○井上
説明員
建設省関係の
公害関係の
施策につきまして御
説明申し上げます。
建設省におきましては、先般の特別
委員会あるいは本日
関係各省庁からいろいろ御
説明のありました。たとえば
工場、家庭の排水による河川水面
汚濁とか、あるいは
工場の廃
ガスあるいはばいじん等による
大気汚染、あるいは
騒音といったことにつきまして、直接にその
発生源を
規制いたしておるという
部分が少なくて、その
施策としましてはやや間接的であるという点を御了承願いたいと思います。
まず、建設工事におきます
騒音等につきましては、現在建設業法という
法律がございまして、建設業者の登録をいたし、不適当な工事あるいは不適切なる営業等につきましては、必要な指示、勧告をなし、あるいは営業の停止、場合によっては登録の取り消しといったような処分をいたしておりますけれ
ども、直接に、たとえば落下物によって公衆に危害を与えたといったような場合には必要な行政処分が行なわれておりますが、一般的にほこりとか、
振動とか
騒音とかいった点につきましては、その
防止につきまして、常時、発注者である国、公共団体その他の公団等、あるいは施工者である建設事業者といったものに、その工事の施工方法なり、その設計につきまして十分な
注意をするように、
注意は喚起いたしております。先般中央建設業審議会のほうから「市街地建設工事の
現場事故の
防止対策について」という建議がございましたので、
建設省といたしましては「市街地土木工事公衆災害
防止対策要綱」というものをつくりまして、工事の施工なり、あるいはその設計につきまして、主としてその崩壊による危害の
防止、公衆に対する危害の
防止、といった面に重点を置きまして指導をしております。現在、公共工事を含めまして土木建築工事が非常にふえまして、特に公共土木工事につきましては、
交通等の
関係から夜間工事が非常に多くなりまして、夜間に周辺の市民の睡眠に悪
影響を及ぼしているといった面もございますので、特に
騒音につきましては、大規模な工事を行ないます国、公共団体、あるいは公団あるいは地下鉄といったようなところに対しまして、できるだけ、その施工方法及び設備等につきまして
騒音等を発しないように指導助言をしている次第でございます。
その次に、
公共用水域の
水質の保全につきましては、
水質基準の策定等に関しましては、経済企画庁において審議せられます場合に私
ども関与しておりますが、直接には、公共下水道を
整備するといった方向でかなり海面の
汚濁の
防止につとめておる次第でございます。下水道につきましては、先般の国会で生活環境施設の五ヵ年計画を策定するといったことが
法律で定められましたので、厚生省と協議いたしまして、それぞれ所管につきまして五ヵ年計画を策定するようにいたしまして、一応五ヵ年間で三千三百億円の下水道事業をやっていくというようにきまっております。これも、現在市街地面積が約四千平方キロメートルございますけれ
ども、排水区域と申しますと、その一六、七%といったような
段階でございますので、五ヵ年間でこれを三割くらいに上げていきたい、
昭和四十五年には大体四割まで持っていきたいといったような方向でこの下水道を進めておる次第でございます。
下水道のうちで、特に
公害面で問題を起こしております隅田川あるいは江戸川あるいは近く大きく問題となってまいりました多摩川等、農業用水あるいは漁業に
影響を及ぼし、あるいは上水道に
影響を及ぼします隅田川、江戸川、多摩川あるいは大阪の寝屋川といったものにつきましては、特別に
汚濁対策事業といたしまして、緊急を要する
部分につきましては、昨年より三年ないし五年でそれぞれ事業を完了するようにいたしております。
なお、この下水道
整備のほかに、河川そのものに長年にわたります汚泥が堆積しておりますので、これをしゅんせつする必要があるというところから、河川事業といたしましても、隅田川につきましては
昭和三十四年度から、大阪市につきましても、名古屋市につきましても、それぞれ数年前あるいは明年より、川によりまして異なりますが、
