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1965-03-24 第48回国会 衆議院 社会労働委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年三月二十四日(水曜日)     午前十一時十分開議  出席委員    委員長 松澤 雄藏君    理事 井村 重雄君 理事 小沢 辰男君    理事 藏内 修治君 理事 齋藤 邦吉君    理事 河野  正君 理事 八木  昇君    理事 吉村 吉雄君       伊東 正義君    熊谷 義雄君       倉石 忠雄君   小宮山重四郎君       坂村 吉正君    田中 正巳君       竹内 黎一君    中野 四郎君       橋本龍太郎君    藤本 孝雄君       松山千惠子君    粟山  秀君      山口喜久一郎君    山村新治郎君       亘  四郎君    淡谷 悠藏君       伊藤よし子君    小林  進君       滝井 義高君    長谷川 保君       八木 一男君    山口シヅエ君       山田 耻目君    吉川 兼光君       谷口善太郎君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 神田  博君  出席政府委員         大蔵事務官         (理財局長)  佐竹  浩君         厚生事務官         (大臣官房長) 梅本 純正君         厚 生 技 官         (公衆衛生局         長)      若松 栄一君         厚 生 技 官         (医務局長)  尼崎 嘉篤君         厚生事務官         (医務局次長) 大崎  康君         厚生事務官         (年金局長)  山本 正淑君         社会保険庁長官         事務取扱    大山  正君         厚生事務官         (社会保険庁医         療保険部長)  坂元貞一郎君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   船後 正道君         厚 生 技 官         (保険局医療課         長)      松尾 正雄君         医療金融公庫理         事       河野 鎮雄君         専  門  員 安中 忠雄君     ————————————— 三月二十四日  委員坂村吉正辞任につき、その補欠として松  田鐵藏君が議長指名委員に選任された。 同日  委員松田鐵藏辞任につき、その補欠として坂  村吉正君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  原子爆弾被爆者医療等に関する法律の一部を  改正する法律案内閣提出第二〇号)  国民年金法等の一部を改正する法律案内閣提  出第六五号)  医療金融公庫法の一部を改正する法律案内閣  提出第四二号)      ————◇—————
  2. 松澤雄藏

    松澤委員長 これより会議を開きます。  内閣提出原子爆弾被爆行の医療等に関する法律の一部を改正する法律案及び国民年金法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
  3. 松澤雄藏

    松澤委員長 提案理由説明を聴取いたします。厚生大臣神田博君。
  4. 神田博

    神田国務大臣 ただいま議題となりました原子爆弾被爆者医療等に関する法律の一部を改正する法律案提案理由を御説明申し上げます。  昭和二十年八月広島市及び長崎市に投下されました原子爆弾被爆者につきましては、原子爆弾被爆者医療等に関する法律によりまして、健康診断医療給付等を行ない、被爆者の健康の回復保持をはかってきたところでありますが、被爆者が現在なお置かれている健康上の特別な状態にかんがみ、来年度においては健康診断の強化、医療の拡充、病床の増加福福祉施設の整備等大幅な改善をはかる考えであり、この法律案はその一環として、医療手当支給額の増額をはかろうとするものであります。すなわち、現行法では月額最高二千円とされているのでありますが、これを月額最高三千円に増額することとし、現在支給限度額法律に定められているのを改め、これを弾力的に運用するため、支給額について政令で定めることとしたのであります。  以上がこの法律案提出いたしました理由であります。  何とぞ慎重に御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。  次に、ただいま議題となりました国民年金法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  国民年金は、昭和三十四年に発足して以来数次にわたる改正が行なわれてまいりましたが、本制度は、国民年金の一翼をにない、農家、自営業者等中心とする二千万人にのぼる被保険者を包含する年金制度としてその使命を果たすべく、なお一そうの内容充実を必要とするところであります。  また、児童扶養不当につきましても、発足後三年有余を経過し、今日まで手当額引き上げ支給制限緩和等の改称が行なわれてまいりましたが、引き続き内容充実をはからなければならないところであり、重度精神薄弱児扶養手当につきましても、昨年発足したばかりでありますが、なお今後の改善が望まれるところであります。  以上のような事情にかんがみ、今回の改正法案は、国民年金児童扶養手当及び重度精神薄弱児扶養手当につきまして、福祉年金の額及び手当の額を引き上げ支給制限緩和するとともに、障害年金対象範囲精神薄弱者にまで拡大することによりまして、これらの制度改正をはかることとしたものであります。  以下、改正法案のおもな内容につきまして、国民年金に関する事項から御説明申し上げます。  第一に、福祉年金の額の引き上げにつきまして、老齢福祉年金の額を現行月額千百円から千三百円に、障害福祉年金の額を現行月額千八百円から二千円に、母子福祉年金及び準母子福祉年金の額を現行月額千三百円から千五百円に、それぞれ引き上げることにいたしたのであります。  第二に、障害年金等支給範囲拡大についてでありますが、これには二点ございまして、第一点は、障害年金及び障害福祉年金支給対象となる障害範囲精神薄弱にまで拡大することにいたしたのであります。  第二点といたしましては、母子年金及び母子福祉年金対象となる子についてでありまして、障害のため所定年齢をこえてもなお対象とされる場合の障害範囲を、障害年金の場合と同様に精神薄弱にまで拡大することといたしております。  なお、準母子年金、準母子福祉年金及び遺児年金対象となる障害子等についても同様であります。  第三に、福祉年金支給制限緩和について申し上げます。  これには三点ございまして、第一点は、受給権者所得による支給制限限度額を二十万円から二十二万円に引き上げるとともに、受給権者子等を扶養する場合において二十二万円に加算する額を現行の三万円から四万円に引き上げることにいたしたのであります。  第二点といたしまして、受給権者扶養義務者所得による支給制限限度額引き上げ扶養親族が五人の標準世帯では従前の六十五万四千円を七十一万六千円に緩和することといたしたのであります。  第三点といたしましては、公務扶助料等戦争公務に基づく公的年金福祉年金との併給制限緩和についてでありまして、その限度額現行の八万円から十二万二千五百円に引き上げることといたしました。  次に、児童扶養手当に関する事項について御説明申し上げます。  第一に、手当額引き上げにつきまして、その月額を、児童一人の場合は現行千円でありますのを千二百円に、二人の場合には現行の千七百円を千九百円に、三人以上の場合には現行では千七百円に三人以上一人につき四百円を加算することとなっているのを、千九百円に三人以上一人につき四百円を加算することといたしたのであります。  第二に、児童障害範囲につきましては、国民年金と同様に精神薄弱によるものにまで拡大し、これらの児童にも手当支給することができることといたしたのであります。  第三に、支給制限緩和についてでありますが、国民年金と同様、支給対象者本人所得による手当支給制限限度額を二十万円から二十二万円に、その扶養する児童についての加算額を三万円から四万円に引き上げるとともに、支給対象者扶養義務者所得による支給制限限度額を六十五万四千円から七十一万六千円に引き上げることといたしております。  次に、重度精神薄弱児扶養手当に関する事項について御説明申し上げます。  第一に、手当額引き上げにつきまして、重度精神薄弱児一人につき月額千円から千二百円に引き上げることといたしております。  第二に、支給制限緩和についてでありますが、国民年金及び児童扶養手当と同様、支給対象者本人所得による手当支給制限限度額を二十万円から二十二万円に、その扶養する児童についての加算額を三万円から四万円に引き上げるとともに、支給対象者扶養義務者所得による支給制限限度額を六十五万四千円から七十一万六千円に引き上げることといたしております。  最後に、実施の時期につきましては、障害者範囲拡大に関する事項につきましては昭和四十年八月一日から、年金額及び手当の額の引き上げに関する事項につきましては同年九月一日から、公務扶助料等福祉年金併給緩和に関する事項につきましては同年十月一日から、それぞれ適用し、その他につきましては公布の日から施行することといたしております。  以上がこの法律案提案理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことを望みます。      ————◇—————
  5. 松澤雄藏

    松澤委員長 次に、内閣提出医療金融公庫法の一部を改正する法律案議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。吉川兼光君。
  6. 吉川兼光

    吉川(兼)委員 本法案に対する私の疑問とする点は、そのあらかたは社会党の委員の諸君から従来質問がございましたので、なるべく私は重複を避け、観点を変えまして、こまかいことを少しばかりお尋ねしてみたいと思うのでございます。  そこで、まず本法に基づきまして、昭和三十五年の七月に医療金融公庫発足したのでありますが、この事業団運営状況につきましてお尋ねしたいのでございます。それは、本金庫の貸し付け対象が、申すまでもなく民間の病院診療所歯科診療所薬局助産所、そのほかに共同利用施設というように分かれておったように思うのでございますが、おそらく昭和三十九年の十二月までくらいの統計がおありになるはずでございますから、発足以来三十九年十二月までの業績、つまりいまの六つの貸し付け対象に対する貨し付けの状況を伺っておきたいと思います。
  7. 尼崎嘉篤

