事業団からの整備資金の融資とか、あるいは鉱害基金からの融資というようなものが、私の申しましたほかにございます。これはただ利子がつきますので私申し上げなかったわけですが、そういうものがやはりその補てんに使われる、このように了解いただきたいと思います。
  100. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 値上げ分で赤字を埋めようとする場合には、電力用炭が千九百万トンとして三百円上げると五十七億、それから原料炭を一千万トンとして、これは二百円ですか、そうすると二十億、それからその他の一般炭、五千百万トンからマイナスすると二千二百万トンですね、これが三百円上がるとすれば六十六億。そうすると、その値上げで出てくるそろばんは百四十三億でしょう、そういうそろばんになりませんか。
  101. 井上亮

    ○井上政府委員 最後一般炭一般産業向けの炭価引き上げにつきましては、一応政府一般方針としましては三百円上げが妥当だという見解をとっておりますが、一般炭につきましては、これは従来の商取引関係もありますので、三百円の確保は場合によるとむずかしいことも出てまいりますから、その点はマイナスして考えております。といいますのは、これは強制はいたしませんから。ただ一般方針としてそうしますから、石炭産業としては三百円上げの方針で売る努力はいたしてまいりますが、若干そこに差が出てくると思います。
  102. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 それを言おうと思った。要するにその辺の見込みが、私は石炭産業の赤字対策というか、石炭産業の立て直し計画の中でことしどういうふうにしてやるかというのが非常にあいまいもことして、私どもはその辺を非常に不安に感ずるのです。見ると、先ほど言うたように、そろばんだけでいきますと、値上げ分だけで百三、四十億やろうということでしょう。それでいま次々にそこらにあるごみみたいなものまで寄せ集めてくると百五十億、そんなに少なくありません、もっとあるというようなことを言われるが、実際に開銀の利子補給くらいのもの二十億程度、それから無利子の融資を入れれば入れる。そうすると、百億足らぬぐらいなものが長めに動いていくという金でしょう、そんなものじゃないですか。そうすると、ことし政府でやられようとしておる石炭対策としては、ほとんど炭価値上げというものが大部分の措置になるのじゃないですか。しかもその中で先ほどのお話のように、ほんとうの穴埋め対策として確保されるのは、電力の五、六十億というのが一番かたいもので、ほかのものはどうだかわけがわからぬということになりはしませんか。そんなことで対策が立てられるのかどうか、石炭局長、これはどうですか。
  103. 井上亮