汚濁の著しい河川につきまして、堆積しました汚泥をしゅんせつするということにつきまして国から補助を行ないまして、その浄化につとめております。
東京におきましても、隅田川につきましては、第一期工事は完了いたしましたが、なお不十分な面がございますので、引き続いてしゅんせつを継続する。名古屋につきましても、明年度からは、黒川、山崎川といったような、
都市内の特に
汚濁の激しい河川につきましてしゅんせつを進める。大阪につきましても、神崎川、淀川あるいは青蓮寺川といったもののしゅんせつを進めてまいる所存でございます。なお、
東京につきましては、御承知のように、水資源開発公団が、利根川からの導水に
関連いたしまして、新河津川に至ります水路を掘さくいたしましたが、これに治水事業といたしましても国が負担いたしまして、毎秒二十六トンの水を通して、新河岸川を通じて隅田川を浄化するという事業は一応完了を見ております。
次に、直接の
公害対策と
関連しまして、
建設省におきましては、土地利用と申しますか、土地に建つ建物によってその利用を
規制していく。
都市計画法及び建築
基準法によりまして、その土地を利用いたします家屋がその機能に応じて適切に配置されるように、現在、用途
地域としまして、住宅
地域、商業
地域、準
工業地域あるいは
工業地域といったような制度が
都市計画の制度として定められております。ただ、この
地域・地区制につきましては、現行建築
基準法におきましても、
地域・地区指定の際、現にその
地域・地区の目的に適しないものにつきましては、市町村議会の議決を経て、適切な補償をすればその移転、除却が命ぜられるというようになっておりますが、財政上の見地からもございますが、簡単に
工場等を再配置するということはきわめて困難でございますので、たとえば首都圏におきましては、
工場等の新設を
防止する一方、
工業団地を造成する。
工業団地の造成はいま日本住宅公団あるいは都道府県が行なっておりますが、別途また通産省等の助成によりまして中小企業団地の造成ということが行なわれておりますが、そういうような移転を促進する面において土地利用の
規制をはかっていく。既成市街地につきましては、
東京都におきましても、今年度十億円ばかりの起債で、都内、特に江東方面の
工場と住居が混在しているようなところにつきまして、
工場等のあと地を買い上げ、それによって移転を促進するというような措置を講じておられますが、私
どもとしましても、住居と
工場が混在することによって生ずるところの
騒音、あるいは住居
地域における環境の悪化という面を
防止するために、
地域・地区制を、現行法の
運用、及び、必要とあれば現行法を再検討いたしまして土地利用を適正にしていきたい、この面から
公害の
防止を特に
推進したいというふうに考えている次第でございます。
なお、新しい市街地——現在
全国で約四千平方キロの市街地がございますが、
昭和五十五年ごろには大体八千平方キロというように市街地が拡大する。一次産業から二次産業、三次産業への転換に伴いまして、市街地が倍近くなる。この場合に従来のような
規制によりますと、またもや住宅
地域と
工業地域というものが場合によっては混在する。これによってまた
公害が
発生するおそれがあるということから、新しい市街地、特に新産
都市とか
工業整備特別
地域とか、あるいはその他の地方開発の拠点
地域となります
都市につきましては、特に新しい市街地につきましては、都道府県、市町村と十分な
連絡をとりましてその土地利用の合理化をはかっていきたいというふうな措置をし、そのような
都市計画の内容を持つように検討いたしております。
なお、直接
ばい煙の被害を
防止するという点から見ますとやや手ぬるいのでございますが、必要な場合には、
工業地域と住居
地域の間には緩衝的な緑地を
整備していく。たとえば、現在、大分鶴崎のほうでございましたら、民有の防風林を国から、補助をして買収しまして、約七万坪ばかりの緑地を
工業地帯と住居
地域の間につくっていくというような面で、新しい
公害が
発生しないようにということで措置しておる次第でございます。
以上、はなはだ簡単でございますが、
説明を終わらせていただきます。