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1965-04-06 第48回国会 衆議院 決算委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年四月六日(火曜日)    午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 堀川 恭平君    理事 壽原 正一君 理事 田村  元君    理事 福井  勇君 理事 勝澤 芳雄君    理事 田原 春次君       根本龍太郎君    神近 市子君       栗原 俊夫君    堂森 芳夫君       森本  靖君    山田 長司君       吉田 賢一君  出席国務大臣         通商産業大臣  櫻内 義雄君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     渡邊喜久造君         通商産業政務次         官       村上 春藏君         通商産業事務官         (大臣官房長) 熊谷 典文君         通商産業事務官         (大臣官房会計         課長)     後藤 正記君         通商産業事務官         (通商局長)  山本 重信君         通商産業事務官         (重工業局長) 川出 千速君         通商産業事務官         (繊維局長)  新井 眞一君         通商産業事務官         (鉱山保安局         長)      川原 英之君         特許庁長官   倉八  正君         中小企業庁次長 影山 衛司君  委員外出席者         会計検査院事務         官         (第四局長)  小沢 定司君         会計検査院事務         官         (第五局長)  宇ノ沢智雄君         中小企業金融公         庫総裁     舟山 正吉君         中小企業信用保         険公庫理事   佐々木彰一君         専  門  員 池田 孝道君     ————————————— 四月二日  委員神近市子君及び森本靖辞任につき、その  補欠として井伊誠一君及び小松幹君が議長の指  名で委員に選任された。 同日  委員井伊誠一君及び小松幹辞任につき、その  補欠として神近市子君及び森本靖君が議長の指  名で委員に選任された。 同月六日  委員竹山祐太郎辞任につき、その補欠として  瀬戸山三男君が議長の指名で委員に選任され  た。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  昭和三十八年度一般会計歳入歳出決算  昭和三十八年度特別会計歳入歳出決算  昭和三十八年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和三十八年度政府関係機関決算書  昭和三十八年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和三十八年度国有財産無償貸付状況計算書  昭和三十八年度物品増減及び現在額総計算書  (通商産業省所管通商産業省関係政府関係機  関関係)      ————◇—————
  2. 堀川恭平

    堀川委員長 これより会議を開きます。  昭和三十八年度決算外三件を一括して議題といたします。  本日は通商産業省所管決算について審査を行ないます。  まず、通商産業大臣から概要説明を求めます。機内通商産業大臣
  3. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 昭和三十八年度決算概要につきましては、お手元に印刷物をお配りしてございますので、それによって御承知おきいただきたいと思います。何とぞ御審議のほどをお願い申し上げます。
  4. 堀川恭平

    堀川委員長 委員各位のお手元に配付してあります昭和三十八年度決算説明書は、便宜委員会議録に掲載いたしたいと存じますので、さよう御了承願います。  次に、会計検査院当局から検査概要について説明を求めます。小沢会計検査院第四局長
  5. 小沢定司

    小沢会計検査院説明員 通産省関係昭和三十八年度決算報告概要につきまして簡単に御説明申し上げます。  五一八号から五二四号までの案件は、国から支出いたしました中小企業近代化促進補助金財源といたしまして都道府県が行なっております中小企業者に対する貸し付け金運営につきまして、貸し付け当否及び貸し付け金使用状況検査いたしましたところ、対象設備を購入していないものに貸し付けたりまたは他の金融機関から長期資金を借り入れて設備を購入しているものに貸し付けたりしているなど、資金使用が当を得ず、ひいては国庫補助金所期目的を達していないと認められるものでございます。また、都道府県における貸し付けの時期が遅延するなど本制度趣旨に沿わない結果を来たしている実情にかんがみまして、昭和三十九年十月、本資金運営に対しまして通商産業大臣あて改善意見を表示いたしました。  それから次の五二五号から五二八号までの案件は、国から支出いたしました高度化資金貸し付け金財源といたしまして、府県が行ないますところの貸し付け金運営につきまして、貸し付け当否へ及び貸し付け金使用状況検査いたしましたところ、貸し付け対象とならないものに貸し付けるなど、資金使用が当を得ず、ひいては国の貸し付け金所期目的を達していないと認められるものでございます。  次に、改善意見を表示いたしましたものは、先ほど述べました中小企業近代化資金運営に関しまするもののほか、「履物にかかる普通輸出保険包括保険運営」に関するもの、「機械類賦払信用保険運営」に関するものでございまして、検査報告の一二三ページから一二八ページまでに掲記してございます。  簡単でございまするが、以上をもちまして概要説明を終わりたいと思います。     —————————————
  6. 堀川恭平

    堀川委員長 次に、政府関係機関当局である中小企業金融公庫中小企業信用保険公庫からの資金計画事業計画等につきましての説明は、便宜委員会議録に掲載いたしたいと存じますので、さよう御了承願います。     —————————————
  7. 堀川恭平

    堀川委員長 これにて説明聴取を終わります。  これより質疑に入ります。質疑の通告がありますので、順次これを許します。勝澤委員
  8. 勝澤芳雄

    勝澤委員 大臣のいらっしゃる間に少しお尋ねいたしますが、鉱山保安監督行政の問題でありますが、これは災害があるつど、この保安監督行政通産省のもとで行なわれるというよりも、むしろ労働省立場保安監督行政というものを行なうべきではないかという意見が出るわけでありまして、そのつど、通産大臣なり労働大臣からいろいろ見解も述べられるわけであります。先般の炭鉱事故におきまして、三月二日の本会議におきましては、石田労働大臣は、保安監督行政については、「今回の事故にかんがみ、この問題について検討をいたさなければならない状態にきておると考えておる次第でございます。」とこう従来と変わった答弁が労働大臣からなされているわけであります。私も保安監督という立場から考えますと、産業保護発展をさしていく立場を相反する、こういう点からやはりこの際検討をして調整をすべきではないであろうか、こう思うのですが、大臣の御所見を承りたいと存じます。
  9. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 労働大臣がいまお話のごとく述べられたことは私承知しております。しかしながら、検討をされるというお立場でございまして、その場合における通産省責任者としての私の意見は、これも委員会、本会議を通じて明らかにしておるのでありますが、たとえば最近の鉱山災害状況を見まするに、保安経営の面、こういうものは分離することができないという見地をとっておるわけでございます。すなわち、作業を進めていくにあたりまして支柱を立てるとかあるいは水を排除するとか、まずそういうことが行なわれて採掘ということになっていく、これなくしては作業は進められないという実情にございます。こういう見地からして分離ができない。また最近における経営者として特に考えるべき問題は、あくまでも保安というものをまず念頭において仕事をしなければならないという実情にきておるのではないか、この点については、総理からもしばしばお答えがあったようでございます。すなわち、保安を無視して作業を進めることによって、そこにもし大きなあやまちがあれば損害をこうむる、それは経営の実態にも関係してくる。したがって、経営とか作業をする上において、まず保安というものをよく頭においてやるべきであって、これは一体のものだ、かように見解を申し上げておるわけであります。さらに高度の科学技術の進歩いたしました重化学工業施設などを考えましても、やはり同様の趣旨のことが言えるかと思うのでございまして、労働大臣がいろいろ検討されるという御意見を吐露せられましたが、その機会には、私どもの意見を十分申し上げる考えでございます。
  10. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこで私は、企業を育成する立場通産省鉱山局あるいは石炭局、こういう立場の人と、それから鉱山保安局という立場の人と、人事交流というものをもし通産省でやるとするならば、これはやはり企業を育成する立場の人と、保安監督をやる立場の人と相互交流することの是非という問題について、少し検討してみる必要があるのではないだろうか、こう思うのですが、そういう点についてはいかがですか。
  11. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 これはお話のような必要性もございましょう。また、純粋の保安技術見地に立つ人も必要であろうと思うのであります。これは弾力的に考えていくべき問題ではないかと思います。
  12. 勝澤芳雄

