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1965-05-07 第48回国会 衆議院 商工委員会 第33号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年五月七日(金曜日)    午前十時四十三分開議  出席委員    委員長 内田 常雄君    理事 浦野 幸男君 理事 小川 平二君    理事 小平 久雄君 理事 田中 龍夫君    理事 中川 俊思君 理事 板川 正吾君    理事 加賀田 進君 理事 中村 重光君       小笠 公韶君    海部 俊樹君       黒金 泰美君    田中 榮一君       田中 六助君    中村 幸八君       古川 丈吉君    三原 朝雄君       大村 邦夫君    桜井 茂尚君       島口重次郎君    田中 武夫君       麻生 良方君    春日 一幸君       山下 榮二君  出席政府委員         総理府総務長官 臼井 莊一君         公正取引委員会         委員長     渡邊喜久造君         通商産業事務官         (公益事業局         長)      宮本  惇君         中小企業庁次長 影山 衛司君  委員外出席者         議     員 海部 俊樹君         議     員 麻生 良方君         専  門  員 渡邊 一俊君     ————————————— 四月三十日  委員麻生良方辞任につき、その補欠として受  田新吉君が議長指名委員に選任された。 同日  委員受田新吉辞任につき、その補欠として麻  生良方君が議長指名委員に選任された。 五月七日  委員山下榮二辞任につき、その補欠として春  日一幸君が議長指名委員に選任された。 同日  委員春日一幸辞任につき、その補欠として山  下榮二君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  私的独占禁止及び公正取引確保に関する法  律の一部を改正する法律案内閣提出第五〇  号)  下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法  律案内閣提出第一二七号)  下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法  律案板川正吾君外十四名提出衆法第三二  号)  下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法  律案麻生良方君外一名提出衆法第三号)  電気工事業を営む者の営業所登録等に関する  法律案海部俊樹君外六名提出衆法第三三  号)  電気工事業及び電気工事士法案麻生良方君外  一名提出衆法第三四号)      ————◇—————
  2. 内田常雄

    内田委員長 これより会議を開きます。  去る四月二十六日当委員会付託になりました海部俊樹君外六名提出電気工事業を営む者の営業所登録等に関する法律案並びに同日当委員会付託になりました麻生良方君外一名提出電気工事業及び電気工事士法案議題とし、それぞれ提出者より趣旨説明を聴取いたします。海部俊樹君。
  3. 海部俊樹

    海部議員 ただいま議題となりました電気工事業を営む者の営業所登録等に関する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  近年における電気技術の急速な進歩による電気施設高度化家庭電化の進展に伴う電気使用量の苦しい増加とにより、電気施設保安重要性はますます、高まっているのでおります。  さきに制定されました電気事業法におきましても、この点を重視し、電気工作物保安体制を整備し、合理化することが、大きな目的一つになっていることは御承知のとおりであります。  ここに提出いたしました電気工事業を営む者の営業所登録等に関する法律案は、一般用電気工作物保安確保に資することを目的としているのでありまして、このため電気工事業を営む者の営業所について登録の実施、電気工事管理者の設置、工事記録保存等の措置を定め、あわせて電気工事業の運営の適正化をはかろうとするものであります。  次にこの法案要旨を御説明申し上げます。  第一は、電気工事業者登録等に関する規定であります。電気工事業を営んでいる者または営もうとする者は、営業所ごと都道府県知事所要の事項を記載した登録申請書提出し、登録を受けることができることとしたことであります。  なお、この登録を受けるときは、当該営業所電気工事士が二各以上置かれていることを要件としているのであります。  第二は、電気工事管理に関する規定であります。これは電気工事にかかる事故を防止するため、電気工事業者管理体制を整備しようとするもので、所属する電気工事士のうちから電気工事管理者を置き、電気工事の設計、施工等電気工事に関する業務を管理させることとしたことであります。また、電気工事施行に関する帳簿書類を保存させることにいたしております。  第三は、登録電気工事店等名称についてであります。登録電気工事業者は、登録電気工事店名称もしくは標識を使用し得ることとし、登録を受けていない者の類似名称使用禁止したことであります。  第四は、その他、報告及び検査、罰則等所要規定を設けたことであります。  以上がこの法案提案理由及び要旨の概要であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同くださいますよう御願い申し上げます。
  4. 内田常雄

  5. 麻生良方

    麻生議員 ただいま議題となりました電気工事業及び電気工事士法案提案理由を御説明いたします。  いまや、国民経済発展に伴い、家庭、店舗、工場、その他の諸施設における電力消費増加の一途に向かっており、これに伴って電気工事量も急増しております。それは、工場やホテルなどの複雑な配電工事をはじめ、家庭におきましても各種の電気器具利用度が高まりましたので配電は複雑になってまいりました。電気工事費総額で見ますと、昭和三十八年度の建築工事額二兆四千三百億円のうち、電気工事費は、おおよそ、千九百億円ないし二千二百億円程度に達するものと推定されております。いまや、電気工事業工事費総額は、一つ産業としても、相当高い地位を占めるに至っているのであります。電気工事業はますます高度の技術と、確実なる保安が要求され、産業としての、かつ企業としての社会責任を正当に負担すべき時代となってきているのであります。  ところが、現在の電気工事業は、法制上で独立した産業としての扱いを受けておりません。すなわち、電気工事業電気配線工事として、建設業法の定める建設工事の一部に含まれております。電気工事業は、総合的な建設工事下請立場に置かれております。その結果として、電気工事下請単価を常におびやかされ、工事保安責任を完遂し得る態勢になっておりません。  私どもは、この憂うべき弊害を除去し、今後の電気工事業が十分に保安責任高度化する配線工事技術を駆使し得る産業態勢を確立せんがため、ここに本法案提出したのであります。  本案要旨の第一点は、電気工事業電気事業法で定める電気工作物工事の任に当たる業種として、適確なる法制上の根拠を与えて、業界社会責任を明らかにする点であります。この見地に立って、本案では、まず第二章電気工事業者におきまして、業種としての電気工事業のあり方を規定しました。  まず、この業を営むものを、すべて通産大臣または都道府県知事に対する登録制とし、登録有効期間を二年とし、登録要件として、事業所ごと電気工事士であって電気工事に関し三年以上の実務の経験を有するものを一人以上置かねばならないこととしました。登録制によりまして、企業責任を明らかにし、登録期間と、電気工事士配置義務によって、保安及び配線上の技術責任を明らかにしたものであります。  また登録を受けた業者に対し、国は適正な施工確保と、業の健全な発達をはかるための必要な指導助言または勧告を行なうことができることとし、かつ、電気工事が委託その他いかなる名義いかんを問わず、その工事契約は、電気工事請負契約とみなすこととしました。これによって、国は業の健全なる発展に助力し、電気工事契約自主独立を保障することとしました。  本案要旨の第二点は、第三章電気工事業者団体におきまして、業の健全なる発達をはかることを目的とする社団または財団の法人格を持つ団体の設立は届け出制とし、国に対して所定の報告義務づけることにしました。これによって、業者団体社会上、産業上の責任と役割を高く評価することにしたのであります。  本案要旨の第三点は、第四章電気工事士であります。現存、電気工事業は、電気工事士免状のある者が営むことができることになっているので、小規模雰細企業が乱立し、過当競争を招来しております。したがって、私どもは、現行電気工事士法を、本案の第四章として織り込むこととし、電気工事をまず業として確認し、この上に立って電気工事士地位、任務を定めることとしました。なお、電気工事士免状、試験、義務については、おおむね現行法を準用することといたします。  なお、本案施行は、公布の日から起算して六十日以内とします。  また、経過規定として、現在、建設業法に基づき電気工事を営むものは、本案施行より三年間は登録を受けないでも、業を営むことができることにしました。  本案は、あくまで電気工事業の健全な発達によって、技術高度化保安確保をはかり、あわせて、中小企業者が多い本業種自主独立性を守らんとするものであります。  何とぞ、慎重御審議の上、本案に賛成あらんことをお願いいたします。
  6. 内田常雄

    内田委員長 以上で両案の説明を終わります。  両案についての質疑は後日に譲ります。      ————◇—————
  7. 内田常雄

    内田委員長 次に、内閣提出私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案、同じく下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法律案板川正吾君外十四名提出下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法律案麻生良方君外一名提出下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法律案議題とし、質疑の通告がありますので、これを許可いたします。板川正吾君。
  8. 板川正吾

    板川委員 独禁法改正に関しまして公取委員長——総務長官はどうしましたか。
  9. 内田常雄

    内田委員長 総務長官はただいま参議院の商工委員会において提案理由趣旨説明中でありますので、その終わり次第こちらに参りますので、おそらく十五分くらいの間にはこちらに参ると思います。それまでどうぞ公取委員長ほか担当官に対して御質疑をお願いいたします。
  10. 板川正吾

    板川委員 実は、この法案審議にあたっては総務長官に十分質疑したいと思っております。それは、今度の法律改正は、御承知のように株式所有に関する報告の資格を一億円から五億円に改正するという点と、もう一つ公取組織強化の二つの点が改正の要点ですから、特にその公取組織強化については総務長官に一応伺いたいと思っておったのですが、それでは来てから質問いたしましょう。  公取委員長に伺いますが、今回の改正で、人員全国的に十一名増加、こういうふうに強化されるという形になったのですが、一体十一名程度公取として満足なのかどうか、あるいはやむを得ないとしても、これではたして今日公取に課せられておる責任というものは果たせるのかどうか、ひとつ伺っておきたいと思います。
  11. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 公正取引委員会としましては、人員の点につきましては、当初予算では四十五名の増員を要求いたしました。もちろんその数でもわれわれとして現在与えられている非常に幅の広い多彩な仕事をやっていくについては必ずしも責任が持てるといいますか、十分であるとかといったようなものではありませんが、しかし、まあそう一度にということもできませんし、ワクをとりましても、人員の充実ということもございますので、一応そのような意味で四十五名要求したわけでございます。それが予算折衝の過程におきましていろいろな御事情があったと思いますが、現在の十一名ということになったわけでございますから、もちろんわれわれが、これでわれわれの立場からしまして満足であるとか満足でないとかいうことを言い得る筋とは全然思っておりません。しかし、これは内閣のほうでもっていろいろな関係で最後の結論が出たわけでしょうから、公正取引委員会といたしましては結局与えられた人数をいかに有効に使っていくかということに今後の努力を傾けていきたいというふうに考えております。
  12. 板川正吾

    板川委員 予算人員の問題は、ひとつ総務長官が来たら質問しましょう。  次に、この投資調整問題について伺いますが、これは大村委員が前回一応質問をして公取委員長が答弁しておりますから、一般に伝えられたようなものでないということがある程度わかりましたから、いいと思いますが、これについてわれわれの見解を一応言っておきますと、投資調整計画性を持たせ、いわゆる二重投資過剰投資を避けるということは、これは社会党の主張の中の大きな線です。この点についてわれわれが反対しているんじゃない。しかし、この投資調整という重要なカルテル通産省にまかせっぱなしという形に新聞に出ましたから……。通産省は、御承知のように日本企業なり産業育成重点を置く。産業育成重点を置く通産省が、この投資調整カルテル主導権を持つようになると、結局独占擁護になるのじゃないか。その独占擁護になるおそれの十分ある投資調整問題を通産省に預けっぱなしだということでは問題だ。こういう点でわれわれは非常な危惧を持っておるので、そういう点で、ひとつ公取としても独禁法趣旨に沿う厳重な監督を今後もしていただきたいということを要望するわけです。ただ最近、大村委員質問のときにありましたように、いわゆる特振法の場合のように、一つの計画したものが通らなかったら行政指導でやろうという思想ですね、これはたとえばスクリーンクォータの問題もそうだと思うのです。スクリーンクォータについては、通産省として法案を準備しておったのですね。準備しておったのだが、産業構造審議会ですか、ここではまだ時期尚早だということや反対意見がありまして、そのスクリーンクォ一夕制に対する法案というものは出さないことになった。出さないことになったら、通産省行政指導全国に、いわゆる外映専門映画館に六月一日から二十二館は邦画を入れろ、こういうことに約束ができて、六月から実施される、こういう新聞報道があった。映画というのは消費者の自由にまかせておったほうがいいのであって、通産省が中へ入ってこれこれをすべしというようなことは、どうもいわゆる不当な取引制限に当たるのではないか、そういう感じがする。私が問題にしたいのは、法律で準備しようと思ったということは、そうしなければできないという根拠があるだろうと思う。法律で準備しようと思ったのだが、それはやってはいかぬということで結論が出ておるのに、今度は行政指導でやるということ、これは投資調整の問題でもそうです。特撮法でだめだということにとにかく国家の意思がきまったのに、今度は通産省が同様なこと、あるいはそれを拡大したやり方で一般産業投資調整をやろうということと共通しているのですね。立法府を無視して、立法府でうるさいことを言ってできないなら行政指導だというので、どんどん拡大していこう、こういうところに私は問題があるだろう、こう思うのです。このスクリーンクオータの問題は、いわゆる不当な取引制限ということにならないかどうか、公取として検討したことがあるかどうか、伺いたい。
  13. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 スクリーンクオ一夕の問題は、われわれのほうにはまだいろいろな情報が入っておりませんので、現在、まあスクリーンクオータについて立法をしようとかしないとか、するのがいいとか悪いとかいう議論があることはわれわれも耳にしました。しかし、いまのお話のように、いわゆる行政指導によってスクリーンクオータを事実上やるとかやらないとかいう点については、われわれまだ情報を得ておりません。結局通産省行政指導をするという場合において、法律の裏づけがないわけですから、したがって、一つ勧告めいたものを出すということ自体が、これはいいか悪いか、当不当の問題は別ですが、あるいは権限的にはできるのかもしれませんが、それを業界がどう受けるかという問題でもって、結局われわれのほうの独禁法の問題になる場合もあれば、ならぬ場合もあるんじゃないか、こういうふうな考え方をしています。たとえば業界通産省のサゼスチョンに従いまして一つの申し合わせをするということになってきますと、たとえそこに通産省一つ勧告があるにしろ、業界自体お互い取引制限というような問題になるおそれがあるのじゃないか。しかしそれぞれそこまで行かないでやるとなると、これはその力自身はきわめて弱いものになると思います。お互い全部が全部それに従うか従わないか、非常に保証のないものになる。そういうような一つ勧告それ自体が当不当であるかは、これは別問題としまして、違法であるか違法でないかという問題になりますと、通産省が一ある一つ勧告をする、それで、ある業者はそれを受け入れる、ある業者は受け入れない、こういったような程度ですと、おそらく独禁法の問題として取り上げる問題ではないのではあるまいか。これは違法であるか違法でないかといった点において、独禁法として取り上げる問題ではないのじゃないだろうか。一つ勧告をした、ある業者はそれを進んで受け入れる、ある業者は受け入れないという程度のものであれば、それはそういう勧告をすること自身が適当であるか不当であるかという行政庁立場としての態度、これは別の批判がそこにあり得ると思うのです。われわれのようにそれが適法であるか適法でないかという観点から見ますと、そういったような考え方で一応その問題は整理さるべきものじゃないか、かように考えています。
  14. 板川正吾

