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1965-04-02 第48回国会 衆議院 商工委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年四月二日(金曜日)    午前十時十九分開議  出席委員    委員長 内田 常雄君    理事 小川 平二君 理事 中川 俊思君  理事 早稻田柳右エ門君 理事 板川 正吾君    理事 加賀田 進君 理事 中村 重光君       浦野 幸男君    海部 俊樹君       佐々木秀世君    田中 榮一君       田中 正巳君    田中 六助君       中村 幸八君    二階堂 進君       長谷川四郎君    古川 丈吉君       三原 朝雄君    大村 邦夫君       桜井 茂尚君    田中 武夫君       松平 忠久君    山崎 始男君       山下 榮二君  出席国務大臣         通商産業大臣  櫻内 義雄君  出席政府委員         総理府総務長官 臼井 莊一君         通商産業政務次         官       岡崎 英城君         通商産業事務官         (通商局長)  山本 重信君         通商産業事務官         (鉱山局長)  大慈彌嘉久君         中小企業庁長官 中野 正一君  委員外出席者         専  門  員 渡邊 一俊君     ————————————— 三月三十一日  委員石野久男辞任につき、その補欠として小  松幹君が議長指名委員に選任された。 四月二日  委員小松幹辞任につき、その補欠として松平  忠久君が議長指名委員に選任された。 同日  委員松平忠久辞任につき、その補欠として石  野久男君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 四月一日  下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法  律案内閣提出第一二七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法  律案内閣提出第一二七号)  中小企業信用保険法の一部を改正する法律案(  内閣提出第九〇号)  通商産業基本施策に関する件  鉱業に関する件(石油に関する問題)  通商に関する件(日中貿易に関する問題)      ————◇—————
  2. 内田常雄

    内田委員長 これより会議を開きます。  四月一日に当委員会に付託になりました内閣提出下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法律案議題といたします。     —————————————
  3. 内田常雄

  4. 臼井莊一

    臼井政府委員 下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する方律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  本改正案内容は、第一に、下請代金支払い期日は、給付内容について検査をするかどうかを問わず、その給付を受領した日から起算するべきものである旨を明確にし、第二に、親事業者下請事業者に対し交付すべき書面の記載事項として、下請代金支払い方法その他の事項を追加し、かつ、記載事項については、公正取引委員会規則で定めることとし、第三に、親事業者下請事業者に対し有償支給した原材料等の対価を、下請代金支払い期日より早い時期に、その下請代金と相殺し、または支払わせることにより、下請事業者利益を不当に害することとなる親事業者行為を規制し、第四に、下請代金支払いにつき、一般の金融機関による割引きを受けることが困難と認められる手形を交付することにより、下請事業者利益を不当に害することとなる親事業者行為を規制し、第五に、下請代金支払いを遅延している親事業者に対し、下請代金支払いとあわせて遅延利息支払いについて勧告することができることとしようとするものであります。  これらは、本法施行後の経験と中小企業政策審議会における本法改正に関する意見内容に照らし、また、第四十七回国会における「中小企業危機打開に関する決議」の趣旨を尊重して、親事業者下請事業者に対する取引を公正ならしめることにより、下請事業者利益を保護するための措置を講じようとするものであります。  以上が、この法律案を提出いたしました理由であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願いいたします。
  5. 内田常雄

    内田委員長 本案についての質疑は後日に譲ります。      ————◇—————
  6. 内田常雄

    内田委員長 次に、内閣提出中小企業信用保険法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑通告がありますので、これを許可いたします。中村重光君。
  7. 中村重光

    中村(重)委員 大臣お尋ねしますが、先般の委員会で、大臣が参議院の分科会出席のため退席されたあと中小企業庁長官に対しましてお尋ねをしたのでありますけれども、いま少しくはっきり大臣の考え方を明らかにしていただかなければならない点が数点あるわけです。  まず、この特別小口保険限度額でございますが、従業員五人以下の小企業に対して三十万までということになっておるのでありますけれども、各企業におきましては、資本金が相当大きくなりつつあるわけでありますし、現在の経済情勢の中におきましては、やはり五十万程度までこれを引き上げる必要があるのではないかと思うわけであります。五十万ということになりましても、必ず五十万の貸し付けが行なわれるということにも考えられませんし、その企業者信用力であるとか、その他企業者自身事情によりましても金額の面はコントロールすることはあり得るわけでありますので、一応この三十万を五十万までに引き上げる、こういう措置をすみやかにとられる必要があると思うのでございますが、その点に対する大臣の明確なお答えを聞かしていただきたいと思います。
  8. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 現下の経済事情からいたしまして、御意見のような限度額の五十万円程度の引き上げというのも必要であろうかと思います。しかしながら、今回御審議を願っておるこの法案が三十万円ということにいたしておりますので、御意見を尊重しまして、次の機会には五十万円程度に引き上げるようにいたしたいと思います。
  9. 中村重光

    中村(重)委員 第二点は、保証要件でございますが、これはこの法案が通りましたあと省令によって定めるということになっておるようでありますけれども、その内容はつまびらかになっておるわけであります。その要件といたしましては、まず所得税事業税法人の場合は法人税を三年間完納した者でなければならない、こういうことになっておるようであります。しかし政府といたしましても、課税最低限を引き上げていこうという減税政策が明らかにされておるわけであります。そうなってまいりますと、この三年間税を完納するということ自体にも、現在保証協会等におきまして一年間の税完納という場合はこれを保証するという実績があるという点と、冒頭に申し上げました減税政策という点からいたしまして、所得税あるいは事業税法人の場合におきましても法人税を納めない、いわゆる免税になっておる企業というものもあるわけでございます。ところが、そうした免税になっておる者を保証しないということになってまいりますと、減税政策という面からいたしましても逆行するということになろうかと思うのでございます。したがって、免税点以下の者に対しましても、端的に申し上げますならば、住民税をかけておる、完納しておるという者も当然この対象の中に入れる、その対象範囲を拡大していく必要があるのではないかという点でございます。  それからあわせて、いま申し上げました三年間の完納というのではなくて、現在の保証協会保証実績である一年程度税完納をしておる者はこの特別小口保険小口保証対象にする、こういうことにする必要があると思うわけでございます。  その二点に対して大臣の明確なお答えを願いたいと思います。
  10. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 前回の委員会におきましても御熱心に御主張があった点でございまして、その後鋭意検討いたしまして、ただいま重ねてお尋ね所得税事業税法人の場合は法人税等につきまして、当初三年間納付しているということを要件にしよう、それに伴う省令を出す考えでおりましたが、これをお説のとおり、最近一カ年間これらの税を納付しておればよろしいということに省令をいたしたいと思います。  なお、免税点以下の企業者の問題でございますが、これらの企業者で健全な経営をしておるものにつきましては、ただいまの御趣旨に沿いまして、今後引き続き検討をして結論を出したいと思います。
  11. 中村重光

    中村(重)委員 いま一点、大臣にただしておきたいと思いますのは、当然この保証要件といたしまして、三年間同一市町村居住をしている者でなければならない、しかも同一企業を行なっている者でなければならないということになっているのでございます。この点も厳格過ぎる要件であると考えます。それは現在の石炭情勢事情からも大臣がおわかりになっておられますように、石炭産業がいま不況の状態になっておりまして、各山は相次いで終閉山をするという状態にあるのであります。そういう場合に、その産炭地におきますところの小企業者というものは、当然その産炭地を去って、他の地区に移転、営業しなければならないということが現に起こっておる現象であり、あるいは現在の高度経済成長政策の中におきまして、あるいはまた政府後進地域の開発の計画であるとか、その他いろいろな産業経済上の関係から、いろいろな都市、いわゆる町づくりという形におきまして、そういった小企業者というものが他の地区に移って事業を営まなければならないというようなことが現実の問題としてあるわけであります。そうした政府政策によって、現に居住している地区から他の町村に移って営業し、生活を営まなければならないという場合、本法適用を受けようといたしましても、三年間居住しなければ適用を受けないということになってまいりますと、まことに気の毒な状態に私はなると思うのであります。したがいまして、そうした特殊の事情等を考えますと、三年というようなそうした厳格な規定ではなくて、でき得れば一年と申しますか、もっとゆるやかにする必要があるのではないか、このように考えます。その点に対しましての大臣の端的な御表明を聞かしていただきたいと思います。
  12. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ただいま事例をあげて御主張をされたわけでございますが、三年間同一市町村に引き続き居住し、同一企業を営んでおるという要件についての御批判でございますが、これは先般も繰り返し承ったところでございますので、御趣旨の線に沿いまして今後引き続き検討をさせていただきたいと思います。
  13. 内田常雄

    内田委員長 おはかりいたします。  本案についての質疑はこれを終局するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 内田常雄

    内田委員長 御異議なしと認めます。よって、本案質疑は終局いたしました。     —————————————
  15. 内田常雄

    内田委員長 次に、討論に入るのでありますが、討論通告がございませんので、直ちに採決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 内田常雄

    内田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  採決いたします。  中小企業信用保険法の一部を改正する法律案賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  17. 内田常雄

    内田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。     —————————————
  18. 内田常雄

