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1965-03-02 第48回国会 衆議院 商工委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年三月二日(火曜日)    午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 内田 常雄君    理事 小川 平二君 理事 中川 俊思君  理事 早稻田柳右エ門君 理事 板川 正吾君    理事 加賀田 進君 理事 中村 重光君      稻村左四郎君    浦野 幸男君       遠藤 三郎君    小笠 公韶君       小沢 辰男君    海部 俊樹君       黒金 泰美君   小宮山重四郎君       佐々木秀世君    田中 榮一君       田中 正巳君    田中 六助君       中村 幸八君    古川 丈吉君       三原 朝雄君    石野 久男君       大村 邦夫君    沢田 政治君       島口重次郎君    田中 武夫君       麻生 良方君    玉置 一徳君       山下 榮二君  出席国務大臣         通商産業大臣  櫻内 義雄君  出席政府委員         通商産業政務次         官       岡崎 英城君         通商産業事務官         (大臣官房長) 熊谷 典文君         通商産業事務官         (重工業局長) 川出 千速君  委員外出席行         参  考  人         (日本航空機製         造株式会社社         長)      森  長英君         参  考  人         (日本航空機製         造株式会社取締         役営業部長)  太田  稔君         参  考  人         (全日本空輸株         式会社社長) 福本 柳一君         参  考  人         (全日本空輸株         式会社常務)  川端 清一君         参  考  人         (日本国内航空         株式会社専務) 伊藤 良平君         参  考  人         (東亜航空株式         会社常務)   山下 政雄君         専  門  員 渡辺 一俊君     ――――――――――――― 三月二日  委員村上勇君及び麻生良方辞任につき、その  補欠として稻村左四郎君及び玉置一徳君が議  長の指名委員に選任された。 同日  委員稻村左四郎君及び玉置一徳辞任につき、  その補欠として村上勇君及び麻生良方君が議長  の指名委員に選任された。 本日の会議に付した案件  航空機工業振興法の一部を改正する法律案(内  閣提出第二一号)      ――――◇―――――
  2. 内田常雄

    内田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出航空機工業振興法の一部を改正する法律案を議題として審査を進めます。  本日は、本案審査のため参考人として日本航空機製造株式会社社長森長英君、同じく取締役営業部長太田稔君、全日本空輸株式会社社長福本柳一君、全日本空輸株式会社常務取締役川端清一君、日本国内航空株式会社専務取締役伊藤良平君、東亜航空株式会社常務取締役山下政雄君、以上六名が出席されております。  参考人各位におかれましては、御多川中のところ御出席をいただき、まことにありがたく存じます。  会議を進める順序といたしまして、最初参考人方々それぞれのお立場から大体十分以内程度の御意見をお述べいただき、次に委員の諸君から質疑がありますので、これに対しましても忌憚なくお答えを願いたいと存じます。  なお、発言の際には、必ず委員長の許可を得てから発言してくださるようお願いをいたします。また、参考人方々委員質疑をすることはできないことになっておりますので、御了承をお願いいたします。  かってながら、発言順序委員長において決定をいたします。  それでは、まず日本航空機製造株式会社社長森長英君から意見を承ることにいたします。森参考人どうぞ。
  3. 森長英

    森参考人 ただいま御紹介いただきました日本航空機製造株式会社の森でございます。  まず、会社の概要を簡単に申し上げたいと思います。  弊社は、昭和三十四年六月一日に航空機工業振興法に基づきまして設立されました半官半民の特殊会社でございます。その目的は、「輸送用航空機設計試作製造その他、輸送用航空機国産化を促進するために必要な事業を行なうこと」となっております。現在資本金は、五十五億円でございまして、そのうちおよそ五割五分に当たります三十億円を政府から御出資を仰いでおり、残りの二十五億円を民間出資によっております。  次に、試作開発の経過をちょっと申し上げますと、飛行性能装備品機能等試験いたしますために、飛行試験用機体を二機製作いたしまして、そのほかに機体全体の強度試験いたしますために二機、合計四機を製作いたし、各種試験を実施することにいたしました。試作の第一号機は、昭和三十七年八月末に初飛行に成功いたしまして、試作第二号機は、同じく三十七年十二月末に初飛行いたしました。それ以後各種飛行試験を実施いたしましたが、一方強度試験用の二機は、それぞれ全機静的強度試験、全機疲労強度試験を実施いたまして、いずれも満足な成績をおさめております。これらの試験結果に基づきまして、昨年の八月二十五日運輸大臣から型式証明を授与せられました。御高承のとおり昨年九月九月、全日空YS11を使用していただき、東京オリンピック大会聖火沖繩から札幌まで空輸いたしました。  この試作開発と並行いたしまして、昭和三十八年初めから量産を開始いたしましたが、現在三十五機分の製作に要する材料、部品の手配を完了いたしておりまして、量艦艇は本月から順次ユーザーへ引き渡される予定になっております。  次に販売の状況でございますが、受注見込みの確実なものが、現在国内官需、民需合わせて四十七機あります。防衛庁五、航空局二、全日本二十、国内航空十五、東亜航空五、そのうち契約済みのもの及び近く契約予定のものが十六機ございます。防衛庁五、航空局二、全日航三、国内航空三、東亜航空三、このYS11の全体の需要といたしましては、昭和四十六年度までに百五十機は見込めるものと考えております。その内訓は、国内民需九十機、官需三十機、輸出三十機と推定いたしておりまして、ぜひともこの目標を達成いたしたいと考えております。  当社といたしましては、今後YS11の販売促進が最大の課題でございまして、このためあらゆる努力を傾倒していく所存でございます。しかしながら何ぶんにもいまだYS11は就航実績を持ちませんために、相当の困難が予想されます。また航空機は世界的に買い手市場でありますだけに、欧米のメーカーは価格支払い条件などにぎりぎりの条件を提示してまいっておりまして、その官民の総力をあげて激しい売り込みを行なっております。したがってYS11の販売につきましても、その辺のことを十分考慮して、よほどの覚悟をきめてかかることが必要であると考えております。ことに輸出につきましては、単に性能がよければそれでよいというものではなく、価格をも含めて魅力ある商品として海外市場開拓具体策を練ることがきわめて肝要であります。一たび機体輸出されますと、それに伴って部品が年々継続的に相当の外貨をかせぐことになるわけでございます。  以上の次第でありますので、われわれといたしましては、一そうコストの低減、性能の向上に努力いたしますとともに、鋭意市場の拡大をはかっていく覚悟でございますので、何とぞ国会並びに政府御当局におかれましても、特段の御配慮をお願い申し上げる次第でございます。  次に、量産のために要する資金は、弊社物的担保能力に乏しいがために、その大部分を政府保証社債によって調達させていただいておりますが、類似の外国機種との対抗上、YS11の販売につきましても長期延べ払いを認めなければならない等の事情からいたしまして、所要資金が著しく増加することとなり、現行の社債発行限度では、資金の調達に困難をきたし、事業の遂行に支障をきたすことになりますので、社債発行限度を引き上げていただく必要性を生じ、先日来、当委員会におかれまして御審議をお願いいたしておる次第でございます。何とぞよろしくお願い申し上げます。  先日、欄内通産大臣が名古屋に行かれましてYS11に試乗されましたが、その優秀な性能と快適な乗り心地をほめていただきました。当日の記者会見におかれましても、政府においてもわが国航空機産業を世界の上位に持っていくよう助成していきたい旨の所信も表明されたようなわけでございます。特に弊社には、YS11の開発に従事した優秀な技術者を結集しておりますので、YS11の開発によって得た貴重な体験と資料に基づきまして、将来はさらに高度のものを開発し、航空機工業の発展に寄与いたしたいと念願いたしております。  何とぞ先生方の一そうの御支援を衷心よりお願い申し上げる次第でございます。  ありがとうございました。
  4. 内田常雄