    尾崎政府委員 お答えいたします。  共同利用施設に対しましての貸し付けは、最近だいぶ需要がふえてまいっておりますが、十二月までの現在におきまして、個所数として十三カ所の貸し付けをやっておるわけでございます。
  8. 吉川兼光

    吉川(兼)委員 私の質問をあなたはみんな聞いていないようですが、私は共同利用施設だけを聞いているのじゃない、その他の病院診療所歯科診療所薬局、さらに助産所等への貸し付けについて、まとめての報告を聞いているのです。
  9. 尼崎嘉篤

    尾崎政府委員 お答え申します。  いま手元にございます資料といたしまして、病院一般診療所歯科診療所新設の数がございますが、病院におきまして、三十五年から合計新設が七百六十四カ所、それから一般診療所が一千七百八十二カ所、歯科診療所が百六十三カ所でございます。助産所等は数が少のうございますが、いまちょっと手元資料を持っておりませんので、申しわけございませんが、あとで調べて御報告いたしたいと思います。
  10. 吉川兼光

    吉川(兼)委員 お答えがきわめて不十分でございますから、後ほど文書で詳しくお答えをいただくよう申し上げておきます。  さて、いまの一般診療所の中に、先刻あなたがお答えになった共同利用施設も含まれておるように私は理解しています。これでは、私のほうから答弁する形になりますけれども、その辺はひとつ医務局長たるもの、自己の責任にかかわることはもっとよく心得ておいてもらわねば困ります。  それから、いまの薬局に対する貸し付けは、発足以来たしか五カ所くらいしか貸していないのではないですか。さらに、助産所のほうも大体似たり寄ったりのようでございまして、このように医療金融公庫貸し付け状況を見ましても、対象の大きいところに主力が注がれて、そのしわ寄せが小さい方面にいっておるということは、これは私は問題でなければならぬと思うのであります。従来は無医村ということばをもって言いあらわされていましたが、いまは無医地区と言っている、つまり一里四方対象として医者のない地区、これはいま全国に相当の数があるはずでございますが、この無医地区対策についてお聞きしたい。厚生省では無医地区対策を三つか四つか分類しているはずでございますが、その対策はどうなっているか、御答弁願いたいと思います。
  11. 尼崎嘉篤

    尾崎政府委員 お医者さんのいられない無医地区に対しまして、この無医地区の中にも、近辺にお医者さんがいられまして、その関係十分医療には恵まれておるが、お医者さんがその地区にはいられないというふうな地区と、実際に交通不便で、また人口が希薄だというようないろいろな条件でお医者さんのいられない地区と二つございますが、後者のほうが問題だと思います。これに対しまして、昭和三十二年だったと思いますが、いろいろと調査をいたしまして対策考えたのでございますが、その際、ある程度病院経営ができそうだというところにつきましては、国民健康保険のほうで診療所をつくってやってもらう。しかし、ちょっと医療経営が実行できないというふうなところで、中心地から四キロ四方ぐらいのところで人口数が三百以上というふうなところにつきましては、国で補助を出しまして診療所をつくらす、こういうふうな方策をとりまして、ずっと毎年三十ないし四十カ所くらいの診療所をつくってきておるわけでございます。この対策は、三十七年だったと思いますが、第二次計画としてさらに更新をいたしまして現在続けている状態でございますが、こういうふうな無医地区は、現在、その対策によりまして三百カ所余りその診療所ができたという状態でございますが、さらに診療所の増設を続けていきたい。ただ、この際、なかなか医者が落ちつきませんために、考え方を、親元病院というふうなものとの連携を考えまして、公的の医療機関親元病院になってもらいまして、そうしてそれから医者を出してもらう、こういうふうな関連性をつけさすようにしております。なお、人口数があまり少ないところにつきましては、診療所をつくらず、そこから医療機関のほうへ患者を運び出すような方策といたしまして、マイクロバスというようなものを設けさせるような方策をとっております。さらに人口数が少ないところにつきましては、県で巡回診療をやりますようにいたしまして、巡回診療車巡回診療船というふうなものを県に設けさして、医療僻地に及ぼすというようなことをやっておるのでございますが、いろいろ情勢の変化によりまして、われわれがつかんでおります無医地区よりもまだほかに対策を要するようなところもあるようでございまして、そろそろ第三次計画を立てかえねばならないというふうな事態になっている、こういうふうに思っております。
  12. 吉川兼光

    吉川(兼)委員 御説明の、いわゆる患者運搬車設備あるいは巡回診療車診療船のあるということは私も承知しておりますが、いま厚生省でやっておられまする無医地区の分類の中に、第三に属するものがある。いまあなたのお話しになったのは第一、第二で第三には触れていないようでありますが、人口も多く、関係市町村財政経済客観情勢から見まして、開業医を置いても十分に成り立ち得るという個所が二百八カ所もあるという、これは厚生省統計による数字ですが、この二百八カ所のいわゆる無医地区対策の中の第三にはいっている地域に対しまして、本年度においてどのくらいな病院ないしは診療所をつくらせる計画があるのかないのか、その辺を承りたいと思います。
  13. 尼崎嘉篤

    尾崎政府委員 いまのお話の、十分医療機関の設立ができるというふうにこちらが考えておりますところに医療機関をつくらすというのは、これは厚生省で直接命令をするとかなんとかいうことはできませんので、その村の国保等が自発的にやろうとか、また開業医の方がそこで開業しようと言われます場合に、国民健康保険のほうで補助金を出すとか、また医療金融公庫のほうで融資をする、こういうふうな方式をとるわけでございまして、こちらで計画をいたしまして、比較的医療機関を開設し、運営ができるようなところにつきましての対策計画的にやるというようなことは、われわれのほうでは、計画的にやっていくことはちょっとできない状態なんでございます。
  14. 吉川兼光

    吉川(兼)委員 この法律医療金融公庫をつくりました目的は、私が言うまでもなく、広く一般国民医療の機会を均てんさせるというのが重点であるわけでございます。それでも非常に人口が少なくて、いわゆる酒屋に三里、とうふ屋に二里というような山間僻地施設をつくることはむずかしい。しかし、それよりやや上回ったところに、先刻局長が言われたように、巡回診療ないし患者運搬車設備をその対策としなければならない事情のあることもよくわかります。しかしながら、あなたのほうの統計で、開業医が十分に成り立つというふうな判断をした無医地区が、いまなお全国に二百数カ所もあるとは何事ですか。いまの御答弁によれば、あなたのほうから命令をして診療所をつくるわけにいかないと言われる。それはいまさら言うまでもないことであります。しかし私は、最初に伺いました貸し付け対象六カ所について見ましても、大きいところに偏重して、小さなところを無視するきらいがあり過ぎる。どうもおやりになることが、官僚的というか、事大的におちいっている。これは、何よりも政府統計数字が雄弁に物語っているではありませんか。私が一番気になりますのは、出来無医村地区といわれましたいまの無医地区、しかも十分に開業しても成り立つという地区が二百数カ所も残っている。命令ができないことぐらいはだれでも知っております。しかし、少なくともPRが行なわれなければならない。市町村医療団体その他に対し指導が行なわれてしかるべきである。当局にそうした努力が足りないから、たとえば病院が七百何カ所、一般診療所が千七、八百カ所もできたというのに、薬局がわずか五カ所にとどまっておるというアンバランスな状況が出てきているではありませんか。当局命令権がないから、向こうから届け出るまでほうっておくというようなことでは、いつになったら無医地区に住む国民の健康が保証されますか。医療金融公庫をつくった趣旨が、あなた方に、正当に理解されておらない、こういうふうに言わざるを得ないのでございます。いままでのところはともかくとして、これから先も命令するわけにいかないから、届け出がない限りは、そういう地区については、従来と同じ態度で臨むつもりなのか、指呼PRも、それほど力を入れないという考えであるのかどうか、これはひとつ大臣からはっきりとお聞きしたいと思います。
  15. 神田博

    神田国務大臣 お答えいたします。  先ほどから吉川委員尾崎政府委員との問答を実は伺っておりまして、厚生省の方針といたしまして、これはよく金融公庫指呼もし、また医師会薬剤師会歯科医師会団体等もやはり指導いたしまして、医療金融公庫の金が適正に適時に流れていくように、そうして地域住民の健康が守られていく、こういうことが私は趣旨だと思っております。そういう意味から考えまして、吉川委員のお述べになったことは私も同感でございまして、私のほうの部内で不徹底な点がございますれば、今後は十分ひとつ留意いたしまして、適正に、しかもうまく金が流れていくように処置をいたしたいと、かように考えております。
  16. 吉川兼光

