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1965-03-26 第48回国会 衆議院 建設委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年三月二十六日(金曜日)    午前十時四十七分開議  出席委員    委員長 森山 欽司君    理事 正示啓次郎君 理事 廣瀬 正雄君    理事 福永 一臣君 理事 三池  信君    理事 井谷 正吉君 理事 岡本 隆一君       逢澤  寛君    天野 光晴君      稻村左近四郎君    大倉 三郎君       木部 佳昭君    佐藤 孝行君       砂原  格君    堀内 一雄君       山本 幸雄君    渡辺 栄一君       金丸 徳重君    久保田鶴松君       實川 清之君    原   茂君       山中日露史君    稲富 稜人君  出席政府委員         建設政務次官  白浜 仁吉君         建設技官         (道路局長) 尾之内由紀夫君  委員外出席者         運 輸 技 官         (鉄道監督局国         有鉄道部施設課         長)      斎藤  徹君         専  門  員 熊本 政晴君     ————————————— 本日の会議に付した案件  道路に関する件      ————◇—————
  2. 森山欽司

    森山委員長 これより会議を開きます。  道路に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。井谷正吉君。
  3. 井谷正吉

    井谷委員 大臣がお見えになりますまでに、運輸省のほうへお尋ねいたします。  きょうお尋ねしたいのは、これは鉄道のほうのことですから、ここでは直接関係はないようなものの、私ども道路行政の上において、知っておきたい。これは現在やっておられまする青函隧道の問題。私どもしろうとでありますから、高度の技術的なことは要らないのです。常識的に、われわれのわかる範囲で、その構想と、現在の進行状況、こういうものを承りたいと思います。  第二は、香川県と岡山県に鉄道橋をおつけになるという話を聞いておりますが、地元には、道路橋鉄道橋併用、こういう意見もあるらしく、どういう方向でやっておられるか。この二カ所についてのお話を承りたいと思います。
  4. 斎藤徹

    斎藤説明員 お尋ねの、まず青函海峡連絡鉄道について、構想と現況を簡単に御説明申し上げます。  青函トンネルにつきましては、昭和二十八年に、青森三厩付近より北海道福島に至る鉄道、こういうことで、鉄道敷設法別表予定線として追加されたものでありまして、その後各種の調査を進めてまいりましたが、地表からする技術的な調査は限界にまいりまして、これ以上地表からの調査を進めても、隧道がはたして技術的に可能かどうか、あるいは金が幾らかかるものか、あるいは工期が何年かかるかということがわからないというような状態までまいりましたので、昨年から本格的な調査工事にかかっております。  まず、その前に、隧道構想を申し上げますと、別表に書いてございますように、青森県の三厩から北海道福島に至る総延長約五十数キロの新線でございまして、そのうち青函トンネルと申しますのは、隧道延長といたしまして約三十六キロメートル、そのうち海底部分が二十二キロでございます。したがいまして、技術的に一番問題になりますのは、海底部分二十二キロの施工でございまして、現在、調査工事は、その二十二キロの部分について、本格的に取り組んでおるのでございます。現状を申し上げますと、昨年の年度当初より着工いたしまして、北海道側から直径約四メートルぐらいの斜坑を掘っております。斜坑と申しますのは、将来本隧道を掘るためのいろいろ技術的な試験をやるため、あるいは調査をやるため、そういった目的をもって斜坑を掘っているわけでございますが、そのほかに、調査が一応完了いたしまして本隧道にかかる場合に、その斜坑を利用しまして水のポンプアップとか、隧道の土をそこから搬出する、あるいは動力線換気管、送気管、そういったものを、いわゆる施工用施設をそこを通そうという、そういったいろいろな目的をもちまして、現在北海道側から斜坑を掘っております。現在の状態は、約五百メートルぐらい掘り進みましても、うすでに海底部分まで到達しておりまして、あと五百メートル、トータルで千メートルほど掘りまして初めて所定の深さまで達するわけでございますが、引き続いて掘さくを進めております。現状では五百メートルでございまして、ちょうど若干水が出てまいりましたので、その水どめの作業といいますか、試験工事を現在行なっております。予定といたしましては、大体四十二年度一ぱいぐらいまでに、所定の深さからさらに水平に海底部分に掘りまして、北海道側でいままでの調査で判明しております最も大きいと思われる断層部分まで調査工事を進めまして、一応四十二年度末までに調査の結果をまとめたい、こういうふうに考えております。  一方、本州側でございますが、本州側は、やはり北海道側と同じように、斜坑を掘ることに決定いたしまして、現在この準備工事といいますか、いろいろ動力線、そういった調査基礎的な設備の工事をやっておりまして、来年度、四十年度より、やはり斜坑に取りかかり、北海道側と大体口時期に所定の長さまで掘りまして、調査結果をまとめたい、こういうふうに考えております。それからあとは、もう本隧道の掘さくに入るわけでございますが、それはあくまでその調査結果をまとめまして、施工方法——一番大きな問題としましては、まず技術的に可能であるかどうかということも確かに問題でございますが、そのほかに技術的な施工方法とか、それから金の問題、それから工期、そういったものを、調査結果がまとまりましてから、本隧道のほうを本格的に検討しよう、こういうふうなことで、現在調査工事を進めておる段階でございます。  それから次のお尋ねの……。
  5. 井谷正吉

    井谷委員 ちょっといまのところで切ってもらいまして、本州側が非常に地盤が脆弱で悪い。あそこは立て坑にするというような話も聞いていたが、やはり斜坑でやるわけですね。
  6. 斎藤徹

    斎藤説明員 最初は立て坑の予定でございましたが、いろいろその後技術的に検討いたしまして、本隧道にかかったときの、われわれは隧道のズリと申しておりますが、隧道を掘さくした土を搬出するその搬出能力からいきまして、立て坑では不十分で、やはり斜坑でベルトコンベヤーで連続的に出さなければ、所期のスピードは出せないという結論に達しまして、現在のところでは、斜坑方針を変えております。
  7. 井谷正吉

    井谷委員 海底水深が非常に深い、それから海底の形が、いわば馬の背のようになっていて、どちらへずれても、またそれ以上に非常に深くなる。だから、予定試験的に掘られるところがやはり将来の本隧道になるのか、あるいはそれをそれた場合にはさらに一そう深くなるかという点があるように聞いていましたが、それはどういうぐあいになっていますか。
  8. 斎藤徹

    斎藤説明員 現在選んでおりますルートは、いま先生のおっしゃったとおり、馬の背のようになって水深の一番浅いところを通っておりまして、試験工事の結果、その部分が多少悪くても、あまり大きな変更はできないものというふうにわれわれは考えております。それは若干の変更はあると思いますけれども、大幅な変更は考えられないと思います。
  9. 井谷正吉

    井谷委員 そうしますと、この工事費がどれだけ要るか、何年かかるかということはいまわからない、いまやっておるのを基準にして、これから考えていく、こういうことなんですね。
  10. 斎藤徹