    内田委員長 次に、全日本空輸株式会社社長福本柳一君より意見を承りたいと存じます。福本参考人
  5. 福本柳一

    福本参考人 私は福木と申します。  YS11の国産機開発されるということは、わが社といたしましても非常に瀞ばしいことでありましたので、及ばずながら、設計の当初から今日まで、微力ではありますが、御協力を申し上げてまいったつもりでございます。この航空機が非常なよい性能のもとに運航に供せられるということにつきましては非常に期待をいたしておる次第でありますので、その製造を容易ならしめるような、それに効果が多いような御措置のとれますことは、もちろん反対すべきでなし、喜ぶべきこととして賛成を申し上げたいと思います。ただ、この措置が金融を容易にし製造に貢献をされるであろうということは断じて疑わないところでございますが、わが国国産機開発ということに関連いたしまして、これを使用いたしますユーザー立場といたしまして、従来及ばずながら御協力申し上げてきた体験に基づきまして、その前提となるべきこと及びこれに関連いたしたことにつきまして、御要求によりまして、いささか愚見を申し述べさせていただきたいと思います。御質問があればさらに申し上げることといたしまして、時間が少ないようでありますから、簡単に問題点のみに触れておきたいと思います。  第一は、ユーザーとしての航空会社というものが飛行機に対する態度はどういう考えを持っておるということを御承知願いたいと思います。これは申し上げるまでもありませんが、その会社に使うところの飛行機適否というものは、その会社死命を制するものであるという観念のもとにわれわれは飛行機を選択してまいったのでございます。敗戦後航空再開の当初にあたりましては、全日空といたしましては、採算もほとんど期待できないダブという小さい飛行機から始めて、ヘロン、ダグラス・スリー、コンベア、バイカウントフレンドシップボーイング、現在まで飛行機だけでも七、八種類くらいなものを逐次使用してまいったのでございますが、その適否がいかに会社経営死命を制するかということを実際上体験してまいったものであります。したがいまして飛行機を購入いたすということは、自己の持っておる路線並びにその路線条件あるいは会社技術能力その他の点を十分勘案いたしまして、最も適当なる飛行機を自由に選択さしていただくということが経営上は最もよいことであり、欠くべからざることであると私は考えておるわけであります。したがいまして国産機開発ということにつきましては、抽象的に申しましても、第一はやはり優秀なる飛行機製造ということが基本にはなりますが、それには絶えずこれを活用運用をする、ユーザーの利益になるか、あるいは十分なる効果が上がるか上がらぬかということを絶えず表裏一体となって勘案しつつ製造されるということが前提とならなければ、せっかくでき上がった飛行機もまちまちになる結果、十分なる効果を発揮できないということがないとも限らぬと思うのでございます。そういう意味合いから、よその例を申してみましても、飛行機さえよければ、たとえ自国国産機自国で使わなくても、十分外国に売れた例はございます。現に全日空が使っておりますところのフレンドシップのごときは、ただいまのところ百八十九機つくっておりますが、そのうちで自国で使っておるのは十五機であります。しかもその十五機のうちの十二機は空軍が使って、そうして実績を積み、効果を発揮さして、そして外国へどんどん売っておるのでありまして、全日空といたしましても従来これを購入をし続けて、ただいま二十五機を保有しておるようなわけでございますが、かように、先ほど製造会社社長さんからもお話がありましたように、国内使用実績というものはまだこの飛行機にはないのでございまして、われわれもオリンピック聖火輸送に、従来予定しておりましたフレンドシップをやめて、あえてYS11というものに期待をして十分なる用意を整えてやった結果、機体もりっぱであることが証明されたのであります。しかしながらお客をお乗せして運航するという段になってきますと、従来全日空のとってまいりました施策から申しますと、相当実績を積んだものを――その証拠がないものの飛行機を買ったためしはありません。何となれば、これは非常な大きなリスクを伴うものでありまして、外国の例を見ましても、当初の十機や十五機は、政府の財政の影響のきわめて大きい個所においてこれが開発の担当をされておるというのが事実でございます。したがいまして、全日空卒先をしてこれを運航に供したいという熱望と、現にそれをやりつつありますが、非常なる不安を感じておりますのは、そういう実績をまだ積んでいない飛行機でありますので、どの程度、いつごろになったら安心をしてお客さんをお乗せしてよいかというポイントをつかむことは相当関心の高いところでございます。私は機体優秀性を断じて疑っておるものではございませんが、不幸にしてYS11は私はその点については、日本航空さんはモデル路線の都合によってYS11の使用からは最近関係がないような立場に置かれておると承っております。また空軍と申しましても、わが国事情もあるのでございましょうが、多量にYS11を御注文なさってこれが実績を積まれるということもまた今後に残されておる問題のようでございます。開発使用については、純然たる民間資本による航空会社であります全日空が一手に承っておると申しては潜越でありますが、そういう立場に置かれております。  私は前提としていろいろ申し上げたのは、新しい飛行機というものに対する航空行政というもののあり方から考えまして、われわれははたしてこの大きなる使命を現状のままで担当していってよいのであろうかどうかという心配すら持っておるようなわけでありますので、すみやかに総合的な航空国策というものが樹立されまして、そのほかに計画販売計画なり製造計画が立てられるならば、現在の事情でもはやわが国におきましては幹線ボーイング機種は統一されておりますから、その余の飛行機というものはYS11に期待する以外にはほかに道がないのでありますから、この点は需要が増加し、運用条件さえそろうならば、必要に応じて幾らでも、私は国内における販売は可能となり、またそれ以外のものを買う余地もない、かように考えておるわけでございます。ただ、国内機種の見通しをつけますのにも、飛行機稼働率というものが十分でありません場合には、これは働く場所、働く時間が少ないわけでありますが、不平にして、わが国ローカル空港というものは相当整備されつつありますけれども、運用時間が非常に少なくありまして、朝少し弔いとか、晩方日没以後になりますと、運航をしても、ローカル空港運営はとまってしまっておるよらなわけでありまして、稼働する場所は一般の需要要求に比較しまして、きわめて範囲の狭いものに相なっております。かように飛行機自体製造が十分可能になって、多量に製造ができましても、それを使う要件というものが、もう少し製造使用とが表裏一体の基盤の上に立っていくならば、もっと大きくなるのではないかという考えを持っております。  私は繰り返して申し上げますが、今回とられておる措置はきわめてけっこうな措置であり、YS11の開発につきましても、焦上の中から国産機をつくり上げようという当時の措置といたしましては、あれ以外には方法がなかったかもしれませんが、今後製造を容易にされるとともに一そう力を入れてもらいたいと思いますのは、価格の問題をもう少し考えていただいたらどうかと思うのであります。なるほど、全日空といたしまして現在使用いたしておりますフレンドシップ並びにバイカウントは、エンジンも同じ系統でありますし、非常によく似た飛行機でございます。なるほどスピードなりあるいは座席の点からいえば、ほぼ価格は似合ったような価格と存じますけれども、これの活用の面における価格というものにつきましては、先ほど申しましたように各種条件前提と相なりますので、私は製造をされるその機構の問題につきましても、なお改善の余地があるのじゃなかろうかというような感じを抱いております。と申しますのは、当時としては技術を集め、いろいろの点もありますが、十分存じませんけれども、積み重ね方式のような価格になっておるのじゃないかと思いますが、私は、国際的にこれが競争場裏に勝とうと思うならば、まず国際価格に見合うものを設定して、その範囲内でつくれるかつくれぬかを考えることも一つの行き方じゃなかろうかというような感じも抱いております。  これはちょっと立ち入ったことを申し上げて恐縮でありましたが、ユーザー立場といたしましては、これによって会社の永続をはからねばならぬ重大なる問題でありますので、一応この点にも触れて、りっぱな飛行機が安く手に入りますようにできますことを、本案の通過とともに念願をいたしまして、私の所見を終わります。
  6. 内田常雄

  7. 伊藤良平

    伊藤参考人 国内航空伊藤でございます。ただいま、同じように飛行機を飛ばしてお客さまを運ぶ立場にあります全日空さんから御意見が述べられましたが、私個人といたしましても、日本航空並びに国内航空における経験を通じまして、いま述べられた意見のほとんど全部の点につきまして、全く同感の意見をまず申し上げたいと存ずるのであります。福本さんからお述べになりましたので、むしろ蛇足になったり重複する点も多いかと思いますが、国内航空意見を三鷹述べさせていただきたいと思います。  まず、私、国内航空YS11に対する計画を具体的に申させていただきますと、国内航空といたしましては、YS11を準幹線あるいはローカル線用といたしまして、長年主要な飛行機として積極的に使っていきたいというふうに予定いたしております。したがいまして、昭和四十年度におきましては五機を購入するように計画し、製造会社とも話し合っておりますが、そのうちの三機は、先ほど製造会社から言われましたように、近く正式な契約を締結する運びになっております。その後も路線の拡充、それから当社の設備の更新、合理計画というものとあわせまして、毎年若干機ずつを導入いたしまして、今後に大きな情勢の変化がない限りにおきましては、昭和四十三年までの今後五年の間に約二十機程度飛行機をもってフリートをつくって、これで合理的な運営をしていきたい、このような準備をいたしておる次第でございます。  次に、このYS11に対する国内航空の評価とでも申しますか、この飛行機をどう見ておるかということについて一言申し上げさせていただきたいと思います。この飛行機運航性能につきましては、先ほど福本社長も言われましたとおりでございまして、また私のほうから派遣しておりますパイロットの報告によりましても、運航性能は非常にすぐれたものである、現時点におきまして満足すべきものであるという報告を受けております。しかし皆さまも御存じかと思いますが、過去の十年、十五年の航空機製造欧州各国の実例を見てみますと、非常に経験の豊かなアメリカのダグラスあるいはボーイング、ロッキードあるいは英国のデハビランド、こういうような会社がつくった最新型のプロペラ機ターボプロップ機、あるいはジェット機におきましても、その試作後約三千時間くらいの間には、ほとんどと言ってもいいのでございますが、その航空機の安全の立場から重大な改造をしなければならぬ、あるいは不幸な事故が起こったというようなことは、ほとんどの各社がそれを経験しておるところでございます。これは現実の冷たい事実でございます。この日本において最初につくられましたYS11におきましては、幾多の改造もされてきましたが、今後これからわれわれ輸送会社が使おうというときに、そういう不幸なことがないように、またたいへんな経費のかかることがないようにということを、心から私たちも祈っておる者の一人でございます。特に先ほど福本さんも申されたように、人の貴重な命を預かって輸送する会社といたしましては、この点については非常に慎重であり、またそういうことのないように祈っておる者の一人でございます。  次に、飛行機経済性というものがわれわれ輸送会社としてはたいへんなものであることは御承知のとおりでありますが、この飛行機を使ったときに、修理、整備、オーバーホールあるいは部品補給というような点につきまして、一体どれだけの経費がかかるのであろうかということにつきましては、この飛行機について経験がないために、残念ながら輸送会社としては的確な計算をして見積もりをするということができないわけでございます。その点につきまして、経験がなく、また実績がないだけに、あるいは経費が多くかかるのではないかという一部の不安を持っておることはいなめない事実でございます。また価格の点につきましても、福本さんが言われたことと重複するようでございますが、大体飛行機価格というものは、飛行機がまずでき上がるまでに、どこの国におきましても基礎的な研究費調査費あるいは試作費というものに膨大な金がかかることは御存じのとおりでございますが、これをほとんど全部政府資金によるかあるいはまず爆撃機とか軍用の輸送機として国家経費でこれを負担して、民間に売り出す輸送機の原価の中にはこれを入れないというのが各国の実情でございますので、私はこのYS11の価格計算にそういう要素が入っているかどうかについてはつまびらかではございませんが、もしそういう基礎的な研究費あるいは開発費というものが計算されているのであるとするならば、それはひとつ何とか政府の手で、あるいは国家経費でこれをカバーしていただいて、そういうものは民間に売り出される飛行機価格から除外していただくようにお願いいたしたい者の一人でございます。  具体的に要望いたしたいことは、先ほど来申し上げることで言い尽くしているのでございますが、したがいまして、最終価格決定をいたしますについては、ひとつ、十分その点を弾力性のある御検討を願いたいということと また部品補給あるいは乗員訓練のためのシミュレーター、その他の訓練施設というようなものを十分準備されまして、国産機として、われわれ、使うものの、ユーザーにとって受け入れられるようなサービス体制をつくっていただきたいというふうに思うのでございます。したがいまして、使うもの、買うものといたしましても、長期にわたっての延べ払いのできるような体制をつくっていただくことが特に望ましいのでございますので、ここで論議されておりますような多額の社債が発行されるように、原案に対して積極的な賛成意見を述べさしていただきまして私の陳述を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  8. 内田常雄

