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1965-04-02 第48回国会 衆議院 建設委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年四月二日(金曜日)     午前十時五十一分開議  出席委員    委員長 森山欽司君    理事 正示啓次郎君 理事 廣瀬 正雄君    理事 福永 一臣君 理事 三池  信君    理事 井谷 正吉君 理事 岡本 隆一君    理事 西宮  弘君       逢澤  寛君    天野 光晴君      稻村左近四郎君    大倉 三郎君       木部 佳昭君    木村 武雄君       佐藤 孝行君    丹羽喬四郎君       山本 幸雄君    渡辺 栄一君       大原  亨君    金丸 徳重君       久保田鶴松君    實川 清之君       原   茂君    稲富 稜人君  出席国務大臣         建 設 大 臣 小山 長規君  出席政府委員         建 設 技 官         (住宅局長)  尚   明君         自治事務官         (財政局長)  柴田  護君  委員外出席者         大蔵事務官         (国有財産局総         務課長)    宇佐美 勝君         厚生事務官         (年金局資金課         長)      出原 孝夫君         専  門  員 熊本 政晴君     ————————————— 四月二日  委員中嶋英夫辞任につき、この補欠として大  原亨君が議長指名委員に選任された。 同日  委員大原亨辞任につき、その補欠として中嶋  英夫君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方住宅供給公社法案内閣提出第一一四号)      ————◇—————
  2. 森山欽司

    ○森山委員長 これより会議を開きます。  地方住宅供給公社法案を議題とし、審査を進めます。  前会に引き続き、質疑を続行いたします。大原亨君。
  3. 大原亨

    大原委員 前回の委員会で、住宅供給公社法案について審議をいたしておりました問題点は、供給公社という一つ政策法律案だけで、これが単なるサラリーマン住宅というふうな選挙対策になったのではだめなんです。やはり総合的な住宅政策の中で、どのように供給公社法律案を位置づけるか、こういう問題について議論を進めてきたわけであります。それで、前会の質問でなお、残っている問題等中心に、質問を続けていきたいと思います。  それで第一は、前会も質問いたしたのですが、宅地政策であります。宅地政策については非常に問題がある。特に供給公社を実施する場合におきましては、三年ないし五年後に実際に住宅を供給するということで、言うなれば、政府法律上の約束を結ぶことになるわけであります。だから、その住宅をどのように確保するか、加入者に対しましてどのような信頼関係をつくっていくか、こういう問題があると思います。そこで、私ヨーロッパの例をいろいろ見たのですが、とにかく土地利用の問題で議論になったわけですけれども住宅についてあるいは工業用地等について、開発計画のない地域は、原則として建築を禁止しておるわけであります。これは非常に小さい問題のようで大きな問題であります。区域外にやたらに安直な住宅がどんどん建っていくということが、非常に日本においても問題になっておるわけです。日本では全く逆であります。日本では、そういうふうに都市計画やその他規制のある区域以外は、自由にだれが家を建ててもよろしい、こういうふうに全然ノーコントロールであります。そのことが都市計画のやり直しとかいろいろなことで、非常に問題となって、悪循環をいたしておると思うのです。その一つの具体的な問題に入っていくわけですが、けさほどの新聞にも出ておるわけです。つまり私が指摘いたしました問題の一つといたしまして、ここに明治不動産事件というのが出ておるわけであります。土地売買をめぐって詐欺容疑事件が発生していることは、ずっと前から問題となっておったわけですが、事件本社社長まで取り調べられるということになって、会社全体があげてブローカー的な行為をしておるのではないか。これは一明治不動産だけでなしに、私もっぱらいまラジオを聞いているわけですが、ラジオでも、投書で、東京都内その他で、実際に口先で売買する土地登記面上の差異があったり、いろいろなことがあるわけです。そういう詐欺事件が非常に多くなっておるのではないか、私はこう思うのであります。これについてはいろいろな原因があるわけですけれども、まずお尋ねしたい点は、こういう事件に対して、建設省としては、家を要求している国民立場を保護する、こういう観点から、建築行政上どういうふうな監督なり、あるいは、現在の監督方針が不備であれば、将来はどういうふうにしていこうと考えておるのか。これは明治不動産一つの具体的な問題といたしまして、お考えをお伺いしたいのであります。こういうことを放任するということは、住宅の非常に熾烈なる要求に対して、政府は何らこういう問題について保護の措置をとらぬということになって、全く放任状態であるのかどうか、こういう点につきまして、ひとつ方針を明らかにしてもらいたい。
  4. 尚明

    ○尚政府委員 大都市周辺土地需要が多いのにつれまして、いま先生が御指摘になりましたような事件が、過去においても発生しがちでございまして、そこで、まず宅地建物等取引につきましては、御承知のように、先年宅地建物取引業法というのをつくりまして、これによって、登録によってその業者の資格をつくるということにいたしまして、もしそういうものに違反をしますれば登録を取り消されるというような方針で、取り締まりをやっております。いま一つ、できます宅地そのもの等が、必ずしも十分下水や何かがなく、非常に粗悪なものが売られるというような事実にかんがみまして、昨年七月御審議いただきまして、住宅地造成事業に関する法律というものを制定いたしましたが、これによりますならば、都道府県が指定した地域内において宅地造成をいたします場合には、あらかじめ都道府県知事許可を得なければならない、そして許可を得ずしてそういう仕事をいたしました者は、懲役または罰金の刑に処するというふうにして、取り締まりの道を開いたわけです。しかしながら、この住宅地造成事業に関する法律のほうは、東京都におきましてこの四月に地区を指定する、そのほか近畿圏及び千葉県等も、引き続いて本年の六月くらいまでに相次いで地区を指定し、それによってその地区内で宅地造成事業を行なうところはすべて知事認可にかかわってくるというふうになるわけで、ややおそきに失した感はございますが、今後は、できます宅地そのものは、買う方が、これは知事認可宅地造成であるということを確かめ、またこの業者宅地建物取引業者として登録されたる人格の者であるかというような点について、よく見きわめてお買いになれば、そういう事故が減ってまいるというふうに考えておるわけであります。
  5. 大原亨

    大原委員 この明治不動産事件は、これは必ずしも宅地ということではないわけです。テレビその他の宣伝に出ているように、北海道へ、やれ箱根へと、こういうふうなことで宣伝になっておるわけですから、別荘とか——これは宅地ですけれども、あるいは工場とかあるいはゴルフ場とか、  いろいろなことが想定されると思うのです。つまり不動産売買だと思うのです。たとえば「静岡でのケースはこうだった」というふうに新聞にあるわけですが、「まず客に滋賀県びわ湖近くの土地をすすめた。ところが契約は成立せず、会社側手付金を〃倍返し〃した。この金にプラスさせて、伊東市の土地を買わせた。一年たったとき「いま処分すると、百万円ほどもうかる」ともちかけ、これを売った金額に、さらに二百五十万円をプラスさせて、ほかの土地をあっせんしていた。」こういうふうにして、次から次へとぐるぐるとあっせんする中で、推定だけでも二億円以上の詐欺事件が発生をしている、こういうことですね。こういうことが、私は宅地についての問題と一緒に、土地利用の問題だと思うのです。土地利用全体の問題であると思うのです。こういう不動産宅地——宅地中心にするのだけれども投機的な対象ということもあるわけですが、そういうことを全体として、やっぱり国民が安心できるような、そういう立場規制をする方法は今日はないのか。もうちょっといまの宅地範囲を、この際のことですから、これに関連をして、範囲を広げてひとつ質問をいたしたい。全然これは野放しにあるのか。
  6. 尚明

    ○尚政府委員 いまの詐欺行為中身がよくわかりませんけれども宅地建物取引業法におきましては、「重要な事項について、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為」、それから「不当に高額の報酬を要求する行為」等を行ないました宅地建物取引業者につきましては、一年以下の懲役もしくは十万円以下の罰金にし得るような罰則がきかされることになっております。したがいまして、この事件の内容は、やがて取り調べられていろいろの問題になると思いますが、法律的には、一応かなり厳重に、そういう不実行為ができないように取り締まるという形態をとっております。  それからなお、先ほど私ちょっと間違いまして、宅地建物取引業法業者登録と申しましたが、昨年改正いたしまして、免許制に切りかえました。
  7. 大原亨

