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1965-03-04 第48回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第7号 公式Web版

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  1. 会議録情報

    昭和四十年三月四日(木曜日)    午前十時二十八分開議  出席委員    委員長 加藤 高藏君    理事 有田 喜一君 理事 藏内 修治君    理事 壽原 正一君 理事 中川 俊思君    理事 中村 寅太君 理事 多賀谷真稔君    理事 滝井 義高君 理事 細谷 治嘉君       小笠 公韶君    田中 六助君       中村 幸八君    野見山清造君       三原 朝雄君    井手 以誠君       中村 重光君    松井 政吉君  出席政府委員         厚生事務官         (医務局次長) 大崎  康君         通商産業政務次         官       岡崎 英城君         通商産業事務官         (石炭局長)  井上  亮君         通商産業事務官         (鉱山保安局         長)      川原 英之君         労働基準監督官         (労働基準局         長)      村上 茂利君  委員外出席者         厚 生 技 官         (医務局国立病         院課長)    浜田  彪君         通商産業事務官         (鉱山保安局管         理課長)    森田三喜男君         通商産業鉱務監         督官         (鉱山保安局石         炭課長)    佐伯 博藏君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  石炭鉱山保安問題(北炭夕張炭鉱爆発事故  等)  日本炭礦高松鉱業所施業案等に関する問題  派遣委員からの報告聴取      ————◇—————
  2. 加藤委員長(加藤高藏)

    加藤委員長 これより会議を開きます。  参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  すなわち、石炭鉱山保安問題について、参考人出頭を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 加藤委員長(加藤高藏)

    加藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。  また、参考人出頭日時、人選等につきましては、委員長に御一任願っておきたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 加藤委員長(加藤高藏)

    加藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。      ————◇—————
  5. 加藤委員長(加藤高藏)

    加藤委員長 次に、過日北炭夕張炭鉱爆発事故実情調査のため、本委員会から参りました派遣委員より報告を聴取することといたします。中川俊思君
  6. 中川(俊)委員(中川俊思)

    中川(俊)委員 北海道炭礦汽船株式会社夕張炭鉱第一鉱丁未坑爆発事故調査に関し、御報告申し上げます。  派遣委員加藤藏委員長藏内修治、多賀谷真稔八木昇伊藤卯四郎並びに不肖中川俊思の各委員と、現地において壽原正一委員及び篠田弘作議員も参加されました。   私ども一行は、二月二十五日早朝、羽田空港を出発して現地へ向かい、翌二十六日午後三時羽田に帰着いたしました。  夕張炭鉱は、第一丁未坑及び第二坑本坑よりなり、今回事故発生を見た丁未坑は最上区域千歳区域に分かれ、現在おもに稼行している区域最上区域であり、千歳区域水力採炭を行なうための準備を進めていたのであります。  災害発生した最上区域坑内状況は、通洞坑口から水平坑道で約八百メートル、斜坑約手三百五十メートル、計約二千二百メートルを経て坑底ポケットに至り、さらにここから左右に展開して、夕張夾炭層(六尺層、八尺層、十尺層)の六尺層を長壁採炭法により採掘していたのであります。  次に、災害発生地域と見られている右部内のおもな作業場を申し上げますと、第一が右3六尺の切り羽であります。切り羽払い面長は約百二十メートル、払い傾斜約三十度(真傾斜四十度)炭丈二・二メートルないし二・三メートルであり、日産四百トンの出炭を行なっておりました。なお、この切り羽は本年二月一日に採炭を開始したのであります。第二は右三坑道の掘進現場、第三は最上ベルト右坑道の掘進であり、ともに岩石掘進であります。  通気は、通洞坑口を人気とし、本斜坑坑底より左右に分流し、各切り羽を通って深部風道、第一風道を経て、第一風洞坑外に設けられた二百五十馬力の主要扇風機により排気されているのであります。  次に、事故発生時の状況について申し上げます。  二月二十二日、職員十四名、鉱員百五十二名、組夫六名、計百七十二名が二番方として最上区域に配番され作業しておりましたところ、午後六時三十分ごろ、右3六尺切り羽付近爆発が起こり、主として左部内におりました者約百三十名は直ちに退避しましたが、右部内におりました六十九名は坑内に閉じ込められたのであります。  災害発生後、会社側は六十五名よりなる救護隊を編成して救出作業を行ない、崩落個所の取りあげ、有毒ガスの排除につとめつつ、罹災者の収容を行なったのでありますが、不幸六十一名の死亡者、十二名の重傷者、五名の軽傷者を出したのであります。  災害発生原因につきましては、いまだ全面的な調査がなされていないため、明らかでありませんが、死亡者その他の状況より見て、メタンガス可燃性ガス)の爆発によるものであることが推測されております。  この点について臨時夕張災害対策本部古屋本部長たちと会合の際の説明によれば、災害発生したと予想される地域は、右3六尺の切り羽付近ではないかと思う。当地区は比較的メタンガスの多い地域であり、現に二月十二日夕張鉱山保安監督署より派遣された鉱山保安監督官がこの地域を巡検した際、右二番坑道付近で二・二%、二・四%のメタンガスがあること、及び右3六尺の切り羽上部に一・九%のメタンガスがあることを指摘され、鉱山保安法保安規則に規定されている一・五%以下に改善することを指示されているのであります。すなわち改善方法として、ガス抜き本数増加坑道面の拡張、坑道掘進のためのハッパの禁止等指示されているのであります。したがって、地域的に通気状態は必ずしも良好ではなかったのであります。と報告がありました。  なお、二月十二日の指示に基づく改善に対し、さらに安全を期するために、二月二十二日、切り羽面上部を十日間で七十メートル拡張すること等を札幌鉱山保安監督局長より指示がありましたが、不幸にもその日の夜、事故発生を見たのであります。  われわれは二月二十五日、千歳空港より夕張市に直行し、会社側労働組合側及び臨時夕張災害対策本部代表者より事情を聴取し、質疑をかわしました。  会談終了後、災害発生した丁未坑の坑口に参り、とうとい犠牲者の御冥福をお祈りして、引き続き火傷及び一酸化炭素中毒にかかられた方々を病床に見舞い、全快の早いことを院長をはじめ関係者にお願いいたしました。  現地におきましては、関係者よりそれぞれ要望等がありましたが、以下要約して申し上げます。  まず労働組合側からは、一、鉱山保安監督官が定期的に巡検して、種々勧告を行なっているが、勧告の内容を会社側だけでなく、組合側にも明示されたい。一、罹災者遺家族対策特段配慮をお願いするととも一に、特に未亡人雇用対策について、国会及び政府においても十分協力していただきたい。一、坑内労働者の不足している現状より見て、生産体制は人員に見合った計画のもとに行なうこととし、人命の安全、保安確保に万全を期せられたい。一、鉱山保安法を改正すること等であります。  次に、職員組合代表より、一、鉱山保安の万全を期するためには、保安監督の強化のみでは不十分であり、むしろ予防指導行政を重視すべきである。一、現行保安規則では、鉱山保安監督官保安確保の見地から作業を中止せしめる権限が明らかでないから、危険な作業場では作業させない制度を確立されたい。一、遺家族の生活安定をはかるため、特段配慮をお願いする。一、保安係員の配置について御検討願いたい。すなわち、現行保安規則第十条第五項では、鉱員五十名以内に一名の係員を配置することになっているが、本規定の再検討をお願いする。一、一酸化炭素中毒患者保護措置と同時に、これら患者の家族の生活保障をも一お考え願いたい等であります。  さらに、会社側よりは、一、従来から保安の万全を期するため十分な対策を立てて努力していたが、今回の事故発生を契機として、徹底的に保安対策を再検討したい。一、遺家族対策についても十分な措置を講ずるつもりでおりますから、国会におかれても山の再開に十分協力していただきたい等の発言がありました。  なお、遺家族対策につきましては、数日前、会社側が、就職を希望する未亡人雇用について、責任を持って措置することに決定されたことを申し上げておきます。  次に、災害の復旧につきましては、政府現地に設置した臨時対策本部中心に、活発な活動が行なわれており、おおむね満足すべき対策を着々と進めております。特に中毒患者治療遺家族に対する補償措置等は、非常に迅速な諸対策が進められておりました。  最後に、今回の事故調査して感じましたことを申し上げますと、第一は、事故発生をみた夕張炭鉱はわが国最優良炭鉱であるだけに、関係者に大きなショックを与えたことは、せっかく盛り上がった石炭鉱業への魅力をぶちこわし、離山ムードの再燃をおそれるものであります。したがって石炭関係者は、保安確保につきまして、保安確保なくして生産はあり得ないという考え方に徹して、今後このような災害発生を根絶するため、鉱山保安法等の改正をはじめ、関係法規運用等について適切な措置をすみやかに樹立することを強く要望するものであります。  終わりに臨み、不幸今次の災害でなくなられた方々の御冥福罹災者の一日も早い回復をお祈りして、報告を終わります。(拍手)      ————◇—————
  7. 加藤委員長(加藤高藏)

    加藤委員長 次に、石炭対策に関する件について調査を進めます。  北炭夕張炭鉱爆発事故等石炭鉱山保安問題について質疑に入りますが、質疑に先立ち、政府説明を求めることといたします。川原鉱山保安局長
  8. 川原政府委員(川原英之)

