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八木(一)
委員 臼井総務長官、御答弁が少し前向いてきましたけれ
ども、まだ不十分であります。申し上げたことを総理
大臣に申し上げられて、総理
大臣はそのようなことについて野党に十分に相談をしなければならない。前の岸さん、兄さんが約束したので、岸さんにも聞いて、三月十二日の速記録を読んでその決意を固めていただくようにお伝えをいただきたいと思います。きょうこのような内閣改造の前でなければ、佐藤さんに直ちに来ていただきますけれ
ども、
臼井総務長官がそれを実行し、それが具体的に実行にならないようでしたら、次の
機会に総理
大臣を追及いたします。これは断じて、そのとおりなされなければ私
どもといたしましては承知ができない。全国民的に承知ができない問題である。ことに憲法の、先ほど申し上げた各条章に違反している問題を直そうという問題であります。憲法九十九条、われわれ国
会議員の
責任であります。
国務大臣の
責任であります。ですから、都合でどうとかこうとかいう問題ではなく、総理
大臣以下憲法の条章に従って、この問題についてあらゆる角度からこの約束に従って
努力をしなければならない。その具体的な問題としていまの問題があるということを、腹の底から認識をして問題に当たっていただかなければならないということを、ぜひ御記憶を願い、総理
大臣にはっきり明確にお伝えをいただきたいと思います。
次に、時間がこれで経過いたしましたから簡単に申し上げます。いま
総務長官が少し言われました住宅とか環境改善、これはまだなっておりません。大正年間においてこの環境改善事業は計画をせられました。そのときに最終の計画は、七年間に五千万円の支出を要する計画でございました。物価の指数がいろいろの計算によって違いますけれ
ども、たとえば千倍と仮定をいたしましたら、これは五百億円に当たるわけです。七百倍として計算をしましたならば、三百五十億円に当たるわけであります。
政府の予算は、本年度はわずかに二十億であります。昨年度より四億ふえたにすぎません。そのような問題は九牛の一毛にもすぎない。それでかなりやったという認識であれば、部落問題に対する本質的な認識を持っておられない証拠であります。どんなにこの三百万の大衆が、憲法の各条章を過去に保障されず苦しい目にあっているか。あらゆる面に出ております。これは同僚の各
委員から御指摘になろうと思いますから、簡単にしか申し上げません。零細農業がどうしている、零細な商工業がどうしている、不安定な労働者がどうしている、貧しい父兄を持つ生徒がどのような状態にある、そのような人の就職がどういう状態にある、そういうあらゆる問題の根底にこの部落問題があるわけであります。その中の一番激しい状態にあるわけであります。その問題に対処するために、たったの二十億でかなり
努力したというような御認識ではいけない。そういうことがあるから、
同和対策審議会の結論が出たときにも、そこに数字が明記されていないときに、これくらいでよかろうというようなことになるとたいへんだから、さっきのことを申し上げているわけであります。また、明記された数字が、先ほど言ったような経過で
政府に対する遠慮というような
意味がちょっとでもあって、当然出すべき数字が遠慮されて出されないということになれば、これもたいへんなことだ。ですから、さっきから申し上げているわけだ。今度の国会で、
医療保障の問題で薬価の一部負担という問題が徹底的にあらゆる面から追及をされ、ついに
提出ができなかった。その薬価の一部負担の一番被害を受けるのはだれか。一日百円、二百円に困っている人が被害を受けるわけだ。国民健康保険の被保険者が保険料は取られて、これは薬価と関係ありませんが、本人負担があるために、その金がないために自分が保険料を納めた反対給付をもらう権利を放てきして、売薬で済ませるのが部落の大衆の大部分であります。日雇い労働者健康保険の適用者は一〇〇%給付であったけれ
ども、ここで薬価の一部負担ができたらどうなる。いままでは病気を見てもらえたけれ
ども、その薬代がないから見てもらえないということになる。生活保護はほんとうの実態に合っていない。生活保護は、一人一食当たりにすると、一番不利な都市では十九円という指数が出る。多いところは三十何円になるが、平均二十七、八円、一食二十七、八円で命が保てるかという問題であります。