    大原委員 つまり、こういう場合には、業者自体を取り締まる、こういうことが、一つ国民がやはり信頼することになると思うのです。不安がなくなると思うのです。だから、業者に対する取り締まりは、建設省としてはできないのか、刑事上の問題になるだけであるのかどうか、いまの点で、免許を取り消すというふうなことに、実際にこれは発展するのかどうか、この点についてひとつ。
  8. 尚明

    ○尚政府委員 宅地建物取引業法建設省で所管しておりますので、いまのような不正事件をなくすように、この業法のきびしい執行をいたしまして、ただいまのような事項につきまして、行政処分を行なうということができます。それを励行いたしたいと考える次第であります。
  9. 大原亨

    大原委員 いろいろな利害関係従業員等関係もあると思うのですが、しかし特に行政官庁に要請したい点は、世上いわれるところによると、そういう相当大きな取引機関ブローカーというものと政治的な関係が云々されることが多いわけであります。ですから、この点についてはきちっとけじめをつけて、行政上の措置をすべきものについては措置をする、こういうことをやらないと、現に泣き寝入りをしておる人がたくさんあるわけですから、こういう問題はやまないのではないかと思うわけです。単に処分するだけが問題ではないが、国民が安心できるような制度をつくることも必要であるけれども、これは大臣にお聞きしたいのですが、この問題については、厳正な態度で処理すべきではないかと思うのですが、いかがですか。
  10. 小山長規

    小山国務大臣 お話のように、せっかくこういう法律があるのでありますから、これを厳正に執行したいと思っておるわけであります。
  11. 大原亨

    大原委員 いままで、こんなことは、この問題に関係して新聞にはしばしば出たのです。今度は本社社長が取り調べを受けるということで、大きな問題になったわけです。しかしなかなか売買関係で、たとえば登記をすれば税金がかかるというふうな問題等があって、口車に乗せられて、次から次へと深みに落ち込む、こういうことになっております。したがって、こういうことに至るまでの過程——数億円の損害をかけるようなそういうことの前の過程で、行政上の指導ができなければならぬ。なかなかそれは決断が要ることであるし、あるいは姿勢をきちんとしてやるべきである。こういう問題がどたんばにきて、刑事問題になって初めて行政問題が発動するというふうなことではいけないのではないか。この問題は——これは本問題だけが問題ではありませんから申し上げるのですが、特にそういう関係者の利益を守るために、業者に対する監督を厳重にしてもらいたい。この点について、もう一ぺん大臣のほうから。
  12. 小山長規

    小山国務大臣 私、まだ立ち入り検査ができるかどうかの点がつまびらかでありませんので、あとで調べて申し上げますが、立ち入り検査ができるのであれば、当然に事前の予防ができるわけですが、ただ不正事実が確定してからという法律になっておりますと、この点が事後処理になりますので、その辺を少し確かめまして、御返事申し上げます。
  13. 大原亨

    大原委員 たとえばこういうことであります。その土地をいろいろな目的で買った人が、これが安心かどうかということについて疑惑があれば、行政官庁に問題を提起した場合においては、行政官庁は直ちにその立場を保護するような、安心できるような調査なり監督ができるというルールが確立してくれば、私は、こういう問題は一面においては防ぐことができるのではないかと思う。そういう点、十分これは留意をしていただきたいと思います。  それから、この前の議論の中で、地価の安定という問題についていろいろと議論いたしたわけであります。そこで、宅地政策がない、その前提土地利用計画である、こういうことの議論の中から、空閑地税の問題とか、いろいろな問題を議論いたしました。こういう問題については、住宅政策の一環として、次の国会くらいまでにはきちっと方針を出したい、こういうことであります。そこで、私はいろいろ考えてみて、問題があるのは、土地投機対象になるというふうなことを防ぐ方法については、事務当局でもいろいろ議論がされておると思うのであります。土地投機対象になるということは、たとえば物価が上がる、株が下がる。銀行へ貯金しておいても、銀行の利子よりも物価のほうが上がっておる。株を買えば、株で大損する、いわゆる自分へそくり金で買っている者は大損して、大損害を受ける。そういうことで、換物思想、つまり宝石とか土地に手を出す、こういうことであります。これは政府政策全体の問題でありますが、そういう問題はともかくとして、土地投機対象にならないような、そういう政策をきちっとすることが必要ではないか。こういう問題について、建設省のほうで、もし議論をされておるその考えがあれば、これをひとつこの際明らかにしてもらいたい。  これは、ドイツやフランスやイタリアとか北欧とかデンマークなんかをずっと調べてみたのです。そうすると、日本のように、べらぼうに土地も上がっていないし、宅地も上がっていない。その上に、投機対象にならないようになっておる。これは買ったって、そうべらぼうなもうけというものはないようになっておるわけです。大体そういう常識になっておるわけです。だから、私は土地投機対象にするということになると、やはりブローカーが入り、あるいは不当利得をする者がおり、それを期待をする者がおり、あるいは政治との関係も出てくる。そうすると、一たん問題がそういうところまでいきますと、制度自体の改善ができないのではないか、悪循環するのではないか、そういうことで、私は土地投機対象にしないということのために、どういう政策をやったらよろしいか、こういう点について、きちっとした考えを立てないと、こういう明治不動産のような問題を抜本的に粛正することはできないのではないか、こう思うわけであります。
  14. 小山長規

    小山国務大臣 土地投機対象になって、そのために地価が上がったりすることは、確かに望ましくないことなのであります。ただ、自由なる投資を認めておる経済社会において、土地だけに限って、それの売買を厳正に統制することができるかどうかという問題は、確かにあります。いま、地価の問題で一番やっかいな問題は、一体土地の特価というものは何だという点が、われわれが一番苦心をするところなんでありまして、いま土地公示制度とか鑑定評価制度というものをつくっておりますが、まだ十分な活用を見ていないわけであります。ですから、この面あたりから切り開いていきたい。鑑定制度を縦横に駆使するとか、あるいは公示制度行政の運用の中に入れていくとか、そういうものをどのような方法で持っていけば、一番うまくいく、だろうかという点は、いま私、審議会などにいろいろ諮問をしながら、議論をしてもらい、検討してもらっておることなんでありますが、まだ、これならばという名案が浮かばないのが実情であります。
  15. 大原亨

    大原委員 これは非常に総合的な問題ですけれども、私は簡単に申し上げているから何ですが、しかし、大体西欧諸国では、私が調べた範囲においては、そういう問題はないわけです。
  16. 小山長規

    小山国務大臣 この問題は、確かに西欧日本との風習の違いからくる点があると思うのであります。たとえば、外国では、一定の都市計画のあるところでなければ、住宅を建てても、ガスも引きません、水道下水道も引きません、こういう制度をとっているところがあるわけなんです。日本の場合は、土地が安ければ、ガスがなくとも、水道がなくともけっこうです。プロパンを入れましょう、あるいは下水道がなければ、吸い込み式のものを自分で引きます、水道はなくとも、自分井戸を掘ります。こういうような習慣のあるところでは、いまの西欧式のように、ガスも引きません、下水道も引きませんよと言っても、そこに住宅を建てること、あるいは工場を建てることをちゅうちょしようという気にはならない。かえってそういうところのほうが土地が安いからといって、そっちへ行って、自分でやろうということになる。総合的に考えてみると、非常に高いものになるにかかわらず、地価自体が安いから、そこへ行こうじゃないかということで、かえって乱雑な市街地ができ上がるというのが日本実情なんであります。その点が日本人の風習外国人風習と違う点でありまして、その点でわれわれも苦心をし、苦労をするわけであります。そういう習慣がだんだんなくなりまして、やはり水は井戸ではだめだ、上水道でなければいけない、あるいは下水道の設備がなければ不便だということになると、西欧式の法制あるいは制度というものをつくることができると思うのでありますが、現在はいま申し上げたようなことで、習慣とマッチしないために、法律制度をつくりましても、そのとおり国民がなかなか実行してくれないということが出てくることは、まことに残念なところであります。
  17. 大原亨

