運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1965-03-10 第48回国会 衆議院 商工委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年三月十日(水曜日)   午前十時四十七分開議  出席委員    委員長 内田 常雄君    理事 小川 平二君 理事 小平 久雄君  理事 中川 俊思君 理事 早稻田柳右エ門君    理事 板川 正吾君 理事 加賀田 進君    理事 中村 重光君      稻村左四郎君    浦野 幸男君       小笠 公韶君    小沢 辰男君       海部 俊樹君    田中 榮一君       田中 正巳君    田中 六助君       中村 幸八君    長谷川四郎君       三原 朝雄君    大村 邦夫君       五島 虎雄君    沢田 政治君       島口重次郎君    田中 武夫君       山崎 始男君    山下 榮二君  出席政府委員         警  視  監         (警察庁保安局         長)      大津 英男君         通商産業政務次         官       村上 春藏君         通商産業事務官         (軽工業局長) 伊藤 三郎君  委員外出席者         通商産業事務官         (軽工業局無機         化学課長)   内丸 邦彦君         専  門  員 渡邊 一俊君     ————————————— 三月十日  委員田中六助君及び村上勇辞任につき、その  補欠として濱田幸雄君及び稻村左四郎君が議  長の指名委員に選任された。 同日  委員稻村左四郎君及び濱田幸雄辞任につき、  その補欠として村上勇君及び田中六助君が議長  の指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  高圧ガス取締法の一部を改正する法律案内閣  提出第一一〇号)      ————◇—————
  2. 内田常雄

