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1965-02-23 第48回国会 衆議院 商工委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年二月二十三日(火曜日)    午前十時四十分開議  出席委員    委員長 内田 常雄君    理事 小川 平二君 理事 小平 久雄君    理事 田中 龍夫君 理事 中川 俊思君  理事 早稻田柳右エ門君 理事 板川 正吾君    理事 加賀田 進君 理事 中村 重光君       浦野 幸男君    海部 俊樹君       黒金 泰美君   小宮山重四郎君       田中 榮一君    田中 正巳君       田中 六助君    中村 幸八君       古川 丈吉君    三原 朝雄君       大村 邦夫君    沢田 政治君       島口重次郎君    田中 武夫君       山崎 始男君    麻生 良方君  出席国務大臣         通商産業大臣  櫻内 義雄君  出席政府委員         通商産業事務官         (大臣官房長) 熊谷 典文君         通商産業事務官         (鉱山局長)  大慈彌嘉久君         中小企業庁長官 中野 正一君  委員外出席者         専  門  員 渡邊 一俊君     ————————————— 二月二十二日  委員桜井茂尚君辞任につき、その補欠として永  井勝次郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員永井勝次郎辞任につき、その補欠として  桜井茂尚君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 二月二十二日  中小企業信用保険法の一部を改正する法律案(  内閣提出第九〇号)  中小企業投資育成株式会社法の一部を改正する  法律案内閣提出第九一号)  特許法等の一部を改正する法律案内閣提出第  九三号)(予)  石油資源開発株式会社法の一部を改正する法律  案(内閣提出第九四号)(予) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  中小企業信用保険法の一部を改正する法律案(  内閣提出第九〇号)  中小企業投資育成株式会社法の一部を改正する  法律案内閣提出第九一号)  通商産業基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 内田常雄

    内田委員長 これより会議を開きます。  参考人出頭要求の件についておはかりいたします。  理事会において御協議を願いましたとおり、通商に関する件について、日中貿易に関する問題の調査のため、参考人から意見を聴取することとし、人選、日時、手続等に関しましては、委員長に御一任願うことに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 内田常雄

    内田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  4. 内田常雄

    内田委員長 昨二十二日当委員会に付託になりました内閣提出中小企業信用保険法の一部を改正する法律案及び同じく中小企業投資育成株式会社法の一部を改正する法律案を議題とし、通商産業大臣より趣旨説明を聴取することといたします。櫻内通商産業大臣。     —————————————
  5. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ただいま提案になりました中小企業信用保険法の一部を改正する法律案提案理由及びその概要を御説明申し上げます。  中小企業者に対する金融円滑化をはかるため、政府といたしましては、政府関係金融機関等を通じて中小企業者向け資金量の確保につとめる一方、中小企業信用保険公庫が行なう保険業務及び全国各地信用保証協会が行なう保証業務を通じて中小企業者信用補完を促進してきている次第であります。  しかしながら、中小企業者の中でもとりわけ小企業者につきましては、物的担保も乏しく、保証人を得ることも容易でないため、信用保証協会保証を受けることが困難な状況にあることにかんがみまして、これらの小企業者について担保の提供及び保証人保証を要しない保証を推進することによって、小企業者信用補完に遺憾なきを期するため、中小企業信用保険制度所要改正を加える必要があるものと考えられるのであります。このような趣旨に基づきまして、今回、中小企業信用保険法の一部を改正しようとするものでありますが、その概要は次のとおりであります。  第一は、小企業者対象とする特別小口保険制度を創設するとともに、従来の小口保険を第一種保険に統合することであります。特別小口保険制度は、信用保証協会が行なう小企業者であつて一定の要件を備えているものについての無担保、無保証人による保証についての保険であり、小企業者一人についての保険限度は三十万円、事故発生の場合のてん補率は百分の八十であります。  第二は、小企業者の定義を改正して小規模の企業組合を追加することであります。  以上がこの法律案提案理由及びその概要であります。  何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。  次に、中小企業投資育成株式会社法の一部を改正する法律案提案理由及びその概要を御説明申し上げます。  わが国の産業構造を高度化し、産業国際競争力を強化して国民経済の均衡ある成長発展を達成する上において、中小企業経営の安定と近代化をはかることがきわめて重要であることは申すまでもないところでありますが、このためには中小企業自己資本充実して適正な資本構成の維持につとめることが何よりも要請されるところであります。しかし現状では、中小企業自己資本充実に必要な増資を行なうことはかなり困難な状況にあることにかんがみまして、政府といたしましては、昭和三十八年十一月、東京、名古屋、大阪に中小企業投資育成株式会社設立して中小企業に対する投資等事業を行なわせている次第であります。しかしながら、中小企業投資育成株式会社発足後一年余の活動状況を見まするに、本会社設立目的を充分達成するところまで至っていないと思われます。これにつきましては、最近の経済情勢中小企業増資を抑制する方向に働いた影響も大きかったと思われますが、さらに木会社制度上の制約が原因しているものと見られますので、これに所要の改善を加えてその機能を強化する必要があると考えるのであります。このような趣旨に基づきまして、今回、中小企業投資育成株式会社法の一部を改正しようとするものでありますが、その概要は次のとおりであります。  第一は、中小企業投資育成株式会社の営む事業に、転換社債引き受け及び保有を追加することであります。木会社投資実行補助手段として転換社債を導入することによりまして、中小企業のうち、その経営状態または将来性の判断から株式投資対象となり得る一歩手前にあるもの、特に資本金規模の比較的小さい企業に対する投資を活発化しようとするものであります。  第二は、投資先企業自己資本充実を促進するため特に必要がある場合には、必要な限度におきまして、その企業増資後の資本の額が一億円をこえるときも、本会社増資新株の再引き受けができるようにすることであります。これによりまして、投資先企業株式の公開を円滑化し、その自己資本充実を促進しようとするものであります。  以上が、この法律案提案理由及びその概要であります。  何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  6. 内田常雄

    内田委員長 以上で両案に対する趣旨説明は終わりました。  両案に対する質疑は後日に譲ることといたします。      ————◇—————
  7. 内田常雄

    内田委員長 通商帝業基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許可いたします。沢田政治君。
  8. 沢田政治

    沢田委員 金属鉱山製錬のことについてお伺いしたいわけでありますが、その前に同じ地下資源産業、こういう立場から、石油ガスに対する質問をしたいと思います。といいますのは、きょうは石油ガスの問題を聞くのが趣旨でありませんけれども、同じ地下産業という立場に立って政府当局通産当局行政姿勢、こういうものを明確にする意味において、私はあえて若干お聞きしたいと思うのであります。  御承知のように、昭和三十年に成立いたしました石油資源開発株式会社法、この第一条の目的において、その第一条は、「石油資源開発株式会社は、石油資源開発を急速かつ計画的に行うことを目的とする株式会社とする。」こうなっておるわけであります。この目的から最近の実績、最近の状況というものがやや逸脱しておるのではないか、こういう批判が多く出ているわけであります。当初、発足当時は、石油資源株式会社石油資源開発する、帝石との関係もありましたけれども、帝石がおもにガスをやる、こういうことで、販売業とかそういうことではなく開発をする、こういうのが主たる任務であったように私は理解しておるわけであります。ところが最近においては開発本業なのか、販売本業なのかわからない状態になっておるわけであります。したがって、帝石とそれから石油資源株式会社の両方が競合しておる、このままの状態で推移するならば、両者が共倒れになるのではないか、また石油資源株式会社そのものもこのまま推移するならば、これは第二の帝石になるのではないか、こういうようにいわれておるわけであります。こういう行政姿勢に対して、地域においては相当批判非難があることは事実であります。したがって、この第一条に照らしまして、立法の精神どおりSKの運営なりあるいは企業というものがその方向に向いておるのかどうか、こういう点をまず第一に大臣にお伺いしたいと思うわけであります。
  9. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 私から申し上げるまでもないと思うのでありますが、石油資源開発は、その設立趣旨から見て石油探鉱開発事業を重点的に行なっておる、他方帝国石油のほうは天燃ガス探鉱開発を重点的に行なうということで、一応事業範囲は明確になっておると思うのであります。ところが、いまこの石油資源帝国石油の間の事業が何か紛淆しておるような感じが出てまいりましたのは、新潟県下の天然ガス採掘が、水溶性ガスの採取について規制措置が行なわれましたので、そのために相当深部構造性ガス採鉱開発に移行しましたために、その結果が石油を含有する地層とほとんど同じになってきた、こういうようなことで、ここに両社の性格が少しぼやけてきた感じがあるわけでございます。しかし天然ガス採掘実情からいたしまして、やむないことではないか、できるだけ両会社事業範囲というものは明確化していきたいと思いますが、実情そういうようなことに相なったと思うのであります。
  10. 沢田政治

