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1965-05-18 第48回国会 衆議院 商工委員会 第37号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年五月十八日(火曜日)    午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 内田 常雄君    理事 浦野 幸男君 理事 小川 平二君    理事 小平 久雄君 理事 田中 龍夫君    理事 板川 正吾君 理事 加賀田 進君    理事 中村 重光君      稻村左近四郎君    遠藤 三郎君       小笠 公韶君    小沢 辰男君       海部 俊樹君   小宮山重四郎君       田中 榮一君    田中 正巳君       田中 六助君    中村 幸八君       二階堂 進君    古川 丈吉君       三原 朝雄君    大村 邦夫君       桜井 茂尚君    沢田 政治君       島口重次郎君    田中 武夫君       麻生 良方君    山下 榮二君  出席国務大臣         通商産業大臣  櫻内 義雄君  出席政府委員         総理府総務長官 臼井 莊一君         公正取引委員会         委員長     渡邊喜久造君         総理府事務官         (公正取引委員         会事務局長)  竹中喜満太君         通商産業政務次         官       岡崎 英城君         通商産業事務官         (大臣官房長) 熊谷 典文君         通商産業事務官         (鉱山局長)  大慈彌嘉久君         特許庁長官   倉八  正君  委員外出席者         参  考  人         (石油資源開発         株式会社社長) 三村 起一君         参  考  人         (石油資源開発         株式会社副社         長)      岡田 秀男君         専  門  員 渡邊 一俊君     ————————————— 五月十七日  海外経済協力基金法の一部を改正する法律案(  内閣提出第一一六号)(参議院送付) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法  律案内閣提出第一二七号)  石油資源開発株式会社法の一部を改正する法律  案(内閣提出第九四号)(参議院送付)  特許法等の一部を改正する法律案内閣提出第  九三号)(参議院送付)      ————◇—————
  2. 内田常雄

    内田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法律案議題として審査を進めます。  この際、自由民主党日本社会党及び民主社会党を代表して、小川平二君外四名より本案に対する修正案提出されております。
  3. 内田常雄

    内田委員長 まず、提案者を代表して、趣旨説明を聴取いたします。板川正吾君。
  4. 板川正吾

    板川委員 ただいま議題となりました下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法律案に対する修正案について、自由民主党日本社会党及び民主社会党を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  修正案文はお手元に配付したとおりでありますので、時間の都合もありますから、案文の朗読は省略いたします。  修正案の各項目については、すでに審議過程において十分論議が尽くされておりますので、ごく簡単に申し上げます。  第一点は、親事業者範囲を拡大し、いわゆるトンネル会社親事業者として規制するものであります。  第二点は、第四条第二項第一号の、原材料等の対価と下請代金との関係に関する規定を整備し、「差し引き」を「控除し」に改めるものであります。  第三点は、現行法第七条において、公正取引委員会は、順守事項に違反した親事業者に対し、「勧告することができる」ことになっており、勧告に従わなかったときは、「公表することができる」ことになっておりますが、これをいずれも「勧告するものとする」「公表するものとする」に改める等、本法の積極的な運用をはかろうとするものであります。  第四点は、独禁法との関係をより明確にするため、規定を整備するものであります。  第五点は、第三条で定める書面を交付しなかったときは、三万円以下の罰金に処することとし、下請代金支払い遅延適確規制しようとするものであります。  以上が修正案趣旨であります。委員各位の御賛同お願いして説明を終わります。
  5. 内田常雄

    内田委員長 以上で説明は終わりました。     —————————————
  6. 内田常雄

    内田委員長 次に、討論の通告がありませんので、直ちに採決いたします。  まず、小川平二君外四名提出修正案賛成の諸者の起立を求めます。   〔賛成者起立
  7. 内田常雄

    内田委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいまの修正部分を除く原案賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  8. 内田常雄

    内田委員長 起立総員。よって、修正部分を除いては原案のとおり可決され、本案修正議決されました。     —————————————
  9. 内田常雄

    内田委員長 次に、自由民主党日本社会党及び民主社会党を代表して小川平二君外二名より、本案に対して附帯決議を付すべしとの動議提出されております。  まず提案者代表より趣旨説明を聴取いたします。中村重光君。
  10. 中村重光

    中村(重)委員 私は、三党を代表いたしまして、ただいま議題となりました附帯決議案について、その趣旨説明いたします。  まず、案文を朗読いたします。     下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行にあたり、公正取引委員会機構抜本的拡充強化につき画期的な予算措置を講じ、もつて下請代金支払遅延防止実効を期するとともに、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。 一 親事業者範囲について、引き続き検討を加え、資本の額または出資の総額が一千万円以下の法人たる事業者をもその実態に即し親事業者として規制しうるよう、速やかな措置を講ずること。 二 下請取引範囲の拡張については、現在の製造委託修理委託に限らず、運搬土建等も、その実態に即して適用するよう速やかに検討すること。 三 手形による下請代金支払いについては、手形満期下請代金支払期日後でなければ到来しない手形は、これを交付させないよう指導するとともに、引き続きこの点について検討を加え、速やかに法的措置を講ずるよう努力すること。 四 下請事業者の利益を保護するため、下請事業者の組織及び交渉力強化下請関係の調整、下請取引適正化等全般的下請対策を積極的に推進すること。 以上であります。  御承知のとおり、下請企業の問題は、最近の経済情勢において、山陽特殊製鋼の例を見てもわかるように、きわめて深刻なものとなっているのでありまして、今回下請代金支払遅延等防止法改正案政府、わが党、民社党からそれぞれ提出されたのも、こうした下請企業の置かれている困難な状態を一歩でも改善しようとするものにほかならないのであります。したがって、本案について終始熱心な審議が行なわれ、ようやく修正議決に至ったことはむしろ当然というべきものであります。しかし、下請問題は、今回の改正程度ではまさに若干の改善を見るにすぎないのでありまして、まだまだ多くの問題が残されているのであります。  まず、最も重要なことは、本法実施の任に当たる公正取引委員会機構拡充強化の問題であります。これについては本委員会においてもすでに再三その重要性が指摘され、先般の独禁法改正に際してもその趣旨附帯決議を行なったところでありますが、公取の機構拡充強化なくては、本法は絵に書いたもちであります。その意味において特に画期的な予算措置を講ずることにより、本法実施実効を期すべきであります。  次に、現行法親事業者範囲下請取引範囲に一定のワクを設けておりますが、現実の下請関係下請取引はこれに尽きるわけではなく、親事業者範囲について、いうならば、修正になったトンネル会社もそうでありますが、そのほか自動車メーカのごとく資本金五千万円をこえるものに下請させているもの、また、雑貨関係のごとく資本金一千万円以下のものもあるのであります。もちろん、本法下請企業中小企業である場合の保護目的であり、これらすべてを包含する必要はないのでありますが、少なくとも資本金一千万円以下のものについては、その下請小規模零細企業であることにかんがみ、これを保護するため実態に即して親事業者としての規制を加えることが必要であります。この点については早急に法制化をはかるべきであります。同時に、下請取引現行法製造委託修理委託に限らず、運搬土建等規制を要するものが少なくないのでありまして、これらを包含するため本法規制対象を拡張すべきであります。  また、下請代金支払いはもともと給付の受領と同時に現金で決済すべきものであり、最大限六十日なのであります。したがって、手形による支払い支払い期日に必ず現金化できることが必要であり、本来ならば手形満期下請代金支払い期日後でなければ到来しないような手形は交付すべきものではないのであります。手形による下請代金支払いについては、こうした本来あるべき方向に近づけるよう積極的に指導することが必要であり、近い将来この点を明確に規制するよう努力すべきであります。  もともと本法下請企業対策の一環をなすべきものであり、下請企業保護ひとり本法によってなし得るものではありません。今日の下請企業苦況を打開するためには、全般的な下請対策が積極的に推進されなければならないのであります。こうした全般的施策と相まってこそ本法目的も十分達成され得るものであります。この際、特に私は政府に対し、本案審議過程において附帯決議に盛られた諸点がきわめて熱心な論議対象になったことにかんがみ、ただ単におざなりの答弁ではなく、誠意ある見解を示すことを強く要望するものであります。  本附帯決議案は、このような観点から規律されたものであります。委員各位の御賛同お願いいたしまして修正説明を終わります。
  11. 内田常雄

    内田委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  ただいまの附帯決議に関する動議を採決いたします。本動議賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  12. 内田常雄

    内田委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、総理府総務長官より発言を求められておりますので、これを許可いたします。総理府総務長官臼井莊一君
  13. 臼井莊一

    臼井政府委員 ただいま御決議いただきました下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法律案に対する附帯決議趣旨及び先日の私的独占の禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議趣旨にかんがみまして、政府といたしましては公正取引委員会予算及び機構拡充強化につきまして、公正取引委員会の機能が十分に発揮できるように一そうの努力を重ねる所存でございます。また、ただいま附帯決議において具体的に指摘になっておられます四点につきましては、引き続き検討を加えまして、適切な規制措置がすみやかにとれるように努力をいたしまして、下請代金支払い遅延防止実効を期する所存でありますので、何とぞ御了承いただきたいと思います。     —————————————
  14. 内田常雄

    内田委員長 おはかりいたします。  本案に関する委員会報告書作成等に関しましては、委員長に御一任を願うことに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 内田常雄

    内田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  16. 内田常雄

    内田委員長 次に、内閣提出石油資源開発株式会社法の一部を改正する法律案議題といたします。  本日は、本案審査のため、参考人として石油資源開発株式会社社長三村起一君及び副社長岡田秀男君が出席されております。  参考人の両君には御多用中のところ御出席をいただき、まことに御苦労に存じます。  政府当局並びに参考人に対し質疑通告がありますので、これを許可いたします。板川正吾君。
  17. 板川正吾

    板川委員 石油資源開発株式会社法の一部を改正する法律案について若干の質疑をいたしたいと思います。  まず、法案に関連して一つ伺います。これは参考人に最初伺いましょうか、取締役が七名以内から九人に変わることになりますが、どういう担当強化しようというのですか。この増員二人はどういう仕事担当しようとするのですか、その点をまず伺いたい。
  18. 三村起一

    三村参考人 ただいまのお尋ねに対しまして御答弁いたしますが、従来七名でございましたけれども、一番初め労働者、職員みんな合せまして九百三十六名という線でございましたが、その後漸次会社事業の内容も増大いたしまして拡充いたしましたために、いま千名をこえることになりました。ことに労務管理につきましては、いろいろと賃金の問題なり生活の問題なり物価の問題なり、また福利施設の問題なり、多々ございますので、専門重役をそれにつけなければ手が足りない、こういうふうに思われます。  また一面海外のほうも、御承知のとおり各国から調査探鉱等を頼みにきております。現にいま交渉しておるのがインドネシアでございますが、これは御承知のとおりインドネシア石池公社のほうからの話し合いもございまして、それでこの間岡田社長団長として十名ほど連れて向こうに参ったりしておりますが、そのほかまたビルマからも依頼がありまして、いま課長級の者を二人出しておりますし、またそのほか豪州、これはすでに一応断わりましたが、またさらに言ってきております。またイランイラクパキスタン等からも着々話がございますので、そういう海外仕事が非常にふえてまいりましたので、今度の法律改正の中にもその点は特に海外探鉱開発ということを入れていただくようにお願いしておるわけでございますが、どうしてもこれには専門重役が一人かかり切らなければならぬように思われますので、そういう労務管理の問題並びに海外仕事の非常に複雑かつひんぱんになってきたこと、この二点から、ぜひひとつこの際一人ずつ、つまり合計二人増していただきたいと念願する次第でございます。
  19. 板川正吾

    板川委員 ここに取締役が現在七名で監査役が二名、これを取締役を今度二名ふやして九名以内にしたい、こういう意味ですね。それでそのふやしたいというのは、海外引き合いが多いし、従業員が千名ほどになって労務担当重役が必要だ、こういうことで二名をふやしたい、こういう趣旨ですか。
  20. 三村起一

    三村参考人 先ほど申し上げたのがちょっとなんですが、九百三十六名から千三百名ほどになっております。
  21. 板川正吾

    板川委員 九百二十六名から千三百名になっても、そのために重役が二人ふえるというほどの人数じゃないと思うのですが、どうですか、その点の説明は。
  22. 三村起一

    三村参考人 会社早々の際は二百数十名でございましたが、その後ふえて九百三十六名という線をずっと確保してきたわけなんです。それをふやしたいと思いましたけれども、なかなかそうできなかったものですからやむを得ず……。それで千三百名ほどになったものですから……。
  23. 板川正吾

    板川委員 最初は三百名程度であった、それが現在千三百名程度になったし組織化してきて、しっかりした近代的な労務行政をやっていくについては、ひとつ近代的な感覚を持った責任者がほしい、こういうことですね。
  24. 三村起一

    三村参考人 そうでございます。
  25. 板川正吾

    板川委員 次に、従来も事業範囲が必ずしも国内と限ってはいなかった、しかし今度はひとつはっきりと海外事業もやれるように改正しよう、こういう趣旨ですね。
  26. 三村起一

    三村参考人 はい。
  27. 板川正吾

    板川委員 この海外からいま引き合いインドネシアビルマオーストラリアイランイラクパキスタン、こういうところから来ておるというのですが、この引き合いの状況について、もう少しひとつ具体的に説明していただきたい。
  28. 三村起一

