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1965-03-12 第48回国会 衆議院 商工委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年三月十二日(金曜日)     午前十時四十五分開議  出席委員    委員長代理 理事 早稻田柳右エ門君    理事 小川 平二君 理事 小平 久雄君    理事 田中 龍夫君 理事 板川 正吾君    理事 加賀田 進君 理事 中村 重光君       浦野 幸男君    小笠 公韶君       小沢 辰男君    海部 俊樹君       黒金 泰美君    田中 榮一君       田中 正巳君    中村 幸八君       長谷川四郎君    古川 丈吉君       三原 朝雄君    大村 邦夫君       桜井 茂尚君    沢田 政治君       島口重次郎君    田中 武夫君  出席国務大臣         通商産業大臣  櫻内 義雄君  出席政府委員         通商産業政務次         官       岡崎 英城君         通商産業事務官         (大臣官房長) 熊谷 典文君         通商産業事務官         (軽工業局長) 伊藤 三郎君         中小企業庁長官 中野 正一君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   吉瀬 維哉君         通商産業事務官         (軽工業局無機         化学課長)   内丸 邦彦君         専  門  員 渡邊 一俊君     ————————————— 三月十日  海外経済協力基金法の一部を改正する法律案(  内閣提出第一一六号)(予) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  小規模企業共済法案内閣提出第七六号)  高圧ガス取締法の一部を改正する法律案内閣  提出第一一〇号)  総合エネルギー調査会設置法案内閣提出第一  一一号)      ————◇—————
  2. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員長代理 これより会議を開きます。  委員長は所用のため出席いたしかねるとのことでありますので、委員長の指名によりまして、本日は私が委員長の職務を行ないます。  まず、内閣提出高圧ガス取締法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の通告がありますので、順次これを許可いたします。加賀田進君。
  3. 加賀田進

    加賀田委員 先般、最近起こった高圧ガス中心とする事故の問題を中心として質問をいたしたわけでありますけれども、きょうは直接この法律内容について二、三点お伺いをいたし、引き続き改正の主要な点について質問いたしたいと思います。  まず、この法律で、第一種製造業者と第二種製造業者あるいは第一、第二以外の製造業者として、製造開始するための届け出期間というものがお互いに相違しているわけです。たとえば第二種の場合には、開始前二十日までに届け出なくちゃいかぬというようなことになっておりますが、こういう届け出の相違はどこから発生しているのか、その点明確にしてもらいたいと思うのです。
  4. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 お答えいたします。届け出期間が第一種製造所、第二種製造所、その他で異なっておりますのは、第一種製造所のほうが設備内容も大きく複雑でございますので、なるべく早く届け出させて、そして十分に時間をかけて審査をするという趣旨でございまして、大体設備内容によってそういう差が出ておるわけでございます。
  5. 加賀田進

    加賀田委員 第一、第二種の製造業は、結局相当以前に届け出をして審査をし許可を与える、こういうことになっております。一、二以外の業者については開始後三十日以内ということになっておりますけれども、すでに製造開始してから三十日以内に届け出るということになっていると、操業をやっているわけですが、操業後にそういうものが審査されて不許可というような事態が起こった場合に、業者も困るでしょうし、あるいは検査をするにしても非常に困難な設備等内容を十分に調査することができないのではないかと思いますが、その点はどうでしょう。
  6. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 第二種の製造者は一日の冷凍能力が三トン以上というようなものでございますが、これは事業につきましては許可制ではございませんで、届け出制になっております。したがいまして、事業開始後に届け出をするということに相なっておるわけでございます。
  7. 加賀田進

    加賀田委員 設備が非常に複雑だというのは、第一種でそういうことを規定しておるのでしょうけれども、第二種においても爆発の危険もあるでしょうし、その他可燃性ガス等を使っていると引火するおそれもあるのですが、これは別々に、単なる設備が小さいという意味だけで開始前に届け出をして、あと調査するというようなことは実質的に合わないのではないかと思うのです。高圧ガス全般製造業者についてはやはり開始前に精密な検査を行なって安全度を確かめて、これを許可するというような方法を講するほうが適当じゃないかと思いますが、その点どうでしょうか。
  8. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 ただいま御指摘がございましたが、届け出制でやっております事業者につきましては、設備基準を維持するようにという省令規定もございますので、そういう点で規制をいたしておるわけでございまして、従来の事故例等から見ましても、そういうものにつきましては許可制にまでする必要はないのではないかと考えておりますが、今後さらに検討しまして、必要な場合にはそういう点も措置いたしたいと考えます。
  9. 加賀田進

    加賀田委員 そういたしますと、従来の事例として届け出制だけで、あと調査して、それの設備等のとりかえあるいは改修を要求した事例はないわけですか。
  10. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 先ほど私はお答えをちょっと間違えましたが、五条の第二項の場合でございます。この場合は、現在までのところそういう事故を起こしたということは承知しておりません。なお二項の場合におきましても、こういう二項の製造事業者程度規模でありましても、ポンプを持っておりますものは、これは高圧ガス製造ということで第一種製造者になりますので、そういう規制をいたしております。したがいましてこの二項の場合というのは、小型の容器を使用するようなものでございまして、先ほど申しましたように、従来のところそういう事故はなかったように聞いております。
  11. 加賀田進

    加賀田委員 私は、事故はさいぜん局長が答弁したから了解しているのですが、届け出だけで、あと検査に行かないわけですか。検査対象にはならないわけですか。ただ単なる届け出事業所がそこにあるということだけを認識するために届け出をするのか。やはり届け出ということは、そういう危険性があるから一定期間を置いて検査に行くとか、あるいは施設が不備な場合にはとりかえを要求するとか、何かの監督的要素があってこそ初めて届け出するわけであって、ただ紙一枚届け出てそれでいいんだったら届け出る必要はないと私は思うのです。したがって、そういう届け出後の施設等について不備な点を指摘して修理させるという点が従来なかったかどうかという点をお尋ねしているのです。
  12. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 届け出を受けましたあと、第一種製造者のように完成検査はいたしておらないのでございますが、ただ、法律の第十二条によりまして必要な場合には立ち入り検査を行なうことになっております。
  13. 加賀田進

    加賀田委員 そういたしますと、単に届け出というものについては一片の書類であって、必要があれば職員が自発的にそれを検査をすることができる程度である、こういうことでは実際問題として、こういう高圧ガスについての危険性というものを事前に防止することはできないのではないかと思うのです。もしそういうことで、これは小型だからそういうおそれがないとするならば、別にそういう届け出する必要もないだろうと思うし、その点、そういう単なる届け出だけで、将来こういうものは——いまのところ事故は起こっていませんという話ですが、必ずしも将来とも起こらないとは言えないと思うのですが、そういう点、届け出だけでこの問題が処理されていいのかどうか。その問題はどうなんでしょう。
  14. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 先ほど申しましたように、この第二項の事業者程度のものでございましても、手押しポンプ程度でありましても、これは第一種製造者規制を受けることになるわけでございます。したがいまして現在のところ、従来の経験にかんがみまして、この届け出によりまして一応存在を認識して、必要な場合に立ち入り検査を行なうということで足りると考えておりますが、今後高圧ガスはいろいろ新しいものも出てまいりましょうし、そういう場合には、さらに必要があれば適当な措置をいたしたいと考えております。
  15. 加賀田進

    加賀田委員 必要というのはどういう限界になりますか。一片の紙で届け出て、そこで製造業開始している、こういうものをつくっているんだなという認識だけで、職員が必要ということで検査するという、必要の限度についてはどうも疑義があるわけです。したがって、届け出そのものについての効力とか目的というものが明確でないと思うのです。やはりいま言ったように必要なときには検査するという一つの目標があるでしょうけれども、その必要という理由ですね、どういう事態が起こった場合に必要ということが認識されるのか、それがどうも不明確じゃないかと思うのですが、従来そういうことで定期的に、届け出てから一年以後に検査するとか何とかいうような規定があるのですか。それとも、ないとするなら、ただ単なる届け出だけで意味がないものではなかろうかと思うのです。しかも、どうせタンク等を使っているでしょうし、それについてはあとで触れたいと思いますけれども、そういうタンク等の部品の材料の検査も、これは精密に省令規定しているわけですから、そういうものを全然無関係で、独自の考え方で——もちろん業者省令等を厳守しようという意思があるでしょうけれども、それを業者に全部まかせてしまって、単なる届け出だけだということでは、どうも危険性を解消することはできないように思うのです。もしそれだけで、完全に業者を信じて、それでいいんだということになれば、施設がうんとこまかになったら、事業を行ないましたという届け出だけでいいのじゃないかと私は思うのですが、その点どうでしょうか。
  16. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 先ほど来申し上げましたような程度規模工場でございますので、許可制までという必要はないと考えておるわけでございます。ただ、必ずしも全然危険がないというわけではございませんので、立ち入り検査を法によりまして励行をいたさせたい。府県の担当の人員等も限られておりますけれども、その範囲内におきまして、極力そういう小規模施設につきましても立ち入り検査を増強してやらせるということで進みたいと考えております。
  17. 加賀田進

    加賀田委員 どうもその点、立ち入り検査も従来なかなか計画どおりには予算の関係等職員の数等によって実行されていないような状態ですから、やはりこの点も、たとえ規模が小さくとも同じ高圧という一つ危険性があるし、しかも規模の大きいところは事故が起これば大きいでしょうけれども、事故の起こるおそれのあるそのものについては、大小にかかわらず私は同じだと思うのです。したがって、そういうことで今度は法律改正が出ておりませんけれども、再検討されて、しかもいま立ち入り検査のことが局長のほうから明らかになりましたけれども、それら等についても留意して、万全を期していただかなければならないのじゃないかと思うのです。  それから、今度の法改正との関係もありますけれども、いまいわゆる製造業者には作業主任者というものが決定されている。それから販売業者にはいわゆる販売主任というものが、試験制に基づいて免状を与えて実施せられているという状態ですが、今度の法律では、新たにいわゆる消費者についての取り扱い主任者というものをきめて、これがある程度保安に対しての責任をとるように指導していくということになっているわけです。販売主任者とかあるいは作業主任者についてはいろいろ規定をこまかく設けて、甲乙丙あるいは第一種、第二種というふうに段階をつくって、いろいろ試験制度に基づいて免状を与えておるわけですけれども、今度新たに設けられる取り扱い主任者については、そういう制度をつくろうとするのか、それとも単なる消費者主任を選定して届け出ればそれでいいのか、その点をちょっと明らかにしてもらいたいと思うのですが。
  18. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 この消費工場取り扱い主任者につきましては、国家試験実施する考えはございませんが、一定期間経験を必要とするということで基準を定めたいと考えております。
  19. 加賀田進

