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1965-03-31 第48回国会 衆議院 建設委員会 第13号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
四十年三月三十一日(水曜日) 午前十時四十八分
開議
出席委員
委員長
森山
欽司君
理事
正
示啓次郎
君
理事
廣瀬 正雄君
理事
福永 一臣君
理事
三池 信君
理事
井谷 正吉君
理事
岡本 隆一君
理事
西宮 弘君 逢澤 寛君 天野 光晴君 大倉 三郎君 木部 佳昭君 木村 武雄君
丹羽喬四郎
君 堀内 一雄君 渡辺 栄一君
大原
亨君 金丸 徳重君
久保田鶴松
君 原 茂君
山中日露史
君 玉置 一徳君
出席国務大臣
建 設 大 臣
小山
長規
君
出席政府委員
建 設 技 官 (
住宅局長
) 尚 明君
委員外
の
出席者
専 門 員 熊本 政晴君
—————————————
三月三十一日
委員中嶋英夫
君
辞任
につき、その
補欠
として大
原亨
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 同日
委員大原亨
君
辞任
につき、その
補欠
として
中嶋
英夫
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。
—————————————
三月三十日
地方住宅供給公社法案
(
内閣提出
第一一四号) 同月二十九日
適正単価
に基づく
公共工事発注
に関する
請願
(
村上勇
君
紹介
)(第二二〇三号)
国道飯田豊橋線池場隧道工事
に関する
請願
(福
井勇
君
紹介
)(第二二〇四号)
土地区画整理法
の一部
改正並び
に東京都北区田
端地区
の
区画整理事業
に関する
請願
(
河野密
君
紹介
)(第二三一七号) は本
委員会
に付託された。
—————————————
本日の
会議
に付した案件
地方住宅供給公社法案
(
内閣提出
第一一四号) ————◇—————
森山欽司
1
○
森山委員長
これより
会議
を開きます。 昨三十日、本
委員会
に付託になりました。
内閣提出
の
地方住宅供給公社法案
を
議題
といたします。
—————————————
森山欽司
2
○
森山委員長
まず、
本案
について、
提案理由
の
説明
を聴取いたします。
建設大臣小山長規
君。
小山長規
3
○
小山国務大臣
ただいま
議題
になりました
地方住宅供給公社法案
につきまして、
提案
の
理由
及びその
要旨
を御
説明
申し上げます。 御承知のように、
政府
は、
社会開発
の一環として
住宅対策
を重視し、
昭和
四十五年度までに一世帯一
住宅
を実現して、国民のすべてが健全な明るい
住生活
を営むことができるよう、
政府施策住宅
を拡充強化するとともに、
民間自力建設住宅
の促進をはかっております。 この
施策
の実施にあたっては、
賃貸住宅
を希望する者には
賃貸住宅
が、
持ち家住宅
を希望する者には
持ち家住宅
が得られるようにすべきことはもちろんでありますが、最近の
宅地価格
の
高騰等
により、
住宅
の
建設費
が増大し、
中堅階層
の
勤労者
にとっては、
持ち家住宅
の
取得
が次第に困難となってまいりました。 したがって、
持ち家住宅
を希望するこれらの
人たち
に
住宅
の
取得
を容易にし、その
生活
に健全な目標を与えるため、
住宅
を
取得
するための
資金
について国の援助を強化するとともに、これらの
人たち
にみずから
資金
の
積み立て
を行なわせることを奨励する必要があります。 この
法律案
は、以上の観点から、
住宅
の
不足
の著しい
地域
において、
住宅
を必要とする
勤労者
に対し、
住宅
の
積み立て分譲等
の
方法
により、
居住環境
の良好な
集団住宅
及びその用に供する
宅地
を供給するため、
地方住宅供給公社
の制度を創設しようとするものであります。 次に、その
要旨
を御
説明
申し上げます。 まず第一に、
地方住宅供給公社
の行なう
業務
としましては、
持ち家住宅
を希望する
勤労者
から
積み立て金
を
受け入れ
、
一定額
に達した者に
住宅
を供給するほか、
住宅
及び
利便施設
の
建設
、
賃貸
その他の
管理
及び
譲渡
並びに
宅地
の
造成
、
賃貸
その他の
管理
及び
譲渡等
を行なわせることとしております。 第二に、この
地方公社
は、この
目的
、
業務
の
性格
にかんがみ、
都道府県
または
人口
五十万以上の
大都市
が
出資
し、
建設大臣
の
認可
を受けて
設立
する
特別法人
としております。なお、
関係市町村
もこれにあわせて
出資
することができることといたしました。また、必要に応じ、二以上の
都道府県
または
大都市
が共同して
設立
することも認めることといたしました。 第三に、この
地方公社
は、
建設大臣
と
都道府県知事
または
市長
が
監督
することとし、
公社
の
事業計画
及び
資金計画
につきましては、
事業
の
公益性
を確保し、
経営
の
健全化
をはかるため、
建設大臣
、
都道府県知事
または
市長
の
承認
を受けさせることといたしました。 第四に、この
地方公社
に対して、
土地
の
収用権
を認めるとともに、新
住宅市街地開発事業
の
事業主体
となることができることとして、その
宅地
の
取得
を容易にいたしました。また、この
地方公社
に対して、
国税
、
地方税
を通じて、税制上の
優遇措置
を講ずるとともに、この
地方公社
が
積み立て者
にその
積み立て額
に応じて還元する
金額
についても
非課税
とすることといたしました。 なお、
都道府県
または
大都市
が
設立
した
民法
上の
公益法人
で、現に
住宅
の供給に関する
事業
を行なっているものは、
組織変更
して
地方住宅供給公社
となることができることといたしました。 以上が、この
法律案
の
提案
の
理由
及びその
要旨
でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願いいたします。
森山欽司
4
○
森山委員長
以上で、
提案理由
の
説明
は終わりました。 次に、
本案
について、
住宅局長
から
逐条説明
を聴取いたします。尚
住宅局長
。
尚明
5
○尚
政府委員
ただいま
議題
となりました、
地方住宅供給公社法案
について、逐条的に御
説明
申し上げます。この
法案
は、九章五十条と
附則
二十一項からなっております。 第一章は、
地方住宅供給公社
の
目的
、
名称
、
出資
、
定款等
について
規定
しております。 第一条は、
地方公社
の
目的
を定めたものであります。
地方公社
は、
住宅不足
の著しい
地域
において、
持ち家
を必要とする
勤労者
から
積み立て金
を
受け入れ
るとともに、この
積み立て金
と、
住宅金融公庫
の
融資
、
銀行
その他の
金融機関
の
融資等
による
資金
をあわせ活用して、
勤労者
のために
居住環境
の良好な
集団住宅
及びそのための
宅地
を供給し、もって
地域住民
の
生活
の安定と
社会福祉
の増進に寄与することを
目的
としております。 第二条は、
地方公社
の
特別法人
としての
法人格
に関して定めたものであります。 第三条は、
名称
に関して定めたものであります。 第四条は、
地方公社
の
出資
について定めたものでありまして、第一項におきましては、
地方公共団体
のみが
出資
できることを、第二項においては、後ほど述べます
設立団体
が二分の一以上を
出資
しなければならないこととしております。 また、第三項におきましては、
地方公社
に
出資
する
地方公共団体
の財政の
健全性
を確保する見地から、その
出資
について、
自治大臣
の
承認
を受けさせることとしております。 第五条は、
地方公社
の
定款
について定めております。
定款
は、
地方公社
の基本となる規則でありまして、その
内容
は、他の
特別法人
と大体同様であります。 また、第二項におきまして、
定款
の
変更
については、
建設大臣
の
認可
がなければその効力を生じないこととしております。 第六条は、
地方公社
の
登記
について定めたものであります。 第七条は、
民法
の
必要規定
を
準用
したものであります。すなわち、第四十四条の
準用
によりまして、
理事長
その他
代理人
がその
職務
を行なうにつき他人に損害を加えたときは、
地方公社
がその責に任ずることとなり、第五十条の
準用
によりまして、
地方公社
の住所は、その主たる
事務所
の
所在地
にあることになります。 第二章は、
地方公社
の
設立
について
規定
しております。 第八条は、
設立団体
に関する
規定
でありまして、
地方公社
の
性格
にかんがみまして、
都道府県
または
人口
五十万以上の
大都市
で
政令
で指定するものでなければ
設立
できないこととしております。 第九条は、
地方公社
の
設立手続
を定めたものでありまして、
地方公社
を
設立
するには、それぞれの
地方議会
の議決を経た上で、
定款
及び
業務方法書
を作成して
建設大臣
の
認可
を受けることとしております。 第十条は、
地方公社
は、その主たる
事務所
の
所在地
において
設立
の
登記
をすることによって成立することと定めたものであります。 第三章は、
地方公社
の
役員
及び
職員
の
職務権限
及び
任命等
について
規定
しております。 第十一条は、
地方公社
の
役員
として、
理事長
、
理事
及び
監事
を置くこととしております。なお
役員
の定数につきましては、先ほど第五条で申し上げました
定款
で定めることといたしております。 第十二条は、
地方公社
の
役員
の
職務
と
権限
を定めたものでありまして、
理事長
は、
地方公社
を代表し、その
業務
を総理いたします。
理事
は、
理事長
を補佐して
地方公社
の
業務
を掌理し、
理事長
が欠けたときはその
職務
を行ないます。 また
監事
は、
地方公社
の
業務
を監査いたしますが、監査の結果、必要あると認めるときは、
理事長
または
地方公社
の
監督者
である
建設大臣
、
都道府県知事
または
市長
に
意見
を提出することができることとしております。 第十三条は、
地方公社
の
役員
の
任命方法
について定めたものであります。すなわち、
理事長
及び
監事
は、
設立団体
の長が
任命
することとし、
理事
は
理事長
が
任命
することといたしております。 第十四条は、
役員
の
任期
に関する
規定
でありまして、その
期間
は、四年をこえることができないこととしております。したがいまして、各
地方公社
は、その
定款
におきまして四年以内で
役員
の
任期
を定めることになります。また、
役員
の再任を認めることといたしました。 第十五条は、
地方公社
の
役員
の
欠格条項
について定めたものでありまして、
地方公社
と
取引
上密接な
利害関係
にある
一定
の者は、
役員
になれないこととしております。 第十六条は、
役員
の解任について定めたものであります。すなわち、
設立団体
の長または
理事長
は、それぞれその
任命
した
役員
が、
前条
で申し上げました
欠格条項
に該当するようになったときは、その
役員
を解任しなければならないこと、また、