    川原政府委員 御報告を申し上げます前に、今回二月二十二日、夕張炭鉱におきましてまたこういう非常に大きな事故発生いたしました。まことに私ども一といたしまして遺憾に存じます。なお私、災害発生いたしました当日から現地に参っておりまして、災害対策本部の仕事をやっておりました関係上、先週本委員会に欠席をいたしました。この点深くおわびをいたします。  現地におきまして、本委員会の諸先生の御来夕をいただきまして、その際におきまして、一応それまでの経過は御報告を申し上げたのでございますが、その後若干の事情の変化あるいはできごともございましたので、その点につきまして重ねて御報告を申し上げたいと存じます。  二月二十五日五時ごろでございますか、事故発生と同時に坑内に入りまして、当初罹災者救出に力を注ぎ、かつ二十四日、五日と実際の司法捜査の過程に入りまして現場調査を行なっておりました札幌鉱山保安監督局鉱務監督官によりますと、調査を続けておりましたところが、二月二十五日の夕刻、この坑内の一部におきまして丁未坑最上右部内密閉のあるところでございますが、そこに一酸化炭素が急激にふえてまいったことを検知いたしましたのであります。この結果、自然発火がその密閉部内におきまして相当進行しているというふうに認められました。したがいまして、これは非常に大きな二次爆発危険性もございまして、そういうことが考えられましたので、鉱務監督官といたしましては、当時坑内に入坑いたしておりました会社側保安要員及びいろいろな関係調査団方々に、全員坑外に退去していただいたわけであります。その後、自然発火による第二次爆発ということを非常に懸念いたしまして、たしか夜の十時ころであったと思いますが、この自然発火を食いとめるのに水没をいたしたいという申し出があったのであります。この点につきましていろいろと、私ども鉱務監督官等とも種々検討をいたしました。やはりこの際第二次爆発危険性ということを考慮いたします場合に、水没もやむなきものであるということをきめまして、そういう処置をとることにいたしたわけであります。水没は二十六日の朝の二時三十分、正確に申し上げますと二時二十一分から注水を開始いたしました。当初坑内水毎分約二立米、それから坑外から、これは千歳坑水力採炭用確保しておりました水をもちまして〇・四立米、計二・四立米注水をしたのでありますが、なるべく早く自然発火をとめたいということでありますので、この注水量増加をはかりますためにいろいろのことを考えたのでございます。ただ現在、諸先生御存じのように非常に渇水期でございまして、なかなか水量が得られなかったのでございますが、結局士加別川をせきとめまして、そのせきとめた水から、パイプによりまして、ポンプアップいたしまして、これを二立米ほどこちらに持ってくるということにいたしたわけであります。結局四・四立米水量を現在注水いたしておる次第でございます。  この注水をどの部面までやるかということにつきましては、現在排気の坑口におきまして、監督官が一時間ごとガス分析を行なっております。このガス状態によりまして注水をコントロールいたしているわけでありますが、一応の見通しといたしましては、マイナス百レベルまで水がつきますのに、これは坑内にはいれませんのであくまで推測になりますが、三月四、五日。マイナス三十、つまり旧密閉など全部を水没いたしますには三月十五日くらいになるのではないか、かように存じます。実際にはマイナス百、つまり三月三、四日ころの予定のところまで注水をいたしますれば、あるいは空気が遮断されまして火が消えるかもしれません。この辺はガス測定を見ながら決定をしたいと思います。  なお、ガス観測につきましては、このガス分析につきましていろいろな複雑な関係があるようでございますので、精密な測定を要しますので、資源技術試験所にそのガス分析もあわせて行なってもらうという措置をとっております。現在そういう状態注水をいたしておる次第でございます。  なおこれに先立ちまして、二月二十四日でしたか、鉱務監督官司法捜査による調査と並行いたしまして、これを純粋に学術的な面から原因の追及をするという意味で、技術調査団の結成をお願いいたしました。北大の前の名誉教授であります佐山総先生を団長にいたしまして、北大東大早稲田、それぞれの専門の方をお願いいたしまして、現地にお越しを願ったわけでございます。  この調査団は、二月二十八日の十一時三十分に現地に到着されました。ただ、ただいま申し上げましたように、まことに残念ながら、そのときはもう坑内水没を開始いたしておりまして、坑内災害現場を見ることは不可能でございましたが、なおそれまでに坑内に入りましていろいろ調べております状況、あるいは労働組合、それから会社側のいろいろの事情を聴し、さらにそれまでにございます資料をもとにいたしまして、現在この原因検討を、別途調査団のほうでも行なってもらっておる次第でございます。  なお、これは私から申し上げるよりは、労働省からもお見えになっておりますので、労働省のほうから御説明をいただくほうが適当かと思いますが、災害対策本部をつくりましてから、医療並びに労災関係、さらに遺族補償というようなことにつきまして、種々の手を打ちまして、この点に関しましては、労働省のほうから、もし必要があれば御説明をしていただきたいと思います。
  9. 村上(茂)政府委員(村上茂利)

    村上(茂)政府委員 労働省といたしましては、災害発生報告を受けまして、本省労働基準局よりは安全専門家衛生専門家労災関係課長補佐を派遣いたしたのでありますが、引き続きまして、労災補償部補償課長現地に派遣したような次第でございます。特に遺族に対します補償費支払い、並びに入院患者に対します療養迅速化を目途といたしまして、災害発生当初とりました措置といたしましては、まず専門医現地に急派するということにいたしまして、災害発生事故直後、美唄労災病院古屋神経科部長夕張炭鉱病院に派遣いたしまして治療を応援せしめました。引き続いて翌二十三日、二十四日と、札幌医大の大和田教授外三名、北大古川教授外二名が夕張炭鉱病院におもむきまして、治療支援をいたした次第であります。  なお、別途三井三池の災害後における患者療養につきまして、いろいろ専門的に取り扱っておられました九州大学の黒岩教授を二月の二十六日、夕張炭鉱病院に招聘いたしまして、治療専門的指導を行なった次第でございます。  なおその際、救急医療薬品の急送を労災保険特別会計において行なったほか、一酸化炭素中毒に必要な医療器械につきまして現地に急送するといったような処置をとった次第でございます。  次に、遺族支払いました遺族補償費の額でございますが、事故発生後、労災保険特別会計といたしましては、一億円の予算措置を講じまして、所轄の岩見沢労働基準監督署におきまして、急速に支払い得るような処置を講じたのでございますが、二月の二十七日に五十八件につきまして九千四十九万円を支給いたし、身元不明の三名につきましても一、その後調査をいたしまして、本月二日に支払いを終了いたしました。その追加分二百七十八万円でございまして、両方合わせまして遺族補償費は、九千三百二十八万円と相なっております。  なお、重軽傷者で、いま入院中の者の療養につきましては、先ほど申しましたように、専門医を派遣いたしまして指導を行ないますと同時に、今後におきまして北海道におけるこの種専門の医師にお願いをいたしまして、医療関係顧問として岩見沢労災病院豊福博士外七名の方をお願い申し上げた次第であります。なお、患者医療につきましては、三井三池の災害におけるところの医療の経験を生かしまして、その医療指針に基づいた医療を行なっておる次第でございますが、一般的に申しますと、三井三池の災害の際における患者の症状よりは、一般に軽いようでございます。なお、重傷の者は主として火傷によるものが重傷と考えられております。今後におきましても、ただいま申しました医療顧問団中心にいたしまして治療の万全を期してまいりたい、かように考えておる次第でございます。  なお、これは労働基準局長というよりも、労働省で行ないました遺家族の今後の就職対策援護措置の問題がございます。先ほど中川先生から御報告がございましたように、遺家族就職問題につきましては、会社側も一責任を持って行なうということを二月二十七日の団体交渉の席上で明言されておるところでございますが、労働省といたしましても、遺家族会社直轄採用以外に、他の土地において就職を希望するといったような場合においては、就職あっせんとあわせまして、住宅援護等につきましてもできるだけの努力をいたしたいと考えておる次第でございます。  簡単でありますが、以上で報告を終わらせていただきます。
  10. 加藤委員長(加藤高藏)

    加藤委員長 質疑の通告がありますので、これを許します。多賀谷真稔君。
  11. 多賀谷委員(多賀谷真稔)

    多賀谷委員 北炭夕張炭鉱事故について質問いたしたいと思います。  いま、鉱山保安局長説明の中で、事故発生後、すなわち二十五日の夕刻からメタンガスが多く流出をして、第二次爆発のおそれがあるから、坑外にまず調査員を待避せしめ、さらに第二次爆発を防ぐために水没をさした、こういう報告があったわけです。この点について私たちは二十五日に調査団として調査にまいり、さらに二十六日に札幌において現地札幌鉱山保安監督局長からその事情を聞いたわけです。その際、矢島監督局長と、いまの鉱山保安局長との水没をさした原因が違うわけです。それは一体可燃性ガスによる第二次爆発をおそれてしたのか、一酸化炭素が多く出て非常に異常な危険になったから水没さしたのか、この点が食い違いがあるわけです。ですから、まずその点をお聞かせ願いたい。
  12. 川原政府委員(川原英之)

    川原政府委員 先ほど御報告申し上げましたように、一番災害のひどかった右3六尺の払い上部のちょっと図面で……。
  13. 多賀谷委員(多賀谷真稔)

    多賀谷委員 おっしゃれば大体わかりますよ。
  14. 川原政府委員(川原英之)

    川原政府委員 上部のほうの密閉が十二カ所ございますが、その十二カ所のうちの十二番から七番までの密閉個所におきまして、そのサンプル試料をとりましてこれを分析いたしましたところ、COが非常にふえてまいった。それでその間にCOが非常にふえましたので、これはおそらく自然発火が起こっておる。自然発火が起こっている以上は、このまま放置する場合には爆発を起こす。メタンも相当ございますし、爆発を起こすおそれがある。なおCOがふえておりますので、その点で中に入っておられる方を全部至急退避させまして、爆発に対する対策につきましていろいろと協議をいたしたわけであります。退避をさせましたのはCOでございますが、十時過ぎから水没をさせなければなるまいということに踏み切りましたのは、爆発をおそれてやったわけであります。
  15. 多賀谷委員(多賀谷真稔)

    多賀谷委員 密閉個所COが非常に多くなった。すでにどこかで自然発火をしておるのではないか、こういうおそれがあったから退避をさした。しかしメタンガスが相当多いので、これは第二次爆発のおそれがある。こういうことで水没に踏み切った、こういうことですが、実は二十六日の日の新聞を見ましても、各社の新聞まちまちです。北海道タイムスは、メタンガスが多いから爆発のおそれがあるから水没北海道新聞はCOが多くて異常な危険が出てきたからこれは水没、こういう状態で、きわめて原因の主たるものがどちらにあるのかはっきりしなかったのですが、いまのお話で大体わかりました。  そこで、いま局長からのお話の中で、もう水没をしたいという申し出があった、こうおっしゃいますけれども、その申し出というのは一体どこからの申し出なんですか。
  16. 川原政府委員(川原英之)