    三村参考人 お答えいたします。まずインドネシアでございますが、インドネシアは、昭和三十五年に御承知のとおり北スマトラ石油開発会社を、一番初め当社引き合いがありましたときにそれをつくり上げて、別会社になっておるわけでございますが、昨今、インドネシアのほうで石油公社が三社ございまして、プルミガン、グルタミン、プルミナ、この三石油公社が持っている石油の鉱区から出てきます油、それをひとつ日本のほうで買ってくれという話が一面ございますが、他面、新たにひとつ開発してもらいたいという熱望がプルタミンプルミガンのほうからございまして、セラム島というのがボルネオの東のほうにございますが、セラム島の、これはすでにもう戦時中も開発した油田でございますが、そこをさらにひとつ開発してもらいたい。それから、新たにブニュ、これは三菱石油のほうでそこの石油を買っておられましたが、ブニュ島の開発並びにその周辺、それからマハカム沖合というのが、例の陸上に油田地帯がございまして、その沖合でございますが、その開発をしたいというので、岡田社長を去る一月の半ばごろに出しました。その前から調査隊を出して調査しておりましたが、正式に十名ほど連れて岡田団長が行きまして、四月に一カ月あまり行ってまいりましたが、その話はいま進行中でございます。プルタミンプルミナ両社と話が進行中でございますが、ちょっと最後の点で少し行き悩んでおりますので、当方から行くのをやめて、先方から両社社長日本に来てくれということを去る四月の三十日に手紙を出しておりますが、まだ返事が来ておりません。その点が一つございます。  それから豪州のほうは、三十七年に話がございまして、あそこの北のほうのニューギニアの豪州領豪州本土との間の海上を掘さくすることにしておったのでございますが、これはよく調べてみますると非常に難工事でございますので、これは一応やめました。ことに、三本掘るのに十六、七億円かかる。調査探鉱費が非常にかかるという点もございましたので、これは一応やめておりますが、その後さらに、いま新たに発見された豪州油田地帯のほうやら、また西のほうからも話がございました。それから、イランのほうからも調査探鉱をしてくれぬかという話がございます。パキスタンのほうは、御承知のとおり西パキスタンのほうでございまして、これは奥地のほうでございますが、そこでガスを出しております。そのガス開発をしてもらうということでございます。それからイラクのほうは、少しくこれはややこしくなっておりますので、国際関係がややこしいので、昨年人を出しましたけれども、交渉を進めていくという段取りまでいっておりませんが、ここは非常に有望なところでもございますし、何とかひとつあのユーフラテス、チグリス川の河口に当たります、つまりペルシャ湾の北のほうに当たりますところのあの辺は非常に有望でございますので、何とかここのところを話ができればと思っているわけでございます。そういう話がちょいちょいございます。
  29. 板川正吾

    板川委員 この引き合いがたくさん来ておるものをうまく話し合いがついて、海外油田開発ということになると、一体どのくらい資金が必要ですか。
  30. 三村起一

    三村参考人 資金は本年度は十二億ほど予定しておりますが、これは政府のほうから七億、それから民間から一億、会社から約二億余り、昨年の繰り越しもございますので、十二億八千万円ほどございます。そういうことをことしは考えておりますが、来年はいよいよ探鉱を本式にやるとすれば、二十億ほどかかる予定でございます。
  31. 板川正吾

    板川委員 三村さん、会社のほうの資金をどういうふうにということもありますが、それよりも、そういうインドネシアや、ビルマや、オーストラリアや、イランイラクパキスタン、こういうようなところから引き合いが来て、しかもそれがうまくいったらば、一体どのくらいの資金量というのがそれを開発するために必要なんだろう。いまのお話ですと、オーストラリア探鉱費だけで十六、七億円もかかるというのですね。これは開発資金ということになると、一カ所何十億、少なくとも何十億から何百億という大きな単位になるのじゃないかと思うのですが、いま幾ら都合するかというのではなくて、一カ所開発するについては一体どのくらいの資金量の必要が予想されるのだろうか。
  32. 三村起一

    三村参考人 これはいまさしあたりインドネシアとの話だけでございますので、イラクイランとか、あるいはその他のところは具体的な話し合いはまだできておりませんので、幾らかかるということはいまちょっと見当がつきかねておりますが、ただ、海外探鉱というものは非常に巨大な金がかかる、かつリスキーであるという、この二点を克服していけるかどうかという点が一番問題でございまして、申し上げるまでもなくそうだと思います。ことに、いま、ドイツにしても、英国にしても、フランスイタリアも、国内であれだけ思い切って出したにかかわらず、海外におきましては、もう非常な勢いで新しい地帯を獲得すべく努力している。そうして、御承知のとおりドイツでは、昨年から向こう六年間、年に百二十億ずつ七百二十億円を海外探鉱資金民間に出しておる。しかもそれは出世払い、成功払いであるというような寛大な条件でドイツが出しておるゆえんのものは、ひっきょう最近の世界情勢から見て、海外石油資源を求めなければならぬという痛切な要望にかられたためだと思っております。フランスが円にいたしまして約六十億くらい出しておるかと思っております。イタリアの円のほうはわかりませんが、相当な金を出しておるかと思っております。そういう次第でございますので、これにはよほどの巨額な金と相当の危険性もありますということを克服し得るかどうかという点が一番問題になってくるので、われわれは、日本の国の将来のエネルギー源安定確保という点から、その点はひとつ先生方お願いを申し上げて、かつての石油業法のときの附帯決議でありまする、国内海外における石油探鉱というようなお話もございましたので、われわれは、そのお気持ちを体して、これはどういうふうに具体化していくかということに苦心しておるわけでございます。
  33. 岡田秀男

    岡田参考人 先ほど社長三村の申し上げましたように、海外へ出ていって油の資源開発せねばならぬという空気が非常に強まりました結果、三十九年度の予算に二億円の海外向け出資をいただいたわけでございます。その二億円の出資をいただきましたことに勢いを得まして、私の会社といたしましては、さっそくインドネシア調査団を出しまして実地の調査をいたしました結果、先ほど三村が申しましたようにセラム島の油田、それからプニュ島並びにその周辺地域、第三にマハカム、これはカリマンタンでありますが、マハカム沖地域、この三つの地域開発予定地域といたしまして、帰ってまいりまして資料を整備いたしました結果、まず第一に、これをインドネシア交渉するための裏づけといたしまして、資金の用意をいたすという努力をいたしました。他面、インドネシアとは交渉をひとつ持って——資金関係から申しますと、ことしの当社事業計画には、先ほど社長が申しましたように、十二億八千万円の金を用意しておるのであります。それは政府から七億円、私どもの手持ちの資金から三億円、民間出資を一億円、それから三十九年度二億円ありましたものの繰り越しが一億八千万円、合計十二億八千万円という金を用意いたしたのであります。この金は、インドネシアとこの三地域についての交渉が成立するといたしまして、その初年度の資金として十二億八千万円を用意いたしたのであります。したがいまして二年度、三年度以降の資金につきましては、政府のほうにお願いをいたしまして、所要の資金確保するつもりでございますが、これがどのくらいの金が要るかということは、具体的にいまはっきり計算して、積み上げ計算で申し上げることはいささか困難かと思いまするが、一つの想定といたしまして、海上油田をさがすとして、地震探鉱なり試掘なりをやる。試掘を二本ないし三本ぐらいやるといたしまして、大体二十五億から三十億ぐらいの金が探鉱段階で要るのではなかろうか。開発段階に入りますれば、場合によって違いますが、三百億とかというふうなケタが一つ上がった数字が必要であろうかと思います。陸上でその探鉱をやります場合には少し安くなりまして、十五億から二十億ぐらいの見当で探鉱ができるのじゃなかろうか。開発段階に入りますれば、これもやはり百億とか二百億とか、これは必ず必要になってこようかと思います。大体さようなところでございます。
  34. 板川正吾

    板川委員 これは通産大臣にこの際伺いたいと思うのですが、いま言ったように海外から要請があって、日本の技術と日本の民族の優秀性を信頼されてアジア地域からこうした注文がある。これはわれわれも大いに喜んで、その地域の経済開発にもなるわけでありますから、協力すべきはすべきだと思うんです。ただ、いま言われましたように一カ所の探鉱をするのに、あるかないかをさがすにしても、何十億かかかる。しかもそれがあって開発しようというときは、百億台の金がかかる。こういうビルマオーストラリアイランイラクパキスタンインドネシアもそうですか、そこの資金が十分じゃありませんから、そこで資金を出すというわけにいかない。日本の技術と資金を投入して、インドネシアのように分与方式で、とれた油でそれを返していく、こういう形になるところも多いと思うのですが、とにかくその海外開発をするために膨大な資金が要る。これを政府としてどういうような考え方で取り組んでいくだろう。いま参考人も言いましたように西独の例あるいはフランスの例、イタリアの例、イギリスの例、こういう諸国は国家資金を非常に膨大に注いでエネルギーの安定的な供給を確保しよう、こういう政策をとっておるのです。日本の場合には、どうもすべて外国の石油会社に一切まかせておる。こういう形でおるのです。海外開発をする場合に一番問題になるのは、開発に要する資金の問題と、開発されたその油をいかに引き取るかという、この二つが最大の問題になっている。その二つとも日本政府はあまりこれについて大きな関心を持たないし、取り組みもしてないのです。このエネルギーという中で石油の位置というのは、当面ここ十年、二十年、三十年、これはますますウェートが高まってくる。たとえば二十年後に日本の使うエネルギーの八〇%から九〇%は石油だ、その石油の九九%は輸入だ。あるいは一〇〇%くらいになるかもしれない。その当時になると、九九・何パーセント輸入だ。一たん何かの関係で供給がとまれば、日本産業はとにかく半月か一カ月でこのエネルギーの供給源が閉ざされる、重大な産業の支障も来たすような形になるのですね。ですから、私は、もっと政府海外に、こうした石油資源会社等で海外経済開発に協力することはいいのです、いいのですが、その資金面それから取引面、こういうものに対していままでにない積極的な取り組み方をするべきじゃないかと思っているのです。石油業法をきめたときに附帯決議があります。大いに探鉱を奨励しようということもありますが、同時に、引き取り機関についてひとつ国家的な一手買い取り機関、こういったものを設けるべきじゃないかという附帯決議があって、福田通産大臣のときにそれについて質問すると、何とかひとつ何らかの方法で政府石油政策を一歩前進させたい、こう言っておったのですが、しかし昨年までは従来と同じであります。この辺から、私は、総合エネルギーの調査会もできますが、政府自身がこのエネルギー政策の重要性、その中における石油重要性、こういうものを考えて、海外探鉱開発国内の引き取り体制、こういうものに抜本的な対策を打ち出さなくちゃならぬと思うのですが、この点に対して大臣の心境はいかがでありますか。
  35. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 石油政策の重要性は、ただいま御指摘のあったとおりにますます増加しておると思います。私といたしましても、そういう点から、今回の石油資源会社の改正法の提案に応じておるようなわけでございますが、もとよりこの程度のことではまことに微々たる施策であって、これからもっと根本的に考えるべき要素が多分にあると思います。従来、御承知のように石油審議会のほうの答申もございまして現在三十七年より始まる五カ年計画の上に種々施策を講じておるわけでございますが、今後におきまして、ますますその必要性が高まっておりますので、財政上、金融上、さらに積極的な施策を講ずべきであるということは御指摘のとおりだと思います。
  36. 板川正吾

    板川委員 せっかくこうやって法律改正をして、海外で活躍しようといったって、資金面やまたその開発された石油の引き取り体制、こういうものが整備をされなければ、そういう見通しがつかなければ、いくら法律改正をして積極的にやるといったって、それは絵にかいたもちなんですね。まあそういう意味でもっと積極的な政府の心がまえというのをこの際明らかにしないと、絵にかいたもちと同じようなかっこうになるのじゃないかと思います。  そこで、これはまだ事務の段階で、大臣のところまではいっていないと思うのですが、いわゆる原油公団というのをつくったらどうかという説があります。これは事務段階で、まだ決定していないようでありますが、この原油公団の構想というのは、原油の一手買い取り機関を設けて、そしてそこで輸入された原油を全部買います。買いますが、そこの原油公団に入ったときには関税はかけない。関税一キロリットルについて六百四十円かかっておりますが一関税はかけない。しかし、市販は関税がかかったような形で市販する。要するに、原油に対する関税を一手買い取り機関に与えて、これを石油探鉱資金あるいは開発資金、そういう方向に使用するようなことはどうか、こういう構想がある。これは石油業法のときにも、一手買い取り機関の構想の中にあるいは幾つかの試案があった、そういう考えもあったのですが、最近これを具体化しようという動きもあるやに聞いております。これはわれわれとしては大いに賛成なんで、この原油公団というのは国内海外開発油の引き取り体制を強化すると同時に、そこに関税分の資金を集めて、その資金海外開発、経済協力をする、こういう一石二鳥の案ではないかと思うのですが、この構想を今後とも進める意思がありますか。これは石油業法のときの附帯決議の線にも沿っていることですから、伺いたいと思うのです。
  37. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 附帯決議に、買い取り機関を設けろということがあったことについては承知をしております。なお、事務当局においてはお話しのように検討を続けておるようでございますが、最近石炭との関係におきまして、この関税分について、海外開発に使うことももちろん必要でございましょう、あるいは石炭政策との関連において、電力のほうの負担増に現在では一部使っておる、こういうこともございます。いろいろ考えられる点が多々あるわけでございますが、実は正直のところをいって、私は、この原油公団にそういう機能を持たせれば相当な役目を果たすとは思いますけれども、にわかに原油公団が、これがはたしていいのか、他に方法があるのかというようなところに多少の迷いもあるわけであります。しかし、この御決議もあることでございまして、何かすっきりした姿に、こういう買い取り機関を考えるということについては引き続いて十分研究させていただきたい、こう思います。
  38. 板川正吾

