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1965-02-12 第48回国会 衆議院 商工委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年二月十二日(金曜日)     午前十一時六分開議  出席委員    委員長代理 理事 小川 平二君    理事 小平 久雄君 理事 田中 龍夫君  理事 中川 俊思君 理事 早稻田柳右エ門君    理事 板川 正吾君 理事 加賀田 進君    理事 中村 重光君      稻村左近四郎君    浦野 幸男君       小笠 公韶君    小沢 辰男君       海部 俊樹君    菅野和太郎君       黒金 泰美君   小宮山重四郎君       田中 榮一君    田中 正巳君       田中 六助君    中村 幸八君       長谷川四郎君    古川 丈吉君       三原 朝雄君    大村 邦夫君       五島 虎雄君    桜井 茂尚君       島口重次郎君    田中 武夫君       楯 兼次郎君    山崎 始男君       麻生 良方君    山下 榮二君  出席国務大臣         通商産業大臣  櫻内 義雄君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     渡邊喜久造君         総理府事務官         (経済企画庁調         整局長)    高島 節男君         外務事務官         (経済局長)  中山 賀博君         通商産業政務次         官       岡崎 英城君         通商産業事務官         (大臣官房長) 熊谷 典文君         通商産業事務官         (通商局長)  山本 重信君         通商産業事務官         (重工業局長) 川出 千速君         通商産業事務官         (繊維局長)  新井 眞一君         通商産業事務官         (鉱山局長)  大慈彌嘉久君         通商産業事務官         (公益事業局         長)      宮本  惇君         中小企業庁長官 中野 正一君  委員外出席者         通商産業事務官         (企業局次長) 乙竹 虔三君         専  門  員 渡邊 一俊君     ————————————— 二月十二日  委員村上勇辞任につき、その補欠として稻村  左近四郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員稻村左四郎辞任につき、その補欠とし  て村上勇君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 二月十日  私的独占禁止及び公正取引の確保に関する法  律の一部を改正する法律案内閣提出第五〇  号) 同月十一日  中小企業近代化資金助成法の一部を改正する法  律案内閣提出第六一号)  は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  通商産業基本施策に関する件  経済総合計画に関する件  私的独占禁止及び公正取引に関する件      ————◇—————
  2. 小川平二

    小川(平)委員長代理 これより会議を開きます。  委員長は所用のため出席いたしかねるとのことでありまするので、委員長指名によりまして、本日は私が委員長の職務を行ないます。何とぞよろしくお願いいたします。  通商産業基本政策に関する件及び経済総合計画に関する件、私的独占禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許可いたします。板川正吾君。
  3. 板川正吾

    板川委員 大臣所信表明に関連しまして、数点にわたって大臣所信を伺いたいと思います。  まず第一に、目下非常な問題になっておりまするニチボービニロンプラント中共向け輸出について、非常な紛議をかもしておるわけであります。これは日本貿易の将来について重大な問題であると思います。まず第一に、大臣からニチボービニロンプラント輸出の問題についての経過を、一応報告してもらいたいと思うわけであります。
  4. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ニチボービニロンプラントにつきましては、本年の四月末までに政府輸出承認書が与えられますと、そこで効力が発生をする、こういうことになっております。そこでだんだん日も迫りましたので、一月になりましてから、これはひとつ承認すべきではないか、こういうふうに私は見解を持ちまして、これに対する承認書を与えることにしたのであります。これを与えるに際しまして、いまお話がありましたように、なかなか政治情勢もからんでおると思いましたので、これは全く事務的に処理をするのが一番適当だ、こういう私自身配慮をいたしまして、これが承認については事務次官のところで承認書を渡すというような、その事務処理でやってもらいたい、こういうことで承認書を渡した、かような次第でございます。
  5. 板川正吾

    板川委員 ニチボービニロンプラント輸出問題は、経過を見ますと、三十八年の五月に中国側ニチボーとの仮契約が成立をいたしました。そして許可をされたのが四十年、まあことし一月二十一日ですか、よろしいというふうに、いま言った事務的に、しかも民間ベースで、よろしいというふうに許可をした。で、一体その民間ベースで、輸銀で扱わない、輸銀取り扱いをさせないということを、先の倉敷レイヨンプラント輸出の場合には輸銀扱いになっておって、ニチボーのビニロンブラントからは輸銀取り扱い融資を認めない、こういう差別がつく理由はどこにあるのですか。
  6. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 いま私が申し上げた、その事務的に処理をしたというところに非常に配慮をしておるつもりでございます。というのは、この申請をする、それから承認をするという、その中には、輸銀を使うとか使わぬとかには触れておらないのであります。したがって、四月もだんだん近づいて、これが無効になってはいけない、この辺で承認をするのがよかろう、こういうことで承認をしたのであります。しこうして、いま民間ベースと、こういうことについて御指摘がございましたが、政府は、政経分離民間ベースということは、これはたてまえとして従来進んでまいっております。その民間ベースということからいたしますと、許可を受けましたニチボー自身企業努力によってこの問題を解決していく。ニチボー経営者が、許可になったが、さてこれはどういうふうにしてやっていくのか、おのずから企業者判断があろうかと思うのです。これ以上はいろいろ申し上げるのはかえっていけないかと思うのでありますが、事のいきさつがわかるように申し上げますと、私は、この承認を受けたニチボーとしては頭金をもらう、そして取りかかる、そうなってきますと、お話し輸銀というような問題については、まず夏ごろまでは、これは問題にならないんじゃないかというふうに観察はしておるようなわけでございます。
  7. 板川正吾

    板川委員 こういうことですか。仮契約をして許可をするまで約二年間近くありますね。足かけ三年、二年近くある。仮契約をしてニチボーからプラント類中国向け輸出申請をされる。延べ払いが六カ月以上にわたる場合には政府許可を得るということになっておりますから、申請をされる。で、このプラント類輸出ということになれば、当然前提として輸銀を使うというのが前提じゃないでしょうか。輸銀を使わないで、民間金融機関で、輸銀より安い金利でその融資を受けるということは不可能でしょう。だから、そのプラント輸出申請するからには、申請書の中に、輸銀でやるか、あるいは自己資金でやるか、民間ベースでやるかということは書いてないというけれども、書いてないということは、私は、当然その輸銀融資を受けるものという前提だろうと思うのですね。それが自己資金、あるいは民間金融機関でやるというならば、その申請書の中に、ちゃんと、そういう自己資金でやるのか、あるいは輸銀で、金融先はどこかということを明示をしておく必要があるんじゃないですか。明示をしておかないということは——これは当然大型の六カ月以上にわたる膨大な金額のプラント類輸出というものの融資というものは、輸銀前提にする。輸出入銀行というものは、大体そういうことを目的としてつくられた銀行じゃないですか。申請書の中に輸銀であるかどうか書いてない、だから、二年間近くもほうっておいて、それでいまの段階では差しさわりがあるから民間ベースでやるという許可をした、こういうことはどうもあまり親切な扱いじゃないし、それを相手方側から、中国側から見れば、これはやはり台湾政府のさしがねによって、苦情によって、日本政府がこのビニロンプラント輸出に対して許可をしない方針になった、こういうふうにとられても当然じゃないでしょうか。この問題になっている吉田書簡というものは、一体どういう内容のものですか。吉田書簡中心になって、輸銀扱いをしないようにと台湾に約束したということは、これは天下周知の事実じゃないですか。いまさら、そういうことはあるかないかわからぬというようなことはないと思うのですが、吉田書簡内容はどういうのでしょうか。やはり中国向けニチボービニロンプラントに対する輸出入銀行融資を阻止している最大の原因吉田書簡にある。内容はどういうものですか。
  8. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 いまお尋ね吉田書簡のことにつきましてはあとで申し上げることにして、その前段にちょっと申し上げなければならぬのですが、許可を受けたニチボー自身が自主的にいろいろ考えられる。その考える材料の中には諸情勢も入ってくると思うのですね。私としては、政経分離民間ベースという以上は、そこまで、おまえはこういうふうに考えたらばどうかとか、いろいろ言うよりも、この際非常に微妙な段階でございますから、今度の日立の場合も同じでございますが、許可を受けたそれぞれの会社が、政府政経分離民間ベースと言っているのだから、その中で自主的に判断をしょう、そういうような気持ちでいってもらいたい。しこうしてまた、お話しのように、輸銀を使うのが有利とかどうとかいろいろございますが、この点は企業努力でお考えを願いたい。ニチボーあるいは日立自身が諸情勢考えながら、こういう方法金融はつけてくれぬかとか、輸銀だけでないいろいろな考え方もできるのじゃないかと、かように思っておるのでございます。  そこで、吉田書簡の問題でございますが、私がニチボー日立許可をしたという背景には、吉田書簡というものは考えておらないのであります。先ほど来申し上げるように、これは日立の場合であれば、二月十五日までに許可を与えなければ効果がなくなる。それじゃいまこれは許可を与えておこうというような処理をいたしておるのでございます。吉田書簡書簡として、これは全然私としては切り離して考えているわけであります。その吉田書簡がどういうものであるか、これはあくまでもいわば親書のようなものでございまして、まだ私はその内容を見たこともなければ、一般的な通常の認識範囲、すなわち新聞とかなんとかいろいろなところにいろいろ推測その他で出ておる内容、そういうような範囲認識しか私は持ち合わせておらないのであります。
  9. 板川正吾