    吉川(兼)委員 それでは次に移りますが、四十年度の予算によりますと、医療金融公庫理事が一名、職員が二十六名増資されるようでございます。新たに設ける従たる事務所の所在地も、大体大阪と内定しているような御答弁が、先日のこの委員会でどなたかの質問に対してあったように私も聞きましたが、そのときの御答弁によりますと、従たる事務所を貫きます大阪事務所は、いままで本部全国を一手にやっておりました貸し付け、管理、回収等業務の約半分は大阪事務所で受け持つやに聞いたのであります。さらには、大阪事務所の権限は、診療所貸し付けまでであって、病院以上の貸し付けについては決定権本部にある。しかしながら、その病院に対する貸し付け事項についてもその調査についても、大阪事務所の管轄する西日本は、代理機関のものは除いて、直貸しの場合のものは大阪事務所において調査も行なう、こういうふうに理解しておりますが、そのとおりに違いがないかどうか。
  17. 神田博

    神田国務大臣 ただいまお述べになったとおりのように大体考えております。
  18. 吉川兼光

    吉川(兼)委員 そこで私が伺いたいのは、仕事は、従来本部全国一手にやっておりましたものが半分は大阪事務所にゆだねる、それには人員職員が二十三名、役員が一名大阪に配置される。それはよいとして、今度増員する二十六名の職員のうち大阪事務所に二十三名の職員を送り、あとの三名は本部に置くようになっている。これはどうもおかしいと思います。何となれば、本部貸し付けを担当いたしております病院の直貸し調査に至るまで大阪事務所でやる、それでは本部職員仕事は半減しているのだから、何だか手持ちぶさたになるのではないかと私には思われてならない。大体、こういうところろに、国民の側から見ると問題があるのです。そもそも、このように公社、公団というものの人事には親方日の丸といった弊害がややともすると生ずるのでありまして、業務が若干拡大したからと申しましてすぐ役員をふやし、すぐ職員をふやすのである。しかもこの場合は、従来の本部仕事が半分に減るのにもかかわらず、なおかつ三名の増員が行なわれております。ということは、私どもにはどうも納得のいかないものがあるのであります。それはどういう理由に基づいてそういう人員の配置をしたのか、大臣でなくてもいいから、医務局長からひとつ御答弁を願いたいと思います。
  19. 尼崎嘉篤

    尾崎政府委員 お答え申し上げます。  医療金融公庫は、三十五年に発足しましてから年々その事業拡大しておりまして、資金需要にいたしましても、初年度が、三十五年度は三千五百七十七件で九十八億円程度だったものが、三十八年度には四千件の百八十五億と、約倍になっておりまして、さらに三十九年度におきましては、十二月末までで四千百八十七件、二百三十億というふうに増加一途をたどっております。そういうふうに毎年、貸し付けに対しましての処理する仕事がどんどんふえておるだけでなく、貸し付け原資につきましても、四十年度には百七十億が予定せられておりまして、初年度の五・七倍にふえておる、こういうふうな状態でございます。また貸し付け残高につきましても、この管理いたしております残高にいたしましても、初年度の二十八億が三十九年十二月末には三百四十六億、こういうふうな状態でございまして、審査する業務だけでなく、あとの管理する業務、さらに回収する業務というふうなものが増加一途をたどっておりまして、現在の人数本部としてやっておりますのは、たいへん仕事がオーバーワークになってきておる。こういうふうなことで、その仕事増加に対しまして人数をふやす、こういうふうな考え方なのでございます。それと同時に、できるだけ貸し付けを受けたいと言われる方の御便宜をはかり、また事務スピード化考えまして、関西関係診療所、一番数の多い診療所貸し付けにつきましては、できれば、この法案を認めていただきますれば大阪で処理させてしまう。それから直接貸しのほうにありましては、それもできるだけ便利なところで、近いところでどんどん審査をする、こういうようなことをやっていきたい。こういうふうなわけでございまして、全体といたしまして仕事がふえ、人数がふえる、こういうふうな考え方に対して二十三名の増員をお願いしておるわけなのでございます。
  20. 吉川兼光

    吉川(兼)委員 おそらくそういう御答弁であろうと想像いたしておりましたが、私は別にその御答弁を絶対に承認できないと言うわけではありませんけれども、常識的に考えまして、なるほど、融資の原資だとか貸し付け、管理、回収などの事務は逐年増大していくことはお説までもないのでありますが、貸し付け状況を見ますと、病院その他に集中して、先刻来私の申し上げておりますような小さな施設でも、ぜひ必要とする方面にはほとんど貸し付けの手が伸ばされておらない。それでいて事務がふえてきたということは、それはそのとおりでしょう。けれども、それにいたしましても昨年までは東京にある本部全国を管理して、いわゆる代理貸し機関を使ってやっておったものが、ことしは大阪の従たる軍務所ができる。できることは私は決して反対ではございません。ところが、その大阪の従たる事務所に二十三名の職員と新たに一名増員した理事を配置するということを実現しておきながら、なおかつ本部において三名の職員を増員しなければならぬということが私には納得がいかない。まあ、これは水かけ論になりますから、繰り返しての御答弁は聞かなくともよろしいが、そういうやり方が大体税金をむだ使いをするということになるのでございまして、少なくとも昨年まで全国を担任しておりました本部人員が、大阪事務所ができた機会にたとえ三名でも五名でも減少して、その分が大阪新設する事務所に回されておるというのであれば理屈がわかるというのです。その辺の増員のしかたは、おそらく私だけでなく、国民のひとしく納得のいかないところではないかと思いますから、ここに声を大にして聞いておくのでございます。  そこで、大蔵省の方に一点だけお伺いいたします。これは、この間、滝井委員なり小林委員なりからたいへん突っ込んで質問のあったことでございますが、例の医療金融公庫とそれから年金福祉事業団とが、同じ医療機関に対する融資をする間に、利息におきましては、一方は八分、一方は六分五厘という非常な懸隔が従来あったわけでありますが、四十六国会で、附帯決議でそれを統一するということをこの委員会できめておるのであります。そのことは、附帯決議をやる前に委員の諸君からいろいろ論議があり、政府からの御答弁等もありましてきまったことです。常識的に考えまして、あの附帯決議の中に数字こそは出ておらないけれども、統一するようにすることとあるのは、明らかに六分五厘に統一することと解すべきであります。年金福祉事業団が公的医療機関であります日赤、済生会に貸す六分五厘の線に医療金融公庫貸し付け利子を引き下げて統一するというのが、当時の委員会の一致した理解であったと思います。私も委員の一人でございまして、そのように理解をしておったのでありますが、このたびの御計画を見ますと、六分五厘でなく、七分である。しかもそのために、いままで六分五厘で福祉事業団から借りておりました日赤や済年会等の利率が七分に引き上げられる。これは何という矛盾であります。私は、これは大蔵省の非常なる行き過ぎではないかと考えるのであります。実は私ども国会に出てまいりまして、予算関係のことをいろいろ扱っておりますと、大蔵省の横暴が随所に頭を出しておるのでございまして、よけいなことを申し上げるようで恐縮でありますが、これは大蔵ファッショの感がなきにしもあらずであります。いやしくも社会労働委員会で、国会の附帯決議をもってきめておりますものを、大蔵省の官僚どもが寄ってたかって五厘値切って、そのために、従来六分五厘で使っておりました日赤、済生会等が逆に利息を引き上げられて七分の利息を払わなければならぬということは、もってのほかだと思います。これに対しまして、大蔵省の考え方を伺っておきたい。
  21. 船後正道

    ○船後説明員 医療金融公庫の金利の問題でございますが、この点につきましては、従来からいきさつのある問題でございますが、昨年の国会で医療公庫と年金福祉事業団の両名の金利体系の統一をはかるということがございまして、その点を私どもといたしましても十分尊重いたしまして、先ほど大蔵省の独断ではないかというお話ではございますが、大蔵省と厚生省と十分検討いたしました末、先般来から申し上げておりますように、甲種につきましては従来どおりこれは六分五厘でございますが、乙種の増改築資金につきましては原則として七分という線に統一したのであります。これによりまして、従来、医療金融公庫におきましては、病床不足地区以外の増改築につきましては八分でありましたのを七分に下げる。他方、年金福祉事業団の融資の対象になっております日赤、済生公等におきましては、病床不足地区とそうでない地区とのいかんにかかわらず六分五厘でございましたけれども、その両者のバランスを勘案いたしまして医療金融公庫と全く同一の体系に持ってくる。つまり病床の著しく不足している地域の増改築につきましては六分三厘でやる。しかし、不足地区以外につきましては、原則を七分とするということにいたしたのでございます。これによりまして、先ほどから問題がございました公的医療機関と私的医療機関とを問わず、医療機関の適正配置ということにつきましてもこういう点からてこ入れをしたい、こういう気持ちでございます。
  22. 吉川兼光

