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1965-05-18 第48回国会 衆議院 建設委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年五月十八日(火曜日)     午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 森山 欽司君    理事 正示啓次郎君 理事 福永 一臣君    理事 三池  信君 理事 井谷 正吉君    理事 岡本 隆一君 理事 西宮  弘君       逢澤  寛君   稻村左近四郎君       大倉 三郎君    大野  明君       木部 佳昭君    木村 武雄君       佐藤 孝行君    砂原  格君       丹羽喬四郎君    堀内 一雄君       山本 幸雄君    渡辺 栄一君       小川 三男君    金丸 徳重君       實川 清之君    原   茂君       山中日露史君    稲富 稜人君  出席国務大臣         国 務 大 臣 小山 長規君  出席政府委員         総理府事務官         (近畿圏整備本         部次長)    町田  充君         総理府技官         (首都圏整備委         員会事務局長) 小西 則良君         建設事務官         (都市局長)  鮎川 幸雄君         建 設 技 官         (河川局長)  上田  稔君         建 設 技 官         (道路局長) 尾之内由紀夫君  委員外出席者         参議院議員   田中  一君         農 林 技 官         (農地局参事         官)      永田 正董君         農林事務官         (水産庁漁政部         長)      山中 義一君         農 林 技 官         (水産庁漁港部         長)      瀬尾 五一君         参  考  人         (水資源開発公         団理事)    小林  泰君         専  門  員 熊本 政晴君     ――――――――――――― 五月十三日  委員大野明君及び玉置一徳辞任につき、その  補欠として内海安吉君及び栗山礼行君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員内海安吉君及び栗山礼行辞任につき、そ  の補欠として大野明君及び玉置一徳君が議長の  指名委員に選任された。 同月十八日  委員金丸徳重君及び中嶋英夫辞任につき、そ  の補欠として佐々木更三君及び小川三男君が議  長の指名委員に選任された。 同日  委員小川三男君及び佐々木更三君辞任につき、  その補欠として中嶋英夫君及び金丸徳重君が議  長の指名委員に選任された。     ――――――――――――― 五月十七日  首都圏整備法及び首都圏市街地開発区域整備法  の一部を改正する法律案内閣提出第一二二  号)(参議院送付) 同月十二日  民間宅地造成事業等に対する融資に関する請願  外二件(三池信紹介)(第三八九〇号)  同(大石八治君紹介)(第三九一二号)  同(辻寛一紹介)(第三九四四号)  都市地下駐車場建設促進に関する請願池田清  志君紹介)(第三九四三号) 同月十三日  民間宅地造成事業等に対する融資に関する請願  (地崎宇三郎紹介)(第四一九五号) 同月十四日  外ノ目川の災害防除に関する請願笹山茂太郎  君紹介)(第四六四一号)  多摩川河川敷市民への解放に関する請願外五  十二件(田川誠一紹介)(第四六四二号) 同月十五日  鳴門、明石間の本土、四国連絡橋架設に関する  請願三木武夫紹介)(第四六八二号)  多摩川河川敷市民への解放に関する請願(加  藤進紹介)(第四八八六号)  同(川上貫一紹介)(第四八八七号)  同(林百郎君紹介)(第四八八八号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 五月十三日  利根川河口せき建設反対に関する陳情書  (第四〇六号)  県道整備事業促進等に関する陳情書外一件  (第四二〇号) 同月十四日  国の主管に属する道路所有権無償譲渡に関  する陳情書  (第四八二号)  市道整備費国庫補助等に関する陳情書  (第五〇八号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  首都圏整備法及び首都圏市街地開発区域整備法  の一部を改正する法律案内閣提出第一二二  号)(参議院送付)  住宅協同組合法案田中一君外六名提出参法  第一五号)(予)      ――――◇―――――
  2. 森山欽司

    森山委員長 これより会議を開きます。  去る四月三十日、本委員会予備審査のため付託になりました、住宅協同組合法案議題といたします。
  3. 森山欽司

    森山委員長 まず、本案について提出者から趣旨説明を求めます。田中一君。
  4. 田中一

    田中(一)参議院議員 ただいま議題となりました住宅協同組合法案につきまして、提案理由並びに要旨を御説明申し上げます。  今日、経済高度成長は、中小企業の倒産、諸物価の著しい騰貴等国民生活に大きなひずみを生じる原因を醸成いたしております。特に住宅問題につきましては、戦後二十年を経て一向に解消されないばかりでなく、高度成長政策に伴う人口大都市集中、世帯の細分化傾向のために、改善のきざしも見えず、かえって深刻化しつつあるのが現状であります。勤労階級、ことに低所得者においては、数十倍にものぼる競争の激しい公営任宅公団住宅には入居する機会が乏しく、やむを得ず民間の粗悪狭小な木造アパートに居住を余儀なくされております。  政府は、これらのひずみを是正するため、中期経済計画におきましては、住宅環境施設整備を推進することを第一の目標に掲げておりますが、現在の深刻なる大都市問題や住宅問題を早急に解決するための具体的なしかも抜本的な政策は少しも明らかにされておりません。  いまや、地域住民勤労者はみずからの手で住宅難を解決しようとして、住宅組合法に基づく住宅組合、あるいは消費生活協同組合法に基づく住宅生活協同組合組織し、厚生年金還元資金労働金庫資金等を原資として、各地で活躍いたしております。しかしながら、前者は大正十年に制定された法律で、その後所要改正が行なわれたにもかかわらず、社会経済的背景が著しく変革したこと、また後者は生活に必要な消費物資購入販売を主たる目的としたもので、組合員に対する宅地住宅供給事業を行なうについては、実施面において幾多の障害に直面していること、並びにこれら地域住民勤労者の自主的な組織である住宅組合住宅生活協同組合に対して、政府は積極的な助成策を講じないことなどの理由から、これらの組合の健全な発達が阻害されてきたのであります。しかしながら、最近とみに、地域住民勤労者の中から、大都市問題や住宅問題を解決するために、協同組合による住宅供給制度を確立することの要望が強くなってまいりました。  また、最近社会問題となりつつあるわが国の宅地事情考えますと、地域住民勤労大衆が自主的な認識のもとに、協同組合精神に基づく共同住宅建設を推進することは、土地の合理的な高度利用をはかる上にきわめて適切な方策と考えられるのであります。  いまや転換期を迎えつつある住宅対策として、公共賃貸住宅を大量に建設する一方、自主的でかつ協同組合精神に基づく、組織による住宅供給制度を確立することは、国民住宅の将来のいしずえを築く上に緊要欠くべからざるものと考えます。これが本法案提出する理由であります。  以下その概要を申し上げます。  まず第一に、住宅協同組合は、法人といたしまして、都道府県区域地区として各一個設立されることとしました。組合は、原則として、その組合地区内に住所を有する組合員をもって構成されるものとし、組合への加入脱退は自由とし、組合へ加入するには出資一口以上を有しなければならないことになっております。なお、組合は、千人以上の組合員がなければ設立できないものとし、組合員はその出資口数にかかわらず、各一個の議決権及び選挙権を有することにいたしております。  第二に、組合の役員として、理事及び監事を置くこととし、総会において選出されるものとし、その任期は各三年以内といたしました。通常総会は、毎事業年度一回招集しなければならないこととし、定款変更、毎事業年度収支予算及び事業計画の設定または変更等重要事項総会議決を経なければならないこととしております。なお、組合は、総会にかわるべき総代会を設けることができることとし、組合業務執行理事会において決することとしております。  第三に、組合の行なう業務でありますと、住宅協同組合設立目的に従いまして、組合員のための住宅建設または取得住宅用地造成または取得組合員に対するこれらの住宅または住宅用地賃貸または譲渡組合員からの貯金の受け入れ、組合員のための住宅または住宅用地の売買、交換または賃貸の代理または媒介を行なうことをその主要な業務とすることとしております。  第四に、組合財務でありますが、毎事業年度収支予算総会議決を要するものとし、準備金繰り越し金及び剰余金の割り戻し等について所要規定を設けまして、組合員の利益を保全するためにその財務を適正に処理するための基準を明らかにいたしております。  第五に、都道府県知事は、組合に対し、その業務一般的状況に関する報告徴収業務または会計状況を検査できるものとするほか、所要命令をすることができることといたしまして、組合関係する行政の適正な処理をはかることができることとしております。  第六に、組合組織事業及び経営の指導並びに連絡、また組合に関する知識の普及及び情報の提供等を行なう団体として、各組合勤労者団体等会員とする住宅協同組合中央会全国を通じて一個設けることといたしました。会員加入脱退は、自由とし、会員は各一個の議決権及び選挙権を有することとし、中央会定款の定めるところにより、会員に対し、経費を賦課することができることといたしましたてなお、中央会に対しましては、建設大臣が、報告徴収業務または会計状況を検査し、所要命令をすることができることとしております。  以上がこの法律案提案理由及びおもな内容であります。  何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛成くださるようお願い申し上げます。
  5. 森山欽司

    森山委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。      ————◇—————
  6. 森山欽司

