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馬場議員 ただいま議題となりました
九州横断自動車道建設法案につきましては、私は自由民主党、日本社会党及び民主社会党を代表いたしまして、その提案の理由並びに要旨を御説明申し上げます。
わが国の当面する産業経済施策の基本的命題は、うちにおいては、広域的かつ長期的展望に立ってそれぞれの地域の総合
一体的開発を促進し、地域間相互の交流を円滑にして、いわゆる地域格差の是正をはかり、国土の全域にわたる均衡ある建設を期するとともに、外においては、海外との交易を増進し、もって産業基盤の培養強化、経済立国の基礎を確立することにあることは申すまでもありません。
これがためには、まず地域内外における交通の円滑、迅速化、特に今後発展的趨向にある高速自動車道路網の整備拡充が前提的な必須の要諦であります。ひるがえって、本地方を見まするに、北九州の一部
地区を除いては、その開発が著しく立ちおくれておりまして、わが国経済伸長の全国水準に比べまして相対的停滞の傾向を示し、依然として低位後進性を脱却し得ない実情であります。しかもその決定的阻害要因となっておりますものは、南北、東西の間に距離的時間的断層が存しておることでありまして、すみやかにこれを打開することが、本地方開発上きわめて緊急な課題であります。
すなわちこれがため、本年度を契機として着工の緒につくこととなりました九州縦貫自動車道と交錯する肋骨的横断自動車道を建設し、両々相まって開発道路の基幹を形成することが、本地方産業経済の進展と、これに伴う輸送需要の増勢に対応するゆえんであります。さらにまた、広域的見地に立って見れば、これより阪神、瀬戸内等と直結して、いわゆる西日本経済圏の一翼をになうとともに、他方、大陸、東南アジア交易の拠点としての本地方の地位的優位性を十分に注用し得ると思うのであります。
叙上の観点に立って
地元関係住民の間にも本自動車道の建設要望がほうはいとして高まってまいりました。
われわれは、このような地域的要請と事態の進展に対処して、本道路の早急な実現を期することがきわめて緊要であると
考え、特に本法案を
提出することといたしたのであります。
すなわちこの法律は、大陸、東南アジア貿易の門口として、歴史的伝統と発展的将来性を有する長崎を起点として、近時急速な発展を遂げつつある佐賀、鳥栖、久留米等内陸工業地域を通じ、さらに新産業都市として将来の産業拠点を構成する大分、鶴崎に達する高速自動車道を建設せんとするものでありまして、同時に、これら沿線には多くの観光資源を包蔵する等の実情にかんがみるとき、本道路の建設によりまして、地域産業、観光の開発、本地方の後進性の打破、西日本経済圏の確立のみならず、海外交易の増進等、あらゆる分野に一エポックを画すべき大きな役割りを果たし得ると確信いたすのであります。
これが、本法案
提出の趣旨でありますが、次に本法案の要旨について、若干の御説明を申し上げてみたいと存じます。
第一は、本法案の目的についてでありますが、国土開発縦貫自動車道たる九州自動車道と相まって、九州地方の総合的な開発をさらに強力に推進し、あわせて域外との産業経済等の
関係を一そう緊密にするため、全国的な自動車交通網の枢要
部分を構成するものとして、緊急に、九州を横断する自動車の高速交通の用に供する幹線たる自動車道を建設し、もって産業基盤の強化に資するとともに、国民経済の発展に寄与せんとするものであります。
第二は、本自動車道の
予定路線についてでありますが、本路線は、起点を長崎市、終点を大分市として、主たる経過地を佐賀市
付近、鳥栖、久留米市
付近、甘木市
付近及び日田市
付近とするものでありまして、この基準に基づき、
政府は別に法律を作成し、すみやかに国会に
提出しなければならないことといたしております。
なお、本路線の指定については、国土開発縦貫道の方式に準じてこれを行なうことといたしまして、内閣総理大臣は、国土開発縦貫自動車道審議会の議を経て、
予定路線を決定することと相なっております。
第三は、本路線の建設に関する基本
計画についてでありますが、これが決定にあたっても、内閣総理大臣は、前述の
予定路線同様の手続を経て、これを行なうことといたして、さらに、この基本
計画立案等のための基礎
調査についても、所要の規定を設けております。
第四は、現行高速自動車道法の一部改正を行ないまして、同法に準拠する本自動車道の整備
計画を作成する等、所要の規定を設けることといたしております。
以上が、本法案の提案理由並びにその要旨でありますが、ねがわくば慎重御審議の上、すみやかに御議決賜わらんことを切にお願い申し上げます。
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