    沢田委員 SK発足してから十年を経て今日になっておるわけでありますが、この間において重役が一名しかかわっておらない、こういう状態になっておるようであります。普通の民間会社であれば、十年のうち重役が全然動かないというのは動脈硬化であるわけであります。そういう意味で、非常にSKそのもの企業に対する創造性、こういうものを欠いて、動脈硬化になっておるのではないか、こういうようにいわれておるわけであります。しかも、極論する方の中には、SKそのもの通産当局代理会社じゃないか、こういう非難批判が出ておることは事実であります。  それはさておきまして、たとえばSK石油資源開発株式会社重役は、第四条によってその定員が明確になっておるわけでございます。近いうちに通産当局のほうから石油資源開発株式会社法の一部改正によって、重役二名の増員、こういう提案があるやに承っております。ところが、ちょうど今月の十六日だと思いますけれども、日刊工業新聞に、もうすでに二人の重役人事を内定して新聞辞令が出ておる、こういうような話を私は聞いておるわけであります。一体、まだ国会において重役増員が決定する前に、しかもその人事が内定しておる、しかも新聞に発表されておる、こういうことは私は、悪く言うならば、議会軽視である、こういうように受け取らざるを得ないわけであります。したがって、たとえば十六日の日刊工業新聞かに出ましたあの新聞辞令というものが、根拠があるのかどうか、しかも閣議でそれを決定したものであるかどうか、それ以前であったのか、事後であるのか、こういう点を明確にしていただきたいと思うわけであります。ただ単なる新聞推測記事であるのか、憶測記事であるのか、この点は非常に重要だと思いますので、その点をお聞きしたいと思うわけであります。
  11. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 私、まことに不勉強でございまして、この十六日に私の所管する石油資源開発株式会社重役の顔ぶれが出ておったということは存じません。これは法律に基づきまして、通産大臣の認可の必要のある人事でございますが、現在までそういう人選もしたこともなければ、うわさも聞いておらない次第でございまして、何かの誤報ではないか、かように思います。
  12. 沢田政治

    沢田委員 この点については、あとSKの一部改正法案が出るようでございますから、明確にどういう新聞にそれが記載されておったかという点を添えてあと質問に譲りたい、こういうように考えておりますけれども、ともかくSK自体が十年に一名の重役の異動しかない、しかも企業としての創意性が非常にない、しかも最初の目的石油資源開発するということよりも、むしろガス販売開発のほうにその重点を置きつつある、こういうことからいって、いろいろな批判が出ておるわけであります。この点については後ほどゆっくり質問をいたしたい、こういうように考えます。  次に、本題に移りまして、金属鉱山製錬のことについて質問をするわけでございますが、政府金属鉱業等安定臨時措置法並びに金属鉱物探鉱促進事業団法、こういう法律に基づいて今日まで相当国家財政を投入してきておることは事実であります。したがって、その成果が特に秋田県の北鹿地帯、ここにおきまして、最近数年のうちに——日本の銅の埋蔵量が約一億トンと推定されておりますけれども、約四千万トンの新しい胚胎層つまり鉱層が発見された、こういうような大きな成果をあげておるわけでございます。そういう意味で、私も非常に同慶にたえないわけでありますけれども、政府臨時措置法あるいは探鉱促進事業団法に基づいて国家資金を投入するという意味目的は、単に一私企業あるいは一特定産業利潤拡大させる、追求させる、こういうところにのみあるのではない、こういうように考えるわけでございます。たとえば昭和三十七年の五月七日に、金属鉱山危機打開に関する決議が行なわれたわけでありますけれども、その決議内容も、金属鉱山が、特に国際商品である関係上、国際競争力は非常に弱い。したがって、国際競争に対応するためには体質強化をしなければならぬ。これが第一の趣旨になっておるわけであります。この体質強化の問題も、決して体質強化のための体質強化ではなく、雇用の機会を確保する、雇用の安定をはかるという点もその趣旨に盛られておるわけであります。あわせて、地域経済振興を期する、こういう点も決議の中に明確にされておるわけでございます。そう考えるならば、私がいま言いましたように、政府金属鉱山という産業に新鉱床探査補助金という形で四億円も出しておるし、また事業団融資も二十二億円にも四十年度は上ろうとしておるわけであります。こういう資金を投入するということは、ただ単に一私企業利潤拡大する、擁護する、あるいはまたそれを追求させるということに目的がないことは明白であると思うわけであります。ところが、その結果が、逆な現象が今日起きておる、こういうようにいわざるを得ないわけであります。といいますのは、せっかく政府財政を支出して融資しておるけれども、産業全体としての合理化がなされておるかどうかということに私は多大な疑問を持っております。むしろ産業全体としての合理化よりも、企業それぞれがみずからの会社利潤追求のためにばらばらな計画のもとに熾烈な競争が演ぜられておる、こういう結果から、大きな矛盾が今日露呈されておるわけであります。非常に抽象的な聞き方でありますけれども、私の言わんとするところ、聞きたい点は、国が金属鉱山産業に対して大きな融資をしておる、また補助金を出しておるという理由は、一私企業や一産業利潤追求あるいは拡大、それを維持させるためにのみ行なわれておるのかどうか。私の考えでは、やはり雇用を確保するということ、さらに、おくれておる地域産業振興させるという大きな目的が、その目的の中に大きなウェートを占めておるのではないか、こういうように考えますので、その点に関する基本的な大臣姿勢をお聞きしたいと思うわけです。
  13. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 沢田委員から、金属鉱業危機打開に関する決議に基づいての御所見がございました。私も当時の決議内容について、ある程度承知をしておるわけでございますが、御指摘のように、確かに金属鉱業の当時の実情からいたしまして、体質強化ということが非常に問題であったろうと思います。また、当時の決議内容にございました地域開発の点、あるいは雇用の安定ということも、これもきわめて大事なことだと思いますが、要は金属鉱業国際競争にさらされても十分たえ得る、こういうところに大きなねらいがあったのではないかと思います。さような見地で、今後における金属鉱業のあり方といたしましては、現在国際市況がきわめて堅調なために、どちらかというと安易に流れる向きもあろうかと思いますが、この際にさらに当時の決議趣旨を生かしまして金属鉱業の基礎を確立せしめる、また、お話しのように地域開発の上にも、雇用の安定の上にも効果をあらしめることが必要かと存じます。
  14. 沢田政治

    沢田委員 国際競争にたえ得る、こういう目的には私もいささかの矛盾感じておりません。しかしながら国際競争にたえ得るためには国内の鉱山、特に弱小鉱山犠牲になってもいい、ある地域においては膨大な失業者が出てもかまわない、こういうような観点に立ったのではないと思うわけであります。少なくとも鉱山が存在する地域は、大臣も御承知のことと思いますけれども、後進地域——開発地域といいますと大げさでありますけれども、比較的産業がおくれておる地域鉱山が存在するわけであります。したがって、そういうものをつぶしても外国との競争にたえ得る、またそれを強化する、こういうことではなかったのではないか、こういうように考えるわけであります。ただいまの大臣答弁では、一にも二にも外国との競争にたえ得ればそれでいいんだ、こういう御答弁のようでありますけれども、そうなると、雇用の問題や地域経済振興という問題が度外視されてもいいのかどうかというような矛盾を私自身は感ずるわけであります。大臣はそうじゃないと思いますけれども、いまの答弁では、もうともかく外国との経済競争に勝てばいいんだ、それがすべてであって、あとはどうでもいいというふうにとれる表現の答弁でありますので、重ねてお伺いしたいと思います。
  15. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 大きな目的のために、その半面に非常に犠牲を出す、いまお話しのように、弱小鉱山犠牲になるとか、あるいは失業者がたくさん出る、こういうような実情であってはならないことは当然だと思います。かりに、仮定の上においてそういうことが起こり得るといたしましても、それはスムーズに転換せしめていくというような方策が一方において必要かと思いますが、いま沢田委員の御指摘の、どの程度弱小鉱山があって、またどの程度失業者が出ておるのか、ちょっと私その実態をつかみかねておりますので、局長のほうから補足してお答えをさせます。
  16. 大慈彌嘉久