    勝澤委員 事故があるたびに、この問題は古くして新しい問題として出てくるわけでありまして、出てきた当初というものは、少し前向きでものを考えようという形にはなるわけであります。ですからやはり私はそう考えてみますと、その企業そのものを育成しようという立場のものの見方というものと、公害なり保安を守ろうという立場とは、どうしてもそこにギャップがあると思うのです。それは公害の問題がしかりだと思うのです。企業立場からいうならば、何も利益にならないような公害施設というものはなるべくやめていきたいというのが、今日の状態でありまして、今日にっちもさっちもいかなくなって、そして産業公害なりあるいはガスなりあるいは空気の汚染とかいうことで騒いでおるわけであります。これもただ単に騒いでおるだけでありまして、本質的にそれにたくさんの金を入れて直そうというところまでにはなかなかなっていないわけであります。それはなぜかといえば、資本主義の社会においてはやはり採算に合わないものであるからであります。ですからそういう観点から考えてみますと、やはりこの際、何回となくこの問題はいわれておるわけでありますから、いま一歩進めた問題の解決のしかたといいますか、これは通産省でやっていることを労働省でやるなんといったら、通産大臣でさえなかなかできないことだと私もいまの行政機構の中で思いますけれども、考え方としては一致できる点があるわけでありますから、そういう点の解決を私はぜひ願いたいと思うのです。いかがでしょうか。
  13. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 考え方を変えていくということについて私は異論はないのであります。しかしながら、私が就任当初昭和電工の災害があったとか、あるいはさかのぼって一昨年の三池の大災害があったとか、また公害問題がきわめてやかましいおりに、私就任をいたしました。したがって、その場合に私がずばりと申し上げましたのは、これからの近代経営者は新しい産業道徳の上に立ってものごとを考えてもらわなければならない。既往の問題でいろいろ公害問題あるいは災害に対する懸念がございます。それらについては、なるほどこれを改善するために巨額の費用を投じて、採算上から考えて無理な点もある場合がございましょう、しかしこれから企業をやる者はすべて公害とか災害に対して万全を尽くしていくことが当然だと思うのであります。総理がしばしば言われるように、もしそこに公害問題が起き、災害問題が起きれば、企業の根底をゆるがすことである、したがって、これからの経営者はそのことをよく考えなければならないということを申されましたが、私はそれとともに、非常に高度の技術の発達した近代経営事業の上からいたしますならば、新しい産業道徳という見地の上ですべての経営を考えていく必要性がある。でありますから、私は保安とかあるいは公害災害、そういうものが経営とか作業とかとは切り離せない、一体である。むしろ優先して考えられて、初めてりっぱな経営が成り立つ、作業が成り立つ、こういう見解をとっておるのでありまして、そういう点で勝澤委員のおっしゃるような、考え方をこれから変えていかなければならぬということになろうかと思います。また過去における施設等で問題が起こる、そういうものにつきましては、これは政府助成策をすべきであろうということから、今回の事業団であるとかあるいは低利の金融をつけるとか、税制上の優遇措置をするとかいうようなことで、できるだけ問題が起きないように促進をする施策をとっておる、こういうことであります。
  14. 勝澤芳雄

    勝澤委員 鉱山関係はそれで終わりまして、次の問題でございますが、日本貿易振興会ジェトロ関係であります。御案内のように各省の中で、たとえば道路公団住宅公団あるいは首都高速、あるいはまた運輸省の中には国際観光振興会というようなものがある。これの問題は、その所属と申しますか、省との人的交流の問題であります。どうしてもそれは便宜主義的な人的交流が行なわれているのではないだろうか、こういう点についていささか私も疑問を持つわけであります。やはりジェトロを見てみますと、ジェトロジェトロ自体の本質的な目的があるわけでありますけれども、やはり通産なり大蔵なり一時的に行ってはまた戻ってくる。こういうことが悪いとは私は申し上げません。ただ足かけ的に行ってくるというだけではないだろうか。過般商工委員会議事録を詳細に見てみましても、あまりにも管理職主管省出向が多過ぎるのじゃないだろうか、こういうことが言われておったわけでありまして、こういう観点から、ジェトロというものは現在はまだまだ人的の要素というものが少ないから、その主管専門家人たちが行き来するのもやむを得ないと思うのですけれども、やはりある時期に来たらこういうものが一本の形で運用されるようなやり方をしなければならぬだろう、こういうように思うのですが、そういう点についていかがでございますか。
  15. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ただいまの御意見については、私同感をする点が多々ございます。このジェトロの問題につきましては、私としては就任後そのような傾向をでき得る限り排除してまいったつもりでございますが、確かに構成人事の中に出向組の多いことは否定はできません。今後これを改善していきたいと思うのであります。ただ貿易振興会のほうも、発足をいたしまして相当な長期にわたってかかる運用をしてきたというのではないのでありまして、どうしてもこういう機構ができました当座におきましては、経験者が乏しいのでございまして、省内から起用するとかあるいは関係各省のほうから起用する場合が多いことは否定ができないと思います。またときにはそういう人も必要であることはいまお話にあったとおりでございますが、改善をしていくことについてはやぶさかでございません。
  16. 勝澤芳雄

    勝澤委員 次に、大臣がいらっしゃる間に、特許の問題についてお尋ねいたしますが、特許あるいは実用新案事務処理というのですか、こういう点がだいぶおくれておるというのを各所で聞くわけでありますが、この実情はどうなっておりますか。長官がいらっしゃったら御説明願いたいと思います。
  17. 倉八正

    ○倉八政府委員 いま御指摘のとおりに非常におくれておりまして、現在特許実用新案は出願されましてから大体三年六ヵ月かかっております。それから意匠商標というのが二年三カ月かかっておりまして、非常に御迷惑をかけて申しわけないと思っておりますが、これを今後の計画では、特許実用新案を二年に短縮する、それから意匠商標を大体一年程度に短縮したい、こういう計画で進んでおります。
  18. 勝澤芳雄

    勝澤委員 計画はよろしいのですが、具体的にはどういう形でそういうふうになっていくのですか。あるいは滞貨件数は大体どれほどあるのですか。
  19. 倉八正

    ○倉八政府委員 いま二点御指摘になりましたが第二の滞貨現状を申し上げますと、今年度三十九年度末で滞貨というのが五十八万件でございまして、これは約三年八ヵ月分の滞貨をいま持っております。それから今後四十年度につきましてはこの滞貨が大体六十二万件程度になろうかと思います。四、五万ふえるわけでございます。  しからばどういうやり方でこれを処理する方針を持っているかということでございますが、第一に人間の充実をはかるというのが一つの柱でございますし、それから第二が、いま少し能率化をはかる、たとえば機械を入れたり、あるいはいまの手続を簡素化するといういわゆる能率化の問題、それから、第三の問題といたしまして、いまの工業所有権制度が相当古くなっておりますから、これを根本的に改正する方途はなかろうか、こういうことで進んでおりまして、大体この三つというのが今後の大きい柱としてわれわれがとる方針だと思います。
  20. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうすると、三十九年度末で五十八万件、四十年度で六十二万件、ますますふえていくわけでありますが、四十年度では、人はどのくらいふえたのですか。
  21. 倉八正

    ○倉八政府委員 先般御審議いただきまして、御通過願いました設置法関係では九十九名の増員でございますが、実質的には、欠員の不補充の解除を受けまして、百二十三名の増員を受けます。その中で、中心になります審査官というのが九十九名の増員でございまして、前年度が七十名の増員、今度が九十九名の審査官増員ということで相当大幅な人の充実をはかっている次第でございます。
  22. 勝澤芳雄

    勝澤委員 人員がちょっとふえたというのですが、毎年また申請が激増していくわけでありますが、そういう点から考えますと、この三十九年度末五十八万件というのが、四十年度末、いまの人員を操作してやはり五十八万件より減っていくのですか。どういうことになるのですか。
  23. 倉八正