    ○井上政府委員 先ほど申しましたように、今回の第二次石炭鉱業調査団の答申の考え方といたしましては、やはり石炭産業の経理改善をするためには、まず国が私企業に与え得る最大の助成を考うべきである。しかし私企業に与える国の助成にもおのずから限度がございますので、その足らない分は、石炭産業は需要に対してコストに無関係炭価を千二百円引き下げてまいりました。そういうような経過もあったわけですから、やはり国はまず最大限の助成をするけれども、足らない分は需要部門にお願いをせざるを得ないのではないかという考え方に立って、炭価値上げの方針がきめられ、政府もその答申を尊重したわけでございますが、ただお話のように、端的に経理改善としましては、先生おっしゃるようなことになろうかと思います。しかしながら全体としましては、石炭関係には一般会計だけでも二百七十五億円もの資金を投じて、石炭産業が少なくとも今後合理化政策が円滑に推進していくというようなことを念願しているわけでございますので、私は国が少なくて炭価引き上げが主体だというふうには考えておりません。
  104. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 通産大臣にお伺いしたいのですが、石炭対策政府一般会計から相当金を出してやられるというけれども、これは少しことばが過ぎるかもしれませんが、石炭対策らしいもので成功した例がありますか。これは非常に言い過ぎかもしらぬけれども、たとえば労務者の問題をとっても、片一方で離職者対策を一生懸命やらなければならぬでしょう。片一方は足らなくてどうしようもない。その状態がほったらかしてある。私どもが基本的に考えて、政府はほんとうに石炭対策の一番根本として、五千万トンなら五千万トンを維持しようとしておるのか、これはほったらかしておいて、何とかもう少しややこしいものはつぶれてくれろということで待とうとしているのか、さっぱりこの辺がわしらには理解できぬですがね。ことに産炭地振興対策とか何とかいうのもあるのですけれども、ほんとうにたいして効果を上げたものはない。ふやそうと思えば日炭みたいなものが起こってそのままにほったらかしてあるし、私どもが心配することは、ほんとうの石炭産業の安定化、立て直しというのは、こそくな値上げみたいなことだけにたよっておったのでは、ほんとうのことはできはせぬ。もう少し本腰でかからなければどうしようもないと思うのだけれども、その辺に対しまして、これはどういうことなんですか。通産大臣、ほんとうにいまのような形で取り組んでおるのか、通産大臣に政治力がないからよう銭が出ぬからできぬというのか、どういうふうに理解したらいいですか。
  105. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ただいま御審議をいただいておる昭和四十年度の予算の中で占める対策費としては、私としては国はこれで相当出しておると思うのであります。先ほど局長が言うとおりに、一般予算で二百七十五億、財投で百七十四億というのは、これはウエートが相当だと思います。しかしながら佐々木委員の言われますように、それだけ入れて所期の効果が上がっておるのか上がっていないのか、こういうことになりますと、これは確かに問題があると思います。しかし私としては短期間で見てはいけないんじゃないか、長期にわたっての施策が行なわれておるのであるから、四十二年を目標にしての一応の施策でございますから、第一次調査団、第二次調査団の答申を受けて、四十二年を目標に努力をしていけば、四十二年には大体大手会社の経営安定がつくんではないか。したがって石炭業界の安定が見られる、こういうふうに考えておる次第でございます。
  106. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 私どもも長期で見ようとするから、あんまり場当たり的なことばかりがたがたやりなさんなという心配があるのですよ。基本的にエネルギー対策として見た場合に、炭価引き上げというのは、赤字対策としていま一番簡単です。簡単だけれども、エネルギー対策として見たときは、これはそのまま他のエネルギー源に対する競争力を石炭からなくさせるということですよ。いまでも電力業界なんかでは、重油のほうをたきたいのでしょう。それをしかたなしに、石炭をたいてくれ、こういっているのしょう。それをなお石炭値段を上げていくということは、やっかいものを大きくやっかいもの化させるということであって、基本的に石炭というものが他のエネルギー源と競争するなり、あるいは競争力を培養するような状態に仕立てることじゃないでしょう。石炭に対する本格的な対策があるならば、石炭自身の原価を引き下げるなり、あるいは重油関税でもうんと上げてしまって、これと競争できるような状態にすることが基本なんです。そうでしょう。だから政府から、その赤字補てんではなしに、利子補給の金でもうんと出して、そうして炭価の原価を引き下げるような状態にしてこそ、初めて安定的な石炭対策になるのじゃないですか。私ども見ておって、悪いけれども、石炭産業の経営者諸君はもう経営を投げているのではありませんか。銀行が投げておるから、経営者も投げておるのではないか。これはことばが過ぎるけれども、経営者自身が投げておるようなところに、しかも経営自身は私企業のままにほったらかしておいて、しかもそれは完全私企業でしょう、その穴埋め対策として、どっちが公益性が強いかわからぬけれども、電力みたいな公益性の強い需要家を中心に——石炭のいくところは、産業的に見れば全部基礎産業ですね。その基礎産業の需要家の負担対策を立てていくという立て方自身が、基本的に間違いじゃないですか。通産大臣、どのようにお考えになりますか。
  107. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ただいまの御見解一つの御見識だと思うのであります。しかし私どもが常に考えなければならぬことは、先ほどもお話があったように、総合的にエネルギー施策考えていく、この場合に国内の有力エネルギー資源である石炭、もちろん電力も国内のさらに有力なエネルギー資源だと思いますが、いま海外から油をどんどん買っております。しかし、国内のエネルギー資源を特に考えていかなければならないという点からいたしますと、石炭に対するこの程度施策はやはりやむを得ないんじゃないか。いま電力との対比の御見解でございましたが、さらに油の関係などを考えていくときに、やむを得ざる施策として、国内資源を優先的に考えていくという思想の上から対策が出ておると思います。
  108. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 通産大臣、私の質問と違うのだ。エネルギー対策としてやる場合に、私は石炭の重要性をまだ考えているのです。格別船に乗せて油を持ってこなければならないようなことはたいへん不安定な状態があるから、したがって五千万トンなら五千万トン程度石炭としてはっきり確保しなければならぬという考え方を持っているわけだ。しかし五千万トン確保するのだったら、二千万トン程度電力用炭として確保しなければとても確保できぬだろうという感じも持っているのです。それをはっきりしょうとすればするほど、政府自身で、重油と見合っても負けないような石炭産業のもとをつくらなければだめじゃないですか。買い手からきらわれきらわれておる状態で、その赤字だけを引き受けるような状態にさせられておったら、石炭会社赤字を救うために電気会社があるのじゃないと、しまいにはけつをまくりますぜ。私どもが非常に心配しておるのは、だんだんと石炭会社と電気会社というものが、買い手と売り手との競争の状態だけに置かれてしまう。そこに総合エネルギー政策という、政府が立てなければならない政策がないから、そういうことになってくるわけだ。政府自身が立てるエネルギー政策の中で、石炭の位置をこうきめ、そうじて電力の位置をこうきめ、電力資源、エネルギー源であるところの油と水と石炭というものの位置をこうきめていく、その責任をはっきりと政府が持って総合的にきめないから、本来ならば兄弟で一番仲よくして持ちつ持たれつしていかなければならぬものが、こんちくしょう、小またすくいで早く金を取ってやれ、少しでもごまかしてたたいてやれというようなことになってしまって、全然われわれがねらっていたものと違った結果になるんじゃないかということになるわけです。答弁を聞かぬでもいいです。  一つ聞きたいことは、そういう意味で、石炭調査団の中でも、あれは稲葉君でしたか、直接政府石炭のほうのめんどうを見ようじゃないか、たとえば財源がないというなら重油の消費税でもやったらいいじゃないか、そして需要家をぐるぐる回しにするのじゃなしに、価格差補給金でも何でもいいから直接石炭の世話をしようじゃないか、それが筋じゃないかという見解があったはずです。調査団の報告を尊重されるという立場はいいが、この考え方に対してどうお考えになりますか。
  109. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 この調査団で十分御討議を願った点を受けておることは言うまでもないところでございます。重油消費税に関しましては、その当時の論議を顧みてみますと、他産業への影響を考慮して最終的には今回のような炭価値上げのほうへ踏み切った、こういうことであると思います。
  110. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 私は経過を聞いておるのじゃない。通産大臣大臣は政策の根源ですよ。だから内閣を代表しての、石炭産業に対する佐藤内閣の政策を私は聞きたかった。それから同時に、いまはこういうふうにしているけれども、これはなかなか困難だ、本来ならばこうすべきであると私は思う、しかしながら、たてまえとしてはいま調査団の報告を尊重するということになっておるから一応これでいくとか、あなた自身、櫻内家はなかなかえらい人の筋だが、そうであれば、櫻内大臣としてほんとうにエネルギー資源に取り組もうと思うならば、私は大臣としての考えがあってしかるべきだと思う。それは、尊重されるのはいいです。わが党も答申案を尊重することになっておる。だから、賛成して通しますよ。そういうことは心配ない。しかし、こんないいかげんな話ではできやせぬじゃないですか。基本的に考えて、石炭値段を上げるということにすれば、政府は楽でいいけれども、石炭の競争力をなくするだけでしょう。そうしてほんとうのことを言えば、私はあとから言おうと思うけれども、重油還付金なんていうそんなインチキなものはないじゃないか。政府からそれを出すなら、石炭にやったらいいじゃないか。何もぐるぐる回しをして、わけのわからぬ計算をして、電気会社の職員と従業員に飯を食わせる材料ばかりやらずに、還付金というものはどうせ政府から出る金でしょう、そうしてこれは還付金を差し引きしてあとからそろばんで出すわけだ。そんなものなら直接に金を石炭会社にやったらいいじゃないか。事務大臣答弁を私は聞いておるのじゃない。ほんとうに政策的にあなた考えてくださいよ。ぼくの答弁はいいわ、あとでもう少し具体的に聞きますから。いまのような手続がいろいろあって、石炭局でも、大蔵省も動いてくれぬし、閣僚級も動いてくれぬから、しかたなしに事務案を出してくれているのだと思う。それはあなた、答弁しなくてもいいわ。基本的な考え方を承りたい。その意味で私は、石炭産業のことしとられている対策というものは、非常に不十分で不満だ。しかも赤字対策として一番安易な値上げ方法をとっておられる。そうして需要家にゆだねるのは、エネルギー対策から見たら拙劣だし、それから基本的な石炭産業の安定策から見ても本筋でない。これは今後十分御考慮をお願いいたしたい。  それから次に、もうちょっと具体的に言わぬとしかられるから、電力用炭問題に入っていきます。これは先ほど来お話がありましたが、昭和四十年度の電力用炭は、先ほどのように一応千九百万トンとされて、トン当たり炭価三百円の値上げをしようとせられる考え方は、これはもっぱら石炭産業安定策から出たお考えですか。すなわち、エネルギーの立場電力立場からいくならば、電力原価を安くしようとするならば、ほんとうは重油のほうがいいということを御承知で、しかしそれはそれだけれども、石炭産業の立て直しのために何とか電力で千九百万トン引き受けろ、そうして少々高いかもしれぬが三百円の値上げは承知してくれろ、こういう石炭産業の立て直し、もっぱらそこの観点から出た政策であり、お考えですか。
  111. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 石炭の現状からしてとられておる施策であるということは言うまでもないと思いますが、しかしまた同時に、総合エネルギー的な見解が全然ない、こういうことではありません。
  112. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 どういうことですか、それなら。
  113. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 先ほどから申し上げるように、有力なる国内資源としての、エネルギー源としての石炭も育成していかなければならない、こういう大きな意味のエネルギー施策の一環である、こういう意味です。
  114. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 ですから、電力用炭の千九百万トンを確保し、三百円値上げをしようという措置は、いまの意味の石炭産業安定か、あるいは石炭資源を保護しようというたてまえに立った政策ですか。電力側の立場ではなしに、石炭側のお考えから、そういうふうに電力でこれを引き受けてくれろ、こういうことですかと聞いておる。そうでしょう。
  115. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 対電力関係ではそのとおりでございます。
  116. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 そういう考え方に立たなければ、電力に千九百万トンを使え、三百円を上げろという理屈は成り立たぬと私は思う。しかし石炭を何とかせんければならぬという意味なら、私はその政策は出てくると思う。そこで二番目に、先ほど滝井さんが非常に心配して言っていましたが、千九百万トンというのはほんとうにだいじょぶかな。御承知のように、これまで話のときは、二千五十万トン買え、引き取れ、引き取らぬ、引き取れ、引き取らぬと、まるであほうみたいなそろばんをしておいて、そうして出てきたときは、去年もおととしも千八百五十万トン程度でしょう。そして、いかにも二千五十万トンの話のときには、電力はしぶしぶ泣きに泣かされて二千五十万トン引き取らせられるような理屈を押しつけられ、そしてそういう感じにされておいて、ほんとうは石炭側がなかなか石炭が出なくて、千八百五十万トンしか出せなかったでしょう。私がちょっと心配するのはこういうことだ。今度の場合は電気に石炭を売れば、その分は間違いなしに三百円アップの炭価が入ってくるわけです、その会社を通じて。しかし、ほかにいったときには、さっきの話じゃないが、石炭局長言われたように、三百円一般炭を上げようと思ったって法制的な強制力を持っているわけではなし、わけがわからぬ。そうすると、その石炭対策でいこうとすればするほど、電力用炭の確保をしようとするということになります。その結果は去年、おととしの渇水期あたりに出てきたように、たとえば病院が石炭がない、ふろ屋が石炭がないというて、世論はぎゃあぎゃあ大騒ぎして、あくまでも早くその辺に石炭を回さなければならないのにかかわらず、電気か何かが強力な力をもって買いあさってしまった結果おかしなことになったんだというような世論が出てきやしないか、だいじょうぶか。
  117. 井上亮