    内田委員長 次に、自由民主党日本社会党及び民主社会党を代表して小川平二君外二名より、本案に対して附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者より趣旨説明を聴取いたします。板川正吾君。
  19. 板川正吾

    板川委員 ただいま提案いたしました中小企業信用保険法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につきまして、自由民主党日本社会党及び民主社会党を代表して、私からその趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。      中小企業信用保険法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)    政府は、本法施行に当り、次の諸点につき必要な措置を講ずべきである。   一、特別小口保険の小企業者一人についての保険価額限度額を五十万円程度に引上げるよう努めること。   二、特別小口保険対象となる小企業者の具備すべき要件を定めるにあたつては、所得税法人の場合は法人税)及び事業税納税に関する要件を厳格に過ぎないようにするとともに、こんごこれら諸税の免税点以下の所得者及び居住要件についても適切な配慮をするよう努めること。  以上が案文でございます。  理由を申し上げます。  現行の小口保険は、一企業者保険価額限度額を三十万円とし、小企業者対象としておるのでありますが、これらの対象となります小企業者につきましては、物的担保も乏しく、また保証人を得ることも容易でないため、信用保証協会保証を受けることが困難な状況にあることは御承知のとおりであります。このような実情にかんがみ、今回の法律改正が行なわれ、無担保、無保証によります特別小口保険制度が創設されますと、物的担保に乏しく、また保証人を得られない状態の小企業者が、この制度によって金融がより一そう円滑になるわけであります。しかし、小企業者特別小口保険対象となり得る具備すべき要件につきましては、省令の定めるところによることとなっておるので、省令要件を定めるにあたっては、小企業者金融円滑化に支障とならないよう定むべきであるとの趣旨に基づきまして本決議案を提出した次第であります。  決議案事項別に具体的に申し上げますと、第一は、特別小口保険の一人当たり保険価額限度額を引き上げることであります。改正案によりますと、三十万円を保険価額限度額としておりますが、今日の小企業者資金需要、かつ小企業者設備資金所要額等実情を勘案し、少なくとも五十万円程度に引き上げるようつとめるべきであります。  第二は、小企業者の具備すべき要件についてであります。特別小口保険対象となる小企業者の具備すべき要件省令で定めるにあたっては、所得税法人の場合は法人税)及び事業税納税完納証明書を過去三カ年間と定められますと、三カ年間があまりにきびしくなり、かえって小企業者金融を阻害する結果ともなりかねないので、年限については一カ年と定めることが適当だと考えるのであります。また、小企業者の中には、経営内容はよいのでありますが、所得税等について税制上減税措置施行に伴い、減税措置によって納税をしない者も多数いることになるわけでありますから、これらの小企業者には本制度を利用することができなくなる結果、この小企業者信用補完の本制度の本旨に反することともなるので、今後この制度の推移に照らして、このような小企業者に対し、住民税納税にて本制度対象となり得るようつとめるべきであります。また、同一市町村に三カ年の居住要件につきましても小企業者実情にかんがみ、年限を短縮するよう運用に弾力性を持った適切な配慮をすべきであります。  以上でありますが、詳細にわたる点は質疑において明らかになっておりますので、省略をいたします。  本決議案は、わが国の小企業者信用補完に万全を期する趣旨のもとに提出いたしましたことを御理解いただき、委員各位の御賛同をお願い申し上げる次第であります。
  20. 内田常雄

    内田委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  本動議を採決いたします。  本動議賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  21. 内田常雄

    内田委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、通商産業大臣より発言を求められております。これを許可いたします。通商産業大臣櫻内義雄君。
  22. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ただいま行なわれました決議の御趣旨はこれを尊重いたしまして、今後善処をいたしたいと思います。(拍手)     —————————————
  23. 内田常雄

    内田委員長 おはかりいたします。  本案に対する委員会報告書作成等につきましては、委員長に御一任願うことは御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 内田常雄

    内田委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  25. 内田常雄

    内田委員長 次に、通商に関する件について調査を進めます。  日中貿易に関する問題について質疑通告がありますので、これを許可いたします。田中武夫君。
  26. 田中武夫

    田中(武)委員 中国貿易の問題につきましては、今国会に入りましても予算委員会においてわが党の石橋君、あるいは当委員会においても板川君をはじめ多くの人たちから、いろいろの角度から質問をしております。しかし、そのときには、少なくとも通産省あるいは通産大臣、これらは前向きにものごとを考えておる、したがってその時点においてあまりつつがないほうがいいのではないか、こういうような観点からあえて質問をしなかったのであります。しかし、もうこういう段階に至りましたので、いままで多くの人が質問したのと全然観点を変えましたところから若干の質問をいたします。  そこで、まず第一にけさのニュースですが、日立造船所中国との契約期限が三月三十一日である、したがって中国側は、更新をしない限り契約は自然に消滅した、こういう解釈をくだしたようであるということのニュースを聞きました。これはまだ公式にそういうことを外務省を通じて聞いておられるかどうかわかりませんが、少なくとも契約更新がなされない限り、その期限到達によって契約は当然無効になる、これは契約の本質であります。そういうような見解中国側はくだしたようでありますが、その辺の実情をどうつかんでおられますか。さらに契約というものについて、あらためてこれを延長する、あるいは更新する、そういうような意思表示双方よりなされない限り契約は消滅するというのが法律の原則であります。その点についての御見解をお聞きします。
  27. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 中共側が、三月末の期限経過によって契約は失効したと、こういうふうに解釈しておる一部の新聞報道でございますが、この点につきましては、いまの契約のたてまえによる論議あとにいたしまして、一応その事実について申し上げますと、日立造船会社のほう、それからこれはLT貿易でありますから高碕事務所、このほうに、かような中共側の何か意思表示があるのかということを本日確かめましたが、会社のほうにも、また高碕事務所のほうにも、それらの通知には何ら接しておらない、こういうことでございます。  それからこの契約のたてまえについてのお話でございますが、現実に三月三十一日が経過しておるのでありますから、法律論からいたしますれば、これは失効しておると解釈すべきだと思います。しかしその三十一日前に日本側の、すなわち会社からの意思表示が種々行なわれておって、これに対する正式の回答もないようでございますから、その点からいたしますと、ここではっきり失効したとか、まだ失効しないんだとかいうことが言いかねる状況でございます。
  28. 田中武夫

    田中(武)委員 会社からはどういうような意思表示をしておるのですか。そして期限到達した場合にどういうようなことになるかというような、契約内容はわかりますか。たとえば、当事者の片方が意思表示をした場合そのまま続くとか、あるいは双方の同意が必要であるとか、何かそういうような、契約の中に期限到達に対する取りきめがなされておるのかどうか。
  29. 山本重信

    山本(重)政府委員 日立造船中国機械進出口公司との間の契約によりますと、三月の末までに輸出承認書及び、これはあと往復電報で追加になった条件でございますけれども、日立造船日本の国内において正常の金融方式金融を受けるということについての確認を得まして先方通知をする、この二つの条件が充たされない場合は失効するということになっております。輸出承認書はもうすでに二月に日本政府から出しておりますので、それを先方に送ると同時に、日立のほうから正常の金融方式によって融資を受けるめどがついたという趣旨の連絡を先方にいたしたように聞いておりますので、それがそのとおり向こうに受理されれば契約は発効するということになるように思います。その辺は非常にデリケートな点がございますので、先方がそれに対してどういう最終的な態度をとるかは、向こうからの回答をまたないとはっきりしないというふうに思います。
  30. 田中武夫

    田中(武)委員 この日立造船の船舶の建造契約あるいはニチボーのプラントの問題、なぜこんなにがたがたしたのですか。何回も言われておりますが、一口に言って何がゆえにこんなにがたがたしたのですか。
  31. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 私の立場から申しますと、私自身が、どうしてがたがたするかわからないのであります。通産省としてとるべき措置をとって承認を与えたのでありますから、あとは私は繰り返し言っておるように、契約がなだらかに履行されていく、そしてまた金融金融で一方において考えられるべきものである。しかし、その契約が履行されない前にいろいろとその問題が起きるということについては、私の立場通産省側としては常に了解に苦しんで今日まで至っておるのであります。
  32. 田中武夫

    田中(武)委員 通産大臣も、何がゆえにこんなにがたがたするのかわからない。そこで、大臣としてはこのがたがた原因の推測はありますか。どういう点を配慮すればがたがたしたことが正常に戻るか、そのがたがた原因をどう理解し、それを除くためにどう努力しようとしておるのか、お伺いいたします。
  33. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 現在この経過を申し上げるよりも、最後の詰めのところを申し上げるほうがいいと思います。  三月三十一日までに延ばした。それで、その間に、いま局長が申し上げたような電報の交換によってこれは延びておるわけでありますが、しかしその間に、非公式ではございますが、中共側意思表示として、三十一日までに輸銀を使うか使わないかということによって、台湾が介入しているか、してないかのあかしを立てろ、こういうふうなことが、いろいろな経過はございますが、話の詰めになっていると思うのでございます。しかし、私としてはこの詰めに対してまともに答えていくということは、すでに総理がしばしば言っているように、日本日本として自主的な判断をしていくということにもとる、こういうことから、これにまともに答えていくことはいかがかと、こういう見解をとっております。しこうして、また佐藤総理は二月二十四日に、台湾との関係においては、台湾魏大使に対しても、日本としては台湾からも中共からもとやかく言われたくないのである、自主的に判断をしていきます。こういうことを明白に言っておるのでありますから、私は問題はそこではっきりしてきておる。でありますから、この三十一日についてもこだわらずにいくのが、前向きにものごとを解決するゆえんであろうというようなことでございまして、その結果が、今回の政府統一見解についても私は了承し、指示もしたというようなわけでございます。
  34. 田中武夫

