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1965-03-31 第48回国会 衆議院 建設委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年三月三十一日(水曜日)    午前十時四十八分開議  出席委員    委員長 森山 欽司君    理事 正示啓次郎君 理事 廣瀬 正雄君    理事 福永 一臣君 理事 三池  信君    理事 井谷 正吉君 理事 岡本 隆一君    理事 西宮  弘君       逢澤  寛君    天野 光晴君       大倉 三郎君    木部 佳昭君       木村 武雄君    丹羽喬四郎君       堀内 一雄君    渡辺 栄一君       大原  亨君    金丸 徳重君       久保田鶴松君    原   茂君       山中日露史君    玉置 一徳君  出席国務大臣         建 設 大 臣 小山 長規君  出席政府委員         建 設 技 官         (住宅局長)  尚   明君  委員外出席者         専  門  員 熊本 政晴君     ————————————— 三月三十一日  委員中嶋英夫辞任につき、その補欠として大  原亨君が議長指名委員に選任された。 同日  委員大原亨辞任につき、その補欠として中嶋  英夫君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 三月三十日  地方住宅供給公社法案内閣提出第一一四号) 同月二十九日  適正単価に基づく公共工事発注に関する請願  (村上勇紹介)(第二二〇三号)  国道飯田豊橋線池場隧道工事に関する請願(福  井勇紹介)(第二二〇四号)  土地区画整理法の一部改正並びに東京都北区田  端地区区画整理事業に関する請願河野密君  紹介)(第二三一七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方住宅供給公社法案内閣提出第一一四号)      ————◇—————
  2. 森山欽司

    森山委員長 これより会議を開きます。  昨三十日、本委員会に付託になりました。内閣提出地方住宅供給公社法案議題といたします。     —————————————
  3. 森山欽司

    森山委員長 まず、本案について、提案理由説明を聴取いたします。建設大臣小山長規君。
  4. 小山長規

    小山国務大臣 ただいま議題になりました地方住宅供給公社法案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。  御承知のように、政府は、社会開発の一環として住宅対策を重視し、昭和四十五年度までに一世帯一住宅を実現して、国民のすべてが健全な明るい住生活を営むことができるよう、政府施策住宅を拡充強化するとともに、民間自力建設住宅の促進をはかっております。  この施策の実施にあたっては、賃貸住宅を希望する者には賃貸住宅が、持ち家住宅を希望する者には持ち家住宅が得られるようにすべきことはもちろんでありますが、最近の宅地価格高騰等により、住宅建設費が増大し、中堅階層勤労者にとっては、持ち家住宅取得が次第に困難となってまいりました。  したがって、持ち家住宅を希望するこれらの人たち住宅取得を容易にし、その生活に健全な目標を与えるため、住宅取得するための資金について国の援助を強化するとともに、これらの人たちにみずから資金積み立てを行なわせることを奨励する必要があります。  この法律案は、以上の観点から、住宅不足の著しい地域において、住宅を必要とする勤労者に対し、住宅積み立て分譲等方法により、居住環境の良好な集団住宅及びその用に供する宅地を供給するため、地方住宅供給公社の制度を創設しようとするものであります。  次に、その要旨を御説明申し上げます。  まず第一に、地方住宅供給公社の行なう業務としましては、持ち家住宅を希望する勤労者から積み立て金受け入れ一定額に達した者に住宅を供給するほか、住宅及び利便施設建設賃貸その他の管理及び譲渡並びに宅地造成賃貸その他の管理及び譲渡等を行なわせることとしております。  第二に、この地方公社は、この目的業務性格にかんがみ、都道府県または人口五十万以上の大都市出資し、建設大臣認可を受けて設立する特別法人としております。なお、関係市町村もこれにあわせて出資することができることといたしました。また、必要に応じ、二以上の都道府県または大都市が共同して設立することも認めることといたしました。  第三に、この地方公社は、建設大臣都道府県知事または市長監督することとし、公社事業計画及び資金計画につきましては、事業公益性を確保し、経営健全化をはかるため、建設大臣都道府県知事または市長承認を受けさせることといたしました。  第四に、この地方公社に対して、土地収用権を認めるとともに、新住宅市街地開発事業事業主体となることができることとして、その宅地取得を容易にいたしました。また、この地方公社に対して、国税地方税を通じて、税制上の優遇措置を講ずるとともに、この地方公社積み立て者にその積み立て額に応じて還元する金額についても非課税とすることといたしました。  なお、都道府県または大都市設立した民法上の公益法人で、現に住宅の供給に関する事業を行なっているものは、組織変更して地方住宅供給公社となることができることといたしました。  以上が、この法律案提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願いいたします。
  5. 森山欽司