    川原政府委員 COが非常にふえてまいったことを監督局保安監督官が知りまして、これをほっておけばおそらく自然発火による爆発がまた出るのじゃないかということで、密閉でこれをとめるか、あるいはどうするかということを至急検討しろということを会社に指令したわけでございます。結局会社側におきましても、密閉によるか水没によるかをいろいろ討議したようでありますが、どうも自然発火区域が相当広いということで、これはとうてい中途はんぱな密閉ではかえって危険であるということで、水没に踏み切りたいということを、ちょうど十時ごろでありましたが、申してまいったわけであります。
  17. 多賀谷委員(多賀谷真稔)

    多賀谷委員 では、事故の問題について質問いたしたいと思います。  十二日に保安監督官現地に入って勧告をした。すなわち右二盤下坑道において二・二%ないし二・四%、右3六尺払いにおいて一・九%のガスを検出した、こういうことで勧告をしたというのですが、一体十二日以前の状態はどういうように把握されておるのか、これは監督官が入ってから急にガスが出たわけではないでしょうが、十二日以前の状態はどういうようであったか、これをいまどういうふうに把握されておるのか、お聞かせ願いたい。
  18. 川原政府委員(川原英之)

    川原政府委員 この夕張鉱の第一鉱につきましては、その前に参りました監督官勧告は十一月でございました。この切り羽は二月一日に始まった切り羽であります。したがいまして、二月一日から二月十二日までの十日間の事情につきましては、保安日誌その他によって見るよりいたし方がないのでありますが、この点はそれを見てまいっております佐伯石炭課長から説明いたさせます。
  19. 佐伯説明員(佐伯博藏)

    佐伯説明員 お答え申し上げます。  ただいま局長から申し上げましたように、保安日誌その他でその前の状況を現在調査中でございます。そのほかになお関係者から聞き取りをいたしておる最中でございますが、いままでに把握しておりますところは、大体その辺のところは一・四%ないし一・五%のガスがあったというふうに、保安日誌等では記載されております。なお、もう少し多かったかどうかという点については、目下関係者から聞き取りをいたしておる最中でございます。
  20. 多賀谷委員(多賀谷真稔)

    多賀谷委員 一・四%ないし一・五%のガスが検出されたということを保安日誌に載せておる。それについて、監督官が行く十二日前において、会社側はどういう手を打ったか。
  21. 佐伯説明員(佐伯博藏)

    佐伯説明員 その前の状況は、先ほど局長が申し上げましたように、二月一日に採炭が開始されたわけでありますので、その後ガスが一部はそれよりも若干多いのじゃないかということもわかっておったようでありますが、それに対しては坑道を広めるとか、うしろの密閉を強化するとかいうような手を打っておったようでありますが、その後十二日に監督官が抜き打ち検査をいたしまして、そのときに先生御承知のようなことを発見いたしましたので、いろいろ指示いたしたような次第でございます。
  22. 多賀谷委員(多賀谷真稔)

    多賀谷委員 会社としても事前に坑道の拡大等をやっていたのですか、やらぬのですか。
  23. 佐伯説明員(佐伯博藏)

    佐伯説明員 坑道を広めることは少しずつやっておったようでありますが、その辺のところにつきましては、これまた目下聞き取り捜査をいたしておる最中でございます。
  24. 多賀谷委員(多賀谷真稔)

    多賀谷委員 しかし、この坑道の拡大をやったかやらないかというようなことは、きわめて単純なことですね。これすらまだ把握されていないのですか、事前に会社がやったかどうか。
  25. 佐伯説明員(佐伯博藏)

    佐伯説明員 それはやっておったようでございますけれども、現実に十二日の日には、相当にと申しますか、ゲート坑道におきましても、それから払いの上添え坑道におきましても狭小なところがあったようでございますので、それをすぐに拡大するように監督表で指示をいたしたわけでございます。
  26. 多賀谷委員(多賀谷真稔)

    多賀谷委員 夕張炭鉱は昭和三十五年、四十二名のガス爆発をしております。さらにその後清水沢においても事故があって、遺体の上がらないまま、いわば生き埋めの状態で事後処理をした、こういう例も一ある。しかもそれは甲種炭鉱である。そこで三十五年の事故後、会社ガス爆発に対して全面的にどういう処置をとったか、これが調査できておればお知らせ願いたい。
  27. 佐伯説明員(佐伯博藏)

    佐伯説明員 過去の災害事例等によりまして、たとえば鉄柱の摩擦板のところを従来は軽合金を使っておったようでございますが、それを摩擦火花による着火をなくするために、全面的に鉄柱の摩擦板を銅合金に切りかえるというふうなことや、ガス検定を強化するというふうなこと、及び社内検査を強化をするというふうなことで、特別の社内検査の班を設ける等のことをいたしておったようでございますが、その辺につきましては、今回の災害調査という点に私自身主力を置いおりまして、まだ全部を把握しておりません。これは変わるわけではございませんので、なおもう少し、どのようなことをやったかということを正確に調べたいと思います。
  28. 多賀谷委員(多賀谷真稔)

    多賀谷委員 夕張炭鉱においてはすでに、四十二名の三十五年における爆発以前にも、相当の大きな爆発が起こっておるわけです。三十五年に四十二名という事故を出したわけですから、会社は少なくとも保安についてはいわば再点検をして、そうして保安に対する万全の、少なくとも非常に前進した処置をとったはずですね。またとらなければならなかったと思うのです。ですから、一体三十五年の災害の教訓を生かして会社は全面的にどういう処置をしたかということを、きょうでなくてもけっこうですから、お調べを願いたい。それがどういう効果をあらわしておるのか、これをぜひ聞いてみたいと思うわけです。  それから次に、私は非常に遺憾に思うのは、坑道の拡大というようなこと、これを保安監督官勧告をしなければならないという状態は、実に情けないと思うのです。これは中小炭鉱ではないわけですからね。三池とか北海道炭礦のようなところで、これは坑道が小さいから、通気が悪いから、大きくしなさいなんという勧告を受けるようなことでは、私はあとから質問をいたしますけれども、大炭鉱へこういう注意をしなければならぬようなことでは、何千人監督官をふやしてみても、もう処置なしですよ。こういう実に原始的な単純な、初歩的なことができていないのですね。ですから非常に残念に思うのですが、これはあとから総括して質問をしたいと思います。  そこで、そのときの処置として、これはガスがかなり出る。しかも新しい切り羽である。そうすれば、日本の炭層は御存じのように、石炭紀の石炭じゃないから、いわば褐炭ぐらいの時代の石炭が地殻の変動によって圧縮されて石炭になっておるわけですから、ガス突出であるとか、あるいは断層があるとか、切り羽が新しい場合には非常に変化のある状態になるわけですね。ですから、一・五%以上検出されれば、場所によれば二・五%以上になるところもあるし、また、いますでに十二日の検査でも一、二・四%というガスの検出をみておるのですから、これに対して直ちに作業中止というような処置はとられなかったのかどうか。法律にはあるわけです。そういう権限を与えておるわけですね。ですから、それは何日も作業中止をせよということは言っていないのですけれども、そういう処置をなぜ保安監督官はとらなかったのか、これをお聞かせ願いたい。
  29. 佐伯説明員(佐伯博藏)

    佐伯説明員 いまの件をお答えいたす前に、ちょっと一つ前のお答えで失念をいたしておりました。この前の夕張災害のときには、ベルトコンベヤーのベルトが問題でございましたので、その後それを不燃性のベルトに全面的に取りかえるというふうなことをいたしておるようでございます。その点が最近の一番大きく変わった点じゃなかろうかと思いますが、そのほかの点につきましては、先生御指摘のようなことでございますので、直ちに調べたいと思います。それから、十二日の日のガスの件に対する検出の問題でございますが、一つは、一番大きくございました二・二%ないし二・四%ガスがございましたところは、右二盤下坑道でございまして、そこはもともと岩石坑道の個所でございます。したがって、ここには戸を設けまして空気をわずかに送っておったわけでございますが、ここは、監督官現地でそれを発見いたしました直後、すぐその場で、同行しておりました係長が門を少し開くということによって、即座に一・三%にガスを減らす処置、これは簡単にできるわけでございますが、それをいたしておるようでございます。それで、ここはすぐに急迫な危険ということはないというふうに判断したようでございます。なお、この点につきましては、その門を若干開くというふうな応急処置だけでは必ずしも十分ではないと私たちも思いますので、先生先ほどお話がございましたように、二月二十二日に再度この辺のガスを全般的に減らす方法を指示いたしておりますが、当面の処置といたしては、それで私たちもよかったのではなかろうかというふうに考えております。  それから、右二六尺ロングの上添え坑道に一・七%のガスがあったわけでございますが、これは、一・七というぐらいで、先生も御指摘のように、一・七あれば、も一つと多いところがあるかもわかりませんが、一応風が相当通っておるところでございますので、まあ一・七ぐらいでございますので、なるべく早くこれは坑道の拡大をいたせば、すぐにと申しますか、坑道の拡大には数回の日数を要するわけでございますが、すぐに減るわけでございますので、これは坑道の拡大を急ぐようにという指示でいくことがいいのじゃなかろうかということで、監督官はそのほうを指示をいたしたわけでございます。  なお、もう一カ所、右二の切りかえ坑道のハッパの点火個所におきましてガスが多かったわけでございますので、これはガスが多いところではハッパをしてはいけないというふうに指示をいたしておるわけでございます。
  30. 多賀谷委員(多賀谷真稔)

    多賀谷委員 この岩石掘進におけるハッパの問題ですね。ハッパはガスの多いところでしてはならぬ、こういう指示をした。会社側のほうは、私が聞きましたところによると、二番方ではハッパはかけなかった、こう言っておるのですから、火源としてのハッパというものは一応考慮をしなくてもいいと考えていいのですか。
  31. 佐伯説明員(佐伯博藏)

    佐伯説明員 そのように指示をいたしておりますが、毎回一番方でハッパをかけておったようでございまして、その当日も火薬類の受け渡しその他、それから災害後に監督官が入ってみた状況から判断いたしまして、まず二番方ではハッパはいたしておらないというふうに考えられます。
  32. 多賀谷委員(多賀谷真稔)