    斎藤説明員 そうでございます。
  11. 井谷正吉

    井谷委員 それでは次をひとつ。
  12. 斎藤徹

    斎藤説明員 本四の連絡鉄道につきましては、これはわれわれ現在調査線として調査しております路線に二路線ございまして、一つは兵庫県須磨付近より徳島鳴門付近に至る鉄道、こういうのが一線ございます。これをいわゆる明石鳴門線と呼称しております。もう一線は、岡山宇野付近より香川高松付近に至る鉄道、こういう路線がございまして、これを宇野高松線と称しております。現在いろいろな調査を行なっておりますが、昭和三十四年の一月に国鉄の内部に海峡連絡技術調査委員会というものを設けて、本格的な調査を始めたのは、実は三十四年以降でございまして、その後建設審議会のほうでいろいろな答申をいただきまして、建設省との共同調査をするようにというような答申をいただきまして、現在連携を密にしまして、共同調査を行なっておるわけでございますが、具体的には、昭和三十七年の一月に建設省共同委託によって、本州四国連絡橋技術調査委員会というものを設けまして、鉄道道路併用橋中心とした技術的な検討を、現在土木学会委託して検討を行なっておる、そういう段階でございます。
  13. 井谷正吉

    井谷委員 そうすると、まだそれ以上には進んでいないわけですね。これは建設省運輸省と両方で御調査になっておる、こういうことですか。
  14. 斎藤徹

    斎藤説明員 調査内容につきましては、両者連携を密にいたしまして、おのおの調査事項をきめまして、重複した調査にならないような調査方法をとっております。では具体的に何をやっているかと申しますと、架橋地点の決定以前の問題、すなわち基本的に長大つり橋ができるかどうか、いわゆる併用橋としまして、手数百メートルというつり橋設計が可能であるかどうか、かなり水深の深いところにそういった構造物をつくることが技術的に可能かどうか、そういったことを中心といたしまして、いろいろな実験調査をいたしておる段階でございます。
  15. 井谷正吉

    井谷委員 そうしますと、いまの明石鳴門架橋ですね、これは道路局長のほうにもあわせてお伺いしたいのですが、いま運輸省と合同でやっておられる、あるいはまた、私は別個にやっておられるかと思ったのですが、そうすると、前々河野さんの時代から問題になっておる鳴門架橋ですね、あれとこれとの関係はどうなのですか。やはり一緒ですか、別なのか、それを承りたい。
  16. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 ただいまお話しのように、国鉄建設省で三十七年から共同調査をいたしておりますが、これは海峡に大きな橋をかける際の橋の構造の問題たとえばそういう長大の橋をかける場合に、台風に対してどういう工事をしたらいいか、たとえばまた台風の大きさもどのくらいに考えたらいいかというその条件、あるいは風洞をつくりまして、ある大きさの台風を想定した風速に対して、構造的にも一一般的にはどういう配慮をすべきであるか、またたいへん深いところですから、橋の基礎につきましてもむずかしい問題があるわけです。基礎施工方法、あるいはどういうことを調べておかなければ設計ができないか、こういう共通事項を主として共同調査しているわけです。したがいまして、わが国の学界の主要な方をほとんど網羅いたしまして、そういう方々を委員に委嘱いたしまして、土木学会というところで委員会をつくりまして、そこに国鉄建設省委託をしておるということになっております。したがいまして、そういう橋本体あるいは基礎の基本的な問題は、この権威ある委員会に委嘱しておる、こういうことでございます。明石鳴門について調査を優先してやろうということは、建設省の当初の方針でございまして、そういうような調査をするために、やはりいま言いましたようなことが基本条件として必要でございますから、その部分について、学会国鉄と共同して委嘱しておるということで、この両者関係は別に矛盾しておりません。それから、学会のほうも、大体そういった命題についての結論は得まして、ただいま報告書を作成しております。したがいまして、これがおくれるために、明石鳴門結論がおくれるというようなことはないことになっておりますから、いま言いましたように、私ども調査学会に委嘱した調査というものについては、一応そういうような、うまくむだがないように、ということでやっておるわけであります。
  17. 井谷正吉

    井谷委員 これは私の聞き間違いかも一わかりませんが、大体本年度でこの調査は一応完了する、そうしてこれは道路橋になるのだ、ということを巷間伝えられておるわけなんですが、この辺どういうことになっておりますか。
  18. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 私ども調査は、明石鳴門につきましては、四十年度調査をもって一応の結論を出したい、こういうことでございますから、まだ調査は済んでおらないわけであります。学会のほうのその理論的な基礎調査は、一応委員会でおおむねの結論を得まして、ただいま言いましたように、目下報告書作成段階である、そういうことでございますから、まだ調査が終わったということは言えないわけであります。  それから、道路橋にするか、あるいは併用橋にするかということは、これは学会の処置といたしまして、国鉄建設省共同調査では、これは結論を出さないことになっております。つまり、それはもっと大きな見地から決定すべき問題であって、学会の学者の方が、どこにどういう型式の橋をかけるべきであるということの結論を出すべきではないということでございまして、先ほど申しましたように、きわめて基礎的な、そういう調査をいたしております。したがいまして、明石—鳴門道路橋をかけるということは、もちろん学会ではきめておりません。私ども一も、四十年度調査はまだ終わっておりませんで、これからやりまして、その上でやるわけでありますから、まだ結論は出しておりません。
  19. 井谷正吉

    井谷委員 この明石鳴門はそれでわかりました。  これは運輸省お尋ねしたいのですが、この調査と並行して、宇野高松のを現在やはりおやりになっておるわけですね。甲乙なしに、同じ計画で進行しているわけですか。
  20. 斎藤徹

    斎藤説明員 いま、調査は日本鉄道建設公団のほうでやっておるわけでありますが、調査内容は、宇野高松あるいは明石鳴門共通の問題についてやっております。といいますのは、どちらに架橋いたしましても、一番大きな構造物は一番まん中の千数百メートルになると思われるようなつり橋でございまして、おそらく橋梁の設計その他につきましては条件は同じであるということで、別にどちらのための調査ということでなしに、共通の問題について現在やっておる状態でございます。
  21. 井谷正吉

    井谷委員 運輸省のほうは終わりました。  それから、道路局長お尋ねいたしたいのですが、四国一級国道工事が、地元においては、遅遅として進まぬという感覚を持っております。わけても五十六号線が非常におくれておるというので、相当しばしば陳情等も一なされておるわけでございますが、これらは私も昨年現地をずっと回って見ました。松山から高知高知から徳島というのはなかなか馬力をかけてやっております。ところが五十六号線が、やはり非常におくれておる。これはどういう理由であるかということと、この完成はおおよそいつごろを見込まれておるか。それからさらに、この五十六号線中で、用地買収で非常に困難せられたところがあるように聞いておりますが、これはごね得でそうなるのか、あるいは用地の収用の上の、土地所有者建設省側の交渉の段階においての感情、トラブル、そういうものも若干ないではないように聞いておりますが、これらに対する御見解を承りたい。
  22. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 四国一級国道は、高知中心にいたしまして、高松と愛媛を結びます三十三号、これが従来の国道でございまして、これを第一次的に整備するということであったわけでございますが、御承知のように四国山脈を横断いたします非常に地形的にも地質的にも困難な地点でございまして、三十二、三十三号の整備も他の従来の一級国道に比べてたいへんおくれておったのは事実でございます。それらをできるだけ取り戻すために、ただいま鋭意三十二、三十三号の早期開通に努力いたしております。おそらく全国で東北、九州、四国と申しますのは一級国道で一番事業費をたくさんつぎ込んでおるところと私ども心得ております。そういうことで、極力開通を急いでおる状況でございます。ただいまお話しの五十六号線は、これは御承知のようにあとから昇格いたしました一級国道でありまして、当時二級国道でありましても、ああいうリアス式の海岸を回っております二級国道でありまして、二級国道としても整備のあまりよくなかった国道でございます。したがいましてこれについても、いまやる三十二、三十三号に続きまして、一級国道でありますから、整備を進めるのでありますが、いずれにいたしましても、あとから追加されました四十四号以降の一級国道につきましては、従来の一級国道よりも若干整備がおくれることはやむを得ないと思います。私ども目標では、大体四十三年までには仕上げたい、こういうことでただいま整備を進めておりますが、いずれにいたしましても、その前にやはり三十三号のほうを早くしたいということで、必ずしもペースに十分乗っておりませんが、目標はそういうふうに置きたいと思っております。  それから、用地買収でおくれておるというようなお話がございましたが、実は私どもは具体的にそういう話を聞いておりませんが、用地買収の問題よりも一、早く資金をつぎ込みまして、できるところから早くやりたいということでございますから、そのために全体の工事をおくらせるというようなことはないように考えております。もし、具体的に特定の個所で用地問題がございましたなら、また調べまして、その理由を御報告申し上げたいと思います。
  23. 井谷正吉