    内田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出高圧ガス取締法の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず最初に、前回の委員会におきまして御要請がありました今回の法律改正に伴う省令による技術基準案並びにプロパン充てん所に対する現行規制の概要につきまして、通産省当局より資料提出がございますので、これにつきまして簡単に説明を求めます。通商産業省軽工業局長
  3. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 最初プロパンガススタンドに対する規制について、お手元にお配りしてあります資料について御説明をいたします。  一ページにはしがきとしまして概況が書いてございますが、最近いわゆるプロパンタクシーが急増し、これに対応してプロパンガススタンドはこの一年余の間に全国で三百カ所も建設されました。このようなプロパンスタンドその他の液化石油ガス充てん所安全確保のために高圧ガス取締法ではどのような規制を加えているかを、以下事業開始前から順を追って御説明をいたします。  なお、高圧ガス取締法では、充てんという行為、たとえばタクシーLPガスを詰めることも高圧ガス製造とみなされておりますので、以下の製造施設方法について、基準はすべて充てん所に対して適用されるわけでございます。また、LPガスは第一種可燃性ガスでありますので、法令中第一種可燃性ガスについての条文が適用されるわけでございます。  以下「法」と書いてありますのは高圧ガス取締法、「規則」とありますのは、同施行規則省令)のことでございます。  最初に戻りまして、目次のところをごらんいただきますと、どういう規制があるかという大略がここに書いでございます。  第一に、事業開始の場合、第二に、製造施設基準、第三が、設備が完成した場合の完成検査、第四が、施設に対して作業主任者を置かなければなりませんが、それに関する規定、第五が、施設内の危害予防規程作成、第六が、従業員等に対する保安教育、第七に、製造施設基準維持、第八は、製造方法基準維持、第九が、取り締まり官庁が行ないます保安検査、第十は、工場が行ないます定期自主検査、第十一に、取り締まり官庁の行ないます立ち入り検査、それから最後に、その他というふうな項目に分かれておるわけでございます。  以下、二ページから順次御説明を申し上げます。  事業開始につきましては、「LPガス充てん所を設けようとするときには都道府県知事許可が必要である。」それは法律の第五条に規定をいたしてございます。  それから三ページに参りまして、「許可申請の際には、付近の地図、レイアウト、設備の材質、強度計算設計図等を添えなければならない。」こういうような書類を添付して申請をするわけでございます。  次に五ページに参りまして、製造施設基準でありますが、製造所の「許可を受けるためには、充てん所施設は、保安距離不燃性耐圧性気密性、計器、安全設備等について一定技術基準に適合していなければならない。」一例を図示すると次のとおりでございます。また製造方法についてはあとで申し上げますが、一定技術基準に適合する必要がございます。  六ページをごらんいただきますと、そこにLPガススタンド充てん所の一例を出してございますが、これは地上式五トンタンクを設置した場合の例でございます。図の上のほうが平面図で、上から見たところ、下のほうが立面図で、横から見たところでございます。平面図のほうのまん中にタンクがございます。そのタンクから外に、左上に家屋というのがありますが、これに対する関係は、保安距離が十メートル以上なければならない。この場合には厚さ十二センチ以上の鉄筋コンクリートの障壁がありますので、保安距離は十メートル以上ということになっておりますが、一般にこういう障壁等のない場合は二十メートルになっておるわけでございます。そのタンクには散水装置がついておりますが、これはタンクが加熱されたような場合に冷却するために水をまくという装置でございます。それから下の図のタンク安全弁及び放水管というパイプが突き出ておりますが、これはタンクが加熱された場合に、安全弁が開きまして、そこからガス放出をする、そしてそれが燃えるということによってタンク爆発防止しておるわけでございます。大体一例としましてはこういうものがございます。  七ページ以下に製造施設基準がいろいろこまかく書いてございます。  次に二一ページに参りまして、完成検査でございますが、充てん所が建設されますと、都道府県知事は、申請どおりにつくられているかどうか、具体的にはいままで述べました技術基準に適合しているかどうかを検査いたします。したがいまして、その検査が終わる以前に施設使用してはならないということになっております。  それから二二ページに作業主任者に関することを書いてございますが、「充てん所には、国家試験に合格した作業主任者を置いて、高圧ガスに関する保安の監督を行なわせなければならない。」法律第二十八条、第二十九条以下に規定をいたしてございます。作業主任者はそれぞれの種類に応じまして、試験資格等が異なっております。  それから二八ページに参りまして、危害予防規程作成でございますが、「充てん所では、充てん設備方法その他高圧ガスによる災害防止について危害予防規程作成し、その認可を受け、関係者はこれを守らなければならない。」これに関する規定が、法律の二十六条にございます。  次に三〇ページに参りまして、保安教育でございますが、「充てん所では従業員に対し計画的教育を行なわなければならない。」  それから三一ページに参りまして、製造施設基準維持でございますが、「製造施設は、常に許可を受けたときの状態維持しておかなければならない。」法律は、次の方法基準と同じ条文規定をしてございます。  三二ページに、製造方法基準維持について説明してございますが、「充てん所においては、通風過熱防止点検修理等製造方法についての技術基準を常に守らなければならない。」法律は第十一条以下に規定してございます。  それから三八ページに参りまして、保安検査でありますが、「充てん所特定施設については、それが前途の技術上の基準に適合しているかいなかについて、定期都道府県知事が行なう保安検査を受けなければならない。」この都道府県知事定期的に行ないます検査は、一年あるいは二年ということで、設備内容に応じまして省令規定をいたしております。  四一ページに参りまして、定期自主検査でございますが、「充てん所では、年一回自主検査を行なつて、保安検査を補完しなければならない。」取り締まり官庁で行ないます検査のほかに、充てん所で自主的に年一回以上検査を行なうことを規定いたしております。  それから四三ページが立ち入り検査でございますが、以上述べました保安検査定期自主検査のほかに、立ち入り検査取り締まり官庁が行なうということを規定いたしております。  それから四四ページの12にその他としまして、「高圧ガス取締法による充てん所に対する規制には、以上のほか、許可の取り消し、施設使用停止命令火気制限、帳簿の備えつけ義務報告義務事故届け等」こういうものを規定しておる次第でございます。  きわめて簡略でございますが、現在プロパンガス充てん所に対してどういう規制があるかということの御説明を終わります。  次に、今回改正をお願いいたしております高圧ガス取締法の一部改正に伴う省令等規定いたします技術基準につきまして、御説明を申し上げます。  お手元に、特定高圧ガス消費者の守るべき技術基準省令)案というのがございますが、これは省令あるいは告示等にこういう内容規定いたしたいと現在考えておるものをまとめたものでございます。したがいまして、まだ省令としての条文ていさいにはなっておりません。現在の考え方骨子でございます。  第一に、一ページの消費施設基準でございますが、法律では従来液酸を除きまして、消費につきましては、消費方法について通産省令で定める基準を守らなければならないという規定だけであったのでありますが、今回は、施設についても規制を加えるということにいたしております。それに基づきましてどういう内容規制するかという点でございますが、第一に、「消費施設の外壁から保安施設家屋に対し二十メートル以上の保安距離をとること。」二に、「消費施設の見やすい場所に警戒標を掲げること。」三に、「貯蔵設備容器証明書交付を受けた容器使用すること。」容器証明書交付、これは現行法でやっておるものでございます四に、「貯蔵設備附属品安全弁液化ガスの場合、液面計圧力計、過流防止弁緊急遮断弁等)は第何条」——これは、省令条文がきまりますればここに入れるわけでございますが、その基準に適合するものであること。容器付属品基準を別の条で規定する考えでございす。それから五に、「高圧ガス配管は、第十一条第八号の規定による計算式で計算した以上のものであること。」この計算式告示で定めたものであります。「六、貯蔵設備室内に設ける場合は、その室は不燃性材料で建築すること。七、高圧ガス配管には、長さ五十メートル以下ごとに、かつ、容易に操作できる位置に止め弁を設けること。八、貯蔵タンク消費使用する設備との間の配管逆流防止装置を設けること。九、高圧ガス配管には安全弁を設けること。一〇、蒸発器使用する場合は、その蒸発器には安全弁および圧力または温度を調節する自動制御装置を設けること。一一、液化アンモニア及び液化塩素消費施設には、当該ガスが漏洩した場合に作用する除害設備を設けること。一二液化酸素消費のための設備のうち断熱材で被覆するときは不燃性断熱材を用いること。一三、圧縮ガスにあっては、告示で定める減圧弁使用すること。一四、貯蔵設備または蒸発器もしくは減圧弁室内に設ける場合は、その室を通風を良好な構造とすること。」  それから、三ページに消費方法基準についての考え方を書いておきましたが、現在あります消費方法基準に加えまして、以下定めるようなことを消費方法基準としてきめたいと考えております。  「一、貯蔵タンクおよび高圧ガス配管液化酸素を除く。)は、温度四〇度に保つこと。二、附近で火気使用または火花を発するおそれのある作業を禁ずること。三、配管接手で接続したときは、気密性能を確認し、消費開始するときは、バルブの開閉を確認すること。四、液化塩素の圧送に空気使用するときは、空気中の水分を最少限度にする措置を講ずること。五、蒸発器は、温度圧力が正常であるように管理すること。六、消費施設修理工事をするときは、あらかじめ、内部ガス窒素ガス等で置換してからし、工事完了後は、耐圧試験気密試験を行なってからすること。七、減圧弁は正常に作動するように管理すること。八、第一種可燃性ガスまたは第二種可燃性ガス容器附属品バルブは、静かに開閉すること。九、酸素消費は、バルブおよび消費使用する器具の石油類油脂類その他可燃性の物を除去したのちすること。一〇、消費施設のうち液化酸素の接触する部分は、一年に一回以上その内部洗じょうし、異物を除去すること。一一、安全弁当該設備耐圧試験圧力の8/10以下に作動するよう一年に一回以上調整すること。一二移動式貯蔵設備から直接消費する場合は、消費中に当該設備が移動しないように固定すること。」  以上のような点を骨子にいたしまして省令作成いたしたいと考えておる次第でございます。よろしくお願いいたします。     —————————————
  4. 内田常雄