    ○倉八政府委員 大体今年四十年度が山とわれわれは見込んでおります。というのは、出願件数が毎年五%ずつ伸びていくということを前提にしますと、四十年度の六十二万ないし六十三万件が山だと思います。と申しますのは、審査官の養成というのが四年間かかりまして、初年度が一〇%の能力、それから二年度が六割、三年度が九割、四年度にいきまして大体一〇〇%の稼働率を持つ。一〇〇%というのは、一年間に特許に直しますと二百八十五件処理できるという能力がございますが、それが四年目になって大体フルに一〇〇%働くというのがいまの教育計画でありますし、またそれが現状でありますが、それをずっと過去にさかのぼってみますと、いままでに毎年毎年増員したのが、来年くらいになりますとフル稼働にくる人員が非常にふえてまいります。それと、さっき私がちょっと触れましたように、来年の通常国会あたりで、いまの手続なら手続、あるいは根本的なら根本的改正なりをはかりましてこれの滞貨処理に当たるとすれば、今年度が山でありまして、来年からは次第に減っていくということははっきり申し上げられると思います。
  24. 勝澤芳雄

    勝澤委員 特許庁歳入歳出予算現況を調べてみますと、たとえば三十九年度での歳入が十六億三千五百万、歳出が十三億三千九百万で、二億九千六百万の利益をあげているわけですね。あるいは四十年度におきましても、十九億二千四百万円の歳入に対して歳出が十六億七千百万円で、これも二億五千三百万円の歳入増を生じているわけですね。こういう点から考えてみれば、やはりこれに見合った人員を増加して、そうしていまの滞貨現況というのは早急に解決しなければいかぬじゃないかと思うのです。三年六ヵ月にもなっておる現状というのは、私はあまり好ましいと思わないのです。この問題はやはり何らかの形で早急に解決しなければならぬと思うのですが、大臣、その点いかがですか。
  25. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 長官が先ほどから御説明のように、これは年度計画を立てまして解消していくようにつとめております。また特許申請事務手続等がいろいろ改善すべき点もあろうかと思いましてこのように多数の滞貨を持っておるということはまことに遺憾でございますので、極力そのようにつとめたいと思います。
  26. 勝澤芳雄

    勝澤委員 実は私も、特許とか実用新案というものはあまり知らなかったわけでありますが、最近、私のほうの吉原で、製紙の機械をめぐって少し事件がありまして、無断使用か何かで、一千万以上罰金みたいなものを払って解決した事件がありますが、そういう点から考えてみると、これはなかなか重要なものらしいのです。私よく知りませんけれども、やはりこういうような滞貨を生ずるということは好ましい状態ではないわけですから、これはやはり今日の商業上の問題から必要であるわけでありますから、私は積極的な解決策というものを大臣にぜひ要望いたしておきます。
  27. 山田長司

    山田(長)委員 関連して、大臣にちょっと伺っておきます。  実は昨年アフリカのほうへ旅行したのでありますが、そのときたまたま、アフリカの現地におられる日本の商社の人たちが、ことしの五月から七月までの日本商品の宣伝のキャラバン隊のことを話しておりました。おそらくその計画が進んでおるものと思いますが、五月から七月までの間におけるキャラバン隊出発を前にして——これはやはりジェトロの組織で計画されているものだと思われますが、これが成功するか不成功に終わるかということにつきましては、日本商品海外市場獲得のためにゆゆしい、重大な問題だと思う。通産当局もこれが指導を十分、怠らずやっておるものと思っておりますけれども、これらについて、通産大臣にひとつ所見を伺っておきたいと思います。
  28. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 キャラバン隊具体的計画につきましては、ただいま通商局長おりますので、必要があれば御説明申し上げさせます。  なお、私といたしましては、アフリカに対する貿易は、御承知のごとくにやはり片貿易国が多いのでございまして、これが改善をしなければならないと思います。IMFの大会のおりにも関係国の方が通産省にお見えになりまして、一つには、ヨーロッパを経由して間接的な貿易の場合がございまして、この改善の必要があろうかと思います。また、相手国日本に対する輸出希望品目が相当ございます。これらについて、良質な、安定したものの供給のし得るように進める必要もあろうと思うのであります。もとより、わが国の繊維商品中心とする売り込みも必要でございますが、どちらかといいますと、現在片貿易になっておる、これをいかにして是正しつつ貿易を拡大していくか、ここに重点があろうかとかように思う次第でございます。
  29. 山田長司

    山田(長)委員 かくのごとき事態はわれわれも想像しているわけですが、期間も相当長いことで、このキャラバン隊設備あるいは内容等につきまして知ることができないでおるわけですけれどもたまたまきょうの一時に、最初キャラバン隊一行につけようとした計画が、それが医薬品に関したりお医者さんに関したりする場合には、必ずしも各国ともこれを喜びとしないという実情から、きょう調査員が二名、日本大学のお医者さんが出発をするようであります。これはもちろんキャラバン隊とは別ですけれども、おそらく外務省当局に、これについて相当いろいろと便宜をはかってもらえるものと思うのでありますけれども、これらの調査も相当このキャラバン隊に関連のある仕事がなされると思うのです。外務省当局だけでなく、やはりこれらのジェトロの活動については相当通産当局が力を入れておることはわかるのですけれども、聞くところによると、予算も九千六百万からの予算使用されているという話のようですが、通産当局のこれらに対する指導はいかようになされてこのキャラバン隊は出るわけですか、一応大臣が知っておれば大臣に伺いたいと思います。
  30. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 通商局長から一応お答えさせます。
  31. 山本重信

    山本(重)政府委員 いまお話しございましたアフリカへのキャラバン隊につきましては、かねてからアフリカの市場が年々重要性を持ってまいっておりますので、かなり計画的に現地で日本品の展示をしようという計画を立てることになった次第でございまして、とりあえず東部アフリカと北部アフリカの二地区を分けまして、今回は東アフリカにつきまして七月から約三カ月巡回をすることになっております。この実施の主体はジェトロでございまして、ジェトロ通産省とはこの問題につきましても表裏一体となっていろんな問題を相談してまいっております。キャラバン隊の編成は展示をする車が十八台、そのほかのものも含めまして二十五台で七カ国を回って歩く次第でございます。  それからいまお話しございましたお医者さんでございますが、いろいろ健康のこともございますので、あるいは医者に一緒に行ってもらうようにしたらという計画もいろいろ検討してみたのでございますが、現在のいろいろの医師法と申しますか医薬法との関係もございまして簡単にできませんので今回は見送ることにいたしまして、なおさらに今後の計画については慎重に検討しよう、こういうことにいたしておる次第でございます。
  32. 山田長司

    山田(長)委員 なお、アジア地域にわたりましてアジア経済研究所なるものが設立されておって、これに何億という金が出資をされておるわけでございますが、通産当局が今日までこのアジア経済研究所なるものから得ている資料及び大臣のこれらに対する力の入れ方というものについての御所見を伺っておきたいと思います。
  33. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 アジア研究所の報告の概要を後ほど関係者から説明させますが、申し上げるまでもなく、日本にとりましてアジア各国はきわめて重要な関係にあるわけでございまして、他の西欧諸国と比較いたしましてこれらの国に対する十分なる資料の収集、調査というものは当然必要だろうと思うのであります。またそういうものによりまして通産省の考えております貿易の拡大の上にも寄与できるものと思います。現在特に東南アジア諸国におきましては、わが国の貿易を発展せしめる上に各種の問題を持っております。たとえば一次産品の買い付けの要望が強いが、これが日本の国内産業に対する影響も無視ができないわけであります。さらに相手国日本の商品を買ってくれる要素を持っておりましても、外貨事情が非常に悪いという場合もございます。また、日本が買いつけても安定した良質なものでないためにたよりにならないという問題もございます。そういたしますと、それらの外貨事情をどういうふうにして改善していくのか、また日本と緊密な連絡の上に、日本として必要な原材料を輸入する上にどうやったならばやっていけるのか。よく言われる開発輸入の方法なども考えていかなければならないと思うのでありまして、これらの基礎資料あるいは調査必要性から、今後におきましてもこのアジア研究所については力を入れていきたい、かように思う次第でございます。
  34. 山田長司