役員
に心身の故障の生じたり
職務
上の
義務違反
があったときは、その
役員
を解任できることとしております。 第十七条は、
地方公社
の
理事長
の
利益
が相反するような場合は、
地方公社
の
利益
を守る必要がありますので、
理事長
に
代表権
がなく、かわりに
監事
が代表することを定めたものであります。 第十八条は、
代理人
の選任に関する
規定
であります。
理事長
は、その
職務
の一部について
代理人
を選任する必要がある場合が考えられますので、この
規定
を置いた次第であります。 第十九条は、
地方公社
の
職員
の
任命
に関する
規定
でありまして、すべて
理事長
が
任命
することといたしました。 第二十条は、
地方公社
の行なう
業務
の
公益性
にかんがみ、
役職員
は刑法その他の
適用
については公務員とみなすこととした
規定
であります。 第四章は、
地方公社
が行なう
業務
について
規定
しております。 第二十一条は、
地方公社
が行なう
業務
の
範囲
を定めた
規定
であります。
地方公社
が行なう
業務
は、大別して二つに分けられます。まず第一に、
地方公社
はその
必須業務
として、
積み立て方式
による
住宅
の
分譲
を行ないます。すなわち、
持ち家
を希望する者から、
一定
の
期間
、
一定
の
金額
に達するまで定期に
金銭
を
受け入れ
、その
期間満了
後、
受け入れ
た額以上の
一定額
を
代価
の一部に充てて
住宅
及びその
敷地
を売り渡すこと及びその
付帯業務
を行ないます。 第二に、
地方公社
は、次の
業務
の全部または一部を行なうことができますが、この
範囲
は、
日本住宅公団
の場合とほぼ同様であります。その一つは、先ほど申し上げました
積み立て方式
による
分譲住宅
以外の
住宅
の
建設
、
賃貸
及び
譲渡等
を行ないます。次に、
宅地
の
造成
を行ない、これの
賃貸
及び
譲渡等
を行ないます。次に、
市街地
において
地方公社
が行なう
住宅
の
建設
と一体として
商店
、
事務所等
を
建設
することが適当である場合に、これらの
施設
の
建設
、
賃貸
及び
譲渡
を行ないます。次に、
住宅用地
とあわせて学校、病院、
商店等
の
用地
を
造成
することが適当な場合に、これらの
用地
の
造成
、
賃貸
及び
譲渡等
を行ないます。次に、
地方公社
が
建設
した
住宅団地
の
居住者
の
利便施設
の
建設
、
賃貸
及び
譲渡等
を行ないます。大
規模
な
住宅団地
におきましては、かかる
施設
を供給することが
居住者
の
生活
上ぜひとも必要であります。この
施設
としては、
児童遊園
、
共同浴場
、
託児所
、
診療所
、市場、
売店等
を考えております。次に、これらの
業務
に付帯する
業務
と
公有水面
の
埋め立て事業
を行ないます。なお、
受託業務
として、以上の
業務
の遂行に支障のない
範囲
内で
住宅
、
宅地
及び先ほど申し上げましたような諸
施設
に関する
業務
を行なうことができることとしております。 第二十二条は、
地方公社
が
住宅
を
建設
し、
宅地
を
造成
し、またはこれらを
賃貸
または
譲渡
するときの正しいあり方についての
努力義務
を定めたものであります。すなわち、第一条の
目的
にかんがみまして、
前条
の
業務
を行なうには、
勤労者
が健康で文化的な
生活
を営むに足りる良好な
環境
の
住宅
または
宅地
が確保されるようつとめるとともに、
住宅
を必要とする
勤労者
の適正な利用が確保され、かつ、
賃貸料
または
譲渡価格
が適正なものとなるようにつとめなければならないこととしております。これは、
地方公社
の持つ
公益的性格
にかんがみ、当然のことと考えられます。 第二十三条は、第二十一条で申し上げました
住宅
の
積み立て方式
による
分譲
の
方法
について
規定
したものであります。すなわち、
地方公社
は、
住宅
の
積み立て分譲
に関する
契約
をするときは、
契約
の相手方の資格及び
選定方法
並びに
契約
の
内容
に関して、
建設省令
で定める
基準
に従わなければならないこととしております。また、この
契約
を解約した場合は、
積み立て者
を保護するために、
積み立て者
は、
金銭債権
について、
地方公社
の総
財産
の上に
先取特権
を有することといたしました。 第二十四条は、第二十二条の
規定
を受けまして、
地方公社
が
業務
として行なう
住宅
、
宅地
及び諸
施設
の
建設
、
賃貸
及び
譲渡等
は、他の
法令
による
基準
のほか、
建設省令
で定める
一定
の
基準
に従わなければならないこととしております。したがいまして、
地方公社
が
建設
する
住宅
の
規模
、家賃、
分譲価格
は
住宅
を必要とする
勤労者
が利用するにふさわしいものとなります。なお、ここにいう他の
法令
のうち主要なものは、
住宅金融公庫法
及びこれに基づく
政令
、
省令
でありまして、
地方公社
が、
住宅金融公庫
の
融資
を受けて
建設
する場合は、この
住宅金融公庫法
及びこれに基づく
政令
、
省令
が
適用
されることになります。 第二十五条は、
地方公社
は、
住宅
の
積み立て分譲
に関する
契約
による
金銭
の
受け入れ業務
の一部を、
銀行
その他の
金融機関
に委託すべきことを定めたものでありまして、
委託業務
の
範囲
は、いわゆる現金の
出納事務
とする
予定
であります。 第二十六条は、
地方公社
の
業務方法書
に関する
規定
であります。
業務方法書
は、
地方公社
の
業務執行
の
基準
でありまして、その
記載事項
は、
建設省令
で定めることとしておりますが、
住宅
の
積み立て分譲
に関する
事項
、
住宅
及び
宅地
の
賃貸
、
譲渡
の条件及びその
方法等
に関する
事項等
を定める
予定
にしております。また
業務方法書
の
変更
は、
建設大臣
の
認可事項
といたしました。 第二十七条は、
地方公社
の毎
事業年度
の
事業計画
及び
資金計画
は、
業務
の
公益性
及び
経営
の
安定性
を確保するため、
都道府県知事等
の
承認事項
とすることといたしました。なお、
都道府県知事等
がこれらの
計画
を
承認
しようとするときは、
住宅
の
積み立て分譲
にかかわる
部分
について、あらかじめ
建設大臣
の
認可
を受けなければならないことといたしました。これは
地方公社
が行なう
住宅
の
積み立て分譲
に要する
資金
は、
契約者
の
積み立て金
のほか、そのほとんどを
住宅金融公庫
からの
融資
を
予定
しておりますので、これとの
調整
を行なう必要があるからであります。したがいまして、
建設大臣
は、この
認可
を行なうにあたりましては、
大蔵大臣
と十分協議して行なうようにしたいと考えております。 第二十八条は、
地方公社
が
住宅
を
建設
し、または
宅地
を
造成
しようとするときは、あらかじめ地元の
公共団体
の長の
意見
を聞くべき旨を定めた
規定
であります。この
規定
を設けました
理由
は、各
地方公共団体
のそれぞれの
住宅建設計画等
と
地方公社
の
住宅建設計画等
の
調整
をはかるとともに、
地方公社
の
業務
が円滑に行なわれるよう、
地方公共団体
の協力を得る必要があるからであります。 第五章は、
地方公社
の
財務
及び
会計
について
規定
しております。 第二十九条は、
地方公社
の
事業年度
について定めたものであります。 第三十条は、
地方公社
の
財務
に関する
会計区分
の
規定
でありますが、
地方公社
が行なう
住宅
の
積み立て分譲
に関する
契約
に基づく
金銭
の
受け入れ
は、
金融機関類似
の
業務
でありますので、これに関する
会計
を明らかにするため、他の
業務
に関する
会計
と
区分
して経理させることを定めたものであります。また、第二項におきまして、
中途解約
に備えて、
建設省令
で定めるところにより、
債務支払い
に充てるための
一定
の
引き当て金
を保有すべきことを定めましだ。この
建設省令
におきましては、
引き当て金
の額の
算出方法
、
引き当て金
が
流動資産
であること等について定める
予定
であります。 第三十一条は、
地方公社
の
決算完結
時期について定めたものであります。 第三十二条は、
地方公社
の
財務諸表
及び
業務報告書
について定めたものであります。 第三十三条は、
地方公社
の
利益
及び損失の処理について定めたものであります。 第三十四条は、
地方公社
の
余裕金
の運用について定めたものでありまして、
地方公社
の
性格
上堅実なものに限定しております。 第三十五条は、
地方公社
の
財務
及び
会計
に関しての
建設省令
への
委任規定
であります。この
省令
におきまして、
財務諸表
及び
業務報告書
の
作成方法
、その他
財務
及び
会計
の細部の手続的な
事項
について
規定
する
予定
であります。 第六章は、
地方公社
の
解散事由
及び
清算
について
規定
しております。 第三十六条は、
地方公社
の
解散事由
について定めたものであります。 第三十七条は、
地方公社
が
解散
した場合の
清算人
に関する
規定
でありまして、破産による
解散
以外は、
理事長
及び
理事
が
清算人
になることとしております。この場合におきまして、その
職務
及び
権限
については、第十二条で申し上げました
理事長
及び
理事
の
規定
を
準用
することといたしました。 第三十八条は、
清算
の結果、
地方公社
に
残余財産
が生じたときの帰属について定めたものでありまして、
出資
の額に応じて、
地方公共団体
に分配することといたしました。 第三十九条は、
地方公社
の
解散
及び
清算
について、
民法
及び非
訟事件手続法
の
所要
の
規定
を
準用
することとしたものであります。 第七章は、
地方公社
に対する
建設大臣
及び
都道府県知事等
の
監督
について
規定
しております。 第四十条は、
建設大臣
及び
都道府県知事等
の、
地方公社
に対する報告徴取権及び
検査権
について定めております。 第四十一条は、
建設大臣
及び
都道府県知事等
の、
地方公社
に対する
監督命令
の
権限規定
でありますが、
都道府県知事等
が第一次的に、
建設大臣
は第二次的に、
監督権限
を発動すべきものとしております。 第四十二条は、
地方公社
に
違法行為
があった場合の、
建設大臣
及び
都道府県知事等
の
是正措置
を定めたものであります。
都道府県知事等
が第一次的に、
建設大臣
が第二次的に、
監督権限
を発動すべきものであることは、
前条
の場合と同様であります。なお、
地方公社
の
設立認可
の
取り消し権限
は
建設大臣
にのみ属せしめられております。 第八章は、
共同設立
、
書類
の
都道府県知事等
の
経由
、
住宅金融公庫
の
融資
、
非課税措置
、他の
法令
の
準用
について
規定
しております。 第四十三条は、二以上の
都道府県
及び
大都市
が共同して
地方公社
を
設立
することができる旨の
規定
であります。
都道府県
または
政令
で指定する
人口
五十万以上の
大都市
は、第八条の
規定
により、それぞれ単独で
地方公社
を
設立
することができますが、
本条
第一項第一号及び第二号の
規定
は、
住宅事情
の逼迫した
地域
において、
都道府県
という