    森山委員長 以上で、提案理由説明は終わりました。  次に、本案について、住宅局長から逐条説明を聴取いたします。尚住宅局長
  6. 尚明

    ○尚政府委員 ただいま議題となりました、地方住宅供給公社法案について、逐条的に御説明申し上げます。この法案は、九章五十条と附則二十一項からなっております。  第一章は、地方住宅供給公社目的名称出資定款等について規定しております。  第一条は、地方公社目的を定めたものであります。地方公社は、住宅不足の著しい地域において、持ち家を必要とする勤労者から積み立て金受け入れるとともに、この積み立て金と、住宅金融公庫融資銀行その他の金融機関融資等による資金をあわせ活用して、勤労者のために居住環境の良好な集団住宅及びそのための宅地を供給し、もって地域住民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的としております。  第二条は、地方公社特別法人としての法人格に関して定めたものであります。  第三条は、名称に関して定めたものであります。  第四条は、地方公社出資について定めたものでありまして、第一項におきましては、地方公共団体のみが出資できることを、第二項においては、後ほど述べます設立団体が二分の一以上を出資しなければならないこととしております。  また、第三項におきましては、地方公社出資する地方公共団体の財政の健全性を確保する見地から、その出資について、自治大臣承認を受けさせることとしております。  第五条は、地方公社定款について定めております。定款は、地方公社の基本となる規則でありまして、その内容は、他の特別法人と大体同様であります。  また、第二項におきまして、定款変更については、建設大臣認可がなければその効力を生じないこととしております。  第六条は、地方公社登記について定めたものであります。  第七条は、民法必要規定準用したものであります。すなわち、第四十四条の準用によりまして、理事長その他代理人がその職務を行なうにつき他人に損害を加えたときは、地方公社がその責に任ずることとなり、第五十条の準用によりまして、地方公社の住所は、その主たる事務所所在地にあることになります。  第二章は、地方公社設立について規定しております。  第八条は、設立団体に関する規定でありまして、地方公社性格にかんがみまして、都道府県または人口五十万以上の大都市政令で指定するものでなければ設立できないこととしております。  第九条は、地方公社設立手続を定めたものでありまして、地方公社設立するには、それぞれの地方議会の議決を経た上で、定款及び業務方法書を作成して建設大臣認可を受けることとしております。  第十条は、地方公社は、その主たる事務所所在地において設立登記をすることによって成立することと定めたものであります。  第三章は、地方公社役員及び職員職務権限及び任命等について規定しております。  第十一条は、地方公社役員として、理事長理事及び監事を置くこととしております。なお役員の定数につきましては、先ほど第五条で申し上げました定款で定めることといたしております。  第十二条は、地方公社役員職務権限を定めたものでありまして、理事長は、地方公社を代表し、その業務を総理いたします。理事は、理事長を補佐して地方公社業務を掌理し、理事長が欠けたときはその職務を行ないます。  また監事は、地方公社業務を監査いたしますが、監査の結果、必要あると認めるときは、理事長または地方公社監督者である建設大臣都道府県知事または市長意見を提出することができることとしております。  第十三条は、地方公社役員任命方法について定めたものであります。すなわち、理事長及び監事は、設立団体の長が任命することとし、理事理事長任命することといたしております。  第十四条は、役員任期に関する規定でありまして、その期間は、四年をこえることができないこととしております。したがいまして、各地方公社は、その定款におきまして四年以内で役員任期を定めることになります。また、役員の再任を認めることといたしました。  第十五条は、地方公社役員欠格条項について定めたものでありまして、地方公社取引上密接な利害関係にある一定の者は、役員になれないこととしております。  第十六条は、役員の解任について定めたものであります。すなわち、設立団体の長または理事長は、それぞれその任命した役員が、前条で申し上げました欠格条項に該当するようになったときは、その役員を解任しなければならないこと、また、役員に心身の故障の生じたり職務上の義務違反があったときは、その役員を解任できることとしております。  第十七条は、地方公社理事長利益が相反するような場合は、地方公社利益を守る必要がありますので、理事長代表権がなく、かわりに監事が代表することを定めたものであります。  第十八条は、代理人の選任に関する規定であります。理事長は、その職務の一部について代理人を選任する必要がある場合が考えられますので、この規定を置いた次第であります。  第十九条は、地方公社職員任命に関する規定でありまして、すべて理事長任命することといたしました。  第二十条は、地方公社の行なう業務公益性にかんがみ、役職員は刑法その他の適用については公務員とみなすこととした規定であります。  第四章は、地方公社が行なう業務について規定しております。  第二十一条は、地方公社が行なう業務範囲を定めた規定であります。地方公社が行なう業務は、大別して二つに分けられます。まず第一に、地方公社はその必須業務として、積み立て方式による住宅分譲を行ないます。すなわち、持ち家を希望する者から、一定期間一定金額に達するまで定期に金銭受け入れ、その期間満了後、受け入れた額以上の一定額代価の一部に充てて住宅及びその敷地を売り渡すこと及びその付帯業務を行ないます。  第二に、地方公社は、次の業務の全部または一部を行なうことができますが、この範囲は、日本住宅公団の場合とほぼ同様であります。その一つは、先ほど申し上げました積み立て方式による分譲住宅以外の住宅建設賃貸及び譲渡等を行ないます。次に、宅地造成を行ない、これの賃貸及び譲渡等を行ないます。次に、市街地において地方公社が行なう住宅建設と一体として商店事務所等建設することが適当である場合に、これらの施設建設賃貸及び譲渡を行ないます。次に、住宅用地とあわせて学校、病院、商店等用地造成することが適当な場合に、これらの用地造成賃貸及び譲渡等を行ないます。次に、地方公社建設した住宅団地居住者利便施設建設賃貸及び譲渡等を行ないます。大規模住宅団地におきましては、かかる施設を供給することが居住者生活上ぜひとも必要であります。この施設としては、児童遊園共同浴場託児所診療所、市場、売店等を考えております。次に、これらの業務に付帯する業務公有水面埋め立て事業を行ないます。なお、受託業務として、以上の業務の遂行に支障のない範囲内で住宅宅地及び先ほど申し上げましたような諸施設に関する業務を行なうことができることとしております。  第二十二条は、地方公社住宅建設し、宅地造成し、またはこれらを賃貸または譲渡するときの正しいあり方についての努力義務を定めたものであります。すなわち、第一条の目的にかんがみまして、前条業務を行なうには、勤労者が健康で文化的な生活を営むに足りる良好な環境住宅または宅地が確保されるようつとめるとともに、住宅を必要とする勤労者の適正な利用が確保され、かつ、賃貸料または譲渡価格が適正なものとなるようにつとめなければならないこととしております。これは、地方公社の持つ公益的性格にかんがみ、当然のことと考えられます。  第二十三条は、第二十一条で申し上げました住宅積み立て方式による分譲方法について規定したものであります。すなわち、地方公社は、住宅積み立て分譲に関する契約をするときは、契約の相手方の資格及び選定方法並びに契約内容に関して、建設省令で定める基準に従わなければならないこととしております。また、この契約を解約した場合は、積み立て者を保護するために、積み立て者は、金銭債権について、地方公社の総財産の上に先取特権を有することといたしました。  第二十四条は、第二十二条の規定を受けまして、地方公社業務として行なう住宅宅地及び諸施設建設賃貸及び譲渡等は、他の法令による基準のほか、建設省令で定める一定基準に従わなければならないこととしております。したがいまして、地方公社建設する住宅規模、家賃、分譲価格住宅を必要とする勤労者が利用するにふさわしいものとなります。なお、ここにいう他の法令のうち主要なものは、住宅金融公庫法及びこれに基づく政令省令でありまして、地方公社が、住宅金融公庫融資を受けて建設する場合は、この住宅金融公庫法及びこれに基づく政令省令適用されることになります。  第二十五条は、地方公社は、住宅積み立て分譲に関する契約による金銭受け入れ業務の一部を、銀行その他の金融機関に委託すべきことを定めたものでありまして、委託業務範囲は、いわゆる現金の出納事務とする予定であります。  第二十六条は、地方公社業務方法書に関する規定であります。業務方法書は、地方公社業務執行基準でありまして、その記載事項は、建設省令で定めることとしておりますが、住宅積み立て分譲に関する事項住宅及び宅地賃貸譲渡の条件及びその方法等に関する事項等を定める予定にしております。また業務方法書変更は、建設大臣認可事項といたしました。  第二十七条は、地方公社の毎事業年度事業計画及び資金計画は、業務公益性及び経営安定性を確保するため、都道府県知事等承認事項とすることといたしました。なお、都道府県知事等がこれらの計画承認しようとするときは、住宅積み立て分譲にかかわる部分について、あらかじめ建設大臣認可を受けなければならないことといたしました。これは地方公社が行なう住宅積み立て分譲に要する資金は、契約者積み立て金のほか、そのほとんどを住宅金融公庫からの融資予定しておりますので、これとの調整を行なう必要があるからであります。したがいまして、建設大臣は、この認可を行なうにあたりましては、大蔵大臣と十分協議して行なうようにしたいと考えております。  第二十八条は、地方公社住宅建設し、または宅地造成しようとするときは、あらかじめ地元の公共団体の長の意見を聞くべき旨を定めた規定であります。この規定を設けました理由は、各地方公共団体のそれぞれの住宅建設計画等地方公社住宅建設計画等調整をはかるとともに、地方公社業務が円滑に行なわれるよう、地方公共団体の協力を得る必要があるからであります。  第五章は、地方公社財務及び会計について規定しております。  第二十九条は、地方公社事業年度について定めたものであります。  第三十条は、地方公社財務に関する会計区分規定でありますが、地方公社が行なう住宅積み立て分譲に関する契約に基づく金銭受け入れは、金融機関類似業務でありますので、これに関する会計を明らかにするため、他の業務に関する会計区分して経理させることを定めたものであります。また、第二項におきまして、中途解約に備えて、建設省令で定めるところにより、債務支払いに充てるための一定引き当て金を保有すべきことを定めましだ。この建設省令におきましては、引き当て金の額の算出方法引き当て金流動資産であること等について定める予定であります。  第三十一条は、地方公社決算完結時期について定めたものであります。  第三十二条は、地方公社財務諸表及び業務報告書について定めたものであります。  第三十三条は、地方公社利益及び損失の処理について定めたものであります。  第三十四条は、地方公社余裕金の運用について定めたものでありまして、地方公社性格上堅実なものに限定しております。  第三十五条は、地方公社財務及び会計に関しての建設省令への委任規定であります。この省令におきまして、財務諸表及び業務報告書作成方法、その他財務及び会計の細部の手続的な事項について規定する予定であります。  第六章は、地方公社解散事由及び清算について規定しております。  第三十六条は、地方公社解散事由について定めたものであります。  第三十七条は、地方公社解散した場合の清算人に関する規定でありまして、破産による解散以外は、理事長及び理事清算人になることとしております。この場合におきまして、その職務及び権限については、第十二条で申し上げました理事長及び理事規定準用することといたしました。  第三十八条は、清算の結果、地方公社残余財産が生じたときの帰属について定めたものでありまして、出資の額に応じて、地方公共団体に分配することといたしました。  第三十九条は、地方公社解散及び清算について、民法及び非訟事件手続法所要規定準用することとしたものであります。  第七章は、地方公社に対する建設大臣及び都道府県知事等監督について規定しております。  第四十条は、建設大臣及び都道府県知事等の、地方公社に対する報告徴取権及び検査権について定めております。  第四十一条は、建設大臣及び都道府県知事等の、地方公社に対する監督命令権限規定でありますが、都道府県知事等が第一次的に、建設大臣は第二次的に、監督権限を発動すべきものとしております。  第四十二条は、地方公社違法行為があった場合の、建設大臣及び都道府県知事等是正措置を定めたものであります。都道府県知事等が第一次的に、建設大臣が第二次的に、監督権限を発動すべきものであることは、前条の場合と同様であります。なお、地方公社設立認可取り消し権限建設大臣にのみ属せしめられております。  第八章は、共同設立書類都道府県知事等経由住宅金融公庫融資非課税措置、他の法令準用について規定しております。  第四十三条は、二以上の都道府県及び大都市が共同して地方公社設立することができる旨の規定であります。都道府県または政令で指定する人口五十万以上の大都市は、第八条の規定により、それぞれ単独で地方公社設立することができますが、本条第一項第一号及び第二号の規定は、住宅事情の逼迫した地域において、都道府県という行政区画にとらわれないで、広域的に住宅問題の解決をはかる必要がある場合を予想して設けたものであります。また、その第三号の規定は、都道府県とその区域内の大都市が共同して地方公社設立したほうがよい場合が考えられますので、設けたものであります。  第二項におきましては、共同設立の場合の監督者について規定しております。すなわち前項の第一号及び第二号の場合には、都道府県知事等監督権限はなく、建設大臣のみが直接監督いたします。また第三号の場合には、都道府県知事のみが監督し、市長監督権限がなくなります。第三項におきましては、共同設立の場合に、事業計画及び資金計画承認をするときは、建設大臣は、設立団体の長である都道府県知事または市長の、都道府県知事は、設立団体の長である市長の、意見を聞くこととしております。  第四十四条は、地方公社建設大臣に提出する書類経由について定めたものであります。  第四十五条は、住宅金融公庫地方公社に対する融資について規定したものであります。地方公社業務が円滑に行なわれるためには、必要な資金について、住宅金融公庫からの融資を要することはもちろんでありますが、特に住宅積み立て分譲に関する契約に基づいて地方公社が供給する住宅及びその敷地に要する資金については、積み立て金のほかは、住宅金融公庫融資予定している場合がほとんどでありますので、この融資について、住宅金融公庫はできるだけ十分な配慮をすべきものといたしました。  第四十六条は、非課税規定であります。本条のほか、附則におきましても、国税地方税につきまして、所要免税措置を講じております。  第一項の規定は、地方公社設立のときに現物出資された、本来の業務の用に供する不動産についての不動産取得税非課税規定であります。第二項の規定は、住宅積み立て分譲に関する契約に基づく積み立てを奨励するため、住宅代価の一部に充てる額のうち、積み立て額を上回る部分についての所得税非課税とする規定であります。  第四十七条は、不動産登記法及び政令で定めるその他の法令適用について、地方公社地方公共団体とみなす規定でありますが、政令におきましては、建築基準法土地収用法宅地建物取引業法宅地造成等規制法住宅地造成事業に関する法律等予定しておりまして、たとえば、宅地建物取引業法宅地造成等規制法及び住宅地造成事業に関する法律の場合は、その適用が除外される等の扱いを受けることになります。  第九章は、罰則規定でありまして、第四十八条から第五十条までにおいて、地方公社及び地方公社役職員に対する罰則規定しております。  最後に附則でありますが、二十一項にわたって規定しております。  第一項は、施行期日を定めたものであります。第二項から第四項までの規定は、民法第三十四条の規定による公益法人地方公社への組織変更に関する規定であります。第五項は、公益法人事業年度中途組織変更して地方公社となった場合における法人税及び事業税適用についての事業年度区分規定であります。第六項及び第七項は、公益法人地方公社組織変更した場合における組織変更に伴う登記等登録税非課税規定であります。第八項は、名称使用の制限に関する経過措置であります。第九項は、土地収用法の一部改正でありまして、建築基準法による住居地域内において地方公社が行なう五十戸以上の一団地住宅経営土地を、収用しまたは使用することができる事業として、地方公社土地取得を容易にいたしました。第十項は、新住宅市街地開発法の一部改正でありまして、地方公社が新住宅市街地開発事業施行者となることができることとして、地方公社土地取得計画的開発を容易にいたしました。第十一項から第十九項までは、地方公社に対する登録税印紙税所得税法人税事業税及び不動産取得税減免規定及び地方公社から住宅または敷地を譲り受けた者に対して、登録税及び不動産取得税を減免する規定であります。第二十項及び第二十一項は、この法律の施行に伴って必要とされる建設省設置法の一部改正であります。  以上、地方住宅供給公社法案につきまして、逐条御説明を申し上げた次第であります。
  7. 森山欽司