    加賀田委員 単なる経験だけで、こういう重要な責任者として将来とも事故防止——もちろん日常注意とかあるいは指導とかはしなくちゃいけませんけれども、事故の起こった場合には、やはり最高責任者として責任をとらなくちゃいけない、こういう重要な任務を帯びていながら、単なる一定経験だけで、主任者として自主的に消費者届け出るだけで、それを了承することで目的が達成されるのか。やはり一定教育期間とかいうことがいわゆる行政面実施されていかなければ、技術的にも非常に未熟な消費者でございますから、この法の目的をうまく達成できないのじゃないかと思うのです。単なる五年なら五年の経験者であれば、消費過程におけるいわゆる取り扱い責任者として届け出てあればそれでいいんだというようなことでは、その目的を達成することはできないのじゃないかと思うのです。技術水準等もある程度行政指導として認めて、それを認定していく、こういう形をとらなければ法の目的を達成することはできないのじゃないですか。どうでしょう、その点は。
  20. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 現在の液化酸素規制につきましては、取り扱い主任者は、「液化酸素製造作業または消費に関し六月以上の経験を有する者」あるいは大学専門学校等を卒業して「高圧ガス製造作業または消費に関し六月以上の経験を有するもの」という規定をしてございます。今回の特定の高圧ガス消費につきましても、製造と比べますと作業が比較的単純でございますので、液化酸素と同じ程度資格をもって足りるというふうに考えたわけでございます。
  21. 加賀田進

    加賀田委員 通産省から出している資料の事故件数を見ますと、昨日見学に行きました高圧ガスの中でのプロパンガスが非常に多いわけですが、この過程——いわゆる製造あるいは販売消費、貯蔵といういろいろな過程がありますけれども、その過程の中でどこに一番事故が多かったか、通産省として調査の結果が明らかだと思うのですが、発表していただきたいと思います。それが製造過程に多いのか、あるいは販売過程に多いのか、消費過程事故が多いのか、この点を明らかにしてもらいたいと思います。
  22. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 プロパン関係事故でございますが、件数としましては、家庭における消費の際の事故が一番大きいのでございますが、災害の範囲から申しますと、プロパンガススタンド事故が被害としては大きなものになっております。そのプロパンガススタンド事故原因でございますが、直接の作業員の、取り扱い上の不注意あるいは過失というようなものが、事故発生原因の大部分でございます。
  23. 加賀田進

    加賀田委員 いまプロパンガス事例をあげましたけれども、こうした事故の一番多いのは、やはり固定した施設の中における事故というものは案外少ないんじゃないかと思うのです。結局それは移動過程における事故というものが一番多いのであって、固定された施設については案外——もちろん製造関係あるいは販売関係には技術者がおりますから、相当注意もしておるでしょうけれども、やはり一番事故がこれから多くなり、あるいは今日まで多いのは、消費過程における事故というものが、事故そのものは小規模であろうとも、一番多いんじゃないかと思うのです。そういうところに着眼して、今度法律改正通産省で出されたのでしょう。だからその責任者というか日常指導される方が、単なる経騒があれば、それで届け出すればいいんだ、こういう認識じゃなくて、やはり一定の技術的な知識を持った人とか、あるいは通産省のほうで二カ月なら二カ月という期間を経て教育を与えた人とか、何かの基準というものが明確になって、事故防止というこの法律目的を達成しなくちゃならないんじゃないかと私は思います。大学を出て一定教育を受けた、あるいは六カ月以上これに携わっておったということだけで、一方的に主任届け出ればそれでいいんだ、こういう認識では、単に事故が起こった場合の責任者を明らかにするだけであって、やはり防災という一つ日常の行動にはちょっとこと足らぬ点があるんじゃないかと思うのです。したがって単なる経騒者届け出ればいいんだという今度の思想ではなくて、取り扱い主任という一つ責任者を、一定の方向を明らかにしなければ、販売主任とか作業主任については、作業主任免状を与えるためには、化学主任とか機械主任というので甲乙丙、結局冷凍機械等を含めますと七種類の免状を与えるというようなことで、非常に細に入った注意を払っておきながら、いま一番事故が多いこういう消費過程における責任者としては、経験者届け出があればいいんだというのでは、ほんとうの事故を防止するという姿勢に少し欠けているのじゃないかと思うのですが、これで通産省として自信があるのか。局長が答弁できなければ政務次官でもけっこうですが、自信があるかないか。いかがですか。
  24. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 現在までプロパンスタンドで起きております事故は、先ほど申しましたように、作業員不注意のものが多いのでございます。スタンドポンプを持っておりますので製造所ということになっておるのでございます。そういう意味製造所としての最もきびしい規制を行なっておるわけでございますが、今回法律改正でお願いしております消費工場の場合、これは高圧ガスを減圧する過程を言っておるわけでございまして、したがいまして製造とは異なって、作業としては非常に簡単なものでございます。液酸の場合、先ほど申しましたように、六カ月以上の経験ある者を取り扱い主任者ということで実施をしてまいりまして、十年間以上無事故でまいっておるわけでございます。したがいまして、今回新しい規制対象とします高圧ガス消費につきましては、いま申した程度資格をもって足りるというふうに考えております。なお、御指摘の点もありますので、保安協会から定期に教育を受けさせるようにいたしたいというふうに考えまして、そういう点も補完をさせていきたいというふうに考えております。
  25. 加賀田進

    加賀田委員 いまスタンドの話が出ましたけれども、スタンドはそうすると第一種製造所ということになるのですか。
  26. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 プロパンスタンドは第一種製造所でございます。
  27. 加賀田進

    加賀田委員 それではできるだけそういうようにして、法の目的を達成するためには、やはり取り扱い主任者についても、協会協力等も得て、できるだけ万全を期すようにお願いをいたしたいと思うのです。  それから従業員教育問題について、第一種等については、一定教育規定を設けてそれを完全に実施しなければいかぬ、こういうことになっておるのですけれでも、常時雇用する労働者については、そういう施設、そういう規定を設けて教育が施されておると思うのですが、しかしこれも実際に教育しているかどうかということは届け出制で、一定教育を行なっているということを認定するのは、業者が自主的にそういう計画に基づいて記録等を届ければそれでいいのですから、実際にやっているかどうかということについて、信じなければそれまでのことですが、そのことも大事だと思いますから、十分に監督していただかなければならぬし、それから臨時労働者について、やはり同じ事業所の中で常用の労働者一緒に働くわけですから、これについての保安教育というものが法的に規定してあるのか、あるいは今日まで実施されているのか。どうもそういうふうなことについて不安があるのですが、これはどうでしょう。
  28. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 保安教育につきましては、御指摘のとおり届け出でございまして、実際にどういうふうに行なわれておるかということをチェックするのは非常にむずかしいことでございます。従来の事故にかんがみまして、私ども考えておりますのは、第一に経営者あるいは幹部従業員保安意識高揚ということにあるわけでございます。まず経営者幹部保安意識高揚させまして、それに基づいて一般従業員に対する教育徹底をはかる、そして事故の絶滅を期するということが保安対策の第一歩であり、基本であろうというふうに考えております。これを実現するにつきましては、なかなか形の上にあらわれませんので非常に把握しにくいのでございますが、実は本年は特にそういう経営者幹部従業員保安意識高揚一般従業者に対する教育徹底ということをはかりたいと考えまして、各都道府県に指示をいたしましたし、また、高圧ガス保安協会に対しましても、そういう各府県で行ないました講習等協力をして指導者を派遣するとか、あるいは必要なテキストをつくるとかいうことで十分教育するようにということをいたしております。また、ある時期には、そういう高圧ガス保安強調月間というようなものをことしじゅうに実施をいたしまして、所期の目的を達成したいと考えておるわけでございます。  それから第二の下請の問題でございますが、高圧ガス取締法で、保安について経営者にいろいろ義務を負わせておりまして、危害予防規程を作成させたり、教育計画をつくらせたりいたしておりますが、それは当該事業所従業員に対するものだけではなくて、その事業所内作業する者全部を対象としてつくるようにいたしております。したがいまして、事業者としては、自分のところの従業員だけではなくて、下請工事者に対しても十分保安についての教育をしなければならないわけでございますが、遺憾ながら現実には、そういう下請工事人というのは、転々として十分保安知識のない者が実際の作業をするという場合がございまして、そういうことから事故が起きる例があるのはまことに遺憾な次第でございますが、私どもといたしましては、事業者に対して、そういう下請なんかも含めて十分な教育をするように、あるいは危害予防規程、これは認可になっておりますので、危害予防規程の中に、そういう工事人も含めました措置を講ずるようにという指導をいたしておるわけであります。   〔早稻田委員長代理退席田中(龍)委員長代理着席
  29. 加賀田進

    加賀田委員 臨時雇用労働者でも二通りあると思うのです。常時雇用されている労働者一緒作業をするが、しかしそれは季節的とか、あるいは一定期間を区切って臨時的雇用ということで一緒作業する場合と、新たに施設を増設するとかいうことで全然違った性格の労働者工事現場に入って工事をするという二つの方法があると私は思うのです。前者の場合には、ある程度経営者責任を持って教育をするでしょうけれども、タンクを少しふやすんだからということで下請をして作業をさすというような場合には、そこの経営者あるいは責任者が、そういう保安教育まで施した者でなければ工場の中に入れてはいけないというような姿勢をとっていかないと、雇用関係が違いますから、そこに一つの問題があるのではないか。それについては、法的には何ら処置がないわけですね。にもかかわらず、そういう教育を受けていない者がやはり工事現場に入っていくと、これが事故を起こすというような原因になっておるだろうと思いますが、それについては、通産省としては、いままでは特に指導されているのか、協会としても、そういうものについて経営者に何かの要請をしているのか、そういう点が非常に不安な点があるし、過去にもそういうことがいろいろ流布されておりますから、そういう点については新たに検討される意思があるのかどうか、ちょっと明らかにしてもらいたいと思います。
  30. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 御指摘のとおりに、工事人が十分な保安上の知識を持たないために事故を起こすということは間々ありまして、まことに遺憾な点でございます。これにつきましては、第一種製造者につきましては、先ほど申しましたように危害予防規程が認可制になっておりますので、極力危害予防規程の中にそういうものも含めて対策を講ずるように、指導するようにいたしておりますが、法的にそういう知識のない工事人を使ってはいかぬということは現在規定をいたしておりません。各府県にもそういう点を指導し、保安協会でもそういう点を注意するように、協会からいろいろ関係の団体等にそういう指導をさせるようにいたしておりますが、御指摘のとおり、これはなかなかむずかしい問題でございます。現在のところ、われわれとしましては、いま申しましたようなことで極力事業者保安知識高揚をはかる、それが下請の修理等の事業者にまで及ぶということを行政指導を通じて進めてまいりたいと考えております。
  31. 加賀田進