    山田(長)委員 力を入れ、調査をしておることはわかるのでありますが、実は賠償物資として外務省、厚生省及び通産省も連絡しておると思うのですが、賠償金のかわりに医薬品がインドネシアをはじめ東南アジアの数カ国に六億もいっておるようです。これらの医薬品は、文明の程度も違いますから無理ないといえば無理もないのでありますが、各国ともことごとく倉庫に入れっぱなしです。使用方法も教えてなければ——教えておるのかもしれないけれども、少ない人が教えておるので、これが不徹底であるということなのでありましょう。せっかく賠償物資でやっておきながら、それらのことがまことに不円滑な実情にあるようであります。これらのものを送る場合に、通産省なり厚生省なり外務省なりは、どういう角度で検討して、金額にすれば巨額にのぼる品物を送られるのか。ただ厚生省で送る筋合いのものではないだろうと思いますが、この場合各省との打ち合わせばいかようになさって品物が出るのですか。
  35. 山本重信

    山本(重)政府委員 賠償の実施につきましては、毎年賠償のための実施計画を先方の国と日本との間で相談をいたしまして実施いたしております。その基礎になりますのは、先方の政府が賠償としてどういう物資を希望するかということが出発点でございまして、それに基づいて、もし先方が医薬品を希望します場合はそれをいれるというわけでございます。いま先生から御指摘ございましたようなことを実は私たちも心配いたしまして、たとえば先方が賠償として紡績機械を要求している、ところがほんとうに向こうに非常に程度の高い機械をこなすだけの技術があるかどうかというようなことをいろいろ心配いたしまして、実施計画を立てます場合には、先方にいろいろ気のついたことは申し入れをいたしております。しかしやはり先方は、自分たちの自主的な立場で判断をして、自分たちでやるんだから必要なものとして自分のほうが希望するものをくれという基本的態度でございますので、まだ不幸にして、いま先生御指摘のような、せっかくこちらから賠償として渡したものが必ずしもその目的に使われていないというようなものがございます。そういうことにつきましては、こちらが気のつく範囲で先方にいろいろアドバイスいたしておりますけれども、終局的には先方が判断して決定することでございますので、おのずからそこに限界があるというような実情でございます。
  36. 山田長司

    山田(長)委員 いまの場合は医薬品についての話をしましたが、賠償物資で自動車等が向こうにいっておるようです。ところが御承知のように、自動車が日本で完全にテストをされておらないために、向こうの気温及び道路の焼けている状態、こういう状態のために非常にいたみが早くて、しかも日本の道路のように七十キロも八十キロも出して走ればすぐ注意をされてしまうというような交通事情、あるいは日本の場合は二十メートルか三十メートル行ったらとまってしまう、そういう交通事情の悪い状態と違って、向こうでは、七十キロも八十キロも出して、それが一時間も二時間も走るというようなことでエンジンが焼けてしまって、それで道端に捨ててある、パーツがないので、そのままにして捨てるというような実情があるようであります。私はその状態を現地で見てまいりまして、一体これはほんとうに日本の国内でこれと同じような環境とそれから十分なテストをして輸出しているものなのかということを帰ってきて研究してみたときに、テストは大きなものに限っては全部各製造会社にまかせたという事情を聞いたのです。しかもこの決算委で通産省の人から聞いて、そのときテスト道路というものをすみやかにつくらなければいけないじゃないかという質問をしまして、その後各地でテスト道路の完成に向かって努力をしているようでありますが、このテストが完全に、いかに賠償物資といえどもいたされないというと、せっかく出しても、日本の優秀な商品が、宣伝になるべき筋のものが悪影響を及ぼす結果になるのではないかと私は懸念しておるわけなんです。そこでその後の日本の国内におけるテスト道路の完成の状態はどんなふうなんですか。
  37. 川出千速

    ○川出政府委員 賠償物資といたしまして自動車は出ていないと考えております。
  38. 山田長司

    山田(長)委員 オートバイは出ておりませんか。
  39. 川出千速

    ○川出政府委員 オートバイにつきましては私よく存じませんが、たぶん出ていないのではないかと思いますが、なおよく調査してみたいと思います。
  40. 山田長司

    山田(長)委員 私は賠償物資として、タイとビルマを見てきております。それではどういう経路か、これは領事館なり大使館なりお調べになって御回答願いたいのですが、道端にエンジンが焼けてそのままになっている、そのものの外見はまだちっとも痛んでないけれども、エンジンが焼けているためにこれは放置してあるのだという場面に出くわしているから、これは賠償物資だったのか、あるいは賠償物資でなく売買で出たのか知りませんけれども、一応お調べ願いたいと思います。  それからこのテスト道路の進行状態というものはどうなっていますか。これは日本ではどうしてもテストしなければ、アジアに向けての自動車の輸出というものは困難じゃないかと思うのですけれども、この点どうですか。
  41. 川出千速

    ○川出政府委員 現在完成しておりましてすでに使用されているものもございます。
  42. 山田長司

    山田(長)委員 どことどこにありますか。
  43. 川出千速

    ○川出政府委員 各自動車会社がほとんど所有しておりますが、共通のものとして茨城県に一カ所ございます。
  44. 山田長司

    山田(長)委員 私にはどうも共通のものの自動車道路という観念がよく理解できないのですが、各会社ともおのおの資本主義の社会においては、一つの製品を完成するためにはかなり秘密を持ちながら努力をされておるものと思うのですけれども、そうすると秘密も何も全部なく、このテスト道路の試験をされるときには、各社が思い思いのままそこへ全部出て日本技術向上のためにオープンに協力されておるものなんですか。
  45. 川出千速

    ○川出政府委員 各社ごとに持っておりますのは、このテスト道路には相当の経費がかかりますので、大規模なものはつくりにくいわけでございます。共通のものは相当大規模なテスト道路をつくっておるわけでございます。それから機密の問題はもちろん各企業非常に気を使うところでございますけれども、それを使用する場合には一社に限ってやるわけでございまして、各社同じ時期にいろいろな会社がやるというようなことはしていないわけでございます。
  46. 勝澤芳雄

    勝澤委員 私は、次に中小企業の問題で少し質問をいたしますが、まず最初に、中小企業近代化促進費の補助金の支給状態について、是正意見が出されているわけであります。通産省の回答として、抽象的ではありますけれども、早期に交付を行なうということが出されておりますが、具体的にはどういう措置をおとりになったのでしょうか。
  47. 影山衛司

    ○影山政府委員 お答え申し上げます。  会計検査院の決算報告におきまして、中小企業の近代化資金助成法に基づきます近代化補助金の支給状況が非常におそいではないかという改善意見が出されておりまして、それに対しまして、中小企業庁といたしまして、三十九年度以降補助金の配分等につきまして促進の措置を講じたわけでございますが、その状況は次のとおりでございます。三十八年度は特別の事情がございまして、御承知のように中小企業基本法その他関連法規が制定施行された時期でございまして、その法律関係の整備等の事務が非常に多うございまして、そのために補助金の配分等も非常におくれたわけでございますが、交付決定の通知が最も早いものが十月三十日ごろというような状態でございましたけれども、三十九年度以降は、こういう状況を是正いたしますために、年二回に分けまして配分をいたすということにいたしまして、第一次は四月、第二次以降は七月というふうに二回に分けて配分をするということにいたしまして、相当程度促進させたというふうに考えております。
  48. 勝澤芳雄