    田中(武)委員 そのがたがたした原因は、政治的事情にあるのか、いろいろあると思うのですが、今日では一応そのことは片づいたように受け取られておりますが、吉田書簡というものについていろいろの憶測なり、これに拘束を受けるか受けないかという問題がありました。そこで私はお伺いしますが、元総理書簡法律的にどういう効果を持つのですか。
  35. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 実はこの吉田書簡についての論議につきましては、(田中(武)委員「元総理書簡だ」と呼ぶ)この吉田書簡、もしくは元総理書簡の表現でもけっこうでございますが、これについては、すでに総理国会意思表示をせられております。そしてそれに伴って官房長官も私も、そのとおりであります、こう言っておるのでございますので、私も佐藤内閣の閣僚として、総理のこのお答えのとおりだと思うのであります。しかし私としては、この中国との貿易を進める意味におきまして、すでにその書簡問題については、二月二十四日以降の中国国民政府大使総理との会見後においては事態は変わった、こういう立場をとっておるわけでございます。
  36. 田中武夫

    田中(武)委員 事態が変わったとか変わったのじゃないとかいうことじゃないのです。私が聞いているのは、元総理書簡、これが法律の解釈を変更する効力を持っておるかということです。ありますか。
  37. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 これは法律的にはないと思います。また、これもしばしば申し上げるところでございますが、私どもとしては、どこからも別段、こういう書簡があってこういうことになっているから、君らもよく考えろということでなしに、やはり信義上の問題と申しましょうか、道義上の問題でございましょうか、そういう範疇のことではないかと思います。
  38. 田中武夫

    田中(武)委員 私は前々からそういう考え方を持っておったのですが、外国との関係といいますか、外交上の事情というか、そういうことについての吉田書簡が意味を持つかどうかということは別といたしまして、この吉田書簡法律の解釈を変更するものでない、これだけははっきりいたしております。  そこでお伺いいたしますが、日本輸出入銀行というのは一体何のためにあるのですか。輸出入銀行は、輸出入銀行法によって規定せられた業務なり監督を受けるだけなんです。まず第一に、輸出入銀行が融資をするかせぬかはどこがきめるのですか。政府がたがた言う筋合いのものじゃありません。輸銀自体がきめるのです。そうじゃないですか。
  39. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 それはそのとおりなんであります。したがって、私は常に民間ベースで考慮されるべきものである、企業自体が努力すべきものである、こういうふうに申しておるのでございまして、現に最近における状況はそのとおりに行なわれておると思います。
  40. 田中武夫

    田中(武)委員 それならなぜ政府国会答弁をもあわせて、好ましいとか好ましくないとか、あるいは民間ベース云々というようなことばでやるのです。輸銀へまかしておけばいいじゃないですか。あなた方がこの問題をこうこじらした原因は、吉田書簡なるものが法律に優位する、そういう考えの結果ですよ。それじゃ、いまのたとえば日立の問題を取り上げましょう。輸出入銀行法からいって法律上どこに問題がありますか。輸出入銀行法の第十八条の業務の範囲の第一号に明確に規定してある。それが輸出入銀行において、銀行業務のたてまえからなされないとかどうとかいう経済的な判断によって問題になるなら、これは話は別です。それ以前になぜ政治的な問題になるのか。  そこで逐次お伺いいたしますが、これは大蔵省来てないのですか。——来てなかったら、通産省答弁できますかね。日本輸出入銀行法の第一条の目的の中に、「本邦の外国との貿易」云々とある。この外国というのは一体何です。
  41. 山本重信

    山本(重)政府委員 先生非常に法律にお詳しいものですから、しろうとの私が申し上げるのもたいへん恐縮でございますが、従来の輸銀の運用の実態から考えまして、「本邦の外国との」という場合の外国は、本邦以外の国をすべて含んでおるというふうに思います。
  42. 田中武夫

    田中(武)委員 それでは、中華人民共和国は第一条にいうところの外国でありますね。
  43. 山本重信

    山本(重)政府委員 この場合の外国というのは、国家として承認するとかしないとかいう問題にはあまり重きを置きませんで、本邦以外の地域という程度に従来了解して運用いたしております。
  44. 田中武夫

    田中(武)委員 それでは十八条の業務の第一号、ここに明確に船舶がうたってありますね。いま問題になっておりますところの日立の問題をとりました場合に、十八条一号の輸銀の業務の中へ入るか入らないか。
  45. 山本重信

    山本(重)政府委員 含むと思います。
  46. 田中武夫

    田中(武)委員 ならば、なぜ日立の問題が、輸銀を利用することに対して大きな問題になるのですか。法律的には何ら制限ありません。さらに、大蔵大臣じゃないからあれですが、第五章に監督の章がありますね。四十二条以下、政府は、具体的にいうなら主務大臣は大蔵大臣、輸銀を監督するのは四十二条以下の条文に定められた方法以外にないのですよ。どうです、そうでしょう。それ以外の方法で——第一条の目的に沿うておる、十八条の業務の所管に入っておる、それをとやかく言うのはどこに原因があるのです。法律違反ですよ、政府が云々しておるのは。四十二条以下の監督権のみしか使えないのですよ。法律が一たび成立するならば、主権者といえどもその法律に従うのが当然であります。これは通商局長にこう言うのは無理かもしれませんがね。明らかに法律違反であります。これをお認めになりますか。  さらに委員長、これは通産大臣並びに通商局長に答弁を求めるのは無理かと思います。したがって総理、大蔵大臣出席を要求いたします。
  47. 内田常雄

    内田委員長 田中君の御要望につきましては、理事会において打ち合わせの上善処いたしたいと思います。
  48. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 いま当面の問題は、この日立造船の問題だと思います。それで金融のことについては、国内金融については別途考慮するという統一見解でございまして、この別途考慮するということが、いま御指摘のように政府の考えておることが全面的に抵触するかどうかということでは私はないと思うのであります。また現に、日立造船の松原さんなどの動きを見ていただいてもおわかりになるのではないか、こう思います。
  49. 田中武夫

    田中(武)委員 大体私に言わせるならば、この問題に対して政府統一見解を出すというようなことが間違っておるんですよ。何のためにこんなことを出す必要があるんです。輸銀法にちゃんときまっておるじゃありませんか。法律がきまっておるのに政府見解をことさらに出すところにおかしな問題があるのですよ。そうでしょう。だから、これはあなたに質問し、今後の答弁を要求することは無理だと思うので、総理出席、それから総理には当然法制局長官がついて来ると思いますから、したがって法制局長官、それから主務大臣としての大蔵大臣、これが出席することを前提として、きょうの質問は私は保留いたします。これ以上やったって、お気の毒ですが答弁できません。
  50. 内田常雄

  51. 松平忠久

    松平委員 この問題に若干関連があることで、日中貿易に関連して質問したいと思います。  まず第一に伺いたいのですが、実はことしは通産省所管の見本市があちこちにございます。その中で、モスクワで見本市が開かれる、それからもう一つは北京と上海で開かれる、こういうことで計画が進められておるわけであります。そこで、モスクワのほうは約五億円かかりますが、その中で、ジェトロのほうの負担分が三億円くらいということを承っております。それから片方の北京、上海もやはり五億から五億三千万円くらいという予定が一応予想されておりますが、そのほうは一億一千万円、つまり中国側のほうは昨年の五千五百万円と、ことしの五千五百万円、こういうことになっております。そこで、最初にお伺いしたい点は、この予算というものは、おそらく事務的な折衝の段階で五億五千万円というふうにきまったんだろうと私は思う。予算折衝の段階で、まあ大臣ベースできまるものと、事務当局ベースできまるものとあると思うのですが、この五千五百万円は、昨年のと同額だということで、私は事務的にきまったんではないかと思うのですが、その当時のきまり方といいますか、一体どういうふうな大臣ベースできまったのかどうか、その点ちょっと先にお伺いしたいと思うのです。
  52. 山本重信

    山本(重)政府委員 日工展に対します補助金につきましては、大体従来の例にのっとりまして、事務的に年に五千五百万円ということで決定をいたしました。
  53. 松平忠久