    板川委員 洋画専門の館が全国で約九百カ所あるそうです。邦画専門が三千五百くらいある。値段はそれぞれ入場料が違うと思うのです。たとえば、私は全然どの程度だか見当がつかないのですが、いずれにしろ邦画専門洋画専門では値段が違う。これはわかります。ところが同じ値段で、その三本なり二本のうちに一本邦画を入れるということになると思うのですね。従来と違うものを見せる、しかも一般的にいえば邦画のほうが安いという形を、同じ値段でやったりするということは、洋画専門店では決して歓迎していることじゃないと思うのです。洋画専門店はあくまでも洋画一本でいきたいと思っているに違いない。だから洋画専門の各社が反対してきたことは事実です。そういう意味消費者としても、洋画を見ようとして来たら一本邦画が入っていた、値段は同じだということになる。そうすると私は、その違法であるかどうかということよりも、独禁法のたてまえの不当な取引制限というものがあって、そういういやいやながら押しつけられたという形が洋画のほうにあるんじゃないか。だからもしそういう制度をつくるならば、あくまでも法律をつくって、国会議論を通じた上でやられるならこれはいいとしましても、国会へ出したらどうも議論もあるしうるさいから、通りそうもないから、それを避けて行政指導でやるということは、われわれ問題があるし、そういう意味で不当な取引制限というもの、それならば公取として干渉し得る道があるんじゃないか、こう思っておるわけです。戦後できた法律ですか、戦前、昭和十七年からあるのかな、物価統制令という法律がありますね、その十二条では、抱き合わせ販売はいかぬということになっております。いまの法律でひっかけるとすれば、抱き合わせ販売のその十二条でいかぬということになるのかもしれません。しかしこれは公取の権限ではないので、直接公取にそれを要求するわけにはいかないが、しかし私は不当な取引制限という意味で問題があるだろう、ひとつ検討していただきたい。これはいわゆるさっき言った投資調整と同じなんです。法律が通らないから行政指導でやっていこうという形では、立法府を無視した指導になる。こういう点で、ひとつ公取のこの件に対する検討をしていただきたい、いかがですか。
  15. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 内容を具体的に見ていませんから、それに対するお答えとしまして一般論的にお答えすると、先ほどお答えしたようなことになると思っております。しかし、現在どんなふうなかっこうでそうしたスクリーンクオータの話が進んでいるか、一応通産省によく聞いてみまして、公取として果たすべき役割り、いわゆる消費者の利益を守るべき、いろいろな意味においてその役割りは果たしていきたい、かように考えております。
  16. 板川正吾

    板川委員 それでは法案内容に入りたいと思いますが、今度の改正ですね、国内の会社株式所有する場合に、その会社の総資産が一億円をこえるものについては株式所有報告書提出義務を課しているのを総資産五億と改める、役員兼任の場合にも同様、この点についてお伺いをいたしますが、この報告をとる目的、これはどういうのですか。
  17. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 役員兼任株式所有、結局そういう手段を通じまして一定取引分野における競争排除といいますか、独占形態をつくろうという意図があるかないかという問題、これは独占自体が一応独占禁止法制限されておりますし、したがってそういった点がいろいろなかっこうで行なわれ得るわけと思います。たとえば合併でありますとか営業の譲り受けでありますとか、あるいは役員兼任でありますとかあるいは株式所有、したがってねらいはそうした手段による独占的地位の確立といいますか、そういうものを独禁法はやかましく取り締まっておりますので、そういったような事実があるかないかというきっかけをつかむ一つ手段としまして、合併につきまして、営業の譲渡につきましては、一応やはりこちらへ届け出をしてもらっておりますし、同じような意味において、株式保有役員兼任というものについても一応届け出をとる。届け川のあるなしにかかわらず、そういう事実があれば、これは当然排除さるべきものだ、こう思っております。したがって、現在総資産で一億、大体従来のデータによりますと、大体資本金にいたしますと、その十分の一くらいと考えていいように思います。したがいまして、大まかにいいますと、現在は資本金一千万円以上くらいのところのものからとっているわけですが、だいぶ最近会社の数の変遷もあるし、あるいは資本金の大きさがだんだんふえているというようなことも考えてみますと、資本金にして五千万円、総資産にして五億円以上を一応つかめば、いま言ったように、結局問題は独占、もちろん全国的独占がそういう小さいところにあるとは思いませんが、地域的独占があると思いますので、一応そういったものをわれわれのほうでできるだけ早い時期に目をつけるという一つ手段として、株式保有役員兼任届け出というものをとっているわけでございますけれども、その辺のところをつかんでいけば、大体本来の目的は達するのではないかというのが今度の改正案趣旨でございます。
  18. 板川正吾

    板川委員 従来この報告書をどういう形で活用しておりましたか。報告書は、いま公取委員長が言われましたように、独禁法目的を果すために、十条から十七条の間で、合併やあるいは株式取得役員兼任や、こういったものをしてはいけないということになり、それに基づいて——まあやむを得ずする場合には公取の許可を受けろという杉にもなっておる。報告をとって、公取としてとりっぱなしで、この報告をどういうふうに活用しておったのかという、こういう疑問が生ずる。たとえば、三十八年の年次報告がある。一体年次報告をとってどういう検討をしておりますか。ちょっと調べてみてください。どこにも報告がない、こういうのですよ。報告の簡単な形はありますよ。しかしそうじゃなくて、この報告をとるのは独占禁止しようという形であるわけです。そうして、一定分野における競争力制限のないような形で、さっき公取委員長が言ったように報告をとっておるんでしょう。それならば、この報告をとったならば、この報告に基づいた日本独占の分析というものがあっていいんじゃないでしょうか。公取委員長、財閥は戦後解体されましたけれども、いまの日本における財閥、いわゆる銀行を通じての系列支配、こういう形で戦前よりもはるかに企業の集中というものが行なわれているんじゃないですか。そういう、いわゆる戦前は持ち株会社による財閥という形がありましたけれども、いまはいわゆる銀行の系切を通じての企業支配力という形、新しい財閥の形ができているわけでしょう。それを、この報告を漫然と昭和二十八年からとっておって、その間に日本の財閥ができあがってしまった。一体この報告をとって、何の意味公取として使っておったのか、こういうことが実は聞きたい。この年次報告にはそういった新しい独占の生成というのですか、生まれてきた経路なりというものは一つもないんじゃないですか。ただ文書をとったというぐらいにしかすぎない。
  19. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 現在株式保有でもって制限している問題は、一つは、一走の取引分野における競争の実践によります、あるいは不公正な取引方法による株式取得または所有、こういうような問題、これが一面役員兼任の場合におきましても同じような問題になっているわけであります。したがいまして、われわれのほうとしましては、出された報告において、それが一定取引分野における競争制限になっているかいないか、あるいは不公正な取引方法による取得、所有になっているかいないか、この面を中心にずっと過去においてとった報告に応じて審査はしてまいったわけですが、その限りにおいて、年次報告にありますように違反行為はなかったということで、われわれのほうとしては特別な措置に出るということはしておりませんでした。お話しになっておりますところの、いわゆる系列を中心とした企業一つの集団といいますか、このごろとにかく企業集団ということばが盛んに使われておりますが、これはどちらかといいますと、横のつながりというよりも縦を中心とするか、あるいは関連を中心とするか、そういった姿においてのつながり。むろん財閥とは、持ち株会社ほどかなりぎっちりしたものでもないが、しかし、確かに、一応の開運といったような、系列化といったようなもの、それが銀行などを中心として一つでき上がってきつつある。これも実体的に見てまいりますと、かなりゆるやかなものから相当緊密なものまであるのじゃないかといったような問題、これはしかし、現在の独禁法ですと、持ち株会社というはっきりしたかっこうをとる場合はこれを制限しております。そうしたまだきわめて星雲的なというか、あるいは少し固まりかけたといった姿における企業の集団、それを一体どう措置していくか。正直言いまして、おそらく独禁法の条文の中にはまだはっきりした明文はちょっとないような感じもしますし、また、日本経済の立場からいいまして、一体これをどう措置していくべきかという問題は、どうもまだはっきりした答えが出ていないのじゃないかというふうな感じがしております。したがいまして、われわれのほうとしては、そういった意味の問題は別途一つの研究課題としていろいろ検討はしておりますが、すぐ独禁法のどの条項に違反するかしないかというような問題には至っていないのではないか、こういうような観点でこの問題を注視しているというのが現状でございます。もちろん、金融機関が株式の一割以上持ってはいかぬとかいう規定はありますから、そういった意味のものについてはわれわれは十分監督しておりますが、金融機関が中心になって、銀行が中心になって産業と結びついている姿は、単に株式だけではなくて、貸し付け金とかいろいろのものを通じてそういったものができている。一体これを将来独禁法趣旨と照らし合わせてどう考えていくかという問題は、われわれも一つの大きな課題として検討は進めておりますが、すぐにそれが独禁法に抵触するという結論はちょっと出しにくいのではないか、かように考えております。
  20. 板川正吾

    板川委員 私も独禁法に違反かどうかという意味議論しているのではないのです。この報告をとるというのは、これはいわゆる独占禁止しよう。独占ができてはいけないから報告をとっていて、そうして、もしそういう一定分野における競争力をなぐするような状態にまでなった場合には、それは場合によってはいかぬということだろうと思う。法律的には、公取委員長専門家が明確じゃないと言うけれども独禁法の第一条の目的それから第三条で「事業者は、私的独占又は不当な取引制限をしてはならない。」というものがあり、その第三条の「私的独占」とは、二条の五によって「この法律において私的独占とは、事業者が、単独に、又は他の事業者と結合し、若しくは通謀し、その他いかなる方法を以てするかを問わず、他の事業者の事業活動を排除し、又は支配することにより、公共の利益に反して、一定取引分野における競争を実質的に制限することをいう。」という意味で、独禁法の中にそういう私的独占というものを禁止する思想があるでしょう。そういうおそれがないように報告をとっているのでしょう。ところが、これはある資料によると、こういうふうになっています。昭和十二年、一九三七年、いわゆる三井、三菱、住友の三財閥、当時は持ち株方式で財閥を形成しておりました。その三財閥の比重というのを見ますると、昭和十二年には三井系が四十八社で三・五%、日本産業の中における支配度というか、集中度というものが三・五%、三菱系が四十二社で三・三%、住友系が三十四社で二・二%であったものが、一九六〇年、昭和三十五年では、三井系が三十一社で三・九%、三菱系が三十七社で五・三%、住友系が三十四社、四・七%、かくて戦前より企業の集中度というのが高まっているという——形は違いますよ。これは銀行の系列を通じましての支配です。こういうように戦前よりもある意味では形は変わりましたけれども独占というものが大きくなってきつつあるという見方もあるわけです。これがこのままでさらに系列金融等を通じて支配を拡大していけば、これはいわゆる一定分野における競争の制限という形に当然なるのじゃないですか。そういうおそれのないようにこの報告をとっておく。報告をとったら、その報告をとった形を公取として年次報告なりに分析したものを出して、一般に対して企業の集中度の実態というものを公表して、世論の批判を待つということが必要じゃないでしょうか。かつては公取として出しましたね、企業集中に関する状況を。この何年かほとんどやっておらない。かつては出しました。あれは横田さんのときかな。公取というのは当時何も仕事をしなかったけれども、この資料を出したということは、公取の仕事として最大だったという評価さえ一時あった。だから、自来せっかく報告をとっていながら、何らこれに対する公取の分析した結果なり集約した報告というものが国会にも出されないし、この年次報告では、こういう届け出があったという程度しか出してない、ここに問題があると思うのです。公取は現在この報告をとるのが規則できめられておりますが、この規則がいまの報告の形式では不十分なんですね。それでこんな程度しかできないのじゃないですか。金融会社株式をこういうふうに保有の許可をしたとか、あるいは競争会社間の役員兼任とか、こういう届け出があったという程度しかない。大事な独禁法のほんとうの目的である私的独占禁止ということに対して、公取の熱意というものが報告をとりっぱなしで見られない、こういうところに問題があると私は思うのですが、どうでしょうか。
  21. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 横田委員長の時代に出した企業の集中の報告は、その後われわれのほうで最近、昨年ですか、別途新しいやつを出しております。しかしただ、それは前回と大体方向は同じなんですが、いわゆるいま板川委員が御指摘になりました役員兼任とか株式所有というところまでを通じての集中というのは、現在における会社自身があるいは大きくなり、合併もあって、そこでそれぞれのシェアがどんなふうになっていて、集中度がどういうふうなことになっているか、あるいはその産業において集中の傾向がどんなふうになっているかといったような横田委員長の時代においての報告を、いささかもう少し発展させたとわれわれは自認しておりますが、そういった程度のものは昨年も実は出しております。この年次報告にはちょっと出ていないのですが、あるいはそんなら出したらいいじゃないかという話もあると思いますし、また今後考えていきたいと思いますが、これは別途集中度の調査という印刷物で相当詳しいものができております。しかし、おそらく板川委員のおっしゃいますのは、単にそうしたでき上がった一つ会社というものでなくて、さらにその会社があるいは株式所有なり役員兼任なりを通じて、相当の会社支配をしているじゃないか、それまでも込めての集中度という点についての御注文だと実は思います。ただ正直言いまして、われわれもこの点もう少し勉強してみたいと思いますが、株式を持っているということだけで、はたしてどこまで会社支配ができて、あるいは同じ株式を持っていましても、何割以上持っている場合にそこに株式支配があると考えるべきか、あるいは役員兼任ということについても、その兼任がどの程度の状態にあったときに一応それが一つの集団の中に入っていると考えるべきか、あるいはこれは株式所有していても、最近御承知のように銀行が産業三社の株を持っている、産業会社が銀行の株を持っていたりしまして、しかもそれがある意味においては経営に相当緊密化するための株式所有もありますし、いわばおつき合いで持っているもの、最近株式市場が悪くなっているとき、その辺がかなり売りに出されたという話も聞いておりますが、そういった程度もあるわけでございまして、株式所有かっこうの場合において、どういう姿の場合にそれがお互い一体と見るべきかというような点は、これはデータが多くなればなるほど相当検討してみなければならぬ面が多分にあると思います。したがいまして、現在のところでは、まず簡単にできるいま申しましたような株式所有あるいは役員兼任といったところまで込めない会社の集中度の問題は、これはわれわれのほうで検討しまして、昨年、最近の問題を発表した例はありますが、いまのお話のような点は、その前提条件をどうきめるかという点なので、まだわれわれとして検討しなければならぬ点が多分にありますので、そこまで手が行き届いておりませんが、今後の課題としてわれわれとしてもいま言ったような点についても取っ組んでみたい、かように考えております。
  22. 板川正吾

    板川委員 いまの報告の取り方が、その十条ですか、事業年度を通じて二カ月内に公取に届けろということになっておりますが、その届けろという内容が、系列の親会社が子会社の株を一体どれだけ持っているかという程度報告であって、親会社会社を通じて日本産業支配をどう行なっておるかということまではとっていないんじゃないですか、現在は。その点はどうなんですか。
  23. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 いまの形式ですと、おっしゃるようにそこまではいっていないといいますか、ただ要するにそこの株式所有の事実だけをとっておるわけでありまして、そこに裏側にどういう意図があるかとか何とかというところまでは一応入っておりません。
  24. 板川正吾

