○熊谷
政府委員 お手元に資料が差し上げてございますので、ごく簡単に通産省
予算について御
説明を申し上げます。
まず、
昭和四十
年度通商産業省所管一般会計の予定経費要求額でございますが、六百十六億余でございまして、三十九
年度の
予算に比較いたしますと百二億余の増加で、伸び率といたしましては二〇%になっております。
まず第一、
輸出振興及び
経済協力費につきましては、五十九億円余を計上いたしております。これは、前
年度に比し四億六千万円余の増でございますが、前
年度におきましては、日本貿易
振興会に対する五億円の出資がありましたので、これを除いて比較いたしますと、九億円余りの増加となっております。
輸出振興につきましては、日本貿易
振興会の事務費補助として三十二億円余を計上し、海外市場の
調査、海外施設の
運営等総合的な
輸出振興事業を一そう強力に行なうこととしております。
その他、雑貨
輸出振興費、プラント
輸出振興費、工作機械
輸出振興費、生糸及び絹織物
輸出振興費として、それぞれ必要な経費を計上いたしております。
次に、
経済協力費でございますが、主要な経費といたしましては、アジア
経済研究所に対する補助金として四億円余を計上しておりますほか、海外
技術開発等協力費、海外
技術者受け入れ研修事業費、低
開発国一次産品
対策費等を増額して、低
開発国との
経済協力をさらに一そう
促進することといたしております。
第三に、
中小企業対策費でございますが、
中小企業問題の
重要性にかんがみまして、最
重点項目として取り上げ、前
年度に比し三十四億円増の百五十億円余りを計上いたしております。
そのうち、
中小企業の
近代化、高度化につきましては、
中小企業設備近代化補助金として五十億円を計上し、また、一般会計から
中小企業高度化資金融通特別会計へは、六十六億八千万円の繰り入れを行なうとともに、貸付条件の大幅な
改善をはかることにいたしております。
また、小規模企業者の相互扶助による共済
制度を創設するため、
小規模企業共済事業団を
新設することとし、これに対して七千万円の
政府出資及び補助を行なうことといたしております。
このほか、小規模事業
対策推進費として十七億円余、
中小企業指導センターに対する出資及び補助として三億七千万円余、
中小企業指導事業
強化費として五億余を計上しております。なお、形式的には大蔵省計上
予算となっておりますが、実質的には
中小企業関係予算といたしまして、
中小企業信用保険公庫への出資六十億円を計上いたしております。
第三に、
国際競争力強化費でございますが、これにつきましては、一般会計よりもむしろ
財政投融資による
対策が重要な役割を占めているということができるかと存じます。
一般会計からの
国際競争力強化対策費は、主として地下資源
開発費でございまして、新鉱床探査費補助として四億円を計上いたしましたほか、金属鉱物探鉱
促進事業団の行なう地質構造
調査に対する補助金として一億余を計上したこと等でございます。
第四に、
技術振興及び特殊行政
強化費でございますが、前
年度に比し九億六千余万円増となって、九十八億余万円を計上いたしております。その主要なものは、
試験研究所の特別研究費、重要鉱工業
技術試験研究委託費、鉱工業
技術研究費補助金等でございます。
また、
特許行政の
強化費といたしましては、
特許等の、審査審判の
促進をはかることを
重点に、十六億七千万円余を計上いたしてございます。
第五は、地域
振興及び
産業基盤強化費でございますが、そのおもなものは、工業用水道事業費補助でございまして、前
年度に比し十二億四千万円余増の八十二億六千万円余を計上いたしております。
第六は、
エネルギー対策でございますが、そのおもなものは、
石炭対策費でございます。
石炭対策につきましては、昨年末第二次
石炭鉱業調査団の答申を得ましたので、
政府といたしましても、そのお答申に沿った諸
施策を明
年度以降進めてまいりたい
所存でございます。
予算といたしましては、前
年度に比し二十八億余増の百四十五億余を計上してございます。