    板川委員 われわれも報道されておる内容しか承知していないのですが、この間中国へ行ってきた岡崎嘉平太氏がテレビの対談でこう言っておるのですね。当面の問題を解決するのには、吉田書簡があるならいたし方がない、しかし、吉田書簡というのは三十九年中は輸銀で扱わないということを言っておるから、三十九年はしかたがないとしても、四十年からはそれに拘束されないのだから、だから政府はこの際踏み切るべきではないか、こう言っておるのです。吉田書簡が、三十九年中は問題のビニロンプラント輸出について延べ払い扱いをしない、こういっているなら、四十年からそういうことは拘束されないのですから、ひとつそれをやるという意思はないのですか。大臣先ほど、ある含みのある表現をされた。それはビニロンプラント頭金等が入るから当面輸銀を必要としないだろう、必要とする時期は本年の八月ごろだろう。本年の八月ごろになったときにはどうしようというのですか。そのときは大臣、これは食い逃げじゃないけれども、それは次にまかせるのだというのじゃなくて、日本の長い将来を考えると、私は、この辺で政府はやはり日中貿易の拡大というものに責任を持って前進すべきじゃないか、こう思うのです。八月ごろになったらどうしようというお考えですか。
  10. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 いま板川委員が御指摘になったように、推測される吉田書簡内容が、三十九年度についていろいろ制約しておるのじゃないか
  11. 板川正吾

    板川委員 度じゃないですよ、年です。
  12. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 三十九年です。四十年はどうするかというようなお話がございました。私はそういう吉田書簡解釈をしている御意見もよく承知はしております。しかし書簡そのものから、身がその内容等を詳細に知っておって、そうあるべきであるとか、どうとかいうような立場に私はいまないのであります。はっきりしたその内容等は確実なものは承知しておりません。いま御指摘範囲の御意見をやはり聞いておるというにとどまるのでございます。しこうして、君は頭金で夏ごろまでは輸銀は問題にならないと言ったじゃないか、私は当面そうだと思います。それで夏になったらどうなのだ。これは先ほどから申し上げるとおり、ニチボーの場合、ニチボー自身判断をするのでございまして、その間にこういうシンジケートのようなやり方でいけるものかどうか、それはけっこうだということになれば、それでいくのもよろしゅうございましょう。それからまた他に方法があるなら、それも考えるべきではないかと思うのであります。私としては、必ずそれは方法があるのじゃないか、つくのじゃないか、こういうふうな見通しに立っておるような次第でございます。
  13. 板川正吾

    板川委員 そうすると、大臣はこういう考え方ですか。ニチボープラント輸出金融の措置については、輸銀では扱わせない、民間ベース努力してやってほしい、民間ベースでは政府も表立ってはやれないが、陰ながらいろいろな協力をしよう。そうすると、民間ベースでやるのと輸銀扱いでやるのと金融上の益は、ニチボープラント輸出の場合に約十億円の差がある、十億円一般の民間ベースでやればよけいに金利がかかる、こういっておる。だからそういった程度のことは何らかの方法で解決できるのじゃないか、これはひとつ政府も表立ってやれないが陰で応援するから、そういうことで金利の問題は解決できるのじゃないか、こういうお考えですか。
  14. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 いまお話の中で、いまこの段階通産省関係輸銀は使わせない、こういう私のほうからの積極的方針はないのであります。それは先ほどから言うとおり、政経分離民間ースというたてまえの中でニチボーさんがどういうふうにそれを考えて、自主的な判断の上で、企業努力の上でやっていかれるか、こういうことなのであります。そういうことでございますから、その点は誤解のないようにしていただきたい。それから、具体的に十億違うのだ、だからその十億を何らかの形で見るのかどうかというお話でございましたが、そういうふうに具体的に数字は詰めておりません。この程度金利ならばやれるとかやれないとか、あるいはこの程度ならばどれだけ赤字になるとかならぬとか、それはおのずからニチボーさんの関係の問題だろうと思うのであります。
  15. 板川正吾

    板川委員 どうも私ちょっとわからないのですが、ニチボープラント輸出について輸銀取り扱いをさせないというのでしょう、いまの政府態度は。させるのですか。この点どうなんですか。
  16. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 これは先ほど言うように、私のほうから積極的にそれがいいとか悪いとか、政府のこれに介入しての意見ではなくて、ニチボーさん自身政経分離民間ベースというたてまえの中で諸情勢を勘案いたしますれば、おのずから判断がつく、こういうふうに見ておるのでございます。それがやはり民間ベースじゃないかと思うのであります。だから、おのずから判断の中でお考えを願いたい。また私どもとしてもできるだけの応援をする、こういうことでございます。
  17. 板川正吾

    板川委員 まあこれはニチボーの社長や岡崎さんにあとで来てもらっていろいろ聞きたいと思っておるのだけれども、新聞報道では、ニチボーとしては、ぜひ輸銀ベース取り扱いをしてもらいたい、こういうことを政府にお願いするということを言っておる。岡崎さんもしかりです。それから関係業界もほとんどいまの産業界は、数年前は日中貿易には魅力がない、こういうことを言っておった産業界も、これは政府もこの辺で踏み切って輸銀扱いをすべきだという声のほうが、いま産業界で強いのじゃないですか。だから政府が、輸銀扱いをさせるとかさせぬとか言わぬ、これはニチボーのほうでしかるべく考えろ、こう言っておるのはおかしいじゃないですか。
  18. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 それはお話のように、おかしい気持ちをお持ちになることも無理からぬことだと思います。しかしこれは公式に、たとえば私が輸銀の担当であって、そしてこれはいいとか悪いとか言う、そういうような立場にないのでありまして、政経分離民間ベースということが、そもそもこの間も国会で総理も御答弁のように、いまやっておるような事態がそういうふうに表現されるのだ、こういうことでございまして、いまこの機会に何かものごとをきちょうめんにはっきりしていくということ、それは私もそういうふうにしたいという気持ちはやまやまでありますが、諸情勢がそうはっきり言っていいものか悪いものかというところについても私は判断に迷うのであります。したがって、ニチボーなり日立さんが自主的に判断してくださるのがよろしい。これが全く非公式の場で、櫻内さん、あなたはどう考えるのかと言われれば、これはおのずから私も客観的な立場に立って、こういうことでございましょうとか、こういうことは好ましくないでしょうとか、それは言いようがあろうかと思う。しかし、ここで正面切ってお尋ねがあって、それをはっきり答えることがいろいろな上において障害が出ると思うのです。むしろ私がいま言っておるような範囲は、一番いまの情勢下においては適切ではないか、こう思うのでございます。
  19. 板川正吾

    板川委員 私は中国の事情を察しますと、扱いをしないで、ニチボー努力をして、しかるべく銀行団なりの援助を得て民間ベースでやるということであれば、何とかなるように大臣は言われますが、それではこのプラント類輸出という問題は解決しないのじゃないか、私はそういう見通しに立っている。だからこれは政府がこの辺ではっきりと、中共貿易は一切しないというなら、しないということで踏み切ったらいいじゃないですか。これはあなた、佐藤さんもアメリカへ行って大いに国家利益を主張してきた。アメリカの言うことばかり聞けぬ、こういうことを言ってきて、日中貿易について幾らか前進の態度を示すのかと思ったら、かえって逆行する形になるのじゃないですか。だから私はそういう意味で、いまの大臣輸銀扱いをしなくても努力でやれるなんという見通しは甘い。これはできない。これは日立船舶輸出も私はそれは不可能になるだろう、こう思うのです。これは私があえて言う必要はないと思うのですが、この一、二年のうちに、この不況下に比較的日本輸出が伸びて、国際収支も当初の予算よりも非常な黒字幅が出ている。その点ではこの一年間わりあいと改善された。しかしこの一、二年改善された、貿易が伸びた原因は、やはり日中貿易が非常に前進したというところにあるのじゃないでしょうか。だから私は将来この中国市場等を考慮して、この辺で政府がはっきりと踏み切ってやるべきじゃないか。これで私は、輸銀扱いを拒否して、このプラント類あるいは船舶輸出、今後のそういう延べ払い扱いプラント類輸出は一切やめになったら、日中貿易の停滞というのは、取り返しのつかないほどの国民的な被害を受けるのじゃないかと思うのです。この問題で通産省が非常に前向きで積極的でやっているということは、新聞報道等においてもわかるのです。一番問題のあるのは、外務省がんとして聞かない。特に黄田次官以下欧米派英国派が何としても聞かぬ、こういうことでがんこに、通産省や大蔵省がいかに言っても外務省が聞かぬという状況だということも聞いておりますが、しかし、それは私は日本の将来を大きく誤るものじゃないかと思うのです。  それからきょうの新聞に、通産省事務次官佐橋氏が佐藤総理に会って、中国向け延べ払い輸出について輸出入銀行融資を認むべきだと進言し、佐藤首相は検討してみたいと答えた。「佐橋次官は1輸銀産業界先進国なみの低い金利水準で延払い輸出が出来るようにするために設けられた機関である2輸銀融資にあたって採算を重視し、独立経営を堅持している3輸銀には政府資金がはいっているが融資方針は無差判平等を鉄則とし、政治とは全く関係がない、などの点を指摘し「輸銀融資民間ベースである」と主張した。佐藤首相は「吉田書簡国際信義上等もする必要がある」「輸録に財政資金がはいっていることから民間ベースといい切れるかどうか」と述べたが、通産省積極論についても今後前向きに検討することを約束した。」こう新聞に出ておるわけであります。どういった事、実があったかわかりませんが、しかしこれは通産大臣日立の造船、船舶輸出について不許可民間ベースでやりなさい、輸銀ベースはいかぬ、こういう吉明をしましたね。一月二十六日の朝日新聞に、通産大臣は「輸銀資金の使用を認めない理由として、台湾と国交のある西欧諸国で、中国向け船舶輸出財融資金を使わせている国はなく、わが国だけが輸銀資金を認めるわけにはいかないと語った。」こう言っておりますが、これは事実でしょうか。
  20. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 その記事は私遺憾ながら拝見しませんでした。それで、そういうふうにもし記者会見でとられたとするならば、まことに私は遺憾であります。私はこの席上でも、また予算委員会でも申し上げておるとおりのことを終始言っておるのであります。ただし先ほども言ったように、客観的なおまえの立場でいまどう考えるとかどうとかという、いわばオフレコ的な雑談、懇談の中には、それはいまの段階ではこういうふうに自主的に解釈せざるを得ないかもしれぬなとかいうような表現などをしたことはございます。しかし、あくまでもいま私の言いたいことば、ただいま板川委員が言われたように、私のほうの佐橋事務次官総理のところへこの輸銀の問題についての考え方、あるいは通産省内で検討した考え方などを参考として申し述べたようにとれるのであります。そういうように、私のほうの省内でも、一体通産省はこれをどういうふうに見るか——検討はしたことはあるのでございますから、そういう意見も私はあったと思います。しかしこの段階におきましては、いまいろいろな情勢あるいは動きがあろうかと思います。板川委員からは、輸銀ースでなければ絶対的にもう日中貿易はだめなんだ、こういう断定的な解釈をいただきましたけれども、私が承知している範囲では、むしろこの輸銀ベース云々という問題よりも、やはり他のほうに重点があるようでございます。岡崎さんも向こうに行かれたときに、実質が変わらないのにどうなんだ、こういうことを言われたときに、いや、それは輸銀のことだけを云々しているのではないというような、これは私は岡崎さんに会ったのではありませんが、非公式にそういう話を聞いておるのでございまして、必ずしも輸銀を使う、使わないだけが中共貿易の前途に全体的に大きな影響がある、こういう判断はしておらないのであります。しかし一般的な延べ払い輸出輸銀中心で行なわれておる実情から申しますれば、できれば私としては、ニチボー頭金でいろいろとりかかった後に、何とかそういう使えるような情勢ができれば非常に好ましいというような、そういう私自身の客観的な期待はございます。したがって、いまここで何かはっきりすべきかについて私が答えるということについては影響が非常にございまして、また、せっかく私も前向きにいろいろ考えていきたというのをみずからのことばでそれをくつがえしてしまうというのもどうかと思うのでどうぞこの程度でひとつ御了承をいただければまことにけっこうだと思うのでございます。
  21. 板川正吾