    内田委員長 次に、本法律案について質疑の通告がありますので、順次これを許可いたします。加賀田進君。
  5. 加賀田進

    加賀田委員 今度の高圧ガス取締法改正は、消費者設備等の届け出や、あるいは責任者規定等で、非常に簡単なもので、われわれの期待しておったのは、今日災害が、事故が非常に多いという状態の中から、もっと抜本的に取り締まりを規正することを期待しておったんですけれども、御存じのように、あちらこちらに最近も事故が起こっております。そこで、法案審議に入る前に、先般名古屋事故があったんですが、これについて、新聞等によりますると、事故調査中だということになっておりますが、通産省として、このプロパンガス爆発について詳細な結果が報告されていると思いますが、それについての御報告並びにその後の対策等について、ひとつ御説明を願いたいと思います。
  6. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 去る三月三日に名古屋中村におきまして、プロパンガス充てん所事故がございました。さっそく当局の係官を派遣いたしまして、状況調査いたした次第でございます。  この充てん所中央部に三トン半のタンクがございまして、そのタンクのポンプを利用しまして、六トンのタンクローリーから四トンのタンクローリープロパンガス充てんがえをしようとした際に事故が起きたわけでございます。四トンのほうのタンクローリーに対してホースをつないでガスを送ろうとしたときに、その結合部がはずれたと推定をされますが、それによりまして、四トンのほうのタンクに残っておりました液化ガスが噴出した。そのために、そのそばにおりましたところの作業員が凍傷を受けております。そのガスが漏洩いたしまして、会社内の事務所に流れまして、事務所の中にありましたストーブの火によりまして、事務所の中で最初に小爆発を起こしたと推定されます。次に、その爆発によりまして、充てん所内に流出しておりましたガスがさらに爆発を起し燃焼をしたわけでございます。それによりましてタンクローリーが加熱をされております。タンクのほうは散水装置がございましたが、これが作動が十分ではなかったようでございます。したがいまして、タンクの中の液化ガスが熱によりまして膨張をしまして、その結果、タンクから放出管がございますが、放出管安全バルブ作動をして、放出管からガスが外へ出た。そのガスそば火気によって燃えております。したがいまして、離れたところから見ますと非常に大きな火災のように見えたようでございますが、これは緊急やむを得ざる場合の最後の手段でございますが、ガスをそのまま逃がしますと付近に充満をしまして、さらに爆発を起こすおそれがございますので、そういう場合には燃えるようになっております。そのため相当高い火柱のようなものが立ったというふうに見えまして、大きな火災のように見えますが、これはそういう安全装置作動のためのものでございます。あと状況としましては、タンクが多少亀裂を生じておるようでございますが、タンクあるいはタンクローリー爆発には至っていないというふうに見られるわけでございます。  その後の対策でございますが、プロパン充てん所に対しましては、先ほど御説明申し上げましたように、タンクの大きさあるいは安全装置障壁等によりまして保安距離を設けておるわけでございますが、そういう保安距離についてさらに検討する必要があろうと思いますし、また、安全装置等につきましても、より確実に作動するものを研究しなければならない。現在も研究をしておりますけれども、さらにそういう安全装置オートメーション装置というようなものの研究を進める必要があろうと考えておるわけでございます。去年の十一月の省令改正におきまして、冷却散水装置をつける、あるいは今回の事故にありましたように、ホースの取りつけがはずれるというようなことのないように、バルブのほか、その他の付属品につきまして、液面計圧力計等につきましても必要な規格を定めて、これを守らせるということにいたしておるわけでございますが、取り扱い者教育をさらに徹底させる必要もあるわけでございます。現行の法規の範囲内で十分処置しなければならない問題でございます。省令等につきまして、技術上の基準につきましてはさらに検討いたしまして、必要なものにつきましては改正をいたしますとともに、科学的な、技術的な研究というものもさらに推進をいたしてまいりたいと考えておる次第でございます。
  7. 加賀田進

