○滝井
委員 ちょっと関連。いまの
ガスマスク、救命器の問題ですが、これが自己携帯か
坑内常置かということ。いまは
坑内に常置しておるわけですね。ところが、それは
切り羽のそばに置いておるわけではないわけです。
切り羽から相当離れておる。しかもそこまで行くのには、いよいよ
ガスが
爆発しそうだとか、あるいはどこかの局所に簡単な
爆発があったとかいうようなときに、停電その他が起こりますと、どこにあるかわからぬのです。私も三池の広い
坑道の中で、ここに常置しておりますというところを案内してもらったんです。そして今度は
切り羽に行きましたけれ
ども、さて今度は、いざ鎌倉というときに、あの狭い
坑道で、狭い場所に置いてある救命器のところにだあっと人が殺倒してしまったら、これはたいへんなことなんです。間に合わないですよ。私が見ても間に合わないと思う。こういう点は、
ガスが
爆発をして何十億の損ということになれば、そういうことを計算に入れたら、初めから備えつけて持たせておくほうが一番安上がりですよ。ただこの場合は、そうしたいけれ
ども、救命器を製造する工場の
関係その他があって、それが間に合わぬ。したがって、順次そういう方向に持っていきますというお答えじゃなかったんですかね。いままた聞いてみると、言を
左右にしておる。問題は、こういう簡単なことでさえ実施ができないんですから、あなた方が
ガスが一・五%以上あるぞ、すみやかにやれと言ったって、やはり言を
左右にしてやらぬということと同じです。事が万事です。金がかかって捨て銭になるかもしれぬ。しかし大
爆発が起こって莫大な捨て金をするよりか、はるかに安上がりだと思います。だからそういう万全の
対策は、もう何回かみんなから言われて、何回あやまちを繰り返しておるかわからぬのだから、この際は金がかかっても、事業主がやらなければ国がそれくらいやってしまうというぐらいの態勢でいかなければならぬのじゃないかと思うのです。
それから立ったついでに。もう一つ関連するんですが、実はこういう
坑内における
メタンガスなり
一酸化炭素がどれくらいあるか、それが一体人体にどれくらい具体的な影響を及ぼしつつあるかという
坑内の
状態について絶えず調べるのは、これは少なくとも
坑外でいえば公衆衛生の学者がやることになるわけです。当然これは公衆衛生の連続した部面になるわけです。そういうものをやる公衆衛生の医学者がいま
保安局におるかというと、いないですね。安全衛生をやる
労働省におるかというと、
労働省にもいない。欠除しておる。こういう問題について、一体なぜ医者を置かないかということです。一つも置いていない。したがって
三井の
爆発その他でも、
労働省に医者がいないから、厚生省に依頼しなければならぬでしょう。三池の
爆発のときはみんな厚生省が
治療その他についてどんどん加勢をしているんですよ。そういう点で、いまの給与が安かったりして、安全衛生のきちっとした体系というものが、
労働省にはあるにはあるが、しかし十分ではない。こういう問題というものは、その
専門家が入って行ってやるということでなければならぬ。そうすると、そういう点はたとえば、通産省が
保安を一挙に労働行政に移す前に、過渡的な
措置としては、
労働省のそういう安全衛生を担当する
専門の医者を置いておって、それが入って行って見ていく、こういうような形をとらないと、とても
川原さんのところだけではどうにもならぬ。あまりにもあやまちを繰り返しすぎた。この前私
たちは、
保安行政を
労働省に移せという問題を提起した。そしてずっと前には、一挙に
労働省に移すことは困難だろうから、したがって、選炭場までは
坑外なんだから、そこまでは
労働省にやってもらったらどうかということを一応提案したこともあった。しかしそういうことも一通産省のほうで一生懸命やると言っておるのだからということで、黙っておった。しかしもうこの段階になると、
保安の問題は
川原さんのところにあったにしても、こういう安全衛生の問題その他重要な関連がある、毎日働く仕事場なんですから、そういう点は
労働省に
専門家を置いて、
労働省がそういうことを見ていくという形をもうとらないとだめだと思う。あんまり私
たちが長く通産省に同情をして、
川原さんは一生懸命にやっておるから、やっておるからということではとても……。いまのビルド鉱に起こるのですからね。三池とか北炭とかいう、日本一流の大手の炭鉱に起こる、しかもきわめて政治力の強いところに起こるということになれば、これはやはりきちっとおきゅうをすえなければいかぬ。おきゅうをすえるためには、私はそういう形をとる以外にないと思う。そういう点に対する通産省の考え方、
労働省の考え方、厚生省の考え方をあわせて御答弁を願いたいと思うのです。まず、直ちに救命具を備えつけるかどうか。それからいまのような安全衛生、いわば毎日働く職場なんですから、したがってそこでは、公衆衛生と同じようなきちっとした体制がとられていなければならぬ。この点をひとつお答えを願いたい。