    ○井上政府委員 昭和四十年度需給の問題でございますが、これは先ほども私答弁いたしたわけですが、ただいま四十年度計画について検討中でございます。検討の基本としましては、佐々木先生御指摘のように、従来の計画実績との間に相当の相違が出てきて、需要部門に御迷惑をかけたというようなことがございますので、四十年度につきましては、そういうことのないようなかた目の生産計画、それに基づく需給計画を組みたいというような方針で現在検討しております。したがいまして、私は近い将来石炭鉱業審議会需給部会を経てできました計画は、必ず実行できるものと確信しておりますし、また石炭業界供給責任を果たしてやるというふうに考えております。
  118. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 石炭問題は、石炭産業の安定が必要であることは当然でありますが、その前に石炭基礎産業であり、同時に、これは国民のエネルギー源です。したがって、石炭赤字対策に急なあまり、電力用炭の一番安易なところだけに石炭を回して、国民が一番因るような病院だとか、ふろ屋だとかいうようなところに石炭が回らぬようなことがないように、十分の措置をとられると同時に、最初の計画段階で甘い計画を立てられぬように、ほんとうに計画を立てられるときは、その電気のほうの計画を立てられるけれども、立てたらその電力用炭を確保しなければならないことになる。そうすると、あとにしわが寄る。電力の肩を持つのではないけれども、それなら電力を最初からしぼっておきなさい。それのほうが間違いない。毎年一つずつ炭鉱が破裂したり、つぶれたりする。一つつぶれれば百万トンくらいわけはない。そんなあぶない段階で、国民にエネルギー源が枯渇するがごとき迷惑をかけないように頼みますよ。電力用炭を確保しようとするあまり、もしそれであるならば、主客転倒ということになりますから、十分ひとつ御配慮を願いたい。  それから次に、三百円アップというものの内容について、これは時間がありませんから、先ほど出た問題でもありますので、個条書きに三つ聞いておきます。  一つは、三百円アップという意味は、原則としては現行の基準炭価をベースにしてその上に三百円、こういうふうに私は了解しているのですが、それでいいですか。  それからもう一つは、そうは言うけれども、御承知のように、先ほど出ておったような低品位炭、それから三池のように特殊炭みたいなものがあるでしょう。これらは、それ自体は従来いろいろな慣例があったはずですね。そういう従来の実績、慣例は、従来どおり大体認めていく方針でおられるのかどうか。  三点は、これも有田さんでしたか、お話が出ておりましたが、石炭取引には御承知のように各地でさまざまな商慣習があるわけです。この商慣習を大体踏襲するつもりなのか、新しい販売会社はそういう商慣習みたいなものもつぶして画一的に規制していこうという考えがあるのか。以上三点を簡単にお答えいただきたい。
  119. 井上亮

    ○井上政府委員 まず第一点の、今度の三百円アップは基準炭価をもとにして、それに対して三百円アップするのかという御質問でございますが、私どもはそのように考えております。ただしかし、これは先ほども触れましたけれども、実際にはプールして平均三百円ということになりますから、一律三百円ということにはならぬかと思います。  それから第二点の、低品位炭あるいは特殊炭の問題でございますが、これについてもやはり群来の商慣習というようなものはもちろん尊重はいたしますけれども、炭価に関しましてはやはり低品位炭といえども、三百円上げというように一律にいくかどうかは、これはもう少し弾力的に考えたければいかぬかと思いますけれども、しかしゼロであっていいというわけにはまいらぬ。特に低品位炭価格がきめられましたのは、御承知のように石炭サイドから見ますと、従来は要するにどちらかというと捨てていた低品位炭、これを有効に利用するという意味で、ほとんど労務費とかなんとかいうものを度外視して、運賃プラス若干のそれに要する人件費というようなもので、きわめて低位に初めからきめられておりました。たとえば若松でいえばトン当たり千二百円、西日本共同火力でいえば千五百円というきわめて低位な価格で従来きめられておったわけでございますけれども、しかし、今日では低品位炭の過去における性質が変わりまして、むしろ低品位炭をつくって供給するという事態に生産体制のほうが変わってきておりますので、とても従来の値段では供給ができないというような事情にございますので、一律三百円アップの原則そのままではないかもしれぬが、そういった従来の商慣習等も入れなければならぬと思いますけれども、これもやはり相当額値上げはお願いしたいというふうに考えております。特殊炭についても同様でございます。ただしかし、価格以外のそういった商慣習についてはもちろん尊重していきたいというふうに考えております。全体として、いまの低品位炭、特殊炭以外の面の、いわゆる電力業界石炭業界の従来の商慣行というものは、言うまでもなく今度の法体系でも尊重するような仕組みにいたしておりますので、そのようにやってまいりたいというふうに考えております。
  120. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 時間がありませんから先を急ぎますが、いまの低品位炭、特殊炭の問題はこれはなかなかむずかしい問題だと思います。しかし、これは理屈からいえば、いまあなたの言われるとおりだ。しかしまたさかさまの理屈があって、千二百円を下げる、下げられぬ、下げちゃったら千二百円がただになってしまう。下げられはしない。したがって、両方に理屈があるわけだ。こんなものをこの委員会で割り切るわけにいかぬが、その両方の理屈があることをはっきり承知してもらわぬと話がおかしくなります。こんなつまらぬところで電力業界石炭業界が角突き合わせて、その中に役人が入ってあっちへついたりこっちへついたりというようなことをしたら、エネルギー政策はぺちゃだ。あきまへんぜ。  それから三番目に、三百円アップ問題の本質なんですけれども、三百円の値上げを千九百万トンとすると五十七億円、この五十七億円分を電力会社が全部持て、持たぬと言うて大騒動をやって、結局還付金みたいなものをやる、まだそのほかにごちゃごちゃいろいろな話が続きつつありますが、通産大臣、大体これは話がつきましたか。
  121. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 大筋はつきました。九州北海道の扱い、この会社が発足するまでの間どうするかというところで、北海道五十円、九州百円とか、いやそれはゼロでいってくれとかいうようなことで、いまこの点だけを話を詰めております。
  122. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 この辺はせっかく目下通産大臣の苦労の最中でありますから、具体的にほじくることはやめておきましょう。しかし要するに、五十七億をそのままのみ込めといっても、電気会社のほうで困ってしまう。いろいろ話があって、いろいろわれわれがそばから見ておると、理屈にもならない理屈、いいかげんに寄せて二で割ったようなことをやっておる。それから三百円値上げとはいうけれども、産炭地をどうこうというようなことは、ほんとうは理屈にはならぬ。商売みたいなことだから適当に手を打たなければならぬと思います。思いますけれども、基本は一番初めに言うたように、うんとへ理屈でつつかれると、電気会社石炭会社もどうということはないじゃないか。その赤字を埋めるのに、こっちのほうにしわ寄せをする手があるか。こういうような理屈が成り立つような、基本的な石炭政策に対するかまえがあり得るように、われわれや一般の人々から見られる状態にある。要するに石炭産業に対する基本的な安定政策を欠いており、立て直しの基本政策を欠いておるところだろうと思うのです。四十年はしょうがないから寄せて二で割ろうが何だろうが、いませっかく通産大臣御苦労をなさっておる最中ですから、御苦労をされていただきたいと思う。しかし先ほど来その中で話が出ておった還付金の問題にちょっと触れておきたいと思います。  そろばんによりますと、還付金は約二十六億八千万円ですね。しかし重油還付というのは今度から全然性格が変わってくるということをわれわれは感じるんですが、それでいいですか。つまり従来の重油還付金というのは、合計すると電力用炭たとえば二千五十万トン引き取れ、しかしながら千八百五十万トンまでは普通の数字でいこう、千八百五十万トン以上、越した分はほんとうは無理言って、しかたがない、引き取ってもらうんだから、その分については重油をたくのに比べて高くなるから、要するに重油石炭との値段の差額を重油還付金ということで補おう、こういうことだったのでしょう。ところが今度のは、いつの間にかその話は飛んでしまっているわけです。その話は全然飛んでしまって、今度は、三百円値上げいたします、三百円値上げをすると五十七億赤字が出ます、五十七億の赤字はどうも少し多過ぎるから、何とかいい理屈はないか、前の還付金という制度がある、それをちょこちょこといじくってくると、二十六億八千万円、こんなそろばんが出る。だから二十六億八千万円の還付金でいきましょう、こういうことになる。そうすると二十六億八千万のいま言う四十年度からの還付金という制度は、三十八年度、三十九年度の還付金の内容、性格と違って、石炭値上がり分の補償ということで性格が変わってきてしまう、そういうことでしょう。私の理解が違っておりますか。
  123. 宮本惇

