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1965-05-26 第48回国会 衆議院 商工委員会 第39号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年五月二十六日(水曜日)    午前十一時四十一分開議  出席委員    委員長 内田 常雄君    理事 浦野 幸男君 理事 小川 平二君    理事 小平 久雄君 理事 田中 龍夫君    理事 中川 俊思君 理事 板川 正吾君    理事 加賀田 進君      稻村左近四郎君    遠藤 三郎君       小笠 公韶君    小沢 辰男君       海部 俊樹君    黒金 泰美君       田中 榮一君    田中 正巳君       田中 六助君    中村 幸八君       三原 朝雄君  早稻田柳右エ門君       桜井 茂尚君    島口重次郎君       麻生 良方君  出席国務大臣         通商産業大臣  櫻内 義雄君         国 務 大 臣 高橋  衛君  出席政府委員         総理府事務官         (経済企画庁調         整局長)    高島 節男君         中小企業庁長官 中野 正一君  委員外出席者         参議院商工委員         長       豊田 雅孝君         専  門  員 渡邊 一俊君     ――――――――――――― 五月二十四日  日本貿易振興会法及びアジア経済研究所法の一  部を改正する法律案参議院提出参法第一八  号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  海外経済協力基金法の一部を改正する法律案(  内閣提出第一一六号)(参議院送付)  日本貿易振興会法及びアジア経済研究所法の一  部を改正する法律案参議院提出参法第一八  号)      ――――◇―――――
  2. 内田常雄

    内田委員長 これより会議を開きます。  去る五月十七日参議院より送付付託になりました内閣提出海外経済協力基金法の一部を改正する法律案を議題とし、経済企画庁長官より趣旨説明を聴取することといたします。高橋経済企画庁長官
  3. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 海外経済協力基金法の一部を改正する法律案について、提出理由及び内容概要を御説明申し上げます。  海外経済協力基金は、東南アジアその他の開発途上にある地域における産業開発事業に関し、必要な資金貸し付け、これら事業への出資その他海外経済協力促進に必要な業務を行なう特殊法人でありまして、昭和三十六年に発足以来、その業務が漸次拡大しつつあることは御承知のとおりであります。  最近、世界における開発途上にある地域に対する経済協力は、さきの国際連合貿易開発会議開催等に見られますように、ますますその重要性を増してきておりますが、このような低開発諸国要請にこたえまして先進諸国におきましても、経済協力国際的規模において一そう強力に、かつ、効果的に推進しようとつとめてきております。わが国といたしましても、このような国際経済環境に従い、国の経済力に即応して開発途上諸国に対する経済協力を積極的に推進することはこの際特に必要であると考えられるのでありまして、その意味におきまして、海外経済協力基金資金量を増加することが時代の要請となってきていると考える次第でございます。今回の改正案は、このような要請にこたえ、基金業務活動の拡大に備えるために提案いたしたものであります。  次に、改正案内容について申し上げます。  その第一点は、基金政府から借入金をし、または債券を発行することができるようにすることであります。基金は、従来、国の一般会計からの出資金をもって事業を行なっておりますが、国の出資のみに依存する従来の方式だけでは財政事情等の面から不十分でありますので、特に必要があるときは、資本金及び積み立て金合計額限度として基金政府から資金運用部資金貸し付けを受け、または債券を発行して、開発事業に対する貸し付け等の原資に充てることができるようにし、今後の基金活動に遺憾なきを期した次第であります。  改正の第二点は、政府基金費用の一部を交付することができるようにすることであります。将来、基金貸し付けがさらに長期かつ低利なものとなり、他方借り入れの増加に伴い基金資金コストが上昇いたしました場合に、その運用収入をもってしては所要費用をまかなうことが困難となる事態も予想されます。このような場合に政府がその費用の一部を交付することができることとして、基金の円滑な業務遂行に支障なからしめることとした次第であります。  なお、この機会に、監事の権限その他所要の規定の改正を行なうこととしております。  以上がこの法律案提案理由及び内容概要であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願いいたします。
  4. 内田常雄

    内田委員長 以上で、本案に対する趣旨説明を終わります。     ―――――――――――――
  5. 内田常雄

    内田委員長 本案に対し質疑の通告がありますので、これを許可いたします。加賀田進君。
  6. 加賀田進

    加賀田委員 ただいま提案理由説明があったのですが、この改正の諸点の質問あとにしまして、未開発地域のいわゆる開発構想として、特に東南アジアとかアフリカとかその他の未開発地域について、国際的な観点から日本に対する期待が相当多いわけですけれども、しかもアメリカもそういう意味では、やはり最も未開発状態に、特に東南アジア地域における状態に理解のある日本が積極的にその開発をすることを要請していろいろ提案もしているわけですが、どうも日本政府態度を見ると、国外的には相当宣伝して積極的な開発姿勢をとっている態度で、前の池田総理もそういう態度をとっておったのですが、実際に政府自体が今日まで海外援助についての具体的な行動を見ると、どうも消極的な点があって、その点がわれわれとしては非常に危惧されているわけです。そこで、長官に尋ねていい問題かどうか、できれば総理が来てお答え願えれば一番いいんですけれども、先般四月の初めにアメリカジョンソン東南アジア開発構想というものを提案して、約十億ドルほどアメリカ海外援助資金を出すから、日本がそれについての具体的な計画とか技術指導等について積極的にやってもらいたい、こういう提案があったわけです。その後そういう構想を受けて、政府としては今日までどのように努力されてきたのか、またそれについて積極的に具体的な協力をする意思があるのかどうか、まずこの点を、もし長官としてあらゆる会合に出席されて御存じだとするなら、明確にしてもらいたいと思うのです。
  7. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 ただいまお話しのとおり、四月七日にジョンソン大統領が、ボルチモアのジョンズ・ホプキンス大学演説をいたしました。その中で、東南アジアに対するところ経済開発のために十億ドルの支出要請するつもりである、こういうことを言っておるのでございまます。ところで、この演説については、日本は事前に何らの連絡を受けておりませんけれども、またこの十億ドルの支出要請するつもりだというような前提条件として、地元と申しますか、東南アジア等において具体的な計画ができればというふうなこともついておったように一応記憶いたしておりますが、そういうような前提となる具体的な内容というものについてまだ何ら連絡もございません。したがって、この問題について、日本政府としてどういうふうな考え方を持つかということを決定する段階にはまだ至っていない、かように考えておるわけでございます。ただ、ただいまお話しのとおり、昨年の国際連合貿易開発会議におきまして、先進諸国国民所得の一%に相当するものを低開発地域国民に対して援助をしようという勧告、この勧告に対して日本も賛成をいたしておる次第でございます。ところが現実には大体その半額程度援助になっているような次第でございまして、これはもうどうしても前向きに日本政府としては準備をする必要があろうというような関係から、こういうふうな海外経済協力基金法律改正案も御提案申し上げて、その準備をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  8. 加賀田進