    森山委員長 以上で、逐条説明は終わりました。
  8. 森山欽司

    森山委員長 質疑の通告がありますので、順次これを許します。大原亨君。
  9. 大原亨

    大原委員 地方住宅供給公社法案、こういうのが出たのですが、これを中心といたしまして、住宅政策をお聞きするわけです。  世上、この公社日本住宅公団の小型の公団、つまり豆公団、あるいはあまり内容のないトンネル会社だ、あるいは役人のうば捨て山だ、一部でそういう批判があるわけであります。私は、全体の住宅政策の中でこれがどういうふうに位置づけられるのか、こういうことが、住宅政策の上できわめて大切な問題ではないかというふうに思うわけであります。これは持ち家につきまして発表されましたときの最初の構想とだいぶん変わっておるわけであります。  最初にお尋ねしたい点は、初年度に大体何万戸建てて、それで各県の地方公社にはどういう基準でこれを配分をしていくのか。最初はちょっと具体的に御質問いたしたいと思うのです。
  10. 尚明

    ○尚政府委員 御承知のように、いま御審議願っております予算におきましては、住宅金融公庫分譲住宅として予算を計上しておりますのが二万五千戸でございます。私どもは、そのうちのおおむね二万戸程度をこの供給公社を通じてこの分譲住宅にいたしたいと考えている次第でございまして、その配分は、これは積み立て者に必ず供給するというたてまえから、土地が確保されていることが必要でございます。今後はそれを見越して、どんどん土地の先行取得をやるわけでございますが、初年度におきましてはまだこれが十分でない点もございますので、大きく分けまして、一つは住宅不足の各県の状態、いま一つはそれぞれの公社が保有している土地の状況等をあわせ考えまして、初年度の配分をいたしたいということで、いまはまだ供給公社にはなっておりませんけれども、既存の、各地方公共団体出資した公共法人である住宅協会等の手持ちの土地、あるいは来年度の計画等について聴取をいたしておる次第でございます。これに伴いまして、配分をいたしたいというふうに考えております。
  11. 大原亨

    大原委員 それで、各都道府県地方公社に対する配分は、簡単にいえば、公社設立の状況と見合う、あるいは実績に見合ってやるということですね。そこで、これはあとでまた御質問するといたしまして、また飛び飛びになって何ですが、大きい問題ですから、大臣にひとつ伺いたい。  一世帯一住宅というのを昭和三十八年に策定いたしまして、三十九年から出発をいたしました。それからもう一つは、昨年公営住宅については、三カ年計画が、御承知のように住宅法によって報告をされておるわけですね。それから、この持ち家制度につきまして、提案趣旨にもあったわけですが、佐藤内閣——大臣は、池田内閣のときに大臣になられて、佐藤内閣に引き続いているわけですから、その点についての何はともかくとしまして、佐藤内閣の社会開発ということばが出てまいります。そこで、その中で、最終的に佐藤内閣の閣議で策定をされたのが、中期経済計画であります。これは、ひずみ是正とか社会開発ということを織り込んで、最終的に佐藤内閣の閣議において決定をいたしたと思います。住宅についてこれらの方針があるわけですが、これらの方針の間においては、矛盾、あるいは特に討議を深めたり、特に是正をした点、こういうものがございますか。池田内閣のときの一世帯一住宅、七百万戸を建設するという七カ年計画はそのままであるかどうか。そういう、政策上矛盾したり是正した点はあるかないか、こういう点をいろいろと御研究になっておると思うので——特に佐藤内閣は、ひずみ是正で、住宅政策ということを社会開発の一つの柱にいたしておる。社会開発というのは、十人十色で、政府の言うことがみんな違うわけですが、それはともかくとして、住宅が重点として一つあるということは事実です。そこらについては、大きな点ですから、ひとつ大臣のほうでお答えいただきたい。
  12. 小山長規

    小山国務大臣 御承知のことと思いますが、七百八十万戸というのは、まだ閣議決定はしていないわけでございます。建設省としまして、七百八十万戸ということを建設白書で発表し、また議会でもたびたびそういうことを言っておりますから、これは政府としては発表しておるのでありますが、閣議で確定した計画案としては、道路計画あるいは河川計画のようなものはまだできていない、これは御了承願いたいと思います。したがって、その七百八十万戸という四十五年度までの計画目標は変更しておりません。従来どおり七百八十万戸をつくっていきたい、これは変更ないわけであります。  それから、もう一つは、中期計画との関係であります。中期計画は、御承知のように四十三年まで——われわれのほうの一世帯一住宅計画は四十五年まででありますが、私どもが言っておる一世帯一住宅の場合、七百八十万戸のうちで、中期計画は五百万戸以上の住宅建設をはかること、こうなっておるわけでありまして、四十三年度までに五百万戸以上となっておりますから、五百万戸に限るという趣旨ではなくて、いまの政策目標に従って住宅について重点を置いておりますから、これは、私どもとしましては、五百万戸をはるかに突破するところまで持っていきたい、こういう考えでおるわけであります。
  13. 大原亨

    大原委員 住宅政策は、いろいろむずかしい問題がたくさんあるわけです。で、策定がむずかしいといえばそうなんですが、しかし、歴代の保守党内閣は、一世帯一住宅とかいうことを言ってきたわけであります。道路とか河川とかいうものは、直接選挙に連なっているわけであります。したがって、何カ年計画というふうなものが、非常に具体的に策定をされるわけです。保守党内閣で、自由経済だといいながら、これについてはやはり相当具体的な長期計画が策定されるわけであります。私は思うのですが、住宅について長期政策というものがない。それは一応ここには出ておりますよ。出ておりますけれども、具体的な政策の裏づけがない。住宅政策についてはこうだという政策の策定がないから、そこから発するところのいろいろな政策について、議論だけ多くて、あいまいな点が多い。ドイツとかフランスとかイギリスとかその他の国々は、西欧諸国でもそうですが、戦犯の惨禍を受けた国々は、いち早く住宅政策を政治の中心に置いてきたわけです。今日では、その問題については、困難はあるけれども、大体においてめどをつけておる。社会主義の国においてもそうですが、モスクワの都市計画——私、この間行って見たけれども、六百万ほど人口がおって、三十分以内で通勤できるような、そういう住宅政策を確立するんだ、あるいは四、五年のうちには一人一部屋を確保するんだ、五人世帯であったら、最低居間は五つ、こういうふうな具体的なビジョンを持って、そうして政府は責任を持って遂行しておる。これは一つの政治の基本問題として、日本においてこの問題が依然として解決できていないで、そうして、やたらに政策だけ多くて、実りの少ない政策になっているのではないか。したがって、住宅政策について総合的な計画的な政策を、たとえ保守党の内閣といえども、きちっとやるべきである。その策定をやらなければならぬ。私、最近いろいろ資料をいただきましたし、この三月、経済閣僚懇談会に建設大臣が報告いたしました宅地政策とか、いろいろなものを一応見せてもらいましたけれども、口では総合的な計画が必要だということをしょっちゅう述べておる。しかし、事実はそうなっていない。そうして、やれ住宅供給公社でごさるのと——これはまだ審議してみなければならないのですが、いろいろ窓口だけ多くて、結局は政府の政策自体が、宅地の投機的な投資を促進し、地価をつり上げるというようなことになっているのではないか。だから、住宅政策について、はっきりしたそういう長期計画を策定すべきだ。その中身は何かということは逐次議論することといたしまして、そうすべきじゃないか。住宅政策は最もおくれていないか、こういうことにつきまして、今後の決意を披瀝をしてもらいたい。
  14. 小山長規

    小山国務大臣 私も大原委員と全く同感でありまして、住宅政策といっておりながら、各省ばらばらにいろいろな住宅をつくっておる。この窓口を整理したいという面も一つあるわけであります。しかしながら、同時に、たとえばいま厚生省でやっておる住宅、あるいは労働省でやっておる住宅は、それぞれの政策目標に応じた住宅をつくっているわけであるし、その資金源もおのずから異なっておりますので、この辺の調整をどうするかという問題が一つ残りますが、いずれにしましても、政府としては、何カ年間にはどのくらいのものは政府が責任を持つとか、あるいはその基準はこういうものでなければならぬとか、あるいは市街地においてこうでなければならぬとか、いうふうな一貫した一つの政策を立て、そして、必要によってはそれを裏づけするための法律あるいは財政的な五カ年計画とか、七カ年計画とかいうようなものをぜひつくりたいということで、できれば来年度の予算あるいは来年度の国会に間に合わせるようにしたいと思いまして、いま住宅関係の方々でお願いしている審議会にお願いをしまして、基本的なものの考え方というものを、いま整理しておる段階であります。
  15. 大原亨