    井谷委員 次は二級国道でありますが、従来の県道は二級国道に指定された。これはいま改修工事をやっておる。そういたしますと、これは一級、二級がなくなるわけですね。その場合に、従来の県道で二級国道となって工事をしておるもあの工事分担、これはどういうふうになるのですか。二級国道としてでき上がったものをそのまま国のほうに渡すのか、その費用を入れて渡すのか、指定されたその工事は国のほうでやるのか、その分担方法を……。
  24. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 従来の県道昇格という形で二級国道になりますと、管理者は変わりますから、当然新しい管理者によって工事は行なわれるわけでございます。でございますから、最近——県道から二級国道にしたというものは最近ではございませんから、そういう特定のケースについては、現在差しあたりはないわけでございます。ただ従来の昇格の際の問題を申し上げますれば、たとえば四月一日から国道になるということでございますと、大体その年度のかわりを普通そういう時期に当てておりますから、その時期において県道から国道の新しい管理者に引き継ぐということになりますので、普通そういうようなことは問題としてはないわけでございます。  私が御質問の意味を取り違えておれば、もう一回その点をあらためてお答えしたいと思います。
  25. 井谷正吉

    井谷委員 具体的に申し上げますが、たとえば、いつも一問題にしまする松山から佐田岬、大洲−大分線、これは二級国道なわけですけれども、いま県で工事をやっておるのです。そうすると、今度四月からこれの整備費用がどうなるかということを聞いているわけです。
  26. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 わかりました。この国道はすでに二級国道になっておりますから、国道費用負担は国が四分の三、県が四分の一でございますから、四月から一般国道になりますと、この費用負担については変わりありません。   〔委員長退席、正示委員長代理着席〕 それから一般国道になりますと、たてまえは従来の一級国道と同じように建設大臣管理する、こういうたてまえになっておりますが、実際問題といたしましては、建設大臣が直接管理して工事するためには、工事事務所の体制その他が整いませんとできませんから、従来の二級国道一般国道になりましたものも、当分の間は、従来どおり県知事管理を委任する、こういう形になっておりますから、いま御指摘の三崎へ行きます国道につきましては、事実上は従前どおりでございます。知事管理するという姿に当分はなるわけでございます。
  27. 井谷正吉

    井谷委員 次は、奥地開発産業道路ですが、これで奥地というのはどういうことなのか、これに「政令で定める基準」となっておりますが、それはどういう基準になっているのかということと、これにいう道路という限定の範囲、これをちょっと承りたい。
  28. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 奥地産業道路につきましては法律で「奥地等」という定義をいたしております。その奥地といいますのは二つ条件をつけておりまして、一つ交通のきわめて不便なという条件、それからもう一つは、産業開発がおくれておる、こういう二つ条件が、奥地等地域を指定いたします条件になっておるわけでございます。  そこで、交通のきわめて不便、こういうことにつきましては、私どもでは、一級国道、二級国道を含めまして、国道のような幹線道路からの到達する時間、あるいは鉄道がございますれば、鉄道の駅からその特定地点に到達する時間、それが一時間以上かかるような地点、その一時間と申しますのは、道路があれば道路を自動車で行く時間を勘定し、道路がなければ人が歩いていく時間、こういうものから計算いたしまして一時間以上要するような地点が、地方公共団体市町村を単位にいたしまして、そういう地域がその市町村に半分以上ある場合に、その市町村全部を奥地という地域に考える、こういう考え方で政令を出しております。それからもう一つ条件でございます、資源開発がおくれておる、産業開発がおくれておる、こういう条件に対しましては、人口密度をとりまして、全国平均人口密度よりも低い地域、これは一般的に山地とかあるいは平地でも非常におくれておる地域だと思いますが、それとあるいは第一次産業、第二次産業、第三次産業、こういう産業構成がございますが、特に第一次産業構成比の度合いが全国平均よりも下回っている地域、この二つのいずれかに該当する地域、それをやはり地方公共団体ごとにとりまして、その平均よりおくれている地域産業開発がおくれておる地域として、奥地の他のもう一つ条件にしておるわけです。一番目の条件と二番目の条件を両方加味いたしまして、ただいま申しましたような奥地という地域全国の地図の上に描く、こういうことになっております。  奥地道路を指定いたします場合には、それらの地域開発のために、さらにそこに資源があるという条件がございますが、これも法律に一号から七号まで、その資源条件が書かれております。いま申しました地域でそういう資源がある地域、それをいわゆるほんとうの奥地にいたしまして、その奥地幹線道路から到達する必要な道路を、奥地道路として指定するたいへんやっかいな手続きになっております。これはどういう種類の道路かと申しますと、もちろん公共道路でありますから、道路法にいう道路県道市町村道をいうわけでございますが、私どもは、これは持に奥地開発のために必要な道路でございますから、主要地方道のように、国がすでに主要な道路として助成の対象としている道路は除きまして、それ以下の道路について奥地産業開発道路を指定したい、こういうことでただいま準備を進めて、近く告示をする予定になっております。
  29. 井谷正吉

    井谷委員 そうすると、現在あります道路を指定するので、新設するのとは違うわけですね。  それからいま一つは、そういう地域には農林道があるわけなんだが、そうした林道あたりとの関係はどうなるのか。
  30. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 ただいま申しましたのは公共道路でありますから、市町村道には少なくともなっておるという前提があるわけであります。ところが、実態といたしましては、道路の姿がない地域があります。路線があっても道路がない地域があります。したがって、現在道路がなくても、それが市町村道あるいは県道に認定されておれば、それをもちろん奥地産業開発道路に指定いたしますから、工事としては実際には新設になるわけでございます。  それから、やはり中には林道部分もあるわけであります。ところが、林道をつなぎまして奥地開発道路にしたいという場合には、林道公共道路に認定いたしまして、公共道路に認定することによって、道路法道路として、奥地産業開発道路を指定していく、こういうような手続になるわけであります。ですから、具体的には、従来林道であったものをあらためて奥地産業開発道路として取り上げていく場合もあると思います。
  31. 井谷正吉