    森山委員長 次に、首都圏整備法及び首都圏市街地開発区域整備法の一部を改正する法律案議題といたします。     —————————————
  7. 森山欽司

    森山委員長 まず、本案について提案理由説明を聴取いたします。首都圏整備委員長小山長規君。
  8. 小山長規

    小山国務大臣 首都圏整備法及び首都圏市街地開発区域整備法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその趣旨を御説明申し上げます。  現下の首都及びその周辺は、人口及び産業集中化が無秩序に進んでおりますが、この対策として、全国においてはここ数年来ことに公共施設整備に努力するとともに、他方、首都圏既成市街地における工業等の制限に関する法律改正強化を行ない、人口増加原因となる施設の新増設を一そう抑制することとし、あわせて工業衛星都市としての市街地開発区域も十八地区にわたってその育成整備につとめているところであります。  このような政府あるいは地方公共団体等の懸命の努力にもかかわらず、遺憾ながらなお十分にその効果をあげるに至っておりません。特に最近既成市街地周辺部におきましては、遮断緑地として想定しております近郊地帯を越えて、無秩序な市街化が急送に拡大しつつある状態であります。  こうした既成市街地周辺部の無秩序な市街化を防止し、計画的に市街地整備し、あわせて緑地の保全をはかるため、既成市街地周辺近郊整備地帯を設定し、広域的かつ総合的な土地利用をはかるとともに、この区域を離れた現在の市街地開発区域都市開発区域と改称し、従前のように工業都市または住居都市としての機能のみならず、研究学園都市その他の性格を有する都市としても発展せしめることができるものとし、また、これらの地域への産業の分散を一そう推進するため、近畿圏における都市開発区域、新産業都市等においてとられてきた地方税の不均一課税に伴う地方交付税補てん措置をも認めることといたしたいと存ずるのであります。  これに加えて、現在の首都圏整備計画内容を拡充し、あわせて工業団地造成事業に関する規定整備することにより、首都圏問題の解決を強力に推進しようとするものでありまして、これがこの法律案提案する理由であります。  次に、その要旨を御説明申し上げます。  まず、首都圏整備基本法である首都圏整備法改正でありますが、第一に、近郊整備地帯を現在の市街地開発区域指定する場合と同様の手続により指定し、この地域において計画的に市街地整備し、あわせて緑地を保全すべく、公共施設社会福祉施設あるいは緑地施設等の多岐にわたる整備計画を策定し、その実施を推進することにより、首都近郊の無秩序な市街化を防止しようとするものであります。  また第二は、既成市街地及び近郊整備地帯以外の首都圏内における従前市街地開発区域都市開発区域と改称し、それぞれの立地条件にふさわしい性格衛星都市として整備し、首都圏における人口産業等の適正な配置をはかろうとするものであります。  第三には、首都圏整備計画内容として、電気通信等通信施設整備に関する事項、あるいは首都圏における広域的な交通通信体系または水の供給体系整備するために必要な事項を加えようとするものであります。  次に、首都圏市街地開発区域整備法の一部改正でありますが、第一に、題名を首都圏近郊整備地帯及び都市開発区域整備に関する法律と改め、近郊整備地帯及び都市開発区域整備のための法律といたしております。  第二には、首都圏整備計画実施を確保するため、従前市街地開発区域について規定されておりました、建設大臣都市計画決定上の首都圏整備計画尊重義務に関する規定を、近郊整備地帯及び都市開発区域においてそれぞれ適用されるものとし、あわせて、この場合において建設大臣用途地域等指定をしようとするときは、都県知事申し出に基づいてするものといたしております。第三は、工業団地造成事業に関する諸規定整備でありまして、同事業近郊整備地帯及び都市開発区域の両地域においてこれを行ない得るものとするとともに、その施行者となり得る者として、新たに市町村を加えるほか、近畿圏における工業団地造成事業と同様に、事業周知措置土地建物等の先買い、土地の買り取り請求、生活再建措置事業計画の作成、同事業施行により設置された公共施設の管理、公共施設の用に供する土地の帰属、不動産登記法特例その他、事業を適正かつ円滑に実施するために必要な規定を設けることといたしたのであります。  第四には、都市開発区域への工場誘致をより積極的に推進するため、同区域内における工場の新増設に関し地方税の不均一課税を行なった場合には、地方交付税法上の基準財政収入額の算定に関する特例措置を講ずることといたしております。  なお、指定都市につきましては、さきに述べました用途地域等申し出及び工業団地造成事業に関する事務に関し、指定都市の長をもって都県知事と同等の法的取り扱いをいたす規定を設けることといたしております。  以上がこの法律案提案理由及び要旨でございますが、首都圏整備の推進が焦眉の急務である事態にかんがみ、何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  9. 森山欽司

    森山委員長 以上で提案理由説明は終わりました。     —————————————
  10. 森山欽司

    森山委員長 この際、本案審査のため、水資源開発公団理事小林泰君を、参考人として意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 森山欽司

    森山委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  なお、参考人からの意見聴取は、質疑応答の形式で行ないたいと存じまするので、御了承願います。     —————————————
  12. 森山欽司

    森山委員長 質疑の通告がありますので、これを許します。小川三男君。
  13. 小川三男

    小川(三)委員 首都圏整備は、工業団地造成等大きな問題でありますが、これに関連しまして、東京都の水を確保する、あるいは工業用水を確保する上に、利根水系の大きな整備が行なわれなければならないはずであります。その中で、利根河口きの建設は、水資源開発公団計画し、一切の事業に当たるのかどうか、その点と、着工の日時目標を伺いたい。
  14. 小林泰

    小林参考人 利根水系水資源開発につきましては、水資源開発促進法によりまして、水系指定がすでになされておりまして、昭和四十五年を目標とする水の需給計画が閣議決定されております。それに基づきまして、公団のほうへは、関係主務大臣から実施方針が示されて、公団実施設計を立てて、承認を受けて、工事に着工するという仕組みになっておるわけでございます。河口ぜきも、すでに実施方針建設大臣からいだだきまして、現場の小見川町に建設事務所を設置しておる現状でございます。それで、本年度十五億円の予算をもちまして、本体の一部に今秋から着工する予定になっております。  水の需給につきましては、二十トンの新たな水利権が設定されることになるわけでございますが、これは上流の、公団でやっております八木沢、下久保のダム、並びにすでに建設省で設置されました多目的ダム群によって放流される水のうちから二十トンを、東京千葉埼玉関係において、上流部において取水するという計画になっておるわけでございます。
  15. 小川三男

    小川(三)委員 主として私が伺いたいのは、この問題は、河口ぜきによる、上流下流との間に大きな利害の対立があるわけです。あなたのほうへ茨城波崎町、銚子市、現地東庄町、この二町一市の市長、町長、議会議長要望書が出ておると思いますが、まだ到着しておりませんか。
  16. 小林泰

    小林参考人 いただいております。
  17. 小川三男

    小川(三)委員 その要望書に対して、水資源公団はどんな考えをお持ちになっておりますか。というのは、利根上流においても、千葉茨城、栃木、群馬、埼玉、五県の淡水漁業者の間に、淡水魚の問題について——この河口ぜきができた場合の、これはあくまで未来に対する想定ですが、淡水魚その他について魚道はつくられるはずです。これはいままで農林省水産庁あたりで、この魚道が成功している例あるいは、成功しなかった例、そういうようなデータがあったら伺いたい。  ここに問題があるのは、上流人たちは、下流からの魚道が完全に効力を発揮して、上流へ稚魚やその他の遡上することは差しつかえないだろう、そうしますと、下流利根波崎地区は、およそ利根の堰堤でとめられた場合には、あれは完全な入り海状態になるはずです。いまでも塩水佐原地先にまで逆流しておるわけですから、したがって利根下流せきを設けた場合には、銚子地帯はもう完全な入り海になり、完全な塩水になる、その場合には、淡水と海水との混合される状態の中で、魚介類は死滅するということを、下の人たちは非常に大きな心配をしておるわけです。これらについての調査その他対策について、どういう処置をなさるか。
  18. 小林泰

    小林参考人 お説のとおり、このせきによります影響は、漁業に対して最も私どもも関心を持っておるわけでございますが、先ほど御説明申し上げましたとおり、このせき塩害の際に操作いたしまして、上流に対する塩害を極力最小限度にとどめようという考えでございます。したがいまして、上流ダム群による放流によりまして、従来より塩害は全般に緩和されるわけでございますが、それにしても、年に平均しますと三十回余りの操作が必要であるのではないかというふうに考えておるわけでございます。しかし、年間を通じて、通常の場合では開放されているのが常態でございまして、そういう状態から考えまして、漁業に対する影響も、下流のほうで御心配になるほどの問題ではないと考えております。しかし、これについては、それぞれ専門の方々に御調査を依頼いたしまして、それの対策あるいは増殖対策等についての御研究を、県の関係の部局に委託費を出しまして、本年度調査をお願いすることにいたしております。また、学界の方面におきましても御研究を願うということで、万全を期してまいりたいと思っておるわけでございます。
  19. 小川三男

    小川(三)委員 下流は、水資源開発公団説明その他、あなたのほうのそういう説明によって、一時納得しておったわけです。ところが最近は、茨城波崎側は絶対反対、それから銚子淡水漁業者はこれまた絶対反対東庄業者もそのとおり、反対の決議をして、強力に反対運動を推し進めていくというような状態に立ち至っているわけです。現に起こっている問題として、最近一番大きく起こっているのは、小型の漁船のいわゆる船大工の問題で、小さな木造船業者に対して、漁業者からの発注がとまってしまった。ここにおる船大工組合人たちは、もはや生計を維持することができないというような不安にさらされておる。と同時に、工事が始まると、濁った水が下流に流れてくるだろう、そういう場合に魚介類の死滅が起こる。ここに銚子西漁協、下漁協、中利根漁協笹川漁協、北総漁協波崎漁協、こういうように小さな組合がありますが、この人たちは、きょうとった漁をきょう売って、そして生活を維持しているような人たちです。したがって、いわば日雇い労働者とおよそ変わりがない。自営業者であっても、生活の上においては非常に零細な漁業者です。この人たちが非常に不安に考えておるのは、工事が始まって上流から濁った水が来たら、もはや漁業は完全にとまってしまう。それとシジミ業者が非常に多い。員数としてはほとんどシジミです。これもまただめになるというので、非常な心配をしておる。これに対する補償なり賠償なり、そういうものについてお考えになっておられるのかどうか。
  20. 小林泰

    小林参考人 お説のとおり、工事に伴います直接の濁水、あるいは工事区域しゅんせつ等によります直接のシジミその他の被害、そういったものはもちろん補償してまいります。  それから先ほど御心配になりました河口きの操作によるいろいろな被害漁業面に及びました場合、これらは現在そういういろいろな方面の御調査をもとにいたしまして、補償する場合は、適正な補償をやってまいりたいと思っておるわけでございます。
  21. 小川三男

    小川(三)委員 その場合、水資源公団がその補償に当たるのか、農林省が当たるのか、その点明確に伺っておきたい。
  22. 小林泰

    小林参考人 水資源開発公団補償に当たります。
  23. 小川三男

    小川(三)委員 それで、魚道は、あの設計によりますと、茨城県側には魚道ができておるが、千葉県側には魚道ができておらない。これは一体どういう関連でそういうようになっているのか。千葉県側からは、千葉県側にも魚道を設けるようにという要望書が出ておるはずです。それについての御考慮はなされておるのかどうか。
  24. 小林泰

    小林参考人 魚道の問題につきましては、現在パンフレット等に図面が載っておりますが、あれはごく概略な予備設計の段階でございまして、これはそれぞれの専門方面の御意向に従いまして、機能を十分発揮するような施設をしてまいりたいと思っております。したがいまして、左岸に現在図がありますのは、要すればもし右岸にも必要ならばそういうものを設けていくという考え方に立って、目下専門家の御意向あるいは現地専門家の御意向、そういうものを伺って、十分な検討を進めてまいりたいと思っておるわけであります。
  25. 小川三男

    小川(三)委員 そうしますと、着工するために小見川にはすでに工事事務所ができておりますが、研究の過程にあるということで、設計は完了したのじゃないということですね。
  26. 小林泰

