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1965-02-17 第48回国会 衆議院 産業公害対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年二月十七日(水曜日)    午後一時四十分開議  出席委員    委員長 保科善四郎君    理事 天野 公義君 理事 小笠 公韶君    理事 奥野 誠亮君 理事 丹羽 兵助君    理事 南  好雄君 理事 重盛 寿治君       熊谷 義雄君    小山 省二君       野原 正勝君    福田  一君       堀  昌雄君    安井 吉典君       門司  亮君  出席政府委員         総理府事務官         (内閣総理大臣         官房審議室長) 松永  勇君         警  視  監         (警察庁保安局         長)      大津 英男君         運輸事務官         (航空局長)  栃内 一彦君  委員外出席者         運輸技官         (自動車局整備         部長)     宮田 康久君         建設事務官         (都市局参事         官)      井上 義光君     ————————————— 二月十二日  委員吉川兼光君辞任につき、その補欠として門  司亮君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  産業公害対策に関する件      ————◇—————
  2. 保科善四郎

    保科委員長 これより会議を開きます。  この際、参考人出頭要求の件についておはかりいたします。  先ほど理事会で協議いたしましたとおり、産業公害対策に関する件について、参考人出頭を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 保科善四郎

    保科委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  なお、参考人の人選及び出頭日時等につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、これに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 保科善四郎

    保科委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。      ————◇—————
  5. 保科善四郎

    保科委員長 産業公害対策に関する件について調査を進めます。  前会に引き続き、産業公害現状対策について、総理府警察庁運輸省及び建設省からそれぞれ設明を聴取いたします。  まず、総理府内閣総理大臣官房松永審議室長
  6. 松永勇

    松永(勇)政府委員 近年におきます工業の急速な発展によりまして、工場地帯における工場等過密化主要都市への人口の集中等に伴いまして、こういう地域に種々の公害発生し、重大な社会問題となっておりますので、ばい煙自動車排気ガス等による大気汚染工場排水等による河川、海洋等公共用水域水質汚濁、さらに工場騒音交通騒音広告騒音等各種騒音振動等による問題は、地域住民生活環境悪化原因として深刻な問題になっております。  こういう事態に対処いたしまして、政府といたしましては、各省が現在行なっておるいろいろな施策、そういうものを連絡調整し、総合的な観点から推進してまいりたいという趣旨で、お手元資料として配ってございます公害対策推進連絡会議というものを設置いたしました。これは昨年の三月二十七日閣議決定によって設置したものでございます。  構成員は、そこにございますように、会長は総務長官委員関係各省の次官ということで、その下に幹事を置いて実際の運営に当たっている状況でございます。この連絡会議は、事実上は、幹事段階におきましてしばしば会合を持ちまして各省施策連絡調整ということをいたしております。  公害対策としては、ばい煙につきましては、ばい煙規制に関する法律、それから水質汚濁につきましては、公共用水域水質の保全に関する法律工場排水等規制に関する法律、あるいは下水道法というものがございます。地盤沈下については、工業用水法建築物用地下水の採取の規制に関する法律等があって、それぞれ規制が行なわれている現状でございますが、騒音とか自動車排気ガス等についてはまだ法的規制という段階には至ってないのでございます。  連絡会議では、こういう現状に即しまして、水質汚濁とか、ばい煙の問題につきましてはなお不十分な点は多々ありますけれども、そういう法的に放置されている分野につきまして特に検討してまいろうというような話になっております。