    加賀田委員 第一種製造者のいわゆる保安距離というか、タンク間の距離というものは規定されているわけですか。
  32. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 現在きめております制限距離、保安距離は、その高圧施設から第三者に対する距離でございまして、タンクタンクとの間の距離というのは、技術上の基準ではきめておりません。
  33. 加賀田進

    加賀田委員 昨日日本石油からずっと視察に参ったわけですけれども、見ますと、すでに高圧ガスとしてガスが充満されているタンクの横で、新たにタンクを増設する工事をしていますね。しかもすでに進行している場所と高圧ガスタンクとの間に、簡単なへいだけで工事をしている。工事をすればそこで火気も使うでしょうし、従業員もそこで仕事をするでしょうし、そういうものについてもちろんこれは届け出て、許可制になっているだろうと思うのですけれども、タンク間の距離が、われわれしろうとから見ると短いために非常に危険な感じがするのですが、ああいう増設の場合の許可基準というものは明確になっているわけですか。それが保安的にも安全な規定として制定されているのかどうか、その点をちょっとお聞きしたいと思います。
  34. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 昨日御視察になりました場合に、日石ガスタンク増設の工事をやっておりまして、障壁は建てておるのでございますが、あの場合に、増設しております工事場から一番警戒しておるのは火気でございます。ああいう施設で十分であると私ども考えておりますが、そういう点につきましては、先般の昭和電工の事故もございましたので、修理の場合には他の施設との間に必要な障壁等防護措置を講ずるようにということを関係工場には指示いたしております。なおそういうタンク間の距離、工場内の施設高圧施設と他の構造物との関係等につきまして、技術上の基準におきまして何らかきめたほうがいいのではないかという考えで、目下そういう工場内のレイアウトについての基準というものを検討をいたしております。
  35. 加賀田進

    加賀田委員 これは災害を最小限度に、不幸が起こった場合にもとめるという意味では、連鎖的に災害が拡大していくということは非常に好ましくないことだから、タンク間においても、もちろん地価等の関係でコスト高になって業者はいやがるでしょうけれども、しかし安全度から考えればそういうことも言っておられないので、ひとつ研究願いたいと思います。  なお、同僚の中村委員からも引き続き質問があるそうですから、質問をはしょって次に入りたいと思います。  この法律の中では、いわゆる通産大臣の諮問機関として審議会がございますね。これは普通の審議会と違って、いわゆる大臣の諮問に応ずるということだけではなくて、みずから建議することができるわけですね。そういう性格になっていると私は思うのですが、今度の法律改正に基づいて、われわれとしてはこの程度では非常にまだ不足だと思うのですけれども、この程度で今日の高圧ガスに対する保安が維持できる、そういう見解のもとにこの審議会が建議されて、態度を明らかにしたのかどうか。それから、審議会として最近における活動について、ひとつ明らかにしてもらいたいと思います。
  36. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 一昨年に高圧ガス保安協会法律改正によってできましたので、保安の技術に関することは保安協会のほうに諮問をいたしております。この法律によります保安審議会は、そういう事情から、現在のところは国家試験に関する問題について審議をお願いしておるだけでございます。
  37. 加賀田進

    加賀田委員 そうすると、法の趣旨に基づく保安その他の高圧ガスに対する建議というものはほとんどないわけですね。だから、この審議会の予算を見ると、本年は九万何ぼですね。こんなことでほんとうの審議会の活動ができるのですか、どうですか。やはり従来審議会に求めていたいろいろな指導的な性格というものが協会に移った。ところが、法律的には審議会があるから、とにかく運営だけの費用だけはちょっとつけておこうかというので、九万八千円——九万八千円で審議会のそういう運動ができるかどうか、これはひとつ検討してもらいたいと思うのです。必要でなければ法律で削除したほうが私はいいと思うのです。しかし、私はここで審議会自体が、発展するガスについて、特に化学産業の発展に基づいて相当建議もできるという権能を与えているのですから、相当通産省としては期待してこの審議会をつくったと思うのです。ところが予算を見ると、年間九万八千円で二十名前後の委員を嘱託して何ができるのですか。ほとんど何も仕事ができないと思いますが、これはどうでしょう。将来審議会を自然消滅の方向に持っていくのか、あるいは従来と同じような方向に持っていくのかどうか、これも通産省として明らかにしてもらいたいと思うのです。委員に対しても失礼ですよ。委員を嘱託して、重要なガスに対して審議をしてもらいたい、あるいは建議もやっていただきたいということで、積極的な法律体制を整えていながら、九万八千円で、実際問題としてどうでしょう、次官、こういうことで仕事ができますか。
  38. 岡崎英城

    ○岡崎政府委員 ただいま御指摘のございました審議会につきましては、私も率直に申し上げて詳しく内容その他について研究不足でございますが、いま御意見ございましたような次第でございますので、とくとよく研究いたしまして、審議会を設けている以上はその機能は十分発揮できるようなふうにしていきたいと思います。もしもまた必要のないようなものでございましたならば、これを廃止するにやぶさかでないのでございますが、何しろこういうように最近非常に発達してまいりました業界のことでございますので、各方面の御意見を十分聞くことが必要じゃないか、こう思いますので、この審議会の内容、活動等について、将来十二分に効果のあがるようなふうに持っていくように努力いたしたい、こう存ずる次第でございます。
  39. 加賀田進

    加賀田委員 そうすると、次官、これは審議会を将来、本来の機能を発揮できる体制に持っていこうという意思なんですか、それともこの印象では、もうこれは自然消滅していいんだ、法律にあるからしようがないから予算をつけておこう、九万円だったら紙代ぐらい、コーヒー代ぐらいは出せるだろうという程度で、こういう方向に持っていこうとするのか、あるいは法律のほんとうの趣旨に持っていこうとするのか、それを示して明らかにされないと、委員だって委嘱されても熱意が入らない、消えていったっていいんだったら消える体制をとるだろうし、もっと活用しようとするなら委員の方々も活用するでしょうし、熱意もあるでしょうし、どちらかということをこの際明らかにしてもらえればけっこうだと思います。
  40. 岡崎英城

    ○岡崎政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、研究いたしました結果、わざわざお願いする必要もないというような結論に達することはないと思いますので、一応よく研究いたしたいと思いますが、私の考えでは、ただいまのような大いに発達してまいります事業のことでございますから、非常に必要じゃないかと思いますので、内容は十分充実して御活動していただけるような、御協力していただけるような審議会にぜひ盛り上げていきたい、こう思います。
  41. 加賀田進

    加賀田委員 これは大臣が来たときに、来年の姿勢と同時に、来年の予算要求にも大きな態度がそこに明確になってくると思うのですが、大臣がいませんから、またあらためて御質問いたしたいと思います。  引き続いて、容器の試験がずっと行なわれております。容器の試験は、いわゆる容器としての完成品と材料試験と両方に分かれておると思うのですが、こういう完成品については、抜き取り試験をやっておるのか、それとも全容器についていわゆる耐圧試験とか耐熱試験、その他振動試験等、全部行なっているのかどうか。もちろん固定したタンク等については、これは材料試験と、でき上がったものについては完全な試験をするでしょうけれども、移動されるボンベ等については一体どのような試験をやっているのか、お伺いしたいと思います。
  42. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 容器の耐圧、気密等の試験は全数検査をやっております。
  43. 加賀田進

    加賀田委員 これは定期試験をしておられるのですが、この期間は、もちろんボンベの容器等によって違うでしょうけれども、一体どれくらいの程度で定期試験をしておるのか。
  44. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 再検査期間が容器の種類によって異なっておりますが、一例で申しますと、プロパンの容器につきましては、六年ごとに実施をするようになっております。
  45. 加賀田進

    加賀田委員 この試験の中で落下試験がないようですが、移動されるものについては、間違って落とされる場合もあるでしょう。振動試験等はやっておるように聞いておるのですが、落下試験はあるのですか。一定の高度から落として。
  46. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 容器自体については、御指摘のように落下試験は実施をいたしておりませんが、材料につきまして強度試験をやっておりますので、落下試験まで行なう必要はないと考えております。
  47. 加賀田進

    加賀田委員 材料の試験といったって、抗張力の試験をするとか、あるいはこれを見ますと、強度試験なんかやっておりませんけれども、あまり試験してないのじゃないですか。いわゆる法律的には引っ張り試験といっておりますが、これは抗張力の試験でしょうけれども、材料試験で落下試験が必要ないというようなことは私はないと思う。運搬中に事故が起こることはある。どうでしょう。では、材料試験はどの程度試験しておるのですか。
  48. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 先ほど材料につきまして強度試験と申しましたが、間違いでございまして、衝撃試験を実施いたしております。
  49. 加賀田進

    加賀田委員 それは一定の材料にどういうように衝撃試験をしておりますか。何か衝撃を与えて、それについての破損等を調べておるわけですか。一定の材料で何か衝撃を与えるというような試験のしかたは、ぼくはいままで聞いたことないのですが、どうでしょうな。
  50. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 この衝撃試験の方法につきましては告示で定めております。昭和三十四年四月十七日の通産省告示第百五十八号、これは昭和三十七年、三十八年と改正をいたしておりますが、それの第十七条に衝撃試験の方法規定いたしております。内容はよくわかりませんが、そういうことであります。
  51. 加賀田進

    加賀田委員 材料の試験というのは、これは協会技術者が立ち会い試験をしておるのか。それとも、そういう特殊な試験場によって試験されたデータを提出するということで了承しておるのか。その点はどうでしょう。これは容器全部にわたっての質問ですが、監督する立場の人が立ち会いで全容器についてそういう試験、再試験に立ち会っておるのか。あるいは一定の記録だけが提出されて、それを了承しておるのか。この点をひとつ御答弁願いたいと思います。
  52. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 容器の種類によりまして検査をする官庁は違っておりますが、いずれも立ち会いの試験検査実施いたしております。冷凍機につきましては保安協会検査をいたしておりますが、これも立ち会いの検査実施いたしております。
  53. 加賀田進