    加賀田委員 そうすると、そういう提案があっただけで、まだ日本政府にもそういう具体的な案が提示されていないし、それに基づいて政府としては、聞けば総理のほうでそういう受け入れ体制ができるかどうかということを検討しろとかいうふうなお話があったとわれわれは聞いておるのです。やはり日本としても積極的にそれを受けてとめるかまえがなければ、これは提案されたって何にもならないことであるし、もし具体的なさらに突っ込んだ提案があるとするならば、それを日本としては受けて立つ用意があるのかどうか、あるいはそういうことはそういうこととして、出たとこ勝負でいろいろ論議しようという態度なのか。やはり日本態度によってアメリカが具体的にさらに突っ込んだ提案をするかどうかということがきまるんじゃないか。単にアドバルーンを上げただけで日本反応を待つというような外交政策だってあるわけですから。しかし、これは十億ドルを出すと言いながらも、日本は単に役務を提供するというだけではなくて、やはりある程度資金も必要じゃなかろうかと思うのです。そういう点もあわせて、外務関係大蔵関係も受けるのかどうか。さらに具体的な提案があれば日本としては受けるのだという姿勢があれば、アメリカ自体としてもこのジョンソン提案についての具体案というものが示されてくるのじゃなかろうかと思うわけです。ただ傍観程度なのか、反応が何ら示されていないのか。もちろんアメリカに対しての反応は時期尚早でしょうけれども、国内に今日どういう反響が起こっているのか。もしそういうことが全然ないならば別として、あるとするならば、それを明らかにしてもらいたい。
  9. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 先ほどもお答え申し上げましたとおり、ジョンソン大統領演説について、アメリカ内部でも裏づけになる具体的な計画があったようには聞いておりません。そんな関係で、具体的に一体どういうことを意図しているかということがある程度わかりませんと、日本政府といたしましても、もちろん東南アジア開発については相当な関心を持ち、またこれを重大視していかなければならぬという姿勢については、これはもう異存のないところでございますが、しかし、その内容いかんによって、われわれとして、日本政府としての考え方をきめるべきである、かような考えを持っておるのでございますが、何ぶんにも具体的なバックデータとなるところ考え方がはっきりいたしておりませんので、その面で、なお、日本政府としてのはっきりした、どういう態度で臨むかというふうなことをきめる段階に至っていない次第でございます。
  10. 加賀田進

    加賀田委員 そうすると政府としては、そういう提案についていままで何ら具体的な審議もされないし、あるいはそれについての政府自体受け入れ態勢準備するとかいうような動きはない。じゃ政府としては、そういうジョンソン提案に基づいてさらに具体的な提案があればその時点に立っていろいろ態度を決定する、こういう態度ですね。  それじゃさらに質問を変えまして、国連下部機構になっておると思うのですが、特にアジア開発銀行設立について今日いろいろ論議をされております。これは約十億ドルの資金に基づいて未開発地域開発していこうという構想でありますけれども、これについても、日本自体としては、これはジョンソン提案以上に具体性のある問題なんですけれども、私の聞くところでは、これについても積極的な姿勢をとってどのようにするかということがまだ決定していないように考えられるわけですが、提案法律改正の中では非常に積極性のある提案がされておると思うのですけれども、今日の政府態度を見ると、どうも消極的な面があらゆる面で出ております。したがってアジア開発銀行に対しての政府としての見解というものをこの際明らかにしてもらいたいと思います。
  11. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 この問題について私からお答えすることがはたして妥当であるかどうかと存じますが、一応私が承知いたしております範囲においてお答え申し上げることにいたしたいと思います。  御承知のように一九六三年の十二月のアジア経済協力に関する特別会議を契機といたしましてこのアジア開発銀行設立問題というものが本格化してまいりまして、昨年の秋に本件についての専門会議が開催されたわけでございます。それでその具体的な内容に関する結論を盛り込んだところ報告書が作成されて各政府に配付されてまいっております。それで本年の八月には政府レベル準備会議を、また本年の末には閣僚会議が行なわれるという大体の予定に相なっておる次第でございます。大体そういうふうな経過になっておりまして、日本政府としては、この問題について相当積極的に、前向きに参画をしてまいっておる次第でございます。もとよりこれは世界銀行との関係、または世界銀行だけではどうしても及ばない、アジア地域主体性を持ったところのそういうアジア開発銀行というふうなものが、ちょうどラテンアメリカについて別個の開発銀行ができましたと同じような趣旨において、アジアについても必要であろう。そういうふうな観点からこれを積極的に取り上げて、アジア関係諸国がそれぞれ出資をし、同時に、アジア関係諸国と申しましても、資金的に少しでも能力のあるのは日本だけでございます。あとはありません。したがって域外からも相当な援助、つまり協力を必要とする。そういうふうな協力がどの程度やられるかというような問題が、やはりこの問題についての一つの大きなかぎになろうか、かように考えるのでございます。そういう点も勘案しながら、しかしどこまでも、アジア開発銀行アジア銀行である、アジア関係諸国自主性に基づいてこれを運営していこう、こういうふうな構想のもとにこの考え方を前向きに進めていきたいという態度でおる次第でございます。
  12. 加賀田進

    加賀田委員 前向きと言って――これも本店東京に置いてもらいたいという要請日本がしておる。そうすると主体となるのは、もちろんアジア地域においては、政府世界五大工業国一つだと言って自負しておるのですから、当然日本主体的態度をとらなければいかぬと思いますが、そういう意味東京に本部を置くという提案をし、十億ドルという資金の中で一体日本はどれほど出す意思を持っておるのか。これは最終の決定にはならないでしょうけれども、しかし何としても東南アジア地域では資金力を持っている日本が積極的にこれを援助しなければならないことは当然だと思います。金を出さずしていいところだけをとるというようなことは許せないと思うのですけれども、一体政府としてはどれぐらいの資金を出す意思があるのかどうか。それによってこのアジア開発銀行設立可能性も出てくるのではなかろうか。結局、日本は技術的にも財政的にもやはり相当腹をきめてつぎ込んで、この銀行を育成していかなければならないと私は思いますけれども、そういう点について、これは大蔵省との関係があるでしょうけれども、きょう大蔵省は来てないから、長官として知っている程度明らかにしてもらいたいと思います。
  13. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 お話しの点、まことにデリケートな点が多いのでございますが、内話としては、向こうからのいろいろな要請はございますけれども、具体的にまだこちらの意見を回答できるような段階にまでは至ってない次第でございます。御承知のように、中期経済計画では、昭和四十三年度において経常収支においてバランスをとるという計画にいたしておりますが、幸いにして、すでに昭和三十九年度において経常収支においてバランスをとってまいりました。しかしながら今後二、三年の間の国際貿易または国際収支関係がどんなふうになるかというめどについても、いろいろ慎重に検討を要する次第でございますし、また資本収支において従来どおり大体予定された長期資本受け入れ日本に可能であるかどうかというような点も考える必要がある。そういうふうな面から、できるだけの協力はいたしたいが、しかしながら日本の許容し得る限度というものもまた十分に検討していかなければならぬということで、いろいろ内話はございますが、まだそれに対してお答えできる段階に至ってないというのが現在の実情でございます。
  14. 加賀田進

    加賀田委員 私が聞いたのでは、最低二億ドルぐらいは出してもらわなければ、東京本店を置くと言って大手を振っているのに、そういう任務を果たせないのではないか、こういうことで具体的に、やはり東南アジア地域日本主体性を要望すると同時に、そういうことが要請されておるわけですが、そういうことは内閣の中でいろいろ論議されて、それくらいの程度協力はしなければならぬとかなんとかいう話は進んでないのですか。
  15. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 まだそれらについて政府部内意見調整が十分ついておりませんし、したがってもう少し時間を要するかと考えておるような次第でございます。
  16. 加賀田進

