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1965-06-02 第48回国会 衆議院 社会労働委員会 第38号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年六月二日(水曜日)    午前十時四十三分開議  出席委員    委員長 松澤 雄藏君    理事 小沢 辰男君 理事 齋藤 邦吉君    理事 澁谷 直藏君 理事 河野  正君    理事 八木  昇君 理事 吉村 吉雄君       伊東 正義君    熊谷 義雄君      小宮山重四郎君    坂村 吉正君       田中 正巳君    竹内 黎一君       中野 四郎君    藤本 孝雄君       松山千惠子君    粟山  秀君       山村新治郎君    亘  四郎君       淡谷 悠藏君    伊藤よし子君       大原  亨君    滝井 義高君       楢崎弥之助君    成田 知巳君       長谷川 保君    松平 忠久君       三木 喜夫君    八木 一男君       山田 耻目君    湯山  勇君       本島百合子君    吉川 兼光君  出席国務大臣         国 務 大 臣 臼井 莊一君  委員外出席者         議     員 田中織之進君         総理府事務官         (内閣総理大臣         官房参事官)  福田  勉君         防衛庁参事官         (人事局長)  堀田 政孝君         法務事務官         (人権擁護局         長)      鈴木信次郎君         文部事務官  佐藤三樹太郎君         厚生事務官         (社会局長)  牛丸 義留君         農 林 技 官 上田  滋君         通商産業政務次         官       岡崎 英城君         労働基準監督官         (労働基準局         長)      村上 茂利君         労働基準監督官         (労働基準局労         災補償部長)  石黒 拓爾君         労働事務官         (職業安定局参         事官)     住  栄作君         自治事務官         (財政局財政課         長)      岡田 純夫君         専  門  員 安中 忠雄君     ――――――――――――― 六月二日  委員淡谷悠藏君、多賀谷真稔君、長谷川保君、  松平忠久君及び山口シヅエ辞任につき、その  補欠として大原亨君、成田知巳君、楢崎弥之助  君、三木喜夫君及び湯山勇君が議長指名で委  員に選任された。 同日  委員大原亨君、楢崎弥之助君、成田知巳君、三  木喜夫君及び湯山勇辞任につき、その補欠と  して淡谷悠藏君、長谷川保君、多賀谷真稔君、  松平忠久君及び山口シヅエ君が議長指名で委  員に選任された。     ――――――――――――― 六月一日  一、母子保健法案内閣提出第九六号)  二、最低賃金法案井手以誠君外十四名提出、    衆法第七号)  三、駐留軍労働者の雇用安定に関する法律案(    中村高一君外十三名提出衆法第八号)  四、労働基準法の一部を改正する法律案井手    以誠君外十四名提出衆法第二五号)  五、家内労働法案八木昇君外十二名提出、衆    法第三一号)  六、厚生関係及び労働関係基本施策に関する    件  七、社会保障制度医療公衆衛生社会福祉    及び人口問題に関する件  八、労使関係労働基準及び雇用・失業対策に    関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  労働関係基本施策に関する件(山野炭鉱にお  ける労働災害に関する問題)  厚生関係及び労働関係基本施策に関する件(  同和対策に関する問題)      ――――◇―――――
  2. 松澤雄藏

    松澤委員長 これより会議を開きます。  厚生関係及び労働関係基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、国務大臣総務長官より発言を求められておりますので、これを許します。国務大臣総務長官臼井莊一君
  3. 臼井莊一

    臼井国務大臣 昨昭和四十年六月一日でございますが、九州の山野鉱業山野炭鉱におきまして、またまた爆発事故発生いたしました。政府といたしましては、まことに遺憾千万でございまして、罹災者及びその家族の方々に対しましては、衷心から御同情、またお見舞いを申し上げる次第であります。  そこで、政府といたしましては、すでに本年に入りましてから今回三回目でございまして、過去に二回もございましたので、炭鉱災害防止対策につきましては特に強力な措置を講じてまいったのでありますが、いま申し上げましたように、すでに三回目の爆発事故が起こりましたということは、さらに十分反省を要するところでございまして、これを機会に、ひとつ一そうの思い切った対策を講じなければならないと考えておるわけでございます。  今回の山野鉱山災害につきまして、政府といたしましてさっそく次のような応急措置をとったわけであります。第一には、災害対策本部現地に設置することにいたしまして、その本部長には総理府古屋総務長官を充てまして、部員といたしましては関係各省職員といたしまして、古屋対策本部長以下は本日十一時の飛行機現地に参りまして直ちに活動を開始する、こういうことに手はずがなっておりまして、出発いたしました。第二には、通商産業省の福岡鉱山保安監督局長以下関係職員災害発生後直ちに現地に派遣いたしまして、そして罹災者の救出について指導に当たらせております。第三には、九州大学及び筑豊労災病院等専門医師を直ちに現地に派遣いたしましたほか、現地関係行政機関に対しまして、負傷者――この負傷者一酸化炭素中毒者を含んでおるわけでありますが、これに対する応急救護措置、それから救急医療器材確保につきまして、早急に措置をとるようにいたしました。そこで一酸化炭素の患者に対する過去の経験にかんがみまして、強力な酸素を圧力をもって供給するタンクが東京のがんセンターにございますので、これを自衛隊の飛行機で直ちに現地に送る手はずを整えて、すでに発送したかと存じますが、もう一つ北海道にございますので、そこで北海道のほうの機械も、これまた飛行機現地に送る手はずを整えておる次第でございます。第四番目には、罹災者に対する迅速な補償を実施するために、労災保険金を送付いたします。  以上が大体の応急措置でございますが、なお本日八時現在におきまして、鉱山保安局のもとに届きました情報によりますと、罹災者状況は、躍災者数が二百七十四名で、死亡者数が二百二十一名、これは未収容者三十名を含んでおります。それから重軽傷者数が三十人名、行くえ不明者数が十五名、こういう状況でございます。なお、入坑者の総数は五百五十二名でございましたが、脱出者の数が三百十六名、この脱出者の中には軍軽傷者の三十八名を含んでおる、こういう状況でございまして、重ねて今回の災害に対しましては、政府といたしましてもまことに遺憾の意を表する次第でございます。  一応概略御報告申し上げる次第でございます。
  4. 松澤雄藏

    松澤委員長 次に、担当省としての立場で、通商産業政務次官より発言を求められておりますので、これを許します。通商産業政務次官岡崎英城君。
  5. 岡崎英城

    岡崎説明員 ただいま総務長官から御報告がございましたとおりでありますが、担当省通産省といたしましては、国民の皆さまに対してはもちろんのことでございますが、ここに皆さまに対して深甚の謝意を表する次第でございます。引き続いての災害で、省をあげての最大努力を払ってきたつもりでございますが、非常に申しわけない次第で、大臣も非常な遺憾の意を表されまして、ただいま辞意を表明せられておる次第でございます。  いろいろな経過等につきましては、ただいま総務長官からお話がございましたとおりでございますが、通産省といたしましては、昨夕鉱山保安局長現地に派遣いたしまして、本部とともに協力をさせていただきまして、災害対策につきまして努力をいたしたいと思います。通産省といたしまして、特にこのような事故を起こしましたことにつきまして、担当省として重ねて申しわけないと思う次第でございます。ことに意を表させていただきまして御了承賜わりたいと思います。
  6. 松澤雄藏

    松澤委員長 本件に関し質疑の申し出がありますので、これを許します。河野正君。
  7. 河野正

    河野(正)委員 ただいま所管省でございます総理府長官あるいはまた通産省から、それぞれ昨日発生をいたしました山野炭鉱におきます大災害状況についての御報告があったわけでございます。私どもも、この二百三十六名というとうとい方々の生命を奪われましたことに対しまして、心から哀悼の意を表する次第でございます。と同時に、いま国務大臣からも通産政務次官からも御報告がございましたように、ことしに入りましても北炭夕張に次いで長崎の伊主島と、大体二ヵ月ごとにこのような大災害が起こってまいりましたことを私どもも非常に遺憾に存ずるわけでございます。特に炭鉱災害が起こりましたつど、政府としてはかかる惨事を繰り返さぬよう万全の対策を期する、こういうような言明がしばしばなされておるわけでございます。特にいま臼井国務大臣の御報告にもありましたように、今日まで炭鉱災害防止については強力な処置を講じてきた、また通産政務次官のほうでは、省をあげて最大努力を払ってきた、こういうようなお話があったわけでございますが、強力な処置を講じ、あるいはまた省をあげて最大努力をしてきたにもかかわりませず、このようなきわめて不幸な事故というものが次々に起こってくる、こういう現状を一体どういうようにお考えになっておるのか。私どもも非常に残念に感じますと同時に、またこのことは、遺家族の方々にとりましても、また今後生産協力をいたしております労使にとりましても、これは労働意欲の問題もございます。生産意欲の問題もございます。将来に対する不安もございます。私たちは今日までも非常に大きな努力を払ってきた、こういう言明にもかかわりませず、次々と大災害が起こってくる、それは一体どういうところに真の原因があるのか、大きな隘路というものがどういうところにあるのかということをお考えになっておりますか。この点はたびたび申し上げますように、非常に重大な問題でございますので、あらためて国務大臣からの御所信を承っておきたい、かように思います。
  8. 臼井莊一

    臼井国務大臣 ただいま御質問また御意見の中にございましたように、こういうような事件が短期間のうちに続いて起こるということはまことに遺憾なことでございます。そこで、こういう災害が起こりますと、本部のほうからもそれぞれ専門家を派遣いたしまして、一体どういうわけでこういう大災害発生したかということについて調査団を直ちに派遣するのでございます。しかしながら、たとえば伊王島のように、なお発火状況が続くというので水で埋没さぜるというようなことになりますと、その原因調査がなかなかできにくくなる、こういうような問題等もございまして、真の爆発原因というものの調査にはなかなか骨が折れるようであります。しかしながら、いろいろ従来の多くのこういう災害から類推して、今度もやはり第一にはガス発生が非常に多くなって、それにハッパ先の爆破か、あるいは電気のスパークか、あるいはつるはしの火花によるか何かで爆発が起こって、さらに炭じん爆発を誘発したのではないかというふうに推論されます。そこで、ガスが多量に発生した際には、直ちにこれを探査してこれの排除に応急措置を講ずるとともに、炭鉱にある者も応急の避難をするとか、そういうことを当然やるわけでございましょうし、今度も、新聞等で見ましても、十倍近くのガス発生したというので、これを電話をかけに急報に行った際に爆発がすぐ起こった、こういうことでございますので、急激に多量のガス発生したというふうに想像もされるのでありますが、詳細なことは、いずれ専門調査団によってこれが調査されることと存じます。いずれにしても、そういうガスなり炭じんなりが非常に多いということ、これを察知することが必要でございまして、これが自動的に報知できるような、警報を発するようなことでも考案ができれば、それだけ迅速にこういう災害を防げることでございます。これらもまだ十分開発されていないようにも聞いておりますが、しかし、ある程度はこういうものについての開発を急ぎつつあるということで、人力によってのそういう探査ばかりでなくて、科学的に、自動的に 報が発生できるようなことも早く開発をして、装置すべきではないかと思います。それとともに、それまでは、少なくとも保安要員等を十分に用意して、こういう発生原因となるようなことが起こった際には、直ちにこれに対する応急措置をとる。また鉱山監督局におきましても、やはり監査は十分にやっておるのでございましょうけれども、その監査後にまたこういう事態が起こったというところに今回の不幸もあるのではないかと思いますが、いずれにいたしましても、専門家によって十分原因を突きとめて、これによって対策を十分にしなければならない、かように考えるわけでございます。
  9. 河野正

    河野(正)委員 私どもも、この災害審議につきましては、本日から党を代表する調査団現地におもむきますので、それらの事情が明らかになりまして以後いろいろ突っ込んだ審議については伺ってまいりたい、かように考えるわけでございます。しかしながら、このような戦後第二の大災害というような不幸な事情でございますので、特に根本的な点について、時間の都合等もございますから、若干お伺いをいたしておきたいと思います。  その第一は、この優秀炭鉱と称せられる炭鉱に次から次に大きな事故が起こってきた。そこで、マスコミ等に言わせますと、政府の言を優秀のことばの中には、人命の尊重という意味はないのかというような強い批判もあるようでございます。私どもが承知する範囲におきましても、昭和三十年当時におきまして、大体六・四人に対して一人の事故犠牲者が出るというような事情でございましたが、昭和三十九年になりますと、三・八人に対して一人の割合で炭鉱労働者事故というものが発生する、こういうことになりますと、大体四人に一人の事故発生しておるというきわめてきびしい情勢でございます。ところが一方では、科学技術が進歩いたしますと、安全確保という面におきますところの技術というものも、当然進歩しておるというふうに考えなければならない。安全確保に対します技術というものは遊歩する。ところが、それに比例をして炭鉱犠牲者というものが減ってくれば話はわかるわけですけれども、片一方では安全確保技術面というものは進歩する、一方においては犠牲者というものが倍増するというような逆の現象が出てまいっておるだけに、私どもはどうも納得がいかぬという主張があるわけでございます。特にこの山野の場合には、一週間前に坑内火災があったというような事情もございます。そこで、きょういろいろな方々意見を聞いておりますと、一週間前に坑内火災があったので、そこで坑内の一斉点検が行なわれておるならば、このような事故というものは未然に跡げたのではなかろうか、こういう説明もあるわけでございます。そういうことを考えてまいりますと、いままでしばしば指摘されたところでございますが、いわゆる石炭が不足する、何とかして生産確保しなければならぬ、そういうような生産向上に追いまくられて、そのために無理が重ねられる、その無理が重ねられた結果というものが今日の炭鉱災害ではないか。特に山野の場合には、一週間前には坑内火災があった。しかし、生産をあげなければならぬというようなことで、坑内の精密な点検というものを怠って、そのためにこの大事故発生したのではないか、こういうような非難も実はあるわけでございます。そこで、生産性向上のために、どうもそれが重点主義になって、そのために炭鉱労働者というものが次々に犠牲になる、この点がいま一番心配されておるところだというふうに考えておるわけでございます。そこで、この点はしばしば当委員会においても強調されたところでございますので、この点に対します御見解をひとつ率直に承っておきたいと思います。
  10. 臼井莊一

    臼井国務大臣 お説のように、優秀炭鉱と称せられたこの山野炭鉱にも今度のような大災害が起こったといろところに、全く一つの問題があると存じます。優秀という意味、どういう点で優秀と言われたのかは私も十分承知しておりませんが、優秀と言う以上は、単に生産増強生産力があがっておる――聞くところによると、月に四万トンも地産がされて、三井と分離してからさらに成績がそういうふうによけいにあがったという、そのことだけで炭鉱として優秀だということが言われないのは、私は当然だと思うのでございます。やはりそこに働く従業員のための保安の施設というようなものが十分にさらに配慮せられて、災害ばかりでなく衛生的な面についても十分配慮をされる、こういうもろもろの条件がそろわなければ、優秀な炭鉱であるとは常識的に考えても言われないはずでございますが、私も現地を承知いたしておりませんから、その点については何とも申し上げられません。しかし、いずれにしても優秀と言われるからには、相当そういう意味配慮もあったと私は信じておるわけでございます。しかし、いずれにしても結果的にこういう大災害が起こったということについては、これは会社に重大な責任があるわけでございまして、また政府といたしましても決して責任を回避するものではございませんけれども、ただ聞くところによると、問題は、組夫と申しますか、下請と申しますか、何かそういうあれが相当いるように――実はきよう、古屋長官災害対策本部長として現地に行く際にいろいろ打ち合わせて行ったのですが、それで実は心配しまして、それに対する手当てなどについても特に配慮しなければならぬだろう、こういうことでございますから、私もその点は特に注意をするようにということで申してやったのでございますが、今日の科学をもってすれば、こういう災害がたびたび起こらぬで、原因が究明されればそれに対する対策というものは当然とらるべきはずのものが、こういう結果が起こったということはまことに残念でございます。なおまた、短期間にこういうことが起こった、前の夕張なり伊王なりの原因がはっきり突きとめられて、そしてそれに対する災害対策がとられるに至らないうちにこういうことが起こったことに、共通の問題があるのか別の問題があるのかは調査の結果に待たなければならぬですが、いずれにしても短期間に重なって起こったということは、これはまことに重大なことで、今後の対策につきましても、この際よほど政府も、また各会社もこの点に注意をして、努力をする必要があると私も考えているわけであります。
  11. 河野正