    内田委員長 ありがとうございました。  次に、東亜航空株式会社常務取締役山下政雄君より愚見を承りたいと存じます。山下参考人
  9. 山下政雄

    山下参考人 御紹介にあずかりました東亜航空山下でございます。この際、会社意見はほとんど言い尽くされておりますが、出席しました責任上、一とおり簡単に申し述べさしていただきます。  まず、結論から申しまして、本委員会の問題でございます航空機工業振興法の一部を改正する法御案に対する意見につき議しては、全面的に賛成でございます。  ここでYS11のことについて簡単に触れてみます。まず、YS11の性能でございますが、非常にすぐれた性能を持っていることはすでに申されておりますが、簡単にこれを区分してみますというと、わが国の大部分の飛行場は、御承知のとおりローカル空港でございまして、なお、このYS11の使用される飛行場もローカル空港がほとんどでございます。したがいまして、この長さとか規模とかいろいろな施設に関しまして、離発着性能が非常に重大な問題なのであります。特に安全性の問題もそうでございますが、この面からいったら、世界にある現存のいろいろな同種の飛行機からいいまして、YS11が最もすぐれておる。なお大きさ、離発着性能に関連しまして、輸送能力六十席という相当多量のシートを持っておりますので、この点は経済性と関連しまして、まことに優秀な飛行機である。なお国産機であるという特性からいたしまして、従来、われわれが外国から買っております飛行機と違いまして、国難であるところの有利性が若干ございます。これはもちろん、メーカーが国内でございますので、いろんな不ぐあいな点、改修の点、あるいは部品補給その他こまかい面で、外国機に比べまして相当有利である。ただ、われわれがこれを使用しますについて最も不安を感じておりますのは、現に先輩が申されますとおりに、残念ながらまだお客を乗せて飛んだ実績がない。したがいまして、これらの実績ができ上がって、なるほどこれはりっぱに使いこなせるというのは、やはり私の経験からいいましても、半年ないし一年の実績が必要であります。いうならば、その間は、われわれユーザーは若干モルモット的な性格もあるんじゃないか。これはことばがちょっとオーバーでございますけれども、それだけ非常に責任を感ずる段階にある。  次は、これも前に述べられましたが、価格がどうも若干高いんじゃないか。これは、過去においてわれわれのほうのいろいろな委員会でもんでまいったのですが、最終価格は本年度末に決定することになっております。そのよって来たる原因はいろいろございましょうが、これは日本航空機製造さんを批判するようでたいへん恐縮でございますが、やはり会社の性格上若干そういうものがあるんじゃないかという不安と、もう一つは、先ほど伊藤さんよりも申されましたとおり、開発費がどうもコストの中に入っておるという懸念がある。われわれの聞いたところによりますると、約五十億の開発費が入っているといわれておりますが、これを百五十機で割ってみましても三千三百万くらいの経費になるようでございます。これを何とか御配慮願えぬだろうか。  それから、最後に、本案によりまして日本航空機製造さんが資金調達をされまして、量産体制が一そう強化されましてどしどし出てくることをわれわれは大いに期待し、またそれによってコストも、あるいは延べ払いの問題も楽になる、かかる意味において大いに賛成するわけでございますが、この委員会とは若干性格が違うかもしれませんけれども、われわれユーザーに対しては何らの助成策がない。これは運輸関係の問題でございますけれども、開発銀行の融資問題も若干ございますけれども、いまだ確たるものがきまっておりません。やはり航空機の振興というものは、製造立場と、これを使う立場と、やはり国策は両方相まって行なわるべきものでありまして、一方だけに集中して、使う側にないということは、若干片手落ちのような気もしないではございません。かかる意味におきまして、本案の成立も大いに願うわけでございますが、われわれユーザー側としましては、これをまた側面的に助成する、というとことばが過ぎますけれども、ユーザー側に何らかのそういう助成策が講ぜられることが、相まって航空機工業の振興に役に立つ、こう信じておる次第でございます。  他にこまかい点もございますが、時間がございませんので、一応意見の開陳をこれでやめさしていただきます。
  10. 内田常雄

    内田委員長 ありがとうございました。  以上で参考人方々意見の陳述を一応終わります。
  11. 内田常雄

    内田委員長 次に、参与人並びに政府当局に対する質疑の通告がありますので、順次これを許可いたします。海部俊樹君。
  12. 海部俊樹

    ○海部委員 いろいろ貴重な御意見を承りまして、まことにありがとうございました。われわれも、戦後二十年たちまして初めて日本国産機量産計画に入ったということは、まことに喜ばしいことでございますし、この間のオリンピック聖火輸送なんかで国民の国産機に対する認識も非常に高まってまいりました。ぜひともこれは成功していただきたいという強い気持ちを持っております。新聞論調なんかも、一時は妙な誤解に満ちた記事もたくさんあったようでございますが、最近の新聞はきわめて好意的に取り扱ってきているようであります。また、航空機工業というものは、やはり非常に激変する気象とか環境とか、そういった飛行中の条件に長時間正確に作動しなければならぬというところから、他産業に対する影響も非常にあるわけでありますから、今日の開発になお一層の御研究、御努力を傾けられんことを心に期しまして、以下二、三点について御質問申し上げたいと思います。  まず最初に、日本航空機製造株式会社のほうにお尋ねしたいのでありますが、たいへん愚問かもしれませんけれども、YS11というのはどういうところからおつけになった名前であるか。試作の時代に、何かたしか書類番号であるとかいうようなことを聞いておったのでありますが、量産に入り、国外に販売されるとなれば、たとえばバイカウントとかフレンドシップとか、いろいろ愛称をもって呼んでおられるように、何か日本国産機にふさわしいような名前が出てくるのじゃないかと期待をしておったのでありますけれども、どういう理由でこの名前がついたか、あるいはこの名前はもうお変えにならずに、これでいつまでも推し進められるおつもりなのか、この点をまずお伺いしたいと思います。
  13. 太田稔

    太田参考人 私からお答えいたしたいと思います。  私は、この会社の前身でございます輸送機設計研究協会時代から、基礎設計を経まして、現在までこの仕事に関係しておるわけでございます。YS11といいます名前は、YS輸送機設計研究協会の名前をとりまして、Yは輸送機の頭をとりまして、Sは設計研究協会のかしら文字をとりまして、YSという名前をつけました。当時、基礎設計をやりました場合に、エンジンの候補が三つございました。現在採用しておりますイギリスのロールスロイスのつくりましたダートー10と、それから同じくイギリスのネーピアという会社がつくっておりますイーランドという同じくジェットプロップがございました。それから三つ月に、アメリカのアリソンという会社がつくっておりますT56というエンジンがございました。まずエンジンの候補を三つとりまして、おのおのに名前をつけたわけでございます。ダートをつけましたのを十台、それからイーランドをつけましたのを二十台、アメリカのアリソンをつけましたのを三十台というふうにいたしました。それから翼面積を、最初は八十五平方メートルで出発いたしました。それがゼロでございます。したがって、機体のコンフィグレーションといたしましては、YSの10、20、30といった原型ができました。それから次に翼面積が変わりまして、現在の九十五平方メートルに直しまして、そのときに一番下の1を採用いたしましてH11、21、31というような名称にいたしました。また、下羽と上羽との比較もやりまして、11、21、31、その四発をやりまして114という名前をつけましたが、114、214、314といった各種の網を張りまして、それで設計上のいろいろな利害得失を検討いたしました結果、現在採用しておりますダートをつけ、九十五平方メートルの低翼の飛行機というのを採用いたしまして、YS11という名前をつけたわけでございます。航空機製造ができましたときに、このYSという名前はひとつ変えて、何か別なイニシャルをつけたらどうかという話もございましたが、すでにそのころ外国雑誌等にもYS11という名前が非常に流れておりまして、いまさら変えるのもどうかということで、実は押し通してまいったわけでございます。それからフレンドシップバイカウントのようなニックネーム等のことでございますが、これも昔からいろいろ議論がございまして、英語がいいか、日本語がいいかという議論もございました。協会以来、かつて「航空情報」が懸賞募集をやったことがございまして、オリエントライナーとかいろいろな名前が出たのですが、結局どうもぴんとくるいい名前がないということで、ニックネームをつけずに現在まいっておりますが、最近の傾向といたしましては、特にアメリカ人あたりは非常に強調しておりますが、むしろボーイングあたりですと、町とか707とか、あるいはダグラスのDC8、コンベアの880、こういったニックネームよりも、簡単な名前のほうが、タイプをしたり、あるいは電子計算機に入れたりするときにいいというので、しいてニックネームをつける必要はないのじゃないかという意見もございまして、YS11という名前は世界的にもポピュラーになっておりますし、いい名前があればニックネームも非常にいいのでありますが、なかなか万人にアピールするようないい名前がございませんので、いまのところ新しくこれからつけていこうかという愚図は、現在は持っておりません。
  14. 海部俊樹