行政区画
にとらわれないで、広域的に
住宅
問題の解決をはかる必要がある場合を予想して設けたものであります。また、その第三号の
規定
は、
都道府県
とその区域内の
大都市
が共同して
地方公社
を
設立
したほうがよい場合が考えられますので、設けたものであります。 第二項におきましては、
共同設立
の場合の
監督者
について
規定
しております。すなわち前項の第一号及び第二号の場合には、
都道府県知事等
の
監督権限
はなく、
建設大臣
のみが直接
監督
いたします。また第三号の場合には、
都道府県知事
のみが
監督
し、
市長
の
監督権限
がなくなります。第三項におきましては、
共同設立
の場合に、
事業計画
及び
資金計画
の
承認
をするときは、
建設大臣
は、
設立団体
の長である
都道府県知事
または
市長
の、
都道府県知事
は、
設立団体
の長である
市長
の、
意見
を聞くこととしております。 第四十四条は、
地方公社
が
建設大臣
に提出する
書類
の
経由
について定めたものであります。 第四十五条は、
住宅金融公庫
の
地方公社
に対する
融資
について
規定
したものであります。
地方公社
の
業務
が円滑に行なわれるためには、必要な
資金
について、
住宅金融公庫
からの
融資
を要することはもちろんでありますが、特に
住宅
の
積み立て分譲
に関する
契約
に基づいて
地方公社
が供給する
住宅
及びその
敷地
に要する
資金
については、
積み立て金
のほかは、
住宅金融公庫
の
融資
を
予定
している場合がほとんどでありますので、この
融資
について、
住宅金融公庫
はできるだけ十分な配慮をすべきものといたしました。 第四十六条は、
非課税規定
であります。
本条
のほか、
附則
におきましても、
国税
、
地方税
につきまして、
所要
の
免税措置
を講じております。 第一項の
規定
は、
地方公社
が
設立
のときに現物
出資
された、本来の
業務
の用に供する
不動産
についての
不動産取得税
の
非課税規定
であります。第二項の
規定
は、
住宅
の
積み立て分譲
に関する
契約
に基づく
積み立て
を奨励するため、
住宅
の
代価
の一部に充てる額のうち、
積み立て額
を上回る
部分
についての
所得税
を
非課税
とする
規定
であります。 第四十七条は、
不動産登記法
及び
政令
で定めるその他の
法令
の
適用
について、
地方公社
を
地方公共団体
とみなす
規定
でありますが、
政令
におきましては、
建築基準法
、
土地収用法
、
宅地建物取引業法
、
宅地造成等規制法
、
住宅地造成事業
に関する
法律等
を
予定
しておりまして、たとえば、
宅地建物取引業法
、
宅地造成等規制法
及び
住宅地造成事業
に関する
法律
の場合は、その
適用
が除外される等の扱いを受けることになります。 第九章は、
罰則
の
規定
でありまして、第四十八条から第五十条までにおいて、
地方公社
及び
地方公社
の
役職員
に対する
罰則
を
規定
しております。 最後に
附則
でありますが、二十一項にわたって
規定
しております。 第一項は、
施行期日
を定めたものであります。第二項から第四項までの
規定
は、
民法
第三十四条の
規定
による
公益法人
の
地方公社
への
組織変更
に関する
規定
であります。第五項は、
公益法人
が
事業年度
の
中途
で
組織変更
して
地方公社
となった場合における
法人税
及び
事業税
の
適用
についての
事業年度
の
区分
の
規定
であります。第六項及び第七項は、
公益法人
が
地方公社
に
組織変更
した場合における
組織変更
に伴う
登記等
の
登録税
の
非課税
の
規定
であります。第八項は、
名称使用
の制限に関する
経過措置
であります。第九項は、
土地収用法
の一部
改正
でありまして、
建築基準法
による
住居地域
内において
地方公社
が行なう五十戸以上の
一団地
の
住宅経営
の
土地
を、収用しまたは使用することができる
事業
として、
地方公社
の
土地取得
を容易にいたしました。第十項は、新
住宅市街地開発法
の一部
改正
でありまして、
地方公社
が新
住宅市街地開発事業
の
施行者
となることができることとして、
地方公社
の
土地
の
取得
と
計画的開発
を容易にいたしました。第十一項から第十九項までは、
地方公社
に対する
登録税
、
印紙税
、
所得税
、
法人税
、
事業税
及び
不動産取得税
の
減免規定
及び
地方公社
から
住宅
または
敷地
を譲り受けた者に対して、
登録税
及び
不動産取得税
を減免する
規定
であります。第二十項及び第二十一項は、この
法律
の施行に伴って必要とされる
建設
省設置法の一部
改正
であります。 以上、
地方住宅供給公社法案
につきまして、逐条御
説明
を申し上げた次第であります。
森山欽司
6
○
森山委員長
以上で、
逐条説明
は終わりました。
森山欽司
7
○
森山委員長
質疑の通告がありますので、順次これを許します。
大原
亨君。
大原亨
8
○
大原
委員
地方住宅供給公社法案
、こういうのが出たのですが、これを中心といたしまして、
住宅
政策をお聞きするわけです。 世上、この
公社
は
日本住宅公団
の小型の公団、つまり豆公団、あるいはあまり
内容
のないトンネル会社だ、あるいは役人のうば捨て山だ、一部でそういう批判があるわけであります。私は、全体の
住宅
政策の中でこれがどういうふうに位置づけられるのか、こういうことが、
住宅
政策の上できわめて大切な問題ではないかというふうに思うわけであります。これは
持ち家
につきまして発表されましたときの最初の構想とだいぶん変わっておるわけであります。 最初にお尋ねしたい点は、初年度に大体何万戸建てて、それで各県の
地方公社
にはどういう
基準
でこれを配分をしていくのか。最初はちょっと具体的に御質問いたしたいと思うのです。
尚明
9
○尚
政府委員
御承知のように、いま御審議願っております予算におきましては、
住宅金融公庫
で
分譲住宅
として予算を計上しておりますのが二万五千戸でございます。私どもは、そのうちのおおむね二万戸程度をこの供給
公社
を通じてこの
分譲住宅
にいたしたいと考えている次第でございまして、その配分は、これは
積み立て者
に必ず供給するというたてまえから、
土地
が確保されていることが必要でございます。今後はそれを見越して、どんどん
土地
の先行
取得
をやるわけでございますが、初年度におきましてはまだこれが十分でない点もございますので、大きく分けまして、一つは
住宅不足
の各県の状態、いま一つはそれぞれの
公社
が保有している
土地
の状況等をあわせ考えまして、初年度の配分をいたしたいということで、いまはまだ供給
公社
にはなっておりませんけれども、既存の、各
地方公共団体
の
出資
した公共法人である
住宅
協会等の手持ちの
土地
、あるいは来年度の
計画
等について聴取をいたしておる次第でございます。これに伴いまして、配分をいたしたいというふうに考えております。
大原亨
10
○
大原
委員
それで、各
都道府県
の
地方公社
に対する配分は、簡単にいえば、
公社
の
設立
の状況と見合う、あるいは実績に見合ってやるということですね。そこで、これはあとでまた御質問するといたしまして、また飛び飛びになって何ですが、大きい問題ですから、大臣にひとつ伺いたい。 一世帯一
住宅
というのを
昭和
三十八年に策定いたしまして、三十九年から出発をいたしました。それからもう一つは、昨年公営
住宅
については、三カ年
計画
が、御承知のように
住宅
法によって報告をされておるわけですね。それから、この
持ち家
制度につきまして、
提案
趣旨にもあったわけですが、佐藤内閣——大臣は、池田内閣のときに大臣になられて、佐藤内閣に引き続いているわけですから、その点についての何はともかくとしまして、佐藤内閣の
社会開発
ということばが出てまいります。そこで、その中で、最終的に佐藤内閣の閣議で策定をされたのが、中期経済
計画
であります。これは、ひずみ是正とか
社会開発
ということを織り込んで、最終的に佐藤内閣の閣議において決定をいたしたと思います。
住宅
についてこれらの方針があるわけですが、これらの方針の間においては、矛盾、あるいは特に討議を深めたり、特に是正をした点、こういうものがございますか。池田内閣のときの一世帯一
住宅
、七百万戸を
建設
するという七カ年
計画
はそのままであるかどうか。そういう、政策上矛盾したり是正した点はあるかないか、こういう点をいろいろと御研究になっておると思うので——特に佐藤内閣は、ひずみ是正で、
住宅
政策ということを
社会開発
の一つの柱にいたしておる。
社会開発
というのは、十人十色で、
政府
の言うことがみんな違うわけですが、それはともかくとして、
住宅
が重点として一つあるということは事実です。そこらについては、大きな点ですから、ひとつ大臣のほうでお答えいただきたい。
小山長規
11
○
小山国務大臣
御承知のことと思いますが、七百八十万戸というのは、まだ閣議決定はしていないわけでございます。
建設
省としまして、七百八十万戸ということを
建設
白書で発表し、また議会でもたびたびそういうことを言っておりますから、これは
政府
としては発表しておるのでありますが、閣議で確定した
計画
案としては、道路
計画
あるいは河川
計画
のようなものはまだできていない、これは御了承願いたいと思います。したがって、その七百八十万戸という四十五年度までの
計画
目標は
変更
しておりません。従来どおり七百八十万戸をつくっていきたい、これは
変更
ないわけであります。 それから、もう一つは、中期
計画
との関係であります。中期
計画
は、御承知のように四十三年まで——われわれのほうの一世帯一
住宅
の
計画
は四十五年まででありますが、私どもが言っておる一世帯一
住宅
の場合、七百八十万戸のうちで、中期
計画
は五百万戸以上の
住宅
の
建設
をはかること、こうなっておるわけでありまして、四十三年度までに五百万戸以上となっておりますから、五百万戸に限るという趣旨ではなくて、いまの政策目標に従って
住宅
について重点を置いておりますから、これは、私どもとしましては、五百万戸をはるかに突破するところまで持っていきたい、こういう考えでおるわけであります。
大原亨
12
○
大原
委員
住宅
政策は、いろいろむずかしい問題がたくさんあるわけです。で、策定がむずかしいといえばそうなんですが、しかし、歴代の保守党内閣は、一世帯一
住宅
とかいうことを言ってきたわけであります。道路とか河川とかいうものは、直接選挙に連なっているわけであります。したがって、何カ年
計画
というふうなものが、非常に具体的に策定をされるわけです。保守党内閣で、自由経済だといいながら、これについてはやはり相当具体的な長期
計画
が策定されるわけであります。私は思うのですが、
住宅
について長期政策というものがない。それは一応ここには出ておりますよ。出ておりますけれども、具体的な政策の裏づけがない。
住宅
政策についてはこうだという政策の策定がないから、そこから発するところのいろいろな政策について、議論だけ多くて、あいまいな点が多い。ドイツとかフランスとかイギリスとかその他の国々は、西欧諸国でもそうですが、戦犯の惨禍を受けた国々は、いち早く
住宅
政策を政治の中心に置いてきたわけです。今日では、その問題については、困難はあるけれども、大体においてめどをつけておる。社会主義の国においてもそうですが、モスクワの都市
