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1965-03-30 第48回国会 衆議院 社会労働委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年三月三十日(火曜日)     午前十時二十八分開議  出席委員    委員長 松澤 雄藏君    理事 井村 重雄君 理事 小沢 辰男君    理事 齋藤 邦吉君 理事 澁谷 直藏君    理事 河野  正君 理事 八木  昇君    理事 吉村 吉雄君       伊東 正義君    熊谷 義雄君       倉石 忠雄君   小宮山重四郎君       田中 正巳君    竹内 黎一君       地崎宇三郎君    中野 四郎君       橋本龍太郎君    松山千惠子君       粟山  秀君    淡谷 悠藏君       安宅 常彦君    伊藤よし子君       小林  進君    五島 虎雄君       多賀谷真稔君    滝井 義高君       泊谷 裕夫君    八木 一男君       山口シヅエ君    山田 耻目君       本島百合子君    谷口善太郎君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 松浦周太郎君         郵 政 大 臣 徳安 實藏君         労 働 大 臣 石田 博英君  出席政府委員         運 輸 技 官         (港湾局長)  佐藤  肇君         郵政政務次官  服部 安司君         郵政事務官         (大臣官房長) 淺野 賢澄君         労働政務次官  始関 伊平君         労働事務官         (大臣官房長) 和田 勝美君         労働事務官         (大臣官房労働         統計調査部長) 大宮 五郎君         労働事務官         (労政局長)  三治 重信君         労働事務官         (職業安定局         長)      有馬 元治君  委員外出席者         労働基準監督官         (労働基準局監         督課長)    東村金之助君         日本電信電話公         社総裁     大橋 八郎君         日本電信電話公         社副総裁    米沢  滋君         日本電信電話公         社総務理事   秋草 篤二君         日本電信電話公         社職員局長   中山 公平君         専  門  員 安中 忠雄君     ————————————— 三月三十日  委員多賀谷真稔君、長谷川保君及び松平忠久君  辞任につき、その補欠として安宅常彦君、五島  虎雄君及び泊谷裕夫君が議長指名委員に選  任された。 同日  委員安宅常彦君、五島虎雄君及び泊谷裕夫君辞  任につき、その補欠として多賀谷真稔君、長谷  川保君及び松平忠久君が議長指名委員に選  任された。     ————————————— 三月二十九日  原爆被害者援護法制定並びに原爆症根治療法  研究機関設置に関する請願外一件(勝澤芳雄君  紹介)(第二一六三号)  同(井岡大治紹介)(第二一九四号)  同(佐々木更三君紹介)(第二一九五号)  同(八木昇紹介)(第二三〇六号)  同(西宮弘紹介)(第二三〇七号)  同(帆足計紹介)(第二三〇八号)  業務外災害によるせき髄損傷患者援護に関する  請願金丸徳重紹介)(第二一六四号)  同(亀山孝一紹介)(第二一九七号)  同(倉石忠雄紹介)(第二二二二号)  同(島口重次郎紹介)(第二二二三号)  同(大坪保雄紹介)(第二二二九号)  同(内田常雄紹介)(第二三五二号)  外傷性せき髄障害者長期傷病給付率引き上げ  等に関する請願金丸徳重紹介)(第二一六  五号)  同(亀山孝一紹介)(第二一九六号)  同(倉石忠雄紹介)(第二二二〇号)  同(島口重次郎紹介)(第二二二一号)  同(大坪保雄紹介)(第二二二八号)  同(内田常雄紹介)(第二三五一号)  同(平林剛紹介)(第二四四六号)  戦災による傷病者及び死没者遺族援護に関す  る請願渡海元三郎紹介)(第二一六六号)  同(原健三郎紹介)(第二一六七号)  同(堀川恭平紹介)(第二一六八号)  健康保険改悪反対及び医療保障確立に関する請  願外五件(吉村吉雄紹介)(第二一六九号)  同(茜ケ久保重光紹介)(第二四四四号)  同(稻村隆一君紹介)(第二四六四号)  同外二十五件(八木一男紹介)(第二四八七  号)  日雇労働者健康保険改善及び厚生年金適用に関  する請願田口誠治紹介)(第二一九三号)  同(大原亨紹介)(第二二一九号)  同外十件(松平忠久紹介)(第二三一二号)  同外九件(八木昇紹介)(第二三一三号)  日雇労働者健康保険制度改善及び老後保障に  関する請願栗原俊夫紹介)(第二一九八  号)  理学療法士及び作業療法士制度化に件う経過措  置に関する請願多賀谷真稔紹介)(第二一  九九号)  戦災による死没者遺族援護等に関する請願(  多賀谷真稔紹介)(第二二〇〇号)  同(細谷治嘉紹介)(第二二〇一号)  戦争犯罪裁判関係者補償に関する請願(村上  勇君紹介)(第二二〇二号)  日雇労働者健康保険改善に関する請願帆足  計君紹介)(第二三〇九号)  医療根本的改善に関する請願帆足計君紹  介)(第二三一〇号)  老後生活保障のため年金制度改革に関する請  願(湊徹郎紹介)(第二三一一号)  国民健康保険財政措置に関する請願(秋田大  助君紹介)(第二三五〇号)  看護職員労働条件改善等に関する請願(秋山  徳雄君紹介)(第二四四五号)  全国一律最低賃金制確立に関する請願(大出  俊君紹介)(第二四六五号)  母子保健法案に関する請願宇都宮徳馬君紹  介)(第二四六六号)  茅野市立病院がん研究に対する国庫助成に関  する請願下平正一紹介)(第二四六七号)  同(羽田武嗣郎紹介)(第二四六八号)  同(原茂紹介)(第二四六九号)  全国一律最低賃金制確立等に関する請願外二  十四件(河野密紹介)(第二四七〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  港湾労働法案内閣提出第八六号)  労働関係基本施策に関する件(日本電信電話  公社における労働問題)      ————◇—————
  2. 松澤雄藏

    松澤委員長 これより会議を開きます。内閣提出港湾労働法案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。五島虎雄君。
  3. 五島虎雄

    五島委員 運輸大臣労働大臣が来られる前に質問をしておきたいと思います。そのうちに来られるでしょうが、先週の火曜日に、山田耻目委員からこの法案について若干の質問がございました。しかしながら、私がこの質問答弁内容をいろいろ検討いたしましたけれども、どうしてもふに落ちないのは昨年三月三日の審議会答申であります。答申内容と今回提案されたところの法案と、それぞれの食い違いがあるわけであります。それで私たち答申に非常に大きな期待をかけておったわけですが、われわれが希望するような内容を、大体答申内容は含んでおりました。ところが、昨年三月三日に答申が出るその前の二月の下旬において、綾部運輸大臣と時の大橋労働大臣の二人に私から質問をいたしておったのは、港湾労働等対策審議会答申が出たならば、その趣旨を尊重するかどうかというような問題で質問をいたしておきました。当時の綾部運輸大臣もまた大橋労働大臣も、二人とも、答申が出たならばその趣旨を尊重することには変わりはございません、こういうような答申がございました。それから約一年間たった今日において、どういうような法案内容が出るかというように大きな期待をかけておった。そうしてその答申内容をそのまま盛り込んでおるならば、まことに画期的な法案であるというようにわれわれは期待をしておった。ところが、その中に数点食い違ったところがあるから、われわれとしては非常にがっかりしたというような感じがあります。しかもこれに直接関係のあるところの組合関係労働者関係は、われわれ以上にがっかりしているのではないかというように推測されるわけであります。この答申内容の要点というのは何かと言うと、四つの柱から成り立っているのではないか。一つは、港湾労働者雇用の安定の問題です。それから一つは、港の近代化業者近代化をしなければ、日本経済に寄与することができないだろうということが二つ目の柱です。それから次には、港湾設備等々を拡大しなければならないということが三つ目の柱です。そうして四つ目は、このために金融関係とかあらゆる関係者が協力して港を発展させなければならない。こういうのが四つの柱だと思います。その二つ目の柱から質問に入ってまいりたいと思うのですけれども、二つ目の柱としては何かと言うと、さいぜん申しましたように、港湾運送事業近代化を促進するために事業集約化をはかること、こういうようなことで、第二の柱としては、運送事業近代化が行なわれなければ港の発展はあり得ないというような趣旨答申が行なわれておるわけであります。ところが、私は、去る予算委員会分科会において、この法案が提案された当時ですから、法案内容について詳細に質問はいたさなかったのですけれども、その中に、この法律施行は二年以内に行なう、こういうような規定がありました。この点については、先週も山田耻目委員から、強力にこの問題について質問がかわされたところであります。ところが、私たちが知っておるのは、労働省の原案としては一年以内に実施するというようなことになっていたのだけれども、これが二年に延期された。ところが、私は二年でもいいのだが、その内容が非常によくて、そうして現実に二年でなければできないということならば、それで了承せざるを得ないのですけれども、いろいろの問題があるわけです。そうしてその後、卑近な例を申し上げますと、神戸の港を管轄するところの神戸市会において、つい今月の二日の港湾委員会において、ある市会議員から、神戸港湾振興協会というところが船主から、労働者のあぶれ賃として、年間一千万円程度のあぶれ賃を取っている、これは暴力団に対してその資金が流れているのではないかという質問が行なわれたわけです。それから各新聞社が取り立てて、そうして港の暴力追放というところまで記事発展してきました。いま港の、いや一般の暴力追放というのは、国民ひとしく協力して暴力を追放し、そうして社会を安定し、明朗化しなければならない、これが世論の趨勢ではないか、こう考えている。あるいはそういうようなことの中からこの議員質問をいたしまして、明るみに出たのはこういうようなことです。これは某紙記事になったわけですけれども、「港湾労務者の供給が暴力団の下で握られている一実は認める。しかし港湾荷役暴力手配師関係は昔から一朝一夕に断ち切れるものではない。もし追放すれば神戸をはじめ九大港の荷役たちまちストップするだろう」と、こういうように神戸市の港湾局長が言明をした。これはまことにゆゆしい問題ではないかと考えるのです。港湾労働法案制定しなければならないというような動きが出たのは昭和二十七年当時だったと考える。しかも政府が今回の港湾労働法案を提案するに至ったまで、この法案は十数年の経過をけみしておるわけです。しかもこの港湾労働法案制定しなければならないというような動きがあって十三年の今日において、なお暴力の問題があとを断たないというのは、日本港湾業者が非近代的であるということを如実に物語っているのではないかと考えるわけであります。そうすると、昭和三十四年に港湾運送事業法改正されて、そうしてすみやかに港湾運送事業集約化という問題と、それから中間搾取の排除等々の法律案改正されたわけですけれども、運輸省では、その後行政的にこれが完全に行なわれたかどうかということをこの間質問いたしましたら、八五%程度成功したけれども、あと二〇%程度業者を整備する必要があると、こう言う。ところが、港湾運送事業法改正されてから何年になりますか。しかも切られた日限から今日まで何年経過しておりますか。これらができないのに、港の港湾運送事業者近代化ができると考えておられるかどうかということについて、港湾局長でもいいですから、運輸関係から答弁をお願いしたいと思うのです。
  4. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 ただいまお話がございました法律改正でございますが、これは昭和三十四年でございます。したがいまして、三年の猶予がございましたので、昭和三十七年までが、登録事業者免許に切りかえるのに書類を提出申請する期間でございました。その後現在に至るまで八五%が免許切りかえを終わっておりまして、残り一五%というものは、なかなかこれが集約して基準に該当するまでにいかないというものがあるわけでございます。基準に該当するものについては極力そういう指導をいたしておりますが、どうしても該当できないものにつきましては六月まで、すなわち業年度の終わりから三カ月の猶予をもちまして、それでも基準に該当しない場合には申請を却下するということで、現在この法律改正に伴う免許に対する切りかえの結末をつけようと思っておるわけであります。
  5. 五島虎雄

    五島委員 そこで、新聞は大体六大都市五大新聞をはじめ、地方新聞ではこれを大々的に、何回にもわたって、三月三日、六日、七日、それぞれの新聞紙上でこの問題をとらえて、そうして解説記事まで出てきたわけです。そこで、運輸省労働省も御承知だろうと思うのですけれども、このあぶれ賃なるものは合法か非合法かという問題について質問をしておきたいと思うのです。このあぶれ賃を船主協会から荷役振興協会が入手して、そしてそれが実際あぶれた労働者に渡っているかどうかということについて、私は労働者に当たって調べたけれども、労働者は、そんなものもらっておりませんよと言っておるのだから、労働者を食いものにして何らかの方向にその金が流れていると言わざるを得ない、こういうように考えています。
  6. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 この神戸港におきますあぶれ補償金制度の問題でございますが、これは昭和三十七年六月に、当時非常な船込みでございまして、それの対策といたしまして船内荷役調整協議会というのが官民共同で打たれておったわけでございますが、この会議の席上、船主のほうから、船内荷役労務者の口数を確保するということから、こういうあぶれ補償金というものを船内荷役業者の方に差し出したい、こういうような話があったわけでございます。これにつきましては、現地の出先機関である神戸海運局にもこの話があったわけでありますが、当時の情勢といたしましては、そういう制度がなければ労務行が確保できないという観点からこれらを認めたわけでございまして、もっと詳しく申しますと、これは現在の法律による認可要件ではございませんが、事業者なる船主とそれからその要請を受けて仕事をする港湾荷役業者との間の申し合わせで、月末月初船積みに対して荷役を円滑にするという趣旨であると思われますので、その後それを続けられておるのが現状でございます。
  7. 五島虎雄

    五島委員 運輸省としてはこういうようなことが好ましいとお思いになりますか。
  8. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 決して好ましいと思っているわけではございません。また、このような形で労務者が確保されておるのは、全国の中で神戸だけでございます。したがいまして、これは神戸特殊事情に基づくものであると思いますが、業者間でこのような協定によって月末月初船積みというものがスムーズに荷がさばけておるという実情を認めまして、これ自身を現在やめろと言うようなことによって港の荷役が停滞することがありはしないかということで、私どもとしては黙認をしておるのが実情でございます。
  9. 五島虎雄

    五島委員 そうすると、こういうような金が出回ることが、港の業を停滞せしめないという一つ役割りを来たすと港湾局は考えられるわけですね。そうすると今度は、港湾労働法におけるところの調整手当などは、合法的で非常に港の近代化を促進されると考えられますか。
  10. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 ただいま申し上げましたように、これは神戸特殊事情でございます。したがいまして、このような形で労務者が確保されているものが、新しく港湾労働法というものができることによりまして、より一そう円滑に制度として出されるということは好ましいことだと思います。
  11. 五島虎雄

    五島委員 そういうような状況を把握しながら、港湾運送事業名近代化についてはあと質問をいたしますけれども、その業者集約ということは、行政上その法律改正趣旨にマッチすることができなかったのではないかと考えます。すみやかにこの集約をして、そうして業者申請を新たにとって認可をせい、それが港湾運送事業近代化の一方途であるという趣旨のために、港湾運送事業法改正された。ところが、港湾労働者が集まらない。港湾労働者が集まらないということは、そのためにいろいろの金が出回ってくる、これが港の円滑なる労働事情をまかなってきたんだというならば、しからば運輸省は、すみやかにこの業者近代化行政的手腕を発揮しなければならなかったのではなかったろうか、こういうように考えますが、あなたを責めるわけではないけれども、あなたの感じを聞いておきたいと思うのです。
  12. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 港湾運送事業そのものがおくれておるということは確かでございます。したがいまして答申におきましても、集約近代化ということが強く言われておるわけでございます。われわれもこの線に沿う努力をいたしたいと思っておるわけでございますが、ただ、この法律昭和三十四年に改正になりまして、その後三年の猶予期間があったわけでございますが、なおかつ免許の問題がこのように完全にはいきかねるというほど業自体が非常に細分化されておりまして、店舗の数、経営者の数で申しましても全国で千八百、六大港だけでも八百というような、非常に数が多いのが実情でございます。したがいまして、われわれといたしましては、一方においてはこれの集約ということを考える、同時に、近代化一つといたしましては、やはり荷役機械化ということをやっていかねばならないということでございますので、機械化につきましては、三十九年度から特定船舶整備公団というものがございますが、これとの共有方式によって三十九年には一億円、これでもって荷役機械共有会社を東京と名古屋につくったのでありますが、四十年にはさらにその倍額の二億円でもって残りの港についてもそういうものをつくっていきたい、こういうことを考えておるわけでございます。なお、集約といいますものは、先ほど申し上げましたように数が多い、しかも業種の違った業者をどうして一本化するかということでございまして、そのためには現在各業者を打って一丸とする公益法人日本港運協会というものをつくろうということで、これはことしの六月を目途として結成すべく現在指導をしておりまして、そういうものができましたらば、答申にも言われているように、やはり業界の自主的な自覚のある行動ということが強く言われておるわけでございます。その業界の意思とわれわれの指導と相まって集約をすべき事態である、そのように考えておる次第であります。
  13. 五島虎雄

    五島委員 大臣が来られましたが、来られた早々このことを質問をすると、ちょっと答弁に困られるだろうと思いますから、局長に続いて質問をいたします。  局長は諸外国事情をよく御承知だろうと思いますけれども、私がいろいろの人から聞いた話、そうしていろいろ研究したことによれば、先進外国港湾には港湾運送事業法という法律はないのではないか、こういうように考える。事実そうでしょうか。私たちが常に考えるのは、やはり港湾には労働関係があるのだ、こういうように考えます。そうすると、世界に類例のない特異的な法律日本には存在するのだ、こういうように解釈されますけれども、これはそのとおりでしょうか。
  14. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 私もよく外国事情をつまびらかにしているわけではございませんが、日本港湾運送事業法に該当するような法律は、ほかの先進諸国と申しますか、そういうところには、ないようでございます。ただこれは、戦争中に一港一社というような無理な統制をいたしまして、それが全部、何といいますか、解放されたというような無秩序の中において、いかにして業界の秩序を立てるかということから、戦後この法律がつくられたものと思うわけでございます。
  15. 五島虎雄

    五島委員 それでは調整ができただろうと思いますから、松浦運輸大臣にお聞きしたいと思います。  ずっと前に、松浦運輸大臣労働大臣のときに、私が、港湾労働者雇用の安定の問題について提案をして質問をしたときに、時の松浦労働大臣は、五島さんの気持ちはよくわかる、わしも北海道の小樽の出身じゃから、したがって労働者の気持もわかるし、何とかしなければならない、協力したい、こういうようなことをおっしゃったことは私は記憶しておる。ところが、たまたま大橋労働大臣が諮問されている。そうしてそのあとに御就任になったのが、時の松浦労働大臣、現在の運輸大臣である。したがって運輸省労働省も相協力して、りっぱな内容港湾労働法が提案されるというように期待をしておるわけです。ところが、前々からいろいろ論議をしてまいりましたけれども、私たちの満足するような趣旨内容でないように考えるわけです。それは答申内容といささか食い違っているのではないか、こういうように考えられるわけであります。それは、答申内容は、すみやかに港の近代化雇用の安定と向上、そうして港湾施設の拡大、ひいては日本国民経済発展と興隆に寄与すべきである、それをのんべんだらりとだらだらおいて、そうして、のんびりでいいから実施しなさいというような趣旨のものではなかったように考える。ところが、なかなかこれが問題が多くて、ついに施行期間が、二年以内に実施する、こういうことです。一週間前に山田耻目君質問では、八〇%は一年以内に実施することができる、あとの二〇%がどうしても一年以内ではできないという答弁労働省から行なわれた、そういうことについて、一部では逆に足を引っぱっている力があるのではないかというように質問をされたわけです。汽車にたとえるならば、両側に機関車があって反対方向に走っているから、この問題がなかなかうまくいかないのじゃないか、こういうような質問もございましたけれども、そのとき労働省は、運輸省もあると押しの力をしてくれるものであると確信する、こういうことになっているわけです。運輸大臣は、労働大臣を経て運輸大臣の要職にあられるわけですけれども、港湾労働法制定について、その施行内容についてうんと協力される気持ちがございますか、質問をいたしておきたいと思います、
  16. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 回り回って八年前の御質問でございますが、当時まさにそう申し上げました。しかしその後、私は、日本労働慣行というものは非常によき方向に向かってまいりましたし、また進歩した科半革新の上に、あるいは機械近代化設備近代化の上に働いておる勤労者方々と、港湾労働の非常に設備のおくれた、古い時代そのままの中に働いておる方々とを同一に見るとは、なかなか困難であると思うのです。私の理想は、当時から、せめてハンブルクか、あるいはニューヨークまでいかなくとも、ロッテルダムの半分くらいの港湾荷役設備が行なわれておって、その林立するクレーンのうしろにはインクラインがあるとか、あるいはベルトコンベアがあるとか、あるいは他の運送機関がありまして、倉庫にちゃんとボタン一つ押せば積まれていくというような近代設備があれば、これは高度化された化学工業労働団体と同じようにやっていると私は思うのです。ところが、そのほうの設備が一向にいかない、そのいかないままに船の出入に応じなければならぬものですから、古い組織の——まあ古い組織と申しますが、古い組織の中において過重な労働をされているというのがいまの姿だと思うのです。当時からそれを解放したいということは、私の一念でありました。しかしながら、この港湾設備というものは、なかなか私どもの言うようなふうにならないのです。  そこで、いまのお話は、三・三答申運輸大臣と考え方が違うんじゃないか、こうおっしゃるのですが、私は、そうじゃない、当時の考えもいまの考えも、この答申についてのわれわれの考えも変っていない、むしろより以上進歩さしていかなければならぬと思っておりますが、これは労働行政事業行政とが両々相まって適切に実施されてこそ効果が期待されるものでありまして、答申趣旨を十分尊重して、現在これが施策を鋭意検討いたしております。でございますから、私は勤労者、いわゆる小作人の子供に生まれて小さいときから働いておりましたから、働く人の気持ちは十分わかりますので、なるたけ港湾施設設備というものが陸上の生産設備と変らないだけの進歩をするように、特に今度も六千五百億の年度計画を立てまして、そのうちの一千億は港湾の陸上設備機械化に使いたい、こういうことでいま考えておるのでありまして、決して当時私が申し上げたことと背反する方向に向かっておるものではないのでございます。
  17. 五島虎雄