    大原委員 この前も議論したのでありますが、土地利用の問題、それから公の立場規制の問題、つまり西欧諸国その他、問題を解決しているところでは、国が計画として許可していないところには、家を建てることができないようになっておる、そういうふうに規制されておるわけです。だからこういう問題は起きないのです。しかし、日本ではそうではなしに、区域以外のところに自由に建てるということで、無計画悪循環があるわけです。  だから、私は、たとえば子供は、自由主義であろうと何であろうと、国の子であるということで、児童手当を出す、社会保障対象とする。土地がほんとうに国民の生活安定、住のために必要だということになれば、これは資本主義であろうと社会主義であろうと、国の立場に立って、あるいは国民立場に立って規制していく、こういうことに踏み切らないと、こういう思惑というものはいつまでたっても根を断つことはできない、こう思うのです。この点について、私はこの前も議論いたしましたが、もう一度、この問題に関連して、大臣の所信を記録にとどめてもらいたい。
  18. 小山長規

    小山国務大臣 この宅地の問題、地価の問題を解決するときに、土地利用計画というものが前提になるということは、おっしゃるとおり間違いないと思うのでございます。  そこで、この間の委員会でも申し上げましたが、土地利用計画を何とか定めてみようじゃないかということで、いま学者の先生方にもお願いして、検討してもらっております。ただ、一番やっかいな問題は、土地利用計画を定めて、ここは農地である、絶対住宅地工場地にしてはいけないということにしなければならぬわけでありますが、その限界を一体どうするか。農業の生産力の問題、農地として保存したいという限界とのぶつかりを一体どう調整しようかという問題がありまして、これは建設省考え単独でいけない面がありますから、われわれのほうで基本方針をきめましたら、政府全体としてこれを取り上げてもらって、現内閣はこの方針で行くんだ、だから各省はこれに協力しようというところに持っていきたいということで、いまその基礎固め議論をしているところであります。もうしばらく時間をおかし願いたい。
  19. 大原亨

    大原委員 金融公庫住宅を見てみましたら、頭金というものがありまして、資料を出してもらったのでありますが、実際には頭金ではなしに、からだ金で、半分くらいは自己負担になっておる、こういうふうな実情です。そのもとは何かというと、宅地の高騰です。住宅供給公社を見ましてもそうですが、三年五年後の——三年五年して、三年五年後のことでありますから、相当大きな宅地政策が要るわけです。宅地の価格が安定していないといけないから、そういう需要が起きるということになると、何らかの公的な規制がないと、かえって今日の住宅団地のように、土地の値段をつり上げていくということになっていくと思うのです。ですから、この問題については、責任を持ってこういう政策をきちっとしないと、住宅供給公社をつくっても、そういうトラブルだけで——これは頭金制度がないわけですから、積み立て金ですから、問題が起きるのではないか。これは私は考えてもらいたいと思う。この問題は非常に重要な問題で、具体的に法律に即して、またあとで私は議論をいたします。  それからこの前議論いたしました点で、さらに足りない点の第二の問題は、住宅政策責任体制政府において確立していない。住宅省ということはともかくといたしまして、大体総合的に住宅について責任を持って計画を立てるのは——たとえば所得倍増政策では一千五尺それから昭和三十九年から実施した昭和三十八年の一世帯一住宅、あるいは中期経済計画では五百万戸の計画、こういうふうなものが出ておるわけです。こういう計画をつくりましても、この中身が第一問題ですが、これはまた後に議論するといたしまして、これはどこが責任を持って総合的な住宅政策を進めるのか、こういうことですね。これは、答えはもう大体想像できるわけですけれども、この問題について、行政機関窓口がばらばらである。このことは、土地を買いあさってつり上げたり、いろいろな相互間のバランスにおいて矛盾がある。あるいは政策全体の中で、住宅政策はどこに必要が多くて、そしてこれを満たしていくのか、こういう政策の重点、体系も立たない。したがって、建設省を二分して住宅省ぐらい設けてもいいような問題です。道路その他については、五カ年計画等があってやっておるわけです。河川等についてもやっておるわけですが、しかし住宅については、とにかくスローガンやキャッチフレーズを出すだけであって、その中身がない。これは私は何といっても問題だと思う。こういう問題を解決しなければ、次から次へ法案をつくっても、なかなか住宅問題の解決にはならぬのではないか。だから、その官庁窓口の連携あるいはそういう責任体制の問題について、ひとつお考えをお聞かせいただきたい。
  20. 小山長規

    小山国務大臣 その点、同感でありまして、私どもも、制度的に窓口を一本にしたいということで、今度の住宅供給公社案を提案します前にも、いろいろ折衝してみたわけであります。ただ、いまのところは、その資金が、一方においては厚生省の厚生年金資金源があり、また一方に公務員住宅がある、あるいは一方には労働省の産業労働住宅があるというようなことで、ばらばらでは困るから、そこで、これをひとつ何とか一本にしたいという願望を持っておったわけであります。それがまだ今度の予算までにはどうしても調整がつきません。しかしながら、私どもとしましては、おっしゃるとおりに、それを何とか一本化したい、それにはやはり、ことばはなんでありますが、住宅基本法とでもいうべき、基本政策を盛り込んだ法律案を用意しまして、そしてそれには当然、計画年次、計画の目標、あるいはそれに対する住宅政策の基本というようなものを織り込んだものを、できるだけ近い機会に御提案をしてを願いたい、こういう願望を持っておるわけであります。そういうことについては、着々検討をそれぞれ加えておりますが、できるだけ早い機会に、そういうことを御提案を申し上げて、そしていまおっしゃったような趣旨に沿ったものをつくり上げたい、こう思っておるわけであります。
  21. 大原亨

    大原委員 いまの御答弁ですが、住宅基本法を、次の国会には出しますか。
  22. 小山長規

    小山国務大臣 次の国会までに間に合うか、次の国会までにいい答案が出るかどうかについては、まだ確信を持ちませんけれども、私の願いとしては、ぜひそうしたい、こう思っておるわけであります。
  23. 大原亨

    大原委員 つまり、いまお話しのように、行政官庁からいいましても、公営、公庫、公団は建設省、自治省、供給公社建設省、自治省、年金福祉事業団は厚生省、雇用促進事業団は労働省、こういうふうにたくさんあるわけです。それぞれ理由があるわけですけれども、それらを総合的にやらないと、たとえば、公共団体でつくる公営住宅と公団がつくる住宅とは、対象が違うわけです。あるいは給与住宅のウエートが日本では非常に大きいわけです。これは非常に便乗的な政策であります。それから民間の自主的な、そういう非営利団体等による、たとえば労住協などによる労金の資金その他の資金等を導入しての問題、そういう問題等が、内容的にも制度的にも非常に多いわけです。だから、そういう問題といまの用地問題等を含めて、総合的な住宅に対する基本政策——これはいま非常におそいわけですけれども、しかしこれはやはり立てないと、次から次へと、サラリーマン住宅やいろいろなことを出しましても、私は、非常にお役所仕事になるというか、行き当たりばったりになって、住宅問題の解決にならぬのではないか、こういうふうに思いますので、住宅基本法は全力をあげてつくるべきではないか、ぜひともそういう方針でやるべきではないか、それについて、あらためてもう一回決意を確かめておきたいと思います。
  24. 小山長規

    小山国務大臣 いまお話しになりましたような欠陥は、われわれとしましても十分に認識しておりますし、またその必要を認めております。ただ、従来のいろいろな歴史などがありまして、各省の間に非常に調整を要する点がありますが、これは全力をあげて、できれば次の国会に提案できるように、スピードを上げていきたい、こう思っております。
  25. 大原亨