    松平委員 その点についてはあとで触れますので、先に進めたいと思うのですが、さて、この日工展ですね。日工展は四つの民間団体が主催してやるということになっておるんですが、先般来、通産省の方向と事務局におけるいろいろな権限分野等に関して、政府の意図に反するものがあったというので、補助金を打ち切るということを政府側は決定をされたわけであります。ところが、その後において、通産側の要望を入れて主催団体のほうの事務分野等の権限内容というものを改めていく、こういう要望を入れたので、この復活を、つまりこの予算もまたつけるんだ、こういうことになったと聞いておるわけです。そこでお伺いしたいのは、あそこには事務局というものがあり、それから四つの委員会のようなものがあって、その四つの委員会と事務局が権限を持って、理事長なんかロボットみたいなかっこうにしておく。いわば事務局がかってにいろいろなことをやるというふうな傾向があったように私は思うのです。それはあまりよくないということをわれわれも当初から考えておったが、通産側のこの日工展の主催団体に対するところの内部の権限等の改革案というものは、どういうように改革ということをさせようとして、どういうことを向こうがのみ込んだのか、それを大ざっぱでいいからちょっと知らせてもらいたいと思う。
  54. 山本重信

    山本(重)政府委員 一応民間ベースでやる事業でございますので、できるだけ自主性を尊重しまして、皆さんの話し合いで円滑に運用されることを願ってまいっておったわけでございます。先般の規約では、四つの委員会がそれぞれ全く独立して権限を持っておりまして、理事自身は、俗に言います浮いてしまうようなかっこうになり、それでは総合的な運用も期待できませんし、また、前回のように非常に大きな赤字を出す。これはいろいろな原因があったと思いますけれども、やはり全体をうまく統合していくことがぜひ必要である、こういう判断から規約を改めまして、理事長及び副理事長、それに事務局長が全責任を持てるような体制にすることを私たちとしては強く希望したわけでございまして、今回の話し合いによりましてそういう体制ができるということが確認されましたので、補助金も、それならば昨年と同じように出そう、こういうことにいたした次第でございます。
  55. 松平忠久

    松平委員 その際において、ジェトロの協力ということがあったわけですが、ジェトロはそれに対してどういうような協力をすることになっておりますか。
  56. 山本重信

    山本(重)政府委員 ジェトロは、ジェトロにこうした展示会のほうの専門家もございますので、人的あるいは技術的な面で協力をするということになったわけでございます。予算としましては、この日工展の予算と、それからジェトロプロパーの予算とははっきり分離されておりますので、ジェトロがこちらの日工展のほうにプラスして金をさらに出すというようなことは考えていない次第でございます。
  57. 松平忠久

    松平委員 実は、数日来、一九六三年の日工展で出品をした方々が私のところに見えまして、こういうことを言っているわけです。実はこの前出品して、現在その出品品目について中共に輸出をしている、ところが、前回の日工展において、やはり民間でほとんど経費をまかなう、こういうことであるので、全部持っていったものは売る、売らせる。こういうような傾向になっておるわけであります。この売ったものの中から一部をさいて経費に充てている。そういうことであるので、持ち帰るのがほんとうはいいと思うのだけれども、売れと言うからがまんをして売ってきたと言う。ですから、つまり、かなり安い値で売ってきたわけであります。ところが、その後において、中国側からのオーダーというものは、その値段を基準にしたオーダーがずっと出てきているのだ。だから、自分たちはもう日工展に出品したくない、それから同時に、出品してもそれは現地で売る、売った金の中から経費に充てるのだということであるならば出品したくないし、出品したものは全部持ち帰りたいのだ、こういう要望が私のところにはかなり来ております。私はそういうやり方が行なわれたということは事実であろうと思うのです。そこで、それはどこから来ているかというと、やはり先ほど申したように、モスクワの場合には五億円の中で三億円も出す、こちらのほうは一億一千万円だというようなことから、結局そういう一文惜しみの百銭失いというか、そういう結果が出てきておるのじゃないか、こういうように思うのです。そこでお伺いしたいのは、今回はやはり現地で全部売ってくるのか、どういうようなかっこうで出品されて、どういうようなかっこうで売られるのか、あるいは持ち帰るのか、その辺のところはどういうふうになっていますか。
  58. 山本重信

    山本(重)政府委員 先般来、日工展の基本的な運営方針についていろいろ問題がございまして、ようやく新しい体制ができたところでございますので、おそらくいま日工展側で、先生いま御指摘のような点について、実施方式をいろいろ研究しておる段階であろうかと考えます。
  59. 松平忠久

    松平委員 そこで大臣にちょっとお尋ねしたいのですが、実は先般この日工展の総裁あるいは名誉総裁というか、そういうことに業界から予定されておる石橋氏が、去る二十五日に総理に会ったわけであります。私はそのときの模様を聞いてみると、石橋さんが、実は各業界から自分に総裁になってくれ、こういうことであるので、自分はなるつもりであるということを言おうとする前に、総理のほうから、お骨折りだけれどもあなたひとつ総裁になってやってくれぬか、こういう話が総理から出たそうであります。そうしてそのときに二つ話が出たのは、一つは、総裁になってやる場合においては、石橋さんは、自分は人事等については自分の手で、自分の思うとおりにしていきたいということ、第二は、先ほど来私が言いましたように、日工展を成功させるということは絶対に必要である、しかもこれは本年九月に予定されているのですが、その前後にフランスとルーマニアの見本市がやはり同じ会場でやられるわけであります。そういうことから言いましてもきわめて重要であるが、これは率直に言って実は金が足りないのだ、だからこれは何か考えてもらわなければ、やはりこの前に繰り返したような結果になって、そして若干の金を惜しんでいるために安売り競争ということに結果としてはなるのだ、だからこの点を考えてほしいと言ったところが、あなたがもし総裁を引き受けてくれるというならば、その点については自分は考える、あなたを困らせるようなことはいたしませんし、金に糸目はつけませんよ、こういうことを言われたそうであります。このことはまだ通産大臣に伝わっておるかどうかわかりません。しかしながら、いままでの日工展のあり方というものは、いま私が申しましたようにむしろ出品者の犠牲において行なわれており、またこの出品したあと貿易というものは、いま私が例をあげましたように、ことに中小の企業者というものは喜んでおらぬわけであります。安売りをしいられるということ、日本の見本市自体の運営からそういう結果になってきておるということについて、きわめて不満の意を表しているわけであります。したがってこのことについて、私は、大臣としては少なくとも各方面の意向を聞かれた上で、やはりこれを成功させるというためにも、とくとひとつ大蔵大臣並びに総理と会ってみてはどうか。そうして、石橋さんがなったのだから色をつけてやろうという、そういう気持ちではなしに、本格的にひとつ取り組むよう、こういう決意でしていただきたいと私は思う。九月にやるわけでありますけれども、いまのうちからもう出品者との間の契約その他を結ぶというところに迫られておるわけであります。そういうときであるから、赤字があったならばある程度めんどうを見てやるというような消極論では私はいかぬではないかと思う。ジェトロ時代にやったこの前のモスクワの展覧会におきましても、一億五千万円の赤字が出ております。その赤字はどうしたかといえば、それはたしか自転車振興会の金をこれに回しておるはずであります。つまりソ連の場合はそういうことまでしてきたけれども、中国の場合はそれすらもやらぬ、そしていま通商局長が言うように、過去に赤字があったということで、赤字が出ないように——なるほど赤字は出してはいけません、なるべく出さないようにするのがあたりまえでありますけれども、しかしそれを極端に言いますと、そのしわ寄せは業者にかかってくるわけであります。そうして、貿易上たいへんな損失をする、こういう結果になるわけであります。そこで、そういう遠い将来のことを考えてもらって、大臣は、この際早目に総理、大蔵と話をしていく必要がある、私はこういうふうに思うのです。通産大臣のお考えを聞かせていただきたい。
  60. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 まず、前段の石橋さんと総理の会談の模様でございますが、まことに恐縮でございますが、そういう会談のあった事実は新聞報道等で承知しております。また、ただいま御指摘になった内容も、多少報道の上からも承知をしておるわけでございますが、しかし総理に私が会いましてこれを確認したとか、あるいは大蔵大臣と何か打ち合わせをしたとかいうようなことはないのでございます。また、日工展側は日工展側として開催の準備を進めておって、総裁人事についての考えがあろうかと思いますが、日工展のほうとの間にもまだ何らの連絡もない、こういうことでございます。しかし、こうやって委員会でも取り上げられた問題でございますから、このあと通産省側としても積極的にどういうことかというような日工展のほうの意向も聞くとか、あるいは私自身総理に会う、こういうことは進めていきたいと思います。  それから、先ほどから従来の日工展のあり方についてのいろいろ御指摘を受けたわけでございますが、これらの点につきましては私どもとしても細心の注意を払っておるところでございます。従来の機構で、そして人事で運営されておる実情には、補助金を出す上にどうも欠ける点があるのではないかというようなことで、ただいまお話のあったように改善されるまでは見合わしたいという意思表示をしたこともございます。その後杉本新理事長を迎えまして、現在、今後の日工展の進め方について種々協議をされておる段階でございますが、先ほどからの松平委員のお話の中に、われわれとしても十分考えなければならぬ点があろうかと思います。今後におきまして日工展の運営が改善され、りっぱに成功することを望むわけであります。  そこで、この補助金の関係についてお話があったわけでございますが、すでに四十年度の予算も成立を見まして、私どもとしては、先ほど局長が申し上げたような経緯で昭和四十年度五千五百二十九万円の補助金を計上し、合計一億八百九十二万一千円というものを用意しておるわけでございまして、われわれとしてはこの補助金と出品者の負担によって、その範囲でりっぱにこの日工展の開催されることを期待しておるわけでございますが、ただいまの松平委員のお話も十分に参考にしておきたいと思います。
  61. 松平忠久