    加賀田委員 そうすると、材料について、いわゆる容器を製造する製造業も、全部、容器を製造する場合にはその材料ごとに試験をしておるのですか。それとも、一定基準がきまれば、それに準じてしてもよろしいということになっておるのですか。大きなタンク等については、そのタンクの材料等について試験をしておるでしょうけれども、数多い、ボンベ等については、製造期間ごとにやっておるのか、一定期間を置いて試験をしておるのか。それとも一定の型が申請されて、それに対する材料が許可されれば、それに基づいて全部そういう型のものを製造していいのかどうか。これは材質においても製造——材質は変わってくると思う。だから、一つの炉に材質が溶かされて、新たに材質をつくり出す場合にも、そのつどやっておるのか。これはどうでしょう。
  54. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 材料の試験片の取り方は、いわゆるロットごとと申しますか、炉にチャージされたそのロットごとの試験片について試験をいたしております。
  55. 加賀田進

    加賀田委員 法的な詳細な問題等について、まだ中村委員から質問があると思いますが、私はこの質問の過程を通じて、通産省の態度としては、いわゆる事故が起こるおそれがある、あるいは事故が起こったというような場合に、あらためて取り締まりを強化するという態勢が、私は今日までの態度だと思うのです。しかし将来を考えれば、高圧ガスに対する、取り締まりというものは、きつきに失しても私はいいと思う。したがって、逆にそういう必要がなくなれば緩和する、こういう態勢でなければ、高圧ガスの災害を防止するという態度はとれないと思うのです。したがって、今日の改正については、もちろんこれは消費過程における責任者をきめて、その事故を防止しようとする態度そのものについては、私は何も反対するわけではありませんけれども、もっと強化する態勢で、通産省としては前向きにこの高圧ガス取り締まりについての態度というものを将来検討してもらいたい、こういうふうにひとつお願いをいたしたいと思います。  私の質問はこれをもって終わりたいと思います。
  56. 田中龍夫

    田中(龍)委員長代理 これから中村重光君の御質問でありますが、どうぞ。発言を許します。
  57. 中村重光

    中村(重)委員 警察庁は見えていますか。
  58. 田中龍夫

    田中(龍)委員長代理 まだ見えてないようですが、通産省の分から御質問を願いたいと存じます。
  59. 中村重光

    中村(重)委員 それじゃ、局長にお尋ねします。  あなたのほうは、タンクローリーの運転手の教育指導、そういうことに対しても、もちろん関心を持っていると思うのですが、運輸省であるとか、あるいは警察庁と連絡をとってそういうことに対していろいろ注文をつける、そういうことをやっていますか。
  60. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 タンクローリーの運搬中の事故というものを考えまして、運転手の資格あるいは特別の資格のある者を同乗させるかどうかというようなことを考えまして、警察と相談したことはございますが、具体的にどうするかということはまだきまっておりませんで、私のほうでは、それぞれ事業者危害予防規程の中に、充てんする場合に取り扱い主任者あるいは一定資格のある代理者を立ち会わせる、そういうようなことを入れさせるようにしてはどうかというふうに現在考えております。運転中の問題につきまして、運転手なり同乗者について、まだ具体的な結論は得ておりません。容器等の危険な部分につきまして、必要な防護物をつけさせるということで進んでおるわけでございます。
  61. 中村重光

    中村(重)委員 このタンクローリーの構造基準といったようなものは運輸省でやる、あるいはタンクローリーの運転手あるいはLPGを使うタクシーあるいはトラック、そういう車両を運転する運転手は警察庁ということになっているとは思うのです。しかし、いずれにしても教育が不徹底である。そういうことから事故が起こってくる、国民が被害を受けるということについては、これは変わりはないわけですね。そうしてみると、やはり関係の行政庁と連絡会議を持って事故を防止していくということが私は非常に大切なことだろうと思う。ところが、いまのあなたの御答弁では、どうも相談をしたことはあるけれどもと、きわめて消極的なんですね。そういうことじゃいけないのじゃないか。非常に高圧ガスが普及をしてきた。きのうの現地視察でも、あなたもお聞きのとおり、あなたはもうお聞きにならなくてもわかっていると思うのだけれども、販売基地だって六百カ所、そういうことであったわけですね。そうすると、高圧ガスは非常に普及している。先ほど加賀田委員の質問に対するあなたのお答えの中でも明らかになったように、家庭でもプロパンを使うということは非常に多くなったのですね。それに伴っての事故というものが激増しているわけですから、だから何とかしてどの部面でも事故を起こさない、そういう点については積極的な取り組みがなければならぬと私は思うのですよ。いまのような態度では非常に不安に思うわけです。もっと具体的な計画というものがなければならぬと思うのです。その点に対しての考え方をひとつもう一度お聞かせ願いたいと思います。
  62. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 御指摘のとおり、関係各省共同して事故防止に、万全を期すべきでございますので、私どもも各府県には、それぞれの担当の消防なり警察と十分連絡をとって実施するように指示してございます。また私ども本省自体としましても、御指摘のようにさらに積極的にその対策を協議して実行に移してまいりたいと考えます。
  63. 中村重光

    中村(重)委員 きのうバスの中で東京都庁の職員の方の説明がございましたですね。それは、事故設備が非常に不備である、あるいは商品知識というものに対する認識が非常に薄い、それから作業主任が不在である、そういう際に非常に事故が多く発生をしておるのだということであったわけですね。あれを聞きまして、昭和三十八年度に高圧ガス取締法の一部改正が行われた際に、教育面ということに対して私どもは非常に強調したわけです。ところが、ああいったような説明を聞きますと、あなた方の取り組みが非常に弱いということをあらためて認識させられたという感じを深くするわけです。ただいま加賀田委員から、消費工場あるいは小規模製造工場届け出義務の問題、その他主任であるとかあるいは従業員教育の問題というようなことについて質問がなされたわけですが、それに対する答弁を伺っておりましても、どうもそういう点に対してのあなた方の取り組みというものは弱いように思います。そこで都道府県でどういう教育をやっているのか。当然あなた方はそういうことに対する行政指導をやっておりましょうし、またそれに基づいての実績というものも当然つかんでおられると思うのですが、そういうことに対して把握しておられる点をひとつお聞かせ願いたい。
  64. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 各府県では、大体資格試験の行なわれます前に講習会を実施をいたしております。大体年三回ないし四回程度実施をしておるところが多いようでございます。そのほか、来年度としましては、プロパンスタンド従業員に対する教育実施をしたいということで、四十年度の予算にも若干額をお願いしておるわけでございます。もちろんそういうものだけでは不十分でございますので、高圧ガス保安協会でも講習会を実施させるし、あるいは先ほど申しましたように、府県にそういう点で協力をして、講習の指導者を出すなり、あるいはテキストをつくるなりやらすように、現在、鋭意その準備を進めておるわけでございます。
  65. 中村重光

    中村(重)委員 いま加賀田委員から強く主張されたのですが、消費工場とかあるいは小規模製造工場ですね。その施設に対して届け出制にしておるということは、私はどうしても適当でないと思う。これはやはり許可制にしなければならぬと思うのです。先ほどのあなたの答弁を伺っておりましても、どうも届け出制でもいいなという感じが出てこないのです。そこで、許可制の必要はない、届け出制でいいんだということの積極的な理由の説明がなされなければならぬと思うのです。もう一度、その点に対してのお答えを願いたい。
  66. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 消費施設でも、ポンプ等を持っておりますものは第一種製造所として許可制になっております。したがいまして、純粋の消費工場といいますのは、蒸発器等を持っておる程度の、比較的簡易な設備でございます。したがいまして、これを許可制にまでする必要性はないんではないか。必要にして十分なる規制は、現在の段階では届け出をもって足りるんではないかと考えて届け出にしておるわけでございます。先ほど申しましたように、液酸の場合には、幸いにして、ここ十数年無事故でまいっております。そういう状況からしまして、現在のところは届け出制で十分であると考えておりますが、今後の法律の施行状況によりまして、不備な点があれば、その原因に応じまして必要なる措置を講ずべきであると存じます。
  67. 中村重光

    中村(重)委員 昨日、いすず自動車川崎工場、それから充てん所を見ましたね。ああいう施設届け出制になっておるのでしょうか。
  68. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 いすず自動車の川崎工場消費工場でございます。あとから見ました盈進自動車のスタンドは第一種製造所でございます。盈進自動車のほうは許可制になっておりますが、いすず自動車の川崎のほうは届け出制でございます。
  69. 中村重光

    中村(重)委員 従来の実績として、ああした工場に対して、あるいは充てん所に対して、どの程度検査をやっておるのですか。
  70. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 盈進自動車のほうは第一種製造所でございますので、設備を完成した場合の完成検査実施いたしておりますほか、あと、年間一回程度保安検査実施をいたしております。そのほか立ち入り検査制度がございますが、特別の場合のほかは立ち入り検査はああいうスタンドには実施をしていないと思います。
  71. 中村重光

    中村(重)委員 きのう視察をして私が感じたことですが、あの充てんするところのすぐそばに火気がある。その中には障壁というものも設けられていない。それから充てんをするときに漏洩するということがあるわけです。そういった場合に、タクシーなんかでも、充てんするとき不用意に運転手がたばこでも吸っておったということになってくると、そこからやはり爆発する危険があると思う。ところが、通風関係について、充てんするところに特別の配慮が行なわれておるかというと、どうもそういうことも見受けられなかった。いまあなたのお答えによると、完成をしたときに検査をやる以外に、定期的に年一回やっておるんだ、立ち入り検査の道も開かれておるんだ、こう言っておる。なるほど法律であるとか省令にはそう書いておるかしれないが、現実には、完成後の検査は行なわれておるにいたしましても、立ち入り検査というようなものは行なわれていないだろうと思われる。行なわれておるならば、きのう私どもが見まして感じたようなことは——これは私だけでなくて、板川委員なんかも、どうもあの近いところに火気があるのはあぶないじゃないかということを指摘しておったのですが、これは私だけではない。ほとんどあのときに行かれた人がそういう印象を受けたのではないかと思うのであります。だから、保安というものに対して非常に重視していく、何とかその事故を防止していかなければならぬという積極的な取り組みということをしておられるならば、施設面に対してもっと完全を期していく、こういうことが当然なされなければならないと思います。あなたは、昨日一緒に現場においでになりまして、私がただいま申し上げましたような印象をお受けになりましたですか。どのようにお感じになりましたか。
  72. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 事故の防止につきましては、経営者幹部従業員保安意識高揚するということがまず基本であるというふうに考えております。したがいまして、そういう経営者の基本的な考え方に基づいて一般従業員に十分作業教育徹底させる、これが事故防止の第一だろうと思います。さらにまた、施設面につきましても、危険施設につきましては、きのう回りましたところは、みな火気厳禁ということで、その付近では火気を扱わないようにいたしておりますが、さらに施設面でもう少し考えなきゃいかぬじゃないかという点はあると存じます。したがいまして、現在きめております制限距離、保安距離というのは、当該事業所と第三者との関係でございますが、さらに工場の中におけるレイアウト、これについても技術的な検討を加えまして必要な基準をつくりたいというふうに考えております。
  73. 中村重光