    河野(正)委員 いま国務大臣からいみじくもお答えがあったわけでございますが、この炭鉱災害発生する、そしてその原因というものが明確にならないまま次の事故がまたまた発色する、この点がまことに重大な問題だと思うのです。そういうことを考えてまいります場合に、私どもが特に今度の災害についても感じますことは、新聞報道等によりますと、係員ガスの測定をいたしましたところが、空気中におきまずガス含有量が九%であった、そこであわてて電話の受話器を握ったときに偶然爆発した、こういう報道がなされております。そこで、あわてたこともわかるのですけれども、大体空気中のガス含有量というものが五%以上であれば、爆発危険性があるというふうに私どもは承知いたしております。そうすると、いきなり九%のガスが大量に出てきたのかどうかというような点について、非常に疑問を持たざるを得ない。これは夕張の場合もそうでございましたが、たとえば夕張の場合は、鉱務監督官北炭夕張炭鉱係員を呼んで注意をした。その係員現地に帰る途中で大爆発が起こった、こういうことがいわれております。しかも今度の山野の場合は、鉱山保安局監督官定期検査ということで山元に行っておった、こういうことをきのうのテレビでも放送いたしております。監督官が現場に行っておって、そしてこの爆発が起こっておる。私どもの感じますことは、会社側も、それから政府出先も、どうも責任回避重点を向けて、そして責任を回避しよう、そういうことに重点が向けられるから、したがって原因というものはなかなか明確にならない。そこに次々に炭鉱災害が起こってくる一番大きな原因というものがあるのではないか、こういう印象を持たざるを得ないというのが私どもの率直な気持ちです。ですから、私どもは、やはり今後の対策を強力に行なっていくという意味においても、過去の手落ちの点は手落ちの点、あるいはまずかった点はまずかった点というものを十分自覚をして反省をし、その上に立って今後の強力な体制、対策というものが立てられなければ、いつまでたっても炭鉱災害というものは防止することはできぬと思うのです。ところが、過去にやってきたものについては常に責任回避というようなことが考えられておるというような印象を受けるのは、私はまことに遺憾だと思うのです。いずれあらためて論議する機会はあると思いますけれども、そういう責任回避的な会社側なり政府側、特に出先でございますけれども、そういう態度というものが、依然として炭鉱災害を引き起こす原因になっているのではないかという強い印象を私は持っておりますので、そういう点、大いに反省をされる必要があると思いますし、またそれに対する国務大臣の御所見を承っておきたいと思います。
  12. 臼井莊一

    臼井国務大臣 との点は、決して政府としても責任をのがれようというような考えはございませんで、将来に向かって努力はいたしておるのでありますけれども、しかし、実際にこういう問題が次々起こる以上は、事実がそういうことでございますから、これに対してあまり弁解がましく言うことはむしろ御遠慮申し上げて、災害に対してはまつ正面から向かって、そしてこの原因を探求して、政府もまた業者側も、将来こういうことのないように、真剣に反省の上に立って取り組むことが私は必要だと考えます。したがいまして、決してその責任を回避している、こういうわけではございません。したがいまして、通産大臣も非常にその点は責任をお感じになっておられるわけであります。私どもしろうとでございますから、正確などうこうということは申し上げられないのですけれども、どうもそういう、たとえばガス発生して爆発を起こす、あるいは炭じんが多くなって爆発を起こす、こういうことでございますので、第一に、ガス発生したときはまずそれの察知を早くすること、そうして排除し、すぐに退避すれば、それである程度防げるわけなんですけれども、この察知がおそいというところに一つの問題がある。それからまた、ガスがあってもそれに発火機会を与えるようなことについて、これもなかなか、物理的現象火花が散るのでありましょうから、これをなくするということはむずかしいかもしれませんけれども、これに対して何かもら少し現代の科学をもってしてこれを防ぐ方法がないものか、こういうふうに、しろうとしろうとなりに私ども考えるわけであります。  いずれにいたしましても、すみやかにそのガス発生を探知する、これが一番、きわめて常識的なことでありますけれども必要なことで、これはさっき申し上げましたように、絶えず保安要員がそのガス量の検知をしていればある程度防げるわけですけれども、そこにやはり保安要員の数という問題も確かに起こってまいるかと思うのであります。  もう一つは、先刻申し上げたように、もう少し科学的にガス発生察知できるような機械と申しますか、そういうものが開発されて、そして要所要所にそういうものが配置されておれば、警報を発すればそこですぐに退避する、ガスの排除をする、こういうことがとり縛るわけで、それらにつきましてまだ実際に役に立つような対策が講ぜられないということは、まことに残念でございます。しかし、そうでなくとも、外国の例などは私よく知りませんけれども、やはり外国などでも炭鉱はあってやっておるのに、外国でももちろん災害は間々あるでございましょうけれども、しかし、そういうふうに続いて起こるというふうなことは、私寡聞にしてそう聞いておりません。そこで、実は総理府にも産業災害審議会がございまして、そしてこういう産業災害については特に留意をしてひとつ御審議をいただこうということで、昨年度の予算などはきわめて少なくて、六十五万ということで委員方々にも非常に御不満を買ったのですが、本年度の予算ではこれを一千万円にふやしまして、それでも必ずしも十分でないかもしれぬ、外国などへおいでをいただいて、そしてこれらの問題についても十分御調査いただいて、日本の災害対策のために資そう、こういうことで、それで予算が足りなければ内部でいろいろやり繰りでもやっていって、産業災害に特に力を入れていきたい。交通の災害もございますけれども、産業災害に特に力を入れていきたいということで、その用意はいたしておるわけであります。
  13. 岡崎英城

    岡崎説明員 ただいまの御質問、御意見の間に監査官の責任問題等がございましたようですが、通産省といたしましては、この点については過去の災害におきましても非常によく努力いたしたのでございますが、二度も大きな災害を起こしましたものですから、川原鉱山保安局長を実はかえまして、新たな見地から十分研究するようにというので新局長を最近任命いたしましてやっておるというふうに、責任の所在というような点は将来とも一そう明確にいたしまして、責任回避ということがないような態度でものごとを処置していきたい、こういう覚悟でございます。いま臼井国務大臣から言われましたことに補足して、一言通産省の立場からの実情を御報告いたしておきたいと思います。
  14. 河野正

    河野(正)委員 いろいろ責任の所在は明確にするとおっしゃっておるけれども、そういうお答えは、炭鉱災害が起こりますつど私どもは承っておるわけです。にもかかわらず災害が起こってくるところに、非常に大きな問題があるというふうに私は御指摘申し上げておるのです。私は、単にことばの上で責任の所在を明確にするということでなくて、こういう災害が起これば一切の関係者は総辞職するんだ、通産大臣は辞表を出されたようでございますけれども、私はやはりそういう心がまえというものが必要だと思うのです。災害というものは人災ですから、単に炭鉱労働者犠牲になるということだけでなくて、一切の関係者の方々責任をとるという心がまえが必要だと思うのです。特に今度の山野の場合も、現地のいろいろな報告を承ってまいりますと、これは明らかに合理化のひずみだ、人員は縮小する、しかも半分以上は組夫、そして能率は全国の平均よりも二倍半以上の能率をあげておる。能率をあげれば労働者の労働条件はどういう条件でもよろしいんだ、悪条件でもよろしいんだ、あるいは坑内設備はどういう状態でもよろしいんだ、特に坑口におきますガス含有量というものは九%、五%もあれば爆発する危険性がある、こう言われておりながらも九%もあった、これでは私は第一、政府が優良炭鉱とおっしゃること自身が不可解、こういうように指摘せざるを得ぬと思うのです。ですから、いずれこの問題についてはあらためていろいろお伺いし、また責任を追及する時間もあろうと思いますのできょうは保留いたしますけれども、このような責任のあり方について私どもは承知することはできません。これは、今度なくなられたとうとい犠牲者あるいは重軽傷の方々に対しても、非常に申しわけないと思うわけであります。いろいろお答えをいただきましたけれども、私どもはそれらのお答えについては不満の意を表せざるを得ぬと思うのです。   〔委員長退席、小沢(辰)委員長代理着席〕  それから、もら一つこの際お伺いをしておきたいと思います点は、先ほど臼井国務大臣からいろいろ御報告がございましたが、その中で援護対策、援護対策は今後の問題もございますし、いま現場でただいま安否不明の方々を救出しなければならぬという問題もあると思いますが、その点に関連をしてでございます。たとえば昨日の午後零時四十分事故発生をして、十時間を経過いたしましてもなお百五十九名の方々の安否がわからぬ。またきょう政府の御報告を承りましても、きょうの八時現在でもなお行くえ不明の方々が十五名、それから収容されていない犠牲者の方が三十名、こういうけさ方の御報告でございました。そこで救急対策、救援対策応急処置については万全を期したというような御報告もございましたが、どうもそれらの点について私どもは疑問を持たざるを得ない。万全であるならば、もっと犠牲者方々の救出というものがはかどっていそうな、こういう印象を受けます。ところが、私はけさの新聞やラジオやテレビも重大な関心を持って聞き取ってまいりましたが、救援隊が非常に疲れて途中で休憩しなければならぬ。そうして休憩をしてあらためて休養をとってまた救出に当たった、こういうような報告を受けております。私は遺族族の方々あるいは安否を気づかわれている家族の方々の心情を察知いたしますならば、このような救援対策でよかったんだろうか、こういう気持ちを強く持たざるを得ぬと思うのです。そこで、先ほど臼井長官からは、救援対策については万全を期したというようなお話でございましたけれども、救援隊が途中で非常に疲れている、そのため休憩をする、そのために救出が何時間もおくれる、助かる命も助からなくなるというような結果も出てまいるかと思うのです。そうであれば私は必ずしも今度の救援措置については適切でなかった、こういうような感じを強く持つのでございますが、その点についてはどういうような反省をしておられますか、ひとつ御見解を承りたいと思います。
  15. 臼井莊一

    臼井国務大臣 現地におきましては直ちに、災害発生とともに救援隊の招集がおくれて、二十二名が三班を編成して、十四時三十分から入坑して、坑内の探査をして救出に当たった、こういうことでございまして、さらにその後に、ほかの坑道からも五十九名の七班に分かれての救援隊がかけつけて救出に当たった。  なお、自衛隊とか消防隊の関係の方々が、救援隊、救護隊のほかに多数この救出作業に当たったという報告を受けておりまして、実際に私ども見たわけでございませんから、どの程度に当たったか詳細のことはわかりませんけれども、しかし自衛隊、消防隊はそういう際には急速救援、いかなる災害に対しましても自衛隊も要請によっては出動し、救援に当たるわけでございますから、迅速に勇敢に救護の作業に従事したものと私は信じておるわけでございます。しかし、何といっても狭い坑道が爆破によってふさがれ、つぶれた個所、落盤の個所も相当にあるようにも聞いておりますので、それを排除して奥深く進んで救助に参るわけでございますので、やはり相当な時間がここにかかる。こういうことで御遺族の方や関係者の方に非常に御心配をかけたばかりでなく、早く救助すれば助かる者も、あるいはそのために手おくれになるというような者もあったこと等も、このように多数でございますから推測されることはまことに遺憾でございますけれども、何ぶんにも狭い坑道がふさがれているために時間もかかり、しかもガス発生しているわけでございましょうし、いろいろな悪条件を克服して救助に当たるわけでございますから、したがってずいぶん現地においては、救護に当たられた方の努力にもかかわらず時間もかかり、また行くえ不明者も、けさの八時現在で十五名あるということはまことに遺憾でございますが、しかし、非常に努力を払われたというふうに私どもは推測いたしておるわけでございます。
  16. 河野正

    河野(正)委員 いま国務大臣からお答えになった一部についてはわかります。また、現地の救援隊の方々が寝食を忘れて、あらゆる困難を克服して救出作業に当たっておられる、そういう点について私どもは心から感謝を申し上げます。ただ私が申し上げたのは、いろいろな坑内条件のために時間がおくれるということは、これはやむを得ぬと思う。だが救援隊の編成その他に手抜かりがあったのかどうかわかりませんが、要するに、きょう私が承った報道によりますと、救援隊が非常に疲労こんぱいの極に達して、そのために救援作業を中止しなければならぬ、こういう非常事態に立ち至った。そこで、ある一定の期間空白ができて、そしてさらに救援作業が行なわれた、こういうことなんです。ですから、坑内が非常に狭くて、あるいは落盤がある、あるいはガスを探知しなければならぬ、そういう事情でおくれているということに対しては、遺家族に対しては非常に申しわけないけれども、それは私どもは全くわからないことではございません。ところが、どういう組織であったか、どういう機構であったかわかりませんけれども、救援隊そのものが非常に疲労こんぱいをして、そのために一応救援作業を中止しなければならぬ、こういうことを申し上げておるわけです。それはもう少し万全の体制ができておったならば、そういう休憩でなくて、その後新しい救援隊が入ってきて救出をするというようなこともあったろうと思います。そういうような人的な面で欠ける点があったのではなかろうか、こういうことが言われているわけです。ですから、いま臼井長官からいろいろお答えがございましたが、その一部はわかりますけれども、私どもが申し上げております点というのはそういう事情ではございません。いま申し上げますように、おそらく編成の面で何らかの手抜かり等があって救援作業というものがおくれたんではなかろうか、こういう批判というものが出てまいっておるわけでございますから、そういう意味で御指摘を申し上げたのでございますので、率直に御批判をいただきたいと思います。  時間がございませんから、私は最後にもう一点明らかにしていただきたいと思いまする点は、しばしば炭鉱災害その他の災害が起こってまいりました際に指摘をされたことでございますが、保安監督行政というものが通産関係と労働省関係に二分されておる。そこに災害防止に対しまする行政上の欠陥というものが止まれてきておるのじゃなかろうか、こういうことで、この点はしばしば指摘されたと思うのでございます。これは衆議院の本会議においても、そういう点が指摘をされてまいりました。  そこで、私はこの際、いままでしばしば指摘された点でございますから、保安行政については行政上一元化する必要があるのじゃなかろうか、あるいは今日の鉱山保安法の中でなお欠陥なり不備というものがあるのではなかろうか、あるいはまた、鉱山保安法そのものは別といたしましても、その法を運用する際に何らかの欠陥なり不備というものがあるのじゃなかろうか、こういう感じを持つわけです。これらの点はいままでしばしば指摘された点でございますが、そういう感じを持ちます。そして万全の対策を講じてきた、省をあげて災害防止のために努力をしてきたというふうな御報告があったにもかかわりませず、今日災害が次々に起こってくるわけですから、私は、ことばの上の万全じゃなくて、法あるいはその他の面においても万全を期する時期というものがきておるのじゃなかろうか。私はこの際、そういう面においても抜本的な改革なり改正というものを行なら段階がきておるのじゃなかろうか、こういうことを強く感ずるわけでございます。そこで、その点については臼井長官、それから通産省、それから労働省からもひとつ率直に御見解をお聞かせいただきたい、かように存じます。
  17. 臼井莊一

    臼井国務大臣 なお先ほどの救援のことにつきまして、前段のことについて補足いたしますが、私は自衛隊、消防関係と申しましたが、県の察方面でも非常に努力せられているように報告がきておりまするし、それから、災害が起こってから会社内の救援隊が面ちに招集されて、二十二名三班、そのほかに、さっき申し上げました五十九名七班というのは、田川炭鉱とか小舟炭鉱とか第一漆生炭鉱、こういう方面から救援隊の応援がございまして、あそこはいろいろ炭鉱がございまするので、そういう炭鉱の救援というようなことは、相当の経験なり知識を有することが必要でございましょうし、そこでそういう救援隊が中心になって、その補助的役割りを、いま申し上げたように警察関係、自衛隊、消防関係がやった、こういうことのように報告がまいっております。  それから災害防止する根本的な方策でございますが、これにつきましては、先刻も申し上げましたように、産業災害防止対策審議会でも真剣にこれらの問題を取り上げていろいろ研究をせられ、御審議いただいていることと存じますが、全くお説のようにこの際は炭鉱災害という問題にとりあえず重点をしぼって、そうして科学者方面といいますか、学者方面等も動員してこの際根本的に研究をして、これを防止する対策を立てることが必要だと存じます。ちょうど私どものほらでも、交通災害もいろいろありますけれども、陸上交通安全ということに重点をしぼって、今度私どものほらで陸上交通安全調査室を設けたのでございますが、産業災害にはいろいろございますけれども、とにかくこういうような非常に大きな災害を目の前に惹起し、しかも短期間に三ヵ所も起こったということからいたしまして、炭鉱災害というものに対しての根本的な調査なり対策、これは世界のこれに対する知識等も相当研究はされているとは存じますが、講ずることが必要だと考えますので、そこで私のほらで災害対策本部を持っている関係からいたしまして、総理府においてもこの点に特に重点を置いてやっていきたいと存じます。そのほかの関係省においても当然そういう措置をとられると思いますが、私どものほらにつきましては、いま申し上げたように考えております。
  18. 岡崎英城