    井谷委員 次は主要府県道でお伺いしたいのですが、前に河野さんが建設大臣のときに、主要府県道を舗装する場合に、現道舗装が原則である、こういうことを言われたわけです。ところが現地のあれを申しますと、高知県から愛媛県に入る先般主要道になりました宇和島−須崎線、高知県側では将来ここが非常な幹線になるということを見込みまして、道路の改修、カーブの切り取り、私の記憶では、新しいトンネルも三本くらい抜いたと思う。そうして路線変更等もあって、いまトンネルまで上がってきている。愛媛県のほうはできていない。ところが、このトンネルが明治中期のトンネルで、天井が非常に低い、幅もない。高知県は林産物の多いところですから、トラックで宇和島に持って出る場合に、天井へ材木がつかえる、それから落盤をする、漏水が非常にありますために、年間お田植えの中を走るというような状態で、先般も現地で聞たいのですが、このままだったらトンネルなどは四、五年持つまいという。こういうところもいまの現道舗装の原則で、何も手を加えずにやっていくのか。あるいはまた、カーブ等におきましても、幅員が、昔の道路ですから、狭いために、両方からトラックが出会えば、引け、いや引かぬで、けんか場所になるというようなところがところどころあるわけです。こういう問題に対しても、原則的な処置でやられるのか、そうした臨機応変の幅があるのか、そういう点をひとつ承りたい。
  32. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 主要地方道は、現道舗装——私どもは特殊改良四種と言っておりますが、現道舗装でやるという原則では必ずしもございません。現道舗装と申しますのは、交通量が少なくて、本舗装といいますか、本格的舗装をやらなくてももつであろう、こういうところに対する処置でございます。したがって、交通量が少ない主要地方道の場合もございますし、あるいは一般地方道の場合が実際多いかと思います。そのために、また幅員も必ずしも従来の最小規格幅員までない個所、そういうところに対して舗装を少しでもやろう、こういうたてまえから考えた方式でございます。したがいまして、たとえばいまお話しのような非常に曲がりの多いところを、現道舗装をするという問題は、これはまず曲がりを取ることが第一であります。そういう曲がりを取るのは、特殊改良の他の方法で改良工事をやらなければなりません。ですから、そういう方法をもちろんやりますから、現道舗装は、ただ舗装だけの問題でありますから、そういう場所は特殊改良の他の、突角を取ることと、それから舗装することと、両方の工事をやらなければいけないわけです。トンネルにつきましても、トンネルが規格の幅員あるいは高さがない場合には、当然道路の新しい構造令によりまして、今度は新しい、規格に合うようなトンネルを掘らなければなりませんから、当然これは改良工事で掘ることになると思います。  そこで、現道舗装でやると申しますのは、その本格的な改良工事とは別の問題でありまして、ただいまのところ、そのトンネルあるいはトンネルの前後に幅が狭くても舗装をできる個所があるなら、舗装だけはとにかくしていこうではないか、こういうことから現道舗装する場合があると思いますけれども、それと本格的な改良とは別の問題でございまして、当然そういう狭くなり低くなったトンネルにつきましては、別途改良工事を進めるものである、こういうことであります。
  33. 井谷正吉

    井谷委員 次は、道路公団のほうに関係がある問題でありますが、昨今、有料道路の償却がぼつぼつとなされておる地域があるわけです。そういうようなことで、プール制ということが議論になっておるようであります。このプール制ということもいろいろ解釈があるようでございますが、これに対して、建設省のほうとしては、どういうような解釈の立場をとっておられるのか、承りたいと思います。
  34. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 プール制と申しますのは、その意味が、幅が非常に広いと思いますが、第一議的には、いろいろ一般有料道路で採択いたしておりますものの中には、予定どおり収入が上がるものと、それから予定どおり上がらないものと、両方あるわけでございます。すなわち赤字路線と黒字路線があるわけでございますが、それらをならしまして、赤字は赤字で、その赤字を消すことを考える。黒字は黒字として、それにまた充てるというようなことのできることが、プール制の第一のねらいではないかと思います。これにつきましては、これまでやってまいりました対策が——そういうたくさんやっておりますものの中には、赤字、黒字がございますから、私どもは損失補てん積み立て金という制度をとりまして、赤字路線も黒字路線もすべて収入の一二%を積み立てまして、それらを、赤字になりました路線の最終一度に、それらの積み立て金をもって赤字を消す、こういう制度で運営してまいったわけでございます。ところが、昨今そろそろ予定の期間よりもかなり早く、黒字路線、償還が終わる路線が出てまいりましたので、それらにつきまして、従来の損失補てん積み立て金の制度というものをもう少し改めまして、積極的にプール制をやる方法はないか、こういうような問題が起こってきたわけでございます。そこでただいま申しましたようなプール制とやや姿を変えまして、従来の道路の公共無料公開制というものを保持しつつ、なおかつそういう黒字線から赤字を埋めるということにつきまして、別途の方法はないかということでいろいろ研究いたしましたが、法律問題として根本的に改正するということにつきましては、法制局等におきましても、非常に困難な点があるということでございまして、現行の法律を変えないで、政令の運用の範囲でそういう方法ができないかということで、いろいろ検討いたしましたが、その結果、従来考えておりました全体の予想交通量というものに対して、若干の公差的なものを認めてもいいのじゃないか、それらの公差によって、あがってくる収益をもって赤字を埋めるという方法一つあるではないかというようなことで、ただいまそういう案を中心にいたしまして検討いたしておりますが、そういうことになりますと、従来運用してまいりました損失補てん積み立て金の一二%というのも、そのままでは少し多過ぎるのではないかということで、この一二%の積み立て金の率を下げまして、あわせていま申しましたような黒字路線から、償還を終わっても若干よけい取るということで運用していく。従来のプール制を、そういうふうにやや変えましたプール制でいったらどうかというようなことで、ただいま政令の改正の準備をいたしております。これはそういうような、まず赤字、黒字をプールにするというたてまえから発足いたしておりますが、プール制といいますと、本質的には、各路線とも料金徴収期間を三十年なら三十年と切るとか、あるいは料金もキロ当たり十円なら十円と固定するとか、いろいろ考え方がございますが、そこまでいきますと、他にいろいろ基本的な問題にぶつかりますので、とりあえずそういうようなことで運用してみたいというふうに考えまして、いま申しましたように、ただいま検討準備を進めておる段階でございます。
  35. 井谷正吉

    井谷委員 いま料金のお話がございましたが、この料金が高いとか安いとかいろいろうわさがあるわけですが、大体料金の算定の基準は、そこに投資しました工費、金利あるいはその他の維持費というようなものの合計したものから割り出す、そうするとこれは非常に高いものになるわけだが、何かほかの方法をとっておられるのか、その点を一つ伺いたい。
  36. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 有料道路でございますから、当然料金収入をもって償っていくということが基本的でございますから、その考え方はもちろんあるわけでございます。ただ具体的に一本一木の有料道路の料金をきめます場合には、これは何といいましても公共道路でございますから、公共道路として、他の道を行くよりもその有料道路を通ったほうが有利である、すなわち有利である受益の限界というものがございます。したがいまして、新しく有料道路をやります場合には、他の回り道の走行経費を計算いたしまして、その範囲内で料金額をきめる、こういうことになっております。言いかえますれば、絶対にそれを通らなければならぬというような場合には、有料道路に、逆に言えば、できないというような考え方に立っております。必ず他に回り道があるという前提に立ち、その道を回るよりも、新しくできた有料道路を通ったほうが、料金を払っても有利である、こういう限界の中で料金の額をきめる、そうしてもちろん最初投資いたしましたも一のを、ある二十年なり三十年の期間で償還し得るという条件をさらに合わせまして、料金の額を決定しておるわけでございます。
  37. 井谷正吉

