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1965-03-17 第48回国会 衆議院 商工委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年三月十七日(水曜日)    午前十時二十六分開議  出席委員    委員長 内田 常雄君    理事 小川 平二君 理事 田中 龍夫君  理事 中川 俊思君 理事 早稻田柳右エ門君    理事 板川 正吾君 理事 加賀田 進君       浦野 幸男君    小笠 公韶君       小沢 辰男君    海部 俊樹君       黒金 泰美君   小宮山重四郎君       佐々木秀世君    田中 榮一君       田中 正巳君    田中 六助君       中村 幸八君    二階堂 進君       長谷川四郎君    古川 丈吉君       三原 朝雄君    大村 邦夫君       五島 虎雄君    桜井 茂尚君       沢田 政治君    島口重次郎君       田中 武夫君    竹本 孫一君       山下 榮二君  出席国務大臣         通商産業大臣  櫻内 義雄君  出席政府委員         通商産業事務官         (通商局長)  山本 重信君         通商産業事務官         (軽工業局長) 伊藤 三郎君         消防庁次長   川合  武君  委員外出席者         通商産業事務官         (軽工業局無機         化学課長)   内丸 邦彦君         建 設 技 官         (住宅局建築指         導課長)    三宅 俊治君         参  考  人         (高圧ガス保安         協会会長)   黒川 眞武君         参  考  人         (日本LPガス         プラント協会技         術部会長)   田中  榮君         参  考  人         (全国プロパン         ガス販売商工組         合連合会保安技         術委員長)   高橋 辰夫君         参  考  人         (全国LPガス         スタンド協会連         合会会長)   郷  裕弘君         専  門  員 渡邊 一俊君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  高圧ガス取締法の一部を改正する法律案内閣  提出第一一〇号)  通商に関する件(一九六五年度北京・上海日本  工業展覧会に関する問題)      ――――◇―――――
  2. 内田常雄

    内田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出高圧ガス取締法の一部を改正する法律案を議題として審査を進めます。  本日は、本案審査のため、参考人として、皆さま方のお手元に配付いたしましたとおり高圧ガス保安協会会長黒川眞武君、日本LPガスプラント協会技術部会長田中榮君、全国プロパンガス販売商工組合連合会保安技術委員長高橋辰夫君並びに全国LPガススタンド協会連合会会長郷裕弘君、以上四名の方々出席されております。  参考人各位におかれましては、御多用中のところ特に御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。会議を進める順序といたしまして、最初に参考人方々に、それぞれの立場から大体十分ないし十五分程度の御意見をお述べいただき、次に委員方々から質疑がありますので、これに対しましても忌憚なくお答えをお願いいたしたいと存じます。  それでは、まず参考人の方の意見を承ることといたしまして、高圧ガス保安協会会長黒川眞武君から意見を承ることといたします。  念のため申し上げますが、黒川さんは、現在高圧ガス保安協会会長であられますが、以前は皆さんも御承知のとおり工業技術院の院長をなさっておられました工学博士であります。  それでは黒川参考人
  3. 黒川眞武

    黒川参考人 まずもって、この産業界のあかとも称すべき災害と鉱害につきまして、そのうちの災害につきまして御討議いただくことに対しまして、深く御礼申し上げます。  私は、災害方面に関します現在の一般の状況につきまして、ごく簡単に申し上げたいと思います。  大体、現在災害件数から申しますと、逐年下がっておるようでございます。たとえば一昨年は八十万件が七十六万件に下がった。しかしながらその内容を見ますと、死亡件数は逆に幾分上がっております。たとえば六千人であったものが六千四百人になっておるというように、その災害が、内容重大性を帯びてまいった傾向があらわれております。特に、その内容を検討しますと、三人以上の死傷者を出した件数は三十八年に二百八十三件でございます。これは鉱山関係だけは除いてございますが、二百八十三件ございまして、そのうちの百六十六件は建設業において起こった災害でございまして、その次が製造業といたしまして五十六件起こっております。その他の業界は各十件程度でございます。こういうようなことから見ますと、建設業災害というものは依然多いのでありますが、これは逐年の統計を見ますとほとんど一定でございます。ところが、製造業に関する災害というものは残念ながら逐年増加の傾向にございます。しかもそういうようなことから見ますと、従来の災害原因というものは物理的原因から起こったものが多かったのでありますが、最近におきましては化学的原因によって起こる災害が目立っております。特にその中で高圧ガス関係を見ますと、大体年間二、三億円の損失、それから死傷者は二百名ほど出ております。しかもその災害の中で製造側に起こった災害消費側に起こった災害とを比べますと、後者のほうが約五倍ほど多いように統計にあらわれてきております。しかもその中で、最近ではプロパンによる事故が多いように見受けられるわけでございます。試みに三十八年の高圧ガス関係統計を拝見いたしますと、全事故が六十三件、製造側に起きましたのが九件、消費側に起きましたのが四十九件、その中のプロパン事故が四十七件というような数字が出ております。したがいまして、今回政府当局におきまして、保安協会もいろいろ御相談にあずかりまして、今回消費者側に対する災害防止のために法の改正が行なわれたと考える次第でございます。  その間にありまして、一昨年法が改正されまして、この高圧ガス保安協会というものが設けられました。業界が自主的に保安体制を固めて保安効果をあげようということで、この協会が生まれました。この協会はまだ生まれましてから一年足らずで、日なお浅いのでございますが、でき得る限りの努力をいたしまして、すでに数個の作業基準とかあるいは技術基準とかいうようなものを決定いたしまして、御当局に申達いたしました。そのほか容器の検査であるとかあるいは作業主任販売主任のための講習会を開きまして、一年間に受講者は大体二万名に達しております。なおまた、そのほか不幸にして昨年いろいろ事故がございまして、その事故の調査あるいは今後の問題点というようなことを、われわれのほうにございます技術委員会で終始検討いたしまして、今後の指針となそうということで、これを取りまとめまして御当局に申し上げ、またその内容につきましては業界にいち早く流しまして、今後そういうことがないように努力いたしてまいりました。  したがいまして、不幸にしてそういう事故がございますが、一方化学工業災害というものは、御承知のように次第に大型化になりまして、また連続化になりまして、さらにまたオートメーションの発達によりまして非常に大量に取り扱うということでございますので、一たん災害が起こりますと、その一部だけではなく、全系列に廃品が出てまいります。しかもこのための災害防除のいろいろな設備というものは非常に高くなってまいりました。それからそういう災害が起こりまして休みますと、全系列を休まなければならぬ、あるいはまたさらにそれの下請中小企業のいろいろな仕事を休まなければならぬということで、損害が非常に大きく影響してまいります。場合によっては販売シェアまで失うというようなことがございますので、最近の化学工業というのは、特に安全教育あるいは安全対策というものにつきまして留意をいたしまして、しかもこの技術は日一日と進みますので、われわれとしましても、まだ非常に不明確な、あるいはわからない技術対策として残っております。したがいまして、私ども通産省にもお願いいたしまして、この災害防止対策研究をもっと一そうすみやかにしていただきたいというふうに念願し、お願いした次第でございます。  われわれといたしましても、今後いろいろな形でこの災害防止いたしたいと思っておりますが、ことに中小企業災害につきましては、まず第一に私は教育であろうと思うわけでございます。これは広い意味教育でございまして、経営者から従業員あるいはまた下請の人、そういうものに対してそれぞれ適切な教育を施し、かつまた実技の指導を行なわなければならないと思うのでございます。現在までは遺憾ながらそこまで徹底しておらない傾向がございます。それから、われわれがっくりました技術基準が正確に守られていないという点もございまして、昨年起こりましたようないろいろな不幸が見られるのでございますので、私どもはおそまきながら今後こういった面に力を入れまして、教育に、あるいはまたその技術基準が守られているかいないかということを都道府県のあとについて、そして一緒にそういうようなことを調べて指導していきたいというふうに考えておる次第でございます。  そこで、時間もございませんので、われわれがいま感じております保安対策の重点について申し上げますと、ただいま申しましたように、近代産業技術革新と、かつオートメ化のために、大量の未経験危険物極限状態で、あるいは極限状態に近い条件で取り扱わなければならないので、災害事故防止の観念につきましては、むしろ生産の必須条件になってまいったというふうに感じます。  第二番目は、災害の種類は従来の物理的災害に加えて、さらに化学的原因による災害が加わってまいりましたので、それぞれこれは別個に考える必要があるように考えております。特に最近この化学的な原因による災害が多発の傾向が見えておるので、この点は特に留意しなければならぬということで、私どももできるだけこれに努力いたしたいと思っております。  この化学災害のうちで、不用意によって起こるものが非常に多いのであります。あとから考えてみますと、何とばからしいことであったということ、これが案外多発しておるのでございます。こういう災害に対しましては、管理と規制で防げるのでございますが、われわれもまだ未知の分野の異常作業あるいは新技術の開発のために起こってくる災害がございます。これに対しましてはわれわれはまだ経験が浅い、また徹底した研究が進められておりません。そういうものに対しましては、今後基礎研究をもっと盛んにし、これに対する防除技術の確立ということが必要であると思います。したがいまして、今後こういった研究をもっと盛んにしていかなければならぬと思います。なお、望むらくは、こういった専門の安全研究所のようなものの設立ということも切に切望しておる次第でございます。  また、中小企業に対する災害防止につきましては、まず安全教育、それから防除施設の完備、かつまた技術基準を完全に守っていただくということが今後の大きなお役に立つことと思いまして、ひたすら今後政府当局にお顔いし、かつまた、これがためにはある程度補助金が必要かとも考えられますが、これは行政のほうの御判断にまかせることにいたしたいと思っております。  なお、災害をさらに自主的に防除するために多数の防除基準をわれわれは今後つくっていいかなければならぬ、また多くの方に教育を徹底していかなければならぬ、そういう意味におきまして、保安協会の使命は今後ますます重大であると思うのでございます。したがいまして、われわれ協会員は今後専心これに努力いたす気持ちでおります。昨年不幸にして多くの災害が出ましたことは、まことに遺憾でございまして、私どもも深く反省するところでございます。どうかその点はひとつお許しいただきまして、今後われわれの活動を期していきたいというふうに念願しておる次第でございます。
  4. 内田常雄