    多賀谷委員 ですから当問題としては、指示はしたけれども、ハッパの問題要するに電気点火をする問題ですが、この問題については考慮外の問題として扱っていいのではないか、こういうふうに今事件としては思うわけです。  そこで、十二日に勧告をした。さらに二十二日に、役所に呼んで文書を渡した。その際に七十メートルの坑道を拡大せよということを指示した、こういうことです。しかし結局私は、メタンガスが多かったということは事実で、火源は水没をいたしましたから、結局永久にわからぬだろうと思います。そうすると、その坑道の拡大をなぜ急がなかったかですね。普通のような作業指示、普通の状態保安を考えるからこういう事故が起こるわけです。ですから、ほかの切り羽あるいはほかの掘進も一時やめて坑道を拡大せよ、こういう指示がなぜできないのか。とにかく迅速にやるということが、今度の場合は抜けておるのですよ。確かに指示をした。そうしてさらに十日後に文書を渡した。指示をしたことは適確ですよ。ところがそれが実施をされていないという、しかもそれが実施されておったらこういう事故が起こらなかったであろうというのですから、結局問題は時間の問題です。なぜ迅速にやらなかったか、また迅速にやるように習慣づけなかったか。ガスがあったら、三交代で坑道を拡大させればいいわけですよ。それを特別にそういうような人員を多くしないで、おそらく平常作業のような形でいわば坑道の拡大をしたのではないか、これが一つの問題点ではないかと思うのです。一体それについてどういう迅速な作業をしたのか、これをどういうように把握されておりますか。
  33. 川原政府委員(川原英之)

    川原政府委員 現地監督官から私が聞きましたところでは、最初監督表によりまして坑道の拡大を指示いたしました際に、会社側として二月二十七日までにやりますということを言っております。ただその進捗状況がどうかということにつきまして、特に急ぐという必要も一感じまして、二十二日札幌の局にあすこの保安管理者を呼びましたときに、進捗状況はどうか、急がなければいかぬじゃないかということを監督局の石炭課長が特にきびしく申しておるということを聞いておりますが、監督局といたしましても、これを急ぐということは、先生御指摘のように考えておったようでございます。
  34. 多賀谷委員(多賀谷真稔)

    多賀谷委員 十二日に勧告をして、二十七日にその勧告をされた坑道の拡大をやるといえば、この十五日間というのは非常に危険な状態でしょう。その法律は、作業の中止でも一できるくらい、停止をさす権限を与えておるわけですよ。それなのに、そういうガスが非常に多くなった、ひとつ坑道を拡大しなさい。それを十五日で会社のほうはやりたい、そうですか、こういうようなこと自体が問題ですよ。作業中止権限を与えておるのです。そういう大きな権限を与えておるのですから、突貫工事をやらすくらいな、そういう指示がなぜできないのですか。これは、そういうことを認めたこと自体に問題があるのですよ。それはゆっくりやりなさいという人はないでしょうけれども、これは日にちを限って——危険なんですからね。ですから、それだけ中止権限まで与えておるのですから、作業を急がすくらいの権限は当然包含されておる、それがなぜできないか。結局平常作業で、あまり支障のないような程度で保安をやろうとしておるところに問題があるのです。ですから結局勧告を受けた場合には、それはすみやかにやる、やらなければその間は停止をさしておけばいいわけです。ですから、そういうようなことがなぜできなかったか、これをお聞かせ願いたい。
  35. 川原政府委員(川原英之)

    川原政府委員 その点、多賀谷先生に御指摘をいただきましてたいへん恐縮でございますが、これは事実そういう事故が出ておりますので、申しわけじみて恐縮でございますが、先ほど佐伯石炭課長から申しましたように、とりあえずは風量の調整ということで応急の措置をとって、その間に坑道の拡大をやらせるということを考えたようでありまして、事故が起こりましたあとでそういうことを申し上げますと、先生御指摘の点につきまして弁解になるかもしれませんけれども、当時の監督官の考えといたしましては、応急の措置をとって、とりあえず危険を除いて、さらに根本的に坑道の拡大を指示するという方針をとったようでございます。
  36. 多賀谷委員(多賀谷真稔)

    多賀谷委員 三池あるいは夕張の場合も、監督官はその危険な個所を指摘をして、そうして勧告をしておるのですからね。勧告をしておって事故が起きたというのですから、非常に残念だと思うわけです。そこで監督権限というものを、やはり法の精神どおり行なうということが必要ではないですか。私はあとから申し上げますが、会社も労働者も、私は全然労働者も責任がないとはいえないだろうと思う。ことに職員の場合は非常に重大な責任があると思う。とにかく相当な年月坑内に入っていて、マンネリズムになっておるのですね。長いこと同じ炭鉱につとめておるのですから、ほんとうに保安を十分考え、人命を尊重する立場にあれば、長くおる連中のほうがわかるはずですよ。それを、言っては失礼ですけれども、若い監督官が行って指摘をしなければならぬというようなこと、これ自体が本来おかしいですよ。しかも、たまたま何かあまり普通の状態では発見され得なかったようなことを発見したというなら別として、だれでもわかるようなことを指摘を受けなければならぬという点について問題があると思う。  そこで続いて私は質問したいのですが、政府はこういう災害のあるたびに鉱山保安法の改正をやる、また国会でもそれを要請する、そうして石炭鉱山保安規則を改正するわけですね。ところが指摘をして改正になっておるのに、それが順守できなくて災害が起こっておるのですね。法律を改正した第一の場合は三池の災害でしようを備えつけなければならぬということになっておったのですよ。それが大辻の爆発、所長以下救護隊が中に入って全員死んだという事件で、やはりCOを備えつけなければならぬというので、わざわざ改正をした。改正をして三池は四百五十八名も死んだ。二十二名残してみな一酸化炭素でやられておるのです。ですから法律を改正し、規則を改正してそれを指示しておるのに、それが実行されないで死んでいっておるのです。これは非常に重大だと思うのですよ。今度の場合は、必ずしもこの前改正をしたことが順守されなかったから事故が起こったとは言いませんけれども、法律が国会を通過して、保安監督員の補佐員を置いたのは六月ですね。そうして、あなたのほうは十一月に公布をしておるのです。法律が六月に出て、こういうような保安の問題だからひとつ急いでくださいとおっしゃる。あれは御存じのように、保安協議会から出た答申がかなりおそかった。おそかったけれども、法律を出してばたばたと上げていったわけでしょう。そうして法律を早くあげておるけれども、いよいよ施行規則ができて、そして公布されたのは実際は十一月です。これが第一、お役所仕事です。事は保安の問題ですよ。法律を出しておれば、当然規則の改正は用意しておかなければならぬ。そうして法律が公布になったときから直ちにやらさなければならぬ。それができていない。それから、私は現地の労使とも問題があると思うけれども、せっかく政府として制度ができたのに現地においても監督員補佐員を任命していない。これもまた問題だと思う。聞くところによると、人員の点で組合の要求があって話がつかなかったということである。そういうことを聞いておるけれども、それは法律がいよいよ実施段階に入ってきめるべきことじゃないですよ。少くとも法律が可決されれば、当然話し合ってやらなければならぬ問題ですよ。これでも、私は会社にも組合にも責任があると思う。ですから、私たち事故の経験にかんがみて法律をつくって、そしてその法律の制度にのっとるようにやろうとするのに、それが実際はおくれて事故を誘発した、こういうことについてどういうように考えるのか、まず政務次官ひとつお聞かせ願いたい。
  37. 岡崎政府委員(岡崎英城)

    ○岡崎政府委員 ただいま多賀谷先生の御指摘になりました点は、十分通産当局としては考慮いたさなければならない問題でございますので、将来こういう法制その他整いました際には、実際の実施段階が一刻も早くまいりますように、十分気をつけて努力していかなければならないと思う次第でございます。  ただ後段の問題につきましては、事務当局から私の聞きましたところによりますと、いろいろ諮問いたしましたり何かいたしますところの手続が若干かかったようでございますが、いずれにいたしましても、事務的な運びの、について、もっと通産当局としては手早く事を運ばなければならないというような点について痛感されるわけでございますので、将来とも一十分留意してまいりたいと思う次第であります。
  38. 川原政府委員(川原英之)

    川原政府委員 ただいま、法律の施行期日が十一月までかかったということにつきましておしかりをいただきました。私どもも恐縮に存じます。ただ、この法律を通していただきましたあとで、具体的な規則の改正につきまして、これは相当広範な、全般的な改正をいたしましたために、技術的問題をいろいろと具体的に保安協議会におきまして何回も重ねて議論をいたす必要がございました。それからなお、監督員補佐員につきましても、具体的な問題が、いろいろの山のそれぞれの状況に応じた実情等について協議会におきまして議論がございまして、そのために施行期日が十一月になったのでありますが、いずれにいたしましても、これを一刻も一早く実施するということにつきまして今後十分留意をいたしたいと思います。  なお、監督員補佐員につきましても、実はこれはそれぞれの山におきましていろいろ事情が異なっておるようでございますが、法律では少なくとも一名は労働者の推薦する監督員補佐員を置くということになっておりますが、そのほかのことにつきましては、それぞれ労使間において話し合いをして、これは何名置いても、われわれとしては、法律といたしましては差しつかえないわけでございます。その辺の話し合いが実は手間どったり、いろいろなほかの事情がございまして、現在まで夕張炭鉱におきましてはまだ労働者推薦の補佐員の任命を見ていないという状態でございますが、これはわれわれとしましても、一刻も早くそういう新しい制度を実際の軌道に乗せていってもらうように要望をいたしておる次第であります。
  39. 多賀谷委員(多賀谷真稔)