    板川委員 そうすると、そこに不備があるんじゃないかと私は思っているのですよ。アメリカでは親子結合した両方の報告書をとって、それが産業支配にどういう割合を占めているかということも報告をとっているそうです。ところが公取としては、ただ親会社がどこそこの株を幾ら持っているかという報告だけとって、その子会社と結合して産業の支配態勢をどう組んでいるかというところまでは報告をとっていない。だからそういうところに、報告をとってもうわのそらで報告をとっているだけで、独占発展というものに対して監視の角度が狭いんじゃないかと思うのです。先ほど資料をあげたのは、ある言い方をすれば日本独占というのは戦前の独占に匹敵し得る、あるいはそれを凌駕するような態勢にまでなってきておる、こういわれておるのです。それが、この公取報告書だけとっておって、これに対して公取として何らのたいした見解の発表がない。しかも独占はますます強化されるという形では公取の存在というのが問題だ。よく検討してみると報告のとり方に問題がある。これは公取の規則で定められておりますが、親会社が子会社の株をどれだけ持っているかという意味の単純な支配関係だけ見ようとしている。その子会社と結合して産業の支配なり集中度、どういう活動をしているかということにまで手が及んでいない。だから、せっかく今度一億円から五億円まで改正されて報告をとろうというなら、そういった産業支配の分析ができるような内容報告をとるべきではないかな、こう思うのですが、いかがですか。
  25. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 われわれも、板川委員のおっしゃるような面における企業の支配関係といいますか、集中度ですね、現在の集中度というものはそうしたところまで幅を広げない程度の集中度しかとっておりません。いわば形式的な面が多分にあります。したがってもう少し経済の実態に触れた、一歩進んだものをやはり調べてみたいという意図は持っております。そのためには、あるいはあなたのおっしゃるように規則自体ももう少し検討してみる必要があるんじゃないかということも考えられるのでありますが、ただそういった意図を持つ場合に、それじゃどういうふうなかっこう報告をとったらその目的が達成できるかということはかなりむずかしい前提条件があるんじゃないかというふうに思っております。御意図の点は実はわれわれも大いに調査してみたい点ですが、少し時間をかしていただきまして、どういうふうなかっこうでとれば、あるいはそのデータをどういうふうに整理していけばその目的が達成できるか、かなりむずかしい点もあろうと思いますが、勉強してみたいというふうな気持ちでおります。
  26. 板川正吾

    板川委員 報告をとって資料をつくって発表することによって、世論の反響というものもあると思うのです。それをどう生かすかは、またその発表の資料によるものと思うのです。この際、一億から五億まで変える機会に調査の報告内容も変えて、そういう独占の分析をもっと詳細に発表していただきたいということをひとつ要望しておきます。  総務長官が参りましたから伺います。  今回総務長官公正取引委員会の陣容を整備するといって、前国会の要望を受けて人員増加を行なわれたのですが、先ほど委員長から聞くと、当初の要求は四十五名である、しかし決定は十一名ということになっている。一体四十五名に対して十一名となったいきさつ、また十一名でやむを得ないということに関して御意見を承りたいと思います。
  27. 臼井莊一

    ○臼井政府委員 当初新たに仙台、広島、高松に地方事務所を設置しようという考えで、それで四十五名という定員増の要望をいたしたのでございますが、種々の事情で本年は仙台一カ所だけ地方事務所を設置する、こういうことにきまりました。昨年、札幌に地方事務所を新たに設けたのでございますが、本年はとりあえず仙台だけということになりましたので、それで十一名でございますけれども、ただそのほかに三名ほど欠員がございますので、それのほうを補充していけば、仙台だけならばどうやらやっていけるのではないか、こういうことでございます。もちろんこれで決して十分であると必ずしも考えておるわけではございませんけれども、できるだけ少ない人数で、また能率もあげるように努力をして、それを埋め合わせたい、こういうことで承認をいたしたわけでございます。
  28. 板川正吾

    板川委員 四十五名から十一名になったのは、一体予算上の問題でしょうか、それともそのほかの理由でしょうか。それは政府が一般に公務員をふやさないというたてまえとしてはわかります。たてまえとしてはわかりますが、しかしどんな必要なところでも一切ふやさないということではないと思う。公正取引委員会を強化しようという思想は、問題になっている物価対策上からもあるいは下請関係の強化ということも考えて、最近非常に重要性が認められてきて、公取の強化というのはここのところ必要だと思っているのに、一般と同じような水準しか、特別な扱いはされていない。これは一体予算上金をふやさないというたてまえで削られたのか、それとも十一人、欠員補充三名あればいいのだということできまったのか、どっちでしょうか。
  29. 臼井莊一

    ○臼井政府委員 もちろん予算の問題もございますので、それで全般的に欠員不補充というような原則を一応掲げたのも一つはそういう理由もございますが、やはり民間における企業努力と同様に、官庁側においてもやはり企業努力でそういう点を埋め合わせていくべきである、こういうことが一つございます。そこで、昨年は札幌一カ所ふやしたので十五名ふやしたわけでございますが、それに比較いたしますると十一名は非常に窮屈だということも考えられるのでありますが、先ほど申し上げましたように、三名ほど欠員がありますので、それを入れれば現状より十四名ふえることになりまするので、どうやら間に合っていくのではないか、ことに初年度のことでもありますので、これでできるだけやってひとつ能率をあげていこう、こういうことできめたわけでございます。
  30. 板川正吾

    板川委員 これはどうやら従来のような程度でやっていけるということですね。予算上といっても、そうたいした金額じゃない、何千万単位でしょう、億の単位にならない。要求が二億八千八百万で、きまったのが二億五千九百万ですから、三千万でしょう。三千万の金額が国にないはずはない。これは金額よりも、私は佐藤内閣として公取というものの活動を幾らか認識してくれているのかと思ったら、結局従来どおりまあ生かさず殺さず、ほどほどにしておけというようなことじゃないですか。だから金額ではない、これで十分だというのではない、まあまあ従来どおりの程度でやっていろ、これが予算にあらわれたことじゃないかと思うのです。これは私は予算関係で総務長官に申し上げておきたいのですが、公取の仕事というのは国民生活に非常に密着した仕事をやっているということが最近ようやく認識されてきたのですね。だから長官としても認識をひとつ変えてもらいたいと思うのですよ。それは、たとえば下請取引関係で、どうも不合理だということで今度法案が出ております。しかし、親会社公取が主として取り締まるのですが、全国に対象になる親会社だけで約一万ぐらいあるでしょう。ところが下請関係をやっておる者は何人ですか、全国合わせて二十四、五名ですか。
  31. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 本省、支所合わせまして二十五人です。
  32. 板川正吾

    板川委員 全国一万近くある親会社を取り調べて、不公正な支払い方法をしないように、代金の支払いを遅延させないように取り締まろうというのが実は二十四、五人しかいないのです。立ち入り検査という規定があるのですが、十年に一ぺんくらいしかいかないというたてまえ、また親会社の横暴を押えようといっても人がいないのだから、親会社にアンケートを出して、どういう支払いをしていますかといって親会社の資料をもらってから、悪いと思われるようなところへ目星をつけて出かけていって、悪いところがあったら直してくださいという程度しかないんですね。だから下請代金支払遅延等防止法なんという法律があったってザル法になっている。それから不当景品類及び不当表示防止法という法律がありますが、これは土建、建築会社がいいかげんな宣伝をして、駅より十分とか、下水の整備があるとか、照明の整備があるとかいうので、行ってみたら山の中だとか、乗降する駅から一時間かかるとか、そういういいかげんな広告をして庶民をだましておる、こういった取り締まり、あるいは不当な景品を付した販売の取り締まりも公取がやっているのです。それから歩積み、両建ての問題でも、行き過ぎがあれば特殊指定をしようということで、公取が監視しようというのも、歩積み、両建てを幾らかでもよくしようということの圧力にはなっている。これが公取の仕事でしょう。それから国際契約、たくさんな外国の会社日本企業で国際契約をしておる。この国際契約の中には、資本力を乱用して日本に非常に不当な契約をしておる。一年間に六百件か七百件の報告があるようですが、こまかいことを言えば、そういったものを監視しているのも公取です。それからあとは物価の問題です。カルテルなりあるいは管理価格なりというものに対して、それが物価値上げの原因になる、あるいは当然値段が下がるべきものが下がらない、そういうところに問題があるというので、それは監視して、公正な価格で取引できるような体制をやろうというのが公取の仕事になっておる。それから企業合併とかいろいろな問題がございますが、とにかくそういう国民生活に関して広範な仕事をしておる。その広範な仕事をしておる公取委員会が、全国で今度十一人ふえて二百七十七人、こんな人数の少ない、全国的な組織を持つところが二百七十七人ぐらいで、それで完全にできるはずはない。だから十一名でいいというのは、公取にあんまり活動するな、物価が値上がりしてもまあまああんまりうるさいことを言うな、あるいは親会社下請に払う金をおくらせたり、不当な取引関係ができていても公取があんまり活動してはいけないということで、この十一名でよろしいというのは、政府が言っていることと逆なことじゃないですか。私は、佐藤内閣は物価は上げないのだ、池田財政というのは、生産ばかりに主点を置いたために物価が上がったりアンバランスが生じているじゃないか、親会社発展するが、下請会社はその逆に倒産で泣いているではないか、こういう問題を佐藤内閣は改善する意思を持っているのかと思ったら、言うこととやることは別で、十一人程度のことで、従来どおりやっていろというのは、従来どおり物価が上がってもしかたがない、親会社がかってなやり方をやっておってもしかたがないということをいっているんじゃないかな、どうでしょう長官。
  33. 臼井莊一

    ○臼井政府委員 現在の物価政策の見地やまた中小企業対策またいろいろ消費者対策等の問題で、公取の使命というものはますます重要性を加えつつあるということは、お説のとおりでございまして、予算の面におきましては、昨年より三千七百十五万七千円の増でございまするが、人数におきましても、地方のほうをできるだけ増強したいということで、わずか十一名の定員増でありまするが、さらに欠員補充の三名を加えると十四名、そこで地方の札幌、名古屋、大阪、福岡というようなところに二名ずつ増員をいたしたようなわけで、新しくできる仙台につきましては、それは初年度でございまするから、従来他の地方事務所がやっていたように、六人でとりあえずひとつ出発してやっていただいて、将来その結果によってまた考えるべきではないか、こういうことでいたしたわけでございまして、政府といたしましても、決して公正取引委員会を軽視しているような考えは毛頭ございませんで、十分機能の発揮できるようにしたいということでございますが、何ぶんにも公務員の定員をあまりふやすということはできるだけ制限をしたいということで、ひとつ能率をあげてそれをカバーしていきたいということで、機能につきましてはより一そう発揮できるような、またしなければならぬ、こういう覚悟でやっておる次第でございます。
  34. 板川正吾

    板川委員 公取委員長に伺いますが、行政管理庁の行政監察局で三十九年、昨年ですか、いろいろ調査をした結果、公取の活動が不十分じゃないかということで勧告を受けていますね。それは不当景品、不当表示のこれについての監督がまだ十分じゃないということが第一点、それから下請取引について、「下請取引が経済的強者と弱者との不平等な立場で行なわれることにかんがみ、違反事案には厳重な態度で臨み、その改善方につき行政措置の強化をはかる要がある。」そして従来下請代金支払遅延等防止法というのがあるが、実効確保が不十分だ、こういわれておるのです。それから第三は、歩積み、両建てについていまだ改善の実があがっていないという意味で、公取の活動をもっとやれという意味の行政管理庁の勧告が出ておるのですね。この十一名程度で従来と変わった仕事ができますか。私は従来も二百六十六人という人数であれだけの仕事をしておるのはなかなかりっぱだと思っているのですよ。ほかの同じ官庁から比べて、わずか二百六十人であれだけの仕事をしているのは、私はなかなかよくやっておると思う。しかし十一名程度ふえたのでは——それはないよりはましですよ、東北にできるのですから、そういう意味じゃないよりはましですが、従来と変わったもっと積極的な仕事、この行政管理庁の勧告に期待し得るような積極的な仕事がこの程度でできますか。
  35. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 私の立場でお答えできますことは、現在の人員においてもまだまだやり方ではもう少し有効な動き方もあるのじゃないか、その辺はもっとよく検討したい。それから新しく十一人の人間がふえますから、それはできるだけフルに使いたい。ただしかし、幾らその気持ちで私のほうの職員の人たちに働いていただきましても、結局おのずからその手に限度があるわけですから、従来とそう顕著な動きができるというほどには思いませんが、しかしわれわれのほうとしては、与えられた人数をとにかくフルに使って、同時にやり方としてもできるだけ有効なやり方をやることによって効果をあげたい、そういう意図があるということを申し上げること以上には、ちょっと申し上げ得ないと思います。
  36. 板川正吾

    板川委員 それはないよりましで、この程度では十分というわけにいかない、これは私は当然だと思う。といって、どうもこれじゃやれないというわけには——やれというのだからやるほかはない、しかしやるほかはないというのは、それは従来と大差のない仕事でやるほかはない、しかし一生懸命やります、こういうことだろうと思うのです。だからもうちょっと総務長官公取の非常な広範な任務というのを認識して——うるさいから十一名程度ふやしておけというのでは、積極的な内閣の姿勢というものがないのですね。実際問題として、われわれもこれを反対してつぶすといってもつまらないし、といって大賛成というわけにはいかないというところです。私は、もうちょっと政府も、ひとつ国民の立場から公取というものを強化するようにしてもらいたいと思うのです。その点について総務長官の見解を伺っておきます。
  37. 臼井莊一

    ○臼井政府委員 だんだんの御意見でございまして、実際最近の経済のあらゆる点の動きといいますか、変化というものが非常に激しいので、そういう御意見も当然出るかと思うのでありますが、しかし幸いに公取の職員の諸君は非常に努力をせられて、また優秀な人材もお集まりでございますので、したがって、必ずしも数字的の、算術的な数ばかりにその業績というものはよりませんので、より一そうの成績をあげられると考えますけれども、しかし将来ともにこういう点は検討いたしまして、できるだけの施策は講ずべきもの、かように考えますので、御意見は十分伺っておきたいと思います。
  38. 板川正吾

    板川委員 総務長官としては、どうもいまさら少ないからふやすというわけにもいかない、これでひとつやってくれということでしょうが、どうでしょう、公取としてどうしてもこういうために人員をふやしたいという場合には——大した金額じゃないのですね。いま言ったように、四十五名ふやしたって三千万くらいしか違わないのです。ですからひとつ予備費の中からでも捻出するとかして、今後も公取の活動が十分できるような体制に協力してもらいたい。やるべきがほんとうだろうと思うのですが、そうやってほしいということを要望いたします。  そこで時間がありませんから、一つ公取委員長に伺いますが、国際カルテルについて監視を強化するという方針が出されておる。この前私が取り上げた国際石油資本と日本企業との国際契約の問題について検討を開始してほしいと言ったのですが、その後どういう事情ですか。
  39. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 前回のお話がありましたときは、特に昭和石油の問題を中心にして、他の同種の外資系の会社と比べて、昭石の場合の契約条項が非常に昭石のほうに不利、シェルのほうに有利といったような姿になっておるのじゃないかという点をまず第一に御指摘になりましたので、とりあえずまずその点について一応検討してみましたが、正式にいろいろ手続をしたわけではございませんが、いろいろ情報を集めてみますと、昭石の社長なんぞの言ですと、形式は形式でも、実際はよそと比べてそれほど不利でもないけれども、しかし、少なくとも形式的には不利なんだから、そういった点をよそ並みに直すことをまず考えてもいいのじゃないか、いや、その点についてはシェルのほうとも交渉している——これはかなり前から交渉はやっておるようです。といったようなことを言っておりますが、しかし、それはそれとしまして、石油については、外資系の会社が資金導入を機会にいろいろな買い取り契約を結んでおりますので、その全部を一応並べてみまして、みんながどういうふうなかっこうになっているか。第一その場合において、そこに好ましくない条項がどんなふうな姿であるかという点について検討してみるということを現在やっておりますが、ここで御報告申し上げる程度結論にはまだいっておりません。しかし、この点について至急検討を進めていくということをお約束します。
  40. 板川正吾