    加賀田委員 どうも二、三年前から、こういう話が具体的に進んで、いま当初に申し上げたとおり外部的には積極性があるようだが、いざ金を出すということになると非常にしぶって、東南アジア地域開発について協力するようなせぬような、どうも商業ベースに乗らなければ協力しないような、逆にいえば、東南アジアについて、未開発地域開発協力するといいながらも、経済植民地的な要素を含まなければどうも日本政府としては踏み切れないようなにおいを東南アジア各国に与えておるのではないか。したがって、そういう二億ドルの要請があれば、それはこたえる、しかし、具体的には日本本店を置くなら置いて、日本政府が積極的に責任を持って開発をやっていくんだという姿勢がなければ、私は先進国だという――あるいは田中大蔵大臣中進国だとか言っておるようですけれども、とにかくアジア地域においては少なくとも先進国といわれるけれども、そういう姿勢がどうも欠けておるように思うのです。したがって、今度の法律改正でも、資金一つの窓口を開いたわけですから、やはりそういう積極性がなければほんとう東南アジア各国に対する先進国としての立場を果たし得ないのではないか、したがって、政府としてそういう商業ベースを離れた、真に開発協力しようという姿勢があるのかどうか。これを開発するにはいろいろな面があって、今日の世界の国際的な紛争を緩和する方法においても、全世界の民度の上下というようなことがはなはだしい現状の中では、これをできるだけ縮小しなければいけない。さらに、もっとそういう先行投資的な意味も含めて開発に積極的に乗り出せば、やはり海外市場については将来貿易の伸長も望み得る、こういう経済的な面と、政治的といいましょうか、世界の平和を堅持するための一つ方法としてこういう問題が国連の中で論議されておるわけですから、そういう意味ではもっと積極性があっていいんではないかと思うのですが、ほんとうにこの開発銀行について、政府としては何らそういう具体性のない段階にあるのかどうか。われわれとしては、もうすでにそういうものが論議されて一定の方向というものはさまっておるのではないかと思うが、どうなんでしょうか。
  17. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 東南アジアを中心として、低開発国に対する開発協力という意味基金ができたわけでございますが、御指摘のとおりこれは昭和三十六年にできたわけでございますけれども、三十六年、三十七年の二年間はわずかに九億の貸し付けにとどまったわけであります。しかし、三十八年にはこれが二十九億円になりました。三十九年には六十五億、四十年度は百五億円程度予定しておるわけでございますけれども、これは具体的に申し込みがあったプロジェクトについて、それぞれ検討して、前向きにそういうような計画をぐんぐん進めていくということにしておりますので、どうやらこの海外経済協力基金というものも軌道に乗ったという感じがいたしておりますので、そういう全般的な面については今後に御期待をお願いいたしたい、かように考えます。  それからアジア開発銀行につきましては、これは日本といたしましては、あるいは欲ばった考えかもしれませんけれども、日本経済力の許す範囲においてできるだけ負担を少なくして、しかし日本が中心的な立場をとって企画立案をし、推進をしていく、こういう考え方になりたいというのがだれしも望むところであると存じます。ただ、この問題、しからばアメリカその他の諸国が一体どの程度出してくれるかという点についても、これは全然明確じゃございません。そういう点も兼ねあわせて、われわれとしてはそれぞれ双方前向きに積極的にやるんだという姿勢を整えながら、またある程度政府部内におけるところ意見調整をはかりつつ、ぜひ積極的にやっていきたい。しかし、具体的にどれだけ出すのだということをいま申し上げることは、これは引っ込みのつかぬことになるわけでございますから、そういう意味で、政府としての姿勢だけをお答えとして申し上げておきたいと存じます。
  18. 加賀田進

    加賀田委員 長官を責めても、これは実際問題としては解決しないと思うのですけれども、どうも金は出したくないわ、イニシアチブはとりたいわ、かっこうだけはよくしたいわという印象がやはりあるわけですが、しかしそうは東南アジア諸国は許しません。相当期待を持っていると同時に、日本が非常に消極的だという、さいぜんも長官の言ったように、国民所得の一%はやはり未開発地域開発のために出すべきだ、それに日本が賛成しておりながら、現在はたしか半分以下の〇・四五ぐらいですね。そういうことは実際に東南アジア開発地域に対する日本の不信となって、そういう声が出ているわけですから、審議され、会議が踊るのはいいですけれども、そういう緊迫した情勢にまできているわけですから、これは政府としては早く明確にしてもらわなければならぬと思うのです。それについて政府としては、いま申し上げたように消極的な態度がやはり過去に見られるわけです。一つは、長官が出席されていると思うのですけれども、総理府の中に従来海外経済協力審議会という審議会がございましたね。これがそういう東南アジアアフリカ等の未開発地域について、対外的にどういうふうにするかということを基本的に審議しているはずなんです。この経過は一体どういうふうになっているのか、ひとつ御説明願いたい。
  19. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 非常に身がってな主張だという御批判でございますけれども、日本自体といたしましては、御承知のとおり低開発国に対するところ日本との貿易関係は、どっちかと申しますと片貿易なんです。したがって、どうしてもその地域開発投資をし、そしてそこの産品、まあ一次産品が主になるかと思いますけれども、たとえばトウモロコシ等アメリカにほとんど依存しておったのをタイに漸次転換してきているというのが一つの適例かと存じます。砂糖についても同様でございます。そういうふうな開発投資を積極的に進めることが今後の日本貿易を拡大していくということのために日本自体にとっても絶対に必要なことだ。したがって、金額をただいま具体的にお答えできませんのは、これはひとつぜひ御了解願いたいと存じます。姿勢として非常に消極的だというふうにおとり願うことは私としては非常に心外でございます。  それで、ただいまお尋ねの海外経済協力審議会という問題は、これはしばらく開いておりませんが、経済閣僚懇談会の席または輸入政策懇談会というような会合も前の池田内閣のときに開いたこともございます。そういうふうな場を通じまして、こういうような問題を絶えず政府部内で非常に熱心に、どこにどういうふうな方法開発投資をすべきか、またその片貿易を直すと申しますか調整をして、そして輸出の促進をはかることができるかという問題については、政府としては非常に重大な関心を持ちながら、絶えず前向きにいろいろな施策を講じてまいる所存でございます。
  20. 加賀田進

    加賀田委員 これは二年ほど開かれてないんじゃないですか。政府内部では、やはり外務省は外務省で独自のプランを立てていく、大蔵省大蔵省としていろいろな意見を持っている。通産省は通産省としていろいろ意見を持ってかってにやっている。そういう各省ばらばらの計画というものを総合的にきちっと決定する機関としてこの審議会がつくられたわけですから、池田さんが東南アジアへ行く前にはごちゃごちゃしていましたけれども、あとぷつっと切れてしまっている。何ら審議会によって総合的な計画が立てられていないのです。せっかくそういう審議会をつくって総合的な未開発地域に対する開発計画をわが国が立てていこう、こういって踏み切ったのに、二年間開店休業という、こんなことで積極的でございますということは言えないではありませんか。姿勢は積極的で行動は消極的だということですか。これは一体今後どうするつもりなんです。
  21. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 御指摘のとおり、海外経済協力審議会総理府の主管でございますけれども、約一年半開かれていないことは事実でございます。しかしながら、海外経済協力についての具体的な問題につきましては、たとえばこの法律改正が外務、通産、大蔵、それぞれみな関連しておる問題でございまして、そういうふうに具体的に法案の改正をし、前向きに準備をしていくというような事柄については十分いたしておりまするし、また昨年輸入政策懇談会というものをつくりまして、これまたこういう問題について各国別にそれぞれ輸出入のアンバランスをどうして調整するかというふうな問題について検討してまいっておるのでございます。これは他の総理府の主管の問題でございますので、なぜ開かれないかという理由については私もよく承知いたしておりませんが、前向きであるということについては、われわれは何とかしてそのような方向に責務を果たしたいという熱意であることだけはひとつ御了承願いたいと思います。
  22. 加賀田進