    ○宮本政府委員 佐々木先生御指摘のように三十八年度、三十九年度のいわゆる特別還付というものは、先生のおっしゃったとおりだと思います。ただ今度の場合、電力業界負担増対策というものをやる場合に、現在の制度では特別還付しかないわけでございます。したがいまして、いままではたとえばベースが千八百五十万トンで、上が二千五十万という場合には、とにかくそれ以上引き取ったら返すということであったのですが、今度は確かに御指摘のように、負担増対策の意味において、この間はとにかく全部返そう、つまり性質として一般還付に近いような運用をしよう、こういうふうになったと思います。
  124. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 通産大臣、いまお聞きのように、これは話がこまかいように見えるけれども、私は政策としては非常に重要だと思うのです。石炭対策として、国の方針に従って二千万トン程度のものを電力用炭として確保せい、しかしながらエネルギーの原価は低くしたいという理由で、せんじ詰めて困ったところで、従来のような還付金制度ができた。今度はまた石炭値段を上げなければならぬということで、また同じように困ってしまって、重油還付金という制度を使う。しかし同じ重油還付金というけれども、ほんとうを言うと内容、性格はうんと変わってきている。ということは、私たち苦肉の策としてはしようがないだろうと思うけれども、あまりに便宜主義的であって、第一しろうとには全然わからない。国民に説明してわかるものじゃない。おそらくここにおられる人だって三、四人くらいしかわからぬと思うのです。正直な話。普通の人に説明してわからぬような制度は、悪いことだということをお考え願いたい。政府から還付金を二十六億八千万円電力会社に払うでしょう。払うたてまえになっておるものだから。その分は三百円値上げの見返りだということになる。それなら何でそんな回りくどいことをするんですか。二十六億八千万円でも三十億でも、そのままどうして石炭会社に払わないのか。そうすれば一番はっきりするんじゃないですか。そういうふうにお考えになりませんか。何でぐるぐる回しをするのか。ここに会社の混迷や、疑いを持って見られたってしょうがない。疑うわけじゃありませんよ。石炭産業に対する政策が、値上げという安易な方法をとろうとする。値上げをするとこっちがぐあいが悪い、あっちがぐあいが悪いということになってくる。同じことです。二十六億八千万円を電気会社に回さずに、石炭会社にやったらいい。
  125. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 いまお話しのように、今回のようなややこしい関税還付をせずに、ストレートでやったらどうか、これも考え方だと思います。ところで今回こういうような措置を講じたというのは、ただ単に電力だけの値上げでなく、鉄鋼ガスその他にも値上げが及ぶ。また場合によりますと、一般産業向けも多少ずつ上がる、こういうようなこともあることは、御説明するまでもないと思うのであります。それと、ちょうど予算の折衝がもう最後の段階でございまして、先ほどから佐々木委員の言うような、もっとわかりいい対策も立ち得たかと思いますが、この負担増対策予算がもう固まってしまった後に起きましたので、従来関税還付という制度がございましたので、そこへ目をつけて負担増対策にした、こういうことでございます。
  126. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 苦しいところで、しょうがないでしょう。私が言うておきたいことは、一番最初石炭対策として、稲葉君等からも提案のあった、直接対策方式というものがあるでしょう。それらから見ても、そういう本気な考え方をしなさい。世間が見て回りくどくてわからぬような考え方でなくて、石炭に対する基本的な対策を今後立てる場合に、どうかそういうふうな観点も含めて十分お考えをいただきたい。お願いです。  ちょっと電気会社のことを言うておかぬとぐあいが悪い。五十七億のうち、いまのような措置で差っ引いた残りが約三十億でしょう。結局三十億というものは、電気会社はもうかっておるから、おまえ泣け、一口に言えばこういうことですか通産大臣
  127. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 御説明するまでもなく、石炭電力の業績を比較いたしますれば、政府も相当犠牲を払いますが、ひとつ需要家にも協力をしてもらおう、こういうことです。
  128. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 石炭会社が困っておることはわかるのです。だけれども理屈から言うと——いま理屈を言おうとするのではなくて、私は問題の所在点だけをはっきりしておかぬと、今後の政策上問題を起こすと思うのです。これは政策の観点からいくと、話はおかしくなってくるわけだ。電力会社石炭会社と経営状態を比べて、石炭会社より電力会社一般にいいということはわかる。だからといって、こっちからこっちに持っていったらいいというものではないでしょう。ほんとうは電気会社というものは、非常に厳重なる電気事業会計規則というものがあるはずです。そしてこれによって電力会社は相当厳重な会計、経理をやり、そうして電力料金は原価主義というたてまえを貫いておるはずなんですよ。そうしてくると、これまでの考え方によると、そういう余剰収入みたいなものはほんとうはないので、余剰収入みたいなものがあった場合には、これは内部留保を厚くし、それからそれの自己資金化をはかっていく。そうして建設費の低廉化から電力の原価の低廉化、安定化へ向けていくというのが、これまでの電気事業の会計や電力の原価主義のたてまえになっておると私は思うのです。そういうたてまえになっておるのだから、ほんとうは電気会社にそんなよその会社赤字補てんに使ってやるような余裕金というものは、ほんとうはあってはいかぬものじゃないですか。もしそういうものが出せる電気会社があるとすれば、それは公益事業局長も、通産大臣も、それはあなたがたは監督不行き届きですな。そうすると、むしろ逆向きに監督不行き届きを責められたってしょうがないことになる。そうして、ほんとうにそのとおりになっておるとすれば、あとの三十億をしょうがないから、これまた中部電力みたいに値上げしてやるかということになると、理屈から言うと、ほんとうはこのシステムはおかしいじゃないですか。  それからついでにもう一つ言っておきます。これはしかたなしに私は十六条というものをつくったのだろうと思うのです。しかし、株主総会みたいなところから、電力会社はなぜ石炭会社赤字を救わなければならないのか、それはおかしいじゃないかと、いまのような理屈で詰め寄られたら、私は理屈からいくと、ほんとうはおかしくなる、こう思うのです。それから今度は逆に、従業員のほうから詰め寄られるとする。その場合、通産大臣、御承知でしょう。いま電力会社の従業員というのは、産業間格差是正の賃金要求というようなことをやっているのは御存じでしょう。そうして、相当もめにもめて、しかたなしに中労委に持ち出しておる。中労委でもしかたなしに——ほんとうは中労委の感じとしては、電気の労働者の賃金は他産業に比べてどうも少し安いのではあるまいか。その意味の是正を労働者が言ってくるのは、どうもこれはやはりある程度筋が通っておる。あながち理屈が通らぬということではあるまいという感じを持っていますよ。それほどの現状なんだ。しかたなしに、しかしながら、産業間格差ということばは困るというので、内容はすりかえたような調停案みたいなことになっておりますけれども、実質的には他産業に比べてあまり高くない。だから産業間格差要求が、出てくるくらいな状態になっておるわけだ。そのときに、よその会社赤字対策に金をここへ出す。そうなれば、よその会社赤字対策の前に、わしらのほうに出してくれたらどうだ。こういう話が当然出得る筋になりますよ。したがって、私はそう簡単に石炭対策ということからぱっぱと、電気会社のほうが経理がいいから、こちらに回わすという理屈は私はおかしい、こういうふうに思うのだが、通産大臣、この辺のお考えはどうですかな。
  129. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 だんだん承っておると、やはりおっしゃるような筋になってくるかと思いますが、私としては、エネルギーの総合的な見地に立って、電力業界協力も得た、こういうことでございます。
  130. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 あんまり答弁せぬつもりでおるらしいから、しょうがない。私も言いたいととを言っておけばいいと思うのです。しかたがないから先ほどのを繰り返して言いますけれども、石炭産業の安定のためならば、ほんとうは国民に均等に負担させなさい。税金であげたもので対策を立てるのが筋である、あるいはその筋に似た関係の金でしりぬぐいをすべきだ、こういう観点に私は立つわけです。繰り返してその問題を言うておきたいのは、いまのような電気と石炭と、売り手と買い手のけんかの状態にしておいたら、一そう深刻になりますよ。買い手は電気だけしかないということになったら、何ぼ法律を通したって買いたたかれますよ。石炭は非常に困ってきますよ。そうしていまのままではそういう感じが出てきつつあるのだから、どうかそれをあおるような状態にせぬように特別に頼みます。  もう一つ販売会社法案について。通産大臣電力用炭に対してだけ何で精算会社や販売会社というシステムを考えられたのですか。石炭合理化法の精神に従って石炭産業の立て直しのためというならば、他の需要家もみな同じじゃないですか。それはどうしてです。
  131. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 今回の法案提案までに種々論議もし、検討もいたしましたので、その間の詳しい事情を局長から申し上げさせます。
  132. 井上亮