    板川委員 問題としては昭石問題ですが、他社並みという他社のほうにも問題がある。だから、それまで並べて、国際契約について、情勢変化によって内容に不合理な点があれば、ひとつ公取の見解を出して、それを是正するような指導をしてもらいたいと思う。国際契約でも、今度の法律でもそうですか、せっかく報告を取って、その報告が取りっぱなしで、有効に生かされなければ意味ないですよ。一つのあれにはなるから、取らないよりましかもしれませんけれども、しかし、報告書を取ってそれを検討して、適切な指導をするというのが公取の任務であると思う。ところが、その報告は従来も取りっぱなしだ。それは人数が少ないのでなかなかやれないということもあるけれども、それなら人をふやすような努力をしてもらう。人をふやしてそういう仕事ができるようにしてもらいたいと思う。それが一つ。  それから、最近不当景品が非常に多くなっているのじゃないですか。以前のような、ガムを買って一千万の懸賞とか、あるいはトリスを飲んでハワイ、オーシャンを飲んでロンドンということは、さすがになくなりました。しかし、今度は形を変えて、いろいろな懸賞販売、商品販売というのがある。最近の例を見ると、やはりアメリカへ招待とかヨーロッパ一めぐりとか、世界一周とか、ハワイ旅行とか、こういったものが多くなりましたね。この懸賞販売をよく見ると、アンケートを出したり、あるいは車を買った、乗りぐあいはどうですかといって、だれでも書ける程度のものです、形式的には。そして、それを抽せんでやるということでしょう。これは、いまの不当景品防止法からいって一種の違反になるのじゃないですか。ただ、具体的に不当景品をきめる場合に、公聴会を持って業界の意見を聞いてやるということになっていますが、それが、キャッチフレーズ募集をしたり、だれでも書けるアンケートを出したり、そういう脱法措置をとって、実質的には不当景品防止法の精神に反する不当景品販売が行なわれている、こう思うのですが、公取ではこれを検討したことがありますか。また、どういう措置をとっていますか。
  41. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 御指摘のように、われわれも、最近そうしたいわば一種の脱法といっていいような懸賞広告、懸賞募集が相当にふえていることを認めております。これは、現在不当景品の防止法を受けまして公取の規則できめている景品の限度、あれにかかるものが、いわばくじ引きの方法によるというもの、当時それが中心であったと思いますが、それに限定しているがゆえに、そこでいわば脱法的な行為が行なわれてきた。会社を具体的に言うのもどうかと思いますので申し上げませんが、ある写真機の会社が、その写真機でとった写真でありますとか、簡単な感想文とかいったようなものを募集して、これはやはり相当の人を審査員に選んで、そうして優劣をきめるというかっこうでワールドフェアに招待した。現在われわれのほうで詳細にそれをきめておりますので、ちょっとそれには乗りにくいというので、それが行なわれまして、それをほかの幾つかの会社でまねして、それが一般にプリベールしているというような傾向にあるように聞いております。しかし、防止法自体は、刑にそうしたくじの方法による分だけを取り締まるといった狭い範囲のものでございませんので、商品取引の範囲に関連して懸賞募集をすれば、一応それの制限はつけられるわけです。もっとほんとうの意味で商業写真がほしいなら、何も商品取引の相手方だけに限定する必要はない。むしろ一般募集したほうが筋が通るんじゃないか。そういった意味もございますので、われわれもそういった状況を見まして、これを放置してはちょっとおかしいというので、近くその懸賞の告示に追加しまして——いまのやつはくじだけですが、そうでなくて、一応取引の相手方を応募者に限定して、標語を求めるとか写真を求めるとか、あるいは詰め碁、詰め将棋の解答を求めるとか、あるいはいろいろな当てっこをさせるとか、そういったようなことにつきましても、やはり懸賞の額は制限にかかる、それ以上のものはやってはいかぬ。これはもうほんとうに現在やっていることは、いまわれわれが具体的に取り締まっていることと——脱法行為ということはかなり顕著な傾向がございますので、そういうふうに告示を直したい。大体準備もできましたので、近く公聴会を開きまして、そうしてその点についての取り締まりを強化したい。荒々準備を進めております。
  42. 板川正吾

    板川委員 現在の告示に不十分な点がありますから、ひとつそういう点を直して、法の趣旨に沿うような指導をしてもらいたい。  もう一つは不当表示の問題です。最近は、幾らか従来よりはよくなりました。たとえば土地の販売についても、この公正競争規約ができて、これによって業界指導した結果、幾らかよくなりました。しかし、まだ非常に悪質な土地の広告が多いですね。たとえば東北線沿線の駅前から何分と書いてあり、そうして東北線沿線にずっと広告がされておって、しかし、土地を売る住所は全然東北線沿線でない、違うところに出ておりますね。これはまあ住所を書くということになっていますから、その駅から何分とかあるいは埼玉県の何郡何町というところは、さすがに書いてあるが、学校前の団地とかなんとかいって、学校なんかどこにもありません。そうして、いかにも東北線沿線にあるように見せかけ、行ってみると、たとえば浦和の駅前だとか、こういう案内所ですから、東北沿線かと思うと、そうでなくて、そこから自動車で一時間かかる埼玉県北葛飾郡の何々村の学校前、こういうふうなことで、どうもいまの公正競争規約もまだまだ十分じゃないと思うのです。これはここ二年ほどやりましたが、私は、もっとこの公正競争規約についても具体的な適切な指導をして、善良な市民がそれでばかを見ないようなことになるように、まずこれを改善する必要がある、こう思うのですが、いかがですか。
  43. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 いまの誇大広告といいますか、そういったものにつきまして、特に土地の問題につきましては、お話しのような事例がまだまだ非常に多いと思います。われわれのほうも、目につく限りにおきましてはできるだけそれをつかまえて、排除命令を出すことをかなりやっておりますが、やはり排除命令を出すためには、一応現地をある程度見てみませんといけないというようなこともありまして、片っ端からちょっとおかしいやつはすぐということに考えておりましても、処理できる件数というのはおのずから限度が出てくるというわけでございますが、しかし結局この問題は、ひとり公取だけでなくて、都のほうなりあるいは建設省のほうなり、お互いがそれぞれ別の角度でもって取り締まるべきものを持っているわけですから、できるだけお互いが協力し合いながら、この問題はもう少し徹底した取り締まりをやっていきたい、かように考えております。現在は、どっちかといいますと、公正競争規約に入っていない人たちのほうに非常に変なのが多いというので、実は公正競争規約の違反は公正競争規約の協議会のほうでまず第一に取り締まりますから、これはわれわれのほうとしてはまず協議会のほうの活動を第二次的に見ることにしていまして、むしろはなけだしいやつは、どっちかというと、規約に入ってない連中がかなりえげつないことをやっております。こちらのほうを実は重点にやっているわけですが、もう少しそちらのほうが進みました場合に、公正競争規約のほうをもう一ぺん振り返ってみるということもしたいと思います。両方並行しながらといいますか、どっちかといいますと、公正競争規約に入ってない連中を中心にわれわれはもう少し徹底した取り締まりをやっていきたい。そのためには、われわれのほうも大いにやらなければなりませんし、同時に都なり建設省のほうと御協力して、一緒になって効果をあげるような努力をしていきたい、そういう方向でもってこの仕事は今後続けてまいりたいと考えております。
  44. 板川正吾

    板川委員 誇大広告のほうは、この業者指導が、建設省も関係あります。建設省は直接所轄ですから関係ありますが、しかし、建設省が、誇大広告をしたからこれはいかぬということは権限外になって、これはやはり公取でやらなければならない。だから公取がもっと人員を整備して、しばしば取り締まるようになれば、入っていようが入っていまいが、そういう善意な庶民に迷惑をかけるようなことはないですから、そういう意味で、参加させて指導することも一つだし、参加しないのは、どんどんそういう具体的な事例をつかまえて調査をし、悪ければどんどん取り締まっていく、必要があれば罰則も適用する、あるいは停止命令も行なう、こういうような形でひとつ活動してもらいたい、こう思うのです。  それから、管理価格について、その後公取としては特別な調査をしたことがありますか。
  45. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 この場でお答えしたかどうか忘れましたが、この前の国会以後において、その後におけるいろんな価格の動きというものを調べまして、そして相変わらず硬直性を持っているかいないかという点について調査をしたものがあります。あるいは本委員会ではお答えしなかったのかもしれませんが、予算委員会で一ぺんお答えしたかと思います。いまちょっと数字を持っておりませんので、あるいは後刻資料を提出してもいいと思います。  それで、いまやっておりますことは、やはり前回と同じように、一応手がかりは日銀の卸売り物価指数にとりました数字をまず手がかりにしまして、しかしあれはどちらかといいますと、かなり実態とは遊離しておると私どもは見ていいと思いますが、そういうものもありますので、それをもう一歩踏み込んだところで、一体硬直性を持ってきているか、持っているとすればそれはなぜかということについて進めてはおりますが、まだだいぶ状況は違ってきておるものがあります。たとえばナイロンのようなものも、一時はかなり硬直性を持っておりましたが、後発が出てまいりまして、御承知のようにすっかり姿が変わってきました。やはりブリキだとか珪素鋼板だとかいうものが、まだ後発がわりあいに出てきておりませんので、いわゆる管理価格的な要素を持っておるのじゃないかということも言えると思うのですが、しかしこの辺も八幡が相当に大きな地位を占めていたのが、後発が出てまいりまして、後発が出てくると、やはり相当様相が変わってくるのじゃないか、絶えず注目しながら、同時に独禁法に結びつくような問題があれば、われわれとしては、そういう方面で調査をして進めていきたい、全体をこういう観点で見てまいっております。
  46. 板川正吾

    板川委員 時間ですから、私は、質問はこの程度でやめますが、一つ公取の機構整備というものについて、総務長官に重ねて要望しておきたいと思うのです。  現在、北海道は札幌にできて、東北にできました。ところが東京では北陸を担当しております。下請の問題あるいは不公正取引、あるいはそうした不当景品不当表示、たくさんの問題を実は北陸地方まで東京が見ておるという形です。実際それはできないです。それから中国地方には、まだ広島にはないし、四国にもまだない、関西で見ておるという状況です。で、将来は少なくとも拠点として広島に、四国に、それから北陸に置くべきではないか、私はこう思うのです。やいやい騒いで毎年一カ所、あるいは去年と同じでいいのじゃないかというのじゃ、どうも積極的に取り組んでおるとは見えないのです。ぜひ次の機会には少なくともその三カ所ぐらいは、人数だってたいして多くないのでしょう。六人か八人じゃないですか。三カ所全部やったって三十人に足らないのです。予算上、金銭上の問題じゃない。しかもその地方にあれば、一々東京まで新潟から来なくてもいいし、広島から関西まで来なくていいのですから、私は少なくともそういうところに最低限の公取の拠点としての支所を設けて、国民サービス行政をもっと強化すべきだと思う。予算もたいしたことじゃない。次の機会にはぜひひとつそういう面で努力をしてもらいたいと思います。三カ所一緒に実現できるようにしてもらいたいと思うのですが、ひとつ最後に長官の見解を伺って、やめたいと思います。
  47. 臼井莊一

    ○臼井政府委員 板川先生のだんだんと御熱心な御質問、御意見でございますが、政府といたしましても、先刻来申し上げておりますように、内外の諸般の経済情勢を考えまして、ことにここ二、三年は、特に公正取引委員会の使命の重要性にかんがみまして、努力はいたしておるのでございまして、昭和二十四年には行政整理で六十四名減員になりまして以来ずっと、二十八年にも六名を減らす、こういうことでございましたが、三十五年に一名、三十六年には七名、飛んで三十八年には六名、昨年は大幅に十五名ということで増員をいたし、本年は十一名でございますが、そういうふうに、現在政府全般としては定員は極力ふやさない、欠員があっても補充しないというくらいのきびしい中におきまして、これだけの努力をしている点をひとつおくみ取りいただきたいのでありますが、なお、将来につきましても、本年度予算に、広島、高松も予算要求といたしてはしたのでございますから、また北陸方面にという御希望もございますが、将来、こういう点につきましては、ひとつ十分検討をいたして努力をしてまいりたい、かように考える次第であります。
  48. 内田常雄

    内田委員長 中村重光君。
  49. 中村重光

    中村(重)委員 この法律案はきわめて不満ですが、きょう上げたいということであります。そこで、公取委員長の心がまえをひとつ伺ってみたいと思います。  あなたは独禁法をあくまで守り抜いて、そして経済の正常化をはかる、こう言うのですけれども、大衆の生活を守っていかなければならない、そうした考え方で取り組んでいただいておると思うのですが、開放経済体制のもとで国際競争力を強化する、そうした至上命令といいますか、それにどうも押されておる感じがしてならない。あなたは公取委員長としてあくまで公正な取引を確保していく、その目的に沿うて自分は強い信念のもとに取り組んでおるのだということをいつも言われるのですけれども、私どもは、あなたのそうした決意というのか、信念というものを否定するものではない。しかし、やはりこう強い力というのか、流れというのか、そういうものに押されておるという感じを、率直にやはり私どもは受けておるわけです。具体的な問題を、こういうことはこうなんだということを私どもが申し上げて、あなたといろいろ質疑応答をすると、私どももさらに理解を深めましょうし、あなたにもまたいろいろと考えていただくこともできるだろうと思うのでありますけれども、きょうは時間の関係もありますから、具体的な事例を申し上げません。ともかくあなたとして、これから先さらにどういう心がまえを持って取り組んでいこうとしておられるのか。また、そうしたいろいろな声といいますか、批判というものに対しては、どういう考え方をもって受けとめておられるのか。その点に対して考え方を聞かしていただきたいと思います。
  50. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 開放経済のもとにおいて国際経済力をつけるために日本経済において大いに考えなければならぬというような問題は、私は、現在の独禁法規定していることとそう大きく矛盾しているとは思っておりません。たとえば輸出の問題であれば、これは輸出入取引法というような別な問題もあるのですから、国際経済力をつけるために独禁法の運用を云々ということはよく聞きますが、具体的にそれじゃ何だというふうに反問してみますと、どうも私ははっきりした答弁を得たことがありません。したがって、むしろ独禁法の精神あるいは独禁法法律を適正に運用していくこと自身が、経済がほんとうに強い立場において自立でき、国際競争にもたえていくのではないかというふうに私は考えておるわけでして、したがいまして、そういったような意味の何らはっきりした論拠も持たないで、一般にいわれているような議論に私はそのまま納得するつもりでもございませんし、まして、われわれとしては与えられた法律の執行機関であるわけですから、この法律の適正な執行を期するということがわれわれのもっぱらの使命であるべきである、かように考えております。
  51. 中村重光

    中村(重)委員 この法律案を上げることに対しての直接的な関係でもございませんので、いずれ私ども機会を持ちまして具体的ないろいろな問題に対してのあなたの所見も伺ってみたい、こう思っております。  ただいま板川委員から、不当表示の問題であるとかあるいは不当広告の問題、そういうことに対しましても指摘があったわけであります。公取としてもそうしたことに対して十分取り組んでおられるとは思いますけれども、何といっても陣容が貧弱であるということは否定できないと思う。あなたのほうでも人員をふやしていかなければならぬということで強く要求しておられるとは思いますけれども予算関係その他によってあなたの要求というものがなかなか受け入れられないというように、善意に私どもは解釈をしておるわけです。御承知のとおり、公取を強化してもらいたい、それには事務所をもっとふやしてもらいたい、人員をもっとふやさなければならぬということで、四十回あるいは四十三回、四十六回、いつも附帯決議がつけてあるわけです。若干人員の増というものがあるが、絶対量というものはどうしても少ないわけです。公取の重要な使命というものを考えてみると、この程度ふえておるから前向きで進んでおるんだというような安易感を持つことは適当ではないのではないか。この前も下請代金支払い遅延防止法の問題で私は本会議質問し、あなたの所見を伺った。あなたのほうが抜き取り調査をしておられる。通産省もやっておる。それでもきわめて不十分なんです。親と子の調査をするとき、十年に一回ぐらいしか調査ができない。あなたのほうだけでおやりになると二十年に一回といったようなことでは、何とひいき目にあなたのほうが努力しておられると見ましても、実際は手足がないからどうにもならないということが現実の姿であろうと思うわけです。そういう点に対しては四十六回の国会においては相当突っ込んだ質疑がなされ、今度は相当大幅の人員増を、正直にいって期待しておったわけです。ところが札幌に事務所を一つふやす、十一人を増員するということでは、倒産には倒産といったようなことで、親企業下請企業との問題というものが社会問題になってきたというこの時点においては、取り組み方が弱かった。このことは、あなたのほうでも率直に認めていただかなくてはならないのじゃないか。  総務長官、あなたもこの点に対しては十分お考えになったと思うのですが、十一名ということを納得されたということはどういうことですか。どの程度あなたはこれは要求をして、十一名増員に落ち着いたのか。事務所についても、仙台だけをふやすということにしたのか。もっといろいろ強化していくというようなお考え方があって大蔵省との折衝等をなされたのではないかと思いますが、あなたのほうでこの程度で引き下がられたということはどういうことなのか。また、来年度は具体的にどの程度確保しようという決意を持っておられるか、そこらあたりをひとつこの際聞かしておいていただきたいと思います。
  52. 臼井莊一