したがって、振動騒音ということを当面の連絡調整の議題に取り上げてまいったのでございます。これがために、通産省からは、工場騒音を中心とした騒音の問題、それから運輸省からは、自動車騒音航空機騒音等交通騒音について、それから建設省からは、地下鉄の工事等建設騒音につきまして、また警察庁からは、広告騒音あるいは交通騒音というようなものにつきまして、騒音実態、その防止対策現状、今後の問題点等について意見連絡調整をいたしておる状況でございます。なお、これらの状況から見まして、こういうものに対する技術研究ということの重要性から、科学技術庁からその面の報告を受けて検討いたしております。なお、厚生省からは、被害者立場と申しますか、そういう立場から、騒音実態影響許容値、それから諸外国の状況等について報告をしてもらうということで連絡を進めている状況でございます。  今後の進め方といたしましては、これらの問題を基礎的な調査研究推進して、許容度というものをつかみ得るかどうか、そういう基準を確立することができるかどうかというような問題、こういう問題に対していかに国が助成をする必要があるかどうかという問題、それから、こういう公害防止について啓蒙活動をどう持っていくべきかという問題、それから、都市改造等によってこの問題をどう防ぐかというような問題を今後検討してまいりたいということでやっておる次第でございます。  ただいままでのところ特に結論というような形で出たものはございませんが、この連絡会議自体各省連絡調整をいたしますというたてまえのものでございまして、それぞれの実施は各省の所管として各省において実施していただくという考えで進んでおるものでございます。  いままでの状況は以上でございます。
  7. 保科善四郎

  8. 大津英男

    大津政府委員 騒音振動ガス、臭気、粉じん、ばい煙廃液等公害のうちで、警察取り締まりに当たっておりますものは、主として第一の騒音でございまして、しかもその騒音のうちでも、警察が直接取り締まりに当たっておりますものは、交通騒音の一部及び日常生活等で発しまする一般騒音が主たるものでございまして、自動車ばい煙発散防止も、できる範囲で行なっておる、こういうことでございます。  いわゆる騒音には、航空機、軌道、自動車等による交通騒音工場事業場建築現場等産業騒音、並びに人声ラジオ商業放送等一般騒音の三種があるのでございますが、警察対象としておりますのは、道路交通法の第五十四条、警音器取り締まり規定によるもの、また同法の第六十三条の二の、消音器その他の騒音防止装置についての取り締まり規定によるところのこういう自動車騒音、それから軽犯罪法の第一条第十四号によるところの、人声、楽器、ラジオ等による一般騒音、その他、東京都ほか三十六地方公共団体で制定しております騒音防止条例に定めるところの一般騒音、こういうものが対象になってくるわけでございます。また、車両ばい煙発散防止につきましては、道路交通法の第六十三条の二の規定によるわけでございます。  警察騒音取り締まりにつきましては、根拠法令が統一されていない、これから取り締まりの態様が、事実活動としての注意警告が大部分であること、また、統計が必ずしも十分でないというようなことでございまして、全国的に計数をもって正確に申し上げることができないのでございますけれども警視庁あるいはその他の主要都市における取り締まり状況等から見ますと、大体次のようなことがうかがわれるわけでございます。  昭和二十八年から昭和三十年前後にかけまして、横浜、京都、神戸あるいは福岡、東京というような主要郡市における騒音、特に屋外宣伝放送騒音、それから自動車警笛騒音に対する関心が高まってまいりまして、その規制を要望する世論もありまして、現在の騒音防止条例の大部分はこの前後に制定されたものでございます。したがって、この時期において警察も非常な努力を払いまして取り締まりに当たりました。現在では、条例制定地域屋外宣伝放送等騒音に対する規制の基盤が確立されまして、この種の騒音に関する違反並びに苦情激減をいたしまして現在に至っておるのでございます。  昭和三十三年から三十五年にかけまして全国的に展開されました、町を静かにする運動は、主として自動車騒音、特に警笛騒音の激増に対する規制として行なわれたものでございまして、これが契機となって、道路交通法の第五十四条、第六十三条の二の規定整備強化されまして今日に至っておるのでございますが、この時期におきまして全国警笛騒音激減を見まして現在に至っておるのでございます。  以上のように、警察騒音取り締まりは、特に二つの面について大きな成果をおさめたわけでございまして、この二つ騒音が減少し、したがってこれに関する苦情等も減少しまして、現在におきましては、警察騒音取り締まり件数も、従前から見ますと、総体的に相当減少しているというのが実態でございます。  