    五島委員 大臣の実際の自分の経験の中の気持ちはよくわかります。だからといって、法案内容に盛られたことを私がわかるということではないわけです。しかも大臣が御出席になる前に港湾局長に、神戸港におけるところの船主協会から、あぶれ賃と称するものを、荷役振興協会が、三年前には月々四百五十万だったけれども、今日は月々一千万円のあぶれ賃を取っている。その内容神戸市会で議員質問をしたところ、検察庁の談話あるいは神戸市の港湾局長の談話から明らかになったところでは、組関係と称する暴力団——組関係が三十七社神戸港には会社を持っている、こういうようなことであるけれども、正業についている以上は何ともいたし方がない。これを新聞記事を引用しますと、こういうようなことになっている。「これは全港振側が話合いのうえもらっているもので、受取る方法には問題はないと思う。その金の使い道はよく知らない。全港振の副会長は興行関係暴力でいろいろ問題になっている人で、非常にデリケートな問題だ。神戸港と暴力団関係あるということは事実だが、運輸大臣法律によって正式に港湾荷役業者に認めているものを不当として締出すことはむずかしい。警察もこの点で扱いに困っている。政府が認めているものである限りわれわれの力ではどうにもならない。」こういうように説明をしております。そうすると、こういう記事を見ますと一般国民は何と思うでしょうか。神戸港は暴力の組関係の支配下に置かれている、こういうのである。そうすると、今回提案されたところの法の内容というものは港の近代化である、しかも港湾労働者雇用の安定と向上である、こういうことになりまするならば、法の精神がその組関係に支配される港であってはならないのではないか、こういうように考えます。ただし、私が断わっておきたいのは、かつて組関係であったって、暴力団であったって、正業についてまじめに仕事をされる人を、かつて組関係であるから、あるいは暴力関係であったからこれを廃止しなければならない、締め出さなければならないと言っているものではない。これは誤解のないようにしてもらわなければならない。そういう人たちは育成しなければならない。しかし、組関係が港の港運業者の中に力を植えつけて、あくまで暴力関係が行なわれるなら、そういうようなことを運輸大臣認可していいのかどうかということに問題があるのではないかと考えるのです。ですから、誤りないような解釈のもとに、こういうような事実だと神戸港湾局長も認めているし、警察だって、われわれの力ではいかんともすることができないし、政府認可したんじゃないか、こういうようなことになっているのについて、今後、港の近代化方向をたどる上において、運輸省はどういうような指導をされるつもりですか。
  18. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 さっき私は古い組織のもとにということを申し上げましたが、古い組織というのは、やはり組関係であると私は思います。しかし、組関係であるから暴力を行なうというわけのものでもないのです。けれども、今度のこの港湾労働法というものが制定されましたならば、この古いからより抜け出して、新しい進歩した労働組織に置きかえられる、よき労使の慣行をつくっていただきたいというのがわれわれの理想であります。しかし、さらにあぶれ賃の話がありましたが、これは船が一ぺんに入ってくるその時分には、たくさんの人間がいるのです。ところが、船が入ってきておらぬときには、解雇してしまえばまた集めてくるのにたいへんなことになるというようなことが原因しているんじゃないかと思います。このあぶれ賃のことは、まだ私はよく研究いたしておりませんので、港湾局長から答弁していただきますが、これは事業体と勤労団体、いわゆる組関係とが話し合いで行なったものではないと思うのでありますが、今後これが合理化されるならば、こういうあぶれ賃などというものは、正常な資金にかわっていくべきではないかというふうに考えております。しかし、それならば法案ができたらすぐ実行したらいいじゃないか、こういうことでありますが、こういう古い組織の中におる人々を、直ちに新しい社会に引っぱり出してしまってもなかなか困難でありますから、政府としては機会あるごとに強く新しい労働組織に置きかえなければならぬということを常に強調いたしまして、訓練ということばはどうかわかりませんけれども、訓練時間を少し置いてもらいたい。そうして新しい労使の慣行をつくって、貿易日本の繁栄に備えるようにいたしたい、かように考えております。   〔委員長退席、井村委員長代理着席〕
  19. 五島虎雄

    五島委員 そうしたら、運輸事業関係であるところの運輸行政としては、これらを訓育育成していく、そうしてもしも暴力的な介在があるならば直ちに認可を取り消しますか、その決意を聞いておきたいと思うのです。
  20. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 私は、新しい、近代的な、合理的な、合法的な組織に置きかえるために、これをじゃまするものがあって政府がいかにこれを説いてもそれに従わない、さらに暴力をもってこれに報いるがごときことがあれば、これは断固措置をとりたいと思います。
  21. 五島虎雄

    五島委員 こういうような勢力の介在があったから、港湾運送事業の完全を期することができなかった。先週の山田君の質問に対して港湾局長は、来年、基準を高めてさらに集約方向をとりたい、こうように答弁をされたわけです。私はそれを聞いて、おかしいな、運輸省というところは何年間かかるのだろう、こういうような印象を受けたのです。というのは、昭和三十四年に法律改正されて、数年かかって期間が切れても、なお業者を整理することができなかった。しかも昭和三十九年の三月三日に答中が行なわれてから今日まで一年たっているのですよ。そうしてまた一年後の次の通常国会に法改正を行なうというのだったら、できなかったことをさらに二年間延ばしたことになるのじゃないですか。なぜこの一年間においてこの法改正に手を染めなかったのですか。労働省関係は、港湾労働法を一年間でやりたいというような法案を出されたわけです。それと港湾行政の整備というものが大きく関連があって、ついに二年になったのじゃないか。二年になった原因というものは、ただいま運輸大臣が決意を述べられたところの組関係の介在があって、なかなか整理ができなかったという内容があるのじゃないかと私はそんたくするのです。しかし、いまさらこの通常国会のさなかに、さあさあ新しい法案を出せと言ったって、それはなかなか困難でしょう。しかし、次の通常国会あたりまでに、直ちにこの法案改正に手を染めるというくらいの決意はここに打たれてもいいのじゃないかというように考えるのですけれども、どうですか。
  22. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 私は先ほど、全力を尽くして訓練及び反省を促してもできない場合のことを申し上げたのですが、一ぺんに曲がった木を急に伸ばせば折れてしまうのです。折れない程度に自然に、行政的に妙味を発揮していくところに行政の妙味があるのであって、ばきっと折ってしまったのでは木は枯れてしまうのですから、そこらのところは、やはりある程度弾力性のある方向において考えていかなければならぬ。しかし、政府の方針といたしましては、こうしていきます以上は、二年なら二年の間に港湾労働法が完全に実行されて、一般の労働組合と同様なよき労使の慣行が行なわれるようにすることが私はとるべき道であると思いますが、しかし、先ほどのようにそれが暴力ではばまれる、どれだけ努力してもだめなんだというときには、断固たる処置をとる以外に道はないと思います。
  23. 五島虎雄

    五島委員 職安局長にお尋ねしたいのだが、港の暴力介在という問題がこういうように世間に騒がれるようになってきたのですけれども、その実情を職安局長はお認めになりますか。
  24. 有馬元治

    ○有馬政府委員 港湾暴力組織が介在しておるということは新聞その他で承知しておりますが、私どもの立場では、その実態を徹底的に糾明するという立場にはございませんので、この港湾労働法施行になれば、暴力が介在する余地が非常に減ってくるんじゃないかということは期待しておりますけれども、現状を徹底的に糾明して、その対策を労働面からのみ考えるというふうな考え方は、現在のところはとっておりません。
  25. 五島虎雄

    五島委員 それでは、問題になりました港の暴力の問題は一応これでおきます。そうして他日また運輸常任委員会などで問題になるでしょうし、また今日までなっただろうと思うのですけれども、場所を変えて聞きたいと思います。  今回の港湾労働法では、さいぜんの三・三答申の内応を大部分入れられておるわけですけれども、この法律が通過するということになれば、まず港湾労働者の数を決定していかなければならないのではないか、これがいつまでもだらだらしておったら、港湾労働法の最も中核があとあとへずり下がってしまう、こういうようなことです。ところが、去る二月の予算委員会分科会において私が質問したのだけれども、まず労働者の数をきめるのには業者関係も大きく関係があるだろうし、いろいろの関係で、港湾調整審議会等で検討されるわけですけれども、この点でまず答申内容としては、港湾に働く労働者はみんな登録せい、そして常用の労働者をもってのみ港湾に働く労働者として決定することは今日なかなか困難であるから、日雇い労働者の一部をこれに当てはめてもいいんじゃないか、ただし、港湾に働く労働者の中の日雇い労働者の数は四分の一以内にすべきである、こういうように答申をしているわけです。ところがこの法律を見てみると、内容には四分の一以下でなければならない、四分の一以下で港湾調整審議会というものは審議しながら、全港湾労働者の数を策定していくんだという法律内容はどこにも見当たらないわけです。これは一体どこに消えておるのかということです。これはどういうように実施されるのか、この点について職安局長にお尋ねしたい。
  26. 有馬元治

    ○有馬政府委員 御指摘のように、答申には日雇いの依存度を四分の一以内に規制すべきだということが明確にうたってございますが、今日の港湾実情を見ますと、この答申のように法律で一律に四分の一という規制を加えることには非常に無理があるとわれわれは判断をいたしました。しかし、港湾労働者雇用の形態としては、常用化を促進すべきであるという考え方は答申と全く同一でございまして、その趣旨を今度の法案の中では、第四条とそれから二十六条と二カ条にわたって、常用化の促進ということをうたっておるのでございます。こういう観点から、港湾全体に必要な労働者の数を策定する場合の雇用調整計画というものがございますが、その際にも、常用化の促進という観点から全体の港湾労働者の数を決定し、さらにその内数としての、日雇い港湾労働者の定数をきめる、こういう考え方でやっておりますので、答申の精神であります常用化の促進ということは、港湾労働法案の中に、制度的にその考え方が貫かれておる、こういうふうに考えておるわけでございます。
  27. 五島虎雄

    五島委員 答申内容は、最初から四分の一以内にせい、四分の一以内の日雇い労働者を策定すべきである、これは石井委員長が長年かかって検討された結果、四分の一以内というようなことを答申内容に盛られたわけですけれども、さいぜんから港の情勢一般に触れてまいりましたけれども、そういうような情勢があって、日本の港に働く、特に六大港に働く労働者の中の構造上の問題としては、日雇い労働者が船内では六〇%もある。沿岸荷役では四〇%もある。こういうような実情から、四分の一に一ぺんに持っていくのは、いま運輸大臣が言われたように枯れ木をぽきんと折るようになる。こういうことになって、法律の中には、四分の一以内ということを明らかにできなかったということになるわけですが、そういうようなことだろうと思うが。そうすると、大橋労働大臣、綾部前運輸大臣が、このことについて尊重しますと言ったことは、なかなかはるかに遠く及ばなかった、こういうことになるのではないかと思う。ところが、法案内容のとおりに、港湾に働く登録労働者、あるいは全港湾労働者の数を策定するにあたっては、年度初めにこの雇用数を発表しなければならない、こういうように法律内容ではなっておるようですけれども、そうするとこの法律が通過する、そして六大港あるいは関連地域におけるところの港々の労働者の数が決定されるのは、最初はいつかということになるわけであります。年度初めというと来年の一月にやるのか、再来年の一月にやるのかというような、二つにしかならないわけであります。だから、年の中途においても雇用労働者の数を発表できるのかということについて、質問をしておきたいと思うのです。
  28. 有馬元治

    ○有馬政府委員 この調整計画の策定は、この法律の三条にも書いてありますように、毎年港湾ごとに定める、四月一日、切りかわりの年度ごとにこの定数を定めてまいりたいというふうに考えておりますが、最初の施行が年度の途中に施行するということもあり得ますので、その際は施行の直前に調整計画を策定して必要労働者数の確定をする、こういうふうにしたいと思いますが、通常の場合は年度の当初に策定をしてまいりたい、かように考えております。
  29. 泊谷裕夫

    泊谷委員 重要な港湾労働法審議のおりに、昨年の三月に出ました答申を基礎に御議論いただいておりますが、特に松浦運輸大臣佐藤局長も北海道っ子であって、北海道の港について特に事情を御承知と思うのでありますが、いま先輩の五島先生からお話がありました暴力団の問題にいたしましても、あるいは実際に港湾荷役に携わる業者免許基準について実態がどうであるかという問題についてひとつ先月起こりました事件を取り上げて運輸省の考え方をただしておきたいと思います。  北海道は、御承知のとおり、夕張のガス爆発でだいぶガスについては神経質になっておるはずなんです。ところが二月九日に、質は違いますけれども、重要港湾である小樽でまたガス中毒が出た。こういう事件が発生したのですが、この概要は、二月九日にタイから運ばれてきましたメーズ、とうきびを千九百トン蔵入れして、十三日に植物検疫法に基づいてメチルプロマイドで二日間消毒をした。密閉消毒でありますから、消毒が完結したならば、すべての倉庫のとびらをあけてこれを逃がさなければならぬ。しかも北海道は雪の関係がありまして、常時この消毒後の排気というものについては、四十八時間ないし七十二時間、この時間というものが雑穀検定協会の小樽支部から強い指導を受けておるわけですが、この荷役を急ぐあまりに、何とか早く蔵出しをしたい、こういうことを申し出たわけであります。この条件としては、十五日に消毒が終わったものを十六日にやるとするならば、すべてのとびらを開放して排気につとめなさいという条件がついておったのでありますけれども、この倉庫はタカの八時まで前のとびらだけあけまして、あと閉鎖をしてしまった。しかもその翌日早朝、日雇いの婦人労働者にこの倉庫の中に就労を命じた、こういうことでありして、八時からわずか十五分後に北検の小樽支部の係員が来まして、まだ濃度ガスが二ミリあるというので婦人労働者を退去せしめた、こういう事件が発生したわけです。そのうちの二人はもうすでに障害を訴えて、会社側にその苦情を申し出たところ、事もあろうに仁丹一つだけ飲ませて、そのあと身体の異常を訴えた当該労働者に対しては、この業務に関係がないとか言を左右にして、結果的には労働基準監督署のほうから注意を受けたという事件が発生したのですが、佐藤局長はこの事実を御承知でありますか、まずこの点からお尋ねをしたいと思います。
  30. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 これは小樽開発埠頭倉庫株式会社の起こした事件でございまして、この事件のありましたことは承知いたしております。
  31. 泊谷裕夫

    泊谷委員 そうしますと、労働基準法四十二条では、危害の防止がきっちり倉庫業者には条件としてつけられておりますね。「使用者は、機械、器具その他の設備、原料若しくは材料又はガス、蒸気、粉じん等による危害を防止するために、必要な措置を講じなければならない。」なお、これに関連して労働安全衛生規則の百七十三条、これはガス、蒸気の排出措置、並びに百七十四条にも同じような制限事項があるわけですが、当該倉庫業者については、この労働基準法四十二条、労安則百七十三、百七十四両条に抵触をすると思うのですが、見解はいかがなものですか。
  32. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 これは労働基準法違反の問題でございまして、現在基準監督署で調査中でございまして、まだその結果については聞いておりません。
  33. 泊谷裕夫

    泊谷委員 私は運輸委員会所属ですから、まして松浦さんも佐藤さんも道産子で、できることならば、こうぎゃあぎゃあやりたくないわけですけれども、この港湾労働に関する限り、運輸省労働省のかまえ方については、運輸省のほうは業界中心であって、肝心な港湾業務を遂行する労働者に対する位置づけというもの、絶対条件というものについては、どうしても第二義的に取り扱われるというような気がするのです。いま労働基準監督署のほうにお願いをしてということになりますと、もちろんこれに伴う労働基準法七十五、七十六、七十七の療養補償なり、休業補償、障害補償はそのときにいたしますけれども、この倉庫業者は事もあろうに小樽開発埠頭倉庫株式会社、普通の民間とはちょっと質が違っていますね。これは御承知のとおり出資金から見ましても一億円で、小樽市が三千万を出す、北海道東北開発公庫が四千万を出して、地元関係者三千万、どちらかというと公共的性格が強い、しかも重要港湾の小樽、こういうことになりまして、常時仕事をしなければならぬこの港湾業者が、常用の労働者をわずか四名しか持っていない、三十ないし四十というものが全部門前雇用で日雇いに依存しておる、こういうことであるとするならば、先ほど先輩が取り上げました港湾運送事業法第六条の第二号の認可基準というのが、実は怪しくなってくるのじゃないかとぼくは思うのです。認可基準は、私から申し上げるまでもないと思うのですけれども、「当該事業を適確に遂行するに足る労働者及び施設を有するものであること。」これが条件になっています。倉庫業法の第五条第四号の、これまた許可基準を見ましても、施設と設備、取り扱う荷物と保管する倉癖、これが絶対条件になっておりまして、おのおのこれに抵触すると罰則はきめておりますけれども、この罰則はほとんどこれら雇用関係に関するものを除外しておる、除外しておるのがいまの法の組み立て方になっておりますけれども、この認可をする基準について、先ほど全港振の話、暴力団の話がありました。暴力団の以前の問題として、運輸省認可しております当該倉庫業を担当する者が、三人や四人の常用で認可されるというところに私は大きな問題があると思うのですが、これについていかがですか。
  34. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 この小樽開発埠頭倉庫株式会社は、市が北海道東北開発公庫から融資を受けまして上屋を埠頭の上につくったわけでございまして、その埠頭の上につくりました上屋で上尾保管業を営むということで免許を受けておるわけでございます。上屋保管業につきましての免許基準といたしましては、保管職員として五名以上の人間を保有すべきことと、上屋百坪以上または好積み場二百坪以上持っているということが免許する場合の基準になっているわけでございます。この会社は、現在保管職員七名を含めて十二名の職員がおるわけでございまして、一応私どもの免許基準から見ますと該当しておるわけでございますが、先ほどお話がございましたように、当然やらなければならないようなガスに対する措置を怠ったように思われますことをいたしましたことは、たいへん遺憾だと思うわけでございます。
  35. 泊谷裕夫

    泊谷委員 運輸省に報告されておる内容と——実際常用が四名しかいません。事実がそうした場合には、免許取り消しということにもなりましょう。だが北海道っ子として、そこまでは話は出しません。事ガスの問題で、免許したことについてはすみやかに、きょうの緊急の質問で恐縮でありますけれども、港湾局長としてはこういう業界、倉庫業者に対しては注意を与えるし、当該有毒ガスを吸った労働者についてはこういう法措置をとるということを指示した、こういう話が聞けるものと思ったのですが、用意がされておるならばこの際明らかにしてもらいたいと思いますし、あわせて労働者側のこの事件に対する見解を明らかにしていただきたいと思います。
  36. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 実は、この問題につきましては、現地から先ほども申し上げました以上の詳しい実情を聞いておらないわけでございまして、早急にさらに詳しい実情を調査いたしまして、その後の措置をしたいと思うわけでございます。
  37. 始関伊平

    始関政府委員 ただいまお話のございました事件につきましては、中毒予防対策を講ずるように、当該倉庫に対しまして指示をただいましております。なお、特殊健康診断につきましては、すでに三十一年に具体的実施要領を通達いたしておる次第でございます。今後もう一度事件が発生いたしませんように、一そうの注意と検討を続けてまいりたいということを考えておる次第でございます。
  38. 泊谷裕夫

    泊谷委員 関連ですから、あまり時間がとれませんから大臣にお尋ねします。これは二月の十六日に発生した事故であります。
  39. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 二月九日と言ったじゃありませんか。
  40. 泊谷裕夫