    ○井上政府委員 当初の考えとしましては、私ども電力用炭だけについて販売会社の取り扱いをするというふうに必ずしも考えておったわけではありません。できますならば、もう少し広範にできないかというところから考えたことは事実でございます。しかしながら、そういう観点に立って考えてみましても、まず最初に、もう問題にならないというふうに思いましたのは、一般炭一般産業向けでございます。これももう説明を長く要しないかと思いますが、無数の需要家に対して、何百という石炭企業が非常に複雑な形で販売しておる。これを入れますれば、いわゆる昔でいう、何といいますか、配炭公団のような膨大な全国的た組織を持たなければできないというようなことになります。これは今日の段階として、特に一般炭につきましては、できれば石炭は使いたくない、できるだけ重油に転換したいという一般産業も多いわけです。こういうときに、そういう配炭公団的な姿をとるのは選当でないという意味もあって、また実情に合わないという意味で、一般産業向けは問題なくおろした。最後に残りましたのが、電力用炭国鉄用炭と、それから鉄鋼原料炭でございます。  先ほどもちょっと答弁いたしましたが、国鉄につきましては、国鉄当局ともいろいろ打ち合わせたわけでございますが、国鉄は御承知のように国の機関でもありますし、全国一本で統一的に買っておるというような性質でございます。そういう意味からしますれば、今回ねらっておりますような法律の趣旨からいいますと、国鉄は除外をしても何ら石炭政策上支障は起こらないということが一言えるのではないかというような観点から、国鉄ははずしました。しいて国鉄を入れれば入れられるわけですけれども、いわば国鉄については、政府施策と全く一体的に受け入れてくれる、しかも電力のようにプールする必要性もない。国鉄の場合は一本ですから、これは当然プールする必要性もないということではずしたのであります。鉄につきましては、先ほど来申しましたように、需要側もきわめて少数でありますし、石炭産業の供給者側もきわめて大手の少数でございます。従来非常に緊密な関係取引をしておりますので、これは価格維持等についても十分に把握もできますし、協調関係もできるというような意味で、この点も実質的な点では問題ない。むしろ鉄をはずしましたのは、そういった実情理由のほかに、技術上の点で少し難点がある。つまりこういう共同販売のような体制をとりますと、どうしても価格を国がきめなければいかぬという場合に、電力一般炭のようにカロリー別の展開だけでは済まされない。サルファがどうの、やれ何がどうのという、きわめて精緻な価格決定をしなければならない。その際、佐々木先生も先ほど来言われましたように、商慣習等も入りますので、これはなかなか技術的にむずかしい。実態面としては、はずしたからといってそう支障がないというような事情がございましたので、一応鉄は今回の対象からはずしたわけでございます。電力用炭につきましては、かねて電力業界とも話し合いまして、すでに電力用炭精算会社というふうな形で御協力をいただいておりますし、今回もこの法律を作成するに際しまして、電気事業連合会等とも十分打ち合わして、従来の取引のメカニズム、これを基本的にこわさないような仕組みも考えながら一つの新しい立法を考えたわけでございます。そういった意味で、もちろん電力業界の御了解もいただいておるわけですが、最後には、以上申し上げましたような理由で、電力用炭をこういう形でやっていきたいということにいたしたわけでございます。
  133. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 電力用炭以外には、そうするとこの法律の十五条、十六条のような、値段をきめることと、それを強制する法律の裏づけは少ないわけですか。
  134. 井上亮

    ○井上政府委員 御指摘のように、精算会社法を改正して販売会社にいたしまして、電力用炭については御指摘のようなことをいたすわけですが、ほかの物資は本法に入れておりませんので、こういうことはございません。ただし、合理化法による基準炭価の設定というのはございます。一般炭についての、一般産業向けの基準炭価というような意味で、合理化法の基準炭価の設定というのはございますけれども、本法でいうような売買価格をきめるというような規定は、ほかの産業についてはございません。
  135. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 ですから、要するに合理化法の基準価格以外に強制力を持つ法制の裏づけがあるのは電力用炭だけ、こういうことでしょう。電力用炭は大きいですし、せめてこれだけでもはっきりしておかなければぐあいが悪いから、ぼくはそれはそれでいいと思う。ちょっといやなことを言うようですけれども、私は、販売会社というのはどうも気に食わぬ。精算会社から販売会社になるなら、これは法制局のほうだが、どうしてこれは、販売会社なら販売会社法ということにせず、こういう読みかえみたいなややっこしいことにしたのですか。これはしろうとから見たら、一つもわからぬのです。
  136. 田中康民