    大原委員 次に、第三の問題を私は拾ってみたのですが、住宅供給公社をつくるということに関連をしまして、やはりいろいろな政策が、先ほど申し上げたようにあるわけですが、これらを整理統合して、しかも一元化して、これを正しく位置づけていく、そうして国民諸階層の実際に必要な要望にこたえていく。そうしないと、いまは低所得階層が住宅がない。そして公営住宅はあるけれども、後に申し上げるように、公営住宅は、対象が非常に量的にも質的にも問題があるので、結局は希望してもはいれない。はいれないから、くじに当たって入るまで、一畳千円、千五百円、これは大都市ではそういう相場になってしまっておる。中都市で一畳が千円、そうして一部屋に家族と一緒に入って、非常に非社会的、非道徳的、しかも労働の面からいえば非生産的、そういう住居の実情であって、そうして低所得階層で子供が多く家族が多い者ほど悲惨な目にあっておる、こういうことであります。そこで住宅供給公社法が出ておるのですが、これは五十万円以上の所得者を対象としたというふうに言っておりますけれども、このこと自体は、全体がよくなればまだ広げる道があるというふうなことで、必ずしもこの政策についてとやかく言うわけではありませんが、その住宅政策の内容が問題である。そこで、私はこの前も議論いたしましたけれども、低所得階層をねらった公営住宅のウエートが、日本においては非常に軽いのではないか。これが何といっても住宅政策中心であるべきである。これはヨーロッパの例を見てみましてもそうですが、公営住宅並びに政府施策の住宅で、公営に準ずるようなそういう長期低利、たとえば利子は一%、そうして期間は五十年、六十年、七十年、八十年、こういうふうな資金をやりまして、政府責任を持って住宅の社会化を行なっておる。社会化住宅というふうに公然と出してやっておるわけであります。これは政府委員のほうでよろしいのですが、日本では今日までの実績で一千万戸住宅、七百万戸住宅、五百万戸住宅、そういう政府のキャッチフレーズの中で、大体どのくらい公営住宅ができておるか、どのくらいの実績を持っておるか、これはひとつ念のためにお聞きをいたしておきます。
  26. 尚明

    ○尚政府委員 公営住宅の過去の実績を申し上げますと、ただいま資料によりまして昭和二十年より昭和三十八年までに建ちました住宅が、政府施策及び民間を合計いたしまして九百十四万戸と推定されております。そのうち政府施策住宅は三百万戸余りになっておりますが、うち公営住宅は九十万七千戸それから改良住宅が一万五千戸合わせまして九十二万二千戸が低家賃住宅になっておるわけでございます。そのほか賃貸住宅としては公団住宅等がございます。
  27. 大原亨

    大原委員 これは外国の例では、一年間に少なくとも三十万戸あるいは六十万戸というふうに、社会化住宅をつくっておるわけです。それはと竜かくとして、とにかく公営住宅が量が非常に少ないから、低所得階層その他の問題が解決しないだけでなしに、どさくさまぎれの住宅がどんどん建っていく、こういうことだと思うのです。これは資金はあるわけですから、厚生年金積み立て金を見ても、国民年金の積み立て金を見ても、財政投融資の中でそれらの占めておる率は大きいわけですから、思い切ってやれば、これはできるのであります。この問題が一つあると私は思う。  それからもう一つは、この前議論いたしまして残っている問題は、日本的な住宅政策の特色は、これは給与住宅であります。給与住宅のウエートが高過ぎるので、これについて技本的な——これはILOの住宅勧告でも問題になっておるが、これはやはり抜本的な改善策をやるべきではないか。給与住宅の失態、それからこれの抜本的な改善に対する方向、考え方、こういうものをひとつこの際お答えをいただきたい。
  28. 尚明

    ○尚政府委員 給与住宅の現状と申し上げますと、たとえば建設省の国庫補助住宅、公庫融資住宅、公団住宅は、四十年度の計画においては、二十四万七千五十五戸でございますが、そのうち給与住宅を援助する住宅施策は、公庫におきます産業労働者住宅一万五千戸、それから日本住宅公団の特定分譲住宅九千戸が充てられることになっております。なお、これらの数は、大体におきまして前年から特にふやしておりませんで、前年並み程度でやっているわけでございますが、御指摘のようにILOの勧告もあって、社宅制度というものを漸減していくということは、私どもとしても方向としては考えている次第でございますが、御承知のように、今日の大都市の住宅の逼迫状況というものは、諸外国に比べて問題にならないくらいわが国特有の非常に激しい状況でございますので、やはり企業者もその資金の一端をになって、労働者の住宅の安定のために責任の一端を負っていくということが行なわれておりますし、またその制度をある程度活用していかなければ、住宅安定がはかられないという実情のもとに、当分の間はやはり現行制度をある程度続けていかなければならないのではないかというふうに考えております。ただ最近におきまして、企業者の側も労働者の側も、同じ社宅建設の資金が出るならば、その資金を何らかの仕組みにおいて研究をいたしまして、持ち家のほうになるような方式に仕組めないかというような要望も少しずつ出てまいっておりますので、私どもの今後の研究課題として、そのように企業者資金あるいは労働者の積み立て金を活用いたしまして、いま申しましたように、社宅というものはある程度は今後も一続けていかなければなりませんが、その一部について、次第にそれが持ち家のようになっていくように、その資金が活用できる道はないかということを、いま鋭意研究中でございます。
  29. 大原亨

    大原委員 これは、日本内閣においては大臣がしばしばかわる、一年間ごとにかわるという制度のようであると思うのです。こういう社会保障とか住宅などというふうな、じみちで必要な政策が一貫してできないのは、私は一つはそれがあると思うのです。そうすると役所のほうは、役人はやはり責任のがれになってしまうわけだ。大臣がかわるのだから、どうせこれはあまり思い切ったことも責任があることも一やるまい、こういうことになるわけですよ。それだから、給与住宅でも一抜本的に改善しなければならぬ。こんなものは国際常識からいうてないのです。会社をやめる、公共企業体をやめたら、その住宅を出ていかなければならぬというような、そういう住宅政策はないわけです。そんな非人道的な住宅政策はないわけです。だから、そういう政治全体の姿勢の問題があると思うのであります。これは自民党の皆さん方見えておるので、大臣を選挙に役立てる人もあるかもしらぬけれども政策を推進することが大切だ。せっかく勉強しでなれたかと思うと、大臣がかわるというようなことではいけない。いままでやったことについて、私は責任は追及しますよ。この前ときょう御答弁になっておることについては、責任を持ってもらうけれども、しかしやはり何と言ったって、事情がわからぬことには事態が進まない。お役所のほうも先ほど言うたようなことではないか、こういうふうに思うわけです。給与住宅だって、国の財政投融資が使われておる。こんな金が使われておるわけです。だからその金をどう使うかということです。どういう条件の中でどう便っていくかということが、政策でございます。厚生省、見えておると思うのですが、年金福祉事業団の中で、いわゆる社宅、給与住宅に出しておるそういう金の現状は、大体どういうふうになっておりますか。
  30. 出原孝夫

    ○出原説明員 年金福祉事業団で住宅に出しております融資のワクといたしましては、三十七年度から申し上げますと、三十七年度七十億、三十八年度百億、三十九年度百五十二億、昭和四十年度は二百三十五億を見込んでおります。
  31. 大原亨

    大原委員 つまり、住宅金融公庫を見ましても、それから住宅公団を見ましても、年金福祉事業団の給与住宅を見ましても、だんだんふえておるわけです。こんな漫然たる——口ではILOの住宅勧告を尊重するというようなことを言っておるが、これはなかなか実績が上がっていないだけではなしに、ふえておる。やはりそういうウェートを多くするよりも、公営住宅等を中心とした、あるいは長期低利の、金融公庫頭金が半分にもなるような、頭でなくて胴体金になるような、からだ金、そういうふうなものにひずんできておるわけです。だから私は、そういう本来の国民需要にこたえるような政策を重点にするような、そういう基本法なり大きな政策の中で、持ち家の問題も、所得の階層に応じて立てていくべきではないか、そういう総合政策が欠如しているのではないか、その問題を指摘しておくと一緒に、その対策ですが、その対策は、いまの給与住宅を持ち家にしていく、分譲していく、いままでの家賃を、分割払いで所有権を移転をしていく、こういうことの方針と一緒に、当初建設省が案を立てておったという話もあるけれども、事業者も労働者も金を出し、国も財政投融資等を出していって、住宅の協同組合等をつくっていく、協同組合住宅に変えていく、そうすれば、みんなの力で、その職場において働いている場合においても、その以降においても、逐次所有権が確保できるようになるのではないか。私は、住宅についての協同組合の問題と、この分譲持ち家の問題とともに、そういう政策を立てていって、だんだんと国民的な要求に従って、——大きな企業等においては、当面労使ともにそういう要求をしている。そういうことに従って、漫然とふえている政策というものを、本来の住宅政策に切りかえていくような、そういう方向づけを、住宅政策の中ですべきではないか、私は、二つの住宅協同組合と、いまお話しになりました持ち家分譲、こういう政策を取り入れて、大きくこの政策を変えていく必要があるのではないか、こういう点を指摘いたしまして、見解をお聞きいたしたいと思います。
  32. 小山長規