  5. 田中榮

    田中参考人 日本LPガスプラント協会技術部会長をしている田中榮でございます。LPガスプラント保安についての見解をお話ししたいと思います。  最近起きましたLPガスプラント事故を調査してみますと、第一に、先ほど黒川会長からお話がございましたように、実にささいな取り扱い上のミスによってガス漏洩などの第一次的な事故を起こしまして、たまたまそのプラントが、われわれ協会中心になってつくりましたLPガスプラント基準に適していないような場合には、これが第二次のプラント災害発展いたしまして大きな事故になっているようでございます。  LPガスプラント保安の第一は、第一次の災害つまり取り扱いミスによってガス漏洩などを起こさないことが必要であります。プラント自体欠点によってガス漏洩を起こすような例は、少なくともプラント基準にのっとってつくられているようなプラントに関してはまずないとわれわれは確信しております。取り扱い上のミスは、取り扱い者教育、訓練その他によってカバーする以外に方途はないと思います。しかし取り扱いは人間のやることでございますから、どんなミスをおかすかもわかりませんし、第一次の災害チャンスは将来もたくさんあると思います。このような場合に、第二次のプラント災害に至らしめないようにすること、または第二次のプラント災害発展いたしましても、それが最小にとめられるようにすることが、われわれの協会がつくりましたプラント基準でございます。このプラント基準内容は、プラント位置、構内における各設備の配置だとか、LPガスプラントを構成しておりますタンクだとか、ポンプ、コンプレッサーあるいはバルブ、液面計各種計器類など一切のすみずみに至るまでこまかに規定した基準でございます。この基準をつくりました立場から見て、液化石油ガスLPガスプラント保安上問題になると思われる点を申し上げたいと思います。  まず第一に、LPガス充てん所タンクは、原則として地下にするかあるいは地上にするかという問題でございます。これはたいへんむずかしい問題でございまして、日本のみならず世界じゅうのどこの国でもまだ完全に意見が一致していると思われません。たとえばアメリカでは、主として地上タンク中心にして、むしろ地下のほうが例外のように見受けられます。いずれがよいかということはにわかに断定できないと思います。地上あるいは地下タンク保安上の見地から見ましてしいて優劣を比較いたしますと、大体次のように考えられると思います。  まず地下式タンクの有利な点は、ガス漏洩付近の民家などの火災による第一次の災害からタンク爆発などの大きな第二次プラント災害発展することは、地下の場合はまずないと思います。これが何といっても地下式の一番大きな利点であります。欠点といたしましては、LPガスの性質上、タンク地下にいたしますと、これの払い出し用ポンプをどうしてもタンクよりも低い位置に設置しなければならない、つまりポンプ地下室におさめなければならないということでございます。ポンプ地下室に設けるということは、ある意味からいうと非常に危険なことでございます。御承知のとおり、ポンプタンクなんかよりも漏洩を起こしやすいものであります。漏洩したガスは空気より重いために地下室にたまり、爆発性混合ガスをつくることになります。地下室にたまった爆発性混合ガスのおそろしさは、先年アメリカで起きましたアイスショー地下室で起きた大事故、あの場合はたしか五百キログラムくらいのLPガス漏洩して、それが地下室に充満し、たまたまそれに火がつきまして大爆発を起こして、一階におりました多くの観客の人が死傷したという大事故でございますが、あの大事故から推しても、地下室にそういったポンプや何かを設けることの危険性はよくわかると思います。日本でも地下ポンプ室ガス漏洩して大騒ぎをしたことは二、三例がございますが、幸いにして事故にはなっておりません。地下貯蔵タンクを設ける場合には、この危険は地下ポンプ室ができるということが何といっても大きな欠点でございます。もちろん地下ポンプ室の危険を除去するために、換気装置を設けるとか、あるいは爆発したときの衝撃圧を緩和するために爆気孔を設けるなどのいろいろな措置は講じておりますが、いずれもこれは補足的な対策でありまして、ポンプ室地下にあるという根本的な危険を除去することにはなりません。またタンク地下に設置して特殊なポンプ地上に設置する方式も最近は行なわれているようでございます。この形式は確かに安全なように見えますが、ポンプが特殊なために、一般のユーザーの方たちにとりましてこれの保安管理が困難なために、かえってトラブルを起こすということも聞いております。  次に地上タンクの有利な点は、日常の保守管理が容易なこと、ポンプなどからの小漏洩がありましても、地上にあるためにそれらの漏洩ガスが拡散してしまって危険な状態にならないということが第一であります。欠点といたしましては、万一大量漏洩があった場合には、御承知のとおりの茨木のようなタンク爆発を起こす可能性もあるということでございます。しかしタンク爆発原則としては、地上にあるタンクでも二基並列した場合に起こるチャンスがあるものであって、タンク一基の場合には起こり得ないと思うのであります。と申しますのは、大量漏洩を起こしたタンクはすでに大きな開口部ができておるわけでございまして、ガスに火がついて火災になりましても、すでに大きな開口部ができているタンク爆発することはまずないと思います。二基ありまして、タンク事故を起こして、隣にある完全に密閉されたタンクに火がついた場合に、非常な危険な状態になるわけでございます。タンクが二基あった場合には、確かにそういったタンク爆発を起こすような危険がないとはいえませんが、タンク一基の場合には必ずしも爆発を起こすということはないと思います。しかし、タンクタンクローリーからの大量漏洩も、プラント基準にあるような過流防止弁を設け、常に正常な状態にあるように管理しておけば、ガス大量漏洩はほとんど起こり得ないものでありますし、また、最悪の火災になった場合においても、タンクヘの散水装置が確実に働けばタンク爆発は防げるものでございます。最近の事故の例は、すべてこれらの点に欠けていたものに発生したものでございます。  以上のごとく、プラント側から見た場合、地上にするか地下にするかは、いずれも一長一短がありまして、にわかに断定しにくいと思うのです。近いうちに地下貯蔵形式プラントにつきまして各種実験を行なう予定になっておりますので、でき得ればそれまで結論を延ばしていただきたいと思います。しかし、市街地のごとく、プラント周辺に人家の密集している場合には、逆に付近火災によりましてプラントが第二次的な災害を起こす可能性もありますので、その場合には地下にしたほうがあるいはよいのではないかとも考えております。  次に、LPガスブラント保安にとりましての重要な問題は、保安距離の問題でございます。タンクやローリーが爆発するものだというたてまえに立ちますと、保安距離は幾らあったって、これは足りるものではございません。しかし、プラント基準にのっとってつくりましたプラントに関する限りは、タンク爆発はしないんだというたてまえに立ちますと、われわれが、つい数年前にいたしました甲府におけるLPガスプラント火災実験あるいは諸外国の例などによりましても、現行の保安距離で十分であると思っております。  次の問題は、向圧設備弁類あるいはその他の計器類などの付属設備について、保安基準をもっと強化したらどうかということでございます。これにつきましては、高圧保安協会中心になりまして、これらの基準がすでにでき上がっておりますので、この基準を守らせるようにすることがまず第一であろうと思います。  たいへん簡単でありますが、一応これで終わらしていただきます。
  6. 内田常雄

    内田委員長 ありがとうございました。  次に、全国プロパンガス販売商工組合連合会保安技術委員長高橋辰夫君から御意見を承ることにいたします。高橋参考人
  7. 高橋辰夫

    高橋参考人 商工組合連合会高橋でございます。第一線小売業界の面から、どのような保安をやっておるかということをお話しを申し上げたいと思いいます。  いま、われわれ第一線販売業界指導者あるいは中堅層までの考え方といたしましては、プロパン販売は、保安経済は車の両輪であるということを常に言っております。それは、自動車にたとえますと、保安は前輪であり、そうして後輪が経済販売経営合理化あるいはまたその他によりまして適正利潤を得られることが、保守と一体になってプロパン発展があるんだという考え方を常に持っております。この考え方から、今日一千万世帯になんなんとするプロパン発展をしてきたんだというふうに私どもは考えております。プロパン第一線業界の姿をお話しする前に、地方のわれわれの組織をまずお話しを申し上げます。  プロパン家庭用販売というものが昭和二十八年ごろから行なわれまして、次第に業者がふえてまいりますとともに、これはたいがい各県の御指導によるものでございましたが、各地方の県にプロパン協会設立をせられまして、これが大体保安指導に当たってまいりました。このプロパン協会というものは、末端の小さな業者からメーカーまで加えた非常に幅の広いものでございまして、これが大体県の御指導のもとに、それぞれの業者保安指導に当たってまいったのでございます。だんだんに業者がふえてまいりますと、方々過当競争が起こってまいりましたので、その後、団体法によりまして、各県に商工組合というものが結成されまして、これが、大体いま五つほどの県を残しまして、ほとんど全部商工組合が結成をせられております。そして、それぞれの団体全国組織を持ちまして、全商連、全協連という組織を持っており、この両方の団体の上に全国LPガス協議会というものをつくりまして、協調しながら相互の運営をいたしておるわけでございます。ただいまわれわれが需要家に対して販売をいたしておりますガス取り扱い基準というものは、お手元にお配りいたしました「LPガス取扱基準および同付録」ということで、大体通産当局の御了承を得ました法の準則として、この規則に基づいて保安を行なっておるわけでございます。大体われわれが考えておりますことは、商工組合指導経営合理化、それから過当競争の排除ということでございますが、それはこういう考え方を持っておるからであります。というのは、プロパンガス過当競争のあまりに利潤がなくなるということを招来してまいりますと、ガス漏れだからちょっと来てくれというふうなお得意さんがあっても、二日も三日も延ばしてしまう、それがお得意の災害につながるということなので、なるべくそういう無理な過当競争をさせないで、適正利潤を得ながら消費者保安を確保していくというのが、いまのわれわれの商工組合としての考え方でございます。プロパンガスがこの十年ほどの間にこれだけの発展をいたしてまいりましたけれども、この燃料は、都市ガスも同じでございまするが、夏と冬の需給の差が非常に大きいのであります。三年ごとに大体いままでガス不足を繰り返してまいっております。ことしは非常に大きなガス不足が到来いたしまして、先般商工組合連合会といたしましては、通産大臣需給の面のお願いをいたしたわけでございまするが、この需給のバランスが一たびくずれてまいりますと、保安の面にも非常な影響が出てまいります。それはどういうことかと申しますと、まず第一に、第一線の小売り業者といたしましては、ガスがなくなっても、どうしてもお得意さんのガスを切らすわけにはいかない。ガスを切らせばお得意さんは逃げてしまうのだということで、少ないガスをいかにお得意さんに配達をするかという点に頭を悩ますわけであります。現在、青森などでは十キロのびんに三キロ詰めて配達をする。大阪などでは八キロを先月はやっておりましたが、最近は五キロ詰めの配達というのをやっております。そういうことでございますから、従業員はいままでの倍の労働を強いられるということでございまして、これが消費者災害につながってまいります。たとえばボンベを配達いたしまして、ボンベをお取りかえをいたしましたときには、必ずお客さんの立ち会いで点検するということになっておるわけでございまするけれども、忙しいあまり、そういう面の注意がだんだん欠けてまいるというふうな事態が起こってまいります。また販売店の経営も苦しくなってくるわけでございます。それからガスがダブった場合でございまするが、これも保安の面では非常にあぶない場面が出てまいるのであります。それはどういうことかと申しますると、ガスの余った場合には、どんどん市場にそれが流れてまいりますので、勢い安値競争が出てまいり、そうしてそれがシェアの拡大のために新しい販売店をどんどんふやす。それから自分の割り当てを消化するためによそのお得意もどんどん取るというふうな事想が起こってまいりまして、そうして需要家のいままで使っていたボンベをはずして新しいボンベをつけていく。そうすると、はずされたボンベは、ガスが中に残っていながら、そこに何カ月か放置されるというふうな状態も出てまいるわけでございまいまして、ガスが余ることも、少ないことも、非常に保安に密接な関係を持ってくるわけでございます。その意味で、われわれ第一線販売業者といたしましては、これからプロパン発展を考えますときに、どうしても需給を調整するような大きなガスタンク政府のお力で何とか実現をさしていただいて、そして需給のバランスをとることがすなわち保安を守ることでございまするので、そのようなおはからいをお願いをいたしまして私のお話を終わることにいたします。
  8. 内田常雄