    田中(康)政府委員 代金精算会社から販売会社への衣がえにつきまして、立法論といたしましては、全面改正をいたしますとか、あるいは新しく販売会社についての法律を出すということ、それから一部改正をするのと、三つあろうかと思います。その場合にどういう基準でそれでは一部改正をしてよろしいのかということになりますと、従来の会社の目的あるいは業務というような基本的な事項が大体同一であるというような場合には、一部改正でいくことでもってこと足りる。また一部改正でいくことのほうがよろしい、ということは、新しく設立準備をいたしますとか、あるいは経過措置として従来の事業をやるというようなこともございますので、なるたけ一部改正で、従来の会社が従来の体制でもっていったほうが、そういう場合には都合がよろしい、そういうことで、一部改正の利点はそういうことにあるのでございますけれども、その一部改正をするにつきまして、それでは今回の場合はそれに該当するかどうかということに相なるのでございますが、私どもといたしましては、第一条の目的もほとんど変わっておりませんし、また業務ということにつきましても、代金精算というものとそれから今度いたします販売ということとは、実質的意味におきましてはさしたる違いがない、われわれはそういうふうに理解をいたしまして、一部改正で通した、こういうようないきさつでございます。
  137. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 前例もないこともないですし、いずれ精算会社がそのまま販売会社になるのだし、なるべくならば前の会社をつぶして新しい会社を立てるという手続を省く意味でも、それから同じような両方の会社の仕事が並行的に一部ある、こういうようなことでは、そういう理由からならば、そんなものはそれは販売会社として販売会社法をつくって、販売会社法の中に同じことを書いたっていいわけだ。だから、このごろだんだん、法律が読んだってわからぬようになるわけだ。改正改正、こういうことはやめたほうがいいですね。題まで変えて、そうして仕事がほんとうは全然違ってくるんだ。だから、私ども法制技術上の観点から見ても、国民になるべくわからせるということが法律の目的なんだ。くろうとだけしかわからぬようにするという法律じゃないわけだ。その意味でこういう法律の立て方はきらい。だから、今後はなるべくそういうことはないようにしてもらいたい。私ども疑いたくなるのは、そうでなくても、役所、官僚というものは業界その他に入ってきて適当な方法で干渉しようしようとする傾向がある。自分の権限を拡張しようとする傾向があるということを警戒するんです。それをうまいこと法律その他では、ちょっとしろうとが見たらわからぬような状態にしておいて、その割れ目に入っていこうというように、ひが目では見るわけだ。したがって今度のも、精算会社から販売会社になるんだからちっとも変わったことはないといいながら、冗談じゃない。そうではなくて、今度の販売会社になるに従って、いまのままだと石炭局長の言われるとおり、従来と大差ない運営をしようとされておるけれども、やろうとすればこれはそのまま配炭公団にでも、ちゃんと自衛隊になるようなかっこうで大きゅうなる。そういう仕組みもあり得ると思う。それならそれで早うその方針をとったらいいと思う。法制技術だとかそういうことでごちゃごちゃ回り道をして、そして世間の目をごまかしながら、権限拡張に見えるような方法はとられぬほうがいい。そういう感じで、私はこの法案の立て方に一つの批判を持っておるわけです。  時間がないから飛ばしますが、そうすると石炭局長、だから、いまの話はありますけれども、この販売会社というのは、大体これまで説明されておるような仕事以上には出ないつもりですね。したがって、これは貯炭機能なんかまだ持たせぬつもりでしょう。貯炭をやりますか。
  138. 井上亮

    ○井上政府委員 表面的に業務としましての貯炭機能は持たせてはおりません。しかしながら、この法律で貯炭が全然できないかといえば、できないわけでもない。かように御了解いただきたいと思います。
  139. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 先ほどちょっと話があったが、十七条の「供給の円滑化を図るため必要な措置」というのは、たとえばどういうことです。
  140. 井上亮

    ○井上政府委員 十七条の趣旨は、災害発生等によりまして、ある特定の地域に特に電力用炭供給不足したというような場合には、これはやはり石炭サイドといたしましては供給責任を果たさなければいかぬというような意味で、通産大臣はこの会社に対しまして、供給の円滑化のために必要な措置をとりなさいという指示をするわけですが、その指示を受けますと、この会社としましては一応炭を購入する、つまり十四条の仕組みが原則ですけれども、この仕組みはなくとも、とにかく炭を買う権能はありますので、そういう機能を利用しまして炭を確保して、必要な部門に供給していくという措置をやるというのが、十七条の考え方でございます。
  141. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 だから私が心配しておるのは、先ほど言うように貯炭機能は、法上は認められたとも認められないとも言い得るわけだ。そういう状態にしてある。そうして同時に機能としては、必要なときには円滑化をはかるために必要な措置ができるという立場になっておる。いまは局長言われるように、あまりたいしたことはせぬつもりでおられる。しかしながら官僚的な権限をふやそうと思えば、ここからだんだんオタマジャクシがカエルになってくる危険性がこれはあるとぼくは思う。それがいい悪いの問題ではないのです。やるならやるという方針をつけてやりなさい。いかにも官僚がその条文の陰に隠れて権力を持っておるような感じを出してはいけない、今後の運営にあたっての御注意を申し上げるわけです。  最後に十五条関係。十五条で先ほどから話がありましたが、これは要するにこういうことですか、通産大臣石炭会社からこの会社が買う場合に、三百円。八一で、三百円値上げして買います、これが購入価格だ。販売価格のほうの、それを電気会社に分けるほうは、三百円だけ見ると、九電力会社に三百円を公平になるように分けてやる。言うならば五十七億の赤字が公平になるように分けてやる。その公平という意味は、目下のところ還付金との差し引きだ、こういうことですか。
  142. 宮本惇

    ○宮本政府委員 おっしゃるとおりでございます。たとえば、先ほど大臣がおっしゃいましたように、販売会社から石炭側へ払うときは一律三百円でいきます。しかし今度はこの販売会社電力会社に売りますときは、非常にややこしくなるわけでございますが、関税の返ってくるのに応じて、ですから極端に言いますと、中部電力が六百円ぐらい払って北海道は五十円、しかしトータルは五十七億、こういうことになるわけでございます。
  143. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 そうすると、その中身をきめるのはだれです。この十五条では、たてまえはこれは通産大臣がきめるということになっておるわけだ。中国電力値段は幾ら、中部電力値段は幾らということを通産大臣がきめることにはなっておるが、先ほど来の質問によると、これは業界意見を尊重してどうのこうのということだから、大体電気事業連合会できめてもらう、こういうことですか。
  144. 井上亮

    ○井上政府委員 プールの価格につきましては、これは基備価格に準拠して通産大臣がおきめになるわけです。しかしその場合に、条文のいう意見を十分聞いて通産大臣はおきめになるという趣旨であるわけですが、石炭サイドから見れば、とにかく石炭会社供給した炭について手取りが三百円になるようにしていただければ問題ないわけでございます。したがいましてそういう意味では、どこの電力会社は幾らにしなければいかぬということを特に石炭サイドから強調する必要はないというふうに考えます。
  145. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 そうすると先ほど来の話のように、いま公益事業局長から話があったように、還付金が多いところは高く、たとえば中部電力が六百円だとか関西電力が四百円だとかいうことになるのですね。その場合に電気会社収支というものもファクターとして考え方に入るのですか。
  146. 宮本惇

