○宮澤政府
委員 ただいまの
総裁の御答弁を多少補足して申し上げますと、この経緯は
勝澤委員、十分御承知のとおりであろうと思うのでございますが、全国的に住宅不足を解消するというようなことから、一般住宅、特に
公団住宅につきまして、やはりその建設が促進されるような措置を税制面としても協力をしていくべきではないか、こういうことで起こったわけでございます。先ほど来御指摘のように、従来は行政
指導と申しますか、おのおのの自治団体が、その判断に従って条例で減免をするわけでございますが、自治省といたしましても、
公団住宅の性格にかんがみて、なるべくそういう方向で処置をしてもらいたい、こういうことで通達
指導をいたしてきたわけでございます。その結果の数字は、先ほど
公団総裁から申し上げたような数字でございます。しかしなかなか、通達ということになりますと、やはり自治団体の自主性と申しますか、判断によりまして区々にわたるおそれがありますので、昨年
法律を改正いたしまして、これも先ほど
総裁から御
説明がございましたが、一般の住宅につきましては、三年間二分の一軽減をいたすわけでございますが、それに加えまして、特に中高層の建設を促進する、
土地利用の高度化というような見地から中高層の住宅建設を促進をするということで、三階、四階、つまり四階までのものにつきましては、五年間二分の一、それから五階以上の高層建築につきましては、十年間二分の一、こういう
法律の特例措置を講じたわけであります。したがいまして、財政上の問題といたしますと、御承知のように交付税をもらっております団体におきましては、財政需要と財政収入、その差を交付税で埋める、こういうことになっておりますが、
法律上の制度ができましたので、
公団住宅の税収が入ってきません分、特例措置によりまして減税が行なわれております部分は、この団体の基準財政収入額の減になってまいりますから、自動的に交付税で措置をされる。一応そういう制度的な保障が得られているわけでございます。したがいまして、
法律改正以後につきましては、先ほど来いろいろ出ておりますような財政上の問題点は別にいたしまして、税制上の問題点といたしましては、従前のようなことはなかろうと思うのでございます。したがいまして問題は、先ほ
ども御指摘になりましたような従前通達措置で
指導しておりました当時のものについての税負担の問題があるわけでございまして、これはやる市町村とやらない市町村と区々でございます。私
どもとしてはなるべく国の方針に沿ってやってもらいたいとは思っているのでございますが、またやらない理由といたしましても、財政上の問題が主でございますけれ
ども、ことに比較的規模の小さい市町村で大きい団地ができますと、そこから上がります税収入というものはかなりなウエートを占めるわけでございまして、財政上の問題が主でございますが、やはり従といたしまして、その市町村にとりますと、
公団住宅に入っております階層は、一般の人に比べますと何と言っても所得水準も高い、こういう印象を一般の
公団住宅住民以外の市町村の住民が持つわけでございます。そういう住民感情からも、市町村としてはなかなかその
公団住宅について特例措置を設けることがやりにくい、こういう理由もあったようでございます。単に財政上の問題ばかりでなくして、そういう市町村の住民感情からいって、
公団住宅だけ特別措置をするということにあきたらない面がある、そういう点もあったようであります。根本はやはり従前通達
指導でございまして、市町村の自主性というものも尊重されなければならないわけでございまして、と申しましてこれについてトラブルが起こって、それが拡大するというようなことも私
どもとしていかがかと思われるわけでございますので、財政的には先ほど申しましたように特別交付税でその間の間隙を相当
程度埋めていくというような配慮をいたしまして、従前のものもなるべくこの措置が円滑にまいりますように考えているわけでございます。