    小山国務大臣 私どもも、借家よりも本人の所有の家に変えるということのほうが非常に望ましい政策であるという点を強調しまして、その意味でも、今度の住宅供給公社という案を提案したわけであります。ただ人によりましては——自分のものに家がなるためには、要するに分譲代金を払わなければならぬわけでありますが、その分譲代金の期限が、いまの金融情勢からいうと、そう長い期限を、政府の場合は別でありますけれども、予定できない点がありまして、分譲住宅一本にしぼりますと、月々非常に高い支払いをしなければならぬという面が一つあるわけであります。給与とかあるいは賃貸住宅にいたしますと、償還年限を非常に長く見ることによって、安い家賃でやることができますけれども、分譲代金となりますと、その点がうまくいかない面があります。したがって、低所得者の場合には、いきなり分譲に持っていくことは、かえって本人たちの負担をふやしていくのではないかという面がありますので、償還期限、金利、そういう面から考えて、この点は軽軽にいきなり、賃貸よりも持ち家分譲のほうがいいんだというようには言いきれない面がありますことを、御了承願いたいと思います。
  33. 大原亨

    大原委員 自治省の柴田財政局長が急いでおられるから、先に三つ質問いたします。  公営住宅についていま御答弁があったのですが、公営住宅の中で、いわゆる自治体の超過負担はどのようになっておるかということが一つ。  それから、公営住宅政策を進める上において、その超過負担を解消する政策、起債のワク、その他の問題で、強い要求が自治体からあったわけでありますが、こういう問題についてどのような考えを持っているか、という点が第二点。  第三点は、住宅供給公社というこの法律案について、住宅政策上はともかくとして、自治体として、この問題に対してどういう意見を持ってこられたか。これについて、意見があれば、建設大臣はおられるけれども、遠慮は要りませんから、ずばりと反対なら反対というふうに言われてけっこうですから、ひとつ自治省のほうから見解を聞かせていただきたい。
  34. 柴田護

    ○柴田政府委員 公営住宅の超過負担でございますが、正確な計算ではございませんけれども昭和三十八年度の実態につきまして、府県並びに市町村について、市町村は抽出、府県は悉皆でございますが、超過負担の実態を調べまして、これを基礎にいたしまして、三十九年度の超過負担額を推計いたしますと、公営住宅につきまして約二百五十億程度になると推定されます。これはつまり補助金とこれに見合います部分を越えた部分でございますので、純粋に言いますと、補助金につきますれば、二百五十億円について、これに補助率をかけたものが、この形の上では補助金の不足分ということに一応なります。しかし、この二百五十億の中には敷地関係のものが相当部分含まれておると私ども推定をいたしておるわけでございます。で、公営住宅の建設事業につきましては、地方債によりまして、その裏負担を見ておるわけでございますが、その地方債の充当率が十分ではございません。そこで年々この充当率を引き上げるべく、大蔵省とは衝折を続けてまいったわけでございますが、資金のワク等がございましてまだ十分ではございません。つまり、全体といたしましては、地方負担のたしか四割前後のものしか充当しておりません。それでも、従来から比べますれば相当大幅に上げておりますけれども、なお私どもの目的といたしましては、公営住宅の持つ性格からいいますならば、地方負担分についてほぼ一〇〇%近い充当率を目標とすべきものと考えているわけでございます。しかしながら、現状は、御説明申し上げましたような事情でございまして、なおこの点につきましては将来とも努力してまいるつもりでございます。  なお、住宅の超過負担が出てまいります原因等につきましては、敷地関係の問題がおもでございます。しかしながら、単価自体につきましても、地域的には若干問題があるわけでございまして、したがってそれらの点につきましては、主務省である建設省、並びに大蔵省に対しましては、毎年この是正方について強く要請をいたしておるわけでございます。実際問題といたしましては、毎年徐々には直っておりますけれども、なお必ずしも十分というところまでまいっておりません。  それから、住宅供給公社の問題につきましては、おそらくは、この法案ができます過程におきまして、いろいろございました問題を背景に置いてのお尋ねかと思いますけれども、両省間でいろいろ調整いたしました結果、御審議願っておりますような法案において落ちついたわけでございます。私どもは、この法案のねらいとするところにつきまして、別にとやかく言うわけではございません。問題は、中途はんぱな形においてこの事業が行なわれることをおそれるわけでございます。そういう意味で心配をいたしまして、ちゃんとした軌道に乗った形においてこの事業が進みますようにということから、いろいろ御意見を申し上げ、折衝を重ねたわけでございまして、結果的には、御審議願っておるような形におきまして調整がついた、こういう形になっております。
  35. 大原亨

    大原委員 いまお話しのように、公営住宅でも、起債の、ワクもくれないし、財政上の措置も十分でない。そういう中で、将来何ら基準財政需要額に算入をして交付税の対象になるというふうなこともなしに、地方自治体の費用の持ち出しもある。さらに住宅供給公社金融公庫のワク内の二万五千戸の分譲住宅の中で二万戸やるわけですが、結局設立のための資本金あるいは運営費あるいは地価の変動その他によって、いままで公営住宅で出ておると同じようなしわ寄せを受ける可能性があるのではないか。いま一応は落ちついたけれども、この運営いかんによっては、そういう地方自治体の財政に対するしわ寄せが起きてくるのではないか。こういう点に対して、自治省としてはどういう責任のある見解を持っておられますか。
  36. 柴田護

    ○柴田政府委員 お話の点を私どもは非常に心配をいたしたわけでございます。一昨年でしたか、早川自治大臣のころから、私どもといたしましては、住宅について、地方の行ないます単独事業も含めまして、持ち家政策というものが不足しておるから、持ち家政策というものに重点を置いてほしいということを、自治省としては念願いたしておったわけでございます。したがって、この構想につきましては、そういう意味におきましては、非常に賛同するのでありますけれども、御指摘の点を非常に憂慮したわけでございます。したがって、この法案建設省において立案されましたときも、非常に心配いたしまして、いろいろ折衝いたしたわけでございます。実際問題といたしましては、出資を地方団体が行なうわけでございますので、その出資者たる立場において、この住宅供給公社のいろいろな意味合いにおきます結果というものが、出資者たる地方団体にはね返ってくるおそれがあるわけであります。したがって、出資いたします場合においても、貧乏団体につきましては、結果的には財源措置をしてやらなければなりません。そういう意味合いで、出資につきましては、自治大臣の承認を要するということにいたしたわけでございます。したがって、その際において、住宅供給公社の運営その他の計画等につきまして、建設当局と十分相談をいたしまして、供給公社の業務運営の結果、不測の事態が起こらないように、十分注意してまいるつもりでございます。
  37. 大原亨

    大原委員 公営住宅にいたしましても、いままでの歴史を見ますと、標準建設費で済んだ時代があるわけです。それでおつりがくるとは言わないけれども、家財道具まで買える時代があった。いまは半分ぐらいになった。宅地問題等でいろいろな問題があったけれども、これもキャッチフレーズだけで出発しまして、中身は十分やらぬで、いまお話しのように中途はんぱになって、地方の自治体にしわ寄せがくるおそれがある。この問題については、法案が最終段階にくるまでに、なお十分審議をされると思いますが、私も別な角度から十分資料をとって、審議を進めたいと思います。  そこで、質問を続けてまいりますが、協同組合住宅で言ったことについては、大臣からはお答えがなかった。つまり社宅、給与住宅を、事業主も労働者側も、あるいは国家資金も入れて、あるいは国の助成措置もして、協同組合住宅に転換する道を開くべきではないか。今日までいろいろなくふうをしてやってきたと思うのですが、ここに一つの目安として、労働金庫等を中心としている労住協があるわけです。一つの例があるわけです。労住協は、私は予算委員会でも質問をいたしたのですが、その実績は相当なものであります。これは住宅供給公社と競合する面があるから、逐次質問していくのですが、相当の実績を持っておると私は思うのです。労働金庫は、この労住協のために、増改築等を入れましたならば一千億に近い自己資金を出しておるわけです。それから建築戸数からいいましても、相当の実績があるわけです。この点について、どういう評価をされておるかという点を私は聞きたい。住宅協同組合の問題に関連して、労働者住宅協会、労働者住宅協同組合等、名前はいろいろ違うものもあるけれども、協同組合事業を通してやっておる。結局公庫や事業団等のワクもとっておりますけれども、自己資金も出してやっておるわけであります。外国の例を見てみましたら、民間住宅というのはかくのごときものであります。あとで時間があれば申し上げたいのですが。日本住宅というのは、一千万戸建てるといっても、民間住宅のウェートが非常に高い。民間住宅というのは、自然発生的な野放しの民間住宅です。しかし政府の施策の中における民間住宅というのは、こういうものでないかと思う。給与住宅にいたしましても、社宅等にいたしましても、協同組合住宅に転換をして、そういう資金源についてもあらゆるくふうをするならば、私は、外国の例を見ても、非常に大きな実績をあげ得るのではないかと思う。労住協に対する評価、これからの考え方、こういうものにつきまして、ひとつお答えをいただきたい。
  38. 尚明