    大慈政府委員 弱小鉱山整理の問題でありますけれども、中小鉱山に対しましては新鉱床探査費の増額とか、中小鉱山合理化指導の積極的な実施とか、種々施策を講じております。先ほど先生のおっしゃいました危機打開のための決議、それからそれに引き続きまして鉱業審議会における中間答申——そのころは失業者の増大ということが非常に懸念をされまして、八千人の失業者が出るのではないかということで、特別の失業対策措置も講じたわけでありますが、一応そういう整理の峠は過ぎまして、最近は金属の好況に恵まれ、失業問題というのはあまり問題になっていなかったわけであります。ただし、ごく最近、一部の山につきましてまた失業の問題、人員整理の問題が出ております。
  17. 沢田政治

    沢田委員 私は先ほど、逆な現象が起きておる、政府政府資金をもって特定産業を援助する、投融資をする、そのことはただ単に一産業や一企業会社利潤拡大、維持させる、こういうことにのみ目的があるのではなくて、地域経済振興並びに雇用の安定というような大きな高い次元に立った国民的な利益に合致する、こういう前提に立って政府資金が出されておると思うと言ったわけであります。このことは私は正しいと思うわけであります。ところが逆な現象が起こっておるということは、政府は昨年から金属鉱物探鉱融資事業団法によって自主探鉱をいたしておるわけであります。去年は四十八本、ことしは試錐五十本、これがなされておるわけであります。そのためとは直接に言いませんけれども、ここ数年来日本の銅の埋蔵鉱量の半分が、秋田県の事業団が作業しておる北鹿地帯において発見された。こういう成果——直接の原因であったかないかは別としても、そういう成果が出されておるわけであります。これは最近のこの種の事業団成果としては特筆大書するような大きな成功であるといっても、私は決して過言ではないと思うわけであります。ところが、日本の銅の埋蔵鉱量の半分——おそらく地質学者に言わせますと、日本推定鉱量、つまり日本の国土にある銅の鉱量を一億トンと推定するならば、もう一、二年のうちにほぼ同じ量が発見されるのではないか、こういう観測をいたしておるわけであります。ところが地域住民はこれに対して決して喜んでおらないわけであります。でおらないというのは、恵んでおれないような事態が次々に起こっておるわけであります。たとえば金属鉱物探鉱融資事業団は、これは全部政府の出資ではない。政府の豊川ではないわけです。政府が六〇とするならば、あとの残ったものを地方自治体と、そして鉱業権者がこれを負損しておるわけであります。貧乏な県がそれを負担しておるわけであります。といいますのは、地方自治体がこれを負担しておるということは、その鉱量の発見によって、また鉱山開発によって、ある程度地域産業振興をはかりたい、雇用をふやしたい、こういうような念願があるからにほかならないわけであります。ところが、ここ数年来秋田県の北鹿地帯において日本の銅の推定鉱量の半分に当たるといわれる四千万トンの鉱量が発見されたにかかわらず、逆に秋田県内における零細な製錬所が縮小、閉鎖のやむなき状態に今日立ち至っておるわけであります。つまり、これがどういうことに起因しておるかといいますと、最近の市況が非常に強くなってきておる。こういう関係から、簡単に外国から輸入精鉱が入らなくなっておる、原鉱石が入らなくなっておる、こういうような外的な要因も一つにはあるわけであります。もう一つは、私が先ほど言いましたように、産業全体が国際的な競争力に対してどう立ち向かおうか、産業全体が体質強化をしようか、こういうことよりも、むしろそれとは逆に、わが企業がいかにして生き延びて利潤を追求しようか、こういう経営者自体企業自体自己企業のみを守るというような、こういうエゴイズムな経営方針というものが大きく影響しておると思うわけであります。といいますのは、秋田県における鉱区を持っておる産銅大手会社、古河を除いては三井、三菱、住友、口鉱同和日鉄を含めて、ほとんどの産銅大手会社鉱区を持っておるわけであります。いま発見されておるのは同和口鉱三菱も一部当たっておるようでありますが、大体この三社であります。この三社が秋田県の北鹿地帯で鉱石を発見した。それをどうしておるかということであります。秋田県内の製錬所でこれを処理するということよりも、むしろ自分系列会社自分の直系の会社の製錬所にそれを運び去っておるわけであります。秋田県が幾ら——これは財政をどんどん貧乏な県が出しても、地域住民のためには何にもならぬわけであります。つまり今日においては、国際的には植民地主義というものは非常に排撃をされておるわけであります。一つの国が経済的に政治的に他国を支配、介入するということ、これは非常に排撃されておるわけであります。それと同じようなことがいま日本の国内において、私は国内において植民地主義というのは言い過ぎだと思いますが、とにかく原料のみを持っていく、あとは鉱害が残る、こういうことしか何にもならぬわけであります。これは明らかに計画性がない、その場当たりの行政ではないか。こういう行政指導というものは行政の名に値しないと言ったら、これは語弊がありますけれども、そういうような感を抱かざるを得ないわけであります。たとえばこのことを純経済的に考えてみた場合でも、秋田県の鉱石を汽車で、今度は海で九州の大分県の佐賀関まで持っていかなくちゃならぬ、こういう事例もあるわけであります。また九州でとれた、たとえば宮崎県の槇峰の鉱石を今度は四国の香川県の直島まで持ってこなくちゃならぬという事態、また秋田県の鉱石を栃木県の足尾製錬所まで持ってくる。北海道か円九州というように交錯輸送が今日行なわれておるわけであります。したがって、このことを考えるならば、政府融資をすることもけっこう、出資をすることもけっこう、これは私どもも反対をしませんでした。必要を認めて、これをわれわれも賛成をしておるわけでありますけれども、しかしその中には、その根本になるものは、計画的に製錬所の適正配置ということを私は考えなければならぬと思うわけであります。ただ困るだろうから体質強化せよ、お金を出してやる、こういうことであっては、私は、特定産業じゃない、特定企業利潤追求なり利潤確保なり拡大のためにのみその資金というものは運用されておるというような矛盾を感ぜずにはおられないわけであります、こういうような指導なり、こういうような通産当局の計画というものは、はたしてこれは時宜に適しておるものかどうか、私は非常に不満と同時に矛盾を感ずるものでございますので、その点に対する大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  18. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 北鹿地区の金属鉱業開発実情というものをいま承ったわけでございます。またそれに伴う製錬の場所というものが、地元でなく他の地域に持っていかれておる。お示しになった例によると、はるばる九州のほうまで行くとか、あるいはまたさらに他の例で九州のものが四国に来るとか、いろいろと御指摘をいただきました。承っておりますと、確かに問題があろうかと思うのであります。しかし、詳しくは局長のほうからお答えさせますが、私の承知しておる範囲では、北鹿地区の開発が進みまして、そしてこれが製錬をするという場合に、現在鉱業審議会などで合理的な計画を立てておるように承っておったのでありますが、しかし、もしそれが実情に即しておらないということでありますれば、私としてはでき得る限り実情に即するように指導してまいりたい、かように思うのであります。詳しいことを私十分承知しませんので、鉱山局長からお答えさせます。
  19. 大慈彌嘉久