    板川委員 西独やフランスイタリアやイギリスのように、国が石油の安定供給ということに重大な関心を持って積極的に資金の投入をはかって開発するということであれば、何も関税をこう使えとか何とかいう必要はない。しかし、どうも日本では、石油は英米系の国際石油に全部まかしておけばいいんだ、こういうようなたてまえをとっておりますから、海外開発も積極的ではないし、石油行政に対するかまえも積極的じゃない。しかし二十年、三十年たって日本のエネルギーの九割を石油でまかなう、まだ原子力の開発が十分でない、八割も九割も石油でまかなう。その石油を一方の国際石油関係だけにまかしておいて、何か問題があった場合には日本の産業がたちどころにとまるということでは、これはたいへんなことだと思います。だからいまのうちにこの輸入先の分散化をはかるなり、安定供給というものを重要な政策として対策を講じなくてはいけないと思う。どうも大臣、エネルギー行政については、電気のほうは得意のようですが、石油のほうはあまり研究しておらないようであります。この石油関係の税金をちょっと見ましたら、三十八年度で関税で四百二十億円、揮発油税で二千二百億円、軽油引取税で四百十七億円、約三千億をこえております。三十九年度ではおそらく三千五百億円を税金としてはとっておると思うのです。これは三十八年は三千億円、三十九年は三千四、五百億円になっていると思うのです。こういうように、石油には関税や揮発油税、消費税、引取税、こういった税金をかけておって、そして石油開発するときに金をほとんどかけていない。そしてそれはすべて国際石油関係に一切供給をまかせる、こういうような立場をとっている。それじゃいかぬということで有沢調査団の昨年九月におけるエネルギーに関する中間報告ですか、海外エネルギー事情調査団長、有沢廣巳さんとして通産大臣に答申をしており、ここでも、将来国際的にも活躍し得るインチプレーテッド・オイルカンパニー、こういう組織をつくって国家がこれを援助し、安定供給をはかれ、こういう動きもあるわけであります。資金面では、どうしても政府予算としてこれを大幅に出すことが困難ならば、さっき言った原油買い取り公団、こういうものを積極的に進めて、そして関税分を年々八十億から百億近く取り、それを積み重ねていけば、海外開発資金あるいは石油政策の資金等になるのではないか、こう思うので、大臣もひとつこの点は積極的に取り組んでもらいたいと思うのですが、いかがですか。
  39. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 石油政策について私が少し熱意がないようの御指摘でございますが、四十年度におきまして新たに共販会社の設立をするために財投を四十億つけるとか、あるいは今回の石油資源会社に対する出資の七億にいたしましても、従来よりは大幅に伸びておると思うのであります。  なお、税収と石油政策に使っておる政府の財政あるいは投融資の関係は非常にアンバランスであるという御指摘でございますが、言うまでもなくこの税金の大部分が道路政策に使われておる。またこの道路政策は自動車工業にも非常に寄与するものでもありますし、また、自動車は言うまでもなくガソリンを大量に使うのであります。めぐりめぐっては道路政策に使っておるようであるが、また石油に全然関連がないとは言えない事情にあろうかというように思います。ただ私が思いますには、これはやはり年度計画で漸次拡大していく以外にはないのではないか、急速にいたしましても、なかなか技術陣営も追いついていけないのじゃないか、あるいはこれは相手国のあることでございまして、日本が非常に熱意を持っておりましても、外交交渉の上でどうなるかというような事情もございまして、従来急速には伸びなかった。しかし先ほど石油資源会社側から御説明申し上げましたように、海外との開発交渉もだんだんに進んでおるのでございまして、私としてはできるだけそれに応ずるように、先ほど申したとおり財政金融の上で措置をしていきたい、かように考えるわけであります。
  40. 板川正吾

    板川委員 従来程度やっているということはわかります。しかし各内閣の大臣が従来程度やっておったならば、二十年後、三十年後に大へんなことになるのじゃないか、こう私は考えるのです。だからいまのうちに将来を見通して、国として積極的な取り組みをすべきである、こういうことを言っておるのであります。  それからもう一つは貯油、油をある程度ストックするということはフランスなんかでは法律できめてあるのですね。これは戦争の場合に、ためておいた原油で全部まかなうなんという国はどこにもない。これはヨーロッパ共通のエネルギー政策の中でも、戦争の場合に、それでもおれのところはだいじ上うぶだというほど備蓄するなんということは不可能だ。しかし万一輸送ルートの途中あるいは開発地域の国情、そういったことで、万が一国際的な問題が生じた場合に、輸送ルートを断たれるような場合には、やはり産業に与える影響というのが非常に大きい。いまもし原油の入荷がとまったらどのくらいの貯蓄があるのですか。ストックが何日分ぐらいあるのですか。
  41. 大慈彌嘉久

    ○大慈彌政府委員 ストックの量でございますが、原油で約二十日分程度、それから製品を入れまして四十日分ぐらいでございます。
  42. 板川正吾

    板川委員 原油の段階で二十日、製油を入れて四十日、とにかく一日ぐらいもしとまったとすれば、日本の産業の半分以上現在の段階においてエネルギーの供給がとまってしまうという形になるわけであります。ところが貯油を精製会社に協力しろといっても、おそらく国際石油資本系は協力するはずがない。これは戦時中でも協力しなかったのですから、するはずがない。だからどうしても国の影響下にある石油の機関をつくって、そこである程度の備蓄を考えるということも将来やはり必要だと思うのです。それもやはり将来の一つの課題だと思うのです。そういうことを考えると、開発に要する資金確保と、開発されたものの国内における引き取り体制というものを整備するために、いま伝えられるところの原油買い取り公団というものにこの際ひとつ積極的に取り組んで推進をしてもらいたい、こう思います。以上、強く要望いたしておきます。  それから大臣がいま共販会社のことで触れられましたから、それに関連して伺いますが、共販会社が発足をしまして、その後どうですか。ちょっと横道に入りますが、共販会社への参加は一応アジア、日鉱、東亜の三社であります。将来民族系の小さい会社は、この中に参加をさして、大同団結をして太い線になっていくべきだと思うのでありますが、その後、他社の参加する機運というものが生まれておりますかどうか伺っておきたい。
  43. 大慈彌嘉久

    ○大慈彌政府委員 私から実情の説明をさしていただきます。  共同販売会社は、現在のところ共同販売会社に参加しようというのは御指摘いただきましたように日本鉱業とアジア石油、東亜石油の三社でございます。それ以外に富士石油、千葉に精製工場が四十四年の当初にスタートいたしますが、富士石油に入ってもらうということになっております。そのほか一、二の民族系の会社に話もございましたが、現在のところは具体化しておりませんが、共同販売会社の今後の育ち方といいますか、発展のいかんによっては入る可能性も非常に大きいのではないかと考えております。
  44. 板川正吾

    板川委員 次に伺いたいのは、帝石の再建状況というのはその後どういうぐあいに進んでおりますか。
  45. 大慈彌嘉久

    ○大慈彌政府委員 帝石の再建状況でございますが、御承知のように三十八年末から三十九年の初めにかけまして経営がうまくいかないということで危機に直面したというわけでございます。ただし天然ガスの供給者としての役割とそれから地域開発地域経済の観点、こういう点から、どうしても再建をしなければならないということで進めたわけでございますが、再建の方法は、探鉱開発に最大限の資金を投入する。それから人件費を極力圧縮するために、従業員の数を、三千六百四十人の約三分の一を減らしまして、それと同時にベースアップであるとかボーナス等も極力実情に即した程度にする。三番目には、資産内容を充実させるため当分配当を停止するとか、不良資産の整理であるとか、高金利の借り入れ金の早期の返済というようなことを一連の経理的な改善策として行なう。それから天然ガスの販売価格について、適正な価格まで値上げの交渉をする、こういうことが骨組みでございまして、そのほか一般経費等を極力節約するということは当然でございます。その線に沿いまして、進捗の状況は大体順調にいっております。探鉱開発についても、四十年度においては大幅な増額をいたしております。人員の整理も、関連会社への転出ということで、大体予定どおりに進んでおります。三月末では二千五百人ちょっとまでになっております。それから経理の状況でございますが、これも従来の欠損の状況が、なお欠損が出ておりますが、金額的には非常に少なくなってまいりまして、資金の借り入れ等についても、開銀の二十億の融資、市中銀行の協調融資期待の二十五億、それぞれちょっとまだ完全にまではいっておりませんが、五、六月中にはその額までいくであろうと考えております。販売ガス価格の引き上げでございますが、小口のほうと、それから大口では東京ガスの話がつきまして、販売量の大体四割につきましては、必ずしも十分とは言えませんが、ガス価格の引き上げを達成した、こういうことになっております。
  46. 板川正吾

    板川委員 帝石の再建は一応軌道に乗っておる、こういうことですね。帝石は石油資源開発株式会社の大きな株主、大蔵大臣に次いで二番目の大株主ということになっておる。この帝石と石油資源開発株式会社との関係昭和三十年ですか、分割をされたというのですが、一体これは分割していまのままでいいのかどうか、これは場合によっては私は帝石と石油資源開発株式会社は一本化したほうがいいのじゃないか、能率もあがるのじゃないか、こう思うのです。これはしろうとの考えかもしれませんが、その場合にどういう点に問題がありますか、もしそういう方向にいくとするならば。
  47. 大慈彌嘉久

    ○大慈彌政府委員 御指摘いただきましたとおりに、両方合併するということは政策論としても大いに検討すべきことではあるまいかと考えます。現状では御承知のとおり、石油資源開発株式会社のほうは原油を主にいたしまして、帝石のほうは天然ガスを主にするということになっておりますが、帝石のほうも水溶性のガスから構造性のガスに移っていくというようなことで、だいぶ範囲が混淆してきたという感じもいたすわけであります。しかし御承知のとおり、帝石のほうも再建の過程でございますし、もう少し欠損の状況なりが目鼻がついてからというのが時期的には問題になろうかと思います。その際合併するのがいいかどうかということは相当大きな問題でもございますので、なお検討させていただきたいというふうに考えます。
  48. 板川正吾

    板川委員 帝石も名前のとおり帝国石油ですから、石油もやる、ガスもやる。主としてガスをやるということで分かれた。石油資源開発株式会社、いわゆるSKも石油が主であるが、しかしガスも同時にやる。これは石油ガスは同じものですから、別々に分けること自体が、いまの段階になって考えるとおかしいと思うのです。それと鉱区なんかを見ても、小さい範囲において隣がSK、隣が帝石、その次はSKというぐあいで、同じ地域でも入り乱れてありますね。国内において帝石と石油資源開発株式会社との関係が非常に入り乱れておって、あえてこれを区別、区分して、二つに事業分野を分けてやろうという当初の想定も、いまの段階からいえば事情に沿わなくなった。やはりこれは将来は一本化したほうが、開発技術を温存する意味において、また人的な資源を有効に使う意味において——海外開発をもし担当することになれば、日本の技術者がどんどん向こうに行って指揮をし、指導することになるのでしょう。その場合に、石油資源だけで千三百人程度ではあるいは足らなくなるかもしれません。もちろん現在帝石との関係で人的な交流はやっておるようであります。お互いに貸し借りをやっておるようでありますが、人的資源を有効に使う、技術を有効に使うこと等から考えても、これを別会社にしておく必要はないのじゃないか。いま海外開発インドネシアの二カ所か三カ所程度でありますが、将来大いに日本の技術を買われて各方面から要請があった場合には、さらにこのSKの重役だってふやさなくちゃならないかもしれない。これは別々にやるよりも、合併なりをして有効に使うということが、私は将来もいいのじゃないか、こう思うのです。なおこれに対してもう一ぺん、これは当事者の参考人三村さんからでもけっこうです。これに対してどういう御見解を持っておられるか伺いたい。
  49. 三村起一

    三村参考人 ずいぶんそういう話し合いは私らの耳にも入っておるし、また石油ガスとをはっきり区別するということは、いま先生のお話のとおりできにくい。石油が出ればガスが出る。またガスが出れば、ガスだけのこともありますが、すでに今度帝石でもって掘り当てられたところなんか石油が出ておる。われわれのほうは石油だけというわけにもいかず、帝石もガスだけというわけにもいかないし、もうまさにその点が錯綜しておることは、最もよく御存じの先生のお話のとおりでございます。  合併問題につきましては、これはわれわれのほうは国策会社でもございますので、いろいろの社会情勢なり時の機運なり、いろいろありましょうし、また帝石自体の再建計画等もありましょうし、また石油資源の将来の見通しというところやら、またこういうものは区別が非常に困難であるとかいうような点、いろいろありましょうから、その辺のところはあわせ考えていかねばならぬと思いますが、その点は政府のほうともよく御相談申し上げて進んでいきたいと思いまするし、先ほどお話しになりました公社とか公団とかいうような構想もあれば、またそれと関連性を持つものじゃなかろうかと思っております。
  50. 板川正吾

    板川委員 鉱山局長の見解をこの際承っておきます。
  51. 大慈彌嘉久

    ○大慈彌政府委員 実際上、最近の状況でございますと、鉱区については重複しているところもございますが、天然ガスを主にしたところは帝国石油のほう、それから原油を主にしたところはSKのほうということで、利用できる範囲内では共同探鉱を実施するというようなことで対処しております。  それから海外開発につきましても、これも先生御指摘いただきましたように、技術者の交流といいますか、相互に協力をいたしましたり、石油鉱業連盟のほうで技術者をまとめまして、中近東のほうなり東南アジアのほうに調査団を出すというようなことで、極力協力体制をしいてはおります。今後の問題につきましては、先ほど三村社長さんのお話もございましたが、非常に大きな問題といいますか、大切な問題でございますので、今後慎重に勉強さしていただきたい、こういうふうに考えます。
  52. 板川正吾

    板川委員 これはいまどうこうせいというわけじゃないのですが、合理的に考えた場合には、どうもいまのままで分割しておることはやはり時代の要請にこたえてないのじゃないか、こう思うので、ひとつ今後の検討を要望いたします。  それから、鉱山局長に伺いますが、アラビア石油の引き取り問題がことし一応の解決をしました。毎年毎年引き取り問題でごたごたするというのは、こういう海外開発をやる場合に一番ネックになるのですね。引き取りが幾らだかわからないから開発のほうも段階的に進まない、こういうこともある。来年度は、引き取り体制を制度的に一つのルールをつくって、その制度に乗せたい、こういう趣旨をこの前の委員会で、私の質問に対して答弁をされていますが、その後考えられている構想というのがいわゆる原油公団の構想である、こういうふうに理解していいのですか。
  53. 大慈彌嘉久

    ○大慈彌政府委員 この前は、何か一つのルールを確立したいということで、ただし、四十年度の引き取りにつきましては時期的にもう相当無理かもわかりませんが、四十一年度分につきましては、何かそのたびごとにもめないようなルールができると非常によろしいのではないかという答弁を申し上げました。そのときは何か一定のシェアといいますか、今年度は、今年度といいますのは四十年度でございますが、総輸入量のうち、一四%ちょっとだったと思います。アラビア石油の分でございますが、昨年は一三%ちょっとではなかったかと思います。そういうことで、一定の比率なりきめてしまうとスムーズではあるまいかというふうに考えまして、御答弁申し上げたわけでございます。シェアが同じなら何も問題はないのではないかというふうに考えておりましたが、サルファの問題が、今度いろいろ問題になりまして、その際に問題になりましたところでは、同じシェアであっても違う場所等で、絶対量がふえてまいりますと相当影響も異なるということで、簡単にシェアだけでいいかどうかということも多少問題がありそうな気がいたしております。当時は、引き取り機関というのは正直に申し上げまして考えていなかったわけでございますが、先ほども申し上げましたように、引き取り機関の話も現在出ております。もう一度、一つのルールといいますか引き取り体制というのも勉強さしていただきたい、こう考えております。
  54. 板川正吾