    ○尚政府委員 労働者住宅協会ができまして、その会員と労働金庫等のバックによりまして、さらに政府資金としては公庫融資あるいは厚生年金還元融資等を利用して、住宅建設をやっておられることは、私どももよく承知しております。これらの仕事が逐年伸びつつあることも承知をいたしております。したがいまして、私ども、かりに住宅供給公社におきまして今度分譲住宅をやるにつきましても、このことのために、決して労働者住宅協会の発展が阻害されないように、たとえば、毎年労働者住宅協会には、公庫融資の一定のワクといいますか、割り当てをいたしておりますが、それにつきましても、前年に比べ、さらに御要望に応じて、ふやしてまいりたいというふうに考えております。
  39. 大原亨

    大原委員 住宅金融公庫の中から出ている分譲住宅が、今回の住宅供給公社を入れまして三つあるわけであります。その一つに地方公共団体がやる分譲住宅がある。これは末端の機構はそれぞれ違うわけです。もう一つは、労住協などのような自主的な非営利事業団体に対して、一部ですが、流れておるお金があるわけであります。それからもう一つは、今度法律案が出ておるのは、住宅供給公社から流れて、分譲住宅、持ち家ができていく道があるわけです。ここだけをとってみましても、この三つがあるわけです。その標準建設費を一応はじくわけですが、この三つのやり方について、標準建設費は差別があるのかないのか、住宅供給公社において特に優遇しておるそういう措置があるのかどうか、こういう点を含めまして、お答えしていただきたい。
  40. 尚明

    ○尚政府委員 ただいま御指摘のように、大きく分類いたしますならば三つ、もしくはこれに若干電鉄等が分譲住宅等をやっているのに対して公庫が計画を立てる上で認めているのもございますので、四つとも言えると思いますが、これらの間に、たとえば同じ構造のものについて、融資金額の差を設けるかというお話でございますが、従来までは全然差はございませんでしたが、今回これから勤労者分譲住宅制度を拡充して、おおむね二割程度を積み立てましたら、さらに頭金を原則的にはそれほど追加しないで持ち家を供給できるようにということにいたしますと、御指摘のように、実際問題として、従来より融資の金額をある程度上げなければならぬということになります。それにつきましては、今回大蔵省も融資率の引き上げ等をお認めくださいましたので、ある程度の可能性ができたわけです。そこで、私どもいま考えておりますのは、こういうふうにいたしたらいいかと思っております。この勤労者分譲住宅として供給する住宅は、今日の社会情勢から見まして、たとえば二十数坪の家というようなことはとてもできませんので、三室の、おおむね十五坪から十八坪ぐらいで、土地の利用もこの程度ということで、いわゆる分譲住宅に二種類あるとするならば、普及版分譲住宅というような形において、一般の勤労者が今日あるいはこれから近い将来に取得するにふさわしい住宅、かつそれに対して割賦金も相応のお金で払えるというような勤労者分譲住宅というものは、面積及びその土地利用等についてある程度制限を設けまして、それ以上大きなものは、在来のような普通の分譲住宅という考え方で、特にいまの融資等については率がある程度下がってもやむを得ない。すなわち一定の三室の十五坪から十七坪ぐらいまでの家で、勤労者にふさわしいような、いわゆる普及版分譲住宅をつくっていただくところにおいては、構造はすべか同じ、構造が同じであれば融資は同じようにいたしていくというふうに考えております。
  41. 大原亨

    大原委員 融資率は十五ないし十七坪の場合においては同じように扱う、こういうお答えであります。  それから、標準建設費をはじかないと建築の予算額が出てこないと思うのです。標準建設費は同じようにするのですか。
  42. 尚明

    ○尚政府委員 標準建設費はいずれもやはり同じにして、これは年度の初めに事業の主体にはわかるようにいたします。
  43. 大原亨

    大原委員 それを進めての具体的な問題はまたあとということにいたしまして、いま労住協の問題について、質問しておりたわけですが、つまり日本住宅政策の基本をきめる中で、最近のことですから、中期経済計画にとってみますと、その中では民間住宅というのは大体どのくらいを占めるのですか。
  44. 尚明

    ○尚政府委員 たとえば中期経済計画では、三十九年から四十三年の五カ年に五百万戸以上の住宅、そのうち政府が二百万戸以上という計画にいたしております。したがいまして、民間はおおむね六割である三百万戸という推算をいたしておるわけであります。
  45. 大原亨

    大原委員 そうしますと、民間住宅に対しまして、私はちょっと勉強不足なんですが、政府はどのような責任を持つのですか。
  46. 尚明

    ○尚政府委員 民間住宅の推進につきましては、ただいまのところ、租税の減免においてこれが建てやすくできるようにしております。すなわち、一定金額以内の住宅、あるいは一定規模以内の住宅、あるいは一定規模以内の土地利用につきましては、各種の税において減免措置が講ぜられているわけでございます。
  47. 大原亨

    大原委員 ヨーロッパの例を見てみますと、七割から九割近くまでは政府の施策住宅、たとえばフランスでもイタリアでも一%というただみたいな利子で、しかも非常に長期の融資でやっているわけです。だから民間住宅というのは、税金でちょっぴりまけるというのではなしに、融資やそう他においてもやはり組織的な政策をやって、そして狭隘な住宅がどんどんできるというふうなことを規制しないと、これは民間住宅ということにならぬのじゃないですか。それから家賃についても全然規制がないというふうな住宅政策というものでは、国民とは縁のない、または国民がこれに対して納得しない、そういう政策じゃないですかね。租税の面だけでやるというふうな政策は、ほんとうに自然発生的に、必要な者がたたき大工で家を建てていくということまでも認めることであって、スラム化を促進するのじゃないですか。町を見てみましたら、バラックや、耐火性にいたしましてもほんとうに安直のやつがどんどんできているから、これは二十年後、三十年後にはすぐスラム化するわけですね。民間住宅に対する施策がないのにスローガンだけあげるというのは、これは私は政策にならぬと思いますが、大臣いかがですか。
  48. 小山長規

    小山国務大臣 私ども政府施策住宅と言いますときには、いわゆる租税を使ったり、あるいは財政投融資資金を使うのは政府施策住宅というのでありまして、民間の住宅でありましても、公庫の資金を使う場合には政府施策住宅として取り扱うわけであります。いまお話しの部分は、要するに政府の施策住宅、いわゆる政府資金が少ないために民間がどんどん無計画住宅をつくっていくじゃないかという御批判であろうと思うのでありますが、その点は、私どももできるだけ政府の施策住宅をふやしていきたいということでやっておるわけでありまして、そのために公営住宅や公団住宅制度をつくっているわけですが、ただ資金の面がそう無制限に出てこない。租税にいたしましても、無制限に租税を住宅だけに振り向けるわけにいかない事情は御承知のとおり。また資金にいたしましても、国民の貯蓄します部分、特に政府の財政投融資として使える部分は、年間の増加率というものはそう無制限にふえるわけではありませんから、おのずから制限がある。それをどのようにして住宅に向けていくかというところなんでありますから、したがって、その点では、毎年公営住宅をふやしたり、あるいは財政投融資資金の金額をふやして、そして住宅金融公庫あるいは日本住宅公団からするところの住宅の戸数をふやしていくという点で努力しておりまするし、特に四十年度では、従来と比べて相当たくさんの戸数をつくることにいたしまして、住宅政策に大きな重点を置いた予算を組んだという点は、御了承願えると思うわけであります。
  49. 大原亨