    ○宮本政府委員 その場合は、いまわれわれの考え方といたしましては、九州北海道産炭地であり、まあある程度下げるといたしましても、これは電力業界内部お話になるわけでございますが、いまわれわれが示しております案は、残りはたとえば東京以下六社については値上げ率を一定にしょう、こういうふうに考えております。ただしその辺は電力会社内部である程度の変更があるかもしれませんが、いまは収支という考えは入れておりません。
  147. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 しかし、入れておらぬと言われるけれども、北海道九州産炭地という概念の中で考えておられるが、北海道九州も電気会社としてあまりそろばんはよくないわけだ。だからそれを考えておられるので、ここのことばはどうでもいいけれども、実際はこの公平というのは還付金だけでなしに、ある程度電力会社収支考えてやらざるを得ないのでしょう。北海道九州を除いたって、東北も考えなければならぬようになるでしょう。そうすると通産大臣、さっきの話ではないが、私が非常にいやなのはそういうことなんですよ。そのプールの分け前だと言うけれども、社長連中が寄ってきめるといっても、考えてごらんなさい。おのおの利害関係が錯綜するわけだ。値段を自主的にきめろと言うても、そんなものスムーズにそうおっとりと、簡単にきめられるものじゃないのですよ。現にようきめられやしない。きめられやしないから、そのときには会社側から会社試案とういものが出される。そのときに、従来から見て、官僚が一番力を発揮するのです。その利害損失が九社の中で対立するわけだ。そして合計金額はもうきまっておるわけだ。そうすると、官僚が中に入って調節してやらぬとできないということになるわけだ。その際に権力が一番ものをいうのです。これがよろしくないことなんだ。私は今度の販売会社システムの中で、一番の問題はそこにあると思うのです。石炭関係者が、今度重役かだれか知らぬけれども、とにかく販売会社に天下っていかれるでしょう。天下っていかれるその人々が電気会社九社の中のけんかの仲裁に入られるわけだ。そうしてそれは大きな金額の上げ下げに関係があるから、ものの言い方一つでいろいろな問題が出てくる。これは私のひがみですから私のひとり言と思っていただきたいが、そういうものに官僚が入っていくという危険性があるので、この点は通産大臣はよほど気をつけて運営されないといけない。それから同時に、基本的に言うと、私はここで滝井さんが言っておったように、理屈がおかしいですよ。この販売価格合理化法の五十八条の基準炭価を中心にしてきめる、こう書いてあるでしょう。その購入価格はいまの話では一本で三百円なら三百円、購入価格はそれを基準にしておるかもしれぬけれども、販売価格はいまのように還付金との調節だ。それからいうと収支関係が頭に入って適当に分けるわけだ。そのものと非常に原価主義をたてまえとしておる合理化法の基準炭価の概念は、これは理屈の上では結びつきません。それはほんとうはどう考えておられるのですか。私は法制局さんに聞いたら、これは広いことばで準拠という概念の中に入れてもいいと言われた。しかし法制局さんの理屈もあきまへん。準拠というようなまたしろうとにわからぬようなことばづかいをしなさんな。これが責任をあいまいにし、業界をおかしくするもとになるわけだ。基準炭価なら基準炭価じゃないか。いまの話で三百円上げなければならぬなんという意味は、生産の費用が上がってくるとか、あるいはその他の経済事情が変わってきて、石炭値段を三百円上げなければならぬという理屈に立つのが、合理化法の五十八条の考え方なんです。その値段のきめ方と自分の会社収支まで考えて損金に割り振ってでき上がったところの九社の値段というものとは、質的には全然違ってくるものでしょう。だから、皆さん時間を取って悪かったけれども、その辺は問題を残しておいて考えていきたい。それは話が全然おかしい。もっと私は端的にすべきだと思う。第一それならば、プールにするだけの話であるならば、販売会社は必要でたい。そうしてしかも、電力会社の言うとおりとするということであるならば、何のために販売会社があるのか、わけがわからぬということになる。したがって、この問題に対して少し私異議を唱えるように言うと、石炭だけにつらいような、冷たく当たるように見られるからやめておきますけれども、言うならば石炭会社が非常に赤字で困っており、日本の国のエネルギー政策的観点から石炭をある程度何とかせぬならぬという至上命令の上に、政府責任を回避する、官僚は官僚的なかせぎを行なう、そしてほんとうは兄弟のように手を握らなければならない電気会社のほうは、くそったれ、それほどおれのほうをたたくなら逆に今度はたたいてやる、こういう感じが現実にあらわれようとしつつある。そのために通産大臣、いま仲裁で苦労されておるでしょうが。私はこの法案はこのような意味で、基本的な石炭産業の問題とからんで、問題が非常に残っておると思うのです。したがって、どうか今後基本的な石炭産業の方針を立てられ、そうしてこういうあいまいもことして責任がどこにあるのかわからぬような状態は一日も早く解消されるように希望して、私は質問を終わっておきます。
  148. 加藤高藏

  149. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 法制局にお尋ねしたい。  この販売会社石炭生産者並びに商社から買い受け、それからそれを電力会社に販売をするわけですが、価格の点は政府がおきめになるから問題ないのです。価格以外の数量、銘柄その他の取引条件において違約があった場合、損害賠償の請求はどこにするのですか。
  150. 田中康民

    田中(康)政府委員 この改正法の第十四条によりますと、石炭販売会社は、一方におきまして、石炭の販売業者と買い入れの契約をする、それから他方におきまして、電気事業者と販売の契約の両者を行ないます。そこで石炭販売会社と公益事業者、電気事業者との関係は、もしそこに違約といいますか、債務不履行あるいは不完全履行というようなものがございました場合には、電気事業者は当然契約上、第十四条から見まするならば、石炭販売会社に対して請求をいたすことができる、かように考えます。
  151. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 そうすると、当該電力用炭株式会社に対して請求をする、こういうことになるわけですね。
  152. 田中康民

    田中(康)政府委員 石炭販売会社に対しまして請求をいたすことに相なるのが、第十四条の趣旨でございますけれども、しかしながら、あとは実際の運用ということに相なるかと思いまするけれども、法制局におきまして、はたしてそういうことにいたしまするならば、販売会社は不測の損害をこうむることもあり得るのではないか、そういうことがございまするので、そういう点を指摘いたしまして、種々論議をいたしましたところ、通産省側におきましては、その点は販売会社と電気事業者及び販売会社石炭の販売業者、この三者間におきまして特約を結びまして、石炭販売会社が、たとえば不完全履行をいたしましたような場合の損害賠償請求権を、直接に電気事業者から石炭の販売業者のほうにいくとか、そういうような方法をとることは可能であるから、そういうような運用にいたしたいというような話がございました。これを法律に照らして見ますと、契約自由の原則は当然貫徹いたすことができるものでありますと同時に、当第十四条の規定の趣旨から申しましても、そういう特約を無効としたり、あるいはできないというふうな趣旨と解する必要もない。また第一条の目的から申しますると、石炭価格の安定ということを特にこれはうたっておりますので、その安定にもまた資することになると考えまして、そういうような方法は当然実際上も可能である、かように考えておるわけであります。
  153. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 そうすると、石炭局長にお聞きしますが、特約によって、実際上電力用炭販売株式会社責任の追及を受けることはない、こう考えてよろしいですか。
  154. 井上亮

    ○井上政府委員 そのとおりだと思います。
  155. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 しからば十四条のただし書きの場合、あるいはまた十六条の災害等の例外規定、それから十七条の指示によるその後の当販売会社の例外処置、これらの場合はどうなります。
  156. 井上亮

    ○井上政府委員 この点もやはり同じように、特約を結んで免責されるというふうにいたしたいと思います。その場合といえども、やはりたとえば十七条であれば、これは十四条の、要するに電力業界のフリーチョイスのたてまえをとらない場合、直接買う。買って、供給するというような場合があろうと思います。その場合にも売買契約に際しまして、やはり免責されるような特約を、この場合は個別の問題になりましょうが、個別に結んで善処したいというふうに考えております。  十四条のこのただし書きは、これは災害のような場合には、石炭業界電力業界との事前の結合関係というようなものがなくても、これは非常事態ですから、売買契約はできるということでございますが、これもやはりこの会社石炭業者から石炭を買い、それから特定の電力会社に炭を供給するという、相手方は明確にわかっておるわけですから、買う場合にはその買う相手方がわかっておるのですから、それとの間にやはり特約を結びまして、クレーム処理等は免責されるような契約をするということになろうと思います。
  157. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 十四条のただし書きは、いまおっしゃったような、相手方が特定のない場合のことを書いているのだから、むしろそういう場合は、問題は、要するに、石炭販売会社が購入してそれを直接電力会社に売る、こういう形になるのではないか。それだからわざわざ十四条のただし書きが書いてあるのですね、ですからこの場合のは、私はちょっと違うのではないかと思うのです。  それから一体電力会社は、電力用炭株式会社ができても価格以外の点は全然再保証もない、契約も販売会社はその他の取引については責任がないというような形でこの法案に承諾しましたか。
  158. 井上亮