計画
——私、この間行って見たけれども、六百万ほど
人口
がおって、三十分以内で通勤できるような、そういう
住宅
政策を確立するんだ、あるいは四、五年のうちには一人一部屋を確保するんだ、五人世帯であったら、最低居間は五つ、こういうふうな具体的なビジョンを持って、そうして
政府
は責任を持って遂行しておる。これは一つの政治の基本問題として、日本においてこの問題が依然として解決できていないで、そうして、やたらに政策だけ多くて、実りの少ない政策になっているのではないか。したがって、
住宅
政策について総合的な
計画
的な政策を、たとえ保守党の内閣といえども、きちっとやるべきである。その策定をやらなければならぬ。私、最近いろいろ資料をいただきましたし、この三月、経済閣僚懇談会に
建設大臣
が報告いたしました
宅地
政策とか、いろいろなものを一応見せてもらいましたけれども、口では総合的な
計画
が必要だということをしょっちゅう述べておる。しかし、事実はそうなっていない。そうして、やれ
住宅
供給
公社
でごさるのと——これはまだ審議してみなければならないのですが、いろいろ窓口だけ多くて、結局は
政府
の政策自体が、
宅地
の投機的な投資を促進し、地価をつり上げるというようなことになっているのではないか。だから、
住宅
政策について、はっきりしたそういう長期
計画
を策定すべきだ。その中身は何かということは逐次議論することといたしまして、そうすべきじゃないか。
住宅
政策は最もおくれていないか、こういうことにつきまして、今後の決意を披瀝をしてもらいたい。
小山長規
13
○
小山国務大臣
私も
大原
委員
と全く同感でありまして、
住宅
政策といっておりながら、各省ばらばらにいろいろな
住宅
をつくっておる。この窓口を整理したいという面も一つあるわけであります。しかしながら、同時に、たとえばいま厚生省でやっておる
住宅
、あるいは労働省でやっておる
住宅
は、それぞれの政策目標に応じた
住宅
をつくっているわけであるし、その
資金
源もおのずから異なっておりますので、この辺の
調整
をどうするかという問題が一つ残りますが、いずれにしましても、
政府
としては、何カ年間にはどのくらいのものは
政府
が責任を持つとか、あるいはその
基準
はこういうものでなければならぬとか、あるいは
市街地
においてこうでなければならぬとか、いうふうな一貫した一つの政策を立て、そして、必要によってはそれを裏づけするための
法律
あるいは財政的な五カ年
計画
とか、七カ年
計画
とかいうようなものをぜひつくりたいということで、できれば来年度の予算あるいは来年度の国会に間に合わせるようにしたいと思いまして、いま
住宅
関係の方々でお願いしている審議会にお願いをしまして、基本的なものの考え方というものを、いま整理しておる段階であります。
大原亨
14
○
大原
委員
つまり、どろぼうを見てなわをなうというようなもので、実際には二万円、三万円の給与所得者が一万円くらいの部屋に入っているということは、もう普通であります。それから一畳が千五百円というのは、大阪、東京だけでなしに私の広島だってもう一畳が千円、こういう相場であります。そういう一部屋一人、こういうような原則ではなしに、一畳が千円もする。これはILOの勧告にもあるのですが、その他
住宅
政策の国際常識ですが、またこの
法律案
の中にも若干抽象的なことが盛り込んであるが、家賃やあるいは分割払いをする月の
金額
が
生活
を圧迫しないようにしなければならない、こういうことがあるわけです。これは一千万戸とか一世帯一
住宅
とか言いましても、全く日本の
住宅
政策はでたらめで、なっておらぬ。その長期
計画
もビジョンもない、こういうことであります。そして衣食住で、衣食については問題はたくさんあるけれども、一応戦後二十年たちますと、そういう面においてはやや
内容
も出てきたし、また値段も下がった。住については全くない。これが社会問題の根源である。これは言うまでもないことです。したがって、これはいますぐと言ったってしょうがないが、次の国会においては、少なくともそれについては——特にひずみ是正、
社会開発
というようなことを言う佐藤内閣、いつまで続くかわからぬけれども、そううことを言っておるわけです。人間尊重というようなことを言っておるわけです。ひずみ是正といった場合には、いままでの生産一本、高度成長一本、設備投資一本の政策を、
生活
環境
や向上に資してやろうという趣旨でしょう。したがって、そういう看板に偽りがあるかないかは相当問題が出ておるけれども、しかし、ともかくもそういう政策であるとするならば、
住宅
については、きちっとしたそういう
計画
を次の通常国会までには立てる。次の通常国会じゃおそいという問題もあるが、これは相当作業が要るからということで、寛大に考えておるわけですが、立てるべきである。その点について、大臣の決意をひとつ明らかにしてもらいたい。
小山長規
15
○
小山国務大臣
先ほど申し上げましたように、私としましても、次の国会に間に合うようにひとつ急ぎたいという決意で、これには問題点がまだ相当たくさんありますから、そこで、学者の
意見
などを聞きながら、いま問題点を整理し、そしてこれは当然
法律
なりあるいは何カ年
計画
というものとうらはらになりますから、そういうものを含めて、ひとつきちっとしたものを次の通常国会には
提案
をしたいという考え方のもとに、事務当局をいま督励しておるところであります。
大原亨
16
○
大原
委員
それは、
小山
建設大臣
は次の内閣においても存続されることを希望しますが、それを希望するのはともかくとして、いまの議事録にとどまっていることは、確実に与党の政策となるようにやってもらいたい。これは来年の国会においては、あらゆる面において私どもは検討したい。というのは、私がいろいろ資料を調べてみますと、いまもお話しのとおり、一世帯一
住宅
という
昭和
三十九年からの七カ年
計画
も、閣議で決定してないわけです。選挙のたびごとにいいスローガンを出す。一世帯一
住宅
というのは、社会党のスローガンを取ってやったわけだけれども、それをやっては、選挙が終わるとまた次の政策を出す。やれ
社会開発
でございますの、中期経済
計画
でございますのと言って、七百万戸とか五百万戸とか、数字はあるけれども、民間を含めてそうである。特に民間の場合においては、全く殺人的な家賃だ。五割も家賃に取られているというような人がたくさんあるわけです。そんなことで、
生活
環境
や労働能率や生産性の問題を議論したって始まらぬわけです。この問題は、民間の
建設
を含めて、やはり五百万戸なり七百万戸の
計画
を策定する場合においては、それについては、
一定
の
政府
としての方針が明示できるような、制度上あるいは予算上のそういう対策を立てなければいかぬ。単に一千万戸つくりますの、七百万戸つくりますのということだけではいけない。その
内容
においては、そういうものは民間のものがかってにつくる、あるいは高い部屋へたくさんぶち込んでおく、こういうふうなことであってはならぬ。そういう問題を含めて、私はやはり
計画
を十分考えてもらいたいと思う。この点につきまして、大臣のお考えを伺いたい。
小山長規
17
○
小山国務大臣
先ほど申し上げました趣旨は、いま
大原
委員
のおっしゃったような趣旨でありまして、私どももいまの伸び率で大体いけると思いますけれども、それでもなおわれわれとしましてたものにしも、不満な点がありますから、そこできちっとしたものにしたいということで、せっかく準備をし、検討を進めておるわけであります。できるだけこの次の通常国会には上程したい、こういうことで準備を急いでおりますことを、重ねて申し上げておきます。
大原亨
18
○
大原
委員
あまりこれだけで時間をとっておるわけにはいかぬのですが、池田内閣の高度成長政策、所得倍増政策十カ年
計画
が始まったのが
昭和
三十六年ですが、私の資料によりますと、三十五年を
基準
にしていろいろと議論いたしますから、三十五年を
基準
にいたしますると、
政府委員
でもよろしいのですが、公営
住宅
の例をとってみますと、
昭和
三十八年度末までの予算と実績の差が五五・六%、こういうふうになっているのであります。これについては異議があるらしいのですが、つまりこういうことであります。予算単価やその他
施策
において戸数だけを
計画
するものですから実際に行なうにあたっては
地方公共団体
その他に非常に大きな犠牲を負担させることになる、あるいは個人に対して負担をさせることになる。またもう一つは、池田内閣の高度成長政策で、山陽特殊鋼ではないけれども、借金政策と設備投資の無鉄砲な拡大によりまして、こういう行き詰まりがあるわけですが、物価騰貴その他の現象が起きておる、そういうことで、結局は、公営
住宅
——
政府
が責任を持っておる、
公共団体
が責任を持っておる公営
住宅
のそういう達成率というものは、
計画
は立っても、実績がそれに伴わない。金融公庫その他もそうですが、手持ち
資金
をたくさん出さないと家は建たない、という結果に今日なっておる。そういう点で、
政府
が政策を立てたけれども、その責任が貫かれていないのじゃないか、これは
住宅
政策の基本の中の公営
住宅
、特に三カ年ごとに
計画
を立てることになっておる公営
住宅
法の精神から考えて、この点を取り上げて問題にするわけですけれども、これにやはり高度成長成策の罪であると一緒に、
住宅
政策の貧困、こういうものではないか、これは事実をもって私は示しておくわけです。年度の差はございましてもよろしい。よろしいけれども、私が申し上げました資料は間違いがあるかないかということをお答えをいただきたい。
尚明
19
○尚
政府委員
ただいま先生の御指摘がありました、三十八年度末までに公営
住宅
の
建設
が五五%しかできていないとおっしゃれるのは、これは何か資料の取り方をお間違えになっておるものと考えます。私ども、予算として三十五年度には五万三千戸、三十六年度も五万三千戸、三十七年度五万四千戸、三十八年度五万六千戸の
計画
をそれぞれ立てましたが、その実績は、三十五年度五万二千四百三十六戸、三十六年度五万三千四百四十四戸、三十七年度五万四千百二十七戸、三十八年度五万六千四十七戸、それから三十九年度は五万八千九百二十六戸の見込みでございます。と申しますのは、三十九年度の分だけは一部の工事がおくれておりまして、でき上がるのがこの夏になるものが、一部東京都等にございまして、それを数えまして、五万八千九百二十六戸になるわけでございます。先生の御指摘になりました五五%という数をかりに想像してみますと、おそらく、三十五年三月三十一日現在までに
賃貸
し
管理
に入った戸数が五五%であった、とかいうような数字がもとになっていらっしゃるのではないかと思います。若干翌年の夏ごろまで完成がおくれておるものが常にあるのは事実でございますが、戸数は必ずできております。
大原亨
20
○
大原
委員
達成率はどのくらいですか。
尚明
21
○尚
政府委員
達成率は、これでいくと一〇〇%だと思います。と申しますのは、これらはいずれも厳重なる
会計
検査を受け、かつ行政
管理
庁の検査も受け、常に、やった補助
事業
については、一戸たりともその数の違うことが許されない
業務
になっておるわけでございまして、予算の執行ときわめてそごのあるようなものは必ず指摘されておるわけでございます。しかしながら、公営
住宅