    勝澤委員 次に、下請取引の適正化の問題でありますが、行政管理庁からの、三十八年度において公正取引委員会に二百五十九の親事業者の立ち入り検査をし、中小企業庁は六十四の親事業者と取引のある四百九十四の下請企業につき立ち入り検査を実施したが、これらの検査の実績は、全国約九千と推定される親事業者に対する検査としては少ないうらみがある、こう指摘をされておるわけでありまして、この下請取引の立ち入り検査実情は、公取なりあるいは中小企業庁はどの程度、どういう方法で行なわれておるのですか。
  49. 渡邊喜久造

    ○渡邊(喜)政府委員 公正取引委員会関係から御説明申し上げます。  公正取引委員会としましては結局与えられた人数でできるだけこれをフルに活用してまいりたい、こういうふうな関係で全体の計画を組んでおります。したがいましてまずやり方といたしましては、年四回に分けまして、親事業者に対しての書面照会をまず行なっております。その書面照会の数が約一年間に現在のところで二千という数字になっております。そして書面照会の結果としまして、一応の下請代金の支払い状況を審査しまして、そしてその中で支払い状況が悪い、防止法から見ましてこれはやはり改善の余地があるというものにつきまして、われわれのほうでは立ち入り検査をする。立ち入り検査の場合におきましては、親事業者を調べるとともに、その関連の下請業者につきましてもこれを調査する、こういったような二重の調査をするわけでございます。したがいましてその間相当の手数がかかりますので、やはり立ち入り検査のほうの数は、一つは書面調査でもって一応のふるいをかけますし、したがいましてそれによっての一応のふるいがかかりますので、結局実地調査の分は二百五十という程度にとどまるわけでございまして、人数の関係などでその程度しかできないということにつきましては、われわれも非常に遺憾に思っておりますが、しかし与えられた人数はできるだけフルに使っていくというようなことで、いま言ったような計画をやっておるわけであります。
  50. 影山衛司

    ○影山政府委員 中小企業庁で行なっておりますところの下請代金支払い状況の調査でございますが、大体においてやり方公正取引委員会と同じようなやり方をとっておるわけでございます。まず書面調査を毎四半期二千の親事業について行ないまして、そのうちから検査その他行政指導を要するものと認められるものをピックアップいたしまして、それを中央及び地方の通産局の職員をもって立ち入り検査その他の指導を行なっておるわけでございまして、三十九年度の第一、第二・四半期分につきまして例を申し上げますと、調査の親事業数が約四千件でございます。そのうち検査指導を要するものと決定いたしましたものが六百七十一件、このうち立ち入り検査を行ないましたものが八十八件、それから招致いたしまして行政指導いたしましたものが七十一件、それから調査の段階において改善を認めましたので不問に付したものが十六件、その他文書によって注意いたしましたものが四百三十件というふうな結果になっております。
  51. 勝澤芳雄

    勝澤委員 過般の山陽特殊製鋼の問題でも、だいぶ下請代金遅延防止法等の違反があとから出てきたという話をよく聞くのですけれども、その実情はどうなんでしょうか。
  52. 渡邊喜久造

    ○渡邊(喜)政府委員 公取の関係から御説明申し上げます。  山陽特殊鋼に関しましては、先ほども申し上げました定期調査の三十七年度第三次というのですが、結局、三十八年の一月現在におきまして、書面調査をしました結果を見てみますと、いわゆる支払い関係の滞留月数とわれわれは呼んでおりますが、その支払い遅延もかなり著しいものがありますし、手形サイトにつきましても相当長い手形を出しているという事実が判明いたしました。したがいまして、さらにこれにつきまして立ち入り検査を三十八年の十二月に行なっております。その間何回か書面でもっていろいろ調査をしておりましたが、結局立ち入り検査を三十八年の十二月に行なっております。同時に、その際に調べたところに基づき、さらにその後の実績報告書を受けて、三十九年の五月当時におきましての実態はかなり改善されてきております。したがいましてわれわれのほうとしましては、この改善をさらに続けるようにという意味におきましての行政指導を行なってきたわけであります。ところが今度の事案が出まして、その後の本年の三月八日現在の状況を調べてみますと、われわれのほうでもって指導対象にした下請業者に比べまして、一応下請代金遅延防止法の対象になっておりますのは製造受託とか修理受託とか、そうした限度に限られるわけですが、その関係を調べてみますと、会社が三十七社、金額にして三億ほどの金額になっております。われわれのほうでもって直接つかまえたものは、下請の数が六社、金額で一億、だいぶ大きな開きがありますので、その後のこの開きにつきまして、われわれのほうとしても、なぜこういう開きが出たかということについて反省する意味もありまして、調べてみました。その結果として、一応の突き合わせとして現在わかっておりますところは、山陽特殊鋼の場合におきましては、下請業者の入れかわりが相当多かったようであります。したがいまして、私のほうでもって行政指導を開始し、その間の対象となってわれわれが特に注意をしていた会社は六社でありましたが、三十八年の十二月以降に新しく取引開始をした下請会社が十九社、その債務額といいますか債権額が——山陽のほうから見れば債務ですが、それが約三千万円、それから東京支店で扱っていたものが六社、これが約五千五百万円、私のほうの仕事やり方は大体事業所単位で調べておりますので、支店のほうと本社のほうとは別々な調査になっておりますので、先ほど申し上げました私のほうの行政指導としてやった分は、本社のほうに及んでおりませんでしたので、この分はまだわれわれのほうの監督の対象になっておりませんでした。  それからもう一つ、私のほうで確認したものが六社でありますが、実際現在になってみますと、そのとき立ち入り検査の際に漏れていたものと思われるものがやはり六社あります。これは私のほうの仕事が十分行き届かなったというように非常に遺憾に思っておりますが、その関係が、私のほうで調べたものが六社、それから漏れていたものが六社、両方とも約一億程度の金になっております。  そのような関係で、私のほうでつかまえたものにつきましては、かなりの改善を見ておったわけでありますが、われわれのほうの立ち入り検査の際に調査が行き届かなかった分、あるいはその後に取引を開始したためにわれわれのほうの調査に入ってこなかった分、あるいは支店の分というものがありまして、結局、三億ほどの中で特にわれわれのほうがやかましく言った分はその三分の一にすぎなかった。その点は私も非常に遺憾に思っておりますが、実情はそういったことであります。
  53. 勝澤芳雄

    勝澤委員 私もこの下請企業によく会って話を聞くのですが、なかなかほんとうのことが言いにくいという状態にあるようです。ほんとうのことを言ったために仕事をとめられてしまうという点で、できるならば何とかしてもらいたいけれども、私が言ったのではないというようなことで、匿名申告とかいろいろあるようですけれども、これはやはり違反を厳重に取り締まるということと、それから申告のしかたというものをもっと簡便といいますか安心して申告ができる——これは弱いものと強いものの相違ですから、なかなかむずかしいのでしょうけれども、何かもう少し、この法律が適用されやすい、公取の動きやすいというような方法はないのでしょうか。
  54. 渡邊喜久造