    吉川(兼)委員 あなたはいま六分五厘と七分のところだけをお答えになりましたが、日赤、済生会でも使途の違いによっては九分の利息をとられているところもあるでしょう。融資の対象のいかんによっては、九分を取っておるところもあるはずです。(「三年前だいまはない」と呼ぶ者あり)いや、なくはない。ちょっと待ってください。それでは調べましょう。(「運転資金と医療機械」と呼ぶ者あり)運転資金はやむを得ないとしても、医療機械への融資は、利息は幾らでございますか。
  23. 船後正道

    ○船後説明員 先ほど申し上げましたのは施設の整備の関係でございますが、ただいま先生の御質問は、運転資金とそれから医療機械器具だと思います。運転資金につきましては九分、それから医療機械につきましては原則九分でございますが、従来から特定医療機械、特に重要な医療機械につきましては八分にするという道も開いております。これは他の公庫におきまするいろんな金利体系の問題からいたしましても、施設に対する貸し付け金利は、こういった運転資金ないしは設備に対するものとは違えておるということになっております。
  24. 吉川兼光

    吉川(兼)委員 大体施設設備で利忠に区別があることについては、私は異論がありますが、本日はその程度でいいでしょう。この法案もこの委員会ではきょうが最後の段階になっておるようでありますから、あまり追及してみても始まりませんから——ただ、この際厚生省当局に伺っておきたいと思いますのは、ここに昭和三十八年版の医療金融公庫業務報告書というのがございますが、この裏表紙一つ前のページに「受託金融機関一覧表」というのがあります。三十九年三月三十一日現在というのでありますが、これを見ますと、いわゆる都市銀行から始まりまして地方銀行、相互銀行、信用金庫、商工組合中央金庫といったような組合金融機関、さらには信用組合というところまでが指定されて、具体的な名前がずらりと載っております。ここで私は伺いたいのは、この最後の信用組合というところにありまする東京、京都、神奈川——神奈川のごときは二つあるようでありまするが、これが全部医業信用組合ということになっております。名前は、医療になってみたり、医師になってみたり、医業になってみたりいたしておりまするが、いずれも医者の諸君によって組織されておると思われる信用組合でございますが、これは医療金融公庫金を借りるために特につくった信用組合なのか、あるいは医療金融公庫発足する前からあった組合なのか、その双方ともあるのであれば、前からあるのとその後にできたものと、その数分けをひとつお聞かせ願いたいと思います。
  25. 尼崎嘉篤

    尾崎政府委員 信用組合関係は、いま御指摘のとおり前からありましたのが多うございますが、医療金融公庫ができましてから発足いたしましたものもありますが、その数は、いまちょっとここに手元に私持ち合わせがございませんので、いま調べさせております。
  26. 吉川兼光

    吉川(兼)委員 それでは数はあとでお知らせください。  ただ、私が聞きたいのは、借用組合という金融機関は、ここに大蔵省の人もおいででございますが、これは地方の県知事が許可をする組合だったと思います。それだけに、いかにも基礎が弱いかのように言う向きがなくもありませんが、私の見るところでは、地域職域に信用組合が多くつくられ、庶民の金融機関として、なかなか重要な役割りをになっているものが少なくありません。そこで私は、信用組合のような庶民的な金融機関で、当局から見て代理業務を取り扱わせる資格のあるものは、どしどしお使いになるほうがよろしいと、こう思うのであります。この表に載っている信用組合は全部「医」の字がついていて、何だか医療金融公庫の金を対象として急造したものであるかのごとき誤解を生じやすいと、この名前から受け取れるのでございます。信用組合というのはまだほかにも相当有力なものがあるはずでありますから、私は特別にそのほうのことは明るいわけでありませんけれども、相当あるはずでありますが、そうした普通の信用組合にも、私は代理事務を扱わせる指定する道が開かれるべきではないかと考えます。その点についてはどういうふうにお考えでございますか。
  27. 尼崎嘉篤

    尾崎政府委員 ほかの信用組合から申し出がございますれば、その取り扱いの可能性その他を検討いたしまして、取り扱い機関といたしまして入れることにやぶさかなものではございませんが、十分検討いたしてみたいと思います。  なお、先ほどお答えが落ちましたが、資料の手持ちがないと申しましたが、いま計算をやらせましてわかりました数字を申し上げます。医療金融公庫の始まる前からありました医療関係の信用組合が十一、それから以後にできました指定しておりますのが四、計十五ということでございます。
  28. 吉川兼光

    吉川(兼)委員 それでは、まだ多少聞きたいことがございまするけれども、最後に、念のためこの際大臣お答えをわずらわしたいと思いますのは、医療金融公庫のできました理由は、いまさら私から申し上げるまでもなく、従来ややともすると政府から差別待遇を受けておりました私立の病院診療所、歯科、薬局その他に対しまして、その診療力を増強して国民の診療に対する機会均等をはかるというのがねらいだろうと私は思うのでございますが、先刻来私が触れたつもりでございますけれども、その医療金融公庫貸し付け内容が、大病院中心に偏在をいたしておるのでございます。たとえば慶応大学病院のごときは、五億円に近い金を貸し出しておる。それこそ天下の慶応病院でございますから、貸し付け対象としては安全かもしれません。しかし医療金融公庫というのは、ただ普通の金融機関みたように確実なところだからたくさん貸すとか、多少怪しいから貸すのを控えるとか、そういう性質のものではないと私は思うのです。もちろん回収不可能と予想されるところでは貸し付けは困りますけれども、大きな病院に集中いたしまして、繰り返すようでございますけれども、無医地区経営が成り立つと厚生省調査に出ているところにさえ、あまり医療金融公庫の金が回っておらない。これは代理機関指定の問題とも関係があると思いますから、それらの点も考慮に入れて、医務局長のように、単に命令するわけにいきません、などと言って済ますようなことのないよう、特に無医地区施設の可能性のあるところが二百カ所もあるのですから、本年度の医療機関設置への金融は、十分にそういう、医療政策に沿うものであるよう、新しい意味を織り込んだ運用をしてもらいたい、このことを大臣にお尋ね申し上げてこの質問の最後にいたしたいと思います。医療金融公庫からどなたかわざわざ見えておるようでありますが、時間の関係もありますので、その方への質問は差し控えることにいたします。
  29. 神田博

    神田国務大臣 お答えいたします。  医療金融公庫ができた事情については、いま吉川委員もお述べになりましたように、医療を担当する方面になかなか資金が回ってこない。政府の三公庫からも回ってこないし、一般金融面からも回ってこない。国民の診療を十分にし、その保健を守っていくという立場からいたしまして、医療金融公庫をひとつつくってそういう不便、支障を排除しようということがねらいでありますことは、お述べになったとおりであります。  そこで、その運用の面でございますが、いまお述べになりましたように、どうも大企業に偏在しているのではないか、貸す便利というか、あるいは徴収の担保力からいえば、なるほどそれもうべなえないわけではないが、そういうものではなかろうという御意見については、私も同感でございます。過去の運用もさることでございますが、本年度は、特に資金も従前よりも増して増額になっております。これらをできるだけひとつ全国診療所または病院等に、希望のあるところに適正な融資をいたしまして国民医療を守る、保健をひとつ十分達成する努力をするように心がけてまいりたい、かような見地に立って医療公庫を監督、指導してまいりたいと考えております。
  30. 松澤雄藏