    松平委員 私が最初質問したときに、この予算は大臣ベースできまったものかどうかということを質問したところが、事務段階のベースでやられておるということを言われたわけであります。その後におけるいろいろな変化がございますが、先ほど来の田中委員質問も実はそれに関連しておるわけです。さらにはまた、ほとんど時を同じくしてモスクワで見本市が開かれる。それから、総理自体がそういうことを石橋さんに言われておるということからいいますと、私は、事務段階ベースでこの点を大臣が処理なさるということではなくて、やはり政治的な段階にきておるという認識のもとに事を運ぶ決意が必要ではなかろうか。これはもちろん折衝の段階においては事務当局を通してくるでありましょう。日工展からいろいろな計画が出てくるでありましょう。しかしそれもいま私が申しましたように、半分向こうへ売ってくるんだ、こういうことにいまはなっておるようであります。そういたしますと、必ずそこに無理がかかってくる。その無理は日本中国の将来にとってもよろしくない、こういうふうに私は考えておるわけです。したがって事務当局ベースで出てくるけれども、しかし最後の判断大臣が、総理、大蔵とよく腹を割って話されて積極的な姿勢をとってほしい、私はこういうことを要望しておるわけであります。重ねて決意を伺わせていただきたい。
  62. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 従来の日工展のあり方についての欠陥の御指摘がございました。またそれに伴う今後の貿易の上に非常に影響もあり、障害もある事実も御指摘になったわけで、この点は私も十分了解いたしました。現に日工展の準備が進められておるおりからでございます。必要があれば、私として総理なり大蔵と打ち合わせすることもちゅうちょはいたしません。
  63. 板川正吾

    板川委員 日中プラント輸出の問題で、輸銀の問題でちょっと関連して質問いたしたいと思います。  これは直接総理に聞くほかはないと思うのですが、一応政府見解なるものを大臣に伺っておきたいと思うのです。  田中委員法律論から議論をされましたが、この日立造船のプラント輸出、船の輸出に対して輸銀に取り扱わせるかしないかという問題について、三十日に政府統一見解なるものが発表されました。先ほど大臣は、別途考慮という発言をされております。ところが、新聞報道をしさいに見ますと、どうも別途考慮という中に輸銀を含めるのだという説もあるのです。また、新聞の記事で、朝日新聞は、これから中国の態度に期待をするという意味合いの記事が多く、日本経済新聞は悲観的記事が多い。政府統一見解に対して、それぞれ別々な期待を持っておる、こういう状況だと思うのです。一体別途考慮というものはどういうことなのですか。先ほど大臣が言われましたが、別途というのは別な道ですから、本来からいえば法律の命ずるところの扱いをすべきですね。そうだとすれば、それは当然この場合に輸銀の扱いにさせないという理屈はない。ただ別途の考慮というのは、結論としては輸銀の使用を認めない、こういう意味に解していいのですか。
  64. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 これは正直に言って、種々論議があった結果こういう見解になったということがほんとうだと思うのであります。私が何べんもここで言っているように、実際では本契約の上に輸銀がどうかこうかということは絶対にないのです。だから契約がどんどん履行されていくのが一番いい、こういうことも申しておるのです。そのうちにそれぞれの企業で、この金融はうまくないとか、こういう金融が希望だということが当然出てくるでありましょうが、それはそれで考慮したらいいじゃないかということを申しておるのであります。でありますから、日立が輸銀のほうへ、これは最近における情勢から輸銀が当然使えるのだ、こう言ってくれば、輸銀は輸銀でそこで判断をするという段階もありましょう。あるいは新たなる情勢があって、これは問題がある、いまの法律論は別でございますが、そこに政府が介入する場合が全然ないとは言えぬと思いますけれども、しかし私の立場から言えば、あくまでもこれは民間ベースであって、契約が従来こういう論議なしに本来履行されるべきなのです。それが遺憾ながらいろいろな問題があった。いろいろな問題があったけれども、その問題の一番急所は台湾の介入云々があったから、その点については総理台湾大使に会って、どちらかを言わずに、自主的にやる、こう言った以上は、契約がどんどんされることが私は進むということを言っているのですけれども、遺憾ながら私のこの気持ちはどこにも徹底せずに本日に至っている。田中委員も御指摘のように、三十一日を前にしてのこういう見解を出すこと自体も、私の所見からいえばほんとうはおかしいのです。
  65. 板川正吾

    板川委員 倉敷ビニロンプラントのときには、政府は問題なく大臣の言うような意味において認められたのでしょう。だからこのニチボーのプラントにしても、日立造船の船舶輸出にしても、その当事者が当然輸銀を認めてくれるものという前提に立って契約をしたことは御承知でしょう。そういうことで向こうとの話し合いをしていることは、それは契約の文書にあるないは別として、政府として関知しないわけではないでしょう。それから日立造船なりニチボーの当事者が政府に輸銀を扱わしてほしいということを強く要望していることも御存じでしょう。そうすると、そういう段階に立って、いま大臣が言うように、政府はやるというのだから、そんなことを言わなくていいじゃないか、わかっておることじゃないか、それなら、当然それは扱わせるという見解があったっていいじゃないですか。これも新聞でわからないから聞くのだけれども、別途考慮というのは、輸銀も含めて別途考慮するとか、あるいは別途というからには輸銀は含めないという解釈もとられるだろう。一体また考慮とは何だ。考慮というのは、たとえば銀行団に裏話を政府がつけてやるから、ひとつ何らかの都合で輸銀の融資ができないようなことがあっても、それに対する損失は——輸銀の目的はこういうプラントや大きな設備機械類を輸出する場合には、日本は金利が高いのだから、その金利を外国並みに少なくともして輸出をしようというのが目的なんだから、その輸銀で扱わせなければ高い金利を払わなくてはならない、高い金利については政府が別途考慮する、それは銀行団の裏話にして政府は考えるのだ、そういうことを言うのですか。これはどうも佐藤内閣の姿勢というものがはっきりしないですね。総理になるときには、日中の解決は佐藤内閣でなければできないし、佐藤内閣こそ日中問題を解決する唯一の内閣だ、こういうたいそうえらそうなことを言ったが、どうも大事なときになるとさっぱり要領を得ない。これはどういうことなんですか。輸銀の取り扱い、輸銀の融資は認めないというのですか、認めるというのですか、どっちかはっきりとひとつ統一見解説明をしてもらいたい。
  66. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 これは業者が努力すべきだということを私はいつも言っておるのであります。その努力をすることによって、これは採算が立つのか立たないのかということになると思うのであります。それからまた御承知のように、この問題は中共側においても、その融資はどういう形でやるかということを問題にしているのではないのだ、これも明白にしておるわけですから、私としては、通産省立場でいえば、その企業者に不当に負担をさせて、そして輸出をするということを看過するのもどうか。そうなれば、これは輸銀がもしうまくないというときには、うまくないように、やはり輸銀は考えてやらなければならぬだろと思うし、それからこの輸銀の関係は、輸銀へ書類を持っていくと、輸銀は独自に判断をするでしょう。従来、これは私が御説明する必要もないと思うのでありますが、輸銀は受理したものは全部一〇〇%そのまま事務的に承認をして輸銀を使わしておるのかというと、そうでもないのであります。それは相手国の国内事情、信用度その他から考えて許可をしない場合もあるのであります。またこの日中間のことについても、中期の延べ払いなどは現に行なわれておるのであります。ですからこの点を、いまここで輸銀問題を対象にしてとやかく言うということは、先ほども田中委員が言ったように、私の立場で言うべきものではない、輸銀側が言うべきことなのでありますから、全部別途考慮の中に大きく包んでいただきたいと思います。
  67. 板川正吾

    板川委員 じゃこういうのですか。日立なりニチボーなりが輸銀に申請をしたならば、政府は一切輸銀の取り扱いにまかせる、輸銀は法律に従ってそれを決断する、それで政府は輸銀の決定に一切何も言わぬ、こういうことなんですか。さっき通産大臣はそうでもなさそうなことを言うから問題なんです。ただ輸銀がその場合にできないということは、いま大尉が言ったように相手方の信用の問題が一つあります。しかし、いま中国にそういう信用力がないということは大臣も考えてないだろうと思います。もう一つは輸銀のワクです。輸銀のワクをはみ出してどんどん延べ払いの額がたまってしまっても、それはぐあいが悪い。しかし今日まで輸銀のワクがないから輸銀の融資をしないということは過去に例がないそうです。ですからワクがないということもない。中国が信用できないということでもないでしょう。そうすると大臣、この日立とニチボーさんが正式に輸銀に申請をして、輸銀がオーケーと言ったら政府は一切文句を言わぬ、法律のとおり、信用とその融資のワクとを考慮して、いいと思ったら、輸銀がオーケーと言ったら政府は何ら一切干渉いたしませんか、どっちですか。
  68. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 それは統一見解とは少し解釈が違うと思います。統一見解は、やはり別途考慮中なんです。だからこれは私にもう一つ積極的な答えを板川委員は求めておられるのかと思いますが、しかし私がこの別途考慮中を乗り越えての、また輸銀の立場をいろいろ推察しての答え方は、私としてはどうか、またこれも先ほど御指摘があったように、大蔵大臣が監督しておる問題について私がとやかく言うのはどうかと思います。私としては、あくまでも契約がなだらかに履行されて、その間に金融問題が解決される、しこうしてまた企業者によけいな負担をかけることは私としてはどうも芳しくない、こういう見解を明らかにしておるのであります。それで先ほど申したとおりに、これはあれこれが総合された統一見解で、私は率直に、この見解が出るについては、それぞれの立場によって意見もあった、その意見のあった結果が、すみやかに契約が履行されるべきである、また金融は別途に考慮中である、こういうことになったと思います。
  69. 板川正吾