    小林参考人 現在小見川に開設いたしました事務所は、まだ庁舎を建築中でございます。仮事務所でやっておりまして、庁舎あるいは宿舎等も建築を進めておる段階でございまして、定員も現在まだ三十名くらいそろった現状でございます。したがいまして、本格的な作業にはまだ取りかかっておりませんが、直接工事のために必要な用地、そういったものの交渉、あるいは下流漁業関係者あるいは府県等の連絡に現在力を入れておる段階でございます。  それから、四月の中旬に総裁、副総裁、それから担当の私どもがお供をしまして、現地の、先ほどの関係市町村にそれぞれ参りまして、議員さん方とも懇談して、御要望の点もよく伺って、工事については御協力を得るようにお願いして回っております。
  27. 小川三男

    小川(三)委員 それから、先ほど水資源のほうで、被害が発生した場合には補償するということですが、三十九年度千葉県の内水面漁業の漁獲高約三億、このうち四割がシジミです。このシジミ業者というのは、また非常に零細な業者である。したがって被害が発生した、調査するというようなことで、時日が経過してからでなければ補償できないというような場合に、この人たちはきょうとったシジミをきょう東京市場に出して生活を維持しているのですから、いわゆる官庁仕事のような長い調査や資料によって補償が決定しても、これでは生活が維持できない。こういうような場合に、どんな具体的な対策をお持ちになっておられるか。
  28. 小林泰

    小林参考人 ただいま具体的な対策と申しましても、ここで私が申し上げる段階ではないと思いますが、そういうような生活に直接影響のあるような問題は、やはり迅速な解決をしていくという考え方で処置してまいりたいと思っております。
  29. 小川三男

    小川(三)委員 農林省の方に伺いますが、利根河口ぜきの上流の人はこのせきの建設を非常に要望しているわけです。佐原を取り入れ口とする両総用排水、笹川を取り入れ口にする大利根用水、塩水が入るので水が取れない、田植えを控えて苗代田へ水をれることができない。塩の害を受けておる。上流人たちは非常に河口きの建設を急いでいる、これは事実であります。ところが、経済企画庁の水資源局のあの計画を見ますと、ここに利根河口きの建設に関し、北総台地東部地区のかんがい用水等将来の水需要に対しては、今後合理的な措置を講ずるようにするものとすると、附帯事項のように入っているだけである。利根水系の中で農業用水の確保ということが明確にされておらない。これに対してはどんな対策をお持ちになっておるか。
  30. 永田正董

    ○永田説明員 利根の基本計画を定める際、特に河口ぜきの基本計画を追加する際に、農業用水としていまおっしゃった水が必要であるということはわかっておったのでありますけれども、目下調査中の段階でありまして、取水量も確定的な段階に至っておらなかったわけでございます。したがいまして、確定するのを待って相談してこれはプラスして入れることにしよう、こういう方向で関係各省の御了解を願いまして、そういうことがあるので、そういう文句を入れることになったわけであります。確定しますれば正確にこれを入れる、こういう方向で考えておるわけでございます。
  31. 小川三男

    小川(三)委員 千葉県の調査によっても、北総台地東部用水が毎秒十三トン、中央用水が二十二トン、根本名川用水が三・七トン、約四十トンくらいの水が必要であるということが言われているのですが、農林省側としては、農業に対するかんがい用水としてこれを確保することについて、水資源公団との間に話がついているのかいないのか、その点を伺いたい。
  32. 永田正董

    ○永田説明員 お答えいたします。  ただいま基本計画の中に正確に載っております新規の水の供給力あるいは需要、それは昭和四十五年度までをプロジェクト別にといいますか、用途を明確にして計上いたしておりますが、四十六年度以降のものにつきましては、まだ全般的に明確を欠いておるわけでございます。これらにつきましては、明確になり次第といいますか、まだ相当時日がございますので、その間に企画庁を中心として水の需給計画を明確化したい、こういうことでございますので、いま仰せになりましたようなことは、四十六年以降の水の需給バランスの中で考えていこう、こういうことを考えておるわけでございます。利根河口ぜきができ上がりますころになりますと、どうしても霞ケ浦の水の需給関係というものを明確化しなければなりません。これにつきましては少しずつ調査を進めておりますが、今後さらにこれを明確化していきたい、こういうことを考えておるのであります。利根川と霞ケ浦、こういうものを両方にらみ合わせて検討していくつもりでございます。
  33. 小川三男

    小川(三)委員 それと、いま一つ農林省の方に伺っておきたいのは、安食地先に東洋一を誇る揚水機場をつくりましたね。印旛沼の増水時の水を利根川へはくためにつくった。ところがいまの印旛沼の水は京葉工業地帯の工業用水にも足らない状態である。したがってあそこの揚水機場は機能を全く失っている。なぜかと言えば、印旛沼の水を利根川へ排水するための機場は、印旛沼の水が足りない。したがってそれを利根川から取り入れるというような方法は、逆につくのかつかないのか。またそういう計画をお持ちになっておるのかどうか。
  34. 永田正董

    ○永田説明員 お答え申し上げます。  安食のポンプ場は、当初建設しましたときから、その目的を排水として考えておるわけでございます。したがいまして、百年に一度ぐらいの非常に希有な大きな洪水の場合、印旛沼の水がはんらんする、それを防止するために利根川にこれをはくという目的で、排水の目的でつくったものでございます。その後工業用水等の需要ができてまいりました。五トンばかりの水を、工事の途中で千葉県側に印旛沼から取り入れるということになりました際に、利根川の余水を印旛沼に入れるほうがよいということになりまして、余水がある場合に二十トンの範囲内でこれを取ってもいいではないかということで、このポンプ場について建造しつつあるという状態でございます。同じポンプ場ではなしに、別に揚水機の設備をやっておるわけでございます。
  35. 小川三男

    小川(三)委員 時間がありませんので、もう一点だけ伺っておきます。これは農林省の水産庁の方にお聞きしたいのですが、魚道は各地に設けられてあるはずですが、いままでのいろいろな工事、これは成功しておりますか。
  36. 山中義一

    山中説明員 お答え申し上げます。  魚道は、魚の種類によりましていろいろその働きが違うわけでございますけれども、一般的に申し上げますと、あるいはそのせきが設けられます場所、つまり上流でありますとか、あるいは中流とか、河口近くでありますとかいうことで違うのであろうかと思いますけれども、一般的にかなり大ざっぱな申し上げ方で申し上げますと、いままでのような設計のしかたでは、あまり効果はございません。比較的少ないと考えてよいのではないか。のぼる力の強いサケのようなもの、これは比較的よくのぼりますが、そのほかのものはあまり効果があるとは考えられないということでございます。ただし、これは一切の魚道がだめだという意味ではございませんで、いままで日本で普通につくられておりましたものは、比較的少ないということであります。
  37. 小川三男

    小川(三)委員 もし利根河口ぜきの魚道が成功しなかった場合には、上流各県の淡水魚業はおよそ死滅するに至る。というのは、特にウナギなどは利根川を遡行するものが非常に多い。こういうような点で、魚類によるといいますか、一般的に言って成功してないというように受け取ってよろしいのですか。
  38. 山中義一

    山中説明員 お話の成功してないという点がよくわからないのですが、どういうことですか。
  39. 小川三男

    小川(三)委員 たとえばウナギの稚魚の問題です。
  40. 山中義一

    山中説明員 ウナギの稚魚は、魚道で効果があるかないかということですか。
  41. 小川三男

    小川(三)委員 これが非常に大きな漁獲量を示しているわけです。
  42. 山中義一

    山中説明員 ウナギの稚魚はのぼる力は相当強いのでございますけれども、まだ小さいから、水流に対してののぼる力はあまりないと考えていいんじゃないか。ただしこれはせきがどのような姿でできて、またどいうふうにあとで管理されるかによってたいへん異なるのではないかというふうに考えております。先ほどの水資源公団のほうの御説明では、まだ確定しているようには私どもは受け取っておりません。私どもも最終的な設計図をもって御相談を受けておるというようなことはございません。
  43. 小川三男

    小川(三)委員 これは重大な問題だと思うのですがね。利根河口ぜきに着工するという、工事は早急に進めなければならないと言っているにもかかわらず、いわゆる淡水漁業を確保しなければならない農林省側では、その設計図も見ておらない、その計画にも参画しておらない、こういうような統制のない各省ばらばらのこの事態が大きな問題だと思うのです。その点、水資源公団はどうして農林省水産庁あたりと十分な打ち合わせをやらないのか。
  44. 小林泰

    小林参考人 先ほど申し上げましたとおり、まだ最終的な設計ができておらないわけでございまして、この設計にあたりまして、よく水産庁の御意向をお伺いしてまいりたいと思っておるわけでございます。
  45. 小川三男

    小川(三)委員 では最後に伺っておきますが、利根下流からあなたのほうへ要望書が出ておりますが、要望書を出した各地域人たちは、あなたのほうが説明に行かれた当時は、わりあいに了解して、いわば補償その他によって解決しようという考え方が濃厚だった。しかし最近ではもう絶対反対というのが非常に多くなってきている。したがって、あなたのほうが、この補償その他の問題について具体的な資料を持って、こういう事態に対してはこういう補償をする——たとえば小さい造船業者はすでに仕事を失ってしまって、工事が始まったらおよそ魚介類の水が濁ってくるのは当然であるから、これは大きな問題になってくる。したがってこれらに対して十分な資料を整えて、再度現地に行って説得する必要がある、協議する必要がある。それと、特に銚子市あたりが反対に回ったのは、東京都の水を確保するために、あるいは大工業資本の水を確保するために、下流が犠牲にならなければならないという理由はない。およそあの河口ぜきができた場合には、いままでの下流入り海になってしまう。その場合に漁業、漁港その他一切を含めて大きな変化が起こってくるだろう。つまり予測し得ない変化、あるいは予測し得る損害、そういうようなものについて、十分な資料を持って、再度あなたのほうで現地へ行って協議されることを要望して、私の質疑を終わります。
  46. 森山欽司

    森山委員長 次に岡本隆一君。
  47. 岡本隆一

    ○岡本委員 首都圏整備法律改正にあたって一番重要な問題点は、近郊地帯整備をどうするかという問題であると思うのであります。  そこでお尋ねをいたしたいと思いますのは、まず第一に、従来近郊地帯というものに対してどういうような整備の方針をとってきたか、あるいはまた、それについて何らかの行為規制の方針が明らかに樹立されておったのかおらなかったのか、このことをお尋ねいたしたいと思います。
  48. 小西則良