    中村(重)委員 私は、昨日だけじゃなくて、販売するところで毎日見ておるわけです。私自身のそういう経験の中から言えるのですが、消費工場であるとか、特に販売面では、いまあなたが言われるような保安思想というものは私はないと思う。私の住まいの一部に非常に大きい会社の販売所があるのです。いつもそれを私は見ている。昭和三十八年度の改正によってどういうことをやるであろうか、私が質問をした議事録なんかも見せて、ともかくあぶないから、もし爆発でもしたら僕のうちはすっ飛んでしまう、だからよほど注意してくれ、従業員に対しても注意をしてもらいたいし、また消費者に対して、家庭に対して、ボンベをどこに置いていいのか、ともかくわからないんだから十分PRしてもらわなければ困るんだ、まるで私が質任者のようなことなんですが、私も自分自身がかわいいから、たいへんなことになるから注意をする。ところがその責任者は、よくわかりましたと言っているが、全然そういう特に保安注意をしなければならないということを、注意しているという感じがしないのです。しかも、いつも従業員がかわります。かわった従業員に対して特に保安知識取り扱い上に対して十分注意をするように、商品知識を持たせるような指導等をやっておるのか、こう見てみると、そういう感じもしない。いまあなたが言われるようなことじゃないと私は思う。もう少し通産局であるとか、あるいは都道府県であるとか、そういう面に対する指導というものを徹底をしていくということでなければならないと私は思います。先ほど保安教育の面に対しましては、あなたの心がまえというものも伺いましたから、あらためてここでお答えはいただきませんけれども、ともかく私どもの質問に対しましては、適当にお答えになりますけれども、現実はいまあなたのお答えになるようなことではないということを、私は申し上げておきたいと思います。ところが、いかにあなたにここで十分ひとつ行政指導をおやりにならなければならないと、こう注文をいたしましても、機構上の問題とかあるいは定員の問題、予算の問題ということが私はネックになると思います。こういう点に十分メスを入れて、あなた方がお答えになったことが現実に実行できるような体制を整えていくこと以外に私はないのだと思います。ところがどうでしょう。いまあなたのほうからいろいろ資料を出していただいております。これを読みましても感じることですが、高圧ガス関係のこれに直接専任として当たっていかれる人だろうと思うのでありますが、三十九年度は六人である、四十年度も同じく六人だということですね。それから通産局は、三十九年度に五人、四十年度は七人と、こうなっておりますね。ところが、地方通産局は八カ所あるのでしょう。そうですね。これに対して七人です。そうすると、私どもはこれを見て奇異に感ずる。高圧ガスを使ってない、そういう地域があるのだろうかという感じがする。八カ所の通産局に対して、これの取り締まりなりあるいは指導なりをする必要を認めない通産局があるのだろうか、そういう地域があるのだろうか、こういう感じがするのであります。これらの点に対して、あなたはどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  74. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 通産局の定員でございますが、ただいまの御指摘のように、来年度から二名増員になりまして七名でございます。現実には定員のやりくりをいたしまして、高圧ガス担当の人間はおるわけでございますが、予算上の定員としては、いま申しましたように七人ということになっております。そのほか火薬の担当者も兼務でやっておる者もございます。この人員というのは、毎年要求いたしまして一ぺんにふえるというのがなかなかむずかしい。一方高圧ガスの取り締まりの対象というのは、ここ数年急激にふえておりますので、人員のほうもなかなか追いつきません。現実にはいろいろやりくりをしまして、担当者をつけてやっておるようなわけでございます。
  75. 中村重光

    中村(重)委員 そういう答弁では納得できません。こういうことだけではなくて、いろいろやりくりはやっておるのでしょう。すべての行政面に対してそういうやりくりをやっておられるのでしょう。ところがことし二名ふえた。一ぺんにそうふやせないのだ。それは事によりけりですよ。人命尊重を強調し、保安思想を普及していかなければならない、そういうことを一枚看板として、佐藤内閣はアピールしておるのでしょう。必要であるならば、これが五名であったものが十名にふえても、十五名にふえても、人の命は大切にする。このことは第一義にお考えにならなければならない。通産局が八カ所あるのに七人の定員にしておいて、あとはやりくりしてやるのです。これで国会で御承認ください、そういう無責任な態度では、私どもは納得できない。大蔵省、見えておりますか。——こういう点に対してはどうお考えになりますか。
  76. 吉瀬維哉

    ○吉瀬説明員 高圧ガス関係の予算でございますが、全面的に四十年度は、三十九年度の予算を特に研究費などを中心にして相当ふやしたわけでございます。前年度千九百万円でありましたものが三千九百万円、ほぼ倍増しておるわけでございます。  いまのお話の人員関係でございますが、御承知のとおり定員の増加の抑制という大きな線があるわけであります。ただし人命関係のいろいろな行政に当たる定員、これについては定数増加を認めようというような線もございまして、特に高圧ガスのほうの取り締まり関係の定員につきましては、定員を二名増加したわけでございます。この定員が十分であるかどうかという判断は、いろいろ議論のあるところでございますが、私どもといたしましては、取り締まりの内容の充実ということに主眼を置きまして、特に検査、取り締まりなどは、前年度などよりも相当回数が多く行けるというような積算もいたしております。なおまた先生のおっしゃったことをよく検討をいたしまして、将来なお充実につとめていきたい、かように考えておる次第であります。
  77. 中村重光

    中村(重)委員 定員に対して十分であるかどうかは議論の分かれるところだとおっしゃった。しかし現実に通産局が八カ所ある。これに対して七名しかいない。そうすると一カ所は定員がいないところがあるということになる。プロパンなんかの消費量というものは激増しておるのです。事故もしたがって激増しているのですよ。それに対して高圧ガス取り締まり関係の専任の係員もいないというような形で国会に同意を求められる、そういう予算を編成されるということは、どうしても私どもは承服できない。議論の分かれるところだ、そういうことであってはならないのですよ。それでよろしいというようなことを国会の中で一人でも言う方がおりましょうか。役所の中では議論は分かれるかもしれぬけれども、少なくとも党派を越えて、国会の中では議論は分かれない。いまの答弁では納得できない。通産省のほうから、こういう定員でよろしいということであったのですか、その経過はどうなのですか。
  78. 吉瀬維哉

    ○吉瀬説明員 予算の最終につきましては、通産省と合意の上で政府原案を作成したのであります。
  79. 中村重光

    中村(重)委員 それは合意したのではなくて、あなたのほうで認められなかった、それで押しつけたということでしょう。どうですか、あなた自身はこれでよろしいと思っていらっしゃいますか。また予算の面におきましても、昨年とほとんど変わりないでしょう。取り締まり費は、三十九年度は百四十四万九千円、四十年度は百四十万四千円、取り締まり関係費はむしろ減額されている。これはミスプリントではないでしょう。予算総額からいたしましてもほとんど変わらない。こういう程度で承認をしろと言われても、これは無理なのです。この点どうなのですか。
  80. 吉瀬維哉

    ○吉瀬説明員 予算の計数上では、取り締まり費は前年よりたしか減っておりますが、ただし内容において変更がございまして、たとえば丙種化学などにつきましては都道府県に委任するとか、あるいは国家試験の一部を都道府県のほうに移していくとか、そういうことがございまして、実質的におきましては昨年度よりも充実している、こういうことになっていると考えております。
  81. 中村重光

    中村(重)委員 これは総額が出ていないのですが、昨年と比較して増額は幾らになりますか。
  82. 吉瀬維哉

    ○吉瀬説明員 内訳を申し上げます。まず高圧ガス取締法施行費の関係が昨年度より八万円増でございます。内訳を申し上げますと、本省関係は三十九年度は三百万三千円、これが四十年度は二百七十九万八千円、総額において二十万五千円減っております。ただし、これはいま申し上げましたとおり取り締まりの一部が地方に委譲されたり、あるいは国家試験関係の一部が地方に移ったり、そういう関係から本省関係経費の減があったわけでございます。他面、地方の関係の取り締まり費でございますが、三十九年度は九十二万九千円、これが四十年度におきましては百二十一万四千円と二十八万五千円の増になっております。総額におきましては八万円の増ということでございますが、内容に一部移動があるわけでございます。それからそのほかに申し上げますと、高圧ガスの技術基準の作成の委託費、これは高圧ガス保安協会に委託して技術基準をつくっておりますが、これが二百七十万円ほど計上されております。さらに申し上げますと研究費でございますが、前年度千三百十万円であったものを特に三千二百七十万円に大幅に増加しております。このような関係高圧ガス関係の一般的経費がほぼ倍増しているというわけでございます。
  83. 中村重光

    中村(重)委員 ただいまお答えになった高圧ガス関係のそうした諸費の総支出はどの程度になるのですか。  それから時間の節約のためにお尋ねしますが、国と地方とをひとつ明らかにしていただきたい。  それから、三十八年度も議論になったわけですが、収入の面ですけれども、検査手数料ということになるでしょう。これは国と地方それぞれどの程度になっておるのか。  それから協会に対して、協会協力させる、こういうことだけで補助金をやらないのはどうも適当ではないんじゃないかという私どもの指摘に対して、大臣も政務次官もそれから局長も、御意見ごもっともであるから、そのとおりにいたしますというお答えであった。協会に対しても、厳格な調査とかあるいは研究を熱心にやってもらう、そしてこういう事故を防止するための積極的な協力をしてもらうということになってまいりますと、やはりそれだけの助成というものが必要になってくると思うのです。そうしなければ、ともすると協会の利害というものにとらわれた運営がなされる可能性が、私は全然ないとはいえないと思う。そういう点に対しても、昭和三十八年度の法の一部改正の際にそういうお答えがなされたわけでありますから、どのように実情に即するような扱いをしておられるのか。   〔田中(龍)委員長代理、退席、早稻田委員長代理着席〕 ただいま申し上げましたそれぞれの点に対してお答えを願いたいと思います。
  84. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 三十九年度の収入でございますが、国の収入としましては、容器関係と試験の関係と合わせまして二千五百二十万四千円でございます。それから地方の都道府県の収入でございますが、三十九年度は総額約三億二千万円でございます。報告が未着の府県もございますので、一部推定をいたしておりますが約三億二千万円。これに対します支出も、同じように推定を含んでおりますが、約二億円程度でございます。それから保安協会の収入でございますが、三十九年度の容器検査の収入は千三百五万七千円でございます。協会の支出のほうは総額で一億一千九一百万円程度の予算を組んでおります。
  85. 中村重光