    ○臼井政府委員 この点につきましては、公正取引委員会の使命の重要性にかんがみまして、昨年札幌に一カ所地方事務所ができたのでございますが、ことしは仙台、広島、高松にはつくりたいという考えで、人員も四十五名、予算も要求といたしましては二億八千八百七十五万五千円、こういう要求をいたしたのでございますが、先刻来板川委員にもお答え申し上げましたような事情で、全般を通じて公務員の定員は極力増員をしないようにする、さらに欠員があればこれを補充しないというような原則まで閣議できめましたので、したがいまして定員を三名補充し、さらにその上ふやすということは、全般を見るとなかなか容易でないのでありますが、しかしいま申し上げたようなわけで、何とかこれをしたいというので、ようやく仙台一カ所だけこれが認められまして、そうしてこれに定員六名——六名というと少ないようですけれども、従来は、札幌、名古屋、大阪、福岡、みな六名でございましたので、ことしは予算が可決になりましたので、これに二名ずつ増員する。仙台は初年度でありますから、これは六名でということで、なお広島、高松も置きたかったのでありますが、こちらのほうは福岡、大阪方面からもある程度手が伸びるということで、これはあとのほうに回して、仙台にということになったわけでございますが、将来ともにこの点につきましては十分に検討して、人員につきましても、また地方事務所につきましても積極的にやっていきたい、そういう努力をしたいということを申し上げる次第であります。
  53. 中村重光

    中村(重)委員 公取委員長にもその点に対して伺いたいのですが、きょうはできるだけ早く上げたいと思いますから……。いろいろ同僚議員から質疑がなされて、歩積み、両建ての問題に対しても、質問に対してはあなたのほうから、これは必要があれば特殊指定をやろうというようなお答えであったようであります。最近は歩積み、両建ての問題も何か下火になったような感じです。ところが、現実にこれが是正されておればいいわけですけれども、必ずしもそうじゃないと思う。私も、どうしてこの歩積み、両建てが直らないのか、自主規制をやったり、いろいろなことも金融機関の中では考えられておるようですが、金融機関に対して特殊指定のワクをきめる——預金高というものが一つの基準になっている。だから店をできるだけ拡張していく、こういうことになってくると、預金高というものがやはりその場合のものさしになるとすると、どうしても歩積み、両建てをやるとか、いろいろなことでもってそれを大きくしていこうというような問題があるわけです。いろいろな点にメスを入れなければなかなか直らない、こういうことが現実であると思うわけです。ですから、いろいろありますけれども、きょうは申し上げませんが、私は特殊指定の問題等もやらなければならぬと正直に思っております。あなたのほうは前からやらなければならぬとお考えになっていた。最近は必要があればということですから、やはり後退をしておると私は感じます。現実にそれが直っておればいいわけですが、私の知る範囲においては、直っていない。そうしてみると、特殊指定をしなければならぬという必要度は依然として、強くなっても弱くなっていない、こう感じておるわけです。  それから不当表示の問題とか、過当広告の問題にしても、ますます弊害が大きくなっている。私、テレビをよく見ますと、パンシロンですか、あれはどういうことをいっておるか。飲め飲め、食え食え、そうしてシロンを飲め、大いに飲んで大いに食って胃腸をこわして、そうしてシロンを飲め、こういうことです。正直にいって、何というか、過当広告というか、過当宣伝というか、でたらめな話だと思う。あなたのほうでも相当気づかれておると思うが、何としても手足がない、そういうことで十分手が届かないでおるのではないかと思います。ですから、あなたのほうでも陣容を強化していくことについては、具体的な問題を持って大蔵省とも折衝等もやって、陣容を強化する、こういうかまえでやってもらわなければならぬと思いますが、そういう点に対してのあなたの考え方を聞かしていただきたいと思います。
  54. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 定員の問題になりますと、終局的には内閣で一応の人数をきめるわけですが、その前提としまして、やはり公取がどういう活動をしているか、あるいはいかにそれが重要性を持っておるかということについて、それぞれの関係の人に十分納得してもらうということについては、われわれも過去において相当努力してきたつもりでありますが、これも非常に大事なことでありますので、今後ともそうしたことによりまして、私のほうの仕事の重要性を十分認識してもらうということについての努力は続けてまいりたいと思っております。  それから歩積み、両建てのお話でございますが、これは昨年の十一月末現在について各金融機関が大蔵省へ出してきたところの数字においては、相当の改善がなされておるという数字が出てきております。しかし、どうも個々の金融機関によって相当の差異があるようですし、実態がはたしてその数字にあらわれているように改善されているか、いないかということについては、われわれのほうでも、まだ多分に疑問を持っております。この意味におきまして、他の機会にも御披露したと思いますが、三月末現在において、状況いかんということで、昨年やりましたと同じような、いわば借り手のほうを中心とした、中小企業を中心としたアンケートを出しまして、それが現在集まってきている過程にあります。四千通出しまして、四月一ぱいの期日ですが、一応催促もしまして、従来の二割五、六分の回収率は少なくとも得た上で、それの集計をやっていく、そしてそちらのほうから、はたして金融機関のほうで出してきた数字とぶつかるか、ぶつからないかという点を調べてみよう、そしてぶつからなければ、ぶつからないなりに、一体そこにどういう理由があるのかという点ももう少し突っ込んでみたい。そういう点を経て全体を見ていきたい。もちろん、並行しまして特殊指定の案ということはかなり固まってはきております。しかし、その前提条件としまして、いま言ったように、金融機関のほうから出ている報告によれば、少なくとも都市銀行などは相当改善されておるという数字を言ってきていますから、それがはたして信頼できる数字なりやいなやという問題をわれわれのほうとしては別の面から裏づけをとっていく。いろいろな話を私も聞きます。よくなっているという人もいれば、相変わらずだという人もいます。したがってそうした一人一人の片言隻句だけではどうも結論が出ませんので、不十分でありましても、せめて従来やったアンケートと比べてどういう数字になるか、それを見た上でもう少しその次の対策を講じてまいりたい、かように考えております。この点だけはさように御了承願います。
  55. 内田常雄

    内田委員長 おはかりいたします。  ただいま議題となっておりまする四法律案のうち、私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案についての質議は、これを終局するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  56. 内田常雄

    内田委員長 御異議なしと認めます。よって、本案の質議は終局いたしました。     —————————————
  57. 内田常雄

    内田委員長 次に、三党を代表して、浦野幸男君外二名より、本案に対する修正案が提出されております。  まず、提出者より趣旨説明を聴取いたします。浦野幸男君。
  58. 浦野幸男

    ○浦野委員 ただいま議題となりました私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案に対する三党共同提出の修正案について、その趣旨を御説明を申し上げます。  御承知のとおり今回の独禁法改正案は、最近における会社規模の拡大に伴い、株式所有報告書提出義務を有する事業会社並びに役員兼任届け出義務を有する会社の総資産を、それぞれいままでの一億円をこえるものから五億円をこえるものに引き上げることとともに公正取引委員会事務局の機構の拡充をはかるものであり、その施行は本年四月一日からとなっておりまするが、今日すでにこの期日を経過しているため、この点の修正が要求であります。  本修正案は、この法律施行の日を公布の日に改め、これに伴い附則第三項ただし書きの規定を整備するものであります。  以上が修正案の提出趣旨であります。委員各位の御賛同をお願いし、説明を終わります。     —————————————
  59. 内田常雄

    内田委員長 以上で説明は終わりました。  討論の通告がありませんので、直ちに本法案を採決するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 内田常雄

    内田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  採決いたします。  まず、浦野幸男君外二名提出の修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  61. 内田常雄

    内田委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいまの修正部分を除く原案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  62. 内田常雄

    内田委員長 起立総員。よって、修正部分を除いて原案のとおり可決され、本案は修正議決いたしました。     —————————————
  63. 内田常雄

    内田委員長 次に、三党を代表して板川正吾君外二名より本案に対して附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提案者より趣旨説明を聴取いたします。板川正吾君。
  64. 板川正吾

    板川委員 ただいま議題となりました私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議について、その趣旨を御説明いたします。  まず、案文を朗読いたします。       私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)    本委員会は、最近の経済情勢における公正取引委員会重要性にかんがみ、過去再三にわたりその機構の拡充について附帯決議を行ない、その結果漸次改善をみているが、なお依然として十分ではなく、今回の改正もまた若干の拡充にとどまっている。    この際政府は、公正取引委員会の機構を抜本的に拡充強化するため、特段の措置を講ずべきである。 以上であります。  御承知のように公正取引委員会は、最近の経済情勢において物価対策の一環としての違法な価格協定の取り締まり、不当景品不当表示の防止、下請業者の保護あるいは管理価格、歩積み、両建て問題等、国民生活にきわめて重要な業務を担当しておるものでありますが、その陣容は必ずしも十分な体制にないため、本委員会においては、独禁法改正案審議の際、再三にわたりその機構の拡充について附帯決議を行なってきたのであります。その結果、漸進的ではありますが、年々人員増加され、地方事務所も増設されてまいりました。しかし、業務の重要性にかかわらず、その絶対数はきわめて不十分であり、今回の改正をもってしても、なお必ずしも十分でありません。  この際、政府は、本委員会の再三の附帯決議の趣旨を体し、また公取重要性に深く思いをいたし、公取の機構の抜本的拡充強化をはかるべきであります。  以上が附帯決議案提出趣旨であります。  委員各位の御賛同をお願いして、説明を終わります。
  65. 内田常雄

    内田委員長 以上で説明は終わりました。  採決いたします。本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  66. 内田常雄

    内田委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、総理府総務長官より発言を求められておりますので、これを許可いたします。臼井総務長官
  67. 臼井莊一

    ○臼井政府委員 ただいま御決議いただきました附帯決議につきましては、御趣旨に沿いまして、政府といたしましても十分検討いたしたいと存じます。     —————————————
  68. 内田常雄

    内田委員長 おはかりいたします。本案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  69. 内田常雄

    内田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  70. 内田常雄

    内田委員長 次に、内閣提出及び衆法下請関係三法案に対する質疑を続行いたします。春日一幸君。
  71. 春日一幸

    春日委員 下請代金支払遅延等防止法について、公取委員長並びに政府委員質問をいたします。  この法律は、高度に発展成長いたしておりまするわが国の経済社会において、特に利害の相克対立をいたしまする親企業下請企業との取引関係において、これの取引の公正を期することのための立法でありまするが、しかしながら実際には、本日まで有名無実のそしりを免れなかったと思うのでございます。したがいまして、今回これらの欠陥を補完いたしますることのために、必要なる改正が行なわれたとされておるのではありまするけれども、しかし、私の調査いたしましたところでは、なお随所に相当の疑義があり、なおその欠陥を十分に補足いたしてはいないと思うのでございます。こういう意味において、以下重要なる数点について質問をいたしますので、公取委員長並びに臼井総務長官から、これについて御答弁を願いたいと存じます。  質問の第一点は、検収と給付の受領に関する事柄についてでございます。条文の第二条の二第一項の改正部分についてでありますが、これは下請取引の実態が、親企業者のほうで検収が終わらないと受領していないという慣行が下請業者に押しつけられてまいりまして、下請にとって不利益な事態が生じておる。だからこれを是正しようということが今回の改正のねらいであると思うのでございます。かくて改正案では「、親事業者下請業者の給付の内容について検査をするかどうかを問わず」と新しく挿入されたのでありまするが、このことの意味は、下請取引においては検収を必要としないという意味であるのか、または下請取引においては、検収が行なわれたといたしましても、検収に要する期間というものは下請代金の支払い期日を定めるのには影響しないという意味に解釈をすべきものであるのか、今回の改正部分をどのように解釈すべきものであるか、これをひとつ公取委員長から御答弁願いたいと思います。
  72. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 第二条の二につきましては、現在の条文におきましても、まあ受領した日から六十日、したがって従来われわれのほうの解釈といたしましては、検収がその途中にありましても、いわば検収前における受領が済んだときから六十日、したがって、検収があって初めて受領が始まるんじゃないのだ、こういうふうな考え方でずっとまいりましたが、しかしこの条文必ずしもそうでなくて、いや、検収の月が受領の日だと読めないこともないといったような議論もありますので、やはり検収をしない場合はもちろんですが、検収がある場合におきましても、いわば下請から親企業のほうへ品物が移ったその日から起算すべきだ、それにはどういうふうに条文を書いたらその趣旨がはっきりするだろうかというので、だいぶわれわれのほうの部内でも検討し、法制局ともいろいろ相談しました結果、まあここにありますような給付の内容を検査する、しないを問わずと書いておけば、これは受領の日というのは、受領があり、検収がありという場合においても、その検収前の受領というときから日時の起算は始まるんだ、こういうふうに解せられるであろうといったようなことでございまして、結局この第二条の二の修正は、検収がよしありとしても、とにかく一応下請の手から親事業者のほうへ品物が移れば、そのときから六十日の期間は進行するのだ、検収の日から始まるんじゃないのだというふうなことをはっきりさせる意味においてこの改正案を出したわけでございます。
  73. 春日一幸

    春日委員 そういたしますると、これはその下請取引においては、検収が行なわれておる慣行はこれを認めるけれども、しかしながら、その検収に要する期間というものは、この六十日の中に含まれるものである、こういうぐあいに解釈をしてよろしいか。
  74. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 そのとおりでございます。
  75. 春日一幸