    ○渡邊(喜)政府委員 その点実はわれわれも一番苦労しているところでございます。時に話に出るのですが、たとえば物を盗まれれば、どろぼうにあったということを警察に訴えてくるから、そうすると、それをきっかけに調査が進むというわけなんですが、御承知のように、いまおっしゃったとちょうど同じようなことが、われわれも実情としてあると思っております。  それで現在われわれのほうで行なっておることとしましては、いろいろ申告はございます。その中には、自分の名前を出してくれてもいいというふうに、これはおそらくその後の取引をたいして期待してない会社だと思います、こういう場合にはわれわれのほうとしては非常に、すぐにでも手がつくわけですが、しかし大部分の下請業者は、いまお話しのような事情にあるわけです。匿名で参りましても、私のほうで、投書が来たからすぐ動くということにしますと、やはりだれか下請業者がいったのじゃないだろうかと、親会社のほうからいろいろにらまれることもありやせぬだろうかと思いますので、私どもとしましては、現存のやり方としまして、匿名で来たものにつきましては、先ほど言ったように四回に分けてやっていますから、その次の時期の段階における定期調査の中に一応入れ込んでおきます。そして一応親会社の受ける印象としては、定期調査にかかったのか、申告でかかったのか、ちょっとはっきりせぬようなかっこうでもってそれを定期調査の中に入れて、同時に定期調査の結果としての報告にかかわらずそこについては立ち入り検査をする、こういうやり方をやれとやっておりますが、何といいましてません。それよりは、商工会議所とかあるいは号も、それだけでは十分の効果は発揮し得ないのじゃないかというふうにわれわれは思っております。したがいましてそれと並行しまして、私のほうではいろいろ下請関係の協会といいますか、組合といいますか、そういうところがかなりできておりますので、これを協力団体にお願いしまして、そういうところを通じて間接的にわれわれのほうへいろいろそうしたクレームを持ってきてもらう、そうすればわれわれ自身が、もちろんどこからどう出たかということはわかりませんが、しかし少なくとも親企業として、どこの企業が相当ひどいことをしているということはつかめますから、そういうものをやはりわれわれのほうとしてはできるだけまず取り上げていくことにしていきたい。  それからさらに四十年度の予算におきまして、協力者謝金という制度が認められましたので、これを大部分はいま言ったような協会とかいろいろな、主としてそういった人たちにお願いすることになるんじゃないかと思いますが、もう少しそうした直接的な下請業者でない方から相当われわれのほうへいろいろな情報が入ってくるというようにつとめたい。現在やっておりますような一般調査だけでございますと、何といっても親企業の数が多いのに、われわれのほうの手が限られておりますので、十分にいきませんので、したがいましてただ不十分ながらもその手をできるだけ有効に使いたいという意味におきまして、いま言ったようなくふうはしておりますが、相手の数も相当多うございますので、必ずしも十二分とは言いかねると思いますが、できるだけの努力はしてまいりたい、かように思っております。
  55. 勝澤芳雄

    勝澤委員 金融機関の協力といいますか、こういう点はどういうふうにされておるのですか。
  56. 渡邊喜久造

    ○渡邊(喜)政府委員 現在の段階において、われわれのほうは正直いって金融機関との結びつきにおいては、実はあまりここに協力を得られるということが期待できませんものですから、金融機関のほうに協力を願うことはいまのところしておりません。それよりは、商工会議所とかあるいはそうした下請関係のいろいろな協会であるとか、これはかなり横の連絡の団体がございます。現在そうした横のほうの団体で協力団体としていろいろわれわれのほうと連絡をとってもらっているのが、十九ございます。そういうところと連絡をとりながら、一応一般調査と並行しながら、いわばねらい撃ち調査をやっておるというのが現状でございます。
  57. 勝澤芳雄

    勝澤委員 この問題はたいへんむずかしい問題ですけれども、なかなか重要な問題で、やはり下請を保護する場合、法律があってもなかなか適用しにくい。そうしてまた申告をしたとき、あるいはまた匿名でもっていったときというのは、早急な処理が必要なわけです。しかし、なかなか公取としても事務機構がそれに対応しておりませんから、やはり三月なり半年なりずれが生じてくるという点で、期待を持ちながらなかなか不満も持っておるわけでありますから、これはぜひやはり、今日のような状態で、特に中小企業を育成するのだと政府がいう以上、もう少し公取の下請関係人員をふやして、地方組織も強化して、やはり積極的に下請関係改善ということをその面からも下から突き上げていかなければならぬのじゃないだろうかと思います。そういう点でぜひ委員長に、ことしあるいは来年を通じてそういう面から中小企業の保護といいますか、育成といいますか、こういう面に力を入れていただきたいと思いますが、いかがですか。   〔委員長退席、壽原委員長代理着席〕
  58. 渡邊喜久造

    ○渡邊(喜)政府委員 私もいまのお話と全然同じ意見を持っております。遺憾ながら本年度の予算におきましても人員の多少の増加はありましたが、まだ必ずしも十分とはいえませんが、今後におきましてその面において努力していきたい。  なお、ついでに申し上げますと、中小企業庁におきましても、当然中小企業庁の立場として、この問題について先ほどお話しになったように取り組んでいただいておるわけでございます。それで従来は中小企業庁のほうは下請企業者のほうを調べていく、われわれのほうは親企業を調べていくというやり方をやっておりましたが、どうも下請のほうだけ調べていくのではうまく結果が出ませんので、中小企業庁のほうも親企業対象にする、そこから下請のほうにいくということにやり方を変更してもらいまして、そのかわり中小企業庁のほうはいわば広く、そのかわり浅く数をふやしてもらう、そのかわり突っ込んだ調査はわれわれのほうでもってやる、したがいまして一応の網にかける数は両方合わせますと相当の数になるわけでございます。中小企業庁のほうでもって調べました結果、これは当然この法律における違反になる、したがって勧告を必要とするというようなものにつきましては、中小企業庁のほうからわれわれのほうに勧告請求という制度、これは法律にもございますが、そういったようなことでもって、両者、中小企業庁のほうとわれわれのほうと一緒になりまして与えられた人数の限りにおきましてできるだけ有効にやっていきたい。ただ現在そうした点が中小企業対策の面から考えますと、きわめて十分でないということは私も同じように痛感しておりまして、今後においては大いに政府においてその点については考えてもらいたいということを従来でも申しておりましたし、今後もその主張を続けていくつもりでございます。
  59. 勝澤芳雄

    勝澤委員 私たちの立場でこの問題はまたもう少し徹底した方法について要請いたしますので、次に歩積み両建ての関係でありますが、最近大蔵省あるいは公取でもこの歩積み両建ての問題につきまして金融機関に注意を促しておるようでありますが、行管等の調べによりますと、政府関係金融機関である商工中金においても歩積み両建てが行なわれている。あるいはまた政策金融機関である中小企業金融公庫、あるいは国民金融公庫の融資においても、特に代理貸しの場合、この歩積み両建てが行なわれている、こう指摘をされておるわけであります。結局、これはやはり直貸しが少ないから、代理貸しということになるわけであります。こういう点については中小企業金融公庫としては何か取り締まりといいますか、どういうお取り扱いをされておるのでしょうか。
  60. 舟山正吉

    ○舟山説明員 歩積み両建ての行き過ぎたものにつきましては、最近やかましい世論になりまして、監督官庁の大蔵省あるいは公正取引委員会においてお取り締まりになっておるのでありますが、私のほうも政府資金を扱います政府機関として、そういうことがあってはならないということで、代理店に対しましては平素絶対にこういうことのないようにという指導をいたしておりますし、また直接地方の臨店指導につきまして、特にこの点に重点を置きまして調べておる次第でございますが、私どものほうの資金に関しまする限りにおきましても、ままその事例が散見されることは非常に遺憾だと思っておりますが、しかしここ二、三年のたびたびの警告等によりまして、その数は非常に減っております。現在やはり窓口の人が十分にその趣旨をのみ込まないでついこれをやるといったような事例もあるのでございまして、一そう絶滅を期したいと思っておる次第でございます。そのためには政府機関つまり私どもの資金に関しまする限りは、代理店のほうも非常に警戒をするようなことになっております。そこで発見いたしましたときは歩積み両建てと私のほうの貸し付け金とを相殺せしめて、適正な形に直さしておるのでございます。最近の相殺措置をとりました件数といたしましては、三十七年度六十九件に対しまして、三十八年度は三十四件、三十九年度は四月から十二月末の数字でございますが十二件、これは一月−三月を加えますと幾らかふえるわけでありますが、こういうふうに私のほうに関しまする限りはたびたびの警告が相当効果があがったというふうに考えておりますが、今後なおこの点につきましては力を入れて、これが絶滅を期したいと思っておる次第でございます。  なお、お話にございましたように代理貸しにはこういう弊を伴うから、できるだけ直接貸し付けに重点を移行していくという点につきましては、私どもそのような気持ちでおるわけでございますが、最近の金融情勢といたしましては、直接貸し付けよりも代理貸し付けで迅速に金融をしなければならないという事態も起こっておりまして、また私どものほうの資金貸し付けワクの絶対量が——年々ふやしていただいておりますが、まだ不足ぎみでありますので、直接貸し付けの処理能力というものも若干の制約を受けるといったようなことでありますので、したがって代理貸し付けのほうが現在も多くなっておりますけれども、またこれにつきましては政策金融の浸透をはかります意味においても逐次直接貸し付けをふやしてまいりたいという方針でやっております。
  61. 勝澤芳雄