    加賀田委員 前向き前向きと言うが、ではこれから、いろいろの形を各省で研究されているのですけれども、一体総合的に決定する機関をどのように考えておるのですか。先般も外務省は外務省でかってに未開発国援助問題について審議をして発表をするというふうなこともされておりますが、一体政府としてどの機関に将来この問題を集約されようとしておるのか。個々ばらばらでやられておっては、実際に速度も鈍ってくるでしょうし、各国に与える影響というものも、非常にいま申し上げたような明確な点を欠くだろうと思うのです。将来それは審議会を再度生かして統合するのか、あるいは別個の機関を設けてそこで統一的な見解を出すのか、その点だけ明らかにしてもらいたいと思います。
  23. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 ただいまの問題は、この海外経済協力基金をつくります際にも政府部内で非常に大きな問題になりまして、外務省、通産省、大蔵省、それぞれ非常に熱心な関心を示し、なかなか調整がつかないような点もございました。そんな関係で、総合調整官庁であるところの経済企画庁がこれを主管する、こういうことに相なっておるのでございます。ところが事実問題としては、なかなか経済企画庁にもそれほどの専門家、スタッフをたくさんそろえておるわけでもございません。そういう関係から、むしろ海外経済協力基金自体において、これは調査をでき得る機構に相なっておりますので、調査を進め、自主的に、これがどんどん積極的に動いていただくようにという要請を私どもはしてまいったわけであります。先ほども申し上げましたように、ようやく軌道に乗ってまいりまして、昨年ごろから急ピッチにこれが積極性を帯びてきたということは非常に喜ばしい傾向だ、かように考えまして、こういうふうな今後の資金の手当て等についても万全の処置を講じていきたい、かように考えまして、法案の御審議を願っておる次第であります。
  24. 加賀田進

    加賀田委員 どうも長官に答弁を求めるのは困難だとは思うのですけれども、やっぱり各省がばらばらでこういうものを研究したり、実施したり、あるいはPRして報告したりという、そういう態度ではなくて、最終的にはこの機関で総合的に決定するのだ、こういう機関というものが私は要るのじゃないかと思う。そういう機関を設けておかなければ、やはり各省間のなわ張り争いのような感じがしてならないので、それは要望であります一が、やはり早急に政府内で、いま申し上げたような従来の海外経済協力審議会を生かすのか、別個一にやはり相当権威のある総合機関というのを設けるのか、こういうものが明確になって、そこへ最終的に指導していかなければ、これはほんとにすっきりとした海外援助というものができないのじゃないか。ぜひ長官としても、本委員会意思を体して、そういう問題に対して早急に明確な態度をとってもらいたい。そうでなければ、基金だけをふやした、基金がふえてくると、これは経済企画庁だ、いや通産省の意見も聞かなければいかない、大蔵省は輸銀を握っておって、これはおれの分野だ。最近新聞にも出ておりましたけれども、外務省は外務省として、低開発国援助問題について相当積極的な、われわれとしては賛同すべきいい案を出しているわけです。しかし、外務省がこんなものを発表したって、一体それについての資金の裏づけを大蔵省がするのかどうか、通産省がそれについて協力するのかどらか、基金自体もどのようにそれに協力するのかというような問題が総合的に決定されなければ、これはアドバルーンだけで何も実効があがってこないと思うのです。外務省の人は来ていないですね。――この案について、長官、事後でも事前でもいいですから、何か御相談に応じたことがありますか。
  25. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 ただいま御指摘の外務省の案として新聞に出ておりますものは、まだ外務省の事務当局段階で検討している内容が外に出たもののように承っております。したがって正式な協議または外務省の意見としてわれわれはその提示を受けたことはないような次第でございます。しかし、先ほど来の加賀田先生の御意見は、おそらく経済企画庁もっとしっかりやれという御激励だと、かように存じますが、私どもといたしましても、この問題は、各省の権限争いのためにこの仕事がおくれるとか、または何らかの支障を免ずるというようなことがないようにという趣旨をもちまして、実は昨年以来海外経済基金そのものの自発的な活動を強く要請してまいっておりまして、またそのことがだんだん実を結んできておるように見ている次第でございます。
  26. 加賀田進