    ○海部委員 森参考人のお話を、取りましても、販売の見込みというものとコストの低減の問題がきわめて重要なポイントだということをおっしゃっておりますが、私どももそのとおりだと思うのであります。現に、承りますと、百五十機という量産計画をお立てになっている。これを一機当たり四億九千六百万でございますか、それで販売なさるという御計画のようでございます。これは、できたものは必ずすべて売れるように努力をいたしませんといけないわけでございますが、この百五十機というものが売れる見通しといいますか、見込みというものが、いま、眠った数字だけでありますと、確実に百五十機消化できるのだという確信にやや遠いような気がいたしますので、そこの辺の販路の点について、どういうことが障害になっているかという点。  それからさらに、これはあとからユーザーの方にもお伺いしたいと思いますが、どの点を変えていったら買えるかというようなことについて、私自身の気持ちを率直に申し上げて、それに対する御意見を聞いたほうがいいと思うのですが、実は型式証明が一年ばかりおくれたようであります。よその競争機になりますと、たとえば、フレンドシップにしてもアブロにしても、最初飛行から型式証明がおりるまでの期間は、ほぼ一年間です。ところが、これは二年間かかったわけでありますから、何かそこに性能上欠点でもあるのじゃないか、こう心配をいたしまして、前回の委員会でもお尋ねをしてみましたが、そういう問題ではなかった。それから、ただいまも、性能の点ではもう問題ないのだという各参考人の一致した御意見がございましたので、この型式証明が一年余りおくれたということについて、別に性能上の問題はないようでありますけれども、その一年間に何か販売計画に狂いが出てきたのではないかと私どもは非常に心配したわけであります。たとえて申しますと、ベネズエラという国が、このYSに関心を持ちまして買おうとしておったのでありますが、型式証明がおくれた関係でアブロに取られてしまった。あるいはインドネシアが、実はYSHを買おうという計画を持っておったところが、最近になってフレンドシップのほうに契約を変えられてしまった。いろいろあまり喜ばしくない話を聞くわけでありますので、この点についてどういうことをやっていったら、こういったよその飛行機に取られないで済むか。私は、言いかえれば、これは販売条件の問題と価格の問題だろう、こう思うのですけれども、その辺について何かお考えがありましたら、明りたいと思います。
  15. 森長英

    森参考人 ただいま御質問いただきました、確かに一年間おくれたということはございましたが、これは性能の問題でなくて、優秀なものをろくり上げようということで時間がかかった、こういうふうに私は考えますので、さようなわけで、時日がおくれたということのために、一方はセールスのことにつきましても、まず国内のほうから何とかして理解して使っていただきたいということで進んでまいったことであると私は思っております。したがって、その後完成機の試作ができまして、逐次所期の性能が発揮できるということになりまして、世間の認識も高まってまいったわけであります。しかし、一方海外輸出ということになりますと、何ぶんにも先ほど来他の参考人からもお話がございましたように、就航の実績がないということが第一の問題ではなかっただろうか、かように考えます。国内ユーザーとされましては、国産機であるから、これはまあよければ使おうという気持ちにもなりますし、またそういう方針も打ち出していただけるわけでございますが、輸出になりますと、なかなか競争の飛行機がたくさんございまして、いわんや、それらは就航の十分な実績を持っておる、それからあらゆる官民の総力をあげて、あるいは大使館の人まで動かして、いろいろな販売の努力をする。私も、そういう面も実際によく知っておりますが、非常に努力しております。したがって、いまベネズエラの話が消えた、インドネシアが消えたという意味のお話でございますが、これもそういう面が非常にあるんじゃないか。やはり就航の実績というものと、それからおっしゃいました価格、いま参考人のほかの方からもお話がございましたが、開発費その他がやはり相当の負担になっておるというようなこと、あるいは光り込みの延べ払い条件、あるいはその他のもっと、そこまでやるのかというぐらいの外国機種の売り込み、これらを参考にしましてやりませんとなかなかむずかしい。しかし目標の百五十機というものにつきましては、国内ユーザーの皆さまからも十分な御支援はいただかなければなりませんが、輸出につきましては、いま申し上げましたような他国の競争機と同じような程度にいろいろな条件で、価格の点、販売の点、あるいはサービスの点ということで、これは何とかしてやらなければ日本航空機産業の興廃にかかわると思いますので、これは十分やらしていただきますが、どうぞまた皆さんにおかれましても十分御理解をいただきたい、かように考える次第でございます。十分やっていくつもりでおります。
  16. 太田稔

    太田参考人 ちょっと補足さしていただきたいと思います。  いま申し上げましたとおりで、日本国内就航実績がないということが、特に海外のほうの販路拡張にたいへんな障害になっております。最近特に従来のPR時代を過ごしまして、具体的な契約といった段階に逐次入ってきつつあるわけでありますが、やはり何とかして向こうに使わせてみる、まずどこかに使わせてみるということがとにかく一番大事なことじゃないかというふうに痛切に感じております。そういう意味から、ある試験的の使用と申しますか、表面から百三十何万ドルといったような数字でなしに、ある期間ある有利な条件でまず使わせてみて、それに基づいてあとの需要期待し、あわせて機数の増加とともに補用部品等で初期の赤字と申しますか、あるいは犠牲的の負担を逐次取り返していくといったような具体的な価格政策をもちまして、特に輸出関係のほうの販路拡張をこれからはかっていきたいというふうに考えております。アメリカの例で申しましても、これは多少極端かもしれませんが、百万ドルといったようなことでかりに売れるとしますと、これは需要が幾らでもついてくると思います。そういう意味から、これからの価格政策に販売上のテクニックといいますか、そういう点に十分こまかい神経を働かして販路拡張をはかっていきたいというふうに考えております。
  17. 海部俊樹

    ○海部委員 国内実績をつくるためには、どうしても国内の各航空会社方々にうんとこれを使っていただいて実績をあげていただく以外に方法がないわけでありますが、価格の問題が出ましたので、価格の問題を申し上げますと、四億五千六百万というのを、何とか合理化の努力をなさって、もう少し下げるようなことは、見通しとして不可能なものでしょうか。たとえて申しますと、競争機になっておるアブロが三億一千万、フレンドシップが三億三千万、この幅が一億二、三千万あるのはどういうわけかといろいろ聞いてみましたら、座席の数が違うのだというようなこともございましたけれども、たとえばアブロとYSと座席比で割ってみましても、四億二千五百万円という数字が出てくるわけであります。二の辺はひとつ御努力いただいてコストを下げることをはかっていただかないと、海外の競争の場においては、コストの点においても負けるというような面が出てくるのではないか、こんな気がするのであります。  そこで、私が夏に委員会の視察で小牧のほうの工場を見せてもらいましたときに、率直にいって、たいへん失礼でありますけれども、何か寄せ集めてこれの組み立てをやっておるのだという印象を受けたわけであります。エンジンなんかは、買ってくると安いが、国内開発したりつくったりすればよけい高くつくから困るんだということでありましたけれども、日本技術でいいますと、たとえば現在のF104のジェット戦闘機が使っておりますJ79というジェットエンジンは、これはライセンスを買って石川島でりっぱにつくっておるわけであります。日本技術は、ロールスロイスよりやや複雑で困難といわれるJ79まですでに自分のところでできるようになっておるのでありますから、たとえばロールスロイスのライセンスを買って、これを航空機製造式会社のほうで開発して製造される、そういう一貫作業というものに取りかかったほうがいいのではないかという気持ちもするのですが、価格を下げるための一貫作業という点についてお考えを持っていらっしゃるかどうか、研究なさったことがございましたら御意見を承りたいと思います。
  18. 太田稔

    太田参考人 私から申し上げます。  価格の問題でございますが、分散生産のために上がっていないかということは、防衛庁側等からもしばしば議論になりまして、われわれ自身も研究いたしておりますが、結論を申し上げますと、分散のために決して高くなっていない、むしろ安くなっているというふうに考えております。と申しますのは、特に本機の販路拡大ということのためには各製造会社ともに非常に関心を持っておりまして、そういう点から、このYS11の製作に対しましては、各社とも特別の一般管理費といいますかあるいは総利益率を適用いたしております。非常に安い経費で納めてもらっているということが一つと、ある程度レートの低い会社も使ってまいりますと、総合的には加工費の原価は下げられるという利点がございまして、そういう面から、分散のために向くなっているということはまずないと確信しております。  エンジンでございますが、これは技術的にはもちろん、先生のおっしゃいましたとおり、日本で製作は困難ではございませんが、このダートというエンジンは、御承知のとおりダート6、7、10、過去十年近く歳月を費やしましてデベロップしてまいりました。ロールスロイスとしましては完全な量産を長い間続けているのでございます。そういう面から、技術的にはもちろん日本でできますが、これをあるきまった数量を国内で生産するということは、数の点から申しましても、どうしてもコストアップにならざるを得ないと考えております。一般的の計算からまいりますと、実はわれわれとしましては、フレンドシップあるいはバイカウントというものに決して負けないという信念を持っております。これはやはり使ってみないとわからない点がたとえば整備費等にございますので、お使い願った上、今年末あたりそういう点につきましてもう一ぺんあらためて話し合おうじゃないかというふうにしておる次第でございます。
  19. 海部俊樹

    ○海部委員 それではユーザーの皆さんにお尋ねしたいわけでありますが、やはり国内実績をあげなければ海外の輸出にも非常に不利な条件が出てくる、こういうことであります。できるだけたくさん使っていただきたいという気持ちを持つのでありますが、日本の代表的な航空会社である日本航空がこの中に入っていらっしゃらない。福本参考人の御意見を聞いておりますと、日航は路線の関係でYSは使えないのだ、こういうおことばがありましたけれども、愚問かもしれませんけれども、国内幹線YSを使うとした場合、ユーザー立場からいうと何か経済的に引き合わない決定的な要素でもあるのでしょうか。これは福本参考人にお尋ねしたいと思うのであります。
  20. 福本柳一

    福本参考人 お説のとおりだと思います。私は幹線YS11は使われるものだと思って、全日空といたしましては相当計画を進めた時代がございます。ところが、ちょっと言いにくいことでありますが、日航さんは国際線には使っておられましたけれども、国内線にジェットの飛行機をもって運航された。われわれは、観念といたしましては、レシプロからターボプロップ、ピュアージェット、こういくものだと、しろうとながら実は考え計画を進めておったのでありますが、あにはからんやYSターボプロップが十分幹線に使われるという時代はなくて、直ちにピュアージェットによって幹線運航されるという運びに相なりました。そうしますと、ほかの要件もございますが、一たんピュアージェットの非常にスピードのある快的な運航が提供されたる今日、もう一ぺんあと戻りをしてYSを使うということは、理屈では考えられますけれども、そのこと自体としては不可能だと私は考えております。  なお、現在の空港はスポットの数が少なく、大阪並びに東京のそれは狭く、つまり発着スポットの場所が実際ない実情だ、第二国際空港ができれば別問題でありますが、来年、または再来年はわれわれもきわめて憂慮をいたしております。そういう状態でありますから、一面ピュアージェットの大きいものを入れることは有利なんだという説も片一方では立たないこともないと思うのでありますが、これは相対的なものでありますが、私はただいまからYSを入れるということはすでにチャンスを失った、かように考えます。
  21. 海部俊樹