このように、二つの面の騒音は減少したのでございますが、しかしながら、都市におきまする全体の騒音は、自動車台数増加に伴う走行騒音増加、並びに工事等建設騒音増加によりまして、従前よりも悪化しているというのが現状ではないかと思うわけでございます。都市騒音はこのように悪化しているのでございますが、全体としては苦情件数減少傾向にありまして、これを反映して警察警告等件数も減少しているのでございます。これは先ほど申し上げました宣伝放送騒音及び警笛騒音は減少しながらも、他方、自動車台数が非常に増加をしてふくそうしておるというようなこと、エンジン騒音は非常に増加しておること、これから設備の拡充、道路整備等による建設騒音が非常な勢いでふえておるということによるものでございますが、交通関係の前者の騒音は、多数車両の複合の騒音でございまして、一車両によるものでないために、警察警告等が技術的にむずかしい面もございます。また後者の、すなわち建設騒音等は、軽犯罪法はもちろん、大部分騒音防止条例規制対象としていないというようなことでございまして、これについての警告等は適切には行なわれておるということで、警察官による事実上の注意活動によって一時的な中止は見ましても、根本的な解決にはならないのでございまして、おのずから、これに対する苦情はありましても、直接訴え出る数字は減少しているというふうに考えられるわけであります。  このよう騒音取り締まり現状でございまして、これにつきましては次のような点が問題として考えられるのでございます。  一つは、自動車走行騒音エンジン騒音等は、法規制のみではなかなか防止し得ないということで、根本的には自動車構造に関する技術開発にまつ以外ないのではないかというようなこと、それから建設騒音工場騒音等は、軽犯罪法はもちろん、各種騒音防止条例等も原則的には規制を加えておりませんので、警察取り締まり対象外でありまして、警察として即断はできないのでございますが、一般的にはこの面におきましてもやはり技術的開発にまつ以外ないのではないか、かように考えられるわけでございます。警察強制力によるところの騒音あるいはばい煙取り締まりにつきましては、指示騒音計あるいはばい煙濃度計というような器具類使用いたしまして極力努力をいたしておるわけでございますが、先ほど申し上げましたような困難がございますので、今後の取り締まりの方途としましては、交通機関あるいは建設機材等騒音発生の抑制をはかるための技術開発推進を根本的に必要とするのではないか、かように考えるわけでございます。  なお、道交法軽犯罪法騒音防止条例等運用によりまする取り締まりは、おおむね次のとおりでございます。  交通関係は、年間の統計はございませんが、昨昭和三十九年の七月一ヵ月間につきまして全国調査したところによりますと、消音器等整備不良の車両が、検挙が千四百二十六件、送致が千三百四十三件、それから警音器吹鳴検挙が二百二十九件、送致百六十件、ばい煙発散検挙が三十二件で、送致二十七件でございます。それから軽犯罪法関係でございますが、昭和三十八年中の全国統計によりますと、警告しまして騒音防止しましたものが六十九件、制止を聞かず騒音を発し検挙しましたが、始末書を聴取して警察署限りにしたものが九百二十一件、送致しましたものが四件ということでございます。それから騒音防止条例関係におきましては、三十八年の全国集計では、条例警告をしてやめさせたものが千九百十九件、それから検挙しましたが始末書限りで終わったものが三百四十二件、立件送致したものが四件でございます。  なお、東京都の騒音防止条例運用状況を、警視庁におきまして三十八、三十九の両年について調査しましたところでは、注意をしてやめさせたものが、三十八年が三千四百七十一件、三十九年が四千三百八十五件、警告書交付が、三十八年三百三十五件、三十九年二百二十四件、送致しましたものが、三十八年三件、三十九年十八件ということでございまして、苦情受理状況調査しましたところでは、一般騒音が三十八年二千三百七十二件、三十九年二千四百二件、交通騒音が、三十八年七十八件、三十九年百二十四件、工場騒音が、三十八年七百七十四件、三十九年八百二十五件でございまして、多くは派出所あるいは警察署に対して申告されたものでございますが、投書あるいは陳情もありました。  大体以上が、警察騒音等についての取り締まりの概況でございます。
  9. 保科善四郎

  10. 宮田康久