    加賀田委員 いわゆるバルブのところがはずれて、ガスが漏れて、しかもそれが事務所のほうへ行って、引き続いてその事務所ストーブに引火した、こういう話ですが、そうすると、漏れた、バルブとその事務所との距離はどれくらいあるのですか。
  8. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 事務所タンクとの距離は十メーター足らずでございます。(「いや、事務所から四メーターだ。住宅まで十三メーターだ。」と呼ぶ者あり)住宅まで十三メートルでございますが……。(「事務所は四メートル」と呼ぶ者あり)事務所は、法令規定ではそういう保安施設になっておりませんので、実はその中に火気を置いておったという点はぐあいの悪い点でございますが、現在そこまで規制はいたしておりませんので、そういう点につきましてももっと考えなければいかぬじゃないか、どういうふうな暖房にするか、そういう点についてさらに研究をしなければいかぬと思います。そういうタンクの近くにおいて火気を取り扱うことは禁止しておりますけれども会社内の事務所についてのそういう点の規制については不十分な点があったんではないかというふうに考えておりますので、これは検討いたしまして、そういう事故のないようにいたしたいと考えております。
  9. 加賀田進

    加賀田委員 火気を使うことは、当然事務所であれば、あると思うのです。夏であろうと、たばこも吸うでしょうし、そういう保安距離事務所との関係ですね、十メートルという保安距離は、火気を全然使っちゃいけないという保安距離になっているのか、単なる住居とか建物だけでそういう保安距離規定されているのか。十メートル以内に住居があって火気を使っておる実際の保安距離の設定ということは意味がないのじゃないかと思うのです。この法律によりますると、使用者火気を使っちゃいけない、火を使っちゃいけないというただ規定だけであって、保安距離というものは、単に周囲の居住者に迷惑をかけてはいけないという意味のものではなくして、火災防止その他災害防止ということが、保安距離を設定する大きな目的でなければならないと思うのです。今度の場合に見ますると、保安距離以内に事務所があって、しかもその事務所には絶えず人がもちろん出入りするでしょうし、火気を使っておる、冬には当然ストーブ等も使っている、こういうものが今日認定されていいのかどうかということですね、この点はどうでしょう。
  10. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 現在省令できめております制限距離保安距離考え方は、第三者に対する災害防止という観点から規定をいたしておりますので、いま加賀田先生指摘のように、工場内の施設に対する配慮が欠けておるのではないかという点は御指摘のとおりでございます。私も先ほど申し上げましたように、工場内の施設に対して安全な作業維持するように、より詳細な技術上の基準をきめなければならぬというふうに考えております。制限距離保安距離は、現在のところは工場外第三者に対する災害について、そういう点を考慮してきめてございます。そういう次第でございますので、御指摘の点は、私どもも大いに検討を要する問題であると考えておる次第でございます。
  11. 加賀田進

    加賀田委員 そういたしますと、第三者に対する被害防止するために十メートルと規定して似るということになりますと、今度の災害の場合につきましても、爆風によって民家が相当倒れておる、被害をこうむっておるでしょう、百メートルぐらいで。もしそこで災害が起こったときに、第三者被害をこうむらないということで十メートルをきめるというようなことは、少し距離が短いのじゃないかと思います。私は、単なる第三者被害だけでなくて、災害そのものが起こらないような、一つの目的として保安距離というものがまず設定される。不幸にして災害が起こった場合には、ひいては第三者はもちろん、そこの従業員等においても被害最小限度にとどめる。第三者はほとんど被害をこうむらないという立場の中で、保安距離というものが設定されなければならぬと私は思うのです。今度の場合には従業員だけではなくて、民家はやはり被害をこうむっておるでしょう。その点はどうなんでしょう。今日十メートルでその目的が完全に達せられるのかどうか。名古屋のこの事故の場合には、この目的が達成されていないような気がするのですが、今後それについてどう処理されようとしておるのか、この点を明らかにしてもらいたい。
  12. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 御指摘のとおり事故が全然起こらないようにするということが、私ども法律運用の第一目標であることは申すまでもないことでございますが、事故が起こった場合に、第三者に対する災害をできるだけ少なくするという点から保安距離制限距離を定めておるわけでございます。一般的には二十メートルの保安距離でございますが、障壁あるいは安全装置等を装備した場合に、十トン以下のタンク容量のものについて保安距離を十メートルといたしておるわけでございます。これは三十六年来いろいろ検討いたしまして、相当大規模な爆発実験も行ないまして、その結果第三者に対する爆発災害は予防できるという観点で決定をいたしたわけでございます。ただ最近の事故状況にかんがみまして、数年前やりました実験の結果が必ずしもそのまま妥当ではないという点も見られますので、そういう保安距離についての検討、あるいはガスだめを地上式は原則としてやめまして、地下式にしてはどうかという点も実は検討をいたしておるわけでございまして、そういう点につきまして、高圧ガス保安協会のほうにも意見を聞いておるわけでございます。  先ほどの中村事故の場合でございますが、事務所最初に小爆発を起こしたわけでございますが、当時さっそく調査に参りました担当官報告では、事務所ガラス、これは網入りガラスでございますが、これが割れる、あるいは曲がっておる状況でございます。それから民家被害でございますが、工場のすぐ外にあります民家の損害が若干あったのではないか、ガラスが割れたものがあったのではないかという報告を聞いております。工場事務所爆発状況から見まして、第三者に対する災害は、ほとんどなかったのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  13. 加賀田進