    多賀谷委員 保安協議会でいろいろ意見が出て規則の制定等に手間どったと言われますけれども、中央鉱山保安協議会長青山秀三郎の名前で、昭和三十九年に改正した分は答申があっておるわけですよ。ですから、全然別のところから答申があって、それをまた保安協議会で議論をしておるというならば別として、先に答申をしているのですよ。答申をしているところにさらに規則をかけるのです。ですからこんな話は、並行してさらに細部にわたってやっていけばいいのですよ。大体役所は法律通過をじっと見ておって、法律が通過してからやっと規則をつくるのですから。法律が審議される国会の間中、局長、課長は国会に出ておるけれども、あとの職員は遊んでいるわけじゃないでしょう。有能な連中がいて、規則なんか並行してつくっておかなければいけないですよ。自民党だって、そんなにわれわれの修正に応ずるわけはないのです。応じてもわずかなところしか応じないのですから、少しくらい変わったからといっても、すぐ規則を直せばいいのです。ほかの法律ならば私は声を大にして言う必要はないけれども、事は保安でしょう。そして国会に審議をお願いして、すみやかに可決されんことを望みますと言って、国会で可決されてからゆっくり保安の規則をいじっておる、そういう態度が私は非常にけしからぬと思うのですよ。この前のCOの問題でもそうでしょう。一酸化炭素の救命器の問題でも、現実に大惨事が起こって、一酸化炭素で死んだのですよ。所長以下救命器をつけないで坑内救護隊で入って、全部死んでおるでしょう。それがあったので、政府がわざわざ補助金まで出してそれをつくらそうというのに、それを何年もゆっくりかけて、日本には生産が少ないからということでゆっくりやっておって、三池のような大災害を起こしたのです。実際、私は役所だけの責任ではないと思いますけれども、役所自体もきわめて怠慢ですよ。ですからそのことが指摘されておって、そして法律まで改正されておって、それでも事故が起こったというのですから、私は非常に残念に思うわけです。少なくとも保安については、法律改正案を国会に提出している間には、もう保安規則の整備をしておく、法律が公布されればすぐ規則も公布される、こういう状態が望ましいと思う。もう一度、政務次官、今後の保安の法律については迅速をとうとぶ、人命の問題ですからね。ですから、並行して事務当局では規則の案を用意しておく、そして法律が通過すれば、通過すると同時に保安協議会にかけてその規則の制定をする、こういうことが望ましいと思いますが、どうですか。
  40. 岡崎政府委員(岡崎英城)

    ○岡崎政府委員 先ほどもその点について私も痛感する旨申し上げた次第でございますが、ただいま多賀谷先生の御指摘、われわれも失いに反省しなければならない点が多々あるように思いますので、保安の問題につきましては、早急に、法律が通りました場合には即刻実施して効果をあげるような体制に持っていくように一そうの努力を払っていきたいということを申し上げる次第でございます。
  41. 多賀谷委員(多賀谷真稔)

    多賀谷委員 次に、法律の問題に関連して、実は保安監督官現地を見て勧告をし、指示をしたその文書の写しを必ず組合に提示をして見せてやるべきだということを、私たちここ十数年来本委員会において主張してきたのですよ。ところが、どうしても政府は聞かない。経営者は反対する。これは、一番災害を受けるのは労働者じゃないか、労働者に見せるのがなぜおかしいのか、きらうのかと言うけれども、どうしてもそれを提示することを拒否する。結局、しかたがありませんから法律を改正して、そういうような勧告があった場合には保安委員会にこういう勧告がありました、こういう処分がありましたと言って報告をする、こういうことになったのです。保安委員会というのは労使が出ておりますからね。ところが保安委員会は、現実には一月に一回くらいしか開かないのですよ。ですから、役に立たないのです。なぜそういうことを拒否するのか。今度改正される場合には当然このことは拒否なさらぬと思うけれども、一体政府はどういうように考えておるのか、これをお聞かせ願いたい。今度現地に参りましたときに、職員組合も労働組合も、ともにそのことを言いましたよ。その程度のものがなぜ提示できないのか。ですから、私たちは今度のこの北炭の災害を契機にして考えられることは全部一応提案してみたいと思う。それはまあいろいろ論議はあるでしょう。しかし、われわれの頭の中で一応考えられることは、一応提案をしてみて論議をしてみたい、こういうように思うのですが、いまの点一体どういうようにお考えですか。
  42. 岡崎政府委員(岡崎英城)

    ○岡崎政府委員 いまの多賀谷先生の問題につきましては、組合のほうに提示をすることを当局のほうで非常に反対をしておったというようなお話でございましたが、過去の経緯につきましては私十分知識がございませんものですから、局長から答弁いたします。
  43. 川原政府委員(川原英之)

    川原政府委員 ただいま多賀谷先生より御質疑のございました点につきまして、実はわれわれといたしましては、まず第一に、組合の代表者が、監督表を渡し、あるいは巡回をいたしますときに同行いたしますことを拒んでおるわけではございません。現にこの夕張炭鉱の場合にも、この監督表を公表いたしますときには、労働者の代表である保安委員が立ち会っておるというふうに聞いております。ただ、制度として法律上どう考えるかというお話でございますが、労働者の意見を反映するというような意味で、先ほど多賀谷先生より御指摘のございましたように、まず保安委員会に通達をかける。ただこれは一月に一ぺんというようなことで非常にぐあいが悪いという点につきまして、なおそういう点も、保安に関する労働者の代表というような意味で、実は保安監督員補佐員というものをこの前の国会におきまして新しい法律としてお認めを願ったわけでありますが、この補佐員の制度を今後活用するということも当然出てまいるわけであります。なお、監督官勧告を労働者全般に周知させるということにつきまして、われわれはいま申し上げたような方法が一つの方法であろうと思いますし、また、具体的な方法については保安法の体系としていろいろあろうかと思います。この点につきましては、さらに今回の事故にもかんがみまして検討をいたしたい、かように存じております。
  44. 多賀谷委員(多賀谷真稔)

    多賀谷委員 このガスが非常に多いということをどうして労働者に周知徹底さしたのですか。現実に、労働者はそれを知っていたのですか。そこに働いておる労働者は、ガスが多いということを知っていたでしょうか。
  45. 川原政府委員(川原英之)

    川原政府委員 この点につきましては、私現地監督官から聞いたところによりますと、この監督表を渡して公表するという際に、夕張炭鉱におきましては、労働者から選出された保安委員がおりまして、この保安委員が公表の際に一緒に立ち会うということにいたしておるようでございまして、そういう意味で、この監督表自身も当然承知しておったものと思います。したがいまして、われわれとしましては、その労働者の過半数から選出された保安委員に——これは全員一人一人に監督官が言ったわけではございませんけれども労働組合から出ておる保安委員がこの監督表には立ち会っております。
  46. 多賀谷委員(多賀谷真稔)

    多賀谷委員 いや、私が聞いておるのは、それは労働者から出る保安委員には示した、ですから、その人は知っておった。ところが、一体切り羽に働いておってなくなった労働者は、そのガスが多いということを知っておったかどうかというのです。
  47. 川原政府委員(川原英之)

    川原政府委員 この点につきまして、われわれとしても、保安委員が労働者代表で出ておりますので、保安委員に知らせれば労働者全般に伝わると思ったのでありますが、坑内には御承知のように、直轄も入っておりますし、組夫も入っておりますが、全般にこのガス状況を知らせるという方法につきまして、なお今後一番よい方法を考えなければならぬというふうにわれわれは考えております。
  48. 多賀谷委員(多賀谷真稔)

    多賀谷委員 今度の場合はガス爆発だったのですから、一酸化炭素患者が比較的少ないのですが、これはガス爆発が炭じんに移って炭じん爆発したら相当なものですよ。この瞬時にしてなくなった諸君は、何のいとまもないでしょうから、COの救命器を取ることができないでしょうが、退避して坑外に出た諸君、あるいは途中でぶつ倒れた諸君でも、COのマスクを持っておったのですか。
  49. 川原政府委員(川原英之)

    川原政府委員 COの自己救命器は坑内に備えてはございますが、ただいま先生の御指摘になりましたように、非常なガス爆発で瞬間的なショックでございまして、常に携帯いたしてはいなかったようでございますが、ただ坑内の一定個所に備えつけておることは備えております。
  50. 多賀谷委員(多賀谷真稔)

    多賀谷委員 この最上坑はどこの個所に置いてあるのですか。みんな一酸化炭素で死んだら大責任問題ですよ。
  51. 川原政府委員(川原英之)

    川原政府委員 具体的な個所につきまして申すことはできませんが、一鉱の丁未坑には三百四十七個を配置、うち右部には百三十二個、他は左部及び上部区域にそれぞれ分配して配置してございますので、具体的にどこどこに置いてあったということは石炭課長から申し上げますが、それぞれに分けていろんな個所に置いておるようでございます。
  52. 佐伯説明員(佐伯博藏)

    佐伯説明員 調べておるのでございますが、資料を置いてまいりましたので、後刻御説明させていただきたいと思います。
  53. 多賀谷委員(多賀谷真稔)

    多賀谷委員 結局知らしてなければ間に合わぬですよ。自分が持っているのじゃないですよ。労働者のほうは自己が携帯するような制度にしてくれ、こう言っている。それを、いやそれは困るというので、役所のほうも、とにかく入坑時に一カ所——全部一カ所というわけにいかぬでしょうから、何十人分ずつか置いてあるわけですね。間に合いやしませんよ。役に立たんですよ。これに炭じん爆発でも一起こって一酸化炭素でばたばた倒れたら、大責任問題になるですよ。何のために備えつけてあるかわらぬでしょう。ですから、労働者へ周知徹底していないですよ。こういう危険がありますよということが、労働者に周知徹底していないですよ。関係者だけ知っている。これが第一、問題です。  その次には、せっかくCOの制度があって、今度はCO患者もいるわけです。ところがCOの救命器を持って走っている人はおそらく一人もいない。ですから、これが不燃焼で、そして一酸化炭素がどっと出ていったら、救護隊はやられることはないですが、退避した連中も一酸化炭素でやられているでしょう。幸い一酸化炭素が少なかったからやられていないですが、最初逃げた連中でも、もたもたしていればやられている。あるいは千歳の方面にいた連中でも、一酸化炭素があぶない。どうもあれだけの災害があったのに、政策並びに処置がきわめて不徹底ですね。自己救命器というのは、自分で持たしたらどうですか。外国はみな自己携帯でしょう。労働者はいやがるのです。率直に言うと、労働者自体も、重いものを余分に持つからいやがる。それは事実です。しかしそんなこと言っていたら、災害は絶対に撲滅できないですよ。労働者だって、炭粉をまかれて白くなって働くのはいやです。しかし、そういうことでずっとやっておったのでは、災害は、撲滅できないと思うのです。ですからまず周知徹底をさすということと、その方法をどのように考えるか。たとえば黒板に、昨日監督官が来てかくかくしかじかの勧告をしましたと張り出しておけば、みんな知りますよ。これはすぐわかる。こういうような方法を講ずるか。それからCOのマスクでも、実際に事件が起こって、そうして自分でそのマスクをはめながら逃げるというようなことができるかどうか。それはできないでしょう、自分が持っていなければ。そういう自己携帯ということをどういうふうに考えるのか。この二点についてお答え願いたい。
  54. 川原政府委員(川原英之)