    井谷委員 大臣がお見えになりませんから、次官にひとつお伺いしたいのですが、昭和三十二年に制定されました国土開発縦貫自動車道建設法の別表の中に、四国の縦貫道は徳島市付近、阿波池田町付近から松山市付近となって、松山でとまっておるわけです。そうすると、ほんとうの四国開発、さらにはまた九州の開発、昨年横断道路もでき、またこのたびもう一本考えられておるようでありますが、これらがみな大分へ集まるのですね。どちらが起点か終点か知らぬけれども、大分までつなぐ。大分のねらいとしては、佐田岬へ上がって、京阪神に直結する。距離からも非常に短縮されるし、そのほうが九州、四国開発に益するところが非常に大だ、こういう構想を持っておるわけです。ところが、この四国縦貫道というものが松山どまりでは意味をなさないので、私はこれの終点を三崎へ置くか、大分へいくか、これはまあ二級国道路線になっているから、私は海の上でも道路だと思いますが、こういうふうに延ばしたい考えを持っております。次官はどういうふうにお考えになりますか。   〔正示委員長代理退席、委員長着席〕
  38. 白浜仁吉

    ○白浜政府委員 私は詳しいことはわかりませんが、あとでまた局長に追加答弁をさせたいと思います。  おっしゃるとおり、私もやはり同様に、できることならば、そういうふうにしたいというふうな気持ちは持っておるわけであります。しかし、建設省の考えとしては、この突端まで、そういう、ふうなところまで持っていくかどうか、あいはその架橋の問題もからむ問題でございましょうし、いろんなそういうような問題もありますので、局長から、ひとつ詳しくそういう点を答弁さしてもらうことを御了承願いたいと思います。
  39. 井谷正吉

    井谷委員 ちょっと、まだ大臣との話を続かしてもらいたいと思うのです。先ほど、冒頭にお問いしたこの鳴門架橋、相当な金が要ると思うのですよ。ところが、あんなりっぱなことをやってもu、四国だけでは意味をなさないのです。これはやはり九州まで通過させる。だから、まあこれは先の話だけれども、橋をかけるか——青函をさっき聞いたのはその意味であったが、下へもぐるか、これは先の話でしょう。当面しているのは、佐田岬と大分のフエリボートでこれを続かせるということが現実に起きている問題なんです。大分県あたりも力を入れて、民間でできないというのも、将来そういうものを見越して、これは大きなものにしたい、こういう考え方だろうと思うのです。これは松山までじゃ通らないので、これは向こうに延びなければいかぬ。次官も九州ですから、この意味はわかろうと思うのですが、私はそういう主張を持っておるわけなんです。それでいまお話しのように、このこまかいことはひとつ局長のほうから伺いたいと思います。
  40. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 海上の高速自動車道ということも問題だと思いますが、突端までいく場合には、そこにやはり将来架橋なりあるいはトンネルなりでつなぐということが前提になると、私はいまの段階では考えておるわけです。と申しますのは、北海道にもやはり北海道の自動車道がございます。それから、青森県へ行きますと東北自動車道がございます。これも、本来ならばそういうことで海峡をつなぐという可能性があるならば、これを下北半島から北海道の南端まで延ばしまして、そこまで自動車道を指定すべきものだという考え方になると思います。したがいまして、また、北海道の場合も、函館ではなくて、北海道の一番南端の岬まで延ばすべきだ、こういうことになると思うのです。九州、四国の場合にも、ただいまのところは、四国縦貫道は松山でとまっておりますが、これを、海上の、いまフェリに予定しておりますところに、架橋の問題なりあるいはトンネルの問題がかなり具体的になって、その問題を調査するということになれば、やはりそれをつなぐという可能性が出てまいりますから、そこまで延ばすということも、そういう意味はあると思いますけれども、ただいまの段階では、御承知のように、フェリの段階でございまして、フェリと自動車道を直接そこでつながなければならぬという問題には直ちにならないんじゃないか、もちろん、それがいけないということではないのでありますが、全体の判断としては、やはり昨朝が早いではないかという感じを持っているわけであります。ですから、例を申し上げましたが、海上の問題として、他の地域との関連も一考えなければなりませんので、少なくとも、建設省として自主的に、取り上げるのはまだ早いという感じを持っております。
  41. 井谷正吉

    井谷委員 御参考までに局長に申し上げたいのですが、たぶんあの三崎十三里のほうはごらんになっていないと思うのです。これは非常な悪路なんです。いまは二級国道になっておりまして、改修はしておりますけれども、昔の道路で、海岸の浦々を回っている。浦々はみな合併して町になっておりますが、いなかに完全な町がある。ところが、そこまでバスが通っているが、そのバスは軒下を走っている。これは広げようがない。今度の計画でも、カーブの切り取りが八十五カ所ありますけれども、それはもう人家のないところの八十五カ所で、人家のある海岸へ行ったら、バスの来るときは軒の下を通っているというのが現実であります。これを本道にするには、両方の、家をのけてしまわなけばれいけないということから、地元では、現在の道路をりっぱにしてもらわなければいけないけれども、九州と連絡するようになったら、もう一本山の上へつけてもらわなければ、これが交通事故のもとになる——現在伊予鉄のバスが通っておりまして、運転手が二人で交代でやっておりますが、年に一、二回バスを落としていろというようなこと、これを御承知願いたい。これを直したいという頭がみんなにあるわけです。それだから、これは以前から言っていることだけれども地元の人からも、上に一本こしらえてもらわなければたいへんなことになるという要望がおるわけです。   〔委員長退席、正示委員長代理着席〕  もう一つ。これは四国縦貫道の促進というので、松山から三崎へもう一本自動車道をつけても一らいたいという要望でありますが、局長も一、そういう道路であるということをお考えになって、いまのものをやめてくれというのではなく、いまのものはいまのままで、昔からの地元の利用に供する。そうして、九州との交通がある場合には、これはとうてい使えないということを頭に入れておいていただきたいと思います。それから、架橋とかトンネルというのは先の問題でありますけれども一いまの場合はこれができ上がってもなかなか問題だということを申し上げまして、私の質問を終わります。
  42. 正示啓次郎