    泊谷委員 二月九日に船が着いたのであって、そしてガスの中毒になったのは十六日であります。大臣にお尋ねしたいのですが、いま労働省側の注意が出ておることが明らかにされたわけです。それで運輸省側としては当該業者に厳重な注意をする、善後策をすみやかに出させるという措置をとるのが必要だと思うのでありますが、これについてすみやかなる措置をいただきたいのと同時に、小樽といいますと、先ほどから申し上げておるように北海道の重要港湾ですね。これが今度の港湾労働法の適用を受けない。たった六大港、これはやはり適用する港をこの際拡大する必要があるのじゃないかと思うのと、それは、かりに私のように長いこと国鉄にやっかいになっておった者にすれば、ガスのにおいがしたら入らない、それができるのですけれども、これは先ほども指摘しましたように日雇いの婦人労務者です。あのところに、わずか四百円か五百円の賃金がほしいために、危険を省みないで入らなければならない。これを運輸省側で防止するのには、問題になっております門前雇用というものについて、運輸省としてき然たる態度をとる必要があるのではないかと思うのですが、以上三つのことについて大臣の見解を明らかにしていただきたいと思います。
  41. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 まず、その前に、先ほどお話の中にありました、どうも運輸省勤労者側に薄くて、事業者側のほうに厚いのではないかということばでございましたが、そういうことはないのでありまして、今回もあらゆる困難を克服してもこの港湾労働法を適用して、それで新時代の近代的な空気をこの港湾労働の中にも育てたい、そうしてこの労働行政事業行政が相まって、いわゆる相互扶助の中にこの世界があるのであって、どっちが重い、どっちが軽いというものではないという点を私はまず力説しておきます。したがってその精神から申し上げますならば、いま御指摘になりましたような問題は、いま労働省政府委員から御答弁がございましたが、その答弁に従いまして、私はやはり小樽倉庫業者に対しまして運輸省からも厳重な警告を発すべきであると思います。
  42. 泊谷裕夫

    泊谷委員 松浦運輸大臣佐藤局長もそうだというふうに考えてないのです。さっきからざっくばらんに言っているように、私も道産子で、労働大臣を経験した運輸大臣松浦さん、しかも党人育ちの松浦さんですから、今度のこの機会に、いま申し上げたようにせっかくやる法案の適用の港が六つだけでなく、重要港湾の小樽あたりに——北海道とすれば重要な港は室蘭、釧路、小樽でしょう、そういうところに適用するというような方策が松浦さんあたりから出していただけるだろう、ぼくはこう思うし、それから実態としては、門前雇用を日雇いでつないでいるところに大きな非難が出る。これについては、党人育ちの松浦さんとしては思い切ってこれの拡大並びに制限、これについて努力をしていただけるものと思ってこういうお願いをしたので、その点について御答弁をいただきたいと思うのです。
  43. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 いま六大港の非常に困難な、特にこの中では、五高さんの郷里の神戸が一番問題なんです。そのむずかしいところをまずやって、それから次に小樽その他の港湾に及ぼしたい。つまりこのむずかしい港湾を片づければ——片づけると言うとおかしいですが、ここによき慣行が行なわれれば、他のほうは簡単にいく。一応神戸をはじめとして六大港にまずやってみたい、これが私の考えでございます。
  44. 泊谷裕夫

    泊谷委員 関連ですから、これでおしまいにいたします。ともあれ、ガスで事故を受けた人が出たわけでありますから、この救済には運輸省労働省も適切な措置を業者を通じてやらしてもらうということと、それから、小樽のかつて市の助役をやった人が公共の倉庫をやっていて、常時四人くらいで港湾荷役をやろうということは、しょせん間違っていることです。これらについて抜本的な、会社の運営についてもこの際鋭いメスを入れていただく、いますぐ返事をいただくことが困難であれば、後刻運輸委員会のほうででもその具体的に措置された内容、結果、これを聞かしていただくことによりまして、私の質問はこれで終わりにいたします。
  45. 五島虎雄

    五島委員 引き続いて、もとに戻りましょう。  この港湾労働者、日雇い港湾労働者の定数に対する基本的考え方は一体何だろう、こういうように考えます。ILOの内陣運輸労働委員会の二十五号の決議ですか、その中を見てみますと、過大な港湾労働者の定数をきめるときにあたっては、あまりに多過ぎてはいけない、だからといって少な過ぎてはいけない、適当なところをきめて、そうして経済の交流と労働者の安定と賃金向上をはかれ、こういうようなことで、なかなかむずかしいような決議をされておる。そうすると、まず最初に、わが国の港湾労働者を設定するにあたって一体どのくらいが適当な人員だ、こういうように考えられますか。いまでは発表できませんか。これは労働省のほうからお願いします。
  46. 有馬元治

    ○有馬政府委員 日雇い港湾労働者数をきめる原則的な考え方、基本的な考え方は、港湾労働法の四条に規定してありますとおりでございまして、労働力の需要の合理的な予測に基づいて定めるという基本的な考え方でございます。  それでは、具体的にどれくらいの日雇い定数が予定されておるかという御質問でございますが、いわゆる日雇い労働者として港湾に登録されておる者の数は、現在においては六大港で約二万一千ございます。これはもちろん港湾専門ではございませんし、登録以外の日雇い労働者港湾荷役に供給しておるわけでございます。したがいまして、今後この四条の規定に基づいて必要数を検討することになるわけですが、大体三万から三万五千見当というふうな数字になるんではないかと思います。具体的な数字は、この法律にも明確に規定してありまするように、総理府に設置されまする港湾調整審議会の意見を聞いて定める、こういうことに相なるわけでございます。
  47. 五島虎雄

    五島委員 そうすると、港湾の日雇いの定数は三万から三万五千人、さらにそれが大体四分の一に相当し、将来はこの三万から三万五千人の日雇い労働者から常用化の方向をたどっていく、大体そういう趣旨じゃなかろうかと推察されます。四分の一はもちろん関係はないですけれども、三万から三万五千人の日雇い労働者が必要であるというようなことが明らかになったわけです。そうすると、現在六大港において二万一千人の日雇いしかいないということは、あとの一万から一万数千名は新しくどこかから連れてこなければならない、こういうようなことになったときに、そこで運輸の事業近代化というような問題が非常に重要になるのではないかと考えられますから、私は特に運輸大臣にはあらためて質問はしませんが、最初の言明のとおり業者指導育成すること、そうして明朗な港湾事業体をつくっていくということ、それに大臣港湾局のほうでも、これはふんどしを締め直してやっていただかなければならぬのではないか、でなければ、港湾労働法の要請するところの港湾労働者の安定ということなしに、もしも事業量がどんどん多くなってくると、暴力がそれに介在し、そうして長時間の労働、過重労働、危険作業というものが依然として繰り返されるような現実になるのではないか、こういうように考えられます。  それで、これは希望いたしておきたいと思うのですけれども——いま労働大臣が来られました。約束の瞬間は十二時までだそうですから、労働大臣には前から反復してお尋ねしたいと思いましたけれども、場所を別にして、日を別にして質問したほうが適当ではなかろうかと思いますから、ずっと継続的に石田労働大臣の考え方を聞いておきたいと思うのです。  この日雇い労働者港湾に働く労働者の数が策定されるわけですけれども、この答申内容には、これらの問題を内閣総理大臣が諮問するために審議会をつくる、その名前は中央港湾調整会議というものを中央につくれ、地方には同じ名前の地方港湾調整会議をつくって、地方港湾調整会議は、その中央会議にいろいろ報告をしたり答申をしたりするということに答申ではなっていたわけです。ところが、今度の法律内容を一見してみますると、これが港湾調整審議会という名に変わって、そうして地方では地区職業安定審議会という名に変わったわけです。そこで上下の関係があるのかどうかということについて検討したらあまり上下の関係がないように考えられるわけです。そうすると、この港湾調整審議会役割りと、それから地区職業安定審議会役割りは一体何なのかという疑問が出てくるわけです。この点についての性格を簡単に説明してくれませんか。
  48. 有馬元治

    ○有馬政府委員 御指摘のように、答申では中央港湾調整会議、それから地方に地方港湾調整会議という名称の、これはいずれも性格は国家行政組織法八条による諮問機関の性格でございまして、これを設置するということになっておりました。これが港湾労働法におきましては、中央においては労働省に中央職業安定審議会、それから適用港湾ごとに地区職業安定審議会、こういういずれも審議機関としての諮問機関を設置する。しかもこれは、三者構成で構成されるという性格のものを設置することにいたしました。そして中央港湾調整審議会という答申審議会は、総理府に置かれる港湾調整審議会という名称で、総理府設置法で設置されることに相なります。これは答申審議会の性格と少しも変わっておらないわけでございます。地区安定審議会の性格も、根本的には答申会議の考え方と大きな差異はない、かように私どもは考えておるわけでございます。
  49. 五島虎雄

    五島委員 その性格の問題はこの次に聞きます。残念だけれども、時間がないです。  それで、その次の質問に移りたいと思うのですが、この港湾調整審議会答申し、港湾の問題はいろいろな関連の中から諮問をされて、そうして港湾労働者というものの数が決定される。これらの港湾労働者の日雇い登録労働者に対しては、雇用調整手当が就職しなかった場合出るわけですけれども、今度は労働者の数が決定したけれども、この労働者の数は年々変わっていくわけですね。その年々変わるということは、経済事情とか社会事情とかいうようなもののファクターで変わっていくのじゃなかろうかと思う。現在、池田内閣のあとを受けて佐藤内閣が高度経済成長政策をとる限りにおいては、表面上では非常に好景気になって、貿易は盛んになって、そうして労働者はますます必要とするのだ、こういうことになりますけれども、私はそうばかりとはいかないのじゃないか考えるのです。そうすると、毎年毎年雇用の数は変わってくる。そのとき減少しなければならないというようなことが書いてある。そうすると、労働者を必要としない数は、首切りということになるのではないかと思うのです。首切りということは、労働条件の最たるものでなければならないわけです。これは港湾に働く労働者を、一括雇用というかっこうで雇用したかっこうになっているにもかかわらず、経済上の事情の変化によって、港湾に働く労働者諸君が首にならなければならないというような宿命を負わせることは、この港湾労働法の性格からどうであろうかと考えられるのでありますが、その点について労働大臣はどう思いますか。
  50. 石田博英

    ○石田国務大臣 私は一般的な見通しとして、これから港湾労働でそういう人不足のような状態は出てこないのではないか、むしろ逆の状態がいよいよ深刻になってくるのではないか、それは港湾労働だけではなく、建設業の労働においてもあるいは航内労働においても、同様の傾向がこれから強まってくるのではないかと存じます。しかしながら、これはそういう予想なのでありまして、実際上職を失うというような事態が生じました場合についての措置は万全を期したいと存じております。この法案上の説明は安定局長がいたします。
  51. 有馬元治

    ○有馬政府委員 御指摘のような事態がもし起こるとするならば、登録の取り消しということに相なるわけでございますが、こういう非常に例外中の例外的な事態を予想いたしまして、港湾労働法の十一条にその規定がございます。したがいまして、その十一条の規定に従って登録の取り消しをやる場合には、審議会の意見を聞き、さらに労働大臣が一定の手続基準を定めて、しかも現地の地区審議会の意見を聞いて、そういう慎重な手続を経て登録の取り消しを行なう、こういう慎重な手続規定を十一条に置いているわけでございます。ただ、先生御指摘のような登録日雇い労働者というものは、一括雇用という考え方、いわゆる共同雇用という考え方ではないわけで、登録制のもとに日々紹介された事業主に雇用されるという考え方でございますので、そこは諸外国の立法例の一部に見られるような、共同雇用という考え方までには踏み切っていないということを御理解いただきたいと思います。
  52. 五島虎雄

    五島委員 それでは先を急ぎましょう。  予算を見ると、雇用調整手当は七百十八円になっているようです。七百十八円になっておるということは予算上の問題で、平均数値ではなかろうと思う。これはどういうような雇用手当の内容になっておりますか。あわせて、この雇用手当は保険的な性格を持っておりますか、福利厚生の性格を持っておりますか、あるいは賃金の性格を持っておりますか、その性格を問いたいと思うのです。
  53. 有馬元治

    ○有馬政府委員 七百十八円というのは平均単価でございまして、具体的な手当の額につきまして私どもが現在想定しております額は、最高七百六十円、次の段階が五百円、最低が三百三十円、この最低は現在の日雇い失業保険の最高のほうの額と見合うわけでございます。  そこで、この調整手当の性格でございますが、これは日雇い失業保険の性格を基本的には持っております。しかし、港湾労働力の確保という観点から、現在の日雇い失業保険の額では不十分でございますので、その性格の上に雇用政策的な性格を考えて、失業保険制度を上回る手厚い手当制度にいたしたわけでございます。
  54. 五島虎雄

    五島委員 そうすると、これらの雇用調整手当は、失業保険との関係は一体どうなりますか。いま職安局長が説明されたように、七百六十円、五百円、三百三十円、ただし、その三百三十円の最低は日雇い失業保険の金額の最高である、こういうように言われましたけれでも、その港湾の登録労働者は、その港湾に登録されたら失業保険対象の労働者とならないで、この雇用調整手当の対象の労働者としての地位を獲得するのかどうか、こういうことを明らかにしておいてもらいたい。
  55. 有馬元治

    ○有馬政府委員 港湾労働法の五十九条の第一項に明記してありますように、「登録日雇港湾労働者は、失業保険法の規定による失業保険の被保険者としない。」適用対象としないということで、この調整手当制度を別途に設けて、失業保険法の適用からはずしておるわけでございます。
  56. 五島虎雄

    五島委員 そうすると、ある災害とかなんとかで、この登録日雇い港湾労働者が他の仕事についてもいいわけですね。そしてまた、その仕事の内容いかんによっては、職業安定所が他の仕事につける場合がおるんじゃないかと考えます。それは一体どういう場合ですか。そのときは、失業保険との関係はどうなりますか。
  57. 有馬元治

    ○有馬政府委員 登録日雇い労働者が、かってに他の産業へ就労するということは原則的にはないわけでございます。もしみだりにと言いますか、かってに再々他の産業へ就労する、安定所の指示に従わずに他の産業に就労するということになれば、これは登録の抹消というような問題にもなってくるかと思います。しかし、そうでなくて、港湾の作業が何らかの理由でもって減少して就労の機会がないというような場合には、これは安定所が紹介のしようがないという事態になるわけでございます。そのときには、いよいよ就労の機会がないという場合には、登録の日雇い労働者であっても他の産業へ紹介するということはあり得るわけでございます。これは三十一条にその規定がございます。その場合も、現在の日雇い失業保険の金額を上回る手当はぜひ支給しよう、失業保険を最低の保障額として、それを上回る調整手当を支給しよう、こういうふうな考え方で、その給付の特例措置を三十一条に定めているわけでございます。
  58. 五島虎雄

    五島委員 それでは時間がございませんからほかの日に譲りますけれども、あと一問質問します。  日雇い港湾労働者を登録すれば、港の業者は登録日雇い港湾労働者しか雇用することはできない。というのは、職業安定所が紹介する人を業者はまず採用しなければならない、こういうことになるわけだと思うのです。ですから、登録日雇い港湾労働者は、作業量が多ければ多いほどあぶれというものがない。それこそ私たちが、いままで実現しようとして努力してきたところです。それが法の内容になっている。ところが、ただし書きがあって、ただし門前募集ができる、平たく言えばこういうことになっております。まず第一に、登録港湾労働者をもって仕事につかせる。仕事につかなければ、それから日雇い港湾労働者が足りない場合は、他の日雇い港湾労働者を職安が紹介するのだということです。ただし、技能とかあるいは労働省令で労働省がきめた事項に合致するときは、業者が門前募集ができる、こういうことになっておる。そして期間の問題等々がございます。期間は、採用期間というものがあって、それは職安の許可を受ける、こういうことになっているようでございます。そうすると、職安と業者と意見が合うということになると、ただし書きの門前募集というものがいつまでも長く続いていくということになるわけです。ただし三・三の答申内容には、港湾労働者を再雇用しなければならないと、ただ単にそれだけうたっております。明前募集ということには一向に触れておりません。そこで登録港湾労働者の中で訓練等々を受けて、そして十分、間に合うようにしなければならない、こういうことが大体趣旨じゃなかろうかと思いますけれども、ここにただし書きがあって、門前募集が可能ということになるならば、手配師の介在がそこに依然としてあるのではないか、依然として残滓が残るのではかいか、依然として暴力は排除できないのではないか、こういうように考えられますけれども、この点について労働大臣、何か答弁をお願いできますか。
  59. 石田博英

    ○石田国務大臣 具体的な項目の中に入りますので、安定局長から……。
  60. 有馬元治

    ○有馬政府委員 御指摘のように、登録日雇い労働者以外は絶対に禁止するというたてまえには、港湾労働法はなってないわけでございます。ただし、そのただし書きの例外を適用する場合は非常に要件をしぼりまして、やむを得ないぎりぎりの場合以外には直接募集はやらせない、その前の段階に、登録日雇い労働者以外の一般の日雇い労働者を安定所としては繁忙特等においても紹介する、そういう三段がまえの例外措置でございますので、これは答申の考え方と、そう大きく矛盾はしていないものと判断をしております。そして御指摘のように雇用期間の制約の問題がございますが、これはそういった例外措置として、直接雇い入れも最悪の場合にはなし得るという考え方で規定してありますので、雇用期間をやたらと延長されると、例外のほうの直接雇い入れの例外措置のほうがむしろ広くなり過ぎるという弊害もございますので、私どもとしては、直接雇い入れの場合の雇用期間についても安定所の飛語を受けさせるようにしておるのでございます。したがいまして、例外中の例外としてあげております直接雇い入れの制度があるからといって、現在のような手配師の介在あるいは復活が、この例外措置のためにできているというふうな心配はまずないというふうに私どもは考えておるわけでございます。
  61. 井村重雄

    ○井村委員長代理 午後零時三十分まで休憩いたします。    午後零時四分休憩      ————◇—————    午後零時三十分開議
  62. 澁谷直藏

    ○澁谷委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  労働関係基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。小林進君。
  63. 小林進

    ○小林委員 電電公社の総裁にお伺いいたします。昭和三十六年の全電通の俗にいう春闘でありますが、その春闘の一環として、新潟県の長岡電報電話局が拠点闘争地区に指定をせられて、そこで労働条件と利用者サービスの向上を中心とする戦いをいどんだのでありますが、そのときにあなたたちは、当の新潟県の電電労組の支部の役員六名中五名を解雇せられて、一名を十カ月の休職ですか、停職の処分をせられた。その問題は非常にやり方が不法であり、不当であるということで、当時の衆参両議院において、それぞれ社労委員会あるいは逓信委員会等で論議せられたのであります。その論議をせられたことは御記憶でございましょうね、御承知でございましょうね。
  64. 米沢滋

    ○米沢説明員 ただいま御質問がございましたが、逓信委員会あるいは社会労働委員会でそういう事実があったことは承知をいたしております。
  65. 小林進

    ○小林委員 その問題が、単なる行政処分だけでなくして、刑事問題にも発展をし、現在提訴をして裁判で争われているということも御承知でございましょう。
  66. 米沢滋

    ○米沢説明員 よく承知いたしております。
  67. 小林進

    ○小林委員 どこの裁判所ですか、そして起訴されている内容は、民事と刑事と両方に分かれているはずでありますが、お聞かせを願いたい。
  68. 中山公平

    ○中山説明員 お答えいたします。  新潟地方裁判所長岡支部に係属されておりますその内容は、民事のほうは、解雇が無効であるということの確認の訴えを解雇された方から提起されておる。刑事のほうは、先ほども申しましたように長岡支部のほうに係属いたしておりまして、その内容は、二つに分かれておりまして、三月十六日の事件に関連をしまして、当時の通信局の課   通信部の次長の長岡局への入局入室を暴行あるいは威迫をもって妨げたということで、公務執行妨害罪に問われております。これは当時の公社関係の職員が三名、そのほかに部外の方が一名起訴されております。  それからもう一つのほうは、三条電報電話局というのがございますが、その三条電報電話局で三十六年の三月四月に、年次休暇の付与手続に関連いたしまして、同局の次長がこれに違反する職員に対して注意書の交付をしたところ、当時の新潟県支部執行委員の一名が次長の前に立ちまして、注意書の交付を中止するように抗議、詰問をいたしました。次長がこれに応じなかったことから、机の上の注意書を取り上げまして、これをひねって机の上に投げつけた上、次長のえり首をつかんでいすの上に押した。これによって次長は左胸部をいすのひじに強打いたしまして、加療二週間を要する打撲傷の傷害を受けるに至りました。このことが公務執行妨害と傷害罪、こういうことで起訴されております。この二件が刑事のほうでは併合審理になって、目下裁判所に係属しておる、こういうことが事実でございます。
  69. 小林進