    宮田説明員 運輸関係公害現状対策についてのうち、自動車関係からお話し申し上げます。  自動車騒音防止についてまず御説明をいたします。  お手元資料にもございますが、自動車新車が発表されましたときに、その前に運輸省事前審査をいたしまして、走行騒音等につきまして十分の測定等をいたしておりますが、その結果によりますと、そこの資料にも書いてございますが、やはりそのエンジンによりまして、たとえばバスあるいは大型のトラックで特に使っておりますディーゼルエンジン、それからオートバイとかモペットというようなものに使っております小さなエンジン、この二種類のものが特に自動車走行騒音の中では高いものでございまして、さらに速度によって、速度が増しますと騒音が高くなっております。三十五キロ毎時の場合と五十キロ毎時の場合の例をそこに書いてございますが、そういうような現状でございます。  そこで、この自動車騒音について現状防止対策としてどういうことをとっているかという点でございますが、第一に、法規制につきましては、自動車構造装置につきまして、道路運送車両法という法律がございまして、それの四十一条に基づきまして道路運送車両保安基準という省令をつくっております。その省令の中にこの騒音の大きさについての規制をしておりまして、具体的に数字をあげております。八十五ホン以下というような規定がございますが、それによって、すべて自動車はこの規定に適合しなければ運行の用に供してはならないというようにきめております。これは原動機付自転車につきましてもこの保安基準によってやはり同様に定めております。  さらに、私どもが実施しております車両検査の場合、これは新しい車の場合もございますし、また使用中に継続検査を定期的に実施しておりますが、その検査の際にもやはりこの騒音についての検査を実施いたしまして、不良車両の排除を行なっております。  さらに、街頭におきましての取り締まりにつきましては、先ほどお話がございましたように、道路交通法によりまして警察のほうで御担当になっております。  さらに、この騒音の場合に、新しい車の場合と、使用過程に入っております車の中で整備が不良になってまいりますと音量が非常に増大してまいります、その防止のためには、道路運送車両法の四十八条に基づきまして、自動車使用者自動車点検基準に従って定期点検整備をすることを義務づけております。さらに、運送事業用自動車につきましては、道路運送法に基づきましてもさらに厳重な規制をしております。  次に、新型自動車につきましては、先ほど申し上げましたが、新型自動車を発表いたします前に十分なる審査をいたしておりまして、その場合に、実際に使用面では、先ほど申しましたように騒音が増大する方向にございますので、新車として発表いたします場合には、使用過程におきましても限度をこえませんように、十分下回った基準に当てはまりますように行政指導をしております。  さらに、昭和三十一年当時、オートバイスクーターモペットと申しますような二輪自動車についての騒音が非常に問題になりまして、研究補助金を出しまして私どものほうの運輸省技術研究所とともに共同の研究をいたしまして、当時、騒音を七・五ないし一四ホン下げるというような成果をあげております。  その後、新しい車につきましては、オートバイスクーター等についても、相当静かなエンジンに改良されてきております。  次に、今後の問題点及び対策でございますが、さらに御承知のように高速道路等ができまして、自動車は従来と違いまして相当高速で走るという場合がふえてまいっておりますが、高速で走ります場合には、いままでのエンジンによります騒音以外に、あるいはタイヤの騒音でございますとか、車体に基づきます騒音でございますとか、いろいろの音源によります騒音が問題になってまいります。これにつきましては、やはり十分基礎的な研究をいたしまして、それぞれの音源につきまして騒音発生源を排除していかなければならないわけでございますが、それにつきましては、三十九年度におきましても研究委託をいたしておりますし、さらに四十年度におきましても継続して東大の宇宙航空研究所研究委託をして、基礎的技術的な解決をしていきたいと思っております。  さらに、実は騒音測定方法が非常に問題でございまして、この測定方法につきましては国際的にも非常に論議されまして、昨年の春に、国際標準化機構——ISOと申します機構がございまして、ここから騒音測定につきましての勧告草案が出されておりますが、私どもがいまやっております測定方法もこれに準じまして、さらに精度の高い、あるいは安定した測定方法を開発すべく現在検討しております。特に私ども検査場現場でございますとか、先ほどお話がございました街頭警察が取り締まられる場合の測定は、簡便に、しかも確実な測定ができませんと実効があがらないわけでございますが、その点につきまして私どもも技術的に開発すべく目下努力をしております。  さらに、この騒音関係をはじめ公害問題を解決してまいります研究体制といたしましては、やはりメーカー等のそれぞれの製造業者研究はもちろん推進させなければなりませんが、積極的な推進をはかりますためには、国の研究機関等をさらに強化する必要があると思います。その点、私ども大いにつとめておる次第であります。  さらに、自動車整備不良によりまして騒音がふえるという点を申し上げましたけれども運転方法でも、急加速の場合、あるいはトラックの非常に過積みをしております場合等は騒音が著しくふえるわけでありまして、適正な運転、適正な整備ということが非常に大切だと考えております。  