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1965-04-27 第48回国会 衆議院 決算委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年四月二十七日(火曜日)    午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 堀川 恭平君    理事 田中 彰治君 理事 田村  元君    理事 勝澤 芳雄君 理事 田原 春次君       根本龍太郎君    福田  一君       福永 健司君    神近 市子君       堂森 芳夫君    森本  靖君       山田 長司君    吉田 賢一君  出席政府委員         大蔵政務次官  鍛冶 良作君         大蔵事務官         (主計局次長) 鳩山威一郎君         大蔵事務官         (国有財産局         長)      江守堅太郎君  委員外出席者         会計検査院長  小峰 保榮君         会計検査院事務         総局次長    白木 康進君         会計検査院事務         官         (第一局長)  保川  遜君         会計検査院事務         官         (第五局長)  宇ノ沢智雄君         日本電信電話公         社理事     中田 亮吉君         参  考  人         (首都高速道路         公団理事)   飯田逸治郎君         専  門  員 池田 孝道君     ————————————— 四月二十二日  委員森本靖君及び山田長司辞任につき、その  補欠として阪上安太郎君及び中村高一君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員阪上安太郎君及び中村高一君辞任につき、  その補欠として森本靖君及び山田長司君が議長  の指名委員に選任された。 同月二十三日  委員神近市子辞任につき、その補欠として井  伊誠一君が議長指名委員に選任された。 同日  委員井伊誠一辞任につき、その補欠として神  近市子君が議長指名委員に選任された。 同月二十七日  委員吉田賢一辞任につき、その補欠として佐  々木良作君が議長指名委員に選任された。 同日  委員佐々木良作辞任につき、その補欠として  吉田賢一君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  国有財産増減及び現況に関する件      ————◇—————
  2. 堀川恭平

    堀川委員長 これより会議を開きます。  国有財産増減及び現況に関する件について調査を行ないます。  これより質疑に入ります。質疑の通告がありますので、これを許します。勝澤委員
  3. 勝澤芳雄

    勝澤委員 私は、かつて大蔵省国税庁長官でありまして、現在の開発銀行総裁であります平田敬一郎氏に対する、赤坂の青山高樹町の十二の四の国有地百十五・三二坪を千九百八万三千七百円で随意契約によって払い下げた、こういう事件につきまして、四月の十三日の日に田中大蔵大臣質問をいたしました。その質問によって、大臣からいろいろと答弁がなされておりますが、大蔵大臣答弁は事実をごまかしている節があるわけでありまして、残念ながら、大蔵省答弁書を読み上げたと思うわけでありますが、まず最初に、大蔵大臣答弁書というものはだれがお書きになったのか、答弁書に事実が相違がしていると私は思うのでありますが、事実相違があるのかないのか、そういう点をまず最初にお尋ねをいたします。
  4. 江守堅太郎

    江守政府委員 答弁書は、国有財産局のこの問題を担当いたしております国有財産第三課で書きまして、私が認めたものでございます。内容につきまして事実と相違をしておるという点があるというようなお話でございましたが、私どもは事実をそのままお答えしたと思っております。
  5. 勝澤芳雄

    勝澤委員 答弁書責任は最終的には局長、あなたにあるのですね。
  6. 江守堅太郎

    江守政府委員 最終的にと申しますことがどういうことですか、ちょっとあれでございますが、私に責任があることはもちろんでございます。
  7. 勝澤芳雄

    勝澤委員 大蔵大臣がここで答弁しておったことが間違いであったということになれば、大蔵大臣責任を追及すればいいのですか。大蔵大臣にそういううその答弁書を読ましたあなたに責任があるのですか。その点を私は聞いている。
  8. 江守堅太郎

    江守政府委員 もし間違ったことがありましたといたしますならば、そういったことを私ども資料に基づいて御答弁いただきました大臣を補佐する私ども責任であると思います。
  9. 勝澤芳雄

    勝澤委員 私どもというところは変で、事実の点は質問の中ではっきりいたしておきますから。  それでは、最初電電公社のほうから、前回私がここで質問いたしまして問題になった土地はおわかりになろうと思うのですが、その土地は、逓信省当時から電電公社までどういう経過になっておるかという点について御説明願いたいと思います。
  10. 中田亮吉

    中田説明員 お答え申し上げます。  本件土地は五百五十九・五八坪でありまして、戦時逓信省が、物納前の所有者からこれを借地しておったものであります。その上に建物がありまして、建物鉄筋コンクリート造二階建てで二棟ありまして、建坪が四十六・九八坪というものがありました。これを戦時中に、建物だけは逓信省工務局長官舎として買収し、土地は、先ほど申しましたように借地しておったわけであります。そこで、終戦後昭和二十三年三月に、本件土地所有者から国に物納されたのであります。物納された後も引き続き逓信省——省分割になりまして電気通信省、それから日本電信電話公社がこの土地を使用しておりました。そこで、二十八年の三月に関東財務局長から電電公社総裁あてに、そのうち約三百坪の返還要求がありました。そこで二十九年の三月に、電電公社建築部長から関東財務局長あてに、本件土地の一部百四十二・七四坪を返還する旨通知いたしました。あと土地につきましては、公社のほうで木造を二棟増築いたしまして、引き続いて宿舎として使っておりましたところ、首都高速道路公団の要請に基づきまして、道路用に充てるために、本件土地及び地上物件は、他の物件とともに、昭和三十七年十二月に締結した交換協定書に基づきまして同公団所有土地となったものであります。  以上であります。
  11. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこで、この土地最初五百五十九・五八坪あって、そして高木正得さんが七万六千三百五十円の財産税として物納された、こういうことになるわけでありますね。
  12. 江守堅太郎

    江守政府委員 そうでございます。
  13. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこで、これについて関東財務局から電電公社土地返還要求があって、この土地電電公社返還をいたしておるようでありますが、その経過をもうちょっと詳しく電電公社から御説明願いたいと思います。
  14. 中田亮吉

    中田説明員 先ほど申しましたように、昭和二十八の二月二十一日の文書でありますが、電電公社総裁あてに、そのうち一部を他に転用いたしたいので返還されたいという文書が参りました。公社といたしましても、そこに宿舎がありましたし、あとなお余裕がありますので宿舎に使うということで、先ほど申しましたように二棟木造で増築をいたしまして、そこに公社の幹部が住んでおったわけでありますが、昭和二十九年三月九日に関東財務局長あてに、先ほど申しました百四十二・七四坪を返還するということで返還したのであります。
  15. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこで、二十八年の二月の二十一日関東財務局長井上義海、こういう人から日本電信冠話公社総裁に、他に転用いたしたいので返還をしてもらいたい、こういう要求があったわけです。このときの利用計画は、どういう計画で他に伝用いたしたいという要求をいたしたのですか。
  16. 江守堅太郎

    江守政府委員 他に転用いたしたいということば電電公社のほうに返していただきたいということを申し上げたわけでございますが、一般国有地につきまして、いわゆる未利用にありますところの状態土地につきまして、これが大蔵省所管普通財産でございましたならば、大蔵省が自由にこれをいろいろ利用できるわけでございますが、ほかの省あるいはほかのところにお貸ししてある土地につきましては、お返しいただきませんとこれを利用できない。したがいまして、他に転用したいというのは、いわば未利用地であるから、大蔵省がほかのいろいろな計画に従って利用できるような状態にしてほしいという意味で申し上げたのでございまして、その当時具体的に何かこういった利用計画があるというようなことではなかったというふうに思うのでございますが、何ぶん当時のことでございまして、事情を私といたしましては完全につまびらかにいたしておりませんが、一般の行政のやり力といたしましては、通常そういうやり方でやっております。
  17. 勝澤芳雄

    勝澤委員 他に転用いたしたいというのは、別に具体的な計画がなかったということでありますが、そこで翌年の三月九日に電電公社から百四十二・七四坪を返還さした。これを一日おいて三月十日に東京都の武蔵町市吉祥寺七百五十三番地平田満州代という人から「現在借家住まいなので、住宅を新設しようと思っていますが、適当な土地がなく、土地を借用したく申請するのであります」という普通財産貸し付け申請が出されておりますね。間違いありませんか。
  18. 江守堅太郎

    江守政府委員 そのとおりでございます。
  19. 勝澤芳雄

    勝澤委員 三月九日の日に、電電公社から返された土地が翌日平田満州代という人に貸し付けられました。平田満州代という人はどういう人ですか。
  20. 江守堅太郎

    江守政府委員 平田敬一郎氏の夫人でございます。
  21. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうしますと、あそこの電電公社土地が余っている、だからその土地を返せ、そしてその土地が返ってきたら、国税庁長官に貸すのはまずいから、奥さん名前で翌日貸し付けた、あるいは平田敬一郎氏に土地を貸すために返納させてその土地貸した、こういうことになるわけでありますが、それ以外にもし御説明があるならば、御釈明を願いたいと思います。
  22. 江守堅太郎