    大原委員 いま局長が答弁されましたが、中期経済計画で、五百万戸以上と言っているわけです。しかしその中で二百万戸が政府施策住宅なんです。あとの三百万戸は民間です。そんな政策というものは先進国ではないわけです。これは半分以下でしょう。だから、そういう政策の中で、住宅供給公社というアドバルーンを上げる。これは位置づけとしてはどうか、こういう点と、時期的に、住宅をつくる際に、個々ばらばらにつくるよりも、住宅建設について、農業や中小企業でやっておる共同化方式をとって、一方においては規制をしながら一方においては助成をしていく、こういう政策を民間住宅政策の分野において進めていかなければ、住宅政策の基本をつくったって、全く政策の前進にならぬのじゃないか、そういう方針を私は問題としてあげておるわけです。したがって、これは、住宅供給公社は労住協や協同組合方式の住宅と似た面があるわけです。外国の例を見ると、協同組合方式に似た面がある。そういう点で、公的な性格を持たせながら、規制もするが、助成もしていくというふうな政策があって、初めて、私は住宅政策としては前進をするのではないか、こういうふうにこの問題に関しては思うわけですが、大臣いかがですか。
  50. 小山長規

    小山国務大臣 そういう意味ならば、労働者住宅協会に対しましては、いま現にこれらの組合の方々がそういう協会をつくっておられて、そして集団住宅をつくってやっていこうということに対しましては、公庫の資金割り当てをいたしておりますことは、先ほど局長が申し上げたように、これは援助しておるわけです。したがって、その部分に関する限りは、これは政府施策住宅になるわけです。ただ、これがどうして一体よけい割り当てできないかという点は、全体の公庫資金の割り当ての問題になってくるのでありますが、一つにはまた、協会自体の加入脱退は一体どうなっておるのか。特にこれは社宅などをつくります場合は、退職金という問題がありましょうけれども、分譲住宅をつくりますと、今度は会社をやめたあと責任は一体だれが持つのか、だれが保証するのかというような問題があって、大きく発展しないのじゃないかという面があるのじゃないかと思います。それで、そういう面がありますけれども、これは先ほど来局長が申し上げておりますように、公庫資金のワクの中で、われわれはできるだけの資金の援助はいたしております、こう申し上げておるわけであります。
  51. 大原亨

    大原委員 私の言うのは、税制上だけでなしに、民間の建築に対して、金融上その他のできる限りの助成措置をしながら、そしてスラム化しないような、非人道的でない、健康で文化的な住宅をつくるような政策を進めるべきではないか。それは供給住宅に関しても、協同組合住宅に関連して、こういう問題を考えるべきではないか、こういう問題を私は提起しているわけです。だから、労住協だけにこだわって問題にしておるのではない。人的にも金銭的にも能力の限界がある。私はそういう広い意味において、民間住宅に対して、政府は税制上だけでなしに、そういう制度上も、協同組合法等をつくって、これは民法上の関係その他ややこしい問題もあるが、しかし制度上も金融上も、公共用地その他の面においても、やるべきではないか、こういうことを私は申し上げておるのであります。この点について大臣どうですか。
  52. 小山長規

    小山国務大臣 その点はこうじゃないでしょうか。いま政府住宅というときに、先ほど申し上げましたように、資金の面からいえば、住宅公庫が金を貸してあげて、そうしてやる部分については、共同住宅にしなければならぬというふうな指導方針はとれるわけです。ところが、民間が、公庫の資金でなしに、あるいは生命保険の金を使う、信託会社の金を使う、あるいは銀行の金を使うというときには、それを集団住宅にしなければいかぬとか、防災建築にしなければいかぬということは、別の建築基準の問題として規制するのであって、資金の面からの規制はできないわけです。そういうふうに御了解願いたいと思います。
  53. 大原亨

    大原委員 厚生年金とか国民年金などは、言うなれば、相当部分は拠出者のものです。掛け金をかけた者のものなんです。議論はいろいろありますが、目的からいいましても、厚生年金は労働者の福祉のために使うわけで、国民年金は国民階層のそういう所得保障のために使うわけです。だからそういう積み立て金等を利用する道もあるし、あるいは生命保険にいたしましても、一たん入ってしまえば会社のものですが、しかし、住宅の公共性から、一定の比率については、利子補給の政策等もあると思うが、そういう政策とあわせながら、金融上一定の義務を課することが、ある意味においては、そのことが生命保険の目的にもかなっておるのではないか、信託の目的にもかなっておるのではないか、こういうことを私は言っておるのです。   〔委員長退席、広瀬委員長代理着席〕 そういう問題について、総合的な施策を立ててもらいたい。こういう点を、これは議論をいつまでしておってもしようがないから、私は指摘しておきます。  次に質問いたしますが、住宅供給公社は、今回二万余りですが、各都道府県にどういう基準で割り当てるかわからぬが、これは集団化して、健康で文化的な住宅環境をつくるという。その祭に問題になりますのは、たくさん問題があるのでありますが、一つの問題は、集団住宅には公共用地が要るわけです。それは何かと言うと、そういう団地をつくりますと、上下水道から遊園地からあるいは道路、そういういろいろなものがある。広い住宅団地であればあるほど、道路等のそういう公共川地が宅地の中から出されるわけです。住宅をつくれば、道路が要るわけです。それに付属して公共施設が要って、いろいろやかましい問題が、地域開発の問題であったわけです。それは加入者の負担になるのかどうか。
  54. 尚明

    ○尚政府委員 これは加入者の負担になる部分と、そうでなく、他の公共事業等が負担すべき部分と、二つに分かれると思います。通常住七団地の開発をいたしました場合、これがたとえば道路にいたしますと、主要の幹線に属するようなものは、これにつきましては、都市計画の補助等がございます。また都市計画の事業としてやる場合もしばしばあるわけでございます。それから、住宅にすぐ付属する近まの道路等は、宅地開発の一環として、宅地開発のほうの資金で建設するわけでございます。そのようなことは、上下水道等につきましても同様でございます。したがいまして、一がいに全部加入者の負担になるかという御質問につきましては、きわめて小さな団地であれば、通常行なわれているように、宅地開発のほうがすべて負担していくわけでございます。これが規模が大きくなりますと、そこへいろいろの公共事業が、たとえば学校なら学校の用地ができました場合は、その学校用地は、地元の公共団体が買い取るというようなことも考えられます。大きくなるに従いまして、他の事業が入ってまいりまして、それが引き受けた部分は、その開発費から抜けるわけでございます。以上のような感触で住宅地の価格がきまるというふうにいたしたいと思っています。
  55. 大原亨

    大原委員 つまり、道路がたくさんできて、相当数、これが負担になる。あるいは上下水道をやらなければならぬということで、市町村の負担にもなるし、本人の負担にもなる。あるいは面積からいえば、そういう学校とか託児所等の問題も出てくる。しかし、そういう公共用地については、国、ないし国の責任で地方公共団体が見るというふうな方針を立てないと、結果は加入者負担になって、地価が相当上がることになるのではないか。最近の地方公共団体の分譲宅地等の問題で、今度首都圏その他と同じように、還元方式をとるというのですが、土地を提供したものに還元をするといいましても、そういうものを見ていくと、値段がものすごく上がっておるわけです。それで非常に大きな不満が起きておるわけですね。そのことが示すように、そういう団地をこれから供給公社でつくっていくということになれば、その宅地についても非常に大きな負担をかけることになるのではないかということになる。そういう問題について、これは原則として、そういう公共用地は国ないし公共団体で負担をするのだということで、その面積だけは除外をした単価計算をするようにしないと、これはとうてい採算というか、そろばんがはじけないのではないか。結局は地方公共団体の、いま財政局長が答弁されたように、これは負担になるのではないか。そういう点について問題があるから、これは責任を持ってもらわなければならぬ。私はこういう点を指摘するわけです。
  56. 尚明