    板川委員 原油公団の構想が進めば、そこである意味ではルールができる、こう思います。  それから、時間がないようですからもう一、二にいたしますが、まだ先のことですからいますぐということではないが、海外開発する場合には、アラビアの開発のように、両方で会社をつくって、両方の株主、日本と地元国、たとえばサウジアラビアあるいはクウェート国の者をもって会社をつくるという方法もありますね。しかし、インドネシアのように、東南アジアでは民族的な運動が激しいものですから、自分の国の利権を他国へやるのはどうもいかぬ、何か国全体をとられたような気がしますから、そういう意味で、東南アジア諸国ではいわゆる生産分与方式という、ひとつ日本資金日本の技術で開発してほしい、その開発が成功したら、その出た原油で年々利息と元金を払っていく、そうして全部払い終えたらひとつうちのものにしていきたい、こういう生産分与方式というのが多いですね。この生産分与方式ですと、いわゆるメタルマインの探鉱の場合には減耗控除制度というものがことし認められて、そうして、一定の量を出すのに対して税制上の恩典がある。程制上の恩典というのは減耗控除によって行なわれている。それで、その税制上の恩典を利用して開発資金に回すということができるわけですね。ところが、生産分与方式では減耗控除制度というのはない。だから、やはり減耗控除制度に見合う何かの税制上の恩典を与えないと、せっかく石油資源開発株式会社海外に進出して、長期的に海外開発を行なっていこうという場合には、この制度上に不足があるんじゃないか、これを今後の研究課題とすべきじゃないかと思うがどうでしょう。
  55. 大慈彌嘉久

    ○大慈彌政府委員 仰せのとおりでございまして、ぜひ研究をさしていただこうと思います。
  56. 板川正吾

    板川委員 それでは、ちょっと戻りまして、鉱山局長に伺います。第十条の鉱業権の場合ですね。通産省令で定めるというのですが、鉱業権を評価する場合に、どういう基準で評価するのですか。「鉱業権を譲り受けようとする場合であって、その対価の額が通商産業省令で定める額をこえないときは、この限りでない。」というのですが、この鉱業権の評価はどういう基準で行ないますか、参考のために伺っておきます。
  57. 大慈彌嘉久

    ○大慈彌政府委員 許可の基準でございますが、百アール当たり十万円以下のものは必要はないというふうにしたいと思います。
  58. 板川正吾

    板川委員 それでは、次の質問者もありますから、私の質問は一応これで終わります。
  59. 内田常雄

    内田委員長 沢田政治君。
  60. 沢田政治

    ○沢田委員 石油資源開発のことについて、一日か二日じっくり質問したいということで準備しておったわけでありますが、審議促進協力のためにこれは非常に制限されておるわけでございまして、東京都議会と違いまして、わが党は非常に統制力がありますので、私は簡単にお聞きしたいと思うわけであります。  先ほどから、今度の法改正の主要点である重役二名増員の必要性の理由をるる申し述べられました。たとえば海外に相当発展したい、こういう意図が一つ、もう一つは、かつてから見るならば従業員が増加しておるので、処遇の問題、労務管理の問題、こういう点から重役を一人ふやさなくちゃならぬ、要約するとこういうような御趣旨のようでありますが、私は聞いておるとどうも合点がいかぬわけであります。なるほど現在従業員が千三百名ですか、正確に言いますと手二百幾らです。これだけの人員で、なるほど人員はふえております。ふえておりますけれども、千三百人くらいの労務管理をするために、重役をどうしても一人ふやさなくちゃならぬという理由は、私は物理的にないと思うわけであります。たとえば千二、三百人といいますと、これは中小企業です。大企業であるならば一工場です。一工場でもこれは中以下の工場であるわけです。そのために重役をふやさなくちゃならぬ、こういう点は理由にならぬと思うわけであります。しかもここの労使関係が非常に劣悪であって非常に紛争を起こしておる一新たなる観点から労務政策を抜本的に考えなければならぬというところであるならば、私もある程度百歩譲ってその理由があると思いますけれども、あそこの組合に私の友人がたくさんおるわけでありますが、そういうような紛争とか泥沼○争の経験もいままでないわけであります。そのために重役を一人ふやさなくちゃならぬという理由は、私は理屈にはなっても理由にならぬのじゃないかと考えるわけであります。現在七名の重役が不足であるということは議論が出るでありましょう。しかしながら、私の記憶によりますと、昭和三十五年ころまでは、七名の重役のうち三名くらいは長岡、秋田あるいは北海道というように現地指導しておったことがあったわけですが、現在はほとんど本店に帰っておるわけであります。それだけ業務の運営について余裕が出てきたのじゃないか、こういうように考えておるわけであります。さらにまたもう一つの問題は、十年間経過した今日においても、民間資本が約半分入っておるわけです。わりあいに利益もふえたけれども、配当もしておらぬ。しかも業績が画期的によくなったと言えないわけです。そういう状態の中に重役を二名ふやすというような物理的な理由、こういうものを明確にされなければ、これはいかぬと思うわけであります。単に通産省との関連において人事の一つのクッションにしよう、こういう意図であるならば、新たなる観点から考えなければならぬと思うけれども、これはSKのほうから聞くのは酷でございますから、最終的に必要と認めたのは通産当局であろうと思いますので、局長から明確な答弁をお願いします。
  61. 大慈彌嘉久

    ○大慈彌政府委員 二名増員の理由でございますが、一つはただいまお話のございました労務の担当、それから労務と一緒に調査事務、両方引き受けまして専任にしたい、こういうことでございます。もう一名のほうは、海外開発海外事業が本格化するに伴いまして、その責任者を一人置こう、こういうことでございます。前者の労務のほうですが、設立当初の十年前三百人足らずから、現在は約千三百近くの人にふえております。労務の問題というのはますます重要になってきたのではないかと考えます。これは量的に人がふえたということだけではございませんで、質的にも雇用の問題というのはだんだん逼迫してくる。優秀な技術者の養成の問題も、海外開発に伴って出てくる。こういうことでいろいろ質的な問題も出てまいります。それから海外に本格的に進出するに伴いまして、海外に派遣をされた労務の問題、こういうことが従来よりふえました新しい仕事になろうかと思います。その辺を全部ひっくるめまして、労務の関係というのはますます重要性を帯びてきたということで御了解をいただきたいと思います。それから調査でございますが、これも本格的な調査企画というところにも力をますます注がなければならないわけでございまして、両方ひっくるめまして一人理事をふやしていただきたい、こう考えております。それから海外開発でございますが、海外のほうは、もちろんこれから大いに本格的に力を入れたいという分野でございまして、海外との折衝に当たる場合にも、理事取締役という責任者が出ていくということが大切でございまして、探鉱から開発という実際の作業に入りましても、責任のある立場で仕事をとっていくということが大切であろうかと思います。そういうことから二名の増員をお願いしておるわけであります。
  62. 沢田政治

    ○沢田委員 いまの局長の答弁では、理屈としてはわかりますが、理由としてはどうも納得できないと思うのです。審議促進の協力ということもありますから、これはあまり言いません。私は、各社の、たとえば民間会社における部課の数とか、収益状況、資本の状況、こういうものについて精細なデーターを持ってきておりますけれども、それはやめましょう。  そこでお聞きしたいのは、先ほども同僚委員から指摘されましたように、帝石とSKが併存競合しておる、こういう必要性があるのかどうか、こういう点がまず指摘、強調されました。私もこの点同様な考えを持っておるわけです。けさほどそちらのほうからお渡し願った資料によりましても、たとえば「会社の概況」、「事業規模等年次別推移総括表」、これを見ましても、非常に驚くべき結果が出てきておるのです。SKが発足当時の昭和三十年ごろの精神としては、特に石油資源開発する、帝石はまたガスをやる、そういうことで発足してきたわけでありますが、たとえば昭和三十五年からの売り上げ高から見ても、石油の売り上げ高とそれから天然ガスの売り上げ高というものは、非常に接近してきておりますね。昭和三十九年の未確定に至っては、売り上げ筒が、原油の場合は十七億一千百万円、ところがガスの場合は、逆に十九億円になっておるのです。こういう状態になってきておるわけです。本来ならば別々の任務を持つものが、両者が同じ目的のために併存競合しておる。まあこれは熾烈な競争を演じておると言うのは非常に語弊があると思いますけれども、非常に業態そのものが接近、競合しておるわけですね。そういう意味からいっても一しかも原油に至っては、国内の総需要の二%弱のものがなぜ国内で競合しなくちゃならぬか。発足当初の精神、目的からいうならば、事実というものが非常に変わってきているのじゃないか、こういうように言わざるを得ないわけです。  そこで一歩突っ込んで聞くわけでありますけれども、たとえば国内ガスを含めて石油資源が大体どれだけ賦存しておるのか。こういう点を大ざっぱにつかんでかかっておるのかどうか。どこが掘り当たるか、掘らなければわからぬという調査をしておるのかどうか。こういう点に対する一つの想定というものを持っておるかどうかというととであります。これは私は確信を持てませんけれども、いろいろな地質学者から聞くところによると、たとえばガスの場合には、日本全国で推定埋蔵鉱量が六千億立方メートルです。原油換算で六億トン。石油の場合は三億トン、これだけは賦存しておるのじゃないか。ヨーロッパに比較しても決して遜色はない。したがって、まだまだ国内資源開発には相当精力をつぎ込む余地があるのじゃないか、こういうように言われておるわけです。そういうことで、大体どれだけ賦存しておるか。こういう点と、想定でもいいから頭に描いて、五カ年計画とかそういうものを策定したことがあるかどうか、その点をお聞きしたいと思うのです。
  63. 大慈彌嘉久

    ○大慈彌政府委員 現在は第二次の合理化の五カ年計画ということで進めております。ところが五カ年計画の目標としております時期と、現実の生産量が若干食い違いまして、生産量が予定までいりていないというのが実情でございます。したがいまして、この際、ただいま先生のおっしゃいましたようなことを考慮に入れまして、もう一度五カ年計画を練り直していきたいということで、昨日実は石油と天然ガス開発審議会に諮問をいたしたわけでございます。まだ開発に手をつけてないという地区が確かにございます。北海道であるとか、あるいは海底油田とか、その辺にも大いに努力をする余地のある場所があると思います。そういうことを含めまして、新しい五カ年計画ということで検討してみよう、こういうことを考えております。
  64. 沢田政治

    ○沢田委員 これは私の意見もありますけれども、特にSKが事業現場を持っておるのは、新潟県と秋田県が主たる現場になっておるわけです。そこでSKが今度は海外に出ていくということに対して、地域の人々はこういうように評価しているわけです。SKは非常に発展をして海外に行くのだ、こういうようには見ておらぬわけです。というのは、もうSKが開発に行き詰まって夜逃げをして、自分が存立するために海外に逃げていくのだ、こういう評価をしておるわけです。その評価は正しいかどうか、私ははっきり言えませんけれども、私もそういうような印象を受けるわけです。(三村参考人「意見があります」と呼ぶ)ここに出しておる資料によりますと、売り上げ高はなるほどふえています。産出量もふえております。産出量、売り上げ高がふえたということは、はたして開発埋蔵鉱量、確定鉱量というものを的確に拡大させたかどうかという比例にはならぬわけです。そうでしょう。現在は出るけれども、新しい油田ガス田を次々に発見しなければ開発の成果といえないわけです。ところがこれを見ますと、ただ単に非常に発展の一途をたどっておるように見えるけれども、事実上は、新潟県にしても秋田県にしても、ガス石油の埋蔵量というものは減産の一途をたどっておるのじゃないかと思うわけです。そういうときに、国内資源開発するということが一つの立法精神であったSKが、国内開発も満足にできずに海外に行くなどということはおこがましい、こういう意見も当然出ると思うのです。そのよしあしは別にしましょう。したがってやはり発足当初の精神に立ち戻って、海外もけっこうですよ、海外もけっこうだけれども、もっと、本来の任務であった国内資源開発する、こういう前向きな精神は、政策的にも忘れちゃいかぬことじゃないかと思うわけであります。といいますのは、海外に行って石油資源開発するとしても、日本石油産業があるから、初めてこの開発ができるわけです。石油産業があるから技術者がおる。技術者がおるから海外で技術開発できるわけです。したがってこの根を忘れては、私は、海外開発というものも砂上の楼閣になる危険性が非常に強いと思うわけであります。特に、海外に技術者が行って開発するとしても、かの地、現地に行って永住をすることは不可能でしょう。したがって船員の半舷上陸のように二、三年行っては戻り、戻ってはあら手が行く、こういうことでありますから、国内に全然そういう産業がなかった場合には、これは不可能なわけです。そういう角度からも、前向きにもつとSKが、もうかるとかもうからぬとか、採算を度外視して、とにかく国内資源開発するのだという本来の一つの大任務があるのだから、そういう前提に立って国内資源開発を、ガスを含め、石油を含めて、前向きに政策をとってもらいたい、こういうように私は意見として申し上げておきます。その意見に対する見解をお聞きしまして、私の質問を終わります。
  65. 大慈彌嘉久

    ○大慈彌政府委員 御指摘いただきましたとおりでございまして、国内探鉱開発事業がないといたしますと、海外に対して、アラビア石油をはじめ、あれだけ成功することも不可能だったと思いますし、今回の進出も不可能であろうと思います。申すまでもなく海外に対する技術の養成といいますか経営基盤の確保と、それから地域経済という点からも非常に大切でございますし、さらに金額的には、パーセンテージとしては少のうございますが、外貨節約の意味も非常に大きいところでございますし、国内開発も並行して実施をしていきたい、こう考えております。
  66. 内田常雄

