○尾之内
政府委員 交通安全対策につきましては、非常に関心といいますか、熱意を持っておるわけでございまして、先般、昨年の
道路法改正に際しましても、従来
道路法はむしろ
道路の
構造が安全であるというたてまえで君かれておりましたのに対して、
交通の安全を確保するということを、特に従来なかったものを、
法律を改正して、
道路法の二十九条に入れたわけでございます。もちろん最近各方面で人命尊重、
交通安全ということが非常に強調されるようになりましたこともございますが、私
どもといたしましても、戦後非常に荒廃しておりました
道路の
整備、物理的な
整備についてはかなりできてまいりましたが、その人命に対する対策というのは、そのためにややおくれておったということもございます。そういうような認識のもとに
道路法を改正し、特に
交通安全に対しては積極的に臨もう、こういう姿勢をとっておるのであります。したがいまして、踏切の対策にいたしましても、私
どもといたしましては、重点的な項目に考えておりまして、これは当然やるべきもuのである、こういう認識のもとに、
道路の政策を立てておるのでございます。ただ、踏切の問題につきましては、従来もそういう考えで
運輸省のほうと相談しながらやってきておるのでございますが、個々に見ますと、私
どものぜひ取りたいという踏切が、
地元の
関係でそこの踏切を立体交差にいたしますと、その付近の住民、特に商店が非常に困る。したがって、他の個所に踏切を移しても、立体交差にしても、そこの踏切は依然として残してくれ、こういうこともありまして、必ずしも
予定どおり消化していないという事実がございます。それからまた、現実に、この踏切を立体交差にいたしますには、一カ所
平均約一億円かかります。これについての経費の
負担でございますが、国とか県の場合はまだよろしいのでありますが、
市町村道であって、
市町村が
負担する場合に、それだけ
負担がし切れないために、
市町村で必要とは考えながら、
費用の
負担で必ずしも折り合いがつかない。また
鉄道の場合でも、
国鉄の場合は、
国鉄でございますから、話がまとまれば当然
費用を
負担いたしますが、私鉄の場合には、いまも言いましたように、ちょうど
道路管理者における
市町村と同じように、必ずしも私鉄側として十分
負担ができないというような問題もございまして、特に
費用の
負担で話が進まない場合もあるわけでございます。そういうために、従来踏切道法に基づきまして二百七十七カ所指定いたしておりまして、それらの踏切を立体交差にしておりますが、昨年の十二月末におきますこれらの
状況は、この指定いたしました踏切のうち約六〇%が完成またはただいま
工事中でございます。それから約二七%が、目下具体的な計画のもとに、
設計及び
費用の
負担方法について交渉中にあるのであります。残りの一三%は実はまだ話がつかない、こういうような
状況でございまして、その
理由はただいま申しましたように、その個所についての
地元の問題あるいは当事者の
費用負担の了解がつかない、こういう問題があるわけであります。私
ども、少なくともこういう指定されましたものは極力進めたい、これにつきまして、私
どもから国庫補助の面におきましての予算は決して惜しむべきものではなくて、幾らつけてもやりたいという態度でございますが、そういうような事情で、なおかつ二二%ほど残っているというような実情でございます。今後も踏切の廃止につきましては、できるだけそういうような考え方で重点的にいきたいと思いますが、いま申しましたような事情で、必ずしも御期待に沿えないような事情にあることは御了承願いたいと思うのであります。