    ○小林委員 大体事件の全貌は、刑事、民事の内容はあなたのおっしゃるとおりであります。内容を承認したわけではありません。大体そういうような形になっております。  さて、その刑事の、あるいは民事の裁判の進行過程において、おそるべきものがだんだん明らかになってきた。それは何かといいますると、裁判所側から公社側に、これに関連するいろいろの資料の提出を要求せられた。その資料提出の過程において、いま私が申し上げるおそるべき全貌がだんだん明らかにされてきた。それは職制の側、管理者の側で、もっと具体的に言えば、長野の通信局においていかに労働者に攻勢をかけ、これを弾圧し、そして彼らを誘い水に入れてどう馘首するか、こういうような遠大な計画がだんだん明らかになってまいりました。その中には、最も大切であります労働協約というものをあなたたちは徹底的にじゅうりんする、あるいは年次休暇というものを、法規によらずして、あなた方自身の解釈に基づいてかってにこれを処置しようとせられておる。あるいは生理休暇というものも、従来の慣行あるいは法規の解釈等を曲げて、職制側の都合のいいほうにこれをひん曲げようとせられた。しかもそのいずれもが、従来労働協約というものにきめられたものを一方的にあなた方は破棄するという、これはまことに民主主義下における、しかも法律に基づいて定められている問題を、専制君主や封建制の世の中の殿様でもやるようなことをあなた方が公然とおやりになっているということが明らかになってきた。そこで私は、それらの事例を示しながら労働大臣にお伺いしたいのは、一体労働協約というものの法律上における拘束力の問題、年休という問題に対する法律上の解釈、あるいは生理休暇に対する労働協約のあり方、そういった問題を正確にひとつここできめていきたいと思う。特に職制の側は、遠大な計画のもとで、こういう違法行為をもって権力で労働者を圧迫しようとする、これを弾圧しようとするような、そういう計画が一体許されるものであるかどうかというようなことも含めて、私はひとつ格調の高い、きめのこまかい質問をやらせていただきたいと思います。つとめて、きょうは、私は大きな声は出しません。非常に冷静にやりますから、答弁をせられるほうも、ひとつごまかそうなどというようなさもしいことは、おやりになってはいけません。特に小役人の小手先細工の答弁だけは、前もってお断わりいたしておきます。どうぞおやめいただきたい。正々堂々の陣をもって相対するということです。悪いときには悪い、正直に言っていただかなくては私はおこりますよ。どうぞひとつ御了承をいただきたい。  そこで、まずお伺いいたしますけれども、この裁判の過程において、裁判所から資料の提出をあなた方は要求せられております。その要求の資料というものは、長野の通信局において関係者が二月六日と七日にお集まりになりまして、いま申し上げました三条電報電話局、長岡電報電話局を中心にいたしますこの労働組合の攻勢、並びに、皆さん方のことばで言えば、秩序を守るためこれをどう粉砕し、どう攻撃するかというような会議をおやりになりました。あらためてまた、昭和三十六年二月二十六日と七日に第二回目の会議をお持ちになりまして、そこでは今度は個々の具体的方策を微に入り細に入りお進めになっている。その資料、あなた方は裁判所から要求をせられておる資料をお出しになりましたか。両会合における、管理者間における重大な会議の資料を裁判所へお出しになったかどうか、お聞かせを願いたい。
  70. 中山公平

    ○中山説明員 昭和三十九年の十一月十二日に裁判所から、いま先生の御指摘のような資料が数点、提出命令がございました。保母をいたしております資料のすべてを私どもは提出いたしております。いま御指摘の線で三十六年二月六日、七日の分と三十六年二月二十六日、二十七日の分と、二つが問題になっておりますが、このうち二月六日、七日の分は提出をいたしております。二月二十六日、二十七日の分は単なる討議資料にすぎなかったもので、正規の文書として特に保管していたものではなかったのでありますが、提出命令もございましたので鋭意さがしたわけでございますが、この分は現存しておらない、こういうことで提出するすべがなかったということで、他意はございません。
  71. 小林進

    ○小林委員 そういたしますと、二月六日、七日、二月二十六日、二十七日、二回にわたるあなた方の重大なる会議のその資料というものは、前半の二月六日、七日の分は裁判所へお出しになった。それは裁判所の手を通じてですけれども、私も一部ここに持っております。確かにお出しになったのでしょう。二月の二十六日、二十七日の分は、相当捜査をせられたけれども資料は見つからない。見つからなかったからお出しにならなかった。お出しにならないという後半の問題はあとに譲りましょう。けれども、当時三条の電報電話局の次長をやっておられました宮沢君の新潟地方裁判所長岡支部における証言の抜粋というものがございます。この中には、二月二十六日、二十七日の資料の問題についても言及をされております。もし必要ならばあとで読んでお知らせしてもよろしい。もちろん皆さん方もお持ちになっておると思うが、その中における証言と、いまあなたのさがしても見つからないというお話の中には、若干食い違いがございます。どうか、国会でございますし、社労委員会でございますので、あんまり人をなめたようなお話はなさらないように、よくそこで考えて御答弁をしていただきたい。  さてそこで、私はまず第一の二月六日、七日の、あなたたちが地方裁判所長岡支部へお出しになりました資料についてひとつお伺いいたしたいのであります。その「労務関係打合会議」の中の七の中に、「その他労使関係正常化について」とありまして、その1に「やみ協約対策について」というのがあります。それから同じく「三条局の労使関係正常化について」という中にも「(3)不当と認められるヤミ協約は昭和三十一年頃から出来ており、その件数は三〇件以上に及んでいる。その中で特に業務運行上支障をきたしていると認められるものは」云々、こうくるわけです。ここでお伺いいたしますが、協約の中でやみ協約と称するものの法律上の根拠は、一体どこにあるのでありますか。やみ協約と称する協約の規定は、憲法か労働法規のどこにありますか。私も憲法や労働法規を研究しておりますけれども、労働協約ということは私も知っておりますけれども、やみ協約というそういう名称、私はわかりません。どこにありますか、お知らせを願いたい。三治労政局長にお伺いいたします。
  72. 三治重信

    ○三治政府委員 文書はまだ拝見しておりませんが、私たちがいま現在承知しておりますのは、いわゆる労働協約でも中央段階、地方段階、各段階に各交渉委員会が持たれて、その中で行なわれておる。ところが下のほうの、下級の交渉委員会によって妥結した労働協約について、やはり権限外のことが協約になっておるということを称してそういうふうに言っておるんじゃないか、こういうふうに思うのです。もちろん労働法上に、やみ労働協約とかやみ何とかいうものはございません。実際上の呼び名だと思います。
  73. 小林進

    ○小林委員 労働法規上はございませんね。ないですね。やみと言うからには表に出せないということだ。手続が不備であるとか、あるいは表面上代表権がない者が、あるいは裏側で取引をするとか、あるいは日の当たらない場所で、陰やその他で協約を決定するとか、それがやみ協約でございましょう。それは協約ではないのです。協約というものの定義は一つしかない。それが協約として完全に成立するか成立しないか、二つしかない。労働組合法第三章の、労働協約の第十四条から第十八条までの間に、労働協約の定義が書いてあります。その中にはやみ協約ということばは一つもない。ありませんね。
  74. 三治重信

    ○三治政府委員 ありません。
  75. 小林進

    ○小林委員 副総裁、やみ協約というのはどこの法律のどこにあるのですか。それは電電公社だけの特別の、そういうわれわれの知らない労働法規があるのでございますか、お示しをいただきたいのであります。
  76. 中山公平

    ○中山説明員 お答えいたします。  先生御指摘のように、法規を見ましてもやみ協約というような文字がないことは労政局長のお話しのとおりでありますが、これはいわゆる、われわれが部内において俗に称しておることばでございまして、それは何をさすかということになりますと、先ほどの労政局長のこうであろうとおっしゃった御答弁と大体同じようなものでございますが、私どもは中央協約におきまして、「団体交渉方式に関する協定」というものを結んでおります。この中の第八条に、「各交渉委員が行ない得る団体交渉事項は、公共企業体等労働関係法弟八条に定める事項で、各交渉委員会が設置される甲の」——すなわち公社の、「各機関の長の権限に属する事項とする、ただし、権限に属しない事項については、上位の交渉委員会に移すものとする。」こうこうものが第一項にございます。また第二項には、「各交渉委員会における団体交渉において解決しない事項については、」権限内の事項であっても「逐次、上位の交渉委員会に移して解決に努めなければならない。」というのがございます。また三項には、「特に職場交渉委員会においては、権限外事項および管理運営事項について現場機関における団体交渉が混乱することを防ぐものとする。」   〔澁谷委員長代理退席、委員長着席〕 このように規定をされておりまして、当該機関の上部機関で、すでに締結されている労働協約の内容と同一事項に関しまして、本来当該機関長にその権限がないにもかかわらず、上部協約と矛盾し、あるいは抵触し、あるいは上回る、こういうことによって上部協約と相反するようなものが締結される、こういう場合の取りきめを、私どもは俗にやみ協約ということばで呼んでおりますので、御指摘の書類の中で、われわれの下部機関においてそういうことばを使ったのは、そのような意味において用いたのと私どもは推測しております。
  77. 小林進

    ○小林委員 あなたはまことに重大なる発言をされたが、これは労働法規のたてまえ上非常に重要でありますから繰り返しますが、いまあなたがお言いになりました第八条第何項というのは、何の条文ですか、いま一回おっしゃっていただきたいと思います。
  78. 中山公平

    ○中山説明員 これは団体交渉方式に関する協定というものがございまして、二十七年の九月に結ばれまして、三十五年の六月に一部改正がございましたが、毎年更新でこれをやっております。先ほど申しました第三項は、私の記憶では、三十五年の六月の改正のときに入ったものだと記憶いたしております。
  79. 小林進

    ○小林委員 それは電電公社内部における、いわゆる管理者と電電公社の労働組合との間にきめられた一つの協定ですね。
  80. 中山公平

    ○中山説明員 電電公社本社と全電通本部の中央交渉委員会において認められた協定でございます。
  81. 小林進

    ○小林委員 労働協約というものは、労働者の基本権に関する問題なんです。だから、あなた方は、そういう全体の部内におけるそうした協定の前に、労働協約の本質そのものをひとつ研究してもらわなければ困る。連合体と下部の単位組合との団体協約についてという規定はありますよ。一体上部の組合と、それに参加している下部の組合との間に権限があるとかないとか、上回るとか上回らぬとか、だから上回った点は無効であるとか、あるいは同一の協約は無効であるとかいうことは、労働法規のどこにありますか。団体協約というものは重大なものですよ。労働者の団体交渉権、団体交渉権に基づく団体協約というものは、組合に関する生命線です。だから、法律はこの点を厳格に規定しております。下部の団体が上部の団体より上回った協約をして、それがやみ協約という規定はどこにありますか。そんな解釈をしている学名があったら、お知らせ願いたい。労政局長、あなたもさっきおかしなことを言ったが、私は黙って聞きのがしたが、上部の機関の決定と、下部の機関の決定とが違ったときに、下部の機関の決定がやみ協約であるという説をなす学者がどこにありますか、教えてください。それは学問上重大なる問題ですよ。ここに本があるから、貸すから持っていって調べなさい。どこにありますか。
  82. 三治重信

    ○三治政府委員 電電公社は一つの組合になっておって、それから地方の支部組合、だから組合のほうにおきましては、連合組織の組合になっておるものを——やはり電電公社も一つの企業組合になっております。それが全電通という一つの組合と本社とで労働協約についてのきめ方を規定している。それを中山職員局長は読まれた。電電公社がそういう全電通と電電との労働協約をやっていく場合の、その総括的な取りきめがある。その総括的な取りきめについて、全電通の下部の組合と電電の下のほうの各支分部局との労働協約についての矛盾とかいうものについてこう言っていると思うので、私が何も、やみ協約だとかこうだとかいうようなことを言っておるわけではありません。
  83. 小林進

    ○小林委員 そんなことを言っていたら、労政局長、首ですぞ。私は、学問上の問題として権威のある、格調の高い問題を論じている。あいまいな世俗の論議はしません。  そこで、一体学者の中に、上部機関と下部機関とで、下部機関が上部機関より出過ぎた協約を結んだ場合、下部機関の決定は無効だなどという説をなす労働法学名がありましたら、お知らせ願いたい。私は、判例もありますから示します。いまは順序を追っていかなければなりませんから、まず第一審に電電公社のことからひとつ入りましょう。  電電公社にはこういうのがある。日本電信電話公社と全国電気通信労働組合との間には、次のような協定が結ばれている。これはあなたの言うものではない。「昭和三十五年度における団体交渉方式に関する協定」、「日本電信電話公社(以下「甲」という。)と全国電気通信労働組合(以下「乙」という。)とは、昭和三十丘年度における団体交渉方式に関し、次のとおり協定を締結する。第一条 団体交渉を円滑に行なうため、甲および乙は協議により中央交渉委員会、地方交渉委員会、支部交渉委員会および職場交渉委員会を設置する。」第一条はこうなっていますよ。そしてその五項には、「職場交渉委員会は、別表一に掲げる機関ごとに設置する。」「別表、職場交渉委員会設置個所」、これが全部で三十三カ所あげてあります。その二〇の中に電報電話局、こういうものがあげられておる。中央交渉の段階の中で、それぞれ支部交渉委員会あるいは職場交渉委員会というものが独立的に存在する。その支部内における問題、職場内部の問題においては、ちゃんと権限を移譲されて、その中で独立機関としてちゃんと団体交渉権、いわゆる団体協約を結ぶということが協定の中に結ばれておるじゃありませんか。まずこれなんです。これが一体全国一本の団体協約しか結ばないとか、電電公社にはその一つしか協約がないなどというような、そういう規定は何もない。あなた方はこれは認めますか。この三十五年度における団体交渉に関する協定を認めますか。認めざるを得ないでしょう。
  84. 中山公平

    ○中山説明員 まず後段のほうからお答えいたしますが、先生がいま御指摘になりました協定は、現在も毎年更新でこのままで生きております。いまはお読みくだすったような規定のほかに、私が先ほど読み上げましたようなものも入っておるわけでございます。そこで、下部機関においては協約はあり得ないのかというような御指摘でございましたけれども、この点につきましては、私どもといえども下部機関には協約があり得ないということを申しておるわけではございません。その機関の長の権限の中の事項でございますならば、これは双方の下部機関同士において交渉もし、協約を結ぶこともできるわけでございますが、それが上部機関との協約と矛盾、抵触する場合のことを先ほど申し上げたのでございます。
  85. 小林進

    ○小林委員 あなたはもじもじ言われましたけれども、団体協約を結び権限がある電報電話局で、いわゆる分会だ、そこで電報電話局の中で団体協約を結ぶことの権限がある、これはお認めになりましたね。これは認めたでしょう。よけいなことを言わぬでよろしいから、はっきり言いなさい。
  86. 中山公平

    ○中山説明員 権限の事項内のことについては交渉ができるわけでありますから、取りきめができれば、しかもそれが労働組合法にいうところの形式を全うしておりますならば、これは法律的にも協約として認められる、かように考えます。
  87. 小林進

    ○小林委員 その権限があることが明らかになった。その中で、いまあなたの言わんとすることは、上部機関の団体協約の締結の権限を凌駕した、あるいは上回ったということは、下部機関においてそれを行なうことは、あなたは違法行為だとおっしゃっている。どこに違法行為という規定がありますか。それが権限内であり、権限外であるという判定はだれが下すのですか。下部の労働協約といえども一方的にでき上がったものではない。労働協約が有効であるか無効であるかという条件は、労働法の中にありますか。見なさい。どこに、権限を上回ったものが無効である、どこに、権限を下回ったのが有効であるという法律の規定がありますか。協定が有効であるか無効であるかというのは、ちゃんと法律は規定を設けている。読んでごらんなさい。この労働協約が、下部であろうと上級であろうと中級であろうと、労働協約として有効であるか無効であるかということは、ちゃんと法律の中に権限はきめてある。読んでごらんなさい。第何条にあるか。
  88. 中山公平

    ○中山説明員 私の申し上げておりますことは、矛盾、抵触した場合に法律的に有効であるかどうかということにつきましては、これは学説、判例等も有力に定まったものもございません。そこで私どもの考え方といたしましては、これは非常にむずかしい問題でございますけれども、上部機関の効力が優先するものと解するのでございます。また、上部段階で締結される協約は、下部機関の段階で締結される協約を拘束する、こういうふうに解釈をいたしております。
  89. 小林進

    ○小林委員 労働協約が有効か無効かということは、いわゆる労働組合法の第十四条だ。「労働組合と使用者又はその団体との間の労働条件その他に関する労働協約は、書面に作成し、両当事者が署名し、又は記名押印することによってその効力を生ずる。」条件はこれだけですよ。それでいまあなたたちがおっしゃる三条の電報局には、ちゃんと電電公社の団体協約の中にもあるし、法律上もその権限に基づいて、三条電報電話局でこの法律の命ずるとおり労使の代表が書面を作成し、当事者が記名しているもの、押印しているもの、これを一体やみとは何です。しかもあなたたちを代表する権限のある者が、労使対等の原則で署名し、捺印しているものを、あなたたちが一方的に、中央の団体交渉の権限を上回っている——上回っているか上回っていないかは、当然両者で記名、捺印したものであるならば、話し合いで上回っているか上回っていないかをきめるべきではないか。上回っていると一方的に断定し、それをやみ協定と名づけるとは一体何ですか。それが一体正しい管理者の行為ですか、労政局長
  90. 中山公平

    ○中山説明員 だんだん具体的な問題になってまいりましたので、議論を離れまして、いま問題になっておる三条報話局の——ことばがいいかどうかはわかりませんが、やみ協約というものに対する対処のしかたを調査いたしましたのですが、その点について、先生おっしゃるように、対処のしかたとしては、初めからこれを無効だというふうにきめてかかっておるというようなことはないのでありまして、ただこういうものは好ましくない、先ほどの団体交渉方式に関する協定のほうから見まして、特に先ほど私が読み上げました第八条の精神から見まして、そういうものは好ましくないということで何らかの措置をしたいということが、先ほど御指摘の書類に出ておったものであろうと思っておりますが、それにつきましても、事実問題として、やみ協定としていまの年次休暇等の問題については、一方的に破棄をしたというようなものではございません。そうでないような処置をとっておる、こういうことでございます。
  91. 小林進

    ○小林委員 問うておることに答えなさい。ちょっと委員長答弁者の言論を統制してください。問わないことまで答弁して、問うておることには何も答えていない。
  92. 松澤雄藏

    松澤委員長 問うておることに答弁してください。
  93. 小林進

    ○小林委員 労働法規と、しかもあなた方の全電通における公社本社と労働組合の中央と、その協定の中においてもしかり、職場の中における独立して団体交渉権を付与するということが、法律の中にも、こうやって署名捺印し、記名調印すれば、それで団体協約として正式にその協約は成立している。法律にも、あなた方の中央交渉の中にも認められてでき上がっておるその団体協約を、何の権限があって、何の理由があってこれをやみ協定とおっしゃるのか、それを聞いておる。なぜやみ協定とおっしゃるかということを聞いておる。やみ協定というのは間違いですな。いいですか。それを明確に言わなくちゃいけませんよ。
  94. 中山公平

    ○中山説明員 やみ協定ということばが法律的の用語でない、われわれが部内で俗称しておることばであるというふうに先ほど申し上げたのでございまして、これにつきまして何か価値判断、あるいは法律でもってやみ協定ということばを使っておるわけではございません。ことばの響きが、何かやみと言いますと、先生おっしゃるような印象を与えるかもしれませんが、そういう意味ではございません。
  95. 小林進

    ○小林委員 ちょっとお聞きしますが、労働協約の効力というものは法律に準ずべきものですよ。いわば拘束力を持っておる。羈絆力を持っておる。労使の間においては、これは単なる一つの契約であって債権債務の関係でしょうけれども、協約が結ばれれば、その管轄下における労働組合を拘束するのだ。賃金の場合も、あるいは時間から、すべての問題を全部拘束する、法律と同じ権限が与えられておる。そのものを一方的にやみと俗称するというのは何ですか。法律軽視の思想じゃないですか。法律に準ずべきもの、法律と同視すべきものだ。それをやみとは何だ。俗称とは何です。われわれが国会においてこうやって成規の手続で成立した法律を、たまたまわれわれはおもしろくないからといってあれはやみ法律だ、やみ法律だ、こんなことを言われたら、民主政治の法治国の存立がそれで一体安定しますか。許されますか。自分の都合が悪いからといって、でき上がった法律をやみ法律だ、やみ法律だと言ったらどうなりますか。県や都道府県において条例というものがある。これは法律に準べずきものだ。たまたま経営者反対側に不利だからといって、やみ条例だ、やみ条例だ、こんなことを俗称である、われわれの仲間で言うことばであるというようなことで言いふらされては、それで法治国家としての法律の尊厳が保たれますか。市町村で言ったら、市町村条例があります。たまたま自分にぐあいが悪いからといって、あれはやみ市町村条例だ、やみ条例だと言ったら、一体市町村の秩序は保たれますか。労働協約は、いま申し上げました法律、条例に準ずべき、その両者間における羈絆力を持つものです。拘束力を持つものです。それをやみなどと軽視俗称して、それで一体管理者としての任務、法律尊重の精神、民主政治を守る精神が守れますか。総裁、あなたの答弁です。あなたも勲一等をもらったのだ、ちゃんとした答弁をしなさい。
  96. 大橋八郎

    大橋説明員 やみ協定ということばの話でございますが、必ずしも私は適当なことばとは思いません。なるべくこういうことばは使わぬほうがよろしいと思います。
  97. 小林進

