○濱田
委員 今回
提案になっております
関係国内法案でございますが、私、これを拝見いたしまして感ずる点は、前の池田内閣当時に
提案されました
法律案に比べましてよほど整備をせられておるように受け取るのです。率直に言って、ほとんど完ぺきに近いものでないだろうかとすら私は感じております。そういうふうに感じておりますので、今回の
国内法案の
審議にあたりましては、私は、法案そのものにつきましては何らもう質問をする必要もないくらいに実は
考えておりますが、
一つ私ぜひお伺いをしてみたい点があるのでございます。
それは、今度の
改正法律案のうちにもありますとおりに、
国家公務員法にしても
地方公務員法にしましても、いわゆる管理運営に属する事項は交渉の対象にしないというような明文があります。私はこれをいままですなおに読んできておりますが、しかし、この管理運営に属する事項というものは一体どういうことだろうかということをいろいろ具体的に取り上げますと、かなり微妙な問題が出てくると思う。その
一つの例といたしましてここで申してみたいのは、ちょうど手元にございます
日本評論社で出しておる「
法律時報」二月号の臨時増刊、これに
ILO委員会
審議の記録というものがございます。昨年の九月にジュネーブにおいて、
ILOの
結社の自由
委員会において、
日本の
政府代表、労働
関係の
代表の
諸君が
出席なさって陳述をしたものを記録に残しておられます。私は、承るところによると、去年のあのジュネーブにおける
委員会での陳述というものは非公開になっておったはずで、まだその記録が正式に発表になっていないものと
承知しております。がしかし、ともかくもこの「
法律時報」という雑誌にその記事が相当詳細に載せられておる。そのうちで
先ほど私がちょっと申したいわゆる職員団体の交渉事項と管理運営事項との関連についての記事が載っておりますので、一応私がこれから質問をいたす
一つの資料として読み上げてみたいと思いますから、お聞き取りをいただきたいと思います。(「何ページだ」と呼ぶ者あり)これはいまの時報の七八ページ。法制
局長官の高辻さんが当時次長のころの発言だということになっておりますので、ちょっと読んでみます。「neg。tiati。nについて」交渉についてという題目がございます。そのうちにこういうのがある。
negtiateすることができる事項は、労働者の利益−雇用条件−にかかわる事項であり、それについてわが法制上の制限はない。したがって、たとえば懲戒権の行使のように、ある事項がいわゆる「管理及び運営に関する事項」に該当するものであっても、懲戒権の行使に関する基準の設定や、懲戒事由の存否その他懲戒基準の適用をめぐる問題のように、ことが雇用条件にかかわるものであれば、そのかぎり、negtiatinの対象となる。国家公務員部門の一般職員につき、人事院規則(一四−〇の二号)は、懲戒に関する事項をnegtiateする事項から除外しているが、これとても、
改正法案が成立すると、人事院規則はその根拠を失ない、制限は撤廃されることになる。非常にたどたどした読み方でお聞き苦しかったと思うのですが、要するに、たとえば懲戒処分をいたしましても、その懲戒を受けた人の勤務条件にいろいろ影響あることは事実なんです。それで懲戒処分そのものは、これは国としてあるいは地方公共団体としての管理運営事項に属することだ。がしかし、その反面やはり勤務条件にいろいろ影響があるから、その勤務条件に影響ある面において団体としての当局に対する交渉をすることはできるというような
意味のものと私は解釈する。ただこの表現が、私が
先ほど申したとおりに、はたして正確なものであるかどうかわかりません。これを高辻さんに対してあなたはこのとおり陳述なさったかというようなことは私は承るつもりは別にありません。がしかし、ともかくもこういう記録が
日本でいま公表せられておる。そうすると、これを見て、一体今後の
日本の国家公務員あるいは地方公務員なんかに対する管理運営ということについて、どういう影響を及ぼすかということになりますと、やはり私は
国会においてこれを宣明する必要があると思うのです。
それで私はこれに関連して、
先ほどからちょっと
国家公務員法の百八条の五の三項とか、
地方公務員法の五十五条の三項、今度の
改正案でございますが、それに触れて申したのでございますが、ともかくもわれわれこういうような今度の
改正案というものをすなおに読んでみますると、懲戒とかあるいは転勤命令のようなものは、いわゆる人事権の発動に属するようなものは、当然国とかあるいは地方公共団体の管理運営事項に属するものだと解釈する。それだから、特にこういうような
国家公務員法とかあるいは
地方公務員法において管理運営に属する事項は交渉の対象にしないということを明書してあるなれば、これは当然団体としての交渉の対象にすべきものではないというふうに、すなほにわれわれはいままで解釈してきておったのですが、この昨年の
ILOにおける陳述というものを見ますると、そこに多少あいまいな面が出てきたような気がする。言うまでもありませんが、懲戒処分にしましても、人事の異動にしましても、それぞれの公務員についてはこれは非常に身分上の影響があるのですよ。勤務条件に影響があるのですよ。私は、そういう
意味合いでその勤務条件に影響があるかという面を取り上げていけば、そのもの自体はいわゆる団体交渉の対象にするということになる。がしかし、いまの
日本の公務員の状態を見まして、それでいいのか。実は、もう御
承知と思いますが、この問題につきましては、国税庁なんかで非常に憂慮しておることです。私も先般来国税庁の
諸君から話も聞きました。国税庁では約五万人の職員をかかえておるでしょう。そうして約一万人の人々を年々異動しておる。そのいわゆる転勤命令なんかを受けた人々が、幾らこれは管理運営事項だといっても、たとえば東京におる者が鹿児島へ転勤になる、勤務条件に非常に影響があることは事実だ。だからこれは何とかしてくれというようなことで職員団体を通して当局と交渉するということになればどうなるか。私はこの点をよほど考慮していかなければ、ある
意味でとんでもない影響を、公務員の職場において起こすおそれがあるというように思うのです。高辻さんの陳述というものは、まさかそういう
意味ではないと私は見ています。見ていますが、これはどうしても
国会において
政府としてはっきりした解明をしておかなければ、将来禍根を残す点でないかと思う。そういう
意味合いで、私は
総理大臣のこの点についての率直な御
意見を承っておく必要があるように思いますので、御答弁をお願いいたします。