    大原委員 つまり、どろぼうを見てなわをなうというようなもので、実際には二万円、三万円の給与所得者が一万円くらいの部屋に入っているということは、もう普通であります。それから一畳が千五百円というのは、大阪、東京だけでなしに私の広島だってもう一畳が千円、こういう相場であります。そういう一部屋一人、こういうような原則ではなしに、一畳が千円もする。これはILOの勧告にもあるのですが、その他住宅政策の国際常識ですが、またこの法律案の中にも若干抽象的なことが盛り込んであるが、家賃やあるいは分割払いをする月の金額生活を圧迫しないようにしなければならない、こういうことがあるわけです。これは一千万戸とか一世帯一住宅とか言いましても、全く日本の住宅政策はでたらめで、なっておらぬ。その長期計画もビジョンもない、こういうことであります。そして衣食住で、衣食については問題はたくさんあるけれども、一応戦後二十年たちますと、そういう面においてはやや内容も出てきたし、また値段も下がった。住については全くない。これが社会問題の根源である。これは言うまでもないことです。したがって、これはいますぐと言ったってしょうがないが、次の国会においては、少なくともそれについては——特にひずみ是正、社会開発というようなことを言う佐藤内閣、いつまで続くかわからぬけれども、そううことを言っておるわけです。人間尊重というようなことを言っておるわけです。ひずみ是正といった場合には、いままでの生産一本、高度成長一本、設備投資一本の政策を、生活環境や向上に資してやろうという趣旨でしょう。したがって、そういう看板に偽りがあるかないかは相当問題が出ておるけれども、しかし、ともかくもそういう政策であるとするならば、住宅については、きちっとしたそういう計画を次の通常国会までには立てる。次の通常国会じゃおそいという問題もあるが、これは相当作業が要るからということで、寛大に考えておるわけですが、立てるべきである。その点について、大臣の決意をひとつ明らかにしてもらいたい。
  16. 小山長規

    小山国務大臣 先ほど申し上げましたように、私としましても、次の国会に間に合うようにひとつ急ぎたいという決意で、これには問題点がまだ相当たくさんありますから、そこで、学者の意見などを聞きながら、いま問題点を整理し、そしてこれは当然法律なりあるいは何カ年計画というものとうらはらになりますから、そういうものを含めて、ひとつきちっとしたものを次の通常国会には提案をしたいという考え方のもとに、事務当局をいま督励しておるところであります。
  17. 大原亨

    大原委員 それは、小山建設大臣は次の内閣においても存続されることを希望しますが、それを希望するのはともかくとして、いまの議事録にとどまっていることは、確実に与党の政策となるようにやってもらいたい。これは来年の国会においては、あらゆる面において私どもは検討したい。というのは、私がいろいろ資料を調べてみますと、いまもお話しのとおり、一世帯一住宅という昭和三十九年からの七カ年計画も、閣議で決定してないわけです。選挙のたびごとにいいスローガンを出す。一世帯一住宅というのは、社会党のスローガンを取ってやったわけだけれども、それをやっては、選挙が終わるとまた次の政策を出す。やれ社会開発でございますの、中期経済計画でございますのと言って、七百万戸とか五百万戸とか、数字はあるけれども、民間を含めてそうである。特に民間の場合においては、全く殺人的な家賃だ。五割も家賃に取られているというような人がたくさんあるわけです。そんなことで、生活環境や労働能率や生産性の問題を議論したって始まらぬわけです。この問題は、民間の建設を含めて、やはり五百万戸なり七百万戸の計画を策定する場合においては、それについては、一定政府としての方針が明示できるような、制度上あるいは予算上のそういう対策を立てなければいかぬ。単に一千万戸つくりますの、七百万戸つくりますのということだけではいけない。その内容においては、そういうものは民間のものがかってにつくる、あるいは高い部屋へたくさんぶち込んでおく、こういうふうなことであってはならぬ。そういう問題を含めて、私はやはり計画を十分考えてもらいたいと思う。この点につきまして、大臣のお考えを伺いたい。
  18. 小山長規

    小山国務大臣 先ほど申し上げました趣旨は、いま大原委員のおっしゃったような趣旨でありまして、私どももいまの伸び率で大体いけると思いますけれども、それでもなおわれわれとしましてたものにしも、不満な点がありますから、そこできちっとしたものにしたいということで、せっかく準備をし、検討を進めておるわけであります。できるだけこの次の通常国会には上程したい、こういうことで準備を急いでおりますことを、重ねて申し上げておきます。
  19. 大原亨

    大原委員 あまりこれだけで時間をとっておるわけにはいかぬのですが、池田内閣の高度成長政策、所得倍増政策十カ年計画が始まったのが昭和三十六年ですが、私の資料によりますと、三十五年を基準にしていろいろと議論いたしますから、三十五年を基準にいたしますると、政府委員でもよろしいのですが、公営住宅の例をとってみますと、昭和三十八年度末までの予算と実績の差が五五・六%、こういうふうになっているのであります。これについては異議があるらしいのですが、つまりこういうことであります。予算単価やその他施策において戸数だけを計画するものですから実際に行なうにあたっては地方公共団体その他に非常に大きな犠牲を負担させることになる、あるいは個人に対して負担をさせることになる。またもう一つは、池田内閣の高度成長政策で、山陽特殊鋼ではないけれども、借金政策と設備投資の無鉄砲な拡大によりまして、こういう行き詰まりがあるわけですが、物価騰貴その他の現象が起きておる、そういうことで、結局は、公営住宅——政府が責任を持っておる、公共団体が責任を持っておる公営住宅のそういう達成率というものは、計画は立っても、実績がそれに伴わない。金融公庫その他もそうですが、手持ち資金をたくさん出さないと家は建たない、という結果に今日なっておる。そういう点で、政府が政策を立てたけれども、その責任が貫かれていないのじゃないか、これは住宅政策の基本の中の公営住宅、特に三カ年ごとに計画を立てることになっておる公営住宅法の精神から考えて、この点を取り上げて問題にするわけですけれども、これにやはり高度成長成策の罪であると一緒に、住宅政策の貧困、こういうものではないか、これは事実をもって私は示しておくわけです。年度の差はございましてもよろしい。よろしいけれども、私が申し上げました資料は間違いがあるかないかということをお答えをいただきたい。
  20. 尚明

    ○尚政府委員 ただいま先生の御指摘がありました、三十八年度末までに公営住宅建設が五五%しかできていないとおっしゃれるのは、これは何か資料の取り方をお間違えになっておるものと考えます。私ども、予算として三十五年度には五万三千戸、三十六年度も五万三千戸、三十七年度五万四千戸、三十八年度五万六千戸の計画をそれぞれ立てましたが、その実績は、三十五年度五万二千四百三十六戸、三十六年度五万三千四百四十四戸、三十七年度五万四千百二十七戸、三十八年度五万六千四十七戸、それから三十九年度は五万八千九百二十六戸の見込みでございます。と申しますのは、三十九年度の分だけは一部の工事がおくれておりまして、でき上がるのがこの夏になるものが、一部東京都等にございまして、それを数えまして、五万八千九百二十六戸になるわけでございます。先生の御指摘になりました五五%という数をかりに想像してみますと、おそらく、三十五年三月三十一日現在までに賃貸管理に入った戸数が五五%であった、とかいうような数字がもとになっていらっしゃるのではないかと思います。若干翌年の夏ごろまで完成がおくれておるものが常にあるのは事実でございますが、戸数は必ずできております。
  21. 大原亨

    大原委員 達成率はどのくらいですか。
  22. 尚明

    ○尚政府委員 達成率は、これでいくと一〇〇%だと思います。と申しますのは、これらはいずれも厳重なる会計検査を受け、かつ行政管理庁の検査も受け、常に、やった補助事業については、一戸たりともその数の違うことが許されない業務になっておるわけでございまして、予算の執行ときわめてそごのあるようなものは必ず指摘されておるわけでございます。しかしながら、公営住宅は五万二千戸といいましても、その年々の建設する場所、予算によりまして、約二、三百戸ずつ、先ほど御報告いたしましたように、出入りはございます。しかしいずれもその誤差は二、三百戸ないし、せいぜい五百戸までの誤差でございまして、全部できております。
  23. 大原亨

    大原委員 それでは、大臣の時間があるそうだから、この問題は、私の資料とあなたの資料と大違いだけれども、私のはこうじゃないかということなんだが、それにしたところで、でき上がって入れるまでの時間があるから、ズレが出ておるんじゃないかと言われるのですが、そういうことだったならば、こんなにズレはないわけです。四、五年も通算してみると、こんなずれがあるのはおかしい。これは私、あなたの答弁が記録に載っておりますから、私のとりました資料とあとでまた検討いたしまして、やります。それはいろいろあるでしょう。家を小さくしたり、それから中身を悪くしたり、柱を小さくしたり、また、個人の負担ということはないから、地方公共団体の負担を増加したり、いろいろなことがあるでしょうが、その問題の検討は別にいたしまして、私は、公営住宅住宅政策の中における位置づけをまず聞きたい、こういうつもりなんです。ひとつきょうは大臣に、どうせお帰りになると思うのだが、この前岡本委員のほうから質問し、この次に私は質問しようと思っておったのだが、つまり、住宅供給公社の場合だって、宅地とか総合的な住宅政策がなしにこれをやると、こんなものはだめだ。このこと自体は、いい悪いについてはいろいろ議論があるし、やって悪いこともないだろうし、そういう希望もあるだろう。しかし住宅政策を確立しないで、こういうものをてんでんばらばらにやっていくことはどうかという問題が、私は一つあると思う。そういうことであります。そこで、私は大臣に宅地政策の問題で質問いたしたいと思っておったわけであります。  飛び飛びになって悪いのだけれども、この前、岡本委員の予算委員会における一般質問の中で、田中大蔵大臣は、何回か強引に空閑地税の問題に抵抗を示したわけです。私は去年の衆議院の本会議におきます決議事項を見てみますと、これは三十九年の五月二十九日ですが、地価安定施策の強化に関する決議案、こういうのが御承知のとおりあるわけです。その中で、具体的に「空閑地税等の」というふうに一応指摘しておるわけです。私はこの検討のしかたというものがもう少し——岡本委員も指摘されたけれども、ドイツとかその他でやっておるわけで、地価抑制では相当の成果をあげているのです。それについて田中大蔵大臣の答弁は、余韻がないというわけじゃないけれども、あまりにも独断的、主観点議論だ。これは場所を変えてあらためて議論をする場合があってもよろしいけれども、そうだ。それと、昭和四十年三月に、建設省が経済閣僚懇談会に報告して了解を求めたという、地価対策についての案を見てみますと、算用数字の第2項の漢数字の第三に、やはりこの問題について検討すべきである、こういう意味のことがあるのです。というのは、「合理的な土地利用規制を前提として、都市施設の整備された地域における未利用地の利用促進のための方策を講ずる。」これは空閑地税などだ、こういうふうに言われて、経済閣僚懇談会でも了解事項になっておるわけです。これは、こういう強引な答弁でこの政策ができないというようなことになってはたいへんだ。   〔委員長退席、正示委員長代理着席〕  当時、建設大臣もおられたわけです。予算委員会が済んで後の、この三月の経済閣僚懇談会でも、建設省の考え方として提案されておる、というふうに私は了解するわけです。  そこで、この空閑地税について、建設大臣の責任ある見解を示してもらいたい。これは持ち家の問題その他政策上の問題の基本問題だから、この問題をうやむやにしておいてはいけない。
  24. 小山長規