は五万二千戸といいましても、その年々の
建設
する場所、予算によりまして、約二、三百戸ずつ、先ほど御報告いたしましたように、出入りはございます。しかしいずれもその誤差は二、三百戸ないし、せいぜい五百戸までの誤差でございまして、全部できております。
大原亨
22
○
大原
委員
それでは、大臣の時間があるそうだから、この問題は、私の資料とあなたの資料と大違いだけれども、私のはこうじゃないかということなんだが、それにしたところで、でき上がって入れるまでの時間があるから、ズレが出ておるんじゃないかと言われるのですが、そういうことだったならば、こんなにズレはないわけです。四、五年も通算してみると、こんなずれがあるのはおかしい。これは私、あなたの答弁が記録に載っておりますから、私のとりました資料とあとでまた検討いたしまして、やります。それはいろいろあるでしょう。家を小さくしたり、それから中身を悪くしたり、柱を小さくしたり、また、個人の負担ということはないから、
地方公共団体
の負担を増加したり、いろいろなことがあるでしょうが、その問題の検討は別にいたしまして、私は、公営
住宅
の
住宅
政策の中における位置づけをまず聞きたい、こういうつもりなんです。ひとつきょうは大臣に、どうせお帰りになると思うのだが、この前岡本
委員
のほうから質問し、この次に私は質問しようと思っておったのだが、つまり、
住宅
供給
公社
の場合だって、
宅地
とか総合的な
住宅
政策がなしにこれをやると、こんなものはだめだ。このこと自体は、いい悪いについてはいろいろ議論があるし、やって悪いこともないだろうし、そういう希望もあるだろう。しかし
住宅
政策を確立しないで、こういうものをてんでんばらばらにやっていくことはどうかという問題が、私は一つあると思う。そういうことであります。そこで、私は大臣に
宅地
政策の問題で質問いたしたいと思っておったわけであります。 飛び飛びになって悪いのだけれども、この前、岡本
委員
の予算
委員会
における一般質問の中で、田中
大蔵大臣
は、何回か強引に空閑地税の問題に抵抗を示したわけです。私は去年の衆議院の本
会議
におきます決議
事項
を見てみますと、これは三十九年の五月二十九日ですが、地価安定
施策
の強化に関する決議案、こういうのが御承知のとおりあるわけです。その中で、具体的に「空閑地税等の」というふうに一応指摘しておるわけです。私はこの検討のしかたというものがもう少し——岡本
委員
も指摘されたけれども、ドイツとかその他でやっておるわけで、地価抑制では相当の成果をあげているのです。それについて田中
大蔵大臣
の答弁は、余韻がないというわけじゃないけれども、あまりにも独断的、主観点議論だ。これは場所を変えてあらためて議論をする場合があってもよろしいけれども、そうだ。それと、
昭和
四十年三月に、
建設
省が経済閣僚懇談会に報告して了解を求めたという、地価対策についての案を見てみますと、算用数字の第2項の漢数字の第三に、やはりこの問題について検討すべきである、こういう意味のことがあるのです。というのは、「合理的な
土地
利用規制を前提として、都市
施設
の整備された
地域
における未利
用地
の利用促進のための方策を講ずる。」これは空閑地税などだ、こういうふうに言われて、経済閣僚懇談会でも了解
事項
になっておるわけです。これは、こういう強引な答弁でこの政策ができないというようなことになってはたいへんだ。 〔
委員長
退席、正示
委員長
代理着席〕 当時、
建設大臣
もおられたわけです。予算
委員会
が済んで後の、この三月の経済閣僚懇談会でも、
建設
省の考え方として
提案
されておる、というふうに私は了解するわけです。 そこで、この空閑地税について、
建設大臣
の責任ある見解を示してもらいたい。これは
持ち家
の問題その他政策上の問題の基本問題だから、この問題をうやむやにしておいてはいけない。
小山長規
23
○
小山国務大臣
この空閑地税問題については、田中
大蔵大臣
と私とはまだ十分な詰めをしたわけじゃないのであります。詰めをしたわけじゃないのでありますが、私の印象では——これは間違っておったら、またあとで訂正しなければなりませんが、田中
大蔵大臣
が言う空閑地税というのは、戦後に、広い屋敷を持っておる人の庭を、そんなばかでかい庭を持っておったのではもったいないから、これに税金をかけたらどうかという議論がありました、あの考え方じゃないかというふうな印象を受けているわけであります。しかしながら、われわれが言っておりますいわゆる空閑地税というのは、いま
大原
委員
もちょっと言われましたような、未利
用地
を
宅地
に推進するための税金はどうだろうかという意味のことなんであります。このことは、しかしながら、ただばく然と空閑地税をいきなりつくるというわけにはいきません。というのは、
土地
の利用
計画
というものができてこなければならぬ。たとえば
住宅
地、工業
用地
に提供すべき
土地
と、農地その他に利用すべき
土地
と、この二つがさい然と、
法律
上あるいは制度上区別されてきませんと、それを
宅地
化しあるいはその上に
住宅
をつくらせるための推進剤としての税というものはむずかしい問題になってまいります。そこでわれわれが考えておりますのは、地価対策を根本的に考えようとする場合には、どうしても
土地
の利用
計画
というものができてこなければならぬ。これは農地に残す、あるいはこれは緑地化する、あるいは
宅地
、工業
用地
にするんだ、このきちっとした区別ができませんと、いきなり空閑地税とかあるいは未利
用地
宅地
化推進税とか、税金でもってやろうとしても、それは効果のないものになってしまって、いたずらに混乱を起こすだけであります。ですから、私どもが経済閣僚懇談会でも申しておりますのは、この
土地
の利用
計画
というものをきちっときめないと、あらゆる
土地
の問題の解決にはならないといいますか、根本的解決にならない、こういう考え方を言っておるわけであります。でありますが、この
土地
利用
計画
というものは、よく世間では、簡単にできるもののようにいわれたり、とられたりしておりますけれども、突き詰めていきますと、実にむずかしい問題であります。そこでいま
宅地
審議会などに諮問しまして、学者の
意見
をいろいろ聞きながら、どのような基本的な態度で
土地
利用
計画
というものを
法律
化していったらいいものであろうかということを、いま研究を願っておる段階でありまして、学者によってもいろいろな
意見
の違いがありまして、まだ統一された見解が出てきておらない、こういう現状なのであります。
大原亨
24
○
大原
委員
つまり空閑地税は、田中
大蔵大臣
の庭は非常に広いという話だが、自分の庭が取られるということを心配しているのか。たとえば佐藤さんは前田さんの家を借りているけれども、河野さんは五つも六つも持っているという話だが、それはともかくとして、とにかく
土地
利用
計画
を策定する。その際に問題は、やはりいまお話しのように、私有地に対して、所有権に対して、
住宅
政策を優先させて、私有権を規制できるという基本に踏み切るかどうかという問題が一つあると思う。これは社会主義化という問題は除いてですね。この問題について、
建設大臣
や当事者が決意をしないで、幾ら審議会にかけても、議論が出るだけで、から回りをするのじゃないか。もう議論は出尽くしているわけです。やるかやらぬかです。その一つが空閑地税であったと思うのです。田中
大蔵大臣
は、自分の家を取られると思って非常に抵抗しているような印象を、あのときの岡本
委員
に対する答弁では、私は受けたわけです。 そこで、私有地に対する
住宅
政策をやはり国の政策として考えて、これは万民のためにというか、
住宅
政策を優先させるのだ、そのために私有権を規制するのだ、私有権を尊重しながらも、そういう規制をしていくのだ、こういうことについて決断するかどうかということが、前進させるかどうかということであり、国会においては、問題は出尽くしたのだから、国会は最高の決議機関だし、何でもかんでもここで簡単に決定するということじゃないが、しかし議論がし尽くされたものについては、はっきりものを言うべきところである。そういう点では、大臣のいままでの——
任期
もだいぶ近づいたけれども、この際における、あとに残す決意、議事録に残す決意、政策としての考え方、所信というものを明確にしてもらいたい。
小山長規
25
○
小山国務大臣
いまお話がありました私有権の制限の問題に、結局なるわけでありますが、ここで考えてみなければならぬ問題が一つあります。それは何かといいますと、
土地
の利用
計画
を立てて、そこで私有権に対する相当強い制限を加えるわけでありますが、その場合に、その
住宅
政策なり
土地
の価格という面からいうと、安いにこしたことはないわけであります。ところが売るほうからいいますと、時価よりも安く売ってしまった場合にどうなるかという問題が一つ出てくる。というのは、ヨーロッパやよその国の例はよく知りませんが、大きい地主が、たとえば十町歩も持っておるような人が五反歩や一町歩を手放した場合の影響と、日本のように、一町歩か七、八反歩しか持っていない連中が、五反歩、六反歩手放してしまう、場合によっては全部手放してしまうという場合の影響とは、たいへんな違いがあるわけなんです。そこで、その時価といいますか、収用なら収用するときの価格というものを一体どうきめるのかという問題が最後に残ってまいります。そこで、たとえばそれを需要者のために安くやろうとしますと、手放す人は
生活
の保障を失うとか、
生活
の基盤を失う、そういう問題が出てきますので、その問題は一体どう解決するのか、この問題をあわせて考えておかないと、ただ単に安ければよろしいという、使う者の例だけの考え方では、この問題はそう簡単には割り切れない。この問題がありますので、そこで審議会あるいは学者の
意見
をいろいろ詰めているわけであります。
大原亨
26
○
大原
委員
そこで、既得権を尊重するというたてまえに立ちながら、
住宅
公団でも、私もいろいろ調べてみれば、そうだが、団地を買うといえば、いまの話のようにブローカーが入る。ひどいのは、名古屋の例なんかのような例がある。瞬時にして一億円も入るということであります。だからそういう対象にすればするほど、この問題は悪循環をしてくるわけです。だからこれは、既得権は尊重するけれども、その上に立ちながら、非常に水増しの不当なる投機的な利潤に対しては、やはり断固是正をする、こういうところに
調整
点がある。そうして日本の地価は、
大都市
を中心として考えたら、ヨーロッパなんかの大体三倍から五倍くらいだそうだけれども、このままで上がっていったときには、庶民は
住宅
とは縁がなくなってしまうというわけです。ですから、この際、私は
政府
が——相当いままで
建設大臣
として、あなたは勉強になり、議論になったと思う。だれがあとに来るかわからぬけれども、それはともかくとして、あなたはそういういままでの経験に基づいて、こうあるべきだ、こういうことを、もう少し具体的に決意を表明しておいてもらいたい。それがあなたの責任ではないか。もうちょっと具体的な答弁をひとつ願いたい。
小山長規
27
○
小山国務大臣
私も、御質問に答えて、具体的に、こうあるべきだということを言いたいのでありますが、勉強すればするほど、非常にむずかしい問題なんです。そこでむずかしい問題をどう解決するかというう
方法
のうちで、ここさえ決断すればいいという点がまだ出てこないのです。(「八方に気がねするからだよ。」と呼ぶ者あり)気がねするのではなしに、需要者の立場、提供する人の立場、そしてそのあとの