    加賀田委員 私は現場を見たわけじゃないのですがも新聞で明らかになっておるのですが、やはり二間のガラス窓が爆風によってめちゃめちゃに破壊されておる、あるいは民家の二棟のへいが焦げておるというような被害が実際問題として起こっておるわけです。だからその意味では、やはり十メートルそのものについても再検討してもらわなくちゃならぬと私は思うのですが、事実そういう被害がなかったのですか。新聞が誤報だったのですか。その点を明らかにしてもらいたい。
  14. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 私ども担当官災害の直後に参りました状況報告では、へいが焦げておったという状況はなかったと思うと申しておりますが、さらに当時の災害状況について調査をいたしたいと存じます。
  15. 加賀田進

    加賀田委員 それで、これは説明によりますると、バルブからガスが漏れて、そうして五メートル程度まで、これはガスが非常に重いものですから、地上わずか二、三十センチのところをはって事務所まで行ったと思うのですが、こういう形でプロパンガスというものは引火するのですか。それとも、いま爆発ということが出ましたが、爆発ということになると、相当圧力があって、その圧力が普通の気圧に変化するときに起こる現象だと私は思うのですが、その点は、ガスについては、私はこまかくは知りませんが、そういうことで地上をはっていたガス事務所まで行って、事務所ストーブに引火して爆発するということが起こるわけですか。これは将来の取り締まりについて、非常に大きな問題だと思うのですが、その点御説明いただきたいと思います。
  16. 内丸邦彦

    ○内丸説明員 プロパンガスの場合は可燃性ガスでございますので、これが漏洩して地上に停滞しておった場合には、それに引火した場合に非常に急激な燃焼をするということになっております。それで名古屋の場合も、これは爆発でありませんで、非常に急速な燃焼をしたというような現象であったと考えられます。
  17. 加賀田進

    加賀田委員 これから自動車等にこれらのガスが利用される点もだんだん多くなってくるだろうと思うし、充てん所もこれから全国的にふえてくるのじゃないかと考えられます。そういう点を考えますと、特に名古屋の事例を参考にして、このプロパンガスについての取り締まりについては特段の配慮をしてもらわなくちゃならぬと思うのです。もう一点、これは高圧ではないと思うのですけれども、私も昨年の事故のときに参りましたが、昨年の六月十一日に昭和電工の川崎工場事故を起こしております。これについて通産省としては早急に調査をして、将来再度そういう事故の起こらないように対処をすべきだということで、通産省も相当人を動員して調査をしたと思うのですが、これは高圧ではありませんけれども、やはりガス爆発と大きな関係があると思うし、なお低圧であっても、化学的作用によって高圧に変化するおそれが私はあると思う。しかし法律には内面の圧力規定して、高圧だけにこの法律規定されておりますけれども法律の適用外でも瞬間的に高圧的なガスに変化して爆発するおそれもありますから、そういう意味では、この調査の結果等について一ぺん明らかにしてもらうと同時に、その後どういう対策を講じられたか、その点についてひとつ明確にしてもらいたいと思うのです。
  18. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 六月十一日に昭和電工の川崎工場の酸化プロピレンプラントにおいて発生した事故につきましては、その原因の調査等のために調査団を派遣いたして検討をいたしたわけでございます。その結果が八月の末に報告をされております。  この事故の原因でございますが、当時の関係者が死亡した者も相当多く、また施設等も散乱をしておりますので、的確に原因を把握することはできなかったようでございます。その結論としましては二つの意見を出しております。  それでA説、B説とございますが、A説は「空気混入による気相爆発」という結論でございます。これは「タンク中には粗酸化プロピレン液が約半量入っており、上部が気相、下部が液相となっている。」わけでございます。「最初タンク液面計ガラスの損傷があったと推定される状態のところに、高温度の液の送入の結果、内部温度圧力が変動し液漏出と空気混入が行なわれ、内部爆発範囲内の状態となり、小爆発が行なわれた。その着火源はタンク外部、内部両方が考えられる。その結果、液流出、空気混入が大きくなり、大爆発に発展した。」というのがA説でございます。  B説は、「重合による蒸気爆発」という考え方でございます。「高温度の液の送入により、局部的に温度が上昇し、不純物の影響等で酸化プロピレンの重合が行なわれた。この反応熱により、反応量が急増大し、温度が急上昇し、タンクの内圧が高まり弱い部分が破裂した。そのため、気相部圧力が急激に低下し、過熱状態にあった液相が急激な沸騰を開始し、蒸気爆発を起させた。引続いて空中でガス爆発が起こった。」こういうような二つの推論を調査団としてはいたしておるわけであります。  こういう調査結果に基づきまして、通産省としましては、そういう類似の工場に対しましては、そういう事故を起こさないように、たとえば異常操業の場合にどういう検討をするか、タンク及び付属品の設計等につきまして改善すべき点を指示し、あるいは工場の配置について系統を乱さないようにして災害の早期発見につとめる、そういうようないろいろな対策を指示いたしておるわけでございます。このほか化学工場、特に石油化学工場におきましては、最新の、日進月歩の技術によりましていろいろな化学反応をオートメーションによるコントロールによりまして、そして製品にしておるわけでございます。そういうものについてどういうふうに保安を確保すべきかということにつきましては、関係各省とも協議をいたしまして、具体策を検討をいたしておるわけでございますが、当面こういう類似の事故を起こさないように、昭和電工の具体例につきまして、その原因、当面とるべき対策というものにつきましては、関係工場に指示をしまして、経営者としては、まず保安意識の高揚につとめ、それを十分関係者に徹底させる措置をとるようにということを指示しておる次第でございます。
  19. 加賀田進

