○實川
委員 先ほど申し上げましたように、
供給公社をつくりましても、あまり
住宅事情は変わらないのではないか、むしろ
場所によりますと、従来事業を活発にやっておったようなところでは、若干後退すらするのではないか、という懸念さえ持たれるわけでございますが、そういう点については、ひとつそういうことがないようにお考えをいただきたいと思います。
なお、
住宅問題につきまして、先ほど
西宮さんも、ソビエトの例か何かで
お話があったようですが、私も昨年の夏北期鮮へ参りまして、
住宅が非常にりっぱに仕遂げられているのをまのあたり見たわけでありますが、御案内のように、北朝鮮は、
昭和二十七年までいわゆる朝鮮戦争をやっておりまして、戦後十二、三年
程度で
住宅関係はほとんど、一〇〇%とはまだ言えないようでしたが、大体復興ができ上がっておる。都市におきましても、農村におきましても、新しい
住宅ができまして、国民に
住宅の不安は持たせなくて済む
段階に至っておるようです。家賃等の点につきましても、
日本と比較いたしますと非常に安くて、何十分の一というような、ただみたいな家賃で入っておるというような状態でございます。もちろん国柄が違いますから、北朝鮮の行き方を直ちに
日本でとるというわけにはまいらないかと思いますが、ただ
日本の場合、せんだっても、私、
大臣の御
説明に対する質問で申しましたが、
日本の
住宅事情が極度に悪化した最大の
理由は、何と申しましても戦争の結果であります。したがって、その戦争の結果、
住宅事情が非常に荒廃し、悪化した。それを建て直すのが、私はやはり国の責任ではないかと思うのです。もちろん、終戦当時四百五十万といわれた不足
戸数が、現在百万あるいは二百万といわれておりますが、そこまでこぎつけたわけでありまして、その間の御努力につきましては感謝いたすものでございますけれ
ども、ただ、その中には
政府が直接を手を下して
住宅復興をやった部分と、
民間が自力でやって復興した部分と、その比重は、
民間自体の
建設のほうが非常に多いわけでございます。しかも、
政府で建てた
住宅については、必ずしも、朝鮮などの
事情から考えましても、家賃等の点においてあまり安くないし、
日本の
住宅政策が、どうも企業的にそろばんをとり過ぎているんじゃないか。したがって、入る住民が家賃その他の面で困っているんじゃないか。あるいはまた一定の低所得者についてはほとんど見放されたような状態になっておるし、こういう点について、やはり国としては、その根源にさかのぼって、何が今日の
住宅事情をつくったかという点をお考えになって、もっと抜本的に
住宅問題を
政府みずからの責任において
解決する、というような御決意が私は必要ではないかと思うのです。たとえば、
住宅公団に関する一切の経費は国がまるがかえするとか、あるいは宅地の造成等についても、国が責任を持ってこれを
解決する、ほんとうに安い金で、一般の庶民が
住宅に入れる、
住宅を持てる、というような形に、
政府が本腰を入れ、この
住宅問題というものを考える必要があるのではないか。従来の国の
政策の中で、
住宅問題というのは、
相当力を入れておられることはわかりますが、まだ本格的に
住宅というものが取り上げられていない、どうも片手間でやっておられるような印象を受けるわけです。したがって、国はもっと——現在特に、一番
住宅事情で困っているのは、私は低所得階層の人たちが一番
住宅に困っているのだろうと思います。もちろん、公共
住宅その他若干のことはされておりますが、決して満足な状態ではないし、むしろ、何とか自力でやれる階層に対しては、比較的
住宅が
供給されておる。これはさっき言った、
政府の採算主義というか、そういうような点から、元を取らなくちゃならない、損をしてはならないというような計算づくの
考え方の基礎に立つ
住宅政策だから、金を貸して、回収のつくもの、あるいはかかった金は取れるものというような考えで
住宅をお建てになり、
政策を進められる。したがって、一定の線以上の所得のある人たちに対しては、
住宅はある
程度緩和されてきております。しかし、どうにもならないそれ以下の階層の人については、いまのような
政府の採算主義というか、まあ金もうけをしようと考えておるわけじゃないでしょうが、従来の行き方では、今後いつまでたっても、この一定の線以下の低所得者に対しては、
住宅を
供給できないんじゃないか。やはりここまできますと、戦後十数年たって、
住宅事情も若干は緩和しておると思いますが、今後
政府が一番
住宅政策の力点を置くべき点は、一定の線以下の低所得者に対する
住宅問題を
解決する。そのためには、
政府はある
程度自腹を切る決意がなければ、私は
解決できないんじゃないかと思います。そういう点について、
大臣の御所見を承りたいと思います。