    小山国務大臣 この空閑地税問題については、田中大蔵大臣と私とはまだ十分な詰めをしたわけじゃないのであります。詰めをしたわけじゃないのでありますが、私の印象では——これは間違っておったら、またあとで訂正しなければなりませんが、田中大蔵大臣が言う空閑地税というのは、戦後に、広い屋敷を持っておる人の庭を、そんなばかでかい庭を持っておったのではもったいないから、これに税金をかけたらどうかという議論がありました、あの考え方じゃないかというふうな印象を受けているわけであります。しかしながら、われわれが言っておりますいわゆる空閑地税というのは、いま大原委員もちょっと言われましたような、未利用地宅地に推進するための税金はどうだろうかという意味のことなんであります。このことは、しかしながら、ただばく然と空閑地税をいきなりつくるというわけにはいきません。というのは、土地の利用計画というものができてこなければならぬ。たとえば住宅地、工業用地に提供すべき土地と、農地その他に利用すべき土地と、この二つがさい然と、法律上あるいは制度上区別されてきませんと、それを宅地化しあるいはその上に住宅をつくらせるための推進剤としての税というものはむずかしい問題になってまいります。そこでわれわれが考えておりますのは、地価対策を根本的に考えようとする場合には、どうしても土地の利用計画というものができてこなければならぬ。これは農地に残す、あるいはこれは緑地化する、あるいは宅地、工業用地にするんだ、このきちっとした区別ができませんと、いきなり空閑地税とかあるいは未利用地宅地化推進税とか、税金でもってやろうとしても、それは効果のないものになってしまって、いたずらに混乱を起こすだけであります。ですから、私どもが経済閣僚懇談会でも申しておりますのは、この土地の利用計画というものをきちっときめないと、あらゆる土地の問題の解決にはならないといいますか、根本的解決にならない、こういう考え方を言っておるわけであります。でありますが、この土地利用計画というものは、よく世間では、簡単にできるもののようにいわれたり、とられたりしておりますけれども、突き詰めていきますと、実にむずかしい問題であります。そこでいま宅地審議会などに諮問しまして、学者の意見をいろいろ聞きながら、どのような基本的な態度で土地利用計画というものを法律化していったらいいものであろうかということを、いま研究を願っておる段階でありまして、学者によってもいろいろな意見の違いがありまして、まだ統一された見解が出てきておらない、こういう現状なのであります。
  25. 大原亨

    大原委員 つまり空閑地税は、田中大蔵大臣の庭は非常に広いという話だが、自分の庭が取られるということを心配しているのか。たとえば佐藤さんは前田さんの家を借りているけれども、河野さんは五つも六つも持っているという話だが、それはともかくとして、とにかく土地利用計画を策定する。その際に問題は、やはりいまお話しのように、私有地に対して、所有権に対して、住宅政策を優先させて、私有権を規制できるという基本に踏み切るかどうかという問題が一つあると思う。これは社会主義化という問題は除いてですね。この問題について、建設大臣や当事者が決意をしないで、幾ら審議会にかけても、議論が出るだけで、から回りをするのじゃないか。もう議論は出尽くしているわけです。やるかやらぬかです。その一つが空閑地税であったと思うのです。田中大蔵大臣は、自分の家を取られると思って非常に抵抗しているような印象を、あのときの岡本委員に対する答弁では、私は受けたわけです。  そこで、私有地に対する住宅政策をやはり国の政策として考えて、これは万民のためにというか、住宅政策を優先させるのだ、そのために私有権を規制するのだ、私有権を尊重しながらも、そういう規制をしていくのだ、こういうことについて決断するかどうかということが、前進させるかどうかということであり、国会においては、問題は出尽くしたのだから、国会は最高の決議機関だし、何でもかんでもここで簡単に決定するということじゃないが、しかし議論がし尽くされたものについては、はっきりものを言うべきところである。そういう点では、大臣のいままでの——任期もだいぶ近づいたけれども、この際における、あとに残す決意、議事録に残す決意、政策としての考え方、所信というものを明確にしてもらいたい。
  26. 小山長規

    小山国務大臣 いまお話がありました私有権の制限の問題に、結局なるわけでありますが、ここで考えてみなければならぬ問題が一つあります。それは何かといいますと、土地の利用計画を立てて、そこで私有権に対する相当強い制限を加えるわけでありますが、その場合に、その住宅政策なり土地の価格という面からいうと、安いにこしたことはないわけであります。ところが売るほうからいいますと、時価よりも安く売ってしまった場合にどうなるかという問題が一つ出てくる。というのは、ヨーロッパやよその国の例はよく知りませんが、大きい地主が、たとえば十町歩も持っておるような人が五反歩や一町歩を手放した場合の影響と、日本のように、一町歩か七、八反歩しか持っていない連中が、五反歩、六反歩手放してしまう、場合によっては全部手放してしまうという場合の影響とは、たいへんな違いがあるわけなんです。そこで、その時価といいますか、収用なら収用するときの価格というものを一体どうきめるのかという問題が最後に残ってまいります。そこで、たとえばそれを需要者のために安くやろうとしますと、手放す人は生活の保障を失うとか、生活の基盤を失う、そういう問題が出てきますので、その問題は一体どう解決するのか、この問題をあわせて考えておかないと、ただ単に安ければよろしいという、使う者の例だけの考え方では、この問題はそう簡単には割り切れない。この問題がありますので、そこで審議会あるいは学者の意見をいろいろ詰めているわけであります。
  27. 大原亨

    大原委員 そこで、既得権を尊重するというたてまえに立ちながら、住宅公団でも、私もいろいろ調べてみれば、そうだが、団地を買うといえば、いまの話のようにブローカーが入る。ひどいのは、名古屋の例なんかのような例がある。瞬時にして一億円も入るということであります。だからそういう対象にすればするほど、この問題は悪循環をしてくるわけです。だからこれは、既得権は尊重するけれども、その上に立ちながら、非常に水増しの不当なる投機的な利潤に対しては、やはり断固是正をする、こういうところに調整点がある。そうして日本の地価は、大都市を中心として考えたら、ヨーロッパなんかの大体三倍から五倍くらいだそうだけれども、このままで上がっていったときには、庶民は住宅とは縁がなくなってしまうというわけです。ですから、この際、私は政府が——相当いままで建設大臣として、あなたは勉強になり、議論になったと思う。だれがあとに来るかわからぬけれども、それはともかくとして、あなたはそういういままでの経験に基づいて、こうあるべきだ、こういうことを、もう少し具体的に決意を表明しておいてもらいたい。それがあなたの責任ではないか。もうちょっと具体的な答弁をひとつ願いたい。
  28. 小山長規

    小山国務大臣 私も、御質問に答えて、具体的に、こうあるべきだということを言いたいのでありますが、勉強すればするほど、非常にむずかしい問題なんです。そこでむずかしい問題をどう解決するかというう方法のうちで、ここさえ決断すればいいという点がまだ出てこないのです。(「八方に気がねするからだよ。」と呼ぶ者あり)気がねするのではなしに、需要者の立場、提供する人の立場、そしてそのあとの生活の問題、こういう問題を考えていきますと、決して単純な問題ではない。そこで考えましたのが、やがて御提案申し上げようと思っております、首都圏、近畿圏について、交換といいますか、還元譲渡といいますか、こういう方法でやれば、少なくともその地域内におけるアンバランスはなくなってくる、またそんなに不当な問題はないということで、一つの指標として考えているわけでありますが、いまこの問題をひっくるめて申し上げたいことは、一体どれが地価なのだという公の制度がないということなんです。地価とは何んだ。たとえば東京都なら東京都の付近の三鷹なら三鷹の地価というものは、どれが適正な地価であるのかという、その地価というものの公の制度がない。そこで鑑定士制度とか評価制度というものをいまつくっておりますが、これをもっともっと拡充強化していくということがまず前提になってくるであろうということで、土地の価格の問題というものは、単純にこの一点さえ割り切れば片づく、解決するというふうな簡単な問題でないだけに、われわれも事務当局もあるいは学者の諸先生も、苦心しておるという段階なんであります。
  29. 大原亨