    加賀田委員 この事故は、いま申し上げたとおり、高圧ガス取締法には適用されないわけですね。そうなってまいりますと、いろいろ保安距離とかあるいは施設の充実とか、いわゆる耐圧力等についての規定というものはどの法律によって規定されるわけですか。
  20. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 プロピレンオキサイドは、消防法で規定をしております危険物に入っておるわけであります。
  21. 加賀田進

    加賀田委員 消防法は火災予防という見地から、あらゆる危険物に対して立ち入り検査もできるし、指導もできることになっております。これは一般取り締まりだと思うのですが、こういう場合に、いまも申し上げたような、ふだんは低圧であって爆発のおそれはないでしょうけれども、化学反応によって——いま申した二つの点が意見が一致を見ていないらしいのですが、蒸気爆発を起こすとか、あるいは空気が入って化学反応に基づいて圧力が増大して爆発するとかという、やはり瞬間的に高圧に近い——何気圧になって爆発したか知りませんけれども爆発をするおそれのあるものですから、やはり保安距離とかふだんの教育規定とか、あるいは責任者に対する責任の所在とか、こういうものについて明確に法律的な規制をして、取り締まりの必要があるのではないかと私は思うのです。そういうことになりますと、高圧ガスだけに規定せずして、法律的には高圧ガス等ということで、こういう可燃性のものあるいは化学反応によって高圧になって爆発をするおそれのあるようなもの、こういうものを全部この取り締まりによってしっかりとしなければ、消防署の職員が行って、化学反応がどうのこうのという専門的な知識もないでしょうし、ただタンクを見てだいじょうぶというくらいの程度のもので、消防法でこれを取り締まるということはとてもできないのではないかと私は思います。これからもっといわゆる化学産業の発展が期せられる現状の中に立って、根本的な改正をする必要が私はあるんじゃないかと思うのです。今度の法律は、当初に申し上げたとおり、単に使用者だけが少し取り締まりを強化された程度であって、昭和電工の事故等で見ますると十八名の死者を出しております。三十七名の負傷者を出して、五十一名が被害をこうむっておる。こういう大きな事故を、低圧で、しかも法的には消防法に基づいてこれが取り締まられている。こういうようなことで思わざる問題が起こってきておると思うのですが、一体通産省としてはこういうことで、将来化学産業の発展に基づいてこれからもっと危険のあるものが、可燃性の多いものとかあるいは爆発のおそれのあるガスが発明されてきた場合には、非常に困るのじゃないかと思うのです。したがって、高圧ガスのみに限定せずして、もっと広範なものに通産省として検討する用意があるのかどうか、すべきであるのかどうか、この点を明確にしてもらいたいと思うのです。
  22. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 化学工場に対します法的な規制としましては一般的に消防法、労働基準法等がございますし、また高圧部分につきましては高圧ガス取締法があるわけでございます。御指摘のとおり、最近の化学技術の進歩によりまして、低圧部分においても爆発等の災害が発生する可能性があるというのは、そのとおりでございまして、そういう部面が今後の石油化学の発展によりましてますます増加するということは予想されるところでございます。そういう異常反応というような問題につきましては、工場をつくります場合に経営者としてはもちろん第一に考えて、生産即保安というような考え方でやっておるわけでございます。たとえばある反応等の中で圧力をいかにきめるべきか、温度をいかにすべきか、触媒はどういうものを使うべきか、さらにそれから配管しまして、その先の他の装置に対してどういうふうに結びつけるか。その間の安全をいかに確保するかということは、現在工場を設計する場合の最大の問題になっておるわけでございます。そういう本来危険の要素をはらんでおります物質を扱うにつきまして、経営者としていろいろ研究はしておるわけでございますし、また通産省としましても、工業技術院の研究補助金につきまして、保安に関する問題は特定項目として掲げておるわけでございます。また工業技術院のほうへ依頼いたしまして、爆発実験等につきましては四十年度からさらに大規模なものを三カ年計画で実験をしてもらうように予算的措置もお願いしておるわけでございますが、そういう技術的な面のほかに、法的規制についてどう考えるべきかという点につきましては、平生の運転におきましては異状がなくても、一たび事故が起きますと相当広範囲な災害を及ぼす可能性があるというものにつきましては法的な規制も考えるべきではないかという見地に立ちまして、いろいろ検討をしてまいっておりますし、また消防庁、労働省等とも協議をしまして、そういう具体的な方策について今後も検討を進めてまいりたいと考えておる次第でございます。
  23. 加賀田進