    ○尚政府委員 御指摘のように、大団地になればなるほど、その開発は町づくりの形態を帯びてまいります。小さな面積の開発でございますれば、それ全部が住宅地でありまして、かりにその中に小さな児童遊園をつくりましても、その児童遊園はほとんどそこの居住者が自分の庭の一環として使われる、こういうことになる。それが非常に大きくなりまして、百万坪、二百万坪というような開発になるに従いまして、公共公園も必要になってまいります。それはその団地以外の人も使う公園になってまいります。それから学校、下水処理施設、そういうふうに非常に大きくなってまいります。この問題は、わが国の住宅建設段階が、諸外国と同じように数百万坪の開発が現に行なわれるだけの能力ができ、現に行なわれる段階に至りまして、御指摘のように、最近非常な問題となってまいったわけです。私どもとしても、そういう公共部分は、公共の事業の資金として整備するのが当然でございますので、その方向に向かって鋭意財政当局にもお話しし、そしてそれの負担を、この公園はどういうところが負担してつくるのがいいか、この道路は、都市計画事業にどのように当てはめて事業を行なうのがいいかというようなことにつきまして、最近都市計画の担当部局等と相談いたしておりまして、それからさらに、必要な学校につきましては、御承知のように、新たに住宅金融公庫からも学校建設の融資ができるような道を開く、いろいろな手段をもちまして、御指摘がありました団地の拡大につれて公共部分が多くなってくる、その公共部分を、町づくりの考えのもとに、公共的資金で建設するようにいたし、そして住宅と伴ってその敷地すなわち宅地を取得する方は、通常の理念で宅地開発に伴いまして通常考えられる道路等の負担は当然のことでございますが、その他のものが、過剰に入居者等の負担にならないようにするということで、鋭意研究をいたしておる次第でございます。また財政的にも予ての裏づけをするよう、努力いたしております。今後もその努力を続けたいというふうに考えております。
  57. 大原亨

    大原委員 努力目標を示されたことはいいのですが、なかなかそうなってはいない。特に私は、条文に即してはあと議論するとして、たとえばいまお話しになりました、住宅金融公庫から学校の設立資金までも融資する方法がある、こういう話ですね。これは確かにそういうふうに書いてある。しかし、その融資をしたのはよろしいけれども、その全体の団地、宅地の償却の場合、つまり分割納入の場合、分割して償却する場合、その際に、その中へ含めて考えるようなことになりますと、結局は個人の負担、加入者の負担の問題と自治体の負担とをめぐって、やはり問題は残るわけであります。そのことをぴしっときめておかないと、公共用地については、国の責任で、あるいは国の責任で地方公共団体が負担するものである、こういうことについて明確なことをきめておかないと、こういうものが出発いたしましても、これは非常に問題が残るのではないか。努力目標でなしに、そういう方針を明確にすべきではないかと思います。
  58. 尚明

    ○尚政府委員 ただいま御説明が足りなかったと思いますが、いま申し上げました、学校建設資金を公庫から融資することにつきましても、これは学校建設資金住宅金融公庫から融資して、住七地開発をする事業主体がこれを借りて建設します。そのときに、五年以内にこれを地元の地方公共団体が買い取る。その五年以内の間に、学校のほうの補助金を文部省から必ず受ける。そしてあわせて学校の補助に伴う起債を自治省から受ける。こういうようなことにつきまして、大蔵省、文部省、自治省、建設省、四者事務次官の協議書ができて、ルールに乗っております。おそらく、先生の御指摘になりました問題は、そういうルール化を、主要道路について、あるいは主要下水、幹線道路について、していくべきであるというお話と考えます。私どもの先ほど申しました努力というものも、そういうことをルール化して、それぞれの資金分担を明確にしていくということをいたし、そしてその結果、住宅に困窮し住宅を求めている人に、必要以上の負担がかかってこないようにするというふうにルール化をする、その方向で努力をいたしている次第でございます。
  59. 大原亨

    大原委員 分譲住宅について四つの方法については、公共団体、それから住宅供給公社、それから労住協など、あるいは事業団体のそういう分譲住宅、こういうふうなものがある、こういうような話です。たとえば労住協の場合でも、集団住宅をつくる、これは公の金も入っている。それから社宅の場合でもそうでしょう。これを住宅協同組合に転換するというような政策を促進する場合もそうですが、そういう広範囲住宅、町づくりをする際には、公共用地は国が見ていくのだ、これは関連しての質問ですが、こういう原則をぴしっと立てることが、住宅計画的にやってもう一回ひっくり返して都市計画をやる、というような悪循環を食いとめるために必要ではないか。そういう方針建設省は明確にすべきではないか。私は政策のバランスの上から申し上げるのです。
  60. 尚明

    ○尚政府委員 公共用地を公共事業のほうで負担することを明確にする、原則としてはそのとおりでございます。ただその公共用地というものが、たとえば鉄筋コンクリートのアパートがありまして、その中間に設けられました児童遊園地というものは、これは側々のアパートに庭がついていないために、共同の庭として、この入居者がもっぱら使う庭でございます。そういうものは、アパートの建設資金と一緒の一体として考えるべき筋と考えます。したがいまして、公共の中を分類いたしまして、地方公共団体なり何なりが、公共施設として当然考えるべきものは公共、そうして住宅に非常に密着してこれに付属するものと考えられる公共部分というものは住宅、そのルールをはっきりして、負担区分を明確にいたしたい、こういうふうに考えています。全体としては、在来の方式からいえば、とかく開発資金のほうに負担がかかりがちでございますので、それを是正して、正しい姿に持ってまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。    〔廣瀬委員長代理退席、委員長着席〕
  61. 大原亨

    大原委員 耐火性の鉄筋コンクリートの建物の場合に、これは分譲して持ち家にすることがで曇るわけですか、その建物の、ブロックとブロックと〉の間のあき地ですね、これは公社の所有なんですか、それともみんなの共有なんですか。登記上の問題。これは小さい問題だけれども、お答えをいただきたい。
  62. 尚明

    ○尚政府委員 アパートの中の土地は、入居者に全部分譲せられた場合においては、それは共有になるわけでございます。
  63. 大原亨

    大原委員 アパートとアパートの間の土地は……。
  64. 尚明

    ○尚政府委員 はい、共有でございます。
  65. 大原亨

    大原委員 分割してその建設資金を償却するわけですが、月に大体どのくらいの金を返す、こういうふうにお考えですか。
  66. 尚明

    ○尚政府委員 たとえば一つの例といたしまして、鉄筋コンクリートのアパートを、土地とも一戸二百二、三十万でできたという場合、これは大体大都市に近いところでの建設費になります。その場合、住宅金融公庫が約八割に相当する百八十万円を融資した。百八十万円を借りて、鉄筋コンクリートの割賦期限でございます三十五年償還をいたしますと、月の払いがおおむね九千円でございます。
  67. 大原亨

    大原委員 これはILOの住宅の中にもあるわけです。サラリーマン住宅というのですから、何割になるかわからぬが、二割ぐらいになるのですね。二割というのは国際相場からいえば高いわけです。社会主義の国では、大体光熱費を入れて五%、それは一人一部屋を目標にしてやっておる。大体西欧諸国では一割、こういうふうになっておる。六万円の場合は六千円ぐらい、このぐらいで生活を圧迫しないように、こういうのが大体の趣旨ではないか、私はそう思うわけです。この点はまたあと議論いたしますが、つまり私は、家賃政策というものが、公団あるいは民間住宅を通じて——住宅基本法では、そういう精神的な規定はつくられるかもしれないが、家賃というものが、特に民間住宅においてはべらぼうに、半分も家賃を払っておるという例があるように、これは家賃政策というものが日本にはないわけなんです。借地借家等のあの例の法律は、われわれの反対によりまして残っていますけれども、しかしこれは一部分にしか適用になっていない、新しいところには適用にならぬわけです。家賃政策というものがない、そういうところに、一つ私は大きな問題があるのではないかと思う。それから、これが結局は高くなるというのは、いろいろな付属した費用、あるいは利子、それから融資の期間、こういう問題等が問題になるのではないか。財政問題等において、金がないというけれども住宅が重要であるということになれば、私は筋の通った金はたくさんあると考えるわけであります。したがって、きょうは、私の手元へレポートが回ってまいりましたから、この程度でやめることにいたしますが、とにかく、私は住宅政策全体から考えてみまして、この住宅供給公社にはまだまだたくさん議論を詰めなければならぬ問題がある、そういうことでございますから、一応私の質問はこの程度で終わりまして、問題は自後の機会に譲ることにいたしたいと思います。
  68. 森山欽司

    ○森山委員長 次会は、来たる四月七日水曜日、午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十五分散会