    勝澤委員 歩積み両建てのない金を借りるというのは、金を借りたときに大へん気持ちのいいものであります。商工中金のように、やはり自分で金をふやしていかなければならぬところはなかなか苦しいと思うのですけれども、そういう意味でいま中小企業公庫のとられておる方法というのは、だいぶきつい方法で徹底はしているようでありますけれども、特にいまこの問題がやかましく言われておるときでありますから、なお一そうの御努力を願い、できるだけ直接貸しというものを受けていただくように要望いたしまして、この点についての質問を終わります。  次に、会計検査院から指摘されている中で、「機械類賦払信用保険」の関係でありますが、これを見てみますと、信用保険の通知が漏れているのが六十五の会社のうち四十五もの会社がある。三千二百七十三件のうち七百五十九件もあるということで、たいへん遺憾な状態であるわけであります。しかもこの中で指摘されておるのは、代金の回収したときから報告までに平均百二十三日を要しており、最高では四百八十二日というようなのもある。保険金を支払うときには利息を取りながら、回収遅延の利息というものは取っていない、こういうことであるわけであります。こういうふうに保険のかける率が少ないということと、それから遅延の利息をとらない、こういう点はどういうふうになっておるのでしょうか。
  62. 川出千速

    ○川出政府委員 ただいま御指摘のような事実があったわけでございます。私どもとしては保険事故の多い業種につきまして重点を置いて調べておったわけでございまして、これは人手の関係等もあったわけでございますが、そういう関係もございまして、実地調査をしていなかったものについて、保険事故の少なかったものについての通知漏れが相当あったことは事実でございます。これはたいへん遺憾なことでございまして、その後事故の発生の多い機械の種類だけではなくて、全部の種類のものにつきまして厳重な現地調査を行なってそういう通知漏れの絶滅を期して効果をあげております。それから保険事故が発生し、保険金を支払い、その後回収されました場合には遅滞なく政府のほうに通知をすることになっておるわけでございますが、御指摘のようにその通知が非常におくれたものがございまして、中には一年以上のものもあったのは事実でございますが、これを極力短縮するように実地調査ともかねて促進をしておりまして、現在は相当に短縮された実績を示しておるわけでございます。なおそれを効果あらしめますために、三カ月以上の通知がおくれました場合には、制裁的な意味におきまして保険事故が起きてから保険金支払いまでの金利を控除しておりましたのを、そういう特典を認めないようにするとか、あるいは通知が一年以上もおくれたような場合には支払いました保険金の返還をするように指導するというようなことをいたしまして、回収の通知がおくれないような措置をとって、現在は先ほど申し上げましたように通知が早くなっておる次第でございます。
  63. 勝澤芳雄

    勝澤委員 保険金支払いの場合は利息をつけて、それから回収の遅延の場合には利息を取らないというふうにいわれておりますが、それはどういうふうにされておりますか。
  64. 川出千速

    ○川出政府委員 事故が起きましてからいろいろ調査をしますので、保険金を政府が現実に支払いますまでの間相当期間を要するのが実情でございまして、本来ならば事故が発生したときから保険金支払いまでの間の金利も含めて払うのが理屈に含うわけでございますけれども、それは保険金だけを支払っておるわけでございまして、回収がありました場合に、その金利の部分を控除をして残りを政府に納めさせるという措置をとっておりまして、これはいわば回収を促進させる効果もあるのではないかと考えております。
  65. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこのところがよくわからないのですが、どういうことですか、もうちょっとよく説明してください。
  66. 川出千速

    ○川出政府委員 例をあげて申し上げますと、保険金の支払いがかりに五十万円であったといたします。それが事故が発生したとき、つまり不渡りになって賦払いの金の支払いを受けられなかったことが保険事故でございますから、その事故が発生したときから保険金の支払いまでの期間がかりに半年あったといたします。そういたしますと、支払う保険金にプラス金利を加えたものを契約者に支払うというのも一つやり方でございますが、現在は保険金だけを支払っておるわけでございます。そうしますと今度保険金を支払ってもらった人、つまり機械をつくり、売っておる人でございますが、機械の所有権は自分で留保しておりますので、その機械を転売をして損害をある程度免れる、回収する、これが回収金でございますが、そうなりますとその回収金を、保険金をもらっておりますから政府に納めなければいかぬわけでございます。回収金の半分を納めるわけでございますが、その納めます場合に、先ほど申し上げました保険金についておる金利分を引きまして、かりに回収分が三十万円であったとします、金利分がかりに二万円であったとしますと、二十八万円を納めるのでよろしい、こういうことにしてあるわけでございます。ところが、今度その回収通知が非常におくれますと、その二万円を控除しないで三十万円納めなさいということで、不利になるわけでございます。
  67. 勝澤芳雄

    勝澤委員 じゃ次に、輸出保険の特別会計についてお尋ねいたしますが、輸出保険の特別会計の経理の状態はいまどんなふうなんでしょうか。
  68. 山本重信

    山本(重)政府委員 三十八年度の輸出保険の概況をごく簡単に申し上げますと、保険金額が七千二百億円あまりでございまして、これは前年に比べまして倍近い増加というふうになっております。保険料収入が大体十七億、保険金の支払いが十六億、さらに回収金が三億円ほどございます。それに対しまして経理の、あとの処理といたしましては、異常危険準備金とか、無経過保険料等の必要な積み立て金を積み立て、また事務取り扱いの経費等を差っ引きまして、結果におきまして約一億円あまりの黒字になっておるという状況でございます。
  69. 勝澤芳雄

    勝澤委員 その輸出保険の中で、信用調査委託費というのが八千万ですか、計上されておりますが、これはどういうような形で使われるのですか。
  70. 山本重信

    山本(重)政府委員 この輸出保険の運用に関連いたしまして、信用調査が非常に大事でございますので、外国のバイヤーの信用調査を、毎年その数をふやしておるわけでございますが、その調査をしますために外国のいろいろ信用調査の機関に委託をしておる経費でございます。
  71. 勝澤芳雄

    勝澤委員 あともう少し質問ありますが、保留して、きょうはこれで終わっておきます。
  72. 壽原正一

    壽原委員長代理 吉田賢一君。
  73. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 山陽特殊鋼の問題がたまたま質疑されましたので、私も、戦後最大の倒産といわれるこの山陽特殊鋼の今回の事件が、社会的、経済的に与えた影響はきわめて甚大でございますので、このような角度に立ちまして二、三質問してみたいと思うのであります。  渡邊さんにまず伺ってみたいのですが、あなたは、山特の下請の事業の状態について相当御調査になったとただいま御答弁があったのでありまするが、実際これは、まあ予算人員関係もあって、調査検査はなかなか思うようにいかぬということもわかるのでありますが、かりにもやはりいま申したような重大な社会的波紋を描いた事件でありますので、いわば力をあげて調査すべきだ、こう思うのであります。現在の下請とそれから山陽特殊鋼との支払い関係、支払代金遅延等防止法等の関連をめぐりまして、あるいは不公正取引の有無、こういったような観点からまだ全体を調査するというところまでいっていないのですか。
  74. 渡邊喜久造