    ○小西政府委員 近郊地帯につきましては、整備法には、首都既成市街地の秩序ある発展をはかるために、緑地帯の設定を必要とする区域であるというきめ方になっておりまして、要は既成市街地内においては属しております公園、緑地であるとか、あるいはその他レクリエーションの施設といったようなものをここに設けて、既成市街地の発展をここで遮断しようというのが、この法律における近郊地帯目的であったかと思います。そこで、これに法的手段としてどうするかというところまではございませんけれども、これにつきましては、都市計画法によるとか、あるいは建築基準法によるというようなことで、既存の法律に従いまして、できるだけ緑地保存ということに、行政指導というような形において現在まで進んでおる次第でございます。
  49. 岡本隆一

    ○岡本委員 問題は、近郊地帯指定されっぱなしであって、それに対するところのいろいろな行為規制を明らかに法律でしなかったということ、同時にまたそれらの地域に対するところの行政指導というものが非常に不十分であったということが、今日法律改正をやりたいという意向政府から出てきた理由であろうと思うのです。このことは、やはり近畿圏におきましても同じように保全地域において適用されると思うのです。近畿圏におきましても、この点で今度の法改正は、首都圏整備を始められるために首都圏整備法ができた。それにならって近畿圏整備法ができた。しかしながら、近畿圏整備法のほうがあとからできたものであるだけに、首都圏整備法よりもやや進歩しておる。だから体系を近畿圏整備法に似たものにしよう。近畿圏整備法と同じような体系にしようというところに、今度の法律改正のねらいがあると思うのでございますが、しかしながら近畿圏整備法の中でも、近郊地帯と保全地域とは全然同じものではございません。違った性格のものでございます。しかしながら法律の中において受けておるところの扱い方というものについては、非常に軽視され、同時にまたまま子扱いされておる、こういうふうに思いますが、その点、建設大臣に、特にこの法案の審査を始めますに際しまして、御所見をはっきり承っておきたいと思うのでございますが、保全地域が現在指定されて、指定されっぱなしになっておる。だから、それについてはどういうふうな——保全地帯というところの定義も明らかでありません。また保全地帯をどういうふうな形で保全しようというのかという意図も明らかでございません。同時にまた、その保全地域を保全していくのについて、どういうような措置を講ずるのかというふうな手段、方法あるいはそれに対する、保全地帯を今後どう待遇していくかというような処遇の問題、そういうような問題はすべて、現在では近畿圏整備法の中では明らかでございません。したがって、他の都市開発区域であるとか、あるいはまた近郊整備区域というふうな地域につきましては、非常にこまかいところの行為規制あるいはそれに対する助成、いろいろな面の規定があるにかかわらず、保全地域については何らその規定がなかったものでありますから、昨年の通常国会で、そういうことでは困るじゃないか、やはり保全地域については特定の法律をもって明らかにしたところの措置を講ずる必要があるということで、付属立法の審議の過程の中で、私どもは母法を引き出して、母法の修正をやるという——そのときには、いやこんなことはいままで行なわれたことがないから困るという意見政府の中から出ておりまましたが、それを押して、母法の修正ということまでやったのであります。ところが、今国会では当然その保全地域についての立法措置が提案されてくるものと期待いたしておりましたのに、全くほおかむりであるということで、私どもはただいままで、委員会では申しませんでしたが、理事会でずいぶん保全立法の提案を要求いたしてまいったのでございます。その点について建設大臣のほうで、その後政府部内では保全立法についてどの程度作業が進んでいるのか、また将来どういうふうにされるのか、という点を明らかにしておいていただきたいと思います。
  50. 小山長規

    小山国務大臣 まず第一に、近畿圏整備関係につきまして、保全区域というのをきめておりながら、そしてその保全区域については別に法律をもって定めるということを規定しておりながら、その提案がなされなかったことは怠慢であるというお話でございますが、この点おわび申し上げたいと思うのでございます。一つは、この保全区域とか開発区域というのをきめましたのが四月のたしか初旬ごろでありましたことと、それからもう一つは、保全区域はきまりましたものの、さてそれをどういうふうに処遇しようかという基本的な考え方が、まだ政府として十分に固まらなかったという点があるわけであります。この点はまことに残念であり、おわび申し上げますが、しかしこの問題は特に院議をもって修正されたことでもありますので、いずれこの問題については真剣に対処する必要があるということで、私どものほうではまだ成案に至っておりませんので、そのつもりでお聞き取り願いたいと思うのでありますが、私の大体の考え方を申しますと、保全区域の種類を大体A、B、Cというぐあいに分けたといたします。Aは一番薄いと申しますか、広い区域、Bがそれよりさらに狭く、Cは特定の文化財とかあるいは特殊な歴史的な風土とか、そういうごく限られたもの、そういうようにかりにA、B、Cと仮定いたしますと、Cの問題はこれはわりあいに、保護の方法あるいは保全の方法は、区域も狭いことでありますし、これは立法ができるのじゃないかということで、いま寄り寄り考えておりますのは、ある特定の文化財あるいは歴史的な関係のある市町村の中で特定のものについては、これを保全するために、いま文化財保証法その他の法律がありますけれどもこれでは不完全でありますから、これを保全するために特定の手段を講じようじゃないか。それにはまず審議会を設けまして、これは総理大臣のもとに置きたいと思うわけでございますが、その総理大臣のもとにある審議会が、特定の文化的あるいは歴史的な地域指定いたしまして、その地域については行為の制限をする。いろいろな建築の制限とか築造物の制限とか、行為の制限をきつくしまして、そのかわりには、その対価として、固定資産税の減免を考えたらどうか。そうして、しかし固定資産税の減免は考えますものの、所有者の都合によっては売却をしたりしなければならぬ場合があるわけでありますから、その売却の申し出があった場合には、これを買わなければならぬというふうな考え方でやったらどうだろうというような方向で、いま検討を進めておるわけであります。さらに、その外郭のいわゆるB区域といいますか、これについては、やはり審議会の意見を聞いて、ひとつ一種の規制の計画をしたらどうだろうということで、これと、いわゆるA、これは大体風致地域やあるいは公園地域に入る部分が大部分でありますけれども、これについてはまた、行為の規制は、現在御承知のように、都市計画法による風致地域の行為の規制の関係法律があります。助成の規定はまだ別にないわけであります。この助成について何らかの方法があるかどうか。この点は、地域も相当広範にわたりますしいたしまするし、またその対象も区々雑多でありますので、十分調査しませんと、行為の規制は条例でいまやっておりますが、その条例に見合うところの助成措置を、一体どのような措置でやれるのかという点が、まだ十分な成算を得るに至っておりません。そういうような状況で、むろん公園地域については、同じ公園地域の中でも、風致地域の大部分は公園地域になっているわけでありますが、公園地域については、当然公園法その他による助成措置が講ぜられております。ただ、公園でもない、ただ普通の風致地域という点については、規制だけありまして、助成の措置が講ぜられていないので、この点は一体どう考えたらいいかという点は、まだ具体的な場所あるいはその他、これは近畿圏だけでなくて、全国にわたる問題でありますので、そこで全国的な一つの基準を設定できるかどうか。設定するにしましても、相当膨大な費用を要することでありましょうし、そういうことがはたして可能か。議論としてはともかくとして、行政上、予算上、はたして可能であるかどうかという点まで詰めなければならぬものですから、この点はまだ検討の段階に至っていないわけであります。そういうふうに検討の段階に至ってない部分、一方B、Cについては、いま検討を加え、大体こんな方法でどうだろうかという考え方を固めつつある段階である、こういう事情であります。
  51. 岡本隆一

    ○岡本委員 保全地域については三段階に考えて措置を講じていきたい。そしてC段階の一番狭い分については、現在与党の中で、古都の歴史的風土の保全に関する法律というふうな形で準備を進められておって、これが近く国会のほうに出てくる模様と聞いておりますが、しかし私どもは、あの古都の歴史的風土の保全に関する法律法案をちょっとべつ見しました範囲で考えられることは、あれでも保全地域として、国が、ことにそういうような特定な地域、狭い範囲のところというふうな考え方に立って、それをどう扱っていくかということになってまいりますから、非常に不備な点が多い。たとえていえば、京都であるとか奈良であるとかいうふうな、当然古都の面影をそのまま残してもらいたい、また外人なんかが観光に来ても、まあそういうところを目標に来るわけですから、そういうところが昔のままに保全されたいということになってくれば、それはいわば日本の庭先、世界の庭というふうなことになってくるわけです。そうすると、その庭を持つには、その庭の手入れからあるいはまたその管理一切やはり当然庭を持つ側の人がやるべきであって、庭番に管理費を全部持てということは、これは無理なんです。そうしていわばその地域の自治体は、保全指定をされますと、完全に庭番にされちゃうわけです。その庭番にされた地域については、たとえていえば、保全規制が出てまいりますと、税収が上がらぬのみならず、伸びが将来全然見込みがなくなる。他の地域はどんどん発展していくということになってまいりますと、それに伴うところの財政措置というものも、国が当然考えなければならない。そういう点についても何も規定がないわけです。だから、私どもはあれがもし出てさましたら、その審議の中でまたそういう議論を進めてまいりたいと思いますけれども、しかしながら、そういうふうな非常に多くの問題点があるという考え方に立って、保全立法をぜひやっていただきたい。そういうようなことを、はっきり政府の方針が——内容については、そういうどこまでということは、大臣としてもこれから各方面との話し合いをされる必要がありますから、内容については、いまどのようなものということを大臣から承ることは無理だということは承知いたしております。しかしながら、来国会には必ず保全立法を一つの案として打ち出すということは、はっきり言明できますかどうか。その点もう一度、くどいようでございますが、お伺いしておきたいと思います。
  52. 小山長規

    小山国務大臣 いま私が申し上げましたのは、個人の面の利害得失を申し上げたわけであります。そのほか、地方公共団体の利害得失の問題が、いま岡本さんのおっしゃったように、あります。この点は、たとえば学校地域であるとかいうところは、道路整備をやるとかいうような別の法律もあるし、予算の措置も実はやっておるわけです。一方工場などは制限されるわけでありますから、工場などを誘致することによる利益はなくなりますかわりに、今度は観光客が殺到することによる一方の利益もあるわけでありますから、地方財政に及ぼす影響は総合的に考えませんと——これは自治省の所管でもありますが、そういう観光地であることのために、工場などがあるよりも、さらに社会的には環境がよかったり、あるいは税収入もそのほうがかえって多いという場合もあり得るはずでありますから、その点、やはり基準財政収入等の関係で、助成をするかしないか、不均一課税に対する措置を講ずるか講じないかということは、やはり別途の観点で考えなければいかぬのじゃないかと思っております。  それから、いま最後にお尋ねがありました保全立法を出すか出さないかという点でありますが、先ほど申しましたように、ABCの段階に区切って見ますと、Cのほうは、これは大体できるという確信がつくのでありますが、Bについては一体どのような措置を講じたらいいか、またこれから相当研究する必要があります。それからAのいまの一番広いほう、この部分についても、一緒に保全立法ができるかという点については、いまのところ正直言って確信がありません。確信がありませんが、御趣旨に沿ってこの点について何らか検討を加え、できる範囲でぜひやってまいりたいと思いますので、そういうふうに御了承願いたいと思います。
  53. 岡本隆一