    江守政府委員 いま申されました時間的な関係を考えますから、そのように思われる節もあると存じます。でございますが、電電公社のほうに対しまして未利用地であるから大蔵省に返していただきまして、大蔵省の観点でこの土地利用したいということで、電電公社文書を差し上げましたのは、二十八年の二月でございます。そうして正式に文書お返しをいただきましたのが二十九年の三月でございまして、その間約一年余り時日経過をいたしております。覇初二十八年の二月にお返しをお願いいたしました際に、具体的に平田氏の御関係にこれを貸すためにお返しをお願いしたのだということではございません。ただその後そのような問題が起きまして、いろいろ電電公社とのお話し合いを進めておりまして、いずれはお返しをしていただくということでございましたので、まだ正式に文書で、電電公社のほうからお返しをいただかない前におきまして、財務局のほうではそのような仕事を進めたということは事実であろうと思います。ただ問題は、二十八年の二月に電電公社にお願いをいたしました際に、そのような具体的な利用計画を持ってお願いしたのじゃないということは申せる、私どもはこう考えておる次第であります。
  23. 勝澤芳雄

    勝澤委員 なぜ奥さん名義でお貸しになったのですか。
  24. 江守堅太郎

    江守政府委員 私どもとしては、そこはなぜかということは、どうもよく——申しますと、私としてお答えすべき問題であるとは思いません。平田満州代氏のお名前申請書が出てきており、その申請理由が、財務局として貸し付けをするに足る十分な理由であるということで、平田満州代氏の申請書を受け取ったということであろうかと思います。
  25. 勝澤芳雄

    勝澤委員 局長、私は法律解釈や三百代言を聞いておるのじゃないのです。あなたが知らないことは知らないでいいのです。事実行為を聞いておるわけです。ですから、いままでのあなたの話は言いわけですよ。世間ではそれは通りませんよ。ですから、別にあなたの関係のないことだったら、私はもうちょっとすなおに説明していただきたいと思う。初めから何とかものを隠蔽しょう隠蔽しようとがかかる。隠蔽しようとする意思がないならば、事実行為をきっちり出せばいい。平田敬一郎氏に貸しているのならいい。平田満州代になぜ貸したか、局長がわからなければ、課長でけっこうですから、わかる人にひとつ説明していただきたい。
  26. 江守堅太郎

    江守政府委員 申請書平田満州代氏の申請書で出てきておるわけでございます。平田満州代代の申請書に対して、この申請書申請目的がおかしいから受け付けられないというのでございますならば、これは財務局としてそういう申請書は受け付けられないわけでございますが、とにかく受け付けられるということで、申請を受け取ったわけでございます。その間、平田氏がなぜ御自分名前でお出しにならないで御夫人名前でお出しになったかということは、いろいろそれは解釈はつくと思いますけれども、これこそ私どもは事実を申し上げておるわけでございます。事実がそういうことでございまして、そういった事案に基づくところの申請書を受理する十分な理由があったからその申請書を受け取ったのだということで、私どもは事実を申し上げておるのでございまして、これについての解釈はいろいろあるかと思いますが、その解釈につきましては、私が申し上げる限りのことではないというふうに思っております。
  27. 勝澤芳雄

    勝澤委員 平田満州代さんが平田敬一郎氏の奥さんであるというのは、貸し付けた人は承知なんですね。
  28. 江守堅太郎

    江守政府委員 承知していたと思います。
  29. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこで局長にお尋ねいたしますが、あなたは男の人を呼ぶときは、何とお呼びになりますか。女の人を呼ぶときには、どうお呼びになりますか。何々君、何々さん、こう私は大体ことばの使い分けをするのですけれども、あなたはどういうふうに言いますか。
  30. 江守堅太郎

    江守政府委員 そういうふうに申すこともございますし、どちらもさん、どちらも君で申すこともございます。
  31. 勝澤芳雄

    勝澤委員 大蔵大臣は、こう答弁をいたしております。「二十九年四月の二十八日に平田君に貸し付けを行なったわけであります。」ここで平田君と言っております。平田君、これは明らかに私は平田敬一郎君だと思いました。そうしたら平田満州代君です。平田満州代ざんと言うのが普通でしょう。「平田君に貸し付けを行なったわけであります。その後昭和三十八年十月二十八月に同氏に木地を売り払いをいたしました。」明らかに答弁は間違っておりますね。どうですか。
  32. 江守堅太郎

    江守政府委員 大臣には、私、ここにございますメモを差し上げておきまして、それに基づいてお話しになったのでございますが、大臣、頭の中でその辺のとこは明確に区別がいたされてなくて、そのような表現をされたのでございます。私どもは初めから本件貸し付けは当初は平田氏の御夫人であるということは十分承知をいたしております。その辺を、何か事実を隠すというようなことは考えておりません。大臣、御答弁の過程におきまして、その辺のところを明確に意識をされずに、まあ通常平田氏の問題でございますので、平田君というような形でおっしゃったのでございまして、平田君というのは、おそらく当時大臣も頭の中では平田敬一郎氏のことを考えておられたと思います。この点に関します限りは、事実に反しております。ただ、内容につきましては、私ども説明が十分でなかったために、そのような御答弁になったということは、はなはだ遺憾でございますけれども、事実としては、私どもは、当初から貸し付け平田氏の夫人であったことは、十分承知しておりますし、また、その辺の事実をことさらにあからさまにしないというような気持ちは毛頭持っておりませんでしたことを御了承願いたいと思います。
  33. 勝澤芳雄

    勝澤委員 大臣の十三日の答弁が間違っておったということがはっきりいたしました。それは平田さんにお貸しをして、平田君に売ったのだ。この間違ったような答弁をさせる原動力になったあなたのほうから出し資料はどうなっておりますか、貸し付け平田氏に行なって、売り渡し平田氏に行なった、こうなっておる。明らかにこれはごまかしじゃありませんか。貸し付け平田氏にやって、売り渡し平田氏にやったと、この決算委員会出し資料に出ておるじゃありませんか。平田氏でなくて平田夫人なら、なぜ書かないのですか。貸し付け平田氏、売り渡し平田氏と書いているのは、明らかに故意奥さん貸したということをごまかすための資料じゃありませんか。それをよく見てください。
  34. 江守堅太郎

    江守政府委員 大臣の御答弁速記録は私まだ見ておりませんが、平田君であった、それから差し上げました資料には平田氏と書いてございます。この点、当初の平田氏は平田満州代氏であり、売り渡し平田氏は平田敬一郎氏であるということを明確に書くべきであったという点については、そのように思います。でございますが、ここに平田氏、平田氏と書きましたときに、その点を隠そうというような気持ちはございません。大臣の御答弁でございますから、そういうような表現になった。それからこの御提出いたしました資料も、こういった簡単でございますので、その概要という意味でこのような表現を用いました。この表現を用いましたことがそのような誤解を勝澤委員に与える結果になり、またそのことが私どもがそういった事実を隠蔽するという目的のためであるというふうなことになりましたことにつきましては、まことに私ども遺憾なことと思いますが、直意は、申しますとおり、当初からその辺のところは十分承知いたしておりますし、またそこのところを何かごまかそうというような気持ちは毛頭持っておりませんでしたことを御了承いただきたいと思います。
  35. 勝澤芳雄

    勝澤委員 私一人をだましただけではないのです。田中大蔵大臣もだまされたわけです。国民全部がだまされた。私はおかしいと思って調べたら奥さん名前になっておった。きょう私は奥さん名前になっておったということを皆さんに言って、あなたはそれで奥さん名前であったと言った。これを故意に隠蔽する意図があったということは明確であります。これはあなたが幾らごまかそうとしても明確であります。その態度を直さなければ国民はますます大蔵省に対する疑惑を生むじゃありませんか。いま町に行ってごらんなさい。国税庁長官が物納された財産にとにかく自分のうちを建てた、こんなばかばかしいことがあるものかといわれている。しかしよく調べたら本人の名前でなくて奥さん名前であった。その奥さん名前であったことを大蔵省がぐるになって隠そう——大蔵省という役所会計検査院という役所あるいは裁判所というようなところが国民から不信の念を持たれたらどうなるだろうと多くの人はみな心配いたしております。私は役所の多くの人たちから、大蔵省会計検査院裁判所というものが信用ならなくなったらどうなるのだろう——それで大蔵省というのは信用されている。一応役人のエリートがみんな集まっているという自負を持ってあなたたちは仕事しており、そしてまた国民もそう期待しておる。しかもそれが国会の私だけならともかくも、直接のあなたの監督者である田中大蔵大臣をだまくらかして、そして国会答弁をさせるとはまことにけしからぬ。これはまた別に大蔵大臣からよく聞きたいと思います。  そこで、三月九日に電電公社から返済をされた土地、それを三月十日に貸し付け申請が出た、そして四月二十八日に正式な貸し付けが行なわれた。そこで建物はいつ建ったのですか。
  36. 江守堅太郎

    江守政府委員 二十九年の十一月の一日に建築の登記がなされております。
  37. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それはだれの名義で建てられておりますか。
  38. 江守堅太郎