    加賀田委員 私がいま申し上げたような最終的な総合的に決定される機関が必要だというのは、こういうことなんです。これは二十日のアジア太平洋地域公館長会議で外務省として明確に発表して、その案がその会議によって決定されているわけです。しかも、この内容というのは、われわれが従来期待してきた諸外国の海外援助の線に沿うた金利とか、あるいは返済期間というものも相当長期にわたっております。しかし、外務省だけではこの問題を実施することはできないわけです。たとえば金利なんか二・五%、あるいは期間は二十年以上というようなことで、できれば海外援助の米、英、仏、西ドイツ等が行なっている期間二十年から三十年以上というようなところまで努力したい、こういうような非常に具体性のある発表をされておるわけです。こういうものは実際問題として館長が各国で発表されていくと思うのです。発表されていきながら、国内で大蔵省も通産省も知らなかった、あるいは新聞を通じて知っているという程度だ。しかし、この線が最終的に政府態度として決定されれば、各国に与える影響は、やはり日本は当初言っていたと同じように努力するのだ、こういう印象を与えるでしょうけれども、こういういい案が発表されて、いざ政府の中で論議されたら、いやそれは三分五厘ではとうていだめだ、二十年ならいいが三十年というような長期なことでは、日本は今日の財政力から困難だというようなことから、これが後退した場合は、各国に与える日本の信用度というものに非常に私は影響してくると思うのです。そういう意味で私は懸念しているわけで、政府のいろいろな内部機関で論議される過程ではいいと思うが、しかし対外的に発表されるような場合、特に国外にそういう問題が提起されるような場合には、もっと実行する基礎がきちっと固まらなければならないと私は思うのです。ところがいま申し上げたように、外務省は外務省として非常にいい案を出す、大蔵省はきんちゃくのひもを締めてなかなか出してくれないというようなことから、特にさいぜん申し上げたような日本に対する期待が大きいのですから、こういう点では私は非常に不信感が増大することになるんじゃないかと思うのです。したがって、これは相談を事前に受けていないとするなら、これについての質問は省略いたしますけれども、やはりこういうものは、外務省は外務省で発表したのだから大蔵省や通産省や企画庁は知らぬというようなことでは、国内では通るかもしれぬけれども、国外ではそうは通らないと私は思う。したがって早急にこういう総合機関というものを設置する必要があるんじゃないかと思うのです。これは外務省の問題ですから、相談を受けていなかったとするならば質問を展開するわけにいきません。  それから、今度の法律では新たに十億の資金資金運用部から借り入れるということが一つ趣旨になっておりますが、この海外低開発地に対するいろいろな援助について今日問題になっておるのは、輸銀と基金との関係がどうも不明確な点があるということじゃないかと私は思うのです。輸銀のほらは、輸出に対していわゆる国際競争力を強化するために、できるだけ国際的な金利において援助する、こういう商業ベースを中心にしてやっているわけですが、基金の行なっている事業も現在の輸銀のほうが行なっているんじゃないですか。どうしてこれは明確な線というものが引けないのですか。しかもこの基金のほうは長官の担当であるし、輸銀のほうは大蔵省の担当だ。そういうものを調整するためには、理事同士が定期的に集まり、これはおまえがやるか、これはおれがやるかということを相談しなければ運営できないという非常に不明瞭なことをやっているわけです。これは基金制度というものができたのですから、基金制度というものはやはり開発を中心としてやっていく、輸銀は輸銀としての本来の使命だけをやるというような明確な線を私は出していかなければならないと思うのです。さいぜんの外務省の発表した中にあるのは、また総理大臣の直轄機関としてそういう基金制度のようなものをつくろう、こういうような構想なんです。外務省は外務省で総理大臣の直轄機関というのも一つ考えている、企画庁は企画庁として基金によってそれをやっていく、大蔵省大蔵省として輸銀を通じてそういうものをやっていく、こういう三本――これは一本はまだ明確になっておりませんが、こういう各省ばらばらなことで開発計画というのははたしてうまくいくのですか。もちろん基金制度というのは輸銀からあらためて生み出された機関でありますから、発足当時にはいろいろな問題があろうとも、すでにこの基金が動き出してから大体四年ほどになるわけですから、この際輸銀との業務範囲というものを明確にする必要があるのじゃないかと私は思うのです。この点について、いままで双方の理事間における協議機関等を設けて調整しているということを聞いておりますが、そういう調整の必要のない明確な制度というものをつくる意思がないかどうか、あるいは輸銀に対して長官としても今後そういう問題を提起して明確にする気持があるかどうか、この点を明らかにしてもらいたいと思う。
  27. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 前段のアジア公館長会議については別段答弁を要求しておられぬようでありますが、私も実は二時間程度その会議に出席をいたしております。いろいろ要望が出たことは事実でございますが、日本政府として何らか意思表示をこういうふうにやるのだということをやったということは、少なくとも私の出席しておる限りにおいては聞いておりません。それで御承知のとおり基金におきましては、最高二十年まで、三、分五厘程度の金利まではなし得るという前例もあるわけでございまして、ある程度はその要望にこたえ得るということになるのじゃないかと思います。私もかつて東南アジア等を視察いたしまして、御指摘のように、どんどん何もしてやると言いながら、さあ具体的な案件になると一向にやっていない、あっちだ、こっちだといって持って回られるというお話をよくお聞きいたしまして、その点日本政府として非常に考えなければならぬ点だということは痛感いたしておる次第でございます。そういう事情でございまして。政府としては、海外経済協力基金、すなわち三分五厘、二十年程度までというものは現在の段階においても十分準備をいたしております。それ以上さらに条件を緩和するという問題については、なおまだ決定いたしておる次第ではございません。  なお、いま一つ輸出入銀行基金との関係でございますが、基金については東南アジアその他低開発地域という、地域についての一つの限定がございます。これが一つの特徴でございます。それから輸銀はどこまでもコマーシャルベースで市中銀行の補完をするというたてまえに相なっておりますが、基金の場合にはむしろ開発投資で、農業とか土木関係とかいうことになりますとどうしても長期低利を必要とするので、こういうものについては基金が重点になろうと思います。しかし、その間にあって双方のボーダーラインになる案件もあることは事実でございます。大体の標準は、期限十年ぐらいを限度として、十年以上のものは当然にもう基金で扱う、それ未満のものについては輸出入銀行において扱う、しかし十年に近いところで、これは基金でやったほうがよくはないか、また輸出入銀行で扱ったほうがよくはないかという問題がございますが、そういうボーダーラインに関する問題、また金利をどの程度まで下げ得るかという問題、そういう点については理事間で協議をしてやっていくということでありますが、もともと当初の出発が、輸出入銀行のスタッフももらえて、そこからプッシュしてきたような経緯もございますので、その間そう摩擦があったり、また混乱があったりするようなことはなしに、だんだん成長してまいりまして、今日ではだんだんその分野が明確になってまいっておると考えておる次第でございます。なお、アメリカ等におきましても輸出入銀行とAIDと二本立てでやっておる、こういうようなやり方がやはりどうしても必要じゃないかというふうな考え方を現在持っておるわけであります。
  28. 加賀田進

    加賀田委員 それは輸出入銀行とこの基金とが必要じゃないということは言っていないのです。いまの日本の双方の業務というものは相当重複しているような点があるから、理事会の懇談会かなんかを定期的にやっているのですが、この点が明確になれば、これは不必要な会議だと思うのです。基金のベースに乗らなければ輸銀に行ってくださいといえば済むし、輸銀のほうで、それは基金のほうで援助してもらったほうが期間も長くなるしというようなことになれば、これは基金のほうでやる。一つの問題を双方寄って、これはおれのところでしようとか、これはおまえのところでやれというようなこと自体が、どらも機関としてすっきりしないのじゃないかと思う。だから、基金というものができたのですから、とにかく低開発地についてのいわゆる融資はできるだけこの基金でやる、こういうことで明確にしておいたほうが将来ともいいんじゃないかと私は思うのです。大蔵省も一たん握ったものについて業務を縮小するということは、これは日本人の悪いくせですけれども、なかなか承服しないで困難ですけれども、これから基金制度というものをさらに充実していこうと思えば、私は、その点をやはり明確にすべきである。しかもそういう時期がきておるのじゃないかと思うのです。一、二年では、いままでの輸銀業務について練達した方もありますから、基金とし七もある程度の助言を仰ぐことも必要だったでしょうが、もうすでに発足して四年になれば、独自でいろいろなケースを審議して決定する能力、機能というものはあるわけですから、この際その点はやはり明確にして、もちろんこれは大蔵省との折衝を通じなくちゃいけないと思うけれども、今後各国の要諸されている基金制度というものについてさらに努力をし、そういう体制をつくろうとすれば、当然私はそうすべきじゃないかと思う。政府としては、現状のままこれからこの二つの機関が推移していくのか、あるいはできるだけ折衝してそういう方向に努力されるのか、その基本的な態度をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  29. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 御意見趣旨は同感でございます。また、現実の姿としても、低開発国向けに低利長期を要求するものでございますから、漸次基金の占める部分が多くなってまいってきていることも事実でございます。ただ、低開発向けにつきましても、当然コマーシャルベースで、輸銀ベースで十分だという案件もございますので、地域によって分けるということが妥当ではないか。やはりその条件によってそれぞれ分ける。しかも、具体的なケースになりますと、まあ、これは急に金が何だから輸銀ベースでやってもらえぬかという話をする人も確かにあり得ると存じますので、その辺のわずかなボーダーラインの層につきましては、やはり今後も調整をとりながらやることによって、そんなに弊害もなく漸次それが円滑なものになっていく、かように私は存じておるわけであります。
  30. 加賀田進

    加賀田委員 これは政府間のベースでこういう問題が論議されるとするならば、一応それは基金のほうで取り扱うかあるいは輸出入銀行で取り扱うかということも一つの論議があると思いますが、実績を見ますと、ほとんど民間ベースですよ。だから、民間ベースで提出されたものがあらためて双方の機関を通じて論議をして決定する、こういう形は、自主性というものがやはりお互いにあるのですから、行政上とるべきではない。だから、いわゆる誕生した経緯について、そういう点が一時的にあるということはやむを得ないとしても、いま申し上げたような相当の実績を積んできたのですから、この際その点は明確にすべきじゃないかと思う。民間ベースだけぐらいは、基金基金の独自性に基づき、輸銀は輸銀の独自性に基づいて問題を処理していくという形――本来やはり輸銀は輸銀としての商業ベース貿易振興をはかるという、やはり国際競争力に耐え得るという体制の中で本質的な業務を行なうのが輸銀の使命だと、思うのです。せっかく基金ができたのですから、何だか事務が重複しているような形は将来ともとるべきではないと私は思う。まあ、長官としても、そういう問題について、この点はやはり将来の努力目標としていただかなければならぬと思うのです。  それから、今度の法律改正資金運用部資金から金を借りるわけですけれども、金利は何ぼですか。
  31. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 六分五厘の予定でございます。
  32. 加賀田進