    松澤委員長 午後一時まで暫時休憩いたします。    午後零時三分休憩      ————◇—————    午後一時二十四分開議
  31. 松澤雄藏

    松澤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。河野正君。
  32. 河野正

    河野(正)委員 医療金融公庫法改正案に対しまする質疑がだんだんと大詰めになってまいったわけでございますが、なお、この公庫法の改正をめぐって一、二所見というものを明らかにし、そして御要望を申し上げてみたいと思います。  この医療金融公庫法の一部改正内容的に大きな問題を持っておるわけではございませんけれども、元来医療金融公庫法なるものは、医療施設改善あるいはまた医療機関地域的な分布、そういうような面を逐次改善していこうというふうな趣旨で、公庫法というものが設けられてまいりましたことは周知の事実でございます。そこで医療機関の整備をはかっていく、そのためには、公的医療機関の場合には国庫でめんどうを見るという問題もございますし、あるいはまた地方債でめんどうを見るという問題もありますし、いろいろそういう意味で財政計画というものが当然樹立をされてまいるわけでございます。ところが、公的医療機関が整備されれば日本の医療機関の整備というものが完了するということではないわけでございまして、私的医療機関についても、その一環として整備がはかられなければならぬということは当然のことだと思うのであります。そこで国の場合には、さっき申し上げまするようないろいろな財政計画が樹立されて、逐次年次計画その他によってこの計画というものが推進されるわけですが、それならばこの私的医療機関についてはどういう形で整備をされてまいるのか。極端に申しますと、この需要額というものが、この医療金融公庫の融資の原資よりも非常に大きいわけですから、したがって、やはり一つの目標というものを持って私的医療機関の整備というものが行なわれなければならぬ。そうすれば、それに伴う原資というものが考えられていかなければならぬ、こういうように考えるわけでありますが、この私的医療機関の整備についてどういう目途なり計画を持って臨んでおられるのか。この点は基本的に非常に重大な点でございますから、あらかじめひとつお答えを願っておきたい、かように考える次第であります。
  33. 尼崎嘉篤

    尾崎政府委員 お答え申し上げます。  医療機関の整備といたしまして、われわれは昭和四十五年に大体ベッド数といたしまして百二万床ぐらいにしたい、こういうふうな考え方を持っておりますが、そのうちで公約、私的というのを厳重に区別して計画を画然とやりましても、現在の社会の運営状態から見てなかなかできませんが、年次計画としては、公的医療機関の整備、私的医療機関の整備のいままでの大体の趨勢に応じまして予算を組んでいく、そうして整備を推進していくという、こういう状態でやっております。
  34. 河野正

    河野(正)委員 どうもわかったようなわからぬようなお答えで、さっぱり要領を得ぬのでございますけれども、やはり医療機関を逐次整備していくということであれば、公的医療機関と並行して私的医療機関の整備というものがはかられていかなければならぬ。そうすると公的には、先ほど申し上げまするように国の財政的な措置もございますし、あるいは特別地方債の問題もございますし、そういった財政措置ができるわけですけれども、私的の場合にはそういう財政措置というものができないわけでございますので、したがって、やはり医療金融公庫等によってそれらの財政的な面についての配慮というものがなされなければ、私は、国内の真の医療機関の整備というものはできるものじゃないというふうに考えますがゆえに、いまのような点を取り上げてお尋ねを申し上げたわけであります。まあしかし、いまのお答えでは、なかなか要領よいお答えを得ることはできぬと思いますし、したがって、あとの問題もございますから重ねては申し上げません。しかし、少なくとも将来、公的医療機関と同様に、私的医療機関についても計画的な対策というものが当然なされなければならぬ。と同時に、計画的な対策に基づいて、医療金融公庫の融資ワクという問題についても努力を願わなければならぬ、こういう意味でひとつお取り組みを願いたいというように強く要望をいたしておきます。  それから、さらに一点お尋ねを申し上げておきたいと思いまする点は、日本の医療施設状況を見てまいりますると、一応国際的な水準にだんだん近まっていくという傾向にあることは、これはもう私ども認めるわけであります。しかしながら、他の諸国と比べてまいりますると、日本の三十六年におきまする状況というものは、イタリア、オランダの三十一年の状況に大体匹敵するというようなことでございますから、イタリア、オランダに比べましても約五年間のおくれがある。それから日本の特殊な点は、これはいままで結核が非常に多かった。そこで、医療機関の中でも結核という問題がかなり大きなウェートを示しておったということでございます。そこで、そういうような結核を除いて、日本の医療施設というものが、はたして世界の諸外国と比べてどういう状況にあるかということになりますと、これは非常に水準が下がっていくわけです。結核を含んでおるから、ある程度世界の水準に近まりつつあるわけですけれども、しかしながら、結核を除きますると、日本の水準というものが世界の水準から比べますると非常に下がっていく、これが今日の現況でございます。  そこで、この結核を除いて——これはもう最近の技術革新によって化学製剤も非常にりっぱなものができますし、逐次結核という問題が解決していくわけですから、そこで結核を除いての日本の医療水準というものが世界の医療水準に近づいていく、こういう方向で努力を願っていかなければならぬ、こういうように思うわけです。私は、やはり日本の医療水準というものを基調として日本の医療施設改善、整備というものがはかられなければならぬ、こういういうように思うわけでございますが、これらについてはひとつ大臣から、非常に大きい問題でございますから、ぜひ前向きのお答えを願っておきたい、かように考えます。
  35. 尼崎嘉篤

    尾崎政府委員 お話のとおりに、日本の病床の構成が、結核がきわめて大きな比率を持っておって、一般病床及び精神病床の比率が諸外国に比べまして少ない、仰せのとおりでございますが、結核の病床は現在のままか、将来は少し減っていくであろうという立場をとっておりまして、精神病床を急速に伸ばしていく、また一般病床もいまから四十五年ぐらいのうちに急送にやはり伸ばして、合計といたしまして百二万床に持っていきたい、こういうふうな考え方でおりますが、いままでの実績から見ますと、大体計画どおり、またそれを少し上回るくらいのスピードでいま進んでおる状態でございます。
  36. 河野正

    河野(正)委員 実は、いま申し上げましたのは、国際的な水準ということを念頭に入れて日本の医療施設充実、改称ということに努力を願わなければならぬ、小さい日本の国内の問題だけでとやかく言っておっては国際水準から立ちおくれてしまう、そういう意味で建設的に御指摘を申し上げてまいったつもりでございます。  さらに今度は、国内的に見てまいりますると、どういう状況かといいますると、病床の地域分布というものが非常にアンバランスだということでございます。たとえば、昭和三十七年末の人口十万に対しまする状況を見てまいりますると、全国平均が三七一・七床であります。もちろん、そういう平均の数字改善するということが基本的に大事なことでございますが、それと並行して、一方におきましては国内的に非常にアンバランスがあるということでございます。非常におもしろいと思いまするのは、平均値の高い地域は北の北海道で、北海道が五三六・三床、それから非常に低いほうは鹿児島、これは南のほうですが、鹿児島が二〇三・五床、こういうふうに、平均は三七一床でございますが、地域的に見てまいりますと北の北海道が五三六、それからこれは人口が少ないということもあろうと思いますけれども、南のほうは二〇三床ということですから、そういうアンバランスというものを逐次改善していくということも、私は一つの医療機関を整備する目標にならなければならぬというふうに考えるわけでございます。したがって、この医療金融公庫運営等についても、そういう点を十分考慮に入れなければならぬというふうにも考えるわけでございますが、その点はいかがでございますか、ひとつお尋ねをいたしておきたい、かように考えます。
  37. 尼崎嘉篤

    尾崎政府委員 お話しのとおりに、各府県別で病床の数のアンバランスがある。また同時に、同じ府県におきましても、都市と農村におきましてやはり病床のアンバランスがある。こういうふうなところで、現在われわれとしましては、医療機関の整備につきまして病床が人口対でいろいろ都市と農村を変えておりますが、その病床数が多いところにつきましては、公的医療機関、私的医療機関ともにこれを抑制する——と言ってはちょっと行き過ぎでありますが、公的医療機関のほうは医療法の第七条の二によりまして、そういうようなところでは新しく開設、増設というようなことを制限しておりますし、また融資等におきましても同じような取り扱いをやっておるわけでございますが、私的医療機関におきしても、これは個々人がおつくりになるのはやむを得ないといたしましても、医療金融公庫の融資につきまして甲種、乙種と分けまして、甲種の場合、その標準よりも少ないところには、新築、増築等に六分五厘でやっており、また乙種、すなわち病床の多いところには、新築等には融資を医療金融公庫からしない、またその利率も、従来八分として差をつけておりましたが、今度は七分にする、こういうふうな状態アンバランスを是正するような取り扱いをいままでやっておる次第でございます。
  38. 河野正