    大原委員 投機的な投資を抑制する、べらぼうなもうけで、不労所得をやることを抑制するということの一つの方法としては、空閑地税も一つあるでしょう。だから空閑地税は、頭をひねっていて、やる意思はないのだろうけれども、たとえば住宅について、来年の国会までには、社会開発を提唱する佐藤内閣においては、総合的な長期的な計画を策定する。その際には小は住宅公社の問題から、持ち家制度の問題から、やはり宅地の安定ということがなければ、予算の執行はできないわけですよ。だからそういう投機的なことを抑制をする。たとえば空閑地税の問題を含めて、やはり住宅に対する総合計画を次の通常国会までには策定をする、すべきである、これは時間的な問題から詰めていきたいと思うのだが、その点についての考え方、決意を明らかにしてもらいたい。
  30. 小山長規

    小山国務大臣 いま空閑地税によって、ブローカーあるいは投機的な売買を制限できるじゃないかというお話でありますが、空閑地税というものをかけるときには、所有者にかけるわけでありますから、所有者がずっと先祖代々持っていようが、あるいは短期に持っていようが、これは関係がないわけです。ですから、これでは、空閑地税で土地ブローカーなり投機を押えるということは、税のどんなたてまえのつくり方をしますかわかりませんが、これは解決できないのではないかと思います。そこで、いま、御承知かと思いますけれども、たしか昨年国会を通過した新しい法律でありますが、投機を抑制するための制度がひとつでき上がっております。それは、たとえば買ってから一年以内だったかと思いますが、一年以内に売り渡した場合には、例の不動産譲渡所得の優遇措置をやめるとか、そういったような税法上の措置は講じておるわけでありますが、これで多少はいわゆるブローカーの手を防げるかと思うのですけれども、そういう面からする方法はありましょうけれども、空閑地税によって投機的な売買を抑制するということはむずかしいのじゃなかろうか。むしろ空閑地税の目的は、遊ばしておく——自分の先祖代々持っておる土地であるけれども、ここは国の目的のために住宅地だ、こういうふうに策定した土地に、いつまでたっても住宅を建てないあるいは工場を建てないという場合には、税金を取りますよということ、つまり土地の利用を促進するという面は、空閑地税になってくると思いますが、ブローカーを押えるというきめ手は、この法律にはないのではないかというふうに考えております。
  31. 大原亨

    大原委員 これはもうちょっと具体的に言うと、需要と供給の関係でやはり思惑が出るわけです。だから、土地利用計画について総合計画を明確にすると一緒に、やはり投機的な売買やそういう土地取得についてチェックする方法も考えて、自分の土地であっても、公のために、不必要なものについては提供する、そういう思惑的な利潤追求の種にしない、こういうことをやはり促進する一つの面があるのではないか、これは一つの大きな作用になるのではないかと私は思います。それはともかくとして、利用地が多くなれば、それは値段が下がるわけですから、そのために土地を保有して値段をつり上げるということも防止する、そういう政策と一緒に、この問題は、私は総合政策としては不可欠の問題であると思う。したがって、その議論はともかくとして、外国でもやっておるそういう空閑地税の問題を含めて、やはり土地政策と住宅政策の大きな一環として、都市計画の大きな一環として、過密都市対策として、住宅政策を立てていくのだ、こういう方向を、私は明確にしてもらいたいと思う。
  32. 小山長規

    小山国務大臣 どうも空閑地税に、私こだわっているようでありますが、空閑地税というのは、土地の所有者、つまり売り手に対して課税する方法なんですね。いま問題になるのは、買い手が自分の使用する目的もないのに、値上がりを待って買っておこうというのをどうやって制限しようかという問題でありますから、この問題とは直接の関係はないと思います。それから、もし法律上、行政上の措置によって、実需者つまり一年以内に住宅ないしは工場を建てることの確定しているもの以外には売っちゃいかぬというような法律制度ができれば、それは一つの地価対策になると思います。しかしそれでは、そういうことを確定できる法律上の裏づけがあるかどうかということで、また議論が分かれてまいっておりまして、そういう問題を含めて、何か新しい手はないかということを、いま模索しておる、こういう段階であるわけであります。
  33. 大原亨

    大原委員 私が指摘しました、この間の「地価対策について」という経済閣僚懇談会に報告した資料の2の三項の、未利用地の利用促進のための方策を講ずるという中で、新聞報道その他一般の常識では、空閑地税その他を含む、こういうことの議論になっておる。いまあなたと、その投機的な問題については議論しませんが、空閑地税については、外国でやっている施策としては、他の私の申し上げる政策もそうだけれども、相当有効に働いておると考える。それにかわるべき政策があれば、それもけっこうですが、この問題はひとつもう少し具体的に——この前のような議論でなしに、もう少し具体的に進めてもらいたい、この点についての考え方をすみやかに統一してもらいたい、よろしゅうございますか。
  34. 小山長規

    小山国務大臣 いまお読みになりました、閣僚懇談会で出ました空閑地税の問題というのは、その前提に書いてありますように、土地利用計画を定めてということでありますが、これはもう大原委員が言われるように、土地利用計画を定めることによって、いわゆる宅地の供給がふえるわけでありますから、それをふやすことは一つの方法であろう、ところが土地利用計画をきめても、それを今度は売らない人がおる。売らないで、じっとあたためて値上がりを待とうという人がおる場合には、そういうふうな——私はあまり空閑地税ということばは使わないのでありますが、未利用地利用促進税といいますか、そういった式の税金をかけることも一つの方法ではなかろうかという考え方がありまして、これも一つの問題点として提起をしているわけであります。
  35. 大原亨

    大原委員 それでは、この問題だけでやるわけじゃないですから、申し上げますが、その次の質問は、七百万戸あるいは五百万戸の住宅政策の中で、公営住宅に対して、持ち家ということが盛んに喧伝されて、中央、地方で相当な努力が傾注されるけれども、公営住宅という問題について、いままで議論し尽くされた問題であるけれども、これをどういうふうなウェートを置いて、本年並びに将来においてやっていくのか。全体の政府施策の中で、本年の公営住宅の占める位置、それから公営住宅について、将来この問題をどのように考えていくか。つまり低中高とやっている中の、低所得階層に対する住宅対策であったわけでありますが、そこでこれを強力にどんどんやっていけば、極端に言えば家賃は下がるわけです。これを思い切ってどんどんふやしていけば、道路やあるいはその他と同じように、公共事業でどんどんふやしていけば、国の事業でふやしていけば、これは一般の経済情勢にも大きな変動を与え、影響を与えることができるし、生活にも影響を与えることができるわけです。これに対して、もう少し条件を整備して、公営住宅についての、そういう施策の完全実施をはかっていくことが、やはり住宅政策の中心であるべきではないのか。私の議論をしまして、ひとつ実態と見解をお聞きしたい。
  36. 小山長規

    小山国務大臣 公営住宅の、過去及び四十年度予算において占める位置、これはあとで事務当局から申し上げますが、私どもの住宅政策はこう考えておるわけであります。つまり所得の少ない間は、どうしたって、自分のうちを持てといったって、持つような政策を進めてみたところで、できるものではありません。そこで、所得の少ない人のためには、公営住宅とか、あるいは公団の賃貸住宅とか、あるいは地方公社に金を貸して、そこでまた賃貸住宅をつくるとかいうようなことをいままでやってきたわけでありますが、一方において、相当定年に近寄っているような勤労者のような場合には、一生の間借家住まいはいやだから、せめて自分のうちに住みたいという希望もあることは事実なんです。ところが、それを今度はめいめいがやろうとしましても、なかなか簡単に土地が手に入らぬ場合もあるし、あるいは一戸一戸でつくれば建設資金が高いという問題もあります。そこで、そういう問題も解決する必要があるというので、今度の持ち家の供給公社という制度をつくったわけでありますが、いま日本で、それじゃどっちが一番多いのか、つまり持ち家を持とうにも持てない人と、それから持てる人と、どっちが多いのかといえば、これは当然、まだとても持ち家には手が出ないという人のほうが多いわけであります。したがって、われわれの政府の政策は、やはり低所得者階層に重点を置きまして、公営住宅あるいは公団の賃貸住宅というものに主眼を置いておるわけであります。ただ、公団住宅の場合には、いまやっております制度は、国費つまり税収入からさいてその資金を出しておりまするし、賃貸住宅の場合には、国民の資金、預貯金でありますところの預金部資金を使っておる。この原資の差がある。そういうことで、おのずから家賃にも高低の差が出てきておるわけでありますが、同時にまた、財政の配分の問題からいいましても、公営住宅ばかりむやみやたらにふやすというほどの財政力がないという場合には、預金部資金を使って公団住宅をつくる、あるいは金融公庫から、地方でそれぞれの一いままでもこういう住宅公社みたいなものがありますから、そういう人たちに金を回して、そこでまた賃貸住宅をつくってもらう、あるいは企業などが自分の金を継ぎ足してやりたいという場合には、社宅もつくる、という政策をとっておるわけでございますが、そういうことで、主眼はどこにあるのかといえば、やはり日本の住宅困窮者の実態からいって、まだ賃貸住宅の希望者が非常に多いわけでありますから、そこで、主眼はそちらに置いていくんだという考え方で進むわけであります。
  37. 尚明

    ○尚政府委員 四十年度におきます政府施策住宅のうち、建設省が所管しております計画は、二十四万六千五百戸でございます。このうち、低額所得者向けとしての公営住宅が六万五千戸でございまして、それからほかに改良住宅が四千五百戸ございまして、合わせて約七万戸が低所得者向け住宅というふうに考えておる次第でございます。
  38. 大原亨

    大原委員 これがぼくは非常に少ないと思うんですよ。いろいろなものを見てみましてね。たとえば、ニュータウン計画を立てて、事業場と住宅とを密着させるといっても、やはり公営住宅で、いままでの悪循環を突破して——本委員会の議論でも、昨年から議論になっておる、私は議事録を見ましたが、やはり住宅の交換なんかをする場合だって、やはり低家賃の公営住宅をつくらないと、現在の勤労者の所得からいいましたら、これはほとんど問題にならぬわけです。交通戦争その他を阻止するためにも、ニュータウン計画や新しい計画を立てるためにも、公営住宅を大幅に増大して、やはり低家賃の住宅住宅を安定させるという方針の中で、住宅の交換等をやるとか、あるいはニュータウン計画で、事業場と相合わせてつくるとかいう総合計画を立てないといけないのじゃないか。これは非常に少ない、こういう点を、私は特に指摘をしておきます。  それから次の問題は、これはILO勧告の問題と関連して、いま非常に議論になっているわけ面すが、給与住宅です。給与住宅の実態、現状と、それから政府の方針、これをひとつお答え願います。
  39. 尚明