    内田委員長 桜井茂尚君。
  67. 桜井茂尚

    ○桜井委員 私は昨日石油の問題を中心に御質問いたしたのでありますが、そのとき申し上げましたが、四十七年には何と二億トンの石油の需要が国内にある。そういたしまして、これをもし、有沢調査団その他の総合エネルギー調査会の報告によりましても、三、四割国内で、わが国の影響下にあるいわば民族系と申しますかあるいは国家と申しますか、そういうものの手による原油を確保しなければならない、こう考えると、六千万トンないし八千万トンを昭和四十七年までに掘らなければいかぬ、こういうことになるわけであります。そこでSKはことし大体十一億の予算で主としてインドネシアの三つの個所で採鉱をいたすようでありますが、SKにはその程度しか技術能力はないのでございますか。もっと大規模にやらなければ、二億トンといってもあと六年半しかないから、とても間に合わない。ですから、その程度しか技術能力はないのかどうか、その点を三村さんにお伺いいたします。
  68. 三村起一

    三村参考人 お答えいたしますが、わが社の技術陣はさしあたり十分だと思います。たとえばセラムにしてもプニュにいたしましても、これを話ができ上がってやりますのにはやはり相当ひまがかかりますので、初年度、次年度とだんだんふえていきましょうけれども、さしあたり二、三十名の人を出せばよかろうと思っております。いま現に北スマトラに相当の人を出しておりますが、一時またアラビア石油のほうにも人を出しておりまして、われわれのほうの技術陣は、さしあたりのいまの問題につきまして決して心配ないと思っております。  それからなお、日本に非常に頼んでくるというのは、平和国家であるという点で日本に頼んでくる。それから日本の技術に対する信頼が外国に大きいからと思っておりますが、御承知のとおり、日本の国の地層のぐあいは非常に変化が多くて、かつ断層もあるし、こういう馬の背みたいなところを掘り当てて、右に行ったら間違えた、左に行ったら当たらなかった、このまん中に行くことは実にむずかしい。そこをとにかく掘り当てて、日夜、二十四時間決して体まずに掘っております。現場は非常に苦労して掘っておりますが、それでもって掘り当てる率は、アメリカは試掘は一五%でございますが、わが社は二五%の確率で当てております。ただ一鉱当たりの出油量が少ないということは日本の地層上やむを得ませんが、それだけの確率を持っておるということを申し上げて、わが社の技術が決して外国に劣っておらぬということを申し上げ、かつ、さしあたりの問題においては決して御心配なく、十分なる人を持っておるということを申し上げたいと思います。
  69. 桜井茂尚

    ○桜井委員 私の御質問申し上げたのは、実はイランなりイラクなりパキスタンなり、広範にやっていくという場合に……。
  70. 三村起一

    三村参考人 それについては、一応そういう話がまとまれば、それに応じて技術陣の充実をはかっていかなければならないと思いますので、いますぐにそれだけの人間を持っておるかとおっしゃれば、いまは持っておりません。しかし、それに応じてやっていく覚悟を持っています。
  71. 桜井茂尚

    ○桜井委員 日本にはそれだけの技術陣があるようでございます。  ところで、もう一つちょっとお伺いいたしますが、インドネシアに十一億円でことしやる予定になっておりますが、これは終わりますか。どうも場合によると、使い残しをするのではなかろうかというような心配さえ出ておるのですが、この点はどうですか。
  72. 岡田秀男

    岡田参考人 私どもの本年度の事業資金として十二億八千万円用意いたしておりますのは、この地方の初年度といたしまして大体一年間仕事をする量でございますが、それがきょう現在まだ交渉が妥結しておりませんで、先ほど社長三村が申し上げましたように、私どもこの正月ごろから三カ月ほど向こうにおりまして、いま申し上げました三カ所についての交渉をいたしたのでありますが、まだ最終的な妥結の点に至っておりませんけれども、双方の問題点が明らかになったものでありますから、お互いに考え方をまとめ直してあらためて交渉しようというので、一応われわれの代表団も東京へ帰っております。それで目下整理中でございまして、インドネシア側に対しましては、今度はひとつ東京で交渉しようじゃないかというインビテーションレターを出しております。まだ返事は参っておりませんけれども、いずれにしても、近く交渉は再開されまして、なるべく早く妥結いたしたいと思いますが、すでに六月でございますから、一年分の事業量が、三月三十一日までで切れますと、時間が一年でなくなるだけに、金の使い残しができる可能性はございます。その場合には、来年度に繰り越しましていくわけでありますが、一たん仕事を始めますならばずっと滑っていきますから、その点はよろしいかと思うのでございます。
  73. 桜井茂尚

    ○桜井委員 何しろ政府のほうの姿勢が現在まではっきりいたしておりませんので、私は昨日もさんざん申し上げたのですが、至急に、とにかくわが国としても世界の大勢におくれないために、わが国に利権を与えてくれるところならばどんどん進出していくというぐらいの心がまえがなければ、とてもどうにもならなくなるんじゃなかろうか、このような心配さえあるのであります。それがたった十二億八千万円ぐらいのところでおたおたしているというような状況でございます。というのは、いままでの手のつけ方がおそかったからということでありましょうけれども、そしてまたそんなことで少しばかり予算が残ったら、もう来年はまた縮小するんだというような情けない根性ではなくて、もっと本格的に大規模に前進するということが私は必要だと思うのであります。政府といたしましては、そういう体制で今後どんどんやっていくつもりがあるのかどうか、もう一度はっきりお伺いいたしておきたいと思います。
  74. 大慈彌嘉久

    ○大慈彌政府委員 実情に即しながら極力拡大をするということで努力したいと思います。
  75. 桜井茂尚

    ○桜井委員 その実情に即しながらというのが非情に気に入らないのであります。何でもそのところでストップする。実情というのはこれだけしかないのだから、自分たちで努力もせぬでおいて、実情がこうだから、実情がこうだから、重役の三人や四人どっちへやってみたって、ふやしてみたって、たかが知れている。こんなものは国策の重要な問題じゃない。そうじゃなくて、その姿勢に欠けておってはどうにもならない。ですからそういう点をひとつ政府お願いしたいと思います。  それからもう一つだけ、ちょっと、一分でけっこうですが、昨日も私申し上げましたが、私は非常に大胆に申し上げているのですが、ソ連石油の一割やそこら入ることのほう炉かえって日本のナショナル・インタレストにも合うんじゃないか、いわゆる国際石油カルテルにもかえって若干の牽制にもなってよいのじゃないか、このように申し上げたのですが、現在公害が各地に発生している、あるいはまたアラビア石油によって公害が発生するというようなことを因縁づけられておる。このことは、ソ連の石油がもしたくさん入ってくる、あるいはインドネシアがどんどん開発されるということになれば、これはプレンドすれば非常によろしいのであります。ですから、この公害は、実は通産省みずからが公害をつくっているということにもなるんですよ。入れないから公害になってくる。そういうサルファ分の少ないものをどんどん入れるという姿勢があれば、公害は発生しない、あるいは少なくなる。それを公害を発生するようにするように指導しておいて、そして公害が発生した。これは通産省みずからが根本において間違っておるのでありますから、どうかその点につきましても通産省の考え方をもうちょっとはっきりさしてください。
  76. 大慈彌嘉久

    ○大慈彌政府委員 公害の発生から見まして、硫黄分の少ない油というのはぜひほしいわけでございます。そういう意味から言いまして、ソ連石油の輸入が拡大することも非常に望ましいと思います。  なおつけ加えさしていただきますが、現在石油各社はサルファの低い原油の獲得にあちらこちらで非常に努力をしておりまして、輸入原油にローサルファ原油の比重は非常にふえてきております。そういうように、低い硫黄分の石油の獲得というのは今後ますます非常に重要になろうかと思います。
  77. 桜井茂尚

    ○桜井委員 以上で終わります。
  78. 内田常雄

    内田委員長 参考人の御両氏にはまことに御苦労さまでございました。参考人の方には御退席いただいてけっこうです。  おはかりいたします。  本案についての質疑を終局するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  79. 内田常雄

    内田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  80. 内田常雄

    内田委員長 次に、討論の通告もございませんので、直ちに採決いたします。  本案原案のとおり可決するに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  81. 内田常雄

    内田委員長 起立総員。よって、本案原案のとおり可決いたしました。  おはかりいたします。  本案に関する委員会報告書作成等に関しましては、委員長に御一任願うことに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  82. 内田常雄

    内田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  83. 内田常雄

    内田委員長 次に内閣提出特許法等の一部を改正する法律案議題とし、質疑通告がありますので、これを許可いたします。沢田政治君。
  84. 沢田政治

    ○沢田委員 わが国の工業所有権制度が創立されてから今年で八十年を迎えるわけでありますが、八十年たった今日、非常に重要な支障といいますか、障害が今日起きておるわけであります。三十九年度末でも、滞貨と申しますか、未処理件数と申しますか、五十五万件にも達する、こういう重大な事態に直面しておるわけであります。したがって、このよってきたる原因、どういうところに欠陥があってこういう結果が招来されたのか。また、どういうようにしてこれを解決するのか。こういう点を、私は非常に時間を急いでおりますので、むだな表現は避けて端的にお聞きするわけです。したがって、質問は簡単にしますけれども、これに対して答弁は明確にしてもらいたいと思う。
  85. 倉八正

    ○倉八政府委員 いま二つの問題についてお尋ねになりましたが、滞貨を生じた原因——まことに滞貨を生じて申しわけございませんが、それは一つは、最近の日本の工業の発展にあると思います。工業の発展にあるということは、その裏には、各社が競って研究をする、研究に基づいてそれを工業所有権にしたい、こういうのがほうはいとして起こってきたというのが一つの原因であるし、それから消極原因としましては、特に三十四年以降出願の伸びが非常に多かったにかかわらず、これを審査する審査官というのがそれに応じまして増員できなかった、この消極原因と積極原因が一緒になりまして現在の滞貨を生じておるというのが現状でございます。しからば対策をどうするかということでございますが、対策に大きい対策としまして大体三つあると思います。一つは、審査能力ないしそれに付帯する事務能力を増加するというのが一つと、それから第二は、現在工業所有権法が陳腐化しておりまして、いまのような工業所有権をそのまま維持できるかという問題がありますから、これを時代に合わせて根本的に改正する、この問題が第二。それから第三としまして、いま先生御指摘のように、現在六十万件近い滞貨を生じておりますから、ひとつ緊急措置によりまして滞貨をできるだけ早い機会に一掃する。この三つをコンバインしたのがその対策のすべてではないか、こう考えております。
  86. 沢田政治

    ○沢田委員 こういうように未処理件数がふえたという理由には、非常に技術産業が発達して、そのために、その影響から非常に出願件数がふえておる、こういう理由と、もう一つは審査官の人員不足ですね。こういう二つの理由をあげられておるわけであります。さらにそれを解決するためには、審査能力を向上させるという問題、工業権のあり方について考えなくてはならぬという問題、緊急措置の問題、こういうことで対策を講じよう、こういう答弁であります炉、第一のよってきたる原因について、もう少し深く掘り下げて私は質問したいと思うわけであります。といいますのは、産業がどんどん発達しておる、日進月歩に発しておるというその成長度合いは、何といいますか、諸外国の各国間によって違うとしても、一般的な形勢なわけですね。産業が発達していくということは、何も日本だけの例ではないと思うわけであります。諸外国でも、先進ヨーロッパ諸国もそういうことがいえるのじゃないかと思われるわけであります。ところが、先進国家であるヨーロッパ等に比較してみても、特に日本の場合には非常に出願件数が多いわけです。これは日本特殊の問題じゃないかと思うわけであります。どんどん産業が発達していく、技術革新される、こういう共通性があるのにかかわらず日本だけがなぜ処理件数が上がっていくのか、こういう点についてどう考えるかということです。まあデータがありますけれども、このデータは言いません。これはおそらく皆さんが御案内のとおりだと思うわけであります。この原因についてお聞きしたいと考えるわけであります。  したがって、たとえばもう一つの解決策の問題になってくるわけでありますけれども、審査能力といっても、諸外国の審査官一人当たりの審査能力件数と比較して、内容がいい悪いは別としても、日本の処理能力件数というものは決して低いとは言えないわけですね。したがって、現在はもうすでに限度にきておるのではないか、こういうように考えるわけであります。  さらに、工業権について抜本的に考えなくちゃならぬ、こういう点は何を考えておるのか、これはわかりませんので、これ以上私は深く突っ込まれないわけでありますけれども、最後の緊急措置というのは何を意味しますか。たとえばいままでの審査主義を今度は無審査主義に変えるのか、そうなったならばどうなる、これはぼくは重大なる混乱が起きてくると思うわけであります。どんなに粗末に審査しても、権利ですから、十五年間の権利として残るわけですね。この場合大きな混乱が起きてくるのじゃないかと私は思うわけであります。それに対して緊急であるならば事前、事後の措置、以前に認めたもの、今後のもの、現在のもの、こういう権利をどうするか、こういうことです。やはり緊急である以上は、事前、事後の措置というものが明確に策定され、想定され、計画されなければ、これは踏み切られない問題だと思うけれども、その点についてどう考えますか。
  87. 倉八正

    ○倉八政府委員 全くいま先生の御指摘のとおりでございまして、そのいまの最後の御質問に対してお答えしますと、しからば特許庁はどういう緊急措置を考えておるかということでございますが、その五十八万件の滞貨の中の大体四十二、三万件というのは、特許と実用新案でございます。その特許と実用新案のいわゆる緊急措置をどうやるかということに尺きるわけでございますが、やり方としましては、実用新案を無審査にしたい。外国でも無審査というのは相当例が多いのでありますが、無審査にしたい。そうしまして、いわゆる公開しまして、異議がなければ登録する、異議があったものについて初めて簡略審査をしまして、そうしてそれを権利にするというのが緊急措置の内容でございます。しからばそれについては混乱するのではないかという問題でございますが、混乱の問題は大体前の権利と、かかる緊急措置をとった場合の権利とのいわゆる彼比勘案の問題だろうと思います。この権利の期間をどうするかということについては、非常に問題がありますから、いま特許庁としましても改正審議会の議にかけまして、現在のままの十年のたとえば実用新案権を認めるか、あるいはもう少し短い権利を与えるかということは重大問題でございますから、そこでいま検討を急がせておる次第でございます。
  88. 沢田政治

