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1965-06-02 第48回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年六月二日(水曜日)    午前十一時十八分開議  出席委員    委員長 楯 兼次郎君    理事 池田 清志君 理事 田中 正巳君    理事 中山 榮一君 理事 稻村 隆一君    理事 山口丈太郎君       伊東 正義君    亀岡 高夫君       田澤 吉郎君    武市 恭信君       中島 茂喜君    八田 貞義君       井谷 正吉君    岡本 隆一君       栗林 三郎君    戸叶 里子君       泊谷 裕夫君    西宮  弘君       華山 親義君    武藤 山治君       安井 吉典君    稲富 稜人君       吉田 賢一君  委員外出席者         警  視  長         (警察庁警備局         公安第二課長) 荒木 貞一君         大蔵事務官         (主計官)   嶋崎  均君         農林事務官         (大臣官房参事         官)      尾中  悟君         農林事務官         (農林経済局金         融課長)    今村 宣夫君         農 林 技 官         (農林経済局保         険業務課長)  井戸 吉次君         農林事務官         (農林経済局統         計調査部長)  木田  繁君         農 林 技 官         (農政局農産課         長)      加賀山国雄君         農 林 技 官         (農地局参事         官)      永田 正董君         建 設 技 官         (河川局長)  上田  稔君         建 設 技 官         (河川局防災課         長)      重兼 暢夫君     ————————————— 六月二日  委員松田鐵藏君、森下元晴君、坂本泰良君、中  村重光君及び吉村吉雄辞任につき、その補欠  として伊東正義君、八田貞義君、栗林三郎君、  安井吉典君及び戸叶里子君が議長指名委員  に選任された。 同日  委員伊東正義君、八田貞義君、栗林三郎君、戸  叶里子君及び安井吉典辞任につき、その補欠  として松田鐵藏君、森下元晴君、坂本泰良君、  吉村吉雄君及び中村重光君が議長指名委員  に選任された。     ————————————— 六月一日  一、災害対策に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  台風第六号及び異常低温による災害対策      ————◇—————
  2. 楯兼次郎

    楯委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  本日は、まず、先般の台風第六号等による被害状況につきまして、関係当局より説明を聴取いたします。警察庁公安第二課長荒木貞一君。
  3. 荒木貞一

    荒木説明員 台風六号による被害発生状況について御説明を申し上げます。  台風六号は、五月二十七日午前十一時三十分ごろ房総半島南部に、中心気圧九百八十二ミリバール、南側百七十キロ以内は二十五メートル以上の暴風雨という規模で上陸いたしまして、鹿島灘に抜けて三陸沖に去ったのであります。この台風と、このころ、東シナ海に発生いたしまして、発達しながら東北東に移動してまいりました低気圧とが本邦南岸前線を刺激して、五月二十六日から二十七日にかけて九州南部四国及び本州太平洋岸一帯に大雨を降らせまして、三十六都府県にわたってこのたびの災害を発生したのでございます。  その被害発生状況につきましては、資料としてお手元に提出してございますが、おもなる被害としては、死んだ人が、長野県下で八名、福岡県下で二名をはじめ、全国で十八名になっております。そのほか、行くえ不明の者二人、けがをした人は全国で十六名でございます。また建物関係では、大阪東京埼玉をはじめ、全国床上浸水が約二千三百棟、床下浸水が三万三千九百棟となっております。また、水田冠水は、茨城三重栃木をはじめ各地に出ておるのであります。このほか、道路がこわされたり、橋が流されたりするなどの被害が発生しております。被害者の数は約一万名でございます。  なお、長野県下での死者八名という被害は、五月二十七日午前八時十五分ごろ塩尻市内で山くずれが発生し、住家五棟が埋没倒壊して、このために八名が埋没したものでありまして、同所におきましてこのほか負傷者三名が出ております。  以上をもちまして、台風六号による被害発生状況についての説明を終わります。
  4. 楯兼次郎

  5. 上田稔

    上田説明員 建設省関係台風六号による被害状況について御報告申し上げます。  お手元に「台風六号による被害状況」というパンフレットがございますが、それを見ていただきたいと思います。  まず、台風六号は、ただいま御説明のとおり、本州のちょうど南の海上を通りまして、そのときにおきまして本州の上には不連続線が通っておりまして、それが非常に活発に動きまして非常に雨を降らせたわけでございます。  雨による被害が生じておりまして、そのパンフレットの二ページにございますが、直轄関係で申し上げますと、大体十二水系におきまして警戒水位を突破いたしております。被害は十一河川に生じております。それから直轄道路のほうは八路線に被害を生じております。直轄災害を合わせまして八億二千三百五十万円の被害を生じております。補助災害におきましては、被害の一番大きかったのは長野県であります。その金額が六億二千四百十一万五千円ということで、その次に大きいのが茨城県、その次に山梨県、それから岡山県、埼玉県、兵庫県ほか全国にわたっておりまして、その金額補助のみで四十億一千七百四十二万三千円でございます。合計いたしまして四十八億四千九十二万三千円でございます。まだ十分に水の引いておらないところもございまして、この災害はまだ増加をいたすように考えられます。  これに対しまして、直轄災害におきましては、信濃川、これは十日町付近の堤防でございますが、それから天竜川の上流、それから千曲川には本堤が欠けたところがございますが、これに対しましては、緊急復旧費を要求いたしまして応急復旧工事を実施する予定にいたしております。それから直轄道路につきましては、交通の不能の個所を直ちに応急工事を実施いたしまして、現在はもう交通不能のところはございません。早急に査定を行なう予定でございます。補助災害につきましては、災害の大きな県につきましては、現地準備完了を待って緊急査定を実施したいと考えております。特に長野におきましては、現在過年災の再査定を実施いたしておりますので、現地において復旧工法指導をいたしております。なお、茨城県、山梨県等、被害の大きい、緊急復旧を要する個所に  つきましては、工法協議を行なって応急工事を施行するように考えております。  以上でございます。
  6. 楯兼次郎

  7. 木田繁

    木田説明員 台風六号によります農作物被害の概況につきまして御説明いたします。  沖繩南方海上を東進してまいりました台風六号が、二十六日の夜半から急にスピードを上げて北上いたしまして、二十七日置には三浦半島から東京湾に入って、午後は鹿島灘から東方海上に抜けたということでございます。それで、本邦南岸に停滞しておりました前線が、この台風と南シナ海から東進した低気圧とに刺激されましたために、二十六日の朝から二十七日にかけまして全国各地に強い風雨があった、そのために、農作物につきましては、麦類倒伏でございますとか、あるいは浸冠水等による被害が発生しております。いまのところ、各県にございます農林省直轄統計調査事務所被害状況につきまして調査中でございますが、二十八日までに入っております情報によりますと、福島におきましては、水稲冠水をいたしまして、麦類倒伏しておりますけれども、被害は軽微であるということでございます。それから群馬埼玉東京、神奈川など関東におきましては、麦類倒伏なり、あるいは野菜冠水等がありますけれども、被害につきましてはやはり軽微の見込みでございます。長野につきましても同様でございまして、愛知、三重、滋賀、大阪兵庫等におきましても、水陸稲なり麦類につきまして、倒伏したりあるいは冠水をしたりいたしておりますが、一般的には、このあたりにつきましてある程度被害が見込まれるということでございますが、なお具体的にはその被害につきましての程度はまだ入っておりません。兵庫、奈良、和歌山、このあたりにも、水稲野菜、それから麦類につきまして被害があるということでございます。島根、岡山、広島、山口、このあたりにつきましては、麦類なり野菜につきまして多少被害がある見込みであります。それから四国につきましても、麦類倒伏なり、あるいはその他の作物につきまして被害がある見込みでございます。九州福岡あるいは熊本、大分、宮崎、これらのところにつきましても、麦類倒伏とか、あるいは水稲冠水ということがございまして、やや被害がある見込みでございますが、これらの被害につきましては、今後統計調査事務所のほうで調査いたしまして、大体六月二十日ごろまでにはその結果が得られる見込みでございます。  以上、簡単でございますが、御報告申し上げます。     —————————————
  8. 楯兼次郎

    楯委員長 次に、異常低温による災害対策について調査を進めます。  最初に、先般の関東地方における降ひょうによる被害状況、及び北海道における異常低価による被害状況につきまして、関係当局より説明を聴取いたします。農林省官房参事官尾中悟君。
  9. 尾中悟

    尾中説明員 まず最初に、五月十一日及び五月十七日に関東地方被害がございましたひょうの害について申し上げます。  五月十一日分につきましては、関係県は茨城栃木群馬埼玉千葉東京の各都県でございます。被害作物といたしましては、最も多いのは野菜約二千五百町歩麦類二千三百町歩でございます。県別で申し上げますと、麦類では埼玉群馬千葉茨城の諸県、野菜埼玉千葉の諸県、桑につきましては群馬県でございます。なお、被害金額につきましては、現在県報告によりますと、約十四億程度ということになっておりますが、現在農林省といたしましては、その詳細について統計調査部でもって調査中でございます。  それから五月十七日の降ひょうによりまして、茨城栃木群馬の各県におきまして、麻、たばこ等被害があったわけでございますが、この点につきましては現在調査中でございます。  それから次に、北海道低温によります被害でございますが、五月二十九日、北海道におきまして異常低温がございまして、農作物等被害があったわけでございます。北海道の東部、それから北部では、気温が非常に低下いたしまして、北見では零下三・六度、釧路では零下二・三度、札幌では三度というように、いずれも平年よりも七度ないし八度くらい低かったわけでございます。  水稲関係につきましては、現在北海道では田植え最盛期でございまして、苗しろに影響のあるところもあるわけでございますが、昨年の経験もございまして厚まきをしているというような状況でございますので、極端な苗不足はないのではないかというふうに想像しております。網走地方では水田に氷が張ったところもございまして、葉先の色が変わっておるというようなところもございますが、今後の状況を見ますと、中には再生できるものもあるのではないかというふうに考えております。  それから、その次のビート関係でございます。これはやはり北見地方、それから美幌、中斜里等におきまして、被害面積としましては、ただいまつかんでおりますところによりますと、約二千町歩ということになっております。ただ、被害程度なり状況につきましては、現在なお調査中でございます。相当再播をしなければならぬというところも出てくると思いますけれども、苗につきましては予備的なものも準備しておりますので、その点は支障はないのではないかというふうに考えておりますが、なお、被害状況につきましては現在その詳細について調査中であるということでございます。     —————————————
  10. 楯兼次郎

    楯委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。泊谷裕夫君。
  11. 泊谷裕夫

    泊谷委員 ことしは三十年来の冷たい夏ということで、当委員会も連日のように審議を続けておるのでありますが、一番最初お尋ねをしておきたいのは、そういうことで内閣でもこれを重要視して協議会を設置したということでありますが、今日まで具体的にどんなことをしたのか、それを端的にお答えいただきたいと思います。
  12. 尾中悟

    尾中説明員 農林省におきましては、四月三十日災害対策本部を設置いたしまして、現在までに数度にわたって木部会議をやっております。また、五月一日現在の苗しろの状況等につきまして新聞発表を行ないますと同時に、それに関連いたしまして、技術指導通達地方局を通じまして各県に流しております。また最近では、五月十五日現在の稲作状況につきまして統計調査部資料を公表いたしまして、同時に、今後の稲作指導について、詳細なる指導地方局を通じまして各県に通達し、各県と一体となりまして技術指導に遺憾のないように万全の措置をとっておるわけでございます。また、雪害等によりましていろいろ被害東北北陸等に出ておるわけでございまして、その点につきましては、現在被害の内容について詳細な点について調査中でございまして、近くまとまると思いますので、それに応じまして、たとえば委託苗しろ、共同苗しろに対する助成措置であるとか、その他の措置につきまして、できるだけ早く対策を決定したいということで鋭意努力をしておる最中でございます。  内閣のほうに各省を網羅いたしました対策協議会ができるということが閣議で決定になったわけでございますが、その後、これは総理府の関係でございますけれども、聞くところによりますと、まだ具体的には設置されていない、ただ実際問題としては、次官会議その他でもって各省間の連絡をとりながら、そのときどきの問題を処理しておるということでございます。
  13. 泊谷裕夫