    大慈政府委員 先生に御指摘いただきました交錯輸送の非経済性といいますか、でございますが、確かに御指摘になりました秋田県から佐賀関まで鉱石を運んでいく、こういうことがございます。協調体制と申しますか、企業の間で協調して、そういう交錯輸送をなくそうということになっておりますが、探鉱の段階あるいは廃油の処理、鉱害の防止、そういう点では企業閥の協同体制というのがだいぶ進んでまいっておりますが、製錬所の段階については必ずしも十分ではない、したがって交錯輸送もまだ行なわれている点がございます。しかし、これは企業間の問題でもございまして、実行する場合に、完全になくすということは相当困難ではあるまいかというふうに思いますが、大臣から申し上げましたように、鉱業審議会等で今後とも検討させていただきたいと考えます。
  20. 沢田政治

    沢田委員 金属鉱業等安定臨時措置法の第三条、四条、五条によりますと、なかんずく第四条によりますと、「通商産業大臣は、毎年、鉱業審議会の意見をきいて、基本計画の実施を図るため必要な実施計画を定めなければならない。」こういうように定められておると思いますけれども、この条章に基づいて、たとえば日本の銅の需要量あるいは外国から入ってくる輸入量あるいは国内産の銅の供給量、こういうものを総合的に考えてみて、計画的に製錬所の配置はどこどこどこでどれだけの規模でいい、こういうような計画を今日まで鉱業審議会から毎年聞いて、それを実施計画にしておるかどうか、あったとするならばどういう計画を立てておったのか、こういう点をお聞かせ願いたいと思うのです。
  21. 大慈彌嘉久

    大慈政府委員 製錬所につきましては、臨海の大規模な製錬所をつくって合理化、体質改善をやろうということになりまして、小名浜製錬所につきましては、すでに近く発足できる段階に来ております。その他の製錬所につきましては、できるだけ国際競争力から見まして対抗できるような規模にまでしたいということで、五千トン以上のものにしたいということがきまっております。
  22. 沢田政治

    沢田委員 産業全体として国際競争力に対応するためには、やはり交通の利便な、しかも海外鉱石を扱うに利便な臨海製錬ということ、これは私も反対しません。しかしながら、臨海製錬の一つの使命また一つの利点というものは、あくまでも海外鉱石を輸入してそれを処理する、こういうところに私は大きな目的と利点があるのではないか、こういうように考えるわけであります。と申しますのは、遠い海外から船で日本に鉱石を運ぶ、さらに港に入って、港から今度は貨車積みにする、こういうことになりますと、人件費も輸送費も、輸送量の負担にもなるし、経費のロスにもなるし、これは臨海のほうがいいにきまっておるわけであります。私はその点では何も強い反対などはいたしません。矛盾感じておりません。そういうことも必要な一つの事柄であるし、なさなければならないことであろう、こういう理解はできるわけであります。ところが、内陸に絶対的な鉱量があった場合、それを臨海に持っていった場合には必ずしも臨海製錬所が経済的に有利だということは言えないのではないか、こういうように考えるわけであります。たとえば秋田県の北鹿地帯日本海と太平洋のちょうどまん中ごろにあるわけであります。正確な距離は私は言えませんけれども、大体考えてみて太平洋と日本海のまん中の内陸地帯にある。これを陸送して港まで持っていって、そうして製錬所に持っていくということになると、だれが考えても、これは輸送費が現地で処理したものよりも高くつくわけであります。ところが考え方によっては、運賃なんて大したことはない、こういうことになると思いますけれども、そうではないと思うわけであります。たとえば鉱石そのものは膨大な目方、量になるわけでありますけれども、銅は一トン当たり一・六%ぐらいの品位になるわけであります。したがって、製錬したならば目方の上ではがたっと減ってくるわけであります。したがって、内陸に圧倒的な鉱量があった場合は現地でこれを処理して、そして製品、半製品にして他の加工部門に回したとしても、これは輸送費の問題は全然問題にならぬわけであります。たとえば今日、秋田県の北鹿地帯で発見されておるあの膨大な鉱量日本の半分といわれる鉱量を陸送して、海を渡って持っていって加工をしたほうが有利なのか、現地でこれを処理、加工したほうが有利なのか、こういう点を経済的な観点から考えてどう考えるか、こういう点を質問いたしたいと思います。
  23. 大慈彌嘉久

    大慈政府委員 秋田北鹿地帯の鉱石の処理でございますが、一定の量の鉱石が相当まとまって加工されるということになりますと、内陸において製錬所をつくって、そこで一括処理するということは十分検討に値するのではあるまいかと考えます。しかし御承知のように、秋田県の北鹿地帯で出ておりますものは黒鉱でございまして、技術的に処理が非常にむずかしいという点もございまして、各社間にまだ統一した技術的な解明も必ずしも終わっていないということで、その辺の検討には時間がかかるのではあるまいかというふうに考えます。  それからなお、現在、同地区にございます小規模の老朽化した施設との関連もどうするかというふうな問題もあると思いますので、内陸に大規模のものをつくったほうが経済的に有利かどうかということは慎重に検討を要するのではあるまいかというふうに考えます。
  24. 沢田政治

    沢田委員 私は大げさな表現をするようでありますけれども、やはりすべての中心は国民全体の利益、特に人間が中心でなければならぬと思うわけであります。佐藤さんも内閣を担当してから、人間尊重とか、あるいはまた社会開発を盛んに言っておるわけでありますけれども、その表現そのものにはだれも反対しないと思うわけであります。けさの新聞にも見られるように、北海道で大きな炭鉱災害があった、このことも、やはりほんとうに生産よりも人を尊重するという配慮があったならば、これは防げたことではないか、こういうふうにすら考えられるわけであります。そういうことで、どうしたならば利潤があがるか、どうしたならばもうかるかということも反面にはあるでしょう。どうしたならば経済的かどうかということがあると同時に、どうしたならば地域の人々に、また総合的に考えて国民全体の利益になるか、こういう点もやはりものの考え方、政策を実施する場合の一つの考慮にならなければならぬ、というよりも、むしろ私は前提にならなければならぬというように考えるわけであります。  そこで、私はそういう立場に立って大臣にお聞きするわけでありますけれども、たとえばいま北鹿地帯日本の産銅量の半分が発見された。ところが、地域住民一つも喜んでおらぬというのは、先ほど申し上げたとおりであります。特に秋田県は農業県であります。十二万戸の農家があるうちで、職安を通して六カ月ないし八カ月出かせぎをしておる農民の数は四万人であります。職安を通しておるものだけで四万人であって、親戚知人をたよって自分で出かせぎに出ておるのが推定二万人であります。約六万人であります。十二万戸の農家のうち六万人が、人間の最低条件である、家族が同じ屋根の下に暮らすことができない状況にあるわけであります。世界に百以上の国家があるわけでありますけれども、一体どこに人間の最低条件である、家族が同じ屋根の下に暮らすことを拒否されておる国があるでしょうか。貧富の差はもちろんその国々によって違います。これはまさに人間不在の政治であると言わざるを得ないと思うわけであります。嘆かわしいかな、そう言わざるを得ないわけであります。生きた現実がそこにあるから、われわれは指摘せざるを得ないわけであります。しかも農家の六万人のうち五百人が行くえ不明だということであります。どこへ行ったかわからないということであります。これは重大な問題であります。私はこのことを何もきょうの議題にしておるのではありません。そういう県が県費を若干出して開発をした、しかも産銅量の半分が当たった、ところが発見されたはいいけれども、それが地域には利益として何ら還元されない、こういうことになったならば、これは地元としてはゆゆしい問題であります。私は決していまの地方行政単位で県のエゴとか、そういう利害を争っておるものではありません。少なくとも人並みの生活をさせるという政策が、通帳行政であろうがその他の行政であろうが、配慮の中にあってしかるべきものであるというふうに考えるわけであります。ところが、現実にはそれが行なわれておらないわけであります。時間が間に合わないとか、検討の時間を要するというように局長さんが言っておりますけれども、このまま、もう少し検討しなければならぬ、検討しなければならぬと言っておるうちに、各社はすでにどんどん自社の製錬所にそれを送り込んでおるわけであります。三菱が発見したならば小名浜に持っていく、日鉱はすでに釈迦内の鉱石を佐賀関に持っていく、大分県に持っていく、こういう計画をしておるわけであります。それからどんな計画を立てても、既成事実として各企業はかってにばらばらにやっておるので、どういうふうな御託賞を賜わったところでどうにもならぬわけであります。したがって、いまの開発途上のうちに、通産当局が、国内鉱を原鉱石とする内陸製錬、国外鉱を主体とする臨海製錬というものを計画的に指導すべきではないか。私はこの問題には鉱害の問題も含んでくると思うわけであります。各社がかってに製錬所をどんどんつくっていく、これはまさに経費のロスであります。大げさな表現で言うならば、資本主義的な矛盾であります。わずか五、六百メートルしか離れておらぬところに鉱区があり、しかもこっちにも当たった、あっちにも当たった——本来ならば一カ所で掘ったならば、一カ所で選鉱をやったならば、それで開発できるわけであります。ところが鉱区が別々であるために、みずからがみずからの利潤追求のためにそれを掘り、開発する、こういうことでは、大きな経済的なロスであります。そういう面もあります。いま問題が起こっておらぬけれども、これまでのほとんどの鉱山は山であります。ところが今度は山ではありません。ほとんどが水田の下に鉱量が発見されておるわけであります。したがって、地元の陥没というものが近い将来に起こってくるわけであります。しかも鉱石は全部どこかに、地方のほうへいってしまって、耕作不可能な土地が累々として残っており、が残っておる、こういうことにしかならぬと思うわけであります。したがって、そういう鉱害等をも含めて、いまのうちに総合的な計画が必要ではないかと考えておるけれども、これはむずかしいことだから将来考えると言っておりますけれども、そういうことでは私はいかぬと思うわけであります。したがって、前向きの姿勢になって、まだ開発は終わっておりません、開発の途上でありますいまのうちから、それを計画的に指導していく、こういうような気がまえがあるのかどうか、その点をお聞きしたいと思うわけです。
  25. 大慈彌嘉久