    河野(正)委員 いまの金利の点からアンバランスの是正については、後ほどまたいろいろきちっと整理をしなければなりませんから、実はいまよけいなことを言ってもらったわけです。  そこで今度は、ひとつの中身についてひとつお伺いをいたしておきたいと思います。これは後ほどの医療法との関係もございますから、私はあえてここで取り上げてまいるわけでございます。ちょっと資料が古いわけですけれども、これは厚生白書が古いわけでございますのでやむを得なかったと思いますが、この厚生白書の資料によります昭和三十七年末の病院数というものは六千四百二十八、こういう数字になっております。これを三十六年、前年度末に比べますと、百九十九、パーセンテージで三・二%の増加ということでございます。ところが、その中身をさらに検討してまいりますと、なるほど百九十九、三・二%の増加ではございますが、しかし、結核の病床数というのは四十三減少をいたしておるわけです。そこで、一般病床というものがその点もカバーをして増加をいたしておりますので、したがって百九十九、こういうことになっていると思います。ところが、特に顕著でございますのは、精神病院が四十というふうに非常に大幅な増加を示しておるという点でございます。私は、最初は国際的な点から申し上げたのですが、さらに国内的な全国的な配置の問題、それから今度、いま第三点として取り上げましたのが、この中身の問題ということになってまいったわけでございます。そこで、私がやはり国民の福祉という点を考えてまいりますと、病院施設増加の中で、いま申し上げますように、専門的な点がまた一つ重大な要素というものを持ってくる、かように考えるわけでございます。そこで、そのような点についても十分配慮なされておるのかどうか、ひとつこの点を第三点としてお尋ねを申し上げておきたい、かように考えます。
  39. 尼崎嘉篤

    尾崎政府委員 お答え申し上げます。  いまお話がありましたように、結核は大体二十五、六万床の病床ができまして、現在需要に大体応じておる状態でございますが、精神関係がどちらかというと不足ぎみだというので、精神関係のベッドを公的、私的ともに伸ばすように努力しており、施設もいまお話がございましたように四十施設もふえておるわけでございます。なお、一般病院につきましても、私は施設数として二百くらいふえておったと思いますが、この中でいろいろ専門の病院、また専門の度合いの強い病院をつくっていくというふうなことが必要ではないかとわれわれ考えております。ガンにつきましては、すでに、国立がんセンターをはじめといたしまして、癌研の病院、または愛知とか大阪とか新潟、兵庫、仙台、こういうふうなところにガンの専門機能の充実した病院ができ始めておりますし、さらにこの網を中国、四国、北陸、北海道というふうなほうにも漸次、来年度におきましてつくっていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  また心臓関係の病気につきましても、従来、医学教育機関におきましていろいろやっておられますが、そのほか各地でその専門施設ができ始めておりますし、われわれもこれに対しまして融資また医療金融公庫等におきましてこれを助成する、こういうようなことをやっております。  さらに、身体障害者、特に筋ジストロフィー関係などの収容施設といたしましては、各ブロックに一カ所ずつ国立療養所の一部の病床を転用してつくっていく、それから救急病院もいま各地で設備の増強をはかっておる、こういうような状態でございまして、いまのように一般的な病床でなく、それぞれの近代医学の発展に即応いたしました病院医療施設を強化していく、こういうふうな努力をはかっておるわけでございます。
  40. 河野正

    河野(正)委員 お答えは非常にりっぱでございますけれども、しかしながら、実際にそういう方向で行政指導が行なわれておるかどうかということについては、非常に大きな疑問がございます。たとえば、がんセンターということでそれぞれ財政処置をされたけれども、実際には、入っております患者一般患者が入っておるというケースを、私は具体的に知っております。ですから、がんセンターということで財政援助を受けておいて、実際には病床の増加という方向で運用しておる、こういう例を私は実際に知っております。あなたが明らかにせよとおっしゃれば明らかにいたします。ですから、専門病院を増強する、そうして国民の福祉に貢献していくという方針はそれでけっこうでございますけれども、行政指導というものが非常にずさんなために、いま申し上げたような実態というものが出てきておることを、私どもは非常に残念に思います。私は、きょうは、そういうことを追及するのが目的でございませんから、いま一つの申し上げておきたいと思います点は、最近にせ医師、もぐりの医師が医療行為をやる。これは先般歯科医師がもぐりで開業して、そして長い間治療に従事しておった。またこの二、三日前の新聞によりますと、強盗犯人が神経科の専門ということで六年間も診療行為に従事しておった、こういうことが新聞で報道されておるわけであります。これはやはり厚生省が、いま申しますように専門病院を増強する、そういうかけ声に便乗をして、いまのような、全く人道を無視したような医療行為というものが出てまいっておるというのを私どもは指摘せざるを得ない。のみならず、さっき申し上げましたように、堂々たる公共病院においても、がんセンターということでこの補助金を取っておいて、実際の中身は一般の平病患者を入れておる、こういう実態というものが出ておるわけですから、私は、厚生省としてはもう少し適切な、誠意ある行政指導というものをおやりにならなければならぬというふうに考えるわけでございますが、そのような厚生省の適正を欠く行政上の運用についてはどのようにお考えになっておるか、この点は大臣からひとつお答えを願いたいと思います。
  41. 神田博

    神田国務大臣 お答えいたします。  いまお述べになったような事実がございましたことは、まことに遺憾でございます。申すまでもなく、医療行政というものは、その実態に沿うた国民の保健を守る立場でございまして、診療が適正に、しかも迅速に、まじめに行なわれなければならぬわけでございます。特定の専門病院であって補助をもらっておる、しかも内容は実態に沿っておらないということでは、はなはだ申しわけないと思います。今後はそういうことのないように、十分ひとつ本省も本気になり、地方も督励いたしまして、その根絶を期するために医療行政の上昇に大いに努力いたしたいと考えております。   〔委員長退席、井村委員長代理着席〕
  42. 河野正

    河野(正)委員 行政上的確に、すぐにでも指導をおやりにならなければならぬ、あるいはそれが実行に付されなければならぬという面もございます。  それからもう一つは、いまちょっと触れたわけでございますけれども、野放しのにせ医師ですね、これが東京都内におきましても堂々と看板あげて、そうしていかがわしい美容整形手術をやったり、そういうことをやっているわけです。ですから、私は、こういう全く人道を無視した、人命を無視した医療行為に対する今後の厚生省対策——相手は医者だと思い込んで命を預けているわけですから、それがにせ医者である、もぐり医者であるということだとすれば、その罪というものは、私は非常に大きいと思うのです。ですから、この野放しのにせ医師に対する対策というものは早急にやっていかなければいかぬ。ややもすると、そういう連中が、案外医療金融公庫から金を借りているという例もあるかもしれない。たとえば、さっき局長がおっしゃったような専門病院を増強しなければならぬというようなことで、そのブームに乗って、パチンコ屋のおやじとかキャバレーのおやじとか、そういう連中がどんどん精神病院なんかを開設しておるわけですよ。ですから、それらの規制という問題と同時に、東京都内でも堂々と看板をあげていかがわしい診療をやっておる、しかも誇大広告をやっておるというようなもぐりの医療機関があるわけですから、それらに対する対策というものはすみやかに充実していただかなければいかぬというように思うわけですが、その点、大臣いかがですか。
  43. 神田博

    神田国務大臣 いまお述べになりましたようなことが間々あることは、まことに遺憾な次第でございます。厚生省といたしましては、昭和三十八年以来、特にこの取り締まりを厳重にいたしたいということで、地方とも十分連絡の上で、監査監督を行なっている次第でございます。遺憾にたえませんのは、まだ今日根絶を期していないことでございます。今後もなお一そう努力いたしまして、これは大事なことでございますから、そういう方面に不安のないようにいたしたい、かように考えております。
  44. 河野正

    河野(正)委員 ところが、これはどなたが新聞記者にお答えになったか知りませんけれども、新聞談話等を見てみますと、厚生省で全く無責任きわまりないような発言をなしておるわけです。たとえば、正式の医師の場合は監督できるが、もぐりは、患者が自分で気をつけてもらうほかいたし方がない、こういうようなことが実は新聞に報道されておるわけです。ところが、医療法を見れば、そういうもぐり医師というものは規制できるわけです。これは医療法という法律を忠実に実行されぬから、そういうもぐり、医者というものがばっこしているわけです。これはむずかしい問題ではないわけです。医療法というものを適確に運用していただくということになれば、こういういかがわしい美容整形だとか、あるいはその他のいかがわしい診療行為というものは、たちまちにしてなくならなければならぬ問題だというふうに考えるわけです。そこで私は、何もいまさらあらためて——三十八年から努力している云々のお答えがございましたけれども、これは三十八年どころか、医療法をそのまま適確に運用していただけば、すぐ取り締まりができることなんです。そういう意味で、私は厚生省はいささか怠慢だと思う。これは怠慢のそしりを免れぬですよ。そこで、ひとつ厚生大臣は、この法律を守るということについてもう少し適確にやっていただきたい、こういうふうに考えますが、いかがですか。
  45. 神田博