生活
の問題、こういう問題を考えていきますと、決して単純な問題ではない。そこで考えましたのが、やがて御
提案
申し上げようと思っております、首都圏、近畿圏について、交換といいますか、還元
譲渡
といいますか、こういう
方法
でやれば、少なくともその
地域
内におけるアンバランスはなくなってくる、またそんなに不当な問題はないということで、一つの指標として考えているわけでありますが、いまこの問題をひっくるめて申し上げたいことは、一体どれが地価なのだという公の制度がないということなんです。地価とは何んだ。たとえば東京都なら東京都の付近の三鷹なら三鷹の地価というものは、どれが適正な地価であるのかという、その地価というものの公の制度がない。そこで鑑定士制度とか評価制度というものをいまつくっておりますが、これをもっともっと拡充強化していくということがまず前提になってくるであろうということで、
土地
の価格の問題というものは、単純にこの一点さえ割り切れば片づく、解決するというふうな簡単な問題でないだけに、われわれも事務当局もあるいは学者の諸先生も、苦心しておるという段階なんであります。
大原亨
28
○
大原
委員
投機的な投資を抑制する、べらぼうなもうけで、不労所得をやることを抑制するということの一つの
方法
としては、空閑地税も一つあるでしょう。だから空閑地税は、頭をひねっていて、やる意思はないのだろうけれども、たとえば
住宅
について、来年の国会までには、
社会開発
を提唱する佐藤内閣においては、総合的な長期的な
計画
を策定する。その際には小は
住宅
公社
の問題から、
持ち家
制度の問題から、やはり
宅地
の安定ということがなければ、予算の執行はできないわけですよ。だからそういう投機的なことを抑制をする。たとえば空閑地税の問題を含めて、やはり
住宅
に対する総合
計画
を次の通常国会までには策定をする、すべきである、これは時間的な問題から詰めていきたいと思うのだが、その点についての考え方、決意を明らかにしてもらいたい。
小山長規
29
○
小山国務大臣
いま空閑地税によって、ブローカーあるいは投機的な売買を制限できるじゃないかというお話でありますが、空閑地税というものをかけるときには、所有者にかけるわけでありますから、所有者がずっと先祖代々持っていようが、あるいは短期に持っていようが、これは関係がないわけです。ですから、これでは、空閑地税で
土地
ブローカーなり投機を押えるということは、税のどんなたてまえのつくり方をしますかわかりませんが、これは解決できないのではないかと思います。そこで、いま、御承知かと思いますけれども、たしか昨年国会を通過した新しい
法律
でありますが、投機を抑制するための制度がひとつでき上がっております。それは、たとえば買ってから一年以内だったかと思いますが、一年以内に売り渡した場合には、例の
不動産
譲渡
所得の
優遇措置
をやめるとか、そういったような税法上の措置は講じておるわけでありますが、これで多少はいわゆるブローカーの手を防げるかと思うのですけれども、そういう面からする
方法
はありましょうけれども、空閑地税によって投機的な売買を抑制するということはむずかしいのじゃなかろうか。むしろ空閑地税の
目的
は、遊ばしておく——自分の先祖代々持っておる
土地
であるけれども、ここは国の
目的
のために
住宅
地だ、こういうふうに策定した
土地
に、いつまでたっても
住宅
を建てないあるいは工場を建てないという場合には、税金を取りますよということ、つまり
土地
の利用を促進するという面は、空閑地税になってくると思いますが、ブローカーを押えるというきめ手は、この
法律
にはないのではないかというふうに考えております。
大原亨
30
○
大原
委員
これはもうちょっと具体的に言うと、需要と供給の関係でやはり思惑が出るわけです。だから、
土地
利用
計画
について総合
計画
を明確にすると一緒に、やはり投機的な売買やそういう
土地
の
取得
についてチェックする
方法
も考えて、自分の
土地
であっても、公のために、不必要なものについては提供する、そういう思惑的な利潤追求の種にしない、こういうことをやはり促進する一つの面があるのではないか、これは一つの大きな作用になるのではないかと私は思います。それはともかくとして、利
用地
が多くなれば、それは値段が下がるわけですから、そのために
土地
を保有して値段をつり上げるということも防止する、そういう政策と一緒に、この問題は、私は総合政策としては不可欠の問題であると思う。したがって、その議論はともかくとして、外国でもやっておるそういう空閑地税の問題を含めて、やはり
土地
政策と
住宅
政策の大きな一環として、都市
計画
の大きな一環として、過密都市対策として、
住宅
政策を立てていくのだ、こういう方向を、私は明確にしてもらいたいと思う。
小山長規
31
○
小山国務大臣
どうも空閑地税に、私こだわっているようでありますが、空閑地税というのは、
土地
の所有者、つまり売り手に対して課税する
方法
なんですね。いま問題になるのは、買い手が自分の使用する
目的
もないのに、値上がりを待って買っておこうというのをどうやって制限しようかという問題でありますから、この問題とは直接の関係はないと思います。それから、もし
法律
上、行政上の措置によって、実需者つまり一年以内に
住宅
ないしは工場を建てることの確定しているもの以外には売っちゃいかぬというような
法律
制度ができれば、それは一つの地価対策になると思います。しかしそれでは、そういうことを確定できる
法律
上の裏づけがあるかどうかということで、また議論が分かれてまいっておりまして、そういう問題を含めて、何か新しい手はないかということを、いま模索しておる、こういう段階であるわけであります。
大原亨
32
○
大原
委員
私が指摘しました、この間の「地価対策について」という経済閣僚懇談会に報告した資料の2の三項の、未利
用地
の利用促進のための方策を講ずるという中で、新聞報道その他一般の常識では、空閑地税その他を含む、こういうことの議論になっておる。いまあなたと、その投機的な問題については議論しませんが、空閑地税については、外国でやっている
施策
としては、他の私の申し上げる政策もそうだけれども、相当有効に働いておると考える。それにかわるべき政策があれば、それもけっこうですが、この問題はひとつもう少し具体的に——この前のような議論でなしに、もう少し具体的に進めてもらいたい、この点についての考え方をすみやかに統一してもらいたい、よろしゅうございますか。
小山長規
33
○
小山国務大臣
いまお読みになりました、閣僚懇談会で出ました空閑地税の問題というのは、その前提に書いてありますように、
土地
利用
計画
を定めてということでありますが、これはもう
大原
委員
が言われるように、
土地
利用
計画
を定めることによって、いわゆる
宅地
の供給がふえるわけでありますから、それをふやすことは一つの
方法
であろう、ところが
土地
利用
計画
をきめても、それを今度は売らない人がおる。売らないで、じっとあたためて値上がりを待とうという人がおる場合には、そういうふうな——私はあまり空閑地税ということばは使わないのでありますが、未利
用地
利用促進税といいますか、そういった式の税金をかけることも一つの
方法
ではなかろうかという考え方がありまして、これも一つの問題点として提起をしているわけであります。
大原亨
34
○
大原
委員
それでは、この問題だけでやるわけじゃないですから、申し上げますが、その次の質問は、七百万戸あるいは五百万戸の
住宅
政策の中で、公営
住宅
に対して、
持ち家
ということが盛んに喧伝されて、中央、地方で相当な努力が傾注されるけれども、公営
住宅
という問題について、いままで議論し尽くされた問題であるけれども、これをどういうふうなウェートを置いて、本年並びに将来においてやっていくのか。全体の
政府
施策
の中で、本年の公営
住宅
の占める位置、それから公営
住宅
について、将来この問題をどのように考えていくか。つまり低中高とやっている中の、低所得階層に対する
住宅対策
であったわけでありますが、そこでこれを強力にどんどんやっていけば、極端に言えば家賃は下がるわけです。これを思い切ってどんどんふやしていけば、道路やあるいはその他と同じように、公共
事業
でどんどんふやしていけば、国の
事業
でふやしていけば、これは一般の経済情勢にも大きな変動を与え、影響を与えることができるし、
生活
にも影響を与えることができるわけです。これに対して、もう少し条件を整備して、公営
住宅
についての、そういう
施策
の完全実施をはかっていくことが、やはり
住宅
政策の中心であるべきではないのか。私の議論をしまして、ひとつ実態と見解をお聞きしたい。
小山長規
35
○
小山国務大臣
公営
住宅
の、過去及び四十年度予算において占める位置、これはあとで事務当局から申し上げますが、私どもの
住宅
政策はこう考えておるわけであります。つまり所得の少ない間は、どうしたって、自分のうちを持てといったって、持つような政策を進めてみたところで、できるものではありません。そこで、所得の少ない人のためには、公営
住宅
とか、あるいは公団の
賃貸住宅
とか、あるいは
地方公社
に金を貸して、そこでまた
賃貸住宅
をつくるとかいうようなことをいままでやってきたわけでありますが、一方において、相当定年に近寄っているような
勤労者
のような場合には、一生の間借家住まいはいやだから、せめて自分のうちに住みたいという希望もあることは事実なんです。ところが、それを今度はめいめいがやろうとしましても、なかなか簡単に
土地
が手に入らぬ場合もあるし、あるいは一戸一戸でつくれば
建設
資金
が高いという問題もあります。そこで、そういう問題も解決する必要があるというので、今度の
持ち家
の供給
公社
という制度をつくったわけでありますが、いま日本で、それじゃどっちが一番多いのか、つまり
持ち家
を持とうにも持てない人と、それから持てる人と、どっちが多いのかといえば、これは当然、まだとても
持ち家
には手が出ないという人のほうが多いわけであります。したがって、われわれの
政府
の政策は、やはり低所得者階層に重点を置きまして、公営
住宅
あるいは公団の
賃貸住宅
というものに主眼を置いておるわけであります。ただ、公団
住宅
の場合には、いまやっております制度は、国費つまり税収入からさいてその
資金
を出しておりまするし、
賃貸住宅
の場合には、国民の
資金
、預貯金でありますところの預金部
資金
を使っておる。この原資の差がある。そういうことで、おのずから家賃にも高低の差が出てきておるわけでありますが、同時にまた、財政の配分の問題からいいましても、公営
住宅
ばかりむやみやたらにふやすというほどの財政力がないという場合には、預金部
資金
を使って公団
住宅
をつくる、あるいは金融公庫から、地方でそれぞれの一いままでもこういう
住宅
公社
みたいなものがありますから、そういう
人たち
に金を回して、そこでまた
賃貸住宅
をつくってもらう、あるいは企業などが自分の金を継ぎ足してやりたいという場合には、社宅もつくる、という政策をとっておるわけでございますが、そういうことで、主眼はどこにあるのかといえば、やはり日本の
住宅
困窮者の実態からいって、まだ
賃貸住宅
の希望者が非常に多いわけでありますから、そこで、主眼はそちらに置いていくんだという考え方で進むわけであります。