    内田委員長 次に、全国LPガススタンド協会連合会会長郷裕弘君より御意見を承ることといたします。郷参考人
  9. 郷裕弘

    ○郷参考人 ただいまLPガススタンド協会という御紹介がございましたので、まずスタンドと申しますことを御説明させていただきたいと存じますが、私たちの業界はわずか一年半の歴史しか持ちません。LPG業界のうちでも最も新しい分野でございまして、ただいまのところ全国にスタンドが三百二十軒ございますし、また供給先は、全国で六万二、三千台の自動車にガスを供給しております業界でございます。最近LPガス関係の事故が起こりましたことにつきまして、はなはだわれわれは遺憾に存じております。詳細に発生原因を検討いたしましたところ、これらはすべて諸法規、諸規定の守られていなかった事実が判明するのでありまして、起きるべきことが起きた、いわばミスハンドリングから起きた人災であるというふうに存じております。私ども関係業者は深くその責任を痛感いたしまして、ただいま従業員の再教育、訓練及び作業の監督指導を強化して保安の万全に鋭意努力中でございます。ここにおられます大阪より来られました東氏の一例をとりますと、大阪では茨木の事故以来、緊急対策として自主保安対策委員会を設け、取り扱いの細部にわたる災害の予防規定を定められて監督指導をされておりますので、その後、事故は全く起こらなくなりました。また東氏の経営される会社におきましては、昭和三十七年以来今日に至るまで無事故でおりますので、確実に守られるならば現行法規にて十分保安の確保ができるという氏の御意見は、私ども業界の者一同確信を持って申し上げられることでございます。  タンクの問題につきましては、二年前に地上実験が行なわれまして、そのデータに基づき自主保安基準として日本LPガスプラント協会、いわゆるJLPAと申しておりますが、その基準が定められまして、これにつきましては昨年JLPA基準を厳守せられたいと通産省の通達が出されましたが、実はこれがいまだに厳守されていないのでございます。私どもは法の改正の前に、まず法の厳守が必要であると痛感いたしております次第であります。  設備につきましては、当局の御指導のもとにすべて地下タンクにせよとの御意向があるというように漏れ承っておりますが、なるほど地下設備一般市民に一応安心感を与えますかもしれません。小さな事故の場合には被害は防止できるように思われますが、実のところ、アメリカにおきましては一昨年大事故が起きまして、明らかに地下設備なるがゆえに被害が増大しました悲惨な例がございまして、現在アメリカにおきましては特殊なるもの以外はすべてタンク地上に置かれております。このように地上設備または地下設備の優位ということについては、われわれ業界の者としては多分の議論はございます。私どもにもただいまのところ是非の確信がないので、これがためすでに千九百万円の実験の予算が計上せられておりますので、数カ月後にこの民間側の寄付金を加えまして、本年、高圧ガス保安協会中心になって官民協力のもとに地下設備実験が行なわれますことになっております。私どもはこの実験データに基づき、納得できる法の改正を希望するものでございます。申し上げますと、昨年茨木事故の後に十一月十三日付の通産省令百二十一号をもって、地上タンクはすべて噴霧散水装置設備せよと定められましたので、これまた地上タンクまかりならぬということになりますと、当時当局の御指導に従いましてタンク一台当たり百万有余円をつぎ込みました資金が全くむだになってしまうというようなことにもなります。確固たる基礎データのもとにその法は改正せらるべきであるというのが、私たち業界の自信を持って申し上げられることだと存じます。  最後に申し上げたいと存じますのは、オートガスの関係といたしましては、スタンドの事故はいまだにございません。最近一、二の事故はオートガス事故のごとく報道されておりますが、実のところオートガス一般の充てんが併用されている、またそこに非常に無理があるというようなことからも勃発したというふうにも考えられます。オートガスのみを規制することよりも、一般の問題がここにあるのではないかとわれわれは考えておりますので、その点重々御考慮願いたいと存じます。  なお、われわれといたしましては、保安協会をより強化されましてわれわれの自主保安の御指導をいただきまして、なおその上LPガスの供給確保、適正なる課税などにつきましていろいろと御配慮願いたいと存じております。  ありがとうございました。
  10. 内田常雄

    内田委員長 以上で一応参考人方々意見の陳述を終わります。     ―――――――――――――
  11. 内田常雄

    内田委員長 次に、政府当局並びに参考人に対する質疑の通告がありますので、順次これを許します。板川君。
  12. 板川正吾

    ○板川委員 黒川参考人にまず伺いますが、保安協会ですか、これは一昨年法改正によって新たに出発をして、保安基準研究、研修あるいは保安検査、こういう業務をやっておるわけです。一年間運営をしてまいったと思うのですが、その一年間の運営の体験から考えまして、現状のままではたしていいかどうか、ひとつ率直な意見を伺いたいと思うのです。それは協会の収支関係を見ますと、一億三千万何がしが支出であって、検査料その他の収入は千四百万か、約十分の一ですね。したがって、この保安協会の運営は会員の会費によってまかなわれておる。会員がお互いに応分の会費を持つことはやむを得ないと思う。安全を確保するということが自己の経済に通ずるのですから、いわゆる応益に従って負損するのはやむを得ないと思う。しかし十分の九も負担するのでは、どうしても協会の運営が業者会員の保護という面ですか、そういう方向へどうしても運営されがちになるのじゃないか。そしてこうやれば実際は保安上一番いいことだけれども、負担をしてもらっておる会員の経済的なことを考えると、新しい基準なり方法なりを率直に言うことができない、こういうことになるのじゃないかと思うのです。ですから私は保安協会会長という立場から、一年間の運営の欠陥というものがあったら率直にこの際出していただきたいと思うわけです。これはこの前法律を改正するときに、私どもは国が補助を出すように強く注文をして、保安協会の自主的な保安活動という面をもっと拡大すべきではないかという主張を持っておったのですが、われわれがそういう主張を持っておる点も考慮された上で、ひとつ御意見があれば承っておきたい。
  13. 黒川眞武

    黒川参考人 ただいま先生から保安協会に対する非常にあたたかいおことばを賜わりまして、私ども非常にうれしく存じております。ただいまのお問いの中に、現状のままでいいのかどうかということが第一点にございました。私ども結論から申しますと、現状のままでいいとは必ずしも申し上げられません。ということは、実は私どもの会は、御承知のとおり一昨年の暮れに法的に成立いたしまして、ようようただいままで一年経過いたしました。その間いろいろ人員の整備であるとか、あるいはまた御当局の御指導によってその準備をするとかいうような段階もございまして、一応法できめられました仕事をしてまいりました。しかしまた業界といたしましても、すでに自主的にこのおそるべき災害を排除していこうという熱意も相当ございまして、多額の会費もちょうだいしておるわけでございます。その間におきまして、われわれは法によりまして準公務員的な性格を持たされております。したがいまして、後段で先生の御心配になったように、ある程度企業家に引きずり回されないかという御心配がございましたが、これにつきましては厳に私も戒めておりまして、ことに検査のような問題につきましては公務員と同じような気持ちで、すでに一々辞令を渡しまして、地方におきましてもそのことを申し伝えまして、厳にやっておるつもりでございます。したがいまして、いままでのところはそういう点につきましては、私どもも努力をいたしておりますが、欠陥というものは感じたことはございません。ただいろいろの費用につきましては、いささか思うようにならぬ点もございます。たとえて申しますと、技術基準をつくるということが相当大きな任務でございます。しかしながら会費の限度もございまして――もっともだだいま通産省のほうに一千数百万円の委託費というものはございます。それによりまして、ただいまプロパン関係の話もございましたが、そういう技術基準の作成の根拠になるようないろいろの実験をやっております。しかしそればかりではございませんので、私どもの予算の中からも捻出いたしまして、それの約倍程度研究費を投じましてやっておりますが、しかし災害は非常に多種でございまして、なかなかその金だけでは思うように活動ができないということが率直な意見でございます。したがいまして、できればもっと委託費のようなのをいただきまして、今後の基準の作成あるいはこれにまつわりますところの特定の実験、そういうものをやって早く技術基準をつくっていく、そして災害の防除につとめたいというように考えておりますのが現状でございます。
  14. 板川正吾

    ○板川委員 年間一億三千万何がしか、月に約一千万ですね。十分な活動をするとすれば、一体どのくらいの予算規模といいましょうか、費用がかかりますか。これはわれわれは通産省へ、どんどん技術研究なりを委託して、委託の費用も計画的に出して、もっと保安協会というものの活動を活発にさせなくちゃいかぬじゃないか、こう思っているわけですが、大蔵省が何か反対だということで、十分じゃないのですけれども、しかしこれは本来なら国がやるべきなんですからね。国がやるべきものをやってもらうのですから、そういう意味じゃ将来何らかの形で助成策を講じて、委託費なんかもっと出してもらいたいと思うのですが、一体どのくらいの規模が当面必要かということを、わかったら、勘でけっこうです。
  15. 黒川眞武

    黒川参考人 いまの御質問に対してお答えいたしますと、やはりできましてまだ一年足らずでございますので、そう大きなことを申し上げてもいかがかと思いますし、また私どものでき得る範囲というものもございますが、でき得るならば、まず来年度におきましては現在の倍くらい、さらにそれに加えまして、先生のおっしゃるとおり、こういう問題は国でやるべきものでありますので、相当大きな基礎研究のようなものは研究所でやっていただいて――ということは、保安協会に何もかもりっぱな技術者をかかえるわけにもいきませんので、すでに国の研究所にはりっぱな技術者がございますから、そういう方面におきましてやっていただいて、その結果をちょうだいしまして、これを業界とはかって、場合によっては業界においてもっと大規標な試験をしなければならぬというようなことがございますれば、そのいただいた委託金で再実験をやりまして、現状に沿うように勘案して、そして技術基準をきめたい、こういう意味におきまして、委託研究費というようなものを、率直に申しますれば、もう倍ほどちょうだいしていきたい。さらに、幸いにして私どもの努力が実りまして、十年後、五年後となりましたら、もう少しお願いするかもしれませんが、やはり自分の能力もございますので、率直な意見を申し上げました。
  16. 板川正吾

    ○板川委員 次に、田中参考人に伺います。田中さんは、地下タンク式と地上タンク式とにわかに優劣が断定できない、こういう説でございます。しかし、最近東京都では、地下式原則とするように指導されています。それから、たしかおたくでしょう、日本LPガスプラント協会、ここでも、スタンドにおける貯蔵タンク地下設備原則とし、設置方法は次のいずれかによると、こういうふうに規定されておって、地下式原則だということを、LPガスタンド基準として発表されておるのですね。そういうものと、にわかに断定したがたいという結論とどういう関係がありますか。矛盾しておりませんか。
  17. 田中榮

    田中参考人 ただいまの御質問に対しましてお答えいたします。  われわれのつくりましたスタンド基準のほうでは、原則として地下、確かにそのとおりでございまして、私も先ほど申し上げましたとおり、スタンドというものは主として市街地に多くできるということが前提でありましたので、市街地などでは距離も十分取り得ないというケースが非常に多い。そういった場合に、プラント自体からトラブルを起こすということもさることながら、まわりの民家などの火災によっておそらく断水なんかするチャンスもあるだろうし、そういった場合には地上ではやはり危険であろう。そういう意味で、市街地におけるスタンドは原則として地下が好ましいというようにわれわれは考えております。東京都庁で、最近ほとんど地下を奨励して、しかも東京都庁の場合では、ポンプのピット室を地下に設けさせないで、たしか特殊なポンプを採用させて、それが地上に置いてあった、これはたいへんいいアイデアだと思うのですが、たまたまそのポンプが、現在の段階ではまだ特定のメーカーの専有のような状態になっておるものに対して、われわれのほうで規制するということがちょっと困難であるということ、もう一つは、そのポンプが特殊な形態でありますので、一般の末端のユーザーの方々にとりましてかえってトラブルの原因にもなっているというような、いろいろなことをわれわれとしては聞いておりますし、そういった意味でやっておるわけでございます。
  18. 板川正吾

    ○板川委員 LPガス充てん所が問題になるのは、どこも基準を守って事故がなければ、こういった社会的な責任を追及されるということもないですね。ところが、茨木にあり、名古屋に起こり、さらに今度は東京だろうと、こういう説もあるのです。だんだん北上してくるのだ。そういうこともあって、大きな事故、人心を聳動させるような大きな事故があるものですから、やはり取り締まりがきびしくならざるを得ないと思います。田中さんは、基準を守れば事故がないはずだという御説、これはごもっともなんです。どなたも交通法規を守れば事故はないのですね。しかし、交通法規を守らないで、あるいはひょっとした間違いで守らないために事故を起こす。事故防止というのは、守らない場合でもその事故の被害を最小に防止する、こういうところに事故防止の目的があると思うのです。これはプラント設備のほうの基準ですが、たとえば名古屋なんかでも、タンクと事務所の間は、日本LPガスプラント協会等でつくった基準では、八メートルの距離を置かなくちゃいけないということになるのだが、実際は五メートルの間に事務所があり、中でストーブをたいておる、こういう状態であった。ガスが漏れていなかったら問題はない。規則を守って、だれも規則のとおりやっておれば問題はない。ところが、万が一そういう間違いがあった場合に大きな事故を起こす。万が一規則を守らないで、手落ちがあったとしても事故防止しようというのがいわゆる保安対策じゃないか、こう思うのです。そういう意味で、せっかく協会基準をつくられておる。しかし、業界自身、業者自身が守っていない、こういうところに問題があるんじゃないでしょうか、名古屋の事例から見て。
  19. 田中榮