    ○小林委員 それは総裁としてりっぱです。私どもは、何も組合側や経営者の側に立っておるわけじゃないけれども、一たん成規の手続によって結ばれた労使間の、しかも労組だけできめたのじゃない、経営者の代表も入って調印して、法律どおり捺印したものを、自分たちの支配者の側に不利だから、都合が悪いからといってそれをやみ協約などという呼び方は、あなたのおっしゃるとおりだ。そういう態度を管理者というものが改めてもらわなければ、労使の信頼なんかとても生まれるものじゃない。あなたは、それはやはり実にりっぱにお答えになりました。私はこれ以上追及しないで次に移りますけれども、しかし公社側に一つ教えておく必要がある。  あなたは、さっき上部機関は行き過ぎるとか行き過ぎないとか言っていましたが、ここには判例がある。学者の説もある。あいまいじゃないですよ。「上部の組合とそれに参加している下部の組合が、同一の使用者に対して」——あなた方のことです。「それぞれ労働協約を結んでいる場合は」、一体それがどうなるかという判例があります。「通常は、上部・下部の組合が同じことについて協約を結ぶということは、あまりありません。」これは普通はない。ないが、やはりある。労働慣行にある。しかし、「事実上は、上部はこういうことをやる、下部はこういうことをやると、事項的に区別して協約を結ぶ」場合があり得る。いまあなた方が言ったのはそのケースです。あるいはまた、上部は一般共通のものに限って協約を結んで、下部はその分会、職場に即した個々の協約、やはり一般法と特別法という形で協約を結ぶ場合もあります。そういうときに、一つの競合という問題が起きてきた。これは前例があります。理研小千谷工場における生産管理の問題として判例がある。いいですか、判例ですよ。その場合は、「人的に狭いほうの協約」——よく聞いていなさいよ。「人的に狭いほうの協約、つまり下部組合の協約が優先をする」と判決されているのですよ。あなた、反対じゃないですか。いまも言うように人的に狭いほうの協約、すなわち下部組合の協約が優先するという判決が一つあるでしょう。労政局長、勉強してくださいよ。あなたも先ほどから、上部だの下部だのいろいろなことをもやもや言っていましたけれども、ちゃんとこの判例をくつがえす判例が出ない以上は、われわれはこの判例に基づいて措置しなければならない。何ですか、あなた方は上部機関の権限外だ、判例が何だかんだとぐだらぐだら言っているけれども、私どもは、これまでは下部組織はやはり自分の組織の範囲内のことについては優先的に協約を結ぶ、上部の組織範囲に共通の問題については、やはり上部で協約を結ぶということがすなおな考え方でなければならない。これは注釈は私がつけてありますけれども、判例としては、いま申し上げますように人的に狭いほうの協約、すなわち下部の組合の協約が優先すると明確に判例は出ているのでありまするから、あなたたちが先ほどから言っているように、上部の権限と下部の権限で、下部の権限が上部の権限を侵しているからこれはやみ協約などというあなたの主張も、それ自身に学説的には根拠がない、判例の上にも根拠がないのです。残念でしたら私を反駁してごらんなさい。
  98. 中山公平

    ○中山説明員 私も、先ほど申し上げましたように、この点については非常にむずかしい問題であって、学説、判例等も固まったものがないということを申し上げたとおりでございますが、先生のいまの判例をたてにしての主張におことばを返すわけではございませんが、私はいろいろなケースが考えられると思います。一つは、それが連合体であるか単一組合であるかといったような組合の組織、行動もございましょうし、もう一つは、その個々のケースについても問題があろうかと思います。たとえば上部機関でごく全国的なことをきめて、ある土地のたとえば気候、風土等に関連した特殊なものについては下へ移したというようなことにつきましては、いま言ったようなこともあると思うのでございますけれども、私どもは、いまの法律の効力の問題については、先ほど申しましたように、有効無効論は非常にむずかしいのでございますけれども、組合の各機関に対応する私どもの公社の機関の長が持っておる権限、それを越えるか越えないかということは、いま御指摘のような問題について一つの尺度になるのではないか、こういうふうに申し上げたいと思います。
  99. 小林進

    ○小林委員 あなたがそういうようなへ理屈をおっしゃいますと、私はまた追及しますよ。たとえて言えば、権限があるかないかということだがその上部機関の権限外のことがやれないで、独立機関としての協約が結べないというあなたの主張が通るなら、それでは一体、上部機関の決定どおり下部は機械的に動いた場合に、あなた方、下部の独立性を認めないなら、下部の連中を処分しないか。処分をするときには下部の独立を認めて、上部機関の指令どおり動いている者をばっさばっさと首切っているじゃないか。完全に独立して活動する自主性を認めて、そして首を切るじゃないか。労働協約なんという、自分の都合の悪いときになったら、今度は下部機関は上部機関の指令どおりに協約を結ぶ以外にはない、それを出たものは権限外だから認めないなんという、そういうところどころ、場所によって自分たちの都合のいい解釈をしてはいけません。もしあなたがそうしておるなら、上部の命令どおり、手足どおり動いた者は処分を全部取り消しなさい。それならばあなたのへ理屈もそのまま認めてあげましょう。  そこで私は、この問題は、ともかくやみ協約などという、正式な機関の決定に基づいてやったことを、そういう協定を軽視するようなものの考え方はいかぬということが明瞭になったのでありますから、この問題は次へ発展いたしまして、次に、あなた方はやみ協約であるからこれを破棄するとおっしゃる。協約を破棄するというのはどういうことですか。法律のどこに一体破棄するという根拠があるのですか。破棄という問題について私はお尋ねをいたしたい。労働組合法の第何条に一体労働協約を破棄するという規定がありますか。どこにありますか。
  100. 中山公平

    ○中山説明員 労働組合法の十五条の三項を見ますと、「有効期間の定がない労働協約は、当事者の一方が、署名し、又は記名押印した文書によって相手方に予告して、解約することができる。」こういう規定がございまして、破棄ということば、あれは適当でなかったかもしれませんが、下部機関で破棄ということばを使っておるとしますならば、これは解約の意味であります。
  101. 小林進

    ○小林委員 子供だましみたいな答弁をしなさるなよ。立法府へ来て、破棄ということばは解約と同じ意味だなんという子供だましの失敬な答弁をしてはいけません。中山さん、あなたはいままでの職員局長より人格はりっぱだし、なかなか労働者の生活の理解が深いから、私はあなたを尊敬しています。あまたある公社の中にも、こういういい人もたまには一人あるのだと思っていた。いまの答弁はいけません。そんなことではいけません。私どもは、こういういやしくも労働協約などという基本の原則に関するもののことばというものは、正確に使わなくちゃいけない。いまあなたが読みましたとおり、労働組合法の中には第十五条で、記名押印した文書によって相手方に予告して、そして初めてそこで解約をすることができる。労働協約を解消せしめるには、労働法規の中にはいわゆる解約の手段しかない。あとはないのです。しかも消滅する方法は解約以外にはない。それほど労働協約というものは重要な協定なんです。そんなに一方的に破棄したり解除したり、あるいは捨てたり拾ったりするわけにいくものではない。でございますから、厳格に解約をする。しかもその解約というものの手段を労働法規は明確にしている。破棄とは何です。破棄ということはどういうことなんですか。解約と破棄は、小学生の子供だって知っておりますよ。破棄と解約が同じだという——理屈は子供だって知っておりますよ。総裁、あなたにひとつ解約と破棄の区分を承りたい。あなたの部下たちも、こういうふうに労働法規を無視して、せっかく正式に結ばれたこの労働協約をやみ協約と称し、法律の中にちゃんと解約手段をきめておるのにかかわらず、これを破棄と称しておる。これが一体正常な管理者の行為であるかどうか。破棄と解約の違いをひとつ教えていただきたい。
  102. 大橋八郎

    大橋説明員 どうも日本語がずいぶんルーズな使い方でございますから、法律上には解約と書いてありますが、通常話すときには、これに破棄ということばを使うことは間々あることでございます。解釈としては職員局長が申したとおりでございます。
  103. 小林進

    ○小林委員 それでは、いま一つお伺いいたします。あなたたちも、いやしくも法治国家ですから、法律に基づいてすべて公社を運営せられておるでしょうし、労働政策も進めていらっしゃるでしょう。解約と解除とそして破棄、この三つの違いについて承りたい。これは労働者の組合の将来の問題に対して基本的な問題ですから、そんな日本のことばはどうでも使えるというあいまいなあなたたちのかってな解釈で、一方的に、労働者が血みどろで経営者と話し合ってきめた労働協約を、そんなあいまいなことばでかってなほうにやられてはたまったものではありません。重大な問題でありますから、解約と解除と破棄、この三つについて区別を承りたい。できなければ私が教えてあげます。
  104. 中山公平

    ○中山説明員 先ほども申しましたように、破棄ということばは、もし三条局あるいは信越通信局のほうで使っておったといたしますならば、これはよくわれわれ同士で話をする場合にも俗称破棄ということばを使いますので、解約のことを破棄ということばを使ったのであろう、かように存じますが、この点は法律的に見て、またことばの感じからいって、どぎつい不適当なことばであるとは思いますが、意味は成規の手続を経て解約をする、こういうことでございます。解除ということにつきましては、私、ちょっといま法律的な正確な意味をここで申し上げるほど研究いたしておりませんので、答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
  105. 小林進

    ○小林委員 総裁、よく聞いてくださいよ。それはあなたの部下たちは、やみ協約の破棄などというどぎついことばで、そのことばは決して俗称のことばじゃないのです。労働組合を軽べつし、いかにして労働組合を弾圧し、これを圧迫するかという精神のあらわれなんですよ。ほんとうに労働協約を尊重し、労使の話し合いを確認したその署名捺印したものを尊重するという気持ちがあれば、かりにもやみ協定の破棄などということばが出てくるわけはないのです。だから私は、単なることばの問題にあらずして、その誤れる精神を是正する意味においてこの破棄の問題を取り上げている。その意味において、時間もないから私は解除の問題なんかを詳しくここで説明しようと言うんじゃなのんだけれども、労働法規の中では団体協約の解除さえも禁止している。これは通説なんです。解除というものは民法の五百四十条、債権の問題なんです。ものを売買するときに一方が債務を履行しない。そういう場合に一方的に不履行に基づく債権を解除する、債務を解除する、こういうことなんです。労働協約は、そういう債権債務の民法の規定五百四十条以下によってこの解除行為ができるかと言ったら、労働協約というものはできない。これは労使間における一つの平和協定であり、それによってお互いに平和の義務を負っている。その協定に基づいて労働者の地位は安定している。それを単なる一片の解除通告によってその地位が不安定になるというようなことは、許さるべきじゃない。同じ債権債務でも、借地借家法のように、家を借りている、家賃も払わない、不当だから契約を解除する、一方的な通知でおまえ出ていけ、こういうようなことは、家に住む、土地を借りるということは半永久的な行為でありますから、それにはやはり一方的通告に基づく解除行為というものは許されない。こういう借地借家法の場合には、一般債権債務と違って、解除というものは許していない。まして団体協約というものは、そういう家を借りる、土地を借りるというよりも、労働者の地位の安定行為なんだから、それを単なる一方的通告行為などでそれが不安定になるということはたいへんな問題であるから、解除すること自体許すべきじゃない。やはりこれは厳密に判断いたしまして、この労組法第十五条に基づく解約の手段以外には、労働協約というものは解消できるものじゃないという学者の説ですよ。いいですか。一体その第十五条における解約の手段というのは何ですか。たった一つ許されている労働協約の解約の手段というのは何ですか、教えてください。だから解除は許されない。解約の手段しかない。その解約の手段とはどういうことですか、教えてください。
  106. 中山公平

    ○中山説明員 期間の定めのないものにつきましては、条文にもございますように、少なくとも解約しようとする日の九十日前に予告をするということになっております。
  107. 小林進

    ○小林委員 そのとおりですよ。労働協約を結んだときと同じ手段によって、やはり労使の代表が署名し、または記名をし、捺印した文書によって相手方に予告する。その厳格な手段をとらなくちゃいけない。しかもその予告をするにしても、いまあなたが言われたように、解約をしようとする日の少なくとも九十日以前に予告をしなければならないことになっている。あなたたちがやみ協定の破棄ということをおっしゃった、そのやみ協定の破棄ということが、ここの労働法規でいう解約と同じ意味であるとおっしゃるならば、あなたたちのことばで言えば、そのやみ協定破棄のために九十日以前に予告をされましたか。
  108. 中山公平

    ○中山説明員 事実の問題がございますから、そのとおりお答えいたしますが、いま御指摘のような多数の協約がこの局にはあったわけでございますが、その中でレクリエーションの休暇に関する取りきめ、これは法律の手続に従って解約をいたしておるように調査の結果聞いております。それ以外は解約をいたしておりません。解約の手段に訴えておりません。
  109. 小林進

    ○小林委員 あなたたちは、少なくとも先ほど言うように、正式に成立をいたしております団体協約に一方的にやみ協約という名称をつけられた。そしてこれを破棄すると言われた。そのやみ協約であり、破棄するといってあげられたあなた方の団体協約は幾つありますか、一つや三つでないでしょう、幾つ一体おあげになりましたか。
  110. 中山公平

    ○中山説明員 下部の通信局段階以下におきまして、三条局のこの協約につきまして、全部破棄をするのだ、問題になるものは必ず破棄をするのだ、こういうふうにきめておったようには私は聞いておりません。
  111. 小林進

    ○小林委員 ともかくあなたたちの裁判所にお出しになった書類がここにあるのですよ。その中に、これとこれとこれとはやみ協約であると、あなた方がちゃんと言っているじゃありませんか。それを破棄すると言っておる。それほどまで言明をしておきながら、その中でたった一つ、私もレクリエーションに関するものだけは、この規定どおり九十日前に予告せられたかどうかわからぬ、あとで調べてみればわかるが、それ一つだけは、労働法規に基づいて九十日以前に予告をされたと言われている。これも私はうそだと思う。うその証言か調べてみればわかるのですから。先ほどから言っているように、うその証言はしないでくださいよ。それ以外のものは何も法律上の手続はおとりにならぬ。  委員長、郵政大臣がおいでになりましたから、一応私はごあいさつを申し上げておきます。  いま、あなたの監督下にある電電公社が、労働者を圧迫し、弾圧をするためにおそるべき法律違反をおやりになった。憲法に違反をし、労働組合法、労働基準法に違反をいたされました。国家権力をまともにかざして労働者を弾圧しておられる、こういう問題です。私はいま個々に例証をあげてきました。電電公社はだいぶ自分の間違いをお認めになったようでありますが、まだ全部お認めにならない。これはひいてはあなたの責任問題ですから、郵政大臣、あなたは最高の責任者でありますから、ぜひひとつそこにすわって私の質問を聞いていただきたい。適宜あなたに質問をいたします。どうぞ重大問題でありますから、よく聞いてください。  こんなことを一々労働者がやられたのじゃ、労働者の首なんというものは幾つあってもたまったものではない。どんなにわれわれが真剣に法律をつくったところで、法律の価値なんて一文の値打ちもない。権力者がみな土足にかけてしまうのです。重大問題です。そこで九十日の予告を何もおやりにならない、そしてばんばんと土足でけって法律を無視せられている。その問題は、具体的にいかにあなたたちが無視しているかということ、破棄と解約とを全然別個にして、解約の手段なんか一つもとっておられない。一方的に、権力で全部それを突き破るような、土足でけって打ち破るようなことをやっている。例証はまたあとでお知らせいたします。  次に、私は話の順序として、先ほど留保いたしました二月二十六、七日のあなたたちの資料の、いま言われた労働協約、この正当な権限に基づいてでき上がった労働協約をやみ協約と称して、これを破棄するのであるという一方的な宣言をされて、その破棄をし、それをなくするための具体的会議を二月二十六、七日におやりになった。そのときにはよもやまの資料が配付せられたのでありますけれども、その資料を、いま一回お尋ねしますが、ちょうだいできませんか。いま一回繰り返して言いますが、その資料をちょうだいできませんか。
  112. 中山公平

    ○中山説明員 先ほども裁判所の提出命令のところでお話を申し上げましたように、単なる会議におけるトーキングの資料であったものですから、正式の保管がなされておりませんので、現在は、調査の結果それがない、こういうことでございますので、お出しすることはできません。
  113. 小林進

    ○小林委員 それではベルも鳴りましたから、いま十分ぐらいやりましてあとは本会議終了後にやりますが、その間に、本会議の間にはいま一度御考慮になったらいかがですか。一時間ばかりお上げしますから、御考慮になったらいかがですか。御考慮になって、いま一度電話なり、あるいはあなたのところはすぐ近いんですから、本社の金庫などをお調べになったほうが私はいいと思うのでありますが、総裁、ありませんか。二月二十六、七日の長野通信局内における「三条局業務運営混乱の原因」以下労務対策に関するもろもろの書類がありませんか。総裁、大勢を見ないといけませんよ。大勢を見誤ってはいけません。あなたの晩年を汚してはいけません。
  114. 大橋八郎

    大橋説明員 私はよく存じません。あるかないかということも存じません。
  115. 小林進

    ○小林委員 副総裁、あなたも知りませんか。あなたは総裁を補佐する身分だが、あなたもありませんか。
  116. 米沢滋

    ○米沢説明員 ただいまの総裁の御答弁と同じでございます。
  117. 小林進

    ○小林委員 私は、残念ながら了承できないのです。執拗にものを言いますけれども、私も、執拗に言うからには、何も三振、から振りをしているわけでございません。お問いするだけの根拠があってお問いしているわけです。本会議が終わるまでの一時間の間に、ひとつ総裁、いま一回御相談くださいまして、次にまた御答弁をいただきたいと思います。  ところで、二月二十六、七日のその長野通信局の会議に出席された方々のお名前をここでお伺いいたしておきたいと思います。
  118. 中山公平

    ○中山説明員 私、そこまで調査をいたしておりませんので、いまだれとだれとだれということはお答え申し上げる状況でございません。お調べをしてお答えいたしたいと思います。
  119. 小林進

    ○小林委員 それじゃ私のほうで、岡田春夫委員方式で、ちびっとひとつお知らせを申し上げたいと思うのであります。当日出席いたしました者は、三条電報電話局側では竹村局長、宮沢次長、新潟通信部からは竹森部長、伝田次長、高野労務厚生課長、それから長野通信局へいきまして、山浦職員部長、宮下調査役、小泉労務課長、市川職員課長、大内田運用部長、諫早経理部長(「オールスターキャストだ」と呼ぶ者あり)オールスターキャストでございます。こういう中でもろもろの会議をおやりになりました。どういう内容をお話しになったのか、その会議内容をお伺いしたいと思う。これはわが日本の管理者、経営者、職制がどういうことを労務対策として管理をし、あるいは作戦をおつくりになるかという貴重な資料でございます。われわれ国政に参与する者は、ぜひともこれを知っておかなければならない。でございまするから、ぜひともお聞かせを願いたいと思うのであります。
  120. 中山公平

    ○中山説明員 私の聞いておりますところでは、三十五年の秋ごろから三十六年の春ごろにかけまして、三条電報電話局の電話交換サービスがきわめて悪い状態になりました。一般市民の皆さまからもたいへんな抗議が出る、そういうような状況がございました。これについて、このサービスの低下をいかにしてもとどおりに直すかということについてもろもろの対策を討論した、こういうふうに聞いております。
  121. 小林進

    ○小林委員 おいおい出てまいりますけれども、ここでは、当時その会合に出席をされました宮沢次長が裁判所において宣誓をしながら証言をされました問題がございまするので——委員長、こういう重大問題を論議しておるのに、裏側において笑いながらやじるという不謹慎な者をたしなめてもらいたいと思うのであります。
  122. 松澤雄藏

    松澤委員長 たしなめます。
  123. 小林進

    ○小林委員 そこでは、三条局に対する資料が配付をされておる。資料は七項目にわたるものである。三条の正常化対策の資料も配られておる。その中には「三条局業務運営混乱の原因」、これにみなある。やみ協定にどう対処するかという問題、やみ協約対策についてという資料。しかし、内容はどんな内容だったか忘れた、こういうことです。別冊、団交記録書が配付されたかどうかは……。それから三条の問題をプリントした二枚のもので、タイプ印刷したものとそのほかにもあった。二枚とも表刷りで、運用サービス、対外問題、サービスの悪い実態等が出ていた。出された資料は番号が打ってあって、運用サービス、三条局の問題、春闘対策等七項目だったと思う。その他に三条の正常化対策の問題と思う資料を見せられ、それは引き上げられたと思う——引き上げたというのは、きっと通信局が引き上げていったということでございましょう。それはワラ半紙大の大きさの紙四、五枚だったと思う。こういう資料をちゃんとあげているのですから、これはあなたたちはないとは言えないでしょう。証言をされているのだから、通信局や本社にないとは言えないでしょう。  いま、ベルが鳴りましたから、本会議まで私の質問を留保したいと思います。
  124. 松澤雄藏

    松澤委員長 本会議散会まで休憩いたします。    午後二時一分休憩      ————◇—————    午後三時一分開議
  125. 松澤雄藏

    松澤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続けます。小林進君。
  126. 小林進

    ○小林委員 先ほどあえて御忠告を申し上げておきました長野通信局における二月二十六、七日の会議の資料を、ここへ提出をせられる御意思がありませんか。
  127. 中山公平