    ○岡本委員 大体いま大臣のお答えで、前向きに保全立法について努力していきたいというお話でございますので、せっかく御努力を、特にこの機会にお願いいたしておきたいと思います。  そこで、さきの問題に戻ってまいりますが、近畿圏については保全地域がある。首都圏については保全地域がない。今度の改正案にも出ておりません。ところが近畿圏の保全地域指定の様子を見ておりますと、最初私どもが考えておりましたよりも非常に広範囲な指定が行なわれております。たとえて申しますと、伊勢の志摩半島が保全地域として指定されております。これはまあ伊勢神宮があるというのでありましょうが、そればかりでなく、やはり風光のいいところというふうな意味で指定される。同じことが、やはり白浜あたりあるいは新宮のあたりもそういうような形で指定されている。それからまた日本海の海岸が三分の二以上、ほとんど全長にわたって保全地域として指定されております。そういうことになりますと、こういうふうな保全地域に該当する風致のいい地域というものは、関東にもたくさんあるわけです。たとえば箱根あるいはまた伊豆諸島はもちろん、伊豆半島あるいはまた房総の海岸、あるいは特に水郷地帯、いわゆる利根周辺利根水系のところの水郷地帯、そういうふうなところは、やはりわれわれも枯れススキの歌で、われわれはあの歌を聞くと何か郷愁を覚えるのですが、そういうふうにあげていけば、やはりそういうふうな日本の古い習俗、風俗、習慣、単に古都としての面影としてよりも、庶民の生活を残している姿をとどめる——姿をとどめるということになると、これはいつまでも船の船頭さんで残されてはたまらないでしょうから、そういうような意味ではなくて、ただ庶民の昔の生活の面影を残すというふうな意味においては、水郷地帯も残されていていいのじゃないか。そういうふうな考え方をしてまいりますと、これは関東にも、首都圏にも相当保全地域として指定さるべきところがあると思うのでございますが、なぜ首都圏には保全地域をなくし、近畿圏には保全地域があるのか。二つとも人口産業の過度の集中を排除する、それと一緒に緑地の保全をやっていくというふうな同じ性格法律であるのに、片方には保全地域がある、片方にはない。私は理解に苦しむのでございますが、特に首都圏について保全地域を設けられな  い理由はどこにあるのか、お尋ねしたいと思います。
  54. 小西則良

    ○小西政府委員 お説のように、房総半島であるとか伊豆とか、これらを自然の景観のまま残すということは非常にけっこうなことでございまして、ただ現在首都圏区域内におきましては、いずれはまたそういうようなところに、そういう指定をやらなければならない時期が来るかもしれませんけれども、現在考えておりますのは、保全区域がないとおっしゃいましたが、近畿圏のように保全区域という名称は使っておりませんが、現在の法律近郊地帯というものを含めまして、近郊整備地帯を設けて、その中に緑地を保全する必要ある地域近郊整備地帯として指定するという形で、非常に無秩序に広がっておる既成市街地周辺整備に力を注いだという結果でございます。  ただ、先ほどおっしゃいました伊豆半島というのは、現在首都圏区域に入っておらないのでございます。   〔委員長退席、福永(一)委員長代理着席〕
  55. 岡本隆一

    ○岡本委員 伊豆半島が入っておるか入っておらないか知りませんが、しかしながら、首都圏の中にもやはりそういうふうな地域は、近畿圏において保全地域として指定されておると同じように、たとえば秩父地方であるとか、とにかく私は相当保全さるべきところはあると思う。同じ法律であるのに、いわばきょうだい姉妹立法であるといっていい二つの法律の間に、片一方には保全地域があり、片一方には保全地域がない。まあ首都圏整備法から近畿圏整備法ができた過程における両者のアンバランスについては、それは一つの進歩であるということが言えると思います。そうすると、その進歩した近畿圏整備法ができて、その近畿圏整備法が進んでおるから、今度は首都圏整備法もそれに右へならえをして、今度改正していくのだというのが法律改正趣旨である。ところがその法律改正趣旨の中に、保全地域が入らない、近畿圏には入っておる。近畿圏には古都がある、しかし古都は鎌倉にもあるじゃないですか。そうすると、当然そういう地域は保全立法をもって措置さるべきである。江ノ島、鎌倉あの辺一帯、湘南方面は当然保全地域として指定されていいと思うのです。そういう地域があるにかかわらず、保全地域指定をしない。する必要がないというような見地で今度は抜けておるんだろうと思うのですが、そういうような、保全地域として指定しなくてもいいという、その理由がどこにあるのか。やはりそういうことをするなら、古都の歴史的風土の保全に関する法律というような、舌が引っかかって回りにいくような名前の法律考え出してこなければならぬというふうなことになってくるわけです。だからやはりこの際——まあ京都は千年の古都でございます。しかしながら、東京も江戸以来の長い日本の実質的な首都でございざいます。だからそういう点で、皇居であるとかその他、当代保全さるべきものがありますね。これは皇室という関係があるからというふうな意味でなく、やはり日本の歴史的なものとして保全さるべきものでありますから、そういう意味では、やはり首都圏整備法も同じような体系をもって、四つの地域になっていいと思うのでございますが、その辺についての理由をひとつ承っておきたい。
  56. 小山長規

    小山国務大臣 この近畿整備法には保全地域があって、首都圏のほうにはその規定を入れなかったのはどういうわけか、こういうお話でありますが、近畿圏のほうも最初は入っていなかった。議会の側の御要望をいれてできたんだろうと思いますが、私はその当時のいきさつを知りませんけれども、結局は保全地域というものを法律上書きましても、岡木さんが先ほどおっしゃるように、具体的な措置なくしては絵にかいたぼたもちみたいなもので、実はわれわれのほうもそういう具体的な案のないときに、首都圏にそれを入れてみましても、これはいたずらにしかられるだけのことでありますから、その点も考えたわけでありますが、私が先ほど申しました保全地域に関する法律というものは、実は古都だけではなしに、審議会の議を経て政令で定められるようにしてみたい、こう考えておるわけなのであります。ただそういう法律をつくる場合に、首都圏にも保全区域という法律を入れなければそういうことができないという状態なれば、これは当然変えなければならないでしょうから、その辺のところは新しい法律をつくる段階でひとつ考えていきたい。この法律に保全区域ということばが必要であるかどうか、実態は私が先ほど申し上げたように、古都というものに限らずに、いまおっしゃったような重要な地域については、審議会の意見を聞いて、そして政令で定め得るようにしたらどうだろうか、こう考えておるものですから、そういうようにしたいと思っておりますので、それもあわせて検討させてもらうことにしたいと思います。
  57. 岡本隆一

    ○岡本委員 首都圏におきまして保全地域がないということは、近郊整備地域指定されない地域緑地は規制される方法がない。近郊整備地域に入らない、しかも緑地として残したいというふうな地域は、当然首都圏の中にもたくさんあるわけでございます。しかもそういうところがまたこれから後どんどん蚕食されていって、結局、関東一帯が砂漠地帯のようなことになってしまうのではないか、ということを私は憂慮いたします。ことに経済の成長が関西よりも関東、首都圏のほうが高速度でございますから、勢いそういう風致の破壊されるのも激しいだろうと思う。だからそういう意味においては、私は、将来やはり政府としては、そういうことを近畿圏以上に考えていただいて、たださえ首都圏近畿圏と違って風光に乏しいところです。東京へ関西の私たちが参りますと、何と殺風景なところだ。われわれのほうですと、車で三十分も走れば山の中へ入って、川を見、渓谷を見というようにして風致が楽しめますのに、関東へ参りますと、相当長距離走らなければ緑に接しられないというふうに、非常に風致に乏しい。しかも、首都圏は決して昔はそうじゃなかった。私どもは話に聞いておるだけでございますが、武蔵野という、うっそうたる森林があって、そこに相当いろいろ文人墨客の目を楽しませた、そういう場所もあった模様ですね。それがいつの間にかこのような広漠とした、ただ平野というふうなものにされてしまったということの中に、明治以来の、日本のそういう行政の中での緑地の保全に対する配慮の欠除というものが、長い百年の歴史の中で、今日の砂漠然たる東京をつくってしまった、また首都圏をつくってしまったということになるのだと私は思う。しかしながらその中にわずかに残されているものがあるとするなれば、それは当然残していかなければならぬのではないか。乏しければ乏しいほど、その保全への努力を尽くしていただきたいと私は思いますので、これは適当な機会に、首都圏整備委員会のほうでもお考えを願いまして、ぜひ保全地域というものの規定を設け、それに対するところの行為制限を行ない、またそれに対するある程度の補償なんかも行なわれているのであります。   〔福永(一)委員長代理退席、委員長着席〕 たとえて言えば、今度霞ケ浦に国際空港ができる模様でございますが、やはり霞ケ浦なんかも、のどかな牧歌的な地区として残されるべきだ。ところが霞ケ浦に空港ができるということになってまいりますと、あの地域にいろいろな資本が進出していきまして、昔の霞ケ浦というものが、将来すっかり面影が変わってしまうのではないかというようなことも考えられます。特に近畿圏に保全地域があるということは、保全地域の住民にとっては一つの犠牲をしいられることでもございます。しかしながら日本の国民全体にとれば、やはりそういうものがなくてはならないと思います。だから、あえてある程度の国の補償措置の中で、保全地域としての指定に甘んじなければならぬ、これはやはり受忍義務の一つだ、国民的義務だと思いますが、そういう点、ぜひ将来の方針としてお考えを願いたいというふうに希望を申し上げたいと思います。  その次に、近郊整備地域を今度つくるということでございますが、従来近郊地帯とされておったところを、今度は近郊整備地域にする。その近郊整備地域については、いろいろな都市計画を立てて整備をやっていくということでございますが、元来、首都圏整備法ができましたときは、近郊地帯緑地として残すのだ、こういうことでございました。そうしてまた、首都圏既成市街地域というものはあまりにも過密だ、だからその周辺緑地として残して、その外郭に新しい都市を発展さしていく、こういう構想でございました。ところが、その近郊地帯に対する整備の方針というものが、指定しっぱなしで全然樹立されなかったために、人口産業がどんどんそれを蚕食してしまった。だから、その既成事実に対応して、言いかえますと、既成事実に押されてしまって、ここも都市計画をやって、その一部を緑地として残しつつ都市化していくというふうな趣旨のような今度の改正かとも考えられる。そういうことになりますと、首都圏整備計画というものが、大きく、百八十度の転換ではございませんが、少なくとも九十度の転換ということになって、当初の計画というものが大きくゆがめられてしまう。言いかえますと、今度の首都圏整備法改正というものは、当初の目標をもう見忘れて、違った方向へこれから進んでいくのだ、こういうふうな意図のように受け取れないこともございません。その点について、首都圏整備委員長のお考えを承りたい。
  58. 小山長規