尚明
36
○尚
政府委員
四十年度におきます
政府施策住宅
のうち、
建設
省が所管しております
計画
は、二十四万六千五百戸でございます。このうち、低額所得者向けとしての公営
住宅
が六万五千戸でございまして、それからほかに改良
住宅
が四千五百戸ございまして、合わせて約七万戸が低所得者向け
住宅
というふうに考えておる次第でございます。
大原亨
37
○
大原
委員
これがぼくは非常に少ないと思うんですよ。いろいろなものを見てみましてね。たとえば、ニュータウン
計画
を立てて、
事業
場と
住宅
とを密着させるといっても、やはり公営
住宅
で、いままでの悪循環を突破して——本
委員会
の議論でも、昨年から議論になっておる、私は議事録を見ましたが、やはり
住宅
の交換なんかをする場合だって、やはり低家賃の公営
住宅
をつくらないと、現在の
勤労者
の所得からいいましたら、これはほとんど問題にならぬわけです。交通戦争その他を阻止するためにも、ニュータウン
計画
や新しい
計画
を立てるためにも、公営
住宅
を大幅に増大して、やはり低家賃の
住宅
で
住宅
を安定させるという方針の中で、
住宅
の交換等をやるとか、あるいはニュータウン
計画
で、
事業
場と相合わせてつくるとかいう総合
計画
を立てないといけないのじゃないか。これは非常に少ない、こういう点を、私は特に指摘をしておきます。 それから次の問題は、これはILO勧告の問題と関連して、いま非常に議論になっているわけ面すが、給与
住宅
です。給与
住宅
の実態、現状と、それから
政府
の方針、これをひとつお答え願います。
尚明
38
○尚
政府委員
給与
住宅
は、ただいま
住宅金融公庫
の産業労働者
住宅
、あるいは厚生年金の還元
融資
住宅
、あるいは雇用促進
事業
団の宿舎等においても、おもに行なわれているわけでございます。ILOの勧告におきましては、給与
住宅
の制度は労働者を
住宅
の面において束縛する点等があって好ましくない、なるべく公共の
住宅
あるいは労働者みずからの
建設
する
住宅
のほうに移行すべきであることを勧告しております。しかしながら、わが国の実情としては、非常にいま
住宅
が窮迫しておりますので、その勧告の方向についてはもちろん了としているわけでございますが、ただいまのところ、直ちにこの給与
住宅
に対する援助をやめてというところまでまいらずにいる次第でございます。あの勧告にもございましたように、それぞれの国の国情に応じて、その一般原則を守るようにという勧告でございまして、わが国としては、全体の考え方は了承するが、いま直ちにその勧告すべての細部にわたってこれを実施することは不可能で、先ほど申し上げましたように、いまなおこの
住宅
困窮の現状におきましては、企業者等の
資金
も活用しつつ、給与
住宅
の制度というものを、ある程度
住宅
政策の一端のにない手として、活用していかなければならない、こういう態度でいるわけでございます。
大原亨
39
○
大原
委員
給与
住宅
は、本年は
金額
は幾らですか。
尚明
40
○尚
政府委員
金額
はわかりませんけれども、戸数の
計画
で申し述べますと、
住宅金融公庫
の
融資
による産業労働者
住宅
が一万五千尺それから
建設
省では、これと、あと
日本住宅公団
の行ないます特定
分譲住宅
、これが九千戸。そのほか、厚生年金が四万八千戸、雇用促進
住宅
が一万九千五百五十五戸、これは他省において
計画
されております。
大原亨
41
○
大原
委員
これはふえる傾向ですか、減るのですか。二、三年来の傾向は出るんじゃないですか。
尚明
42
○尚
政府委員
端的に申しまして、
建設
省の系統におきましてはふえておりませんで、ずっと現状維持のような感触でございます。公団につきましては、三十九年に比べて千戸減りました。しかし厚生年金の
住宅
及び雇用促進のほうにおいては、漸増しているようでございます。
大原亨
43
○
大原
委員
これはちょっと見ただけでも、給与
住宅
、七万戸ぐらいあるのですが、全体としてはこれは減っておらぬですよ。これはやはり
政府
が方針をきめてやるべきじゃないですか。たとえば、会社、企業が社宅として建ててもよろしいが、いまのように、もうけないで
分譲
していくとか、これは
公社
をつくって、たくさんつくってやることも一つの
方法
だろうけれども、社宅は
分譲
するという方針で、もうけないでどんどん永久の居住権を保障するような、そういう
施策
でいくようなこともできると思うのですが、そういう方針——たとえば炭鉱の場合は、炭鉱と一緒に炭住があるということは、私はある程度やむを得ないと思う。そこで私は、給与
住宅
についてはそういう方針を出すべきではないかと思うのですが、いかがですか。
尚明
44
○尚
政府委員
将来の方向といたしまして、先生のおっしゃるとおりだと思いますが、実情を申し上げますと、一つは、最近中小企業の方の労務の確保ということが、数年来非常に大きな問題になりまして、
建設
省関係の給与
住宅
も、それから厚生年金のほうも、相当程度を中小企業向けの給与
住宅
の確保に振り向ける傾向になっております。しかし全体をして述べれば、先生のおっしゃられるような方向は出ると思います。ただ現実の問題といたしまして、一方で、御承知のように、新産都市あるいは工業整備特別
地域
というふうに工業の分散をはかっております。これらにはまだ、現実の問題としては、最近に行きます工業等について、給与
住宅
の要望というものが相当程度ございます。しかも、これに対して、企業が相当程度の
資金
の負担をしようという形でおりますので、これをある程度活用する。だから、私どもといたしましては、これにたより切っていくという気持ちは毛頭ありませんが、現実にそういう形で
住宅
供給を欲し、かつ、いま申しましたように、同じ企業
住宅
といたしましても、中小企業のほう等におきましては、やはりそれを確保することが労務の確保とつながってくるというような今日の現状がございますので、これを勘案しつつ、漸次理想的な方向に向かいたいというふうに考える次第でございます。 〔正示
委員長
代理退席、
委員長
着席〕
大原亨
45
○
大原
委員
中小企業の労働者を確保して、
生活
を安定させる。
生活
安定ということで、
住宅
を雇用とくっつけてやるということはいいんです。ただし、
住宅
と雇用を直ちにくっつけるということはいけないのだから、これを中小企業が自分の
資金
も出し、自分の信用も供与して金も借りて、そして
住宅金融公庫
や公団の
施策
を利用して、労働者の
住宅
をつくる、そしてそれを
生活
を圧迫しない程度の分割払いで
持ち家
にしていく、こういうふうな
方法
で
融資
の制度を確立すれば、そうすれば私は、個人個人で
住宅
を確保するよりも整うた、整備できた、責任のある
住宅
ができるのではないか、健康で文化的なと書いてある、そういう
住宅
ができるのじゃないか、そういう政策でやっていけというのが、現実に応じた、国際的な労働者
住宅
政策の基本ではないか。
尚明
46
○尚
政府委員
いま先生の御指摘になられましたような方向が、今後の一つの方向だと思います。すなわち、
資金
におきましては、企業及び労働者も応分の負担をし、かつこれに相当の
政府
の援助を与えて、いわゆる従来の純粋の社宅というのでなく、いずれは
持ち家
になっていくというような形の仕組みをつくるのが、端的に申しまして、私どもの宿題だと考えております。正直に申しまして、これらの議論もすでに行なっております。やがていい形を発案いたしまして、そういうすべての有効なる
資金
を
住宅
に動員し、かつILOの勧告の趣旨が生きてくるような政策を考えるというのが、私ども当局者の一つのつとめだと考えております。
大原亨
47
○
大原
委員
社宅や公務員宿舎の方針を、私は、
政府
の現在の
住宅
施策
を全面的に否定するものじゃないのです。というのは、やはり
職務
とくっついた
住宅
もある程度は意味があるわけです。しかし全体の労働者をこっぽり会社へくっつけて、やめたならば出ていけ、こういう政策というものは、やはり居住権の侵害あるいは労務慣例の悪用、こういうことになる。したがって、やはり安んじて
住宅
を確保したいという、そういう要求にこたえるためにも、可能なものであれば、あるいは可能な条件をつくりながら、やはり
持ち家
というものも公営
住宅
と並行してやっていく。そうすれば、これは供給
公社
もその目標なんだけれども、しかし、これだけをわざわざつくる必要もないじゃないかという議論が出てくる。だから、従来の
施策
を、公営
住宅
を拡大する、あるいは公団についてのいままでの条件を整備していく、そういう問題等を含めて、こういう給与
住宅
の改善を、やはり国際常識に沿うた線で改善していくということが総合政策の一つになるんじゃないか、こう思います。
小山長規
48
○
小山国務大臣
私も、実は供給
公社
を最初考えたときには、そういった方向で考えたわけでありますが、まだ現実には、その企業者の
資金
をどういうふうにして
受け入れ
、またそれをどうして安く手に入れる
方法
があるかという点で、いろいろ問題がありましたのですけれども、冒頭に申し上げました、将来の
住宅
計画
というものをぜひできるだけ早くつくり上げたいという趣旨の中には、いま
大原
委員
がおっしゃったような問題を含めて考えておるつもりなのであります。
大原亨
49
○
大原
委員
昨年の
法律案
の審議の中でも出ておりましたが、
住宅
公団に関係して出ておったと思うのですが、こういう
分譲
持ち家
制度がありますね。いま二万五千戸という御答弁がありました。その
日本住宅公団
の
持ち家
のそういう制度と、今回の
地方住宅供給公社
の
持ち家
制度、裏返すと特に今回こういうふうな
公社
法案
を、公団、
公社
に対する批判のきびしいときに制度化した積極的な
理由
、現在の制度と比較して、積極的な
理由
はどこにあるか、たとえば、 いまの
日本住宅公団
の支所というものが各県にあるでしょう、その運営でできないのか。やはり
理事長
さんや
理事
さんをずらりと並べて、別の
事務所
を設けてやらなければできないのか、なぜ
住宅
公社
をつくらなければならないか、つくったほうがよろしいのか、こういう問題ですね。この問題について、いままでの政策との関係、そういうものについてひとつ御答弁願います。
尚明
50
○尚
政府委員
御承知のように、
日本住宅公団
は
大都市
地域
に限って、
賃貸住宅
及び普通
分譲住宅
といいまして、個人個人の
住宅
分譲
をやる、それを
管理
するという仕事をやっております。したがいまして、まず
地域
的な問題として、全国的に貯蓄による
持ち家
政策を幅を広げるというのが、いまの公団のままではできなく、非常に公団自体としても機構を拡充しなければならぬという問題もあります。次に、
住宅
政策のもう一木の柱で、
融資
による
住宅
の
建設
ということは、これは
昭和
二十五年以来やっておりますが、
住宅金融公庫
の
融資
を受けて、
地方公共団体
が
出資
して、これは
民法
の法人ですが、既存の
住宅
協会、
住宅
公社
と称するものがほとんど全国にございます。その数はおおむね七十くらいあるわけでございます。そういうことで、これは全国的な仕組みがすでにできております。したがいまして、今回、
積み立て
制度による
持ち家
を全国的に行なおうということになりますならば、既存の各県、各市が
出資
した
公社