    岡崎説明員 鉱山関係の保安につきましては、長い歴史を持ちまして通産省関係が一半の責任を持っていままでやってきたわけであります。しかし、自分の省だけで完全にできるものではない。労働省並びに各省ともよく御相談申し上げていかなければならないものであるということは存じながら、一生懸命やってきたつもりでございます。しかし、再々このようなことが起こりますおりからでございますから、大きな立場からこの問題につきましては考慮いたしまして、虚心たんかいな態度で機構その他の問題については対処していきたい、こういうふうに私は考えておる次第でございます。
  19. 村上茂利

    ○村上説明員 所管問題につきまして私からお答えするのはいかがかと存じますが、私ども産業災害問題の大部分を扱っております立場から申しますと、災害発生原因にはそれぞれの要因があって、問題は総合的に考える必要があろう。たとえば機械施設の欠陥による災害もありますれば、原材料に基因する災害もございますし、労働者の熟練不足という問題もございましょうし、長時間労働の疲労による過失という問題もございましょうし、災害原因は多々あると思うのであります。そういう意味で、一方においてはそれらの対策がきめこまかく専門的に深められることは非常にけっこうでありますが、一方においては木を見て森を見ないという欠陥も生ずるやもしれませんので、災害対策につきましては、企業の組織の問題、それから物的施設の問題、人の問題といったような問題を総合的に検討する必要があるのではないかというふうに考えておるわけであります。  現在、労働省の労働基準局の中に安全課、衛生課の二つの課がございましたが、本年度からこの二つを総合して労災防止対策部を設置いたしまして、できるだけ全体的に見ていこう、深めつつ、なおまた全体を広く見ていこう、そうして労働基準局の中におきましては、労働時間であるとか賃金その他の労働条件と結びつけまして問題を考えたい。むしろ私どもは、災害対策の基本を正すのは労務管理の問題である。今回のケースを見ましても、多数の組夫が使われておるようでありますが、坑内におきまして一体的な作業をなし、どこかで災害が起きますれば全坑道に波及する。最もチームワークを必要とするような労務形態のもとにおきまして、組夫が個々ばらばらの状態において非常に危険な作業に従事するということについてどうであろうか。そういった基本の労務体制の問題等もあろうかと存ずるわけであります。そういう観点からいたしまして、直接所管についてどうこうということを申し上げるわけではありませんが、労働諸条件との関連において安全管理は労務管理の一環であるという観点から進める必要があるというふうに私ども考えておる次第でございます。
  20. 小沢辰男

    ○小沢(辰)委員長代理 関連を許します。吉村吉雄君。
  21. 吉村吉雄

    ○吉村委員 関連をして簡潔に二、三お尋ねをしておきます。  今度の炭鉱爆発の問題は、私は爆発事故であるというところに非常に考えなければならないことがあると思うのです。ことしになってから、すでに三回にわたって同じような事故が起こっておる。こういうことでございますから、この原因というものについて政府がもっと本腰を入れて対策考えておったならばあるいは未然に防げたのではないか、こういうふうに考えられる節々があるわけです。私は、いまのこの炭鉱事故の問題をめぐって考えなければならないことは、何といっても政府の石炭政策というものが根本的に間違っておる。外国の石油との競争場裏にこれを立たしめようとするところにすでに――不可能なことをやらせようとするわけですから、これをやっていくためには、どうしても出産第一主義にならざるを得ない。このようになっていくとするならば、当然にして保安の問題については、企業あるいは採算というものを重点考え通産省よりは、保安重点考え、労働者の安全を期するための労働省が保安関係について責任を持つ。こういう態勢に取り組んでいかなければならないのにもかかわらず、この間の対策というものが不十分であるというところに根本的な原因があるだろうというふうに私は考えます。  そこで、通産次官にお尋ねをしたいのですけれども、この種災害が起こりますと常に通産省では、今後このようなことのないように万遺憾なきを期します、こういうような態度を表明されるわけですけれども、前二回の災害と同じような災害がまた起こった。こういう事態に対しまして、万遺憾なき対策というものは具体的には一体どういうことをやったのかを、まずこの際明確にしていただきたい、このように思います。
  22. 岡崎英城

    岡崎説明員 ただいまの御質問に対しまして、とりました対策等の詳細につきましては事務当局によってお答えいたさせますが、全国の鉱山監督局を特別編成をいたしまして、日本の国の全体の山をちゃんと区画分けいたしまして、一斉点検をするというような対策をいたしてやってきたわけでございます。また科学的な問題その他については有識者等の意見等も聞き、また二回の災害につきましてはその原因を究明いたしましてほぼ大体の結論を得ましたので、この点についての施策をただいま行なおうといたしております。また各鉱山管理者方面につきましては、大臣が特に代表者を呼びまして注意を促すと同時に、各地方地方で厳重な注意を促してまいった次第でございます。  詳細につきましては事務当局からお答えをさせていただきたいと思います。
  23. 吉村吉雄

    ○吉村委員 いずれその回答を聞いてもたいしたことはないだろうというふうに思いますから、ただ私が指摘をしたいのは、常に同じような答弁ばかり繰り返しておるわけです。同じような事故をまた再発をさせておる。こういうことに対してはもっと根本的な立場で政府全体が考えてみなければならぬだろう、こういうふうに考えますので、この際大臣にお尋ねをしておきたいのですけれども炭鉱事故というものがこんなに発生をする、しかも多数の人命が失われていく、こういう事態にあたって同じような答弁をまた繰り返すというだけでは私はたいへんなことだと思いますので、この際全炭鉱にわたって安全が確認されるまでの間は企業については操業を停止する、こういうことくらいの決意を持って臨まなければ同じような事故を繰り返すのではないか、そういう決意が政府になくては事故の再発というものが防止できないのではないか、こういうふうに私としては考えざるを得ない。ですから、労働省なりあるいは通産省政府全体として、ほんとうに安全が確認されるまでの間は操業を停止するくらいのかまえで事に臨む、こういう決意が必要ではないかというふうに思いますけれども、この点はどうですか。
  24. 臼井莊一

    臼井国務大臣 通産省におきましても、現在では責任者として鉱山保安のことにつきましてはできるだけの努力をして、その安全の確保のために監査をし、やっておるわけでございます。確かに、三回も本年に入ってからあるということは、重大な上にも重大であるということはよくわかるわけでございますが、ただ、それによって直ちに全鉱山を休むということもはたしていかがか。休まぬでもむしろ鉱山全体が非常事態といいますか、そういう心がまえを持って、政府のほらからも強く会社のほらにも注意を促す。とともに監督の衝に当たる方面でもさらに緊急の監査をするとか、しかし限りある人数でございますから、なかなか一ぺんに全部というわけにはいかないかもしれませんが、いずれにしても非常な努力をもってそういう非常に対する心がまえで政府も当たるし、会社も、とにかくそういう心がまえで保安については特にこの際極力努力をする、こういうことが必要でございます。そうしてまたよく調査をした結果、早急に結論を持ってこれに対する対策を立てる、こういうことが必要でございましょうし、先ほど申し上げましたように、とにかく鉱山のうちでも炭鉱にこのように続いて爆発事件が起こるのでございますから、爆発事件に対しての重点をここに置いて調査をして対策を立てる、こういうことが必要かと考えますので、またそれぞれ関係各省等に私どものほらでも集まってもらって、これに対するいま申し上げたような緊急対策をできるだけ講じなければならぬ、かように考えております。
  25. 吉村吉雄

    ○吉村委員 そういうことから、いままでの事故発生をしたときにあたっても、いろいろな緊急対策なりあるいは大臣からの警告なり、こういうものは発せられておったと思うのです。そしてまた同じような事故が起こっておる。しかもこれから緊急的な対策を樹立をしていかなければならない。そういうことを考えていく過程の中で、いつ何どきこういう事故発生しないという保証は私はないだろうと思います。そういう危険な状態に今日の炭鉱は置かれている。だとするならば、この事故防止していくためには、この際政府が決断を持って、そのような危険の状態にある炭鉱については、これはもう操業を停止せしめて、安全が確認をされた以降において初めて操業を開始させる、そのくらいの決意がなかったならば、大臣 警告や何かくらいのところで、私は経営者が言うことを聞くはずはないと思うのです。大臣警告で言うことを聞くくらいであったら、この事故は私は防止できたはずだと思うのです。やはり生産第一という、そういうものにいま追われているために、どうしてもやらなければならないそのための保安対策というものがおくれている、こういうところに原因があると思いますから、もっと政府が決断を持って事に当たらなければ、同じような事故を繰り返すことになるだろう、こういうふうに考えて、私はこの際相当思い切った措置ではありますけれども、そのくらいの決意を政府が持たなければいけないのではないか、こういうことを特に強調しておるわけです。これは十分検討してもらいたいと思うのです。      ――――◇―――――
  26. 小沢辰男

    ○小沢(辰)委員長代理 次に、同和問題に対する質疑に移ります。八木一男君。
  27. 八木一男

    八木(一)委員 部落解放問題、政府では同和問題と言っておられますが、この問題について、臼井総務長官をはじめとして関係の方々に御質問を申し上げたいと思います。  総務長官、御承知のとおり、同和対策審議会の結論がいま非常に論議をされておりまして、本年の七月あたりにその結論が出ようとする時期でございます。そのために、特にその前の機会においてこの問題を御質問する必要があると存じまして、総務長官においでを願ったわけであります。この点でひとつ真剣に御答弁をお願いいたしたいと思います。  この部落の解放の問題でございまするが、いわれない差別と貧乏のために三百万同胞が非常に苦しんでいる問題は、ほんとうにありとあらゆる意味で重大な問題であります。憲法の条章に照らしましても、憲法の第十四条、それから憲法の第二十二条、憲法第二十四条、憲法第二十五条、憲法第二十六条、憲法第二十七条、このような重要な条章について、この三百万の同胞が、憲法どおりの権利が実際的に保障をされていないというような重大な状態がございます。徳川時代以後数百年にわたりまして、非常に人間外の差別を受け、苦しみを受けられてすでに過去の人になった方々、その過去の非常に人権が尊重されなかったことについては、これはもらなくなった方でございまするから何ともしょうがないわけでございまするが、いまの問題について、過去を振り返りその原因を探究し、完全な対策をとらなければ、現在の差別と貧乏を受けておられる日本国三百万の同胞に対してはなはだ申しわけないことになり、また過去にそのような非常な差別を受け、人権を侵害された方々が、将来の子どもたちに対してそのようなことがないようにと望んだ霊に対しても、これは申しわけのないことになろうと思うのであります。この点で真剣に考えていかなければならない問題であります。  昭和三十三年の三月七日の日に、岸総理大臣からこの問題について、野党との質問において問題の確認がなされました。これは総務長官御承知のとおりであります。この差別と貧乏の問題、この問題は全国民的に解決をせられなければならない。この問題の根源は、徳川時代以後歴代の政府責任であり、関係者には一切の責任がない。この問題については急速に、完全な方法で全国民的に解決をしなければならない。今後の内閣がいかなる政党の内閣になろうとも、何人がその首班になろうとも、この問題について全力を傾注して解決をつけていかなければならない。しかもこの問題を各政党の利己心に悪用してはならない。その具体的な問題については、具体的に国家予算を支出することについていささかも渋るようなことがあってはならない。また、いままでこの問題に対処された環境改善その他については、十分しなければならないけれども、その問題だけではない。生活の根源の問題、すなわち労働者としての問題であり、また零細農漁民の問題であり、零細な中小商工業者の問題である。その生活の本元が立つようにしていかなければならないし、またこの問題に関係のある教育の問題であり、またあらゆる問題である。これは政府自体が対処するとともに、あらゆる地方行政団体が徹底的な意思をもって対処していかなければならない。この問題を解決するために、大蔵省は一切命を惜しんではならないというような基本的な意識の統一がございました。その問題について、時の自民党の首班である岸さんは、歴代の総理大臣に完全に申し送るということを誓約されたわけでございます。その後、総理大臣あるいは関係者である総務長官に申し送られましてこの問題が進んでおるわけでございますが、この問題の一つの具体的な推進策として、同和対策審議会が設立をされました。この七月にその結論が出ることになっております。しかしながら、この同和対策審議会が構成されるときにおいて、基本的に岸内閣総理大臣がこの委員会において公約をせられましたことが十分に果たされておりません。たとえば委員の構成において、非常に複雑な背景を持っておるものでございまするから、いろいろの点で学識経験を持っておられる方であってもこの問題の本筋はなかなかわかりにくい。したがってこの問題に限り、他審議会において学識経験者というものを先に持ってまいりまするけれども、この問題にあっては、この部落解放の問題について経験を有し、その運動を持っておる人を先にし、経験を有する者並びに学識を有する者という法律の規定をして、この問題が進められるように法律の規定がなっておるのであります。しかるにもかかわらず、その委員の任命、専門委員の任命は、経験を主とするべき法律の精神をひん曲げ、その構成が行なわれております。もちろん学識者の方々、このいまの審議会に入っておられる方々は、初めは理解が困難であっても、非常に努力をして理解をせられまして、その連動の推進に当たっておられることに対し、私どもは非常に敬意を表しておるわけでありますが、そのような構成について、最初の、政府が議会において公約をしました線を幾ぶんはずれておる線がございます。またその審議会に対して十分な予算が出されなかった。したがって、調査が完全な、十分な状態にならなかった。その十分な調査に対する地方行政団体の協力が非常に不十分だ、いろいろな点があるわけであります。  そこで申し上げたいことは、この同和対策審議会の結論が出ましたときに、その答申について完全に尊重されなければならないということが一つ。それとともに、このような構成なり予算なり、あるいは地方行政団体の協力が不十分な点がございまするから、完全に尊重するとともに、それ以上に部落の完全解放に向かった施策を立てなければならないということが第二であります。このような十二分でない状態で審議会が結論を出す、非常な努力をされますから百点満点の等申が出ていただきたいと存じまするけれども、私どもの推測では、かなりいい答申が出てもこれは九十点かそのくらいの答申であろうと思う。したがって残りの十点については、いままで申し上げたような政府責任があるわけでございますから、この九十点は完全に尊重するとともに、これを百点、百二十点という努力をすることを、政府として決意されなければならないと思うわけであります。この点について、臼井総務長官からひとつ御決意のほどを聞かしておいていただきたいと思うわけであります。
  28. 臼井莊一

    臼井国務大臣 同和対策解議会につきましては、お説のようにこの七月にその結論が出ることになっております。もう学識経験者の方々、御熱心に五年間にわたって御審議をいただいた結果でございますので、私どももりっぱな御答申が得られるものと考えております。答申が出ました暁におきましては、極力答申に沿いましてこれを尊重して、これを実行に移していきたい、かように考えておる次第でございます。
  29. 八木一男

    八木(一)委員 第一点についてお答えをいただきましたが、第二点についてお答えがございません。解議会のほうは、非常な御努力があるから非常にいい答申が出ると思います。しかしながら、内閣自体が、時の自民党の総裁が、後々の総裁についても制約をされるような確言をもって日本国民全体に誓約をされましたことについて、その後の運行が、相当努力をされておりますが、十二分ではございません。したがって審議会が、たとえば予算の制約、地方行政団体の十分な協力を得られなかったこと、また委員構成において十分な法律どおりの考慮が行なわれなかったという点でやや百点満点ではなしに、九十点、九十五点という答申になる場合もあろうかと思います。それをほんとうの意味政府の公約に従って、九十五点であれば百点にする、百点であれば百二十点にするというような努力をさらにされる必要があろうと思います。第二点についてひとつはっきりとお答えをいただきたいと思うわけであります。
  30. 臼井莊一