    大慈政府委員 鉱業審議会で検討いたしたいと思います。   〔「そんな答弁があるか」と呼ぶ者あり〕
  26. 大慈彌嘉久

    大慈政府委員 簡単に申し上げ過ぎて恐縮でございましたが、日本鉱業の鉱石につきましては、佐賀関自体が鉱石が非常に足りないということで、現在のところは地元に回すというのは不可能ではないかと思います。将来の問題としましても、佐賀関の臨海の大規模の製錬所にするという予定も聞いておりますが、その場合に秋田の鉱石とどういうふうな関係になるかということはなお検討が必要ではあるまいかと考えます。したがいまして、開発段階の共同化と鉱害の防止、そういうことの共同化というのは、秋田地区開発協力会議というのを関係会社の間で現在つくりまして、いろいろ検討を進めております。それから製錬所の小名浜が三社の共同でできたということも、これは協力体制の一つの例であろうと思います。しかし秋田の鉱石を秋田で処理する、地域経済の観点からいってもはなはだもっともなことであると思いますが、各社に分かれておりますものはどういう形でまとめていくか。共同探鉱から共同開発、さらには共同製錬というところまで即座にいけるかということになりますと、いろいろ企業立場から見ました点もございまして、困難な点もあろうかと思います。したがいまして、先ほど申し上げましたことになりますが、鉱業審議会の席上等を使いまして十分検討させていただきたい、こういうふうに考えております。
  27. 沢田政治

    沢田委員 どうも通産当局がこの点については、鉱業審議会の御意見を聞くのもけっこうでありますけれども、自分の考え方が明確でなくて、よきに相談せい、持ってきてください、それを守りますでは、これは行政指導も何もないと思うわけであります。したがって、私は冒頭にお話ししましたように、国が財政融資をしたり出資したりあるいは補助金を出しておるということは、一つ企業利潤を確保する、それを追求させるということではなく、国民的な利益、地域経済振興あるいは雇用の安定、こういう大きな国家目的があるんだ、こういうことを申し上げたはずであります。これには局長も反対しないと思うわけであります。したがって、ただ金さえ出してやればいいということにはならぬわけであります。したがって、どこかの一社なら一社が協調体制に入らぬ、自分の製錬所にその鉱石を持っていかなくちゃ困る、そういうことで絶対に協調体制に入らなかったならば、こういう自分企業利潤のみを追求しようとすることを目的とする企業に対しては、これは事業団融資でもあるいはまた系列会社に対する探鉱補助金でもチェックする、規制する、こういうような強い姿勢がなければならぬ。企業が反対だからこれはできないということでは、いつまでたってもできないと思うわけであります。そういう強い姿勢をこの際とらなければ、皆さんよきに相談してくれということだけでは、お互いにもうけたい、企業であるのだから、これは百年河清を待つようなものです。これはできないですよ。だからそういう強い姿勢をとる気がまえがあるかどうかということを私は聞きたいと思うのです。
  28. 大慈彌嘉久

    大慈政府委員 協調体制につきましては、先ほども申し上げました小名浜の製錬所は、共同でやるということで政府資金もつけた著しい例であると思います。したがいまして、開発段階からさらに製錬まで、ほんとうの一社のような協調体制までいけるかどうかということは、実際問題として問題があろうかと思いますが、しかし、そういう方向で検討させていただきたいと考えます。
  29. 沢田政治

    沢田委員 小名浜の製錬所が三菱同和、古河等の共同出資によってなされた、そのことがあたかも行政指導による協調体制のかくたる戦果だ、顕著な功績だということを言われておりますけれども、私はその事情を知っております。決して通産当局行政指導をして三社が協調体制をとったのではないのです。それはいろいろな事情を私は知っております。だからそれを何も前面に持ってこなくていい、あれは答弁にならないと思います。特に、最も顕在的に出ておる北鹿地区における協調体制がどうなっておるかということです。なるほど鉱量を発見する段階までは協調体制らしき本のをとっておるようです。これは私の知る限りでは、たとえば鉱区鉱区の境界線を探鉱する場合に経費を折半するとか、あるいは割り勘ということばは悪いわけでありますけれども、負担し合うとか、情報を交換し合うとか、その点まではやや協調体制らしきものをやっておるようでありますけれども、一たん発見し、開発をする、選鉱処理をする、製錬処理をする、この段階になったならば、これはわが社の道を行く、こういうことで何ら協調体制がなっておらぬわけであります。したがって、このままでいくならば、もうすでに既定の事実として、幾ら通産当局が協調体制をとらせようとしても不可能になるわけであります。したがって、いまのうちに強い行政指導によってこれが協調体制に入り得るように向けなくちゃならぬと思うわけであります。そのために、必要悪であるけれども、金属鉱業等安定臨時措置法によって、独禁法の適用除外になっておるわけであります。つまり外国との競争力を強めなければならぬということで、必要悪として許されておるわけであります。そういう必要悪で許されておるならば、そういう体制に基づく、それに即応する行政施策というものをとらなくちゃならぬわけであります。それを、検討しますとか、いまむずかしいとか、あるいはまた将来何とかなるだろうとかいうことでは、これはどうにもならぬと思うわけであります。重ねて強い今後の行政指導の姿勢というのを明確にしてほしいと私は思うわけであります。
  30. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 先ほどから沢田委員がるるおっしゃっておることは、私はそのまますなおに聞いておるわけであります。確かに国が費用を出す、またそれに原も協力させて、そして開発していったところが、何ら県に恩恵もない、また地域住民はどうかといえば、多数の出かせぎ人があって、行くえ不明者がおるということを言われました。東北地方、特に本日御指摘の北鹿地区にそういう事態があるということは、政治の上で考慮しなければならないことだと思います。したがって、私といたしましては、先ほどから局長の言われるように、審議会を通じて検討していくことも一つの方法でございましょうが、また同時に、よく業界との間で話し合いをいたしまして、かような傾向が今後助長されないように、幾らかでも改善されるように、いま沢田委員の言われておることを私は念頭に置いて話し合ってみたいと思います。
  31. 沢田政治