    板川委員 私も岡崎さんに会っていない。これは委員にお願いして、岡崎さんを呼んで、この問題について私は聞きたいと思っておりますので、これはあとでお願いをいたしますが、私も岡崎さんの言明と談話とを見てみますと、直接聞いたわけじゃないのですが、中国が問題にしておるのは、台湾の干渉によって輸銀ベース——輸銀ベース倉敷レイヨンプラント輸出のときには認めたのですよ、政府は。その後ニチボーのときには認めないといま言っているのですよ。その認めない原因はどこにあるかといえば、それは吉田書簡台湾との関係。だから台湾が日中の関係に介入して、日本政府はそれに動かされてこういう変更をしたことにどうしても承服できないという強い発言を廖承志氏が言っておるんじゃないですか。それはそういう問題がなければ経済ベースで、輸銀であろうが市中銀行であろうが自己資金であろうが、それは向こうは自由ですよ。しかし向こうが問題にしておるのは、その金利の問題じゃない。台湾の干渉によって、前にはそれが許可になっておりながら今度は許可しない、しかも今後も許可しない、こういう政府方針がとられることが向こうとしては承服できないということで、これは重要な問題であろうと私f思う。こういう問題が解決しないで、何とか金融機関の援助でうまくやっていけば、ニチボーももうけを少なくしてがまんしてやってくれれば何とかなるだろうという甘い考えを持ってfいけないだろう、こう思うのですね。この問題は、私は通歴省が一生懸命やっていることはわかる。問題はやはり外務省にあると思う。それともう一つ、やはり総理考え方いかんですね。一回官房長官が吉田書簡を関知せずと言って、翌日になったら、吉田書簡は関知せずという話は関知しない、こういうようなことで打ち消しておるようですが、私は、総理もこの辺でひとつ前向きな態度をとらなければ、これは佐藤内閣のブームなんてものはわかないですね。歴代内閣でブームがわかないのは岸さんと佐藤さんじゃないですか。それは吉田さんだって鳩山さんだって石橋さんだって池田さんだって、とにかく総理大臣になった当時はたいへんなブームじゃなかったですか。しかし岸さんは戦犯だからわかなかった。これはわかる。佐藤さんにわかない。佐藤さんのやり方は、野にあったときはたいへん批判してうまいことを言って、これは大いに革新的、前進的にやるのかなと思っていたところが、実際ふたをあけたら、かえって池田内閣よりも退却している形ですね。  次の問題もありますから、これで時間を食いたたくないので、この問題はまた関係者を呼んでわれわれも真相をさらに究明していきたいと思うが、国民は、なぜ中共に輸銀扱いをさせないのかということがわからないのですよ、大臣。それをわからせるためにこういう国会があり、こういう公開の席上で大臣の見解を発表すべきじゃないですか、知りたいのですから。財界もそうですよ。なぜ船舶輸出輸銀扱いができないか。倉敷レイヨンじゃこれができている。ニチボーの場合にはなぜできないのか、理由がわからないのですよ。吉田書簡とか何とかいうものがあって、それを聞けば大臣もよくわからぬ、新聞に出ているような程度しか知らぬ、それをはっきりさせたい、はっきりさせれば原因がわかるだろう、こういうことでありますので、これはさらに後日究明したいと思う。  それから電力の問題で伺いますが、中部電力の値上げ申請が出されて三カ月ほどたちました。聞くところによりますと、申請を若干修正して値上げを許可する方針だということが新聞報道されました。それは事実でありましょうか。許可するとすれば、いつから許可しようとするお考えですか。
  22. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 中部電力の値上げ問題については、成規の手続による聴聞会が済んだ段階で、現在公益事業局内においてどの辺が妥当であって、どの辺が不当であってというようなこまかい数字の詰めをしておる段階でございます。したがって、こういうふうにしようとか、この辺でいかがでございましょうとかいうような、私のレベルにおける判断段階にはまだきておらないのであります。
  23. 板川正吾

    板川委員 そうしますと、新聞の、通産省は中部電力の料金値上げを許可する方針だということは、きまったわけじゃないですね。そういう報道が出ていますから、それを確かめたいと思ったのですが、従来、東北電力あるいは東京電力に値上げ申請があって、許可するまで相当な期間があった。これは私も詳しくは承知してないが、東北電力のごときは一年数カ月結論を出すまであった。東京電力でも、出されてからは短いかもしれませんが、その前から出す出すと数カ月、半年ぐらい議論になった結果、出されて処理されたということもあったと思うのです。この新聞報道によると、二月中に結論を出して三月の上旬から値上げをする、こういうような説があるものですから、国民生活に非常な影響がある、それは日本全国でないにしろ、一地域内のたくさんな住民に、あるいは産業界に大きな影響があるものですから、慎重に審議をされたのかどうか、こう考えているわけです。それはなぜかというと、電力の経営状況が悪いから、内容を見たら気の毒で上げてやろうということであれば、いまの不況下においてはあらゆる産業が経営状態が悪い、値上げを要求するという気持ちはあらゆる産業にある。特に公共料金あるいは公営事業等、東京の水道、下水あるいは都バス、市電、市バス、私鉄、国鉄、とにかくあらゆる産業が計数を計算して、なるほど将来のことを考えたら値上げをさせなければならぬというものはたくさんあります。そういう問題については非常な慎重な態度をとりながら、中部電力の値上げだけ早急に三カ月程度で結論を出すというのは、慎重な検討が行なわれたと見ないのです。まだ結論を出してないといえば、それはそうです。  それでは大臣に伺うのですが、これは一月十九日の日本経済新聞ですが、中部電力の値上げについて、「日本化学工業協会、日本紡績協会など電力需要産業の十八団体で構成している主要産業団体電力問題連絡会は中部電力が申請中の平均九・七一%の料金値上げ案に対し「同電力の経理内容は現在、不況に苦しんでいる一般産業に比べ、はるかにゆとりがあるので、上げ幅は三%以下に抑えるべきである」との意見書をまとめ、十八日、政府、国会へ提出した。」こう報道されている。そうしてその意見のおもなものは、一つとして、「中電部力があげている料金原価算定項目のうちたとえば燃料油費は重油価格の値下がり傾向を織り込めば算定単価を切り下げることが可能。また給与についても大規模な電源開発が一段落してとくに人員増を必要とする理由がなく、値上げ申請に盛り込んだ初年度、次年度の必要人員増は各年百名ずつ削減することが可能である。」人員をたくさんふやすということについて、そのふやす案から百名ずつ減らすことが可能である。二として、「一方、収入項目についてみると電灯料金収入は最近の需要頭打ち傾向を考慮にいれても不当に低く見込まれすぎており、初年度、次年度の各年で二十億円の増収が期待できる。またその他収入も必要措置を考慮することで、かなりの増収が見込める。」三、「このように算定原価項目の可能削減額、収入項目の可能増収額を差し引きずると同電力が値上げの根拠として算出した初年度の赤字額約百四億円は約二十五億円に減り、これに必要な値上げ分は同電力が申請している初年度平均九・三一%に対し、同二・九%で間に合う。」ことになる。三%以下に押えてほしい。こういう意見書が出ておりますが、こういう問題について、通産省として慎重な検討をされた結果、結論を出すのですか。
  24. 宮本惇