騒音につきましては、私ども現状におきまして、御説明を申し上げましたとおり、それぞれの対策を進めております。  次に、最近特に問題になっております自動車排気ガスによる大気汚染防止についての御説明を申し上げます。  自動車排気ガスで問題になります点は、事項といたしましては三点ございまして、排気ガスの中の一酸化炭素でございますとか、炭化水素でございますとか、鉛化合物でありますとか、それぞれによります有害性の問題が一点であります。第二点といたしますしては、ディーゼル自動車黒煙の問題でございます。第三点としましては、スモッグ発生自動車排気ガスがどういう関連にあるかという問題でございます。  第一の問題につきましての現状を申し上げますと、東京都内主要地点におきます最近の汚染状況のいろいろな調査等を拝見いたしますと、現在世界で、特にロスアンゼルス地区においては自動車排気ガス規制がいま行なわれておりますが、そのロスアンゼルス市におきまして一酸化炭素が八十三PPMという記録が出ておりますけれども、そのロスアンゼルス現状から比べますと、日本の、特に東京都が問題でございますが、東京都におきます昨年の測定結果によりましても、まだ現状としては大幅に下回っておりますけれども、最近におきます自動車増加傾向から勘案いたしますと、看過できない問題であると考えております。  第二に、ディーゼル自動車黒煙の問題でありますが、黒煙自体はすすを主体にしたものでございまして、有毒性はございませんけれども環境浄化の点からは好ましいものではございませんし、また非常に交通の障害にもなる問題でございます。これはぜひそういう面からも排除すべき問題だと考えております。  第三に、スモッグとの関連性の問題でございますが、スモッグ生成原因は、その究明自体がなかなか——いろいろの方面でいまなされている最中でございますけれども現状では、工場あるいは暖房等ばい煙、そういうものが主体だと考えられておりますが、さらに、あるいは発電所等から発生いたします亜硫酸ガスの問題でありますとか、もちろん自動車排気ガスという問題も今後はその影響が出てくるのではないだろうかといわれております。  そこで、排気ガスによりますいま三種類の項目を申し上げましたけれども、それに対します大気汚染防止方法といたしましては、第一に、有害ガスあるいは黒煙排出状況は、エンジン整備状況の良不良で非常に極端に増加するものでありまして、アメリカのデータによりましても、定期整備の励行によって一酸化炭素等は六〇%程度減少できるという実例も出ております。  それから、有害ガス黒煙は、急加速をいたします場合、あるいは急停車をいたします場合、そういう場合に多量に排出されます。また、トラック等で非常に過積みをいたしますと、非常に多量に排出されます。したがって、車両の適正な使用運転操作ということが必要だと考えております。  それから、有害ガス排出量は、燃料及びエンジン種類でたいへん違ってまいります。ガソリンの場合が有害性が一番多くて、最近非常に使っておりますプロパンガスディーゼルという順に少なくなっております。  さらに、補助装置をつけて排気ガス有毒性を除去するというのも一方法でございまして、これにつきましてはいろいろの開発研究を促進しておりますが、アメリカの、たとえばロスアンゼルスが前から非常に問題になっておりまして、ロスアンゼルスでは、エンジンクランクケースから大気中に放出されます未燃焼のガスにつきまして発散防止装置の取りつけを規制しております。この点につきましては、私どももいろいろ検討をいま進めておりますが、ロスアンゼルスにおきますスモッグ生成条件東京都におきます条件とは相出違うようでございまして、その辺の究明と並行して私どももさらにこの点の研究を進めております。  さらに、いままで申しましたものに関連いたしまして、防止対策といたしまして、現状では、いまも申し上げましたが、自動車走行条件によって、あるいは自動車整備状態によって、あるいは燃料の種類によって、自動車種類等々によりまして有害ガス等の発生条件が違ってまいるわけでありますが、定性的にはいろいろと認められますけれども、定量的になかなか現状では把握されておりません。その点で、私どもとしましては、定量的にその実態を把握いたします点、さらに、先ほど申しましたような実用的な排気有害ガス測定検査装置を至急つくりたいという点等を進めておりますが、さしあたりの問題といたしましては、先ほど申しましたような定期点検整備を進める問題、この点につきましては、一昨年道路運送車両法を改正いたしまして、定期点検整備の義務づけを行なっております。  さらに、道路交通法上の問題で、先ほどお話がございましたように、そちらのほうの取り締まりも期待しているわけでございます。  