    江守政府委員 建物も御夫人名義でございます。
  39. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうすると、奥さん名前土地を借りて、奥さん名前建物が建てられた、こういうことですね。  それで、次に、首都高速道路公団は、この土地建物が二十二号線にひっかかるということで補償いたしておりますが、その経過を御説明願いたいと思います。
  40. 飯田逸治郎

    飯田参考人 ただいま問題になっております青山高樹町十二番地の四の元国有地でございます。ここはたまたま首都高速道路公団の三号線の道路になっておりまして、その下は補助二十二号線という関連街路になっておるのでありますが、それに一部該当することに相なりました、国有地平田満州代さんがお借りになっておられます百四十二坪七四のうち二十七坪四一がかかることに相なりました。したがいまして、公団といたしましては、大蔵省平田満州代さんとの有償貸借契約に基づきまして平田さんに借地権があるものとしていわゆるさらに地価格の七割の補償をもって借地権消滅をいたしたのであります。(「金額幾らだ。」と呼ぶ者あり)金額底土価格坪当たり二十五万二千円という評価をいたしまして、その七割を補償をいたしておるのでございます。それからその後、その土地につきましては、これは道路法の九十条第二項でございますか、それによりまして大蔵省から東京都知事無償貸し付けを受けることに相なっておる次第でございます。
  41. 勝澤芳雄

    勝澤委員 払った補償金土地建物幾らになりますか。
  42. 飯田逸治郎

    飯田参考人 借地権消滅補償として四百八十三万五千百二十四円、それから上ものの一部切り取り改造をいたしておりますが、いわゆる建物移転補償として七百十八万七千百八十八円、合わせまして千二百二万二千三百十二円でございます。
  43. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そして補償金支払いはいつ行なわれましたか。
  44. 飯田逸治郎

    飯田参考人 契約等は、三十七年十一月十二日にいたしております。契約と同時に借地権消滅補償のほうは十五日以内に三百八十六万八千円を出しております。そして残りは上ものが完全に撤去された後に支払うということになっております。それから建物補償契約と同町に四百一千一万二千円を払っておりまして、残りの二百八十七万五千百八十八円は上ものが撤去完了いたしましてから。
  45. 勝澤芳雄

    勝澤委員 支払い計画はあなたのほうが言っているとおりですが、実際には全部もう支払いは終わったんですね。
  46. 飯田逸治郎

    飯田参考人 さようでございます。
  47. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこでまず最初土地のほうから聞いていきましよう。土地評価は、あなたのほうは二十五万二千円、あと大蔵省のほうは一あなたのほうは三十七年のいつの評価ですか。そしてどういう評価をやったのですか。ちょっと評価やり方をこまかく説明しくてださい。
  48. 飯田逸治郎

    飯田参考人 では、土地評価法を御説明申し上げたいと思います。  公団におきます土地評価法は、内閣において決定を見ました評価基準の要綱がございまして、それに基づいてそれぞれ公団において細則をつくりまして、それによっていたしておるのでございまするが、かいつまんで申し上げますと、買収を予定いたします土地のうち、大体自然的条件あるいは社会的条件がおおむね同じような条件であるとか、そういうものを一つ団地に区画いたしまして、そのうち一つないし二つの標準地指定をいたします。そうしてその標準地についてこまかくいわゆる正常の取り引き価格というものを評定するのでございますが、現在、問題になっております土地のところは、団地といたしましては高樹町の電車通りの裏側から約二百数十メートル西南に行きました道路がございますが、そこまでを一団地と見まして、そのうち、高樹町の十一番地の十七という元手塚さんの所有しておられました土地標準地指定をいたしまして、これを付近の売買実例等から・・。
  49. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それを具体的に、売買実例幾ら、何が幾ら、それを平均して幾ら説明してもらいたい。いままで言ったことはみな知っておるから。
  50. 飯田逸治郎

    飯田参考人 売買実例から類推をいたしましてきめるのでございますが、一つ先買実例といたしましては、これはいまの基準地から東に百二十メートルばかり離れたところで麻布笄町の百七十二の一、百六十八の五という、これは三井不動産が持っておりましたところでございます。これを以前昭和三十七年二月十六日に公団のほうにおいて買ったのでございますが、それが非常に近いところ、それが坪当たり四十二万円で買っております。それからもう一つは、いまの基準地から西南約五十メートルくらい離れたところでございますが、青山高樹町十三番地の二十六というところ、これは昭和三十五年十一月十四日に坪十六万円で買っております。それで売買実例と今度標準地との関係につきましては、すでに御案内と思いますが、いまの土地の広さとか形とか、それから道路との関係、上下水道との関係等、いわゆる土地価格の形成要素に分析をいたして、それぞれを比較して点数的に評価していくわけであります。さらにそのほかにいわゆる若干の事例と時差がございます場合には、時差の修正をもいたすわけでございます。そんなようなことをいたしまして、ただいま申し上げた基準値を坪当たり二十八万四千円ということに評価いたしたのでございます。それと現在問題になっております高樹町の平田さんにお貸ししておりました土地とのいわゆる地位というのですか、地位を比較いたしました結果、若干公社のほうが地位が低いということから二十五万二千円と評定いたしたのでございます。
  51. 勝澤芳雄

    勝澤委員 その評価をする中で、首都高速の関係者はどういう人たち評価をする場合に入るのですか。
  52. 飯田逸治郎

    飯田参考人 これを評価いたしますのは、もちろん公団の用地関係の職員、それから用地部長、理事もそれには入ります。さらにそのほかに民間の意見、税務署とかあるいは税務事務所とかいうようなところの公的な評価というようなものも参考にいたしますし、それから必要に応じては経験者の鑑定等をも願います。こういうようなことによってきめておるのでございます。
  53. 勝澤芳雄

    勝澤委員 その二十五万二千円の評価をした関係資料を詳細にひとつ出してもらいたいと思います。  それでひとつどういう人たち評価にタッチしたかという点も経過と一緒に出してもらいたい。よろしゅうございますか。
  54. 飯田逸治郎

    飯田参考人 承知いたしました。
  55. 勝澤芳雄

    勝澤委員 その次に、今度は建物補償です。建物は七百十八万七千百八十八円補償をいたしまして、この補償によって——わりあいこまかい資料を私、いただきましたけれども、この補償に従ったとおりの工事が行なわれておりますかどうですか。
  56. 飯田逸治郎

    飯田参考人 お手元に資料を差し上げておりますから、すでに御案内と思いますが、用地にかかりますのは建物延べ五十九坪四八三のうちの二十六坪〇四一、これだけがかかるのでございます。これは図面でもごらんをいただきますとわかりますように、主として玄関近くのところがかかっていくことになっております。したがって、かなりの部分を切り取り改造をしなければならぬというようなことから、お手元にございますかどうか、玄関、それから応接間、その付近の切り取り改造をするという想定のもとに補償を算出いたしておるのでございます。
  57. 勝澤芳雄

    勝澤委員 補償の算出でなくて、あなたのほうが補償出したとおり工事が行なわれておるのかどうなのかというのを聞いておるわけです。
  58. 飯田逸治郎

    飯田参考人 その点につきましては、現在、私、まだ見ておりませんので、はっきりとここでそのとおりにできておるということを言うわけにはいきません。後ほど調べまして御返事をいたしたいと思います。
  59. 勝澤芳雄

    勝澤委員 あなたのほうは、補償したときには補償したように、こういうふうに建物を改造するからという話し合いで補償するわけですね。ですからその補償したとおり行なわれているかどうかというのは、やはり確認をしなければならぬと思うのですが、それは確認は必ずしているのですか。
  60. 飯田逸治郎

    飯田参考人 私のほうが補償をいたしますのは、先ほど申し上げましたように、ある一つの仮定を設けまして、こういうような改造をすることが比較的こちらのほうの出す金も少なくて済むし、また向こうさんのほうもそれで機能をおおむね達し得るというような想定のもとにやっておるのでありまして、必ずしもそのとおりに改造されるということにはなっていないのであります。
  61. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうすると、補償金をもらっておっても、結局建物改造をこうするんだといってあなたのほうに申請をして、そのとおり行なわれなくてもしかたがない、こういうことですか。
  62. 飯田逸治郎

    飯田参考人 向こうの、こういうような改進をしたいからということをそのままうのみにするわけじゃございません。やはり多い場合には、こちらでそれは少し多過ぎる、最小限度もとの機能を保持するにはこの程度でよろしいというようなものをこちらで十分算定をいたしましてやるのでありまして、その後御本人のほうでそのとおりになさる場合もあるし、またほかからお金を借りてそれを追加しておやりになる場合もございましょうし、いろいろあろうかと思います。
  63. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうすると、そういう移転補償をした場合に、その補償どおり行なわれない場合もあるということをあなたはいまお認めになっているわけですね。  それで会計検査院長にちょっとお尋ねいたしますが、この建物補償、それから仮住宅の補償とか移転補償などを受けて実際に何もしなかった、こういう場合はそのままでよろしいのでしょうか。毎年補助事業や工事なんかのを見ていますと、これはやはり目的どおりやられていない場合においては不当事項として報告をさして処理をしておるようですが、いまのような首都高速道路公団の取り扱いのように、建物補償、仮住宅の補償移転補償をもらっても、実際にしない場合においてはどうなるのでしょうか。
  64. 小峰保榮