    沢田委員 最後に、質問の最後ではありませんが、最後に大臣に明確にしていただきたいことが一つあるわけです。といいますのは、非常に遠回しなものの言い方をしましたが、たとえば、先ほど申し上げましたように、秋田県に膨大な量が発見されておる、こういうことは事実であります。ところがその陰に、各社がそれぞれ自分会社の製錬所を稼働させる、自分会社の利益を考える、こういう立場からどんどん県外に出して交錯輸送をしておる。そのために、大日本鉱業という会社でありますけれども、ここの製錬所が原鉱石の鉱ぐりがつかないために、かつては銅量にして八百トンを処理しておった製錬所が、原鉱石の不足のために五百トンにしなくてはならぬ、そのために従業員の三分の一を解雇ぜざるを得ない、こういう生きた事実がいま起こっておるわけであります。しかも五千トンとか一万トンプランの製錬であったならば、いまの体制の中では、どこかに鉱石を回せといったってなかなかそういうことは不可能でしょう。しかしながら、北鹿地帯にはすでに発見されておるものだけでも四、五千万トンの埋蔵量が発見されておる。しかも開発途上にあり、一部は今年から操業するという段階に至っておるわけであります。ところが逆な現象として、いま言ったように中小製錬が、銅重にしてわずか三百トンの原鉱石が入らないために縮小せざるを得ない、職を離れざるを得ない、しかも未開発地域である、しかも出かせぎの上にさらに失業者、こういうような社会的な矛盾が起きておるわけであります。秋田県に鉱石がなければ、外国鉱石も入ってこないし、これは人為的じゃない、物理的に不可能だといえるわけでありますけれども、現に目の前にはどんどん鉱石が発見されておる。幾ら今後発見されるかはかり知れないほどの鉱量産出が見込まれる。こういうことを前にして、もうすでに製錬所がつぶれる、こういうことであっては、だれも納得がいかぬと思うわけであります。ところが、現実には、四月から首を切られる、三分の一が職を離れざるを得ない、こういう現実が起こってきておるわけであります。したがって、これは大臣行政指導力によって——銅量にしてわずかに三百トンの鉱石であるわけであります。それを各社から——これは鉱業審議会でも何回も協調体制ということばを使っておるわけであります。そういうように協調体制の一環として、しかも雇用を守り、しかも地域産業を衰退させない、こういう配慮から強力な原鉱石確保のために大臣が努力をすべきではないか、こういうように考えます。この点に対する大臣の御所見のほどを承りたいと思うわけです。
  32. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 いま具体的に事例をあげられました大日本鑛業の実情につきましては、お話しのような事態がございますので、私も詳細報告を受けました。その原因の中の一つには、輸入鉱石の獲得ができない、著しくその面の影響を受けたということも聞いております。また協調すべきところの同和鉱業、古河鑛業自体の鉱石量も不足しておる、こういうようなことを聞いておりますので、私はいま沢田委員が御指摘になったような開発がどんどん進行をいたしまして、そして大日本鑛業で製錬ができるような事態が望ましいのでありますが、実情は端境期と申しましょうか、そういうような傾向を持っておると思います。各社が自己会社の採算の上で鉱石を大日本鑛業に割愛できるのかできないのかというふうな点についてはつまびらかにいたしませんが、実情はそういうふうに聞いておりまして、沢田委員の言われるように、さらに開発が進むならば、この大日本鑛業に優先的に鉱石が提供されて営業が継続されるように持っていきたい、かように考えておるのでありますが、当面のやりくりがなかなかむずかしい問題のように聞いておるような次第でございます。
  33. 沢田政治

    沢田委員 なかなか各社がそれぞれ利害錯綜しておる今日において、簡単とは思いません。思いませんけれども、現に、これは私は確信を持っておるわけじゃございませんけれども、たとえば最近においては可燃性天然ガスの量がどんどん減っておるわけでございます。そういう関係からSK帝石あるいは東北電力の関係においても協調体制といいますか、融通体制といいますか、そういうものがとられつつあるという事実を知っておるわけであります。それはどこでやったかは別にしても、一説によれば東京通産局が間に入ってやっておる、こういうこともあるので、これは事例州ないことじゃないわけであります。したがって、少なくとも国家の投融資を受けておる、あるいは補助を受けておる、こういう産業が、国全体の同じ産業立場に立って、このほうが地域産業雇用の安定のためにとるべき施策だということになったならば、私は勇気を持って通産当局がその点を明確に打ち出したならば、おれはそれは困る、知っちゃいない、こういう態度にはよもや出まい、また出れた義理でもないだろうと思います。したがって、大臣は、現にもう首を切られる、こういう事実が起こっておるんだから、これに対して、その事実を知っておるということだけではなく、そういう事実を解消するために、今後勇敢に、勇気を持って各社に対して強くこれを説得するというような気がまえがあるかどうか、この御決意のほどを、一言でけっこうでありますからお聞かせ願いたいと思うわけです。
  34. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 先ほど天然ガスの事例をあげられました。これは確かにございます。東京通産局が指導いたしまして、新潟においてそういう事例はございます。また、ただいまの大日本鑛業の問題につきましては、先ほども申し上げましたように、一方において鉱業審議会がどういう考えを持つか、他面私としてでき得ることはいたしたいということを申し上げたようなわけであります。
  35. 沢田政治

    沢田委員 局長にお伺いしますが、最近何か鉱業審議会が開店休業のようじゃないか、こういう感を私は持っておるわけであります。金属鉱業等安定臨時措置法の中には、各条章に「鉱業審議会の意見をきいて」ということがたくさんありますね。したがって、この鉱業審議会が非常に活発に運動といいますか、作業を開始しなければ重大な影響があるわけです。したがって、最近鉱業審議会がいつ何をやったか、こういうことをかいつまんで報告願いたいと思うわけです。それで鉱業審議会の活動が非常に緩慢であるならば、この種の問題について、すぐ審議を開始してほしいというような督促を通産当局がすべきではないかと思うわけであります。何となく鉱業審議会が開かれぬということじゃ怠慢のそしりを免れないと思いますので、その点に関する事情を明らかにしていただきたいと思います。
  36. 大慈彌嘉久

    大慈政府委員 鉱業審議会は昨年の十月にこの前は開催をいたしまして、税制の問題、予算の問題、その他の審議をしております。分科会のほうは、一月に探鉱の分科会を開きまして、二月にはまた硫黄の分科会を開催をいたしまして、それぞれ検討を進めております。
  37. 沢田政治

    沢田委員 局長も御承知のことと思いますけれども、単純な黄銅鉱と違って、黒鉱の場合には非常に複雑である。黒鉱の中には金、銀、銅、鉛、亜鉛、硫化鉄鉱等、非常にたくさんの鉱種を含有しておるわけであります。したがって、これを選鉱段階あるいは製錬段階で処理する、分解する、こういうことになっても、なかなか、何かを取れば何かがのがれる、両方取ろうとするならば目的の実収率が悪くなる、こういうことは専門的にはわからなくても、大体そういうむずかしい鉱石であることはおおよそわかると思うわけであります。しかも、黒鉱に対しては、この処理に関しては、大日本はもちろんでありますが、同和、日鉱等はいままでも経験があるわけでありますけれども、この方法でいったならば黒鉱の製錬処理が一番合理的であり、これが一番経済的な方法であるというのがまだ明確でないわけであります。各社が、この方法がいいかあの方法がいいかということで、暗中模索のようなかっこうが今日の状況ではないか、こういうように考えられるわけであります。したがって、各社がばらばらに試験されたり、各社がばらばらにこれを処理をするよりも、これはぼくの見解でありますけれども、むしろあそこに四千万トン近い、将来は一億トンといわれておる鉱量が賦存しておるのだから、胚胎しておるのだから、いっそこの際に秋田県に総合製錬所をつくって、そして研究もするし、臨床的に研究するわけですから、フラスコに入れて何とか研究室で研究するようなものじゃありません。したがって非常に能率的だと思うわけであります。したがって、秋田県に総合製錬所をつくって、そこであらゆる鉱量を回収する、こういう方向地域雇用あるいは地域開発、特に特定地域のみに鉱業が偏在しておるというような、鉱害の問題等からいっても非常に時宜に適した考え方ではないか、こういうように考えますが、そういうような構想なり指導なり計画なりをいま考えておるかどうか、また将来考えられるかどうか、この点を明確にしていただきたいと思います。
  38. 大慈彌嘉久