さらに、根本的な防止対策といたしまして、私どもは長期的な計画を立てまして順次やっておりますが、その問題点といたしましては、先ほど申しましたような排出状況実態の把握、実用的な有害成分の測定検査装置を完成して、最終的には、さらに具体的な基準を制定したい、その面で、私ども運輸省技術研究所におきましても、十分体制を充実いたしまして研究開発を進めておりますが、さらに、大気汚染許容限度、環境衛生基準というような問題、あるいは自動車排気ガス大気汚染に及ぼします影響度合いというような問題、この辺がやはり具体的に把握されますことが非常に大切なことでございまして、それによりまして規制方法等も今後さらに検討を進めていかなければならない問題だと考えております。  なお、研究状況について簡単に御説明申しますと、三十八年度におきましては、運輸省といたしまして、自動車排気ガス基準に関する研究自動車排気ガスの簡易分析計の研究、2サイクル・ガソリンエンジンの排気煙の濃度及びガス組成に関する研究等を実施いたしました。三十九年度は、さらに、整備状況排気ガスとの関連について、自動車排気ガス簡易分析装置の開発、ディーゼル排気ばい煙簡易測定装置の開発、自動車排気ガスの清浄装置に関する研究等に、それぞれ委託研究あるいは補助金等を出しまして研究を促進しております。さらに四十年度も継続して実施してまいりたいと思っております。  以上、簡単に御説明申しましたが、いずれにいたしましても、公害防止は、運輸省といたしまして、自動車公害防止について積極的にいろいろ施策を進めてまいりたいと思っております。
  11. 保科善四郎

  12. 栃内一彦

    ○栃内政府委員 航空機騒音防止について御説明申し上げます。  航空機騒音について現在問題となっております空港は、東京国際空港及び大阪国際空港でございます。最近におきましては、いわゆるローカル空港におきましても若干の問題が出ておりますが、何と申しましても、ジエツト機の飛ぶ空港というものが一番問題になっております。その意味におきまして、東京国際空港が従来から一番問題になっておりましたが、最近におきましては、大阪でジエツト機が就航いたしましたので、大阪につきましても問題が非常にやかましくなってまいっております。  東京につきましては、昭和三十五年に、この対策のために、空港当局と地元の間の意思疎通をはかるために、品川区、大田区の居住者の代表者、あるいは区長、東京都の公害部長、あるいは内外の航空会社の代表、それから航空局の係官というような関係する者で、東京国際空港騒音対策委員会というものを設けまして、ここでもって騒音対策をどういうふうにやっていくかというようなことを検討してまいりました。また、この騒音対策委員会からいろいろな意見も出まして、そのうち当局としても取り上げ得るものはできるだけ取り上げまして、地元との関係が円滑に進むようにということで進んできたわけでございます。  この騒音対策委員会というものからいろいろ注文が出ました点は、まず、騒音調査をするというような点でございます。この点につきましても、三十七年以後いろいろな角度からの騒音調査をいたしております。そして結局この騒音対策として具体的に取り上げられましたことは、いわゆる東京国際空港において夜間におけるジェット機の発着の禁止をするということでございます。この措置は三十七年の十二月二十一日の閣議において了承されたものでございますが、この措置は、翌年の四月一日、すなわち三十八年の四月一日から実施されたわけでございます。現在もこの夜間におけるジェット機の運航制限ということを実施しております。具体的に申しますと、原則として午後十一時から翌日午前六時までの間ジェット機の発着を認めないということを行なっております。これにつきましては主として外国航空会社からかなり激しい抵抗がございましたが、やはり日本におけるいろいろな事情というものをよく説明しまして外国航空会社の了解も得たというように、いろいろな手だてを講じながらやったものでございまして、決して一方的に押しつけるということはいたさなかったわけでございます。現在におきまして外国航空会社もこれをよく順守しておりまして、スケジュールの調整をやっております。もちろん、まれに飛行機のディレイがある、あるいは非常緊急時というような場合には例外を設ける、あるいは海のほうから入る、あるいは海の上に出るという場合には例外を設けるというようなことで、実際的な運用をやっております。  それから、これと関連いたしまして、これはその前から指導しておったところでございますが、できるだけ海の上を通って離発着するようにということで内外の航空会社に指導してまいりました。また、この点はジェット機については特に厳重にやるようにという指導をしております。また、この指導を徹底させるために、騒音測定塔の設置というものを考えまして、三十九年度予算で認められましたので、現在工事がほとんどでき上がっておるという状況でございます。これができますと、陸上をジェット機が飛ぶ、しかも低空で飛ぶ場合には、そこから一つの記録が出まして、それによってまた航空会社に具体的なデータによって注意を与えるというようなことが可能になります。