    田中参考人 われわれがせっかく基準をつくったのにかかわらず、それが十分守られていないということは、確かに私自体もよく認めます。いかにしてこの基準を周知徹底させるかということについて、われわれも、前から非常にあせりを感じるぐらいに努力しておるのでございますが、何分にもこの基準ができましてからまだ二年ぐらいでございますから、その前にできましたものにつきましては何ともしょうがない。その後にできましたものは、なるたけこれにのっとるようにと通産省から通達さえいただきまして、周知徹底をはかるようにしておるのでございますが、実際にはその趣旨がまだ末端まで徹底していないようでございます。  それから、基準を守っていれば確かに事故がないということは言えないと思います。どんなものでも、交通法規を守っていても自動車の衝突するチャンスはあると思います。やはりプラントの場合でも同じことだと思うのですが、小さな第一次的なミス事故というのは、先ほども申し上げましたとおり、将来もたくさん起こると思うのでございます。しかし、そういった場合に、それが第二次的な大きなプラント災害発展しないようにするのがわれわれの基準でございまして、そのような基準にのっとったプラントが構成してあれば、小さな事故は確かにあると思いますが、社会の不安をかもし出すような大きな災害にはならないと私は確信いたしております。
  20. 板川正吾

    ○板川委員 郷さんに伺いますが、おたくは、スタンドとそれを利用するタクシーのほうは関係ありませんか。
  21. 郷裕弘

    ○郷参考人 タクシーの会社で、自家用と称して、自分の車に充てんするスタンドを持っている会社も、私ども協会に入っております。
  22. 板川正吾

    ○板川委員 二年ほど前ですね、プロパンガスの自動車が爆発を再三いたしました。当委員会でも取り上げて、期限を定めて、早急に固定式なタンク装置にしろ、それから、LPガス車であるということとを表示しろ、こういう注文をつけたら、さっそくそれは守られてきております。最近はほとんど固定式となったと聞いていますが、あの自動車の場合には、もし衝突か何かでガスがパイプから漏る場合には、自動的にそれがとまるような措置になっておるのですか、現在は。
  23. 郷裕弘

    ○郷参考人 ただいまの御質問につきましては、過流防止弁というものがついておりまして、よほどひどい事故でございませんと、ガソリンタンクよりも厚いタンクでございますので、そういう面においては漏洩するということはあまりないと存じます。  なお、ただいまし御質問のうちに、固定式にほとんどというおことばがございましたが、ただいまのところは、タクシーは全部固定式でなければならないということになっております。運輸省の省令が出ているのは御存じだと思います。
  24. 板川正吾

    ○板川委員 郷参考人は関西の方ですか。
  25. 郷裕弘

    ○郷参考人 いいえ、東京でございます。
  26. 板川正吾

    ○板川委員 大阪における茨木市のスタンド爆発事故原因というのは御存じですか。
  27. 郷裕弘

    ○郷参考人 茨木の原因と申しますのは、私の知っております範囲におきましては、先ほど申し上げましたいわゆる充てんのミス・ハンドリング、充てんする場合において不備な点があった、すなわち訓練が行き届いていなかったために、または非常に怠慢に扱ったということにも考えられます。
  28. 板川正吾

    ○板川委員 そお爆発のために、大体二百メートル近くまで被害が及んだということを言われておりますが、そういう広範な被害があったのですか。
  29. 郷裕弘

    ○郷参考人 二百メートル近いものだというふうに聞いております。
  30. 板川正吾

    ○板川委員 時間の関係もありますから、参考人に対する質疑は私は終わります。
  31. 内田常雄

    内田委員長 沢田政治君。
  32. 沢田政治

    ○沢田委員 高橋参考人にお伺いたしますが、先ほど高橋参考人は、たとえば過当競争が非常にサービスを低下させる、あるいはまた、安定需給のバランスがとれなければ災害に結びつく、こういうことを言われたわけでありまして、私も一面にはそういう理由があると思うわけです。したがって、現在の段階は過当競争に入っておるのかどか。私の考えによりますと、非常に過当競争に入っているのではないか、こういうように考えざるを得ないわけです。いまどこの地方のいなか町に行っても、販売業者が四、五軒あるわけですね。そして双方で非常に牽制し合っておる。しかも若手労働者がなかなかいない。こういうことで、私も経験があるわけでありますけれどもガスがなくなったので来てくれといっても、一週間ぐらい来ないわけですね。人不足だと思うわけですね。それで、ちょっと故障があったときに来なかった、これは、非常に大きいことだと思うわけですね。したがって私、お聞きしたいのは、やはりいまの段階は過当競争になっておるのかどうか、こういう点です。  それともう一つは、安定供給がなければそれが災害に結びつく可能性が多い、こういわれておるわけです。きのうも私はこの委員会でそれをお聞きしたわけです。といいますのは、先ほどあなたも言われましたように、どうしても品不足であるならば、順調に製品が入ってこない場合には、過充てんの危険性があるわけですから、意識しつつも三キロボンベに五キロ詰め込むとか、これが災害に結びつく可能性が非常に多いわけですね。したがって、たとえばその例としては、二十九年から三十九年まで十年間に三百二十八件の災害があった。そのうち二百九十二件がほとんど消費先並びに運搬を含めてここに災害が起こっておる。こういう数字を見ましても、非常に安定供給そのものが災害に結びつく可能性がある。こういうことは私も当然だと思うわけです。そこで、たとえば安定供給のためには、どうしても大きなタンクが必要なわけですね。特にプロパンの場合には、その需要が冬季と夏季によって違う、こういう一つの特殊性があるわけですね。そういうことからいって、やはりアメリカとかイタリアあるいはフランス、イギリスがとっておるように、非常に人家から離れたところに地下貯蔵する、非常に冷凍したところに地下貯蔵する、そういうことで安定供給をはかる方法があると思うわけです。ところが私、いま考えてみますに、比較的プロパン業界というのは、製品業者を含めて、大資本というのはないわけですね。中から小のほうが多いわけです。したがって業者自体が膨大な経費をかけて地下貯蔵タンクをつくるということは不可能じゃないかと思うのですね。そういう意味で、現在においては、すでに一般都市ガスを凌駕して八百五十万世帯もこれを消費しておるということから考えるならば、政府とか、そういうものの力によって、それが財政援助になるか融資になるかは別として、政治の力を借りなければならぬ段階にきておるのではないか、こういうふうに考えますので、その点に対しまして率直な御見解をここで御披露願いたいと考えるわけです。  それから黒川さんにお伺いしたいわけですが、LPガスプラント協会保安基準を出しています。私もこれを詳細に読んでみました。これは法律よりも省令よりも、もっと詳しく書いてあるわけです。あれを全部守るなら、いまの時点においては、おそらく災害は絶無になるのではないかと思うわけです。したがって、法律をどんどん改正して強化していく方法もありますし、省令を改正してどんどん押しつけていく方法もあります。災害防止でありまして人命が非常に重要なものですから、そういう方法も一つあります。しかしそういう方法もあるけれども、もう一つの方法は、業界自体がいまつくられているこの保安基準を、法律以前の問題として守らせるという政治の力、行政の指導、援助、こういうものの方法と二つあると思うわけです。したがって私は、角をためて牛を殺すことはあまりいいことではないと思うので、あなたは前者と後者のどちらを望んでおるのか、これにつきまして率直な御見解を承りたいと思います。
  33. 高橋辰夫

    高橋参考人 ただいまの御質問に対してお答えいたします。  ただいま全国にあります販売業者の数でございますが、これが約五万軒ございます。このうちの約八〇%は非常に小さな零細業者であり、兼業者がほとんどでございます。私は、もうこれ以上業者がふえないほうが過当競争を防ぐ上からいっても好ましいことではないかというふうな考えを持っております。それといま一つ、私は常に保安の面で考えることでございますけれども、この小さな業者は、販売主任が一人しかおりません。いわゆる三ちゃん営業というものでございまして、プロパン取り扱いがたった一人しかいないので、それが旅行したり病気になったりしたら一体どうなるんだ、需要家保安というものは非常に危険な状態にさらされるのではないか、こういうことを考えますと、そういうふうな零細業者が今後ふえることはあまり好ましいことではないと思います。  それから、いま私どもが実際に中小業者指導として困っておりますのは、そういう業者教育の場にも出てこない。何度集合をかけてもちっとも出てこない。ということは、技術の勉強も、いまのプロパン業界発展についてこないわけで、したがって、その小さな業者と大きな業者技術の差というものは非常に大きなものが今日出てきております。小さな業者は、たとえば瞬間湯わかし器のパイロットが一つ消えたから来てくれと言っても、瞬間湯わかし器すら直せないという業者が相当にあるわけでありまして、こういう点で、われわれ公共燃料と言っておりますけれども、公共燃料を扱う業者の資格については欠ける点があるのではなかろうかというふうに考えます。それは試験を通った人でも勉強が足りなければだんだんに置いてきぼりを食うわけでありますから、そういう面で、過当競争防止の上からいって、この辺でそれぞれの業者に力をつけていくべきだというふうに考えるわけでございます。  それからいま一点でございますが、需給のバランスの問題、これは私は都市ガスも夏と冬と需給の差が非常に大きいということを聞いておりますが、プロパンガス業界におきましてもこれは同じことが言えるのでありまして、プロパスガスが市販をされましてからもうすでに十年以上を経過しておるのでありますが、その需給の差がわかりながらも、貯蔵設備というものができておらない。まあ末端の業者が貯蔵設備を持つというようなことは非常にたいへんなことでございまして、とうていできないので、これはやはり生産あるいは輸入のメーカーさんのところで、相当大きな量の貯蔵タンクをつくっていただいて、需給のバランスをとっていただくようにしなければならないのではなかろうかというふうに考えるわけでございます。しかし、いままでのメーカーさんのお話を聞きますと、冬は需給が増大するんだということで、相当大きな貯蔵の設備をおかけになったメーカーさんもあるやに聞いておりますけれども、そういう設備をかければ、必ず販売価格というものが、償却も含めて、上がってまいります。そうすると、現況でメーカーさんのほうから出ていく価格においても競争がございますから、なんだおまえのところ高いじゃないか、おれのところはこれだけの設備をしたから高いんだと言っても、それでは通らないというふうな事実がいままではございました。したがってそういうふうな貯蔵のタンクというふうなものは皆さんあまりお考えにならないで、その場その場で御商売をおやりになるというのがいままでの経過でございます。したがいまして、先ほども私が申し上げましたように、安定供給というものが、これが第一線業者に課せられた宿命でございます。これはメーカーサイドでも、元売りのサイドでも、ガスはこれだけしかないよといって切られた場合に、それでその人たちは済むかもしれない。しかしわれわれ一千万の需要家を持っておる第一線販売業者は、ないじゃ済まされないのです。ないと言えば、お客さんはどこかへ行ってしまいます。これはわれわれは倒産につながるということで、採算ベースが合わなくても、三キロでも持っていかなければならないというのが、いまの販売業者の実態でございます。そういう点で、われわれといたしましては、どうしてもここで需給のバランスをとっていただきたい、そのための貯蔵設備というものをお考えいただきたいと申し上げたわけでございます。
  34. 黒川眞武

    黒川参考人 ただいまのお問いに対してお答えいたします。  いろいろ広い範囲におきまして、約二万名以上の業者があるわけで、また環境がいろいろ違うところで販売なり商売をしておるこのプロパン業界におきまして、りっぱな設備をつくるということは、これは非常に重要なことでございますが、ただいま前の参考人の申しましたようにいろいろの事情もございまして、まず設備の前に、りっぱな作業また技術基準を忠実に守るということが大切でございまして、それを守るためには、まずもってこういう方々に対して十分な教育をするということが大切でございます。この点は仰せのとおりでございます。したがいまして保安協会といたしましては、まず第一にこういう方々教育をして、そうしてこの災害を防除する、災害を一たんしたらたいへんなことになるというようなことにいたしたいと思いまして、すでに計画を立てておりまして、もちろんこの作業主任販売主任の講習はやりますが、このほかに一応経営者及び幹部に対して教育をしたいということが第一点。第二点は、これに携わる従業者に対して教育をいたしたい。第三番目には販売業者に対して教育をいたしたい。それぞれ種類によりまして、一日間あるいは二日間あるいは三日間というようにいたしまして、かなり広い範囲において都道府県にお願いいたしまして、こういう教育をしていただくとともに、われわれのほうも一緒に協力して、ともどもにこういう教育をいたしたいといま予定しておりまして、これは早急に四月から五月にわたってやりたいと思っております。そのほか過密地帯の東京とか大阪につきましては、われわれ独力ででき得る限りまたこういう教育をいたしまして、少しでもこの災害をなくしたいと努力いたしたいと存じて、いま計画中でございます。したがいまして先生のおっしゃるとおり、まずもって私は、このプロパン業界はまだまだ非常に小さい業者が多いのでございまして、こういったような認識が足りないように私は考えておりますので、そういう点をまず第一にやっていきたいというふうに考えております。
  35. 沢田政治