    泊谷委員 きょうは事情があって大臣政務次官も出てもらえないので、局長に申し上げるのはどうかと思うのですけれども、昨年の北海道冷害もそうでありますが、どうもいまの政府も与党の皆さんも、かけ声だけの対策のように思うのです。去年、現地大臣新聞記者を集めて、断固農民を救済するという演説をぶった。償還期限を一年延ばしてもらう。結果的には、八ヵ月かかって数十回の災害委員会を開きまして、農林水産連合審査をしなければできないということで、全く端的な言い方をして恐縮ですが、天気まかせの結果を見てあとをやるというようなしかけで、いま聞きますと、協議会もできたかできないか、それも鮮明でない、しかも、農林省でおやりになっている技術指導の問題についても、県庁の協力を得てということでありますが、技術指導とかその他のことについて当該機関に号令をかけることよりも、政府のすべき措置というものは、具体的にその作業を推し進めるに必要な政治的な配慮ですね。助成措置なり、あるいは人員増なり、こういうものについて具体的に手が染められなければならぬと思うのでありますけれども、こんなことではただ農民を欺瞞することだけで、至ってけしからぬことだと思うのですが、強く局長のほうからも、当委員会で強い批判があったということを伝えていただきたいと思います。  この問題については委員長のほうにもお願いいたしまして、次会にあらためて責任のある立場の人に出てもらって、特に措置していただくようにお願いをしたいと思います。  そこで、ことしの政府考え方なんですが、四十米穀年度で見ますと、内地米は九百五十一万トン、輸入米三十三万トン、別に外米八万トンを入れまして計九百九十三万トンで、前年度よりも八十万トン多く見ておるのですね。需要のほうは、内地米が六百三十七万トン、輸入米三十三万トン、計六百七十万トン、こういうことで前年よりは六万トン多く見て、しかも四十一年度に七十四万トン繰り越すのだからだいじょうぶだ、こういう話をしているのですけれども、五月十五日で、準内地米輸入、この数字だけとっても、当初の計画を倍に上回ってしまっているのですね。一体この端境期など——例年米がなくて、昨年などは大騒ぎでしたね。新聞発表はとめてもらったようなことがありますけれども、この端境期の米の確保についてはどうなんですか。具体的に説明してもらいたいと思います。
  14. 尾中悟

    尾中説明員 米の需給につきましては、私、官房でございまして、食糧庁のほうからまだ詳細な数字承知しておりませんので、帰りましてその点を確かめて、また次の機会にでも食糧庁のほうから説明をいたしたい、こういうふうに考えておりますが……。
  15. 泊谷裕夫

    泊谷委員 それでは、なぜこの問題を取り上げたかというのは、特に食糧の問題でありますし、タイ、ビルマ、カンボジアなどから輸入をしているようでありますが、これはもう国際食糧機構からも指摘されておりまして、飢餓輸出の問題が強くなっているのですね。それで、南米からの輸入という話がちらちら聞かれるのでありますけれども、これは毎年継続して契約がなされるならばというような条件がついておるということを聞き及んでいるのですが、そういうことになってまいりますと、またまた日本の農政にたいへんな問題が出てきますし、外貨の問題としても重要な問題でありますので、これはいずれかの機会に明確にしていただかなければならぬ重要な問題だと思いますので、これも次会にあらためて御報告をいただきたいと思います。  それでは、きょうの日という都合もありますから、端的に北海道の問題にしぼってお尋ねをしたいと思いますが、とにかく五月一日農林省の発表されました資料を見ますと、播種で札幌十四日、それから北見、函館は十三日、帯広で八日くらいおくれを見せておるわけですね。これは北海道ばかりでなくて、東北あるいは従来米どころといいました生産量の四二%を占めるところのものでありますけれども、何をさておいても当面措置しなければならぬものは、一定期間内で田植えを完了しなければならない、労務者の確保というものが急務だと思うのです。具体的に内閣措置されるものとして——労働組合でさえ、職場で交渉いたしまして、休暇をとらして農村出身の者を里帰りさせる、こういう措置をとっておるのですが、テレビを見ますと、自衛隊を帰すというような宣伝ばかりしておりますけれども、全国的に自衛隊がいるわけでありませんし、すべての政府機関出先機関に、この三十年来の寒い夏ということに対処して、有給休暇を二日なら二日、三日なら三日というものを設定して、思い切って里帰り措置をして援農対策を確立すべきだと思うのですが、これに対する考えはどうですか。
  16. 尾中悟

    尾中説明員 労力対策につきましては、御承知のように、北海道東北におきまして非常に窮屈な状況になっております。現在、われわれのほうといたしましても、各県に連絡いたしまして、それぞれ各県の実態に応じて、たとえば農村からその地方の都市に出ております人たち里帰り運動や、あるいは中学校あるいは高等学校生徒につきまして農繁期の休暇を出すというような問題、あるいは場所によりましては自衛隊のほうに、援農と申しますか、援助を依頼するというようなことでやっておりますし、さらに、それぞれの村うちにおきましても共同作業共同炊事、それから共同育児というような、あらゆるくふうをこらしまして労力不足の緩和に努力をしてもらうように指導しておるわけでございます。  ただいま、政府機関等の職員の休暇の問題でございますが、実は昨日もこの点の御質問がございまして、政務次官のほうから、至急検討したいということで答弁を申し上げたわけでございますが、現在のところは、年間有給休暇の二十日の範囲内において処理するようにということで指導しております。
  17. 泊谷裕夫

    泊谷委員 いまの話は次官会議か何かできまって指導されているのですか。生徒とかなんとかというと、文部省の関係も出てくると思うのですが……。それで、いまお話を聞きますと、これが一番私の気に食わないところなんですよ、年次有給休暇二十日の中でなんというのは、何も農林省政府の世話にならなくたって——現地の諸君はその休みさえとれないので、労働組合が折衝して帰しているのですよ。それをおこがましくも、政府がやったということを言われては困るのです。政府次官会議なりでやるようにきっちりきめて各省通達なり政令で出すということになれば、初めて、政府が当面する問題に緊急のかまえをとったということになるのですけれども、本来労働者が自分の持つ既得権農民に奉仕しているのを、政府が手を打たないで政府のやったように言われるのは、はなはだけしからぬ話ですよ。ですから、その点は、もうがたがたやっていれば田植えの時期も失してしまうわけでありますから、早急にしかるべき機関と相談されて、これとは別に休暇を付与するという措置をとっていただきたいと思うのですが、この点どうですか。
  18. 尾中悟

    尾中説明員 いわゆる特別休暇ということになろうかと思いますが、その点につきましては至急われわれのほうでも検討いたしたいと考えております。
  19. 泊谷裕夫

    泊谷委員 質問者がたくさんおりますので、きょうはやめますけれども、それでなくても農民所得一般農民外所得との格差がだんだん開いていることは、統計も如実に示しておるので、いまさら申し上げるまでもないと思うのですが、特に五月二十九日の霜の問題ですね。寒地農業というと、寒さに強いものといって、どうしてもビートとか、バレイショ、豆類、こういうものに集中的に手を染めてみなさいということを農林省指導するわけですね。しかし、この人々の所得は、同じ農業関係者所得の中でも、稲作に比して大きな開きを見せていることは御承知のとおりだと思うのです。でありますから、これに対して、気象現象だけで出たものでなく、一国の農民立場から考えますと、よし同じ条件被害を受けたとしても、財政上から見ると大きな問題になってくるわけであります。ですから、これについては特に措置をしていただかなければならぬと思うのでありますが、それについて具体的に農林省としてどういうお考えがあるか、まず明らかにしてほしいと思います。
  20. 尾中悟

    尾中説明員 畑作全体の問題につきましては、水田と異なりまして、価格の面につきましても、価格補償と申しますか、そういう点が非常に不十分であるというような点もございますし、いま御指摘のようないろいろな点で畑作振興をやっておりますけれども、その前提となる諸条件を整備してまいることについて今後なすべきことが非常に多いわけであります。特に北海道につきましては、昨年の冷害経験もございまして、現在北海道庁におきまして、恒久的な営農対策と申しますか、農政の検討をやっておるように聞いております。近くその結論が出て、農林省とも十分相談したいということを聞いておりますので、ごく最近のうちにそういうことになりまして、われわれといたしましてもあらゆる面からこの問題を取り上げて、十分検討した上で今後の対策をいたしてまいりたいというふうに考えます。
  21. 泊谷裕夫

    泊谷委員 これはお答えは要りませんけれども、一つ申し上げておきたいのです。  寒地農業に対する会議を開いて、その結論を待って措置したいという話をよく聞くのですけれども、現地の者として何か釈然としないものがあるのです。たとえば農協団体なんというものは、零細農民営農指導に総力をあげるべきだと思うのでありますが、現地のホクレンなどは、新しくマーケットを札幌市内に設置しまして一般商社と張り合って、その商品の需給度を調べるというような進出をそのまま見のがしているのです。根本的なかまえ方に問題があるような気がするのです。ですから、そういうばくとした話ではなくて、具体的に一人一人の農民を救済するという立場に立って——救済というよりも、人並みの生活を与えるということはやはり政治の責任ですから、そういう意味において、具体的な措置が意欲的に農林省から出されてしかるべきだ、私はこういう考えを持っておりますので、特に検討いただきたいと思います。  そこで、当面の問題として改良普及員の問題で、昨年の冷害——これは道庁の問題でありましたが、わずか二十一万くらいの旅費の問題で、二ヵ月くらい、しかも委員会で提起をしなければ片づかないという苦い経験があるわけです。ことしはこの改良普及員の旅費その他については心配ありませんか。あわせて、県庁では技術指導員を派遣いたしますね。総力をあげてやっておるはずですが、これに対する県の財政措置についても、国は何らかの考慮を払ってしかるべきだと思うのですが、以上二点についてお答えをいただきたいと思います。
  22. 尾中悟

    尾中説明員 改良普及員の旅費につきましては、年度当初でもございますし、現在のところは支障ないと思っております。ただ昨年の例もございますので、今後各県の実態をよく聞きまして、流用等の措置も可能な範囲内において講ずるつもりでございますし、また、今後の情勢によって、それでも足りないというふうになりますれば、やはり財政上の問題として十分検討してまいりたいというふうに考えております。  御指摘の第二点の指導員の問題は、これは県の職員でございますか。——改良普及員も県の職員でございますが、その他試験場等の技術者の出張旅費等も、こういうことになってまいりますと、当然その額がかさむということになろうかと思いますが、改良普及員の場合と若干性格が違うと思います。改良普及員の場合には、人件費、旅費につきまして三分の二の国庫補助をしておるということでございますし、その他の技術職員についてはそういう措置はとってないというふうに思いますので、これは県の財政事情によりまして違うことになろうかと思いますが、最終的には、例の特別交付税等の調整によりまして年度末に処置するということになろうかと思います。
  23. 泊谷裕夫

    泊谷委員 年度末の特別交付というようなお話がありましたけれども、いつものことながら、被害状況調査がすべて完了し、その上に立って始末をするということでありますから、北海道冷害にしても、八ヵ月かかってもまだきっちりしない、こういう態勢にあるのですが、これはまた大臣、次官がいるときにきちっとしてもらおうと思いますけれども、農林省としてもそこは考えていただかなければいけないと思うのです。ですから、先ほどから何度も申し上げておる、かけ声ばかりの対策だと言いたくなってしまうのですね。こういう問題は、特に北海道の場合、昨年もひどい冷害で、ことしも調子が悪い、この春先に、何とかがんばろうという農民が、また霜でたたかれてきたというときに、必要なことは、やはり農林省の皆さんが直接現地農民に激励を与えることだと私は思うのです。具体的に申し上げてみますと、昨年中西官房長を中心とする農林省調査団が出ましたね。政治家の調査団というのは、これはよしあしです。適当なことばかり言われて、ない金をあるような話でぬか喜びをさせられてかえって困るのですが……。そこで農林省のほうの技術者を中心にして、これは現地で始末をしなければなりませんから、その限りにおいては大臣なり次官の同席していることが必要になってくると思うのでありますが、時期を見て派遣をしていただいてしかるべきだと思うのですが、お考えありますか。
  24. 尾中悟

    尾中説明員 東北地方は、春先の豪雪なり、あるいは融雪遅延の問題がございましたので、すでに農林省からたびたび現地に派遣いたしてやっておりますが、北海道東北につきまして今後さらに低温が来るということも予想されますし、指導の万全を期しますために、いま御指摘のような線に沿って早急に検討いたしまして実施いたしたいというふうに考えております。
  25. 泊谷裕夫

    泊谷委員 質問は以上でおしまいにします。  一つお願いをしておきたいのですが、今日一番気になります食糧確保の問題、これは農民の問題というよりも、一般国民の問題として気になります食糧の問題は、内閣に設置されました協議会というものに相当期待を持ちながら、内容が実際ない、こういうことでは、全くの天気まかせの農政というそしりを免れないと思いまして、当災害対策特別委員会としては抜本的にこの問題について検討を加えるべきだと思うのでありますが、条件が整っておりませんので、適当な時期にこの重要な問題について掘り下げ、あわせて農民と他産業との格差を整理して、自信を持った営農ができる体制をつくってやることが、災害対策特別委員会の任務だと思いますので、これは委員長にしかるべき時間を設定していただくようにお願いをいたしまして、私の質問は終わりにいたしたいと思います。
  26. 楯兼次郎

    楯委員長 武藤山治君。
  27. 武藤山治

    ○武藤委員 災害対策委員になって初めて質問をするので、事務的な詳細な内容を知らない者が質問するのでありますから、そのおつもりでひとつ御答弁を親切にわかりやすく願いたいと思います。  まず最初に大蔵省にお尋ねいたします。  年々災害のない年はないと言われるような日本でありますが、災害を処理する支出として過去三年間くらいどういう予算支出になっておるか、まず三年間の、さかのぼって実際に支出した金額を、農業関係あるいは建設省関係、そういう形に区分をしてちょっと発表願いたいと思います。
  28. 嶋崎均