    小山国務大臣 今度こういう改正をしましたのは、おっしゃるとおり、実は既成事実に押された問題をこの際修正をしたいということなのであります。御承知のように、グリーンベルト等をつくってそういう整備計画をつくろうとしましたが、市町村長が都市計画申し出をしないとできないという法律がありましたことは御承知だと思います。ところが、グリーンベルトであるということになって、工場は建たない、住宅は建たないということになると、地域住民の非常に強い反感があったわけであります。その反感があるために都市計画もできない、都市計画ができないままにどんどん蚕食されていく、これがいままでの実態であったわけであります。そこで、いつまでもほうっておきますとますますそういう状態になってしまいますから、この際ここは改むるにはばかることなかれで、いままではともかく失敗だったのだから、そこで失敗は失敗と認めてやり直そう、こういう考え方で、今度は都市計画をつくります場合にも、市町村長の意見は聞きますけれども、東京都の知事もしくは府県知事の申し出によって都市計画をつくっていく、こうしますれば、いままでのような無秩序な蚕食状態というものは少なくとも相当強くチェックされるはずでありますから、そういう考え方で、今度はひとつ都府県知事の申し出によって都市計画をつくり、そうして緑地として残すべきものは緑地として残す、風致地域にすべきものは風致地域にする、住宅地にするもの、街路、市街化するもの、こういうふうにさい然と計画に従ってやっていくようにしたい、こういう考え方で、今度の提案を申し上げたわけであります。
  59. 岡本隆一

    ○岡本委員 近郊整備地域の中に工業団地もつくる、こういうふうなことであります。いままで近郊地帯緑地として残すのだ、家も建てさせぬのだ、こういう考え方であったところへどんどん住宅が建てられると、その既成事実に押されて、今度は工場まで建てるのだ、こういうことになってまいりますと、少し話が飛躍し過ぎているのではないか。都市計画が立てられますと、ある程度の緑地帯あるいは風致地区、そういうふうなものもつくっていかれると思います。工業団地をつくるということは、そこで働くところの相当な労働人口というものも当然定着を予想しているわけでございますから、そういうふうな緑地帯、グリーンベルトとして残すものが蚕食されてどんどん住宅が建てられるものだから、やむを得ず、それに対応したところの整備計画を立てるのだということはわかります。しかしながら、そこへ工場まで持ち込むということになってまいりますと、話が飛躍して、当初の計画を全く無視したものになると考えられるのですが、いかがでしょうか。
  60. 小山長規

    小山国務大臣 この点は、実は二つあります。一つは、今度整備地域に入るところに、以前からのいわゆる開発地域指定したところがありますために、それをいまさら取り消すわけにはいかぬという点が一つ。もう一つは、整備地域内に工業団地を置くのはおかしいとおっしゃいます点でありますが、実は過密の問題がありまして、東京都の既成市街地から疎開してもらうとか、制限をするために出てもらわなければならぬ、あるいはそういう工場は入ってもらっては困るというものが相当あるわけです。しかもその中には、印刷工場とか、牛乳工場とか、そういった消費生活を営むために必要な工業というものもあるわけなんです。そういうものをそこに収容しよう、そのための団地をつくろう、こういう考え方なんです。あなたがおっしゃりたいのは、それじゃ無制限にどんな工場も入れるのが、汚水を流すような工場あるいは煙を出すような工場もいいのか、たぶんこういうことだと思います。参議院でもその話が出ましたが、これは実は法律上の規制はいまのところないのです。重工業でも、どんな汚水を出す工場でも、あるいは煙を出す工場でも、禁止をするという規定はないわけなんであります。工場団地をつくって、そこに入ってくる工場はどういうものを入れるかというのは、たしか知事の権限だと思うのであります。そこが行政指導でやれるということで、いま法律上の規制はしていないわけでありますが、将来、この点が法律上の規制がなければとてもだめだという状態になれば、当然また考えなければならぬと思います。いまの段階では、工業団地に入ってくる業種の指定をする権限を持っておりますから、それでまず防げる、こういう考え方で進めるわけであります。
  61. 岡本隆一

    ○岡本委員 現在、既成市街地における工場等の制限に関する法律施行令に、都市に密着したなにとして、次のようなものは製造業から除外することになっている。そういうふうな工業だけをそこへ持っていくということですか。どの程度のものにするかということはいずれ政令で規定されると思うのでありますが、大体政令で規定される範囲はどういうふうなものを考えておられるのか。もう少し具体的に、事務当局からでもけっこうですから、お答え願いたいと思います。
  62. 小西則良

    ○小西政府委員 まだ具体的に何かにと申し上げるところまでいっておりませんけれども、先ほど委員長からお話がございましたように、都市型の工場といいますか、印刷工場であるとか、あるいは家具木工の類であるとか、あるいは牛乳といったような形で、しかもこの場合在来の近郊地帯というものには少なくともそういうようなことは考えておりませんが、現在の状態が、近郊地帯においてこうしてどんどん秩序なく人口が定着していっているという状態を見ます、これに対して計画的に措置をしておかないと、後手後手になって公共施設に金を使うということから、やむを得ず町の形成をやるというようなことでありますが、この町の人たち生活をするために、いま申し上げたような工業というものが不可欠であろうというようなものを選んで規制していきたい、というような考えを持っておるのでございまして、これにつきましては、いま先生おっしゃいますように、政令といいますか、さらに検討したい、かように思っておるのでございます。
  63. 岡本隆一

    ○岡本委員 人口の集中を排除する、同時に緑地を保全するということになってまいりますと、これは土地利用区分を確立しないととても不可能だと思うのです。政府のほうでは、土地利用区分の確立ということについて非常にためらっておられる。しかしどこかでいつかこの決断をぴしっとやらないことには、いろいろ出てまいっております現在の日本の土地制度に伴ういろいろな矛盾、たとえば地価の法外な値上がりであるとか、住宅難であるとか、あるいはまた都市の過密化であるとかいうふうなもの、それに伴う公害、さまざまなことが排除できないと思うのです。この土地利用区分について、一番中心とならなければならない役所は一体どこなのか。私は建設省であると思うのです。だから、建設大臣として、土地利用区分をどうするのか、どういうプログラムでやりたいと思っているのだ、いまこういう作業をしているのだ、どの段階にあるのだというふうなことを、この際私ははっきり示していただきたいと思うのでございますが、いかがでしょうか。
  64. 小山長規

    小山国務大臣 土地利用区分は当然やらなければならぬわけなんです。それで着々準備をしておりますが、ただ土地利用区分をやっただけでは効果がないのでありまして、土地利用区分をやったあとにどういう構想でやるのか、それを励行させるのにはどうすればいいのか、違反した場合にはどうしたらいいのかというところまできちっときめていきませんと、ただ利用区分をして、たとえば農地は永久に農地だとかいうふうにしなければならぬわけですから、そこで住民の非常な反対が出てきたりいろいろいたします。けれどもこれは当然やらなければなりませんが、やった以上は、いま申し上げましたようにそれを守らせる。守らせる手段はどうか。それからそれに対する違反は一体どうやって防ぐかというところまできちっときめていきませんと一つまり土地利用区分をつくる計画そのものはできますけれども、そのあとの明細な作業が進まない、こういう点がありますので、これは両面相まって、きちっと考えていきませんと、効果が出ませんから、そういう面であわせながら考えておる。特に地価の高騰の問題、過密都市の問題とあわせて考えていこうとしておる。これは真剣に私のほうの都市局あるいは計画局で検討している最中なんであります。
  65. 岡本隆一

    ○岡本委員 いまのお話ごもっともです。だから利用区分をしっぱなしではだめなんです。それをどのように実行させるかということ。だからそのことは今度の整備法の改正をやらなければならぬという中にも含まれているのです。近郊地帯指定されておる、そこは緑地として保全していくといいながら、どんどん住宅がスプロールしてきた。それは不法建築ですよ。その不法建築がどんどん建てられてきても、もうお手上げでどうにもしようがない。また事実どうもしてないというところに、私は政府の行政についての怠慢があると思うのですよ。建ったものは知らぬ、人間が入っておったらどうにもならぬじゃないか、そういうようなことをやっているから、今日何ぼでも不法建築が横行していると思うのです。いま建っている住宅の一体何割が不法建築であるか。無届け建築が何ぼであるか。それでは、そういうようなことを、住宅局長が見えてないから、大臣にお尋ねしてもこれは無理であろうかと思いますが、私は戸数でいえば二、三割程度は不法建築であると思います。今日都心に建っておるところのアパート、あれはほとんど不法建築です。許可はとっておりません。それで許可をとっておらずにどんどん建てております。たまに許可をとっておるのがありましても、建築のときには、きちんとこのような防火設備をします、このようにしますと言うて建築認可はとります。けれども建ったものはそれが実行されておらない。だから隣から平気で火災が延焼してくるというふうな形のもの、そしてまた事実、今日の建築基準法では別に使用認可は要らないのです。たとえばもうどんどん入ったらいいのです。そういうことになっている。昔は、私も詳しくは覚えておりませんが、使用認可がなければ、便所の検査まできちっと受けて使ってよろしいということでなければ、建物を使うことができなかった。それが建築基準法が非常にルーズにだんだん変わってまいりまして、これはやはり建築業者なんかからの運動が奏効して、今日のようなぐうたらな、でたらめな建築基準になっておると思うのでありますが、とにかく建ってしまえばどうしようもないというのが今日の建築基準法です。だから不法建築が横行している。もう縁地は何ぼでも破壊される。またわれわれがそういうことについて、こんなに不法建築がどんどん建っているのはけしからぬじゃないかというふうなことを地方の自治体の建築課なんかに言っていきましても、いや、もう予算がないから、人がないから、全然パトロールなんぞはできません、だから通りがかりにめっけたらいざしらず、そうでない限りにおいては、実質的にはわれわれは野放しにするつもりはないが、そういうことになっております、こういうことです。今度は建ってしまえば、こんなもの建ててしまって困るじゃないかというふうなことを言いますと、いや、しかしながら建ってしまったものを強制執行する費用がない、こういうことです。だから結局ずるずるとそこへなにする。そうすると、そんなふうな建物に対して、不法建築に対して、電気、ガス、水道といったものを供給しなければいいじゃないか、こういうことを申しますと、いや、しかしながら、人が入っているのにそういうものを入れないということは、これは人権無視でございますのでと、こういうようなことなんです。結局は不法建築やりほうだいというのが今日の建築基準法です。しかしながらいま近畿圏整備について、あるいは首都圏整備について、きちんとした整備計画を立てて、その上に立ったところの町づくり、国つくりをやっていこうということになりますならば、まず第一には、その整備計画をぴしっと励行する、また励行させる、それだけの体制が政府のほうに、さらにまた地方行政機関の中になければ、整備計画は絵にかいたもちになってしまう。ただ計画だけに終わってしまって、実質はそういうふうにはならないと思う。だから首都圏整備計画をお立てになり、また近畿圏整備計画ができましたら、それをどこまでも確実に実行していくという意欲をお持ちかどうか。  その次には、それに必要な建築基準法その他都市計画法、区画整理法、いろいろこれから後改正しなければならぬたくさんの問題点があると思うのでありますが、それと真剣にお取り組みになる用意がおありかどうか。こういう点を大臣から承りたい。
  66. 小山長規