    ○宮本政府委員 化学工業協会その他から、そういう申し出があることも承知をいたしております。ただ、いま御指摘の燃料費の問題、たとえば燃料費がもっと切れるじゃないかということですが、燃料費につきましては、たとえばこの申請は御承知の石炭の単価引き上げの前に出された数字でございまして、その後この石炭の負担増対策というような点につきましてはいまいろいろ検討いたしておりますが、いずれにいたしましても燃料費はこの申請時よりは上がる傾向にある。それからもう一つ重油でございますが、重油につきましても御承知のように、最近の重油価格というものはいわば底をついておりまして、これからはむしろ値上がりの傾向にある。現に通産省の鉱山局のほうで石油業法に基づく重油の標準価格というものを出しておりますが、これが六千五百円でございます。現在たとえば中部電力の買っております重油価格は六千三百円、あるいはコンビナートから直接パイプで買う場合に六千百円というようになっておりますが、これからはむしろ値上がりをするという傾向にございます。したがいまして、燃料費が下がるから当然これをもっと切るべきだという点は、われわれといたしましてはもちろん慎重にいろいろな要素を考えまして査定をいたしておりますけれども、そういう根拠が直ちに今度のわれわれの査定に響くということはちょっと考えられないと思います。  それからもう一つの給与の問題でございますが、人員の増加はどうかといった点でございますが、御承知のように中部電力はいままで相当合理化をいたしまして、人員を相当切り詰めております。で、今度の申請では二カ年間で千二百人の申請があると思いますが、これを相当数査定をいたしております。それから給与の問題でございますが、やはり給与ベースの値上がりということを考えます場合に、中部電力の給与は現在九電力の中で低いほうでございますが、しかしながらこれは現在御承知の中期経済計画で、たとえば企画庁で査定されました値上がり率に大体準拠いたしまして切っておりまして、決して甘い査定をしようという考えはございません。
  25. 板川正吾

    板川委員 ほんとうは経済企画庁に伺いたいのですが、またそれはそれで伺いますが、もし中部電力の値上げが妥当だというならば、私は北陸や東北も、次に必ず値上げ問題が出てくると思う。特に北陸はどっちかというと中部電力より、私の調査したところによると経営が苦しい状態であるはずです。そうすると、北陸がそういう状態で企業努力で公益事業者としての使命を果たそうとして努力しておるのに、中部ではまあどんどん価上げをしている、こういうことになってくると、当然これはやがて北陸からも出、また全般的な電気料金の改定値上げ、こういうことに今後誘発をされてくるんじゃないか、こう思うのです。ここで私が電気事業法の審議のときに、その問題について私はこういう発言をしておる。それは定率法による——定額法ではなくて、定率法による減価償却を一〇〇として、そうして償却がどの程度されておるかということによって経営格差を見た。そういう指数で経営格差を見た。そうすると北陸が五七、要するに定率法による減価償却一〇〇に対して北陸は経営内容が悪いから五七しかできなかった、こういうことになっておるのです。中部が五八、東北が七六、北海道が七七、九州が八七、非常にいいのが中国の一一八、関西、東京は一〇〇ということになる。こういうふうに各社の経営内容がバランスがとれてないから、これは広域運営によって改善されるということはできないじゃないか、広域運営によってそういう点を改善するといっておりますから、できないのではないかということを質問をいたしましたら、福田前通産大臣は、「私はそれはある程度はできると思います。それは経営者の考え方にもよるし、——これはわれわれが強制するというわけにもいかないでしょう。しかし、ある程度私はできると思います。」と答えられた。そこで私が、「私は、この電気事業の企業形態の諸矛盾というのを、政府は広域運営で強化して、これで解消していこうという法律でありますから、一体中国なり北陸なり、現状こういう経営の格差がついておるものを、」広域運営ということで平準化するということはできないだろう、私はこういう主張をしておるのです。ここでも言っておりますように、なるほど中部電力は、分割再編成のときに、コストの安い水力料金を基礎に料金が決定をされておる。逆に関西電力は、当時火力が非常に多かったために、火力を中心に電気料金の基礎がきめられておる。したがって、低い水力を基準とした中部が、火力発電が開発されるについて非常に経営的に苦しい、こういう情勢にあることは、われわれも承知しております。しかし、一方関西電力は、当時比較的コストの高い火力を中心に、電気料金というのが算定されておる。しかし、いまは大型発電になって、火力発電が非常な低コストになってきておる。そういう意味で関西電力は、ある意味じゃ非常に経営上有利な位置にある。私は、こういう形態をそのまま放置して、一部分だけこの収支を見て、これは苦しいから値上げいたしたい、再編成のときに割り食っているからまあ値上げはあたりまえだ、こういう安易な値上げ感というのは問題だろうと思うのです。通産大臣は、ひとつそういうようないろいろなことまで、企業体制まで慎重な検討の上に、この問題を扱ってもらいたいと私は思うのですが、いかがでしよう。
  26. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 詳細にわたって種々御検討の上で御質問でございまして、たいへん恐縮に思うのであります。  私といたしましては、九電力の間に現に格差がある、しかし、その格差もいま御指摘のように、五年前のときはどういう格差であったか、現在はどうであるか、やはり企業自体の努力、あるいは見通し、そういうようなものによって相当な変化がここに起きておると思うのであります。自由主義政策のもとにおいて、こういう企業努力の効果が上がってくるということは、私は好ましいと思うのであります。その効果が上がるべきものが上がらずにおるという、その障害は除いてやらなければならないと思うのです。こういうような考えを私は持っておるのです。したがって、中部電力の場合に、安い水力からその後ずっと高い建設費のかかる火力をやってきた、そして大きな負担を持った、これをこのまま放置していけば、ますますその負担がふえていく、こういうようなところにきておる、これを改善したい、そういうようなこともその値上げの理由の中にあるのを見まして、こういうところは考えてやらなければいけないんじゃないか、かように思うのであります。あくまでも私としては、個々の電力会社がそれぞれの努力をいたしまして、そして公共性をよく認識しながら経営をしていってもらいたい、かような見地に立っております。
  27. 板川正吾

    板川委員 経済企画庁調整局長に伺いますが、経済企画庁で、物価安定のための総合対策というものを立てられて、そして一月二十日の閣議で了承された。この物価安定対策——佐藤内閣としては物価対策というのが重大な使命だ、物価を安定させるというのが重大な使命だということを、佐藤総理も強調しておる。そこで、公共料金に対する措置としてこういうことを決定されていますね。「公共料金等政府が規制する料金または価格については、その値上げを抑制するものとする。なお合理的かつ能率的経営によっても、なお事業の収支状況が悪化し、料金または価格を据え置くことが困難と認められるものについては、経済関係閣僚懇談会に付議する。」こうなっておりますが、この中部電力の値上げ問題は、経済閣僚懇談会で取り上げられておりますか。
  28. 高島節男

    ○高島政府委員 ただいま企画庁長官、ちょうど予算委員会で関連事項の質問がございますので、私からかわりまして答弁いたします。  中部電力の値上げ問題につきまして、経済閣僚懇談会にはまだ取り上げられるということになっておりません。
  29. 板川正吾

    板川委員 この物価安定対策のたてまえからすると、経済閣僚懇談会の主催者である経済企画庁——閣僚懇談会は経済企画庁が中心でしょう。ここで取り上げられる。これは、中部電力の値上げというものは当然かけられる性質のものですか。
  30. 高島節男

    ○高島政府委員 公共料金の一般の抑制というたてまえを出しておりまして、例外的に認可をしなければならぬ事態にあるものは閣僚懇談会にかけるということでございますから、当然これは閣僚懇談会の御了承ということに、認可いたしますとすればなると思います。
  31. 板川正吾

    板川委員 経済企画庁として、物価対策の面からこの問題について検討を加えておりますか。
  32. 高島節男

    ○高島政府委員 申請がございましてから、直ちに通産省から資料その他の御提出がございまして、事務的には検討を進めている段階にございます。ただ、まだ企画庁としての結論を出すには至っておりません。
  33. 板川正吾

    板川委員 新聞報道によると、通産省では二月程度にはこれの結論を出して、三月から実施、こういうふうな結論を出したいというのですが、経済企画庁のほうでは、この問題はそういうふうに早急に結論を出す方針ですか。
  34. 高島節男

    ○高島政府委員 結論を出しまして、実施をいつごろからやるかということにつきましては、申請内容が妥当であるとかりに認められましても、タイミング等の微妙な問題がございます。したがいまして、まだその点について何ら長官自身のお考えもきまっておりませんようでございます。全然いまの段階では未定と申し上げるよりほかないと思います。
  35. 板川正吾

    板川委員 先ほど読み上げたから、詳細については議事録を見て検討してもらいたいのですが、中部電力の値上げについて日本化学工業協会、日本鉱業協会、日本紡績協会など、電力需用産業十八団体が構成しておる主要産業団体電力問題連絡会が、中部電力の値上げは非常に経理が苦しいと言っておるが、一般産業に比較してまだまだゆとりがある、もっと苦しいところがもうこの不況下にたくさんあるのだ、したがってこういう状況だから値上げ幅は三%以下に押えるべきだということで主張されておりますが、こういう点もひとつ十分な検討をしてほしい。  ただ私は、この料金問題で考えるのは、こういう公共料金という、社会的な国民生活に影響のある、あるいは産業に影響のある問題は、ただその収支勘定を見て、経営が苦しいから値上げをするということできまるべきものじゃない、政治的な配慮というのがあってしかるべきものだ、こう思うのです。もし経済企画庁が収支計算して、これは公共料金あるいは公共的な公益的な事業、政府が干渉し得る料金等、こういうものが、ただ経理内容を見て、苦しいから値上げしたほうがいいというだけじゃいかぬ、私はこう思うのです。もし、経理内容を見て、なるほど苦しいから値上げするのだというなら、あらゆる事業が私はいま値上げをさしてやらなくちゃいけないと思うのです。それは東京の水道、下水料金も、これは当然値上げしなくちゃいかぬでしょう。言うとおりに値上げしてやらなくちゃいけない。苦しい理由は十分あります。あるいは、東京都あるいは六大都市、こういうところのバス、市電、都電、こういうものもみんな赤字ですね。公営企業というのはほとんど赤字ですね。あるいは健康保険も、何もかにも全部赤字ですよ。だから、経理内容を見て、これは上げるというなら、あらゆる公共的な料金というものは全部上げなければ私はおかしいと思うのです。ある特定の産業、事業だけ、ただ経理内容をちょっと見て、これは苦しい、理由もあるからやっちまえという態度は慎重でないと思うのですが、こういう点についてどういう考え方を持っていますか。
  36. 高島節男