    臼井国務大臣 同和対策につきましては、歴代内閣はこれに対して極力努力をいたしておりまして、教育の面におきましても、また環境整備、特に住宅の問題、こういうような問題につきましても努力をいたしまして、予算も年々逐次増強をさせております。しかし、もちろんこれで十分だとは私ども考えておりませんで、さらに予算の面においても、また内容の点におきましても、たとえば教育の問題というような問題につきましても、多年にわたるこういう問題の解決の方向にひとつ努力をするようにいたしたいと存じます。  そこで、いま申し上げたように、五年間も専門的な見地から御審議いただいた結果でございますから、さだめし私ども政府としてもこれは非常に参考になり、また尊重すべき御意見が出てくると存じますから、これにつきましてはより一そう、あらゆる面でその答申の趣旨に沿ってひとつ努力をしていきたい、かように考えております。
  31. 八木一男

    八木(一)委員 総務長官、第一点は二度も繰り返して確言されたことはいいのです。審議会の結論を完全に、迅速に尊重されるということは当然のことです。その前に二回も私の申し上げた、審議会の結論がもし不十分であれば、それをより完全にずる努力政府がされなければならない。それはいまの佐藤内閣の立場だけではなしに、これは歴代の総理大臣、今後の総理大臣にも申し送る。これは、そのときの総理大臣として岸内閣総理大臣が、今後の総理大臣にも全部制約をしてそのとおりやっていただくようにするということを、当時国会に誓約をされたわけです。したがって、その問題について、審議会の努力は私どもも十分に敬意を払っております。それが完全に尊重されなければならないけれども、なおそれ以上のことについて努力をされる必要があろう、されるべきである。それが国民に対して政府が、岸内閣の総理大臣としてではなしに、今後の政府全体を縛るような意味で、それを当然やらなければならない意味で、決意を持って岸さんから誓約された趣旨である。その意味審議会の答申を完全に尊重するとともに、それ以上の努力をされるということをぜひおっしゃっていただきたいと思います。
  32. 臼井莊一

    臼井国務大臣 この同和問題につきましては、歴代政府もいま申し上げたように非常に重要視をいたしまして、この審議会の答申をいただく前から、いま申し上げましたように必ずしも御満足のいくまではいっていないことは私どももわかるのでございますが、とにかく毎年努力を積み重ねております。したがいまして、答申が出ましてもその趣旨に沿ってやるばかりでなく、政府の見地からさらにこういう点は必要であろう、あるいはまた皆さま方の御意見等につきましても十分考慮いたしまして、そうして努力を今後ともいたしていきたい、かように考えております。
  33. 八木一男

    八木(一)委員 実は速記録は三十六年三月十二日だったかもしれませんが、これは岸内閣でなしに、後代の、たとえば社会党内閣になっても、あるいは民社党内閣になっても、すべての内閣を縛るような討論が行なわれて意思統一がされております。それを後の人が受けられる政治家としての当然の任務があろうと思うのです。そういう点で、その点を、臼井さんが留任されようとも、ほかの要職につかれようとも、完全に申し送りをされるようにしていただきたいと思うわけであります。  それから、この審議会の答申でおそらく具体的なことが出てまいると思いますけれども、この問題を推進するために、ただいいかげんなことでなしに、立法措置が必要だろうと思う。それから完全な、強力な行政機関が必要であろうと思います。また、この問題について審議会がどう御答申になるか私も知悉をいたしておりませんけれども、完全な行政機関をつくると同時に、これは私個人の意見でありますけれども、私としてはさらにそれを促進し、監督しというような、さらに民主的な機関がそれに伴って必要ではないかと思うわけであります。そういう点についても十分に御検討、御配慮を願いたいと思うわけです。  先ほどに続いて申し上げるところでありますが、いま申し上げますが、この同和対策の問題について、先ほども申し上げましたような経過でありまして、この審議会の設置法も議員提案で、自民党の秋田大助君と不肖私と民社党の方と、三人が党の方々の了承を得て提出した法案でございます。その後のことも、すべて政党政派を超越して、全国民的に、政治に関与する一切の者が協力してこれをやっていこうということになっておるわけでございますから、審議会の結論が出てそれを実際に移すこと、あるいはそれ以上に少ないと思われることを進めることについて、政府といたしましては、もちろん政府の一端である自民党と相談なさると思いますけれども、野党の第一党である社会党には十分な御連絡をなさる、もちろん民社その他の政党にも御連絡なさってけっこうでありますが、そのような全国民的に解決をしようという、お互いが約束を持って進んでいる問題でございますから、それをちょろちょろと内閣だけの解釈で審議会の答申をこれで尊重したということでなしに、完全な尊重ということにいささかも間違いがないように、またその答申が不十分であったときにそれをプラスすることにおくれないように、そういう問題について野党に十分な事前の相談をされるということが当然であろうと思いますが、それについて臼井総務長官国務大臣としての御答弁をひとつ伺っておきたいと思います。
  34. 臼井莊一

    臼井国務大臣 答申が出まして一その答申がどういう答申が出てくるかわかりませんので、それをあまり予想してこうこうということをいまから申し上げることは、私必ずしも適当でないかと存じます。ひとつそういう点は、専門家の学識経験者の方々から自由な立場で御検討いただいて、お出しをいただきたいと存じます。出した結果を極力尊重することは、いま申し上げたとおりでございます。そこで、特別にその行政機関をつくることがいいか悪いかという問題につきましても、いまの政府としては、臨時行政調査会の答申もありまして、なるべく機構は拡大しないといろ方針ではありますけれども、しかし問題が重要であるからというようなことで、そういうようなこともあるいはあるかもしれません。これにつきましても、いまからここで私がどうこうということを申し上げるのは、少し行き過ぎていると存じますから申し上げませんけれども、いずれにいたしましても答申が出た暁には、これが実行できるような万全な、あらゆる措置を講ずるようにいたしたい、こら考えております。
  35. 八木一男

    八木(一)委員 答申を完全に尊重されるというお約束をされたのですから、そこに行政機関なり立法措置については、これは完全に尊重されなければいけない。それは先ほどの御答弁で尊重されると言うのだから、完全にお約束があると思うのです。それについてはっきりお答えをしておいていただきたいと思います。それとともに、先ほど私が後段で申し上げましたその問題、答申を受けてそれにちょこちょことやってこれで尊重したのだ、また早くやらなければならないものを、ちょっとでもずらしてこれで急いでやったのだというようなことがあってはならない。それで経緯から見れば、全国民的に全政党が協力してやる約束になっているわけでございますから、その答申についてそれを実施する、そういう問題について、また答申以外に積極的に実施する問題について、政府はもちろん与党と相談をされると思いますが、野党に十分な相談をされる、そのことをぜひお約束をいただきたいと思う。これは臼井さんが佐藤さんにも、そういう方にも御連絡をなさる必要がないと思う。十分にいままでその討議はされ、国会において、いま人は変われども、自由民主党の首班であった人がはっきりとお約束したことからのゆえんの問題であります。佐藤総理も、実兄が命がけで約束したことを、別にこれは制約されるはずはありません。また制約されるようなことでは、総理大臣としての任務はつとまらないわけであります。そういう意味では、この問題について野党と十分に相談はいささかも遺漏ないようにこれを推進する、そのようなお約束をぜひいただきたいと思います。
  36. 臼井莊一

    臼井国務大臣 答申を尊重することはもう申し上げてございますが、ただこれは政府の立場から行政機関としてやることでございますから、そのときの責任者のお考えがどう、いうことになるかわかりませんけれども、必ずしも党のほうと、その答申の内容をどうしよう、こうしようということで相談するかどうかということまで、私のほらからいまお約束をするわけにいかぬと思います。しかし、国会等で皆さまがこうやって御熱心に論議を重ねておりますから、野党の方々にしても与党にいたしましても、意見政府といたしましても十分わかるはずでございますから、その御意見等も十分頭に入れて、そうして政府責任においてこれを実行する、かように考える次第でございます。
  37. 八木一男

    八木(一)委員 もちろん、実行されるのは政府責任で実行されるわけです。しかし前のこと――あと同僚の委員がおられますから、私も区切りをつけなければならないけれども、そのような理解がまだ十分でないような状態でしたら、あとにお残り願って、午後、二時間でも三時間でも経緯を御説明申し上げます。私の言っていることは一点のうそもない。ただ時間が少ないからそういうふうに強烈に言っているだけで、これは全国民的に解決をしなければならない問題であって、実行の衝は政府が当たるけれども、この問題については政党政派を超越して、全国民的に解決をしなければならない。そして国民の代表は各政党である。そういう意味で、普通の意味の事務的な処理とは違う。また同和対策審議会設置法というのはどうしてできたか。これは三党の共同提出で成立をした法案であります。もちろん、成立した法律に従ってやるのは政府でございますが、根本的なこの問題についての意思統一、審議会の通行の経緯、それから問題の本質から見て、当然野党に相談されるべきものであるという認識を強くしていただきたいと思います。その意味で、もちろん形式的には政府がやられる。議会の討議もやります。しかし七月に、その時点において国会がなければ、その問題について十分でないということになろうと思う。したがって、その問題については与党にも御相談になると同時に、第一野党である社会党には十分な相談を、もちろん民社党その他の政党についても御相談をなさる、それが政治家としての当然のやり方であろうと思う。佐藤総理大臣がここにおられたならば、この点を直ちにそのとおりやるというお答えになろうと私は思います。もしなられなければ、総理大臣としての資格は全然ないだろうと私ども考えるわけです。ぜひ臼井総務長官から、この点について前向きな御答弁をもう一回はっきり伺っておきたいと思う。
  38. 臼井莊一

    臼井国務大臣 いずれ答申が出ますれば、皆さま方にもこの答申についてお知らせ申し上げることになろうと思います。そこで御相談という意味がどういうことか私は知らぬのですが、いずれ国会等においてもいろいろ皆さま方の御意見も伺うことだろうと思いますので、そういう意味においてひとつ野党の意見も聞け、耳をよく傾けろということであれば、十分御意見等につきましては私どもも伺いたいと存じます。そしてこういう問題ができるだけすみやかに解決の方向に向かって進みまして、ひとつ国民全部が融和する、こういうことに努力をいたしたい、かように考えます。
  39. 八木一男

    八木(一)委員 臼井総務長官、御答弁が少し前向いてきましたけれども、まだ不十分であります。申し上げたことを総理大臣に申し上げられて、総理大臣はそのようなことについて野党に十分に相談をしなければならない。前の岸さん、兄さんが約束したので、岸さんにも聞いて、三月十二日の速記録を読んでその決意を固めていただくようにお伝えをいただきたいと思います。きょうこのような内閣改造の前でなければ、佐藤さんに直ちに来ていただきますけれども臼井総務長官がそれを実行し、それが具体的に実行にならないようでしたら、次の機会に総理大臣を追及いたします。これは断じて、そのとおりなされなければ私どもといたしましては承知ができない。全国民的に承知ができない問題である。ことに憲法の、先ほど申し上げた各条章に違反している問題を直そうという問題であります。憲法九十九条、われわれ国会議員の責任であります。国務大臣責任であります。ですから、都合でどうとかこうとかいう問題ではなく、総理大臣以下憲法の条章に従って、この問題についてあらゆる角度からこの約束に従って努力をしなければならない。その具体的な問題としていまの問題があるということを、腹の底から認識をして問題に当たっていただかなければならないということを、ぜひ御記憶を願い、総理大臣にはっきり明確にお伝えをいただきたいと思います。  次に、時間がこれで経過いたしましたから簡単に申し上げます。いま総務長官が少し言われました住宅とか環境改善、これはまだなっておりません。大正年間においてこの環境改善事業は計画をせられました。そのときに最終の計画は、七年間に五千万円の支出を要する計画でございました。物価の指数がいろいろの計算によって違いますけれども、たとえば千倍と仮定をいたしましたら、これは五百億円に当たるわけです。七百倍として計算をしましたならば、三百五十億円に当たるわけであります。政府の予算は、本年度はわずかに二十億であります。昨年度より四億ふえたにすぎません。そのような問題は九牛の一毛にもすぎない。それでかなりやったという認識であれば、部落問題に対する本質的な認識を持っておられない証拠であります。どんなにこの三百万の大衆が、憲法の各条章を過去に保障されず苦しい目にあっているか。あらゆる面に出ております。これは同僚の各委員から御指摘になろうと思いますから、簡単にしか申し上げません。零細農業がどうしている、零細な商工業がどうしている、不安定な労働者がどうしている、貧しい父兄を持つ生徒がどのような状態にある、そのような人の就職がどういう状態にある、そういうあらゆる問題の根底にこの部落問題があるわけであります。その中の一番激しい状態にあるわけであります。その問題に対処するために、たったの二十億でかなり努力したというような御認識ではいけない。そういうことがあるから、同和対策審議会の結論が出たときにも、そこに数字が明記されていないときに、これくらいでよかろうというようなことになるとたいへんだから、さっきのことを申し上げているわけであります。また、明記された数字が、先ほど言ったような経過で政府に対する遠慮というような意味がちょっとでもあって、当然出すべき数字が遠慮されて出されないということになれば、これもたいへんなことだ。ですから、さっきから申し上げているわけだ。今度の国会で、医療保障の問題で薬価の一部負担という問題が徹底的にあらゆる面から追及をされ、ついに提出ができなかった。その薬価の一部負担の一番被害を受けるのはだれか。一日百円、二百円に困っている人が被害を受けるわけだ。国民健康保険の被保険者が保険料は取られて、これは薬価と関係ありませんが、本人負担があるために、その金がないために自分が保険料を納めた反対給付をもらう権利を放てきして、売薬で済ませるのが部落の大衆の大部分であります。日雇い労働者健康保険の適用者は一〇〇%給付であったけれども、ここで薬価の一部負担ができたらどうなる。いままでは病気を見てもらえたけれども、その薬代がないから見てもらえないということになる。生活保護はほんとうの実態に合っていない。生活保護は、一人一食当たりにすると、一番不利な都市では十九円という指数が出る。多いところは三十何円になるが、平均二十七、八円、一食二十七、八円で命が保てるかという問題であります。臼井さん、聞いてください。直ちに飢え死にはしないけれども、そういう状態であれば、七十まで生きる人が五十で死んでしまう。そういう低劣な生活保護の基準である。その問題の一番対象者の多いのはだれか、部落の大衆であります。生活保護を受けている人の比率は、ほかの一般の国民の比率の三倍であります。こういう問題も部落差別にかかってくるわけであります。そういう問題すべて考えれば、先ほど善意で言っていられたと思いますけれども、幾ぶん対処しておりますというようなことは言えない。対処じゃなくて、こんなに少ない金額でまことに国民に申しわけがないということばが政府から先に出なければならない、そのような状態だということをぜひ御認識をいただきたいと思います。零細農業、零細商業、零細工業、零細漁民の問題も全部そうであります。その零細漁民の、一本釣り漁民の相当の部分が部落の大衆であります。比率にしてみれば非常に多い。あらゆるひずみが部落の大衆にかかっておる。臨時工、社外工の問題にもかかっております。それにもかかわらず、労働省のほらでは、そのような失業の問題について対処が間違っている。労働省は何をやっているか。失対事業の打ち切りをこの前やった。そのときに大橋君が答弁をして、必要のあるときは失対事業は絶対に打ち切りませんと言った。失業多発地帯にはすぐに直通させると言った。ところが、失業多発地帯のやり方は何だ。失業保険の給付率が、普通よりも三倍以上のときは失業多発地帯とするというやり方をしている。部落の大衆は失業保険の適用者じゃない、そのような雇用にない。失業者の数はほかよりもずっと多いが、部落の大衆がたくさんいるときに失業保険の率は上がらない。そのような形式的なやり方を労働省はやっている。炭鉱の離職者の方々の場合には、失業保険の給付率が多ければ多発地帯と認めて、失対事業に直通するということはやや役に立っている。ところが、部落の大衆の場合には、初めからそのような五人以上の事業所に就職をしておらない。したがって、失業者が猛烈に多いのに、失業保険給付がふえる要件はない。それをそのような観念的なやり方で、失対事業に直通して部落の大衆を紹介するようなことを労働省は怠っている。そういう問題がある。あらゆる問題があるわけです。非常に貧しい、差別を受けておる人でありますから、声が小さい。小さければ、ほっておけば何でもないとは考えておられないでしょうけれども、いままでの政府のやり方によれば、実際にはそうなっておるわけです。そういう問題に対処するために、もっと強い決意を持って当たっていただかなければならない。いま労働省や厚生省に、その不当な点について徹底的に具体的に追及しようと思いましたけれども、同僚のこの問題に権威のある各先生がおられますから、そのけしからぬ点を指摘するだけにとどめておきたいと思いますが、そういう点で、臼井さんは非常にりっぱに努力をされましたけれども、栄転されるか大臣が一時これで切れるかわかりませんが、臼井さんの今回の任期の最後の仕事としては、この同和対策審議会の担当の大臣であり、この結論が出ようとするこのときに、政府全体の認識をほんとうに新たにする決意を持ってやっていただかなければならない。決して形式的なことは言わない、臨時行政調査会がどうのこうのというような形式的なことじゃなしに、三百万の同胞があらゆる点で憲法の条項を保障されないで、差別、貧乏で苦しんでおる、いろいろな点で自殺が出る、いろいろの点で人生に絶望して虚無の状態が出る、そういうような状態をなくするために、しあわせな人のつくったいろいろの法律、いろいろの審議会の答申、いろいろの行政、そういうものではなしに、もっとふしあわせな、もっと憲法の条章から見て人権を侵害されておる人々の立場に立てば、形式的ないままでのほかの一般のしあわせな人をもって頭に置いた答申、法律あるいは行政方針、そろいうものを乗り越えてこれをやっていただかなければならない。臼井さんに新たにそういう決意を固めていただき、さっきから申し上げましたことは全部完全にやっていただきたいし、佐藤総理に同様の決意を固めさせるということをぜひお約束いただきたいと思う。臼井さんの前向きな明確な御答弁をぜひお願いいたしたい。
  40. 臼井莊一