    ○沢田委員 私は、この特許行政のことについてはずぶのしろうとでありますけれども、ここ十年来、特許行政を振り返ってみる場合、非常に一貫性のない、変貌を遂げておるといいますか、朝令暮改が行なわれておると思うわけでございます。これは人事の問題もその中に入るわけであります。長官の就職期間が一年二カ月とかいわれておりますように、非常に人がかわるたびにくるくる変わってきているのじゃないか。非常に一貫性がない。そういうことがすべての原因であるとは言いませんけれども、今日の特許行政に対して非常な混乱を来たしておる一因になっておるのじゃないか、こういうふうにも考えられるわけであります。たとえば、ある長官の場合には、少し予算を獲得して活動状況をよくしよう、こういうところに力点を置いたとするならば、ある人は今度は法律を改正してうまくやろう、こういうところに力点を置く人もあるわけであります。さらにはまた、人員の問題もあります。さらにはまた、ある人は審査能力を非常に高めて処理しよう、また制度自体を考えようというふうに、いまいわれておりますように非常に一貫性がない。はたしてこういうことでいいのかどうか、こういう点は疑わざるを得ないわけであります。私はいまのままでいくと、もうこの特許行政というものは行き詰まりになると思うわけでございます。したがって、たとえば去年の四十六国会のこの委員会でも、同僚議員から、そういうように通産行政がくるくる変わる、しかも人事もかわる、もう特許庁長官が腰かけである、こういうことでいいのかどうか、こういう点の質問に対して、いいことじゃない、こういうことは考えなければならぬというように福田前通産大臣が答弁しておるわけであります。したがって、櫻内通産大臣はこの点についてどう考えますか。
  89. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 ただいま御批判をちょうだいいたしましたが、私どもはその御批判に応じて善処しなければならぬと思います。お話しのとおり、ただ、ときには定員の増加だけをやるとか、あるいはときには事務を簡素化するというところだけに重点を置くとかいうことだけではなくして、現在の五十七万からの滞貨の状況からいたしますれば、これは総合的に促進していく以外にはない、こう思います。それで現在計画的にやっておるということは御承知のとおりでございますが、さらにいま申し上げたような、促進のできる方途については全部これを取り上げて進めていく、こういうことでなければ、なかなかいまのような滞貨の状況を打開することができない、これはもうお話のとおりだと思います。
  90. 沢田政治

    ○沢田委員 言われることはもっともなわけですが、特に昨年の四十六国会において、この委員会において言われたように、一番のトップレベルであり責任者である特許長官が一年二カ月という腰かけでは、じっくり長期的な処理計画、こういうものが立たぬじゃないか。特に特許行政は特殊な知的現業と、長官じゃないが、だれかが表現しておったように、単なる技術だけじゃないわけであります。単なる法律知識だけじゃないわけであります。経験というものも必要なわけです。そういう三者相またなくてはならぬような特殊な官庁行政機構であると思うわけであります。それがそれぞれ新案特許のようなアイデアで、全然特許行政を知らぬ人が通産省の人事の何かのつごうによってぽこっと一年二カ月ぐらい出てくる、そうして何かのアイデアを出さなくてはならぬというので、やれ電子計算機だ、やれ機構改革だ、こういうことでは全く混乱の一途をたどるばかりだと思うわけであります。したがって、やはり人事のあり方、特に長官の人事のあり方に対して、いまのようにくるくるかわるということは、その人の能力の問題じゃないのですよ、こういうことがいいのかどうか、これは大臣に重ねてお伺いしたいと思うのです。
  91. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 長官の人事に対する私の考え方といたしましては、確かに短期間で異動するという場合の欠陥は認めなければならないと思うのであります。しかし、一年二カ月程度でかわったから、あながちこれが批判をされる、こういうものでもないと思うのであります。いまお話の中に、長官がかわるつどいろいろな施策が出る、こういうことでございます。しかし、その施策の中には、また非常によいものもあると思うのであります。電子計算機なんかを導入する、こういうことによって事務の簡素化が一これは行政管理庁のほうでも非常にこれによって能率があがったということも指摘されておるので、こういうようなことは、私は、かりに長官がかわった結果であるとするならば、まことにそれはよかったということであろうと思いますが、しかしお話のような御批判の点は、私としても十分留意をいたしまして、かりに異動があっても欠陥のあるようなことのないようにつとめるようにいたしたいと思います。
  92. 沢田政治

    ○沢田委員 私は、くるくるかわるという現象に対して強く指摘しておるわけじゃないわけです。この事実に対して、非常にそれぞれの計画が、かわるたびに変わっておる、それが混乱の一因になっておる、全部じゃないにしても一因になっておる、そういう経過の事実を指摘したわけです。特に昨年の国会では、磁気テープですか、それによって原簿登記ができる。こういう法律改正がこの委員会で議論ざれたわけでございますけれども、製作元の日立ですか、これはいろいろ試験研究を一年数カ月やった結果、絶対だいじ上うぶだということで、われわれもこれは賛成したわけです。そこで大臣の御答弁をお聞きしますと、非常に事務面の能率が向上しておる。これはまことにけっこうなことですけれども、大臣のおっしゃられるとおりに能率が向上して、非常に合理化の一助になっておるならば、非常に停滞しておる、また未処理件数が多い現在においては、これは喜ばしいことであるわけでありますけれども、私の知る限り、聞く限りにおいては、必ずしもこの電子計算機が成功しておるというような話は聞いておりません。私もまだ承知しておりません。たとえばやってみた結果、これは部分的な話でありますけれども、七〇%ぐらいの誤差があった、これは小さい誤差を含めて。さらにそれを修正しても二〇%ぐらいの間違いがある。今度は逆に、機械が誤ったものを人間が補正しなくちゃならぬ、手直ししなくちゃならぬ、こういう障害も起こっておるということであります。これはまことに私は残念なことであると思うわけであります。自動車が便利だ便利だといって自動車を買ったならば動かない自動車であった、それを人が押していく、こういう現象になっておるのじゃないかと思うのであります。したがって、成功だというならば、どの面にどれだけの物理的な効果が顕著にあらわれているかということを明確にここでお示し願いたいと思うのです。
  93. 倉八正

    ○倉八政府委員 いやの電子計算機の問題でございますが、これは私はいまの状態はやむを得ない、こう確信しておりますのは、たとえば新幹線をつくりましてもいろいろ事故がある。新しく入れましたものにつきまして、実はこれは十一月の十日ごろから動いておりますが、現在の過程におきましては、いま先生がたまたま御指摘になったとおりでございまして、そういう一時の渋滞はございましたけれども、しかしながら、だんだんなれてまいりまして、現在におきましてもそういう誤差というのは次第に少なくなっておるということはもうはっきり申し上げられるとともに、しからば現在たとえばどのくらいの能率なり、あるいは人間が節約されたであろうかということを計算してみますと、出願なんかのああいう事務におきましては、電子計算機がなかったならばさらに幾らくらいの人間がよけいに要っただろうかということの計算になろうかと思いますが、それはすでに七、八名は増員を要しなかったというようなことも出ておりますし、それから登録も入れ始めておりまして、一々手書きする必要がないということで、いましばらく私はかすに時間をもってしたい、こう考えておりまして、電子計算機が、現在までのところにおきましては、たまたま去年言明したようなところまで行ってないことは事実でございますが、今後ますますそれが軌道に乗ってくる、私はこういうことははっきり言えるかと存じます。
  94. 沢田政治

    ○沢田委員 長官のいまの答弁は、去年のこの委員会で磁気テープを採用する、その場合に答弁するのが僕は当然だと思うわけです。わが同僚委員から、たとえばいままでの経験あるいはいままでの見聞によって、本格的にこの成果があらわれ、それに習熟してくるためには、少なくとも軌道に乗るためには二年くらいみっちり研究、実験しなければならぬぞ、それでいいのか、もう少し慎重を期したらどうかという指摘が、非常にことばを重ねてこの委員会であったわけです。それをもう一年数カ月経験しておる、もう日立じゃだいじょうぶだと言っておる、しかも各省庁が非常に合理化しておるときにおいて、わが特許庁が八十年の歴史があるにもかかわら太政官令のような大福帳でやっておるのは遺憾だといって、えらいハッスルした表現を使って、一〇〇%自信があるようなことを言ったわけです。ところが今度聞くと、御指摘のような不精巧な点もある、将来は軌道に乗る、一体どこまでやったら軌道に乗りますか。私はそのことだけにこだわって追及はしません。しませんけれども、よほど確信を持てる段階にならなかったならば、これを全面的に踏み切ったならば——いままでの委員会等の経緯もあるので、これは踏み切らなければまたたたかれる材料というので、これは変なところにハッスルして全面的に踏み切ったならば、誤差が誤差を生み、機械のあやまちを人間が補正しなくちゃならぬというような結果になるから、その点については慎重を期すべきだと思いますが、どうですか。
  95. 倉八正

    ○倉八政府委員 御指摘のとおりでございます。そしてわれわれとしましてはさらに前向きの態勢で進みたい、こういうことでございます。
  96. 沢田政治

    ○沢田委員 非常に出願件数が多くなっておる、非常に増加の一途をたどりつつある、こういうことは、私の考えによりますと、どうも処理件数が多くなることと比例しておるのじゃないかと思うわけでございます。たとえば予防出願とかめくら出願とか調査出願とか、全くクイズでも買うような気持ちで、当たったらもともとだ、こういう好奇心もあると思うわけであります、群衆心理でありますから。ところがそれはやはり特許に対し、実用新案に対し、商標に対し、意匠に対して、非常に権威がなくなりつつあるのは、こういうところにも大きく私は基因しておるのじゃないかと思うわけでございます。したがって、出願処理の審査官の能力を上げただけでは私はこれは解決しない、解決しないというよりも、むしろ逆な現象が出てくるんじゃないかと思うわけであります。つまりめくら審査をするんだから、うまくいったならば、十くらい実用新案を出したなら一つぐらいひっかかるかもわからぬ、こういう心理になるわけですね。ところが、やはり日本の特許庁の審査というものは、ほんとうに社会のために産業のために貢献するものでなければなかなか通らぬぞということになると、めくら出願やあるいは調査出願、予防出願というものがぐっと減ってくるんじゃないか。したがって私は、何といっても審査能力というのは件数をさばくというような物理的な方面じゃなく、環境面を含めてそういう能力を培養するような給与体系、作業環境、そういうものを含めて整備していくということが、私は大きな柱になるんじゃないかと思いますけれども、いかがですか。
  97. 倉八正

    ○倉八政府委員 全く御指摘のとおりでございまして、いまのように防衛出願とか、それから先生のおことばをもってすればめくら出願とか、そういうようなものが出ておりまして、実は日本は特許件数の多いこと、つまらぬ出願の多いこと、審査能力のおそいことというのが世界で一番でございます。それで、これをいまの御指摘のように審査の権威を高めるためには、具体的には審査基準を上げるということにあろうかと思います。そうすれば、こういう審査基準があれば、かかるつまらぬものを出してもそれはむだだということが徹底すれば、これはおのずから出願も減ってきますし、また、かかる高い基準に合格した、登録されたものだという工業所有権に対しては、権威も持ってくるということで、いまの事務能力の振興は、一面は審査基準の高度化にあるということは全くそのとおりでございます。いま審査基準も検討しておりまして、すでに二十余の審査基準は置いておりまして、さらに今後も続けていきたい、こう考えております。
  98. 沢田政治

    ○沢田委員 正確なことはわかりませんけれども、先ほど臨時措置というようなことばが出ましたけれども、特許庁で四月の段階だと思いますけれども、滞貨処理の臨時措置、こういう方向をどの段階までお示しになったのか私は知りません。けれどもそういうことを示したということは、私も風聞で聞いておるわけであります。その内容をどう考えておるかということに対しては、私の後ほどの質問に対して重大な関係がありますので、差しつかえなければひとつお聞かせ願いたいと思うのです。
  99. 倉八正

    ○倉八政府委員 今度の通常国会に、工業所有権の全面改正を出そう、こう私はきめておりまして、その過程におきまして、緊急措置をどうしたらいいかということを私は部下に命じて作成さしたことは事実でございまして、それは全く内部の、きわめて一部の人だけしか知らない措置でございますが、別に秘密でもございませんからその内容を申し上げますと、外国の例なんか見ますと、工業所有権というものは、全面的に無審査制度をとっておるところが非常に多うございます。フランスなんかは全部無審査です。出せばすぐ登録する。したがいまして、日本におきましても特許、実用新案につきましては、山ほどたまっておる滞貨につきましてそういう措置はとれないか、あるいはとればどういう弊害があるかということを考えて見ろということで、部下に命じまして作業さしたことは事実でございます。しかしながら、その措置というのは、さっき先生も御指摘になりましたように、実用新案との関連において非常に混乱が生じるだろうということで、いまの考え方というのは現在においては一応撤回いたしまして、滞貨措置につきましても、特許は従来と大体同じ方法でやる。それから実用新案につきましては新法による。すなわち、公開によりまして異議の申し立てをし、申し立てのあったものについてのみ審査するという新しい制度に移行しようということで、全面無審査は現在は引っ込めております。そういう次第でございます。
  100. 沢田政治