    ○高島政府委員 基本問題の方針でございますから、私からお答え申し上げるのはちょっとどうかと思いますが、私なりの意見を申し上げます。  電力会社につきましては、大きな将来の電源開発上の建設の責任を持って、供給の安定に資する  一つの大きな路線があると思います。そしてそれの基本的な中心資金調達は、やはり民間株式会社としての経営を基礎に置いて進めてまいっておることは御承知のとおりであります。他方、公営企業の関係につきましては、やはり公営ということにしたことの理由がいろいろとございまして、公共性に直接結びつく性格の事業でございますから、一がいに採算だけで論じ切れない。そのために一般会計からの繰り入れとか政府の低利債の応援とか、いろいろの方法が講じられておるわけであります。それで両者の間にはある程度のそこに線が引かれた経営、経理になっておるかと思います。しかし企画庁としまして、一応認可制にかかっておる性質のものでございますから、政府として非常にわずかな部分でございますが、網をかけ得る部分の一つでありますだけに、本件につきましては慎電に目下検討しておるわけでございます。
  37. 板川正吾

    板川委員 経済企画庁にもう一点、それから通産大臣にもう一点ありますから、それで……。  料金の赤字かどうかというのも、通産省とすれば、いまの九電力の体制をそのまま維持しようというたてまえから、その九電力のうちの一つの中部電力というもので検討した場合には、これはまあ値上げをせざるを得ないかなという気持ちを持つと思うのです。しかし経済企画庁はもっと広い立場から、物価抑制なり経済政策の面から私は考え方を持つべきだと思うんですね。たとえばさっきちょっと言いましたが、中部電力は九電力分割のときには、比較的安いコストの水力が中心だった、だから電力料金は安くても間に合う、まあまあだった。しかし異常な発展をしたために、火力開発をしなければいけない、これはコストが商い、したがって全体における料金改定をしなければいかぬというのが今度の趣旨です。通産省もそういう趣旨を考えて、値上げやむを得ないというふうに考えておる。ところがそれと全く逆の立場が関西電力。関西電力は九分割のときには水力が少なくて火力が多い。しかもその当時は小容量の火力発電だったからコストが高い。コストが高い上に料金がきめられておる。その後大容量発電というものができてコストも安くなって、火力の原料である石炭から重油に、重油の値段も大幅に下がってきているので、比較的経営がよくなってきておる。こういうようなところがお互いに一つの企業体になれば、私は料金を値上げせずに済むという場合もあり得ると思うんですね。要するに体制の一元化ですね。一元化できなければ四ブロック化でもいいが、とにかくそういうような体制を仕組めば、産業界等に大きな犠牲を負担してもらわなくても済むかもしれない。だからそういう点も十分検討の上で結論を出すべきじゃないだろうか。ただ一部の企業内の収支だけ見て、これはやむを得ないというふうな結論をそう簡単に出すべきじゃない。ひとつ広い視野から見て、この中部電力の問題は影響するところは非常に大きいのですから、そういう面からもひとつ検討してもらいたい、こう思うのです。いずれ決定された後は、私はまた内容について質問したいと思うのですが、一応この点について答弁してもらいたいと思います。
  38. 高島節男

    ○高島政府委員 非常に大きな基本問題でございますから、私から意見を申し上げるのはいかがかと思いますが、会社の規模をどの程度に置いたほうがいいかという点は、どうも料金の問題だけから必ずしもきめられない点だと思います。会社のおのずからの事業の範囲、社長なり何なりの全体の管理能力というような点も十分考慮して、大所高所から御決定になっていくべき問題であり、かりにある方向へ従来の制度を変えるといたしましても、これは相当長期的な基本的な検討が必要ではないかと思います。他方、現在申請をされまして、私のほうも協議にあずかっております中部電力の問題は、いずれにいたしましても目の前に起こってきた経理の悪化ということをいかがいたすかという観点を、片や健全な電気事業の発達、片や物価政策というもので調整をしながら考えていかねばならぬという性質のものだと思いますので、したがって私個人の考えではございますが、両者を結びつけて結論を出すごとはなかなか困難かと思います。しかし御意見の趣旨はよく私もわかりますので、そういう角度も大臣にも報告いたしまして、今後の検討の材料にいたしたいと思います。
  39. 板川正吾

    板川委員 通産省通産大臣それから経済企画庁、ひとつ十分慎重な検討の上に結論を出してもらいたいということを、要望いたしまして、大臣に一言、自動車関係でございますが、わが国の乗用自動動車工業というものは非常に順調に伸びております。ところでその乗用車の自由化という問題が、一体めどをどこに置いておるかということを一応、承っておきたいと思うのです。福田大臣のときは、昨年は、この秋にはやりたいということを一回、言いました。その次には、秋か年内という表現になりました。次には、まあ今年度じゅうにはというふうに、三回福田さんの場合には変わっております。櫻内大臣になってから、四月一日以降自由化する、こういうふうに変わってきておる。これはいつから自由化をされようとするお考えですか。これは自由化をされるとすれば、一体どういう程度の自由化を当面考えておられるのか、その点をひとつ伺いたいと思います。
  40. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 自由化の問題は、非常に与える影響が微妙だと思うのであります。貿易関係などについても、影響が当然ございます。そこで私、就任以来考えておりますことは、自由化はいずれはやらなければならない、しかし、一体会社の体制というものがそれに即応できるのかどうか、こういうことを当然頭に置かなければならないわけでございまして、ずいぶんあっちこっちの会社を視察もいたしまして、いまの段階で私としては大体いいところに、自由化に耐え得る体制になってきておるのじゃないか、こういうふうに判断をしておるのであります。また自動車工業は、言うまでもなく関連下請の企業が多数でございます。それらの状況もまた頭に入れていかなければならないと思います。でございますので、それでは一体いつごろか、こう言われてみますれば、国際的には、日本貿易の自由化という大きな方針考えていかなければなりませんから、できるならば昭和四十年度の上期のうちには決心をしたい、そういうようなつもりで、現在業界の全般の情勢というものを見ておる、こういうわけであります。  また、自由化の場合にどの範囲であるかということにつきましては、せっかくいま検討中でございまして、外車のノックダウン方式はどうもぐあいが悪いじゃないかとか、外資の導入をされた形はどういう形まではいいのか、大体これも、当初は好ましくないとかというふうに、これは検討中でございます。
  41. 板川正吾

    板川委員 ヨーロッパで西独、イギリスあるいはフランス、イタリア、いわゆるEEC諸国の自動車工業が、アメリカ資本の進出によっていま非常な混乱をしておるようですね。われわれから見ると、日本の産業から見るとうらやましいと思われるドイツのフォルクスワーゲンその他等においても、アメリカ資本の進出に手をやいておるというようなことも報道されておるのですが、この自動車の自由化問題については、そうした十分な措置、対策をとった上でひとつやってもらいたいということを御要望いたします。
  42. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 当然なことでございまして、私としては、外国における事例などもよく念頭に置きまして、また大きな影響を与えることのないように、自由化に対して善処をしていくということを申し上げておきます。   〔小川(平)委員長代理退席、早稻田委員長代理着席〕
  43. 板川正吾

    板川委員 大臣がいませんから、公益事業局長に伺いますが、電気事業法によって、電気事業審議会の委員大臣任命できまることになっております。それがどういうふうにきまったか、ひとつ経過を報告をしておいてください。
  44. 宮本惇

    ○宮本政府委員 電気事業審議会というものが、御承知のように電気事業法の内部にございまして、そうして、これは重要事項を調査審議する、こういうたてまえになっておることは御承知のとおりでございます。ただ、この審議会のスタートをめぐりまして実はいろいろの問題がございまして、現在のところ、まだスタートいたしておりません。ただこれは、われわれといたしましては、できる限りの努力をもってなるべく早くスタートいたしたい、こう考えておる次第でございます。
  45. 板川正吾

    板川委員 いつごろまでにきまる予定ですか。
  46. 宮本惇

    ○宮本政府委員 御承知のように、電気事業法の施行が公布されましたのが昨年の七月十日でございます。所要の政省令は一年以内ということになっております。法律的に、政省令を審議会にかけるという義務はございませんけれども、この前の通常国会におきまして、何べんも政省令は審議会におはかりをするということを申し上げております関係上、通産省といたしましてはおはかりする所存でございますが、政省令の数が非常に膨大でございまして、昨年法律ができまして以来、事務局を督励いたしまして、いま事務的にやっておる最中でございますが、われわれとしては、当初四月一日を一途に考えておりましたのでございますが、その辺はいまちょっと、いつから公有施行できるかという見通しがまだ立ちません。しかしながら、もちろん法律が間に合う範囲に必ず実施いたし、また、できるだけ早く実施いたしたい、こう考えておる次第でございます。したがいまして、審議会のほうも、それよりある程度余裕を持って前にスタートいたしまして、そうして政省令の審議をしていただく、こういうように考えております。
  47. 板川正吾