    川原政府委員 携帯用マスクにつきましては、これは私はちょっと技術的によくわかりませんが、その耐久力の不安定というような問題があるとか聞いておりまして、これは現在補助金を出して携帯用マスクを安全なものにつくるということを研究させておる次第であります。もちろんわれわれといたしましても、先生の御指摘の点は十分わかるわけでありまして、そういう技術的な問題さえ解決すれば、携帯用にだんだん切りかえていくということは、今後当然とらなければならないことであるというふうに考えております。  それからなお労働者に周知徹底させる方法につきまして、ただいま多賀谷先生から繰り込み場に掲示するというような方法を御示唆いただきましたが、そういう方法その他いろいろな方法につきまして、われわれは前向きに検討いたしたい、かように現在考えておる次第であります。
  55. 多賀谷委員(多賀谷真稔)

    多賀谷委員 周知徹底については、法改正とかいろいろありますから、われわれも一ぜひ考えてみたいと思うのですが、いまの自己携帯については、これは外国はやっておるのですよ。技術問題ではないですね。費用の問題でしょう。労働者に持たして、そうして自分で自分の生命を守るという体制を確立しなければだめですよ。それについてはどういうようにお考えですか。外国では自分で持って行っておるのですよ。
  56. 川原政府委員(川原英之)

    川原政府委員 外国の模様につきまして、私がいままで聞いております範囲では、携帯いたしておる国がドイツ、携帯していない国がイギリスとフランスというふうに聞いておりますが、昨年保安調査団の一員といたしましてヨーロッパの各炭鉱を見て参りました佐伯課長がさらに詳しいことを存じておりますので、御説明させていただくことにいたします。
  57. 佐伯説明員(佐伯博藏)

    佐伯説明員 この前早稲田の中野先生を団長といたしまして、経営者の方と労働組合の方と御一緒にヨーロッパの国々に参りましたが、私たちが参りましたのはドイツとフランスとイギリスでございます。ベルギーには参りましたが、炭鉱には時間の関係で参らなかったのでございます。そのときの状況では、ドイツは全部携帯させております。それからフランスとイギリスとは携帯しておりませんし、坑内にも常置はしておらないようであります。ただ特殊の作業をいたしますときには使うということで、自己救命器そのものはございますが、これはたとえば救護隊のおるようなところへ置いておったようであります。ベルギーにつきましては、現実に見なかったものですからはっきりいたしませんが、ベルギーはある地区ではドイツ式、ある地区ではフランス式でやっておりましたので、あるいは両方、携帯しておるところと携帯していないところがあるのではないかと思いますが、この点はつまびらかでございません。
  58. 多賀谷委員(多賀谷真稔)

    多賀谷委員 外国の事例というのは、日本の炭層を知らない人が外国の事例を言うわけです。日本は自然条件が外国より悪いと言うでしょう。だから非常に困るのです。災害が多いのはなぜか、自然条件が違う。日本の炭層が若いのです。石炭紀の石炭じゃない、本来褐炭くらいであるのが、地殻の変動によって収縮をしたから石炭になった。だから非常にガスが突出したりする。こういう話をするわけです。ところが安全のほうにくると、外国の事例はこうですと言って、こういう一・五%の問題もどこから学んできたのか、やはり外国の事例ではないかと思う。もっともいま工業技術院で爆発の試験をしていますから、五%ないし一五%というのが爆発が一番高いというのはわかるでしょうが、こういう基準は外国のを見習ってきておるのではないかと思うのです。ところが常時一・五%出ておるというのは、二%になるかもしれませんよ。というのは、日本の炭層が非常にいわば乱れておるのだからとか、そういうことが多いものだからといってあなた方は説明するでしょう。ところが今度は安全については、いや、外国はイギリスもフランスも自己救命器はあるけれども、それは労働者に直接渡しておるとかあるいは一定の個所に置いているという制度じゃない。そうすると一体イギリスやフランスは、ガス爆発や何かでどのくらい使用していますか。あれだけの労働者がいて、非常に少ないでしょう。稼働労働者あたり一体どのくらいの災害率になっていますか。ちょっとお聞かせ願いたい。
  59. 佐伯説明員(佐伯博藏)

    佐伯説明員 ただいま申しましたのは、使用マスクの携帯の状況でございまして、たとえばイギリスやフランスが持っておらないから日本も持っておらなくていいという意味で申し上げたのではございませんで、見てきましたままだけを申し上げたわけでございます。先ほど局長から話がございましたように、われわれとしてもいろいろ研究すべきじゃなかろうかということで、三十九年度にメーカーに補助金を出しまして、携帯のものをつくるべく研究をさしておるような次第でございまして、先ほどのはことばが足らなかったかもわかりませんが、外国の実情だけを申し上げたわけでございます。  それからあとに御質問のございました災害率でございますが、これは確かに日本のほうが相当高い災害率を示しております。
  60. 滝井委員(滝井義高)

    ○滝井委員 ちょっと関連。いまのガスマスク、救命器の問題ですが、これが自己携帯か坑内常置かということ。いまは坑内に常置しておるわけですね。ところが、それは切り羽のそばに置いておるわけではないわけです。切り羽から相当離れておる。しかもそこまで行くのには、いよいよガス爆発しそうだとか、あるいはどこかの局所に簡単な爆発があったとかいうようなときに、停電その他が起こりますと、どこにあるかわからぬのです。私も三池の広い坑道の中で、ここに常置しておりますというところを案内してもらったんです。そして今度は切り羽に行きましたけれども、さて今度は、いざ鎌倉というときに、あの狭い坑道で、狭い場所に置いてある救命器のところにだあっと人が殺倒してしまったら、これはたいへんなことなんです。間に合わないですよ。私が見ても間に合わないと思う。こういう点は、ガス爆発をして何十億の損ということになれば、そういうことを計算に入れたら、初めから備えつけて持たせておくほうが一番安上がりですよ。ただこの場合は、そうしたいけれども、救命器を製造する工場の関係その他があって、それが間に合わぬ。したがって、順次そういう方向に持っていきますというお答えじゃなかったんですかね。いままた聞いてみると、言を左右にしておる。問題は、こういう簡単なことでさえ実施ができないんですから、あなた方がガスが一・五%以上あるぞ、すみやかにやれと言ったって、やはり言を左右にしてやらぬということと同じです。事が万事です。金がかかって捨て銭になるかもしれぬ。しかし大爆発が起こって莫大な捨て金をするよりか、はるかに安上がりだと思います。だからそういう万全の対策は、もう何回かみんなから言われて、何回あやまちを繰り返しておるかわからぬのだから、この際は金がかかっても、事業主がやらなければ国がそれくらいやってしまうというぐらいの態勢でいかなければならぬのじゃないかと思うのです。  それから立ったついでに。もう一つ関連するんですが、実はこういう坑内におけるメタンガスなり一酸化炭素がどれくらいあるか、それが一体人体にどれくらい具体的な影響を及ぼしつつあるかという坑内状態について絶えず調べるのは、これは少なくとも坑外でいえば公衆衛生の学者がやることになるわけです。当然これは公衆衛生の連続した部面になるわけです。そういうものをやる公衆衛生の医学者がいま保安局におるかというと、いないですね。安全衛生をやる労働省におるかというと、労働省にもいない。欠除しておる。こういう問題について、一体なぜ医者を置かないかということです。一つも置いていない。したがって三井爆発その他でも、労働省に医者がいないから、厚生省に依頼しなければならぬでしょう。三池の爆発のときはみんな厚生省が治療その他についてどんどん加勢をしているんですよ。そういう点で、いまの給与が安かったりして、安全衛生のきちっとした体系というものが、労働省にはあるにはあるが、しかし十分ではない。こういう問題というものは、その専門家が入って行ってやるということでなければならぬ。そうすると、そういう点はたとえば、通産省が保安を一挙に労働行政に移す前に、過渡的な措置としては、労働省のそういう安全衛生を担当する専門の医者を置いておって、それが入って行って見ていく、こういうような形をとらないと、とても川原さんのところだけではどうにもならぬ。あまりにもあやまちを繰り返しすぎた。この前私たちは、保安行政を労働省に移せという問題を提起した。そしてずっと前には、一挙に労働省に移すことは困難だろうから、したがって、選炭場までは坑外なんだから、そこまでは労働省にやってもらったらどうかということを一応提案したこともあった。しかしそういうことも一通産省のほうで一生懸命やると言っておるのだからということで、黙っておった。しかしもうこの段階になると、保安の問題は川原さんのところにあったにしても、こういう安全衛生の問題その他重要な関連がある、毎日働く仕事場なんですから、そういう点は労働省専門家を置いて、労働省がそういうことを見ていくという形をもうとらないとだめだと思う。あんまり私たちが長く通産省に同情をして、川原さんは一生懸命にやっておるから、やっておるからということではとても……。いまのビルド鉱に起こるのですからね。三池とか北炭とかいう、日本一流の大手の炭鉱に起こる、しかもきわめて政治力の強いところに起こるということになれば、これはやはりきちっとおきゅうをすえなければいかぬ。おきゅうをすえるためには、私はそういう形をとる以外にないと思う。そういう点に対する通産省の考え方、労働省の考え方、厚生省の考え方をあわせて御答弁を願いたいと思うのです。まず、直ちに救命具を備えつけるかどうか。それからいまのような安全衛生、いわば毎日働く職場なんですから、したがってそこでは、公衆衛生と同じようなきちっとした体制がとられていなければならぬ。この点をひとつお答えを願いたい。
  61. 川原政府委員(川原英之)

    川原政府委員 マスクの携帯につきまして滝井先生から御指摘がございましたが、この点につきましては、先ほど来御説明申し上げておりますようなことで、われわれといたしましても一、携帯用マスクに踏み切っていきたいということで、現在補助金を出しまして、安全な携帯マスクをつくらせるように、日本のメーカーを督促をしておるということでございます。ただ、先ほど滝井先生のおっしゃいましたように、携帯用マスクを即刻に普及するということにつきましては、まことに仰せのとおりでございますので、われわれとしまして今後さらに十分そういう方向に向かって検討いたしてまいりたい、かように存じます。  それからなお、抗内の労働者の衛生、つまり身体の衛生という問題につきましては、私も先生のおっしゃるとおりであろうかと思います。
  62. 村上(茂)政府委員(村上茂利)