    ○小峰会計検査院長 お答えいたします。  いまお話がございました工事とか補助、こういうものは目的内容指定して補助金なり何なりの額がきまるわけでございます。それで、指定どおりの工事をやるなりほかの仕事をやるなりする対価と申しますか、反対給付として補助金を支給するわけでございます。当然これはその最初の指令どおりの仕事が行なわれないといけないわけでありまして、これはもう当然会計検査院としても、内容をできるだけ実地検査もいたしますし、こまかく調べるということをたてまえにしておるわけでございますが、実際問題として、なかなか現場に行けない場合もございます。ただ補償という段階になりますと、だいぶこれは違ってくるわけでございまして、総額をはじくいろいろ内訳としての計算をやるわけでございます。これも現に非常にこまかい計算をやっております。へいの移転とか、そういうようなことまで内容に入っておるようでございます。ただ補償の場合には、どうもその内容がはっきりと指令なり契約なりの中に書き込んでないわけでございます。目的として明ホされていない。目的土地を買収するなり何なりで、その結果の移転ということが目的になるわけでございます。どうも、公団もいま伺いますと、あまりあとの状況をお調べになっていないようでございますが、会計検査院としましても、補償につきまして一々あとを調べるということは従来やっていないのが普通でございます。公団のこの本件についても、実はあと現地がどうなったかということはやっていなかったのであります。
  65. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうしますと、補償金が適正であるかないかということを会計検査院が検査していないということになってしまうんですよ。その補償金補償どおりに行なわれたかどうかということが補償金が適正であったかなかったかということになるわけですね。ですから、今度の平田さんの補償の場合においても、庭木一本一本について計算をしいるわけですね。それから移動についても、図面を何回も書き直して、ここはこういう動かし力でよろしいということで、大工の日当から左官からみんなこまかい計算が成り立って補償金額が出ているわけですね。そうして世間で見ると七百十八万、ばく大なものだな。現地を見てみると、ほんとうに七百十八万の補償を払ってその金が使われたかどうかが実は疑問になるくらいです。ですから、それは個人の自由だということにかりにしたとしても、補償金額が適正であるかないかという点については、やっぱり補償した事実に基づいてある程度のものがやられていなければまずいじゃないだろうかと私は思うんです。それを野放しにしておくということになれば、補償金という問題の出し方というものは、少し私は適正な補償金であったかなかったかという点についてちょっと疑問を持つのですが、その辺についてはどうなんでしょう。
  66. 小峰保榮

    ○小峰会計検査院長 御質問の点ごもっともでございます。補償金というのは、どうも内容が非常にわかりにくいと申しますか、御承知のようにいつも土地買収というようなことで問題になるのは補償金であります。最後は押し合いへし合いして額がきまってしまうというような場合も多いわけでございます。あと内容をこまかく計算するというような場合も実は多いのでありまして、この内容を一々会計検査院としても、実は補償金というものにつきましては、従来内訳的な検査という段階になりますと、なかなか検査のしょうがないというと少し言い過ぎるようでございますけれども非常にむずかしい検査ということになっておったのが実情でございます。それで、本件公団のときには、御承知のように相当長い道路をつくりまして、土地の代金のほかに相当大きな補償金をたくさんの人に払っているわけであります。これの内容一つ一つこまかく吟味して補助工事の検査のような検査は実際問題として実はできなかった次第でございます。これではいかぬのじゃないか。勝澤先生おっしゃるように、幾ら補償金、つかみ金のようなものであっても、やはり最初にきめた内訳どおりのものが行なわれなきゃいけないのじゃないかというようなことを、院内では実はいろいろどういうふうに検査していくべきかというようなことも検討している段階でございます。
  67. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこで、この補償金の額をどう高くするか、補償金をなるべくたくさんもらおうというたてまえで補償金というものがあなたのほうでも無検査で、あるいは首都高速のほうも話し合いできまるということになれば、これは私は問題としてはたいへん大きいと思う。ましてやこのように政治的に地位の高い人で開発銀行総裁、かつての大蔵省国税庁長官、こういう人のところの補償をやる。首都高速の中にも大蔵省の出身者がいるかいないかわかりませんけれども、そういう点を合わせ考えてみますと、やはり特殊な人については特別な検査をしていかなければまずいんじゃないだろうかと思うのです。  それはあとでまたお尋ねいたしまして、ついでに営業補償が最近出ていますが、営業補償金をもらいながら実際に営業していた場合は、その補償を受ける性質というものをどうお考えになりますか。
  68. 小峰保榮

    ○小峰会計検査院長 営業補償の問題は本件と直接関係ありませんが、営業補償ども公団あたり道路の場合なんかでずいぶんたくされ出しているようであります。これも会計検査院では、そう言うときことにどうも申しわけないのでありますが、いま申し上げましたように、あまり補償というものについての検査という態度と申しますか、方法というようなものも、いままであまり実はやっていない。はなはだ申しわけないのでありますが、そういうことに十分な検討をまだ加えていない。これからひとつよくやっていこうか、こういうような段階で、まことに恐縮でございますが実情はそういう段階でございます。
  69. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこで、営業補償要求をして、営業補償を国が出しながら実際に営業しておった。営業補償をもらっておるのですよ。営業補償をもらっていながら実際に休業していないのですよ。そういうときにも会計検査院が何も言わない。あるいはそこがやりっぱなしだということになると、私は補償金という問題は大問題だと思うのです。ただでさえ、いまごね得だといわれております。これはやっぱしある基準というものがあって、その範囲内で補償してもらわないといかぬと思う。ですから、逆に言うならば、補償した対象というものは、それを完全に相手方に実施をしてもらう。実施をできなければできないかわりの補償になるわけであります。ですから、いまのような移転のための補償だということが明確になってこまかくなっているわけですから、それが実際に行なわれたか行なわれなかったかということは、首都高速公団もあるいは会計検査院もやらなければならぬし、あるいは一般の営業補償をした場合においても、ほんとうに営業補償が渡って休んでおったかおらなかったか、休んでおらなかったら営業補償金を返させるということをすべきだと思うのですが、もう一回そういう点を現在とこれからどうするのかというように分けて御説明願いたいと思います。
  70. 小峰保榮

    ○小峰会計検査院長 営業補償の話でございますが、現在までのところ、率直に申しまして会計検査院といたしましてはそういう血にあまり検査の手を伸ばしていなかったことは事実であります。しかしながら、補償金というのは、先ほどもちょっと説明ありましたが大体基準でございまして、その基準によってある事実を想定して計算する、そうしてそれを交付してしまう、こういうのが普通のやり力であります。これが実際に行なわれたかどうかということについての検査ということは、さっき申し上げましたとおり実はそこまで手が及んでいなかったわけであります。これからはそれじゃいかぬというので、やはり仰せのとおり営業補償を何日間休むというものでもらっておきながら実際は営業していた、こういうような事実がわかりましたならば、これはどんどんと検査を進めていって適当な措置をとらねば相ならぬ、こういうところには現在きておるわけであります。将来は当然そういうふうに進んでいくべきだ、こう考えております。
  71. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それから国有土地の使用権の補償、いま使用権の補償を言われたわけですね。二十五万二千坪の七割、これについての御見解を。
  72. 小峰保榮

    ○小峰会計検査院長 国有地を借りておりまして、そこに地上権が生じるかどうか、こういう問題はいろいろ生じるという意見と生じないという意見と両方あるわけであります。従来もそういうことが議論になったことがございます。ただ、本件の場合では一般の民有地と同じように地価を想定いたしまして、それの七割で地上権を認めて四百八十数万円の金を払ったわけでありますが、近ごろでは国有地につきましても、たとえば国有地を相当期間賛しておりまして、ある時期になって買い受けたい、こういうような希望が出まして売る場合地上権控除をするというのが現在の大体の取り扱いでございます。これは七割がいいか六割がいいかというのはそれぞれ違うと思いますが、地上権を大体控除して売る。したがって、国の扱いといたしましては、国有地貸していた場合にも地上権が生ずるというふうな扱いにだんだんなっているようでございます。
  73. 勝澤芳雄

    勝澤委員 今度の場合の七割という率は、ほかとの関連でいかがでしょうか。
  74. 小峰保榮

    ○小峰会計検査院長 一般の民有地をたくさん公団は買ったわけでありますが、これを大体七割と見たようであります。もう少し高く見たのもあるとか聞いておりますが、本件の七割は、この前の昭和二十九年に国が貸しました土地について七割を認めるというのは、当時実は検査上問題にならなかったのでありますが、今度いろいろ検討してみますと、どうもこんなに認めていいんだろうか、実は私としてはそう思っているわけであります。地上権をまるきり認めないというのもあるいは酷かもしれません。そこへ長く住まっておられるつもりでおられましたのを道路の都合で一部こわされる、あるいは立ちのきをしなければならぬ、こういうような事態になりましたときに、ある程度のものは認めてやらなければいけないのかもしれませんが、民有地並みの七割を認めるというのは行き過ぎではなかっただろうか、こう考えております。
  75. 飯田逸治郎