    ○井上政府委員 これは電力業界とももちろんこの法律をつくるに際しましては十分たんねんに、逐条的に検討して打ち合わせしたわけでございますから、その点は問題はございません。特に、法制局で審議の過程のこまかい討論まで打ち合わしております。したがいまして私は、問題は起こらないというふうに考えております。
  159. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 もう一点お尋ねしたいのですが、十五条の「第七条第一号に掲げる事業の遂行に必要な費用の予定額」、この内容はどういうものであるか。さらに、五十七億の三百円アップによる値上げ分のうち、二十七億は特別還付金でまかなうと言われるが、特別還付金二十七億というのはそのままプールに使えるかどうか、これをお聞かせ願いたい。
  160. 井上亮

    ○井上政府委員 まず最初の十五条二項の「第七条第一号に掲げる事業の遂行に必要な費用の予定額」、この「事業の遂行に必要な費用の予定額」といいますものは、これは経費でございます。先ほどトン当たり六円程度かもしれぬと申しました、そのことでございます。  それから第二点の、関税還付をいたします二十七億の問題は、これは多賀谷先生ちょっと勘違いをしておられるんじゃないかと思うのですけれども、これはこの会社のこういった売買関係とか費用関係とは何ら関係はございません。これはむしろ電力業界の収入にそれぞれみななるわけでございますから、還付されたものはこの今度できます販売会社関係なしに、東京電力なら東京電力の収入であり、中部電力の収入であるということになるわけであります。先ほどプール価格と申しましたのは、そういった各社の還付額がわかりますので、それを想定して、それを計算の一つの根拠にしたプールのときの値上げ幅をきあるというだけでございまして、ちょっとこの十五条とは直接的には関係ないわけでございます。
  161. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 十五条と直接関係のないことはわかりましたが、二十七億という還付財源、その見合いの金額というのは、プール価格操作の場合に全額を見込んでいいですか。
  162. 井上亮

    ○井上政府委員 全額見込む方針でございます。
  163. 宮本惇

    ○宮本政府委員 先ほど佐々木先生の御質問にもお答えしたのですが、いままで大体石炭の出ぐあいその他で還付額が幾らかわからないという状況であります。今度は先ほど申し上げましたように、それだけは必ず返すというたてまえをとっておりますから、見込んで差しつかえない、また見込まないとプールできないということになりますので、これは見込んでよろしいと思います。
  164. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 最後に、この販売と関係いたしまして、その石炭専用船の問題ですが、九州、といいましてもことに筑豊炭田等における専用船建造という運びになかなかならない。それは一つは機帆船の整理ができないということですね。そこで一体運輸省としてはこの機帆船整理に対する、いわば炭鉱における買い上げ機関というようなものを考えられないかどうか。これは整理をするのに非常に摩擦がある。摩擦があるから石炭専用船の再建造という運びにいかない。こういう点についてどういうようなお考えであるか。
  165. 高林康一

    ○高林説明員 機帆船の問題でございますが、機帆船は現在大体八十二、三万トン、主として九州、阪神、そういうところを動いております。全般的に、ただいま御指摘のありましたように、現在の輸送事業の動向から見ますと、相当過剰な状況を来たしております。従来機帆船の主たる運搬物資は、やはり大宗貨物が石炭でございます。それから鉄鋼、こういうようなものが大宗貨物でございます。石炭につきましてはかつての輸送量より非常に激減しております。現在約三千万トン台を輸送しておりますけれども、これが小型鋼船、あるいは大型船、場合によりましてはまた近代化専用船というような船舶の出現によりまして、機帆船のいわば需要というものが激減しております。この過剰状態に対処いたしますために、運輸省といたしましては、これは石炭を運びますところの機帆船のみではございませんけれども、一般の機帆船を対象にいたしまして、これを解撤いたしまして、それにかわりますところの近代化船、これは近代化資金という意味だけではございませんで、いろいろな新しい輸送需要に適合するところの船、たとえば石油あるいは鉄鋼あるいは石炭、セメント、こういうようなものの事業分野が非常にふえております。それらに対応し得るような船をつくる。一応一定数量をつぶしまして、それより少ない船をつくる。そのかわり性能のいい船をつくるというやり方をとっております。そのための組織といたしましては、特定船舶整備公団というのがあります。この特定船舶整備公団が、これらの機帆船事業者ないしは内航海運事業者でございますが、これと共同で建造する、そして共同して保有する。七割は特定船舶整備公団が持つというようなシステムをとってやっております。このシステムにつきましては今後さらに予算その他について増大をはかってまいりたいというふうに考えております。
  166. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 私が聞いておるのは、その整備公団はいわば新しい出発ですね。ところが整理をするものに対しては全然考慮されていないんじゃないか、私が言っているのはこういうことを言っているのです。炭鉱には再建の資金もありますよ。しかし整理をするについてはスクラップ計画に乗るものについては買い上げということがある。回し石炭の関連産業で最も近代化を要求されておる機帆船において、そういう整理の処置がないというのは無情じゃないか、こう言っているのです。
  167. 高林康一

    ○高林説明員 整理対象になります機帆船につき律しては、対象になるところの機帆船の事業主体かそれぞれ自分の持っておりますところの古い機帆船をつぶして、そしてそれによって新しい船を自分でつくっていくというやり方をとっております。それからもう一つは、そういうふうに新しい船をつくっていかない、もう今後やめるというような方ももちろんございます。そういうような方に対しましては、当然スクラップといたしましてそれらを買うわけでございます。そして買うことによりましてそれぞれの従来の古船の整理をするというようなシステムで進めていくというふうに考えております。
  168. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 古い機帆船をだれが買うのですか。
  169. 高林康一

    ○高林説明員 これは自分みずからでつくります場合のほかに、ほかの内航海運業者、これはいろいろ場合によりまして機帆船のほかに鋼船をやっておる事業者もあります。それからそういう内航海運事業者自身がそれを買いまして、そしてそれをつぶしてやっていくという、いわゆるスクラップ・ビルド方式というのをとっておるわけであります。
  170. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 スクラップで買うんじゃないでしょう。スクラップ代として買うのでしょう。買うと言いましても、船として買うのではないでしょう。
  171. 高林康一

    ○高林説明員 これはもちろんスクラップとして買うといいますか、その公団で船舶をつくりますときに、一定の船をスクラップすることを条件といたしまして、船をつくるわけです。したがって買うほうは、その船をスクラップ価格よりももっと高い価格で買う。実際問題としましては従前の価格よりも、機帆船の売買価格というものは、一般の船の売買価格というようなものを基準にいたしまして売買されておるというのが実情でございます。
  172. 加藤高藏

    加藤委員長 これにて本案に対する質疑を終局するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  173. 加藤高藏

    加藤委員長 御異議なしと認めます。よって、本案に対する質疑はこれにて終局いたしました。
  174. 加藤高藏

    加藤委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の通告もありませんので、直ちに採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  175. 加藤高藏

    加藤委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。  ただいま可決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  176. 加藤高藏

    加藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。   〔報告書は附録に掲載〕
  177. 加藤高藏

    加藤委員長 次会は明二十五日午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時四十八分散会