    村上(茂)政府委員 炭鉱で働く労働者の健康の問題については、たとえば健康診断を労働省所管で実施しておるわけであります。坑内につきましては、これは先生十分御承知のとおりでございますが、労働基準法の安全及び衛生に関する章が、鉱山保安法で適用除外をされております。衛生に関する通気及び災害時の救護を含む、こういう書き方で除外いたしておるわけであります。したがって通気と関連した衛生、こういった問題があるのですが、現実には労働基準監督官が坑の中に入らない、こういうことからしていろいろ問題があろうかと思うのであります。ただし、労働者の衛生に関する事項は労働省で所管いたしておりますので、今後とも万全を期していきたいと思っております。なお、一酸化炭素とかそういう有害有毒物につきましては、安全衛生規則の百七十九条で、「左の場所には、必要ある者以外の者の立ち入ることを禁止し、その旨を掲示しなければならない。」という規定を置いておりまして、この三号で、「炭酸ガス濃度一・五パーセントを超える場所」そうして、これにつきましては、「前項の規定によって禁止された場所には、労働者はみだりに立ち入ってはならない。」こういうことにいたしておりまして、一・五%をこえましたならば、労働基準法の立場から申しますと、必要ある者以外の者の立ち入りを禁止し、その旨掲示する、こういう処置を講じております。こういった処置をするにつきまして一酸化炭素その他いろいろな問題につきまして、ある程度の経験がなければならない。その経験とあわせて、必要なガス測定器を携行させるというような処置につきましては、漸次整備をいたしておるような次第でございます。そういった点から有害ガス等につきましての衛生監督を、われわれとしてはさらに強化していきたい。その点につきまして統一性、総合性に欠けるじゃないかというような御指摘も、私どもとしては率直にちょうだいをいたしまして、今国会労働省設置法の一部改正法案が成立いたしましたならば、労災防止対策部という組織をつくりまして、安全と衛生とを総合した立場から、こういった問題について対処していきたい。  なお三井三池の問題につきまして、労働省としては被災労働者の療養補償という観点から、われわれのほうの行政責任であるということで、専門医の派遣、器械、薬品等について、ほとんど労働省から経費を出しまして、お願いをいたしておるような次第でございます。今回の夕張炭鉱における被災労働者の医療問題につきましても、実は私本省から直接、こういう器械を急派しろ、先生はどういう人を派遣しろというようなことを、本省から私が現地労働基準局長に念のために指示したような次第でございます。もちろん厚生省には絶大の御協力をいただいておりますが、行政責任という点から私どももその重きを感じまして、極力努力をいたしておるような次第でございます。
  63. 滝井委員(滝井義高)

    ○滝井委員 いまあなたがお認めになったように、基準監督官坑内に入ることができないわけですね。安全衛生という場合には、やはり職場における安全衛生、そうすると、その職場というのは、炭坑労働者の場合はどこかというと坑内なんです。その一番大事なところにあなたのところでは入ることができなくても、基準法でガスが一・五%以上あるときには立ち入り禁止だ。入ることはできないのだと言ったけれども、さてそういう測定をする機械も何もないし、あったにしても普遍的でない。こういう形で法律がそのまま文字どおり、法治国家であるけれども、実施されていないわけですね。こういう点はやはり坑内における状態をきちっとするために、これを機会にしてわれわれも踏み切らなければいかぬと思うのです。少なくとももう少しお互いに討議をして、もしあなたのほうに公衆衛生の専門家がいないならば、厚生省とも連絡をして、厚生省の所管にするか、どこかにして、こういう点ははっきりしなければいかぬと思うのです。立ち入り禁止をするといったって、通産局もそれはやる気がない。労働省がやるか、厚生省にやらせる以外にない、公衆衛生なり安全衛生の立場から。人が入ったら死ぬようなところに、穴の中に入っていくのだけれども、とめる人がいない。それは当然通産省がとめなければならぬけれども、対事業主との関係、産業奨励の立場からなかなかそうもいかぬということで、だれかほかから行って、その賃金その他は保障する形態を考えるということにならなければいかぬと思うのです。関連質問だからそれ以上は言いませんが、三池の問題については、起こったあとの措置は、これは労災だからあなたのほうでやらなければならぬ。しかしあの三井ガス爆発が起こって、一挙にだっとたくさんの人が上がったときに、労働者は周章ろうばいいかんともしがたかった。医者が来たのは厚生省のほうの手づるでいったのです。これは通産省も知っている。そういう点でも通産、厚生、労働三者の権限のグレンツゲビートがなかなか明確でなく、にじみたいに移行形態があって境界がはっきりしないところにも問題がある。あそこは労働省の所管だから、厚生省は遠慮しております。それと、厚生省にはそういう医者がないのですからね。そうすると通産省のほうも、こちらのほうは法律上労働省のことだからということでたいしてやらぬというので、みんな大事なところが境界線になっておるものですから、お互いになわ張りに遠慮し合ってやらないということがあると思う。この際やっぱり思い切ってもう移行形態をきちっと切ってしまって所管をはっきりする、区別をはっきりしてやる形をつくらなければいかぬと思うのです。ひとつ医務局の考え方を述べてください。
  64. 大崎政府委員(大崎康)

    ○大崎政府委員 医務局といたしましては医療機関の監督もいたしておりますし、国立病院等をも所掌いたしておるわけでございます。鉱山の安全衛生に関しましては、それぞれ通産あるいは労働の両省において所管をなさっておられるわけでありますが、私どもそういうふうな立場から、できるだけ医療に関する技術援助をいたしたい、かように考えて、事実上できるだけの御協力をいたしておるわけであります。今回におきましても、現地の地方医務局長をさっそく現地に派遣をいたしましたし、それから本省からは病院課長を派遣いたしておるわけでございます。現地に出向きましていろいろ通産、労働の両省とも御連絡を申し上げ、御援助をいたしておるような次第でございます。今後ともさようにいたす考えであります。
  65. 多賀谷委員(多賀谷真稔)

    多賀谷委員 例の労働安全衛生規則の百七十七条から百七十八条、百七十九条に、坑内における炭酸ガスのことを書いていますが、この監督権というのと鉱山保安法の監督権というのはどういうようになっているのですか。
  66. 村上(茂)政府委員(村上茂利)

    村上(茂)政府委員 先ほど申し上げましたように、労働基準法の安全衛生に関する条項が鉱山保安法で排除されておりますので、いまの規定はその他の一般の事業場ということになります。坑内でも、鉱山保安法の適用を受けないものでも、たとえば建設業その他でもいろいろ地下作業をするというような場合もございます。それから私が先ほど申しましたその条項は、一般の地上の事業場におきましても、そういった有害環境があるわけでございます。私どもはその一・五%という許容量はむしろ爆発じゃなくて、有害であるという見地から規制をいたしておるのでありまして、そういう状態に達したならばみだりに立ち入らせない、その旨を掲示するというような措置を、地上の事業場においては講ずることにいたしておる。したがって、そのための知識なり技能は監督官にできるだけ備えるようにしたい、医師たる監督官も整備したい、このように考えている次第でございます。
  67. 多賀谷委員(多賀谷真稔)

    多賀谷委員 労働安全衛生規則の坑内の規定は、鉱山保安法の適用外の坑内だ、こういうお話ですが、村上博士でも間違えるくらい、このガスは間違えるのです。いま問題になっておるのはメタンガスですよ。有害ガスではないのです。可燃性の爆発ガスなんです。それであなたのさっきからおっしゃるのは、一酸化炭素並びに炭酸ガスの話です。まずその食い違いがある。新聞を見てもガスガスと書いておるけれども、この問題はメタンガス一酸化炭素が間違って混乱するのです。しかしあなたのおっしゃるのは、有害ガスである一酸化炭素、この話ですから、ちょっとこれは合わない。初めから一酸化炭素がどんどん出ておるのは少ないですよ。問題はメタンガスなんです。爆発した後に不燃性になって一酸化炭素になるんですよ。ですから、常時一酸化炭素が多いという状態はないでしょう、何ぼ炭坑でも。自然発火なんかしたらたいへんなんです。その点はないですが一・五%というのは、一酸化炭素の場合は爆発しませんよ。ですから、それはちょっとなんですけれども、やはり立ち入り禁止という制度が考えられなければならぬ、こういうように思うわけです。  続いて鉱山保安局長に質問申し上げたいと思います。  今度の災害の際に、職員のほうからはやはり、専任の保安技術職員を各方に置いてもらいたいという話がありました。三交代ですからね。三交代の場合は各方にしないとやはり手が届かない、あるいは兼任ではどうにもならないのだ。ことに切り羽が最近御存じのようにロング切り羽になってきておりますから、そういう点があるだろうと思いますが、その点についてはどういうようにお考えですか。
  68. 川原政府委員(川原英之)

    川原政府委員 現在の規則では、たしか五十人に一人というふうになっておるかと思いますが、この人数の問題につきまして、われわれといたしまして現在、先生が御指摘になりましたように、坑内事情がだいぶ変わっております。係員の数を厚くするということにつきまして、今後なるべくそういうふうな方向になるような検討をいたしたい、考え方といたしましてはそういうふうに考えております。この前規則を改正いたしますときにも実は問題が出たのでありますが、いろいろと保安協議会の内部で議論をいたしました場合に、それぞれ各炭鉱ごと事情あるいは鉱山と炭坑との事情というような食い違いが若干ありまして、ついに最終的には結論を得ないまま今後さらに検討するということで、現在実情を調査しておるというのが現段階でございます。  なお夕張につきましては、たしか労働者十人ないし九人について一人の係員ということにしておるようでございまして、ほかの一般的な平均からいいますと、必ずしも特に係員が少ないというわけではないようでございますが、しかし、もちろんその保安係員の仕事というのは、先ほど来夕賀谷先生が御指摘になっておりますように、非常に重要でございますので、われわれとしましては、この保安職員の数を十分なものにしていくことについての改正を今度の機会に当然検討してまいることになろうかと思います。
  69. 多賀谷委員(多賀谷真稔)