    中村(重)委員 都道府県は三億二千万の収入に対して支出が約二億だ、こういうことですね。この支出二億は、詳しくはわからないと思いますけれども、大体でけっこうでありますが、どういうような支出内容になっていますか。
  86. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 都道府県の支出の内訳は、検査のための旅費あるいは庁費、それからその担当者の人件費、そういうものでございます。
  87. 中村重光

    中村(重)委員 都道府県高圧ガス関係の専門の係員というのはそれぞれどうなっていますか。東京、大阪その他の都道府県、全部でなくともけっこうでありますが、ブロック別でもよろしいです。
  88. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 担当者の数は総数で百六十九名でございます。これは兼務の者もございますので、それを計算いたしますと百六十九・五人、約百七十名であります。それでブロック別の数字はございませんが、いま御指摘の東京は三十六名、これが一番多い人数でございます。神奈川県が七名、大阪府が六・五人、そういうような状況でございます。
  89. 中村重光

    中村(重)委員 東京であるとか大阪であるとか神奈川であるとか、そういったところは専任の担当者がいると私は思う。ところが私の聞くところによりますと、大阪は六・五人とおっしゃったんだけれども、実際は三人程度だということを聞いている。ほとんどの県には専任の担当者というのはいないんじゃありませんか。一般行政と米兼ねてやっているんですね。三億の収入がある。二億の支出ということになりましても、一億はもうけているのです。ところが事故はどんどん発生していく。いまあなたの言われた、東京三十六人、大阪六・五人、神奈川七人、この数字は、支出としてはそういう三億の収入という見合いにおいてそれが出ているかもしれないが、実際はおそらく一般の行政というものを担当しておるのではないかと私は思う。そうなってくると、二億は支出してない。私は、そこで一億支出しているとか、あるいは五千万支出しておるとかいうことをここでは言えないのです。ですから、その点はわかりません。わかりませんが、昭和三十八年度に答弁されたそのときの答弁の記録があるはずであります。板川委員もお尋ねをしてお答えがありましたし、私も質問をしてお答えがありましたが、たしかそのときは二千何百万とかいうようなお答えがあった、それは全体ではなかったと思います。いずれにいたしましても、三億の収入に対して、支出が非常に少額であることは言えるわけです。これでは私はいけないと思うのです。こういう点を改善し、専任の担当者を置くようにこれを行政指導していく、そういうことは通産省がしなければならない点であろうと私は思う。通産局が少なくとも一名以上の担当者を置いて、そういう事故の防止をしていく、保安の完ぺきを期していく、そういうためにも、先ほど私が指摘をいたしましたように、通産局が八つあるのに定員七名といったような、こういう消極的な取り組みではだめなんだということは、ただいま申し上げたような点にあるわけなんです。こういう点に対して、あなたはどのようにお考えになりますか。またいままでどのような行政指導をしてきたのです。
  90. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 御指摘のように、保安関係の人員、予算の増強につきましては、従来も努力をしてまいったのでございますが、今後もさらにその努力を続けたいと思います。本省、通産局につきまして、さらに予算、人員の増強につとめたいと考えておりますが、都道府県につきましても、昨年特に府県知事に要請をいたしまして、収入が相当あがっておるのだから、それに見合うように人員、経費の増強をはかってもらうようにいたしておりますので、それに応じまして、府県によりまして若干増員、予算の増額が行なわれてまいっております。  なお大阪の例でありますが、私どものほうは各担当者の名前まで調べたわけでございまして、六・五人と申しますのは、実は係長が、ガスと火薬と両方の係長と申しますか、火薬ガス係という一係になっておりますので、したがいまして係長を〇・五という計算をいたしました。火薬類の専任が二人で、高圧ガスの専任は六名でございまして、ちゃんと個々の人間の名前も調査いたしておりますので、この内容がうそということはないと思います。
  91. 中村重光

    中村(重)委員 どうもいまのような抽象的な答弁では満足できないのです。大阪の問題はいま申し上げた以上は私は指摘しません。あるいはいまあなたがお答えになったとおりであるかもしれない。しかし、少なくとも一般行政と兼ねてやっているという府県がほとんどだと私は思うのです。そういう点に対しては、ひとつ通産局を督励をして十分把握する、そして積極的な取り組みをさせるように指導されなければならぬと私は思う。いままであなたのほうでいろいろと施設の面に対しても指導をしてこられたと思います。特に実績として、いままであなたのほうで立ち入り検査をやるとか、あるいはその他いろいろ指導されて改善をされたという実績がありますか。その点どうなんです。いわゆる施設の改善、そういうことをされた事例が実績としてあがっていますか。
  92. 内丸邦彦

    ○内丸説明員 法律上の権限といたしまして、立ち入り検査を必要に応じて励行するということはあるわけでございますが、そういった一般的な指導ということにつけ加えまして、昨年来事故も二、三続きましたので、特にプロパン関係販売施設中心にして立ち入り検査を励行するようにということを強力に指導いたしまして、たとえば東京都あたりでは、都内にございます販売関係を五、六百カ所のところを昨年秋からずっと立ち入り検査を一斉にやっておりまして、その結果相当の、三、四百ぐらいの数にわたる販売店については、ここにこういったたとえば障壁を強化しろとか、こういった場所に移せというような具体的な指導をやった実情にございます。それからこの点は、各府県とも大体そういった販売関係中心にする立ち入り検査を一斉にやっておるというふうな報告を受けております。
  93. 中村重光

    中村(重)委員 自主検査なんかをやっておりましても、なかなかその改善というものは行なわれないのです。立ち入り検査をするといっても、数少ない担当者ではこれはなかなかできる相談ではない。だから十分ひとつそういう点に対しては留意されなければならぬと私は思う。それからこの保安施設なんかをいろいろやらせるという場合、金融、税制の面というのが特段の配慮がなされなければならぬと思います。  そこで大蔵省にお尋ねいたしますが、こういう保安施設に対しての金融面に特別の配慮あるいは税制面に対する配慮というものがなされておるのかどうか、その点どうなんです。
  94. 吉瀬維哉

    ○吉瀬説明員 予算の担当でございまして、金融、税の関係の担当者が参っておりませんので、はっきりしたお答えをいたしかねます。
  95. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 先般の法律改正に際しましては、全銀協と金融機関に協力の要請をいたしまして、その結果相当に効果があったというふうに承知をいたしております。
  96. 中村重光

    中村(重)委員 私が申し上げるのは、全銀協なんかと話し合いをやってただ金を貸してやるということだけではだめだと思うのです。少なくとも保安施設に対しては特別の貸し付け制度というものが考えられなければならぬというのです。税制面でもそうなんです。特別の税制措置がこういうものにこそ考えられなければならないんだというのです。ところが現実には行なわれていないのですよ。保安施設に対してはなかなか金を貸そうとしない、だからそういう点に対しては特別の措置が講じられるように、これは制度としてされなければならぬと私は思う。ところがいま、全銀協と話し合いをやって効果があったように思いますと、そういうことでは私はだめだというのです。大臣はいまおいでになったばかりですからおわかりじゃないと思いますが、ひとつ大臣の考え方を私は聞きたいのでありますが、いま私が指摘をしておるのは、高圧ガス消費が非常にふえてきた、それで事故が非常に発生しておる。ところが保安面に対してはきわめて不備であるということです。保安施設に対しては金融の道というものがなかなか円滑でない、税制面においてもそのとおりだ、だからこういう点に対しては特段の制度的配慮がなされなければならないんだということを私は指摘している。それに対して局長の答弁は、全銀協と話し合いをやって非常になめらかになったというような意味のお答えであったわけですね。貸してほしい、保安施設に対しても金を貸すようにしてほしい、協力しようという程度であったのだろうと私は思う。そういうようなことでは私はだめだと言っているのです。それらの点に対して大臣の考え方をひとつ聞かしていただきたい。
  97. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 ただいまお尋ねの御趣旨は、私としても十分考えなければならないと思います。確かに保安施設につきましては、考えようによると採算的にどうかというようなことでちゅうちょする向きがあろうかと思いますが、そういうことでは今後の近代経営者としては私は資格がないと思います。一たび事故が起これば非常に大きな影響を受けるのでありますから、根本的に考え方を変えていかなければならないと思います。しこうして政府の施策でございますが、現在、近代化資金、高度化資金、こういうものを政府は出しまして、今度御審議を願っておる予算面では近代化資金では五十億円、また高度化資金では、概算でございますが六十七億円くらい、これがそれぞれ貸し付け規模になりますと百七十七億円あるいは百四、五十億円になる、こう思うのでございますが、この資金の中で、保安関係につきましては特に貸し付け条件を緩和してお貸しをするというようなことで保安施設を十分やってもらおう、こういうことでございます。また局長からもお答えしたように、今後の融資の上におきまして民間金融機関もぜひ協力をしてもらいたい、かようなことでまいっておりますが、御指摘のようにまだまだ欠けるところがあろうかと思いまして、今後におきましてさらにこれらの施策を拡充していきたいと思います。
  98. 中村重光

    中村(重)委員 それから先ほどお尋ねしたのですが、検査手数料が都道府県で徴収しているのが三億、ところが取り締まり関係あるいはその他いろいろ検査等に対する支出が二億だというのですね。それらに当たる人件費が中心であろうと私は思うのであります。ところが専任の担当者というものがはたしてどの程度あるのか。一般行政と兼務してやっているという県がほとんどではなかろうかと私は考えておるわけです。私の知る範囲でもそういうことなんです。だから、三億の収入がある、支出は二億——報告だけそのままとりましても二億にすぎない。そうすると一億は収入になっている。高圧ガス消費量は激増の一途をたどっておる。事故も激増しておる。ところがいまの収入支出の関係は、大臣は私が申し上げたことでおわりであろうと思いますが、そういう状況であります。こういうことではだめなんだから、もっと積極的な行政指導をやって、そして保安の万全を期していかなければならない、こういうことを指摘したわけです。それからこの定員の問題も、地方通産局が八カ所ある。それに対して四十年度に二名ふやして七人にするという。通産局は八カ所あるんだから、専任の担当者というもののない通産局が一カ所あることになるのです。ところがこれはやりくりをやっておるのですと、こういう局長の苦しい御答弁であった。そのやりくりをやっておるということでは私どもは納得できない。だから少なくとも各通産局に対して一名以上の定員を確保する、そして保安面に遺憾なきを期していくようにしなければならぬということを申し上げたんです。以上の点に対して、ひとつこの際大臣の考え方を聞かしていただきたいと思います。
  99. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 検査手数料の収入が三億で支出のほうが二億である、この点は、まことに恐縮でございますが、初めて承りました。その支出の内容について私つまびらかにしておらないのでございます。この点は早速に調査をいたしまして、せっかくの収入があるのに、十分支出のほうに使われておらないということでははなはだ遺憾だと思いますが、これはよく調査の上でお答えをさせていただきたいと思います。  なお、地方通産局が八カ所あるのに七人の定員じゃないか、これはそういうふうに御指摘を受けますればまことに恐縮な次第でございまして、ただいまお話しのように本年度の予算折衝では増員をしてもらったのでありますが、まことに八カ所に対して七人ということは理屈に合わない、不合理な点があるということはよくわかりますので、今後の予算の折衝の上におきまして、これらの点の改善に努力をしてまいりたいと思います。
  100. 中村重光