    加賀田委員 そうすると、六分五厘の金を借りて、しかも、いまは計画されていませんけれども、債券の発行をするということになると、資金コストの面で、これは六分五厘の金を借りて三分五厘で貸しているという商売はないわけですから、一体、政府自体としてどうしてこういうことを認めたのですか。大蔵省との関係もあるのだろうと思うのですが、われわれとしては理解できないのです。何とか政府機関の中でそういうふくそうしたような形をとらずして、すっきりと三分五厘なら三分五厘の資金というものをやはり基金の中に導入するような体制をとらなければならぬ。六分五厘の金を借りて三分五厘で長期に貸していくというようなことは、実際に金融機関として適切なのかどうか。将来とも問題が起こらないのかどうか。あと交付金の問題がありますが、そのつど大蔵省との折衝で毎年こういう問題が起こってくるのではないか。結局大蔵省にぐっと首筋を握られて何もできないというようなことになって、お前ら、交付金がほしければおれたちの言うことを聞けということになる。現在もそういう傾向はありますけれども、これは折衝の過程でどうなったのですか。
  33. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 この法律において特に交付金の規定を入れましたのは、まさにただいま御心配のような点がありましたので、その規定を特に入れたわけであります。しこうして、これに関連して、関係省の事務次官の間で覚え書きの交換等をいたしまして、その点円滑に、首根っこを押えられることがないようにという大体の方向でそのことを進めていく予定でございます。  それから、もう一つ申し上げておきたいと存じますのは、輸出入銀行資本金に対して三倍が借り入れ金の限度でございますが、海外経済協力基金におきましては一対一でございます。政府出資はゼロ、つまり、資金コストがゼロでございます。一方は六分五厘でございますから、かりに限度一ぱい借り入れをいたしました場合におきましては、六分五厘の半分を資金コストとして取るということになろうと思います。  なお、債券の発行の問題でございますが、債券を発行するつもりは全然ございません。これは運用部資金のほうで、債券発行をするところでなければその貸し出しをすることができないというたてまえになっておりますために、債券を発行できるように立案した次第でございます。そう御了承願います。
  34. 加賀田進

    加賀田委員 しかし、そういう双方覚え書きをつくらなければならないようなやり方というものはどうも不明朗で、政府一般会計から困難であれば、資金運用部資金の中で何か特例を設けて三分なり二分五厘で貸すとかなんとかということにすればすっきりするではないですか。これはそういう交渉をされたのですか。あとまた交付金をつくり、覚え書きをかわそうという、そういう政治的な配慮もあったのですか。一ぺんその経過をはっきりさして下さい。
  35. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 御承知のように、資金運用部資金はいろいろな貸し出し先をこうして限定をいたしておるのでございますが、最低が六分五厘ということに相なっております。したがって、もしもそれを二分なり三分なりといろ安い金利でかりに融通するということになれば、その赤字だけは一般会計から補給を要するということでございますので、結局回り回って一般会計の負担になるととは当然でございます。資金運用部資金自体が赤字になる。そういうような関係から、直接基金に対して交付金を出すことができるというたてまえにして、赤字は基金自体において補充していこう、そういう考え方になっておるわけでございます。
  36. 加賀田進

    加賀田委員 そこで、結局交付金は、名前は交付金ですが、これは利子補給ですよ。政府機関における利子補給金制度というものは、造船疑獄以来いろいろ論議されて、そういう政策、行政指導はできるだけ削除しようという態度をとっている。再び利子補給という問題がここに頭をもたげてくるということは、政治の方向として私はよくないと思う。もちろんこれは、職員の給与とか一般経費とかいうような形になっていくでしょう。しかし、それが適用された項目はそうであろうけれども、全部のプールの中でそういう六分五厘の金を借りているから赤字が出てくるのであって、実質的なものは利子補給と同じ性格を持っている。ことばの上では職員の給与だというような形になるでしょうけれども、これはここで決定された今日においていますぐこのことをどうするということは困難でしょうけれども、政府態度としては、こういう基本的な問題は今後やはり慎しむべきではないかと思います。そういうことで、これはいますぐどうこうということはないですけれども、やはり利子補給的な性格というものは将来いろいろ疑義を起こすことになってまいりまして、前にもいろいろ問題が起こったのですから、こういう問題については、やはりそういう交付金制度というようなものならないような方向で、一般会計からできれば一番よいのですけれども、財源の余裕がないので大蔵省がうんと言わぬでやるのは困難だろうが、そういうことで御協力願いたいと思うのですが、どうですか。これは実績を見ますと、さいぜん申し上げたように民間ベースがほとんどなんです。将来この基金制度としては、政府間におけるいろいろな協定とか、あるいは各国の企業に直接融資のできる道も私はあるのじゃないかと思うのです。そういうことについての申し入れとか提案というものは従来なかったのかどうか。あったけれども基金のベースに乗らなかったからそれが拒否されたのかどうか、この点について、今後もそういう事態があればやろうとするのかどうか、この点をちょっと明らかにしていただきたいと思います。
  37. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 法律的には、政府借款の場合においてもこれを除外するたてまえには相なっておりません。過去の実例を調べてみますると、インドとの円借款の場合におきましては、これは従来沿革がございまして、またこの経済協力基金が発足当初でございました関係もございまして、従来の沿革のとおり輸銀で扱ったというふうな経緯がございますが、先般台湾との間に円借款の協定が行なわれたわけでございます。この中に曾文渓の多目的ダムについての四千四百万ドルという問題がございます。これについてはやはり基金でもって扱うというのが至当であろうか、かように考えておる次第でございます。ただし、この問題につきましても特に条件をつけまして、日本政府が経済的、技術的に妥当なりと認めた場合においてこれをするということになっておりますので、時間的にはなおいま少し経過を要するか、かように考えております。
  38. 加賀田進

    加賀田委員 台湾の問題が出ましたが、台湾は純然たる低開発地域に対する融資ではなくて、これは政治的な背景があるわけであります。今度の日立造船との問題で、やはりこれは一億五千万ドルの経済援助をするから、できれば黙っていてくれというような背景があったわけです。基金本来の性格で政治的な背景というものは私はあってはならないと思うのですが、このことは別として秀、この基金によって、今日まだ妥結は見ておりませんけれども、日韓会談が成立いたしますと、やはり有償二億ドルについて基金がこれを引き受けることになるのですね。そういうことになるのじゃないですか。
  39. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 大平メモにはそのとおり書いてある次第でございます。
  40. 加賀田進