    ○嶋崎説明員 ただいまそういう関係の計数を実は持ち合わせておりませんししますので、その点については後刻資料として提出したいと思います。
  29. 武藤山治

    ○武藤委員 本日資料をお持ちになっておらぬと申しますから、確実にひとつ本委員会にそういう資料を配付するように委員長に要望いたしますが、いかがでございますか。
  30. 楯兼次郎

    楯委員長 いいですね。
  31. 嶋崎均

    ○嶋崎説明員 はい。
  32. 武藤山治

    ○武藤委員 河川局長には私のほか質問通告していないようでありますから、先にお帰りをいただく関係で簡単にお尋ねをしておきますが、先ほど配付された資料によりますと、今回の台風六号による直轄河川被害がかなり出た。この直轄河川の場合には一切国でやって、さらに市町村、自治団体には支出は求めないでいいのか、それとも、地元負担金という関係で県や町村も負担をするのか、これをまず第一にお尋ねしたいと思います。
  33. 上田稔

    上田説明員 お答え申し上げます。  直轄災害につきましては一応国費でやるわけでございますが、その府県に対する負担金といいますか、分担金につきましては、これは一般の補助災害と一緒にして計算をいたすわけでございます。
  34. 武藤山治

    ○武藤委員 そういたしますと、具体的にお尋ねいたしますが、先ほどの資料によると、栃木県の直轄河川被害状況は一億一千七百万円、補助災害のほうは八千七百八十八万円であると記載をされております。この場合、これを直ちに復旧するという際に、建設省は県に対して、どの程度の予算でどの程度の復旧をしておけ、こういう指示をすぐやるのですか、それとも、国の予算がとれてから復旧工事に着手するという指令を出すのですか、それらの取り扱いはどうなっておりますか。
  35. 上田稔

    上田説明員 直轄災害につきましては、これは国の地方建設局のほうにおいて工事を実施するわけでございます。したがいまして、県にやってもらうわけではなくて、国で実施をいたすわけでございます。それから補助災害につきましては、これは応急のものにつきましては、ほっておけないというものにつきましては直ちに実施をしていただきます。それから、直ちに本復旧にかからなければいけないというようなものがございますときには、これは特別に県から、こういう事情であるから、こういうふうにやりたいということを国のほうに申し出ていただく、あるいはまた、国から、指導官といいますか、査定官の一部の者が、工法協議といいますか、工法の指導というものに、大きな災害でございますと参るのでございますが、そのときには、その指導官に相談をしていただいて、そうして工法を一応きめてやっていただく、そのほかの一般の災害は、緊急災害査定をいたしますとき、あるいは一般の査定をいたしますときに査定してきめた工法あるいはまた金額の以内でやっていただく、こういうことになるわけであります。
  36. 武藤山治

    ○武藤委員 そういたしますと、栃木県の補助災害の七十三ヵ所の被害個所に対して、緊急直ちに復旧をしなければならぬと思われる個所は何ヵ所だと報告を受けておりますか。
  37. 上田稔

    上田説明員 現在まで栃木県から、緊急やむを得ないという個所が幾らであるということについてはまだ御報告はございません。ただし、橋なんかにつきましては、仮橋をつくるというようなことについて、これは一応県の費用をもって工事をおやりになるわけでございます。
  38. 武藤山治

    ○武藤委員 県が直ちに復旧の橋梁かけかえをやった、そういう場合には、即刻建設省の了解を取りつけなくとも、県の役人の判断で、これはどうしても復旧しなければならぬと思われる個所で手をつけて改修した際に、国としては当然補助金はあとでけちをつけたりなんかはしませんな。
  39. 上田稔

    上田説明員 大体、橋なんかの場合でございますと、応急の仮橋をまずおつくりになるということになると思うのでございますが、そういうようなものにつきましては、以前もやっておりますので、異議がございません。ただ、特別のものでございまして、工法が非常に以前と変わっておったり、また特殊なものをそこにお使いになるというようなことになると、少し工法上災害として認められる範囲を出る場合がございますから、そういう場合には問題がございますが、普通の場合は異議はございません。
  40. 武藤山治

    ○武藤委員 私もかつて県会に籍を置いた当時、よく、災害にあうと、直ちに復旧しようじゃないか。ところが、建設省があとでうるさいことを言うので、なかなか本腰を入れてやれぬ、補助金をもらえるかどうかもわからぬというような不安がある。そういうようなあれがあるために、なかなか復旧がはかばかしくいかないという例がぼくらのときにあったわけです。今日そういうことはあるいはなくなったかどうかわかりませんが、そうすると、建設省としては、もう年々災害がある以前に、当初予算に災害の予算というのをこのくらい予定してもいいという予算見積もりをしておるのですか。それとも、災害があったら四年間で災害の予算を分割して県に補助する、こういう手続をとっておるのか。予算を最初策定するときには、一体どういう想定のもとに策定しておるのか。
  41. 上田稔

    上田説明員 たとえば四十年度災害でございますが、これにつきましては見込みを立てて幾らということを大蔵省には要求いたしておりません。これは例年、災害が起こりまして査定が終わりますと、大蔵省に対して予備費から通常は出していただくことになっております。それから過年度災につきましては、初めは県と話し合いをいたしまして、そうしてどういうふうな状態でどうするかということをまずきめまして、そうして大蔵省のほうにもいろいろ予算上の問題で御相談をいたし、要求をいたしましてきめまして、そうして配付をいたすわけであります。
  42. 武藤山治

    ○武藤委員 私が言わんとしておる点はややおわかりだと思いますが、私は、災害復旧は迅速でなければいかぬという立場に立つわけです。それが、過年度災害について四年間にわたってちょっぴりちょっぴりやられておったのでは、地元民としては非常な不安と迷惑を受けるわけであります。  そこで大蔵省にお尋ねいたしますが、過年度災害でまだ未執行の現在必要とする予算はどのくらい残っておるわけですか。
  43. 嶋崎均

    ○嶋崎説明員 実は私、農業関係主計官なものですから、所管外で、こまかいことはよくわかりませんが、手元にある資料によりますと、三百四十六億程度国費の残があると承知しております。
  44. 武藤山治

    ○武藤委員 いま大蔵省が発表するように、過年度災害の予算でまだ未執行の予算が三百四十六億も予定されておる、それにさらに四十年度また新たに災害が出てくる、こうなると、これは県にしてみても、あるいは市町村にしてみても、たいへん不安で、その当該年度から見ると、三年も四年も、間違うと五年も先になってしまう。これでは私は、緊急かつ迅速に災害復旧に着手したということは言えぬと思うのです。ここらの制度が、いままでの制度自体に私はどこかに欠陥があるような気がするのです。こういう点について、上田さん、名局長として、こういう制度を変えて、もっと地元民に災害があったらばっとやれるような制度にすべきではないかという私の見解に対して、あなたの見解をひとつ承っておきたいと思うのです。
  45. 上田稔

    上田説明員 お答え申し上げます。  災害は早期に復旧をすべきではないかという御意見につきましては、私ども担当者といたしましても全面的に賛成なのでございます。それで、実際上それは四年目に当たるものもやっておるじゃないかということでございます。五年目というのは災害としてはございません。それで、災害は四年で一応片づけるということになっておりまして、四年目に——たとえば四十年度で申し上げますと、四十年度におきましては、三十七年に起こりました災害、三十七災が全部完了いたします。それから三十八年度に起こりました災害につきましては、八七%まで完成いたします。それから三十九年度災害につきましては、約七〇%まで完成をいたします。こういうことで、しかも直轄災害につきましては二年間で完成をいたします。ただし、北海道につきましては三年間かかるわけでございますが、北海道につきまして、三十九年災害につきましては、約八〇%まで完成をするようにいたしております。そういうことで、実質的に過年災が残っております分を少しずつパーセンテージを減らしていくように大蔵省のほうと折衝をいたしまして、過年災が残る分がなるべく少ないように、しかも残っておる工事についてはそう大きな危険のないものになるように心がけて実施いたしております。府県に対する配賦につきましても、そういうことを考慮いたしまして配賦をいたしております。
  46. 武藤山治

    ○武藤委員 そうすると、今回の補助災害が四十億、直轄災害と合計で四十八億ですか、それだけの災害を、一体建設省として、本年度まず手始めに予算的措置はどういうことをやろうとしておるのですか。それとも、来年の通常の当初予算に織り込むまで、たとえば追加予算要求とか、あるいは予備費の中からどの程度本年度引っぱり出そうとしておるのか、本年これが復旧に直接支出しようという計画はどうなっておるのですか。
  47. 上田稔

    上田説明員 いま申し上げました数字は、これは県からの、御報告それから地方建設局からの報告に基づいたものでございます。それで、府県からの箇所を申し上げますと、四千二百三十八ヵ所になっておるわけでございます。直轄を合わせますと四千三百三十ヵ所ということになるわけでございます。したがいまして、この個所につきましてそれぞれ県のほうにおいては復旧の計画をお立てになるわけでございますが、いま申し上げましたように、非常に個所数が多うございますし、非常に山の中の分もございまして、県のほうでもなかなかそう一度に設計が立たないということでございまして、それの準備に相当日数がかかるわけでございます。そうして私どものほうの査定官が緊急のものはこの準備のでき次第参りまして査定をさせていただきますが、一年くらいはそのままでもだいじょうぶであるというようなものにつきましては、一年というわけにいかないかもしれませんが、すぐに手をつけなくても、一応応急で押えてあるからよろしいというようなものにつきましては、十月から十一月ころにかけまして、全国的にいままでの四十年度の災害全部にわたって査定をいたして参りますが、それが終わらないと金額がきまってこないわけでございます。したがいまして、県災で申し上げまして四十億ということを申しておりますが、これが相当災害に当たらないようなものもできますし、出水のときには非常に川が一時は荒れるものでございますから、災害も非常に大きく、被害も大きく見積もりやすいものでございますので、そういったような点は、査定に参りますとはっきりしてきますので、結局、金額が八掛けから七掛けくらいに減るのが通常でございます。したがいまして、それらに対しまして今度は大蔵省のほうと御相談をすることになるわけでございます。それで、応急のものはこれはすぐに予備費でいただくとかいうことになりますが、一般の査定は十月から十一月にやりますが、そのものにつきましては、それから後におきまして大蔵省のほうから予算をもらって工事をやる。大体二五%というのが通常でございますけれども、最近はそれをさらに多くしていただくようにお願いしてやっております。昨年は三〇%ばかりいただいたというふうに考えております。
  48. 武藤山治

    ○武藤委員 大蔵省の方、去年の予備費の使用状況の中で、災害に支出したパーセンテージはどのくらいを占めておりますか、わかりませんか。
  49. 嶋崎均

    ○嶋崎説明員 実はただいまちょっと手元にそういう資料を準備してこなかったものですから、私は農業担当の者ですから、全体のことを見ておりませんので、あとでお調べして御連絡したいと思います。
  50. 武藤山治

    ○武藤委員 河川局長に要望しておきますが、特に今回の栃木県の災害個所を見ますと、小貝川という、芳賀地方の非常に水田の多い、しかも地面の低い場所を流れておる川でありますが、この復旧を先に延ばしますと、おそらく八、九月の出水期にかなり水田冠水するおそれがある、そういう点から、私たちも非常に心配をしておるわけであります。したがって、建設省としてもすみやかに実情調査の上、緊急工事をしなければならぬと思われる個所はすみやかに復旧をしていただきたいと強く要望いたしまして、建設省に対する質問はこれで終わりたいと思います。  次に、農林省のほうに移りますが、先ほど参事官でございましたか、五月十一日の関東地方のひょう害、この金額は約十四億程度だ、こういう発表をなされましたが、十七日の金額、さらに五月二十六日、二十七日の台風による被害、こういうのは、あなたのほうの調査はまだ完了していないから数字は言えぬと逃げると思いますが、各県から来ている被害額というものは大体どの程度になりますか。各県からすでに私どものほうに陳情書が来ておりますが、あなたのほうにも来ているでしょう。その金額はどういうことになりますか。
  51. 尾中悟

    尾中説明員 六号台風関係で県からただいま出ております資料に基づきまして申し上げますと、まず、農地、農業用施設の関係でございますが、これは関係県多くございまして、総額約十二億というふうな県報告になっております。それから荒廃地関係が一億一千八百万、それから林道が三千五百万、合計いたしまして十四億一千万円、そのほか、農作物の麦、なたね、野菜等の被害があるわけでございますが、これはまだ調査中という県が多うございまして三、四の県から約二十億程度被害という報告が参っております。農地等の施設被害農作物被害を合わせまして、これは五月三十一日現在われわれの手元に参った県の数字を全部締めますと、二十五億八千万円ということになっておりますが、調査中のものが相当ございますし、なお農林省統計調査事務所のほうは現在鋭意調査中でございますので、ただいま手元にあります数字は以上のとおりでございます。  それから、その前のひょうの関係につきましては、十一日の被害額は、先ほど申し上げましたように、県報告で約十六億円ということでございますが、十七日については、県から報告があったかと思いますが、いまちょっと集計しておりません。ただ、十一日よりは被害額としてはずっと下回っておるというふうに承知しておりますけれども、いまちょっと手元数字を持っておりませんので……。
  52. 武藤山治