    板川委員 この問題は、ひとつあとで取り上げていきます。とにかく早くきめるべきだということを要望しておきます。  繊維局長に伺いますが、繊維新法をつくったときに、これは私と磯野繊維局長との間で、議事録にもあるのですが、いわゆる無登録の紡機ですね、いわゆる第四区分の紡機は、いかなる理由があろうとも一−三の登録区分の中に入れない、こういうことが明確に答弁されておるし、立法の趣旨もそこにある。そのことは明らかです。当時、なぜ私がだめを押したかというと、繊維局内においては、そのやみ紡機をやがて認知するというような動きがあった。それは繊維行政上非常に混乱を起こすということで、はっきりしなさいということで私がだめを押したらば、しないということを言っておる。ところが最近、このやみ紡機を認めて、二対一で登録紡機の復活を許すんだというような説が流れておる。それがもし実施されるとするならば、国会審議をまことに無視した態度だと思うのです。それでは、われわれが審議して、どういう約束をとったとしても、その約束をかってに官僚が変えていくというなら、国会審議なんというものにならぬと思う。そういうことはないですか。
  48. 新井眞一

    ○新井政府委員 先般の国会で、繊維関係の新法をいろいろ御審議をいただきました。その節板川先生から、いまの問題につきまして、やみ紡機はどうするんだ、例外的な糸をひかすのはおかしいという御意見で、これに対しまして、いまお話しのようなお答えをいたしておることは、私も承知しております。その後新法によりまして、一体やみの紡機はどのくらいあるかということで、これは御承知のように附則の五条で、申請をいたしますと確認をいたすわけでございますが、意外に多かったわけでございます。大体百五十万錘ぐらいが出てまいっておる次第でございます。当時、法律をやります前のことでもございますし、その審議の段階におきましては、これは御承知だと思いますけれども、設備制限法のときでありますので、何でもひかすというようなことを申し上げては、これはかけ込みになるということは当然でございまして、しかし、それは別といたしまして、少なくとも国会の答弁におきまして、制限の糸はひかせないんだということを明瞭に申し上げたことは、私も承知いたしております。しかし、そのあとの事態をどうするかというのが、繊維新法下の大きな宿題になっているわけでございます。したがいまして、私ども、いろいろ需給情勢の問題、あるいはやみ紡機はどう動いておるか、これは現実の問題といたしますと、区分内の糸でないもの——自由糸と申しましておりますが、これはひくことができるわけでございますが、これは私どもの推定でも二、三十万錘あればいいというような数字でございます。それに対して。百五十万錘が動いている。そういうことで、これの措置につきましてはいろいろ苦慮いたしておるわけでございます。しかしながら、前国会の答弁のこともございますので、少なくとも制限糸はひかせないというたてまえで監視を十分にやってまいりたいということで、現在検討を進めておるわけでございます。  なお、新しい措置につきましては慎重に検討いたしてまいりたい、こう考えております。
  49. 板川正吾

    板川委員 とにかく国会できめた方針どおりやってもらいたい。もしそれが実情に合わないというのなら法改正をお出しなさい。その点において法律改正をしなさい。私は、国会ではっきりと約束をし、そういうことをしないということをかってに通産省の行政でやるということはけしからぬ、こう思う。それならばわれわれの審議なんということは、どんなことをやったって意味ない。だから、もしそういう必要があるならば、法改正をもって出してもらいたいということを要望しておきます。
  50. 新井眞一

    ○新井政府委員 いまの御要望でございますけれども、そのときの御質問と答弁につきましてこまかくここで議論する意図はございませんけれども、あの法律の五条で、通産大臣が制限外の糸をひかせる許可ができるということが出ておるわけでございます。これはもう先生よく御承知のとおりでございます。その条項というのは、当然やみ紡機がそれによって区分外の糸ができるのか、こういう御質問に対して、そうではございません、こう言っておるわけでございます。したがいまして、法律改正と申しますものの、情勢の変化によりましてその五条の運用は考えていかなければならない。ほんとうに繊維産業をどうするのかという立場から考えていかなければならない問題だと思います。したがいまして、法律改正をしろとおっしゃいますけれども、これは私は少し問題があろうか、こう考えております。
  51. 板川正吾

    板川委員 ほんとうに繊維産業をどうするか、これはそういう約束じゃないのだから、法律でも提案したらいいじゃないか。ほんとうに繊維産業をどうするかというのは、通産省だけわかって国会ではわからぬ。国会ではそうしないという約束じゃないですか。それはその五条のただし書きで、特別の場合というのはあり得る。しかしあなた方の説によると、これはどこから出たのか知らぬけれども、とにかくあんまり多いので半分は登録物件に認めるということをやろうという説があるから、それでは話が違うということを言っているのだ。繊維産業を根本的にどうするなんということを繊維局長だけで考えてやるのですか。
  52. 新井眞一

    ○新井政府委員 あるいはほんとうにと言いましたのがちょっと問題かと思いますけれども、いずれにいたしましても法改正でなければできないことではないと思いまするが、先般の運用の問題についてそういう答弁がございますので、したがってその面は法改正ではなくて、その後の情勢変化に応じまして、やはり慎重に御指導いただきながら考えていかなければならない。しかし法改正をしなければならないかというと、そうじゃないということを申し上げたわけでございます。
  53. 板川正吾

    板川委員 無登録紡機は二対一で登録紡機の中へ全部入れるというのは法改正をしなければならぬ、繊維新法の考え方はそういうことであったのじゃなかったのですか。
  54. 新井眞一

    ○新井政府委員 こういうことになるわけでございます。情勢をよく検討いたしまして、また御指導も得まして、かりに万一そうなった場合を考えますると、もし大臣許可をいたします際に、こういうふうな条件にくればやらしてあげよう、こういうことになりますので、したがって五条の改正と申しまするよりも運用でいき得るんではないか、またいき得ると私は考えておるわけでございます。
  55. 板川正吾

    板川委員 では五条のただし書き運用で、百三十万からあるやみ紡機を三対一で登録の中に入れるというのですか。
  56. 新井眞一

    ○新井政府委員 そういうふうには申し上げておりませんので、とりあえず現在の新法に入りました関係で、制限糸はひけないという立場から監督、指導を十分にやってまいりたいと思います。しかしながら、先ほど申しましたように、何ぶん百五十万錘ありますし、自由糸は二、三十万錘だ。この問題は慎重に今後検討していかなければならぬ問題が残っておるということでございまして、直ちに五条のあれでというふうに申し上げておるのではございませんので、御了承いただきたいと思います。
  57. 板川正吾

    板川委員 とにかくこれは伝えられる話だから、私も根拠があって育ったわけじゃない。そういう説を聞いたものだから、少なくともそれはいかぬ、こういうことを言っておる。まあやらなければやらないで済むことだから、あとの結果を見ようと思います。  それから石油関係で二点、鉱山局長に伺いますが、アラビア石油がシティー・サービス社と四分の一の外資提携をするという問題は、その後どういう結果になっておりますか。
  58. 大慈彌嘉久

    ○大慈彌政府委員 アラビア石油と米国のシティー・サービス社との契約でございますが、ただいま御指摘ございましたように、長期契約をきめまして、生定量の四分の一を引き取るということを昨年来交渉いたしていたわけであります。ただし、最近の状況ではほとんど見込みがないということであります。もともとアラビア石油にとって有利な条件で契約を結ばないと意味がないわけでありますが、その後の状況は非常に不利なように思うということで、いまのところはほとんど見込みがないのではないかというふうに聞いておりますが、最終的にはまだ打ち切るというところまではいっておりません。
  59. 板川正吾

    板川委員 大体不成立の公算が大ということですから、われわれもそれはそれでけっこうだと思うのです。どうしてわれわれがそれを心配するかというと、前例があるのです。それはいわゆる昭石とシェルの問題です。最初は入ってくる。しかし資本力にものをいわせて、やがてそれを乗っ取るというやり方もある。だから、そういう形になると、石油業法の審議の際の、三党合意の上の石油行政の基本的な決議の趣旨と相反するのではないか、こう心配しておったわけであります。しかし、それはきまらないほうが大体九分どおりということであれば、それ以上あえて質問しなくてもいいのですが、アラビア関係がそういう外資と提携をしたいという気持ちを持つに至ったのは二つの理由があると思います。それはいわゆる引き取り体制——販売体制ですね。せっかく開発しても、それを引き取るについて常に国内でもたもたしており、引き取りの体制が不安定だというようなことが一つです。四分の一でも引き取ってもらえば、その点は楽だということですね。第二点としては、開発に対する資金がこれまた心細いということもあって、いわゆるカフジ地区の北方にある新しいフート地区ですか、そこの開発をするについて相当の資金が早急に必要だ、外資との提携をすればそういう面でやりいいという、二つの点があると思う。これはある意味ではもっともだと思う。そこで三十九年度までは引き取り体制というものが植村あっせんできまっておりますが、四十年度の引き取り体制というのはどういうことになりますか。
  60. 大慈彌嘉久

    ○大慈彌政府委員 アラビア石油の国内精製業者への引き取り問題でありますが、三十九年度は、ただいまお話のございましたように、一千万キロリットルということで植村あっせん案においてきまっております。実行の状況も、引き取りが順調に行なわれております。四十年度でありますが、アラビア石油側は千三百五十万キロリットル程度引き取ってもらいたいという希望をしておるようでございますが、現在精製側に一応そういう申し入れをいたしまして、現在話し合いを進めている段階であります。本格的にこれから話し合いが進むということになりますが、もともとこの石油の引き取りは、アラビア石油と精製業界との話し合いによってきまることが望ましいわけでありますが、私たちとしても非常に重要な問題でございますので、数量は、値段の問題もございますし、それから硫黄分が非常に高いという成分の問題とか、いろいろ問題もありますが、円滑に、適正なところできまることを期待をしております。
  61. 板川正吾

