○中野
政府委員 いま御指摘の
中小企業の工場団地の最近の進捗状況でございますが、
昭和三十六年から始まりまして三十九年、ことしで四年になるわけでございますが、いま全国で、三十九年度を含めまして八十一の工場団地が造成中でございます。大体これは御
承知と思いますが、計画を立ててから完成するのに三年はかかる。ものによってはいろいろな土地収得等がおくれるというようなことがおもな原因でございますが、四年かかるというものもございます。このうちで二十団地がほぼ完成をして操業に入っております。ところが、一つは、御
承知ような団地の完成時に
金融引き締め等の
経済的な非常な影響がございまして、また最近は御
承知のように
経済情勢があまりよくないのでありますが、こういうようなことも一般的に影響しておると思います。必ずしも所期の
目的を全部が達成しておるということはできないと思います。
ちょっと大体の経過を申し上げますと、三十六年に十団地でありまして、これはもう全部完成をいたしました。それから三十七年が二十団地、これはほぼ完成したものが二十団地のうちで半分の十団地、それからほぼ計画どおり進捗しておるものが五団地、計画より遅延しているものが五団地、これがまあ問題でございます。たとえば一番
新聞等で取り上げられておりますのは、北九州の小倉の鉄工団地、これは倒産がそのメンバーの中で八社も出ておるというようなことのために非常にむずかしい
情勢になっております。三十七年でほぼ半分は完成しております。それから三十八年は大体計画よりややおくれておるものが二十五団地のうちで六団地ということで、大体七、八割方は計画どおりいっておるのではないかというふうに見ております。先ほど申し上げましたように
経済情勢の変化等によりまして、ある
程度問題もありますが、もともとこの工場団地の造成ということは非常にむずかしい仕事でございまして、御
承知のように
中小企業者が非常にいわゆる世間で一般的に言われている過当競争ということで、お互いにしのぎを削りあってやる、こういうようなことでございまして、それが同業のものがほぼ大体一つの団地を形成して、その団地の集団化によって、全体としての生産過程の合理化、能率の向上ということをやろうというのでありますから、非常にむずかしい問題であります。したがいまして、われわれいつも言っておりますのは、まず団地をつくろうとする組合員の皆さん方の相互の協調ということが最も大事で、これがくずれればうまくいきません。この協調の上に立ってリーダーシップをとっていく指導者の方がよき指導性を発揮していただく。よき指導者を得て指導性を発揮して、組合員の皆さま方がこの困難なむずかしい仕事をやりとおしていこうという、この協調精神、これが基本でございます。これが非常にうまくいっておりますところは、資金面等で非常にむずかしい問題等がありましても、
政府あるいは県当局、あるいは
関係金融機関の援助等で大体うまくいっております。
それからもう一つは、先ほど申し上げましたが、やはり何といっても指導の
立場に立つ府県の当局者、あるいは通産局、あるいは通産省というような行政指導が非常に大事である。それからいままでの経過を見まして、やはり一番うまくいかなかったのは、土地取得について非常に時間がかかった。これは御
承知の農地転用によりますので、それに非常に時間がかかって、一年近く土地取得にかかるというようなことがあって、計画がずれる。そのために資金の調達等がうまくいかなくなるということが一つの問題でございます。
それからもう一つは、やはり資金の
確保の問題で、当初の計画というものを企業診断等を受ける等で、ほんとうにがっちりと当初から
金融機関の
意見等も聞いてやっておったものはうまくいっておりますが、そうでないものは、当初の計画がずさんと言うことは業者の皆さん方に非常に悪いのですが、結果的にそういうふうなものが出ておって、資金の
確保に困難性を感じておる。
それから最後に、でき上がった場合の市場の
確保。相当の生産高で、売り上げ高はできても、十分市場
確保がされないために逆に収益性が下がる。売り上げだけはふえて収益性が下がる。この土地取得資金の
確保、市場
確保、こういうところに問題があってうまくいかないという例もあるかと思います。