    ○武藤委員 当該担当官庁がそういう数字を県から握っておらぬなんということは、私はまことに怠慢のそしりを受けると思うのです。もう各県は私どものところにも陳情に来て、十七日の降ひょう被害数字をもって陳情に来ておるわけであります。そういう点、もう少し——農民は、本年は天明以来の大飢饉になりはせぬかという非常な心理的な恐怖をいま持っておるわけです。ですから、国がこの問題にどう真剣に取り組むというその姿勢が農民に与える心理的効果というものは非常に大きい段階にある。そういうときに、農林省が、十七日の降ひょう数字は知らぬなんということでは許されませんよ。今後そういう点は十分気をつけなければいかぬと思います。  それから、いまの数字の発表によると、五月中に起こった降ひょう、あるいは六号台風、そういうような、期間が非常に短い間にぱっぱっとあった種類の違う災害の場合に、天災融資法を適用する際には、災害の種類別によって金額をきめるのか、それとも、一定の期間内に起こった被害額によって天災融資法を発動するかしないかをきめるのか、その天災融資法が適用できるかできないかの基準は一体何ですか。
  53. 今村宣夫

    ○今村説明員 現在、天災融資法を発動しますときの考え方は、一災害について一政令というふうに考えてございまして、一つの災害が起きましたときに、それの災害被害関係をいろいろ気象条件その他から気象庁の意見等も聞いて検討いたしまして、その被害額をつかまえて、そして被害額に応じまして天災融資法の発動をするかどうかをきめるわけでございます。
  54. 武藤山治

    ○武藤委員 この法律をずっと読んでみたのでありますが、政令委任事項が非常に多くて、たとえば三十億の被害があれば天災融資法の適用をしようとか、あるいは五十億以上あれば激甚災害の適用を受けるとかいう話をときどき耳にしておるのでありますが、その場合に、一体、政令では、三十億の被害があるという地域に限定があるのかどうか、たとえば栃木県一県で三十億だというのか、いや、栃木茨城群馬と合わせて、同一の北関東という地域を一つのブロックと考えて三十億程度あればこれが適用になるというのか、その限界というのはどうきめておるのですか。
  55. 今村宣夫

    ○今村説明員 現在の法律上の規定で、どういう場合に天災融資法を発動するかということの明確なる基準をきめておるわけではございません。法律をごらんいただきますと、天災融資法は、国民経済に重大なる影響がある災害について、こうこういう措置を講ずるというふうに書いてございます。したがいまして、国民経済的に甚大な影響があるという被害というものをどういうふうに認定するかということは、現在の法律政令上明確な規定があるわけではございませんが、従来発動をしてきておりました、いわゆる経験的に行なってきました一応の発動の腹がまえと申しますか、基準というふうなものが、被害額がおよそ三十億ということになっておるわけでございます。激甚災害の場合においては、防災会議で、農業被害額が全国農業所得の推定額の〇・五%以上であるというふうな一応の基準を出してございますが、天災融資法のほうの三十億と申しますのは、従来の発動の経緯に徴しまして、おおむねその程度被害というふうに考えておるわけでございます。
  56. 武藤山治

    ○武藤委員 わかりました。おおむね三十億程度被害。その際には一県当たりですか、それとも、地域ブロックで三県なら三県をくるめて三十億あればよろしゅうございますか。過去の例で、いまの時点から考えて一番近かった年で天災融資法を適用した具体例をひとつここで明らかに示してみてくれませんか。
  57. 今村宣夫

    ○今村説明員 その三十億の被害が一つの県で起きなければいけないというふうには考えてございません。やはり天災の被害は相当広範囲に及ぶわけでございますから、三十億の被害額というのは数県にまたがっても差しつかえないというふうに考えてございます。  一番最近の天災融資法の発動の事例は、五月に政令を請求いたしましたときですが、それは近畿の豪雪でございます。これは数県にまたがっておるわけでございますが、そのうち特に災害が著しいということで特別被害地域の指定ができます県は、四県を指定したわけでございます。
  58. 武藤山治

    ○武藤委員 その場合の被害金額の算定でありますが、それは農林省統計調査部調査をした数字を基礎にするのか、一応、緊急を要する対策であるから、各県の報告数字を基礎にするのか、その三十億円をどう算定するかですね。調査してからでは私はおそ過ぎると思うのですよ。手も足りない。農林省だけではっきり数字をつかんでから適用するなんというのでは、とても間に合わぬ。そういう災害という特殊な状況から見て、私は、これは各県の報告数字を一応基礎にしてしかるべきではないかと考えるのでありますが、その辺はどう理解してよろしゅうございますか。
  59. 今村宣夫

    ○今村説明員 被害額の認定は、統計調査部調査結果によっているわけでございます。各県の被害額を取りまとめて大体の見当をつけて天災融資法の発動をきめるべきではないかという御趣旨かと存じますが、県の報告がずさんであるというふうには申し上げられないのでございますが、従来、統計調査部調査をしておりました結果と県の被害報告とには相当のずれがございます。これは県が災害が発生しますと直ちに被害調査をやるというふうな関係もございまして、そこのずれが生ずるのかと思いますが、農林省としましては、災害発生後統計調査部において緊急に被害額を調査の上、それの確定を待ちまして、天災融資法の発動をするかどうかを決定し、すみやかに政令を出すというふうな手続をいたしております。
  60. 武藤山治

    ○武藤委員 今回の六号台風並びに降ひょう、異常気象、もちろんこれが関係はしておると思いますが、茨城県の陳情書、本委員会にまかれた資料によりますと、約三十億円の農業被害を受けておる。また、栃木県の陳情書によりますと、栃木県だけでもすでに五億の被害が出ておる。こういう実情であるから、少なくとも茨城栃木群馬をくるめたら、天災融資法の発動は当然認められてしかるべきではないだろうか、かように私は判断するのでありますが、農林省関係はいまどのような御意思になっておりますか。
  61. 尾中悟

    尾中説明員 茨城県の報告の中には、ひょう害のほかに、低温によりまして水稲に今後被害が生ずるであろうというような被害額も入っておりますし、いろいろ天災を合計いたしまして最近の被害金額ということになっておるようでございます。特に水稲は、御承知のように現在田植えをやっておりまして、この秋、収穫量が決定するわけでございます。したがいまして、現在各県では、田植えのおくれその他生育状況が不良であるということから、推定額で何割程度減収するだろう、こういう見込みを出しておられるようでございますが、農林省といたしましては、現在圃場にありますものが被害を受けまして、その被害額が最終収量に直接結びつくという確定したものだけを被害額として考えております。したがいまして、いまの被害につきましては、特に天災の種類別に金額を算定いたしまして三十億以上、たとえば何月のひょうならひょうということで金額を集計いたしまして、それが三十億程度以上になった場合に、資金需要等も考えまして天災融資法の発動について検討する、こういうふうなことになっておりますので、いま県から出ております数字そのものの合計額では、従来の例から申しますと、ちょっとそのままとりがたいのではないかというふうに考えております。
  62. 武藤山治

    ○武藤委員 そういたしますと、参事官、収穫の時期を見なければはっきりしたことはわからぬ、こういうことが一つ出てきますね。いま言った、苗しろが異常気象のためにどうもうまくない、とってみないことには実際の減収が何ぼになるかわからぬじゃないか。そうすると、とってみなければわからぬということで、それまでの時期全く天災融資法の適用などは考えられぬという議論になりますね。そうなると、県は指導のしょうがないんじゃないでしょうか。ただ技術指導だけで、早く何々消毒をやりなさい、さあ虫害が起こらぬようにやりなさいという人的な技術指導をやる以外にないんじゃないですか。適用されなくなった場合、金のことは一切県は手をつけられない。信連から金を借りて一時融資をしてやろうと思っても、ストップしてしまう。いま日本の農林省のやっておるのはそんな消極的な災害対策なんですか。
  63. 尾中悟

    尾中説明員 これは天災法の趣旨が、収穫が現実に被害を受けまして減収になった、そのために、次の収穫時期と申しますか、次の営農時期に要ります肥料とか農薬とか、そういう営農資金が収穫減によりましてまかないできないということから、低利資金を出すというのが主になっておるわけでございます。したがいまして、稲作のように、これから秋になって正確な収量が決定するという性格のものにつきまして、今後、病虫害の問題、あるいは現在問題になっております北陸、東北等で共同苗しろあるいは委託苗しろの設置等に対しまして相当な経費がかかっておるわけでございますが、そういうものにつきましては、特に現在検討しておりますのは、共同苗しろなりあるいは委託苗しろに要した資材なりあるいは運搬賃というようなものについては補助したいということで検討をしておるのでございます。農薬につきましては、最近の実態から申しまして、補助対象とは考えていないわけでございますが、今後異常発生というようなことがかりに出るということになった場合にこれをどうするかということについては、今後の推移を見て十分慎重に検討してまいりたいというふうに考えております。
  64. 武藤山治

    ○武藤委員 そうすると、いま参事官のおっしゃる補助は、法的な基礎は、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律、これに基づいてやるのですか。それとも、何の法的基準でいまの補助金を出すのですか。
  65. 尾中悟

    尾中説明員 従来、そういう苗しろに対する補助でございますとか、あるいは種子等に対する補助等は、いわゆる法律上の根拠ではなくて、予算措置といたしまして、農林省のほうから大蔵省の承認を受けまして支出しておるということでございます。いまの暫定法の関係は、農地、農業用施設ということに限定されております。
  66. 武藤山治

    ○武藤委員 そうすると、補助を、ちょっぴりでありましょうが、出す法的根拠は、この六法にはない。大蔵省は、どういう政令で、どういう場合には、苗しろの補助金なり消毒薬品の補助なり——その政令をちょっと読んでみてください。どんなことになっておりますか。
  67. 嶋崎均

    ○嶋崎説明員 補助のたてまえとしては、いろいろな法律的な根拠に基づく補助と、それから、予算上必要だということで予備費の承認を経て出す性格の補助と二いろありまして、財政法の規定に基づく予備費の支出というのが法的な根拠になっているのでございます。
  68. 武藤山治

    ○武藤委員 だから、予備費の中から出すにしても、あるいは別な何か通達なり政令なり省令なりで、こういう災害のときにはこの程度補助金を出そうという、何かあるわけでしょう。ただ、それは農林省の役人の恣意によって、ここの県の場合にはひとつ補助金を出そう、ここは天災融資法の指定をしよう、そういう恣意的にやれるのですか。何かやはり基準があると思うんです。準拠する政令か省令か何か、それをひとつ明らかにしてもらいたい。それによって、栃木県に適用してもらうようにまた申請し直しますから……。
  69. 尾中悟

    尾中説明員 この問題は、先ほど天災法の発動の際にも、過去の経験的な一つの基準と申しますか、何かあるということを申し上げたわけでございますが、補助の場合にいたしましても、まあ的確な基準と申すものはないわけでございまして、過去の災害が何年かにわたってその経験があるわけでございます。それと大体同じようなと申しますか、それに近いと申しますか、そういうようなこともあわせて考えながら、従来そのときの実態をも十分考慮いたしまして補助金の要求等をやっておる次第でございます。
  70. 武藤山治

    ○武藤委員 それはあなたの責任じゃない。あなたを責めようとするわけじゃない。これは私は制度の欠陥だと思うのです。いやしくも国民の税金を支出する補助金を、天災融資法で融資の利子補給をするとか、あるいは三割以上の被害があった農家を救済するとか、一割以上の減収のあった漁民を救済するとか、それは天災法のほうにはある。しかし、天災法にない、三十億に達しない被害の場合に補助金を出す何かきちっとした法律がなくて、国の金を、たとえ予備金といえども出すというのは、どうも私は納得できぬ。これは主計局長とじっくり大蔵委員会でやります。しかし、どうもこれは基準を示されなかったら、もらうほうの県は、どういう要求をして、どういう金が出てくるのかわからない。ただ、陳情して、結果はちょっぴり出ました、しかし、それは法律でもない、政令でもない、通達でもない、何できめているのか、いままでの習慣ではじき出すのだ。これでは国の予算の使い方として、ちょっと私は——きのうの答弁を聞いていると、会計検査院がうるさくてなかなか補助金は出せぬですという。出せないはずですよ。法的な基準がなくてそういうことをやったら、そういう補助金はいじめられますよ。農民のためにもこの際これを立法して、天災融資法の適用されないその下のランクの被害程度にはどうするかという法措置をすべきですよ。そうしなかったら、会計検査院だって、これはつかみ銭みたいな補助金だから文句を言うのです。どうもきのうの政務次官の答弁を聞いていると、会計検査院がありまして、会計検査院に指摘されるからと、こう逃げておる。ようやくその理由がわかった。これはあとでゆっくりと法のあり方として他の委員会でひとつやりましょう。  それから、天災融資法を適用したからといって、実際問題として、県などではほんのわずかしか国の支出というのはないんですね。個々の農家が三割以上の被害があった場合、あるいは漁民が平年収入の一割減以上の災害を受けた場合、この場合なら個々の農家にも補助がいくかもしれぬから多額になるけれども、ただ天災融資法を適用されて、県が融資をしている金額に対する利子補給なんというのは微々たるものですね。いいですか、ここで私が具体例をあげますから、それに答えてみてください。  かりにいま栃木県で五億円の被害があった、そして法どおりの融資をするために、信連から借りてこれを各地帯に県があっせんをした。その場合の国が負担する利子は一体幾らになりますか。五億円の場合を例にして……。
  71. 今村宣夫