    臼井国務大臣 いずれにいたしましても、答申が出てみませんと、私どもも、正直言ってそちらのほうには担当ではありますが、しろうとでありまして、実際言ってずいぶん認識の足らぬところもあろうかと存じますので、その答申が出まして、なお国会等の御意見を十分伺いまして、答申の出たのを転機にさらに一そう政府としてもこの方面に努力する、こういうことだけははっきり申し上げておきたいと思います。
  41. 八木一男

    八木(一)委員 一点だけ具体的なことを労働省に伺います。  就職の問題は非常に大切であります。この問題について、就職の差別が起こらないようにしなければならない。現に起こっている。その問題について、歴代の労働大臣にいつもお約束をいただいております。たとえば国家公務員、地方公務員、あるいは公共企業体その他の政府関係機関において、このようなときにおいて就職の選考に一切の差別をさせないということが第一。民間のほらで差別をする現状がありますから、そういうことをさせないように厳重な使用者教育をする。そうして、いろいろ具体的にそういう差別をさせないような措置をする。たとえば、いまは若い労働者が不足で取り合いだからそういう問題がないけれども、また状態が変わったときにはそういう差別が起こります。現に年寄りに対してはそういう差別が起こっている。ですから、いささかでも採用について部落差別というような考え方を持っている使用者には新労働者を一切供給しない、一切紹介しないというような決意で当たらなければならない。また部落の青少年が就職をするときに、遠くに行くとほんとうに貧困の連続でありますから、新しい職場に適する洋服をつくるなり、新しい職場に行くための旅費が必要だということのために就職が困難になる状況にありますから、そういうことに対処するために就職支度金というようなものを、いまほかの制度に幾ぶん部分的にありますけれども、一般的にこれはなされなければならないということがあるわけです。そういうことについて労働省はいかに対処しているか、またいかに対処しようとしているか、この点について伺っておきたいと思います。
  42. 住栄作

    ○住説明員 部落出身者の雇用に関する差別につきましては、先生も御指摘のように、労働省としてはそういう不当な差別をなくするということで従来からいろいろ対策をとってきておるのでございますが、いまも御指摘のございましたように、新規労働力の不足というような事態もございまして、ずいぶん改善されてきておると思いますけれども、今後いろいろ雇用情勢の変化等から考えますと、さらに強い態度でこのような事態をなくしていかなければならない。いまも御指摘がございましたように、昨年来特に安定所に対して十分な指導をいたしておるわけでございます。  それから御指摘の就職のための援護措置でございますけれども、現在就職資金の貸し付けの制度とか、あるいは身元保証の制度等も行なっておるのでございますが、実情に即して今後とも、不十分な点もあるという御指摘でございますので、今後の同和対策審議会の答申等をも見ました上で、そういう配慮を十分検討してまいりたい、こう考えております。
  43. 八木一男

    八木(一)委員 それでは、まだまだ質問が十時間分くらいありますが、同僚委員が待っておられますので、これで終わりたいと思います。後ほど時間があったらまた追加するかもしれません。
  44. 小沢辰男

    ○小沢(辰)委員長代理 この際、田中織之進君から委員外発言を求められております。これを許可するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  45. 小沢辰男

    ○小沢(辰)委員長代理 御異議なしと認め、発言を許します。田中織之進君。
  46. 田中織之進

    ○田中(織)議員 総務長官炭鉱災害のことでお急ぎのようでありますから、また総務長官の所管についてはいま八木委員から質問が出ましたので、重複を避けて三点だけ伺いたい。  同対審の答申が、この審議会は八月までの存続期間になっておりますので、それまでに出ることを私ども期待しております。長官は先ほど七月には出るということでございますが、それは間違いなく出るかどうかということをまず第一に伺いたい。  一括して聞きますけれども、第二の問題といたしましては、総務長官が、今度別の法律の関係からもありますけれども国務大臣になられた立場から、お願いもしておきたいと思うのであります。それは、役所の官制の上から見ますると、内閣にできた審議会の所管の役所だ、こういう点で、あまり内容の点については従来毛御存じなかったという点は、私無理もないと思うのですけれども、やはり同対審をこしらえて総合的な施策をまず立案して、それの強力な実施を要望いたしました設置法が制定されたという点は、今後答申に盛られるであろうもろもろの施策については、現在のような各省ばらばらな形じゃなくて、少なくとも統一的、総合的に実施していただくかまえというものがたければいかぬと思います。そういう点で、私も過般同対審のほらへ、私どもの関係しておる部落解放同盟の関係から意見を申し述べておるわけであります。もちろん答申の中にも当然入ることだと思うのですけれども、もし答申が出ました場合には、その答申を絵にかいたもちに終わらせないで、実施には万全を期するという答弁もあるわけですけれども、特にその実施にあたっての行政官庁の総合的な関係については、これは答申を受けた政府として考えるべき問題ですけれども、ひとつやっていただきたい。本来ならこれは一般行政の中で行なうことが理想でありますけれども、なかなか問題の認識が一般行政官に入っておらないと結局あとずさりをするので、内閣にこの種の問題で審議会ができるということも私は画期的なことだと思うのです。できた以上は、これを完全に実施できるために、行政機構の問題についても、これは答申の中で意見が出ると思いますけれども、その意見も取り上げて考えてもらうようにいまから心組みをしていただきたい。  第三の問題としては、たまたま農地報償法案の担当の大臣であったから申し上げるわけではないのでありますが、終戦後の農地改革による――これは委員会で議論があったと思いますけれども、社会主義国でやっておるように、無償で農地を取り上げたのじゃないのです。最初反当六百円ですか、その後は千五百円、当時の金で出ているわけなんですね。そういう意味で、いわゆる補償というものはないということは最高裁の判決で確定しているから、総理もこの点は否定できないし、報償という形でああいう法律を与党がつくられたということになれば、同対審の答申が出た場合の特に予算的な措置の問題については――農地のように有償で買い上げられたものに対してすら千五百億というのは、私は膨大な金だと思うのです。それをあなたたちはあえてやられたのであります。部落については、御承知のように、明治四年の大政官布告で士農工商を廃して平民とするというときに、下層のいわゆる穢多、非人を一般平民の扱いにされたという宣言がなされただけなんです。それに基づいて部落民に課せられた義務は、徴兵と納税の義務だけです。ところが、一番上層の武士階級には、長官も御存じのように秩録公債という、当時の金で二億なんです。かりに貨幣価値の変動を五千倍と見ますならば、まさに一兆円の公債によっても知行から離れた武士階級の生活保障のための施策は明治政府においてとっておるのです。ところが、それが一番下層の部落民には、申し上げたように徴兵と納税の義務だけで、何らのそういう裏づけもなく、あべこべに就職あるいは教育、あらゆる場合に今日なお差別が残っておるから、私たちは解放運動をやらなければならぬ、また国会でこの問題を取り上げなければならぬということになるわけです。そういう点から見まして、やはり今日差別問題というのは、頭に古い観念が残っているだけの問題じゃなくて、現実に社会的な、経済的な、物質的な基礎を持つ問題があるというところから内閣に審議会を設けたのでありますから、答申が出ました場合に、それの裏打ちということについては、根本的に当然答申の中にもそれを入れてもらうように私ども意見を述べております。私どものほらから出した委員が極力その点を主張しておるし、学識経験者たちもそれに賛意を表していると思うのです。答申が出たあとについては、今度の農地報償法のことを私は引き合いにするのではありませんけれども、それをやらなければこの問題は解決しないという認識の上に立って、答申が出て以後の政府の姿勢の問題でありますけれども考えてもらわなければならぬと思うのであります。  以上三点について、時間の関係もございましょうから簡潔にお答えをいただきたいと思います。
  47. 臼井莊一

    臼井国務大臣 時間の関係で簡単に申し上げることをひとつお許しいただきたいのですが、七月末までに答申が出ることを私ども期待しておりますので、おそらくそういうことで答申は完結すると思います。  それから実施機関の問題でございますが、総理府は、各省庁にわたる行政がばらばらになりがちな問題については、総理府で総合調整、企画、立案、こういうのが本来の役目でございますから、そこでどういう機関をどうつくってやるかということを、いまから私から申し上げることは僣越でございますが、いずれにしても本問題が教育の問題から、労働の問題から、あるいは中小企業の問題もありますし、環境衛生、建設、いろいろございまするので、それらを総合調整するような方向で、この答申に基づいて実施をしていかなければならぬ、こう考える次第でございます。  それから、なお答申が出ましてからのことにつきましては、先刻来八木先生の御質問にもるるお答え申し上げましたように、これを十分尊重いたしまして、そしてあらゆる面に施策を講じてまいりたい、こう考えるわけであります。  私ども東京に生まれ育った者からしますと、いまだにこういうものがあるのかいなというので、私ども党のほうでも教育問題の方面から同和対策委員会などというものをつくりまして、出てみて私どももさらに認識を深めたようなことでございますが、熱心にいろいろ推進なさっている先生方の御意見等も十分拝聴いたしまして、今後も十分努力をいたしたい、かように考えておる次第でございます。  時間がないので、はなはだ簡単で申しわけありません。
  48. 田中織之進

    ○田中(織)議員 あと自衛隊の差別問題について二、三点伺っておきたいと思うのです。  この点については同僚の三木さんから、特に最近に起こりました富士連隊の山北一尉の問題については触れると思うのでありますが、私、三点ばかり伺っておきたいのであります。実は富士連隊の問題が起こる前に、防衛庁からも人事局長さんが見えておられると思いますが、大阪の信太山連隊で畠中二等陸曹にからむ問題が起こって、国会でもたびたびこれは取り上げておるわけであります。まず項目的に申し上げますけれども、その後、隊の中でこの問題の処理をめぐって上官との間にいざこざがございまして、本人は軽い懲罰に問われたこともあるわけなんですが、その後、これは部隊内のこの問題をめぐる処理の一つの方法として、現在金沢に転勤になっておるのでございます。しかし、その金沢連隊を通じて、特に伊丹師団の関係で処理したことについて、本人は承服できないということで、再審というか、不服の再申し立てのようなものをやったように私どもは聞いておるのでありますが、その後の畠中君の処理の問題がどうなっておるのか、まずその点について伺いたい。
  49. 堀田政孝

    ○堀田説明員 お答え申し上げます。  ただいま田中議員が申されましたように、畠中二曹の防衛庁長官に対します不服申し立ては、三十九年の十月十日に提出をされております。直ちに公正審査会の委員の構成を整備いたしまして、審査会に付議をいたしましたのは同年の十一月六日でございます。同審査会におきまして、本人の申し立てに基づきまして処分者の弁明書を求めまして審査をいたし、さらに本年の二月末には調査員を派遣いたしまして、当時の関係者等から事情聴取を行ない、その求めました報告等について現在審理をいたしておるという状況でございます。
  50. 田中織之進

    ○田中(織)議員 防衛庁は、私が申し上げた徴罰事犯の処置に対する不服申し立てというふうに理解をしておるのだとすれば、私はこれは間違いだと思うのです。問題は、やはり畠中二曹の差別問題に対する――私も、現在まだおるかどうかわかりませんが、伊丹師団の人事部長の溝上一佐にもともかくたびたび会っておるわけなんです。その問題についての処理が不服だという、こういう形で出された問題ではないかと私どもは理解しておるのです。   〔小沢(辰)委員長代理退席、委員長着席〕 現にまだ審査中であるということでありますならば、信太山連隊における差別事象の確認の問題についてももちろん公正にやったということでありますけれども、いわゆる階級差の激しい、それでなければ自衛隊のような軍隊的組織というものは成り立たないという関係の中でやられた調査というものについては、私ども民間人が何かの問題を起こしたときにやる調査とは問題にならないわけです。そういうようななにがなくて、むしろ被害妄想的な立場で畠中は申し立てたのではないかというふうなことは、当時信太山連隊なり伊丹師団の関係から私どもにもたびたび言われたのであります。ところが、畠中君の申し立ての中にある、あるいは手記の中にある関係の諸君、現在あるいは自衛隊を離れて岡山その他の地方に帰っておる諸君について私どもの組織を通じて調べたところによると、やはり畠中君が申し立てておるような差別的な行動がある、少なくともそういう言辞があったということを私どもが確認しておる具体的な事例があるわけです。そういう観点に立って、この問題をたまたま不服申し立てという形で審査中であることは、その意味でこれから特に三木君から取り上げられるであろう富士連隊の問題の処理にも関連する問題ですから、この問題は、軍隊の中で今日一般的に部落民だからというて特別扱いをするとか、そういうことはあり得ないことだという考え方の上に立っての問題ではなくて、本人の、いわゆる差別者が受けた立場、それを差別として受けとめておる立場に立って問題の究明をやっていただきたい。したがって差別はなかったのだという形になれば、今後この種の問題が起こることを取り上げていくということの前向きの姿勢が出ないわけです。したがって今後、自衛隊の中で同和教育その他の問題でこういう問題の再発を防止するということも、はっきりこれは国会で前の人事局長も、当時の防衛庁長官の福田君もおって答弁をしているやさきに、富士連隊の問題が出てきておるわけなんです。したがって、この問題は、やはり自衛隊は一般社会の延長なんですから、部落民も何人かは構成員の中にあるわけなんです。そういう実社会における――内閣の中に審議会を設けてまでこの問題の根本解決をやらなくてはならぬ一つの社会的な事実としてやるのだという観点に立って、防衛庁も、畠中問題についても、また富士連隊の関係の問題についても取り組んでもらわなければ、私は問題の前向きの解決はあり得ないと思います。そういう認識をお持ちで畠中問題の不服申し立ての審査に当たられるお考えがあるかどうか。
  51. 堀田政孝

    ○堀田説明員 当然、公正審査会におきましては、法律的処分に対する不服申し立ての審査でございますから、中心は処分が是であったか非であったかということになると思いますけれども、その処分のよってまいりますところは、やはり差別待遇をしたかあるいは差別的言辞があったかということが原因でございますので、当然にそれは関連において究明をされるであろうと私は考えております。  それから私自身の――これは私が実は人事局長になります前の事案でございまして、審査会で申し立てを受理いたしましたのも実は前でございますので、私は書類で拝見をしたわけでありますが、私個人の気持ちといたしましては、自衛隊のような組織では差別意識というものはあってはならない、格別自衛隊のような組織においてはあるべきものではないという基本認識を持っております。したがって、審査会の結論がどのように出てまいりますかまだ予測はつきませんが、出た暁におきましては、この問題をやはり人事局の問題としてもう一回取り上げてみたいというふうに思っております。
  52. 田中織之進

