○佐竹
政府委員 滝井先生に申し上げますが、たいへんおくれてまいりまして失礼いたしました。
ただいまの先生のお尋ねの点でございますが、大体、いわゆる
調整年金なるものを設けて、それの
運用をある程度一元
運用からはずして、自主的に
運用させるということは従来の考え方に反するではないか、こういう御
指摘でございます。その点につきましては、私どもも全く同感でございます。私どもといたしましては、
調整年金の
部分はそのうち二つに分かれまして、当然
厚生年金の相当分、つまり代行と称しておりますが、
厚生年金を代行しておる
部分と、そのほかに企業としてさらにプラスアルファをつけておやりになる
部分と、二つに分かれると思うのでございますが、その
厚生年金代行相当分の
運用につきましては、これはたてまえとして、全額
運用部預託もしくは
政府の指定する各種銘柄の政保債等に
運用をしてもらいたいということを考えておるわけでございます。厚生省当局との間におきましても、基本的な了解はそういう線でいたしております。ただ、これは
制度発足早々でございますので、一体どの程度の
調整年金というものができるのか、これは先生十分御承知のように、
調整年金を設けるか設けないかということは、それぞれの企業あるいは企業における労働組合職員のいわば自主的判断によるものでございますから、そこの選択の自由が残されておる限り、はたしてどの程度
調整年金というものは設けられるのか、これはわかりません。そこで私どもとしては、先ほど先生がお示しになりましたような
金額は一応の推計でございます。この程度はできるかなという厚生当局の推計があるだけであって、いざふたを開いてみたら、はたしてどれだけ
調整年金を設ける企業があるのか、これはわかりません。そこで、そういう空なものを対象にして議論をいたしてみてもあまり始まらぬような感じもいたしますけれども、しかし、この
調整年金設置に対する要望も、また一面においては非常に強いことは
滝井先生もよく御承知のとおりだと思います。そこで実際にはある程度のものは設けられるのじゃないか。設けられた場合に、何ぶんにも初年度でありますとどうしてもやはり数は少ないし、
金額的にも少ないだろう。そういたしますと、これをいわゆる基金に入れまして、その基金の
運用は
信託会社あるいは
生命保険会社というようなものに限って行なわせるという形になっております関係上、信託に
運用いたします場合に、やはりそこに信託報酬というようなものも取られなければならない、生命保険に回します場合にも、やはりそこに一般
保険料的なものも徴せられるというような事情もありまして、基金そのものの採算というものが、はたして、どの程度になり得るか。これはある程度の規模に達しませんと、採算に乗りにくいという問題もあろうかと思います。そういうような問題もいろいろ考慮いたしまして、
制度発足の草創の間においては、これを全額
運用部預託ということもなかなか実情としてはむずかしい面もあろう、そこであくまで基本は全額財政投融資協力という形でありますけれども、一応そこに経過措置と申しますか、過渡的な措置をとりまして、とりあえず三分の一ということに実はいたしておるわけであります。しかし、これはあくまでとりあえずの措置でありまして、
調整年金の進みぐあいいかんによりまして、
積み立て金増加の実情に応じまして逐次率を上げてまいる、そして終局的な目標といたしましては、
滝井先生も御
指摘のように、全額財政投融資という形を考えておるわけでございます。これが第一点であります。
次に、第二点でありますが、二五%というものをこの際
引き上げるべきではないかというお尋ねであります。この点につきましては、先生も先刻御承知のように、実は
昭和三十六年の
運用法
改正の際、現在の二五%という率が定められたわけでありますが、それ以前はもっと低い率だった。それをどうするかというので、当時御承知のように
資金運用審議会にはかりまして、いろいろ御
意見があったわけでありますが、結局それの結論として二五%という線が出まして、それをもって今日実行いたしておる次第であります。それはそれなりに一つの
理由を持った率であったと思います。ただ、先生御
指摘のように、その二五というのは絶対なのかということになりますと、それは必ずしも絶対のものとは思いません。さらにそれが
引き上げられるのがいいのか、あるいは場合によっては引き下げられるのがいいのかという問題もあろうかと思います。また同時に、いわゆる還元融資と称しておりますが、これは非常にことばの定義があいまいであります。どうも
滝井先生にこういうことを申し上げるのは釈迦に説法のようなことで恐縮でありますが、
ほんとうに還元融資とは何ぞやということになりますと、これはいろいろな説がありまして、きわめて狭義な説から、かなり弾力性のある説までいろいろあって、きめ手が押えにくい実情にございます。そういうこともございますので、一体率を
引き上げるということと範囲を広めるということが並行していった場合にどうなるか、あるいは率は低いが範囲をしぼっていくという場合にどうかというようなことをいろいろ考えますと、なかなか単純にいかない面もあるのではないかと思う。しかしながら、一方において、今回御
審議いただいております法
改正で
積み立て金の相当な
増加が見込まれる現在においては、三十六年当時に比べてかなり情勢も変わってきたというおりからでもありますので、かたがた厚生省からもいろいろ御要望がございます。そういう意味で、この際ひとつ、もう一回
資金運用審議会においてこの点の問題をいろいろ御
審議いただいてはどうかということで、実は昨年来
資金運用審議会の中に
厚生年金特別
委員会というものを設けまして、そこでただいま先生御
指摘のような問題をも含めて、
特別勘定というような点も前に問題になっておりましたが、そういうようなものの是非とか二五%というものの是非、その他等々を含めまして実は現在御
審議をいただいておる最中でございます。ただいままでのところではまだ最終的な結論を得るに至っておりませんけれども、これはできるだけ早い機会に結論をちょうだいしたいと思い、鋭意御
審議を
お願いしております。そういうような
状態でございますので、私どもとしましては、二五%が絶対だなんということは一つも申しておりません。これはこの特別
委員会の御
答申等を見まして、十分また厚生省とも相談の上でしかるべく処理してまいりたい、かように考えております。