    ○沢田委員 大体そういう骨子のようであります。しかし、これを踏み切る場合、私は重大な問題が背後にあると思うわけであります。たとえば、公開の場合でも、どれぐらいの費用がかかるかといいますと、膨大なわけですね。これは一応あなたのほうで考えたのかどうかわかりませんけれども、大体いろいろな案があるわけでありますけれども、ある案によりますと二十四億円もかかる、こういうようなことも出てまいるわけであります。人員も今度は非常に必要になってくる。そうして、無審査になるのだから、何というか非常に権利の係争が出てくる。争いが出てくるわけです。裁判所といえども、行政機関といえども、同じ国家機関でありますから、それに対する損失というものも出てくるわけであります。これは軽々に踏み切るべきではないと思うわけであります。実用新案というのは、以前は形だけであったわけです。今度は機能とか製造方法とか、そういうことに変えてきたわけですね一したがって、私が朝令暮改だというのはそこなんです。行き詰まったならば、今度は処置がない、最後の手段で、やけくそだ、処理する方法がないからおっぽってしまえという、こういうすてばちの手段がこういう考え方になって出てきておるのじゃないかと思います。ほんとうに工業所有権というものを保護する立場に立つならば、こういう処置をとるべきじゃない、こういうふうに考えております。したがって、これによって起こる結果、こういうものに対して十項目ほど指摘したい点があるわけですが、時間が制限されておるので、これを指摘していったら三十分以上かかりますのでやめますけれども、いずれにしてもそういう考えを持っておることは承知しました。しかし、重要な問題がその背後にあるということだけは明確に検討してほしいと思うわけであります。そうでないと、重要な問題が起こってくる可能性が非常に強いわけであります。  それから、一つわからないことがございます。たとえば特許法の第二十五条です。第二十五条は「日本国内に住所又は居所(法人にあっては、営業所)を有しない外国人は、次の各号の一に該当する場合を除き、特許権その他特許に関する権利を享有することができない。一 その者の属する国において、日本国民に対しその国民と同一の条件により特許権その他特許に関する権利の享有を認めているとき。二 その者の属する国において、日本国がその国民に対し特許権その他特許に関する権利の享有を認める場合には日本国民に対しその国民と同一の条件により特許権その他特許に関する権利の享有を認めることとしているとき。」こういう二つの条件があるわけですね。これは同盟国、条約加盟国であるないという条件ではないわけです。そういうふうに相手国が自国民待遇の権利あるいは登記を認めた場合には、こちらでもやる。それ以外のものは、こまかいこの二つに該当すればいいわけですね。そこで、たとえば東独の場合、私の調査によりますと、日本の国籍を有する者が東独の特許権を得ておる、あるいは商標権を得ておる、こういう場合があるわけであります。そうなると、この掛け値なしの特許法第二十五条によるならば、日本国もこれを認めなくちゃならぬわけであります。認めないという理由は、法律的には何も出てこないわけであります。ただ単にこれは政治的な問題で、東独はおもしろくないとか、台湾というのはおもしろくないとか、そういう政治的なところがあるとしても、純粋に法律そのものからいくならば、認めないという理由にはならぬと思うわけであります。しかも、東独でそれを認めたということになると、おそらく外貨を出して、それぞれの所定の手続をしたと思うのです。そうなると、行政庁においても手続を認めたということになるわけですね。そういうことからいって、東独の場合、もし日本に対して特許権及び商標、意匠、こういうものの出頭申請があった場合にはどういうように措置するか、こういう点をお伺いしたいと思うのです。
  101. 倉八正

    ○倉八政府委員 第二十五条は、いま御指摘のように相互主議の原則でございまして、相手が認めるならこちらも認めるということでございますが、いまの東独の問題につきましては、きのう衆議院の本会議を通さしていただきましたパリ同盟条約におきましても加盟国ではございませんで、日本としては、東独というのはまだ承認していない。したがって、同盟の加入国でもないというような、いろいろ外交上、政治上の判断がございまして、これはいまいろいろ外務省あたりとも検討をしているところでございまして、したがいまして、現在におきましてはこれを右するか左するかというところは言えないわけで、いま折衝あるいは検討中だということをお答えしておきます。
  102. 沢田政治

    ○沢田委員 日本の政治や外交というのは、これは何によって行なわれていますか。憲法なり法律に基づいて、それぞれの政治、外交が行なわれておるのでしょう。政治や外交が法律より優先するという原則はないと思うわけであります。法律を改正したらば別です。純粋に第二十五条を解釈したならば、認めておるとか認めておらぬとか、条約の同盟国であるとかないとかという条件はないわけです。相手国がこれを認めたならばこっちも認めなくちゃならぬということになっておるわけです。法律解釈からいってこれはどう考えますか。私は外交、政治の問題は聞きたくはありません。
  103. 倉八正

    ○倉八政府委員 私は国際法の問題はあまり得意でございませんで、また権限もないものがこういうことを言ってはどうかと思いますが、私は日本政府としては、相手の国として認めてないというところから出されましても、必ずしもそれが相互主義が一貫するかどうかということは、私自身も非常に疑問を持っておるわけでございまして、日本がもし東独を承認しておるならば、日本から見れば承認された国としての堂々たる扱いを受ける。ところが、日本が認めていないのでございまして、その国に属する国民が出願された場合に、それが東独という、日本が承認した国か、あるいはドイツの一地方か、その点が国際法上はっきりしてないときは、相互主義の原則がそのまま適用されるかどうかにつきましては、私は非常に疑問だろう、こう考えております。しかし、私は国際法は全くのしろうとでございますから、その点はこのくらいでごかんべん願いたいと思います。
  104. 沢田政治

    ○沢田委員 あなたの場合は法律論じゃない。政治論ですよ。認めていないからどうも困るということは、純粋に二十五条から解釈して、大臣、どう考えますか。この法律からいったならば断わる理由はないのですよ。
  105. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 ただいま長官からお答えさせておりますが、私も専門的な見解を述べるだけの立場でございませんので、もし必要でございますれば法制局長官なりあるいは外務省のほうの説明をお聞き取り願いたいと思います。ただ、一応の見解としましては、ただいま長官が申し上げたとおりだと思います。
  106. 沢田政治

    ○沢田委員 通産行政として純粋に考えるならば認めざるを得ないのですよ。おそらくこれは外務省か何かがクレームをつけていると思うのです。政治的な議論なんですよ。それはあまり議論してもしようがないからこれで終わりましょう。  そこで、たとえばこういう場合どうなりますか。今度の改正案趣旨において、わが国以外の同盟国における商標権者の承諾なしに、その商標権者のわが国における代理人または代表者が出願し、または使用する商標について、登録異議申し立て、登録拒絶もしくは登録取り消しまたは使用差止を行ない得ることとする、これは今度改正になるわけです。それで、こういうことがあったならばこれをどうするかということであります。たとえばキューバにあるラム酒の会社があったわけです。そして商標を持っておったわけですね。ところがキューバの国内法によって所有権を国家がとった。したがって本人は所有権がないわけです。そしてその人がキューバからアメリカに亡命した。そこで本来ならば、キューバの法律によって所有権がないのだけれども、そういう権利があるということをアメリカの公証人から法人証明をしてもらって日本にそれを申請した。それを日本国が認めた。本来ならば権利能力はないわけですよ。よその国の法律で認めるとか認めないとかいうのは、アメリカが言う必要は全然ないわけだ。それをアメリカで法人証明をして、日本に申請して、日本国改府が登録を認めた。そしてキューバから代理者を立てて日本に対して異議を申し立てた、こういう場合はどうなりますか。
  107. 倉八正

    ○倉八政府委員 その場合は一種の発明者証に類したものだと思いますのは、いわゆる国営企業をやっているところは特許制度がないといってもいいわけでありまして、たとえばソ連を見ますと、かりに私が特許権をとりましても自分で事業をやれない。したがいまして日本における職務発明のように、私の特許の実施権というのは全部ソ連の公団に移るわけでありまして、そうして次に公団から何がしかのいわゆる報償をもらうわけでございます。しかしながらその実施権は、たとえばキューバも国営だと思いますが、そのラムの工場が国営だとすれば、それの商標をとった人は、なるほど実施権はキューバ政府にあろうかと思いますが、商標権そのものはなお発明した人、考案した人にある、こういうことは私は通念だろうと思うのです。その人がアメリカにその商標を登録しても何ら違反ではないのでございまして、したがって、アメリカ政府も許可をせられた、それを今度は日本に登録しても、それも合法でございまして、国営企業であろうと個人の営業であろうと、特許権なり商標権というのは当該国だけしか通用いたしませんから、その人が日本に商標を登録したとしてもこれは有効でございますから、この問題につきましては、国営に帰した、あるいはアメリカで代理権をとった、あるいは日本に申請した、あるいは日本で代理権を受けたということは関係なく商標は通用する、こういうのが私はその解釈だろうと思います。
  108. 沢田政治

    ○沢田委員 では一体どうなりますか。これは空文じゃないですか。たとえばキューバの国が持っておるのか、特定の個人か、キューバの法律によって別の人が工業所有権者になったかは別ですよ。いずれにしても、その人から合法的に、キューバ国内においては、工業権が、日本に申請したときからキューバのだれかに移ったわけですよ。権利が全然ないわけですよ。それを今度はアメリカへ来て、キュー、八の法律によってこの人は合法的に権利を持っておる法人であるということをアメリカが認めておるわけだ。キューバの法律によるならばその人にないのですよ。それを同盟国における商標権者の承諾なしに、承諾ないものを架空の作為による無根拠な、無法な申請を日本政府にしてきておるわけです。それを日本政府が許可したらどうなるかということです。
  109. 倉八正

    ○倉八政府委員 それは二つケースがありまして、日本におる代理人が、たとえば田中なら田中という代理人が、かってにキューバにおける商標を日本で使ってラムを売ったというならば、いま先生の御指摘のような条文にひっかかるかと思います。ところが、この代理人でない、たとえば私なら私が——私じゃいかぬですが、だれか日本人が特許庁にそれと同じ商標を申請してきたならば、それは受け付けざるを得ないということになります。したがいまして、分けて申し上げますと、キューバならキューバのラム酒の会社の代理人がかってに日本で商標を使いまして日本にラム酒を販売したというならば、その法律によって違反でございますから、キューバにおけるラム酒の会社から日本に抗議を申し込んでくるのです。抗議を受けたならば、かってに使用しておった代理人というのは罰を受けるし、損害賠償の責めに任ずるわけであります。ところが、まるで関係のない第三者の日本の特許庁に今度は正式に登録をしたならば、われわれといたしましては、それを正式な出願として受けまして登録するかしないかを検討する、こういう二つに分かれるわけでございまして、前段につきましては全く先生の御指摘のとおりでございます。
  110. 沢田政治

    ○沢田委員 これは登録しておるんですよ。登録番号は二七四五〇六号、二九六九九六号、名称はバカーディーというところですよ。これは代理弁護人として守屋さんという人がやっておるわけですが、そういう事実を知っていますか。
  111. 倉八正

    ○倉八政府委員 遺憾ながら私まだそのことを聞いておりませんから、さっそく調べてまた先生に御回答申し上げたいと思います。
  112. 沢田政治

    ○沢田委員 すでに答弁はもらったので、あなたはその答弁のとおりにやりなさい。それを事情変更をされたのでは困りますから、非常に明快な答弁をいたしましたから、そのとおりやることを要請いたします。  まだやればたくさんありますけれども、あちらこちらから早くやめろという声がありますのでやめますけれども、結局言わんとするところは、能力のみを強要してもかえって出願件数が多くなるということ、それから五十五万件の滞貨があるから一掃するために、一切の考慮を全然払わずに、全部処理するために無審査にするということは、先ほど指摘しましたように、まだ指摘したいわけですけれども、たくさんの問題点があるので、これは慎重を期してもらいたいということと、それから特に特許行政に携わる職員の方は、高度な知識と高度な経験と、ある意味においては技術ばかりではなしに、行政、司法的な能力もなければならぬわけであります。それと同時に、作業環境、事務環境がよくなければならぬわけであります。非常に狭隘なところにたくさんの人間を詰め込んで能率をあげようたってできません。非常に研究しなければならぬし、文献を見なければならぬし、そういう点をひとつ今後努力していただきたいと思うし、特に単純な作業をするものじゃありませんから、いろいろ関連した業務が多いわけであります。したがって長官が何かの考えか発想を持った場合には、下までしみ通るように、こういうことはいかがですか、こういうことは確信が持てますかというように下から聞くべきだと思うのです。そうでなければ、先ほどの電子計算機のように、大政官令以来、これを絶対やるという確信がない、ここでまだ成功しておりません、将来よくなるでしょうというような答弁をせざるを得ない立場になると思うわけであります。そういう点について特段の留意を払うことを強く要請いたしまして、私の質問を終わります。
  113. 内田常雄

    内田委員長 加賀田進君。
  114. 加賀田進

    ○加賀田委員 この法律改正は、御存じのように一九五八年のリスボン協定に基づいて今日七年ぶりに国安法を改正したということでありますが、こういう国際的ないわゆる信用を得なければならない条約について、七年間放棄しておった特許庁としての理由について、あるいは七年間放棄しておってもなお七年間において障害がなかったのかどうか、こういう問題についてひとつ御説明いただきたいと思います。
  115. 倉八正

    ○倉八政府委員 結果的に七年間ほっておいて、まことに申しわけないのでございますが、実はこのリスボンでこれが調印されましたのが三十三年の十月三十一日でございまして、当時通産省としましては例の四法の全面的改正をすでに国会に出す用意をしておりまして、三十四年の四月の初めに通していただいたわけでございます。したがいまして、その新法の中に織り込む時期的な余裕がなかったというのが一番大きい原因でございます。しからばその後あとで早く改正すればいいじゃないかというおことばがあろうかと思いますが、それをしなかったのは、すでに改正して翌年ぐらいから滞貨と申しますか、出願件数というのが非常に伸びまして、これはすでにもう一回ぐらいまた改正を検討しなくてはならないんじゃなかろうか、そういうことがずっと論議が出ておりまして、それならばそのときに合わせてやろうということで今日まで至ったのが、七年間結果的にほっておいた原因でございます  第二の、どういう必要性があったかというおことばでございますが、今度の改正によりましてその欠陥が是正されるわけでございますが、その改正に出しておりますように、いわゆる出願優先権の主張の場合に、相手国から番号をもらえるというのは今度の改正でわれわれ事務的に非常に助かるわけでございますし、それからさっきも先生から御質問のありましたような、いまのようなキューバの例のような場合に、法的に扱えることがはっきりできたということが第二であるし、それから第三は、マドリット協定に入りますと、いわゆる日本の輸出品というのが最近非常に多様化しておって、外国からまねされる、そのまねを非常に押えられる可能性、手段がふえてきた、こういう利点がございまして、いままでもそれは非常に痛感されておったのでありますが、できなくて、今度初めて改正を出したというのがいままでの経緯でございます。
  116. 加賀田進