    ○田中(織)議員 この問題は、もちろん法律上の処分に対する不服申し立ての形をとっていますが、いま堀田局長も言われたように、そういう法律的な処分を受ける動機というか原因といいますか、それがやはり信太山連隊における差別問題ですから、その差別問題の処理が正しく行なわれておれば、こういうことにはなり得なかったのではないか。こういう点で普通の事案であれば、おそらく畠中君はほかのたとえば刑事事件等の問題を起こしておるというような関係の中では、自衛隊にはとどまり得ない性質のものだと私は思う。しかし、それが謹慎なり、そういうようないわば処分をしないわけにはいかないからという形の形式的な処分に私はなっていると思います。そういう点から、この問題の審査の過程で、私はその原因、動機という問題について取り組んでいただかなければ、あと三木君も若干触れますけれども、富士連隊の問題等についてはいつまでたっても解決しないということになるので、その前提としてもその点をひとつ申し上げておきたいと思います。  それから次は、現在姫路連隊におる山北一尉の問題でありますけれども、富士連隊で問題が起こった時期はかなり前の問題なんですね。ある意味から見れば、信太山で畠中二等陸曹の問題が起こった当時にやはりもう差別事件というものが発生して、少なくともそのことについて、山北一尉が姫路連隊を通じて富士連隊との関係において調査を申し入れるというようなことがすでに行なわれておったと思います。それだから私どもは、単に信太山連隊の畠中問題ではなくて、自衛隊の中で部落出身者、あるいは山北一尉の場合には奥さんが部落出身者であるという関係から、おまえの女房は部落民ではないか、こういうような形で自殺をはかるというような、あるいはそれがもとで離婚しなければならぬというような社会的な悲劇を生んでおる問題なんです。それだから、これは信太山以外にもこういう問題があるんではないかと言うけれども、いま堀田局長もたまたま言われたように、そういう差別などがあるべきではないと考えるゾルレンの立場に立ってあなたたちはものを考えるから、現実にあるザインの問題としての山北問題が出てきておるように、私らが言うたとおりじゃないかというふうに私どもは理解をせざるを得ないのです。その点についてはいかがですか。信太山問題が起こった当時に、すでに山北一尉の問題については、防衛庁当局はこの問題、富士連隊の問題があるんだということは、すでに私は、富士連隊なり姫路連隊のほうから防衛庁の本庁のほらにも何らかの報告があったものだというふうに理解されるのです。もしそれを本庁へ上げていないということになれば、私は、これはあなたたちのいわゆる防衛庁が、部隊に対する指導監督という点において万全でないという別な問題も起こってくるのではないかと思うのですが、その間の経緯はいかがですか。
  53. 堀田政孝

    ○堀田説明員 端的に申し上げますと、私ども防衛庁の内局でこの問題を知りましたのは今年の二月でございます。二月の、日にちにつきましては正確に記憶いたしておりませんが、たしか二月の十七日か八日の神戸新聞にこの事件が報道されました。山北君が姫路の人権擁護局にかけ込んで、差別待遇をざれたことを原因にして云々という申し立てをしたという記事が出たわけであります。そういう事実があるかどうかをすぐ取り調べまして、そうして経緯を知ったというのが実態でございます。
  54. 田中織之進

    ○田中(織)議員 そういたしますと、知った時期はそういうことだということになれば、その間に山北一尉が姫路連隊を通じて富士連隊に調査方を求めたということも事典のようですし、それに対して富士連隊はそういう該当事項がないということを姫路連隊に回答したんだ、したがって、いわゆる二月段階に山北君が法務省の人権擁護局に訴えて出るというような経過をたどったのではないかというふうに類推をされるのでありますが、その後の調べでもよろしゅうございますけれども、姫路連隊から富士連隊に、山北一尉が富士連隊におった当時にこういう問題があったということについての調査依頼なり、あるいはそれに対して富士連隊がどういうように回答したか、また国会で民社党の吉田君からこの問題を取り上げられた以後に、富士連隊についても事実の有無について防衛庁としては調査されたと思うのでありますが、そういうような経緯はどうなっておりますか。
  55. 堀田政孝

    ○堀田説明員 本人は、三十九年の三月に富士学校から姫路の連隊に転属になっております。転属になりましてから、転属をした直後でありますが、三十九年の四月に当時の姫路の連隊の連隊長が本人に身上に関する質問をいたしております。この質問の中で、自分は富士学校で差別待遇を受けたんだということを申し述べ、その申し立てを聞きました連隊長が、直ちに富士学校に調査を依頼いたしました。そういう事実があったかどうか調べてほしいという調査依頼をいたしたわけであります。またその翌月、三十九年の五月には、連隊長が、ちょうど富士学校で連隊長の会同がございまして、そこへ出張をいたしましたときにみずからこの調査をいたしております。しかし、富士学校からの返事も、あるいは連隊長が富士学校で見聞をいたしました調査でも差別の事実はなかった、離婚の原因はそうではなくて、むしろ家庭の事情である、こういう印象を持って当人は帰ったわけであります。したがいまして、連隊長が姫路に帰りまして、そのことを私ども内局のほうに具申をする、あるいは報告をするということをいたしておりません。それが経過でございます。
  56. 田中織之進

    ○田中(織)議員 それでは、この問題が国会で取り上げられてから以後、人権擁護局が富士学校なりあるいは姫路連隊について調査されたはずでございますが、いま人事局長が言うような関係で、姫路連隊では山北一尉が申し立てるような差別事情あるいはそれとおぼしき事件があったのかなかったのか、人権擁護局調査は一体どうなっておりますか。
  57. 鈴木信次郎

    ○鈴木説明員 人権擁護局関係について申し上げます。  昭和四十年の二月十人目に、神戸地方法務局の姫路支局に御本人から申告があったわけであります。そうしまして、その申告事実の要旨、調査経過、それからその後の調査の結果につきましての中間資料は、衆議院の決算委員会の御要望によりまして提出してありますので、それでおそらくごらんになっていると思いますから、内容詳細は省略させていただきたいと思いますが、その後の調査、中間報告をいたしました後の調査につきまして申しますと、いろいろ検討いたしましたが、いまだ最終結論を出すには至っておりません。さらに若干補充調査を要する点がございますが、その点につきまして至急調査をいたしまして結論を出したい、このような段階になっております。
  58. 田中織之進

    ○田中(織)議員 私も経過は、特にこの種の問題に取り組まなければならぬ団体の責任者として概況を承知しておりますが、いま堀田防衛庁人事局長のお答えの関係では、少なくとも山北問題が富士学校でもし局長が答弁するような事態であれば、これは部落問題、差別問題として発展するべき性質のものではないのです。その点について私がお聞きした点、国会で吉田君から取り上げられ、あるいは決算委員会で取り上げられた関係から、姫路連隊には、やはりわれわれが言うような差別事件ではないかもしれませんけれども、少なくとも本人が申し立てるような事実があったのかどうかということについては、まだ補充調査ということでありますが、事実がないものなら補充調査の必要がないのです。何らかのそれと思われる事実があったのかどうか、その点を端的にお答えを願いたいと思います。
  59. 鈴木信次郎

    ○鈴木説明員 事案の経過を、多少時間を追って恐縮でありますが、一応簡単に説明いたしたいと思います。
  60. 田中織之進

    ○田中(織)議員 私が聞きたいのは、時間の経過は私は承知しているのです。堀田局長が言うように、少なくとも姫路の連隊長がじきじき富士学校へ行ったけれども、そういうような問題はないのだ、山北一尉の離婚問題は別の家庭的の事情である、こういうような形で内局への報告があった、こういうことであれば人権擁護局へ提訴するということ自体がおかしなことになるわけなんです。また、あなたのほうでいまだに補充調査を進めなければならぬという点については、何らかの問題があったんではないかと私は思うので、前提とする事実が、それはぼくらは差別事件だと取り上げるし、あなたたちはあるいはそういうような性格の問題ではないという言い分があるかもしれぬけれども、少なくとも何かそれに類する事実関係が全然なかったのかあったのか、そのことが、まだ補充調査を進められるということになれば、少なくとも調査の前提になっていなければなりませんから、その点について簡単にこの場で、経過報告の中であなたが受けられている点で、私どもはやはり何らかの問題があったのではないかという認識の上に立つし、防衛庁当局のほらでは、いままでの答弁の段階ではそういう問題はなかったのだということで、大きく対立していますから、その点だけ簡潔にお答えをいただきたいと思います。
  61. 鈴木信次郎

    ○鈴木説明員 それでは簡潔にお答えいたします。  私どもの現在までの調査の結果によりますと、一応差別的言辞があったという疑い、これは否定することができません。
  62. 田中織之進

    ○田中(織)議員 そこで堀田さんに――これは三木君の質問の分野に入るわけですが、もう一、二点で私は終わりますが、やはりそれは、受けとめる立場によって私は若干の違いが出てくるということはあると思うのです。いま鈴本人権擁護局長が言われたように、差別事件あるいは差別的な言動と思われる疑いのある事象があったということは、いまあなたもお聞きのとおりなんです。そういう立場に立って、その後どういうように防衛庁のほらでは処置されておりますか。
  63. 堀田政孝

    ○堀田説明員 これは三月十八日の決算委員会の一ときにも実は私から詳しく申し上げたわけでございますが、三月十八日現在の防衛庁の調査では、やはりまだ、いまお話しのございました差別的言辞があったかどうかという点についての十分なる詰めがなかったわけでございます。なお、吉田先生並びに三木先生からさらにいろいろと御質問がございましたので、私どもは十分なる自信を持って事実こういうことであったということが申し上げられないので、もう少し調査をさせていただきたいというふうにお願いをしたわけでございますが、たまたま三月十二日に、山北君はさらに非常にこまかい苦情の申し立てをいたしてまいったのです。非常に多くの項目についての苦情の申し立てをやってまいりましたので、再びこまかいそのほかの、従来申し立てておりましたこと以外のことについても調査をしないと、いかにも関連があってそうなったというような申し立てでございますから、不十分であるということでさらに調査の幅を、広げまして、たしか三月十八日の委員会のときには、三十人くらいの証人に当たったということを申し上げておりますが、その後六十人、延べにいたしますと百十人近くの証人に当たりまして調査をいたしました。その調査の結果は、実は五月一ぱいに私はまとめてもらうつもりでおったのでございますけれども、三月十八日の調査までに聞きました証言とその後の証書とで、同一の人間でも多少食い違う点もあったりしますので、なお十分でない、もう少し時間をかけさせてくれということで、今日ここに参りますまでには、事実はこうでございますということを申し上げる状況にございません。ただ、私どものほろでわかりますことは、三十九年の一月二十一日と山北が申しておりますが、そのときに大坪三佐と山北君との間で何かあったらしい。しかし、何かあったその内容を聞いた者、これがほかにいないわけでございます。したがって、状況としてどういうことが言われたのかということを判断をするのは、推論でいくしかないという状況でございます。
  64. 田中織之進

    ○田中(織)議員 私ども、この種の事件にほとんど毎月のように接するのでありますけれども、私はそうむずかしい問題ではないと思うのです。かりに山北一尉が申し立てるようなことが大坪三佐ですかにあったとすれば、私はそれは率直に認めてしかるべき問題だと思うのです。認めて、差別言動があったからということで私どもの立場からは大坪三佐をやめさせよということは申しません。問題は、やはりあったならあったということを率直に認めて、それが間違いである、今日民主主義の世の中に、同じ単一民族の中にそういうものがあるべきはずでないという点に徹してもらえば解決する問題なんです。それに、問題が国会で取り上げられてからすでに四ヵ月にもなる。なるけれども、いまだにそれが出ないということについては、私どもはどうしても理解できないのです。この点については人権擁護局のほらでもまだ補充調査をやらなければ結論が出ないということについて、何かやっかいな問題だ、国会の問題だ――それは国会の問題になりますよ。問題になるけれども、その問題はこれを根絶していく。なくしようということだ。また、前段に臼井国務大臣との間で質疑応答があったこともあなたたちはお聞きだろうと思うのですけれども、ただ単にそういう事象だけのことを私どもが追うのではなくて、その事象がよってもって起こってくる社会的な基盤をどうするかということをやらなければならぬという発化の由来から見ても、いわゆる身分制というはっきりした政治上の問題から、今日この問題が尾を引いているのであって、それはやはり政治の上で解決すべき問題なんだ。そういう中に、やはり自衛隊関係者もそういう考え方の上に――やはり部落が存在したということは、これはまごうかたなき事実なのです。私も部落の出身者です。ところがその問題を何かの機会に持ち出すということが問題なんです。私どもはその事実を否定するものではない。部落が存在したという事実はある。しかし、それは過去のいわゆる身分制という政治制度のときに生まれたもので、今日そういう身分制度というものがない、憲法十四条によって、門地、家柄、身分等によって差別されないということが保障されている以上、その古い身分制の問題をどうして持ち出すかというところに社会問題としての意義があるという考え方の上なんですから、そういう観念に立って御調査をなさらなければこの問題の解明は私はできないと思う。そういう観点で防衛庁なり担当者が取り組んでいますか。いかがですか。
  65. 堀田政孝

    ○堀田説明員 仰せられるまでもなく、冒頭申し上げましたように、自衛隊のような組織活動をやります集団においては、前近代的な差別意識があっては行動できない、したがって、あってはならないのだ、またあらしめてはならないというふうに私は基本的には考えておるわけであります。したがって、もし大坪君がそういう差別的な言辞を吐き、かつ差別意識を持っておったとするならば、これは改めてもらわなければならぬわけです。同時にまた、彼の現在いる。ポストは適当でないと私ども考えます。つまり彼は何人かの部下を持ち、何人かの統率者として仕事をするのにふさわしくないというふうに私は考えるわけであります。しかし、彼は、少なくとも私ども調査では、自分は部落というものがあるということは自分の出身地の関係から知っておる。たとえば私どものように、東京生まれで東京育ちの人間はこれはわかりません。わかりませんから、あるいは冗談とか間違いで言うことはあるかもしれないけれども、彼は、そういう事実があって、しかもそういう部落意識を持つことはいけないのだということを知っているから、言うはずはないのだと自分で主張しております。そういたしますと、どうもおまえは言ったらしいぞということで彼の行動をきめつけるというのはまだ早いのではないか、もう少し動きのつかない証拠を突きつけて、あるいは状況判断のできるような状態にして判断をするのが適当なんではないだろうかというふうに私ども考えるわけであります。もちろんその事実がはっきりいたしましたならば、私どもは彼についての処置は正確にいたしたいと思います。同時にまた、彼を処置したことだけでこの問題は終わるものではない、こう思います。実は三月十八日の決算委員会におきましても、八木先生あるいは田原先生から鋭く、おまえたちは勉強が足らないというお話がございまして、部落問題についての問題の所在、問題の深さというものは、そんななまやさしいものではないという強い御指摘がございました。私どもも真剣にこの問題には取り組もう、そうして、できるならば、これはもちろん教育担当者の仕事でございますけれども、教育の面でこの問題を取り上げるべきだ、テキストをつくろうじゃないか、そうして少なくとも中隊長の教育までは徹底してやろうじゃないかということを私どもは決心をいたし、相談をいたし、田原先生には資料を貸していただくということまでやっております。まだ十分なるテキストの作成までには至っておりませんけれども、防衛庁の将来の態度としては、教育という面で取り上げていき、この問題は抜本的に解決をしていく、かように考えている次第であります。
  66. 田中織之進

