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岡本委員 いかがでしょうね。これはくどいようでございますけれ
ども、しかしただいま
局長から承りましたのでは、
昭和三十五年に一〇〇であったものが、三十六年には一一四と
工事費が上がっておる、こういうふうなことであります。
一般の
物価のなには、私はいま正確にその
数字を持っておりません。ただ
概略はわかる。一〇一、一〇六、一〇九というこの
工事達成率は、
年率物価六%の
値上がりとして、私が
計算してみても、
計画工事量は消化できていない。それが、それをはるかに上回るところの
物価の
値上がりというふうな、
物価というよりも、これは
工事費の
値上がりです。
工事というものは資材だけで行なわれるのではありません。なるほど
セメントは横ばいかもしれない。しかしながら、こういうふうな
建設工事に一番大きくものをいうのは
労賃です。
労賃はどんどん上がっておる。だから、そういうふうな、年々、今後ともまだまだ大きく上がっていく要素がある場合、
建設費の
値上がりというものを織り込んだ
数字を正直に出していただいて、そして当初の
計画というものはきちんと消化してもらいたい。
治水五カ年
計画を何ぼきめましても、新五カ年
計画を何ぼきめましても、
物価が上がり、仕事が三分の二よりもできておらぬということでは、われわれは
治水効果を期待することができないわけです。私
どもが期待しているのは
計画ではないのです。また金を使うということだけではないのです。
実質的にそれだけの
治水効果があがるということを、この新五カ年
計画に期待しておるわけです。だから、それだけの
治水効果があがるだけの
工事をやっていただかなければならないのに、
物価が上がって、いつの間にやら
工事はだんだん縮小しておった、その
計画は達成されておらぬ。しかも、
金額では
進捗率がこういうふうに書いてあって、いかにもどんどん
工事ができておるように、この
数字だけ見ておるとなっております。ところが
実質的には全然消化されておらない、当初
計画を下回っておる、というふうなことなんですね。この表は
国民を瞞着するもはなはだしいのです。九七ないし九九%だとおっしゃるが、私はこの
パーセンテージには疑問を持っております。私が年々六%の
物価の
値上がりと
計算してすら、消化されておらぬ、一〇〇%を切っておるというのに、それにもっと強い
工事費の
値上がりに対して、こんな九九%も
昭和三十九年に達成されているはずがないのです。これは間違いです。三十九
年度の
消化率はもっと下回っております。だから、今後私はそういう点、もっとわれわれにわかりやすい
数字を出していただき、そして正直に、
政府がどれだけの当初
計画の消化をやっておるかという
進捗表を出していただきたい。こんな
数字だけで、
物価の
値上がりというものが全然
補正してない、織り込んでない
進捗率を出していただいたら、これは金だけ使うておって、仕事はしていないということです。そういうことでは、私は
国民を欺くものと思いますから、今後、そういう点はひとつ是正していただくように、要望いたしておきたいと思います。
そこで、さらに
お尋ねをいたしますのは、この
前期五カ年
計画の
進捗表を見ていきますと、これは
建設省から出ておる「建設月報」に出ておった何でございますが、
前期五カ年
計画の
進捗率は、高潮対策は二五八%である、地すべり三五〇%である、こういうことでございます。そうしますと、これを
物価補正をいたしますと、おそらく約二〇〇%ぐらいが高潮対策、それから地すべり対策費としては三〇〇%くらいが使われておる。それに対しまして、直轄
河川は一一八%、中小
河川は一一九%、ということは、
物価補正をすれば一〇〇%を少し切っておるということになると思います。直轄砂防に至っては一一〇%でございますから、これは
補正いたしますと、九〇%くらいであろうと思うのです。つまり
前期五カ年
計画の
実績を見てみますときに、高潮対策や地すべりは大きく金を食っておりますけれ
ども、直轄
河川や直轄砂防というものは、当初
計画を下回ったところの
事業量より消化できておらないということです。このことはどういうことを意味するかといえば、これは伊勢湾台風であるとか由比の地すべりであるとか、そういうふうなことに大きく金が使われて、
予算が食われ、当初
計画が食われておるということ。元来
治水というものは
予防行政、
災害を防止するための先行投資なのです。しかるに
前期五カ年
計画の
実績を見てみますと、伊勢湾であるとか第二室戸であるとか、そういうふうな
災害に
事業費が大幅に食われて、いわば日本の
治水事業は、この五カ年間というものは、
予防行政というよりも、むしろ
災害の手当てをして回っておった、
災害の
あとを
治水事業がついて回っておった、こういうふうなことになると思うのであります。だから、こういうふうな行政のあり方を、
災害待ち行政だというふうなことをいうのでございます。だから、そういう意味において、私は、先ほど
大臣がおっしゃいました、新たに一千億の
予備費がつき、さらにまた
災害関連費、地方単独関係に千五百億ついたということはけっこうなことだと思います。しかしながら、私はそういう意味においては、やっぱり
災害というものは、
予備費一千億あるいはまたその
関連費その他千五百億というふうなものは別ワクとして、
最初に組まれたところの八千五百億という当初の
事業費というものは、やはり先行投資分、
予防行政分として、はっきりと使っていただきたいと思うのでございますが、これについての
大臣の御方針、御所見を承りたいと思います。