    ○海部委員 全日空といたしましては、現在フレンドシップを二十五機をお使いになっておる、こういうお話でありますけれども、いま全体で全日空は何機旅客機をお持ちになって、うちローカル路線というものに何機お使いになっておられますか、ちょっとおっしゃっていただきたい。
  22. 福本柳一

    福本参考人 ローカル線の主力はフレンドシップ二十五機、それから幹線並びにごく一部のところにはバイカウントを入れかけております。まだ空港が十分でありませんから、正常なる投入はできません。だから、ただいまのところはフレンドシップ二十五機とバイカウント八機というものが主力でありまして、ボーイング一機をただいまチャーターをいたしまして、大体一日に三便足らず運航をやっております。これだけであります。
  23. 海部俊樹

    ○海部委員 幹線路線に使えないものとなりますと、ローカル線はYS11で統一したい、こういう航空局のほうの御意見もあったようであります。皆さん方もそのおつもりになっていただいてYS11をなるべく積極的にお使いいただきたい、こう願うわけでありますが、われわれの、この前の委員会にいただきました資料によると、契約条件YS11の場合は、頭金が二〇%、そして残りの八〇%を五年間に均等十回払いで金利が七・五%である、こういうふうに承りましたが、外国の中距離輸送機をお求めになる場合、販売条件が最近非常に有利になってきておるという話を聞くのでありますが、YS販売条件と比べて、どの点がどの程度違いましょうか、期間とか金利の問題とか、そこに根本的な問題も出てくると思うのですが、お差しつかえなかったら御答弁願いたい。
  24. 福本柳一

    福本参考人 これは販売政策上の問題と思いますが、概括的に申しますと、外国のほうが私のほうの会社に関する限り現在有利じゃなかろうかと思います。というのは、ただいまお話になりましたイージーペイメントの比率の問題、ことに利率の問題でありますが、ボーイングのごときは充分五厘でございますから、その点も安いと思います。
  25. 海部俊樹

    ○海部委員 国内航空伊藤参考人にお尋ねいたしたいわけです。性能はきわてめてよい、満足すべきものである、だから国内航空としても積極的に使うつもりだ、こういうお話を承りました。ただサービス体制をもっと強化してもらうように政府に依頼しなければならぬという御意見があったと思いますが、長期支払いというものに対して諸外国並みの条件要求して、それがもし通った場合には、たとえば極端な議論ですが、国内航空さんとしては全部YS11を使ってもいいというお気持ちがありますでしょうか、条件さえ外国並みになった場合。
  26. 伊藤良平

    伊藤参考人 お答え申し上げます。  私どもといたしましては、昨日来幹線に就航させていただいておりますが、幹線につきましては、先ほど来福木さんの言われるとおり、もはやYS11の時代は過ぎたと存じます。その他のいわゆるビームラインあるいはローカル線でも、YS11でも、まだ飛行場の状況が適しないというような離島航路、非常に貧弱な飛行場も多々ございますし、今後も出てくるのではないかと思いますから、緯線以外で全一部YS11というわけにはまいらないのではないかと思います。けれども、飛行場をつくるについて、当局の政策どおりつくられますならば、また私どものほうとしましては、現在コンベア240という四十人乗り程度を九機使っておりますが、これは逐次リタイアさせまして、YSにかえていきたいというふうに考えております。先ほど申しましたように、情勢に大きな変化のない限りはここ三、四年あるいは五年の間に、約二十機程度をもっておもなるローカル線はYSを使いたいと考えております。
  27. 海部俊樹

    ○海部委員 国内航空さんといたしましては、現在、ただいま何機飛行機をお持ちになって運航していらっしゃるか。その飛行機は全部お買いになっておるものですか。あるいはリースの形で借りていらっしゃるものがその中に含まれておるのでしょうか。
  28. 伊藤良平

    伊藤参考人 幹線に使っておるもののジェットは借りものでございます。それからローカル線に使っておるおもなる飛行機九機は全部買ったものでございます。それからフランスのノールという飛行機を近く大阪中心に入れて、短い飛行場の小さいところへ使おうと考えております。約二十九席のものでございますが、これも買う予定でございます。最初の一時期借りることになりますが、返しまして買うことになると思います。それから全体で幾ら持っておるかということでございますが、小型機でDC3型、あるいはアパッチあるいはヘロンというような、もうことし中あるいはおそくとも来年中にはリタイアしようという飛行機が約八機ないし九機ございます。そういう程度でございます。
  29. 海部俊樹

    ○海部委員 最後にもう一つ。今度は航空機製造式会社にもう一回お尋ねいたしますが、今度の法律の改正は第二十三条の改正でございます。商法限度額の十倍に達するまでの社債の発行を認めるようにするという改正でありますけれども、資金がいろいろお入り用になるということは御説明を聞いてわかりましたし、われわれとしてもこれに反対するものではございません。ところが国内航空のいろいろな参考人方々の御意見を聞いてみますと、価格の問題とか支払い条件の問題というものが非常に壁になっておるようでございます。この法律の第十九条によりますと「会社は、その目的を達成するため、次の事業を営む」その中に「会社の目的を達成するため必要な事業」とこういう項目がございます。飛行機製造販売される会社でありますけれども、その会社の目的の中には販売の促進、販路の拡張ということが非常に大きな目的だろうと思います。そこで、この条文からいって、売り渡し、いわゆる販売以外にリースの形で飛行機を出すことができるかどうかということについては、法律的には可能であるという見解のお答えを承っておるわけでありますが、できれば販路を拡張するために国内航空会社に対してリースをするというようなことを考えたらどうか、こんな気持ちもいたしますし、もしそれをやった場合にはどういうような影響が起こってくるかということ、おわかりでありましたら、ざっとでけっこうですから、お考えを承っておきたいと思います。
  30. 森長英

    森参考人 いろいろ、十分御承知と思いますが、やはり国内におきましてもあるいはリースということもやることが必要な面もございましょうが、国内におきましては、何とか、長期延べ払いという方針でいけばリースと大体同じような性格になりますので、ただいまのところはさような方針で考えておりますが、しかし海外につきましては、どうも外国の競争機種が、やはり同じリースの線を進めてまいりますので、日本といたしましても、やはりリースを採用するということはどうしても必要になってくるんじゃないか、かように考えます。そうしますと、やはり売れれば売れるほどけっこうなことでございますが、やはりしばらくの間は各方面に対してもリースを進めなければならぬ。この金額はやはりかなりの額になるんじゃないか、かように考えております。それから、各方面に幸いにして売れるということになりますと、サービスの面で、これはやはり部品を向こうへ一応届けておくとか、あるいは人員を派遣するとか、いろいろなことで費用のかさむことはやむを得ない、かように考えますので、やはり本法案の通過によりまして、そういうところへも売り渡しができる販売の戦線の強化を実現できるようにお願いいたしたいと思います。
  31. 海部俊樹

    ○海部委員 世界の飛行機の販路拡張競争というものは非常に激しくなってきておりますし、非常に有利な条件を次から次から、アメリカやイギリスも出してきておる。こういうところで勝ち抜いていかなければならぬというのでありますから、ますますひとつがんばっていただきますように、同時に、よく名前が出てまいりますフレンドシップにしましても、現在フレンドシップのF27は四十四席で運航しておりますが、聞くところによりますと、F28型のフェローシップというものは、フレンドシップでありますが、六十席にして、双発のジェット機にして四十三年ごろから実用に供しようというので、また一つ新しいライバルも出てくるわけでありますので、そういう意味でますます御研さんくださることをお願いいたしまして、私の参考人の皆さんに対する質問はこの程度にしたいと思います。どうもありがとうございました。
  32. 内田常雄

    内田委員長 板川正吾君。
  33. 板川正吾

    ○板川委員 参考人に二、三伺いますが、まず森さんにお伺いします。  この百五十機の販売の目算についてですが、森さんはいままでも技術関係より、丸紅に籍を置かれて、今度責任者になられたことについては、販売関係に重点を置くということでその重責をになったことになるわけですが、どうでしょう、いままで検討した結果、この百五十機を売れる目算については、どういう心境と申しますか、どういう自信を持っておりますか、この点についてまず伺いたいと思います。
  34. 森長英

    森参考人 きわめてごく最近にこの役に就任いたしたようなわけでございまして、まだ不行き届きの点があるのではないかと思いますが、しかし決意といたしましては、幸いにYS11が比較的いい飛行機であるということが認識されておりますし、私もさように信じております。ただ日進月歩の航空機工業界の中でございますので、なかなかこの程度でいいんだということでは絶対ないわけで、技術面においてもさらに性能の向上を進めることは絶対の条件でございますが、幸いに比較的いい、さらに今後技術性能も向上するということでありますし、元来日本の工業水準といいますか、また工業の技術的な、電気関係あるいはその他について日本に合った工業だと思いますし、いろいろなそういうベースから考えまして、販売についても自信を持って進めていっていいのじゃないか、私はただいまのところさように考えます。それで何と申しましても、先ほどから皆さんの御了承のとおり、国内就航実績相当にあげるということが絶対の要件でございます。おそらくことしの春からあるいは秋へかけては就航の実績も逐次積み直なっていくと思いますので、これが海外に反映いたしまして、われわれもそれを活用いたしまして、世界の各地、と申しましても東南アジアから中近東あるいはアメリカにも、かなり代替しなければならぬというようなDC3、DC4というような、逐次懸命がくるというような飛行機がだいぶ多いわけでございますので、そういうものに代替をさせるように努力をしていきたいと思います。したがって、ただいま計画としまして、国内で四十六年までに民間で九十機、官庁関係で約三十機、こうなっておりますが、何ぶんにも六年の時間がございますので、一度就航実績をあげて、そして海外でも、幸いにとっつきが一つできますと、そのあとは各地と申しますか、ある程度の地域でまたそれに魅力を感じてくるということがございますので、輸出に関しては三十機、これはもう当然やらなければならぬと思いますし、あるいはそれ以上の数を進めていきたい、かように考えております。ただ、先ほど来いろいろ御質問やら御意見がありましたように、いろいろな販売条件、これはやはり競争国と同じような条件のところまでとりあえずは進めていかなければならない。それで性能がよければ、逐次価格の引き上げということも可能になってくると思いますが、何ぶんにも新しいものを売り込むということは非常にむずかしい。それでとにかく、ごちそうができても、それを何とかして食べられるようにこっちへ向けさせるということがまず第一、そして食べてもらうということが絶対の条件だと思いますので、努力はいたしますが、どうぞまた官民の皆さんの、特に先生方のいろいろな御支援をいただきたいと思います。
  35. 板川正吾