    小山国務大臣 いま岡本さんが言われたようなことが実態であります。それで今度の整備計画をつくるにあたりましては、都市計画すらできておらないという点をまず改めていきたいというのが第一のねらいでありますが、これで計画ができれば、不法建築は不法建築なんでありますから、いままでは不法建築ですらなかったという状態ですが、今度は不法建築でありますから、びしびし取り締まれるという体制には——実際問題としては、人手が足りないとか予算が足りないという面でなかなかうまくいってないようでありますけれども、それでも現に、あとでまた御説明の機会があるかもしれませんが、一罰百戒で、極端なものは、見つけたら撤去命令を出しておる事例もあるのであります。そういうようなことをやりました。しかしこれはやはり地域住民なり地方自治体の御協力を得なければ、政府が幾ら力んでもできない問題でありますけれども、そういう認識を地方自治体に持っていただいて、そしておっしゃるような方向に持っていかなければならぬと思います。同時に、いまの建築基準法も都市計画法も、私は私なりに、直さなければならぬと感じておるわけなのであります。ただ、これを直すのに、いろいろほかの法律との関係だとか、従来の権限の関係だとか、調整を要する面がたくさんあるようであります。私も実は就任以来、やれということでずいぶん督励してみたのでありますけれども、事情を聞きますと、やはりそう簡単にはなかなかいかないようでありますから、そこで十分な準備を整えて、審議会の先生方の意見を聞いて、抜本的なものをつくり上げてみたい、こう思いつつ、いま督励しておる最中なのであります。
  67. 岡本隆一

    ○岡本委員 近畿圏整備にいたしましても、また首都圏整備にいたしましても、既成市街地の再開発というのが大きな問題です。それからまた近郊整備地域整備計画というものも、これは非常に重要な問題です。しかしながら、いま大臣が仰せのように、いろいろのそれに関連するたくさんの法体系の中で、それをうまく運用しつつやっていかなければなりませんが、そういう法律が今日の時勢にマッチしておらぬのです。これだけ急速な経済の成長、これだけ激しい都市への人口集中また産業の発展、こんなものに対応するだけの体系がいまとられておらない。だから、こういう都市計画法にいたしましても、あるいは区画整理法にいたしましても、すべて今日の都市現状に合わせ、経済現状に合わせたものに根本的な改正を加えていく必要があるのではないか、私はこう思っております。また長い間懸案であった河川法も、やはり非常な困難を排除しつつ改正されたのです。だからやはり、今日の日本の経済成長の情勢に応じた法体系というものを今後つくっていただくように、私はこれは建設省があげてひとつ真剣にこの問題と取り組んでいただくようにお願いしておきたいと思います。  それに関連して、市街地の密集地帯の改造、これも首都圏近畿圏、いずれもやらなければならない問題でございますが、これについてひとつきょうはお尋ねをしておきたいと思います。私の住んでおります京都府の伏見区にも、区画整理の問題が出ております。ここは桃山時代の桃山城の城下町でございますから、道路は狭いし、これは近代的な都市に再開発する必要がある。数年前から区画整理にかかっておりますが、どうにもならない。どうにも区画整理ができないのです。それと同じことがいま新大阪の駅前で起こっております。これもなかなか難航している模様であることは都市局長も御存じであると思います。この問題について、私も人ごとではございません。自分の地元で起こっている問題と同じような——区画整理をやりたい、やりたいがどうにもならないということで、大阪の問題も人ごとじゃございませんので、地元の人が私のところに参りましたので、私も先日現場を見てまいりました。そういうふうな両方の問題をあわせて考えていきますときに、やはりいまの区画整理法というものが今日の地価の暴騰——区画整理法は昭和二十九年にできたのです。その時分には地価は今日のような状態ではなかった。それから後に急速に上がりました。そしてまた産業人口の過密ということをいわれたのもそれから後です。昭和三十年までは日本は戦後のいわば復興の時代です。再建の時代ではなかった。建設の時代に入っていなかった。いわゆる戦災の復興にとどまっていた時代です血戦災の復興にとどまっておる時代においては、区画整理法は今日の法律でよかったのです。ところがそれから後に急速に経済が伸びた。そういうふうな時代になりますと、都市の比較的住宅の密集して建っておるような地域については、区画整理法ではもう再開発は無理です。だからその無理な状況に応じてできてきたのが、公共施設整備に関連する市街地の改造に関する法律、いわゆる都市改造法です。都市改造法では、立体交換をやりましょう、こういう法律がいまから三、四年前に成立いたしております。ところが、政府のほうはやはり旧態依然として、昭和二十九年の、地価のまだ安定しておった、戦災復興をこうしてやろうといった形の区画整理法を、そのまま新しく開発する地域へ持ち込んでくる、ここに私は大きな矛盾があり、それが区画整理のできない、都市の再開発のできない大きな原因になっておると思うのでございますが、大臣いかがですか。
  68. 鮎川幸雄

    ○鮎川政府委員 ただいまのお話の点ですが、現在の区画整理法は、御説のように、公共用地の整備道路建設とあわせまして、その地区全体の利用増進をはかっている法律でございますが、御指摘の点は、おそらくそういう事業の執行によって土地の過小な細分化の現象が出てくる、したがって、その背後地と申しますか、区画整理に伴う事業の執行について、再開発的なことが不十分ではないかというようなことかと思いますが、その点、私どもも必ずしも区画整理法自体がそういう問題を全面的に解決しておる法律であるというふうには考えておりませんが、区画整理法は都市改造事業の大きな一環としまして、公共用地の整備と、またそれに対する宅地の利用増進には相当の貢献を果たしておるというふうに考えておるわけでございます。
  69. 岡本隆一

    ○岡本委員 指定された区画整理地域のほとんどがさら地であるというようなところについては、きわめて容易なんですね。ところが、そこに相当密集した住宅があるということになってくると、非常に複雑な利害が伴なってくるのです。  それでは局長に伺いますが、大阪の新駅前の区画整理事業、いま相当強い反対運動があるのは局長も御存じだと思いますが、あれについてどういう見通しを持っておられるか。比較的早くあの問題が解決できると思っておられるかどうか。  その次には、京都の伏見の区画整理問題、これはどういうような見通しを持っておられるのか、その辺を承りたいと思います。
  70. 鮎川幸雄

    ○鮎川政府委員 まず最初の大阪の新駅の整備に関連いたしまして、あの周辺一帯、いま区画整理事業実施いたしておるわけでございまして、この事業昭和三十六年に計画決定をいたしまして、現在これに関連する用地取得を終わった状況でございます。先ほどこれに対する反対運動というお話がございましたが、その反対運動の主たる内容を申しますと、過小宅地がたくさんあるわけでございまして、そういう過小宅地については減歩するな、と同時に、それに伴う清算金等に対しても補償金を出せ、こういう減歩をしないという場合に清算金を出してもらうわけですが、清算金に対しても補償金を出せ、こういうことのほかに、数項目の反対意見が出ておることを聞いております。反対の中身の状況をいろいろ調べてみますと、いま大阪市がこの事業実施いたしておりますが、この内容についてもっともな点が十項目くらいございますけれども、その点は反対趣旨といいますか、御意見を十分検討して、私ども進めるように考えておるわけでございますが、最初に申し上げました過小宅地について減歩するな、あるいはこれに伴う清算金に対する補償を出せという点につきましては、区画整理の根本に触れる問題でございまして、この減歩ということがないということになりますと、区画整理ができないことになりますので、したがいまして、この点につきましては、反対がございましても、その要望を取り入れるわけにはいかないわけでございまして、その点につきましては、現地ともさらによく相談してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。なお、この事業につきまして、そのほかに、当初計画しました事業費の総額が現在だいぶ値上がり等もございまして、全体計画変更という点もございます。これにつきましても、現地といま相談いたしまして、実情に即するような計画変更というようなことも考えておるわけでございます。  それから、京都の伏見地区のお話がございましたが、これは三十五年ごろ、あの地域における府道の整備と関連いたしまして区画整理事業を行なうように、調査実施されたわけでございますけれども、その当時はまだ区画整理の負担率も低かった時代でございまして、そのほうの財政等の問題もあったようでございます。また先ほどお話がございましたように、非常に民家密集の地域で、区画整理方式でやるにはいろいろの問題があるように調査結果が出ておるわけであります。しかしながら、その地域は交通も非常に混雑しておるようでございます。何らかの方式で道路整備等はやらなければならない地域でございまして、その問題の解決は残されておるわけでございますが、今後どういう方式でいくかという点については、いま十分検討しているという状況でございます。
  71. 岡本隆一