    ○正示委員長代理 稲富稜人君
  43. 稲富稜人

    ○稲富委員 それでは、二点ばかりについてお尋ねしたいと思います。  最初にお尋ねいたしたいと思いますことは、昨年、三十九年度版としていわゆる建設白書というものが出ております。これをよく見まして、道路の問題に関してひもときますと、この道路に関しましては、「近代的道路網の設建の推進」ということを提唱されて、「道路交通の安全性、快適性に対する要求もさらに強まるものと考えられる。」こういうことから、結論的には、「全国的な近代的道路網を整備しなければならない。」こう述べられております。私もこれはごもっともなことだと思いますが、こういうような考えで日本の道路対策というものを考えるときに、私の最もふに落ちないことは、現在私たちが日本の道路を見ますときに、いわゆる道路交通の安全性からいいますと一番不安全性、快適性からいうと一番不快適性、近代的からいうと最も非近代的な状態にあるのが、道路鉄道の踏切の平面交差の問題であると私は思うのです。これを現在調べてみますと、御承知のとおり、一種踏切というものが、一級国道において百二十四カ所、二級国道において百六十五カ所、つまり、これは二十四時間警手がいなければならないというような、ひんぱんな状態に置かれている平面交差の踏切であると思うのです。一定時間警手を置いている二種踏切は、一級国道が二十七、二級国道が三十八、それから三種、すなわち警報の鳴るものは、一級国道が二百八十二、二級国道が二百七十六、警手も警報も何もないが、一級国道が百七十六、二級国道が三百四十四、合計千四百三十二カ所というものがあるのでございます。これはいま申し上げましたように、非常に非近代的な状態であるし、交通の不安全性にもかかわらず、今回の建設省の白書を見ましても、これに対する対策というものは立っていないのです。政府はこういうものはやむを得ないと放任しておくのか、将来こういうものに対してどういう対策をとろうとするのであるか、この点をまず承りたいと思うのであります。
  44. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 交通安全対策につきましては、非常に関心といいますか、熱意を持っておるわけでございまして、先般、昨年の道路法改正に際しましても、従来道路法はむしろ道路構造が安全であるというたてまえで君かれておりましたのに対して、交通の安全を確保するということを、特に従来なかったものを、法律を改正して、道路法の二十九条に入れたわけでございます。もちろん最近各方面で人命尊重、交通安全ということが非常に強調されるようになりましたこともございますが、私どもといたしましても、戦後非常に荒廃しておりました道路整備、物理的な整備についてはかなりできてまいりましたが、その人命に対する対策というのは、そのためにややおくれておったということもございます。そういうような認識のもとに道路法を改正し、特に交通安全に対しては積極的に臨もう、こういう姿勢をとっておるのであります。したがいまして、踏切の対策にいたしましても、私どもといたしましては、重点的な項目に考えておりまして、これは当然やるべきもuのである、こういう認識のもとに、道路の政策を立てておるのでございます。ただ、踏切の問題につきましては、従来もそういう考えで運輸省のほうと相談しながらやってきておるのでございますが、個々に見ますと、私どものぜひ取りたいという踏切が、地元関係でそこの踏切を立体交差にいたしますと、その付近の住民、特に商店が非常に困る。したがって、他の個所に踏切を移しても、立体交差にしても、そこの踏切は依然として残してくれ、こういうこともありまして、必ずしも予定どおり消化していないという事実がございます。それからまた、現実に、この踏切を立体交差にいたしますには、一カ所平均約一億円かかります。これについての経費の負担でございますが、国とか県の場合はまだよろしいのでありますが、市町村道であって、市町村負担する場合に、それだけ負担がし切れないために、市町村で必要とは考えながら、費用負担で必ずしも折り合いがつかない。また鉄道の場合でも、国鉄の場合は、国鉄でございますから、話がまとまれば当然費用負担いたしますが、私鉄の場合には、いまも言いましたように、ちょうど道路管理者における市町村と同じように、必ずしも私鉄側として十分負担ができないというような問題もございまして、特に費用負担で話が進まない場合もあるわけでございます。そういうために、従来踏切道法に基づきまして二百七十七カ所指定いたしておりまして、それらの踏切を立体交差にしておりますが、昨年の十二月末におきますこれらの状況は、この指定いたしました踏切のうち約六〇%が完成またはただいま工事中でございます。それから約二七%が、目下具体的な計画のもとに、設計及び費用負担方法について交渉中にあるのであります。残りの一三%は実はまだ話がつかない、こういうような状況でございまして、その理由はただいま申しましたように、その個所についての地元の問題あるいは当事者の費用負担の了解がつかない、こういう問題があるわけであります。私ども、少なくともこういう指定されましたものは極力進めたい、これにつきまして、私どもから国庫補助の面におきましての予算は決して惜しむべきものではなくて、幾らつけてもやりたいという態度でございますが、そういうような事情で、なおかつ二二%ほど残っているというような実情でございます。今後も踏切の廃止につきましては、できるだけそういうような考え方で重点的にいきたいと思いますが、いま申しましたような事情で、必ずしも御期待に沿えないような事情にあることは御了承願いたいと思うのであります。
  45. 稲富稜人

    ○稲富委員 いま局長が言われますように、重要性は政府としても考えているのだ、こうおっしゃるけれども、重要性を考えているなら、少なくとも道路計面の問題として政府も取り上げて、これに対する対策を考える必要があるのではないか。ことに道路法の三十一条では、もちろんいろいろ事情がございましょうが、今後においては立体交差にしなければならないということをはっきりうたっているのであるから、その精神から申しましても、こういう平面交差の部分は、一日も早く立体交差にするような取り計らいをするということは当然でないかと思います。ただ、私はここでなぜこういうことを言うかというと、先刻もお話がありましたように、地方鉄道であるとかあるいはそういうようなほかとの関係があるので、交渉がなかなかまとまらないから、やむを得ないでほうっているということでありますが、それに対しては、三十一条に建設大臣と運輸大臣とが協議しなければならないということになっているのですが、そういう問題に対して、しからば運輸大臣建設大臣との間に協議をされて、これを推進しようというようなことをやられたことがあるかどうか、これを承りたい。
  46. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 この法律に基づきまして、建設省運輸省で、道路鉄道交差協議会をつくりまして、中央協議会は本省同士で毎年定期的にやっております。それから地方におきましては、出先機関同士で常に具体的にやっております。地方で話のつかないのを中央に持ってまいりまして、中央協議会で具体的に打ち合わせをいたしておりまして、両者とも一非常に積極的にやっておりますが、それでもなお解決しないものが、現実に一三%あるということであります。
  47. 稲富稜人

    ○稲富委員 私もたくさんこういう踏み切りを知っております。地方では非常に希望がある。いまおっしゃるように、両者間にも非常に熱意がある。それほど全体の熱意がありながら実現しないというのは、どこに原因があるのですか。
  48. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 先ほど申しましたように、熱望する人と、それから踏切が目前でなくなることにより障害がある人と、それから現実に費用負担する問題、その要望する人と反対する人と立場が違います。要望する人の声が皆さん方の耳に入ってくるかと思いますが、他方、さて話を進めてまいりますと、反対する側の人の反対意見が強くなって、進まない、こういう点に問題があるのであります。
  49. 稲富稜人

    ○稲富委員 少なくとも、道路行政を国が担当して、やろうという以上は、こうすることが道路としての基本計画であるということを策定したならば、それに向かって前進するという方針をとらなければ、地元の反対あるいは賛成があって、それがまとまらないから放任しているということは怠慢じゃないかと思う。特に三十一条には、立体交差を、やらなければならないということを明文にうたっている、こういうような法の精神からいっても、ただ地元で賛成反対両論があるからこれが進まないのだということでは、私は納得できません。これはあまりにも道路計画に対する政府の的確な方針がなさ過ぎると思う。そういうような地元の反対賛成両論があるからやり得ないでおりますという答弁では、納得いかないのですが、これは次官どう思いますか。
  50. 白浜仁吉

    ○白浜政府委員 稲富委員も、十分おわかりで御質問されていると思うのでございますが、民主主義というか、そういうものが非常にむずかしい問題でございまして、あまり政府が政府がということで強力にやりますと、また逆にあなた方からおしかりを受けるというような場合もあるわけでございます。その点が、非常に建設当局としても苦しい立場であるわけであります。先ほどから局長がるるお答えしましたとおりで、まあ一生懸命、関係者、寄ってやろうとしている熱意だけはひとつおくみいただきまして、御了承いただきたいと思うわけであります。
  51. 稲富稜人

    ○稲富委員 この問題については、ひとつ政府が——この平面交差の問題は、最近自動車事故なんかも非常に多いのだし、これを越すたびにいつでもきゅうきゅうする。われわれは、もうあの平面交差を通るときにノイローゼにかかったような感じさえする。こういう問題は非常に交通を阻害するし、危険を増すんだから、もしもそういう問題があるというならば、政府は進んでこの問題を解決する。業者に誠意がなければ、いま言う建設大臣と運輸大臣の間でこれを推進してやっていく、こういうふうなことで、ひとつできるだけ早く立体交差にする、こういうような方向にひとつ政府は取り組んでいただきたい。まずこう考えるわけでございますが、これに対する政府の決意を承れば、それでこの問題は、私は質問はいたしません。
  52. 白浜仁吉