    板川委員 去年私はこの問題で質問したときば、去年の五月ごろ現在で、月間百八万トンの輸出ベースを確保できる、これは十二カ月で千三百万、ことし千三百五十万トンというのは、この一年間ほとんど伸びてないのですね。カフジは開発すれば年間二千万トンまでは開発可能だと言われる。しかしこの一年間足踏み状態ですな。ここにわれわれ原因もあると思うのですが、引き取り体制、少なくとも私はことしは千五百万トンくらいきていると思うのです。それを少なくしぼって、そして業界で話し合いをするということは、ある意味じゃ日本の国家的な利益に反するのですね。御承知のようにカフジは有限の契約で、あと三十七、八年しか残ってない。その間掘るだけ掘らなければ、残ったものは全部向こうに返すということになるから、その期間内にできるだけ早く開発し、大量に利用するというのが国家利益に合うのです。だからこの一年間少しも伸びないというのは、私には解せない。これは引き取り体制が不十分だと思います。引き取り体制が一年間足踏みしているのは、ある意味では、アラビアが外国に四分の一売ると言っている、それじゃそれでけっこうだからそうやってくれ、こっちは少なくて済むということになっておったことが一つの障害だと思うのです。いま局長は、アラビアのサルファが多くてと言われますが、サルファ分が多いか少ないか、あるいは比重がどうこうというようなことで、一つの国際的な基準というのがきまっているのですよ。バーレル一ドル三十五セントというのは、そういう意味ではあそこの地域のサルファ分が多いということを考慮の上で一ドル三十五セントというのがきまっておるのですよ。ただ、諸外国じゃサルファが若干多くてもそれほど社会問題にならない、日本じゃたちまち公害問題になるということもあって、そのサルファの扱い方のウェートが諸外国より大きい、非常に重要だということはありますけれども、そのサルファ分の含有量によって、国際的な基準に従ってそもそも元値から、原油の値段から安くなっているんだから、それはそういう方向でいいんであって、日本の特殊的な情勢をそれに加味すればいいということだと思うのです。これは私は引き取り体制をもっと真剣にやって、一つのルールに乗せて開発すれば、その開発の計画に従ってどんどん引き取れるという、こういうルールをひとつつくるべきじゃないかと思うんです。昭和四十年度は、聞くところによると、昭和三十九年度が全体量の一四・七%だから、一五%程度は確保したいと言っておる。一五%というと、八千二百万トンについての一五%、千二百三十万トン、原油のなまだきといっても千三百万トン、これでは実は去年の推定からいえばことしは伸びないし、少ないと思う。しかしそればアラビア側にも責任がある、よそに色目を使ったということもあって、道くさを食っているのだからしかたないですが、ひとつことしはアラビアの開発と、それに見合う国内の引き取り体制というもののルールをきめて、あまり問題がなくて引き取り体制が順調に進むような方針考えてほしいと思う。時間がないから、そういうことを要望をいたしておきます。  それから、さっき外資問題に触れましたように、これは公取の委員長にも一つ質問したいので聞いてもらいたいのですが、昭石とシェルの関係、従来外資提携をしておっても、アメリカ系ではあまり経営の中まで表立って支配するという形はなかったのじゃないですか。アメリカ系の外資提携会社の経営状況はどうなんですか。それをシェルと昭石の問題についてひとつ関連して伺いたいのですが……。
  62. 大慈彌嘉久

    ○大慈彌政府委員 アメリカ系の会社については、昨年シェル石油と昭和石油でございますか、ああいうふうなごたごたといいますか、紛争はなかったと思います。  なお、ちょっと前の問題でございますが、長期の安定した引き取り体制の基準をつくれという御趣旨でございますが、四十年度そのものには間に合うかどうかちょっと自信はございませんが、勉強させていただきたいと思います。
  63. 板川正吾

    板川委員 昭石の経営支配をシェルがつかんだということが、こういう週刊誌等にも報道されておるのです。事実この関係労組からも陳情を受けております。これは私、石油業法のときにもちょっと指摘したと思うのですが、日本の精製各社の原油購入金額を見ると、昭石が一番高かったのですね。資料をさがしたのだけれどもどうしても見つからないのですが、私の記憶ですと、一番安く原油を買っているのは出光興産だと思いました。これはトン七ドル何がしだと思った。普通が八ドルから九ドル。ところが昭石が当時は十一ドルじゃなかったかと思う。これは古い資料です。いまはそれよりずっと値段は下がっておりますから違いますが、三年近く前の資料ではそうだったと思うのです。資料をさがしたのだけれども見当たらなかったので、あるいは数字的に若干違いはあるかもしれませんが、これでは昭石という会社は、こんな高い原油を買っているのでは経営が行き詰まるのじゃないかと、われわれしろうとながら心配しておった。ところが案の定、昭石経営不振が伝えられた、その次に新潟震災の災害にあわれたということで、昭石の経営というものがごたごたしてきたと思う。その経過をいま考えてみると、どうも昭和石油という会社の原油購入料というものが非常に高い、ここに原因があったのじゃないかと思う。原油の購入価格については国際的な基準があり、さっき覆ったように比重、サルファ、こういったようなものを考慮して基準がある。だから昭和石油で買った原油が比較的サルファが少なくて、比重が軽いのですが、そういうものであったから、よそより三割も高くてもそれが値段だということの説明を聞いた。しかしそれは、サルファ分や比重の関係があったとしても、三割もこれは値段が違うはずはない。そうですね。だから、そうすると昭石では高い原油を買わされておる。それで経営不振になった。経営不振になったからシェルが入った。しかも昭石が買っておった原油は一〇〇%シェルから買っておったこういうことなんですね。そうすると、どうもこれは公取委員長、シェルという非常に国際的な資本力の強い企業が、いわゆる優位な地位を乱用した、不公正な取引をやっておったのじゃないか、こういう感じがしますが、シェルと昭石とのいわゆる国際契約というものは独禁法の六条ですか、届け出をされるはずでありますが、どういうことになっておりますか。これは予告してないから、あるいは調査してないかもしれないと思いますが、公取委員長どうですか。
  64. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 いまお話しのように、突然の御質問でございますので、シェルと昭石との間でどういう国際契約の届け出があったかということについて、いまちょっと資料を持ち合わせておりませんので、遺憾ながらこの場ではお答えをいたしかねます。
  65. 板川正吾

    板川委員 私の資料によると、こういうことになっているようです。昭石とシェルとの関係の第三次協定が成立したのが昭和二十七年十二月一日、その主要な点は三つほどあります。第一は、シェルが昭石に五〇%の資本参加をする。当時は八億五千万円であった。第二として、昭石の所要原油の全量をシェルが供給する。第三が、昭石は供給を受けた原油の半分を日本シェル石油のために受託精製する。このときには昭和石油の早山社長とシェル側との間で協定がなされたが、昭石の経営権、日本人役員人事にシェル側は介入しないという約束があった、こういうことがしるされておりますが、あとの点は別として、五〇%の資本参加をして、しかも全量一〇〇%の原油を買い、その原油が——これは鉱山局長調査してください、どういうことか資料を出してください。原油が非常に高かった。それで経営不振におちいって、今度はシェルが公然と経営支配に入った、こういうことになると、これはどうしてもいわゆる経済力の優越した地位を乱用した不公正な取引に該当するのじゃないかと思う。公取委員長の見解いかがでしょう。
  66. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 結局、おそらくこの契約当時におきましては、原油はもちろん日本でできるものもわずかですし、それから先ほど話のありましたようなアラビア石油のような問題もまだできておらなかった時代でありますから、おそらく精製会社各社が同じような背景において一種の排他約款契約を結んだということがあったのじゃないかと思います。それがその後の状況の変化において、なおかっこういう契約が有効なりやいなや、あるいは取引価格のきめ方が、いまお話しのような資本力参加の上に、いわば無理に引き上げられた値段で売り込んだ、したがってそれがさらに進んで不公正取引に当たるというような問題になりますと、われわれのほうとしましても相当慎重に検討してみませんと、いまにわかに結論を出すのは無理じゃないかというふうに思います。
  67. 板川正吾

    板川委員 昭和二十七年の十二月一日ですから、当時は石油は売り手市場ですから、買い手方の選択が許されなかった時代だと思います。したがって、当時とすれば、石油を十分に供給してくれるところがまず第一にほしいのであって、高いか安いかということはそれほど選択をすることができなかった。その後事情が変化して、逆に買い手市場に変化してきた。問題は、国際契約が独禁法によって届け出をされる——昭和二十七年十二月に届け出をされたかどうか知りませんが、届け出をされて、その後届け出の内容情勢の変化によって不公正な取引に該当するということになれば、私は、その契約内容の変更を公取として命ずることができるのではないか、こう思うのです。これは私、資料を出しますから、公取としてもどういう国際契約が届け出をされておったか、その点をひとつ検討していただきたいと思います。  それから鉱山局長には、従来の昭石の原油購入が、原油の比重、性質、そういったものを他の各社で買っておるものと比較して、割り高であるのかないのか、そういう点をひとつ資料で説明してほしいと思います。それはなぜかというと、これは新聞、雑誌等の報道ですが、シェルは「五〇%の株を持っているものが、会社をよくするためにアドバイスするのは当然のことで、それを干渉だの、のっとりだのというのは誤解だ。」こう言っております。しかしシェル側は、昭石のいわゆる合理化案というのがあって、千人ほど人員整理をしたい、こういうのですね。これも専門家の計算で、私が計算したのではないのですが、いまの精製業で百人人員整理をするということは、石油の販売価格に四十円のコストをマイナスさせることができる、こういっておるのですね。千人を首切るということは、人員整理をした結果、四百円のマイナスということになる。しかし昭和石油がよその会社よりも四百円も——この雑誌によると、安いところから見ると八百円程度もと、こういっております。「カルテックス——興亜石油の場合とくらべると、キロリットル当り三百円から四百円も高い。くわえて、精製報酬もカルテックス方式にくらべてキロリットル当り四百円は安い。つまり、昭石はキロリットル当り七、八百円も不利な条件を押しつけられている。これじゃてんから競争にならぬ」、こういう昭石側としての発言がこの雑誌に載っておりますが、高い石油を買わされて、それで採算が合わぬから人員整理をやる、こういうことがなされたのでは労働者はたまったものではない。一体そういう実態を調査したことがあるか、してなければ、調査をして資料を出してもらいたいと思うが、どうですか。
  68. 大慈彌嘉久