このことによりましてできるだけ海面上を利用して離発着するということがなお一そう確保されるのではないか、かように考えております。なお、今後の問題としまして、さらに海面を利用するという点を徹底させるために、現在B滑走路というものがございますが、このB滑走路を若干延長することによって、これを現在のA、C滑走路と同様に大型の航空機の離発着が可能にできないかというような点につきまして調査しようということで、調査費の要求をしております。これによって調査の結果今後の措置を検討したい、また夜間におきまして、これもやはり人家の上をできるだけ避けるように進入路指示灯というものをつくるということで、この調査費も要求いたしております。  以上のように、東京国際空港につきましては、具体的には、先ほど申しましたようなジェット機の夜間離発着の制限ということ、また、できるだけ海面を利用するというようなことによって、できるだけ騒音防止をはかっておるというのが現状でございます。  大阪につきましては、昨年の春から、たしか六月だったと思いますが、ジェット機が就航し始めましたので、騒音問題もまた非常に周辺の問題となっておりまして、今後これについても東京においてとったような措置を逐次やっていかなければならぬじゃないかというふうに考えております。  以上が、現在における民間航空の騒音防止現状でございます。
  13. 保科善四郎

    保科委員長 次に、建設省都市局井上参事官。
  14. 井上義光

    ○井上説明員 建設省関係公害関係施策につきまして御説明申し上げます。  建設省におきましては、先般の特別委員会あるいは本日関係各省庁からいろいろ御説明のありました。たとえば工場、家庭の排水による河川水面汚濁とか、あるいは工場の廃ガスあるいはばいじん等による大気汚染、あるいは騒音といったことにつきまして、直接にその発生源規制いたしておるという部分が少なくて、その施策としましてはやや間接的であるという点を御了承願いたいと思います。  まず、建設工事におきます騒音等につきましては、現在建設業法という法律がございまして、建設業者の登録をいたし、不適当な工事あるいは不適切なる営業等につきましては、必要な指示、勧告をなし、あるいは営業の停止、場合によっては登録の取り消しといったような処分をいたしておりますけれども、直接に、たとえば落下物によって公衆に危害を与えたといったような場合には必要な行政処分が行なわれておりますが、一般的にほこりとか、振動とか騒音とかいった点につきましては、その防止につきまして、常時、発注者である国、公共団体その他の公団等、あるいは施工者である建設事業者といったものに、その工事の施工方法なり、その設計につきまして十分な注意をするように、注意は喚起いたしております。先般中央建設業審議会のほうから「市街地建設工事の現場事故の防止対策について」という建議がございましたので、建設省といたしましては「市街地土木工事公衆災害防止対策要綱」というものをつくりまして、工事の施工なり、あるいはその設計につきまして、主としてその崩壊による危害の防止、公衆に対する危害の防止、といった面に重点を置きまして指導をしております。現在、公共工事を含めまして土木建築工事が非常にふえまして、特に公共土木工事につきましては、交通等の関係から夜間工事が非常に多くなりまして、夜間に周辺の市民の睡眠に悪影響を及ぼしているといった面もございますので、特に騒音につきましては、大規模な工事を行ないます国、公共団体、あるいは公団あるいは地下鉄といったようなところに対しまして、できるだけ、その施工方法及び設備等につきまして騒音等を発しないように指導助言をしている次第でございます。  その次に、公共用水域水質の保全につきましては、水質基準の策定等に関しましては、経済企画庁において審議せられます場合に私ども関与しておりますが、直接には、公共下水道を整備するといった方向でかなり海面の汚濁防止につとめておる次第でございます。下水道につきましては、先般の国会で生活環境施設の五ヵ年計画を策定するといったことが法律で定められましたので、厚生省と協議いたしまして、それぞれ所管につきまして五ヵ年計画を策定するようにいたしまして、一応五ヵ年間で三千三百億円の下水道事業をやっていくというようにきまっております。これも、現在市街地面積が約四千平方キロメートルございますけれども、排水区域と申しますと、その一六、七%といったような段階でございますので、五ヵ年間でこれを三割くらいに上げていきたい、昭和四十五年には大体四割まで持っていきたいといったような方向でこの下水道を進めておる次第でございます。  下水道のうちで、特に公害面で問題を起こしております隅田川あるいは江戸川あるいは近く大きく問題となってまいりました多摩川等、農業用水あるいは漁業に影響を及ぼし、あるいは上水道に影響を及ぼします隅田川、江戸川、多摩川あるいは大阪の寝屋川といったものにつきましては、特別に汚濁対策事業といたしまして、緊急を要する部分につきましては、昨年より三年ないし五年でそれぞれ事業を完了するようにいたしております。  