    ○尚政府委員 給与住宅は、ただいま住宅金融公庫の産業労働者住宅、あるいは厚生年金の還元融資住宅、あるいは雇用促進事業団の宿舎等においても、おもに行なわれているわけでございます。ILOの勧告におきましては、給与住宅の制度は労働者を住宅の面において束縛する点等があって好ましくない、なるべく公共の住宅あるいは労働者みずからの建設する住宅のほうに移行すべきであることを勧告しております。しかしながら、わが国の実情としては、非常にいま住宅が窮迫しておりますので、その勧告の方向についてはもちろん了としているわけでございますが、ただいまのところ、直ちにこの給与住宅に対する援助をやめてというところまでまいらずにいる次第でございます。あの勧告にもございましたように、それぞれの国の国情に応じて、その一般原則を守るようにという勧告でございまして、わが国としては、全体の考え方は了承するが、いま直ちにその勧告すべての細部にわたってこれを実施することは不可能で、先ほど申し上げましたように、いまなおこの住宅困窮の現状におきましては、企業者等の資金も活用しつつ、給与住宅の制度というものを、ある程度住宅政策の一端のにない手として、活用していかなければならない、こういう態度でいるわけでございます。
  40. 大原亨

    大原委員 給与住宅は、本年は金額は幾らですか。
  41. 尚明

    ○尚政府委員 金額はわかりませんけれども、戸数の計画で申し述べますと、住宅金融公庫融資による産業労働者住宅が一万五千尺それから建設省では、これと、あと日本住宅公団の行ないます特定分譲住宅、これが九千戸。そのほか、厚生年金が四万八千戸、雇用促進住宅が一万九千五百五十五戸、これは他省において計画されております。
  42. 大原亨

    大原委員 これはふえる傾向ですか、減るのですか。二、三年来の傾向は出るんじゃないですか。
  43. 尚明

    ○尚政府委員 端的に申しまして、建設省の系統におきましてはふえておりませんで、ずっと現状維持のような感触でございます。公団につきましては、三十九年に比べて千戸減りました。しかし厚生年金の住宅及び雇用促進のほうにおいては、漸増しているようでございます。
  44. 大原亨

    大原委員 これはちょっと見ただけでも、給与住宅、七万戸ぐらいあるのですが、全体としてはこれは減っておらぬですよ。これはやはり政府が方針をきめてやるべきじゃないですか。たとえば、会社、企業が社宅として建ててもよろしいが、いまのように、もうけないで分譲していくとか、これは公社をつくって、たくさんつくってやることも一つの方法だろうけれども、社宅は分譲するという方針で、もうけないでどんどん永久の居住権を保障するような、そういう施策でいくようなこともできると思うのですが、そういう方針——たとえば炭鉱の場合は、炭鉱と一緒に炭住があるということは、私はある程度やむを得ないと思う。そこで私は、給与住宅についてはそういう方針を出すべきではないかと思うのですが、いかがですか。
  45. 尚明

    ○尚政府委員 将来の方向といたしまして、先生のおっしゃるとおりだと思いますが、実情を申し上げますと、一つは、最近中小企業の方の労務の確保ということが、数年来非常に大きな問題になりまして、建設省関係の給与住宅も、それから厚生年金のほうも、相当程度を中小企業向けの給与住宅の確保に振り向ける傾向になっております。しかし全体をして述べれば、先生のおっしゃられるような方向は出ると思います。ただ現実の問題といたしまして、一方で、御承知のように、新産都市あるいは工業整備特別地域というふうに工業の分散をはかっております。これらにはまだ、現実の問題としては、最近に行きます工業等について、給与住宅の要望というものが相当程度ございます。しかも、これに対して、企業が相当程度の資金の負担をしようという形でおりますので、これをある程度活用する。だから、私どもといたしましては、これにたより切っていくという気持ちは毛頭ありませんが、現実にそういう形で住宅供給を欲し、かつ、いま申しましたように、同じ企業住宅といたしましても、中小企業のほう等におきましては、やはりそれを確保することが労務の確保とつながってくるというような今日の現状がございますので、これを勘案しつつ、漸次理想的な方向に向かいたいというふうに考える次第でございます。   〔正示委員長代理退席、委員長着席〕
  46. 大原亨

    大原委員 中小企業の労働者を確保して、生活を安定させる。生活安定ということで、住宅を雇用とくっつけてやるということはいいんです。ただし、住宅と雇用を直ちにくっつけるということはいけないのだから、これを中小企業が自分の資金も出し、自分の信用も供与して金も借りて、そして住宅金融公庫や公団の施策を利用して、労働者の住宅をつくる、そしてそれを生活を圧迫しない程度の分割払いで持ち家にしていく、こういうふうな方法融資の制度を確立すれば、そうすれば私は、個人個人で住宅を確保するよりも整うた、整備できた、責任のある住宅ができるのではないか、健康で文化的なと書いてある、そういう住宅ができるのじゃないか、そういう政策でやっていけというのが、現実に応じた、国際的な労働者住宅政策の基本ではないか。
  47. 尚明

    ○尚政府委員 いま先生の御指摘になられましたような方向が、今後の一つの方向だと思います。すなわち、資金におきましては、企業及び労働者も応分の負担をし、かつこれに相当の政府の援助を与えて、いわゆる従来の純粋の社宅というのでなく、いずれは持ち家になっていくというような形の仕組みをつくるのが、端的に申しまして、私どもの宿題だと考えております。正直に申しまして、これらの議論もすでに行なっております。やがていい形を発案いたしまして、そういうすべての有効なる資金住宅に動員し、かつILOの勧告の趣旨が生きてくるような政策を考えるというのが、私ども当局者の一つのつとめだと考えております。
  48. 大原亨

    大原委員 社宅や公務員宿舎の方針を、私は、政府の現在の住宅施策を全面的に否定するものじゃないのです。というのは、やはり職務とくっついた住宅もある程度は意味があるわけです。しかし全体の労働者をこっぽり会社へくっつけて、やめたならば出ていけ、こういう政策というものは、やはり居住権の侵害あるいは労務慣例の悪用、こういうことになる。したがって、やはり安んじて住宅を確保したいという、そういう要求にこたえるためにも、可能なものであれば、あるいは可能な条件をつくりながら、やはり持ち家というものも公営住宅と並行してやっていく。そうすれば、これは供給公社もその目標なんだけれども、しかし、これだけをわざわざつくる必要もないじゃないかという議論が出てくる。だから、従来の施策を、公営住宅を拡大する、あるいは公団についてのいままでの条件を整備していく、そういう問題等を含めて、こういう給与住宅の改善を、やはり国際常識に沿うた線で改善していくということが総合政策の一つになるんじゃないか、こう思います。
  49. 小山長規

    小山国務大臣 私も、実は供給公社を最初考えたときには、そういった方向で考えたわけでありますが、まだ現実には、その企業者の資金をどういうふうにして受け入れ、またそれをどうして安く手に入れる方法があるかという点で、いろいろ問題がありましたのですけれども、冒頭に申し上げました、将来の住宅計画というものをぜひできるだけ早くつくり上げたいという趣旨の中には、いま大原委員がおっしゃったような問題を含めて考えておるつもりなのであります。
  50. 大原亨

    大原委員 昨年の法律案の審議の中でも出ておりましたが、住宅公団に関係して出ておったと思うのですが、こういう分譲持ち家制度がありますね。いま二万五千戸という御答弁がありました。その日本住宅公団持ち家のそういう制度と、今回の地方住宅供給公社持ち家制度、裏返すと特に今回こういうふうな公社法案を、公団、公社に対する批判のきびしいときに制度化した積極的な理由、現在の制度と比較して、積極的な理由はどこにあるか、たとえば、 いまの日本住宅公団の支所というものが各県にあるでしょう、その運営でできないのか。やはり理事長さんや理事さんをずらりと並べて、別の事務所を設けてやらなければできないのか、なぜ住宅公社をつくらなければならないか、つくったほうがよろしいのか、こういう問題ですね。この問題について、いままでの政策との関係、そういうものについてひとつ御答弁願います。
  51. 尚明

    ○尚政府委員 御承知のように、日本住宅公団大都市地域に限って、賃貸住宅及び普通分譲住宅といいまして、個人個人の住宅分譲をやる、それを管理するという仕事をやっております。したがいまして、まず地域的な問題として、全国的に貯蓄による持ち家政策を幅を広げるというのが、いまの公団のままではできなく、非常に公団自体としても機構を拡充しなければならぬという問題もあります。次に、住宅政策のもう一木の柱で、融資による住宅建設ということは、これは昭和二十五年以来やっておりますが、住宅金融公庫融資を受けて、地方公共団体出資して、これは民法の法人ですが、既存の住宅協会、住宅公社と称するものがほとんど全国にございます。その数はおおむね七十くらいあるわけでございます。そういうことで、これは全国的な仕組みがすでにできております。したがいまして、今回、積み立て制度による持ち家を全国的に行なおうということになりますならば、既存の各県、各市が出資した公社というものを活用してやることが、一番全国的に、直ちに機構を拡充しないでできるというわけで、かく考えまして、住宅金融公庫のほうに分譲住宅の予算をふやし、かつその預金受け入れ等の組織として、この既存の公社法律上強化することによりまして、これを活用する、こういうふうに考えた次第でございまして、実際問題として、大部分の各県のあるいは市の公社が、今回の供給公社組織変更するということで行なわれるわけでございます。そこにはもうすでに既存の理事者その他があって、在来の業務をやっておるわけであります。それから、この法律におきましては、その組織変更が容易であるように、法律上、税制上等のいろいろな便宜を与えておるわけでございます。かくすることが、今日の実際の住宅供給機関のあり方から見て、一番、大きな変更を加えず、かつ全国的に貯蓄積み立て分譲方式による持ち家供給制度を拡充していくことができるという観点に立ちまして、この、ただいま御審議願いまず供給公社法案による仕組みを考えたわけでございます。
  52. 大原亨