    ○沢田委員 時間もないようでございますので、一言だけ局長のほうにお伺いしたいと思うわけです。  先ほど過当競争の話に関連しまして、高橋さんのほうから、いろいろな零細業者も入っておる、どんどんできてきておる、したがって保安教育の場合でも出てこない人もある、こういうことを言われたわけです。したがって私は、何も職業選択の自由を奪うとか、そういう大げさな考えは毛頭ありません。しかしながら、一歩誤ると非常に大きな災害可能性のあるものを販売しておるわけですから、これは非常に重要なことだと思うわけです。したがって、保安教育をするといっても来ない、全然熱意を示さぬ、こういうことに対してはやはり考えざるを得ないわけです。ここに私は、何というか、鉱山法のように欠格条項を設けるかどうかは別として、事故を起こしたり、そうして一定の保安基準に従わなかったり、勧告に従わなかったり、あるいはまた保安教育をする場合にも出てこぬ、熱意もない、誠意もない、こういう者に対してはやはり許可を取り消すか、あるいは欠格条項を設けるか、そういう規制も将来考えなければならぬのじゃないかと考えますけれども、いかがですか。  これで私は終わります。
  36. 伊藤三郎

    ○伊藤政府委員 御指摘のように、講習会にも出てこないという事業者に対しては所要の措置を講じなければならないわけでございますが、法律あるいは省令に違反の事実がないのに許可の取り消しということにはまいりませんので、そういう事業者につきましては、特に立ち入り検査等を励行させまして、違反の事実に対しましてはきびしく措置をする、必要あれば告発等の措置も講じなければならぬと考えております。そういう趣旨におきまして、先般各都道府県知事に通達を出しまして、違反事実に対しては厳重に措置するように、必要ある場合には告発等の措置も講ずるようにということを通達した次第でございます。
  37. 板川正吾

    ○板川委員 先ほど私の質問で、私が大阪、名古屋における充てん所事故が、オートガス充てん所というふうに実は考えておったものでありますから、実はそうではないので、家庭ガス中心だそうですから、その点だけはひとつ記録上取り消しておけばいいわけですね。
  38. 内田常雄

    内田委員長 他に御質問の方はありませんか。――それでは参考人の各位におかれましては、長時間にわたりまして御出席をいただき、まことにありがとうございました。  参考人の皆さんには、御退席をいただきましてけっこうでございます。     ―――――――――――――
  39. 内田常雄

    内田委員長 政府に対する質疑を続行いたします。板川正吾君。
  40. 板川正吾

    ○板川委員 法律的な問題で若干質問をいたしますが、まず二十四条の二が今度改正されることになりました。従来液化酸素については五百キログラム以上を法の対象としておった。ところが今度の改正で、液化酸素は質量三千キログラムというふうに単位が上がりました。この理由について説明願いたい。
  41. 伊藤三郎

    ○伊藤政府委員 高圧ガスの消費の状況が非常に変わってまいっておりまして、消費する場合に、小型の容器を持ってきて消費する場合と、タンクローリー等によりまして消費する場合と、導管によりまして消費する場合とあるわけでございます。今回改正をいたしましたのは、主としてそういうタンクローリーによりまして高圧ガスを運搬して恒常的に消費をするという態様のものについて規制を加えることにしたわけでございます。液体酸素につきましては、法律で消費を規制しました時期に比べまして、今日におきましては、タンクローリーによって運搬をしてそれを貯蔵タンクに置いて使用するという形態が通常となっておりますので、したがいまして、そういう形態に応じて規制の規模を引き上げたわけでございます。
  42. 板川正吾

    ○板川委員 それはわかりました。  それから次の三十五条の二で、特定高圧ガス消費者も自主検査をするということを規定づけられておりますが、五条の一の第一種製造業者及び特定高圧ガス消費者が自主検査をするということになるわけであります。この自主検査というのは、業者が自分で一定の省令に定める方式に従って自主検査を行なって、その検査記録をとっておくというような程度の検査ですね。これならば五条の二、三の業者も当然自主検査をしていいんじゃないか。せっかく三十五条の二を改正するならば、五条の二、三も加えるべきでないかと思うが、なぜそうしないのか、ひとつ伺いたい。
  43. 伊藤三郎

    ○伊藤政府委員 五条の二の製造者の設備と申しますのは、大体流れ込み充てんをやっておる程度設備でございますので、法令に規定をしまして自主検査をやらせて、その記録を保存させるというほどの必要性はないと考えまして、今回の改正の対象とはしなかったわけでございます。
  44. 板川正吾

    ○板川委員 私は、この程度の検査であるならど、自主検査をして記録をとっておくという程度のことであれば、五条の二、三も加えるべきじゃないかな、こういう感じがするわけであります。昨年でしたか、埼玉県幸手町においてエアゾール工場の爆発事故があったのですが、ああいうふうにごく少量の貯蔵設備を持って、化粧品の底にガスを充てんするというような工場、これは法律のどこで取り締まることになりますか。
  45. 伊藤三郎

    ○伊藤政府委員 エアゾールのように、高圧ガスを充てんいたします場合、充てんは製造行為とみなされておりますので、高圧ガス製造業者になるわけでございます。ただ設備によりまして、ポンプ、これは手動のものも含みますが、ポンプを使用して充てんしますようなエアゾールの事業者は第一種製造者でございます。そういうポンプを使用しないで、流れ込み充てんをしますような事業者、これは五条の二項の製造業者で届け出制になっておるわけでございます。
  46. 板川正吾

    ○板川委員 そうしますと、昨年の私の質問に答えたときは、五条の一ではない、製造業ではないという答弁であったのですが、今回はその解釈を変えたわけですね。
  47. 伊藤三郎

    ○伊藤政府委員 幸手の事故の場合でございますが、エアゾールに充てんするような行為を消費と見るべきか製造と見るべきか、解釈について多少はっきりしなかった点があったようでございますが、現在におきましては、エアゾールに充てんする行為は製造事業と解釈すべきものと考えております。こういう点につきまして不明確な点は今回法律改正の際に明瞭にいたして、解釈通牒を出したいと考えております。
  48. 板川正吾

    ○板川委員 五条の一に入りますと、許可制であったり定期検査があったり、いろいろ規制があると思うので、従来五条の一でないというふうに扱っていたならば、ひとつその間の趣旨が徹底するように府県に通牒を出して、十分趣旨を徹底させてもらいたいと思う。  それから資料的な問題で一、二質問いたしますが、全国における国と県と市等における検査手数料等の収入、それからそれに対する支出、これはどういう状況になっておりますか。
  49. 伊藤三郎

    ○伊藤政府委員 まず国の収入でございますが、三十九年度、容器検査、試験、合わせまして約二千五百万円の見込みでございます。これに対しまして支出のほうでございますが、これは四十年度の予算でございますが、本省、通産局の庁費、旅費等で約四百万円、このほかに工業技術院実験費が千五百万円特掲されたものがございます。また東工試でやります基礎的な研究のものが約五百万円、ほかに高圧ガス保安協会に対する委託費が二百七十万円ございます。  次に地方の都道府県の収支でございますが、これは三十九年度につきまして一部見込みを含めた数字を調査いたしたのでございますが、一部報告の参っておりません県もございますので、こういうものは過去の実績等から推定いたしまして、それで見ますと、収入が約三億二千万円でございます。これに対する支出でございますが、各都道府県の人件費、庁費、旅費、こういうものが主でございますが、これが約二億円程度と見込んでおります。
  50. 板川正吾

    ○板川委員 そうしますると、国において収入が二千五百万、支出が約二千二百万、国においても収入のほうがオーバーしておる。府県においては収入が三億二千万円に対して支出が二億円ということで、大幅な収入増、こういうことになっておるのですね。この保安検査なり保安活動というのが、国においても地方においても不十分であるのに、収支を見ると逆にもうけている。こういうことではどうも政府が特許料でいま大幅に金もうけをしているのと同じように、国民に対するサービスという面において私ははなはだ遺憾だと思うので、これはひとつ少なくとも検査手数料の収入程度、またはそれ以上の支出をするような、いわゆる保安活動の強化というのを府県でやる必要があるんじゃないかと思うのですが、この点に対するどういう措置を考えておりますか。このままでいいと思うのですか。
  51. 伊藤三郎

    ○伊藤政府委員 お答えいたします前に、先ほど国の収入約二千五百万と申しましたが、これは実は三十九年度の歳入見込みとして掲げた数字でございまして、現在のところ、その後の実績を見ますと、約千四百八十万円程度の見込みでございます。と申しますのは、作業主任者の試験を例年二回実施しておりますのが、三十九年度はおくれまして、一回しか実施いたしておりませんので、そういう点で収入が減っておるわけでございます。  次に、各府県の収入と支出の関係でございますが、御指摘のとおり収入のほうが多いわけでございます。したがいまして、各府県で約百七十人担当者がおりますけれども、さらに増員をし、その人間について十分な教育をするほか、取り締まりの旅費、庁費あるいは管内の事業者に対する教育等につきましてもっと予算額を増額するように、こういう点につきましては、昨年の十二月に各府県知事に要請をいたしております。特にそのうちで収入に対して支出の予算額の少ないと見られます八府県に対しては特別の注意を喚起いたしまして、四十年度以降もっと増額するようにということを府県知事に要請をいたしております。四十年度におきましては、現状以上に改善されるものと考えておるわけでございます。
  52. 板川正吾

    ○板川委員 地方において百七十人程度しか保安に関係する人がいない。本省において、四十年度わずか六人、地方通産局で七人、こういった百七、八十人の人数で、日本全国における製造、消費、そういった段階の保安をつかさどるということはなかなか容易じゃないと思う。少なくとも本省においても、それから地方府県においても、もっと予算を計上して、それに見合う保安活動をすべきじゃないか。昨年富山事故で現地に行った場合に、一体富山県でこれに対する予算をどれだけ使っておるのかと伺ったら、わずか七十万だ、こういう答弁なんです。一県で年間七十万か九十万の予算で県下全般にわたる保安検査、保安活動をするというのじゃこれはまことは不十分だ、事故が起こるのがあたりまえじゃないか、こう思ったわけでありまして、こういう点では、なお地方庁にひとつ厳重に通達をして、今後保安検査手数料で県がもうけるようなことのないようにやってもらいたいということを要望しておきます。  それから今度、過去の事故についてその原因対策というものをひとつ考えてみたいと思うのです。  まず大阪茨木に起こりました爆発事故原因、当時私が質問しましたが、まだ当時は詳細なデータがなかったのですが、その後十分検討したと思うのですが、あの事故原因、被害の状況、そういったものについてひとつ説明してほしいと思います。
  53. 内丸邦彦

    ○内丸説明員 御説明いたします。茨木市における奥村実業の充てん所事故の概要でございますが、これは昨年の九月十四日に起きました事故でございます。出光興廃の四・八トン積みのタンクローリが来まして、十トンタンクに、ローリーについておりましたポンプを使用してガスの移しかえをやっておりましたわけですが、途中移しかえ作業が調子が悪くなりまして、一たんポンプの運転を中止いたしたわけでございます。その後再び充てんを始めましたときに、継ぎ手部分または、その他その付近の部分からガス漏洩が起こりまして、これに着火いたしまして火災となりまして、その後十トンタンク爆発いたしまして被害が大きくなったというような事故であったわけでございます。この結果死亡した者二人、けがをした者が重軽症二十七名というような被害が生じ、付近の家屋等も相当火災によって損害を受けた次第でございます。  原因といたしましては、いまの充てん作業を再開いたしましたときに、ローリーが少し動いたとか、そういった原因によりまして、そのカップリングの部分の接合がはずれたというようなことが一番考えられておりますが、そういった推定原因程度でございまして、おそらくそういったホースとローリーとの間の接合部分からの漏洩が最初の始まりであったというふうに考えております。  以上でございます。
  54. 板川正吾