    ○中山説明員 先ほども申し上げましたように、この二十六日、七日の資料というものは、信越通信局に対しましても私ども存否について調査を十分いたしましたのですが、御指摘の資料についてはいま存在してないということでございますので、おことばではございますが出すことができない、こういう状況でございます。
  128. 小林進

    ○小林委員 それではその問題は私は了承できません。いずれまた、きょうの御答弁を変えていただくような機会が必ずあるということを私は申し上げておきます。その際には、国会をあまりに軽視いたしまして申しわけないなどという陳謝の辞を申し述べることのないように、いまからひとつ十分事態について御勘案あってしかるべきじゃないか。きょうはそれでほこをおさめることにいたします。  先ほどの新潟地裁長岡支部における宮沢次長の裁判所における御証言はお認めになりますか。証言の内容の部分的なものについては、私は先ほど申し上げました。あの証言をお認めになりますか。
  129. 中山公平

    ○中山説明員 事実の問題でございますので、私どものほうで証言の記録と照合をしてみませんと、確かなものであるかどうか、私どもも実は確認ができないので、この点につきましては後日明確にいたしたいと思います。
  130. 小林進

    ○小林委員 先ほど申し上げましたのはまだ全部じゃない。まだそれに追加いたしますけれども、「二月二十六日−二十八日に竹村局長と長野通信局へ打ち合わせに出張した。」こういうことから始まって、「会議ではいろんな資料が出ている。二月下旬に大綱がきまったもので、休暇とか庁舎管理などの具体的なものが出された。(パンフのような)」——とカッコしてあります。「その資料は多分三条局に保管されていると思う。白表紙のパンフになっていると思う、おもなものは三条の正常化対策というものである。三条局対策のポイントになる文書は、わら半紙半截で裏表にページを入れて十五枚くらいのもので、別紙もあったかもしれない。問題になる」——いわゆるあなた方のやみ協定と称せられているもの、「問題になる職場協約は別紙で出されたと思うが、それがいわゆるやみ協約である。」このやみ協約、これを廃棄するとあなた方が言われた、その問題になるやみ協約の「文書はタイプ印刷だった。この文書は三条局と通信局にたると思うからもう一度私も見る。」こういうふうに証言をされているのであります。この証言はやはりお認めになりますか。総裁、あなたのかわいい部下の裁判所における証言でございます。総裁、お認めになりますか。——総裁質問者が総裁質問しているものを、そのかっこうは何です、そんな失敬なやり方がありますか。立って答えなさい。知らないなら知らない、部下に答えさせるなら答えさせると言いなさい。
  131. 大橋八郎

    大橋説明員 職員局長から答えさせます。
  132. 中山公平

    ○中山説明員 法廷における証言の問題でございますから、本人がそういう証言をしたかどうか、この点はわれわれのほうで確かめないと、ここでそれが認められるかどうかということは差し控えたいと存じます。先生がお持ちの資料でございますから間違いはないと思いますけれども、正確を期するためにいまのような御答弁にしたいと存じます。
  133. 小林進

    ○小林委員 私どもは、裁判所の摘要記録をそのまま写してきたものであります。これが間違っておるならば、裁判所の記録は間違っておることになる。しかし大事をとっていま一度念を押してその上に御回答なさるということであるならば、いつ一体御回答をいただけますか。その期日をひとつ区切っていただきたいと思う。総裁、これはあなたがお答えになられるでしょう。あなたの命令指示に従ってすぐやれる仕事ですから、いつまでにこれを確かめて、いつまでにその真偽のほどを回答していただけますか、お答えをいただきたいと思います。
  134. 大橋八郎

    大橋説明員 こまかい手続等のことは私存じませんので、詳細心得でおる職員局長答弁いたさせます。
  135. 中山公平

    ○中山説明員 早急に調べをいたしたいと思います。
  136. 小林進

    ○小林委員 あなたたちから馘首せられ、解雇せられた人たちが原告となって、公社側を提訴いたしました。その民事訴訟の中に、不当なる誠首に対する損害賠償その他を含めたその提訴の中に準備書面というものがあります。その中に、三十六年の三月二十六日、二十七日に対するものと思考せられる書類が含められております。「三条局業務運営混乱の原因」と称する書類、この書類はどういうふうにお考えになっておりますか、お聞かせ願いたいと思います。
  137. 中山公平

    ○中山説明員 準備書面を拝見いたしましたので、私どももこの書面について信越通信局に対して調査をしたのでございますが、これにつきましては二月の二十六日、二十七日の資料の草案として、当時の信越通信局の一係長が起草をして、これを課長のところへ提出をいたしましたところが不採用になった、こういうものだと信越通信局の当時の関係者から聞いております。
  138. 小林進

    ○小林委員 先ほどの話でございますが、いまの裁判所における宮沢次長の証言が正確なものであるかということに対する調査の結果を御報告くださるというその報告は、書面にしていただいて、そして社労の委員長のところへ御提出願いたい。そのほうが正確でよろしいと思います。よろしゅうございますね。
  139. 中山公平

    ○中山説明員 先生の御指摘になったところと私どもの調べたところとを照合いたしまして、申されましたように提出いたします。
  140. 小林進

    ○小林委員 何月何日までに出してくださいますか。
  141. 中山公平

    ○中山説明員 いろいろ手続上のこともございますから、早急にと申しても二、三日というわけにもまいるまいかと思いますが……。
  142. 小林進

    ○小林委員 余裕を持ってやってください。
  143. 中山公平

    ○中山説明員 一週間程度猶予いただきたいと思います。
  144. 小林進

    ○小林委員 四月の十日までにちょうだいできますか。よほど余裕を見てですが、四月の十日まで……。
  145. 中山公平

    ○中山説明員 けっこうでございます。
  146. 小林進

    ○小林委員 それでは、四月の十日までに、委員長経由で法廷内における証言の真偽のほどをお聞かせを願いたい。  そこで、いまの問題でございますが、この準備書面の中における「三条局業務運営混乱の原因」と称するこの書類は、一係長が草案をつくって課長に提出いたしまして、不採用となったものである——参考までにその係長のお名前と、不採用にされました課長のお名前をお聞かせ願いたいと思います。
  147. 中山公平

    ○中山説明員 本社のほうで当時の信越通信局の担当の者について調べましたところ、宮沢労務係長が草案としてつくりました。これを見て採用をしなかった課長は小泉当時の労務課長、こういうふうに聞いております。
  148. 小林進

    ○小林委員 おかしいですね。宮沢労務係長というのは、ぼくはあとでもお伺いしますけれども、もう一月の初めに三条局へ転任をいたしまして、三条電報電話局の竹村局長の下の次長をやっているのじゃありませんか。
  149. 中山公平

    ○中山説明員 姓は同じでございますけれども、同一人ではございませんように聞いております。
  150. 小林進

    ○小林委員 姓は同じだけれども、名は違うというんですね。これはうかつでございました。(笑声)やはり労務対策なんかで人をいじめるのがうまいのは、宮沢なんというのが多いらしいですね。三条にも宮沢あり、長野にも宮沢あり、ともにそういう労務対策をやっておられた、そういうことでございますね。
  151. 中山公平

    ○中山説明員 先生の御指摘の前半のほうは私よくわかりませんが、ともに労務関係をやっておったということでございます。
  152. 小林進

    ○小林委員 一係長がおつくりになって、労務課長が拒否せられたというあなたたちの苦心の答弁だと私は思う。大橋総裁、あなたはそういうあまり小手先をお使いになる方ではない。だけれども、そう言わなければならない担当局課長の諸君の苦心の作もわかりますけれども、電電公社がこういうような小手先の答弁を繰り返している限りは問題の解決にはなりませんよ。総裁、やはり大道を踏んであやまたず、堂々と歩かなければいけませんよ。私はおどかしじゃないのですから、きょうはだまされた気持ちでいるのです。しかし、その係長という者が草して、小泉係長が不採用にしたその書類の中に、一体何が書いてあるのですか。やみ協約の締結と称して、三条の中で行なわれた団体協約のものを、やみとしてあげているものを全部破棄する、それに対する対策として何と言っているか、やみ協約の除去、具体的な対策、当面の戦いと本格的な戦い、まるで三矢事件以上の、図上作戦もここまでくればたいしたものですよ。その本格的な戦い方の方法としてやみ協約の破棄、その破棄する時期は、A春闘終了直後、B新潟通信部管内管理者の態勢確立のとき、こういうことでございまして、長期の展望においては、三十六年の春闘を二月から三月にやっておるのです。この春闘対策でまずひとつぽかっと首を切っておいて、そうしてその春闘対策が終わった直後に三条局に乗り込んで、このやみ協約をこのどうかつの中で破棄しようという、こういう戦略があなた方の二回の会議の中できめられておるのです。これが本格的な戦い方です。第二番目のやみ協約を破棄するまでの当面の戦いとしては、職場規律の確立を直ちに実行していく、こういうふうに作戦計画を練っていられるのです。いいですか、あなたは労使の信頼の上に立つと言いながら、あなたたちの管理者たちが労働組合を弾圧するために長期の対策、当面の対策などという対策を二通り持って、そしてその目標はやみ協約の破棄であるという目標を掲げて、その時期は春闘の直後、こういうことを決定いたしまして、以下その具体的な方法を微に入り細に入り羅列しているような、こういう管理者のあり方を一体正しい姿だとお考えになりますか。総裁、これが正しい姿であるとお考えになりますか。
  153. 中山公平

    ○中山説明員 この文書につきましては、性格が先ほどまで申しましたようなものでありますから、これをもって先生の仰せられるように公社の労務政策として現実に出てきたものかどうかということについては、私は必ずしもそういうふうに御断定をしていただきたくないという気持ちがいたしております。にしましても、いまのようにたいへんな弾圧というようなことは、少なくとも本社として考えたこともございませんし、信越通信局におきましても、これと当時の三月十六日のストライキというものを結び合わして考えるというようなことはあり得るはずがない、別の問題だというふうに私は考えております。
  154. 小林進

    ○小林委員 それではあなたは、この「三条局業務運営混乱の原因」というおそるべき域略域術の書類と、その後あなたたちが実際におやりになった仕事、私はこれから罷列しますよ、それと関連がないとおっしゃいますか。いまあなたがきれいなことをおっしゃいましたように、この内容に盛られたようなことは、その後あなたたちの管理者や職制の行動の中に全然あらわれてこなかったとおっしゃいますか。それならばあなたの答弁を私は認めましょう。ないと言う自信がありますか。先ほどからあなたは、やみ協約というのは行き過ぎだ、間違いだとおっしゃった。破棄ということばも行き過ぎであるということを認められたから、私は聞いた。これからの行動の中に間違いがないとおっしゃいますか。りっぱなことを言うのはちょっとお早いのじゃありませんか。これから私はあげるんですよ。
  155. 中山公平

    ○中山説明員 私どもの調査しておるところによりますと、三条局におきましていろいろ諸休暇の手続その他について当時実施したことは、職場の組合との間に取りきめができておることの中で、確実にいろんな事情から守られていなかった、しばらくの間管理者のほうでもそうしたことを守るということについて大目に見ていたというような点についての是正をしてきた、こういうふうに聞いております。
  156. 小林進

    ○小林委員 私は、いままであなたたちが、そういう弾圧体制をつくるためにいかに図上作戦を微に入り細に入りおやりになったかということ、その図上作戦の中にも、いかに多くの違法行為、憲法に違反し、労働法規に違反し、労働組合法に違反しておる多くの問題があるかということを述べてきた。図上作戦の部はこれで終わるのです。  これから、今度あなたたちがその図上作戦を現実にどう実行されたかということを私は申し上げる。  まず第一番には、あなた方がそのことをおやりになって、第一に何をおやりになったか。まず、三条電報電話局の機構の改革からおやりになりましたね。弾圧体制——われわれのことばをもってすれば、まず弾圧体制をつくるということからおやりになった。すなわち、昭和三十六年の一月の人事異動は、信越電気通信局、新潟電気通信部、三条電報電話局と、すべて三条対策、新潟県支部対策として行なわれた。すなわち、信越電気通信局職員部長、同局の労務課長、これが一番悪いやつだ。その次が、新潟電気通信部次長伝田というおそるべき悪者がここにいた。それから三条電報電話局庶務課長など、労務担当者は全部これをかえてしまった。それから通信局へは本社から、通信部へは通信局から、三条局へは長野の通信部からというように、従来の労使慣行、人事異動にはないような異数の人事異動を全部天下り式に持ってこられた、これが一つです。  それから特に気の毒なのは、前島袈裟雄という、職場の実情に即したいわゆる労働協約を結んだその局長は、まだいわゆる定年がきていないにもかかわらず、勧奨退職の命令で首を切られちゃった。そうしておいて三条局に新しい局長を持ってきて、その上に次長制というものを設けた。あの三条局などというものは、実に中間電報電話局でも小さい、次長制を設ける局ではない。そういうところに次長制を設けられた。これに長野電気通信部労務厚生課長富沢竹義なるものをわざわざ拉し来たって、その次長席に入れた。そのほかに労務厚生課というものを新設して、労務対策専門の課長として小林正八なる者を配置した。さらに電話運用課にあっては、副課長の定員二名のところへ五名にこれを増員した、こういう弾圧対策の機構をまず強化せられた。三十六年の一月ですよ。  そこで、総裁、あなたにお聞きするのです。次長制度というものは、交換方式変更等で業務が激増する局所にこれが配置をせられ、方式変更を終了すると同時に廃止するというのがいままでの電電公社のやり方であった。三条局は方式の変更がないのですよ。そういう変更もしないような局にこういうような次長制度を設けたり、新しく労務課長を設けたり、副深長を三人も五人も配置するような形をおやりになったのは、ここをもって嚆矢とするでございましょう。そのほかにこういう例がありますか、総裁
  157. 大橋八郎

    大橋説明員 その点については私存じません。
  158. 小林進

    ○小林委員 職員局長どうです。何でこういう大きな機構改革をやったり、労務対策を強化する必要があったのですか。
  159. 中山公平

    ○中山説明員 いろいろ人事上の問題がございましたが、組織の点におきましても、次長制というものは必ずしも改式局等に置かれるということでもないように当時はなっておったと思います。そういうときから、この三条局におきまして、当時の労使関係の状況からいいまして、交渉回数等もかなりひんぱんであったようにも聞いておりますし、そういった交渉等に応ずるためにも、われわれのほうもそれに応ぜられるような態勢をとりませんと、いたずらに組合と長い長い交渉を、人手が足りないためにひんぱんにやらなくちゃならぬ、こういうこともあろうかということでこういうことになったのだと私は思います。
  160. 小林進

    ○小林委員 当時三条局の電話交換問題について、市民の間に若干非難があったことは事実です。それで定員が少ない、様式が古くさい、そういうもろもろのことでしばしば団交が行なわれていた。当時あなた方の職制の中でも、人員が少な過ぎる、欠員が多過ぎるということを認めておる。それにもかかわらず、そういう運用要員の欠員を補充するなどということはおやりにならないで、電話運用課副課長というような者を一挙に三名ふやした。こういう副課長などという者は、直接交換業務を行なう者ではない。もっぱら服務管理、要員管理、すなわち労働対策に終始するだけだ。そんな者を三名入れたところで三条局の交換サービスが改善されるはずはない。なぜ一体交換要員の増員を行なわないのかということを世人もみな怪しんでいる。世間もみなふしぎに思っている。しかし、あなた方はそういうことは平気で、もっぱらこういう役職だけをふやされているというその理由、ねらいは、権力と実力をもって職場で結ばれているあなた方のいうやみ協約、これをじゅうりんし、事実上無効にしようというその対策をねらわれたにほかならぬ。これがあなたたちの弾圧対策の第一であります。あなたがどう巧みに言いわけをせられようとも、それは小手先の言いわけになってしまう。これがそもそも組合を刺激し、労使の間における信頼を失わせる、こういうことをあなたたちがみずからやってきていることだ、反省するならばまだしも、こういう弾圧の機構体制をつくったこと、人手がない人手がないと言いながらこういうことをおやりになっていることをみずからつつましやかに反省してこなければ、電電公社内部における労務管理などというものはうまくいかない。総裁、あなたはいささかつんぼさじきにあげられている傾向がありますよ。殿上人の傾向があります。私はあなた個人を非常に尊敬いたします。あなたは個人としてはいい人だ。あなた個人は謹厳実直で、労働者をいじめる考えはない、そんなことを言われたところで、あなたの下部ではあなたを天井にあげてこういうことをやっている。こんな小さな局に、なぜ役職員として五名も七名もよけい入れてやる必要があるのですか。総裁、注意しなさい、こういうところはあなたはよく見なければいけないです。  そこで、まず実力行動の態勢をおつくりになった。それから何をやったか。先ほど私が言った六月二十七日のこの書類を一係長がつくったのであって、そんなものは決定せられないと言うけれども、事実上はこの書面のとおりに動いているじゃないですか。まず二月二十六日から八日までにこういう作戦計画を仕上げられると、越えて翌月、三月四日に何をおやりになりましたか。三月四日には、職員各位に告ぐという、兵に告ぐと同じような書類をいよいよ配付をして、戦闘行動の第一歩に出られたじゃないですか。「年次休暇等諸休暇の附与については、三月十一日から左記により実施いたしますから了知願います。なお、承認を得ずして休んだ場合はそれぞれの休暇の附与とはなりません。」という、いわゆる戦闘の第一歩をお出しになりました。これまでお出しになりましたね。三月四日、局長の名前でこういう書類を局内に一方的にお出しになったことは否定せられませんでしょう。
  161. 中山公平

    ○中山説明員 課長の承認を得てから休暇をとるようにという趣旨の休暇請求手続を出しましたことは、そのとおりでございます。
  162. 小林進

    ○小林委員 それまでに、あなた方のところに、三条局内における休暇に関する団体協約というものはありませんでしたか。   〔委員長退席、小沢(辰)委員長代理着席〕
  163. 中山公平

    ○中山説明員 これにつきましては、三十一年の七月三十一日に、三条電報電話局と三条分会との間で、「電話運用課における年休請求は年休予約簿をもって行い、予約簿に記入し、提出することにより請求の意志表示とみなし、年休請求を確認する。」「前項にもとずいて年休請求は年休附与の諾否は電話運用課長が請求者に通知する。」「第一項の予約簿によらないで直接口頭若しくは電話、依頼等による請求方法でもよい。」ということが結ばれておりました。
  164. 小林進

    ○小林委員 その次をお読みなさい。まだあるでしょう。
  165. 中山公平

    ○中山説明員 それだけであります。
  166. 小林進

    ○小林委員 あるでしょう。いまあなたは一、二、三まで読んだ。私が四と五を読みましょうか。「年休の請求はなるべく二日前迄に予約簿に記入するようつとめる。但し止むを得ない場合は当日請求してもよい。」「五、年休請求予約簿は組合員のみやすい所定の場所に置き、気軽に記入出来るようにする。」三条電報電話局長何がし印、全電通三条電報電話局分会長何がし印、ちゃんと明確にあるじゃありませんか。あなたは、五まであるこの団体協約の内容をなぜ三まででおやめになったのですか。
  167. 中山公平

    ○中山説明員 いま手元に記録書がございましたので、御指摘の点をただしましたら、そのとおりでございます。
  168. 小林進

    ○小林委員 そういうことがありますでしょう。なぜ一体あなた方は、この団体協約と違うようなことを一方的に、そういう職員に告ぐというようなことをおやりになるのですか。何の権限でおやりになるのですか。
  169. 中山公平

    ○中山説明員 私どもの調査では、当時三条電報電話局でやったことは、何もこの取りきめを無視してやっておることではないのでありまして、先ほどのように年休付与の諾否は電話運用課長が請求者に通知をする、こういうことになっておるのでありまして、そのことを確実にするということでございますので、この取りきめにはずれたことをやっておるというふうには理解いたしておりません。
  170. 小林進

    ○小林委員 じゃ、あなたは、「前項にもとづいて年休請求は年休附与の諾否は電話運用課長が請求者に通知する。」という、この諾否に基づいて、この職員に告ぐというのをお出しになった、こういうわけでございますか。だから、これは団体協約には違反をしていないとおっしゃるのですか。
  171. 中山公平

    ○中山説明員 この取りきめができましたのは三十一年七月三十一日ということでありますが、三十五年の中ごろまでは、課長が承認するかしないかということの諾否をきめて通知を行なっておったのでありますが、いかなる事情か、三十五年の秋ごろからは諾否の通知が行なわれないままに年次休暇がとられていく、付与されていく、こういうふうな状況になっておりましたので、その面を、三十一年以来三十五年まで続けてきたあり方に戻してやっていこうということをしたものである、こういうふうに考えております。
  172. 小林進

    ○小林委員 あなたは重大な発育をしていらっしゃる。いいですか。そういうようなことを言っちゃいけないから、私は午前中から労働協約というものの重要性と法的地位をやってきた。この団体協約は、三十一年であろうと三十年であろうと、ちゃんと生きていることは間違いないでしょう。効力が消滅していないことだけは事実でしょう。お認めになるでしょう。
  173. 中山公平

    ○中山説明員 先ほどからも申しておりますように、当時の三条電報電話局といたしましては、この取りきめに従って課長が諾否をはっきりときめて通知をするということを、この取りきめのもともとの考え方に従って、一時乱れていたものを正す、こういうことにしたのだというふうに聞いておりますので、協約は尊重されておる、こういうことです。
  174. 小林進