    大慈政府委員 黒鉱の処理につきましては、御指摘のとおり今後の研究にまつべきものが非常に多うございますので、四十年度には鉱工業技術補助金を三千万円つけまして、共同研究をすることになっております。
  39. 沢田政治

    沢田委員 ちょっと、いま聞き漏らしたので、もう一回……。
  40. 大慈彌嘉久

    大慈政府委員 黒鉱の処理につきましては、共同研究をいたしましてこれの適当な方法を見出そう、こういうことになっておりまして、鉱工業技術補助金というものを四十年度三千万円つけまして共同研究を進める予定にしております。
  41. 沢田政治

    沢田委員 これは、私は決して工業技術院の地質学を軽視したり軽べつしたりする気はありません。しかしながら、地質学についても、私は私の考え方、いままでの実績、こういうものからいって、民間の地質学のほうがはるかに先端を行っておると思うわけですよ。私は去年もこの委員会で言いましたように、決して工業技術院の地質調査所が指導してあの黒鉱地帯を発見したものじゃありません。これは民間のなみなみならぬ努力によってあの黒鉱地帯が発見されたわけです。そういう意味からいっても、私は学問的なことは言いませんけれども、実績的にいっても、たとえば地質学の分野も、民間のほうがはるかに私は先を行っておると思うのですよ。しかもこれから工業技術院かどこかわかりませんけれども、黒鉱の研究をいたしますということじゃ間に合わぬと思うわけです。いますでに開発して操業する段階に来ておるわけであります。しかも各社が四、五年前から着手しておるわけであります。そういう金があるならば——いたずらに一室において実験するというような学問的な、象牙の塔のような研究では今日もはや間に合わぬと思うわけであります。それだけの経費があるならば、民間に委託するかどうかして現地にそういうものをつくって、現地に鉱石を見て、そしてそれを処理させてみて、これを研究させていくというほうが賢明ではないかと思いますけれども、いかがですか。
  42. 大慈彌嘉久

    大慈政府委員 先ほどことばが足りませんで恐縮でありましたが、共同研究は民間の共同研究でありまして、民間の共同研究に対して補助金を三千万円出す、こういうことでございます。
  43. 沢田政治

    沢田委員 これも私の考え方でありますけれども、いま北鹿地帯における大体四千万トン、正確には三千六百万トンという人もありますけれども、これは各社が発見鉱量を正確に発表しないきらいがあるわけであります。いろいろな金融の問題等から、非常に当たった、たいへん当たった、八百万トン、一千万トンというふうに発表したり、その限りにおいては、どれだけ発見されたかということは、これは具体的な、客観的な判定がなかなかむずかしいわけでありますけれども、ともかく常識的に考えて四千万トンの鉱量を把握したのではないか、こういうふうにいわれておるわけであります。したがって、今後どれだけ発見されるか、これはまだまだ未知数であります。したがって、これは私の考え方でありますけれども、何といってもあそこに総合製錬所をつくるほうが、処理する場合でも非常に経済的である。各社が別々に交錯輸送する、各社がばらばらに製錬所をつくるということよりも、総合製錬所をつくった場合には、私は経済的な利点がたくさんあると思うわけであります。それと同時に、たとえば鉱害面の問題が必ず起こるわけであります。洗鉱から出た毒水を——特にあの付近は水田の可耕地なわけであります。水田の可能な耕地がたくさんある。これに対して洗鉱から出てくるところの毒水の問題、河川汚染の問題も出てくると思うわけであります。したがって、さらにそれが堆積したならばダムが決壊するというような、思わぬ悲惨事が起こる九もわかりません。したがって、私は各社にばらばらに設備をつくらせずに、北鹿地帯なら北鹿地帯鉱量は一体一億トンあるのか、一億五千万トンあるのか、完全にそれを把握する。把握したあとにおいて、どういうように製錬所をつくって、どういうように鉱害処理をするか、鉱害防止をすろか。あの付近にダムで洗鉱の汚水を貯水させる、堆積させるという方法もあるだろうし、あるいはまたそういうことをなくするためには流体輸送をして、どっかの海岸までその鉱油、鉱泥、こういうものを持っていくかという方法もあると思うわけなんで、したがって、いまのように各社にばらばらにやらせずに、全部いま事業団がやっているのだから、全部把握するまでそれをストップをかけて、そして全体の鉱量規模というものを把握して、そして鉱害対策をどうすべきか、また国内の需給体制からいって製錬所は規模をどうすべきか、こういう点を計画的に指導する義務が、やはり通産当局行政指導としてあるように私は思うわけでありまして、そういう必要を考えておるかどうか、そういう計画も将来考えられるかどうか、この点をお聞きしたいと思います。
  44. 大慈彌嘉久

    大慈政府委員 ただいまのところは御承知のようにボーリングだけでございまして、あくまでも予想鉱量の範囲を出てないわけであります。全部の把握が終わってしまって総合的に開発するというのでは、当面の供給面でショートする、鉱石が足りないということで困る面もあるかと思います。さらに内陸の総合製錬所を統一してつくるしいうことになりますと、先ほど申し上げましたが、現在稼働しております。北鹿の地帯にございます既存の製錬所をどういうふうに持っていったらいいかという問題とも関連すると思いますし、非常に大きな問題であろうかと思います。  なお、秋田地区の黒鉱開発協力会議というのは現在活発に動いておりまして、探鉱であるとか、あるいは廃滓の問題、これは先ほど先生の御指摘になりましたように、パイプ輸送してむしろ埋めたらどうかというような話が出ているそうでありますが、そういうような廃津の処理であるとか、あるいは地盤の沈下であるとかいうのを現在研究をいたしております。こういうことを開発協力会議とも連携をとりまして、今後どういうふうに具体化していったらいいかというのは相当大きな問題でございますので、ぜひ検討さしていただきたい、こう思います。
  45. 沢田政治

    沢田委員 私は認識を統一する意味で重ねて、局長でもけっこうですから、お伺いするわけでありますけれども、私、冒頭に指摘したように、国際競争力、特に国際間品でありますから、これに対応する体制強化は、これはわれわれも理解できます。よしあしは別としても、これは理解できるわけであります。そのためには、企業個々ばらばらの合理化ではなく、産業全体として合理化といいますか、体制強化といいますか、体質強化といいますか、そういうものは必要だ。この点は、よしあしは別としてもまあ理解できるわけであります。それに対する弊害をどう排除するかということもあるわけでありますけれども、まあそういう観点から見詰めるならば理解できるわけであります。その必要性はわかるわけでありますけれども、それより前に、産業全体が国際競争力に対応するための体質強化よりも前に、無計画にそれぞれの自己企業の防衛が先行しておるということが事実なわけです。私は、そういう事実認識に立っておるわけであります。したがって、これをいまのうちに規制しなければ、せっかく政府当局がねらっておるところの産業全体の体質強化ということとは、逆な方向にいくのではないかと私は考えざるを得ないわけであります。したがって、いまの現実認識の問題として、たとえば産業全体の合理化が前面にあるのか、あるいはまた個々の企業がかってに自己企業の防衛をしておるのか、私は後者をとっておるわけであります。全くばらばらに自分企業を防衛しようとしておる、こういうことであっては、第一条件である国際競争力に打ち勝つという方向が見失われてしまう可能性が非常に強いわけであります。したがって、現状認識においてどっちのほうが前面に出ておるのか、この点やはり将来のために焦点を合わせておかなければいかぬと思いますので、御見解いかがですか。
  46. 大慈彌嘉久

    大慈政府委員 産業全体が合理化をされまして、国際競争力がつくということが一番望ましいと思います。しかし、それを徹底的にやりますと、既存の製錬所は全く廃止したほうがよろしいとか、これもいろいろ御指摘いただきましたような摩擦が出るわけでございまして、問題は、その摩擦がどの程度強いか。現に本日審議されましたように、整理を若干せざるを得まいという製錬所も出ておりますが、これも産業全体の合理化を優先するか、一企業ないし一製錬所の立場を優先するかという問題になろうかと思います。結論としましては、産業全体が力がつくようにということに持っていきたいわけでございますが、現実ではその辺の摩擦を考えながら、全体のワクからはみ出してないといいますか、産業全体の合理化から見てそれてないという範囲で現実の政策をつくるしかないのではないかというふうに考えます。
  47. 沢田政治