    中村(重)委員 局長にお尋ねしますが、この協会の収支関係というものはわかったわけですが、以上ずっとお尋ねをしてみましても、この協会に依存する面というのが非常に大きいと思うのです。これは三十八年度の法律改正の際にも指摘をしたことだったのです。ところが、この協会のほうで支出が一億一千九百万円、収入が千三百万ですね。これを見ても明らかなように、協会は相当な出血をして協力をしておるということになるわけです。これは業界ですから、当然であるといえば当然であるかもしれません。しかし、これだけの支出をやっている、しかし収入はこの程度である。ところが、私はどうもふに落ちないのは、支出が一億一千万、収入が千三百万ということになってくると、結局協会の一般経常費から支出をしておるということになると思うのですよ。ここには相当な無理があるのではないかと考えられるし、その業務内容において通産省が期待をしておるような成果を上げることがはたしてできるであろうか。また、あなたのほうではこの協会に対して十分注文をつけて調査研究——まあ業務内容としては検査というものはできないのであろうと思うのでありますが、そういったようなところまで積極的に協力させるようなことがはたしてできるのかどうか。こういう点に対してあなたのほうではどのように期待をしておられるか。また、実績としてどういう成果が上がっておるのか、そういう点に対してお答えを願いたいと思う。
  101. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 協会の収支につきましては先ほど御報告したとおりでございますが、収入の一つに委託費があって、国からの分が二百七十万円ございます。協会にいろいろ技術上の基準等を作成してもらうにつきましては、こういう委託費をさらに増額しまして、協会が十分な活動のできるようにいたす必要があると考えております。協会は一昨年発足いたしましたが、実際の活動に入りましたのは昨年の初め来でございまして、設立当初におきましては十分な活動はしておらなかった状況でございます。その後、協会の機構が整備をするにつれまして、技術基準の作成とか、あるいは容器、冷凍機の検査とか、そういう事業を進めてまいっております。私どもとしては、さらに期待をしておりますのは自主保安の強化という点で、先ほど申しましたように企業の経営者あるいは幹部従業員保安意識高揚について、協会としても民間からそういう空気を盛り上がらせるように、あるいは十分わからない業界の人に、そういう気持ちを持たせるように協力をしてもらいたいと思っておりますし、さらに規模の非常に小さい消費者等につきましては、協会のほうからもそういう技術上の知識をいろいろ与えまして、レベルアップをしてもらいたいということを考えております。したがいまして、先ほど御指摘のように、会員の拠出金で相当部分をまかなっております団体としましては、われわれが期待するような点について、予算的、財政的になかなか困難な点があろうと思います。私どもとしましては、先ほど言いました委託費をできるだけ増額して、協会が会費収入に依存しないで、委託費で十分そういう委託された内容事業を行ない得るように持ていきったいと考えておる次第でございます。
  102. 中村重光

    中村(重)委員 こういうことでは、業界が、自己擁護という形になりがちなんですよ。私は、昭和三十八年度の法の一部改正の際にも申し上げたんですね。小さい業者、零細業者というものを締め出すための法律改正であるといううわさすら流れている。結局そういうことにもなるのです。設備面であるとか、その他いろいろ制度的に非常にきびしくなった。そうなってくると、これは販売店のことなんですけれども、小さい販売所では、いろいろ設備がむずかしくなったものだから、そこでやれなくなるのですよ。そうなってくると、まあ一年半の猶予期間があったわけです。その間に適当なところを物色をして、そうして設備をすれば、営業というものは、それは移転してできるかもしれない。ところが、なかなかそううまくいかない。また、どうしてもその販売面が一つの地域に限っておるということになってまいりますと、そうどこへでもというわけにはいかなくなるんですね。結局期間がきた、それでやめなければならぬというような形にもなってくる。協会が少なくとも調査をやり研究をやる、そうしてあなた方のほうで期待しているような協力をしてもらうというような形になってまいりますと、こういう面もひとつ十分指導をして、そうして淘汰していくということよりも、何というのか、合併をするという点もありましょうし、いろいろそういったすべての人たちが生活をしていけるような体制というものが、私はつくらなければならぬと思うのですよ。ところがどうしても支出が、いまあなたのお答えのとおりの、非常に膨大な支出になってくる、収入がこれに伴ってこないという形になってまいりますと、一般の経常費から支出するということになってくると、大きい業者というものが、どうしても自己擁護という形になって、そして小さい販売店なんというものは締め出されてくるということになりがちなんですね。そういう弊害を除去するというようなやり方をするということになってまいりますれば、どうしても国がこれを助成していくということが必要になってくるのですね。いわゆる保安面でほんとうにあなたのほうで期待しているような成果をあげさせるというようなことになってまいりますれば、そういうことでなければ私はならぬと思う。そういう点に対してはやはり十分の配慮をしていく、こういうことでなければならぬと思います。この点に対しては特段の注意を喚起しておきたいと思います。  それから、この法律案改正に基づきまして省令が出るわけですね。省令改正というものが行なわれるわけですよ。この省令改正というものにほとんど譲られている。技術基準というようなものも省令でこれを定めることになるわけですね。ですから、これが一番大切だと思うのですよ。できるだけこれを急がなければならぬと思うのですが、いつごろにこの省令改正というものはなるのか、その点をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  103. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 省令できめます特定高圧ガス消費者の守るべき技術基準につきましては、すでに高圧ガス保安協会に諮問をいたしております。保安協会のほうで技術的に検討しまして、その答申がありますれば直ちに省令を制定いたしたいと考えております。時期的にいつということはいまのところはっきり申し上げられませんが、法律の施行は、公布後六カ月以内で政令で定める期日ということになっておりますので、おそくも秋ごろまでにはきめなければならないと思いますが、そういうゆうちょうなことは考えておりません。もっと早い時期に省令をつくりたいと考えております。
  104. 中村重光

    中村(重)委員 早くやるということですから、まあそれでけっこうです。六カ月というようなことでは全く長過ぎると思いますね。何といっても省令内容というものが一番大切だと思います。生産技術というものは非常に進んできたけれども、保安技術というものがおくれているというところに、すべての災害というものが激増をしてくる最大の原因が私はあると思う。ですから、そういう点に対しては十分配慮されて、一日も早く省令改正をされるように強く要請しておきたいと思います。
  105. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員長代理 質疑を続けます。加賀田進君。
  106. 加賀田進

    加賀田委員 いま、いろいろ質問の過程を通じて、通産省としての今後のかまえについて明らかにしてもらいたい点が一点あるわけです。大臣も御存じだと思うのですが、高圧ガス取締法の中で、大臣の諮問機関として、いわゆる高圧ガス保安審議会というものがあることは御存じだと思うのです。これは大臣の諮問機関と同時に、ただの諮問機関ではなくして、みずから保安に対して、法改正であるとかあるいは省令改正、強化等について必要がある場合には審議会がこれを建議するという権能を持っておる重要な審議会だと私は思うのです。したがって、これからいろいろ質問の過程を通じてもありましたとおり、高圧ガスに対しての保安対策はなお強化せなくてはならない推移に私はあると思うのです。審議会のこれからの権能や活動というものに期待をしていかなければならないにもかかわらず、今日の審議会はあってなきがごとき状態じゃなかろうかと思うのです。その一つの例として、本年度の予算の中で、審議会の費用がわずか年間九万八千円ということになっておるのですよ。二十数名の審議委員を大臣が任命して、この重要な高圧ガスに対する保安対策を審議してもらおう、あるいは都合によっては建議してもらおうというような審議会で年間九万八千円とは、十分な活動どころか、ほとんど活動ができないのじゃないかと思うのです。局長の話では、協会が技術的な指導管理等について相当力を持ってきたので、従来審議会に期待しておった技術指導等については協会がこれをやると言っておるのだが、もちろん審議会をなくして、それらの期待を協会に移譲していくという体制が通産省として考えられるなら、これは協会に対しても補助金等を出して、もっと内部強化をやって、その権能を移譲するという体制をつくらなくてはならぬにもかかわらず、それもなされていない。審議会の予算は、昨年は八万七千円、本年は九万八千円ということで、率からいけば大幅増額かもしれませんけれども、こんなことでは私は審議会のほんとうの権能を発揮することはできないと思うのですが、いま次官のほうでは、来年度はうんと予算増額をして、ひとつ審議会の権能を発揮するために期待される体制をつくりたい、こういうお話でした。大臣に通産省としての——ことしこれから補正予算等についてはいろいろ問題があるでしょうから、ことしは別としても、とにかく審議会を強化するためにもつと予算をふやして、審議会のほんとうの性格を発揮する方向に通産省としては指導されるのか、それとも、このように自然消滅のような形で将来協会に審議会の性格を移譲されようとしているのか、この点をひとつ明らかにしてもらいたいと思うのです。
  107. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 高圧ガス保安審議会についてただいま御指摘がございました。予算もまことに少ない、現実に活動をしておらないじゃないか、こういう御批判を受けた次第でございますが、最近における高圧ガス保安の実情からいたしますれば、私としては当然この審議会をもっと活用すべきであると思います。これは御指摘のとおりだと思うのでございますが、遺憾ながら従来この審議会がどういう実態であったかということになりますと、これは率直に申し上げておかざるを得ないと思うのでありますが、国家試験の審議ということが中心であったわけでございまして、本来の保安審議会の活動がさような点からいたしますと、されておらなかった、こういうことでございますが、最近の情勢からいたしまして、今後十分この審議会を活用せしめるように、予算面におきましても行政面におきましても、特段の考慮を払っていく考えでございます。
  108. 加賀田進