    ○大慈彌政府委員 昭和石油の問題につきましては、従来から業績があまりあがっていないということで、シェル側と双方に不満があったわけであります。それが昨年の新潟地震を契機としまして、ああいうふうな紛争が起こりまして、社長が退任をするとか、経営陣の刷新が行なわれたわけであります。その後経営陣の異動も行なわれて、経営の改善が行なわれまして、今度の三月期というのは従来よりだいぶ明るくなった、こういうふうに聞いております。先ほど指摘になりました受託精製の問題、あるいは原油の購入の問題というようなことについても今回は改善を見た、こういうふうに報告を受けております。ただ労働組合の問題でございますが、もう一度正確に調べますが、たぶん二千六百人ぐらいの従業員だったと思います。新潟と平沢の製油所、その辺で多少人が余るというようなことであるが、できるだけ配置転換あるいは子会社への受け入れとかいうようなことで処理をしたいということを、昨年の暮れに聞いております。その後は、ちょっと状況をあまり詳細には聞いておりません。
  69. 板川正吾

    板川委員 どういうふうに改善されたか、そういったこと等もひとつ調査をして資料として出してもらいたい、こう思います。  最後に、中小企業庁長官と公取委員長に、下請取引改善についての報告をひとつ願いたいと思うのですが、政府も下請取引を改善するということを非常に強調しておった。通産省内に審議会を設けて、いまその答申を待っておるということのようですが、下請取引の改善については、今度の通常国会に改正法案を出す用意があるのかないのか、一体どういう検討の過程であるのか。それから審議会における改正についての重要な問題一点はどういうことであるのか、そういう点をひとつ報告してもらいたい。
  70. 中野正一

    ○中野政府委員 では私のほうから先に御答弁申し上げますが、いま板川先生が御指摘になりましたように、昨年来下請取引の適正化につきまして、中小企業政策審議会の中に下請小委員会というものをつくっていただきまして、ここで業界の各専門の方々に集まっていただいて審議を続けていただいております。それと並行いたしまして、御承知のように下請代金支払遅延等防止法の運用強化ということについては、昨年の国会で問題になりまして以来、私のほうで公取と十分連絡をとりまして、中小企業庁において親企業のほうも調査をするということで、一年間に約八千工場を選びまして、現在調査をやっております。いま三回目の調査をやりまして、一回、二回の分につきましては、どうも法律違反の疑いの濃いというものにつきましては、地方の通産局で立ち入り検査をいたしました。どうしても改善の見込みの非常に薄いものについては、近く公取に、法律による適切な措置をとっていただくように要請をしたいというふうに考えております。運用強化については、十分今後ともやってまいりたい。それでことし非常に困りましたのは、期の途中からこういうことを——昨年一年御承知のように金融引き締めが強化されまして、支払いの条件が悪くなって、下請も非常に困ってまいりましたので、国会の御要望もありましたし、運用を強化したのですが、予算なしに始めたもので、非常に私どもも困りまして、中小企業庁のいろいろなところから金をかき集めてやったのですが、幸いにして来年度は大蔵省も相当増額を認めてくれました。ただ非常に残念でありますが、人員の増加、特に地方の通産局がこの仕事に非常に忙殺されておりまして、担当の商工部長以下先頭に立ってやれということで、やらしておりますが、人の増加が認められなかった。これは行政管理庁というか政府の全体の方針として、現業以外の人員増加は一切認めないという、われわれからいうと非常に不満な決定が行なわれまして、この点は中の人員のやりくりで何とかやりたいと考えております。しかし、それだけでなくて、法改正そのものにも手をつけなければいかぬのじゃないかという問題も現在審議していただいておりまして、実はこの問題については今月の十八日に——予定でございますが、下請小委員会の中間報告を出していただいて、これを政策審議会にかけるという段取りにいたしております。政策審議会の中間答申を待ちまして、公正取引委員会とも十分連絡をとって、この問題をどうするかということを通産省態度をきめたいというふうに考えております。
  71. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 公正取引委員会のほうでやっております調査の問題を最初に御報告いたします。  三十八年度におきまして定期調査数が千八百でございました。三十九年は、これはまだ年度が終わっておりませんが、暦年で多少ずれておりますが、二千九十二ですから、ほぼ二千百、三百ほど定期調査の数もふやしました。それから検査対象として実際に書面調査の上から引き抜いて実地調査をやった数が、三十八年が二百三十六でありまして、三十九暦年は二百九十四とふえております。その結果でございますが、勧告等の処置をとりましたものが、三十八年の二百四件に対しまして、三十九暦年は百九十一、不問が、三十八年度が五十五に対して、三十九暦年が百三、これは別に私のほうの基準が甘くなったというのではなくて、たまたまわれわれの検査の対象に入ったものがこういう結果になったという程度のものだと思っております。四十年度におきましては、すでに大体法案も固まりまして、もう提案にはなったと思っておりますが、先ほど話も出ましたように、人員の非常にやかましいときではありますが、公取全体として——これは下請だけじゃありませんが、一応十一人の増員、わずかでありますが……。それから同時に、下請関係の協力関係費というのを、これもあまり大きな額ではありませんが、いただきました。一応予定としましては、四十年度においては、定期調査の数は二千五百程度にふやしたい。それから検査対象をこの際予定するのは少しどうかとは思いますが、少なくとも三百七十五というような数字が一応頭にあるわけでございます。そういうようなことで非常に問題の多い点がございますので、今後とも大いに強力にやっていきたいと思っております。  それから法改正の問題につきましては、いま中小企業庁長官から大体のお話がありましたので、私のほうから特につけ加えることもございませんが、通産省のほうとよく連絡をとりまして、われわれのほうも内部的にはいろいろ検討しておりますが、とにかく下請小委員会と申しますか中小企業政策審議会の答申を待った上で、それをも参照して検討してみよう。大体の考え方としましては、中小企業庁長官が言われたように、現行法において幾つかの点においてはもっとはっきりさせるとか、あるいは補充するとか、少なくともそういったことによって、やはりこの法案の施行をもっとはっきりさせる必要があるのではないだろうかという気持ちは持っております。具体的にどの点をどういうふうにという点は、審議会の結論を見た上でわれわれのほうも最後の結論を出したい、かように考えております。
  72. 板川正吾

    板川委員 審議会の審議の過程は、まだ結論が出ないんだろうけれども、結論が出たら法改正をこの国会でやるということになりますか。
  73. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 通産省と共同の答弁ということで御了承願いたいと思いますが、これは内閣のきめられることですから、ここでもってはっきりした方向を申し上げるのはいかがかと思いますが、通産省としましても、また公正取引委員会としましても、答申を拝見した上で、答申自体が、こういう点を改正したほうがいいんじゃないかという御意見があれば、それを尊重した意味において法改正を提案したいという気持ちは持っております。しかし最終的な問題になりますと、これは内閣の問題ですから、そこまで申し上げるのはちょっと行き過ぎじゃないかと思いますので、その辺だけは御了承願いたいと思います。
  74. 板川正吾

    板川委員 法改正ですが、私らもいま考えているのですが、下請代金支払いという点に主点を置けば、公取主、通産省、中小企業庁従という形になりますね。優越した経済力を乱用してはいかぬというたてまえの公正取引委員会というたてまえから、下請代金支払い遅延防止法は公正取引委員会の管轄になっている、こういうことなんです。しかし下請取引に一つの社会的な基準というものをつくれということになると、あるいは中小企業庁が主になり、その中に下請代金の支払い関係において公取が入り込む、こういう形も考えられると思うのです。われわれこの、審議の経過あとで伺って、われわれもいま鋭意検討中ですから法案を出したいと思っておりますが、ひとつりっぱなものを用意してもらいたいと思うわけです。  それから中小企業庁長官にこの際伺いますが、臨時国会で中小企業危機打開に関する決議案というものがあって、十数点にわたる内容の決議がされました。その決議の執行状況はどういうぐあいになって、効果をあげておりますかどうか、その点について御報告を願いたい。
  75. 中野正一

    ○中野政府委員 先般の臨時国会におきまして、中小企業危機打開決議というものが行なわれました。相当の項目がございましたから、各項目に従ってわれわれとしては行政措置をできるだけやってきたつもりでおります。しかし十二月には御承知のような非常な件数、金額ともに最高の倒産状況を示すというようなことで、一月に入りましてはいまのところ一応四百件、四百億程度ということで相当減少してきておりますが、しかし中小企業の実態を見ますと、これは中小企業だけでなくて日本産業界全体じゃないかと思いますが、いまはむしろ金融をゆるめてきてから景気が悪くなってきているということが実態でありまして、中小企業におきましても実質的に相当危機的な様相をはらんでおるというふうにわれわれは見まして、さらにいろいろの手を打ってきております。特に各項目があがっておったうちで、法的な改正あるいは予算措置等をどうしても必要とするというようなものにつきましては、大体何十点をつけるかということになると問題になりますが、まあ六、七十点ぐらいのところをつけられるぐらいの措置を私としてはとれるのではないか。しかし、さらに今後たとえば小規模事業の共済制度あるいは無担保証人による信用保証制度、そのほか下請のあっせん機関をつくれというような御要望もございましたが、そういうふうなものにつきましては、予算あるいは法律上いろいろ措置をまたお願いする段階にきておると思います。
  76. 板川正吾

    板川委員 時間になりましたから、この程度で本日は終わりといたします。
  77. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員長代理 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時十五分散会