    ○岡本委員 道路局長お急ぎのようでございますから、ひとつお尋ねしておきたいと思いますが、いま私が申しております京都の伏見での区画整理の地域でございますが、国道二十四号線と関連があるのです。国道二十四号線が、従来のところから左に折れまして、そしていわゆる竹田街道に入ってそのまま北上するということでございます。これは従来都市計画道路でございましたが、国道二十四号線が竹田街道にひっつくということになってまいりますと、当然竹田街道は次の国道一号線に合するまでは県道として指定される、そういうことになると思うのですが、そういう場合の公共用地の取得ですね。竹田街道が狭いから、それを広げて国道にふさわしい幅員にし、整備していくということについては、これは国道でございますから、区画整理方式をおとりになるということはないだろうと思うのですが、いかがでしょう。
  72. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 すでに区画整理事業で、あるいは都市計画事業で広げられました街路を国道にいたしました場合、さらにそれを広げる必要を生ずる場合の例かと思いますが、その場合、その事業をやはり都市計画事業として実施する場合と、都市計画事業によらないで直接道路事業として実施する場合と二つあると思います。後者の場合には、直接買収方式で、国道として、国がおそらく買収すると思いますが、やはりその周辺の事情によりまして、広げる事業を、一般的な都市計画事業あるいは区画整理事業としてやる場合には、これは国道でございましても、そういった他の事業としてやる、こういう方法があると思います。これは、竹田街道についてどちらでやるかということにつきましては、ここで申し上げる用意はございませんが、たぶん後者のほうになるんじゃないかという気がいたします。
  73. 岡本隆一

    ○岡本委員 現段階では、竹田街道の国道になる部分については、区画整理の話も出ておりませんし、そして直接買収方式でいかれるもの、こういうふうに私どもも理解いたしておりますし、同時にまた、いつか私的に局長にお尋ねいたした場合にも、そのようなお話でございました。そこで、いま区画整理の事業の対象になっておるのは、その竹田街道の延長なんです。それと国道になる部分の拡幅については、これは直接買収方式でいかれる。しかしながら、それの延長であるところの部分が広がっていくのについては、区画整理方式になるということになってまいりますと、付近の住民の払う犠牲の形態というものが違うのですね。同じ道路でも、ある区間については国道でやるから、これは拡幅されるのに直接買収でいかれるから、付近の住民は何も減歩の話も出なければ清算金の話も出ない。ところが、それを延長していく分については減歩だ、清算金だというので、大騒ぎをしなければならぬ、こういうことになってまいりますと、同じ道路を広げていきますのに、非常にやり方について違いがあるだけに、また住民の側からは不公平だ、こういうふうな意見も出てくるわけなんです。それでは、区画整理方式で頭から——国道をつくる場合に、ここのところは国道ができたら非常に開発されるのだから、区画整理でやってくれ、こういうふうな話で、道路を広げる場合に、道路局として、建設省として、この国道をつくっていく場合に、区画整理の方式でやっていかれるというふうな事例がございますでしょうか。
  74. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 そういう事例はございます。やはりその地域によりまして、区画整理のほうが用地の取得がやりいい場合もございますから、国道でございましても、そういうような事例はございます。
  75. 岡本隆一

    ○岡本委員 それはむしろ地元が要求した場合に、そういうことになってくるのじゃないでしょうか。そうでなければ、それはやれないのじゃないでしょうか。
  76. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 一般的に、そういう場合はございます。
  77. 岡本隆一

    ○岡本委員 いまの伏見の場合もそうでございますし、それから大阪の場合も、これは国道ではございません、これは御堂筋は府道になるのでしょうか。市道ですか。市道でありましても、とにかく一番大きな区画整理地帯の幹線道路は御見筋です。この御堂筋がずっと伸びていきますのに、区画整理部分については、いわゆるお順にお詰めを願いますという形で、減歩だ、清算だというふうな形式をとって、道路が広げられていきますが、これが他の地域に入っていきますと、直接買収方式で行なわれる。そうすると、付近の住民のいろいろな面での負担の形が非常に変わってまいりまして、非常に不公平なことになると思います。ある区画整理地域だけは減歩だ、清算だといった形のものが出る。しかしながら一つ越えると、している地域については、同じように道路が広げられる。同じように広げられるが、それが直接買収方式でいかれるから、その近くの住民は別に清算金も何も出さなくてもいい、こういうふうな状況が出てまいりますが、そういう点について、これは都市局なり道路局での御意向でございましょうが、同じ道路をつくるのにしても、片一方はいわゆる施行者のほうで負担が非常に少なくて、それだけ付近の住民の負担が重くなる、片一方は全然施行者のほうで負担するというふうなことになってまいりますが、こういうふうな不公平というものについて、地域の住民を納得させるような説明がしていただけるでしょうか。
  78. 鮎川幸雄

    ○鮎川政府委員 ただいまお話しございましたのは、道路、国道あるいは府道、市道などを建設整備します場合に、一つは買収方式でやる方式と、それから区画整理方式でやってそれによって住民の負担関係が違うじゃないかというお話しでございましたが、確かに、やる方法としては、一方のほうは、直接買収でやります場合には、街路事業だけの目的はそれで十分目的を達成するわけでございます。しかしながら区画整理事業をあわせてやります場合は、単に街路の建設のみではなく、街路の建設に伴いまして、その付近一帯の街区と申しますか、全体の利用の増進をはかる。主要な幹線街路のほかに、その街区全体の道路整備する、こういうように面的に全体として整備するということがあわせて考慮されまして、そういう両方式があるわけでございます。しかしこのやり方につきましては、その地区状況とか周辺全体の問題ございますので、いろいろと方式が必ずしも一致していない点があるわけでございますが、それぞれの目的がやはり違っておりますので、この両方式でいまやられておるというわけでございます。
  79. 岡本隆一

    ○岡本委員 これは大臣、一時から参議院のほうで御用のようでございますから、まずきょうお尋ねしたいと思う一番核心のことだけ大臣からお答えを願いたいと思います。  これから後、東京にしましても、大阪にしましても、日本では至るところどんどん都市改造をやらなければならぬ。都市改造をやるについては、どうしても道路やまた緑地帯もつくるということをやっていかなければならない。そういう場合に、都市改造は、過密地帯の中に公共用地をつくる、こういうことであるとも言えるのです。都市改造の内容は、人口の過密地帯の中に公共用地をつくる、こういうふうなことがまず仕事の内容ですね。そういう場合に、相当居住者が多い場合に、区画整理法を持ち込んでも、どこへ行っても、新駅前その他と同じ反対運動が出て、なかなか都市改造はできません。ところが、政府の方針は、せっかくいわゆる都市改造、公共施設整備に関連する市街地の改造に関する法律ですか、そういう法律ができましても、それに予算が伴う、金がかかるということで、それはごく狭い部分にとどめて、ほとんど区画整理にたよろうとするところに問題があると思うのです。ところがその過密地帯での——過密といかなくても、相当居住者のある地域でありますと、いろいろの人がそこにいるわけですね。とにかく土地を持っている人の中にも二つあると思うのです。一つは、さら地を持っている人は、値上がりするからそれはけっこうです、大歓迎です、受益するから……。ところが貸し家を持っている人になりますと、従来の家賃で住まわしておる小さい家がたくさん並んでおるから、もう減歩のしようがない。そういうような貸し家を持っている人は、減歩に対する清算金を払わなければならぬ。そうしてそれが坪五万、十万というような地価になってまいりますと、減歩金が相当痛いです。すると家賃を上げなければならぬ。しかしながら居住者はなかなかそれに応じてくれないということで、貸し家の所有者は潜在利益はあるけれども、当面利益はない。同時にまた、犠牲が伴ってくるから困るというふうなことになってまいります。また持ち家を持っておる人でも、商売をしている人は、土地が栄えれば商売が栄えるからけっこうだ、こういうようなことになってきます。しかしながらサラリーマンだったら、別にそこに大通りができようが商店街ができようが、居住するということだけで何も——ただ通勤がやや便利になるという程度、層住環境が少しよくなるという程度であって、直接の恩恵はないわけですね。それに相当な額の清算金を払わなければならぬということになってまいりますと、いわゆる小住宅の居住者というものはみんな反対します。借家人になってまいりますと、それは家賃は上がるし、商売をしていなければとても痛いというふうなことで、これはさまざまな利害関係があるわけです。しかもその地域の居住者のほとんどがやはり小住宅に住み、同時にいわゆる俸給生活者です。だから、そういう人たちが、別に大阪の新駅の近くに大きな街路をつくられたからといって、そんなに直接の利益は受けないのに、いろいろな形での経済的な犠牲をしいられるというところに、今日の反対通勤の大きな原因があるわけであります。だから、そういう地域を、都市改造方式をもたずに区画整理方式でいこうとするところに、私は無理があるのではないかと思う。しかも、新大阪駅というようなところになってまいりますと、いま駅前なんか三十万、四十万以上だろうと思うのです。当時新駅ができるまではただみたいな土地が、急にばっと暴騰した。そこでブローカーが入って値上がりをどんどんあおってきたというようなことのために、地域住民は新駅ができて便利になったのはいいけれども、こういうような区画整理問題が出てきてたいへん迷惑ですわ、というのが偽らざる声のようでございます。だから建設省として、一体こういうような市街地の改造を、都市改造でいくのか、あるいはあくまでもいままでのような方式で区画整理でいくのかということが一つの大きな問題で、私は、経済成長に伴うところの政府のとるべき方針についての一つの転換期に入ってきておる、こういうふうに思うのでございますが、大臣の御所見を承っておきたいのです。
  80. 小山長規

    小山国務大臣 この点は、地域住民にとっては、その住居の形態によっていろいろな利害関係があることはおっしゃるとおりであります。一方、しかしながら、今度は直接買収によってもまた不公平が起こるわけですね。地価問題というのは大体そこから起こるわけですから。それから今度は裏だなにおった人が非常な利益を受けるという同じような弊害が起こるわけです。そこで、むろん都市改造事業であれば、助成金があるからその点が比較的楽になるわけでありますけれども、都市改造事業でやってぐんぐん予算をふやしていけば、そのほうが摩擦は少なくてよろしいわけですが、さてまたそれだけの財政力があるかどうかという点にまた問題があります。そこで、それはできれば、財政の負担能力があれば、都市改造事業であるほうが望ましいということだけは問題なく言えると思うのであります。と同時に、やはり自分の町をよくするという点からいえば、お互いにある程度の犠牲を忍んでもらうという面から、区画整理事業もやってもらわなければならぬ。ただおっしゃるように、もうすっかり稠密状態になってから区画整理事業をやろうとするから問題が起こるのでありますから、できるだけそういう状態にならないうちに区画整理事業でやっておいて、そして稠密状態になってしまえば、これはやむを得ず、順序は待ってもらわなければなりませんけれども、改造事業でやっていく、こういうふうな考え方でいかざるを得ないのじゃないでしょうか。
  81. 岡本隆一

    ○岡本委員 まだもう少し大臣にお尋ねしたいことが残っておりますが、もうだいぶなにでございますから、あした続いて質問さしていただくことにいたします。
  82. 森山欽司

    森山委員長 次会は明十九日水曜日、午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十九分散会