    ○今村説明員 天災融資法が発動されても、国から出る金はごくわずかではないかというお話であろうかと思います。天災融資法は、御存じのとおり、発動されまして融資をいたしますと、それを四年なり五年なりにわたって償還する。したがって、発動されましたその年の利子補給額というのはごくわずかでございまして、年度の終わりのほうに発動されましたような場合には、その後の利子補給分がほとんど要らないような状態にも相なりますが、五年間を計算してみますと相当な金額になるわけでございます。  五億円という、先ほどの具体的な事例に即しまして計算をするのは、あるいは短時間にやって間違っては失礼かもしれませんので、計算の方法を申し上げますと、一応、九分五厘で農協が普通であれば貸し出すといたしますと、今度法律が通りまして三分になるわけでございますから、九分五厘と三分の差六分五厘というのが、国と県で持つというかっこうになるわけでございます。そのときの国の負担分がおおむね六〇%でございますから、そういう計算に相なるわけでございます。
  72. 武藤山治

    ○武藤委員 私しろうとで、実は法律どおりに自分なりに計算をしてみたのですが、かりに農産物の被害が、今回栃木県が五億一千八百八十万八千円だ、こう新聞に出ておるし、また陳情書にも書いてある。それで計算をして、三〇%以上の被害額一億三千五百万円、それを引いて、さらに共済金の支払い額を引いて計算をした最終が、差し引き融資対象被害額というのが一億一千五百九十八万になる。それに対して限度額〇・四五をぶっかけると五千二百十九万一千円、この指定を受けた場合、県が融資できる金額がわずか一千七百万、その一千七百万の金利を計算いたしますと、三十一万円の金利を県と国で半分ずつ持つ。一年十五万、五年でもたいしたことないですな。そうすると、天災融資法の適用をしたからといって、そんなに国が財政的に負担を負わなければならぬ、大騒ぎをしなければならぬというほどの問題ではない。この天災融資法というもののメリットはどこにあるかといえば、国が天災融資法を指定してくれたんだ、その精神的な農民の意欲ですよ。心理効果、県がまたそれに力を入れる熱意、それをかき立てるために非常な効果がある法律だと私は思っているのです。ですから、この天災融資法を適用する際にあまり厳選をされたのでは、農民は失望落胆をいたすと思うのです。そういう立場から、今回の群馬栃木茨城、こういう北関東三県の被害額を見ると、天災融資法を適用してやっても、結果的にそれほど間違ったものではない。三十億を突破するのではないか。それを統計調査部が根堀り葉掘り調査をした結果でなければそういう適用はできないのだ、こういう考え方が少しかたくな過ぎるような気がするのです。農民の方向を向いていないような気がするのです。問題は農民なんですから、農民がこういう処置によってどう奮起するか、これを私たちは期待しているわけです。特に本年は景気がこういう動向になってきて、景気浮揚力をどこに求めるか。農産物の増産以外に今日の景気の浮揚力というのはもう考えられない状態にきている。過剰生産ぎみで、企業は収益が減ってたいへんな騒ぎになってきている。この国民経済的な視野に立って見ても、本年の災害が到来しないうちに適切な措置を講ずるということは、国家的見地から見て非常に重大であります。したがって、私は、ぜひ今回の台風六号の被害に対しては天災融資法の適用をすべきである、ぜひしてほしい、こういう強い要望を持つものです。私は参事官で、私は課長で、私は部長で、そこまでの判断は持てないのだ、これは大臣の決定だ、あるいは事務次官の決定だといえば、それまでです。しかし、それらの人たちを補佐し、進言をするのは、ここにいらっしゃる皆さんなんです。ぜひひとつこういう取り扱いについて配慮していただきたい。私のその強い要望に対しての見解をお二人からお聞きいたしたいと思います。
  73. 今村宣夫

    ○今村説明員 天災融資法は災害農家のためにあるというお話は、まことに私もそのとおりと存じます。しかし、同時に、天災につきましても、やはり農家が自分で立ち上がるといいますか、あるいは、農家のみならず、地方公共団体自身の努力、それから国の努力というものが積み重ねられなければならないのであろうと存じます。天災融資法の従来の適用をごらんいただければわかりますが、昨年で九回発動をいたしております。といいますことは、大体一ヵ月半に一回天災融資法を発動するという計算に相なりまして、実は相当な適用回数であろうというふうに考えておるわけでございます。私たちも天災融資法の精神にのっとりまして、被害農家の方たちが災害を受けました場合にできるだけすみやかに立ち直れるようにということは常に心がけておるわけでございます。天災融資法を発動いたします場合には、農林省といたしましては、統計調査部の結果を待ちまして、被害の態様なり、深さなり、広さなりということを検討いたしまして措置いたしたいと思っておりますが、従来の天災融資法の発動の経緯をごらんいただきますとわかりますように、私たちとしては相当の努力を払ってつとめてまいっておるわけでございますし、今後もそのような方針で処理いたしたいと考えております。
  74. 尾中悟

    尾中説明員 いま金融課長から申しましたとおりでございまして、農林省といたしましては、やはり被害を受けました農家に早く立ち直って再生産の意欲に燃えて今後大いにがんばっていただかなければならぬわけでございます。ただ、天災融資法の発動に伴いまして、やはり全体といたしましては、利子補給額あるいは損失補償額というものも当然出るわけでございます。したがいまして、そういう損失を伴いますものの発動につきましては、やはり一つの経験的な基準ではございますけれども、その基準に照らしまして発動をしてまいるということが必要なのではないだろうかというふうに考えております。ただ、いま金融課長から申しましたように、農林省としましては、できるだけその実態に応じまして、すみやかに必要なものについては天災融資法の発動をするということで努力をしております。過去におきまして、相当長期間発動までかかった例もあるわけでございますが、ことしの春の近畿の降雪被害につきましては、三月の中旬の災害でございますけれども、五月の連休明けには発動を見たというようなことでございまして、今後ともそういうふうに必要なものにつきましては迅速に発動しますように一段と努力をしたいというふうに考えております。
  75. 武藤山治

    ○武藤委員 参事官、一段と諸般の情勢を検討して、できるだけ合理的な判断を下す御趣旨が表明されましたから、それで一応了解しておきますが、金融課長、先ほど、三十九年度に九回の発動をした——九回で国の持ち出した天災融資法に基づく支出は幾らになりますか。
  76. 今村宣夫

    ○今村説明員 九回そのものの災害金額は私ちょっと記憶いたしておりませんが、現在融資残につきまして、国が予算を計上しておる額は十一億六千万でございます。
  77. 武藤山治

    ○武藤委員 十一億六千というのは、五年間の利子補給全体の残額ですね。五年間さかのぼったものをひっくるめたものが十一億六千万、そうですが。去年だけじゃなくて、ずっと前から引き続いたものの積み重なったものが十一億六千万残っている。微々たるものですね。国家財政は幾らだとお考えになっておりますか。それから、あなたの認識の中で、農業という職業の性格、これは他の自由競争の資本主義の恩恵を受けられる産業と、農業というものとでは、仕事の性格がたいへん違うのですね。そこに思いやりを持つ必要があると思うのです。いま日本は工業立国になろう、もう農業は切り捨ててもいいのだ、選択的拡大で採算のとれぬものはつぶれてもいいのだ、こういう考え方で進めるならいざ知らず、国民の最も大切な食糧生産をする農業というものの位置づけをどうするか。これを正当な位置づけをさせ、これを保護し助長するというのが農林省の役目なんですよ。農林省がもっとしっかりしなかったら、日本の農民は一体だれを信頼し、だれにたよったらいいのですか。まことにみじめです。そういう意味で、上の位に立つ課長、部長、局長級は日本の農業の位置づけを真剣に検討する時期がきておるのだ。そういう点を皆さんも強く再検討してもらいたいと要求しておきます。
  78. 嶋崎均

    ○嶋崎説明員 国の災害復旧関係の予算が天災融資法に関連して非常に少ないということは、先ほど御質問になられた災害復旧費関係の予算がどうなっておるかということと関係しておると思います。そこで、簡単に数字を——私、つい先ごろかわったものですから、いろいろ書類を照合して調べますと、災害復旧事業費の予算の推移を三十五年度から見ますと、三十五年度が三百七十九億八千百万、三十六年度が千三百八十九億八千五百万、三十七年度が六百十七億八千万、三十八年度が七百五十八億五千二百万、三十九年度が一千六十億八千万相当の数字になっておるわけであります。  それから、三十九年度の当初の災害関係の予算でございますが、それが六百二十七億一千四百万、それから補正で——予備費から流用等がありましたから——必ずしもそれが全部予備費であったかどうかということはさだかに記憶しておりませんが、補正後で八百十三億九千七百万という数字になっております。四十年度の災害復旧事業費の予算は六百六十九億六千四百万という数字で、一般会計の関係でそういう数字になっております。  さらにそのほかに、実は災害復旧の関連の事業費がありまして、それぞれによって違いますけれども、三十五年以後、大体五十億ないし八十億の災害関連事業費を支出しておるような状況でございます。したがって、政府としても、災害につきましては実情に応じて相当努力をして、それぞれ適切な予算上あるいは法律上の支出をやっておるということではなかろうかと判断しております。
  79. 武藤山治

    ○武藤委員 あなたがいま言ったのは農林関係だけじゃないでしょう。全体の災害でしょう。私は冒頭にあなたにその数字を言わせておいて農林の中身に入ろうとしたのが、途中で答えられたからペースがくずれたけれども、しかし、国全体の予算から見ると、道路河川だって四年間で工事をやるのですよ。それで、片方、地主には千四百五十六億の金をこれから十年間でくれようというのです。そういうむだを片方でやっていて、片方で、災害ですぐ直さなければならぬと農民が要望したものを四年間も継続させるのです。あなたは大蔵省のペースからそう言わざるを得ないけれども、農林関係災害の中身を分析したらどうですか。それはほんとうにわずかですよ。
  80. 嶋崎均

    ○嶋崎説明員 農林関係の古い資料が実は手元にありませんので、三十九年度の予算で見ますと、二百五十三億九千三百五十四万二千円という数字になっておりまして、四十年度の当初で見ている予算額が二百十三億八千六百三十四万七千円という数字で、約四分の一あるいは四分の一強になろうかと思います。
  81. 武藤山治

    ○武藤委員 ここであなたと政策論争をやってもしかたがありませんからやめます。私は、農民の切実な災害という特別な事情に対しては、大蔵省も農林省ももうちょっと真剣に取っ組んでもいいのじゃないかという気がするわけです。しかし、これは見解の相違になるでありましょうから、これ以上議論はいたしません。  自作農創設維持資金の増額ということについてもかなり強く要望がありますが、今日の自作農創設維持資金のワクの範囲内でこういう災害が起こったときに間に合うのかどうか、そこらの見通しはどうですか。
  82. 永田正董

    ○永田説明員 お答えいたします。  四十年の自創資金のワクは百億組んでございます。そのうち五億を開拓に回しまして、九十五億のうち三十六億を一般の資金としてすでに事務局に限度額を割り振ってございます。残りの五十九億を、災害ワクと申しますか、予備として保留いたしております。大体この中から災害に応じまして、天災融資法等に伴いまして額を定めていく、こういうことをやります。したがいまして、年度当初のうちは心配ないのでございまして、その年の災害の模様によりまして、非常に激甚なものが多いというようなときには、流用あるいは補正というようなことも考慮しなければならぬことになるかもしれません。ことしはいまのところそういうことは心配いたしておらないわけでございます。
  83. 武藤山治

    ○武藤委員 もう一つ、いま自作農資金の申し込みの人数に対して、貸し付けられるパーセンテージはどのくらいに該当しますか。申し込み人が何ぼで、実際に借りられたのは何%に当たりますか。
  84. 永田正董

    ○永田説明員 私資料を持っておりませんので、後刻御報告申し上げたいと思います。
  85. 武藤山治

    ○武藤委員 私の推定ではせいぜい六割程度じゃなかろうかと思う。四割くらいは削られているのじゃないかと思うのです。そうしますと、絶対額が百億では需要を満たし切れない。そういうところにさらに災害が加わってくれば、それは当然足りなくなりますね。そこで、足りなくなるという想定のもとに予算要求を始めないと、おそらく各県からこういう要望が出てきておるものをとても満たすことはできない実情じゃなかろうか、こう私は考えますが、あれは申し込みがあった件数なんかも大蔵省に一々報告しているわけですか。大蔵省はその実態はわからぬわけですか。
  86. 嶋崎均

