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沢田委員 私は大げさな表現をするようでありますけれども、やはりすべての中心は国民全体の利益、特に人間が中心でなければならぬと思うわけであります。佐藤さんも内閣を担当してから、人間尊重とか、あるいはまた社会
開発を盛んに言っておるわけでありますけれども、その表現そのものにはだれも反対しないと思うわけであります。けさの
新聞にも見られるように、北海道で大きな炭鉱災害があった、このことも、やはりほんとうに生産よりも人を尊重するという配慮があったならば、これは防げたことではないか、こういうふうにすら考えられるわけであります。そういうことで、どうしたならば
利潤があがるか、どうしたならばもうかるかということも反面にはあるでしょう。どうしたならば経済的かどうかということがあると同時に、どうしたならば
地域の人々に、また総合的に考えて国民全体の利益になるか、こういう点もやはりものの考え方、政策を実施する場合の
一つの考慮にならなければならぬ、というよりも、むしろ私は前提にならなければならぬというように考えるわけであります。
そこで、私はそういう
立場に立って
大臣にお聞きするわけでありますけれども、たとえばいま
北鹿地帯に
日本の産銅量の半分が発見された。ところが、
地域住民は
一つも喜んでおらぬというのは、先ほど申し上げたとおりであります。特に
秋田県は農業県であります。十二万戸の農家があるうちで、職安を通して六カ月ないし八カ月出かせぎをしておる農民の数は四万人であります。職安を通しておるものだけで四万人であって、親戚知人をたよって
自分で出かせぎに出ておるのが推定二万人であります。約六万人であります。十二万戸の農家のうち六万人が、人間の最低条件である、家族が同じ屋根の下に暮らすことができない
状況にあるわけであります。世界に百以上の国家があるわけでありますけれども、一体どこに人間の最低条件である、家族が同じ屋根の下に暮らすことを拒否されておる国があるでしょうか。貧富の差はもちろんその国々によって違います。これはまさに人間不在の
政治であると言わざるを得ないと思うわけであります。嘆かわしいかな、そう言わざるを得ないわけであります。生きた現実がそこにあるから、われわれは
指摘せざるを得ないわけであります。しかも農家の六万人のうち五百人が行くえ不明だということであります。どこへ行ったかわからないということであります。これは重大な問題であります。私はこのことを何もきょうの議題にしておるのではありません。そういう県が県費を若干出して
開発をした、しかも産銅量の半分が当たった、ところが発見されたはいいけれども、それが
地域には利益として何ら還元されない、こういうことになったならば、これは地元としてはゆゆしい問題であります。私は決していまの地方
行政単位で県のエゴとか、そういう利害を争っておるものではありません。少なくとも人並みの生活をさせるという政策が、通帳
行政であろうがその他の
行政であろうが、配慮の中にあってしかるべきものであるというふうに考えるわけであります。ところが、現実にはそれが行なわれておらないわけであります。時間が間に合わないとか、検討の時間を要するというように
局長さんが言っておりますけれども、このまま、もう少し検討しなければならぬ、検討しなければならぬと言っておるうちに、各社はすでにどんどん自社の製錬所にそれを送り込んでおるわけであります。
三菱が発見したならば小名浜に持っていく、日鉱はすでに釈迦内の鉱石を佐賀関に持っていく、大分県に持っていく、こういう計画をしておるわけであります。それからどんな計画を立てても、既成事実として各
企業はかってにばらばらにやっておるので、どういうふうな御託賞を賜わったところでどうにもならぬわけであります。したがって、いまの
開発途上のうちに、
通産当局が、国内鉱を
原鉱石とする内陸製錬、国外鉱を主体とする臨海製錬というものを計画的に指導すべきではないか。私はこの問題には鉱害の問題も含んでくると思うわけであります。各社がかってに製錬所をどんどんつくっていく、これはまさに経費のロスであります。大げさな表現で言うならば、
資本主義的な
矛盾であります。わずか五、六百メートルしか離れておらぬところに
鉱区があり、しかもこっちにも当たった、あっちにも当たった
——本来ならば一カ所で掘ったならば、一カ所で選鉱をやったならば、それで
開発できるわけであります。ところが
鉱区が別々であるために、みずからがみずからの
利潤追求のためにそれを掘り、
開発する、こういうことでは、大きな経済的なロスであります。そういう面もあります。いま問題が起こっておらぬけれども、これまでのほとんどの
鉱山は山であります。ところが今度は山ではありません。ほとんどが水田の下に
鉱量が発見されておるわけであります。したがって、地元の陥没というものが近い将来に起こってくるわけであります。しかも鉱石は全部どこかに、地方のほうへいってしまって、耕作不可能な土地が累々として残っており、が残っておる、こういうことにしかならぬと思うわけであります。したがって、そういう鉱害等をも含めて、いまのうちに総合的な計画が必要ではないかと考えておるけれども、これはむずかしいことだから将来考えると言っておりますけれども、そういうことでは私はいかぬと思うわけであります。したがって、前向きの
姿勢になって、まだ
開発は終わっておりません、
開発の途上でありますいまのうちから、それを計画的に指導していく、こういうような気がまえがあるのかどうか、その点をお聞きしたいと思うわけです。