    沢田委員 私の先輩、同僚議員がたくさんおるわけでありますけれども、金属鉱山の政策を議論する場合、海外鉱物資源開発株式会社ですか、あれがありましたように私もちょっと記憶しておるけれども、一体何をやっていますか、何かやったという話は全然聞いておりません。何をいままでやってきたのか、この点を明確にしてもらわなくては、どこか宙に浮いたようなかっこうになっておるわけです。何にもやってないと思うのです。
  48. 大慈彌嘉久

    大慈政府委員 海外鉱物資源開発株式会社資本金が十五億円でございまして、海外資源の開発をやっておりますが、現在一番大きな仕事としてやっておりますのは、ボリビアの鉛、亜鉛の鉱山開発でございます。ただし、先方が政変によりまして、ちょっといま順調にいかないということで種々折衝中であります。そのほか、ペルーで銅の探鉱をいたしましたり、アフリカ等でマンガン等も加えまして調査を実施いたしております。
  49. 沢田政治

    沢田委員 私の質問はこれで終わるわけでありますが、先ほど言いましたように、特に秋田県の北鹿地帯においては未曾有の大鉱量が発見された。その陰には製錬所が縮小される、こういうような矛盾が起きておる。しかもこれが非常に貧困な地域であり、出かせぎの多い地域である。こういうことから一つ地域の社会問題になっておる、なる可能性を非常に持っておる。こういうことで、先ほど大臣に努力方をお願いしたわけでありますけれども、そういう点を十二分に勘案の上、決して政府金属鉱山に対する施策というものは一企業利潤拡大ではない、それのみではなく、地域経済振興雇用の安定、こういうものにも大きな政策の目標がある、目的もある、こういう点に沿って、大臣に特にこの原鉱石確保の問題に対する特段の努力を心から要請いたしまして、私の質問を終わります。
  50. 板川正吾

    ○板川委員 この際、私、委員会審議と運営について、大臣委員長に注文をしたいと思うのです。  それは、いま沢田君の質問でいろいろ注文を議員として出しております。私どもは国政調査あるいは社会党の金属鉱業調査団で現地に行ったことがあるのです。確かに北鹿地帯金属鉱物事業団開発によって大きな鉱脈が発見された。ところがそれが、わずかなところへ鉱業権者があっちこっちにいて、一匹の地下のウナギを頭のほうから掘ったりしりのほうから掘ったりして、やがて同じところにいっちゃうんじゃないか、こういうことを考えるのです。そうして大鉱脈の場合には、その掘ったあとの鉱害等を考えると、これはやはり各社が共同して開発したほうがいいんじゃないかというふうな気持ちを持って帰ったのです。いま沢田委員からそういった趣旨をいろいろ現地の事情を含めて質問したところが、鉱山局長答弁は、審議会ヘはかってお答えします、こういう一言です。私が注意したから、あと答弁をしたようですが、私はこれは国会の審議を非常に軽視する態度じゃないかと思うのです。なぜ私がこれを取り上げたかというと、この間、二月十二日に私は、繊維新法をつくるときには第四区分の紡機は一—三の村には入れない、こういうことがはっきりしておったのを、最近通産省はそれを入れるのだといううわさがあったものだから質問した。ところがそれを繊維局長は、あるいはやりかねないような言い方をしておる。それをわれわれが強く言うと、ほんとうに繊維産業をどうするかということは国会議員にはわからぬというような言い方をしておる。これも私は官僚独善の態度じゃないかと思う。少なくともわれわれは国民の代表として、こういう質問の機会に国民なり関係者なりに十分知ってもらいたいという意味質問する。ところが、国会議員に繊維工業の内容がわかるかと言わんばかりの態度、しかもいま沢田君の質問に対しても、審議会にはかって答弁する、こういう審議態度がありますか。そういう態度であるならば、今後の法案なんというものは、われわれが何を審議したって意味はない。一体そういう審議の態度でいいのかどうか、ひとつ大臣委員長の所見を伺いたいと思います。もしそれでいいというなら、われわれも覚悟がある。審議のしかたに覚悟がある。
  51. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 先ほど局長からも、答弁の失礼の点はおわびを申し上げておるわけでございまして、いま御指摘のような、本委員会を軽視するような考えは私には毛頭ないのでありまして、本日も、さようなおそれがあってただいまのお小言であろうかと思うのであります。今後よく注意をいたしまして、さようなことを再び繰り返さないように心がけることを申し上げまして、おわびといたします。
  52. 内田常雄

    内田委員長 ただいま、通産大臣から釈明並びに所信の表明がありましたが、委員長といたしましても、政府においては、板川委員の発言を十分尊重せられんことを希望いたします。
  53. 板川正吾

    ○板川委員 とにかく、われわれは国民の代表として、国民が知りたいところをかわって審議をするわけです。ですから、ぜひ審議については誠実な態度をもって、できるだけまじめな答弁をしてもらいたい、こう要望しておきます。
  54. 田中武夫

    田中(武)委員 関連して。いま、沢田委員質問に対する局長答弁のあり方に対して、板川委員からの指摘があり、大臣から所信が述べられたから、もう、これ以上言う必要はないと思うのですが、私は、方面を変えてといいますか観点を変えて、あなたの答弁について若干伺います。  通産省設置法の第二十五条には付属機関が三十三ばかり書いてありますね。この三十三の中には、たとえば割賦審議会のように他の法律によって定められたものもありますが、鉱業審議会というのはそうではなく、この二十五条によって設置せられ、その二項によって、政令において所管事務、組織、運営がきめられることになっておる。そこで、この鉱業審議会の組織、運営に関する設置政令といいますか、鉱業審議会設置令というか、何かそういう政令があると思いますが、それを要求いたしますとともに、これはあくまでも付庸機関であり、行政組織法でいうところの八条の機関だと思うのです。それに対して委員質問で、それにはかってきめますと、こういうことでいいんですか。この二十五条の付属機関の性格は何なんですか。質問を受けたときに、そういう付属機関にはかってきめますと、これでいいんですか。まず二十五条の審議会の性格をお伺いします。
  55. 大慈彌嘉久

    大慈政府委員 審議会は、御指摘いただきましたように通商産業省設置法にございますが、金属鉱業等安定臨時措置法のほうで、実施計画の策定とか基本的な問題は、鉱業審議会の意見を聞いて定めることになっております。先ほどは舌足らずで非常に恐縮でございましたが、非常に大切な問題でございますので、審議会には専門家を網羅しておりますので、審議会の席上で慎重に検討いたしまして施策をやりたい、こういうつもりであったわけでございますが、説明が不十分でございまして恐縮でございましたので、おわびを申し上げます。
  56. 田中武夫

    田中(武)委員 金属鉱業等安定臨時措置法以前に審議会があったのでしょう。だから、設置は、この二十五条によって設置せられたのと違うのですか、そうでしょう。したがって、審議会というのは行政委員会ではない。独立機関ではない。通産省の付属機関でしょうね。だから諮問をするにしても、通産大臣が一定の事項を示して諮問をするわけでしょう、そうでしょう。それを総括的に、そういう御質問については審議会の意見を聞いてきめますと、これでは、舌足らずでは済まされぬと思うのです。鉱山局と審議会とのあり方はどういうことですか。通産省と審議会のあり方はどうなんですか。——もうけっこうです。われわれは、大臣なり局長答弁を、ただうしろで黙って聞いているのじゃありませんから、あまりばかにしたような答弁をなされたときにはいつでも関連質問をいたしますから、以後十分気をつけていただくことを要望いたします。
  57. 内田常雄

    内田委員長 次会は、明二月二十四日水曜日午後一時三十分から委員会を開会することとして、本日はこれにて散会をいたします。    午後零時十六分散会