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吉村委員 先ほどの公労法に対する見解と同じことを繰り返されましたが、あなたの立場としては、とにかく三十日に実力行使を配置をしたから、それをやめてもらうためにということで事に当たるのではないというあなたの理解のしかたは、あなたの理解のしかたとして私は承知をします。今日の労働組合はそうせざるを得ない、こういう実情については、もっと労働行政の責任者として、特に
公共企業体等労働関係法の適用を受ける
労働者の立場というものを考えて、対処をしていくことをこの際は要望しておきたいというふうに私は思うのです。
そういたしますと、いまの
大臣の答弁の趣旨からみまして、五百円回答というものはもうこれは決策にならない。さらに鉄鋼労連の回答も、今後の公労協の労使紛争の重要な
基準の
一つになる、こういうことも明らかになりました。それから調停段階ではできるだけ解決をしていきたい、こういうことも明らかになった、このように理解をしてよろしいと思うのですけれ
ども、特にこの際申し上げておきたいのは、公共企業体の
職員というのは、非常に公共性の強いそういうところで働いておる。そのためにできるだけ紛争というものを避けて、そうして国民に
サービスというものをはかっていく、こういう気持ちを非常に強く持っていることは認めてもらわなければならないと思うのです。私自身もそういう
仕事を長いことやってまいりましたから、そういう気持ちでずっと働いてまいりました。ただこれらの
職員をして今日のような態度をとらざるを得なくした、こういうところにたいへん問題があるわけです。これは昔のことを語れば切りがないのですけれ
ども、仲裁
制度というものができて以降、まず私
どもが期待をしたのは、仲裁裁定というものは完全に実施をされるものだ、こういうような理解のもとに、
公共企業体等労働関係法というものに賛成をし、そしていろいろの運動というものを進めてきた。ところが、まず第一次の仲裁裁定からこれが完全実施をされない、こういうことがずっと続けられてきておる。こういうことから、だんだんとこの
法律の規制を受けるところの
労働者の考え方というものが実は変わってこざるを得なかったという経緯がある。ところが
石田労働大臣は、仲裁裁定は実施をする、尊重をするから、君らもこの不法な労働争議はやめろ、こういうことを言いたしました。私はその際にも疑問を感じておったのですけれ
ども、仲裁裁定というものは尊重をするというのは、時の政府の方針であってはいけないと私は思うのです。もっとそれは根本的に、仲裁裁定というものは完全実施をされる、あるいは尊重をする、こういうものは時の政府の政策ではなくして、もっと根本的な方針として、国の
制度として
確立をされなければならないであろう、こういうような理解を常々持っておったわけです。そういう理解、そういう気持ちになったというのは、
石田労働大臣がなった場合にはそういうことを言われるかもしれぬけれ
ども、あるいは
労働大臣がかわったり時の政府の方針というものが変わったりすれば、仲裁裁定というものは適当にされるということがあったとするならば、これはたいへんなことになるわけで、したがって、そういう不信感をなくするためには、現在の公労法というものを抜本的に検討していかなければならない。当事者能力の問題と同じようにこれは重要な問題だ、こういうことになっていると思いますので、これはつけ加えておきたいというふうに思います。
最後に、とにかくそういう事情で、いまの公共企業体の
職員は、好まない事態ではあるけれ
ども、あなた方に、やれば処分をするぞなどとおどかされながら、しかもその処分を覚悟しながらもやらなければならないという生活上の実態、あるいはいままでの政府の政策に対する不信感というものがあって、この三十日の問題も起きているというふうに理解をされなければならないと思いますので、先ほどの
大臣の答弁のように、できるだけ国民に迷惑のかかるような事態を回避するように、しかもまた現在の公共企業体の
労働者の生活の実態というものを十分考えられた上で、ひとつ前向きの姿勢で事の処理に当たっていただきまするように特に要望しておきたいと思うのです。よろしいですか。