    神田国務大臣 ただいまお述べになりましたような事実が出ましたことはまことに遺憾でございまして、これは出たのがわかったのであって、まだわからぬのが相当あるということになるわけでございます。これらの点につきましては特に留意いたしまして、一昨年以来取り締まりを励行していると申しましょうか、厳重に示達いたしまして取り締まっている際でございます。何しろ数多いものでございますから、十分効果をあげないことは遺憾でございますが、いまお話しの例もございますので、なお今後は一そう留意いたしまして、厳重な取り締まりをいたしましてこの根絶を期したい、かように考えます。
  46. 河野正

    河野(正)委員 それは、いま申し上げますように別にむずかしい問題ではないわけで、医療法を適確に運用していただけば、そういう野放しのにせの医療行為というものは防止できるわけですから、ひとつさらに強力に対策を立ててもらいたい、かように考えます。  そこで、公庫そのものについて一、二お尋ねをいたしてまいりたいと思います。  一つは、厚生省で配付になっております参考資料を拝見いたしますと、これはもちろん需要額が大きいし、原資が少ないということで、借り入れを申し込みましても繰り越しになる部分が非常に多いわけでございます。ところが、最近、医療機関の共同化という問題が、だんだん強い意見となってあらわれてまいった実情でございます。特に医療施設の診療機能を高めるためには共同化が適切であるというようなことで、オープンシステム方式の病院あるいは臨床検査センター、こういうような共同利用施設というものが、だんだんと大きな意見となってあらわれてきつつある現況でございます。ところが、この資料を見てまいりますと、この共同利用施設貸し付けというものが、比較的他の病院一般診療所歯科診療所というような点と比べますと、わりに少ないわけなんです。ところが、共同化というようなものが非常に強い意見となって出てくる。ところが、それに対する貸し付けの現況というものが必ずしも芳しくないということになりますと、これは何か世論に逆行するというふうな印象を受けるわけでございますが、この点についてはいかが考えておられまするか、お伺いを申し上げておきたいと思います。
  47. 尼崎嘉篤

    尾崎政府委員 共同利用施設と申しますか、その中には、医師会等で共同でオープンシステムの病院をつくるというふうな動きと、共同で検査施設をつくるという動き、この二つが考えられますが、この二つに対しましては、大体優先的にできるだけ医療金融公庫で融資のめんどうを見る、こういうふうな考え方でやっております。ただ、問題の性質上、そういうふうな施設をつくりたいという要望と申しますか、動きが、比較的数が少ないというので、いまのような数字になっております。
  48. 河野正

    河野(正)委員 パーセントを言っているのだ。
  49. 尼崎嘉篤

    尾崎政府委員 その数字はちょっとわかりませんが、できるだけ優先的に考えるようにいたしたいと思っておるわけなんです。
  50. 河野正

    河野(正)委員 いま指摘いたしましたように、共同化という問題は最近出てまいりました新しい傾向でございます。にもかかわらず、それらの決定の率というものが他の機関よりも非常に少ないということは、私はやはり一つの矛盾した点ではなかろうかというふうに考えますので、ひとつ共同化を推進するなら推進するで、そういうような融資の面についても御配慮をなさるべきではなかろうか、こういうふうにも考えます。   〔井村委員長代理退席、委員長着席〕 そこで、共同化という問題が新しい傾向として、最近非常に強く出てきたということでございますが、したがって、政府においても、やはりそういう新しい動きについてはこれを手助けしていく、援助していく方策というものが当然とられなければならぬ、こういうふうに考えます。そこで私は、一つだけ具体的な例を取り上げてここで明白にしておきたいと思いまする点は、たとえば完全寝具という問題が一つございます。この完全寝具という問題は医療費の問題と関連するわけですから、したがって、この完全寝具に要しまする医療費というものは、それぞれ施設で消化されるということが私は望ましいと思うわけでございます。そこで、地方自治体においても、そういう方向でこの事業協同組合を育成するという傾向もございます。ところが、そういう一つの傾向について、保険官僚がそういう傾向に抵抗するという事例があることは、医療金融公庫とも関連いたしますけれども、共同化を阻害する道だというふうに私ども指摘せざるを得ないと思います。そこで、これは保険庁にお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、保険庁は、いま私が取り上げてまいりました基準寝具に基づきまする事業協同組合、これは地方自治体のほうでそういう方向で指導したならば、それをだんだん助成していくという方向は当然とられなければならぬと思うわけでございますが、そういう方向について保険官僚が介入をするという事例がございます。それは私がいま医療金融公庫でも申しましたように、やはり共同化という方向はいま出てきておる新しい傾向ですから、それを育成しなければならぬ、助成していかなければならぬという点から、私は非常に遺憾な点だと思うのでありますが、その点はいかがお考えになりますか、ひとつ保険庁にお尋ねを申し上げておきたい、かように考えます。
  51. 松尾正雄

    ○松尾説明員 お答えいたします。  基準寝具の問題につきましては、かつては院内すべてを処理するという方針でございまして、だんだんこの分業化の傾向等が世の中には進んでまいりまして、外部でも十分これが行なわれて、しかもそれで患者の寝具供給ということが円滑にいくということであれば、これはそういうふうに認めて差しつかえないということで、三十七年からそういう方針を打ち出しております。その際に、ただいま御指摘のような医療機関が共同いたしまして協同組合等をつくりましてそういう処理をしていきますことは、これは当然、その場合に認めて差しつかえないという見解で処理してまいっているわけでございます。いかなる施設でそういう委託をするかということは、医療機関のいわば自主的な御判断によっているわけでございまして、行政上からは、どこのどのようなところに委託しなければいかぬというようなことを、ここにいろいろと申し上げる筋のものではございません。あくまで病院として、そういう寝具供給ということが、外部に委託しましても、ひとつ十分に目的が達成できるような条件が全うされればよろしいというような態度で、従来処理してまいっているわけでございます。
  52. 河野正

    河野(正)委員 私は、一つには、共同化というものが望ましいという方向で指導されたならば、その中から出てきた協同組合については、これは育成する義務があると思うのです。それはつくるならつくっておけということでつくっておいて、あとはどうでもよろしいということになるならば、全く私生子的な存在だと思うのです。私は、生んだ以上は育てなければならぬ義務というものがあると思うのです。しかし、その間、協同組合も規模、内容等の問題がございますから、そこで何でもかんでもやるというわけにはいかないでしょう。しかしながら、そういう協同組合を育成していかなければならぬということを前提として他の企業を考えていかなければならぬ、私はそういうふうに判断いたします。そういう意味で、一たん指導して設立さした協同組合が、だんだんと成長することを妨げるような処置をすることについては承知できません。  それからもう一つ、いま松尾課長がお答えになった、協同組合を選ぶか一般の企業を選ぶかという点については、病院ないし施設の自主的な判断で行なうべきだということ、ところが、あなたはそういうふうなお答えでございますが、そういうことが現実に行なわれておらぬ、それが逆の方向で行なわれているというような事実があったといたしまするならば、どういう御処置をおとりになりますか。この点をひとつ率直にお聞かせいただきたい、こういうように考えます。
  53. 坂元貞一郎

    ○坂元政府委員 基準寝具の取り扱いにつきまして、ただいま先生御指摘のように、医療協同組合等を育成する方針と逆の方向に、行政権のバックを持って県の当局が動いているような事実についてどうするかという御質問だと思います。これにつきましては、もちろん私どもも、そういうような行政権に基づきまして個々の病院にいろいろ関与するようなことは好ましくない、こういうような基本的な考え方をもって従来から指導をやっているわけでございます。
  54. 河野正

    河野(正)委員 いま医療保険部長お答えになったようなかっこうで指導されることが望ましいと思いますが、現実にはそうでない事例がございます。これは自主的判断によってそれぞれ医療機関が決定する問題にもかかわらず、保険課長がこの医療機関の責任者を呼んで、おまえはどちらを選ぶかというふうなことを威圧的に見解を求めたという事例がございます。そこで、私はなぜそういうことを言うかと申しますと、どうも保険課長自身が、民間の業者と何か暗い陰があるというふうな印象を受けるようなうわさもございます。そういううわさがあるような課長であるから、したがって私は、この病院の長を県の保険課に呼びつけて、おまえ一体どっちを選ぶかというようなことを示唆したというふうに思うわけです。しかもその課長のごときは、保険課の課員は一生懸命執務しているにもかかわらず、ウイークデーに堂々とクラブかついでゴルフに行っておる。こういうことをやるから、いまのように医療機関の長が自主的に判断してきめる問題を、威圧を加えて強制をする。それはやっぱり病院のそれぞれの関係者というものは、保険課というものが——大蔵省もおいででございますけれども、税務官吏と同じようにこわいわけなんですよ。何かあったとき江戸のかたきを長崎で討たれるということもあるから、なかなか言いたいことも言わない。そこに便乗して呼びつけて、おまえ一体どっちを選ぶのじゃ、こういうことをやっておる。その課長は公然とウイークデーにクラブかついでゴルフに行っている。こういう事実がある。これは許すことができぬと思うのです。そういうことをやるから、どうもこの課長は、業者と結託してうしろめたいことがあるという印象を一般に与えておると思うのです。私は、この点はやっぱり保険庁においてもきちんと整理してもらわないといかぬと思うのです。それはさっき申し上げましたように、金融公庫の中でも共同化ということが最近だいぶ高まってきた、そういうことにも関連をするわけですから、私はあえてそういう点についてお尋ねをしたわけです。そこで、その点について大臣から、きちっと明確にお答えを願っておきたいと思います。
  55. 神田博