なお、この下水道整備のほかに、河川そのものに長年にわたります汚泥が堆積しておりますので、これをしゅんせつする必要があるというところから、河川事業といたしましても、隅田川につきましては昭和三十四年度から、大阪市につきましても、名古屋市につきましても、それぞれ数年前あるいは明年より、川によりまして異なりますが、汚濁の著しい河川につきまして、堆積しました汚泥をしゅんせつするということにつきまして国から補助を行ないまして、その浄化につとめております。東京におきましても、隅田川につきましては、第一期工事は完了いたしましたが、なお不十分な面がございますので、引き続いてしゅんせつを継続する。名古屋につきましても、明年度からは、黒川、山崎川といったような、都市内の特に汚濁の激しい河川につきましてしゅんせつを進める。大阪につきましても、神崎川、淀川あるいは青蓮寺川といったもののしゅんせつを進めてまいる所存でございます。なお、東京につきましては、御承知のように、水資源開発公団が、利根川からの導水に関連いたしまして、新河津川に至ります水路を掘さくいたしましたが、これに治水事業といたしましても国が負担いたしまして、毎秒二十六トンの水を通して、新河岸川を通じて隅田川を浄化するという事業は一応完了を見ております。  次に、直接の公害対策関連しまして、建設省におきましては、土地利用と申しますか、土地に建つ建物によってその利用を規制していく。都市計画法及び建築基準法によりまして、その土地を利用いたします家屋がその機能に応じて適切に配置されるように、現在、用途地域としまして、住宅地域、商業地域、準工業地域あるいは工業地域といったような制度が都市計画の制度として定められております。ただ、この地域・地区制につきましては、現行建築基準法におきましても、地域・地区指定の際、現にその地域・地区の目的に適しないものにつきましては、市町村議会の議決を経て、適切な補償をすればその移転、除却が命ぜられるというようになっておりますが、財政上の見地からもございますが、簡単に工場等を再配置するということはきわめて困難でございますので、たとえば首都圏におきましては、工場等の新設を防止する一方、工業団地を造成する。工業団地の造成はいま日本住宅公団あるいは都道府県が行なっておりますが、別途また通産省等の助成によりまして中小企業団地の造成ということが行なわれておりますが、そういうような移転を促進する面において土地利用の規制をはかっていく。既成市街地につきましては、東京都におきましても、今年度十億円ばかりの起債で、都内、特に江東方面の工場と住居が混在しているようなところにつきまして、工場等のあと地を買い上げ、それによって移転を促進するというような措置を講じておられますが、私どもとしましても、住居と工場が混在することによって生ずるところの騒音、あるいは住居地域における環境の悪化という面を防止するために、地域・地区制を、現行法の運用、及び、必要とあれば現行法を再検討いたしまして土地利用を適正にしていきたい、この面から公害防止を特に推進したいというふうに考えている次第でございます。  なお、新しい市街地——現在全国で約四千平方キロの市街地がございますが、昭和五十五年ごろには大体八千平方キロというように市街地が拡大する。一次産業から二次産業、三次産業への転換に伴いまして、市街地が倍近くなる。この場合に従来のような規制によりますと、またもや住宅地域工業地域というものが場合によっては混在する。これによってまた公害発生するおそれがあるということから、新しい市街地、特に新産都市とか工業整備特別地域とか、あるいはその他の地方開発の拠点地域となります都市につきましては、特に新しい市街地につきましては、都道府県、市町村と十分な連絡をとりましてその土地利用の合理化をはかっていきたいというふうな措置をし、そのような都市計画の内容を持つように検討いたしております。  なお、直接ばい煙の被害を防止するという点から見ますとやや手ぬるいのでございますが、必要な場合には、工業地域と住居地域の間には緩衝的な緑地を整備していく。たとえば、現在、大分鶴崎のほうでございましたら、民有の防風林を国から、補助をして買収しまして、約七万坪ばかりの緑地を工業地帯と住居地域の間につくっていくというような面で、新しい公害発生しないようにということで措置しておる次第でございます。  以上、はなはだ簡単でございますが、説明を終わらせていただきます。
  15. 保科善四郎

    保科委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は、来たる二十四日午後一時より開会することとし、これにて散会いたします。     午後二時三十八分散会