内容といたしましては、四十
年度から
赤字企業に対する利子補給を行なうため九億五千万円を新たに計上しておりますほか、電力用炭代金清算株式会社を
石炭共同販売株式会社に改組して
石炭の共同販売
業務をも行なわせるため、五千万円の
政府出資を計上し、また鉱害賠償基金を鉱害基金に改称して、従来の
業務のほか新たに鉱害予防のための融資をも行なわしめるため、三億円の
政府出資を計上いたしております。
このほか、
石炭鉱業の
近代化を助成するための資金として、
石炭鉱業合理化事業団への出資金五十五億円余、炭鉱整理
促進費四十二億円余、保安不良炭鉱整理
対策費六千九百万円、産炭地域
振興費二十五億円余、その他
石炭技術振興費、鉱害復旧事業費、炭田
開発調査費等につきまして必要な経費を計上いたしております。
また、
石炭関係以外といたしましては、可燃性天然ガス探鉱費として四億円を計上してございます。
第七は、
産業公害及び
産業保安対策費でございますが、まず
産業公害対策につきましては、最近におきます
産業公害問題の緊要性にかんがみまして、従来からやっております大気汚染等の
産業公害対策及び工場排水
対策を引き続き
実施しますほか、新たに新
産業都市など新規の工業地帯のうち、三地域、一河川につきまして公害
防止のための事前
調査費として三千五百万円を計上し、また厚生省と共管のもとに
公害防止事業団を
新設いたすことにしております。
以上のような
産業公害対策行政費といたしましては、計五千五百万円を計上いたしておりますが、このほか、前に述べました
技術振興費の中に含まれております特別研究費や研究施設費のうち、
産業公害防止技術の研究
開発に関する経費二億余を加えますと、二億五千九百万円が
産業公害対策費として計上されているわけでございます。
次に、
産業保安対策でございますが、最近における化学工場の相次ぐ爆発事故の
防止対策といたしまして、特定の化学工業を対象に新たに立法
措置を講ずることとし、また鉱山の保安につきましては、さきに述べました
石炭鉱業合理化事業団への出資金のうち、七億九千万余は保安施設に対する融資に向けられるものでありまして、これにより
鉱山保安施設の
整備充実をはかるほか、ボタ山災害
防止対策費として一億六千万円、
鉱山保安監督検査費として五千八百万円等を計上いたしております。
最後に、消費者
対策につきましては、計上経費は多額ではございませんが、消費者保護の見地から、家庭用品品質
表示法の施行、日本消費者協会への事業補助、苦情
処理、商品テスト、アフターサービスの実態
調査、消費者教育等の諸
施策を
推進してまいる
所存でございます。
以上をもちまして当省所管の
一般会計予算に関する
説明を終わりますが、詳細につきましては、お手元の
一般会計予算要求重要
事項表をごらんいただきたいと存じます。
次に、当省所管の特別会計につきまして、
昭和四十
年度歳入歳出
予算の大要を簡単に御
説明申し上げます。
まず、アルコール専売事業特別会計でございますが、歳入予定額は六十九億余、歳出予定額は五十七億余であります。
輸出保険特別会計につきましては、歳入予定額及び歳出予定額とも百六十七億余でございます。機械類賦払信用保険特別会計につきましては、歳入予定額及び歳出予定額とも十三億余でございますが、歳入予定額のうち二億円は、一般会計からの繰り入れでございます。また、
中小企業高度化資金融通特別会計につきましては、歳入予定額及び歳出予定額とも六十七億円余でございますが、そのうち六十六億八千五百万円は、さきに述べましたように一般会計からの繰り入れでございます。
次に、当省関係の
財政投融資計画について御
説明いたします。
昭和四十
年度におきます当省関係の
財政投融資計画総額は、四千八百二十億でございまして、これを
昭和三十九
年度当初
計画と比較しますと、九百二十三億円、伸び率にしまして約二四%の増加となっております。
以下、機関別にその
概要を御
説明いたします。
まず、日本
輸出入銀行でございますが、
輸出振興が
経済発展の基本的
課題でありますことから、その資金を量質両面にわたり