    加賀田委員 やはり二億ドルといいますけれども、現在の基金の財政力、いわゆる融資力からいって、七百二十億円という膨大な金を基金が全部しょって、他の低開発についての基金の運営について影響はないのかどうか。しかも巷間伝えるところによると、そのことのために資金運用部資金からの融資の道を開いたのだ、こういうことがいわれておるのですが、一体大平メモには書いてあるけれども、基金としてはそういう問題について引き受ける意思を持っているのか。これは国際的な関係なんですから、基金だけがすべてを負担するということよりも、何か特別会計でもつくって、日韓会談の成立に基づいて、無償はもちろん特別会計とか何かにするでしょうけれども、有償と合わせて五億ドルという経済協力について、基金を利用するというようなことではなくして、何か政府としては特別会計等によって処理すべきだと私は思うのですが、そういうことで、今後の基金の運営に支障を来たすと私は思うのです。だから長官としては、そういう問題について引き受ける意思があるかどうか、このことを明確にしてもらいたいと思います。
  41. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 この長期低利借款、いわゆる大平・金メモでございますが、これが先般イニシャルを交換された内容にも相なっておるわけでございますが、これが総額二億ドル、十年間均等供与、金利が三分五厘、償還期限は二十年ということに相なっております。そういうような関係から、これは輸銀ベースでは絶対に引き受けられぬ性格のものであろうと存じます。したがって輸銀ベース以外で引き受けるとするならば基金以外にない、こういうふうなことになろうと思います。しかし基金といたしましては業務方法書その他においてもはっきり明確にいたしておりますように、償還の見込みのあるものというようなこともいろいろあり、個々のプロジェクトについて貸していくというたてまえでありますので、仮定の問題でありますけれども、日韓条約が発効した後にはたしてどういう形になるかというようなことについては、ただいま十分な検討をいたしておる次第ではございません。今回提案を申し上げたのは、いままでの、つまり具体的に低開発国に対する貸し付け計画をずっと検討しました結果、どうしても金が足りないという結論に達しましたので、しかも政府財政事情等関係から、政府の財政資金のみによるということはとうてい困難だというふうな関係からいたしまして、こういうふうな開発基金の制度をつくった次第でありまして、こういう日韓関係また台湾関係を予定して御提案申し上げた次第ではないわけであります。
  42. 加賀田進

    加賀田委員 それはちょっとおかしいです。とにかくいまの投融資承諾額は百二十億あるのですね。百二十億のうち四年間に貸したのは八十六億しかない。残額三十二億以上あるでしょう。そこへまた十億入ってくる。そうすると四十二、三億という金があるわけです。本年特にこういう需要の増大に基づいて積極的にやるという別個のものがあれば別として、台湾から要求された四千四百万ドルについても基金が引き受けなければならない。日韓会談も政府は一生懸命に急いでおる。これは韓国でも経済侵略だといって相当反対の声がありますから、将来は別としても、これは二億ドルという金を基金が引き受けなければならない。こういう背景の中で、やはり一対一の融資ができる道を開くという以外に私はないと思う。だから本年度全然融資額がなくて、どうしても一般会計に余裕がないからと大蔵省が突っぱったら資金運用部資金のほうでちょっと出すというのではなくて、現在だって、いままでの実績から見れば、本年度特にそういう要求が膨大になるというようなことは私はあり得ないのではないかと思う。十億をたとえ二十億にしようと、四十億から五十億という金はやはりできるわけです。したがって、そういうものは何か国際間の問題であって、一つの民間ベースあるいは正常なる国交の中での政府間の問題でなくて、日韓会談という一つの政策的な、国家間における政策の中で生まれてきた二億ドルという有償を基金が担当しなければならないということだったら、さいぜん申し上げたような他の開発計画にも影響してくるでしょうし、いま申し上げたそういう特別なワクを設けてさらに一対一の融資ができるような道を開かなければならぬということは、だれが考えても、二億ドルの背景があって、今日その道を開かなければそれにこたえることはできない。返済能力云々、これは無償の中から差し引くことができる。一方では政府が三億ドル出しておる無償で、その財源から差し引くことができるのですから、政府間の中で韓国さえ了承すれば相殺することもできる。それは返済能力もあるでしょう。それではあらためて各案件について審議しなければ返済能力というものはないと思う。だから、どうしてもわれわれとしてはそういう日韓会談の二億ドルの有償を基金が引き受けるということについて、将来に対して大きな問題があるし、基金自体についても、そういうことはないのだと言っても、これはことばの上だけです。われわれは実際に証拠を持って云々というわけじゃないのだけれども、やはりわれわれの感覚としてはそういう感覚を持たざるを得ない。もっと基金としては将来そういうものを別個の特別会計として処理してもらいたいというような態度をとるべきだと私は思うのですが、いま申し上げたとおり、既存の金融機関としてはもう基金しかないのだからしようがないというような消極的な長官の受け取り方でなくして、もっと明確に将来基金を伸ばしていこうとするならば、そういう日韓会談の云々にかかわらず、低開発地域に対する開発を積極的にやるのだ、こういうふうな姿勢をとるべきだと思うのですが、どうでしょう。
  43. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 そんなに金が要らぬはずだというおことばでございますが、どうやら軌道に乗ってまいりまして、九億円が約三十億円になり、さらに六十五億円になるというふうに相当軌道に乗ってまいりましたので、したがって四十年度においてはあの程度資金の手当てをいたしまして、大体十八億円だけ余裕ができるという計画に相なっておりますが、御承知のとおり長期のプロジェクトでございますので、一時に金を出すということがない。年度を変えて区分して出していく。したがってある程度の余裕がなければその第一年目の最初の貸し付けもできないということになるわけでございますので、十八億円の余裕では非常に私ども少ないと思いますけれども、これはもう財政の事情その他で、やむを得ず予算の編成の過程において私どもこれに賛成せざるを得なかったわけでございます。したがって少なくとも予算編成の過程、この法律案をつくります段階におきましては、こういうふうな問題を全然対象にしないで御提案申し上げたことだけははっきり申し上げることができます。ただ今後の問題として、しからば台湾の関係また日韓の関係をど申するか。台湾の関係につきましては、これは御承知のとおり、一つの大きな多目的ダムという水利組合の仕事になろうかと思うのでございますが、これは日本時代にできました非常に確実なりっぱな大水利組合でございますから、おそらくは経済性なり、またはその他の面の審査は十分必要とするでありましょうけれども、これはもうある程度具体性を持ち得るものであろうかと存じます。日韓の問題については一体内容の仕事が何になるのか、またはどうなるのかということについては、これからの問題でございますから、その段階において検討さしていただきたい、かように考えておる次第でございます。
  44. 加賀田進

    加賀田委員 日韓会談の二億ドルの有償について、個々の問題は別としても、本質的に出せる意思はあるのですか。
  45. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 この条件であれば、現在の輸銀のほうでは引き受ける方法がございませんから、したがって他に新しい機関をつくらないとすれば、この海外経済協力基金で引き受けるのが妥当であろう、かように考えている次第でございます。
  46. 加賀田進

    加賀田委員 そうすると、他に特別会計とかそういうものをつくる意思がないとするならば、いわゆる基金でこれを引き受けるわけです。七年の据え置き二十年という、しかも金利三分五厘ということで、今日行なっているいわゆる東南アジアを中心とする開発についての融資にそのまま適合するわけですね。だから私は国策的に行なってきているこういう問題に対して、日韓会談の七百二十億円という膨大な金を基金が引き受ければ、いま申し上げたように四十年度はそういう予定がなくても十八億しか金が残らないのだ、こういう窮屈な資金関係の中で、二億ドル、七百二十億円という膨大な金をやむを得ず引き受けますということになったら、基金の金が全部そこにいってしまいますよ。だから長官としてはもう少し腹をきめて、これは政府として特別会計でやってくれ、おまえたちが好きでこうやったんだから、はっきりしてくれなければ他に影響するじゃないかという態度をとらなければ、これは今後の基金の運営の上に支障を来たしてくるのであります。よそでつくらなければ基金で引き受けます。実質的に引き受けるという意思ですよ。大平メモもそう書いてあるし、これはしようがない、そういう意思なんでしょう。正直に言ってくださいよ。
  47. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 御承知のとおり、この法律案を出す段階においては全然対象にしておらなかったことはそのとおりでございますが、日韓条約が締結された後においてこの問題をどう処置をするかということは、その段階において具体策を考えたい。しこうして、どうしても基金でやるべきだということであれば、その資本的な原資の手当てについても十分な手当てをすべきである、このために他の地域が圧迫を受けるということがあってはならない、かように考えておる次第でございます。
  48. 加賀田進