    飯田参考人 ただいま七割の問題がございましたが、われわれが七割ときめました根拠は、付近の借地権といわれる底土との割合というものが大体七判前後になっております。それから東京都の財産条例というのがございますが、それも参考にいたしました。それによりますと、さらに地価格が二十二万から二十六万ぐらいの間のものについては借地権を七九%と見るというような定めがございます。まあそれよりも借地権の若干少ないものでございますが、付近の例を見まして七割といたしました。
  76. 森本靖

    森本委員 関連して会計検査院にちょっと聞いておきます。話が横道にそれますけれども、大事なことでありますが、そういう補償問題については、いままで会計検査院としては会計検査をやっていないのですか。
  77. 小峰保榮

    ○小峰会計検査院長 やっていないか、こうおっしゃられますと、実はそう全部が全部やっていないわけでもないのであります。検査報告に、たとえば国鉄の関係とか、こういうのが出たこともございます。だがほかの、先ほど勝澤委員がおっしゃったように、補助とか、こういうものと同じようには、検査院としては実は手が及びかねていたのが実情でございます。そう先ほど申し上げたわけでございます。
  78. 森本靖

    森本委員 これは単に大蔵省だけでなくして、各省とも、この補償問題というのはそれぞれ専門の各課を置いてやっておるぐらいの状況であって、補償のしかたについてはいろいろのやり方がありましょうし、また営業補償等についても、それは現在までの事業税、その他によって今後何年間というような、いろいろ補償のしかたがあることはありますが、その補償のしかたが正しいかどうかということについては、当然会計検査院の任務としてやらなければならぬ仕事であるし、またこれは各官公庁には非常に多いわけです。だからその点は会計検査院としての重要な任務の一つであると私は考えておるわけですが、もう一回会計検査院としてもはっきりしてもらいたいと思います。
  79. 小峰保榮

    ○小峰会計検査院長 補償が会計検査上大きな対象であるということは、もうおっしゃるまでもございません。私どもも、補償は各省各公団なんかでもいろいろと相当たくさんの金を払っておりますので、検査はしておりますが、主として基準とか、いまおっしゃったように、どういう基準でどういうものに対して補償するか、こういうようなことの検討がいままで重点になっていたわけでございます。先ほど勝澤委員最初に御指摘になりましたように、実際にそのとおりに行なわれていたかどうかという末端までの検査は——補助工事などはその点までやっておるわけでありますが、これまでは実ば手が及ばなかった。本件も、現場が基準どおりの内容で行なわれたかどうかということはやっておりません、こう申し上げたのであります。補償費という大きなものを検査から全然はずしてしまっているとか、そういうようなことは全然ございません。
  80. 森本靖

    森本委員 私は、全国の各官公庁にある補償問題について、一つ一つ全部手をとってやれというわけではありません。確かにおっしゃるとおり、基準を中心にしてある程度の書類上の検査になる、しかしその中においてこれはと思うような問題については、やはり勝澤君が言ったように、抽出をしてある程度最後までやってみるということが必要なんです。そうでないと、これは年間予算を見てもわかりますとおり、各官公庁におけるところの補償問題というのは相当あるわけでありますから、その中からこれはちょっと重大だと思うようなものについては、やはり抽出検査というものを最後までやってみる必要が会計検査院にはあると私は思う。ですから、その点についてはいままでは基準だけだ、こういうことだったけれども、それは基準だけの検査も必要だけれども、場合によっては抽出検査によってそれを最後までずっと検査をしてみるということも会計検査院としてはやってもらいたい、こう思うわけです。
  81. 小峰保榮

    ○小峰会計検査院長 私どもとしてもそう考えております。先ほどちょっと国鉄云々と申しましたが、従来も、たとえば例の近江鉄道の補償とか、あの辺の新幹線に伴ってのいろいろな大きな補償がありましたが、これなども何べんも何べんも現場に参りましていままで検査をしております。それからほかの検査報告に掲げられなかった問題でも大きな補償というものが出ますと、非常にむずかしいケースが多いのでありますが、これはもちろん現場も見ますし、それから学識経験者というような人の意見もいろいろ聞きまして、検査院としての態度をきめることは従来もやっております。ただ、数が非常に多いし、こういう類型的なものになりますと、なかなか末端までは行って見れなかったが、これからはできるだけ行って見たい、こういうふうに考えておるわけであります。
  82. 鍛冶良作

    ○鍛冶政府委員 先ほどから会計検査院答弁を聞いておると、まことにわれわれの常識と相反することおびただしい。私の関係したことについて答えますが、国有地を借りておって借地権が出るか出ぬかという議論があるが、私はさような議論は聞いたことがありません。国有地であろうが何であろうが、りっぱに賃貸借の契約を締結して、地代を払って、そこに家なり何なり占有しておるとすれば、これはもう借地法の適用のあることは当然でありまして、そんなことは議論の余地はない。どこからそういう議論が出てきたか、合点がいかない。国有地借地権に対して七割を払うことは不当だと言われるが、それはどこから出てくるか。何か国有地なるがゆえに借地権がないのではなかろうか、借地権が出るか出ぬか、疑問のあるものに七割出すなどとは何事だ、こういう議論だと思うが、そんな国有地だから特別に取り扱うということは私は知りません。これはどういう法律があるか、会計検査院に聞きたいと思うが、それは大きな間違いだと指摘しておきます。  それからこれも先ほどから申し上げたいと思っておったが、私に関係がないから言わなかったが、いまも森本委員の言われたとおり、移転の場合には公団のほうで補償する。木一本動かせば幾ら、柱一本動かせば幾ら、床を動かせば幾らとみな表になって補償金が出ておるわけだ。だからそれを見ながら正当であるか正当でないかは、それでわかるわけだ。(勝澤委員「それをそのとおり実行したかどうかということが問題なんだ」と呼ぶ)それは私らのいままでの常識から言うと、ぜひそのままでやらなければならぬ。その金をもらう一むしろたいていそれよりよけいなことをついでにやっておる。(勝澤委員「やってないよ、今度はやってないから問題だ」と呼ぶ)やっておるんですけれども、やらぬでもいいでしょう、その人はがまんするんだから。公団のほうで常識上これだけのことをすればこれだけのことをしなければならぬ、こういうものが出ておる。それが正当であるかいなかの基準なんだ。会計検査院がそれを調べないということがあろうはずがない。それを調べたことはありません、それはないので困ります——会計検査院の名誉のために惜しみます。そういうことはないと思いますから、これはあとのお調べのためにたいへん間違いが起こるもとだと思いますから、私から申し上げておきます。
  83. 勝澤芳雄

    勝澤委員 政務次官、私の言っているのは、補償金の中身は明細が出ております。その補償金の中身のとおり実際に行なわれたか行なわれないかというのを公団なり会計検査院はやらなければなりませんよ、こう言っているわけです。そこを言っているわけです。そうしたら、はっきりしたのは、いや補償金出したけれども、そのとおりやられたかやられないか確認をしていません、こうなったわけです。会計検査院のほうでもなかなかそこまで手が回りませんでした。いまそういうことが違いなんです。
  84. 飯田逸治郎

    飯田参考人 こちらから建物移転補償をいたします目的は、そこをさら地にしてもらうことが目的でございます。そのさら地にされることだけは、これを確実に履行してもらわなければならぬわけです。その後、その移転のほうにつきましては、これは向こうさんのお考えによってあるいはより大きいものをおつくりになる場合もありましょうし、またがまんをして以前よりも小さなところに入ろうというお考えも出てくるかもしれませんが、われわれのほうとしてはいままであったものと大体同じ価値のもの、同じ機能を補償してやるというところにあるのでございます。御了承願いたいと思います。
  85. 勝澤芳雄

    勝澤委員 この国有土地に対する使用権の補償については、国有財産関係の法令はどういうふうになっておりますか。
  86. 江守堅太郎

    江守政府委員 国有財産法の二十四条に、普通財産貸し付けをいたしまして、その貸し付け期間中に国あるいは地方公共団体がこれが必要だという場合には、その貸し付け契約を解除することができる、貸し付け契約を解除した場合においては補償するという規定がございます。
  87. 勝澤芳雄

    勝澤委員 次に、今度払い下げの申請はいつ行なわれたかということであります。実は政務次官、この資料要求はもうだいぶ前にやったのです。きょうの委員会のあることも実はわかっておったわけです。私がこの資料を手元に見たのはけさなのです。計画的にこの問題をごまかそうとしているのじゃないかという疑いさえ持っているわけです。一番最初に出てきた資料平田君になったり、同氏になったりというようなことで、またこまかい資料を出せと言ったら、けさになって来たわけです。だからだいぶ資料がちぐはぐになっているので、大蔵委員会から政務次官来てくれと言った。私の責任じゃない。あなたのほうの資料がおそかったので、私あっちこっち調べながらやっているわけですから、その点ひとつ・・。そこでいつ申請が出されたかということを調べてみますと、これは三十八年——申請が出されたときと払い下げが決定したとき、それからだれが申請人になっているか、こういう点を御説明願いたいと思います。
  88. 江守堅太郎