    ○板川委員 この茨木の事故について、LPガスプラント協会で発行しておる雑誌等に、詳細に事故原因等が載っております。これは何か保安ガス協会で検討視察して出した結論だそうでありますが、これによると、ローリーの運転手と資格のない作業員等がこれを扱ったというようなことが一つあろうと思うのです。それから、車が動いてカップリングがはずれたということ、吹き出した原因にはそんなこともある。それから、この場合には、タンク爆発したがローリーは爆発しなかったのですね。一体こういうところは何が原因かと思うのです。それで、被害の状況も二百メートルに及んでおるというのです。こういう点を考えて、なおこの資料によりますと、たとえば隣接木工所との距離、充てん室とタンク及び火気がある事務室の接近などは不適当であったという意味のことが言われておりますね。この隣接火気のある事務室との距離という問題は、その後名古屋で同じような構造で事故を起こしておるのですね。そうすると、政府は国民の生命、財産を預かって、これを保護するたてまえにあるのだけれども通産省は茨木の事故原因というものを正確に把握して、それに対するその後の処置というのを十分とらなかったのじゃないか、それが名古屋における事故再発の原因になったのじゃないかなと、こう思うのだが、これに対して局長の考え方はどうです。
  55. 伊藤三郎

    ○伊藤政府委員 茨木の事故にかんがみまして、昨年十一月の省令を改正いたしまして、タンクに冷却のための散水装置を取りつけるというような基準を示したほか、タンクの台なり支柱等は耐火構造にするようにというような施設の基準も示したわけでございます。また、事故原因等につきましては各都道府県関係事業者に通達をいたしまして、こういう事故の起こらないようにということを指示したわけでございます。しかるところ、また先般名古屋で事故が発生いたしたわけでございますが、名古屋の事故の場合には、タンク爆発はいたしておりませんで、亀裂を生じております。名古屋の場合、タンクは過熱されましたけれども、放出管の安全弁が開きまして、放出管からガスを放出して、それが燃えたために数十メートルの火災が立つのが見えたというような状況でございます。この場合は、幸いにして、そういう安全装置によりまして爆発には至らなかったわけでございます。  もう一つ、そういう充てん所の構内の事務所等の配置につきましてどう考えるかという点でございますが、私どのも、構内の事務所とか休憩所とか、そういうものと高圧設備との関係、構内全般の配置というものにつきましては、何らか基準を考えまして、そういう基準に基づいて指導するようにしてまいりたいと考えておりますが、一応業界でいろいろ考えておる基準もございますが、自主的にやる場合は別といたしまして、省令に基づいてそういう基準をきめて強制をするということにつきましては、技術的にまだ十分確信のある結論を得ておりませんので、今後さらに研究、検討を続けまして、適正な基準をつくって実施をするようにいたしたい、かように考えております。
  56. 板川正吾

    ○板川委員 局長に伺うけれども、あれですか、たとえば危険施設と事務所の関係等は結論がないというのですか。大阪の事故と名古屋における充てん所爆発出故とは、全く同じような構造です。事務所と充てん所との関係の構造というものは似たようなものですね。名古屋においては、タンクと事務所の関係が四メートル程度しかないのです。しかもそれが、タンクのほうを向いて事務所から出入りできるようになっておる。そこで、局長、この日本LPガスプラント協会で発行しておる業者の自主基準には、ちゃんとその間の距離は八メートル以上なくちゃいかぬ、地下の場合には三メートルでもいい、こういうふうに言っているのです。火気のある事務所との関係は、業者は自主的にこういう基準を守ろうとしておるのですよ。通産省に基準がないというのはどういうことです。同じような原因で同じような事故が二回起こっているじゃないですか。
  57. 伊藤三郎

    ○伊藤政府委員 先ほども申し上げましたが、業界で自主的な基準をつくって安全措置を講ずるという点につきましては、私ども大いにけっこうと思うのでございます。ただ、法令に基づく技術上の基準ということできめまして、それに反するものは改造させるとか、あるいは順守命令に従わない場合には営業の停止、取り消しをするというような措置を裏づけとした基準をきめますについては、まだ確信が持ち得ないというわけでございまして、業界のほうで安全を見た距離をきめてやっていくという点については、われわれも非常にけっこうだし、それを普及してもらいたいと思うのであります。省令に基礎を持って、罰則等の裏づけを持ってやるものにつきましては、われわれはまだ技術的な確信を持ち得ないということでございます。
  58. 板川正吾

    ○板川委員 そうすると、保安については一切業界にまかして、政府は傍観しているという形になるじゃないですか。これはほんとういえば、政府のほうできびしい線を出して、業界のほうで何とかそれを緩和してくれという気持ちを持つのが普通なんです。業界のほうがこういう方向で行こうという基準を出している。少なくともこれからつくろうというのはそういう基準でなくちやいかぬといっているじゃないですか。それを政府のほうで、確たる自信がないというのはおかしいな。この資料によると、茨木で、近所に木工所があって、それが火をたいておったり、あるいは事務所が三メートル程度しか離れていないと、こう書いてありますよ。たとえば隣接木工所との距雑、充てん室とタンク及び火気のある事務室との接近などは不適当であった、こういうことを言っているんですね。ところが、その後起こった名古屋の充てん所爆発を見ると、充てん所と事務室の間が四メート程度しか離れておらない。しかも火気のある事務室、ストーブをたいておったから、それが引火の原因であったのですよ。そうすると、この名古屋の爆発事故のような場合には、構内の危険施設のほうへ入る方向には出入り口をつけないで、遠回りをしろ、LPガスプラント協会で発行した業界基準というのにそう書いてありますよ。こういうふうに指導したらいいじゃないか、こう書いてあるから読んでみましょう。「貯蔵タンク、危険施設および高圧設備の機器と危険施設以外の建屋および工作物間の距離八メートル以上ただし、不燃性の建屋および工作物であって火気の存在しない場合は、三メートルまで短縮することができる。また、不燃性の建屋、および工作物で、火気があっても「障壁防火壁基準」による障壁で隔離し、その開口部から貯蔵タンク、危険施設および高圧設備との距離が八メートル以上の場合には同じく三メートルまで短縮することができる。」こう言っているのです。名古屋の場合に、事務室の出入り口が危険物のほうへ向いてなくて、反対側の道路のほうを向いて、ぐるっと回ってくるということであれば、そうすればガス漏れがしても爆発に至らなかっかもしれない。ところが四メートルしかない。しかもしょっちゅう出入りするところでストーブをたいておる。ガスか何かの場合。間違えて漏れた場合には爆発するということになるのじゃないですか。全国でこういう施設がどのくらいありますか。
  59. 伊藤三郎

    ○伊藤政府委員 プロパンガスのスタンドは約三百二十カ所であります。
  60. 板川正吾

    ○板川委員 三百二十カ所の見取り図をとったらどうですか。見取り図をとって、少なくともこのプラント協会基準に合わないようならばさっそく直させるような指導をしたらどうですか。大阪ではすでに同じような注意をされておる。名古屋でも、事務所と充てん所との距離がこれまた同じようだ。こういうところに事故原因があったんじゃないか。全国で三百カ所なら、業界に各県から話をして、そうして見取り図をとって、少なくともこういう方向に出入り口を改造するなり、ガスが漏れても火気のある部屋へ入ってこないような方法をとるように指導されたらいいんじゃないですか。これはどうですか。自信がなければやらぬというのですか。
  61. 伊藤三郎

    ○伊藤政府委員 先ほど申しましたのは、直ちに省令による技術上の基準を現在つくるのはまだ確信が持てないと申し上げたのであります。そういう点をなおざりにしていいということではございませんので、そういう事業所の構内のいろいろの施設の配置につきましては、さらに研究、検討をいたしたいと思っております。御指摘のように、現在あります各種のスタンド等の現状につきましても、さらに調査をいたしまして、至急結論を出して、行政指導なり業界の自主基準の順守ということにつきまして積極的に進めたいと思っております。
  62. 板川正吾

    ○板川委員 こういう約束ができますか。名古屋、大阪の充てん所のような設備全国で三百カ所ほどあるそうですね。それをさっそくひとつ業界基準に合うように指導する。できなければできないような事情を聞いたらいいんじゃないですか。こういう事故が二回続いているんですよ。その二回続いている原因は、充てん所と火気のある事務室との関係です。それが全部ではないかもしれませんが、しかしそういうことが言われているんですよ。だから同じような事故が三回目が起こらないようにするためには、さっそく全国のそういう設備を検討して、不十分なものは直すように勧告をする、こういうことが約束できますか。
  63. 伊藤三郎

    ○伊藤政府委員 御指摘の点につきましては、保安協会のほうで緊急検査をする計画も持っておりますので、私のほうといたしましても、御指摘のようなプロパンのスタンドにつきまして自主基準に合っておるかどうか、合わないものはどういう理由でやっておるのか、また自主基準につきましても除外例があると思うのでありますが、そういう除外例が適当であるかどうかというようなことについて検討いたしまして、自主基準を守るように行政指導をいたしたいと考えます。
  64. 板川正吾

    ○板川委員 これは要望をしておきますよ。第三回目に同じような事件が起こったら、これは通産大臣以下国民から責任を問われますよ。(「大臣はやめるよ」と呼ぶ者あり)人はかわっても大臣はあるんです。  それから、この地下タンタの議論が先ほどから出ておるのです。地下タンクは、にわかに地上がいいか地下がいいかということは決定できないというのが業界の意向のようであります。しかし東京都では、すでに地下にすべしという結論を出しておるのです。私は地上地下かというのは、その国の事情によっても違うと思うのです。先進諸国のように不燃性の建物が中心である場合には、場合によっては、地上でもそれほど危険性がないかもしれない。火を吹いても火事には至らないかもしれない。しかし日本の場合には、まわりが木造家屋ですから、火を出せばほとんど火事になって、風向きによっては町じゅう大火になるということも考えられる。こういうことを考えると、日本の場合には地下式のほうが適当ではないか。従来地下式にすると、点検ができない、腐食するおそれがあるということ、あるいは資金的な問題ということを言われておったんです。この間、現地を見てみると、プロパンの充んでタンクというのは、地下式にすれば点検だって十分できます。この間、羽田で見たような地下式にすれば点検も十分できますし、また、この地下式基準LPガススタンド基準という中にもうたわれていますね。こういうような地下式であれば点検もできるし、腐食もないが、問題は資金的な面、あるいはガスが漏れて下にたまっている場合に、これは通風的に技術的な問題があるかもしれませんが、最大の問題は資金的な面ではないかと思う。すでにそのほかのことは解決しておるのではないか。だから資金的な面は、公共施設と同じように低利の金を貸してやることによって、この地下式原則とするというたてまえをとるべきではないか。しかし、これは野っ原のまん中で地下式につくれという意味じゃありません。人家に隣接しているところは地下式原則にする、地上式の場合にはそれは一応許可制――いまでも許可制になっていますが、将来の条件をつけて許可をするということになるかもしれません。しかし原則地下式に持っているべきじゃないか。日本の場合には、周囲の事情からいうと地下式のほうが、安全でいいじゃないかと思うのですが、見解はどうですか。
  65. 伊藤三郎

    ○伊藤政府委員 私も地下式につきましては、しろうと考えでは保安上いいんじゃないかと思っておりますが、技術的に見ますと、いろいろな点、なかなか問題があると申しております。ただ、そういう問題点も逐次解明をいたしておりますので、そういう点を検討いたしまして、市街地におきまして住宅に近接しておるような場所では原則として地下式にするということを行政指導でやってまいりたいと考えております。
  66. 板川正吾