    ○板川委員 そうしますと、四十六年までに百五十機、国内ローカル線九十機、輸出三十機、官庁関係三十機を生産し、売り渡しをするこの計画というものは、多少の困難があるが、大体目的は果たせるという自信を持っておる、こういうふうに理解してよろしいですか。
  36. 森長英

    森参考人 さようでございます。
  37. 板川正吾

    ○板川委員 じゃその前提を了承して、その次に伺いますが、今度の法律の改正で、社債発行限度を従来の資産の二倍というのを十倍にする、こういうことになっております。政府が保証する限度が十倍になるのですが、その予定どおりいくと、四十三年に約九倍の社債発行という予定になります。予定どおりいけば、十倍の法律改正でいいわけですが、しかし予定が狂った場合には、十倍と九悟ですからわずかしかありませんが、そういうことは大して心配はない、大体予定どおりいくものと思う、こういうことでよろしいですか。
  38. 森長英

    森参考人 大体その予定でいくと思いますし、またその予定の数字に合うようにできるだけ努力いたしたい、かように考えております。
  39. 板川正吾

    ○板川委員 それから福本さんなり伊藤さんなり、あるいは山下さんに伺いますが、YS11の性能ですね、どなたも一応優秀という折り紙をつけております。まあ日本航空機産業が戦後初めて、多少借りものはあろうとも、こういう量産体制をとった、ですからしばらくぶりでできた赤ん坊みたいなもので、だれでもできたときは、どんな顔していても、ずいぶんかわいらしい赤ちゃんだと言うのはあたりまえなんで、初めてできたのだから、その努力に敬意を表して、性能優秀なりと言うのは人情的にいってあり得ると思うのですが、ほんとうのところどうなんですか。その性能というものはどう評価しておりますか。ほんとうのところかわいい、きれいな子だと思っているのですか、中くらいだと思っているのですか、悪くてもかわいいと言っているのでしょうか、どうでしょう。その評価をひとつ率直に聞かしてもらいたい。
  40. 福本柳一

    福本参考人 お答えいたします。私は率直にいいと思っております。ただ先ほど来申しましたように、なぜそれではいろいろなことを申すかという点なんでございますが、これは実績というものがありませんから、それで伊藤参考人からも申されましたように、幾多の国産機をつくった優秀なる世界的会社でありましても、相当の期間の間にはいわゆるモディフィケーションという修正、場合によればメージャー・モディフィケーションとかいう非常に大きな修正がありまして、そうして稼働時間を非常に減殺したり不安を増したり、いろいろなことがたくさん起こっております。現にわが社で使っておりますバイカウント並びにフレンドシップでも、いまだに微々たる点ではありますけれども、毎月毎月何件かのモディフィケーションはしょっちゅう伝わっている。なぜ安心をしてやるかと申しますれば、三百機に近い飛行機がもう出て、世界のすみずみで運航しておりますと、その実績なりちょっとの不安なり、いろいろなものをすぐ集績いたしまして、それぞれの会社に通達してあやまちなきを期する。それからメンテナンスにつきましても、こうやったら安くいく、ああやったら高くつくというようなことをみんな教えてくれます。そういうふうないろいろな便宜がありますが、私がさきに純然たる民間航空会社である全日空が率先をしてその実績をつくるということは、任あまりに重きにおののいておるというようなことを申し上げましたのは、この点なのでございます。だからこの大きなリスクと申しますか、これはいかに優秀だと称せられる飛行機も従来みんなついておる。これは当然つくものと言って避雷ではないほどのものを持っているわけでありますので、販売政策上も、これはちょっと余分にわたりますが、先ほど太田さんがおっしゃったように、安くてもまず顧客を方々に植えつけておけば、一機二機使った人は機種をそうたびたび変えるわけにまいりませんから、だんだん買ってくる。現にフレンドシップにおきましても、初めは二億九千万くらいなところから始まって、そうして優秀性がわかり、だんだん使った効果があらわれるに反比例――というとおかしいのですが、安くなりそうなものが、労賃が高くなったとかいうようなことで、次々次々上げてくる。私はなかなかいい販売政策じゃなかろうかと思いますので、重ねて申しますが、お尋ねの実質については、私は心からそのとおりに信じております。
  41. 伊藤良平

    伊藤参考人 特別な意見はございません。言われるとおりでございます。
  42. 山下政雄

    山下参考人 性能の点は先ほど少々触れましたとおりでございまして、もう少し専門的のことに触れますと、YS11は非常に離着陸の距離が短くて済む。相当重量が大きいのにかかわらず、短い滑走路で使用できるということは、日本の現状のローカル空港の設備に非常にマッチしているという点が一番大きい。あとは上昇とかあるいは巡航速力とか燃料消費量というようなもの、いろいろなこまかい専門的ファクターが入ってまいりますけれども、いずれをとりましても、同程度飛行機に比較した場合に、性能的にはすぐれておる、実験の結果はそういうぐあいに出ております。  以上でございます。
  43. 板川正吾

    ○板川委員 山下さんに伺いますが、私はしろうとで全然わかりませんけれども、滑走距離が短くて非常に優秀だという点、実はそういう特徴がどこかに無理があって、そうしてその無理が長い間航続しておる間に問題になるというようなおそれはないでしょうか。そのいいというところが、実はどこかに無理があって、その無理が実はあとになって大きな事故のもとになるような――事故になるかならないか知らないけれども、一面においていい点であり、一面においてそれが欠陥となるような、そういう心配はないですかね。
  44. 山下政雄

    山下参考人 私、自己紹介させていただきますが、若いときから飛行機の操縦をやっており、飛行機歴約十八年くらいでございますが、設計の任に携わったことはございませんけれども、いま御質問になりましたことは常識的にはございます。たとえば、スピードを速くするためには、翼面積を小さくしまして、抵抗を少なくして出す、そうしますと、離発着距離が延びていく。逆に翼を大きくしまして、下げ翼といいますフラップを大きくしますと、速力が小さくなりまして、離発着距離が短くなる。性能的にはやはり相反したものでございます。だけれども、近代的な航空機工業において設計並びに実験されたいろんな段階から申しまして、いまの御質問はYS11に関してはないものと信じております。  以上でございます。
  45. 板川正吾

    ○板川委員 多印の実践の経験者が折り紙をつけるのだから、いいのだろうと思うのですが、これは海部委員もさっきちょっと触れましたが、販売条件が、頭金二〇%残額については五年間で均等十回払い、こういうようなことですが、しかし外国のを見ると、金利は七・五%に対して五・五%、年数を五年間に対して七年程度、頭金は大体同じ、こういうように外国機の販売条件が非常に有利になっておる。皆さんがお買いになるYS11は、ある意味では外国機に比べると非常に条件が悪いのです。その上に新作機というリスクをしょっているわけですが、先ほど要望があった、開発費を差し引いてくれれば一機で三千三百万ほど安くなるのじゃないかというふうな要望もございました。しかし、これは最初からそういう約束じゃございませんから、それをやれというわけにはまいりませんが、しかしユーザー側に低利な金融をしてほしいということは、私は当然、これはしてやらなくてはならぬ問題だと思うのです。現在、制度としてはそういう制度があると思うのですが、これに対する要望といいましょうか、もっと具体的に何かございましたら、どなたかユーザー側として注文してもらいたい。
  46. 伊藤良平

    伊藤参考人 私からお答え申し上げます。参考になるかどうかは存じませんが、飛行機販売のやり方について、最近のここ一、二年間の外国の有力航空会社の態度が変わってきているように私は思います。これは商売の秘密ということでございますから、はっきりしたことはわかりませんが、いままでは、大体飛行機はリースするということはやらない。それで、どこか一社にリースすると、他社がみんな買わないでリースだリースだといってリースの結果、不満が全部メーカーに戻ってくるということになるから、これは政策としてやるべきじゃないというのが従来、欧米の航空機製造会社がとってきたところでございますが、実例でごらんのとおり、お隣の全日空さんにボーイング727を最初にまず使ってもらおうというので貸して、次に新しいものを製造された機会に――まずとっつかせるという意味においてそういうことをやったので、また、私のほうに対しても、これは詳しくは申せませんが、現在そういうような外国からのアプローチと申しますか、そういう申し入れはございました。どうも、ただ全部売るんだ、安い条件、いい条件をつけるというだけではいかないというような問題が、ごく最近の航空機のメーカーの間に出ているようであります。で、まず外国の人にもとっつくためにリースをしてもらう。リースで使ってもらうという一つの考え方が最近の傾向としてあるように存じます。
  47. 福本柳一