    江守政府委員 申請人は平田敬一郎氏でございます。申請の行なわれました日は三十八年の五月十日でございます。その売り払い許可をいたしましたのは三十八年十月二十一日でございまして、契約いたしましたのは三十八年の十月三十日でございます。差し上げました資料の一枚目の下のほうに書いてございます。
  89. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこで平田満州代氏に貸しておったのを、平田敬一郎氏が今度払い下げを申請してきたわけでありますが、平田満州代氏と平田敬一郎氏との関係はどうなっておるのですか。
  90. 江守堅太郎

    江守政府委員 この売り払いを許可いたしました根拠は、予決令上の縁故者ということでございます。土地貸し付けております相手方は平田氏の夫人であります。今度その土地を買いたいとお申し出の力は平田氏でございます。こういう場合におきまして、配偶者かあるいはその子供というものから申請がありました際に、その当事者間において後日法律上の争いがないという保証があります場合には、配偶者あるいはその子供の方を縁故者と認めるという扱いで、これはいままでもそういった扱いで縁故者と認めて売り払いの許可をするという扱いをいたしております。
  91. 勝澤芳雄

    勝澤委員 この予決令上の縁故の売り払いというのは、どのような範囲になるのですか。
  92. 江守堅太郎

    江守政府委員 縁故者として扱っておりますのは、土地建物、林野等を特別の縁故がある者に売り払いまたは貸し付けるというときでございます。  包括的に申しますと、随意契約についての通達がございます。その中にこまかく書いてあるのでございますが、縁故者と申しますのは、三十九年の三月三十一日に財務局長に出しました通達のこれは第一の三というところに、一から十六までこまかく分けまして、縁故者とはいかなる者であるかということが書いてございます。非常にこまかくなりますので、後日資料で差し上げますが、非常にこまかく縁故名という者は何であるかということを定めてあります。
  93. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこで払い下げ価格は前回聞きましてよくわかっておりますが、払い下げ価格の坪当たりの単価はどうなりますか。
  94. 江守堅太郎

    江守政府委員 十六万五千四百七十円でございます。
  95. 勝澤芳雄

    勝澤委員 これはこの評価の中では借地権は認めていないわけですね。
  96. 江守堅太郎

    江守政府委員 借地権は認めておりませんといいますか、控除しておりません。
  97. 勝澤芳雄

    勝澤委員 先ほどは借地権を認めて七割払った、補償した、今度は払い下げについて借地権の控除をしていない、こうなってきたわけですね。そこで借地権の控除をしないというのは当然なんですね。それはどうでしょうか。
  98. 江守堅太郎

    江守政府委員 国が貸し付けておりますものを売り払います際は、先ほど検査院長のお話もございましたとおり、借地権を控除して売り払う場合もあります。本件につきましては借地権を控除しないで売り払ったということでございます。
  99. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それは借地権の控除をしたりしなかったりすることは、どういうふうに差別をつけるのですか。
  100. 江守堅太郎

    江守政府委員 たとえて申しますと、財産税の物納がありました家に戦前から引き続き住まっておられます方がその底土であるところの土地を買いたい、こう言われますような場合には、借地権の除控をするわけでございます。新規に貸し付けをいたしまして、その後その国有地の上に自分のうちをお建てになったというような場合には、原則として借地権は引かないという扱いをいたしております。いずれにいたしましても、政務次官が言われましたように、私どもといたしましては国の賃貸借契約の場合にもすべて借地権というものは発生する、ただその借地権という権利は認めるけれども、控除するか控除しないかというのは、いろいろこまかに分けまして、する場合もあるし、しない場合もあるという扱いにいたしております。
  101. 勝澤芳雄

    勝澤委員 では借地権を控除しないということですから、はっきりいたしましたのは、首都高速で坪二十五万二千円の評価をした、大蔵省で払い下げたときには坪十六万五千四百七十円で払い下げをした、そして首都高速公団の算定をした時期は三十七年の五月でしたかな。
  102. 飯田逸治郎

    飯田参考人 六月であります。
  103. 勝澤芳雄

    勝澤委員 三十七年六月推定をしたときに二十五万二千円という評価をした。今度はあなたのほうは、大蔵省は、三十八年のいつですか。
  104. 江守堅太郎

    江守政府委員 三十八年の四月三十日でございます。
  105. 勝澤芳雄

    勝澤委員 片方が三十七年の六月の二十五万二千円、片一方はそれより一年たったときに三十八年の四月に、十六万五千四百七十円、こう食い違いが出てきたわけであります。この点の解明はできますか、どこが違ったかということです。
  106. 江守堅太郎

    江守政府委員 まず、国有財産を払い下げしますときの対価はいかなるものであるかということでございますが、財政法上その対価は適正な対価ということになっております。適正な対価とは何かということを、私どもは一応適正な対価は時価であるというふうに考えておるわけでございます。それでは時価とは何かということでございますが、これははなはだしく事実上の判断としてはむずかしい問題でございます。ことに最近のように地価の変動の非常に激しい場合に、時価とは何か。たとえばその隣のうちが幾らで売れたという売買実例がございました際、その売買実例がすなわち時価であるということには、たいへん問題があろうかと思います。私どもの根本的な考え方といたしましては、売り払うときの価格は、抽象的に申しますとそういった一極の土地に対する需要供給の関係が、たとえば売り手が非常に強い、あるいは買い手が非常に強いというような場合を、そういった要素をなるべくのけまして、しかも全国的な視野において適正な対価を表現するところの時価は何であるかということを、一生懸命努力して算出をいたしておるわけでございます。  本件につきましては、そのような関係に基づきまして算出した特価が坪当たり十六万五千四百七十円ということになったわけでございます。公団のほうで道路補償をなさいます際に算定されました基礎となった特価は、これより一年以上前でありながら相当に高いということでございますが、この点につきましては、公団のほうでも補償をなさいます際には、適正な時価というものを、適正な評価基準に基づいてお出しになっておるわけでございます。ただそのようにして求められた時価というものを、適正な基準によって出そうという方法においては、われわれとまさに同じ方法を使っておるわけでございますけれども、どちらかといいますと、たとえばオリンピック関係あるいはいろいろな関係がありまして、どうも何と申しましても、事実問題としては売り手のほうが強いという要素が入らざるを得ない。これは私ども補償の基準になりました時価と、それから実際売買されました値段について多少ほかのほうでも調べてみましたが、その間に多少の差のあるということは事実問題としてございます。本件につきましても、要するに公団補償をする際に、お求めになりました時価は、国が売り払いをする場合に考える時価とは次元が違う、といいますといい過ぎでありますが、多少違ってわれわれとしてはこれは国が売り払う場合の値段よりはやや高いものであるというように考えております。その開きがどのくらいかということは、個々の土地土地によって違うと思いますが、まず原則的にそういったことになっておろうかと思います。本件につきましても実はこの十六万五千四百七十円というものを出します際に、その二十五万円というものを少なくとも売買実例として採用すべきじゃないかということは検査院のほうから御照会をいただいたことがございます。これにつきましては、われわれとして売買実例というものは、適当な売買実例でなければ採用しなくてもよろしいという仕事の運びにしておりますので、本件につきましてはこれを採用しなかったということにつきまして、検査院に御了解を求め、ただ、今後の問題としては、こういった国が売り、しかもその隣に公団補償があるという場合に、それを売買実例として参考にするということについては、十分やっていきたいということで、検査院のほうでも不十分ながら御納得をいただいたような次第でございまして、そこに多少違うものがあるという点については御了承をいただきたいと思うのであります。
  107. 勝澤芳雄