    春日委員 そういたしますると、旧法によりますると、「親事業者下請業者の給付を受領した日」というのが明記されて、そこでいろいろな解釈上の疑義を生じてまいった事実はお互いに認めなければならぬと存ずるのでございます。しかるところ、今回第二条の二項の中において、改正されない部分の中に、いままでどおりの文言が用いられておるということでございますね。したがって、こういう文言が用いられて、内容に何にも変化を来たさないということは、すなわち検収があろうとなかろうと、このことを問わずというその前の宣言がありまするから、ついてはその辺の疑義が明らかになったとはいいながら、疑義がことごとく氷解されたとは断じがたい。何か一まつの、奥歯にものがはさまったような印象があるのでございます。というのは、この改正条文の中でも、改正されない部分の文言がいままでの問題の文言であった。その問題の文言をそのままここに用いられておるということは、何か不十分な改正のそしりを免れないじゃないかと思うのでございます。だとすれば、そういうことをひとつもっとさわやかに、そして断定的にここに明示するか、もう一つは、わが党提案をごらん願ったと思うのでありまするが、それを法律で明示したほうが疑義を一そう解消する意味において有益ではないかと私は思うのでございます。と申しまするのは、この下請取引の実態にかんがみまして、検収することが現実の慣行になっておる。それからまた一方、第三者的に判断をして、納められた品物がはたして発注したとおりの品物であるのかどうか、いうなればおしゃかが入ってはいないか、受領しがたい品物がその中に混入されていはしないか、時と場合によっては、それを検収するということは発注したもののやはり当然権利であろうと思われる。だから公正にものごとを判断すれば、検収をして、いいものを受領する、悪いものはこれは当然お返ししなければならぬ。経済価値がないものですからこれはお返しするしかないと思う。これは長い伝統のしに立ってそういう慣習が生まれてきたのは、単なる慣習ではなくして、必要に基づいてそのような措置がとられておるものとこれは判断すべきものであると思う。だとすれば、そのような現実の慣習がある。そのような慣行によって取引がなされておる。そしてまた経済取引の中においては、発注した品物であるかどうか検収するにあらざれば、これは支払いすることができないと思うのですね。だとすれば、この際はわが党案のように検収期日を法定して、しかる後下請代金の支払い期日を法定するというようなやり方のほうが、親事業者の給付の受領についての解釈上の疑義というものをなくすることのために私は適切な表現にはならないかと思うのです。この点、どう御判断されておりますか。
  76. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 結局現行の受領した日からということにおいても、われわれはこれで大体検収の日からと解釈することはないじゃないか。大体「受領した日」と書いておれば、検収があったとしても、それ以前の受領だというふうに解すべきではないか。ただ一まつの不安がある。それは、こういうような字句を入れれば、その一まつの不安をぬぐい去ることができるんじゃないかというのが現在の改正案考え方であります。したがって、この受領の日というものを非常に大きく、いやもう検収の日だ、あるいは単なる給付を受けた日だというのがかなり大きな疑問を持っているとすれば、前のほうの字句を書いておかないでもって、そこへ挿入しただけではあまり意味がないじゃないかというふうな御意見が出るのは考えられますが、われわれのほうとしましては、従来の条文においても大体われわれの解釈はそう間違っているとは思わない、しかし、一まつの不要があるからそれをはっきりさせる意味においてはこういうふうな字句を入れたらいいじゃないか、そういうふうな考え方で出ているものですから、一応現化の改正案ができておるわけです。  それからもう一つ春日委員のお話しの検収の問題、これは確かに下請の場合においては通常行なわれておりますが、検収の期間を云々とするよりは、むしろとにかくねらいは一応受領の日から六十日ということにすればいいわけですから、そこで検収を途中で区切って、いつまでにやれ、それからさらに代金支払いは検収の日からいつまでにやれというふうに区切る必要もないだろう、こういう考え方で現在の改正案はできておるわけです。
  77. 春日一幸

    春日委員 これはわが国の経済活動というものの一つの法的基準を強制的につくっていくものでございまするから、私は特に慎重を期して立法を行なわなければならぬと存ずるのでございます。当然この立場においてこの法案は策定されておるとは思うのでありまするが、しかしながら、われわれの判断をもってすれば、経済活動の実態に即したような立法でありませんと、いたずらに混乱を生じてくると思うのでございます。そしてまたその経済をゆがめてくると思うのでございます。と申しまするのは、ただ単に検収の時点というものを六十日の範囲内に置くか、あるいはその範囲外に置くかということでいままで疑義があった。だから、その疑義を氷解することのために、検収するとせざるとを問わずという文言を入れることによってこれを氷解せしめたと思うのでございますが、しかしそれは氷解できたと思うけれども、さてそれでいいであろうかという、今度は経済の実体論ですね。現実に検収をやっておるのだ。現実に発注をした品物が、発注どおりの品物が納められたかどうかということは発注者の権利として、検収の権利があると思う。そして現実に行なわれておるし、当然発注者の権利としてこれは容認せらるべき権利である。これは保護されていかなければならぬと思うのです。だから私はこういうような場合において、やはり民社党が提案をいたしておりますように、これを法律で明示する、そして支払いはおくれてはならないように、公正妥当な支払い期日を定めていく、こういうやり方で疑義をなからしめると同時に、経済活動の実体をそこねしめないというような立法でなければ、国民に説得力を持たないと思う。説得力を持たないような法律というものは守られないのです。現に食管法によってやみ米買っていかぬといったって、渡邊委員長はやみ米を買って渡世しているのじゃないかと思うのですけれども、やはりそういうことで説得力を持たないような法律は、これはつくったってだめなんです。やはり説得力を持って、発注者も下請業者もその法律を守り得るような適切、妥当、公正なものでなければいけないと思いますね。そういう意味でこれはひとつ、十二日にこの法案が上げられるそうですけれども、あなたも非常に虚心たんかいな方で、私は大蔵委員会で十何年御交際をしたけれども、悪いものは悪いとして直し、いいものはいいとしてがんばってきた。だから私の申し上げることは、下請取引の実態を尊重しなければならない、そしてむやみにおくれるということを阻止しなければならない、その要請を法律によっていかに措置していくかという問題でございますから、下請検収期間を法定すればよろしい、そして支払い期間を法定すればよろしい、そしてそれぞれの期間は客観的に見て適切、妥当なものであればよろしい、こういうことであると思うのです。ただ文言上の疑義を解消することのために、経済活動の実体をそこねるがごとき法の改正というものは、これは慎重でなければならない。この文言をそのまま読んでみると、これは何といっても下請取引においては検収を必要としないというような印象があらわにあらわれておるですね。発注者が品物を検収することは当然の事柄であって、検収しようとしないと、発注した以上は金を払わなければならぬといったって、これは無理です。しかも数の中で何百何千とあるようなものは、これは時間を要することは客観的に容認しなければならぬと思う。だから私は観念立法であってはならぬと思う。やはり経済立法である限りは、関係者がそれを守れば守り得るというものでなければならぬと思うので、この点については十分御判断を要すべき事柄であると思うが、臼井総務長官、この政策理論に対してどのようにお考えになりますか、あなたの政治家としての御見解をひとつお伺いをいたしたい。
  78. 臼井莊一

    ○臼井政府委員 従来親事業者下請業者から品物の納入のあった際に検収するということは、一応慣習になっておるようでございます。ところがこれを、ことさらにではないかもしれないけれども、期日を相当おくれて検収をして、それがために支払い代金の手形の受け取りが非常におくれる、こういうことで下請業者が不当な取り扱いを受けるような場合が間々あるわけであります。そこでそれを防ごうというので、この法律改正ということになったのでございます。したがいまして、立法技術の上ではこの原案で一応そういう目的は十分達せられるという考え方で、この改正案をつくったものと存ずるわけでございます。ただ条文の書き方はいろいろあるかと存じますが、私ども政府としてはこれで十分足りるという考えで提案をしたわけでございます。
  79. 春日一幸

    春日委員 大体商業手形というものは六十日なら割るのです。いまではだいぶん延びて九十日までならば、普通の商業手形として各金融機関はこの割引に応ずると思うのです。だからそういう金融の慣行も別にあるのであるから、したがって、かりに六十日以内に支払わなければならぬとすれば、検収に要する期間をあらためてここに設定をしていく。たとえば十日であるとか、わが党案では十五日になっておりますけれども、そうしてまず検収という権利を発注者に認めると同時に、その辺の疑義をなくしていく。そうして経済の実体というものをそこねないような立法措置を行なっていく。検収がなければ代金を払いませんよ。その検収するとしないとというようなものの言い方は、私は、親企業下請企業に発注したら、検収するなんということは君のほうの勝手だ、しなくてもいいというようなニュアンスを伝えるものであって、これは適切ではないと思うのです。私はこの点は臼井さんもいろいろ事業経歴がおありであろうから、実感をもって御判断を願えばわかると思うのでありますが、品物を発注したら、それが発注した品物であるかどうかを代金支払い前に検収しない者はない。現実に検収しておるのだから、検収しなければ払わない。だから検収の日にちがいろいろ問題になってきた経過にかんがみて、その検収の日にちを法定する。検収されて、これは発注したとおりのものであるという納得をした品物の対価ならば、これは経済道義上条理に照らして、かつはまたいろいろないままでの経過もあるのでありますから、六十日とかあるいは何とかいう限度内でこれが払われていくように法律によって明定していく。それでばりっと問題の解決はつくじゃございませんか。何にも疑義を残さないじゃございませんか。最善の道を選ばなければならない。ただ立法技術上疑義を氷解することのために、このようなずさんな法の表現によって後日に疑義を残すとか、あるいは経済活動の実体の中にこれを実施することを不可能ならしめるとかいうことは適当ではない。これは経済憲章でございますから、私はこれは相当慎重にお取り扱いを願わなければならぬと思う。したがって、第二条第二項の表現については、ひとつわが党案が具体的に提示されておることにもかんがみまして、虚心たんかいに各党で十分御検討の上、実態に即した御修正あらんことを要望いたしておきます。このことは委員長にも申し上げておきますので、法案が上がります前に、いずれ理事会等で検討の機会があるでありましょうから、本員の申し上げましたこの政策理論等を十分御検討を願って、善処せられることをお願いいたしておきたいと思います。
  80. 内田常雄

    内田委員長 春日一幸君に御相談がありますが、臼井総務長官から、先刻来、内閣会議がありまして一時二十分までにはどうしても退室をしないと、その会議に間に合わないという申し出がありますので、御了承いただきたいと思います。
  81. 春日一幸

    春日委員 議院内閣制において、議会は国権における最高の機関である。したがって、われわれが疑義を明らかにして政府の見解をただすためには、やはり総務長官がここにおってもらわなければ、質疑を行なうことはできません。したがって、閣議のほうは御欠席願って、私の質問に応じてください。承認することはできません。質問を続行いたします。  次は、契約書面の交付について、第三条の改正部分についてお伺いをいたしたいのであります。契約の文書化について、必要事項を記載する、これを充実させるというためのこの改正はけっこうでございますけれども、しかしこれはやはり二条との関係において、検収に関する事項が書いてございません。これは私は何かしら手落ちではないかと思う。二条の表現と関連をしてこんな形になってきたのではないかと私は思うのでございます。取引の中において、発注した品物を検収をしないということは現実にないのでありますから、したがって検収を行なう場合には、その検査終了の期日というものを明定する必要があると思う。現実にあることを、いろいろとほかの措置を講ずるといえども、この肝心な事柄をここにサイレントにしておいては、私はこれはせっかくの法改正が画龍点睛を欠くと思うのでございます。だから検収に関する事項を、この三条の改正部分の中に新しく挿入されたいと思うのでございます。これに対する御意見はいかがでございますか。
  82. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 二条の関係は先ほど言いましたような関係で検収を特に取り上げておりませんが、一応交付書面についてはやはり検収事項は入れたほうがしかるべきであろう、こういう考え方でおります。したがいまして、この改正条文におきまして「公正取引委員会規則で定めるところにより」ということで、内容は規則で定めることになっておりますし、その他の事項を記載した書面ということで、これはやはり検収の点についても、一応どういう検収をやるかということは書面で書くということにしたい、かようなつもりでこの法案はできております。
  83. 春日一幸

    春日委員 それは渡邊さんはそういうことを言われるけれども、この三条の文言の中には、下請業者の給付の内容下請代金の額、支払い方法というようなふうに制限列挙してある。さすれば制限列挙の中の重要項目でありますこの検収事項については、やはりこの中に文言としてうたっておかれてしかるべきものであったと思うのですね。その他というような付随事項ではない。これらの問題は、下請と親企業との取引関係を律する基準的な二要素になっておると思う。だから、これをその他の中に入れるということは、いま質疑応答を通じて初めて明らかになったことであり、法律の文言の中にはあらわれてまいってはいない。立法としてこれは未熟な表現と申さなければならない。だから、できることならば、これまた法律の中に文言をもって明示される、こういうことを私要望いたしておきたいと思います。   〔委員長退席、小川(平)委員長代理着席〕  次は、支払いの方法が新しく規定されてはおりますけれども、単にばく然とした支払いの方法ではなくして、これはやはり手形と現金との比率、下請企業に払うとすればできるだけ現金優先主義、それから現金が全的に支払いができない場合は、少なくともこれこれの貸比率とかいうような比率ですね。それから手形を交付する場合、正常な金融機関で割引ができることについての親企業の保証に関する事項が、やはりもっと明確に契約書の中に記入せられるべきではないかと思うのでございます。私はこの問題についてどういうふうにお考えになっておるかと思うのでありますが、ただ漫然と支払いの方法というような、こういうあらわし方ではなくして、当然あなたのほうの規則によってこれはさらに詳細な明示がされるものとは思いますけれども、どういうふうにお考えになっておりますか。この際お述べを願っておきたいと思います。
  84. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 支払い方法の中には、当然現金で払うか手形で払うか、あるいは一部現金一部手形ならば一部現金一部手形、その割合がどの程度のものであるかということを明示するように規則でもって定めたいと思っております。同時に、手形で払う場合におきましては、一体何日の手形で、期日どのくらいの手形で払うかというような事項についても、支払い方法という中に当然入るのでありますから、これは規則でもってはっきりさせたい、かように考えております。
  85. 春日一幸

    春日委員 これは支払う以上は、やはり正常な金融機関で割引ができる手形であるということについての親企業の何らかの保証、これを明示する必要があると思いますが、いかがでございましょうか。
  86. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 その点につきましては、まず親企業のほうでもってどういう手形で払うかということをこちらで書かせると同時に、あとのほうの四条の二項の改正案におきまして、それが正常な金融機関において割引ができないというのではなく、もっと前の段階の困難である、それによって下請業者の利益が不当に害されるということになれば、それがわれわれのほうの当然勧告してやめさせる事項になるわけですから、この四条のほうに抵触しているかいないかということをまずこの支払い方法において制限する、そして今度支払い方法を書いた書面と違反して、事実問題として長期のものを出せば、それなりに書面とは相反していることであるし、同時に四条にも違反する、そういった点でここは改めていったら是正ができるんじゃないか、かように考えております。
  87. 春日一幸

    春日委員 私は、この四条の関係も必ずしも明確ではないと思うのでございます。と申しますのは、政府案によりますと、「一般の金融機関による割引を受けることが困難であると認められる手形」、これは出してはならぬという意味のことになっておると思うのでありますが、しかし一般の金融機関による割引を受けることが困難であるかどうかの判明の時点というものですね、これは一体いつでありますか。手形を交付する場合でありますか、あるいは交付された手形を銀行へ呈示したときでありますか、問題はそこがちょっとあいまいであるから、必ずしもこれは担保にならないと思うのですね。私は、実際の商取引においては、手形の交付を受ける、ここにはこういうような抽象的な文言で一応拘束されてはおるようでありますけれども、しかしこの割引ができるものであるかあるいはしからざるものであるか、これの判明は手形を受領するときでは判明しない、受領してこれを銀行に呈示した時点でなければ、これは判明しないと思うんですね。だから、親事業が手形を振り出して下請業者に交付するときにこの新規定が発動できる、働けるようなぐあいに法文というものをつくりかえていかなければ、実際の効果というものはあがってこないんじゃないか。事後における下請保証というものは実際には保護がなされていない、非常にこの事後保護というやつはだめなんですね。公取委員長としてもうすでに二年間の御経験の中で、私は相当の心証を得られておると思うのだが、やはりこの下請保護というものは、事後保護、事後救済というものはなかなかこれは微弱で初果があらわれていない。やはり事前保護というところに政策のポイントを置きかえなければならぬと思う。だから正常な金融機関で半切に割り引かれるものであるかどうかというギャラですね、これは親企業がその下請企業に手形を発行するその時点において、何らかの担保措置というものが法文の上で明示される必要があると思うが、この点についていかがですか。
  88. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 割引が困難であるかないかということは、これは手形を渡す時期においてすでにわかる場合が相当あると思います。最近のように台風手形、お産手形なんというやつをもらえば、これはそのときにおいてすでに困難であるというのは当然わかってくると思います。それで、現在の金融情勢として私の聞いていますところは、いわばすれすれの線は、九十日とか百二十日とかいう線は、これは下請によっては割り引ける場合もあり、割り引けない場合もある、下請自身も銀行へ持っていってみなければ削り引けるか割り引けないかということはわからないという場合もある。しかし、要するに極端なやつはまず交付のときにもうすでにわかると思います。それから、実際に当該下請によって割り引けるか割り引けないかわからぬといったような期日のわりに短い、やつは、これは金融機関との話し合いでもって初めてわかる場合もあり得ると思いますが、しかしそうした事実は、やはりまず極端なやつはこれで十分救える。それから、すれすれのやつは、これは具体的に見ていく以外にない、かように考えております。
  89. 春日一幸