    福本参考人 私からも意見を申し述べろというお話で、ちょっと言わしていただきますと、私は、リースでありましょうとも何でありましょうとも、便宜でやれる、使いいいようにやっていただくということは全部賛成でございます。ちょっと出過ぎたことを申し上げるようでありますけれども、これからたくさんの国産機ができて、ユーザー方々にできますと、どうしても補修とか部品補給とか、大体YS11は五〇%くらいが国産のようでございますが、しかし、これが非常な便宜を与えることは間違いありません。そこで、私は基本的に、どうしてももう少し価格が下がるということが希望されてならないのでございます。どうしたら価格が下がるかということは、いま御意見もありましたが、あの焦土の中から民間国産機開発するのに五十億や百億の金を開発費として国家がしょって、そうしてあとをやりいい、量産に入るような会社の性格に改めてやられるということは、ユーザーにとっても、生産者にとっても非常に楽じゃなかろうか。通産省が今日までこの優秀なのを開発され、残っておるあらゆる知能と設備とをフルに活用されてここまで持ってこられたのを、これをでき上がった飛行機に全部割り掛けていくということは、戦後の国家の政策として、全部行政がそうなっておるだろうかということに多大の疑問を持つわけであります。私はむしろ伊藤さんの意見よりも率直に申さしていただくならば、こういう開発費はすっぱり政府において背負われて、これだけの成果を責任ある製造者にまかしてやられるならば、非常な将来の優秀性とコストダウンに貢献するんじゃなかろうか、かように思いますので、これはひとつ御英断でそういうふうにやっていただきたい。国鉄の幹線を見ましても、われわれは重大な影響を受けておるのでありますが、当初は二千億と聞いておりましたのが三千八百億円とかになったそうでありますが、それの何%かを航空のほうへ注いでいただくならば、私は、YS11は将来非常に明るみに出るんじゃなかろうか、かように考えまして、ちょっと僭越でありますが所見を申し述べさしていただきました。
  48. 板川正吾

    ○板川委員 ユーザー側として、買う資金の低利資金を供給してくれという注文があったわけであります。それに対する具体的な注文は、現在制度的にはあるようですが、それをどの程度利用されようとするのか、あるいはもっとそれを強化してほしいという意見があるだろうと思うので、そういう意見を開陳してもらいたいと思います。
  49. 伊藤良平

    伊藤参考人 外国からいままで買いました例を見ましても、YSのほうでもそういうふうに行なわれておると思いますが、まず頭金につきましては開発銀行から融資をいただく、できれば全紙が一番望ましいのでありますが、それでなければ開発銀行の資金を誘いの水として、市中銀行から協調融資としてまず頭金について考えていただく。それから外国の場合には、七割五分なり八割というものを支払うについては、日本航空の場合には開発銀行の保証でもってやっていく。あるいは他の全日空さんの場合もそうだろうと思いますが、開発銀行、または市中銀行の保証ということになりまして、どっちにしましてもそういうことでありますので、銀行筋の、特に開発銀行からの強力な御支援が望ましいと存じます。特にそうしていただきたいというふうに思っております。
  50. 板川正吾

    ○板川委員 これは別に参考人にあえて言う必要もないんだけれども、開発費がコストの中に入るというのは当初からの約束であって、そういう約束で出発してきて、ここで開発費をよこせというわけには、これはなかなかいかぬ。それから国家の信義上、ペテンにかけるようなかっこうになりますからそれはできないが、しかしこの国産機を大いに使おう。しかも国産機を買う条件は、外国機を買うよりも、非常に金利の点においても、支払い年限にしましても、条件が悪い。国産機だから、部品を取りかえたりなんかすることについては非常に便利があるが、まあそういう点で不利な条件がある。だから、その不利な条件を、せめて低利な開銀融資を今後も拡大することによって、できるだけユーザー側の犠牲にこたえるべきだということは言えると思う。しかし五十億の開発資金をゼロにしてくれという議論は、実は初めからの議論じゃないので、わかっておることなんだから、この場へ来てそれを議論するというわけにはいかぬと思います。これは別に皆さんにあえて言う必要はないと思うのですが、われわれのほうはそういう考えであります。
  51. 山下政雄

    山下参考人 これは参考になるかどうかわかりませんが、てまえどもがかってに解釈をいたしまして、一つの案を持っております。それはどういうことかと申しますと、船舶とかいろいろな業界には、相当の利子補給とか、いろいろなものがあるように承っておりますが、どうも航空界は狭い関係か、貢献度が少ないか、ほとんどそういう制度はない。したがいまして、このYS11の販売につきまして、もしかりに利子のたな上げをしていただくとなれば、三億四千万くらいの原価で約五年間の利子を計算しますというと、約四億五、六千万になりますので、ちょうどフレンドシップと同じような値段で買うことになるのじゃないか。これはたいへんかってなわれわれの希望でありますけれども、もし利子の補給とかたな上げとか、こういうものが御配慮いただけるのであれば、これは、軒国内に関してはフレンドシップ、あるいはそれ以下の価格で買うのと全く同じであるという一案もわれわれは考えております。
  52. 板川正吾

    ○板川委員 いろいろ船舶の問題は問題があったけれども、舶船が日本産業の中における割合ということもあるのでしょう。まだ実績がないから、結局そういう問題にはならない。しかも船舶の場合には大部分が国内の生産、この飛行機の場合には三分の一が外国部品ということもありますから、同等の扱いをするということは、いまのところ無理な注文じゃないかと思います。これはけっこうです。  それから三社に伺いますが、三社の中で国内幹線をやっているのは、全部おやりになっておりますか。全日空国内航空――もう一つの東亜航空はやっていないな。それじゃ二社に、全日空さんと国内航空さんに伺いますが、国内幹線経営されておって、日空さんと日航さんとこの国内幹線を競合しておりますが、運賃はどう違うのですか。同じ区間で全日空さんや国内航空さんのほうが安いのですか、商いのですか。
  53. 福本柳一

    福本参考人 お答えいたします。同じでございます。
  54. 板川正吾

    ○板川委員 この間議論をしたが、日航さんは資本の六割が国の出資になっているのですね。ところが、民間事業である全日空さんと国内航空さんが、同じ幹線を、同じ運賃で、同じ条件で運んでおるというと、その点では、競争条件としてはずいぶん割りの悪い形になっているのじゃないかと思っているのですが、そういうふうに理解していいでしょうか。
  55. 福本柳一

    福本参考人 私は、不利益になっておる点は、価格が同じであるから不利益とばかしは考えておりません。競争力の点において非常な相違がありますから、その点においてきわめて不利益である、できることなら、同じコマーシャルベースで、実力で競争をいたしたい、かように私は考えております。
  56. 板川正吾

    ○板川委員 日航さんのほうは国の資金が入っておる。あるいは先発会社として有利な条件があるかもしれません。それは、後発会社が不利な条件があるというのは、そこまではやむを得ないと思います。しかし、同じ区間を、片や半間半民で同じ料金でやっておる。片や、税金も普通に払い、民間で株主配当もしてやるということになると、ずいぶん不利な条件下にあるのだろうと思います。こういう体制について、全日空さんと国内航空さんとしての意見といいましょうか、この不合理をこうしてもらいたいというような意見はございませんか。
  57. 福本柳一

    福本参考人 ちょっと余分に政策的なことになるかもしれませんが、意見は、熱烈な希望を持っている。(板川委員「言ってください」と呼ぶ)それは、国内が、結果を見なければ十分わかりませんが、幹線は、先ほど申しました新幹線の影響によりまして、利益率といいますか、非常に低下をいたしておりまして、全日空のごときはさらに大きな影響を受けつつあります。しかしながら、国内の三社の競争力ということになりますと、日航さんは、競争に勝つという意味ならば断じて御心配はない。というのは、われわれは経営のワクがあります。だから、一定のワクを割ったら会社の存立は許されません。ところが、いわゆる日の丸経営と称せられる日本航空さんにおきましては、赤字を二年や三年続けましても競争に勝てばいいという政策をかりにおとりになるならば、ダンピングをやろうと、優秀なる機材を次々と注ぎ込もうと、これは会社の生命に関係のないものは必ず勝つにきまっております。だから、そういう政策をとられることはよもやあるまいとは考えられますが、人情といたしましては、ややもすればそういうところへ走りやすいので、われわれは絶えず恐怖の念にかられつつ努力をいたしておる。かようなわけでありますので、これは同じコマーシャルベースに立つ状態に置かれなければだめだ。それにはどうしたらいいかということになりますれば、先日の新聞によると、日本航空さんは国内において二十億、国際線において二十六億足らずの黒字が出るということが新聞に出ておる。したがって、国内でもうけたのを国際線につぎ込むという時代は過ぎ去った。しかも、国内はまさに幹線とともに、航空会社相互間に過激競争、過当競争の様相を呈しておるわけでございます。だから安全性もきわめて憂慮されるような状態でありますので、私は、第二段の航空新秩序の問題は、国内航空と国際航空とを日航さんはお分けになって、もっぱら国際線に専念されて、そうして国内は、従来日航さんと全日空とあるような二社くらいがともにサービスをみがき合い、運航をみがき合って、調整をしながらやるのがいいのじゃなかろうか、それが望ましいような強い希望を私は持っております。ことに日航法が、これも終戦後全部終戦処理によって壊滅に帰しておる上から、国際線も国内線もやるためにできた、あの当時の措置としてはきわめてけっこうで、今日の復興が早くできたと思いますが、もう十二年たっておる着物は、ここにおいて改めるべきじゃないかという希望を強く持っておるような次第でございます。
  58. 伊藤良平

    伊藤参考人 特に後発会社国内航空といたしましては、全日空さん以上の輪をかけた同じ気持ちを申したいのでございますが、この会社の設立の経過につきましては、すでに御承知かと思いますが、ローカル三社の、小さい航空会社がたくさんあっては安全な運航ができない、また、技術あるいは施設に金をつぎ込むということもできないだろうというので、合併を強く政府から慫慂されましてできました。しかし、ローカル線だけやっておったのでは赤字になるだけで、むしろ赤字は大きくなっていく。しかも、北海道その他北陸、離島においては、次から次へ飛行場ができて、あの線もやれ、この線もやれという強い要望が、地方の県知事さんあるいは市長さんから出ております。そうすると、ローカル線だけまっているということでは立っていかないということでございますので、かつて全日空さんが、ローカル線だけやっておったのでは立っていけないというので幹線をやるようになった。同様の理由で、ローカル線をやるものは幹線の利益のある線もやらしていただきたいということで、今回幹線をやらしていただくようになりましたのですが、先ほど来申されたとおり、昨年度の実績を見ても、日本航空幹線で二十億の利益をあげております。これはやはり国際線に使うべきでなくて、国内のローカル線及び離島航路の発展に使うのが筋ではなかろうか。ここら辺はもはや政策の転換があってもいいのじゃないかということにつきましては、全く同一の意見でございます。
  59. 板川正吾