    板川委員 結局こういうことですね。別途考慮という政府統一見解内容は、輸銀の融資は政府は認めるつもりはない、そのかわりに、輸銀融資をしないために負うマイナスの面は別途に政府も裏で話し合いをする、損害を与えた日立とニチボー、さらに今後出る何がしかのプラント輸出業者に対しては裏で適当に配慮する、しかし表向きは輸銀には融資はさせません、裏で考えます、だから結局ブラント輸出業者は別に損はないのだから、それで話し合いをつけて輸出をしなさい、こういう方針でしょう。法律論は別ですが、いま政府統一見解としてあるものの構想というものは、われわれが理解すれば、いま言ったように輸銀には扱わせないで、そのマイナス面は別途に政府担保して損害をかけないようにするから、こういう方式で商売しなさい、結局はこういうことになりますね。
  70. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 私、それも違うと思います。そうならばこの段階ではっきり、輸銀は使わせないが金融については別途考慮、こうすればよいのですが、やはりそれは一がいにそういう解釈にはならないと私は思います。あくまでもこれは別途考慮の問題だと思います。
  71. 板川正吾

    板川委員 これはどうも水かけ論で、私の言うことも大臣によくわからないし、大臣の言うこともさっぱりわからない。これはひとつ総理なり大蔵大臣なりを呼んで聞くということにいたしまして、きょうは私はこの問題についてはこれ以上やりません。      ————◇—————
  72. 内田常雄

    内田委員長 鉱業に関する件について調査を進めます。  石油に関する問題について質疑通告がありますので、この際これを許可いたします。古川丈吉君。
  73. 古川丈吉

    ○古川委員 石油の販売業界の対策について四点ほど御質問を申し上げたいと思います。  まず第一は価格指導の問題、それから給油所建設規制の問題、揮発油の欠減対策の問題、金融措置の問題、この四点について伺いたいと思うのでありますが、この四つの点は一括してひとつ御答弁を願いたいと思います。この御答弁は鉱山局長にお願いしたいと思います。  まず価格指導の問題でありますが、本年一月以来、石油精製元売り各社すなわちメーカーに対しましては、新規精製設備の建設抑制、生産調整すなわち減産及びこれに伴う減産特別融資の道をあっせんするなど、通産省はメーカー段階に対して非常に強力な不況打開のための行政指導を行なわれたのであります。このため販売業者への販売価格は、すでに石油業法によって指示された標準価格に達し、メーカー段階での過労競争は一応ストップしたように思われます。しかるにこれらの石油製品を消費者に供給している石油販売業界は、依然として経営不安定の様相が続いており、政府はこれら流通段階に対しどんな指導措置を行なっておられるか。石油販売業者は大部分が御承知のように中小企業であり、その組織している商業組合の調整規程の中に、正札販売制を取り入れたいと希望しておりまするが、公正取引委員会との折衝の過程で、実施がむずかしいということでございまするが、それはどういう事情になっておるか。また正札販売が困難ならば、それにかわる措置として何か方法はないのか。石油製品のような重要物資の消費者価格の安定をはかるためには、地方通産局の手で、きめのこまかい強い行政措置が必要と思いますが、通産省の鉱山局は、地方通産局に対し何らかの指示を与えておられるのかどうか、また消費者価格を通産局が指示して、それを守らせることはできないのかどうか、またこれによって石油販売業者にも消費者にも目標を与えることができて、価格が安定される、こう思われまするが、どういうお考えか。  以上の点について、一応一括して御答弁を願いたいと思います。
  74. 大慈彌嘉久

    ○大慈彌政府委員 お答えいたします。  石油販売業界対策としての価格指導でございますが、たいへん広範な御質問をいただきましたが、第一は、現在どんな指導措置をとっているか、それに関連しまして、正札販売制はどういうことになっているか、正札販売制がむずかしいようであるならば、どういう指導方策があるか、こういう御質問だと思います。  第一の指導措置でございますが、ただいま先生が御指摘いただきましたように、精製段階といいますか、メーカーサイドに対しては、最近適正な生産基準の施行とか、過当競争の排除とか、そういうことをいろいろいたしまして、一時に比較をいたしますと、だいぶ過当競争は是正されてきたわけであります。従来こういうふうな過当競争が、石油販売業者にもよくない影響を与えまして、販売の業界も石油の価格が激しく変動するために困難な事態に出会う、こういう状況であったかと思います。したがいまして生産段階といいますか、精製段階のもとを正すということがまず大切であるというような判断から、適正な生産指導ということをやってきたわけであります。しかし御指摘のとおり、流通段階といいますか、販売段階は、これまたそれに劣らぬだけの大切な業界でございまして、販売価格の安定というのもぜひ達成しなければならないことであります。したがいまして、従来から密接に相談しながら進めてきたわけでございますが、石油製品の販売業界は、三十八年以来中小企業団体法に基づく商業組合というのを結成いたしております。大体この組合を中心にして、いろいろ御相談をしているわけでございますが、調整規程をつくりまして不当廉売の防止であるとか、ガソリンの品質の保持であるとか、過当サービスの防止であるとか、そういうことを行なっております。さらに最近はガソリンスタンドの建設規制の問題等もございまして、これも販売業界の立ち直りといいますか、そういうことには非常にプラスになると考えております。現在指導しておりますことはそういうことでありますが、今後とも強化をいたしたいと考えます。  それから第二点の正札販売制でございますが、この問題は三十九年の末ごろから、九州をはじめ各地区の組合から、正札販売制を行なうべきであるという御要望が出たわけでございます。現在正札を店頭表示をするといいますか、調整規程で定められておりますところによりまして、価格の店頭の表示は行なっているわけでございますが、表示価格どおりの価格で販売をする、これがいわゆる正札販売と言われていることでございますが、このような正札販売条項を追加したいという申請が各組合からあったわけであります。私たちはこの問題に対しまして、申請どおりに認可を行なうことが妥当ではないか、こういうふうに考えまして、公正取引委員会意見の調整を行なったわけでありますが、現在のところ残念ながら公正取引委員会の了解が完全につかないという状態にあります。公正取引委員会のほうは、正札販売条項を認めますと、価格のカルテル行為を促進するおそれがあるということを理由にしているわけであります。全部統一価格で、カルテル価格に統一をされるのではないかというおそれであります。私たちはそういうおそれはない、カルテル価格を助長するということでなくて、そういう心配はないのだ、こういうことを言っておりますが、現在のところは同意が得られておりません。今後とも同意を得られるように折衝いたしたいと思いますが、それまでの間といいますか、それにかわる措置はないかという御質問お答えするわけになりますが、各通産局によりまして行政指導を行ないまして、適正価格を守るようにやっていったらどうかということで考えております。先般通産局から担当者を集めまして二度ほど会議をいたしたわけでありますが、適正な販売原価というのを通産局のほうで通知をすることにいたしまして、これは過渡的な緊急の措置ということで、最も必要のある地区から行なってみたらどうかと思います。近く実施をいたしたいと考えております。
  75. 古川丈吉