    ○小林委員 あなたは、この団体協約がそのまま有効であるということをお認めになっておる。認められるならば、一体この中の諾否を決定する、いわゆる運用課長というものが諾否の通知を行なわなかった場合、だれの責任になるのですか。年次有給休暇というものは労働者の権利です。労働者の一方的な通告で権利は発生する。労政局長、年次休暇の法律についてあなたに聞くつもりで午前中から来てもらった。年次休暇というものは、それほど経営者や管理者の承諾を得なければ権利が発生しないのかどうか、私は午前中から言っている。公社は、年次休暇というものを、何かまだ公社側が特典的に与えるような考え方である。正確に言ってください。
  175. 東村金之助

    ○東村説明員 年次有給休暇につきましては、労働基準法三十九条に規定がございまして、所要の要件を満たした場合には、労働者が請求する時季に使用者は年次有給休暇を与えなければならない。ただし、その三項におきまして、「請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。」こういう構成になっております。
  176. 小林進

    ○小林委員 そんなあたりまえのことを君聞いているのじゃないのだよ。ただ、その条文に基づいて有給休暇というものは労働者の権利なんだ、その権利の性格を聞いておるのです。しかも使用者がその労働者の権利を変更する変更権を使う場合は、どういう場合に使えるのかという、法律はちゃんと制限してますよ。そんな公社が言うようななまっちょろいことで、一つの権利のように労働者の請求を妨げ、かってに変更できるような、なまっちょろいものではないのですよ。そこをあなたに正確な解釈を願っているのです。もう少し学問のかおりの高い答弁をしなさい。
  177. 東村金之助

    ○東村説明員 年次有給休暇の権利の性格につきましては、先生御承知のとおり、学説、判例等、もろもろの説がございますが、われわれとしては請求権と解釈しております。つまりただいま申し上げましたように、請求されました時季が事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時期にこれを与えることができるという規定がございますので、前提として承認ということも考えられるわけでございます。しかし、その承認ということは、この労働基準法三十九条三項ただし書きに該当する場合以外には拒否はできない、こういうふうに考えております。
  178. 小林進

    ○小林委員 やや答弁らしい答弁になってまいりましたが、その労働者が年次休暇というものを請求するのが形成権であるか、請求権であるかということは、通説が分かれるところです。それはあなたは請求権であるとおっしゃった。私は形成権の学説をとる。しかし、それはいいでしょう。いいが、いやしくも労働者の権利であることには間違いはない。それに対しては原則として労働者の請求した権利、その指定した期日、その問題もいろいろあるでしょう。ここには「時季」という字を使って、これにはいろいろ解釈がありますけれども、これも学者の通説では、たとえて言えば労働者が十月十五日から三日間年次休暇をもらいたいと言えば、それがやはり法律でいわれる「時季」であるというのが学者の通説です。それは原則として与えなければならない。けれども、その労働者の権利を与えないときには、厳格にはいま言われるように三項ただし書の条項によって、それを変更することができる。拒否権じゃなくて変更権です。原則としては、経営者側は拒否はできない。ただ法律の条件を備えれば変更するだけの権利がある、これが正しい年次休暇の規定じゃないですか。その変更するときには、いまも言うように、事業の正常な運営を妨げる場合という適格条項がそろわなければならない。いいですか、諾否なんという甘ちょろいものじゃないのです。いやしくも労働者の請求に対して、それを否定する権利なんかないのだ。甘っちょろい諾否だのやみ協約だの、そういうことばだけを使っておる。変更権と言いなさい。その変更するときには、いまも言うように正常な業務に支障があるという例証をあなたたちのほうがあげて、かくかくの事情であるから、あなたの権利であるところの年次休暇というものはひとつ期日を変更してもらわなければならないということを言わなければならない。言わなければ当然その権利は発生するのだ。労働者が年次休暇をとるのはあたりまえですよ。その正常な権利を与えないで、しかも労働者のほうに欠陥があるように考えている。だからこういう「職員各位」などという文書を出したということは、自分たちの手落ちを労働者に籍口しているものじゃないですか。これを世間のことばでは盗人たけだけしいと言う。盗人たけだけしいような、思い上がったこういう通知をお出しになっておるところが重大問題だ。いいですか、変更権の行使を誤っておる。言い分があったら言いなさい。間違っていたら、間違っていると言いなさい。
  179. 中山公平

    ○中山説明員 私は先ほど諾否ということばを申し上げましたが、これは三条電報電話局と分会との間の取りきめの中に諾否ということがありますので諾否ということばを使ったのでありまして、私どもは請求をされますと、先生申されましたように、この電話運用というような仕事は非常に複雑な交代制の輪番勤務をやっておりますので、それの調整ということで、年次休暇の点についてもわれわれは請求権説をとっておりますので承認ということばを使っておりますけれども、それは調整ということの結果お認めしましたということに解釈していただいてよろしいのでございますが、そういうことをしないでおりますと業務の運営が、特に電話運用のようなところでは非常にサービス低下をもたらす。当時の三条局の状況によりますと、これは先生御指摘のごとく管理者の手落ちであったかもしれませんが、生休、病休、年休を加えると欠務率が二四%にも及んでおったという場合もあったような状況で、お客様のほうからもこれはたいへん大きな社会問題にもなる、抗議もくるというような状況でありましたので、管理者もその点については従来抜かっておったところがあるけれども、職員の皆さんにも御理解を願いたいということを掲示等によってやった、こういうふうに私は考えていただけないものだろうかと思います。
  180. 小林進

    ○小林委員 いただけないものでございましょうかと言うなまやさしい場合ならばまた別です。具体的に三条の問題に入る前に、いま一回私は法律解釈でいきますけれども、先ほどから形成権であるか請求権であるかという学説論議は別にして、法文そのままを正しく読めば、労働基準法第三十九条三項は、民法四百一条二項の原則を逆にして、就労義務を免除されるべき労働日の特定は、まず債権者である労働者の意思によって特定すべきものと法律はしておるのです。労働者の意思によってこれが特定されるのです。ただその場合、一定の事由がある場合、法律できめられた正当な理由がある場合に、使用者がこれを別の時季に与えるようさらに労働者の意思を聞くことができる、これが正当な法律の解釈です。その正当な事由があるというのが、いわゆるこの法律できめられた正常なる業務に支障を来たしている場合、こういうわけで正常な業務に支障を来たしているから、あなたの請求によって特定した有給休暇の期日を変更してもらうことができないかと言って労働者の意思を聞くことができる、これが法律の正常なたてまえであると、ちゃんと学者が通説を述べている。これが正しいのです。それを何です。先ほどの文書に基づけば、労働者法律に基づいて自分の権利として有給休暇の請求をする、それを課長が諾否を与えないうちに行なわれたからけしからぬと言って、一方的に労働協約を否定するような文書を出すということは、法律をないがしろにし、法規をじゅうりんし、人を人と思わざる権力乱用だと思う。私の言うことに間違いありますか。そういう思い上がった労働政策をおやりになるから問題が持ち上がってくる。総裁、私の言うことをお聞きになっておわかりになりますでしょう。私の言うことに間違いがありますか。私は私説を述べているのではない。この六法全書と学者の最も正常な学説——異論のあるところは別だ。形成権か請求権かという異論のあるところは別として、正常な法律の解釈を私はそのとおり読み上げて言った。労働者が請求する特定の期日の変更を求めるときには、こういう理由だからその期日を変更してもらえないかと、あらためて労働者の意思を聞かなければならないというのが、法律の正しい意向であると書いてある。私の解釈は間違っていますか。
  181. 大橋八郎

    大橋説明員 お説として承っておきます。
  182. 小林進

    ○小林委員 お説じゃありません。私の言うことが間違っているかどうか、あなたの所見を承りたい、こう言っているのです。
  183. 大橋八郎

    大橋説明員 相当いろいろ学説も分かれておるようでありますから、十分研究いたしたいと思います。
  184. 小林進

    ○小林委員 先ほど、職員局長、あなたは言われた。諾否の通知が行なわれないままに年次休暇がとられていったから、こういう労働協約を否定するような一方的な通知を出したのであると言われた。その行為がいまでも正しいとお考えになりますか。
  185. 中山公平

    ○中山説明員 私、先ほど申しましたように、従業員の方にそういったことを理解してもらう、今後は、ただ請求簿に記載すればみなとれるのだということではないということを理解していただくという意味においてそれはなされたので、何かこれによって権利を抑圧するとか、あるいは従来の諾否の通知という取りきめの運用についての筋道を逸脱するとか、そういったことを意図しているものではない、このように理解しております。
  186. 小林進

    ○小林委員 あなた方が、団体交渉の確認書の中に書いているじゃありませんか。「電話運用課における年休請求は年休予約簿をもって行い、予約簿に記入し、提出することにより請求の意志表示とみなし、年休請求確認する。」と書いてあるじゃありませんか。あなたの言われるようにこれに対して諾否を与えるとか変更するとかいうのは、あなた方が理由を述べなくちゃいけない。たとえばこの法律にきめられたように、正常な業務の運営に支障があるからあなたのこの予定日、いわゆる年休の期日を変更してくれないかということをあなたたち労働者に確かめなくちゃならない。そのときに労働者がいやだと言えば、あらためてそこに問題が起きてくる。それもやらないでおいて、秩序が乱れたからそれを直すためにこういう告示を出すとか発表するなどということは、実に労働法違反の誤れる行為だ。何と言われてもこれは理由になりませんよ。あなた、行き過ぎを認めなさい。認めなければ私はこの問題は了承できません。あなたはそのあとに何と言っているか。昭和三十六年三月十七日の職員各位に告ぐという書類の中に、年次休暇等諸休暇の付与については、「この措置に反して、出勤しなかった場合は厳正な措置をとります、」こういって、みずからが団体協約をじゅうりんしておきながら一方的に通告をして、その団体協約のとおりに年次休暇をもらっている者がいた場合には、これを厳正に処置をする、権力でもって処分をするということを、あなた、ほのめかしているじゃありませんか。こんな横暴なやり方が一体どこにありますか。この権力でもって処罰するというあなた方の通告を、あなたは否定されますか。
  187. 中山公平

    ○中山説明員 先ほど来申しておりますように、この取りきめにも諾否ということがございまして、課長が諾否をきめてそれを通知するというその精神は、いろいろ服務の状況等を見ながら、年休を請求された日に与えられない場合には振りかえというようなことを勘案しながら、諾否ということばには問題があるかもしれませんが、労使の間で諾否ということばを使ってあるのですから、そういうことを本人に知らせた上で休んでいただく、そういう趣旨でございますから、これは取りきめを逸脱しておりませんし、またそれが与えられないのに休むということは当然服務を欠く結果を来たすわけでございますから、この点については措置というものがあり得る、こういうふうに理解しております。
  188. 小林進

    ○小林委員 先ほどから繰り返して言いますように、労働者が請求した場合に、それに対してあなたたちが変更権を用いたときには、こうして業務の運営に支障があるから、あなたのその年休日を変更してくれないかと言って労働者の意思を聞かなければならないというのが法律のたてまえだ。   〔小沢(辰)委員長代理退席、委員長着席〕 だから、諾否のことばをお使いになってそれを否定するという場合には、課長のほうから労働者に、年次休暇を変更してもらえないかという話し合いをしなければならないというのが法律のたてまえなんです。それをあなたたちが一方的に、理由も述べないで直ちに否定するなどという行為は、労働法規の違反だ。あなた方は違反行為をやっているのじゃないかということです。法律を否定するのですか。課長があくまでもきょうはだめだ、くれないと言ったら、それに労働者を屈服せしめて年休をやめさせるだけの権利があるとおっしゃるのですか。それは完全なる違法行為だと私は言っている。どうです、労働省監督深長、りっぱな解釈をしなさい。
  189. 東村金之助

    ○東村説明員 先ほども申し上げましたように、労働基準法弟三十九条では、ただいま先生御指摘のように、使用者は有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない、これが原則でございます。その原則の例外が認められます場合は、その有給休暇を与えることによって事業の正常な運営が妨げられる場合に限られます。そういうところでございます。
  190. 小林進

    ○小林委員 その正常な業務に支障があるときには変更権を用いるのだが、そのときには、正常な業務に支障があるということを使用者のほうから労働者に申し出て、労働者の愚息を確かめた上に変更するというのがたてまえになっている。わかりますか。あなた方はそれをやっていないじゃないか。あなた方がやっていないということは、あなたのほうが法律違反をしているということなんだ。おわかりになりましたね。
  191. 中山公平

    ○中山説明員 法律の理論としてよくわかりました。と同時に、われわれもそのような精神でやっておるわけでございますが、何ぶんにも大ぜいの従業員が複雑な輪番制勤務でやっておりますので、その辺はそれぞれ輪番の組もございますし、一人一人に、こういうわけだからこうだというふうにやれば一番いいわけでございますけれども、その辺は組の編成で、自分が休めばどういうことになるか、だれさんも休むんだからといったふうな現場のことでございますから、お互いわかったということで運用がなされておるように、私どもはどこの現場においても考えるわけです。ですから、精神におきまして先生のおっしゃることに反対はいたしておるわけではございません。
  192. 小林進

    ○小林委員 反対じゃないんだ。あなた方の言うことがいままで間違っていたことを認めなさいと言うんだ。これに対してはもっと厳格な規定があるのですよ。正当な業務の運営に支障があるということは、単に繁忙だ、単に忙しいということでは正当な変更権の根拠にならない。忙しいからといって年次休暇を変更させようとしたものは、裁判によって、判決で負けている。大阪の地方裁判所において、昭和三十三年の四月十日、この判決が下されておる。単に繁忙であるからあなたの年次休暇はやらないと言ったところが、それは年次休暇をやらない理由にならないといって使用者が頂けているのですよ。それほど年休というものは、近代的な国家における労働者に与えられた崇高な権利なんです。その労働者の権利意識に対するあなた方の自覚は何もない。だから、そういうことを否定した労働者がいけないということになる。理由も言わないでそれを否定して、年休をくれないような通知を一方的に出している。これは団体協約の違反であり、年休制度に対する違反行為であり、実に封建的権力にあぐらをかいたおそるべき労働行政だ。政務次官、どうですか。私の言うことが間違っていますか。
  193. 始関伊平

    始関政府委員 先ほど監督課長が申したところによって明らかでございますが、年次有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げるかいなかの判定をする手続として、あらかじめ所属長の掌理にかからしめるということは必ずしも違法ではない、このように考えております。
  194. 小林進

    ○小林委員 そういうことで、やはり仕事があるというために、そこに団体協約なり団体交渉があるんだ。なぜ団体交渉でおきめにならない。あるいはみんなが一時に年休をもらったから業務運営に支障があるというならば、その支障のないように年休をやるために、残されている両者救済の道は団体協約なんだ。なぜ協約をおやりにならない。その協約が誤っているならば、その協約の修正のための協約をおつくりになればよろしい。なぜお話し合いをおやりにならない。それしかないのです。それをおやりにならないで、一方的に皆さん方がこういう「兵に告ぐ」と同じような権力支配の書類を出して、そしていままできめた団体交渉を否定するような行動をおやりになっていることは、実におそるべきやみ行為だ。いけませんよ。そんなことは、私は絶対に了承することはできませんよ。まあ、あなたの顔の中にも間違って申しわけないような顔もしているから、いささかほこ先を引っ込めますが、なおかつ忙しくてどうにもならない。あなた方のところに係長もいれ、は、課長もいる、そのためにめしを食っている者がうじゃうじゃいるじゃないですか。一体一つの職場に使われている君と、権力で支配して末端を使っている者、監督をしている者と幾らある。忙しくて、年休について一々こういう事情で正当な業務の運営に支障があるから、あなたの事情を変更してくれなどと話し合いをするひまがないなどというのは、牽強付会の弁ですよ。労働者の正当な権利であり、あなたたちが責任上、立場上付与しなければならない義務があるとお考えになったら、そんなことはちゃんとできることです。あなたたちは、それをおやりにならなければいけない。こうしておいて、かくのごとくいま弾圧をおやりになっている。この弾圧をおやりになる手段も、みんな六月二十六日、七日のその会議の中ででき上がっている。その作戦行動というものはでき上がっている。  私は、約束の時間がだんだん迫ってまいりましたから結論を急ぎまするけれども、次は生理休暇の問題であります。私は経験はありませんけれども、生理休暇の問題についても団体交渉が行なわれている。あなた方は、その団体交渉も否定をせられて、一方的に権力で支配をせられようとしております。権力で押しつけようとされている。なぜ団体交渉を修正するための話し合いをされないのですか。その理由を聞いておきたい。
  195. 中山公平

    ○中山説明員 生理休暇の問題については、昭和三十四年の八月二十七日に、三条電報電話局と分会との間で相当交渉をやっておりますが、これに基づく取りきめというものまでは、私どもの資料によりますと至っておらないように思っております。
  196. 小林進

    ○小林委員 私は、この生理休暇の問題についても、やはり労使の間に長い慣行もあり、労働協約もでき上がっておる。それをあなたたちは一方的に変更するために、そういう書類をみな配られて、そしてこういう一方的な指令に従わない者を、あるいは忠告をしたり注意を与えたりされている。生理休暇についても法律があるでしょう。その法律の規定は何と書いてある。何とありますか。  私は、この生理休暇の問題の前に、いま一つあなた方に聞いておきたいことがある。これもひとつ労働省の見解を承りたい。それは、就業規則というものはどこにもあります。この就業規則と労働協約とどちらが優先しますか。
  197. 東村金之助

    ○東村説明員 就業規則と労働協約の関係につきましては、労働基準法九十二条に規定がございまして、「就業規則は、法令又は当該事業場について適用される労働協約に反してはならない。」こういう規定がございます。
  198. 小林進

    ○小林委員 名訳名訳、さすがに明快なお答えであります。それなんだよ、君。公社は何だ。こういう君たちが配付している、裁判所へ提出した書類の中にも、管理運営事項に関するとか、いわゆる就業規則に違反するとかいって、こういうことで団体協約をみんな否定している。やみ協約は就業規則に違反していると、ここにちゃんと書いてあるじゃないか。就業規則に違反する団体協約だからやみ協約であるというようなことを言っている。これは重大な法律違反なんですよ。いま明快に答えたように、団体協約は就業規則に優先するのですよ。その団体協約に違反するような就業規則は、効力はないのです。つくっていけないのです。あなた方はそれは逆じゃないか。証拠を見せよう、そういうばかなことを言って……。まことに郵政省なんというものは何のための法律を研究しているのか。就業規則と労働協約の優先まで知らないんだ。あなた方はおろかというもあわれなり。そんな勉強のしかただから問題が絶えない。労働基準法の九十二条をちゃんと調べていらっしゃい。もうそんなこと、二度と言ってはいけませんよ。管理運営事項だの、就業規則に違反するからこの団体協約はやみ協約だなどという、そういう世にも哀れな物語をしてはいけません。(「そんなことを言っていないだろう」と呼ぶ者あり)言っておる。ちゃんとこれの中に書いてある。証拠のないことを言っていない。けしからぬ、実際。その問題は明確になった。そこでもあなた方の法律違反になるということが明白になった。そこでも法律違反だ。私は、先ほどから、あなた方の法律違反が幾つあるかということをあげてきたわけです。  そこで、生休の問題に移るけれども、生休の問題だから、生理だから当然休みだという性質のものでないということはわかる。特別休暇であって、それで生理休暇の問題は年休と性質が違う。「生理日の就業が著しく困難な女子又は生理」云々と規定がありまして、著しく困難ということが一つの条件になっている。ただし、その苦しく困難だという認定はだれがやるか。これはだれがやる。これは重大問題です。だれがやる。時間がないから早くやってください。
  199. 中山公平

    ○中山説明員 著しく困難かどうかということにつきましては、こういうふうに議論をしていろいろ御主張をお聞きしたり、御質疑をいただいたりしておるところではなかなか困難でございますけれども、大体現場等でございますから日常の統計的なものとか、その人の顔色とか、いろいろな状況をよく管理者のほうは把握いたしておりますから、その辺のところで、これは理屈の問題ではなくて、実際の運用としてはそういうことで運用がはかられていくのでではないか、かように考えております。
  200. 小林進

    ○小林委員 冗談じゃないです。生理休暇は、著しく支障があるかないかは、法律にはそれを認定し、確かめる方法などは一つもきめてない。それは、労働法規というものは人間を尊重するからですよ。他人や管理者に、著しいか著しくないかを認定せしめる権利なんというものは、一つ法律は与えてない。事実それを認定する道は本人だけです。これが立法の精神であり、法律の正しい解釈のしかたである。その人は、生理日でございまして私は著しく困難である、これを信ずるのが法律のたてまえである。これが近代的立法の姿なんだ。それをあなた方は何だ。この通知を出してから、あなたたちが三月四日の「年次休暇等諸休暇の附与については」という一片の兵に告ぐ書類を出してから、一々具体的に生理休暇で休む者にいやみを言ったり、検査すまじきようなあらゆる行為をしているじゃないか。まさか私はズロースまでとったとは言わぬけれども、精神的にはズロースをはぐるような、聞くにたえぬようなことをやっているじゃないか。まことに驚くべきことだ。しかも生理休暇で休んでいる人の自宅までスパイ的に調査に行ったり、寝ているかどうか調べたり、そんなことで一体信頼関係に立った正常な労使の運営ができるのですか。昭和三十六年の八月五日から七日まで生理休暇を請求した某の自宅を訪問し、調査した上、減給十分の一、三カ月の処分を行なったという、こういうことも具体的にあなた方はおやりになっている。おやりになっておりませんか。
  201. 中山公平

