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江守政府委員 まず、
国有財産を払い下げしますときの対価はいかなるものであるかということでございますが、財政法上その対価は適正な対価ということになっております。適正な対価とは何かということを、私
どもは一応適正な対価は時価であるというふうに考えておるわけでございます。それでは時価とは何かということでございますが、これははなはだしく事実上の判断としてはむずかしい問題でございます。ことに最近のように地価の変動の非常に激しい場合に、時価とは何か。たとえばその隣のうちが
幾らで売れたという
売買実例がございました際、その
売買実例がすなわち時価であるということには、たいへん問題があろうかと思います。私
どもの根本的な考え方といたしましては、売り払うときの価格は、抽象的に申しますとそういった一極の
土地に対する需要供給の
関係が、たとえば売り手が非常に強い、あるいは買い手が非常に強いというような場合を、そういった要素をなるべくのけまして、しかも全国的な視野において適正な対価を
表現するところの時価は何であるかということを、一生懸命努力して算出をいたしておるわけでございます。
本件につきましては、そのような
関係に基づきまして算
出した特価が
坪当たり十六万五千四百七十円ということになったわけでございます。
公団のほうで
道路を
補償をなさいます際に算定されました基礎となった特価は、これより一年以上前でありながら相当に高いということでございますが、この点につきましては、
公団のほうでも
補償をなさいます際には、適正な時価というものを、適正な
評価基準に基づいてお
出しになっておるわけでございます。ただそのようにして求められた時価というものを、適正な基準によって出そうという方法においては、われわれとまさに同じ方法を使っておるわけでございますけれ
ども、どちらかといいますと、たとえばオリンピック
関係あるいはいろいろな
関係がありまして、どうも何と申しましても、事実問題としては売り手のほうが強いという要素が入らざるを得ない。これは私
ども補償の基準になりました時価と、それから実際売買されました値段について多少ほかのほうでも調べてみましたが、その間に多少の差のあるということは事実問題としてございます。
本件につきましても、要するに
公団が
補償をする際に、お求めになりました時価は、国が売り払いをする場合に考える時価とは次元が違う、といいますといい過ぎでありますが、多少違ってわれわれとしてはこれは国が売り払う場合の値段よりはやや高いものであるというように考えております。その開きがどのくらいかということは、個々の
土地土地によって違うと思いますが、まず原則的にそういったことになっておろうかと思います。
本件につきましても実はこの十六万五千四百七十円というものを
出します際に、その二十五万円というものを少なくとも
売買実例として採用すべきじゃないかということは検査院のほうから御照会をいただいたことがございます。これにつきましては、われわれとして
売買実例というものは、適当な
売買実例でなければ採用しなくてもよろしいという仕事の運びにしておりますので、
本件につきましてはこれを採用しなかったということにつきまして、検査院に御了解を求め、ただ、今後の問題としては、こういった国が売り、しかもその隣に
公団の
補償があるという場合に、それを
売買実例として参考にするということについては、十分やっていきたいということで、検査院のほうでも不十分ながら御納得をいただいたような次第でございまして、そこに多少違うものがあるという点については御了承をいただきたいと思うのであります。