    ○白浜政府委員 十分私どもは従来努力をしてまいりましたことは、先ほどから局長から御説明のとおりでございますが、御指摘のとおり大きな問題でありますし、またやらなければならないことにきめられておる問題でございますので、十分今後も努力をしてまいりたいと考えておるわけであります。
  53. 稲富稜人

    ○稲富委員 さらに次にお尋ねしたいことは、道路使用に対するいわゆる道路管川者の権限の問題でございます。先刻井谷委員からの御質問の中に入っておったのでございますが、私たちが見ますと、バスなんかの通っております道が非常に危険である、狭いところにバスが通っている、というのがあるわけでございます。これは当然管理者の許可を得なくちゃいけないと思いますが、これが許可権限は運輸省にあるわけなんです。この辺非常に問題があるのじゃないかと思うのでありますが、しかし運輸省といえども、やはり道路管理者の許可を得なくちゃいけないと私は思うのであります。この点がどういうふうに運用されておるのか、承りたい。
  54. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 バスの免許権は、これは運輸大臣にあります。ただし運輸大臣が免許する場合に、この路線を通るという路線について、つまり道路につきまして、構造上の、安全性について、道路管理者の意見を聞くということになっております。従来そういう方針で、たとえばバスの新しい免許の問題がありました場合、ここは狭いから広げなければならぬとか、あるいは待避所をつくらなければならぬというようなことを、道路管理者側としては意見を出しておるわけであります。しかし、御承知のように、免許権が運輸大臣にありますので、そういう意見をつけましても、必ずしもその意見どおりにされた上で免許がなされているとは限りません。必ずしも意見どおりになっていない場合が、現実にはあるようでございます。しかし、ただいまの制度はそういうふうになっておりますので、まあ運用と申しますか、運用といいましても、事実上は必ずしも安全でないのに通されておるという場合が、ままあろうかと思います。
  55. 稲富稜人

    ○稲富委員 これは道路法の三十二条には、「物件又は施設を設け、継続して道路を使用しようとする場合においては、道路管理者の許可を受けなければならない。」と、こうなっている。   〔正示委員長代理退席、委員長着席〕 また、申請をして承認するというの、じゃなくて、許可を受けなくちゃいけない。私は、継続して道路を使用するのだから、当然それは許可だと思うのですよ。そういう場合に、いまおっしゃったことによると、道路管理者が、たとえばこの道路は危険である、非常に狭隘であると反対しても、許可するのか。運輸省だからやってしまわれるという点がある、こうおっしゃるけれども、それでは私はいけないと思う。許可だから、この場合、管理者の許可を受けなければいけないという、この法文の適用を受けないのであるか、これを承りたい。
  56. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 道路法の三十二条に掲げられております道路の占用の許可の中には、道路上を運行いたしますバスは入っておりません。バス等の通行車は占用の対象になっておりませんので、この法文によって、バスの免許を、建設大臣が占用の問題として扱うというわけにはまいらないわけでございます。
  57. 稲富稜人

    ○稲富委員 しかし、バスは継続して道路を使用するということにならないのですか。バスは継続して道路を使用することになるわけなんですが、この点は、それはならないというのですか、そういう解釈なんですか。
  58. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 具体的に占用物件の名称があがっております。この中にはそういうものは入っておりません。バス以外の継続して使用するものが占用物件の対象になっておりますから、バスは継続して使用しておりますけれども、占用物件ではございません。
  59. 稲富稜人

    ○稲富委員 そうすると、結論を申し上げますと、道路管理者のほうでは、この道路は非常に狭隘である、この道路にバスが通っては非常に困る、あるいは場合によったら危険も伴う、そういう場合に、管理者のほうは不適当であるということを言っても、許可するほうの、運輸省のほうで許可すれば、管理者が何とも言うことができない、こういう結論になるのですか。
  60. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 一般的にはそういうことになりますが、車両通行に対する、他方、制限がございまして、この車両制限令によってひっかかるものは、これは運輸大臣といえども運行させることはできない、こういうことになっております。
  61. 稲富稜人

    ○稲富委員 そうすると、建設省管理者のほうはそれでいいのですか。道路管理権というのは、あなた方にあるわけだ、建設省にあるわけだ。管理者としては道路管理する上において非常に困る・危険である、こういう場合でも、やむを得ないということにして、泣き寝入りだということで片づけていいかどうかということです。
  62. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 大局的にいいかどうかということになりますと、これは判断の問題でございますが、この問題は、古くから一つの行政慣行として行なわれてきたことでございまして、そのもとにいまの法律の体系ができておるということでございます。私は、いまの法律がそうなっているということを申し上げているのでございまして、それでいいかということに対しては、もっと高いところで御判断を願わなければならぬと思います。
  63. 稲富稜人

    ○稲富委員 事実この問題は、道路を通っている人がうちの中へ入らなければならないというような危険な個所がある、そこをしょっちゅう通っているので、ちょいちょい事故が起きている、こういうのがたくさんあるのですね。われわれは、その路線を許可するほうばかりの責任でなくして、管理者がそういうことを認めたことにも責任がある、こう見ておったわけです。ところがきょうお話を聞いてみると、管理者ができないといっても、やってしまえばしかたがないということで、これは許可したほうに責任があるということになってくるのです。これはどうもやむを得ないということなんですか。その点どうですか、次官。道路管理者はこれでいい、やむを得ないというのですか。できなければ、法の改正でもやらなければならぬという問題が起こってくる。
  64. 井谷正吉

    井谷委員 ちょっと関連して。これは稲富さんの話と違うかもわからぬのですが、たとえばバスが入ってくる場合に、バス会社のほうからやるのが多いか、地元からバスを入れてくれ、そのためには町村のほうで、管理者のほうで、道路を広げて、いろいろな付帯の設備をして、入ってくださいというて入れた場合が、私は僻地では相当多いと思うのですよ。こういう問題があるのは僻地に違いないから。そういう場合に、やはり町村のそうしたものを管理するというようなことを、何か考える必要がありはせぬかと思うのです。たいがい運動して入ってもらうのですよ。地方では、バス会社のほうから入るというのはあまりないですね。
  65. 白浜仁吉

    ○白浜政府委員 ただいま、私もそのことを申し上げようかと思ったところに、助け舟なんですが、委員からお話があったわけでございますが、実はこれは非常に微妙な問題もあるし、先ほど局長からお答えしましたとおり、慣習の問題もあるわけでございます。地元の住民の利便を考えて、そのことをやらなければならぬというふうな、運輸省のつらいことも私ども十分聞いておりますし、またそういうようなことを承知しながら、われわれも、ここにバスを通すという運動を実は運輸省にやることも正直言ってあるわけでございます。また同時に、地元としますれば、なかなか道路その他、予算の関係で早急にできない、それでもしのびながらでもバスを通すことによって、この道路の改善、改良というものが促進されるのじゃないかというふうな、いろいろな含みのもとに、この狭隘な路線をバスが通るというようないろいろな問題があるわけでございますが、しかし御指摘のとおり、非常にこれは重要な問題でございますから、まず先ほどから局長が答弁をしましたとおり、高い視野に立って、これは相当力を入れて解決しなければならぬ問題かと思うわけであります。ただ一建設省としてだけで、この問題をいま急にこうするのだというふうな御答弁は、どうもできないような気がいたすわけであります。私も大臣ではありませんので、政府の考えをきめるというわけにはいきませんので、御了承願いたいと思うわけであります。
  66. 稲富稜人