    ○板川委員 いや、しろうとといっても、これは局長しろうとじゃないはずですよ。産業の保安というのはあなたが当面の責任者じゃないですか。それは最高は通産大臣かもしれないけれども、産業保安の責任者、少なくとも高圧ガスの取り締まりの専門家でなくちゃいけないわけです。しろうとだからよくわからぬというのじゃ答弁になりませんよ。ブラント協会でも、原則として地下にすべしと言っている。それから業界の方にも会いましたけれども地下式がどうしてもだめだということは言ってない。あるいはそうかもしれぬ、しかし技術的にまだ若干の問題もある。問題は、私は資金的な問題じゃないかと思うのです。だから私は、日本の場合には地下式をとるほうが周囲に対する安全措置としていいんじゃないか。広い土地を持っておる諸外国、しかも不燃性の建物という条件と違いまして、狭くて木造家屋が大半ですから、地下のほうが防災上理想的な形だ、また疑念があるということはないと思う。したがって、将来ひとつ地下式に持っていくように努力してもらいたいと思うのです。どうも業界のほうが良心的で一生懸命先に考えているのに、通産省のほうでブレーキがかかっているようなかっこうなので、もうちょっと真剣に取り組んでもらいたいと思うのです。  それと次に、建設省おりますか。――建築基準法四十九条で、住宅地区には三・五トン以上のタンクをつくってはいけない、こういう制限がありますね。ところが最近こういうプロパン等の需要が非常に高まってくると、タンクが小さいと詰めかえ、補充の作業がひんぱんに行なわれる。大体いままでの事故というのは補充のとき、詰めかえするときに多いのです。そういうことを考えると、住宅地区におけるタンクの規制というものを、たとえば地下式にすることによってもっと大型にする、こういうことが考えられていいんじゃないかなと思うのです。これは地上式を前提にしていると思うのです。だからこの間の名古屋の場合なんかは、非常にひんぱんに消費するために、タンクがあり、そのわきへローリーを二台置いて、使ったらどんどん補充する、こういう形をやっておって、そのうちの一台が、少し残っているけれども、その残っているローリーへひとつ詰めかえしようということをやって事故になったのですね。ですから、私は地下式を前提にして、建築基準法の四十九条の制限というものを改正すべきではないかと思うのですが、ひとつこれに対する見解を伺っておきたい。もし答えができなければ、あとで文書で回答してもよろしい。
  67. 三宅俊治

    ○三宅説明員 建築基準法上の御質問につきましてお答えいたしたいと思います。現在建築基準法の第四十九条の規定によりまして、御指摘のように、住居地域におきまして制限の数量というものが一応三・五トンというものはきまっておりますが、実はこの三・五トンの基準と申しますのは、一般的な場合に建築主事の確認だけでできるという制限の数量を示すのでありまして、四十九条の一項のただし書きによりますと、特定行政庁、つまり建築基準法の施行をやっております都道府県知事であるとか、あるいは大都市の市長でございますとか、これらの特定行政庁が住居の安寧上支障がない、または公益上やむを得ないと認めて許可することができるということになっております。その許可をする場合には数量の制限はございません。したがいまして、一般的に建築主事が機械的に技術基準によってどんどんと確認をやって認めていくということでは一応引っかかりますけれども、数量が多くなりますと、そういう特別の手続でもって許可するということに道は開けておるわけでございます。さようなわけでございますので、私どもといたしますと、できるだけこの許可の扱いを生かしまして、住居の安寧に害があるかないか、公益上やむを得ないかどうか、安全上支障がないかどうかという見地から検討いたしまして、御趣旨のような線に沿うて許可するということで、各都道府県知事、市長等に行政指導をいたしてまいりたい。そういうことで御趣旨の目的は十分に達せられるのではないかと考えますので、当面といたしましては、直ちにこの基準を変えるというようなことの考えは持っておりません。
  68. 板川正吾

    ○板川委員 プロパンガスを充てんするというのは公益上というわけにいきませんから、安全上に心配ないという項目を使わなくちゃならぬと思うのです。その場合に、地下式であれば安全上認めて、その制限をこえてもいいということに解釈をしますかどうか。
  69. 三宅俊治

    ○三宅説明員 地下式であるということで直ちに安全ということには判断をいたしかねると思いますが、これにつきましては、特定行政庁の責任におきまして、十分計画の内容を検討いたして許可をするということにいたしたいと思っております。
  70. 板川正吾

    ○板川委員 局長、いまの議論わかっておりますか。建設省に聞くと、それは地方庁にまかせるというのですね。地下の場合には、安全かどうかということは地方庁にまかせる。ところが地方庁は、地方庁で判断する場合の基準というものがなければなかなか判断しにくいと思うのですが、いまの私の議論、地下式ならば三・五トンという制限をこえてもいいのではないか、そのほうが詰めかえがひんぱんに行なわれなくて事故防止できるんじゃないか、こういうことに対する見解はどうですか。
  71. 伊藤三郎

    ○伊藤政府委員 高圧ガス取締法に基づく省令におきまして保安距離をきめておりますが、地上式の場合と地下式の場合と分けまして、地下式の場合は保安距離は短くして規定しております。したがいまして、その基準に合いますものはわれわれは安全であると考えております。
  72. 板川正吾

    ○板川委員 そうじゃないんだよ。距離じゃなくて、小さいタンク、三・五トンのタンクという制限があるから、いまのローリーは大体七トンタンクだそうだ。そうすると七トンタンクを持ってきて三トン半に詰めかえするときは、どうしてもオーバー充てんして漏れたりする場合があるし、少ないからちょいちょい詰めかえに来なくちゃならない、こういうことがあって事故が起こりやすいんじゃないか。建築基準法で、住宅地においては三・五トン以上つくってはいけないというのですから、だから私は、それが正しい建築基準法の解釈による安全ということが満たされるならば、府県知事がいいと言えばいいと建設省はいっておるんだが、しかし地方庁ではその地下式が安全かどうかということの判断に苦しむんじゃないか。なかなかいいと言えぬのじゃないか。そういう場合に、一体通産省は、知事からそういう安全かどうかということを質問された場合には、知半は許可しようと思うが念のため通産省に聞くという場合には、どういう回答をするか。
  73. 伊藤三郎

    ○伊藤政府委員 通産省にそういう意見の照会がありました場合に、先ほど申しましたように保安距離を保っておるものにつきましては安全であるということでございますし、また現実の問題といたしまして、小さなタンクにたびたび充てんをする。大体タンクローリーは七トンでございますので、そのローリーを持ってきて三トン、五トンのタンクに貯蔵するよりも、十トン程度タンクに七トンのローリーを持ってきて充てんしたほうが回数も少なくなり、過剰充てんの危険もありませんので、そのほうがより安全であると考えております。
  74. 板川正吾

    ○板川委員 局長は私の質問に答弁してないんですよ。だからあとで議事録を読んで答弁しなさいよ。  次に保安距離の問題で伺いますが、「特定高圧ガス消費者の守るべき技術基準(省令)案」というものによると「消費施設の外壁から保安施設、家屋に対し20m以上の保安距離をとること。」こういうふうになっておる。ここで二十メートルという数字が初めて出てきたのですが、二十メートルとるのですか。これは消防法なり自治省においては二十メートルになっておるんだけれども高圧ガス取締法では二十メートルという保安距離はないんだが、これはどうして二十メートルにとったのですか。
  75. 伊藤三郎

    ○伊藤政府委員 高圧ガス取締法できめておりますのは、第一種製造者について原則として二十メートルという規定を省令できめておりますので、その二十メートルに準拠して、消費工場も二十メートルとしたわけであります。
  76. 板川正吾

    ○板川委員 どこに二十メートルという省令がありますか。それはそれとして、高圧ガス取締法施行規則の十一条の一の三を見てもらいたいのだけれども、その前に、ここでいう保安施設というのは何です。これは学校とか、病院とか、映画館とか、人のたくさん集まるところ、こういうことでしょう。私はここで学校、病院等を保安施設というのは表現が適当でないと思う。これは改正するときにひとつ考えてもらいたい。特定施設というならばわかると思うのですよ、読んで。特定とは何だ、それは危険な地域にあまり接近してはいけないと思われる学校とか病院とか、人のたくさん集まるところということはわかるが、保安施設というのは適切な表現ではないと思う。これはひとつ機会を見て検討して直してもらいたい、要望しておきます。  それから保安施設で甲種施設のうち、高圧ガスだめ貯蔵能力三十トン以下の場合には、家屋に対して制限距離が十五メートル、こういうふうにありますね。ところがこの高圧ガスの場合には、保安距離が十五メートルだけれども、高圧ガスといわゆる消防法にいう危険物、ガソリンですね。ガソリンは消防法の危険物なのですが、この危険物と高圧ガスでは、高圧ガスのほうが危険性が高い、爆発性が高いのです。ところが消防法の保安距離というのはかえって長く二十メートルとられている。すなわち消防法十条の一項によって、危険物というのは別表指定どおりということになる。その四項によって保安距離は政令で定める。消防法でいわれている保安距離は、自治省令で定めるということも規定されております。危険物の規制に関する自治省令第十二条では高圧ガスの製造、貯蔵、設備施設との間の保安距離は二十メートル以上とする、とあるのです。ここに高圧ガスの施設がある。こっちへこれよりも危険性の低いガソリン・スタンドをつくる場合には二十メートル置かなくてはならない。しかしガソリンスタンドがあるところに高圧ガスの施設をつくる場合には、距離は十五メートルでいいということになるのではないですか。この点、矛盾はありませんか。これは消防庁に伺います。
  77. 川合武

    ○川合政府委員 お答えいたします。危険物施設のうち、製造所、貯蔵倉庫、尾外タンクとか一般取扱所、屋外貯蔵所におきましては、ただいま御指摘のように高圧ガスの施設から二十メートルの距離をとることになっております。ただガソリンスタンドにつきましては、私のほうの規定では法令によりまして地下に置きますこと、また防火構造の障壁を設けるというような規定が別にございますので、ガソリンスタンドにおきましては、ただいま申し上げました二十メートルの距離を必要としてないわけであります。危険物施設のほとんどは、お話しのとおりでございます。
  78. 伊藤三郎

    ○伊藤政府委員 施行規則の十一条一項で、高圧ガスの製造施設につきましては保安距離は二十メートル以上ということを規定しております。これが原則でございまして、同じく十一条の一の三で例外的な場合を規定しておるわけでございます。したがって、障壁等あります場合には、その程度に応じまして、あるいは貯蔵タンクの容量に応じて距離を逓減をしておるということでございまして、原則は二十メートル以上ということに規定しております。
  79. 板川正吾

    ○板川委員 その点はわかりました。
  80. 内田常雄

    内田委員長 板川さん、大臣が見えております。
  81. 板川正吾

    ○板川委員 次に、これはいままでの事故を見ると、運転手とか作業員の不注意があります。それから、現地を規察した結果、どうもカップリングがまことに簡単で、あれじゃ何かの拍手にひょっと抜けちゃうだろうと思うのです。もしあのカップリングの接続がもっとうまくいや、あのほかにさらにもう一つ他の操作によって二重にするということであれば、比較的にあそこからガスが漏れるようなこともないんじゃないか、こんな感じがしたり、それから、自動車の場合には、パイプが切れたのを過流防止自動弁というのがあって自然にとまるんだというふうになっておる。自動車の場合にはパイプが細いからそういうことができるのかもしれませんが、やはりローリーで受け払いをする場合が一番事故が多いので、事故の多いのはその辺に原因が多くあるので、ひとつこの点の技術的な開発検討を加えてもらいたいと思うのですが、どうですか。
  82. 伊藤三郎

    ○伊藤政府委員 御指摘のとおりでございまして事故の大半はローリーからの詰めかえという場合に起きておるのであります。しかもカップリングのところがはずれたというような点がございます。そういうカップリングの事故防止、さらに、もし万一はずれた場合におきましても、過流阻止弁とかあるいは緊急遮断弁が有効に作動しましてガスの大量放出を防ぐというような措置を講ずべきでございまして、こういう点につきましては研究、開発をさらに強力に推進してまいりたいと思います。
  83. 板川正吾