    勝澤委員 会計検査院の見解をまず聞きたいと思います。
  108. 小峰保榮

    ○小峰会計検査院長 本件につきましては、十六万五千四百七十円、先ほどお話が出ました公団が地上権の補償ということで基準にいたしましたのは、二十五万二千円、しかも一年前であります。私どもといたしましてもその点は実は十分に検討したのであります。それで検討いたしました過程におきまして、いま局長からお話がありましたように、私どものほうも実は照会を出したのであります。その回答をいただきまして、その回答を検討いたしましたところが、売り手、買い手の立場、それから従来大蔵省道路とか、そういうようなもののために買収した値段は、一般売買実例として参考資料の中に入れないという立場をとっていたわけであります。これはやはりどうしても買いたいというので、値段が正常価格以上に上がるのが普通である。大蔵省が売り払うときの参考にはこれをしないほうがよろしいという立場をずっと長い間とっておられたわけであります。本件の場合でもその立場をとって、いまの二十五万二千円、これは売買実例とはいえないのでありますが、当時公団でお調べになりました近地の売買実例は二十万円から二十五万円という差が出ていたわけであります。大蔵省売買実例をお調べになったところが、二十万円というものも出ていたわけであります。この二十万円というのは参考にされておりますが、公団の二十五万二千円というのは、いまの道路用地の買収ということで、先ほど申し上げましたように、大蔵省がごらんになっている正常価格の参考にはなるまい、こういうことで入れておられない。会計検査院といたしましては、どうもやはりこういう、それは売り手が強い、買い手が弱い関係にあるかもしれないけれども、やはり現実の事実だから、少なくとも売買実例一つとして考えるべきじゃないか、こういう趣旨で照会したのでありますが、いまのような回答をいただきました。そうしてしかも従来そういうものを参考にしていないが、これからはそれも参考にして値段をきめる、こういう回答をいただきましたので、検査上、これは検査報告に載せて批難するということには実はならなかったのであります。  了解をしたというようにおとりになったかもしれませんが、決して了解なんていうことは検査院はいたしていないのであります。そういうものに了解とかなんとかいうことはあり得ないのでありまして、そういう意味で検査報告には実は載せなかったのであります。これは長い間のやり方大蔵省がそのままとったので、従来そのやり方会計検査院は別に批難したこともございませんし、照会を出したこともないのでありまして、本件だけをつかまえて照会をしていくなり検査報告に載せて批難するというのは控えよう、こういうので検査報告には載せなかった次第でございます。
  109. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうしますと、二十五万二千円と十六万五千四百七十円の差額が坪当たりの差になりますね。そしてそれを百十五・三三坪で掛けますと、かりに二十五万二千円で計算をした場合は、どれくらいになりますか。
  110. 江守堅太郎

    江守政府委員 約二千八百万ばかりになります。
  111. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そんなにはならぬ。百十五・三三に約八万七千円くらいだな、差が。
  112. 江守堅太郎

    江守政府委員 差額でございますか。——二十五万で計算した金額と、国が売り払いました金額との差額は約九百万でございます。
  113. 勝澤芳雄

    勝澤委員 九百万ばかりじゃない、一千万ばかりになるでしょう。−結局、この計算でいきますと首都高速道路公団が二十五万二千円で補償したということを知っていながら、とにかく一年後に十六万五千四百七十円で光った。計算すればわかりますが、とにかく約一千万以上の安い値段で光ったということです。そこで売った値段がわかりました。  売った値段の評価についてここに資料が出されておりますが、この評価を見ますと、利用効率は九〇%、放射二十五号線にあり不整形地となったためということで十四万七千九百三十三円という評価出し、それからもう一つは民間精通者ということで十八万円の資料が出ております。しかしこれはどうも故意評価させた疑いが出ております。したがって、この数字から十六万四千三百七十円という数字をはじいたようであります。これは会計検査院長、よくお聞き願いたい。かつて東大のゴルフ場という問題がありました。文部省から、大蔵省から、会計検査院から、行政管理庁から、とにかくここに来てもらう人たちが全部東大の出身者です。その大部分の人が東大のゴルフ場の会員であったということで大問題になったことがあります。私は、いまこれを調べてみて驚いたことは、平田さんにこの土地を与えるために大蔵省が総動員して、首都高速道路公団にも大蔵省の人がおるんじゃないだろうか、会計検査院にも大蔵省出身の人がおるんじゃないだろうかということを、実は全体を見ると疑いを持つわけです。私はまことに大問題だと思うのですよ。そして一番のきめ手は何かと言ったら、井上義海さんが出てきた。かつて大蔵省印刷局長で、国有財産を払い下げて問題になって、返された人です。この人がそもそも関東財務局長のときに平田さんの土地を探して、とにかく奥さん名前のほうがいいだろう——どっちが教えたか、聞いたか知りませんけれども、そうやっておる。  そこで、次にもう一つ、十年の延納の取り扱いをなぜしたのか、これはひとつ生計局のほうにお尋ねいたします。主計局は歳入予算の財源措置として国有財産売り払い代について国有財産局とどういう協議をされておりますか、まず伺います。
  114. 鳩山威一郎

    ○鳩山政府委員 国有財産の売り払い収入見積もりにつきましては、国有財産局のほうの歳入見積もりをお願いいたしまして、その見積もりを歳入係のほうで検討いたしまして、見積もり額を予算に計上いたしております。
  115. 勝澤芳雄

    勝澤委員 国有財産の売り払い代金の延納の場合、それから庁舎等の特別取得費による建築交換の処分の場合、それから時価三割増の有利の随意契約等その他についての協議事項に対する措置はどうなっておりますか。
  116. 鳩山威一郎

    ○鳩山政府委員 国有財産の払い下げにつきまして問題の取り扱いを御説明申し上げます。  この払い下げにつきましては年間相当な件数がございます。八千件程度の払い下げ件数がございますが、これらにつきましては非常に大量の処分でございますので、国有財産局との間に取り扱いにつきまして包括的な協議——包括協議と呼んでおりますが、この方針につきまして包括協議をいたしております。その内容につきましては非常に詳細にわたっておりますが、大半の払い下げ件数につきましてはこの包括協議によりましていわゆる準則をきめておりまして、それに基づきまして国有財産局のほうで御処理を願っておるわけでございます。その中で特に実際大量的にはそういうことで国有財産局のほうで御処理を願っておりますが、その包括協議の中に入っておらないものが出てまいりますと、これは個別的に協議を受けております。これは随意契約によります場合でありまして、準則によりがたいものにつきまして協議を受けます。この協議の件数は、一般の払い下げ件数につきましては、年間件数はきわめてわずかでございまして、三十九年度におきましては約六件ほどの協議が出ております。これはいずれ準則を直しますれば、こういうこともしないで管財局で全部御処理願っていいのでありますけれども、たまたまこの準則にはそのまま当てはまらないというものがございますと、個別的な協議ということで出てまいっております。一例を申し上げますと、たとえば医療法人に土地を払い下げるというような場合におきまして、一般的には随契ではやっていないのでありますが、その中に特に救急病院であるとか、あるいは精神病院であるというようなものが出てまいりますと、これにつきましてはその公共性にかんがみまして随契で払い下げいたすというようなことを協議を受けております。また、新しい公団とか事業団とかいうものができますと、これらのものにつきまして、たとえば畜産振興事業団というようなものに用地が要るというようなものにつきまして、従来の準則では載っておりませんので、個別な協議を受けてやるというような例がございます。あるいは中小企業指導センター、こういったようなものも個別協議でございます。また、いろいろ産業助長のために土地を払い下げておりますが、その中で業種が指定に漏れておるようなものがありまして、それにつきまして中小企業の工業団地をつくるからというようなことで協議がありまして、随契で払い下げるというような協議もしております。その他、あるいは学徒援護会に払い下げをいたすとか、そういった場合につきましてやっております。そのうちで学徒援護会は、これは貸し付けの例でございます。それから中小企業指導センターの場合は建築交換ということで協議を受けております。また先ほどの医療法人の場合も、現実に協議を受けたケースは建築交換の事例でございます。ほかに建築交換は相当いたしておりますが、これもやはり匂括協議をいたしておりまして、その準則に従いまして国有財産局のほうで御処理を願っておるというようなことになっております。
  117. 勝澤芳雄

    勝澤委員 この延納という取り扱いは、私は、金のない場合に、やはり何とか延納させなければいかぬという場合にすべきだと思うのです。しかし今度のような場合には、延納させる理由というものは見当たらないのじゃないですか。延納させた理由というものはどこにあるのですか、ちょっと説明してもらいたい。法律上の問題じゃない、事実上の問題です。相手が金があるにかかわらず、これは延納させているじゃありませんか、ばく大な補償金を取って・・。
  118. 江守堅太郎

    江守政府委員 延納は、仰せのとおり一時に納付することが困難な場合に認めるということでございます。一時に納付することが困難であるかどうかということでございますが、私どもの仕事の扱い方は、法人の場合でございますと、一時に納付することが困難であるかどうかということは、いろいろな資料で比較的判断しやすい。ところが個人の場合においては、一時に納付することが困難であるかどうかということは、そういった計数的なものとして把握することが非常に困難であるというような事情もございますために、個人の場合におきましては延納のお申し出がありますれば、これは延納させても確実に回収できるというふうに判断いたします限り、大体そのお申し出を認めるという扱いをいたしております。本件につきましても、そのようなことで延納の許可をしたということでございます。  仰せの点は、とにかく多額の補償金がその少し前に入ったじゃないか、そんなにたくさん金がありながら一時に支払うことが困難とは何だという御質問でございますが、相当多額の補償金をお受け取りになりましたが、そのうち借地権補償というものを除きましては、少なくともたてまえとしてはおもらいになったけれども、その次にお使いになるべき金であるということでございます。借地権補償金額は五百万足らずの金でございますが、延納を認めます際にも、たとえば千九百万の延納ですと、十年の延納ならば年々百九十万ずつでそれに六分五厘の利子を掛けるというのではありませんで、金額その他によりましてまず頭金をいただくことになっております。本件におきましても、当初頭金として五百七十二万円をいただいておりまして、ちょうどその補償でお受けになりました金額で、考え方としては浮くという金は直ちに即納していただいて、あとの分につきましては月々の所得の中からお払いになるということになりますので、とうてい一時にお支払いになることはむずかしかろうという判断をいたしまして、延納を許可したのでございます。
  119. 勝澤芳雄