    加賀田委員 そういうことで、審議会にいま申し上げたような建議をするまでの権能を与えていながら、二十名前後だと思うのですが、一人年間五千円程度で、月三百円か四百円くらいの費用では、とてもそれは活動できないと思うので、ひとつ考慮願いたいと思います。  もう一点は、この高圧ガスというのは、高圧ということになっておりますから、気体では容器の内面圧力が十気圧ですか、それから液体では二気圧以上ということに規定してあるのです。先般も質問したのですが、昨年の六月の昭和電工の爆発事件を見ますと、これは低圧で、この高圧法の適用外になっているのですね。これをどこで監督をやっているのかといいますと、法律的には消防法によって、消防署が、いわゆる可燃性のもあだからという形の中でこれが処理されているのです。そのために、御存じだと思うのですが、ばく大な損害もあった、死傷者も数名出すという状態が起こったのですが、調査の結果を見ますと、これは二案あって、こうじゃないかということで、結論が出ていないのです。しかし爆発したことは事実なんですから、爆発はやはり高圧に近い圧力がタンクの内面に加わって爆発したこと、これは事実だと思うのです。同じ気圧であれば爆発もしないだろうと思うのです。したがって、ふだん低圧であっても、化学反応によって高圧に変化する、そして爆発のおそれのあるものも、将来、高圧という規定じゃなくして、高圧等でもいいと思うのですが、そういうことで全般的に化学産業につきましてそういうおそれのあるものについて、やはり取り締まりあるいは施設等規定省令等で明確にして、監督する必要が私はあると思うのですが、そういうことについて通産省として新たに検討する用意があるかどうか、この二点だけを聞いて質問を終わりたいと思います。
  109. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 ただいまお話がありましたように、昭和電工爆発事件の原因というものが、はっきりこうであったという結論に至っておらないのを残念に思うのでありますが、しかし、推定されるところでは、お話しのように、いま御審議を願っておるこの高圧ガスの一部改正法に、気圧の関係から見ますと、どうもこれに触れないというふうにとれるわけであります。私としては、昭和電工のようにああいう高度の技術のもとに設置せられておるような化学工場については、やはりこれは特殊の法案が要るのではないか、こういうように考えまして、せっかくその種の立法について鋭意作業中でございますが、まだ結論を得るに至っておらないのであります。といって、それではこれを放置するわけにはいかないので、これはほんとうの私の思いつきの範囲でございまして、実際そういうことが行ない得るかどうかは疑問でございますが、高圧ガス取締法の中で、この気圧の関係については別に「政令で定めるもの」というようなことでございますので、何か特殊の事情によって高圧になるというようなものをこの政令の中で考えられるかどうかというような点を検討してみたい、こういう気持ちでございますが、しかしそれよりも、最近のこういう進歩した工場の実情に即応する立法をするほうが妥当だ、かように考えております。
  110. 加賀田進

    加賀田委員 終わります。      ————◇—————
  111. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員長代理 去る三月二日付託になりました内閣提出小規模企業共済法案及び三月三日付託になりました内閣提出総合エネルギー調査会設置法案を議題とし、通商産業大臣より趣旨の説明を聴取することにいたします。櫻内通商産業大臣
  112. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 小規模企業共済法案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  国民経済の高度成長の過程におきまして、中小企業は重要な役割りを果たしてまいりましたが、それとともに中小企業自体もまた全体として相応の発展を示し、中小企業従事者の福祉の向上にも着実な進展のあとが見受けられます。  しかし、開放経済体制への移行、労働需給の逼迫、技術革新の進展等に伴う市場構造の変貌など経済的諸条件の変化を通じて、中小企業が従来からよって立っていた社会的経済的存立基盤は、その根底からゆるがされつつあることも事実であります。このため、中小企業を取り巻く経済環境は、最近に至ってますますそのきびしさを加えつつありますが、特に中小企業の中でも大きな比重を占める小規模零細企業につきましては、急激に変化する経済環境への適応に立ちおくれ、経営困難の度を強める企業が増大してきており、かかる情勢にかんがみまして、政府といたしましては、昭和四十年度の中小企業対策を実施するにあたり、小規模企業対策に最重点を置くこととし、設備近代化資金貸し付け制度の拡充、商工会、商工会議所を通ずる経営改善普及事業の充実、無担保、無保証人による融資の保証にかかる特別小口保険制度の創設、零細下請企業に取引のあっせんを行なう下請企業振興協会の設立助成等小規模企業対策の大幅な拡充をはかり、小規模企業の健全な発展と振興を強力に助成してまいる所存であります。  ここに提出いたしました小規模企業共済法案は、これら小規模企業振興対策の一環として、政府が昭和四十年度から新たに実施してまいりたいと考えております小規模企業共済制度につき定めたものでありまして、その本旨は、小規模業者が相互扶助の精神に基づいて退廃業後における生活の安定あるいは事業の再建、転業に備えてその拠出による共済事業を行なうことに対し、国からも所要の助成措置を講じつつ、これを安全確実な制度として確立することを目的としたものであります。  御承知のとおり、小規模企業は、その所得の水準から見ても一般の雇用者と実質的にほとんど差がないにもかかわらず、各種社会保険制度、労働保険制度の適用については、制度上十分な恩典を受けられない実情にあります。したがいまして小規模業者が不幸にして廃業または退職のやむなきに至った場合において、本制度により共済されるようになることは、小規模業者の福祉の増進に寄与するとともに、その資金を再建、転業資金等に充当することが可能となり、本共済制度より生ずる余裕金の適切な運用ともあわせ、小規模企業の振興に多大の貢献をなし得るものと確信する次第であります。  次に、法案の内容につきましてその概要を御説明申し上げます。  第一に、事業団と共済契約を締結できる小規模業者は常時使用する従業員の数が鉱工業等においては二十人、商業またはサービス業において五人以下の個人事業主及び会社の役員といたしております。なお、共済契約の締結につきましては任意といたしております。  第二に、掛け金につきましては、小規模業者の負担とし、その月額は一口五百円、小規模業者一人につき十口を限度といたしております。  第三に、共済金は、事業の廃止または会社の解散があったとき、会社の役員が退職したとき、三十年の満期に達したときまたは六十五歳以上で二十年間掛け金を納付したときのいずれかの事由が生じたときに支給することとし、共済金の額は、掛け金納付月数に応じ、かつ、事業の廃止による場合には、特に有利な給付条件になるように定めることといたしております。  第四に、この制度実施主体につきましては、本共済制度の性格にかんがみ制度の永続性、積み立て金の管理の安全性と効率的な運用並びに小規模業者に対する確実な給付を保障するため、全額政府出資による小規模企業共済事業団を設置することとし、その業務として小規模企業共済制度を一元的に運営するほか、積み立て金の安全かつ効率的な運用を害しない範囲内で積み立て金の一部を小規模業者に還元融資をできることといたしております。  なお、小規模業者の意見をも反映させた民主的かつ適正な運営が行なわれるよう、小規模企業共済事業団に小規模企業に関し学識経験のある者からなる評議員会を設置することといたしております。  このほか掛け金につきましては、別途必要な税法上の減免措置を講ずることといたしております。  以上が、この法案の提案理由及び要旨でございますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。  次に、総合エネルギー調査会設置法案についてその提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  エネルギーは国民生活及び産業活動に不可欠の重要基礎物資であり、したがって国民経済の順調な発展をはかり、産業構造の高度化を期するためには、エネルギーの安定的かつ合理的な供給を確保することがぜひとも必要であります。  ひるがえって広く海外におけるエネルギー事情を概観いたしますと、固体エネルギーから液体エネルギーへの移行といういわゆるエネルギー革命の進行、新エネルギー源としての原子力の出現等エネルギーに関する諸情勢は激変の様相を呈しており、欧米諸国はこれに応じて、特に基礎物資としてのエネルギー供給の確保をはかることの重要性を認識し、このための諸施策を強力に推進している実情であります。  他方わが国のエネルギー事情を見ますと、わが国経済全般の急速な発展に伴い、また、技術革新の進展、開放経済体制への移行に応ずる産業構造の変化等の諸情勢を背景として、エネルギー源の液体化、輸入エネルギー比率の急上昇、新しいエネルギーとしての原子力による発電の実用化等、これまた現在大きな変動を示しつつあります。  これに伴いわが国のエネルギー政策に関しましても、石炭についてはその体質改善と長期的ビジョンの確立、石油については低廉かつ安定的な供給の確保をはかるための国内体制の整備と海外油田の開発、電力については広域運営の強化と原子力発電の開発推進等多くの解決を要する問題が山積している状況であります。しかもこれらの諸問題は個々の種別エネルギーに限定された問題として検討を進めるのみでは不十分であって、広く国際的かつ長期的視野のもとに、エネルギー全般を総合する観点から施策の検討が行なわれ、国民経済的利益に最も適合した望ましい供給体制が確立されるよう配慮する必要があると考える次第であります。  かかる観点から政府といたしましては、従来、エネルギー懇談会、産業構造調査会総合エネルギー部会等の審議を通じて総合エネルギー政策の検討を行なってきており、現在は、産業構造審議会に設けられた総合エネルギー部会において検討が進められつつあります。しかしながら、総合エネルギー政策樹立推進の重要性と緊急性にかんがみ、一そう強力にかつ抜本的に総合エネルギー政策の検討を行なう必要性を痛感しているのであります。  この意味において、さきの第四十六国会の衆参両院の本会議において総合エネルギー政策に関する決議が行なわれ、総合エネルギー調査会の設置が要請されましたことは、まことに時宜を得たものと考える次第であります。  政府といたしましては、この決議の趣旨をも体しまして、総合的かつ長期的観点から、各種エネルギーの将来の位置づけを行なうとともに、エネルギー政策の基本的方向の抜本的検討を行なうために、通商産業省に調査審議のための機関として総合エネルギー調査会を設置することとしたいと考え、この総合エネルギー調査会設置法案提出する次第であります。  次に法案の概要を説明いたします。  第一に、エネルギーの安定的かつ合理的な供給の確保に関する総合的かつ長期的な施策に関する重要事項を調査審議するため、通商産業省に付属機関として総合エネルギー調査会を置くことがあります。  第二に、その組織につきましては、本調査会は学識経験者のうちから任命された委員二十人以内で組織することとしておりますが、この他にも必要があるときは臨時委員及び専門委員を置くことができることになっております。また審議の能率化をはかる見地から必要に応じ部会を置くことができることになっております。  なお本調査会の設置に伴い、行政機構簡素化の見地から通商審議会を廃止することとしております。  以上が本法案の要旨でございますが、政府といたしましては、この総合エネルギー調査会の設置によりまして、強力に総合エネルギー政策の樹立推進をはかる所存でございますので、何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  113. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員長代理 以上で説明は終わりました。両案についての質疑は後日に譲ることといたします。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時十分散会