    ○古川委員 私が御質問申し上げたい次の項に多少触れられましたが、過当競争の問題でございますが、給油所の建設の規制の問題について伺いたいと思います。  現在経営不安定の様相が続いている石油販売業者の経営改善についても、強力な指導措置がとらるべきだと思いますが、たとえば給油所の乱設されているのも過当競争の最も大きな原因であると思います。給油所で販売される石油製品のうち九〇%まではガソリンが占めておりますので、給油所が多いか少ないか、過剰かどうかということは、ガソリンの需要量を見ればわかることなんで、給油所は、過去四年間の実績によりますれば、毎年二千五百カ所ないし三千カ所が新しく建てられておる。その増加指数は三〇%を上回っておりまするが、しかるところ、ガソリンの需要の増加率はどうかと申しますと、年々二〇%にも達しない。その伸びの率の比較からしますると、給油所は非常に過剰になっておると言えると思います。昨年におきましては四千カ所も給油所ができたと聞いておりまするが、一方ではメーカーに対して減産を指導し、ガソリン需要も伸び悩んでいるのに、給油所の建設が従来の実績をはるかにこえて建設されているのを、そのままにしておくということはどうかと思います。給油所の経営に当たっている石油販売業者が、給油所は今後一年間建設をやめるべきだと主張しておりまするが、そういう点についてはどうお考えになっておられるか。四十年度の千五百カ所建設されるということも、従来の半分程度ではありますけれども、ガソリンの需要の増加率、平均二〇%に近い伸びに対して、四十年度は通産省のつくった供給計画によりますと一二・三%というくらいに低く、給油所の建設数を半減するのは当然のことであって、規制とは言えない。経営改善は販売量が伸びてこそ望めるものである。しかるに販売量は三十八年度の四十キロリットル、月間の平均でございますが、現在では三十六キロリットルに低下している。こうした事情からも、四十年度に給油所の建設を千五百カ所も認めるということは多過ぎると私は思います。千五百カ所は権利ではないと言いますけれども、一たん出してしまった以上は、これを下げるということはなかなかむずかしい。先の価格の指導の問題でも、公取の関係でもなかなかむずかしいようでありますが、またこの給油所の増設抑制の問題につきましても、現在においては、法律の根拠からいえば非常にむずかしい問題だと思いますけれども、さしあたりこういうことは何とかしなくちゃならないので、強力な何か行政的な指導を願いたいと思いますし、また何か現在の法律ではこれはなかなかむずかしいけれども、何か法律の根拠を与えればこれはできるというようなことが考えられますれば、そういう点につきましても、ひとつぜひともお考え願いたい。ただいま申し上げました給油所の建設の規制の問題につきまして、まとめてひとつ御意見を伺いたいと思います。
  76. 大慈彌嘉久

    ○大慈彌政府委員 給油所の建設でございますが、ただいま先生から御指摘いただきましたように、毎年最近は二千五百から三千と、非常に大きな伸びといいますか、数が建設されたわけであります。特に昨年は四千カ所に近いという建設をしたわけでございますが、何とかしてこの給油所の建設をもうちょっと押えたい、過当競争を排除したいということで、長い間の念願になっておりましたが、今年に入りまして、昭和四十年度は千五百カ所に規制をしようということに業界と話し合いがついたわけであります。この千五百という数も多過ぎるのではないか。石油の販売業界は一年間建設を全くやめてしまってはどうかという御意見をいただきましたことは、御指摘いただいたとおりであります。この件についても相当考えてみたわけではありますが、やはり全部とめてしまうということになりますと、給油所の機器をつくっております機械の業界等に対する影響もございます。それから元売りの系列におりましては、やはりどうしても多少のものはつくらなければならないとか、それぞれ事情もございまして、今年度は昨年の半分以下になりますが、千五百程度でやろうということになったわけでございます。この千五百にまとまりますまでも、ずいぶん長い間時間をかけておりまして、ある意味からいったら、画期的ということにもなろうかと思いますので、問題は、この千五百に確実に押えるといいますか、千五百カ所どおりに守るということを、これからやりたいというふうに考えます。どのような強い行政指導をやるかという一点でございますが、給油所建設懇談会というのを地方及び各地区につくりまして、元売り業者、それから販売業者、それに通産省のほうも入りまして、適正な数を押える。それから非常に込み合っております場所は避けるとか、それからどういうふうに行なわれているかということを迅速に調査をする。そういうことで実効を期していきたいというふうに考えております。
  77. 古川丈吉

    ○古川委員 次に、長年の懸案の揮発油の欠減の問題について伺いたいと思いますが、揮発油税法によりますと、欠減として税額の千分の十五の還付が認められておるわけでございます。これは揮発油がメーカーから消費者に渡るまでの全段階についての措置でございます。したがって、欠減千分の十五の収得は、メーカーも販売業者も関係しておるものであるにもかかわりませず、現在はメーカーだけが独占をして、販売業者には全く与えられていないというのが実情でございます。揮発油税は、メーカーが納税義務者に指定されておる関係上、メーカーから販売業者に出荷する段階で課税される。したがって、販売業者は税金を含めた価格で消費者に販売しており、税額が過重であるために価格維持にも大きな影響を与え、販売業者が徴税のための犠牲者になっておる状態であります。これらの事情からも欠減還付は流通段階にむしろ多く与えらるべきであると思います。この件につい工も、石油販売業界は二、三年ほど前からメーカーと折衝しているのに、いまだに結論が出ないようでありますが、この問題を通産省はどうお考えになっておられるか。通産省はいままで業界の指導をどういうぐあいにこの問題についてしてこられたか。欠減は税法上の措置であって、メーカーと販売業者の取引条件その他の条件によって左右されるものではない。これは販売条件とは全く別個なものである。このことは税の経過措置における販売業者の手持ち課税の例を見ましても明らかであります。したがって、一部のメーカーなどで主張しておるように、流通段階の欠減は取引条件によってカバーしておるという理論は成り立たない。欠減還付はあくまで税法上の措置として、中小企業者であり、特に実際的に徴税の犠牲が大きい販売業者に還付されるべきものである、かように考えておりますが、この問題について通産省の御見解を伺いたいと思います。
  78. 大慈彌嘉久

    ○大慈彌政府委員 揮発油税の欠減の問題でございますが、ただいま御指摘いただきましたように、もう二、三年前からの長い問題であるわけであります。御承知のとおり、揮発油は元売りの蔵出しをしましてから消費者の手に渡るまで千分の十五、一・五%の欠減、目減りがございまして、したがいまして元売り業者が蔵出しをいたしますときに一・五%だけ差し引いた数量に対して揮発油税を納める、こういう形になっておるわけでございます。消費者に渡るまでに目減りといいますか、減っていくわけでございますから、その段階にそれぞれこの一・五%に相当する税額の差し引き分は返されるのが理論的には正しいと考えます。ところが実際上の取引といたしましては、ガソリンの正味の価格といいますか、税を抜きにしました正味の価格と税金分とが別々に分かれておりますと、こういう複雑なことにはならないわけでございますが、実際上は込みにした値段で売られているわけでございます。そのために非常にややこしいことになりまして、元売りのほうから言わせますと、取引条件次第だ、両方込みにした値段で売っておるからその分は差し引いていくんだということも言えますし、それから逆に販売業界のほうから言いますと、あくまでこれは税法上の問題で別なんだというような御主張になるわけでございます。従来ガソリンの価格が非常にくずれておりまして、標準価格も相当下回るというふうな状況でありましたので、元売り業界のほうから言いますと、消費税の転嫁が消費者に対して完全には行なわれていないというようなこともございまして、昨年も元売り業界と販売業界で相当話をしたにかかわらず、これがまとまらなかったというような経緯があるようでございます。しかし、この一・五%という欠減率が行なわれましたことは、三十二年のころからの話でございまして、元売りのほうもそれから販売業界のほうも、ともに非常に密接な関連にある石油業界部内のことでありますし、それが長い間解決されないということは、いま申し上げましたような販売価格が一本になっている、あるいは販売経路が非常に複雑である。元売りから直接来ているところもありますし、途中さまざまな段階を経てから消費者の手に渡るというよなこともございまして、いろいろむずかしい状況にあろうとは思いますが、いずれにしても、長い間解決されていないということは非常に遺憾に思います。あくまでこの問題は商取引の問題だというふうに考えますが、できるだけ早く解決されるように私たちも努力をしたいと考えます。
  79. 古川丈吉

    ○古川委員 欠減率の問題は非常に努力をしていただいておるようではございますけれども、元売りの価格が標準価格に達しておる現在でありまするので、ぜひともひとつ、いま局長は商取引の問題だと言われましたけれども、私は理論的には別個のものだと考えておりますので、ぜひともひとつこの問題は解決していただきたい。  さらに、最後にお伺いをするのでございまするが、御承知のように、メーカーには融資のあっせんを行なっておられますけれども、流通段階に対しても、やはり中小企業である販売業者に対しても当然考えなくちゃならぬと思いまするが、その点につきまして、どういうような積極的な考えを持っておられるか、ひとつ最後にお伺いしたいと思います。
  80. 大慈彌嘉久

    ○大慈彌政府委員 資金対策でございますが、御指摘のように、中小企業金融ということになろうかと思います。従来からもいろいろお話は伺っておりますが、はっきりした御要望を聞きまして、善処していきたいと考えます。商工組合、中小企業関係の各金融機関に連絡をいたしましたり、そういう努力をさしていただきたい。
  81. 古川丈吉

    ○古川委員 御質問申し上げました点につきましては、通産省当局は私たちが望んでおるような方向に向かって努力をしておるということはよくわかりますけれども、さらに一段と積極的にひとつ努力をしてくださることを希望申し上げまして、私の質問を終わります。      ————◇—————
  82. 内田常雄