    神田国務大臣 勤務時間中に勤務をみだりに離れて、しかも、たとえばゴルフをやるというようなことは服務規律の違反でございます。かようなことは厳重に取り締まっておるわけでございますが、しかしそういう例があるというような具体的なお話でございますので、まだそういうことが根絶していないことはまことに遺憾でございます。十分注意いたしまして、もしそういうようなことが再び繰り返されるようなことがあるといたしますならば……。
  56. 河野正

    河野(正)委員 あったことは事実だ。
  57. 神田博

    神田国務大臣 あったことでございますならば、その事実が判明いたしますならば十分ひとつ訓戒いたしたい、そういうことの再びないように注意いたしたい、かように考えております。
  58. 河野正

    河野(正)委員 申し上げることがたくさんございますけれども、理事に協力する意味において質問を進めていきたいと思います。(「きちっともっとやれ」と呼ぶ者あり)いま指摘申し上げた点は、いまうしろのほうからも、きちっと整理せよということですから、大臣も十分含んで厳重に処置していただきたいと思います。  そこで前に戻って、いままでいろいろ論議されてまいりました点を、ひとつここで整理をしてまいりたいと思います。いろいろ誤解を招いても困りますので、お互いに簡明率直に質疑とお答えを願いたい、こういうふうに考えます。  医療金融公庫昭和三十五年に設立をされまして以来、わが党におきましても、滝井委員、小林委員、大原委員八木委員、伊藤委員というような各委員から指摘をされた点でございますが、それはやはり医療機関を育成していく、あるいは整備していく、さらに内容改善をはかっていくという面において、いろいろ融資措置がアンバランスであってはならぬ、こういうことがいままで取り上げられてまいったわけでございます。しかも過去五年来取り上げてまいりまして、その間、附帯決議の問題もございましたし、それから善処するというよなお約束を願った面もございます。さような私どもの要求というものが十分に反映されておらないことは、私どもも非常に遺憾に考えるわけでございます。そこで、これは昨年の国会で、医療金融公庫法の一部改正の中でいろいろ言われたわけでありますが、それは一般医療機関と、それから日赤、済生会病院における場合との間における融資措置にアンバランスがあってはならぬ。もう少しわかりやすく申しますと、同じ医療機関に融資をいたします年金福祉事業団というものは、日赤、済生会病院は利率六分五厘であったわけでございますから、当然一般医療機関もそれにならうべきだというような要求をいたしてまいったのでございます。ところが、たまたまその後の改善措置の中で、一般病院の場合は七分ということに八分から一分引き下げられましたけれども、それと同列にするということで、日赤、済生会病院の場合の利率が六分五厘から七分に引き上げられました。このことは、なるほど一般病院一般医療機関の場合は一分下がったわけでございますけれども、一方、日赤、済生会は六分五厘が七分に上がったということは逆行ならしめる措置であり、そういうことは適切を欠く措置でございますから、われわれといたしましては了承することができないわけでございます。そこで、まず第一に明確にしていただきたいと思います点は、いま申し上げました日赤、済生会病院については、行政指導等によりまして七分の利率を実質上六分五厘とするということにしてもらいたいというふうに考えるわけでございますが、その点に対する明確なお答えをいただきたい、かように考えるのであります。
  59. 神田博

    神田国務大臣 ただいまお尋ねございました点、正確にお答え申し上げたいと思います。  医療金融公庫からの貸し付けは、病院や診療施設の不足地区を解消することを重点に考え、これらについての貸し付け利率は、すべて六分五厘になっておることは御承知のとおりであります。ただ、医療機関の過剰地区における利率は、来たる四十年度より八分から七分に引き下げる考えであり、これに伴って年金福祉事業団からの日赤、済生会に対する利率も七分にするつもりでありました。しかし、医療法等により医療機関の改称についての指示、指導があった場合には七分から六分五厘に引き下げることができる。形の上では七分にいたしますが、御要望のごとく、厚生省の指示、指導によりまして実質的に六分五厘になるごとくいたしたい、かように存じております。
  60. 河野正

    河野(正)委員 第二点。これもかねがね私どもの主張でございましたが、医療金融公庫一般医療機関に対しまする利率については、六分五厘としていただくことを私どもはいままで五年間強く要望いたしてまいったわけでございます。そこで、この医療金融公庫の利率七分については、六分五厘とするようさらに努力をされまする決意があるかどうか、この点をひとつ明確にお答えを願いたい。
  61. 神田博

    神田国務大臣 ただいまお尋ねでございました点につきましても明瞭にいたしたいと思います。  医療機関の置かれている経営上の問題等を勘案すると、利率はできるだけ低くきめることが望ましいことは当然でございます。現行の甲種、乙種の貸し付け区分の問題もあり、医療施設の配置や整備の実情を配慮の上、いまお尋ねございましたことは十分検討いたしたい、かように考えております。
  62. 河野正

    河野(正)委員 いまの第二点については、もう少し明確にしておく必要があると思いますのでことばを重ねますけれども、あらためてひとつお答えを願いたいと思います。  一般医療機関の利率については、私どもはかねがね六分五厘ということで要求してまいったわけです。昨年たまたま、いろいろ御努力を願って七分に下がってまいった。しかしながら、当初から私どもは、同じ医療機関に対する融資制度の中にアンバランスがあるのは適当でないということで六分五厘を主張してまいったわけですから、私はやはり実質的には六分五厘になるように努力を願わなければならぬというふうに思いますが、実質的に六分五厘という方向で運用をしていただくかどうか、この点をもう一ぺん明確にお答え願いたいと思います。
  63. 神田博

    神田国務大臣 ただいまの問題でございますが、先ほどもお答え申し上げましたように、現行の甲種、乙種貸し付け区分の取り扱いの問題もありまするし、また医療施設の配置や整備の実情もございますので、これらを配慮いたしましていまお尋ねのございました点を十分考えまして、前向きで検討いたして御趣旨に沿いたい、こういうことでございます。
  64. 河野正

    河野(正)委員 いま私が取り上げてまいりましたように、私どものかねがねの主張は、九年来六分五厘を主張しておるわけです。ですから、この六分五厘ということで実質的に運用をしていただくということに理解してよろしいのかどうか。いま私が出し上げたように、実質的に六分五厘という形で運用していただくというふうに理解してよければ、もうお答えは要りません。
  65. 神田博

    神田国務大臣 お答えいたします。  日赤、済生会の分は、先ほど申し上げましたように、もうはっきりお答え申し上げてそのとおりいたします。その他の分につきましては、前向きで検討いたしたいということであります。
  66. 河野正

    河野(正)委員 そこで、第三点としてお伺いをしておきたいと思いまする点は、据え置き期間についてもアンバランスがあるわけです。そこで、据え置き期間については、統一をして五年以内ということに願いたいというのが私どものかねがねの主張でございます。そこで、この据え置き期間についての明確な御見解をお示し願いたい、かように考えます。
  67. 神田博

    神田国務大臣 医療金融公庫からの医療機関に対する貸し付けの際の据え置き期間につきましては、原則として病院二年以内、診療所一年以内となっておることは御承知のとおりでございますが、年金事業団は、実際の取り扱いは医療公庫と同様にしておりますが、業務方法書では病院五年以内、診療所三年以内と定められておりまして、したがって、近い将来、医療公庫の据え置き期間を年金福祉事業団のそれと同様にいたしたい、このように検討を進めます。
  68. 松澤雄藏

    松澤委員長 他に御質疑はこざいませんか。——なければ、これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  69. 松澤雄藏

    松澤委員長 次に、本案を討論に付するのでありますが、別に申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  内閣提出医療金融公庫法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  70. 松澤雄藏

    松澤委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  71. 松澤雄藏

    松澤委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。   〔報告書は附録に掲載〕
  72. 松澤雄藏

    松澤委員長 次会は明二十五日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時二十九分散会