    ○田中(織)議員 閉会中の審査で特に一つの問題について長時間同僚諸君の協力を得るということは、問題の重要性を理解していただいたことだと感謝いたしますが、時間の関係もありますから、私はあと一問で質問を終わりたいと思います。  これは組織原則としてそういうものがあるべきはずでないということはわかります。しかし、現実に自衛隊の中にはいろいろなやはり階級、身分制というものがあると思うのです。それがなければやはり軍隊的な組織体の力を発揮できないという点も、かりに社会主義の世の中になったからといって、そういう秩序というものがなければならないのです。ところが、やはり自衛隊の中にも一軍関係孝もおるわけです。隊員諸君は新しい人たちでありましょうけれども、やはり先ほど申し上げたように実社会に問題がある以上、それの延長として、その一環であるところの自衛隊の中に問題は起こり得ないのだという断定はできないと思うのです。しかし、これは議論になりますから、むしろ階級制のある自衛隊の中にはこの問題が起こり得るのだ、そういう素地があるのだといろ認識の上に立ってもらいたい。  そこで、最後に質問申し上げますが、私が聞いたところによると、最近防衛庁の本部から参りました担当官と、第三師団司令部ですか、大阪にありますその関係者とが姫路へ参りまして、部落出身者である山北一尉のいま離婚されている奥さん、堀さんというのですか、その方をある旅館へ呼ばれて、いろいろ話をされておるということを開いているのですが、その話の中に、まああなたもこの際離婚を解消して一緒に戻ったらどうでしょう、そうすれば山北一尉を北海道へ転勤を考えてもいい、一たん夫婦であったものがいま別れているところから、外郭団体などが差別問題だという形で介入するのだ、こういう意味合いにおいて、そういうもとへ戻る話、それから山北一尉の北海道転任の問題を堀さんに担当官から出されて、それだから本人が――子供もあることなんです、東京へ子供にも会いに行っておるということを私どもも聞いております。もとのさやにおさまるというか、あるいは山北一尉にも問題のあることは私も双知しています。堀さんからの話を聞くまでもなく、山北一尉がはたして差別者であるか、離婚については、やはりそういう富士連隊における問題で外部からの指摘もあるでしょうけれども、問題があるんじゃないかという点も考えられるのでありますけれども、私は防衛庁の担当官等が現地へ参りまして、日曜日であったそうでありますけれども、ある旅館に堀さんを呼ばれて、山北一尉が立ち会ったのかどうかは私はつまびらかにしておりませんが、そういうところで、もとのさやにおさまればこの問題はなくなるんだというような形で、一緒になって北海道へ転勤、こういうことを言われたということを聞いておるのですが、そういう事実があったのかどうか。  それから、現在の山北一尉の処遇の問題ですけれども、何か連絡将校という名目で、本人は個室でいろいろな調べものをしたり何かしておるけれども、それも別に隊のほらからいろいろなにされたものではなくて、本人の自主的な形で、いろいろの資料なりそういうようなものを読書するなり、若干の研究などをやっておるようです。まあ、言ってみれば、もう本人にやめてくれよと言わんばかりの形の待遇しかやっていない。連絡将校というものは自衛隊の中でどういう仕事をやるのか私はわかりませんけれども、結局、山北一尉の現存の仕事というものは、別に部下一人おるわけではなし、また、彼が個室で読んだり何かしているようなものについて、あるいは一つの研究テーマというものを与えてやらしておるのか、その点がつまびらかじゃありませんからわかりませんけれども、結局、連絡将校という一定の任務のない名目で、何らかこの外部における問題が終息するのを待っているような感じで、私は、それはある意味からいえば山北一尉に対する自衛隊における新しい差別事件、自衛隊の一尉にもある人間の人権を自衛隊が侵しておるのではないかという新しい問題に発展する可能性があると思うのですが、そういう事実があったかどうか。あわせて私は申し上げるけれども、その堀さんを呼ばれて、日曜日だけれども、彼女はどこかへつとめておるというので、日当として、本人がそういうものは受け取れませんということであったけれども、五百円の命を出した。本人は、そういう形で自分を呼んで、この人権に関する深刻なる問題について事情を聞きたいということであれば行くけれども、五百円の日当を出すというような仕打ちというものは、一体どこまで人間的に、人間にある立場で問題を処理しているかどうかということについて大きな疑問を持っているというふうに聞いているのですが、この点はいかがですか。
  67. 堀田政孝

    ○堀田説明員 山北一尉の離別をされた奥さんの堀さんから証言をしていただいたということは、私ども報告を受けております。しかしながら、そのときに、もとのさやにおさまれとか、あるいは北海道へ行ったらどうだとかいうことを言ったかどうか、これは報告を受けておりません。したがいまして、私どもではわからないということでございます。  なお、第二点の、山北君をどういうふうに使っているかという点でございますが、これは連隊の補給担当の部におるわけでありますが、しかし、それが連絡将校ということでいやがらせをしているかどうか、これまた私調査をいたしておりませんのでわかりません。しかし、もしそういう事実があったならば、これはまことにけしからぬことでございまして、ただいま田中先生からの御指摘をまつまでもなく、あってはならないことでありますから、直ちに調査をいたしまして、調査の上御返事を申し上げます。  なお、第三点の五百円日当を差し上げたこと、これも実は私報告を受けておりません。したがって、そういう事実があったかどうかわからないのでありますけれども、おつとめになっている奥さんに一日休んでおいでいただいたので、昼食代でもということで差し上げたということであるなら別に悪い気持ちでやったのではないではないだろうか、むしろ差し上げないで調べっぱなしということのほらが失礼ではないかというふうに考えるわけでありますが、事実がどういうことであったかわかりませんので、この点もさっそく調査をいたします。
  68. 田中織之進

    ○田中(織)議員 これで私終わりますけれども、堀さんの証書を求められたということでありますが、女の人から打ち明けた話を聞いてまいりました者からじかに私は報告を受けております。三番目の五百円の問題に関連して、彼女はひどくやはり自尊心というものを傷つけられた形の受け取り方をいたしております。防衛庁長官なり内閣総理大臣に、そのときの話を聞かれた当時の彼女の心境を文書にしたためて、それをお返しするのだということを言っているだけに深刻な問題になっているわけなんです。それから、山北一尉の現在の連絡将校としての地位の問題についても、やはり何だかやっかい者扱いをするような形で、一種の隔離をされたような状態に置かれているのではないかという気持ちがしてなりませんので、私どもあえてこの場で公に持ち出したわけでありますから、そういう観点に立ってやはり調べていただきたいという希望を述べまして、質問を終わります。
  69. 松澤雄藏

  70. 三木喜夫

    三木(喜)委員 私は、富士自衛隊の差別問題というものは、まず根底を正すということ、それから、その結果として公正な、しかも前向きな解決を求めなければならぬ、こういう立場から御質問申し上げたいと思います。  富士自衛隊の差別問題で、私は二月二十四日、三月十八日二回にわたりまして法務省の鈴本人権擁護局長、堀旧防衛庁人事局長にさらによく調査されるよう要請しましたが、鈴木局長は誠意を持って調査しますということであり、堀田人事局長は、そのためには十分便宜をはかり、差別一掃のために努力するということでしたが、本日は一体その決着がどうなったか、また、どう決着させようとしておるかということを伺いたいと思うのです。  念のために申しますが、この事件は差別言辞を受けたという、特に匿名で申し上げます。A一尉は、自衛隊で上官であるB三佐から、A一尉は官品の係をしているので、官品を差し出すよう強要されたが断わり続けて、その反感を持たれたということが第一。第二は、そのために絶えずA一尉は圧迫を受け、差別的言辞さえまでも受けたということ。第三、自衛隊というところは有形、無形の差別的な取り扱いや圧迫はないものと信じていたにもかかわらず、事実あるので、自衛隊にこらした差別のあることに非常に失望したということ。四番目、そのために家庭悲劇が起こり、離婚まで進んだ。そこでA一尉は差別絶滅のため、意を決して――この意を決してというところを御銘記願いたいと思います。こういう事態の中でこういう提訴をするということは、ほんとうに意を決してということになると私は思うのですが、姫路の人権擁護委員会に詳しく事情を書いて提訴しているのです。これが事件の概要ですが、そこで二回にわたりまして私が極力申し上げたことは、事実認定をしっかりやってくれ、こういうことを申し上げました。その事実認定の前提といたしまして、本人の精神状況はどうだ。これは堀田人事局長も言われておりましたように、異常ない。勤務状況も普通であり、熱心である。それから離婚原因は差別にあると、本人も妻も、妻の両親も認めているということ。三番目の差別言辞があったかどうかは、この二回に私が質問しましたことによりまして、まだ不明確でありました。そこで私は、本人とB三佐と対面させてほしい、こういうように要望してまいりましたが、このことにつきましては鈴本人権擁護局長、防衛庁の堀田人事局長も了とされまして、そのことをやりましょうということでした。さて、その問題は一体どうなったか、これが質問の一つです。  二番目、自衛隊に潜在的、顕在的に差別感が底流しているのではないか。これはいま人事局長が、非常に決心をされたという意味合いで明快に御答弁にはなっておりましたけれども、あとで私はその問題に触れたいと思いますが、底流しているものがあるのではないかということです。  第三番目、人事局長も認められましたように、B三佐は賞品を私有したということについては事実がある、それあるがために、この前の答弁では、上司からこれを返却するようにと言われて返却をさせました、このようにおっしゃっておりますが、こういうような私有事件は汚職に連なるものである。一体それのその後の処置はどうなっておるか。  この三点についてお伺いいたしたいのですが、まず鈴本人権擁護局長からお聞きいたしたい。本人とそれからB三佐と対決をされて御調査になったかどうか。
  71. 鈴木信次郎

    ○鈴木説明員 御指摘の事件につきましては、先ほども申しましたように、本年の二月十九日に神戸地方法務局の姫路支局に申告がありまして以来、今日までに合計二十九名、延べ四十一名の方々について調査をいたしました。   〔委員長退席、河野(正)委員長代理着席〕 その調沓の対象となられた方は、申告者及びその身内の方が五名、富士学校関係者が十九名、姫路部隊の関係者が三名、それからただいまA一尉というふうに御指摘になりましたが、A一尉居宅の付近の方二名であります。その結果はどうかと申しますと、これはまた先ほどごく簡単に結論だけを申しましたが、まだ事実の有無についての全般的な結論を得るに至っておりません。さらに若干補充調査を要する点があるというふうに判断いたしまして、関係者二、三名につきまして現地に補充調査を命じておる段階であります。  問題の点、いろいろ御指摘がありましたが、時日の経過に従って簡単にまとめますと、A一尉とB三佐との間にいろいろあつれきの事実があったかどうか、これに基因して差別的言辞があったかどうか、さらにこの差別的言辞が原因となってA一尉夫妻は離婚されるに至ったかどうかという点に要約されるかと思います。  まず、第一の点について申しますと、これはさきに決算委員会の御要望によりまして提出いたしました中間資料と大体同様であります。すなわち、北海道転属問題につきましては、B三佐が人事管理上A一尉にその内意を尋ねたところ、同人がこれを断わったという事実は認められますが、転属を強要したというまでの事実は認められません。むしろ当時の補給課長の供述によりますと、中隊長なら行ってよいと回答した事実があるのであります。A一尉自身も、その後の調査におきましては、強要されたという事実はなかったと訂正しております。  それから第二点、AOC入校拒否問題につきましては、A一尉とともにAOC入校を希望していた同僚の他の一尉が、年齢が上であるとの理由により、同人より先に入校した事実は認められますが、それはB三佐の入校妨害によるものではない。むしろこの他の一尉の供述によりますと、A一尉が他の一尉を先順位の入校者として推薦したという事実がございます。  それから、これはただいま三木先先から御指摘があったと思いますが、官品の私有問題につきましては、短靴一足、ワイシャツ二枚が成規の手続を経ないでB三佐に渡ったため、A一尉がその処理に苦慮したという事実は認められます。また、それらの品物がその後B三佐の上司に渡り、補給課長からの注意によってB三佐から隊に返還された事実があります。この間におきまして、官品がいかなる経路でB三佐に渡ったかは明らかでなく、したがって、同人がこれを強要したというまでの事実は認められません。しかし他方、A一尉が任意に提出したとも思われず、結局成規の手続を経ずにB三佐の要求によって同人の手に渡った事実から考え、同人の要求の中に隊の綱紀を乱した節があるので、これは一応認めざるを得ないのであります。  以上のようにA一尉とB三佐の間にあつれきがあったということは、これは認められますけれども、特にこれだけの事実から、A一尉の人権を侵犯したと言うことはできないと思われます。そこで、これらのあつれきの結果、差別的書辞が発生したかどうかという問題の点でありますが、B三佐は、そのような差別的言辞は述べたことはないというふうに述べておりますが、この差別的言辞があったという昭和三十九年一月二十一日当時の状況、その直後の状況及び右事件以後の状況等につきA一尉本人が供述しているほか、関係者、たとえばA一尉のもとの妻、父、母、当時の姫路連隊の副連隊長、連隊長なども、申告者自身からの伝聞として同様の供述をしております。ところが、これらの供述はA一尉やその妻から聞いたという伝聞供述でありますから、これのみをもって直ちにそのような事実があったということを認定することは無理であろうと思います。他面、A一尉やその妻の供述の信憑性を特に排斥すべき事情も見当たらず、さらにA一尉が虚言を述べてまで自分の妻の身分を公表し、その離婚を正当化すべき根拠も見当たらないので、一応差別的言辞があったという疑いは、これは否定することはできませんが、現段階ではまだその有無を断定することもできないので、最初に申しましたように必要な補充調査を命じてありますので、その結果を総合いたしましてこの差別的言辞の有無の認定に慎重を期したいと考えております。  それから、最後のところでありますが、差別的言辞がもしあったとすれば、それが少なくともA一尉夫妻の離婚原因の一部となるということは当然考えられるところでありますが、いま申しましたとおり、現段階では差別的言辞の有無を断定するまでに至っていないので、この点につきまして、同様補充調査の結果を総合して両者の間に因果関係、原因、結果の関係があるかどうかの認定に慎重を期したい、こういうふうに考えております。  なお、A一尉とB三佐を面接対質させたかどうかという御質問でございますが、事件の性質上対質して尋問するということは必ずしも真相を把握するのに適当でない、かように私ども考えておりますので、対質はさせておりません。
  72. 三木喜夫

    三木(喜)委員 大体よく御調査になっておる状態を知りましたが、しかし、参考人を多く呼んだこと、その調査が時間的に長きにわたっていること、さらに慎重を期されること、それ自体は私はとうといと考えられますが、いかにして炎に迫るかということが本質でなければならぬと思うのです。真に迫るためには、先ほどもお話がありましたように、伝聞証言ではだめだということはすでにあなたの御答弁で申されております。三月十八日、離婚の原因は差別かどうか、伝聞証言ではだめなので、さらに本人について調査をいたします、こういう御答弁をいただいているのですが、やはり堂々めぐりをしておるような感じがいたします。そこで、いかに真に迫るように努力をされているか、その具体例を言っていただきたい。私は、もうこの期に及んだならば、人事局長にもお話しいたしまして、これについては十分防衛庁としても、自衛隊としても協力をするという御確約をいただいているのですから、こういうことをすることは得策でない、真相に迫れぬとおっしゃっておりますけれども、それなら真相に迫る努力はどういう手だてでやられるか。ぐるりばかり回っておっても事件の中心に迫られないじゃないですか。その点、鈴木局長から御答弁いただきたい。
  73. 鈴木信次郎

    ○鈴木説明員 伝聞証言のみで事実の認定をすることができないのは当然でありますけれども、それでは反対に、伝聞証言は全然証拠としての価値がないかといいますと、一がいにそうは言えないのであります。結局事件の全体の経過、これに関する関係者のいろいろな供述を総合いたしまして、結局訴訟法でいわれる心証によりまして、はたして真実が何であるかを認定すべきだろうと思います。対質尋問ということについて御指摘になられましたが、実際私ども多年経験している点でありますが、対質尋問はいたずらに双方の感情を刺激し、感情に基づく供述に流れやすいのでありまして、必ずしも真相を発見するのに適当な方法であると断定できない場合もあるのであります。本件につきましては、現在のところ双方の供述が全く違っておりますので、対質尋問をすることは策を得たものでないと考えておるのであります。結局、いま申しましたように事件全体の経過からいろいろの状況、その状況に関して現在なお不十分な点が発見された。これは決して私一人の独断によるものではないのでありまして、事件について一般的な調査の方法になりますと、ごく簡単な、あるいはそう問題のない事件ですと、担当者から課長補佐、課長、局長という系統を通じまして書類がまいりまして決裁するというふうにしておりますが、相当事実認定、法律問題について問題のある事件につきましては、局全体の会議を開いております。この会議には局の幹部全部が参加せられております。これを局議といっておりますが、この局議で事件の経過の詳細につきまして十分に検討いたしました結果、先ほど申しましたように、なお二、三の点につきまして調査不十分である。そこでその調査を待って最終結論を出したい、かような段階になっております。  それから、つけ加えますが、この調査に際しましては、防衛庁方面の御協力がありましてここまでの調査ができたということをつけ加えておきます。
  74. 三木喜夫