確保充実することには特に
重点を置いております。四十
年度の貸し付け
計画としましては、プラント類を
中心とする
輸出の伸長と
経済協力を
促進するため、三十九
年度当初
計画より三百四十五億円増額して、千九百四十五億円を予定し、このため、出資二百九十億、融資九百十九億、計千二百九億の
財政資金を投入する
計画でございます。
次に、
中小企業関係政府金融機関でございます。
中小企業対策には、
政府としても最
重点を置いて各機関の融資の
強化充実をはかることとしており、これらの貸し出し規模は、三十九
年度当初
計画に比して約二〇%
拡大する
計画となっております。すなわち、
中小企業金融公庫につきましては、
財政融資七百四十三億円、
政府保証債三百億円を
計画し、商工組合中央金庫には
財政資金による商中債の引き受け純増百三十四億円を
確保することとしております。また、国民
金融公庫につきましては、
財政融資八百六十八億円を
計画しており、このほか、一般会計出資二十億円を予定しております。
次に、日本
開発銀行につきましては、
施策の
重点を
国際競争力強化のための
産業の
質的充実、
エネルギー対策の
推進、
技術の
振興と新規
産業の育成、
産業公害の
防止、地域
開発の
促進に置きたいと
考えております。新たな
施策といたしましては、
石油業の体質
改善を
推進する見地から、中小規模
石油企業が流通販売面の
合理化をはかるため設立する共同販売会社に対する融資を行なうこととし、四十億円の融資ワクを計上いたしております。その他の
施策につきましてもその
拡充強化をはかり、
運用総額は、三十九
年度の当初
計画に対し、三百八十九億円増の千六百七十七億円を
確保するものとし、このため
財政融資等を千五億円予定しております。
次に、電源
開発株式会社についてでございますが、四十
年度におきましては、三十九
年度に着工した
石炭火力発電所三基の建設を
推進するとともに、引き続き大水力電源
開発の工事を
推進することに主力を注ぐこととし、三百五十七億円の工事規模を
確保し、このため出資十五億円、余農資金を含めまして融資二百七十億円等、合計三百九億円の
財政投融資を予定しております。
次に、
石油資源
開発株式会社につきましては、前
年度に引き続き海外における原油の探鉱を
拡大することといたしまして、十一億円の事業規模を
確保し、このため七億円の
財政出資を行なう
計画でございます。
次に、
石炭鉱業合理化事業団でございますが、非能率炭鉱の終閉山に伴う炭鉱離職者に対する退職金
支払いを円滑に行なわせるため、
財政資金十五億円の融資を行なう
計画でございます。
また、産炭地域
振興事業団には、三十八億円の
財政融資を予定し、さらに、鉱害基金に対しては十一億円の
財政融資を予定しております。
次に、金属鉱物探鉱
促進事業団でございます。地質構造
調査の
業務につきましては、すでに御
説明しだとおりでございますが、探鉱資金の融資
業務につきましては、貸し出し規模を前
年度の二十億円から二十二億円へと
拡大し、これに必要な出資二億円及び融資十七億円の
財政投融資を
計画しております。
日本航空機製造株式会社につきましては、中型輸送機YS−11の量産事業の運転資金として、四十二億円を
政府保証によって調達することといたしております。
最後に、
公害防止事業団について申し上げます。業産公害は、近年ますます大きな
社会問題となってきており、これに対して根本的な
対策を講ずることが強く
要請されるに至っておりますので、この際
産業公害の
防止を
重点的かつ積極的に行なうため、新たに
公害防止事業団を設立し、公害
防止施設等の
整備を
推進することとし、これに要する資金として二十億円の
財政融資を行なう
計画といたしております。
以上をもちまして、
通商産業省所管の一般会計及び特別会計の
予算並びに
財政投融資計画の御
説明を終わります。
何とぞよろしくお願い申し上げます。
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