○牛島参考人 お答え申し上げます。
ただいまの御質問は私どももすでに
考えておる問題でございまして、御質問のように、
昭和三十八年度につきまして
減価償却を定率法によりまして限度範囲額まで実施し、また退職給与引き当て金につきましても許さるべき範囲内において全額を計上いたしますれば、ただいまおっしゃられたように
収支は
赤字ということになるわけでございます。この点につきまして私どもの
考え方を簡単に申し上げますと、まず第一に御理解を得たいと思いまするのは、現在私どもが地下鉄を建設いたしておりまする
資金調達のことでございます。この
資金調達につきましては、毎年、出資者であるところの国有鉄道と東京都から五億ずつ、合計十億の出資を受けております。そのほかの
資金約九〇%は外部
資金に仰いでおるわけでございまして、そのうちの半分が
政府資金に仰いでおるわけでございます。
あとの半分は民間
資金にこれを調達いたしておるようなわけでございます。三十九年度までに、民間
資金といたしましては約五百八十七億
程度のものを調達いたして建設をやり、現在すでに営業を開始いたしておりますが、戦後建設を開始いたしまして以来、五十二キロ余のものを建設いたしたわけでございます。ただ、この民間の
資金を調達いたしまするにつきましては、公募によるところの交通債券を発行いたしております。また、
一般の市中
銀行、信託
銀行、あるいは生命保険等から協調
融資を仰いだり、
一般の
銀行から借り入れ金を仰いでおるようなわけでございます。この公募交通債券につきましては、
一般の事業債と同じようにやっておりまして、
政府の保証債ではございません。また、借り入れ金につきましても、
一般の金融ベースによりまして借り入れておるのでありまして、無担保でこれを借りておるというような
状態でございます。したがいまして、私どもが
収支を見ます場合におきましては、また営団の建設ということを常に念願において
収支をやっていかなければならないかと思うのであります。こういう事情にございますので、民間からの
資金を調達いたしますにつきまして、全然金融ベースでやっておるという点からいたしまして、金融
機関の
融資の
実情からいたしまして、毎期の損益の
計算というものにおきましては、
減価償却前の利益を
減価償却に全額充当いたしまして、当期の
決算をゼロということにして
決算をしておるようなわけでございます。やはり正面切って営団の損益が赤であるということを言わずして、消却前の利益を全額
減価償却に充当いたしまして
収支をゼロとしておるわけでございます。しからば、
赤字決算ではないかということになるわけでございますが、御
承知のように
減価償却を行ないまする場合におきまして、定率法もあり、定額法もございます。現在私どもといたしましては、定率法によってこれを
計算いたしておるわけでございます。定率法によることによりまして、税法上の点におきましても有利な点が
考えられるからでありまするが、ただ、この定率法によって
減価償却を行なっておりまするが、営団の同定資産の構成の上からいたしますと、何と申しましても、一番トンネルが多いわけでございまして、資産の約六六%近いものがトンネルでございます。したがいまして、これを定率法によって全額償却するという必要はまずないのではないか。したがいまして、車両であるとか機械というものにつきましては、定率法において全額これを行ないますが、こういうトンネル
部分等につきましては、必ずしも
経営上全額を償却しなくてもいいんじゃないか、こういうふうに
考えておりまして、ただ、私どもの
減価償却に対しましては、もしも定額法によってこれを
計算いたしますれば、最低限一〇〇%は償却をするという線は守りたいと
考えておるようなわけでございます。実際問題といたしまして、三十九年の上期までは定率法では償却
不足であります。三十八年、三十九年におきまして、六〇%、七〇%の定率法による償却でございますが、これをもしも定額法によってやりますれば一四〇%、一三〇%
程度の償却はできておるのでございます。したがいまして、営団の損益が
赤字であるかどうかという点になりますれば、いろいろの
考え方もあると思いますので、私どもは現在損益ゼロの
計算をいたしておりまするが、決してこれは
赤字ではない、こういうふうに
考えております。ただ、今後におきまして建設が進むにつれまして、ただいま申しましたような建設の
資金調達の関係から、建設に対するところの
支払い利息がふえてまいりますので、こういう点からいたしまして、次第に
減価償却そのものが定額法でもできなくなるおそれが四十年度以降において出てくるかと思っておる次第であります。