    ○稲富委員 結論を言えば、こうなんです。そういうことでバスが通るとすれば、管理者が危険のないような道路対策をやるということが、今度は当然の役目になってくる。それは自分のほうは許可しなかったけれども、ともかくもそれによって出てきたのだ、それがために危険があるとするならば、危険のないように、危険場所があるならば、これを防止するようなこと、これをやることが今度は管理者としての役目になってくるのだから、これは結論としては、ぼくはそれをひとつ建設省でやらなければいかぬのじゃないか、こういうことに対して建設省はどう考えておるか。許可するのは、ぼくはこれは不十分だと思ったけれども、かってに運輸省が許可してしまったから、もう知らないのだ、これでいかれるのか、もう通ってしまったのだから、危険がないような道路対策をやるか、ここに問題がくると思うのだが、これに対していかがですか。
  67. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 当然、私どもとしては、道路整備したい気持ちで一ぱいでございます。先ほど申しましたように、道路法の四十七条に車両の通行に関する措置、つまり通行制限の措置の条項がございまして、それに基づきまして、車両制限令という政令が出ております。したがいましてバスにしろあるいは観光バスにいたしましても、ある一定の幅以上なければ、バスは通ってはいけないということになっておるわけでございます。そのために、現在免許を受けておりますバス路線でも、非常にその制限にひっかかる場所がございますから、実は去年の七月末までにそういう個所を全部広げるということで、予算措置をしてまいったのですが、どうしてもできなかった。そこで二年間猶予いたしまして、四十一年の七月三十一日までこの猶予期限を延期したわけであります。私どもは、それまでにおよそ百三十七億の予算を入れまして、少なくとも、現在路線バスが通っております、この制限にひっかかります個所については、全部整備したい、こういうつもりでございますので、当面の対策といたしましては、この車両制限令に該当するような狭い個所は広げる、こういう施策を持っております。今後の問題につきましては、新しく免許される場合には、当然この車両制限令にひっかかりますから、先ほど申しましたように、幅がないのに通すということは、こちらのほうでできなくなるわけであります。なお、それで十分であるとは思いませんので、一方、そういう、バス路線をつくってくれという要望の強い個所につきましては、積極的にやはり道路の狭いところは広げる対策を立てなければいけない、そういう責任はやはり建設省側にあると思います。十分そういう点について配慮をさせていただきたいと思います。
  68. 稲富稜人

    ○稲富委員 ただ、問題は、道路対策でいま一つお尋ねしたいことは、道路使用についてですが、東京都内でも、空車等を置いて、道路に対するむちゃな使用がなされておる。狭い道路の両側に自動車を置いて、ただでさえ狭い道路をなお狭くしておるというような実例がたくさんあります。こういうような道路の使用に対する取り締まりは、今度は警察側にあるので、この道路管理者と取り締まりが別だから、やむを得ないということになるのかもしれませんが、こういう点は、管理者としてはどう考えるか。
  69. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 私は、やはり道路をつくりましたときには、その道路によって予定交通量をはくというたてまえでつくっておりますから、それが、道路の上に自動車を駐屯あるいは停車することによってその機能が低下する場合には、当然そういうことがないように措置してもらうことを期待するわけでございます。その期待は、ただいまやはり警察庁でやっております道路交通法、この法律によります措置になるかと思いますけれども、私どもは、都市内につきましては、警察庁のほうと連絡しながら、そういう措置をとってもらうようにお願いしておるわけでございます。
  70. 稲富稜人

    ○稲富委員 この問題に対しては、やはり取り締まり側の建設省と、道路管理者というものが別個の存在である。そこでやはり緊密な連絡関係を保って、道路というものが安全に広範に使用できる、こういうような対策をやることが最も必要である、こう思いますので、その点十分留意していただきたいと思います。  いま一点だけお尋ねしたいと思うことは、道路工事でございますが、この道路法の四十二条によりますと、「道路管理者は、道路を常時良好な状態に保つように維持し、修繕し、もって一般交通に支障を及ぼさないように努めなければならない。」と、こう義務づけられております。ところが実際こういう一級国道、二級国道の舗装が最近非常にやられておりますが、昼の日なか、交通を規制してやっている点が非常に多いのでありますが、やはり道路の使用率に対してもその点を十分考慮して、あるいは夜間にこれをやるとか、一般交通にあまり支障を来たさないようにという点に十分留意をしてやるべきだと思うのでございますが、これに対して、道路管理者側である建設省としては、どういうような考えで指導を実施されておるか、伺いたいと思います。
  71. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 御指摘のとおりでございまして、道路管理者側といたしましては、道路交通に非常に支障を及ぼし、沿道の住民あるいは通行者に迷惑を及ぼすような個所につきましては、極力夜間工事をするように指導いたしております。昭和三十七年の十月、道路工事の夜間作業の実施基準というのを出しております。また、関連いたしまして、道路を掘り返しまして占用工事をやります水道、ガス、電気、そういった工事に対しましても、掘り返しの規制というようなことからもそういう点について指導いたしております。しかし現実には、お説のような個所も実際にあると思います。今後はさらにこういう通達の実施を十分守るように指導したいと思っておりますが、実はこういう通達を出しておりましても、半年もたちますと、すぐまたもとに戻るというようでございまして、私ども毎年、こういう通達が出してあるからこのとおりなさいということを、繰り返し指導しております。実は今回まで三回通達を出しております。なおオリンピックも済みました東京でも、またそういうような傾向が少し見えますので、重ねて、道路管理者にそういう警告をいたしたいと思っております。
  72. 稲富稜人

    ○稲富委員 特に私思いますのは 道路法の四十三条で、「みだりに道路に土石、竹木等の物件をたい積し、その他道路構造又は交通に支障を及ぼす虞のある行為をすること。」はできない、ということが禁止行為としてあるのですが、管理者が、工事をやる人たちが、こういう石を道ばたに盛ったり、そういうようなことがたくさんあるんですよ。これはやはり、みずからが法を犯したような行為をやるということは、特に慎まなければいけない問題じゃないかと思うのですが、こういうことに対しても非常に指導が足りないのではないかと思うのです。こういうことに対して、今後十分注意してもらいたいと思うのですが、建設省のお考えを承りたい。
  73. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 まことに私どもも同感でございまして、管理者がまずみずからそういう範を示さなければならないというふうに、重々注意をいたしております。ともすると、道路管理者といいましても、管理者の立場を忘れまして、建設管理者だけという感じが強いのであります。そういうむずかしさはわかりますけれども、やはり一般的な管理という面におきましては重要なことでございますから、そういうふうに指導しておかなければならないと思います。私自身も常にそういうことを言っておりますけれども、必ずしも十分でございません。気をつけてやりたいと思います。
  74. 稲富稜人

    ○稲富委員 道路は、御承知のとおり、産業の発展上、人命の上に非常に影響する問題でございますので、十分ひとつ御留意なさって、道路計画に対しては進めていただきたいということを特に希望申し上げまして、私の質問を終わります。
  75. 森山欽司

    森山委員長 次会は、来たる三月三十一日水曜日、午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時十一分散会