臼井さん、聞いてください。直ちに飢え死にはしないけれ
ども、そういう状態であれば、七十まで生きる人が五十で死んでしまう。そういう低劣な生活保護の基準である。その問題の一番対象者の多いのはだれか、部落の大衆であります。生活保護を受けている人の比率は、ほかの一般の国民の比率の三倍であります。こういう問題も部落差別にかかってくるわけであります。そういう問題すべて
考えれば、先ほど善意で言っていられたと思いますけれ
ども、幾ぶん対処しておりますというようなことは言えない。対処じゃなくて、こんなに少ない金額でまことに国民に申しわけがないということばが
政府から先に出なければならない、そのような状態だということをぜひ御認識をいただきたいと思います。零細農業、零細商業、零細工業、零細漁民の問題も全部そうであります。その零細漁民の、一本釣り漁民の相当の部分が部落の大衆であります。比率にしてみれば非常に多い。あらゆるひずみが部落の大衆にかかっておる。臨時工、社外工の問題にもかかっております。それにもかかわらず、労働省のほらでは、そのような失業の問題について対処が間違っている。労働省は何をやっているか。失対事業の打ち切りをこの前やった。そのときに大橋君が答弁をして、必要のあるときは失対事業は絶対に打ち切りませんと言った。失業多発地帯にはすぐに直通させると言った。ところが、失業多発地帯のやり方は何だ。失業保険の給付率が、普通よりも三倍以上のときは失業多発地帯とするというやり方をしている。部落の大衆は失業保険の適用者じゃない、そのような雇用にない。失業者の数はほかよりもずっと多いが、部落の大衆がたくさんいるときに失業保険の率は上がらない。そのような形式的なやり方を労働省はやっている。
炭鉱の離職者の
方々の場合には、失業保険の給付率が多ければ多発地帯と認めて、失対事業に直通するということはやや役に立っている。ところが、部落の大衆の場合には、初めからそのような五人以上の事業所に就職をしておらない。したがって、失業者が猛烈に多いのに、失業保険給付がふえる要件はない。それをそのような観念的なやり方で、失対事業に直通して部落の大衆を紹介するようなことを労働省は怠っている。そういう問題がある。あらゆる問題があるわけです。非常に貧しい、差別を受けておる人でありますから、声が小さい。小さければ、ほっておけば何でもないとは
考えておられないでしょうけれ
ども、いままでの
政府のやり方によれば、実際にはそうなっておるわけです。そういう問題に対処するために、もっと強い決意を持って当たっていただかなければならない。いま労働省や厚生省に、その不当な点について徹底的に具体的に追及しようと思いましたけれ
ども、同僚のこの問題に権威のある各先生がおられますから、そのけしからぬ点を指摘するだけにとどめておきたいと思いますが、そういう点で、
臼井さんは非常にりっぱに
努力をされましたけれ
ども、栄転されるか
大臣が一時これで切れるかわかりませんが、
臼井さんの今回の任期の最後の仕事としては、この
同和対策審議会の担当の
大臣であり、この結論が出ようとするこのときに、
政府全体の認識をほんとうに新たにする決意を持ってやっていただかなければならない。決して形式的なことは言わない、臨時行政
調査会がどうのこうのというような形式的なことじゃなしに、三百万の同胞があらゆる点で憲法の条項を保障されないで、差別、貧乏で苦しんでおる、いろいろな点で自殺が出る、いろいろの点で人生に絶望して虚無の状態が出る、そういうような状態をなくするために、しあわせな人のつくったいろいろの法律、いろいろの
審議会の答申、いろいろの行政、そういうものではなしに、もっとふしあわせな、もっと憲法の条章から見て人権を侵害されておる人々の立場に立てば、形式的ないままでのほかの一般のしあわせな人をもって頭に置いた答申、法律あるいは行政方針、そろいうものを乗り越えてこれをやっていただかなければならない。
臼井さんに新たにそういう決意を固めていただき、さっきから申し上げましたことは全部完全にやっていただきたいし、佐藤総理に同様の決意を固めさせるということをぜひお約束いただきたいと思う。
臼井さんの前向きな明確な御答弁をぜひお願いいたしたい。