    加賀田委員 時間も一時になりますから終わりますが、私はやはりさいぜんも申し上げたように、低開発の東南ア地域を中心として日本が指導的立場に立って開発援助をすべきだという態度で、基金制度の内容が充実されることは賛成ですけれども、しかしその背後において、日韓条約が成立した後における二億ドルの有償についてわれわれとしては賛成するわけにはいかない。そういう背景があるなら、この際長官がどういうことがあろうともそれは断わる、基金基金として別にやるんだという言明があれば、この法律案に賛成するにやぶさかでないのですけれども、そういう背景を長官が何ぼ弁明されたって、ずっと推移を見ますと、実質的にこの基金が引き受けざるを得ないような状態に追い込まれておるし、長官の顔を見ていると、しようがないという顔をしておるので、抵抗する意思はちっとも見られない。だからわれわれとしては、これからの基金の充実と国際的な使命については了解するけれども、今日のそういう情勢の中ではこれは残念ながら賛成するわけにはいかない。だからそれを明確に断わると言い切れるかどうか、言い切れぬだったらわれわれとしては反対します。最後の答弁を求めます。
  49. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 繰り返してお答え申し上げますが、日韓問題につきましては、条約締結後において、何ぶん大きな金額の問題でございますから、基金で原資の手当てをするか、また別個の機関をつくるかは、その段階において検討いたしたい、かように存じます。
  50. 加賀田進

    加賀田委員 終わります。
  51. 内田常雄

    内田委員長 おはかりいたします。   本案についての質疑はこれを終局するに御異議  ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 内田常雄

    内田委員長 御異議なしと認めます。よって、  さよう決しました。     ―――――――――――――
  53. 内田常雄

    内田委員長 次に、討論の通告がありませんので、直ちに採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  54. 内田常雄

    内田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。      ――――◇―――――
  55. 内田常雄

    内田委員長 次に、一昨五月二十四日、参議院より送付、本委員会に付託されました参議院商工委員長提出、日本貿易振興会法及びアジア経済研究所法の一部を改正する法律案を議題とし、参議院商工委員長より趣旨説明を聴取いたします。参議院商工委員長豊田雅孝君。
  56. 豊田雅孝

    ○豊田参議院議員 ただいま議題となりました日本貿易振興会法及びアジア経済研究所法の一部を改正する法律案につき、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  この法律案はこれら二つの特殊法人業務上の余裕金の運用方法改正を加え、これを中小企業向け資金としても運用できるようにしようとするものであります。御承知のとおり公団、事業団、基金等の特殊法人業務上の余裕金を持つ場合、その運用方法についてはそれぞれの法律で規制しておりますが、最近はその運用方法一つとして国債その他主務大臣指定の有価証券を保有することを認め、主務大臣はそれぞれの法人の性格に応じ商工債券、農林債券等を指定するのが普通の例となっております。そこで参議院商工委員会におきましてはこの点を慎重に調査検討してまいりましたが、中小企業金融の現状にかんがみ、その資金源充実に資するためにも、この際日本貿易振興会法及びアジア経済研究所法はこれを改正し、通商産業大臣の指定があれば商工債券等も保有できるようにすることが適当であると認め、全会一致をもって本改正案を提出することに決定した次第であります。  法案の内容は右二法の余裕金運用の規定を改正し、二法人は通商産業大臣の指定する有価証券を保有することもできることとし、通商産業大臣がこの指定をしようとするときには、大蔵大臣と協議することを要するとしたのであります。  以上が提案理由及びその内容でありますが、何とぞ御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  57. 内田常雄

    内田委員長 以上で本案についての趣旨説明を終わります。     ―――――――――――――
  58. 内田常雄

    内田委員長 本案に対して質疑の通告がありますので、これを許可いたします。板川正吾君。
  59. 板川正吾

    ○板川委員 本改正案についてはすでに三党において意見が一致をして、参議院商工委員長の提案という形になったのでありますから、内容について多くを質問いたしませんが、一、二質問をいたします。  ただいまの提案ですと、通産大臣の指定する有価証券という項目を入れて、それが「商工債券等も保有できるようにする」というのが提案理由です。この「商工債券等」ということは、たとえば中小企業金融公庫債が現在発行されておりますが、公庫債も当然含まれるものと解釈していいですか。
  60. 豊田雅孝

    ○豊田参議院議員 提案者といたしましては、中小企業金融公庫債は政府保証債でもありまするし、この「商工債券等」という、その等の中へは入れるべきではないというふうに提案者としては考えておりまするけれども、行政運用の面に相なりまするので、政府のほうから具体的に答弁してもらうほうがいいかと考えております。
  61. 板川正吾

    ○板川委員 これは通産大臣が指定する有価証券ですから、通産大臣が中小企業金融公庫の公庫債も当然指定すれば問題はないわけですね。
  62. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 法文の解釈上はそういうことになりますが、現実にどうかということになりますと、現在さしあたっては指定する考えはございません。ただいま提案者のほうから御説明申し上げたように政府保証債でございますし、引き受けシンジケート団が組織されて別途十分消化されておるのでありますが、さしあたり指定する考えはありません。
  63. 板川正吾

    ○板川委員 当面は公庫債のほうは別途十分確保をされ引き受けられておるから考えないということですが、法律上では当然そういうこともあり得るという解釈でいいですね。  それからこの商工債の場合には、これは政府引き受け債券と市中一般に出して消化する債券と二つありますが、この場合にどちらを考えておるのですか。
  64. 中野正一

    ○中野政府委員 このたびのジェトロ、あるいはアジア経済研究所、これは政府関係の特殊機関でございまして、政府そのものではございませんので、この引き受けは民間の消化分に入ると考えております。
  65. 板川正吾

    ○板川委員 これは民間の引き受け分に入るわけですね。それからジェトロとアジ研との現在の余裕金はどの程度あるのですか。
  66. 中野正一

    ○中野政府委員 日本貿易振興会が約二十億円、これは金銭信託、銀行預金等に運用されております。なおこの四十億円の実際に資金運用部に預けておる金が二十億ございますが、これは法律によりまして例の経済基盤強化資金からの出資がございます。これは法律によって資金運用部に預けることになっております。したがって約四十億の余裕金がある。アジア経済研究所は約一億三千万円の余裕金がございます。
  67. 板川正吾

    ○板川委員 大体以上で質問を終わります。
  68. 内田常雄

    内田委員長 おはかりいたします。  本案についての質疑は、これを終局するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  69. 内田常雄

    内田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――
  70. 内田常雄

    内田委員長 次に、討論の通告がございませんので、直ちに採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  71. 内田常雄

    内田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。      ――――◇―――――
  72. 内田常雄

    内田委員長 おはかりいたします。  本日議決いたしました両法案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任を願うことに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 内田常雄

    内田委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。   〔報告書は附録に掲載〕      ――――◇―――――
  74. 内田常雄

    内田委員長 閉会中審査の件について申し上げます。  閉会中審査の申し出をいたします法律案の取り扱いにつきましては、前回の委員会において委員長に一任されておるのでありますが、内閣提出の鉱業法の一部を改正する法律案、海部俊樹君外六名提出の電気工事業を営む者の営業所の登録等に関する法律案田中武夫君外十四名提出の中小企業の事業分野の確保に関する法律案、松平忠久君外二十人名提出の官公需の中小企業者に対する発注の確保に関する法律案、松平忠久君外二十八名提出の中小企業組織法案、麻生良方君外一名提出の電気工事業及び電気工事士法案、春日一幸君外一名提出の消費者基本法案、以上を申し出ることといたしますから御了承願います。  次会は公報をもってお知らせいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時七分散会