    ○加賀田委員 どうも、今日の技術革新とか、あるいは貿易自由化を背景とした各企業間の競争によって技術研究がされて、非常に事務的にも出願件数が多くなって困った、それに基づいて新法等でも検討しておった、そういう多忙な理由を一つあげておりますけれども、もうすでに二十八カ国が批准を終えて、国内法の改正が現在されようとしておるわけでありますが、少なくとも先進国として自負しておる日本のこういう重要な工業所有権の問題について、七年間も放棄しておったということについて、私は怠慢を免れないと思うのでありますが、しかし現在そういう七年間において国内法の改正並びに国会における批准が終わらないためにいろいろ障害があったのかどうか、その障害についてひとつ説明してもらいたいと思います。
  117. 倉八正

    ○倉八政府委員 一つは、例の日本のような五大工業国と言われるようなところが、世界で一番大きい出願件数を持っておるところが、なぜいままでほっておくのかということは、海外から非常に責められております。これは外的な問題でありますが、内的に見ますと、さっきもちょっと触れましたように、障害があったというのは、いままで優先権を、たとえばアメリカならアメリカにおる人が出願して、日本にそれを一年以内に出願するのを優先権というわけでありますが、たとえばそういう場合に、アメリカならアメリカ、ドイツならドイツに出願した番号を合わせて日本に出してもらいますと、われわれとしましては事務的に非常に助かるわけであります。ただし、いままではそれをとっていなかったということは、事務的にわれわれとしましても何がしかの渋滞を来たしておった、こういうのがいままで批准をしないために起こったマイナス面だ、こう考えております。
  118. 加賀田進

    ○加賀田委員 そこで問題は二つあると思うのですが、一つは、こういう条約に基づいて国内法の改正をするということと、昨日本会議で通過しました、これに関係した条約批准の問題ですね。この批准さえ終えておれば、いまの特許法に基づいてやはり条約が優先するわけですから、国内法を改正しなくとも、それが実施されていくのじゃないですか。この特許法の二十六条には、やはり条約に対しては別途の定めがある場合にはそれが優先するような規定があるわけですから、もし国内法の改正がいろいろな点で困難であるとするならば、外務省を督促して早急にいわゆる批准を本会議に求めるという手続を完了すべきだと私は思っているのですが、これが同時になされている。結局昨日通過し、これがまた本委員会において国内法の改正が行なわれている。こういう特許法との関係の中で、いろいろ出願の年月日等が記載されておるならば事務的に非常に簡素化していくということはよくわかるのですけれども、もしそういうことで、特許庁のほうでそういう問題で国内法の改正はいろいろな関係で困難だし、あるいは抜本的な改正をしようとするからそういうときに同時にやりたい、こういう意図があるならば、外務省に要請して、この問題の批准を早急にやるべきだったと私は思うのですが、なぜ本国会に同時にこの条約批准と国内法が出なくちゃならなかったか、こういう点について私自身としても非常に疑義を持つわけですが、その点についてはどういう経過であったわけですか。
  119. 倉八正

    ○倉八政府委員 この工業所有権の法律というのは二つの面を含んでおるわけでございまして、一つは権利の内容、工業所有権とはどういうものであるかということと、それからもう一つは、条文的にはこの特許権の手続規定であります。その場合に、このパリ同盟条約というのは一八八三年にできて以来こういう規定がございますのは、その条約の加入書を寄託するときにはそれに応じた国内法を整備しておくというのが十七条の条件になっておりまして、これは一八八三年以来一貫した条件でございまして、したがいまして条約が批准されまして日本がスイス政府に寄託するときは、それに応じた国内法がちゃんとできておりますよということをあわせて、これは参考かもしれませんが、出すということになっておりますから、条約だけたとえば先に走ったということは、これは従来のいきさつから非常に不当であるということで、条約プラスの国内法の整備ということをあわせて一本にしたというのが今度の経緯でございます。
  120. 加賀田進

    ○加賀田委員 そうしますと、特許法の二十六条というものは実質的に効力を発生しないわけですね。国内法の改正と条約批准というものが同時に行なわれなければ効力を発生しないということになると、この二十六条では、御存じのように、条約に別段の定めがある場合にはその規定による、こうはっきりしておるわけですから、条約優先ということは二十六条にちゃんと書いてあるわけですね。ところが実際は、いま長官の説明のあったとおり、国内法の改正と条約批准が同時に行なわれなければ、同時にでなくても、とにかく二つの点が承認されなければ国際的に有効ではないということになると、二十六条はどうなんですか。
  121. 倉八正

    ○倉八政府委員 これは条約の一般論でございますが、条約は、日本国内法から見れば、国内法で条約の規定を適用するという国内法がなければ、大体条約はそのまま国内法にはならないということは、これは国際法の原則でございますが、いま私が申し上げましたのは、パリ同盟条約ができてから、それに加入する場合には国内の法規を整備しなければならない、こういうことを規定しておるから、そういう一つの国際慣習になっておるということを申し上げたのでございます。  それから第二十六条というのは、特別な、別段特許法で規定されない場合については条約の適用をそのまま及ぼすという条約を認定した国内法でございますが、こういうのは大体例外でございますから、せっかく条約に加入するならば国内措置もちゃんとあわせてやるというのが常識であるし、またそれが当然の経路かと思いまして、今度あわせて出して、条約だけ先に切り離さなかった、こういうことだろうと思います。
  122. 加賀田進

    ○加賀田委員 いや私の言っているのは、もちろんパリ条約でそういう定めがありますから、国内法の改正と条約批准というものは同時に行なわれなければ発効しないということは、いま説明で明らかになりましたけれども、ただ、この二十六条というのは、特許法に基づいて制定されてない、以外の問題が国際条約で制定された場合にそれが適用されるのであって、同じものが違った形で条約が決定されたような場合には条約が優先するという意味じゃないのですね。
  123. 倉八正

    ○倉八政府委員 いま先生の御指摘のとおりでございます。
  124. 加賀田進

    ○加賀田委員 実際問題としていろいろ同盟国からも、先進国である日本が七年も八年もこういう条約に対しての国内法の改正並びに批准ができていないということについて指摘があったのですが、やはりこういう問題については、国際的な信用と日本のこれからの発展の方向とを考えれば、できるだけ早くそういう手続等もやるべきじゃないかと私は思うのです。抜本的な改正が必要であろうとも、いま出してまいりました法律改正というのは、そう深く研究して相当改正しなければならぬ問題ではないんじゃないか。将来われわれが国外において発展しようとする場合に、国際的信用というものも非常に重要だと思うのです。今後のそういう問題があった場合に、七年間放置するというのはちょっと私は考えられないのですが、早急にそういう問題について善処するように今後お願いいたしたいと思います。  それから強制実施の要求の期間というものは、従来であれば登録が終わったあと三年間という期間があったわけですが、今度の改正に基づくと、登録が終了じゃなくて、出願してから四年間ということになりますね。そういたしますと、実質的には非常に短い期間になるのではないかと思うのです。今日の特許庁が登録完了するまでには、特にこういう特許等については、いまいろいろ指摘もありましたけれども、三年以上かかっているんじゃないですか。そうすると、登録されてからもし三年とすると、あと一年しかないというわけですね。こういうことは現実に日本の今日の特許行政について妥当であるかどうか。一年間で製造を開始しなければならぬということになると、既存の企業がそれを実施するとするなら私はたいして問題ないと思うのですが、新たに企業を興すというような大きな特許の場合には、資本とかいろいろなもので、一年間ぐらいではこれを生産開始するということは困難な状態が起こってくると思うのですが、その点はどうでしょう。
  125. 倉八正

    ○倉八政府委員 実はその条文は非常に読みづらいから、そう先生はお読みになったと思いますが、実はその逆でございまして、従来は三年間ほうっておけば通産大臣ないし特許庁長官に強制実施させてくれという裁定ができたわけでございます。ところが今度の場合は、そのほかに裁定を申請するときでも出願から四年以内であってはならないということになったわけでございます。そういうことをしたのは、いま御指摘のように、非常に複雑になった、あるいは膨大な資金を要し、労務者を要し、あるいは工場を建てなければならぬ、そういうときに、三年間そういうことができないから、実際特許権を使わぬでおったけれども、その三年目の最後は、特許の出願を出してから四年以内であってはならないということになったわけでございます。だからどういう説明をするか——そういうことでございますが、たとえば私がきょう出願した。そうしますと、四年目といえば昭和四十四年の五月の十八日ですが、私がたまたま特許権を再来年のきょう受けたとしました場合には、それから三年間ほうって私が使わないと、四十五年の五月の十八日まで私が使わないと、強制設定ができるわけでございます。その場合には出願からすでに四年たっておるからできるわけでございますが、もう一つ逆をいいますと、きょう出して、ことしの十二月に私が特許を受けた、こういうことは日本ではあり得ないと思いますが、たとえば受けたとしますと、四十四年の一月一日になりますか、そのときまでに私が使わないでおれば、その特許というのは強制設定の対象になるわけでございます。ただしかし、その四十四年の一月一日というのは出願から見ればまだ三年半目でございますから、それは強制設定はできない、こういうふうにしたのが今度の規定でございまして、これは図解すると非常にはっきりしますが、条文でいきますと非常にややこしくなりますが、実際はそういうことでございます。
  126. 加賀田進

    ○加賀田委員 どうも長官の答弁があまり明快過ぎてわからないのですが、いままでは出願すると、登録されてそれから三年間使わなかった場合には、これがあらためで実施要求権ができるわけですね。ところが今度の場合は、出願を提出してから四年じゃないのですか。その点明確にしておいてもらいたいと思うのです。
  127. 倉八正

    ○倉八政府委員 出願をしてから四年をたっていなければならないということでございまして、四年をたたない前に出願されましても、それはわれわれは受け付けられない。法の申請によっても受け付けられないということになるわけであります、四年をたっていなければならないのですから。
  128. 加賀田進

    ○加賀田委員 その点を明確にしてもらいたいと思うのですが、たとえば出願する。そうすれば登録するまでに三年間かかった。三年間について、あらためて三年間実施しない場合は請求権が起こってくる。いままでは六年間あったわけですね、出願してから。今度の場合は出願から四年というのですか。六年からあらためてまた四年というのですか。その点は具体的に、いままでよりいい条件であればいい条件ということを明らかにしてもらいたいと思うのです。
  129. 倉八正

    ○倉八政府委員 こういうことを言えばいいと思います。極端な例をとりますと、出願してから四年目に登録になったと仮定します。それから三年その人が使わないでおりますと、出願してから七年目に初めて強制設定の要求ができる。ところが従来の例はそうではなくて、それよりももっと権利が狭くなるわけでございます。たとえば出願してから一年目に登録されたとしますと、それから三年間使わなければ強制設定の対象になる、ということは出願してから四年目にもうすでに強制設定の対象になったわけでございますが、今度はそれがいまの例からいいますれば七年になった。したがいまして特許権者の権利というのが厚くなった、こういうことでございます。
  130. 加賀田進

    ○加賀田委員 そういたしますと、それは出願して登録された期間がいずれにあろうともそれを四年とみなすということですね。そういう意味ですね。その点は明確にしてください。
  131. 倉八正

    ○倉八政府委員 そのとおりでございます。
  132. 加賀田進

    ○加賀田委員 それでは、いま質問もありましたけれども、最近出願件数が多い。事務が非常に煩瑣になり、職員等も非常に少ないということで、現在未処理のものが相当あるはずですが、私の調査では五十五万件と聞いておるのですが、それくらいありますか。
  133. 倉八正

    ○倉八政府委員 ことしの三月三十一日で、先生の御指摘のように五十五万件ございます。
  134. 加賀田進

    ○加賀田委員 将来こういう技術革新というものが非常にテンポを早める状態の中で、五十五万件も持って、しかも登録されるまでには今日まで三年ないし三年半かかるというようなことでは、新案特許が登録されない前に次の新案が出願される、そういう空転されたような状態が起こるのではないかと思うのですが、これについて職員等の充実あるいは審査官の充実等を早急にやっていただかなければ、この制度が充実されていかないのではないかと思う。したがって、そういうことについて通産大臣として、これは政府自体の態度だと思うのですけれども、何とか早くこれを解決しなければとても今日の技術革新のこういう環境の中で特許庁としては事務処理ができないのではないかと思う。いろいろ研究され、審議会の答申等を中心としてこれから処理されようという考え方をお持ちだと思うのですけれども、大臣としての考え方を明確にしてもらいたいと思うのです。
  135. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 先ほどからお答え申し上げておりますとおりに、人員の増加あるいは事務の簡素化あるいは機械の導入、審査手続等につきまして、今後新しい考え方に立つとかいうような、いろいろ総合いたしましてこういうような滞貨を解消していきたい。大体四十三年をピークとして解消できる見通しのもとに現在行政をしているわけでございますが、しかし御批判のとおり、もっとこれは突っ込んで考えるべき点が多々あろうかと思います。
  136. 加賀田進

    ○加賀田委員 これで終わりますけれども、ただ人員、簡素化とかいろいろなことを言っているけれども、結局これは職員の労働力の強化とか、今日審判官とか審査官の人員を求めることもなかなか困難だろうし、そういうことになってまいりますと、職員の労働過重によってこういう問題が処理されるという傾向になってまいりますから、そういう点についてはやはり大臣としても十分留意して、五十五万件あるからこれを早く処理するためにいわゆる労働強化を強制してまでも処理しなければならぬという傾向におちいりやすいと思うのです。したがって労働条件の向上、賃金問題等、重要な問題もありますけれども、しかしそれは何としても職員の増加あるいは審査官の増加等もあわせて大胆に考えてもらわなければ、機構の簡素化だけではこの問題はなかなか処理できないと思います。それについては大臣としての特段の配慮をお願いして、私の質問を終わりたいと思います。
  137. 内田常雄

    内田委員長 本案についての質疑は、これを終了するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  138. 内田常雄

    内田委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決しました。     —————————————
  139. 内田常雄

    内田委員長 次に、討論の通告もございませんので、直ちに採決いたします。  本案原案のとおり可決するに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  140. 内田常雄

    内田委員長 起立総員。よって、本案原案のとおり可決いたしました。  本案に関する委員会報告書の作成に関しましては、委員長に御一任願うことに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  141. 内田常雄

    内田委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。   〔報告書は附録に掲載〕
  142. 内田常雄

    内田委員長 次会は、明五月十九日水曜日午前十時より理事会、午前十時十五分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。  午後一時三十七分散会