    ○嶋崎説明員 それぞれの要求の数字農林省のほうでまとめられまして、その結果大蔵省のほうに要求があるという形になっております。
  87. 武藤山治

    ○武藤委員 各県からの陳情の項目については、天災融資法が適用されなくとも何らかの形で補助考えるという先ほどの参事官の御意見でありました。特に雪害の地域にその補助考えておると、さっき答弁をしましたね。天災融資法が適用できない地域でも、かなり局部的な被害程度は深い、面積は狭いけれども深さがあって、個々の農家はたいへんな実情にある。ひょう害なんか特にそうですね。そういう地帯に対する補助なども真剣に農林省は検討をしてほしい。私は強く農林省、さらに大蔵省の担当官に要望をして、本日の質問を終わりたいと思います。
  88. 尾中悟

    尾中説明員 ちょっと私の申し上げましたことにあるいは若干の誤解があったのじゃないかと思いますが、実は東北なりあるいは新潟県等でことし非常に融雪が遅延いたしまして、現在いわゆる冷害的な現象が続いておるということでございます。したがって、天災法の発動自体も問題になっておりますけれども、稲作につきましては、特に農民の方々は雪を割って非常に苦労されて、一メートル以上の積雪地帯で保温苗しろその他をつくられたということでございますし、本年度の気象状況が、気象庁の予報によりますと、非常に楽観を許さないというような状況でございますので、特に東北等についてはそういう補助措置考えたいということで、いま検討中でございます。したがって、従来の例から申しますと、やはり天災融資法なりその他特別な措置がとられる際に初めて補助の問題等も出てくる。全く関連がない、直接関連しているということではないわけではございますけれども、そういう実態になっておるということをちょっと申し上げておきます。
  89. 武藤山治

    ○武藤委員 さっきあなたの言ったのは、私は天災融資法が発動されない場合に何か補助のあれがあるのかと言ったら、目下そういう補助はいままでの慣例に基づいて検討していますと言われたじゃないですか。いまは、天災融資法が適用されるという前提のもとに補助を検討している。今度は前とは変わりましたね。そういういいかげんな答弁では、いままでのあなたの答弁はみんな信用できなくなる。それはやはり前にそういうことがあったということをしゃべったことは事実でしょう。
  90. 尾中悟

    尾中説明員 関連が直接あるというふうにいま申し上げたわけではありません。東北冷害につきましては、今後の問題もございますし、そういうことで当然、従来、二年前の大雪害のときの措置等もございますので、そこらとの均衡の点も考えましていま検討中であるということでございます。
  91. 武藤山治

    ○武藤委員 あとの質問者もありますから、またあとであらためてひとつじっくり参事官に資料提出を願って質問をしたいと思います。きょうはとにかく終わります。
  92. 楯兼次郎

  93. 戸叶里子

    戸叶委員 私は、同僚の武藤委員からすでにいろいろと質問がございましたので、ごく簡単に質問をしたいと思いますが、ただ、いままでの質疑応答を聞いておりますと、どうも農林省の方々は、多くのいろいろな災害にあってもう立ち直ることもできないで、たいへんとほうにくれている農民人たちの気持ちというものがわかっていないんじゃないかと思って、私はたいへん残念に思います。しかも、一つの災害が起きて、その問題がもたもた何かいろいろな協議等をしていて片づかないうちにまた次の災害が起こる、こういうようなことですから、天災というものは期せずして来るものですから、やはりもう起きた天災の問題を早く何とかして農民が立ち上がれるように解決してやっていただきたいということを、私はいま質疑応答を聞きながら思ったわけでございます。たとえてみますと、五月十一日と十七日のひょう害についてもいろいろおっしゃいました。そして関東地方の例を引きまして、栃木県の場合にも麻、たばこのひょう害があった、しかし、いまそれについては調査中であるというおことばを聞いて、私はびっくりしたのです。十一日、十七日のひょう害を調査しているうちに、もう今度は六号台風農村の方たちはたいへんな損害を受けておるわけです。そうすると、調査中というのは一体どういうことを調査していらっしゃるのですか、この問題について私はまず伺いたいと思います。たとえば、県のほうからは、もうすでに、こういうふうな形でこことここがこれだけの損害をこうむっているのですが、何とかしてほしいということは、私は各県から出ていると思います。出ていない県があるかもしれませんが、ほとんど出ていると思うのです。それに対して調査をするということは、一体どういうことを調査していらっしゃるかを伺いたいと思います。
  94. 尾中悟

    尾中説明員 実は私、統計調査部の実際の事務の詳細につきまして承知していないものでございますが、もちろん、災害がございますと、統計調査事務所の職員がおりますので、その直後に現場に出まして、被害程度、面積を出すわけであります。ただその場合に、やはり公平と申しますか、それを期さなければなりませんので、統計事務所の出張所段階あるいは本所段階において持ち寄りまして、いろいろ検討した上で被害程度なり面積を出すということになるわけでございます。それを本庁に報告してまいりまして、本庁ではそれを取りまとめた上、さらに被害金額をこれは特に野菜等につきましては、ものによりまして非常に問題があるわけでございますが、東京近辺の野菜の例を申しますと、東京市場の最近における入荷いたしました価格から運搬賃その他を差し引きまして、いわゆる圃場における価格を算定するわけであります。それを被害の面積、数量にかけまして全体の被害金額を出すということになっておるわけでございます。したがいまして、現場の調査被害がございました直後にやるわけでございますが、その数字の集計、積み上げ、それから評価の確定等にやはり相当な時日を要するわけでございます。
  95. 戸叶里子

    戸叶委員 いまのようなことは大体私も常識的にはわかるわけです。ただ、問題として特殊な本のがあります。野菜などは別ですけれども、麻だとか、たばこだとかいうものは特殊な地域に限られていると思います。そうであるとするならば、調査なり、それに対する査定なり、それからまた、それに対してどういうふうな補助をしたらいいかということは、もっと早く出てしかるべきじゃないかと私は思いますけれども、この辺は一律に扱って、全部の被害が出てこなければ、そして、これは統計事務所で調べたのだから、県庁のはこうなっているけれども、こうなんだというようなことを全部調べ上げなければお出しにならないのかどうか、この点も承りたいと思います。やはり特殊な産物というものがあって、それなら早く補助の対象なり補助金額というものが出てくるんじゃないかと思うのですけれども、この点はいかがでございますか。
  96. 尾中悟

    尾中説明員 従来の例を申しますと、被害の規模によっておのずからその調査の期間も違うわけでございますし、あるいは対象も、ものによりまして、いま御指摘のように、非常に簡単なものと複雑なものとがございますので、一律には申し上げられないと思いますが、最近の例で申しますと三月十六、十七日の雪の被害につきましては、大体四月の下旬でございますか、約一ヵ月ちょっとぐらいで被害金額の確定をやったわけでございます。この場合にはもちろん対象も非常に多うございまして、野菜、果樹、それから森林被害が中心でございます。対象県も、奈良、大阪兵庫、和歌山というふうに数県にまたがっております。したがって、そういうことで一律にはいかないわけでございますが、われわれとしてはできるだけ早くその調査結果を出すように努力はしておるわけでございます。
  97. 戸叶里子

    戸叶委員 できるだけ早くしたいというそのお気持ちはわかりますけれども、各県にまたがっての被害の同じ種類のもの、果樹とか野菜とか、非常に複雑な形でしか算定のできないものと、特殊なものとは、やはり区別しておやりになる、こういうふうにはっきりおっしゃったのでしょうか。その辺のところがちょっとわからなかった。みんな一緒におやりになるのですか。特殊なものは特殊な形でおやりになるとおっしゃったのですか。ちょっとその辺もう一度伺いたいと思います。
  98. 尾中悟

    尾中説明員 たとえば、ひょうによりまして、そういう特殊なもののほかに野菜その他の被害も当然あるわけでございますから、それは全部合計いたしまして、全体として何月何日の降ひょうによる被害は、面積は幾ら、金額はこうということに計算しております。
  99. 戸叶里子

    戸叶委員 それで、すべて、面積とか、その被害をこうむったということで補助の対象にするということがわかったわけでございますけれども、そういうふうな形でなくして、簡単に出るものはやはり簡単に出して、そういうところから解決をしていってあげるというようなこともぜひ今後において考えていただきたい。そうでございませんと、たとえば特殊産業をやっておりまして、先ほど申しました麻とかビール麦とか、そういうような問題があるわけで、そういうものはもう数県に限られての問題でございますから、特にそれは考えていただきたいと思います。  いま、なるべく早く結論をお出しになるということでございましたので、五月の十一日、十七日のは大体いつごろ結論をお出しになりますか、この点を伺いたいと思います。
  100. 尾中悟

    尾中説明員 今月の下旬には、たしか今月の二十日過ぎだったと思いますが、統計調査部のほうでは全部の集計を終わるというふうに見ております。
  101. 戸叶里子

    戸叶委員 そうしますと、五月十一日から十七日ごろのが今月の下旬というかへ二十日くらいで、そのあとの六号台風はまたそれよりおくれるということになるのですか。またそれが一月くらいたたなければお出しにならないおつもりなんですか。一緒におやりになったらいかがでございましょう。
  102. 尾中悟

    尾中説明員 先ほど申しましたように、ひょう害はひょう害といたしまして現在集計中でございます。台風関係につきましては、今度は県が相当多うございますし、農作物の種類もいろいろあるわけでございますので、ちょっといまいつまでという確答はできませんけれども、一月ぐらいはやはりかかるんじゃないか、こういうふうに考えます。
  103. 戸叶里子

    戸叶委員 人数も足りないし、やはりいろいろそこには問題があるでしょうけれども、災害が起きてから一月たたなければ結論が出ないということになりますと、たくさんの農民の方たちがもう働く意欲というものを失ってしまいますし、働く意欲を失うだけでなくしてもうほんとうにどうしたらいいかわからない、生活に困ってしまうというところが出てくるわけです。それで、一月たって解決しないうちにまた台風が来ないとも限らない。これは自然の現象ですから、こういうものを防ぐことができないわけですから、もっと早くこういう問題は解決するように私はぜひお願いしたいと思うのです。  それから、先ほど武藤委員が天災融資法の問題でいろいろお聞きになったのですけれども、結局、ブロックで同じ種類の災害を受けたもので三十億程度人たちが一応の対象になっている。そうしますと、それ以下の方たちになりますと、苗しろとかあるいは種の補助とか、そういうふうな形でおやりになるということでございますけれども、それも補助に対する法律というものがはっきりないんだ、こういうことをおっしゃるのですが、それでは、各県から被害状況があがってきているわけですけれども、過去の経験から申しまして、あがってきた何%ぐらいを補助金としていままでお出しになっていたのですか。各県ではそれぞれ、被害がこれだけだということで、ぎりぎりの線で出していると思うのです。どうせこのくらいしか補助が来ないから、このぐらいに出しておけというような県は、私はおそらくないと思う。ここはこうで、ここはこうでという、正確な数字を出していると思うのです。そういうふうな場合に、その要求額に対して、過去の例をごらんになって、大体どの程度、その何%ぐらいの補助をされていたのですか。たとえば五億七千万なら五億七千万の被害がありましたという通告に対して、大体どの程度補助をしていらっしゃったのでしょうか。
  104. 尾中悟

    尾中説明員 補助金の場合は非常に複雑でございましてたとえば三十八年の新潟等の豪雪の場合には、被害額とは直接関係なしに、非常に雪の深いところでそれをかき分けて苗しろをつくった、そのために資材なりあるいは運搬賃なりその他の経費がかかったという場合に、補助金として二分の一補助をしたという例があるわけでございます。その他、種子に対する補助金でありますとか、果樹とか桑等の改植用の共同育苗費に対する補助金ということで、被害を受けまして今後立ち直るために必要ないろいろなことをやらなければならぬわけで、それに必要な経費の半分とかあるいは三分の一とかいうことでございますので、被害金額の何割ということは、計算すれば当然出ると思いますが、いまその数字を持っておりませんので、性格的に直接被害金額とは関連がないものもあるわけでございまして、いろいろなケースがあるというふうに御了解願いたいと思います。
  105. 戸叶里子

    戸叶委員 それでは具体的に伺いますが、たとえば今度の六号台風栃木県の場合五億七千万の被害が出ておるが、これは天災融資法の適用を受けられないと仮定しますね。茨城とか群馬とかいうところとみてどうかわかりませんけれども、ともかく受けられないと仮定した場合に、それに対してはどういう形で補助をなさろうとするのですか。何かあると思うのですけれども、どういう形でおやりになるか、基本的なものを伺っておきませんと、幾ら陳情書を出しましても、一体どういうふうになるだろうという不安しか持てない。私たち自身さえ、どういうふうになるのですかと聞かれて、わかりませんでは、国会議員はつとまらないと思う。一体どういうふうな基本的な対策をもってお臨みになるか、その点を伺いたい。
  106. 尾中悟