    ○板川委員 まあ日航さんが国内線でもうけて、国際線につぎ込むという時代は過ぎ去っていますね。そういう意味では、私は、ひとつ日航さんは国際線をやるということのほうがいいんじゃないかと思っておるのですが、それは本日の議題じゃないようですから……。  そこで森さんに伺いますが、この三十機を輸出しようという計算ですね、この輸出の見通しはどうですか。大体において百五十機は売れるということは最初聞いたわけですが、そのうちで輸出の三十機というのはどうでしょう、もっと具体的に詰めた話はありませんか。
  60. 森長英

    森参考人 何ぶんにも先ほど来申し上げますように、まだほんとうにこれからというところでございまして、それも国内就航実績を見てもらうという、ある何カ月かの時期が必要かと思いますが、しかしそれにもかかわらず、われわれといたしましては、中南米、北米、東南アジアあるいは中近東方面の航空会社に働きかけまして、あるいは先方から来てもらって、実際に乗ってもらうとか、あるいはこちらから出かけていって、いろいろ説明をし、やがて本年の私には必ずデモンストレーションのフライト、要するに、実物を持っていって乗ってもらう、宣伝するということが必要になってくると思いますので、その面でどこか一つ光り込みが実現しますと、最初は二機ぐらいの注文であっても、先ほど来お話がありましたように、二機を一ぺん入れますと、やはり同じ機種をそろえるということになって、四機ないし六機というようなことになってまいりますから、それはいろいろな部品の関係もございますが、同じ機種をそろえるということになりますから、一ところへいきますと、あるいは四機か六機かということになります。それが三カ所あれば、六機が十八機売れるということにもなりましょうし、六年ございますので、ただいまとしては、まだほんとうにこれからでございますが、見通しとしては三十機ぐらいは必ずやっていける、いかなければならぬという覚悟を持っております。
  61. 板川正吾

    ○板川委員 輸出するとしても、まず国産機だから国内実績をあげて、それの評判をとってから輸出ということに実際なるのじゃないか。まあアメリカやイギリスみたいに、航空機工業というものが定評があれば、その会社の名前で売れることもあるが、日本としては戦後初めてだから、したがって、国内線、官需関係で一応満たして、実績をあげた上で輸出という順序だと思うのです。しかしいままでの見込みを、資料によると、大体五十機近く契約をするか、契約をしてもいいというものがあるが、大半がローカル線、官需で、輸出としては、固まりかけたのがそのうちでわずか一機だ。三分の一程度まではほぼ注文がとれたり、とれつつあるが、その中でいまのところ輸出が一機という状態だということでは、事情としてはわかります、まず国内で使ってみて様子を見た上ということになるのはわかるのですが、この輸出販売政策についてもうちょっと重点を入れないと、三十機はなかなか売れぬじゃないかと思うものだから、具体的な動きがあるなら、そういった事情をこの際説明してもらいたい、こう思うわけです。
  62. 太田稔

    太田参考人 需要の状況について申し上げたいと思います。  国内関係と輸出関係は少し状況が違うのでありますが、国内はこれから需要の増高の傾向がある。それからそれに付随しました、福本さんからお話がございましたローカル空港の整備ということで、必ずこれは達成できるかと思います。  輸出の面でございますが、これは需要はどうかと言いますと、需要はございます。世界各国にDC3、4はじめ、コンベア240、340、440、総数でまいりますと、二千機以上ございます。アメリカの例だけで見ましても、最近コンベアの240、340というのがタービン化しようという傾向にございますけれども、ある米国の友人からの情報ですと、少なくともYSクラスの需要は、二百ないし二百四十あるということを言われております。これは一米国内だけの事情でございますが、先ほど申し上げましたように、世界各国ともに古いピストン機からタービン機に移り変わろうという勢いが、ちょうど昨年あたりから非常に高まってきております。それで私先ほど申し上げましたように、需要はございますので、まずこれを使わせるきっかけをつくり、そのきっかけのもとに販路を拡張していくということが必要だと思います。そのためには、価格政策を含めまして、向こうの買い手にとりましてある魅力のある提案等と関連いたしまして、まず使わせるきっかけをつくり、海外での実績を蓄積していくということから必ず販路が開ける。むしろ、そういう面から見ますと、三十機というのは過小評価でございまして、福本さんがおっしゃいましたように、フレンドシップの例でいいますと、国内は十数機で、ほとんど百何十機というのが海外に売れておるわけでございます。私は夢といいますか、というよりは、むしろそういうきっかけがつかめられれば、必ず遠くない将来にそういうことが実を結んでいくのだというふうに確信いたしておる次第であります。
  63. 板川正吾

    ○板川委員 輸出の面も非常に需要があって、きっかけさえつかめれば、三十機どころか、百機も二百機もあるだろう、大いに明るい希望、明るい見通しを言われております。結論としては、福本さんも言われましたように、機種の選定がその会社の浮沈にかかわる問題だ。それから伊藤さんが言われたように、新作機の場合には三千時間飛んだ中で大きな改良、あるいはことによると不幸なできごともあり得るのだ、それはアメリカのような、航空機が非常に発達したところでもそういう現実の中にあるのだ、こう言われておりますから、この上はひとつ関係者が、使う側も製造側も協力して、そういう事故のないように使いながら、そういう事故を防止するような形をとりながら、ひとつYS11が大いに伸びることを期待いたしまして、質問を終わります。
  64. 内田常雄

    内田委員長 参考人の各位におかれましては、長時間にわたり出席をいただきまして、まことにありがとうございました。  参考人の皆さんには御退席をいただきまして、けっこうでございます。  速記を中止してください。   〔速記中止〕
  65. 内田常雄

    内田委員長 速記を始めて。  午後一時三十分より再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時四十五分休憩      ――――◇―――――    午後二時九分開議
  66. 内田常雄

    内田委員長 休憩前に引き続いて会議を開きます。  航空機工業振興法の一部を改正する法律案について審査を進めます。  おはかりいたします。  本案についての質疑は、これを終局するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  67. 内田常雄

    内田委員長 御異議なしと認めます。よって、本案質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  68. 内田常雄

    内田委員長 次に、討論に入るのでありますが、討論の通告がございませんので、直ちに採決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  69. 内田常雄

    内田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  採決いたします。  本案賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  70. 内田常雄

    内田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。     ―――――――――――――
  71. 内田常雄

    内田委員長 次に、自由民主党、日本社会党及び民主社会党を代表して、海部俊樹君外二名より、本案に対して附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提案者より趣旨の説明を聴取いたします。海部俊樹君。
  72. 海部俊樹

    ○海部委員 私は、自由民主党、日本社会党及び民主社会党を代表して、航空機工業振興法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案の趣旨説明を行なわんとするものであります。  まず、案文を朗読いたします。   航空機工業振興法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)    政府は、本法施行にあたり、左の点につき十分配慮すべきである。   一、国内航空路線にはYS-11を優先的に採用させるとともに、航空機の国際的売込み競争の実情を勘案して、YS-11を購入する国内航空会社に対する前払金の低利融資その他販売条件に関して格段の指導を行なうこと。   二、YS-11の輸出を促進するため、輸出販売条件その他について積極的な施策を講ずること。  趣旨の要点は、すでに政府は、新機種競争が非常に目まぐるしくなってきておりますので、旅客機の安全性を高めるための一つとして機種統一の問題を取り上げ、国内航空会社と相談をした結果、国内幹線路線にはボーイング727、国内ローカル路線にはYS11でという方針も定められておるのであります。この国の方針を実効あらしめ、かつ輸出促進のためにも、国内での実績をあげる必要があるので、国内ローカル路線にはYS11を使用させようという趣旨であります。  以上が附帯決議案の趣旨であります。何とぞ各位の御賛同をお願いいたします。
  73. 内田常雄

    内田委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  次に、本動議に関し発言を求められておりますので、これを許可いたします。板川正吾君。
  74. 板川正吾

    ○板川委員 ただいまの動議に賛成をいたします。  ただこの際、一言だけ大臣に付言して要望しておきたいのですが、このYS11の量産化が成功をして、問題はこれを予定どおり、あるいは予定以上に売るかどうかということに問題がある。国内需要もさることながら、輸出も、三十機の予想というのもなかなか容易じゃないと思うのです。そういう意味で、輸出をするためには、また国内でまず十分試験的な利用が重なって、この安全性というのが確保されないと、輸出ということも伸びないと思うのです。そういう意味で、国内YS11を使う業者に対して使うように指導をすると同時に、問題となっておる低利な金融措置を講じてやるということは当然だと思うのであります。それから輸出の面におきましても、販売条件外国販売条件と競合しますから、なかなかむずかしいものもありますが、ぜひ考慮に入れて、百五十機以上の目的を達成するように力を入れてもらいたいと思うのです。  そこで、ただ一つだけ私申し上げたいのは、こういう日本航空機製造業ですか、各会社で部分的につくり上げて、それを組み立てて販売する、こういう方式でありますが、これはある意味では責任の所在というのが明確じゃないのですね。万が一ある種の事故でも起こった場合には、一体どこが責任を負うのかということになると、これはおのおの責任を分担しておりますから、そういう意味じゃ責任の所在というのは明確じゃないと思うのです。こういうところに問題もあろうと思うのです。いずれこれが成功すれば、次の機種開発するということになると思うのです。そういう場合には、そういう製造の主体というものも十分考慮に入れてもらいたいということをこの際付言をいたしまして、海部委員の附帯決議動議に賛成をいたます。
  75. 内田常雄

    内田委員長 海部俊樹君外二名よりの本案に関する附帯決議を付すべしとの動議を採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  76. 内田常雄

    内田委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、通商産業大臣より発言を求められております。これを許可いたします。櫻内通商産業大臣
  77. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 ただいま本委員会で行なわれました決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして、政府として善処をすることを申し上げておきます。
  78. 内田常雄

    内田委員長 おはかりいたします。本案に関する委員会報告書の作成に関しましては、委員長に御一任願うことに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  79. 内田常雄

    内田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。   〔報告書は附録に掲載〕
  80. 内田常雄

    内田委員長 次会は、明三日水曜日午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時十五分散会