というものを活用してやることが、一番全国的に、直ちに機構を拡充しないでできるというわけで、かく考えまして、
住宅金融公庫
のほうに
分譲住宅
の予算をふやし、かつその預金
受け入れ
等の組織として、この既存の
公社
を
法律
上強化することによりまして、これを活用する、こういうふうに考えた次第でございまして、実際問題として、大
部分
の各県のあるいは市の
公社
が、今回の供給
公社
に
組織変更
するということで行なわれるわけでございます。そこにはもうすでに既存の
理事
者その他があって、在来の
業務
をやっておるわけであります。それから、この
法律
におきましては、その
組織変更
が容易であるように、
法律
上、税制上等のいろいろな便宜を与えておるわけでございます。かくすることが、今日の実際の
住宅
供給機関のあり方から見て、一番、大きな
変更
を加えず、かつ全国的に貯蓄
積み立て分譲
方式による
持ち家
供給制度を拡充していくことができるという観点に立ちまして、この、ただいま御審議願いまず供給
公社
法案
による仕組みを考えたわけでございます。
大原亨
51
○
大原
委員
時間が来ましたから、あとまた何で、もう一回端的に質問するのですが、
住宅
供給
公社
を、各県あるいは五十万以上の都市につくって、市町村にも
出資
させる、そういうことによってやる仕事の面において、いままでの
住宅
公団の
持ち家
の分野よりもすぐれている、こういう点が仕事の上において、組織上の問題でなしに、すぐれている、こういう点がこれでなければできません、こういう問題がありますか。
尚明
52
○尚
政府委員
たとえば、
積み立て分譲
による
住宅
を熊本市に建てて、
分譲住宅
を供給しようといたしますと、ただいまのところ、
日本住宅公団
は、福岡に支所があるだけで、熊本では
住宅
の
管理
ということを一切やっておりません。したがいまして、
分譲住宅
をつくって、それを
管理
をするために、
住宅
公団は新たに熊本、鹿児島というところに全部ブランチを置かなければならぬ。しかるに熊本なら熊本、鹿児島なら鹿児島には、既存の
住宅
協会、既存の
住宅
公社
というものが現存しておりますので、これを
法律
上強化して使うことがいいというふうに考えたわけでございます。
大原亨
53
○
大原
委員
たとえば
宅地
の
取得
とかあるいは——組織が全国にあるということはわかりました。あれだけ言ってもらえば、大体わかった。それは
理事長
を選任して、
理事
を選任する。また退職金も要るし、
事務所
も要るわけですよ。いろいろえらい人がたくさんできるし、活動費も要るわけだ。そこで、機動的に
宅地
を確保したりいろいろなことをするのに、仕事の中身において、いろいろなことがもう少しあるのじゃないかと思ったのだけれども、何もないのですか。
尚明
54
○尚
政府委員
御承知のように、
住宅
を困窮者に供給するにつきましては、最も端的にその
土地
土地
の事情を押さえ、
住宅事情
を把握しているのは、
地方公共団体
、県及び市でございます。これが
出資
してつくった協会でございますので、地元のことには非常に明るく、かつ地元住民にとって一番親しみやすい形で貯蓄もできるということになるわけでございまして、
土地
の
取得
等につきましても、在来の
公社
、協会とも、地元の
土地
を
取得
することにおいては多年の経験を有しておるわけでありますので、この能力を大いに活用したい、こういうふうに考えたわけであります。
日本住宅公団
は、
設立
以来、別に
地方公共団体
と直接の関係はなく、
大都市
近傍におきまして、
地方公共団体
と相並んで、あるいは
地方公共団体
の協力を得つつ、
土地取得
等をしているのが実情でございます。そういう関係でございまして、地方の
公社
を利用することが、全国的な組織としてはいいと考えますし、かつこれを裏づけとしまして、在来の
民法
法人では
土地
の
収用権
はございませんでしたが、これに今回の
法律
では、地方の
公社
が、もちろん知事及び
建設大臣
の
監督
下におきまして、そのかわり、
土地
収用権
の付与あるいは新
住宅市街地開発事業
の
事業主体
となることを得させまして、この
権限
は、在来
地方公共団体
そのもの、また
日本住宅公団
だけしか持っておりません
権限
だったものを、新たに各県の、先ほど申しました小
規模
な地方公団というところにこの
権限
を付与して、
土地
の
取得
等を容易にし、
住宅
供給の円滑をはかる、こういう仕組みに、この
法律
の中で、いたしておるわけでございます。
大原亨
55
○
大原
委員
毒にも薬にもならぬというようなことがもしあるとすれば——これは何というか、そういう議論をしながら、なぜこれをつくらなければいかぬかということで、私は議論を進めているわけです。私はそういうふうに審議しているわけです。 もう一つ、別の側面ですが、
持ち家
の政策の対象となる所得ですね。これは具体的に、月額どのくらいの所得を対象としておりますか。
尚明
56
○尚
政府委員
大体中程度もしくは中のやや上ぐらいになるかと思いまして、
金額
で申しましておおむね五万円程度じゃないかと思います。地方に行きますと、
土地
も安く、
住宅
も安くつくり得るので、この場合は四万円程度の方でも
積み立て
貯蓄ができるのではなかろうかというふうに考えております。
大原亨
57
○
大原
委員
月に大体どのくらいですか。
尚明
58
○尚
政府委員
大都市
として、かりに計算いたしましたアパートの場合で、三部屋のアパートを供給いたしまして、月の償還額が大体一万円ぐらいの
予定
でございます。地方はこれを木造等でつくりますので、おおむねその六割ぐらいで済むのではないかと考えております。
大原亨
59
○
大原
委員
地方というのはどこですか。
尚明
60
○尚
政府委員
たとえば鹿児島市とかあるいは広島は、中くらいなところであります。
大原亨
61
○
大原
委員
広島は
住宅
公社
をつくる資格があるわけですね。別にいばるわけでも何でもないが、まあそれはそうとして——それはどっちでもいいんですよ。いいんだが、そんな都会の中に、安っぽい木造をつくったんではしようがないから、私はそういうことを言っているので、実情に即するという意味で言っているわけです。そこで、いわゆる低所得階層五万円以下というが、労働者の中には、月一万三千円以下がたしか五、六百万近いと思うのですよ。それから、平均賃金からいうと大体三万円ですよ。まあ前後いたしますが、大ざっぱにいって三万円です。大
部分
の
勤労者
にはあまり——よほど親のすねでもかじっておれば別だけれども、これはないわけですね。五万円以下と、こういうことになって、家族構成その他年齢等であるわけですが、しかし、五万円以下、以上というように分けて、五万円以下については、公営
住宅
あるいは公務員
住宅
、
政府施策住宅
、こういうことですね。そこで、五万円以下の低所得階層というか、家族の多い人は、五万円でも低所得階層だ。低所得階層、公営
住宅
の対象とするようなそういう階層の実態ですね。それから、
住宅
供給
公社
の
持ち家
の対象となるものですね。特に
住宅不足
額の実態調査の結果、五万円を境にして、公営
住宅
の対象となるような
勤労者
の
住宅不足
額、それから
持ち家
の対象となるそういう
住宅不足
額、こういうものがありましたら、ひとつ。これは中所得階層を対象として、一つの希望、ビジョンとしてやられたんだと思うので、そういう実態をお答えいただきたい。
尚明
62
○尚
政府委員
三十七年十月に行ないました
住宅
困窮世帯の所得階層別分布によりますと、平均実収入月三万三千円以下、これは実は公営
住宅
法で計算しますと、月収二万円以下ということになります。その相関関係は、公営
住宅
法では家族の人数による控除及び勤労控除等をいたしておりますので、この月収二万円以下というのを実収にあらわしますと、三万三千円以下になります。この三万三千円以下の方は、調査結果によりますと、困窮世帯の三二%、それから平均実収三万三千円から五万一千円までの方が三四%、それから五万一千円をこえる方が三四%、以上のように調査結果が出ております。
大原亨
63
○
大原
委員
不足
住宅
の調べはないですか。
住宅
はどのぐらい足らぬからこういう点で充足していく、階層別で、大体どのぐらい
住宅
が足らぬかというのはありますか。
尚明
64
○尚
政府委員
ちょっと時が一致いたしませんけれども、三十九年四月現在の推定で、
住宅不足
数は約二百六十万戸でございます。
大原亨
65
○
大原
委員
その中で、階層別はわかりませんか。
尚明
66
○尚
政府委員
調査時期がちょっとずれておりますが、いま言いましたように、おおむね三つの段階に分けますと、三分の一ずつぐらいに、この調査の結果が出ております。
大原亨
67
○
大原
委員
不足
の二百六十万戸を三分の一ずつ分けるのですか。あなたは、それを頭の中で割っておるんじゃないですか。
尚明
68
○尚
政府委員
三二%、三四%、三四%というのが、三十七年十月の分布状況でございますから、そうではありません。
大原亨
69
○
大原
委員
三四%云々といったのは、
不足
ですか。
尚明
70
○尚
政府委員
いやそうじゃございませんので、全部の世帯の中に
住宅
困窮世帯がございますが、その困窮世帯についてのみ所得が幾らか調べましたところを三つに分けましたならば、三万三千円以下が三二%、三万三千円から五万一千円が三四%……。
大原亨
71
○
大原
委員
わかりました。いまの資料は議論しても何ですが、確実なものかどうか、実態はわからない。というのは、三万円以下でも、一部屋に三人も五人も困窮者は入れておるだろう。夫婦、子供三人といっても、子供が大きくなったら、一部屋に住んでいることは、夫婦
生活
もろくにできないということになって、それこそ人道的な問題だ。だから、これはどの程度か、いろいろあるだろうと思うので、なにしますが、もう一つ、今度はこれから大きな質問に入ろうと思うが、四十五分にもなったから、次にしましょう。 そこで、これからこういうふうに、たとえば
土地
を
取得
する
土地
政策や
宅地
政策というものがなければ、相当長期の
持ち家
制度をやる場合には、とてもじゃないのです。問題は、物価政策、建築単価の問題、約束しても約束が履行できないという不安、そういうふうな問題や、運用
資金
や
積み立て
資金
の運営のしかたの問題、その他これをやっていく上において、これは宣伝するほどの政策ではないけれども、整備しなければならぬ条件というものがたくさんあると思うのです。その条件について、一つの政策として全国的にすみずみまでやっていくという上においては、相当これは研究し、審議しなければならぬ問題がある。これはもちろん、一々の条文については全部問題があるわけですけれども、そういう点であります。したがって、総合政策の中でどのような位置づけをしていくのか、こういうことを常に観点にしながら総合政策を確立するという中で、この問題を考えていかなければならぬ、そういうふうに思うわけであります。したがって、自余の問題点につきましては、後の機会に質問することにいたしまして、きょうは、以上をもって質問を終わります。
森山欽司
72
○
森山委員長
次会は、来たる四月二日金曜日、午前十時より
理事
会、午前十時三十分より
委員会
を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後零時四十五分散会