    内田委員長 通商産業基本施策に関する件について、調査を進めます。  質疑通告がありますので、これを許可いたします。中村重光君。
  83. 中村重光

    中村(重)委員 大臣にこの際伺っておきたいと思います。それは電気事業審議委員の問題です。御承知のとおりに電気事業法が制定をされたときに、審議会をつくり、その委員を選ぶことになっておりますが、その折衝の過程で、社会党が推薦する者を審議委員として選ぶ、こういうことが当時の福田大臣との間に非公式に話があった。その折衝の経過を率直に申し上げますと、いま厚生大臣になっておられる神田さんが自民党の窓口として出られたわけです。私は、社会党の電力対策特別委員会の副委員長をいたしておりますが、委員長であった藤田さん、それから事務局長であった八木さん、私も出まして、そうしてその点はそうするということを、福田前大臣は言うまでもなく、宮本公益事業局長等と、そういうことに実はなっておったのであります。ところが、大臣、この点十分おわかりになっておられるので、私から詳細を申し上げる必要もありませんが、参議院の審議段階において、藤田進参議院議員との間にさらに突っ込んだ話し合いがなされ、さらにまた櫻内新任通産大臣は藤田君に対して、書いたものを渡しておるということが伝えられておるわけであります。しかしその後、電気事業審議会の重要性と、早急にこれを設置して、それなりの役割りを果たしてもらわなければならないにもかかわらず、今日に至るまで、その委員の任命がなされていない。したがって審議会が開かれない、こういう状態にあるわけであります。この点、大臣はどうお考えになっておられるのか、いつ委員をお選びになるのか、いまのままの状態審議会を構成しないでいこうとしておられるのか、率直にひとつこの際、大臣の所見を聞かせていただきたい。
  84. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ただいま電気事業審議会の問題についての経緯のお話がありました。私も大体そのように心得ております。また、私が藤田君に覚え書きを渡したことも事実でございます。これは否定いたしません。ただその間に問題がございましたのは、私、就任直後でございましたので、藤田君に覚え書きを渡しましたときには、こういうことによって審議委員をきめられる、そういう見通しを、私も、また私も補佐する事務当局も持っておったようでございまして、私は藤田君に、こういうことでいこうかという心づもりの覚え書きを渡したのであります。しかしながら、先般、この問題はどうかという参議院の予算委員会での藤田委員みずからの御質問でございまして、それは、実はあなたには直接におわびをしておる次第だが、この覚え書きは、これを表に出して論議をする場合には、法律の明文上、どうもそれに触れる点もあるし、また、その後、国会の速記録等を読んでみると、どうもここに書かれておることは、そういう表向き残ったものとしては行き過ぎになっておるようでもある。したがって、先般来あなたには、これは私が手落ちで相済まないということでおわびをしておるわけであります。しかし、そのメモの中には、いま中村委員も御指摘になって、社会党からお話しがあったように、われわれとして考慮してやれる場合もございまして、やれる部面も全然ないわけでもないんで、私としては、これはこれでおわびをするが、誠心誠意解決のために努力をしておるわけです、こういうふうに申し上げておるのであります。また現在の心境についても、その点は一つも変わりはございません。ただ、非常に問題がむずかしい段階にきておりまして、それがために、こういう話は通産大臣が一人責任を負って動いてみてもなかなか打開できないじゃないかというような御理解もございました結果、藤田委員通産省の村上政務次官も加えまして、六人の方が、それでは調整しよう、こういうことになりました。私としては、たいへんけっこうなことでありまして、何らかの結論が得られれば、六人の方の結論を受けて私は動くということ、こういうことでございましたが、むずかしい問題だものでございますから、結論が得られずに本日に至っておるようでございます。また、その間に藤田委員がみずから総理にもお会いになり、また、総理は労働大臣に御見解をただされまして、その間に藤田委員が了承のもとで何らかの打開をする動きもございまして、これも現に続けられておると思うのでございます。その場合に、私は藤田君に、せっかくのあなたの御努力でもある、しかし、かたがた六人の方におまかせもしておるんだから、六人の方の御了解を得てやっていただかないと、また私がおしかりを受けるようなことでもいけない、いや、それはわかっているというようなことで、現にその努力が続けられておるというわけでございます。こういうような、非常に長い間のことで、いろいろな皆さんの善意ある御努力がございます。私も別段これを遷延して、審議会を設けないのであるとかいうような考えは一つもないのであります。私としても、一日も早くこれを解決して、そうして審議会が発足して、必要な政令、省令などがここで論議せられて実施されることを望んでおるけれども、いかんともいたしかたない情勢のままで本日に至っている、こういうわけであります。しからば今後どうするのか。私としては、法の定めるところによりまして、七月には電気事業法の実施をしなければならないのでありますから、ぎりぎりまでに何としてもこの審議会が設置され、また政令、省令審議会で御協議を願って後に実施をいたしたい、こう思っております。
  85. 中村重光

    中村(重)委員 大臣が藤田参議院議員との間にいろいろと話し合いをされ、そうして覚え書きを藤田議員に渡された、そのときの心境と現在の心境というものには変わりはない、そのように理解をして差しつかえございませんか。
  86. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 私としては、何としてもこの問題を円満に解決をしたい、一日も早くしたい、その心境には全然変わりはございません。誠心誠意何とかこれを、むずかしい問題だが解決をいたしたい、この熱意にも変わりはございません。
  87. 中村重光

    中村(重)委員 政治にはむずかしいことが出てくるものであることは私もわかっています。しかし、いま大臣が言われるように、何としてもこれはどうにもならないことだというようなことではないと私は思う。少なくともあなたは通産大臣であり、公益事業である電気事業を掌握する所管大臣である。その公益事業である電気事業の民主的な運営を行なわしめる上において、その審議会の果たす役割りがいかに大切であるかということの認識も十分あられると私は思う。それならば、いろいろむずかしい問題がその過程において出てきたといたしましても、あなたの、通産大臣としての責任を果たさなければならぬという、その責任感の上に立って、すみやかに審議委員を委嘱をし、構成をして、審議会を発足せしめる、こういうことでなければならぬと思います。それだけの決断なくして大臣としての任務を、責任を全うすることにはならぬと私は思う。どういう態度で、いつごろまでに審議会を発足させようとお考えになっておられるか、その点はっきりさしていただきたいと思います。
  88. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 実は、私に決意もございます。それから、その私の決意をお伝えもしておるのでありますけれども、こういう経緯をたどりましたから、でき得べくんば御了解の上でいたしたい。私はすでに決意をしているのであります。しかし、その御了解が得られないのであります。その私の決意を一応申し上げますならば、これはいろいろな動きはございましたが、結局、公の場で表明されている事実、これを基礎にして判断をする、決断をするのがよかろう、こういうことで私は考えておるのでありますが、しかし、かりに私がおわびをいたしましても、一応はそういう意思表示をした経緯もございますから、藤田委員の御了解も得たいし、また、中村委員も八木委員もいろいろ御関係もあったことでございますので、まず藤田委員の御了解が得られれば、こういうことではいかがかと申し上げたい気持ちはやまやまでおるのでございますけれども、残念ながらそういうふうにいかない。同時にまた、先ほど由したとおりに、別途に調整の動きも行なわれつつあるものでございますから、そこに大きな期待を持ちながら本日に至っているわけであります。しかし、いよいよ最後の段階には、どうしてもこれ以上方法がないからお許しをいただきたいということを言って、場合によれば、おしかりを受けても決断をしたほうが、審議会が設置されて、そこで御協議を願うほうが私は好ましいと思っております。しかし、いやそういうことはいけないのだ、こう言われれば、やはり初めからの経緯からいたしまして皆さんの御意見を尊重しなければいけない、こういうわけであります。私としてはすみやかに結論を得たい、こういう方針で進んでおるわけでございます。
  89. 中村重光

    中村(重)委員 大臣は参議院のほうに十二時半までに行かなければならないと委員長から連絡を受けましたので、これでやめますが、私はいまの大臣お答えは納得いきません。藤田委員におわびをしなければならないとか、中村、八木委員に対しても了解を受けなければならぬとか、どうしてそういうような答弁をなされるのか、了解に苦しむんです。その推薦は藤田委員が名前をあげてあなたにした。あなたはそれを了承して覚え書きを出した。その人物が適当でないということが後日において発見された、明らかになったというようなことがあれば別です。しかしそういう委員を好ましくないと考えたのはあなたではないのです。第三者です。あなたは通産大臣として、藤田委員との間に、確かにこの人物は委員としてふさわしい者であると考えて了承を与え、覚え書きをお出しになった。それを第三者からいろいろちょっかいを受けたからといって、今日に至るまでそれを委嘱をすることができない、そして委員会の構成、発足をさせることができないといういまの事態において、適任者であるその者がいかにもやめなければならぬというような印象を受けるようないまのお答えは約得できないのです。それからあなたは、四人委員会とか六人委員会とかにお願いをした、その委員会は努力しているとおっしゃるけれども、私の知る範囲においては何もやっていない。それはあなたもわかっておられないはずはないと思う。ですから私は、いまあなたからそういう形式的な答弁を伺おうとは思っておりません。少なくとも、大臣として責任を持って約束した以上は、公約をして覚え書きを出した以上は、それを実現することをあなたとしては当然やらなければならぬことだと私は思う。すみやかに公約を果たし、この委員会の構成を行なって、重要な任務を担当する委員会審議が一日も早く開始されるようにあなたに強く善処を求めまして、私の質問を終わります。
  90. 内田常雄

    内田委員長 次会は、来たる四月六日火曜日午前十時より理事会、午前十時十五分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十四分散会