○井上
説明員 最近大島あるいは
鹿児島に火災が発生いたしまして多大の被害を出しましたが、都市につきましては、現在都市計画法あるいは土地区画
整理法あるいは建築基準法といったものによりまして土地の利用計画を定めております。用途地域と申しまして、ここは住居地域にする、ここは工業地域にする、あるいは商業地域にするといったような用途をきめますと、あともし防火を要する場合には、防火地域あるいは準防火地域といったような地域規制を設けますとともに、本来わが国の市街地が道路あるいは広場等が非常に少なく、家屋が密集している、宅地につきましても一宅地の面積の規模が非常に過小であるといった
関係から、非常に
災害を招きやすいのでございまして、現在この市街地を合理的な構造に改良するというために土地区画
整理を行なう、あるいはその上ものにつきましては、建築基準法によりますところの規模、構造、用途に関する規制のほかに、助成
措置としまして、
融資をする、あるいは補助をする、あるいは収入の少ない人々に対しましては不燃性の公営住宅を建設していくという
措置を講じてはおりますけれ
ども、必ずしも十分ではございませんので、先ほど先生から御指摘のありましたような
災害がしばしば発生をしているという
現状でございます。
なお、
お話のございました
鹿児島地区につきましては、戦災あと地の復興という
意味で、数十万坪の土地区画
整理を
鹿児島市において行ないましたが、先般の火災の郡元町地区は、その中の四万三千坪の地区でございまして、これにつきましては区画
整理を施行中でございまして、二十五メートルあるいは十五メートルの道路もほぼ整備がされつつある。しかしながら、この区画
整理と申しますのは、実は土地の区画、形質を変更しまして宅地の利用増進をはかるといった見地でございますが、個々の宅地につきましては、従前の宅地の位置、規模、面積、用途等を考慮いたしまして換地を与えるというたてまえになっております。そうしますと、従前から一宅地の規模が過小でありますと、換地を与えましても、地区全体としますと道路等も整備されますけれ
ども、一宅地一宅地は非常に規模が小さい。その上に、そこに
一般の住居地域等で防火地区という制限がかかりません場合には、木造のものが建ってしまう。
一般に、建蔽率と申しまして、宅地に建築物をつくります場合には、住居地域の場合、その宅地の面積から、三十平方メートル、約十坪引きまして、残った面積の六割となっております。したがいまして、三十坪くらいの宅地ですと、十坪を引きまして、二十坪の六割で十二坪まではいける。ところが、この火災にあいました地区は、四万三千坪ばかりの郡元町地区の中で、先ほど先生から
お話のありました三十六年には一万二千坪ばかり、今回は約一割の千二百坪くらいが焼失いたした次第でございますが、これらの宅地はいずれも非常に過小でございまして、十坪前後が多い。建物も六坪ないし七坪といったようなものでございまして、しかも居住されている
方々は、戦後奄美大島に帰れなくなりまして一応公有地等に居住しておられましたのを、市のほうで国有地あるいは市有地をあっせんされて一応暫定的に使用しておられるというような
状況であったわけであります。これらの地区につきましては、三十六年のときに、四万三千坪ばかりの郡元町地区を非常な過密
状況から
改善するために、地区の改造計画を地元公共団体において立てられまして地区の
方々と
話し合いを進められましたが、結局、一宅地が過小であるといったようなことから、もし合理的に市街地を整備いたしますと、
相当部分の方は他の地区に移っていただかなくてはならないといったようなことから、一部分につきましては不燃性の公営住宅が建設されましたが、他の部分につきましては、地区の
方々と
話し合いがつかずに、火災前のような過密な
状況になった。この点につきましては、その
指導なりあるいは助成の方策に不備があったと申しますか、現在の
制度では救い得なかった面があったのであります。今回の焼失地区につきましては、私
どものほうの住宅局におきまして、現地を十分
調査いたしまして、全面的に耐火構造の不燃住宅で建てかえていく、そして従前の
方々にそこに居住していただくという
措置をとっております。
全般にわが国の都市は基本的に土地の利用形態が非常に小さい。画地を大きくしまして、空地も十分とれたような共同建築方式というものができれば問題はないわけでありますが、先ほど内閣のほうの参事官からも
お話がありましたように、財政的な見地、あるいは現在の
融資、補助といったような助成を受けられる
方々の資力の
関係から、必ずしも十分にはいっておりませんけれ
ども、今後、こういったような密集地区につきましては、積極的にその地区の改造、あるいは防火地域、準防火地域といったような地域・地区制の整備を進めていきたい、このように存じております。