    大原委員 時間が来ましたから、あとまた何で、もう一回端的に質問するのですが、住宅供給公社を、各県あるいは五十万以上の都市につくって、市町村にも出資させる、そういうことによってやる仕事の面において、いままでの住宅公団の持ち家の分野よりもすぐれている、こういう点が仕事の上において、組織上の問題でなしに、すぐれている、こういう点がこれでなければできません、こういう問題がありますか。
  53. 尚明

    ○尚政府委員 たとえば、積み立て分譲による住宅を熊本市に建てて、分譲住宅を供給しようといたしますと、ただいまのところ、日本住宅公団は、福岡に支所があるだけで、熊本では住宅管理ということを一切やっておりません。したがいまして、分譲住宅をつくって、それを管理をするために、住宅公団は新たに熊本、鹿児島というところに全部ブランチを置かなければならぬ。しかるに熊本なら熊本、鹿児島なら鹿児島には、既存の住宅協会、既存の住宅公社というものが現存しておりますので、これを法律上強化して使うことがいいというふうに考えたわけでございます。
  54. 大原亨

    大原委員 たとえば宅地取得とかあるいは——組織が全国にあるということはわかりました。あれだけ言ってもらえば、大体わかった。それは理事長を選任して、理事を選任する。また退職金も要るし、事務所も要るわけですよ。いろいろえらい人がたくさんできるし、活動費も要るわけだ。そこで、機動的に宅地を確保したりいろいろなことをするのに、仕事の中身において、いろいろなことがもう少しあるのじゃないかと思ったのだけれども、何もないのですか。
  55. 尚明

    ○尚政府委員 御承知のように、住宅を困窮者に供給するにつきましては、最も端的にその土地土地の事情を押さえ、住宅事情を把握しているのは、地方公共団体、県及び市でございます。これが出資してつくった協会でございますので、地元のことには非常に明るく、かつ地元住民にとって一番親しみやすい形で貯蓄もできるということになるわけでございまして、土地取得等につきましても、在来の公社、協会とも、地元の土地取得することにおいては多年の経験を有しておるわけでありますので、この能力を大いに活用したい、こういうふうに考えたわけであります。日本住宅公団は、設立以来、別に地方公共団体と直接の関係はなく、大都市近傍におきまして、地方公共団体と相並んで、あるいは地方公共団体の協力を得つつ、土地取得等をしているのが実情でございます。そういう関係でございまして、地方の公社を利用することが、全国的な組織としてはいいと考えますし、かつこれを裏づけとしまして、在来の民法法人では土地収用権はございませんでしたが、これに今回の法律では、地方の公社が、もちろん知事及び建設大臣監督下におきまして、そのかわり、土地収用権の付与あるいは新住宅市街地開発事業事業主体となることを得させまして、この権限は、在来地方公共団体そのもの、また日本住宅公団だけしか持っておりません権限だったものを、新たに各県の、先ほど申しました小規模な地方公団というところにこの権限を付与して、土地取得等を容易にし、住宅供給の円滑をはかる、こういう仕組みに、この法律の中で、いたしておるわけでございます。
  56. 大原亨

    大原委員 毒にも薬にもならぬというようなことがもしあるとすれば——これは何というか、そういう議論をしながら、なぜこれをつくらなければいかぬかということで、私は議論を進めているわけです。私はそういうふうに審議しているわけです。  もう一つ、別の側面ですが、持ち家の政策の対象となる所得ですね。これは具体的に、月額どのくらいの所得を対象としておりますか。
  57. 尚明

    ○尚政府委員 大体中程度もしくは中のやや上ぐらいになるかと思いまして、金額で申しましておおむね五万円程度じゃないかと思います。地方に行きますと、土地も安く、住宅も安くつくり得るので、この場合は四万円程度の方でも積み立て貯蓄ができるのではなかろうかというふうに考えております。
  58. 大原亨

    大原委員 月に大体どのくらいですか。
  59. 尚明

    ○尚政府委員 大都市として、かりに計算いたしましたアパートの場合で、三部屋のアパートを供給いたしまして、月の償還額が大体一万円ぐらいの予定でございます。地方はこれを木造等でつくりますので、おおむねその六割ぐらいで済むのではないかと考えております。
  60. 大原亨

    大原委員 地方というのはどこですか。
  61. 尚明

    ○尚政府委員 たとえば鹿児島市とかあるいは広島は、中くらいなところであります。
  62. 大原亨

    大原委員 広島は住宅公社をつくる資格があるわけですね。別にいばるわけでも何でもないが、まあそれはそうとして——それはどっちでもいいんですよ。いいんだが、そんな都会の中に、安っぽい木造をつくったんではしようがないから、私はそういうことを言っているので、実情に即するという意味で言っているわけです。そこで、いわゆる低所得階層五万円以下というが、労働者の中には、月一万三千円以下がたしか五、六百万近いと思うのですよ。それから、平均賃金からいうと大体三万円ですよ。まあ前後いたしますが、大ざっぱにいって三万円です。大部分勤労者にはあまり——よほど親のすねでもかじっておれば別だけれども、これはないわけですね。五万円以下と、こういうことになって、家族構成その他年齢等であるわけですが、しかし、五万円以下、以上というように分けて、五万円以下については、公営住宅あるいは公務員住宅政府施策住宅、こういうことですね。そこで、五万円以下の低所得階層というか、家族の多い人は、五万円でも低所得階層だ。低所得階層、公営住宅の対象とするようなそういう階層の実態ですね。それから、住宅供給公社持ち家の対象となるものですね。特に住宅不足額の実態調査の結果、五万円を境にして、公営住宅の対象となるような勤労者住宅不足額、それから持ち家の対象となるそういう住宅不足額、こういうものがありましたら、ひとつ。これは中所得階層を対象として、一つの希望、ビジョンとしてやられたんだと思うので、そういう実態をお答えいただきたい。
  63. 尚明

    ○尚政府委員 三十七年十月に行ないました住宅困窮世帯の所得階層別分布によりますと、平均実収入月三万三千円以下、これは実は公営住宅法で計算しますと、月収二万円以下ということになります。その相関関係は、公営住宅法では家族の人数による控除及び勤労控除等をいたしておりますので、この月収二万円以下というのを実収にあらわしますと、三万三千円以下になります。この三万三千円以下の方は、調査結果によりますと、困窮世帯の三二%、それから平均実収三万三千円から五万一千円までの方が三四%、それから五万一千円をこえる方が三四%、以上のように調査結果が出ております。
  64. 大原亨

    大原委員 不足住宅の調べはないですか。住宅はどのぐらい足らぬからこういう点で充足していく、階層別で、大体どのぐらい住宅が足らぬかというのはありますか。
  65. 尚明

    ○尚政府委員 ちょっと時が一致いたしませんけれども、三十九年四月現在の推定で、住宅不足数は約二百六十万戸でございます。
  66. 大原亨

    大原委員 その中で、階層別はわかりませんか。
  67. 尚明

    ○尚政府委員 調査時期がちょっとずれておりますが、いま言いましたように、おおむね三つの段階に分けますと、三分の一ずつぐらいに、この調査の結果が出ております。
  68. 大原亨

    大原委員 不足の二百六十万戸を三分の一ずつ分けるのですか。あなたは、それを頭の中で割っておるんじゃないですか。
  69. 尚明

    ○尚政府委員 三二%、三四%、三四%というのが、三十七年十月の分布状況でございますから、そうではありません。
  70. 大原亨

    大原委員 三四%云々といったのは、不足ですか。
  71. 尚明

    ○尚政府委員 いやそうじゃございませんので、全部の世帯の中に住宅困窮世帯がございますが、その困窮世帯についてのみ所得が幾らか調べましたところを三つに分けましたならば、三万三千円以下が三二%、三万三千円から五万一千円が三四%……。
  72. 大原亨

    大原委員 わかりました。いまの資料は議論しても何ですが、確実なものかどうか、実態はわからない。というのは、三万円以下でも、一部屋に三人も五人も困窮者は入れておるだろう。夫婦、子供三人といっても、子供が大きくなったら、一部屋に住んでいることは、夫婦生活もろくにできないということになって、それこそ人道的な問題だ。だから、これはどの程度か、いろいろあるだろうと思うので、なにしますが、もう一つ、今度はこれから大きな質問に入ろうと思うが、四十五分にもなったから、次にしましょう。  そこで、これからこういうふうに、たとえば土地取得する土地政策や宅地政策というものがなければ、相当長期の持ち家制度をやる場合には、とてもじゃないのです。問題は、物価政策、建築単価の問題、約束しても約束が履行できないという不安、そういうふうな問題や、運用資金積み立て資金の運営のしかたの問題、その他これをやっていく上において、これは宣伝するほどの政策ではないけれども、整備しなければならぬ条件というものがたくさんあると思うのです。その条件について、一つの政策として全国的にすみずみまでやっていくという上においては、相当これは研究し、審議しなければならぬ問題がある。これはもちろん、一々の条文については全部問題があるわけですけれども、そういう点であります。したがって、総合政策の中でどのような位置づけをしていくのか、こういうことを常に観点にしながら総合政策を確立するという中で、この問題を考えていかなければならぬ、そういうふうに思うわけであります。したがって、自余の問題点につきましては、後の機会に質問することにいたしまして、きょうは、以上をもって質問を終わります。
  73. 森山欽司

    森山委員長 次会は、来たる四月二日金曜日、午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十五分散会