    三木(喜)委員 ちょっといまの御答弁で誤解がありましたから、私、誤解してもらっては困ると思いますが、それは伝聞証言というものだけではいけないということで、これこれのことをしておりますということは、この前の委員会でもおっしゃって、またこの委員会でも同じことになっておるじゃないですか、こういう意味合いで伝聞証言といろものを取り上げました。これは価値のないものであるというような言い方をしておりません。これが一つ。  それから、先がた一月二十一日の差別言辞のあった状況下において調査をするといろことをおっしゃいましたから、私は両者の主張が全く正反対で食い違った場合には、そういう状況下において、その間におけるところの両者の心の動き、ニュアンス、こういうようなものをある程度判定の材料にしなければならないのではないか。したがって、そのためには対決をするということがいいのであって、感情問題だけにそれを近いやるということは得策ではないということはよくわかります。しかしながら、いまの御答弁によりまして、局議までお開きになり、非常に重大な問題として対処されておる。なお、補充調査まで今後なさって結論を出そうとせられておることにつきまして敬意を表したいと思います。どうか十分に御調査をいただいて、また法務委員会でその結果をお聞きいたしたい、こういうように思うわけでございます。  それから、今度防衛庁の人事局長にお伺いしたいのですが、あなたのこの間からの御答弁をいろいろ総合してみますと、第一は、この事件をうやむやにしたくない、徹底的な調査をしたいということをこの前御答弁されたことを分析してみますと、三回にわたって言われております。四月の二十四日には、問題をうやむやに葬ってはゆゆしい問題であるからして隠蔽はしませんということ、それから、同じその日に、新しい調査員に命じて事実を調べておる、新しい調査員ということをおっしゃっている。それから、御家族について非常に深刻な問題で、同時に、全般的な問題として、とうてい放置することができないので至急措置したい、こういうようにおっしゃった。至急措置をするとか、あるいはまた、新しい調査員を出して調査をするということをおっしゃっておりますが、その事実はどういう事実があるか、これを言っていただきたい。  その次に、第二点としまして、教育の問題としてこれを重大視しておられるそのことばとして、上級幹部の教育におきましては差別感を一掃するということについて徹底した教育をしていく、本日も、テキストをつくって、中隊長以上にはこの教育を十分にやりたい、このようにおっしゃっておりますから、教育の問題の重要性を考えておられることはわかります。しかしながら、この教育問題では、このB三佐は、こういうことをやっておられるとなれば指揮官にふさわしくない、処置されてもしかたがないということを教育の立場から言われております。  そこで、第一のうやむやに葬ってはゆゆしい問題であるから隠蔽しない、このことに対してどういう事実を持って真相に迫られたか。私は声を大にして申しますならば、こういう問題はすぱっと早く事実を出してしまって、悪かったということについては率直に御本人がやっておられるならばあやまられることが将来に向かって教育の問題としてもいいのじゃないか。しかしながら、事今日まで相当な日月がたっております。A一尉が姫路の人権擁護委員会にこれを提訴いたしましてから相当な日時がたっておりますが、部内問題として、ふところにある問題としてどう対処していくか、陳述に迫られておるか、これをひとつ端的にお述べいただきたいと思います。
  75. 堀田政孝

    ○堀田説明員 第一段の新しい調査員に命じてということを私が申し上げた点でございますが、これは、たしか予算委員会の第一分科会、二月二十四日の私の答弁であったのではないかと思っておりますが、先ほども田中委員の御質問にお答えいたしましたように、もらすでに一回部内で調査をしておる。その調査の資料を使うのではないかというようなお尋ねに対して、あるいはそういうことに対するお答えとして、そうではなくて、新しく人を別にして調べ直しますという意味で申し上げたわけでございます。なお、どのように調査をしてきておるかと申し上げますと、三月十八日の決算委員会で御答弁申し上げますまでは、約三十人の人に当たって証言をとっております。なお、三月十二日にさらに苦情の申し立てを本人がいたしておりますので、問題はさらにこまかく広くなっておる点もこれあり、直ちに調査の範囲を広げまして、実数にして六十名、延べにいたしまして百六名の証言をとっております。なお、どの程度まで調べたのかというお尋ねの点でございますが、これは三月十八日の決算委員会におきましては、私から、大坪三佐が侮辱を与えたというふうに山北君は言っておるけれども、しかし、その事実、それは目撃者も伝聞者も、防衛庁が調べたところではおりません、したがって、わからないので困っておるというふうに申し上げております。しかしながら、その後ただいま申し上げましたような調査の範囲を広げ、証人をふやしまして調査をした結果、二月二十一日前後――二十一日という日にちはどうも不正確なのでございます。ということは、二十一日には大坪君が部屋にいなかった、外に出ておったという証言をする者もおりますので、正確に二十一日ということは言えないのでございますけれども、二十一日前後、そのころに大坪君と山北君が言い争いをしたか、あるいは何かそのほかの理由からか、とにかく山北君が非常に興奮状態におちいって部屋を出ていったという事実が出てきております。しかしながら、興奮状態におちいって出ていったということから、すぐ差別言動を行なった、そうして直ちに奥さんを離別するような決心に至った、あるいは離別をしてしまったというところにすぐ飛躍することができるかどうかと申しますと、そのほかには、先ほど申し上げましたように目撃者も伝聞者もいないわけでございますから、早計ではないだろうか、非常に私どもは困ったものだ、この点についての事実の解明ができないので困ったものだというふうに実は思っておるわけでございます。そこで、ただいま法務省の御調査の結果、疑いあり、なおしかし補充的な調査をしてこれを確かめたい、こういう御答弁がございましたので、疑いありという御判断をなさるに至りましたいろいろな調査等をもひとつ教えていただいて、拝見をさしていただいた上で、私どもの最終的な態度をきめたい、判断をきめたい、かように考えておるわけでございます。
  76. 三木喜夫

    三木(喜)委員 私は、防衛庁の人事局長、それから人権擁護局長に御指示を与えようとは思いませんけれども、当時こういう一件があったときに、A一尉は、その周囲におった人も全部まるで見取り図のように供述書に書いております。本人も言っております。私はそういう事態に戻すべきが本体ではないか。そういう事態を、別個でもよろしいから、対面さすことが悪ければ、そういう場面をしつらえて、そうして順を追って調べていかれるほうが真に迫るのではないか。真に迫るところの努力をやはりしていただかなければならぬということを私は申し上げておるので、これをひとつお願いしたいと思います。  そこで、防衛庁の人事局長に最後にひとつ申し上げたいと思うのですが、あなたは、これはたいへんなことで、何とかこれはごまかすことでなくて、しっかり調べたい、ひとつ教育の問題として重大に考えると、こういうぐあいにおっしゃっておりますけれども、私は地方の人から闘いたのですけれども、姫路の自衛隊におきましては、ある地域はこれは危険地域であるというような地域指定をしておられる。そういうことを隊内の人が知悉しているかいないかは別問題といたしまして、秘密条項として取り扱われておるかどうかは別にいたしまして、そういう事実があるということを聞きました。いかほどあなたがこの問題を前向きに考えようとおっしゃっても、さらに教育問題として重要だとおっしゃっても、さらに、私は東京生まれだからこの深刻さは知らなかった、もっと勉強しようとおっしゃっても、そう言う事実、根底があるようでは、この事件の真相に迫り、さらに根底を洗うということは私はできないと思う。そのことから解消しなければいけないと思うのですが、自衛隊にはそういうようにこの地域は危険な地域――人命に対する危険じゃないですよ、そらした差別意識に立ったところの危険地域だというような特殊指定がしてある、こういう事実を私は聞いたわけです。私は、そのことに対する真相はこれから姫路に帰ってもう一ぺん調べます。それを調べるルートはありますから調べますが、あなたのほうでこれをひとつ御答弁いただきたい。これは、いかようにこんなことを国会で取り上げて口をすくするほどお話をいたしましても、そういう意識がある以上、こんなことは根底から直らない、そういうぐあいに思いますので、これはひとつあなたのほうから責任のある答弁をしてもらいたい。
  77. 堀田政孝

    ○堀田説明員 姫路の連隊の周辺に危険地域の指定があるのではないかというお尋ねだと思うのでありますが、私はそのような地域を指定をしているという事実は存じません。さっそくこれも私のほうで調べまして、次回の委員会等で御回答申し上げたいと思いますけれども、そういうような地域を設けること、そのことがもしあったとするならば、ますます差別意識を一掃するための教育を徹底して行なわなければいけない、そのように考えております。
  78. 三木喜夫

    三木(喜)委員 文部省からおいでいただいておりますから、文部省に一言お聞きしておきたい。  ノーベル賞を受けましたマーチン・ルーサー・キング牧師は、アメリカ合衆国における人種差別に対しまして、こういう文明国におけるところの亡霊は絶滅しなければならない、そのためには、私は暴力を受けようと、圧迫を受けようと、平和主義でこの問題の解決に努力したいという、こういう強い決意を持っております。先ほど八木さんやそれから田中さんからもお話がありましたように、関西にはこういう問題が非常に多いのです。   〔河野(正)委員長代理退席、委員長着席〕 したがって、文部省としては、この前の御答弁では、こういう差別の起こらないように、前近代的な問題につきましては十分排除せいというところの指導はしております。こういうお話ですけれども、私は端的に言うて、これについては教育の問題として、指導主事を増員する必要があろうと思う。もう具体策を申し上げて恐縮ですけれども、それについて文部省はどう考えておられますか、さらに、どういう努力をするように指示を流されておるか、この二つをお聞かせいただきたい。
  79. 佐藤三樹太郎

    ○佐藤説明員 本日、局長と財務課長が不在でございますので、私かわってお答え申し上げます。  ただいまのお話は、同和地域に対する指導主事の増資の問題だというふうに考えます。私のほうでは、先生御承知のように、定数のワク外に指導主事を約二千人ほど全国に配分をしておりますが、その使い方につきまして特段の指示はいたしておりません。これは地方教育委員会の指導力の強化、指導体制を整備する、こういうために前から増員を重ねてきておりますので、各県がいろいろ県の御方針によってお使いになることについては、別段チェックはいたしておりません。私のほうでも、特にその問題のために配分をいままでどうのこうのするというようなやり方はしておりませんので、御質問の内容はまだよくわかりません。
  80. 三木喜夫

    三木(喜)委員 文教委員会でまた御質問をいたしますけれども、こういう重要な問題であるということで同和対策審議会、こういうものまで持たれて前向きの形で政府がやろうと考えておられるのですが、特に重点地区においてはどういう考えを持っておるかということは、私は文部省として重要な問題だと思う。たとえば姫路におきましては、同和対策の指導主事を二名、これは充て指導主事をもってやっております。一般の教員定数を食うてやっております。そういうことまでやってこの問題に対処しておるのに、あなた方特別に考えることがないということでは、やはり同和対策に対する考え方は、私は希薄でないかと思いますので、この問題は文教委員会でやりましょう。しかし、そういう立場から上司とひとつ御相談をしていただきたいと思います。  さらに、人権擁護局長に最後に一言だけお伺いいたしたいと思うのですが、こういう問題が信太山、そして今度の富士自衛隊にも起こり、さらに各地にも、まだアメリカに黒人の差別問題があるようにあるのですが、人権擁護局長としてこの対策いかん、これをお聞きして私の質問を終わりたいと思います。
  81. 鈴木信次郎

    ○鈴木説明員 人権擁護局におきましては、同和問題は憲法第十四条で保障する差別禁止の趣旨に反する重大な問題と考えまして、この差別事件の中でも、特に一つの項目を掲げて取り扱っております。そのために地元の人権擁護委員に対しましては、事件が発生すればすみやかにその救済排除の必要な措置をとるよう常時指示をしております。さらに、それだけではなくて、全国人権擁護委員連合会の中に同和対策委員会という特別の機関を設けまして、この種問題の適切な処置を検討しておりますほか、府県の人権擁護委員連合会におきましてもしばしば研究を重ね、あるいは相互に討議を行うなどいたしまして、この種問題に関する認識を深めるとともに、事件の処理にあたって適切な解決をはかり得るよう十二分の努力をしておる次第でございます。
  82. 三木喜夫

    三木(喜)委員 その問題については、今後法務委員会、文教委員会で論議すべき点が残っておりますので、そこでやらせていただくことにして、これで終わります。
  83. 松澤雄藏

  84. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 時間がありませんから、私は簡単に要点だけを農林省にお伺いしておきたいと思います。  四十年度の同和対策事業モデル地区が幾つになっておるかということと、モデル地区方式を採用されてから四十年度まで含めて合計何地区になるか、この二点。
  85. 上田滋

    ○上田説明員 本日、局長、参事官みな不在でございますので、私かわりましてお答え申し上げます。  本年の予算が一億二千四百万でございます。それを私どもは、関東、北陸、東海、近畿、九州、四国、このブロックに配分をいたしたわけでございます。この中に同和地区が幾らであるかということではなくて、私どもは四十年度から、同和地区の対策事業の実施要領から、同和地区とかモデル地区とか一般地区とかいうことで全然やっておらぬわけです。それはどこまでも、これの予算の裏づけは県と地方農政局が協議をして、そしてやっていただくということでございます。昭和三十五年から農林省が初めて同和対策事業を始めたのですが、三十八年まではモデル地区だけしかやっておりません。三十九年から一般地区に対してやっている。四十年から完全に、そういうモデル地区とか一般地区ということに拘束しないということにしております。
  86. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうすると、三十五年から三十九年まではモデル方式をやってきたけれども、われわれがその方式はよくないと毎国会ごとに指摘をいたしましてから、四十年度はそういう方式をやめて、県、市町村と相談の上いろいろやっていくという方式になるわけですね。  そこで、同対審の事務局にお伺いしますが、四月二十八日に内閣委員会でお尋ねしましたときに、四つの部門に分かれて審議をされた、その原案が五月に大体まとまるというお話でしたが、まとまりましたか。
  87. 福田勉

    ○福田説明員 いまお尋ねの点でございますが、内閣委員会で申し上げましたとおり、五月二十五日に総会を行ないまして、四部会から出た中間報告でございますが、報告を総会として聞くという段階でございます。
  88. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それで、その四つの部門のそれぞれの報告を、今度は、これからは総会でそれを総括的にまとめられて、七月中に総理あてに本答申を出されると思うわけですが、できれば、いま四つの部門で出されておる原案を、資料としてひとつ私どもにお渡しをいただきたい。いかがなものでしよう。
  89. 福田勉

    ○福田説明員 先ほど申し上げましたように、総会といたしまして各部会からの報告を受理いたしますので、今後、お話しのように起草委員会を設けまして、七月末を目標にいたしまして最終的な総合答申案を練るという段階になっている。したがいまして、まだ政府側として提示されておりませんので、いまの問題につきましては、必要がございますれば審議会のほうにおはかりをいたしまして提示いたしたいと思いますけれども、会長にその旨申し伝えます。
  90. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 これは委員長にも要望があるわけですが、この答申は私どもとしても非常に重大な関心を持っておりますし、この同対審ができたいきさつも、これは各党の提案になって生まれたものでございますから、私どもはできればその原案をいただいて、本答申が出されるまで、私どもの建設的な意見をもし添えられれば添えたい。そうして、よりよきものにして本答申に運びたいという希望もございますから、そういう意味で、これをいろいろと追及するというような形での資料、要求ではなしに、建設的な考えを持っておりますので、委員長のほうからもできれば同対審の会長にもお話し合って、資料として参考のために御提示をいただくように御協力を願いたいわけです。  それで最後に、その資料が出れば、私どもはそれに基づいていろいろな補足的な意見を添えたいと思いますけれども、四月二十人目の内閣委員会でも要望いたしておりましたとおり、何らかの立法的な措置が必要である。そして、まとまった行政機関も必要であろう。あるいはその行政機関をいろいろとチェックする、いまの同対審とは違った形の審議会的なものが必要ではなかろうかということ。それから四つの部門に分かれて答申を出されると聞きましたけれども、特に具体的な方向については、いろいろとやはり相当長期にわたる年次計画的なものも出されると思いますけれども、そういう点についても、四月二十八日に要望しておった点を、あなたのほらから会長のほらにも私ども意見を十分連絡をいただいて、よりよきものが出てまいりますようにお願いをしたい。  そこで、農林省のほうにも時間があればずいぶんお尋ねしたい点がございますけれども、いよいよ答申が出る段階でございますから、答申が出れば一つの窓口からこの行政措置が行なわれるということになりましょうから、モデル方式をやめられたということでございますので、その点はわれわれの意見をいれられたとは思いますが、しかし予算は前年より二千万円しかふえておらぬ。
  91. 上田滋

    ○上田説明員 二千五百万円であります。
  92. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 五百万円は別にして、約二千万円ふえておる。しかし、これは予算的に見ると、モデル方式をやめたからうまくいくのだということじゃないですよ。その点は今後の答申と相まって改善されるだろうと思いますから、私はきょうはこの程度で終わらせていただきます。
  93. 松澤雄藏

    松澤委員長 それでは、委員長から申し上げます。  総理府稲田参事官から上層部にも伝えまして、いま質疑者から資料要求がありましたが、できるだけその趣旨に沿うように御努力を、委員長から特に強く要請があったということをお伝え願いたいと思います。  次回委員会は公報並びに通知をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時十九分散会