    勝澤委員 庶民が土地貸してくれという申請をしても、売り払ってくれという申請をしても、二年や三年待たされるのはこのごろではもうあきらめておる。しかも延納ということは、延納させてやるのだといって、それも恩恵的に与えられている。ありがとうございます——ところが本件を見てみると、それはまるきり逆です。まことに私はおそろしい状態だと思うのです。そこで前会、私はこの売り払い関係資料について要求をいたしました。本省の課長以上、各財務局それから国税庁の部長以上の売り払い関係調書、そしてこの詳細な出し方についても委員会を通じてお願いをいたしておりますが、大体いつごろこの資料ができそうですか。
  120. 江守堅太郎

    江守政府委員 まず、相当時間がかかるということを申し上げざるを得ないのでございます。と申しますのは、終戦後の財務局の部長以上それから本省の課長以上ということになりますと、相当の人数でございます。しかもそれらの人々が国有財産の売り払いを受けたかどうかと申しますことは、それぞれの年度の売り払い決議書を一々チェックいたしましてやらなければなりません。その仕事をいたしますのは、たとえば私が行ってやりますならば、名前を見ただけでこれは大蔵省のどこの人だということはすぐわかるわけでございますが、実際やりますのは財務局に入りまして五年ないしは十年の人たちでございまして、その人たちは売り払い決議書を見ましただけでは、大蔵省の出身の財務局の部長である、あるいは本省の課長であるか局長であるかというようなことは直ちにはわかりにくい。したがいまして、そういったものを照らし合わせながら、一つ一つチェックしていかなければならないということでございますので、全体を出すということになりますと、これは相当の時間をかけざるを得ません。いまも関東財務局へ本省の昔の事情をよく知っております者がおりますので、行ってやっておりますけれども、そういうやり方をいたしましても相当時間がかかるということでございまして、あとどのくらいで出せるかということは、私いま自信を持ってお答えをすることができないのでございます。
  121. 勝澤芳雄

    勝澤委員 出すということは、この前あなたは大臣のおられるところで御答弁したのですから、大臣も当然だということで約束したわけですから・・。それじゃとりあえずどうですか、しぼって東京都の中の分だけ、五月十日まで出していただけますか。
  122. 江守堅太郎

    江守政府委員 東京都の中の分だけと申しますと、要するに関東財務局で調べるということでございますが、具体的には昭和二十三年度の売り払い決議書を倉庫の中に行って出しまして、さっき言ったような形で見てやるわけでございますから、これはなかなか五月十日までということは、私自信を持って御返事できません。またそういうことを申し上げると、私はうそになると思います。やはり相当時間をお貸し願えませんと出せないということしか、私は申し上げられないのであります。
  123. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それじゃとにかく五月十日現在で、どの程度までどういう人が出てきたかということを資料出していただきたい、それはできますね。五月十日までにわかった人について・・。
  124. 江守堅太郎

    江守政府委員 委員資料としてでなく、勝澤委員に個別的にお話にまいるということはできるかと思います。
  125. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それから会計検査院長に、先ほど二十五万二千円、十六万五千四百七十円、このいきさつもあったようでありますが、この関係の書類をひとつお出し願いたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  126. 小峰保榮

    ○小峰会計検査院長 いまの二十五万二千円の関係と申しますと、これは公団のほうになるわけであります。それから十六万五千円の資料ということになると大蔵省、こういうことになるわけであります。両方私のほうで出すといっても、結局公団大蔵省からお出し願ったものを与して出すわけでありますが、それでよろしゅうございますか。
  127. 勝澤芳雄

    勝澤委員 いや、そうでなく、あなたのほうで何か照会したでしょう。
  128. 小峰保榮

    ○小峰会計検査院長 照会の写しでございますか。——承知しました。
  129. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それで院長、あまりそう出てきてもらうときがございませんので、最後にこの平田さんの問題について、国有財産貸し付け、売り払い処分の方法について、私は法律的には問題がないと思うのですけれども、しかし会計検査院としてはどういう御見解を持っておられますか。いま貸し付けから売り払い、補償金を通じて・・。
  130. 小峰保榮

    ○小峰会計検査院長 平田敬一郎氏に対する売り払い、会計検査院としてはどう思っているか、こういう御質問でありますが、これはやはり大蔵省と同じように、法律的に一応違法ということはないのでありますから、会計検査院としてはそういう程度のお答えしかできないんじゃないかと思います。法律上の違法というような事態は全然ございません。
  131. 勝澤芳雄

    勝澤委員 この問題を見てみますと、まことに私は驚いたことだと思います。これは世間で聞けば、全くこういうことがあるのかと思います。土地を、かつての井上さんに探させて、それを国税庁長官ではまずいからということで、奥さん名前で借りた。そうしてたまたまおやめになって開発銀行総裁になってから、しかもまことに安い値段で払い下げをして、条件もまた特別の有利なやり力にいたしておる。また、補償金の問題にいたしましても、首都高速度道路公団で千二百万というばく大な補償金をしている。全くぬれ手にアワ、たなからぼたもち、十年前に大蔵省の印刷局長国有地を払い下げて総攻撃を受けて土地を返したという例があります。やはりこの際大蔵省として、何らかこの問題について考えなきゃならぬと私は思うのです。きょうも実は平田さんを参考人で来ていただこうかと思いました。しかし、もう少し事実が明確になってからのほうがいいだろう、本人にもお考えをする余地を考えたほうがよいだろうということで、実は参考人の要求をしていないのであります。しかし、政務次官もおりません。局長でははなはだ答弁もしにくいでしょうから、次に大蔵大臣に来ていただき、平田さんにも来ていただきまして、そうしていま新しく出てきました資料についてもお出しを願って、その上でこの問題の世間が納得する処理をいたしたい、私はこう思うわけでありまして、ひとつその点はいまの経過を、今度は議事録ができ上がって、議事録を大蔵大臣によく読んでもらっておいて、そして対処の方法をお考えになってからひとつ来ていただこう、こう思っておりますので、ぜひ十分大臣と打ち合わせをし、一体どうしたらいいかという御相談をしておいていただきたいと思うのですが、いかがですか。
  132. 江守堅太郎

    江守政府委員 かしこまりました。十分相談いたします。  それから、先ほどの資料のことについて、一言でございますが、それは先ほど申しましたように、非常に時間がかかる要素があるということのほかに、国有地の売り払いを受けたと申しますけれども、それはいわば当然であるというような例もございます。と申しますのは、自分のうちを持っておるわけでございますが、その下が借地であった。その土地を持っておられた方がその土地を物納されたというような場合に、その建物を持っておる者が大蔵省の課長でありましても、下の土地をもし買いたいということがあれば、売るのはこれは当然であります。そういうようなものも中にたくさん入っているわけでございます。それを仕分けをいたしませんと、世間では、ずっと出しますとみな一律にこう判断されるわけで、そうなりますと、さっき言われたような方には非常に御迷惑をかけるというようなこともありますので、そういった面からも非常につくりにくいという点があることをお含みおきをいただきたいと思います。ですが、せっかくあれをいたしまして御相談してまいりたいと思います。
  133. 勝澤芳雄

    勝澤委員 私が先ほど申し上げましたように、大蔵省とか、会計検査院とか、裁判所というところに問題があると、国民はたいへん疑惑を打つし、また役人の中でも心配をしているわけです。また、いろいろ聞いてみますと、終戦当時土地が売れなくて困って、とにかく何とか買ってくれと言って歩いた時期もあったということも私も聞いております。ですから、私は、不当に問題をついてしまおうとは思っていないわけであります。しかし、あまりにも極端な問題についてはこの際やはりきっちりしないと国民にますます疑惑を持たせますから、ですから、疑惑を持たれない処理をいたしたいと私は思っている。そうむちゃな要求をいたしているとは思いませんので、十分御検討願いたいと存じます。  最後にひとつ資料要求をいたしておきます。これは南九州財務局管内の熊本市の東町所在の国有地約十万坪を百六名の農民に昭和二十二年から農地として現在まで貸し付け、耕作をさしておりますが、数年前から払い下げ申請書が提出されているにもかかわらず、いまだに方針が決定していない。その理由と、右土地貸し付け管理状態経過資料としてお出し願いたいと存じます。よろしゅうございますか。
  134. 江守堅太郎

    江守政府委員 かしこまりました。
  135. 勝澤芳雄

    勝澤委員 今度は大臣が来たときにやることにして、きょうは終わっておきます。      ————◇—————
  136. 堀川恭平

    堀川委員長 それでは、この際参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  すなわち、国有財産増減及び現況に関する件中、河川敷地の管理に関する問題調査のため、本委員会に参考人として関係者の出頭を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  137. 堀川恭平

    堀川委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  なお、参考人の出頭日時及び人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  138. 堀川恭平

    堀川委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  次会は公報をもってお知らせいたすこととし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十七分散会