    ○中山説明員 そういう具体的な事実につきましては、私つまびらかにしませんが、この生理休暇につきましては、いま先生もおっしゃいましたように、ほんとうに御本人に困難かどうかをきめていただいて、その限度において自宅で休んでいただくということが理想でございますが、いま、もし先生の御指摘のような事例がございましたならば、あるいはそういうことでないのに生理休暇をおとりになっておる傾向もあるんじゃないか、そういう調査をだれも喜んでするわけではないのでありますが、そういう事例があるということは、やはりそういう調査をせざるを得ないところへ現場の管理者を持っていっておるということも、ひとつ私どもは考えなければならないんじゃないか、かように考えます。
  202. 小林進

    ○小林委員 私は、人間の世界だから神さまの世界でない、国会議員だってあなた方の世界だって、一人や二人うそを言う者もあるだろうけれども、その者のために九十九人をどろぼう扱いにしなければならないなどという、一体そういうことが許されるという法律の根拠はどこにありますか。どこにそういう論説を持ち出すものがあるのだ。あなたたちの言うことは、みんなそういうことだ。  ここなんかはどうです。三十六年の三月九日、三条局で全職員に対して、生理であるという理由のみで生理休暇を請求できるものではなく、必ず生理のため就業が著しく困難であることが必要であるということを周知徹底せしめておる。その上に何をしたかというと、これは九日に出して、同月の十一日から、生理のためという生理休暇請求者に対して、本田洋作運用課長、二、三名の何とか副課長がその請求者を取り囲んで、著しく困難だから請求するのでしょう、著しく困難でしょうと、三十分から一時間にわたって追及し、泣きながら抗議する者も出るほどの締めつけを行なった。こういうようなことで、ずっとここに例題を一々あげればまことに聞くも涙の物語、そんな残酷なことがまだ今日の時勢に行なわれているかと思わざるを得ないような悲惨な事実がここに行なわれておる。これについて答弁しなさい。
  203. 中山公平

    ○中山説明員 先生からいろいろ御指摘を受けまして、私ども理想といたしまして、女子職員の皆さんの自覚によりまして、管理者がそういったことまでしなくてもいいように、決してそういうことをすることは好ましいことじゃないのであります。そういうことをしなくてもいいようにしていきたい、かように考えております。中央本部との間にも、生理休暇等特別休暇については、生理休暇等でこの協約で認められた特別休暇は乱用しないものとするという精神的な規定でございますが、そういうものも入っておりまして、なるべく円満にそういう問題が陰惨にならないで、自覚によってうまくまいりますようになることを望んでおります。
  204. 安宅常彦

    安宅委員 関連。さっきの点ですが、非常に重要なんです。あなたは小林さんの質問に対して、そういうふうにならないようにしたいとか、それから、そういう生理休暇というものを何か乱用して別な理由で休むような人があるので、それをなくするようにしたい、みんなそういうふうに答えておる。これは論点を全部逃がしておるのです。そういう答弁は国会では困るんじゃないですか。これは、生理休暇は与えなければならないのが原則です。したがって、うちに行って調査をしてみたところで、たとえばうちで針仕事をしておった、かりに針仕事をしておったからいいか、あるいはただ休んでおったからいいか、あるいは御飯をたいておっても、それが業務につけない状態かつける状態かということは、たとえば電話の交換作業というものは非常に大きな神経が必要です。それは、いまはものすごい労働がそれに重なっております。したがって、そこでぐっすりふとんの中で寝ておったからこれは業務にたえない、御飯たきをしておったから業務にたえるであろうなどという判断は、調査しに行ったところでそれはできないはずです。そうじゃないですか。そこから答えてください。
  205. 中山公平

    ○中山説明員 いろいろ例があげられまして、私ども、どのようなことかということについて、ここで具体的な状況のもとにおける具体的なことについては何とも申し上げかねますけれども、要は、全国でどこの局でもこういうふうにやっておるわけのものでもありませんので、よほど何か生理休暇というものについて、生理休暇の趣旨からはずれたというような事例がたまたま見つかる、あるいはいろいろあったというところについては、先生のおっしゃることもごもっともでございますけれども、やむを得ずいま申されたようなことをやっておるところもあるのじゃないか、こういうように考えております。
  206. 安宅常彦

    安宅委員 私が言うのは、具体的な例をあげたのじゃなくて、いかなる資格、いかなる手段をもっても、その人がどういう行動をとっておったかによってその業務につき得ないものか、つき得るものかという判定を下すことは、使用者としてはできないのではないか、こう言っておるのです。できないはずです。できるかできないかだけ言ってください。そんな具体的なことを言っておるのじゃないのです。そんなことはできないでしょう。
  207. 中山公平

    ○中山説明員 法律の規定を見ましても、業務の性質によってこれを必ず与えなければならぬというものと、生理の際に困難なもの、こういうものに与えられるということになっておるわけでございます。   〔委員長退席、澁谷委員長代理着席〕 その困難であるかどうかということにつきましては、先ほど来……。
  208. 安宅常彦

    安宅委員 調査しに行ったってできないでしょう。時間がないからそんな長ったらしいことはいいが、その判定ができるかできないかということ、それだけ言えばいいんです。
  209. 中山公平

    ○中山説明員 調査して判定ができるというものではないのでありますが……。
  210. 安宅常彦

    安宅委員 それでいいです。あとは要らない。だから、調査しに行くとか行かないということがいま論争になっておるわけでしょう。調査してみたところでそれは判定ができないものを、なぜ行くんでしょう。  それから、第二の小林委員質問の例によれば、あなたは著しく困難ですね、困難だからとるんでしょうなどということを、課長や係長だか副課長だか知らぬけれども、そういうことを言うこと自体がおかしいのであって、本人が私がメンスの日だから苦しいのですと言ったら、苦しいか苦しくないかは医者だってわからないものを、電電公社のこわっぱ課長どもがわかるわけないじゃないか。そういうことを、そういう例がないようにしたいなんと言ったって、あなたはしたいしたいと言うけれども、できないのだということだけ、はっきりここで確認をとってもらわなければいかぬのです。これだけは小林さんに——そういう意味ですね。あなたはごまかされちゃだめですよ。
  211. 小林進

    ○小林委員 いまの言うとおりでございまして、その本人の精神、物質ともに至る苦しみは外部から憶測し得るものでないものを、あなたたちは、あらゆる下段でそれを拒否するような行動をせられているということは、言いかえれば、これは人道上の問題です。おやめになったほうがよろしい。しかるにそういう問題に対して、一々本人を追及しておられる。その結果どういうことをしたかというと、ここに「注意書」というものがある。「三条電報電話局電話運用課青木文子 あなたは諸休暇の附与の請求について、再三注意したにもかかわらず所定の手続きを行なわず出勤しなかったことは、公社職員としてはなはだ不都合であるが、今回に限りそれぞれの休暇として処理するから、今後は、昭和三十六年三月四日付で周知したとおり励行し再びこのような行為のないよう厳重注意する。昭和三十六年四月十四日 三条電報電話局長竹村常守印」こういうものをつくった。同じく「注意書 三条電報電話局電話運用課内山久子 あなたは」云々という、こういう書類をつくって、この日にちに定められている四月十四日、電報電話局の二階の運用課において、何とかという副課長のいすへ、先ほどから出ておる宮沢何がしという次官が局長になりかわってふんぞり返って、一人一人運用課目を呼んで、この注意書を与えてどうかつをしておる。やりませんでしたか、こういうことがありませんでしたか。総裁、ありませんでしたか。あなたにお聞きしておるのでございます。そんな恨めしいような顔をしないで、お答えをいただきたい。
  212. 大橋八郎

    大橋説明員 私は事実をよく存じません。
  213. 小林進

    ○小林委員 知らないのですか。これがもとになって、いま刑事事件でこれほど裁判を争っておる。あなた方も多くの弁護士や費用を持っておるのだ、裁判闘争をしておられるでしょう。お知りにならないのですか。お知りになっておるでしょう。
  214. 中山公平

    ○中山説明員 御指摘の事実につきましては、先ほどから、あるいは冒頭に述べておりますように、私も承って聞いております。
  215. 小林進

    ○小林委員 知っておられるでょう。先ほどからも言うように、年休の問題、生理休暇の問題、それから団体協約問題を、私は一々あなたたちのおやりになっておることが間違いであるということを指摘した。答弁にならなかったじゃないですか。年休のとり方も、あなた方のやり方が法規に違反しておるということを追及しておる。生理休暇の問題も、著しく困難であるかどうかということを、職制みずからが、そういうどうかつやあるいは皮肉の形で確かめることも間違っておるということを私は指摘した。あなた方はそれに対する的確な答弁ができなかった。しかも、その根底をなす団体協約というものを一方的に破棄する。あなたは先ほどから破棄するために正当な手段をとると言われたが、九十日以前に予告をするというような行為は一つもやっていない。一方的にみなことばのとおり破棄せられておる。解約するという労働法規の違反行為を全部やっておられる。やりながら、その結果として、今度はこういう注意書なるものを印刷して、一人一人呼んで権力でどうかつしておられる。そういうことをやられておるから、そこでその職員の、組合員の利益を守るべく、代表者の一人である新潟県支部の八木という書記長が、あなたそれをおやめなさい、そういうような団交を拒否し、約束を守らぬような、そういう権力に便乗した行為はおやめなさい、こういう注意を与えた、中止を申し入れた。その中止の申し入れを聞き入れましたか。
  216. 中山公平

    ○中山説明員 宮沢次長はこれに応じておりません。
  217. 小林進

    ○小林委員 なぜ応じなかったのですか。そういう誤った行為をしておるのでありますから、当然やるべきじゃないですか。なぜやめなかったのです。
  218. 中山公平

    ○中山説明員 私の理解するところでは、年次休暇についての、いわゆる承認を与えられるもの、これは諾否としては先ほど問題になりましたけれども、それまでの手続について問題になった職員の人は、予約簿に出しただけで、課長からお休みなさいということを言われずに休まれた、こういうことでありますから、これに対しまして、先生はどうかつということばを使われましたが、私はそういうことであったかどうかわかりませんけれども、そのようなことではなく、注意書を交付するということに局のほうではきめたわけでございまして、その点については、私は注意書を出すことが悪いことであったというふうには理解いたしません。
  219. 小林進

    ○小林委員 いよいよ時間も迫ってきましたから私は結論を急ぎますが、先ほどから言うように、団体交渉ではちゃんと休めるように約束ができている。それをあなたたちのほうが一方的に、そういう兵に告ぐというような書類を出して、それに従わざる者に注意を与えるという行為をおやりになった。非は全部あなた方のほうにある。団体協約というものを否定された、そういう権力行為をとられたのであります。それに対してそういう行為はおやめなさい、組合から選ばれた役員としてその中止の申し入れをするのがあたりまえなんです。そのときにおやめにならないで、そこで一、二のトラブルがあった。その結果、この宮沢次長という者の話によれば、暴行によって宮沢次長は左の胸部をいすのひじに強打をして、その結果加療二週間を要する左胸部打撲傷を受けるに至った。こういうようなことをもって起訴をせられた。一体この宮沢さんが左胸部に傷を負われた日にちはいつですか。四月の十四日でございましょう。
  220. 中山公平

    ○中山説明員 四月の十四日でございます。
  221. 小林進

    ○小林委員 その四月の十四日にいすに胸を打ったと言われるのだが、そのときに直ちに、その日のうちに医者に行かれましたか。打ってからすぐに医者に行かれたか、二時間にわたって行かれたか、三時間たって行かれたのか、その日の夜に行かれたのか、お聞かせを願いたい。
  222. 中山公平

    ○中山説明員 その点私はさだかにいたしておりませんが、いま聞きましたところでは、その日は自分のうちで寝ておった、次の日か次の日に痛くなってきて病院に行った、こういうふうに聞いております。
  223. 小林進

    ○小林委員 その日には行かなかったのですね。その次の日か次の日に医者に行った、そういうお話ですね、明確にお答えをいただきたい。
  224. 中山公平

    ○中山説明員 さだかではございませんが、いまここにおる私どものほうの職員に聞きましたので、これもあまり明確ではございませんが、いま聞いたところではそういうことでございます。
  225. 小林進

    ○小林委員 私どもの調査によれば、十四日にけがをしたというのに、その日は何ともなく仕事をしていた。翌十五日の夕刻になって初めて医者のところに行っている。医者のところに行って何という話をしましたか、話の内容を御存じですか。人を起訴しているんだから御存じでしょう。十五日の夕刻、医者のところに行っている。医者のところに行って何と言いましたか。
  226. 中山公平

    ○中山説明員 そういうことは存じておりません。
  227. 小林進

    ○小林委員 教えてあげましょうか。机にぶつかったのである。しかもその日、自分が病院に行った。十五日の夕刻、その日に机にぶつかったんだ、きょう職場でけがをしたのであると、こう言って医者のところに行った。十四日にけがをしたのに、なぜ一体十五日、きょうけがをしたのであるという証言をする必要があったのか、どういう理由なんですか、お聞かせを願いたい。
  228. 中山公平

    ○中山説明員 そういった点につきましては、何ぶんにも御本人から聞いたわけでもございませんし、われわれとしてはつまびらかにいたしません。
  229. 小林進

    ○小林委員 ここに宮沢竹義君のカルテがあります。私は何も証拠のないことを言っておるのではない。しかも彼は医者のところに行って、きょうけがをした。しかも医者のところに行けば、医師としては、前日けがをしたのであれば、受傷の月日はそのけがをしたという日を必ず入れる。これは医師の義務であります。しかし、けがをしたのは当日受傷したのであると言うから、その受傷の年月日は医者は入れない。その十五日のいわゆる診察に来た日をもってけがしたものと思って、十五日の日しか入っていない。ここに一つのうそがある。  それからいま一つは、起訴状には、四月十四日いすによる受傷といっている。先ほど言ったように、いすによって傷を受けたんだといっておる。このカルテには何といっておりますか。このカルテには、机に打つと書いてあるじゃないですか。いすによる受傷、いすにぶつかったというのと、机に打ったというのはずいぶん違うじゃないですか。なぜ一体こういううそを言う必要があるのですか、その理由は何ですか。
  230. 中山公平

    ○中山説明員 御本人でありませんので、先生から御指摘のようなことがあったのかどうか、あるいはうそを言ったのかどうか、そういう点、われわれとしてお答えをするすべがございません。
  231. 小林進

    ○小林委員 あなたたちは、いかに自分たちの側には寛大であるかということなんです。   〔澁谷委員長代理退席、委員長着席〕 いやしくも傷を受けた者が医師の診断を受けていながら、その傷を受けたところの場所も違っておるという、こんなでたらめな起訴状が一体ありますか。  なお、十五日、当日富沢は飲み薬をもらったと言っておる。飲み薬というのは、ここにお医者さんもおりますからわかるわけですが、痛みどめ薬だ。痛みどめ薬をもらったと証言しておる。彼は自分の傷がやはり非常に痛かったということを証言するために言ったんだろうけれども、医師は飲み薬をやる必要もなく、やっていないという証言をしておる。これも違うじゃないですか。何でこれほど、一つも二つも三つもうそを言う必要があるのか。  なお、まだ言えば、宮沢は十五日の処置は応急処置であったと、こういうことを報告しておる。けれども、お医者さんのほうは、十升目は完全な治療をしたのであるという証言をしておる。何ですか、こういううそも言っておる。たった一つの書類を配付するという仕事の中でも、彼らは何でこんなうそを言うか。すなわち、自分たちの同じ職場における職員を、組合員を罪におとしいれるために、こういううそのでっち上げをするということなんです。私の言いたいことは、これほどまで管理者というものは悪らつなものであるかということを問いたい。これは悪らつでないとあなたはお考えになりますか。これほどまで事件をでっち上げたいのかと私は問いたい。そうお思いになりませんか。でっち上げる必要がなければ、何でこれほどうそを言う必要があるか。私はここへちゃんとカルテを持ってきて申し上げているんです。それ以外には理由がないでしょう。それ以外にこれだけのうそを言わなければならぬ正当な理由があったら、言ってごらんなさい。
  232. 中山公平

    ○中山説明員 私はそういう事情については一切知っておりませんので、それに対してとやかくいま感想を述べるという資格がないように思います。ただ、先生が御指摘になっておることが事実でありますならば、私どもとしては、そういうことはないと思いますけれども、まことに不可解なことであるというふうに思います。私は、現業局の次長であった職員でございますから、そういうことがないということを信じたいのでございます。
  233. 小林進

    ○小林委員 しかもいま私は、このカルテを河野先生——これは名医であります。名医に見ていただきましたら、やはり専門家です。このカルテは、いやしくも保険者の氏名が労災になっている。業務上の災害になっているじゃないか。これが実におかしい。起訴状の中で相手を暴行傷害で起訴している。暴行傷害による傷害でなくちゃならぬものが、業務上の災害とは一体何事だ。ここにもまたうそがある。何ですかあなた方、うその上塗りじゃないですか。こういうようなどうかつの行為で次から次へと問題をでっち上げて、何で人をいじめていく必要があるのですか、私はきょうは正午から問題を追及してまいりましたが、いかに管理者、経営者というものが悪らつであるかということの全貌がここに明らかになったと思う。三月十六日の長岡電報電話局におけるわずかの行為で、あなた方は、間髪を入れず、三月二十六日にこれを全部解雇している。この解雇してしまって身分を失っている者を、なおかつこういうでっち上げの起訴状までつくり上げて、刑事罰に追及する必要はどこにあるか。先ほどの三矢事件じゃないけれども、春闘直後において、このやみ協約を破棄するために断固戦いをいどむという、あなたが否定せられたあの二月二十六日の書類のままじゃありませんか。事件がずっと進んでいるじゃありませんか。それを否定されますか。  ちょうど定められた時間がまいりましたから、残念ながら私の質問をきょうはこれで終わります。しかし、この問題を終わるというわけじゃない。きょうは終わるけれども、いかにもしかし悪らつ非道じゃありませんか。総裁、何で一体こんなカルテまでごまかして、あなたたちが首を切った者を、なおかつ刑事的いわゆる被疑者につくり上げて、訴訟までして痛めつけなければならないか、その理由をお聞かせください。
  234. 大橋八郎

    大橋説明員 ただいま御指摘のような作為をやったかどうかということを私全然存じませんが、とにかく事はすでに司直の手に移っておるわけでありますから、いずれ公平な裁判が下ることだろと思いますから、その上でいろいろ御批判があるだろうと思います。
  235. 小林進

    ○小林委員 私は司直の手に移ったことはわかっておる。司直の手に移っておるために、司直のほうで、あなた方の手にある資料を出しなさいと言うにもかかわらず、あなた方はその資料の提出もできないじゃないですか。ごまかして、その正当なさばきを拒否しておるじゃありませんか。それだからわれわれは、ここであなた方のひきょうなる態度を、国民の名において追及しなければならないわけでございます。残念ながら、郵政大臣いないために、この次に郵政大臣を呼びますけれども、政務次官、いわゆる使用者の側というものはこれほど悪らつなことをしておるのです。それを権力の側で正しい批判をし、その行き過ぎを正してくれるものは労働行政しかないのです。たとえて言えば、さっきも何とかいう監督課長が法規の正しい解釈をして、郵政省の間違いをここに明確にしたけれども、彼は何もだれに味方をしたわけじゃない。正しい法律の解釈をしただけなんです。そのすなおな法律の解釈さえも、全部電電公社の中には通用していないということだ。あなた方は法律を無視しておる、憲法をじゅうりんしておるのです。そして労働者を弾圧しておるのです。なおその弾圧が足りないといって、起訴状までつくり上げておるのです。これをでっち上げておる。そして労働者を弾圧しておるのです。労働政務次官、あなたの格調の高い意見を聞いて、私の質問をきょうは留保することにいたしましょう。格調の高い答弁でないとあなた方をさらに追及しますよ。
  236. 始関伊平

    始関政府委員 先ほど来、小林委員と電電公社側の質疑応答を聞いておりまして、電電公社にかかる労働問題、労働の争議といたしましても特異なケースではなかろうかという印象を持ったわけでございます。小林さんのお気持ちは非常によくわかります。また、法律の適用につきましてやや遺憾な点もあったかと思いますが、電電公社のやり方が全面的に間違っておるというふうにも考えられないと思うのでございまして、ただ今後、こういったような労使間の不信に基づく不祥な事件がなくなりますように、労働省としても万全の努力をいたしてまいりたい、このように存じておる次第でございます。
  237. 松澤雄藏

    松澤委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は明三十一日、水曜日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。    午後四時五十八分散会