    尾中説明員 今度の台風被害の内容でございますが、農作物被害が一番多いと思いますけれども、その他、農地、農業用施設に対しまして相当な被害があるわけでございます。それに対しましては、暫定法によりまして補助率等もきまっておりますので、早く大蔵省とも連絡いたしまして、現地査定を終えまして必要な措置考えてまいりたい、こういうふうに考えております。それは農地と農業用施設でございます。農産物に対しましては、先ほど申しましたように、金額県報告自体におきましても調査中ということになっておりますので、はっきりここで申し上げられませんけれども、全国的にわたっておりますので、それを集計いたしますればやはり相当の金額になるのではないかというふうに考えております。中には麦が相当あるわけでございますが、麦につきましては農業保険の制度がございます。これは七割以上の減収がはっきり確定されました場合には、県でもって概算払いの措置をとりますし、県だけではまかなえないということになりますれば、国のほうで資金措置考えるということを考えております。また、天災法の発動はここで確約は申し上げられませんけれども、全国的にやはり相当な金額になるのではなかろうかということでございますので、相当金額になりますれば、あるいはそういう発動の問題は当然出るのじゃなかろうかというふうに考えております。
  107. 戸叶里子

    戸叶委員 そうしますと、いまの天災法の発動というものは、地域を分けなくとも、全国的にこんなになるのだからこれを使うという場合もあり得ると考えてよろしゅうございますね。やはりそのくらいのことをお考えになってもいいんじゃないかと思います。
  108. 尾中悟

    尾中説明員 そうでございます。雪害の場合でも近畿全体が全部入っております。
  109. 戸叶里子

    戸叶委員 そうしますと、可能性があるというふうに理解して、ぜひそうあっていただきたいということを強く要望いたします。  それから、もう一点でございますけれども、麦などには農業保険等がございまして何とか補償もできましょうけれども、たとえば大麻、ビール麦、カンピョウ、こういうようなものに対しては何か特殊な補助政策がおありになりますか。
  110. 尾中悟

    尾中説明員 ちょっといま明確に過去の例を覚えていないわけでございますが、異常な災害でありまして、さらに種子等を大量に手当てしなければならぬというような場合には、作物は忘れましたけれども、何かそういう例はかつてあったと思います。  それから、先ほどお話の中で、台風六号の被害全国的に相当あるということを申し上げたわけでございますが、従来の天災法発動の際には、何号台風というそれに限定いたしまして、それが数県なりあるいは十数県なりにわたってこれだけの被害があったということで計算しております。また、その前後の災害別にあれは発動するということになっておりますので、災害別にその金額なり被害程度考えましてそうして天災法を発動するということでございます。(「それでは可能性はあるな」と呼ぶ者あり)ここで確約はできませんけれども、金額の集計を待ちまして検討いたしたいと思います。
  111. 戸叶里子

    戸叶委員 金額は相当にのぼると思いますので、天災法の発動はぜひやっていただきたいということを重ねてお願いしたいと思うのです。  それから、いまの御答弁を伺っておりまして、特殊産業である大麻とかカンピョウが災害を受けた場合の補助対策というものは特別にないようでございますけれども、やはりこれは非常に災害をこうむる率が多いわけです。毎年のように災害をこうむっているわけで、しかもこれは地域としてはごくわずかのところしかつくっておりませんので、この点もぜひ私は何らか考えていただきたいと思いますけれども、御所信のほどを承っておきたいと思います。
  112. 武藤山治

    ○武藤委員 関連でいまのに追加してちょっとお尋ねしたいのですが、いま戸叶先生がおっしゃった大麻とかカンピョウ、これは共済制度に入ってないわけでしょう。農業災害補償法に含まれていないために、ひょう害で全滅になっても何の講ずる手段もない。そこで、農林省としては、米麦以外にそういう作物が他にもたくさんあると思うのですが、そういうものをある程度種類別、類型別に統一していまの農業災害補償法を適用させるような検討というのはしたことがあるのかないのか、そこらをひとつ明らかにしてもらいたいと思います。
  113. 井戸吉次

    ○井戸説明員 ただいま先生からお話がありましたように、現在農作物といたしましては米、麦、それから陸稲、これが対象になっておるわけです。そのほかに養蚕が特別にございます。それ以外のものは現在保険の対象になっておりません。いまお話のありましたようないわゆる畑作物、これにつきましても、すでにいろいろ要望がございまして、いまいろいろな研究を進めている最中でございます。しかし、ほかにも、たとえば果樹というようなこともいま非常に問題になっておりまして、われわれのほうとしましてはむしろそちらのほうに非常に精力をとられておりますけれども、畑作問題につきましても、その保険の設計という関係がございまして、現在検討中でございます。
  114. 武藤山治

    ○武藤委員 なぜいままでできないかという原因はあるわけでしょう。
  115. 井戸吉次

    ○井戸説明員 何といいますか、保険設計が、米その他と違いましてむずかしいという点が一番大きい問題でございます。その設計のむずかしさということは、いろいろございますが、一つは、過去の被害統計がないということが一番大きい問題でございます。それがないと料率設定ができない。それからもう一つの問題は、やはり何と申しましても災害程度を評価する方法でございますね、これがいままで米、麦に比べまして十分な技術的な確立が行なわれてない。そういう点に向かって現在いろいろな試験的なことをやっているという段階でございます。
  116. 戸叶里子

    戸叶委員 いま被害統計がないとおっしゃいますけれども、四、五年前から私はあったと思うのです。だから、そういうことを基準にしてでもやはり考えていただきたいと思うのです。いまの御答弁では、一生懸命研究していらっしゃるということでございますから、私はそのおことばを信じたいと思います。それでは、研究があまり長引かないで、なるべく早く結論を出していただきたい。そして何か保険を対象にしていただいて、毎年起こる災害、こういうもので、そして特殊で、大麻とかビール麦なんというのはつくっている県も少ないですから、ぜひこれを考えていただきたいということを私は要望したいと思います。  そこで、もう一つのお願いは、先ほど北海道泊谷さんがおっしゃったときに、現地のほうに調査に行ってみてもいいというようなお話でございましたけれども、北海道だけでなくて、やはり今度の災害でいろいろ被害をこうむっておりますので、関東地方などにもなるべく早く出て見ていただいて、そして現地を視察した上で農民の気持ちになって補助をやるようにしていただきたい、これを要望いたしまして、私の質問を終わりますが、それに対するお考えのほどを伺っておきたいと思います。
  117. 尾中悟

    尾中説明員 今年は非常に災害各地に出ておりますので、私のほうの組織といたしまして各地にブロックの地方農政局というのがございますが、そこであるいはもう出ておるのではないかと思いますけれども、できるだけ現地の実態も直接目で見て、あるいは現場の人の御意見を聞くという機会をなるべくつくるように努力したいと思っております。
  118. 楯兼次郎

    楯委員長 華山親義君。
  119. 華山親義

    ○華山委員 ことしの異常天候によりまして今後日本の米がどうなるかという問題につきましては、いままで農林省といたしましては、すでにできた災害についての手当てということはなすっておりますけれども、今後発生するであろうところの災害を予防するということにつきましては経験があまりおありにならないのではないかと思う。それで、この際はほんとうにどうしたらいいかということにつきまして考えていただきたいのでございますが、この前私が、まだ四月でございましたか、ことしは事情が変だ、どうするつもりかということをお聞きした中で、農林省の何か組織をつくられたそうですが、それがまだできない前でございましたが、その際に、わせ、なかてを植えさせて、おくてはできるだけ抑制するように指導しておるということをおっしゃったわけでございますが、その指導はどういうふうになっておりますか。実効があがっておりますか、どうでございますか、お聞きしたい。
  120. 加賀山国雄

    ○加賀山説明員 ただいまの華山先生の御質問にお答えいたします。  農林省が、ことしの三月十日の気象庁の暖候期予報が出ましたときに、すぐそれを受けまして、ことしは非常に稲作は心配であるということで、次官通達をいたしました中に、確かに先生おっしゃいました、できるだけ晩稲を避けて、わせ、なかてをやってくれということを特に指導いたしました。そういうことで、わせ、なかてというのは、御承知でございましょうが、特に東北北海道方面におきましては旧来からそういう品種をできるだけ使用するように指導いたしておりますし、現に各県に普及しております品種等を見ますと、先生御出身の山形県はわりあい品種はぱらついておるほうでありまして、一番多いのがハツニシキ、オオトリ、さわのはな、相当ばらついておりますが、これなどはやはり山形の庄内、村山その他非常に生産量の高いところで収量を維持するという点と関連がありまして、必ずしも冷害に強いということだけではない品種がばらついて入っておると思うのですが、しかし、たとえば青森県のようなところでございますと、フジミノリという品種が四二%現在入っておりますが、山形県は現在三十九年度でフジミノリは七三%入っておる。そういうことで、青森県のほうはわりあい普及率がいいようでありますが、やはり農家の収量性を維持したいという観点から山形県にはかなりばらついておりますが、これもやはり晩稲でなく、わせ、なかてという種類のものが入っておりますので、そういう点は、品種の種類につきましては間違いがなかったというふうに存じております。
  121. 華山親義

    ○華山委員 そうすると、そういう指導をなすった効果というものはあったわけでありますか。私は山形県のことを聞いておるのではない。全国的にことに米の産地についてああいう指導をなすったのであるけれども、そういう指導がうまく徹底しておる——おくてが少なくなって、わせ、なかてに移った傾向が顕著であるとか、あるいは数字的にそういうことが明白でありますとか、そういうことのお答えを願いたかったのでありますが、いかがでありますか。
  122. 加賀山国雄

    ○加賀山説明員 全国的に申しまして、特に北のほうでありますが、非常に顕著にわせが入った——というふうに申し上げることはちょっと言い過ぎかと思いますが、反当収量をふやすということがやはり非常に農家の方々の強い御要請でございますので、耐寒と、かつ、わせと、かつ収量性というものは、育種の面から学問的になかなかむずかしい問題がありまして、そういう点をあまり強く指導いたしますことは、たいへん農家の方々の要請におこたえできないという点があります。しかし、私は全般に見まして、青森県の例を見ますと、藤坂五号と農林十七号をかけましたフジミノリが四二%と、非常に顕著に耐寒性のわせ化をしておるというふうに考えていいと思います。
  123. 華山親義

    ○華山委員 その際に、肥料、ことに窒素系の肥料は特に例年よりも控えるべきであるということを指導なすったのでございますが、肥料の需給関係等から見ましてどんなふうな動向であったのでございましょうか。
  124. 加賀山国雄

    ○加賀山説明員 全般的な肥料の需給関係につきましては私の所管ではございませんけれども、生産側といたしまして全体の数字を見ますと、はっきりした数字をここで申し上げられませんが、窒素肥料は全般的に減少いたしております。全国の肥料の消費量、それから販売量からいって、そういうものは若干減退ぎみになっております。ただ、肥料のほうは最近は輸出というような問題もございましょうが、肥料全体としては若干横ばい、ないしは、若干でございますがスローダウンになっておるように思います。
  125. 華山親義

    ○華山委員 どうも若干とか多少とかいうふうなことでございまして、指導があまりうまくいっていないんじゃないかというふうな印象を受けて、ますます私心配になるのでございます。  それから、イモチというものはどうしても今度は出てくるだろうと思いますけれども、先ほど私異常に感じたのでございますが、異常発生を見た場合と、こうおっしゃいましたけれども、イモチの農薬というのは、予防でございましょう。発生してからまくのですか。発生しない前にまいて、発生を防ぐというほうが効果が大きいのじゃございませんか。どういう性質のものでございますか。その点、前提として承っておきたい。
  126. 加賀山国雄

    ○加賀山説明員 イモチに対します農薬というのは、あれはイモチの菌を殺すものでございますので、実際は出た病気を殺すというのが本旨かと思います。しかし、現在発生予察事業というものをやっております。発生予察事業というのは非常に的中度が高くなっておりまして、八〇%的中するといわれておりますが、早目に発生予察をいたしまして、それを知った場合には、特にことしのような場合には、事前に発生防除をやる必要があるかと思います。それから、最近はブラストサイジンSというのがあります。これは水銀剤でございませんが、若干病気にかかったものをさらに再生する力があるというようにいわれております。全体的に水銀剤というのは殺菌剤でございますので、出た場合にその菌を殺す、そういうものでございます。
  127. 華山親義

    ○華山委員 ことしは天明の飢饉なんということをいわれますけれども、そうあってはいけないのでございますが、あの当時の飢饉はイモチ病であろうということをいわれております。私はほんとうのことはわかりませんけれども、そういうことを言う学者があるわけです。昨年衆議院から派遣されまして北海道の凶作の状況を視察した場合にも、道庁の推薦品種のユーカラが非常に多く植えられておったわけでありますけれども、それが災害地に案内されてみますと、イモチ病なんです。そこで、ことしもしも不幸にして凶作ということがあるならば、イモチ病じゃないか、そういうふうに私は考えますが、イモチ病の予防ということにつきまして農林省はどういうふうな政策をお持ちになっておりますか、また、その予算的措置等をお考えになっておりますか、重点的な点がそこにあるかと思いますので、承りたいと思います。
  128. 加賀山国雄