    春日委員 これは具体的に申しますと、この間中小企業審議会の答申の中にも意見として政府に具申されたようでありますが、銀行において割引のできないような手形は、いわゆる下請代金支払遅延防止法のいう下請代金の支払いとは認めがたい、こういうような答申もあったと聞いております。でございまするから、銀行に呈示して、これが割り引けないというような場合は、削り引き得るようにその親企業がさらに何らかの措置をとっていく。すなわち支払いの手形を渡す、その手形を取りかえるとか、あるいは親企業がみずから金融機関と接触することによってそれを割り引かしめるとか、こういうような義務を支払いのその時点において明示していく、このほうがはるかに政策のねらいに合致するものであると思うのですが、どうでございますか。
  90. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 先ほども申しましたように、極端な事例は支払いの時点においてすでにわかると思います。それで具体的な場合をつかまないとわかりにくいというのが九十日から百二十日くらいの手形の問題だと思います。これは、一つは親企業の信用、それから一つ下請のほうの信用。手形の割引については、どうせ下請が裏書きするわけですから、振り出し人、裏書き人の信用が重なって、銀行としてそれがどの程度の場合に割り引くかという問題が出てくるわけです。これは、そのときの金融情勢、あるいは親企業下請の信用関係というもの、あるいは今度は下請の、最近よく手形のワクとかいっておりますが、そういったような問題ともからみ合いまして、そうして割引できるかできないかということがきまるわけですから、あまり法律でもって四角くワクをはめるということ自身は、それ自体としてむしろ弾力性のない、妙なかっこうになるのじゃないか。したがって、こういうふうな条文の中において、とにかく割引ができないというよりも、もうちょっと手前のむずかしいというものを出すことがいかぬ。しかし、その場合においても、親企業が保証するとかなんとかということでそれが割り引けて、そうして何とかなればもちろんいいわけですけれども、何かそういったような一つの弾力性を持たせる条文のほうがかえっていいんじゃないか。実は内閣の中でも、手形の期日を明示したらどうかとか、いろいろ議論がありましたが、事務当局のほうでいろいろ検討さしてみますと、どうもそうした窮屈な期日をきめるということは、かえって運用としてむずかしいじゃないかということで現存のような法案になっているわけでありまして、解釈としましては、いま言ったように一般の金融機関でもって割引がむずかしいということになれば、割引ができないというよりも困難というほうがむしろ範囲が広いわけでありますから、そういった事情にあれば、それはいかぬ、こういうように考えています。
  91. 春日一幸

    春日委員 臼井総務長官にお伺いをいたしたいのでありますが、この法律のたてまえによりますと、延滞利子四銭を払えば、極端に言えば台風手形でもお産手形でも何でもかまわぬという形に法律はなっておると思うのであります。でございますから、私は本法の政策の眼目は……。違いますか。
  92. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 違います。われわれのほうでこの立法している過程において考えていますことは、とにかく四銭さえ払えば何でもいいという考え方は持っておりません。支払いが困難なこと、割引が困難なことによって下請業者に不名な不利益を与えれば、それは当然是正さるべきものだ。同時にその過程において、六十日をこえる期間において、こういうような問題が起きてくれば、これはむしろ事後的な措置としてあと始末的に遅延利息の請求を勧告できる、あるいは請求できる。本来のたてまえは、やはり六十日以内に割引可能にならしめるというところが本来のたてまえであります。そのあと始末的なもの、やってしまったあとどうなるんだというときは、その分は遅延利息を払えという勧告をする、こういうふうな考え方でできております。
  93. 春日一幸

    春日委員 今度の改正案では、「六十日の期間内において、かつ、できる限り短い期間内において、定められなければならない。」というのはどういう意味ですか。六十日もしくはそれ以内という意味は、六十日で払うことができざれば七十日とか九十日とか、そういう意味なのか、これはどういう意味ですか、「かつ」というのは。
  94. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 いまの御質問は二条の二の問題ですね。それは、結局考え方としましては、六十日以内、しかし、同時に三十日とか四十日とか、そういうふうなできるだけ短い時期において払われるようにしなければならない、こういう考え方で、これは現在もそういう解釈でおりますし、それをそのまま受けているわけであります。
  95. 春日一幸

    春日委員 そういたしますと、この六十日以内に払わない者は、この法律の中では、それ以後の分については損害補償の意味で延滞利子四銭を支払うということはあっても、別に刑事上の罰科というものはありませんね。これはどういうことになりますか。
  96. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 というお話は、一応三十日なら三十日ときめてあった……。
  97. 春日一幸

    春日委員 いや、六十日以内に払わねばならないというのは、下請代金支払遅延防止法の支払い責任期間でございますね。大体法律に違反をした場合はどうなりますか。たとえば六十日以内にやらねばならぬのに九十日の手形を書いた、こういうような場合はどういう制裁がございますか。
  98. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 九十日の手形を書いた。九十日の手形が六十日以内の期間において割り引かれるということになれば、それは一応この下請法の範囲内において支払いがなされた、かように考えております。
  99. 春日一幸

    春日委員 それでは同じ九十日で割引がなされなかった場合にはどうなりますか。
  100. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 割引がなされなければ、一般の金融機関においての割引困難であり、それで、おそらくは大部分の場合が下請業者に対し、不当な不利益を与えたということになると思いますから、したがって、それは公取委員会として是正すべしという勧告の対象になる。それからさらに問題としましては、四条二の遅延利息の問題についても、公取としては状況によって勧告の対象にする、こういうことになります。
  101. 春日一幸

    春日委員 そこで問題は、この法律のねらいは、下請代金を少なくとも六十日以内に現金もしくは現金にかわる確実な対価が受けられる、これくらいでございましょう。そういうふうなぐあいでございますから、いま申し上げたように、結局、それが割れるものであるのか、すなわち法律でうたっております「一般の金融機関による割引を受けることが困難であると認められる手形」ですね、支払いの時点におけるその認識ですね。払うほうでは、これは割り引かれると思う、こういう認識で払う。それから、もらうほうでは、そうかしらと思って帰ってくる。銀行へ持っていって割り引かれなかったという形になりますと、この条文は現実に生きてこないですね。そういうもので払ってはならないといっておるけれども、こういうふうに「困難であると認められる」ということは、やはり一つ程度の問題、努力次第とかいろいろの補完措置を講じて、信用補完すれば割り引かれるのだが、なかなかむずかしいというようなことですね。だから、私はそういうようなことは、やはり銀行へ手形を提示したその時点においてのみ初めて決定的に判明する事柄であって、受領のときには、それが困難であると認めるか認めないかはそれぞれの主観による問題である。この辺があいまいだと思うのですよ。だから、割り引かれると思って、大会社が百五十日も二百日も先付の手形を払う。本人は割引ができると思って払う。もらった人は、そうかと思ってもらってくる。銀行へ提示してだめだという形になるときの救済は、あなたのほうに勧告を求めなければならぬ形になってくるのだけれども勧告をするといったところで、公取勧告を求めるなんというような、直訴をしてくるようなことは取引停止を誘発することであって、下請業者の容易になし得ないところである。文句があったら出入り差しとめだと言われれば、それは困っちゃうんだから。だから、法律はそういうふうないろいろな事態をもおもんぱかって、そうして事前保護というところにポイントを置いて立法していかなければ、結局は、法律はできたけれども実際の効果があがらないという形にもなる。だから、私が申し上げるのは、支払いの時点において、それが現金もしくは現金にかわる確実な対価の給付が受けれる、交付が受けれる、こういう形に直していただきたいのです。ということは、具体的に言うならば、割り引けないときには手形を書きかえるとか、書きかえなければならないとか、あるいは親企業責任においてそれが割り引き得るように交渉をするとかなんとかいうような形にして、下請代金支払遅延等防止法の法の本旨がこの法律によって実現されるように、私は法の条文の整備をする必要があると思う。この点、臼井長官どうお考えになりますか。
  102. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 まず私からお答えして、それから臼井長官のお答えを得たいと思いますが、先ほども言ったように、最近、お産手形、台風手形ということになれば問題ですが、そこまでいかなくても、大体割り引けるか割り引けないかという点について、極端なやつはみなわかるのです。ここで、割引が困難であることによって、下請会社に対して不当な不利益を与えてはならないという面が、まず一つあるわけです。それで今度は、九十日とか百二十日とかということになってきますと、要するに非常に具体化してまいりまして、あるいは割り引けるかもしれぬ、あるいは割り引けないかもしれぬ。これは結局、下請と親企業者との信用によって具体的にきまるわけです。したがって、下請業者が割引ができないようなものを渡したらいかぬぞ、こういう趣旨で全体の法文ができているということだけ申し上げておきます。
  103. 春日一幸

    春日委員 割り引けないような手形を渡してはならぬぞと書いてある。それでも渡した場合はどういう制裁があるかというと、公取勧告するだけですね。勧告に従わない場合はどうなるか。その氏名が公表されるだけですね。これにて終わりでしょう。いかがですか。
  104. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 勧告を聞かなければ公表、それからその過程において、この四条の二で遅延利息の勧告もする。公表をし、なお聞かない場合は、今度は独禁法の問題として、そうしたものについての四十八条、四十九条の勧告または審判開始という問題になりまして、結局それが不公正取引の排除命令、こういう問題になってます。
  105. 春日一幸

    春日委員 それは要するに不公正取引になるのですか。
  106. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 そうです。
  107. 春日一幸

    春日委員 不公正取引のどの項目に該当しますか。一から六まであるやつのどれに該当しますか。
  108. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 二条の七項の五号「自己の取引上の地位を不当に利用して相手方と取引すること。」これに該当する不公正取引ということになると思います。
  109. 春日一幸

    春日委員 その審問、審決をして、そうしてそういうような代金を支払わないというのではなくして、相手方すなわち親企業が経済上の理由、すなわち支払い能力の限界というようなもので、これだけ待ってもらえば払えるんだ、それまで待てない場合は払えないんだというような場合、みずからが有利な立場にあることを利用して相手に不利な取引をしいる行為に該当しますか。これは経済的能力の限界において発注をしたのだ。それから民法において契約自由の原則があるんだ。だからそういうような問題は、相手方にももちろん理論もあるだろうし、立場もあると思うのですね。私はそこにいう、みずからが有利な立場にあることを利用して相手に不利な取引をしいる行為には該当しないんじゃないか。それが特に相手方が納得しておるような場合——納得しておるといったところで、納得せざるを得ないというような場合があるわけですね。そうしなければ取引停止とか出入り差しとめとかいうような形になるんだから。私はそういうような場合、不公正取引そのものずばりで該当しないと思う。もし該当するならば、この特別法の中で罰科規定が挿入できるはずのものだと思うのです。もしこの四条に違反するような場合においては、罰金とかあるいは懲役とか、そういうような罰科規定が制定し得ると思うんだ。それがなし得ていないということで勧告をして、それから公表して、それでもなお改められないというような場合はどうするかということが、この特別法の中に何にもないんですよ。特別法にないものを、独禁法でこれを補足するというなら、初めから独禁法でやっていったらいいじゃないですか。これは独占禁止法の補完法じゃないのです。これはこれで、一つの単独立法ですよ。そういうような不公正取引があれば、この下請代金支払遅延防止法でなくとも、みずからが有利の立場にあることを利用して相手方に不利な取引をしたやつはみんな審問し審決をして、そうしてそれぞれの罰科を科していったらいいと思うのですよ。その点は、実際問題としてこじつけの御答弁になりませんか。私は何もいやがらせの質問をしておるのではない。ただ立法の府におるものの責任として——これは単独の立法である。独立の立法である。特別の立法である。だとすれば、これに対する制裁はこの法律によって定めらるべきものであって、これの足らぬところは独禁法でさらに追及するなんという、そんなことが出てくるのだったら、初めから独禁法でやっていったらどうですか。
  110. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 われわれは、下請代金支払遅延等防止法はやはり独禁法一つの補完的な法律だと思います。お説のとおり独禁法自体でもってこれを追及することが全然不可能とは思っておりませんが、独禁法ではきわめてばく然としたワクしか規定しておりません。したがって、自己の有利な立場を利用して相手方に不当に云々という場合が、たとえばこれでいえば六十日とはっきり書いてあるのが、六十一日の場合はどうか、六十二日の場合はどうか、独禁法の解釈ではなかなかその点がむずかしい。手続的に独禁法でやっていくとすれば、審判の問題に移りますし、あるいは勧告の問題に移りますから、手続的にもそこに非常に時間がかかる。それよりは、もっと簡単明瞭に措置できるという意味においてこの下請代金の支払い遅延防止法ができている。しかし、最後に、下請代金支払い遅延防止法のこの八条を見ますと、勧告に従ったときは、この独禁法のこうした規定は適用しないと書いていることは、逆に言えば、勧告に従わなかったときはこの適用の問題があり得る。それで、お話しのように、今度は親会社のほうでもってグロッキーになってしまって、そして払えない場合はどうする。こういうような場合は、それは話はまたちょっと、自己の有利な立場にどこまでなるか、これはまた問題があります。しかし、親企業として相当の資力がありながら、なおかつ払わない。これは契約自由の原則がありますけれども、契約自由の原則でそのままほうっておかないところにも独禁法なり遅延防止法の趣旨があるのです。したがって、そこで契約自由の原則で契約したとしても、親企業の事業者のほうが優越的な立場で乱用したと認められるときには、遅延防止法でもって一応政府が干渉できる、こういう趣旨法律だと私は解釈しております。
  111. 春日一幸