    加賀田委員 検討されるのはけっこうですけれども、こういう大きな事故を起こしてから驚いて検討するというような体制で、数十名の人命を失って、これを見ますと法的に何も規制もないものですから、タンクの計測管理も非常に不十分だった。圧力計とか温度計とか液面計などはほとんど技術的についていない。野放しのような形の中でこういう事故が起こっておるような現状だ。したがってこれはもっともっと重視して、こういう事故防止する体制の中で法的にやはり明確にしてもらわなければ、将来ともこういう事故が起こる懸念が相当起こってくるのではないかと思うのです。単に、研究し、調査の結果二案があって結論は得ていない。結論を得てなければ、それに基づいて自信の持てる指導とかあるいは設備の充実というものは不可能な状態なのでしょう。こういうことでは、私はほんとうのこれからの災害防止することはできないのではないかと思うのです。  そこで、きょうはあまり時間もありませんから、警察庁の保安局長にお尋ねいたしますが、火薬取り締まりなどについては、公安委員会あるいは警察庁として相当神経をこまかくして取り締まりあるいは立ち入り調査をやっているらしいのですが、高圧ガス等について警察としては無関心でいるのではないか。したがって立ち入りするということは、民家だったら困りますけれども工場等においては警察官として自由に立ち入って、こういう高圧ガスあるいは低圧であろうとも可燃性のおそれある、爆発のおそれある工場についてはもっと指導すべきであると思います。しかし、それは指導する人員もいろいろ不足するでしょうけれども技術的な面について警察庁としては教育を施しているのかどうか、それに基づいて工場指導をやっているのかどうか、この点を明らかにしてもらいたいと思います。
  24. 大津英男

    ○大津政府委員 加賀田先生のお話でございますが、警察官の立ち入り調査権といいますのは、危害予防のため特に必要がある場合ということで、一般行政監督的な意味の立ち入りではなくして、むしろ危害防止上ほんとうに差し迫った状態において立ち入るというのが本則になっているわけでございまして、勢い火薬取締法という場合の立ち入りよりも消極的であるというのが法のたてまえでもございますので、そういうことになっております。しかしながら、決してこういう点に無関心でおるわけではございませんので、通産省のほうともいろいろ打ち合わせもいたしておりまして、立ち入りにつきましても、警察官の手引きのようなものをつくりまして配付をいたしましたり、警察学校等におきましてもいろいろ教育を施すというようなことで、できるだけの知識を授けるということでやっておる次第でございますけれども、法のたてまえからいたしまして、そうひんぱんに立ち入りをしておるということはないということでございます。
  25. 加賀田進

    加賀田委員 そういたしますと、業者から、爆発のおそれがあるとかあるいは引火して燃え上がるおそれがあるというような危険の通告があって初めて警察官としてはその指導に乗り込む、こういうことですか。
  26. 大津英男

    ○大津政府委員 災害が発生いたしました場合におきまする届け出とは別に、必ずしも業者からのものでなくても、一般的にそういう危険がありそうであるというようなことを聞きました場合は、もちろんのこと立ち入りするということでございます。
  27. 加賀田進

    加賀田委員 そうしますと、日常の指導とかいうものは警察官としてはやっていないわけですね。実は爆発のおそれがあるということが明らかになりますれば、警察官を呼んで見てもらうよりも、予防知識があるのですから、もちろんここには主任もあり責任者もあるのですから、それに対処することはできると思いますし、あるいはガスが漏れてどうも燃え上がるおそれがあるというときに警察官を呼んで指導するというようなことは、ほとんど実質的に時間的に間に合わないだろうと思うのです。警察自体がこれらの防止に協力する面というのは、今日までは災害が起こってからですね。そうすると、事前に警察官としてそういうものを防止する行動というのか、指導というものはほとんどできないというのが今日の状態ですか。
  28. 大津英男

    ○大津政府委員 警察の立ち入り調査につきましては、お話のような点があるわけでございますが、一面警察といたしましては、災害が起きました場合には、いかに避難誘導するかというような問題とか、人命財産の保護のためにいろいろな点を講じなければならない。そういう意味におきまして、事業場、ガスの貯蔵所その他につきましても協力を求めまして、災害の警備という意味で立ち入りをし、そうしてそういう計画を立てるというような意味のことはいたしております。その意味での立ち入りと、それから災害が起こってからの立ち入りというものは違うわけでございますけれども災害が起こってからはむしろおそいという意味で、行政的な意味の指導という面は、確かに御指摘のように警察としてはあまりやっておりませんけれども、できるだけ被害を少なくする意味で指導していく、こういう意味での指導といいますか、そういう点には努力いたしておるということでございます。
  29. 加賀田進

    加賀田委員 火薬取締法には、火薬の運搬をする場合、移動をする場合には事前に届け出をして、許可を与えて、標識を持って移動する、こういうことになっておるのですが、高圧ガスの移動については何ら規定がないわけです。そこで火薬の場合に、届け出があった場合に警察はそれについて何か適当な保安処置を講ずるのか、指導を講ずるのか、その点をひとつ明らかに聞かしていただきたいと思います。
  30. 大津英男

    ○大津政府委員 火薬取締法におきましては、公安委員会に対しての届け出がございますと、公安委員会から路線を指定をいたしまして、この通路を通っていくというようなことで、火薬の運搬に危険の一番少ない路線を選んでやらせるということが一つと、それから途中におきまして、そういう積みました火薬類が積み方が悪いために落下をする、あるいは衝突をするというようなことで爆発を起こすというようなことがあってもなりませんので、その意味で車両を停止させて、そういうものを検査するというようなことをいたしますとか、あるいは御指摘のありましたような火薬類ということの標識を運搬車につけさせまして、他の車両からも、これが火薬を運搬しておるということがはっきりわかるようにする、こういうような措置をとっておる次第でございます。
  31. 加賀田進

    加賀田委員 そういたしますと、一昨年でしたか、火薬を積んだ自動車がトラックと衝突をして爆発したという事故が起こっておるわけですが、この高圧ガスにおいても、そういう不測の事態が起こった場合には爆発するおそれがあるわけですから、運搬には火薬と違って非常に煩瑣な点があるでしょうけれども、届け出る必要がないでしょうか、どうでしょうか。
  32. 大津英男