    ○加賀山説明員 昨年の北海道のユーカラのイモチという話があったわけでございますが、確かにあれは耐イモチということで耐病性のある品種というようにわれわれ考えておったわけでございます。ところが、最近、中国系統の血をまじえた稲がございますが——ユーカラというのは中国系統の稲の血が入っておりますが、それに関連いたしまして、いわゆるCレースという新しいレースのイモチ病が出ております。そういうことでございますので、昨年はそれがユーカラに非常についたということでございます。しかし、やはり出ますれば十分な防除をすればいいわけですが、若干そういうところに手落ちがあったかと思います。そういうことで、われわれが発育性、耐病性のいい品種と考えておりましても、農家の方々が、これは耐病性があるからイモチに強いというようにお考えいただきますと、そういう新しいレースの菌が出てまいっておりますので、耐病性といえども防除に怠りないようにことしは特に御注意を申し上げておるわけであります。  その防除につきましては、農薬をまく機械、かつ防除体制ということが非常に重要だと思います。特に一斉防除の場合はそうでございます。最近はヘリコプターを使っております。これらにつきましては、担当の植物防疫課のほうで本年は十分な農薬の手配がついておるようであります。防除機具につきましては、各県にございます病虫害防除所に配置し、特に東北地方に重点的に配置したいと考えております。それからヘリコプターの一斉防除につきましては、若干稲の作柄がおくれておりますので、当初の計画をもう一ぺん計画を変更いたしまして再編成いたす必要があるだろうというふうに考えております。それから、一斉防除に入りますと、やはり防除組織というものが末端では問題になりますので、これらの防除の職員及び末端の農業改良普及員等が十分連携をとりまして、農家の方々と一緒に時を移さず防除体制に入る、そういうふうな指導をいたしております。
  129. 華山親義

    ○華山委員 それにつきまして、この前お聞きしたところでは、機械とかヘリコプターとかいうものについて国のほうでも補助しようというようなことをおっしゃいましたけれども、そういうふうに了解いたしましてよろしゅうございますか。
  130. 加賀山国雄

    ○加賀山説明員 防除機具につきましては、すでに四十年度の予算で予算化いたしておりますので、その機具は重点的に東北地方のほうに配置するということを考えております。
  131. 華山親義

    ○華山委員 四十年度予算で計上したということは、このような災害ということを考えない前の予算でございます。いまここでこういう事態が起きたのだから、もっと機械を配置するという配慮があっていいと思うのですが、そういう配慮はないのでしょうか。
  132. 加賀山国雄

    ○加賀山説明員 それにつきましては農林省のほうでも非常に心配をいたしておりまして、今後そういう緊急事態が起きれば、それに対して必要な措置をとらなければならないというふうに考えておるわけでございます。
  133. 華山親義

    ○華山委員 私、声が大きいからあれですが、決して興奮しておるわけではないのですよ。この点ひとつ御了解願いたいのですが、私は、起きたならばということではいけないと思うのです。病気だって、赤痢が起きたならばということではだめです。赤痢が起きないようにするのが保健衛生なんです。保健衛生のうちで、赤痢が起きたならば金を出そうというような予算では、これはやむを得ず出すのであって、赤痢という伝染病が起きないために予算を組んで出しておるわけなんです。今度はそういうことが起きそうだというのですから、予算を組んで、そうしてそれが起きないようにするのが、私は今度の事態に対する農林省の態度ではないかと思うのです。そういう意味で、昨年度の予算で組まれたものよりももっと多くの機械をことしはひとつ出そう、こういうことでなければいけないと思うのです。  それから消毒の薬でございますけれども、これは前から、会計検査院がやかましいからだめだという一点ばりでこられた。前には出したけれども、会計検査院におこられたから、もうやめました、それでだめでございますということを言ってきましたけれども、ことしのような異常の際には、私はやっていただきたいと思うのです。これは農業団体なりあるいは農家の使い方があとでよく証明できないというふうなことがあるならば、それを防止するだけの方法も考えなければいけない。それで、もうことしは天明の飢饉でだめなんだというふうなものの考え方から、むだに消毒なんかしたってしょうがないじゃないか、むだな金はなるべく使わないでいこうというようなことになったならば、おそるべきことが起こるのじゃないか。それで、先ほどあなたがおっしゃったような機械であるとか共同防除というものを組織立ててやるというふうな場合には、やはり消毒薬につきましても補助があっていいじゃないか、そういうふうなことで思い切ったことをやらなければ何にもならないのじゃないかと私は思うのです。これは社会党の方が言われたことを引用してもあなた方には響かないと思いますから、自民党の方のおっしゃったことを引用しましょう。河野さんがこの問テレビでこう言っておりますよ。おてんとうさまも出ない、金も出ない、何にもしょうがないじゃないか。米がよくとれる、少なくとも被害を少なくするためには——おてんとうさまは人間の力では何ともならない。金は何とかなる。それは大蔵省ですよ。大蔵省の方は、河野さんがそうおっしゃったということをよく覚えておいていただきたい。これは幾らやったところでだめですよ。みすみす損だなと思えば、農民は高い消毒薬は使いませんから。そういう意味で、とにかくいままでのような、会計検査院のやり方がこうだから、そういたしませんなどという考えは捨てていただきたい。その点いかがでございますか。農林省の中にはたいへんりっぱな組織もできたのでございますから、ひとつ真剣に討議していただきたいと思う。ひとつ御感想でもございましたら……。
  134. 嶋崎均

    ○嶋崎説明員 ことしの災害の異常発生についての防除関係の機械の整備費でございますが、昨年の五千四百六十万に対しまして、六千百二十五万と飛躍的に大きな予算を組んでおるわけでございます。もちろん、現在の段階では、昨年から比べまして六割近くふやしておるわけでございますから、相当効果がある、したがって、既定予算の範囲内でも、実行上配置すれば相当の効果があるということを予測した予算になっておると思いますけれども、なお今後の状況を見まして、必要な場合にはどうなるのかということを具体的に検討していきたい、こういうぐあいに考えております。
  135. 華山親義

    ○華山委員 具体的に検討といいますか、早くやってください。調査してみてなんといって一月もかかっていたら、稲のほうはおかしくなってしまいますよ。きめるのは一週間くらいできめてやらなければだめなんです。これはことしのような天候を予想しないときの予算なんですから。私は、農林省が腰が弱いのか、大蔵省が出し渋るのか、ちょっとわからない。何だか農林省が少し腰が弱いんじゃないかという気がしますよ。私は農民のことを考えて申し上げているのですから、ことばが少しおかしくなっても、ひとつかんべんしていただきたいと思うのです。もっとがんばっていただきたい。とにかく、農林省がこういうことを要求したんだけれども、大蔵省が認めなかったためにこういう凶作になったんだというふうなことのないようにお願いしたいと思うのです。  もう一つは技術陣の問題でございますが、いろいろ大綱につきましては農林省は御指示をなさっていらっしゃる。しかし、現地におきましては、個々の場合みな違います。早く雪の消えたところもある。今日でもまだ雪の消えないところもある。もうその土地その土地によって事情が違う。県によって事情が違うし、県の中でも事情が違う。農林省がただ指令を出したというだけでできるものじゃない。それで、農業普及員というものが中心になり、きめこまかい指導をしなければいけないわけです。ことに、ことしのような異常天候についての経験というものは農民は持っておりませんから、これは指導しなければいけない。これを指導するにつきまして、前に、いろいろ旅費等についてはめんどうを見るということをおっしゃいましたが、こんなことでは私はだめじゃないかと思う。特に予算というものを計上しなければいけないんじゃないか、こう思うのです。御承知と思いますけれども、農業普及員は非常に気の毒です。とにかく事務所といったって、どこか小屋みたいなところに入って仕事をしている。そういうふうな状態です。ことに、ことしは農林省の方針で農業普及所というものを統合なさった。出かけていく現地というものは勢い遠くならざるを得ないと思うのでございますが、その事務所をよくするというふうなことは別にいたしましても、現在農業普及員のオートバイの普及率はどのくらいになっておりますか。これは国のほうで補助でしたか負担でしたかなさるわけでございますから、おわかりだと思うのですが、オートバイはどのくらい普及しておりますか。
  136. 加賀山国雄

    ○加賀山説明員 私、普及事業の担当でございませんけれども、私の聞いているところによりますと、過去オートバイの補助をやってまいりましたところでございますが、現在、実際国が補助いたしましたもの、それから県が単独でもっておやりになったもの、いろいろあるわけでございますが、それを含めまして、全国の話でございますけれども、約七〇%ないし八〇%は充足しているというふうに聞いております。ただ問題は、オートバイも、三年あるいは五年もいたしますと非常にいたんでまいります。それに対する更新等については問題が若干あるわけであります。それから、先ほど先生からお話のございましたように、普及所の統合を現在やっておるのでございますけれども、そのために現地から普及所が遠くなるのではないか。これはごもっともなお話なんでございますが、特に、それを防ぐために、現地から遠くならないように、できるだけ町村には必要人数を配置するということを同時にやっておりまして、今回の山形県の災害等につきましては、普及所の統合が非常にプラスになっておるように聞いております。特に山形県につきましては、ジープ四台をさっそく配置いたしまして、それが普及活動上に非常に有効に活用されたことと思っております。
  137. 華山親義

    ○華山委員 ただいまのお話もございましたけれども、そういう少ない農業普及員が一生懸命にやっておる。これは確実に回らなければいけないのでございますから、ひとつジープなりオートバイなり、そういうふうなものを大蔵省に請求をして充足していただきたいと思うのでございます。とにかく一町歩の田でも五町歩の田でも、おかしいと思えば、たよるところは農業普及員しかないのです。農業普及員にちょっと来て見てくださいと言われれば、患者の家に行くお医者さんと同じように、行かなければいけない。そういう手回しが、普通の年ならばいいけれども、ことしは非常に多く起こる。そういうことを一生懸命にやることの積み重ねによって、米の減収というものはできるだけとめられると私は思うのです。それがむだ金であるならば幸福なんです。大蔵省の出した金がむだであって平年作ができるならば、それでいいのです。むだ金になりはしないかと思って出さないということは、私はこういう事態に対してはとるべき態度ではないんじゃないか、こういうふうにも考えますので、今後ひとつ農林省は強硬に大蔵省に要求していただきたいし、大蔵省も、この金によって、農民ばかりでなくて、先ほど言われたとおり、日本の国際収支にも非常に大きな影響があることと思いますので、ぜひひとつお願いいたしたいと思うのでございます。  それから、農林省はそういうつもりはないと言われるのかもしれませんけれども、最近米麦というものを軽視する傾向がある。それは、赤城大臣に伺ったときも、確かに、私はそう思いませんけれども、農林省内にはそういう空気がございました、こう言われるから、私はほんとうだと思う。その結果稲というものに対する学術的研究が退歩しておるのじゃないか、進歩がとまっておるのじゃないか、したがって、こういう際には、ほんとうにそういう欠陥があらわれてくるのじゃないか、こういうふうにも考えます。そういう点につきまして、あるいは御所管でないかもしれませんし、今度の災害に直接関係がないかもしれませんが、何か御感想でもございませんか。
  138. 加賀山国雄

    ○加賀山説明員 たいへんむずかしい問題でございまして、国の農政全般にかかわることでございますので、私などからお答えできない問題でございますが、試験研究につきましてだけ私の感想を申し上げてみますが、確かに、過去明治時代から米麦の研究に注ぎました国の財政的な問題、それからものの考え方は米と麦に徹底して入っておりまして、そのために、特に戦争後の荒廃からみごとに立ち上がった一つの大きな理由に、やはり米の非常な大きな増収ということが寄与したことは間違いないと思っております。しかし、最近の経済情勢の変遷に伴いまして、米ということと同時に、その他の作物につきましても、これは逆にたいへん研究がおくれておったわけでございまして、そういう場面の研究にできるだけ力を注ぐという方向に動いたということはあったかと存じます。しかし、国の大宗をなす米と麦につきまして、研究をおろそかにしたということは、私自身経験いたしませんし、私も米を長くやっておりますが、私の仲間等も米に相当力を入れてやっておりましたので、御心配のようなことはないと思っております。
  139. 華山親義

    ○華山委員 私、学者の方々個人のことについて申し上げるのではございませんけれども、ひとつ米ということにつきまして多数の学者が熱意を持って研究をされるような方向にお願いしたいと思うのでございます。  それから、農業基盤といいますか、そういう問題でございますけれども、こういう際になりますと、温度の調整の問題であるとか、あるいは排水の問題であるとか、非常に重要な問題になってくるのじゃないか。そういう意味から、農業構造改善といって現在のように農民は借金をすることに気が進まない、当然のことかと思いますけれども、そういうふうなことでなしに、国がもっとめんどうを見て、こういう年にでも米のとれるような基盤の整備を基本的にはやっていただくべきではないか。きょうは政務関係の方がおられませんので、皆さん方に申し上げるのはどうかと思いますが、たいへんりっぱな会議をつくっておられるそうでありますから、当面の問題のみならず、今後米というものはいかにあるべきかというような問題までひとつ突き進んで御研究を願いたいと思います。  これで終わります。
  140. 楯兼次郎

    楯委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後一時五十三分散会