    ○板川委員 それでは大臣に伺いますが、御承知のように、最近石油ガスLPガス事故が非常に多いのです。それで、小さい事故は別として、大きい事故は、充てん所にローリーで持ってきて詰めかえするときの事故が多いのです。過去の事故を検討してみると、通産省の取り締まりというのがどうも不十分な点がある。これは通産大臣、ひとつ責任を感じてもらわなくてはいかぬと思うのです。たとえば大阪の茨木市において事故があった。その事故原因は、ローリーで持ってきて詰めかえをしておる自動車が若干動いたりして接続点がはずれた。またそれを扱った者が作業主任とか、そういう資格を持っていない、知識のない者が扱っておるというようなこともあって事故を起こしたのですが、しかし、そこと火気のある事務室と――一般の住宅とは保安距離がとられておるのです。しかし、火気のある事務室とはあまり距離的なことをきびしくしてない。その点に監督の目が十分届いてない。ところが業界では、そういう場合には、火気のある事務室の場合には八メートル以上の距離を保て、こう言っているんです。プラント協会で出しておるLPガスプラント基準というものの中には。そうして、もし近くであった場合には、充てんするところとの間を遮断をすればそれは近くでもいい、火気が近くにあってもいい、そういうことを言っておるんです。ですから、茨木の事故経験にかんがみて、通産省が指導を十全にするならば、次の名古屋の事故は起こらなかったと思うのですね。名古屋の事故は、やはり茨木と同じなんですね。充てん所の四メートルのところに事務室があって、そこでストーブをたいておった。たまたま間違えてガスが漏れたからストーブから引火した、こういうことになったのですね。ですから茨木の事故通産省が――全国で三百ほどあるのだそうですか、これに厳重な警告をして、こういう原因で火事になったのだから、ひとつプラント協会とも協力して事務所の構造なりを引火しないような構造に、構内の建築物をひとつ改良しろという指示を出せば、私は名古屋の事件は起こらなかったのではないか、こう思う。こういう点はどうかというと、どうも局長は、その辺は逃げ腰で、省令でするわけにいかない、省令に罰則をつけるわけにいかない。通産省は行政指導というのを盛んにやっておるじゃないですか。業界ではそういう基準を定めて、自主的に守ろうとしておるのですから、それを行政指導に二の足を踏むような形は私はいかぬと思う。そういう点で、産業保安の責任者である通産大臣は、そういう事故原因をしっかりと見きわめて、その後の対策を真剣に立ててもらいたいと思うのですが、大臣の見解いかがです。
  84. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 茨木あるいは名古屋の事故にかんがみまして、通産省がこれをもとにしての行政指導をすべきである、こういうことにつきましては、私もつとめてさようにいたしたいと思います。
  85. 板川正吾

    ○板川委員 つとめてという程度じゃまことに不満だけれども、しかし、産業保安の責任者ですからね、ひとつしっかりやってもらいたいと思うのです。  それともう一つは、保安協会というものをもっと強化して――ほんとうは国でやるべきでしょう。国でやるべきだが、全部手が回らないから、ひとつ業者の協力も得て、技術の開発や保安設備研究なりやろうというのですから、保安協会というのをもっと生かして、政府が手の回らないところを手伝わせる、こういう仕事をひとつ強化してもらいたいと思うのですよ。  それと、いかんせん、これは加賀田委員もちょっと触れたのですが、高圧ガス保安関係には本省で六人、地方通産局で七人、それから地方府県百七十人だそうです。ところが、施設はどんどんどんどんふえてきておるし、保安に関係する要員はあまりふえない。こういうところにやはり事故原因もあると思うのですよ。今度、通産省は立ち入り検査を強化するといっておるけれども、人数があまりふえないで立ち入り検査といっても、なかなかできないんじゃないか。そこで、立ち入り検査をして事故を未然に防止するような政策がとれるように、予算の拡大に、ことしはしようがないでしょうから、明年度は努力してもらいたいと思うし、保安協会に対する政府の助成策を考えてもらいたいと思のですが、いかがです。
  86. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 ただいま建設的にいろいろ御意見がございました。保安協会が自主保安の中核体をなしておる、そこでこれに対する作業員の講習とか、あるいは技術指導とか、いろいろ委託で政府の見ておる面がございますが、その足らざるところは、お話しのように強化をしていきたいと思います。  なお、保安関係の人員の少ないことのお話がございましたが、明年度の予算におきましてはつとめてこれが増加をせしめ、また各地方自治体の手数料の収入も相当あるようでございますので、自治体における職員の増員もわれわれのほうから勧奨していきたい、かように思っております。   〔「賛成、賛成」と呼ぶ者あり〕
  87. 板川正吾

    ○板川委員 賛成、賛成と言ってうしろで騒いでおりますから、これで終わります。
  88. 内田常雄

    内田委員長 おはかりいたします。  本案についての質疑は、これを終局するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  89. 内田常雄

    内田委員長 御異議なしと認めます。よって、本案の質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  90. 内田常雄

    内田委員長 次に、討論の通告がございませんので、直ちに採決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  91. 内田常雄

    内田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  採決いたします。  本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  92. 内田常雄

    内田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。     ―――――――――――――
  93. 内田常雄

    内田委員長 次に、自由民主党、日本社会党及び民主社会党を代表して海部俊樹君外六名より、本案に対して附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提案者代表より趣旨の説明を聴取いたします。海部俊樹君。
  94. 海部俊樹

    ○海部委員 ただいま提案いたしました高圧ガス取締法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につきまして、自由民主党、日本社会党及び民主社会党を代表して、私からその趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     高圧ガス取締法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)    最近、液化石油ガスによる災害事故が多い実情にかんがみ、政府は、省令による技術上の基準を整備するにあたり、液化石油ガス関係については特に次の諸点に十分配慮して保安の万全を期すべきである。   一、住宅に近接するスタンド等の貯蔵タンクは、可及的速やかに地下式に統一するようにすること。   二、容器間の接合部分の装置、部品の改善につき指導を強化するとともに、自動安全装置の普及と技術開発に努めること。   三、充てん所内の施設の構造、配置等に関する基準については更に研究を進めるともに、保安距離についても検討すること。   四、取扱作業員全般に対する保安教育を徹底せしめるとともに、特にタンクローリーの運転手等運搬従事者に対しては、厳重な教育指導を行なうこと。   五、高圧ガス保安協会の自主的保安活動が活撥化するよう助成策を講ずるとともに、液化石油ガス需給安定について、政府においても格段の努力をすること。 以上が案文でございます。  御承知のごとく、液化石油ガス、いわゆるプロパンガスによる災害事故が最近特に目立っており、大規模な事故が相次いで発生しております。しかもプロパンガスは、家庭燃料あるいはタクシー用に多く使用されるため、充てん所、スタンド等の事業所は市街地に多く散在することになり、付近住民に少なからぬ不安を与えつつあるのであります。これらプロパンガスによる施設は、省令により定められる技術上の基準を守らせることによって保安を維持するのが取締法のたてまえでありまして、したがって省令の内容保安維持の中心となっております。  今回、法律改正が行なわれれば、当然省令による技術上の基準も改正整備されることになりますが、その際には、ぜひともこのプロパンガスによる事故を根絶せしめるよう徹底的な改善が望ましいと存じまして、本決議案を提出したのであります。  各具体的事項については、本決議案文並びに詳細にわたる本委員会の質疑を通じて明らかになっておりますので、重複を避けたいと思います。  なお、プロパンガス需給が最近逼迫し、このために過充てんその他保安上の危険のおそれを招来している実情にありますので、需結の安定について、別途政府の格段の努力を要望いたします。  以上、高圧ガス保安について万全を期する趣旨のもとに本決議案を提出いたしましたことを御理解いただき、委員各位の御賛同をお願い申し上げる次第であります。(拍手)
  95. 内田常雄

    内田委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  96. 内田常雄

    内田委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、通商産業大臣より発言を求められております。これを許可いたします。通商産業大臣櫻内義雄君。
  97. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 ただいま行なわれました決議の御趣旨は、これを尊重いたしまして、行政の上に、特に省令、政令の上に反映せしめ、万全を期していきたいと思います。
  98. 内田常雄

    内田委員長 おはかりいたします。本案に関する委員会報告の作成等に関しましては、委員長に御一任を願うことに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  99. 内田常雄

    内田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。   〔報告書は附録に掲載〕      ――――◇―――――
  100. 内田常雄

    内田委員長 次に、通商に関する件について調査を進めます。  一九六五年度北京・上海日本工業展覧会に関する問題について板川正吾君より発言を求められておりますので、これを許します。板川正告君。――板川君、簡単にお願いいたします。
  101. 板川正吾

    ○板川委員 大臣が見えておられますので、この機会に一点だけ伺っておきたいと思います。  御承知のように、この秋に北京と上海で日本工業展覧会、日工展が行なわれるということになっておりまして、これは日中貿易に関係のある四つの団体が昨年八月に中国において調印をして、ことしやるということになり、中国においても国慶節を中心に一番人が集まるときに日工展を開こう、こういうことになって、日中貿易の促進のため、日中友好の促進のために有意義な催しであると思っておったのであります。ところが、最近新聞等によると、日工展の宿谷理事長がやめられ、あるいは日中貿易の鈴木理事長がやめられる。中国においての南漢宸氏の声明、もし日工展をやれないようなことになれば、これは佐藤内閣の中国敵視政策の全くのあらわれだというようなこともある。それはともかくとして、何か日工展の組織内にごたごたがあって、もしこの約束が守られないことになりますと、私は国際的に見て信義にももとるし、せっかく関係者の努力によって、積み上げ方式によって日中貿易というものが一歩一歩積み重ねられてきておる今日、日工展がやめられるということになると問題は重大だ、影響するところ非常に重大だと思うのであります。  そこで、この日工展の問題で、通産省が補助金を出すとか出さぬとかいう議論なんかもありましたし、通産省として、日工展に対する考え方というものをこの際明らかにしていただきたいと思うのであります。
  102. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 ただいまお話のように、日工展につきましては関係四団体が自主的に契約もいたし、また企画を推進しておると思うのであります。それに対しまして、政府が間接的に国費の補助も出そう、こういう考え方に立っておるのでございますが、せっかくの補助費が、これが間接的に出すとは言いながら、あまり不安定な団体に対して支出をすることはいかがか、これは当然政府として考えるべき点ではないかと思うのであります。さように考えておりますおりに、ただいま宿谷さんや鈴木さんのお名前をあげてのお話がございましたが、四団体の中でいろいろな動きがある。そういう動きとともに、過去における四団体のこの展覧会に対する取り運びの状況というものについては、政府としてあまり満足すべきことでなかった点がございます。これは特に経理面につきましての不本意な点があったわけでございますが、現在四団体におきましても建設的な動きもあるようでございまして、これがすっきりした姿で日工展を進めていく、また補助金の受け入れ態勢として十分である、かように判断をいたしますれば、予算面にはすでに計上されてあるのでございますから、三十九年度分は確保されておりますし、四十年度分についても計上しておるという、そういう実情にございますので、われわれがこれを支出するということについて決してやぶさかではない次第でございます。
  103. 板川正吾

    ○板川委員 もう一言。中国側は多年政府間協定というのを主張しておるのですね。ですから、政府が、間接的にしろ、これを援助をし、あるいは政府と関係を持つジェトロからひとつそれに参加するというようなことは、ある意味では中国側が多年主張しておった政府間協定への接近だと思うのですね。ですから、こういうことで問題が紛糾する理由が実はわからなかったのであります。政府としては、この四団体の中のごたごたもおさまり、ひとつやるということになれば、積極的に取り組んで、まあいろいろの立場もあろうが、これを促進してもらいたいと思うのですが、いかがですか。
  104. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 民間ベースで四団体が従来展覧会を催してきた、これが円滑に行なわれていく、しかもそれが日中貿易の前進のために好ましい姿であるということでありますれば、われわれがこれに対し、間接的ではあっても支援をすることについては、繰り返し申し上げるようでありますが、予算はとってあるのでございますから、喜んで支出をいたしたい、こう思います。
  105. 板川正吾

    ○板川委員 ひとつ、最後ですが、この見通しはどうでしょうか。実際行なわれるという見通しに立っておりますか。九月、必ず予定どおり行なわれると思われますか。
  106. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 御承知のように、この後任者として推薦を受けておる杉本さんの動きを私も聞きました。非常に熱心にまた建設的にお動きのようでございます。したがって、この杉本さんの手で取りまとめができるのではないか、さような事態になりますれば、これは御心配のない状況にいくんじゃないかと、かように思います。
  107. 内田常雄

    内田委員長 次会は、明後三月十九日金曜日午前十時十五分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時十三分散会