    多賀谷委員 次に自動警報機の問題です。自動警報機は一鉱については備え付けてある、というのが萩原社長の説明でしたが、一体この一鉱においてはつけてあったのか、これをひとつお聞かせ願いたいと思う。
  70. 川原政府委員(川原英之)

    川原政府委員 いま資料を調べますが、私の記憶ではたしか一鉱に十三台備えつけてあったかと思います。
  71. 多賀谷委員(多賀谷真稔)

    多賀谷委員 場所は……。
  72. 川原政府委員(川原英之)

    川原政府委員 場所はこの切り羽につきましては、その上部のところにたしか備えつけてあったかと思います。右ロングの乗降口のところにガス警報機を備えつけておったわけでございます。
  73. 多賀谷委員(多賀谷真稔)

    多賀谷委員 それは鳴らなかったのかな。
  74. 川原政府委員(川原英之)

    川原政府委員 ガス警報機につきましては、佐伯課長から具体的に技術的なことを御説明申しますが、測定いたします範囲が、流れておる場合とか、濃いところ薄いところ、全部を一つの測定器で測定はできないので、その辺の場所によって測定の範囲が限られるというふうに聞いておりますが、なお詳しくは佐伯課長から説明いたします。
  75. 佐伯説明員(佐伯博藏)

    佐伯説明員 災害が起こりました区域につきましては、先ほど局長から御答弁申し上げましたように、右三片六尺ロングのゲートの乗降口のところの原動機の上に設置されておったわけでございます。したがいまして、この個所はもともと人気サイドの個所でございますが、将来そちらのほうに掘進個所を設けるというふうなことからして、そこに設けておったようなわけでございます。したがって、私が聞いておる範囲では、それと電源遮断機とインターロックしていなかったが、自動警報機は作動する状態にあった。それから災害調査に参りましたときにも、その自動警報機はあったようでございます。
  76. 多賀谷委員(多賀谷真稔)

    多賀谷委員 自動警報機は、一・五%の濃度のところで警報するようになっているのですか、幾らのところになっているのですか。
  77. 佐伯説明員(佐伯博藏)

    佐伯説明員 これはどのあたりでも一調節できるように一般になっておるわけでありまして、通常一%とか一・五%とか、その場所での規制のものと大体合わして設置するのが普通ではなかろうかと思います。したがって、場所場所によりまして、そこにある電気機器とかいろいろなことを考慮いたしまして、いろいろなパーセントのところで設置しておるのだろうと思います。
  78. 多賀谷委員(多賀谷真稔)

    多賀谷委員 人気口に自動警報機を置いておったのでは、空気の流通のいいところにやっておったのでは、意味をなさないと思うのです。ですからこれは監督官というよりも、操作が悪いのですけれども、せっかくそういう施設があるのに、十分に活用されていないというのは非常に遺憾です。  そこで自動警報機ですが、これはいわゆる備えつけの義務というものを課していない、任意になっている。そこでこの際、これは中小炭鉱等にもあるだろうと思うのですが、自動警報機はCOのように中小炭鉱等には補助金を出して、ことにガスの多い炭鉱においては自動警報機をつける必要があるのではないか、こういうように考えるのですが、その点はどうですか。
  79. 川原政府委員(川原英之)

    川原政府委員 自動警報機につきましては、御指摘のごとく、法規でまだ強制はいたしておりません。ただ、いろいろ昨年から御指摘をいただきました保安融資の対象としては、これは当然取り上げておりまして、御指摘のように自動警報機をなるべく各炭鉱に備えつけさせるという方針につきましては、われわれも一昨年の二月、緊急対策をやりましたときから奨励はいたしておる次第でございます。ただ自動警報機は、先ほど申し上げましたように、ある範囲に限られて測定をいたします関係上、これを備えつけたからすべてが安全である、ほかのガス点検その他をおろそかにして、警報機だけにたより切ってしまうということになりますと、これはかえって危険な状態になりますので、その辺はやはり相当指導を要する問題ではないかと思います。
  80. 多賀谷委員(多賀谷真稔)

    多賀谷委員 私もいま御指摘のように、自動警報機があれば、安心しきってかえってあぶないということもなきにしもあらず、これは非常に検討を要する問題でありますが、しかし何にしても、そういう装置がやはり必要ではないか。それであとは保安教育が必要ではないかと思います。  そこで、保安教育と関連して組夫ですか、今度も組夫がなくなっている。今度は岩石掘進でありますから、鉱山保安法のいう禁止の対象の個所をやっておるわけではないのですけれども、しかしやはりハッパもかけているわけです。ことに岩石掘進の場合はハッパを組夫がかけておるわけですね。そうして組夫は死んだ際の補償費を見ればわかるのですけれども、大体本鉱員の半分くらい、こういう状態ですね。ですからこの制度はやはり根本的に直さなきゃいかぬのじゃないか。ことにいま筑豊では、率直にいって、組夫採炭していますよ。何々組、何々組というのが、事実上採炭しているのですよ。この前も岡崎政務次官に話をしたのですけれども、これは非常に差がある。ことに組夫の多いような炭鉱は終山に近い。終山に近いと、いま炭鉱離職の援護としてのいろいろな処置は、労働省関係ではやられておるけれども、通産省の所管のほうは離職金ももらえないし、退職金の特別加算ももらえない、こういう状態である。ですからこれはどうしても私は、臨時夫でもいいですから、責任はやはり鉱山が持ってやらす方法を考えざるを得ないでしょう。たとえば三井のようなところでも、掘進を三井建設がやっている。この前も一四名か死にましたね。これだって私は問題だと思うのです。あの程度の個所をやるのに、組夫というか、三井建設が入っておるということが問題ではないかと思うのですよ。監督系統が全然別なんですからね。よその鉱員保安教育といったって、なかなかむずかしいです。ですから組夫の問題についてはもう一度再検討をする必要があるのではないか、こういうように考える。問題は結局賃金だけです。安い賃金で使うということに尽きておる。ですからその点をどういうようにお考えであるのか、今度の事故を契機にもう一度再検討をする意思があるかどうか、これをお聞かせ願いたいと思う。
  81. 川原政府委員(川原英之)

    川原政府委員 確かに多賀谷先生も御指摘のように、組夫につきましては従来もいろいろ問題がございましたし、われわれとしてこれの規制を検討すべき段階にある、かように存じます。ただ、現在におきまして、その組夫の規制につきまして、鉱山保安法関係では実際にその保安系列、組夫保安管理機構、教育内容、保安施設というような点からこれを見て、非常にあぶなくなれば直すというやり方でありますし、組夫を入れるかどうかという問題につきましては、石炭鉱業合理化臨時措置法の関係の承認を得ることになっております。この間につきまして、われわれといたしましては、先般来石炭局といろいろ連絡をとりまして、なお現地におきましては、通産局の石炭部と監督局組夫の承認については緊密な協議をして、そうして規定外の作業が行なわれないように監督局としての監督をしていくというような方針をつくりまして、これを指示いたしたわけであります。なお監督局としましては、組夫保安管理につきまして、その親会社のほうの保安職員がダブルチェックを必ずするというようなことを、現在保安法の規定に基づいてやらせておるわけでありますが、今回の夕張炭鉱におきましては、すでに先生御承知のように旭開発、石山組という二つの組がございます。これは運搬坑道及び岩石坑道の掘進をやっておったわけであります。この組のほうでやはり罹災者を出しておりますが、こういった点につきまして、組夫の規制についてさらに検討をするべきではないかという御質問につきまして、われわれもそういう方向で検討いたしたい、かように存じます。
  82. 多賀谷委員(多賀谷真稔)

    多賀谷委員 鉱山合理化臨時措置法によって、もうすでに年千三百万トン規模の炭鉱が買い上げられているわけですね。さらに鉱山保安臨時措置法によって、いままで七十万トン程度の炭鉱が閉山をしておるのですよ。本来、悪い炭鉱はそれだけなくなっているわけです。それなのに、率直に言って災害は減らない。むしろ稼動人員からいうならば、ふえておる傾向にある。これは非常に残念です。大体保安があまりよくない、それから危険な炭鉱というのは買いつぶしておるのですよ。整理しておるのですよ。整理して、少なくとも千四百万トンぐらいもうすでに整理済みなんですよ。それなのにさっぱり減らない。いま問題になっておる組夫は、一般の本鉱員に比べて二倍からの災害率ですよ。組夫は大体そんな危険な場所に入ることになっていないのですよ。なっていない組夫が本鉱員の二倍からの災害率というのが、第一おかしい。これはきわめて重大な問題です。なぜ災害が減らないのか。ことに三池とか、夕張炭鉱でこういうような事故が起こるというのは、非常に問題です。しかも少なくとも十数年入っておる、ことに大学あるいは高専を出た技術者が監督をしておるところで、事故が起こっておる。しかも保安監督員から注意をされて起こっておる。これはゆゆしき問題だと思います。そこで私は、今後の基盤というものを、まずどうしても根本的には強化しなければならぬ、こういうように思いますが、さらに監督行政、あるいは先ほど滝井さんからお話のあった、いろいろ議論はあるのだけれども、所管の移しがえというものもやはり検討せざるを得ない段階になってきているものではないか、こういうふうに思うのです。しかし労働省に移したからといって、基準局の一部局に置かれたのでは、何もならぬわけです。少なくとも鉱山保安は本省において局長を設ける。いま九州とか、北海道においては鉱山監督局まで設けておるのですからね。ですから、機構の充実ということを前提に、ひとつ監督行政をすっきりしたらどうかという気持ちもある。これらの点は問題がきわめて重大でありますから、いずれ総理並びに大臣に来ていただいて質問をしたいと思いますが、本日は一応これで質問を終わります。      ————◇—————
  83. 加藤委員長(加藤高藏)

    加藤委員長 次に、日本炭暖高松鉱業所の施業案等に関する問題について、懇談に入ります。      ————◇—————   〔午後零時三十九分懇談会に入る〕   〔午後一時四十四分懇談会を終わる〕      ————◇—————
  84. 加藤委員長(加藤高藏)

    加藤委員長 これにて懇談は終わりました。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時四十五分散会