    ○大津政府委員 火薬の場合は、一番の問題が運搬の路線、それから積み方の問題、こういうことがございますが、高圧ガスの場合は、運搬の車両そのものが非常に特殊な形態をしておるということで、そういう意味では非常に危害が少ないと申しますか、それから、他の車両から見ましても、これはLPガスとかいうものを標示しておりますので、わかるという意味で、火薬取締法の改正のときほどに、私ども改正を痛切には感じておらないわけでございますけれども、今後、もしそういう必要が起こりますならば検討しなければならないと考えております。
  33. 加賀田進

    加賀田委員 そこで通産省にお尋ねしますが、いままで運搬中の危険に対して通産省としてはどういう指導をされているのか、いま申し上げたような、火薬で、警察も運搬する道路まで指定して相当注意を払っているにもかかわらず、トラック等とぶち当たって爆発するということがあるんですが、いまの場合には公安委員会にも届けていない、警察の手によって運搬中は何も監督がされてないのが現実だと思うのですが、そのために業者等について技術的にどのように指導されておるのか、その点をお答え願いたいと思います。
  34. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 タンクローリー等につきましては、容器の強度等について規定をいたしております。また、衝突等の場合に、最も危険なのはバルブの部分でございますので、そういうものは、それを防護する付属品を取りつけさせる技術上の基準をきめております。半月ばかり前でありますか、名神国道でプロパンタンクが横転をしたという事故がございましたが、その際の状況を写真で見たのでございますが、防護装置が非常によく働いておりまして、バルブ等は損傷を受けないで、防護装置が摩滅をして、それによって防がれておる。またタンクも多少へこんだという程度で済んでおりますので、現存のような程度の容器の強さ、付属品の構造、これで目下のところ十分ではないかと考えておるわけでございます。
  35. 加賀田進

    加賀田委員 名神国道の場合には、相当スピードもあるでしょうけれども、比較的安全なところなんです。民家とかそういうものがないですから。これから交通事故の非常に頻発する条件の中で、運搬中に高圧ガスに対してこの程度でいいのかどうかということ、トラック等がぶち当たって事故が起こった場合に、この程度で一体いいのかどうかということですね。しかもタンクローリーについても規定はあり、相当厳重な設備はしてあるでしょうけれども、これについても耐用年数とか、そういうものについて何ら規定してないでしょう。古くなっても、定期的に検査しておるのかどうか、その二点について説明してもらいたいと思います。
  36. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 容器につきましては、一度検査したらそのままということでありませんで、再検査定期に実施をいたしております。それからトラック等の運転中の事故につきましては、運転者、あるいは同乗者が当該高圧ガスにつきましてある程度の知識を持っておることが望ましいわけでございます。運転員に対しまして国家試験を受けませまして全部そういう資格を持たせるということも、現在の段階ではなかなか困難でありますが、高圧ガス保安協会等で講習を受けさせまして、事故がありました場合、当面の応急措置のできる程度の知識を持った者、それが運転するとか、あるいは同乗させるとかいうことを現在指導をいたしておるわけでございます。
  37. 加賀田進

    加賀田委員 そういたしますと、運搬中は従来と同じようにタンクローリー等の規制だけで大体処置ができる、こう考えておるわけですね。火薬のほうは警察のほうで相当ごやっかいになっておるのですけれども、単なる運転手の教育程度で、こういう問題が処理できるか。実は、これは事故が起こった場合に、酸素のように無害のものもあると私は思う。近くに燃焼しておる物体があれば、その燃焼を助ける作用はいたしますけれども。しかし、人体に有害なガス等がもし漏れた場合は、これはたいへんなことだし、あるいは爆発そのものによって大きな事故が起こる場合もあるだろう。そういうようなことで、やはり一定基準をつけて運搬中にも何か規制をする必要があるのではないかと私は思う。事故が起こって初めてそれに対する対策というよりも、事故の起こらない前に、運搬中にも一つの大きな規制をつけて、この安全をはかる必要がまず一点あるのではないかと思うのですが、いまの通産省の考えでは、現状の規制でそれが足りるという考え方で終始される考えかどうか。
  38. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 現在までのところ、先ほど申し上げましたように、容器を主にいたしまして、さらに運転者、同乗者等に対する教育の普及徹底をはかりたいと考えておるわけでございます。ただ、御指摘のように事故が起きてから対策を考えるということではまことにぐあいの悪い話でございますので、さらに検討いたしまして、必要な安全措置を実行しなければならないという場合には、省令によります技術上の基準改正いたしたいと考えております。
  39. 加賀田進

    加賀田委員 実は事故は昨夜も川崎でまた起こっているわけです。これは低圧ガスで、しかも液を全部タンクから出したと思ったところが、何か化学的な操作によって爆発したということが出ておりますから、高圧ガスだけでなくして、もっと総合的な検討もさらにしていただかなくてはならぬと思うのです。  なお、この取締法に基づく今日の現状あるいは今度の改正する点についてのいろいろな質問をこれからいたしたいと思っておったのですが、委員長、何だか時間的に少し都合が悪いということで、きょうは質問はこれで中断して、次は金曜日に継続をいたしたいと思うのですが、どうでしょうか。
  40. 内田常雄

    内田委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は、明後三月十二日金曜日午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時三分散会