    春日委員 これはあなたのような最高責任者と、われわれのような相当に探求しておるところの専門寒的な者とでは、こういうような理論応酬で何かしら細々と糸がつながっていくというような感じがなくはないと思う。けれども一般国民大衆はこの法律に明定されたところに従って、その経済行為を行なっていくんですよ。だから、この法律の中においてすべての事柄がばりっと判断できるような法律をつくるということにやぶさかであってはならぬと思う。ためらいがあってはならぬと思う。親企業下請企業に、はなはだしく遅延しない形でよそから品物を買ったら代金を払うのはあたりまえじゃないか。めちゃめちゃにおくれておるのはけしからぬ、だから払えというのがこの法律なんですが、だとするならば、いま申し上げておる問題は、一般の金融機関による割引を受けることが困難であると認められる手形というようなことは、その時点ではほんとうにわからないということを申し上げておる。最終的な判断というものはその時点ではわからない。そうしてまた法律で書くにしても、信用の度合いによって九十日の手形なら割る、あるいは大企業なら百二十日でも割る。そこにはいろんな千変万化の変化があると思うのですよ。ですから、割れるということが支払いの時点における親企業責任であるということをこの条文の中に明定することが問題の根本的解決にならないか。言うことを聞かなかったら勧告する、勧告を聞かなかったらこれを公表する、公表しても改めなければ独禁法を適用していくのだというようなことを言ったって、今日、歩積み、両建ての例をとるまでもなく、不公正な取引は無限にあると思う。いま若干の定員増がなされたとしても、公取の機能をもってして、複雑多岐な経済上の諸問題について、しかも主観によってはいろいろの判断もできる問題を、公取がそのことごとくを公正に処理するといってもそれはできることではない。また、実際そういうことは言うだけのことであってでき得ない。だから、でき得るようにするためには、この法律の中で、削れないときには、どうするか、これを書いておけばいいです。この法律は、親企業に品物を納めた下請企業はみな現金を払って仕入れた、賃金は現金で払っているのだ、そんなこと払うのがあたりまえじゃないか、六十日ぐらいで払え、こういうことをねらいとしている法律なんだから、だから払う手形が確実に割り引けるように、この間中小企業、安定審議会が答申したように、金融機関が割り引けなかった手形は下請代金遅延防止法による支払いとは認めがたいという答申があったことにもかんがみて、割れなかった場合においては倒れるように、親企業がその支払い手形の発行をさらにやり直すというような表現をしておく必要はないか、このことを申し上げておきます。事、政策論ですから臼井総務長官からひとつ……。立法論としては、独禁法の番人である渡邊さんには渡邊さんとしての立法技術上の御意見があるだろうと思うが、われわれは法律のやぶ道の中に入ってしまって政策の本旨を誤ってはならないと思う。政策のねらいは何であるか。その焦点をあやまたず、政策の効果を確保するために、法の条文は必要な条件というものを欠かしてはならぬと私は思う。こういう意味において、あなたは相当良心的な人だから、こういう問題についてはどうですか。
  112. 臼井莊一

    ○臼井政府委員 まあこの種の問題は、法制局や法律専門家が要項に従い、趣旨に沿って書くのでございますから、その点は十分織り込んであるはずでありますけれども、何といっても、法律をくぐろうと思うと、やはりいろいろの知恵をめぐらしてその裏をかこうとする、そこでまたそれを防ごうというので目をこまかくしていく、こういうようないたちごっこみたいなところもあるのですが、何も道義的なことを言って、もしこの法律の不備があるならばそれを補おうという考えではありませんけれども、やはり何といっても、商取引などというものは徳義というものを重んじないというと、法律一点ばりでやっていこうといってもなかなかそれはむずかしいです。いかに統制経済で網の目のように法律をつくっても、やはり裏でやみがある、こういうことで、これは人の問題、人間性の問題になってくるのでございます。そこで、各事業をやる者の良心をできるだけふるい起こして、そこでお互いに協力をしていくということにならないというと、事業というものは法律一点ばりではなかなかうまくいかないというところにむずかしさがあると思うのであります。しかし、それだからといって法律がルーズであってよろしいというのではないので、やはり立法する以上はその目的を十分達しなければならぬということは当然でございますから、したがいまして、いろいろの解釈、御意見等も伺って、そうしてできるだけこれを完全なものにしていくことは当然だと思います。しかし、私どもとしては、ある程度法律も弾力を持って運用できるようにすることも、現存の経済においては——たとえば歩積み、両建てにいたしましても、一ぺんにそれをぴしゃっとやってしまう、こういうことになるというと、今度は銀行のほうが万一びしびしいっちゃうというようなことがあってもいかぬので、そこで歩積み、両建てにつきましては、大蔵委員会において春日先生が該博な知識を大いに発揮せられて鞭撻せられたところでありまするが、その効果も徐々にあがってきているのですが、これとてもなかなか法律でびしっとやっちゃうということには、一応やればやれないことはないでしょうけれども、これも運用で徐々に自発的にやっていく、こういうことで、経済も、一挙にぴしっといかなくても徐々にうまくいくように運転しながら改良していこうというところにむずかしさがあろうと思うのです。したがいまして、独禁法下請代金支払遅延等防止法についても、やはりそこに運用上のむずかしさというものがあるので、多少そういうところに立法上でも幾らか考慮をめぐらしているところがあるのではないか、こう私は私なりに解釈をするわけです。
  113. 春日一幸

    春日委員 本会議の時間になりましたので、私はまだまだございますが、簡単にもう二つ、三つだけ。  公表の問題ですが、これは何とかなりませんか。現在では、勧告をして、それに従わざる場合にのみ公表することができると思うのです。だからいままでお伺いをしたところによりますと、あの山陽特殊製鋼の場合にでも、あなたのほうから勧告されていると思うのです。ところがあれが公表されていないものだから、そういうような経済条理に照らしてはなはだ不公正な取引をしていることが世人に何にもわからない。あなたのほうから単なる勧告があっただけのことだから、本人のほうは勧告なんというものはこれを軽く扱って一向に改めた事実もない。このような実績にかんがみて、私はそういうような事実を公取が発見をしたる場合は、たちまちにしてこれを公表をする。そうして一殺多生の権利、そうしてこういうような被害を前に申し上げましたように事前に保護をしていく。事後に救済するということはだめなんです。実際効果はあがらない。たとえばいまの山特の諸君だって、破産、倒産をしてしまって、あとでお手上げになって、会社更生法によっていろんな救済措置を講じようといったって実際の効果はあがらない。あなたのほうが勧告されたのはいつですか。
  114. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 山特の場合におきましては、私のほうでその後調べたところでは、やはりちょっと調査が不十分な点もありましたが、そのときの検査においては、勧告というほどの問題でないだろうという判断のもとに、行政指導によりまして改善すべしというのを出したのが三十八年の八月でございます。
  115. 春日一幸

    春日委員 いや、私は内閣総理大臣に対して質問を出して、その総理大臣からの文書回答によると、勧告をしたということが載っておりましたよ。私の勘違いですかな。
  116. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 それは行政指導です。
  117. 春日一幸

    春日委員 行政指導とはおかしいじゃありませんか。少なくとも山特鋼が下請に対してああいうような不始末な支払いをして、そうして破産、倒産になってきた。そしてそういうような下請代金支払いが遅延されておるという事実があなたのほうに認証されたときに、法律に基づいてなぜ勧告をしないのですか。行政指導とは何事ですか。そんなものは法律に基づいて勧告をしなければ、法律は幾らつくったって、あなたのほうがその気になって運用しなければできないじゃありませんか。職務、職責怠慢のそしりを何としますか。
  118. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 従来われわれのほうで検査しまして、いわゆる法律に違反した場合におけるその軽重によりまして、それが軽い事実の場合においては行政指導、それからしからざる場合には勧告ということで一応の基準をつくってやらしてまいりました。ただ、この点については従来の基準が少し甘きに失するんじゃないかというので、もう一ぺん全部見直してみようという気はあります。ただ、その違反の程度によって、あまりそれほどでないものは行政指導、ただ山特の場合におきましては、先ほどもちょっと触れましたように、私のほうで調べたところが、その後調べたところに比べますとどうも十分にいってなかったということがわかりまして、これは非常に遺憾だと思っております。
  119. 春日一幸

    春日委員 私は公取というものの機能がこの答弁によってはしなくもあらわになってきたと思うのですね。三十八年にあなたのほうが行政指導をされた、行政指導の効果がどのようにあがっておるか、その後御調査になったかならなかったか、なったとすればわれわれ大蔵委員会においてもあるいは商工委員会においても現地御調査に相なって、その下請代金の支払いというものがどんな形で支払われておったか、その実態調査もあなたのほうで十分把握されておると思う。われわれ自身把握しておるのだから。こんなものは勧告されなければいけない。一回も勧告されていないということは、ノータッチであるならともかくも、一たびは行政指導をして内容を把握しておきながら、その後何にも改善の実があがらないのに勧告もしていない。その氏名の公表もしていない。これで支払遅延等防止法に対するあなたのほうの職責は尽くされておりますか、この点どうなんです。
  120. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 その点につきましては、私のほうで行政指導——いろいろその後の支払い状況についての報告を出すというやつが必ずしも会社のほうから十分出ていなかった、あるいはいろいろこちらのほうで呼び出しをかけても人が出てこなかったというような事実はありますが、しかしそれはいたずらな弁明になりますから繰り返しませんが、われわれのほうといたしましても、山特の場合におきまして、われわれのほうの手が足りないにしろ、監督が十分に行き届いていなかったということは率直に認め、今後においては大いに改善を考えていきたい、かように考えております。
  121. 春日一幸

    春日委員 公取は番人と言っては語弊がありますが、これはわが国の経済活動の基本的憲章ですね。これはあなたのほうが国民にかわって国家権限を行使していただいており、それによって国の経済秩序が保たれておるのです。それなのに、この山特の事実によって明らかになったのでありますが、当然なすべかりし、尽くさなければならない職責を、こんな大きな山特に対してすらあなた方は尽くされていない。いわんや凡百の零細なと言っては語弊がありますが、もっとより小さい多くの経済現象についてとてもとても手が伸びるものではない。だとすれば、立法は、あなたのほうの行政指導にゆだねたり、あなたのほうの判断にゆだねたり、こういうような委任があまりにも多過ぎる。さすれば、あなたのほうが本来的にそれだけの機動力がないのであるから、なんなにたくさんあなたのほうにこれが委任されてしまっておって、行政指導にまかされておって、またあなたのほうの行政判断によって職務がゆだねられてしまっておって、これでは法律があっても実際効果があがらないのではないか。下請代金支払遅延等防止法ができてからもうすでに六、七年になると思うのだけれども、これでは全く有名無実、死文化されてしまってきたのです。これではいかぬというので、過去の反省の上に立ってわれわれがここで法律を直す以上、今回の法の改正はあとう限り完ぺきを期さなければならぬと思うのです。そういうふうな観点に立つならば、私が一項目、二項目、三項目とずっと述べてきたこと、ことごとくが不完全のそしりを免れないと思うのです。私は、この際、少なくとも勧告の問題について特に御再考願いたいと思うのでありますが、いまの法のたてまえだと、めちゃをやっておるということがわかったときには勧告をすることができる。それだけですね。勧告に従わざる場合にのみその氏名を公表することができるというのでありますが、この際、勧告と同時に、その勧告対象の氏名を公表できるように法の改正を行なうべきではないか。一殺多生の権利ということがありますが、めちゃをやればこれを世人の批判にさらす、これが一つの経済罰として相当の効果があがると私は思うのです。ただひそやかに勧告をされたからといって相手はばかにしてしまう。現に山特鋼のごときはこれを握りつぶしている。召喚にも応じないというようなものをあなたのほうは見のがして、何ら適切な対策を立てられてはいない。実際問題としてまさに慨嘆すべき状態だと思います。だからこの際、少なくとも勧告を行なうと同時に、勧告した相手方の氏名を天下に公表する。そうして経済道義と条理に照らして、この会社はこういうような不道徳がある、こういうようなガリガリな支払いを行なっておる企業体であるということを天下の批判にさらして、そして彼らをしてみずから戒めていく、こういう方法をとるべきであると思うのです。現在は、勧告して、そして今度聞いたか聞かぬかを調べて公表する、その辺が明確でないし、そんなクッションを置くべきではない。私は、いきなり公表をしてしかるべきだと思う。そして事前措置によって被害を他に及ぼさないように、被害をそれ以上大きくしないように取引先に対して警戒をなさしめていく。これは必要な措置ではございませんか。あなた方が知っておって国民が知らぬ、あなた方が知っておって取引関係者が知らぬ、そんな不道徳な連中をないしょにして、保護をしなければならぬ積極的な理由がありますか。臼井長官、この点いかがでありますか。
  122. 臼井莊一

    ○臼井政府委員 違法の者に対しては厳重にこれを措置していくということも必要かと存じますが、ただ経済関係の者にとりましては、先刻申し上げましたように、信用ということが一番大切でございます。したがって、公表すれば非常に信用上これが痛い。また痛いのがこらしめのためにもなるわけであります。ただそういう事態に至る原因につきましては、会社の不心得なものもございましょうし、あるいはまた事態が必ずしもそうでなくても、いろいろの経済上の事情なんかで、そういう勧告を受けざるを得なくなった事態という場合もあろうかと思いますので、そこでいきなり勧告と同時に公表ということよりは、そこに一段階を置いてするということで、角をためて牛を殺すというようなことのないように反省を促けということで、そういうふうにしてあるのだと思いますが、しかしその公正取引委員会での処置につきましては、十分御意見等も伺って、できるだけ将来を戒めて、そういうことのないように、出たそういう事態がすみやかに改善されるような方向で努力すべきもの、かように考えます。
  123. 春日一幸

    春日委員 それは、いま御答弁がございましたけれども、せっかく出した法律だから、これで通してもらいたいというような意味のことであって、これは政策論議にはならないと思うのです。私は、山特の事態等を考えてみましても、もしそれ、そういうような悪い会社だということで、内容が悪い会社だ、勧告を受けても支払うことができない会社だ、そういうようなことがわかっておれば、下請関係の諸君も警戒をするであろうし、あるいは金融機関等においても、さらに補強、補完の措置をとらなければならないなら、てこ入れをするでありましょうし、いろいろな衆知を網羅することによって、より健全な対策というものが立ち得たと思うのです。ところがみんな隠されてしまっておる。ただ公取と当事者との間の隠密なやりとりによって問題がカバーされてしまっておる。だれも知らない。手をあげたときには、もはや手もつけられないような状態である、こういうような事例を何と見るかということですよ。ここに公正取引委員会が、独禁法を厳粛に執行しなければならない、代金支払いについては、下請代金支払遅延等防止法というものでこれこれの処理が規定されておる、国民の信託によってそのような権限が公取にゆだねられておる。ところがそれができない。できないのはなぜか。いまあなたのおっしゃったような考え方ですね。すなわち角をためて牛を殺してはならぬというような、そんなばかげた古風なたとえで、この今日の峻烈なる経済状況を律するなんてとんでもない話なんだ。あなたはもう少し進歩的な人だと思うけれども、このばかげた、説得力も持たない答弁をしないで、なるほどそれはそうだ、だからこの条件だけでも改正しようか、これはやっぱり踏み切らなければ、せっかく質問したとこで、私がここで一個の音響を発しただけにとどまってしまうのだ。まじめに聞いてもらわなければいけない。実際、渡邊君とは古い友だちだし、臼井君とも古い友だちで、胸襟を開いて政策を論ずるの態度がなければならぬ。われわれがせっかく出したのだから、こういう解釈で、角をためて牛を殺すなんて何事ですか。やりたいほうだいのことをやって、乱離骨灰、阿修羅のちまただ、大企業のやり方は。だからこれを直していくためにはどうするかと言っておる。めちゃなことをやった者には勧告をし、同時にその氏名を公表して、そうして善良なる下請関係の諸君にみずからを警戒せしめて、善処をせしめて、その本人に事前措置を講ぜしめて、対策を完全に打ち立てていく。当然の事柄じゃないですか。そんなこともしないで、悪いことはやりほうだいにしておいて、ないしょで勧告してみて、呼び出してみて、来なければしょうがないなと言ってあきらめておる。まるで女学生みたいに心やさしき公取だということになってくるのです。実際これでは問題の解決にならぬ。だから、十二日にこの法律が三党の話し合いの中で通されていくという話でございまするが、私がいま申しました事柄は、単なる思いつきではない。これはこの法が制定された数年前から、当時われわれは社会党におりましたけれども、一緒になって研修をして、かくあるべしという歴史的な主張なんです。だからひとつ虚心たんかいに再検討あって、取り入れられるものは、小川委員長代理、これはもう商工委員会の大ベテランであって、中小企業政策についても深く造詣がおありなんだから、ひとつみんなで寄り合って、よりよき案をつくっていただけるように各党の善処を強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
  124. 小川平二

    ○小川(平)委員長代理 次会は、来たる五月十一日火曜日午前十時より理事会、十時十五分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時六分散会