    ○渡邊(喜)政府委員 私のほうで先ほど御答弁申し上げました過程は、山陽特殊鋼が会社更生法の申請をする前の段階において、われわれのほうで下請代金支払遅延等防止法というものにおいて山陽特殊鋼についてどういうような調査をし、どういうふうな措置を講じていたかということを中心としまして御答弁申し上げたわけであります。その結果は、先ほども申し上げましたが、会社更生法申請後において表へあらわれましたところに比べますと、私のところでもって直接この下請会社に対する支払いをもっと促進しなければいかぬじゃないかということを注意し、会社のほうでもそのわれわれのほうの注意に従って促進して、かなり改善の実をあげていた会社というのは、私のほうで取り締まりの対象になっております会社の全体の数から見ますと、きわめて一部であり、金額的に見ましてもその三分の一程度であったということを申し上げたわけでございます。その間の関係は、一つは、われわれのほうの調査自身が必ずしも十分に行き届いていなかったということもありまして、これは今後大いにわれわれとしても考えなければいかぬ点じゃないか、山陽特殊鋼というものがああいう姿であればもう少しわれわれのほうもそこのほうへ重点を置いて調べたと思いますけれども、山陽特殊鋼がああいう姿になるということを当時はわれわれもそう予期しておりませんでしたものですから、通常の支払い遅延をしておる会社と同じような程度にしか注意しなかったという点で、やはり不十分であったという点を遺憾に思っておるわけであります。
  75. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それなら伺いますが、下請代金支払遅延等防止法の第二条の二によりますと、「下請代金の支払期日は、親事業者が下請事業者の給付を受領した日から起算して、六十日の期間内において、かつ、できる限り短い期間内において、定められなければならない。」これは要するに、給付を受領してから、それを起算点としまして六十日以内に支払う、こういう趣旨なんでしょう。そうですね。そこで、そういうようなことは実際にお調べになったのかどうか。やはり公取の委員会というものは、日本一つしかない、これは独占禁止法の規定によって見ましても、実際に独立した一つの最も重要な機関であります。それは気がつかなんだとか、いまああいう状態になっておるからいまさらというのかもしれませんが、やはりわれわれと違って専門のお立場ですから、お調べになるときには、いま申しましたような防止法の二条二という規定に違反するような事実があったかなかったか、お調べになったかどうか。それからまた、一体独占禁止法の公正な取引が行なわれていないというようなことをお調べになったのかどうか。その辺は、まず調べの目的をどこに置いておったのか。こういう私が指摘したような二つの問題点は、実際調べたのだろうか。その辺はあなたのほうではどういうことに報告がなっておりますか。
  76. 渡邊喜久造

    ○渡邊(喜)政府委員 一応私のほうとして、山陽特殊鋼について調査しました重点は、いま御指摘になりました、品物が受領されてから支払いがどのくらいの時期において支払われたかという点に重点を置いて調べていたわけです。そころが、調査しましたその段階におきまして、われわれのほうで滞留月数と呼んでおりますが、六十日であれば品物を受領しましてから二月というわけでございます。ついでに申し上げますと、私のほうの解釈では、検収があった、なかったにかかわらず、品物を受領してから支払いの六十日の始期は開始する、こういう解釈でもって全部調べているわけですが、六十日というのがその当時の一番最初の書面調査においては三カ月以上になっておる。しかも、現金払いだけでなくて手形の分もあった。しかも、その手形のサイトも相当長かった。下請業者がすぐに割り引けるような状態の手形でもなかったということを発見しましたのです。したがいまして、書面調査の段階を済みましてから、今度は立ち入り検査にまいります。そうして、そういう点においての法律に定められたところとだいぶおくれている点を指摘いたしまして、そうして会社のほうといたしましてもその点についてはかなり改善をしているという点はございます。
  77. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 ところが、私自身も三月の上旬及びその後、社長並びに副社長以下専務などと二度にわたって会いました。それから一昨昨日も、二十数下請商社が、これはわれわれの勧告によりまして中小企業の協同組合をつくりました。ところが、私どもは現地で工場をずっと見て回りました中に、またほとんど例外なしに受け取ってから七カ月もしくは十カ月が支払い期日になっておる手形。あなたのほうで御指摘になった六十日以内に決済するようになったという、そんな実例があればほんとうに知らしてもらいたいです。そして改善したとおっしゃいましたけれども、一体どんな事実を具体的に改善したんだろうかということをほんとうに教えてもらいたいくらいなんですね。二十四、五社おりまして、五億円以上の債権を持ったままであります。そこで伺いたいのは、そのような点について、ただいまその後改善されたいとうけれども、改善の事実なしとわれわれは判断しておりまするが、はたしてないとするならば、もうすでに更生手続は開始されておりますけれども、管財人ができておりますけれども、そういうことに独立で公取委員会としては調査する必要があるのではないか。手不足、予算不足ということを嘆いている問題じゃないと思うんでございます。その点はいかがでございます。
  78. 渡邊喜久造

    ○渡邊(喜)政府委員 いま吉田委員の御指摘になった下請と、われわれのほうで下請代金の法律に入っている下請といいますか、それとの関係がはたしてそのまま合致しているかどうかという点について多少疑問があると思いますが、結局法律のほうで指摘しておりますのは、製造委託あるいは修理委託というものに限定されていることは御承知のとおりであります。それで、現在の段階におきまして調べてみましたところ、そのほうの範疇に入ってきております会社としましては、会社の数が三十七社、そしてそれにおける山陽のほうの負債額が三億、私のほうで指導しましたのが、ちちょうど時期的な関係がありました関係と思いますが、先ほどもちょっと申し上げましたが、この三十七社のうちで十九社、債務額にして三千万円ほどは、ちょうど私のほうの指導の後に新しく下請になったというようなものですから、そのものの関係が私どものほうで十分調べてなくて、このほうには指導の手が出ていなかったという点が一つございます。それから六社についてだけは私どものほうで立入り検査につかまえまして、六社については相当の改善がなされている。ただ遺憾ながら、そのときほんとうなら、当然もう六社つかまえるべきやつがつかまっていなかった。したがって、このほうについてはわれわれのほうの監督の目もそれほど行き届いていなかった、こういうような実情にあるわけであります。
  79. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 この問題につきまして公取の立場ということを厳密に御反省になって私は御答弁いただきたい。いささかでも不十分であったならば、さらに何か打つ手はないかどうか、そういうことをしなかったら公取はあってもなくても役に立たぬのです。現に法律にも規定しているのでございますから。そこで、三千万円とか六社とかおおっしゃいますけれども、姫路市内だけで、下請並びに正確にいうならばいわゆる下請だけじゃなしに納入業者が入りますけれども、本社を持っておる会社が七十あります。そこで、十日ぐらい滞在いたしましたら個別に全部調べられる。そういうことをやって、そこで改善の事実がこのように上がっておるとか、これは違反であるとか違反ではないとかいうことをきちんと御報告になったならばともかくといたしまして、いまのように六社とか三千万円とか、そんなものは、現地では人はナンセンスだと言います。私が参りましたのは一つのある工場ですが、九十二名の従業員がいる一〇〇%下請依存の鉄工所です。名前は及川です。北海道の方で、学校の教職をやめてなけなしの資金を出してやっている会社です。一月に納めたものに対する七月と十月の六百万円の手形を持っております。相互銀行に割り引いたのはどんどん買い戻しの要求をせられる。資金はない。金はもらえない。どこへ持ていっても山陽特殊鋼の手形は割ってくれない。そこで、銀行の定期預金が六百万円ぐらいしかなかったが、これは押えられてしまう。米を買う金がない。八百屋は来ない。ひょっと向こうを見ましたらバスの中にふるえておる人がある。どうしたんだろうと見たら、北海道に帰りたいが旅費もないという実情なのです。全く泣くに泣かれぬのです。というのが一例ですよ。しかし、それは何も珍しいことじゃないのです。こういうような現状なのです。そこで、やはり実態の調査をなさるのなら、幹部が行かれて、渡邊委員長も直接お行きになって現状をごらんになりましたら、このときの公取委員会の重要性自体も、いろいろな社会的な問題を含んでおるのですから——これは下請だけの問題じゃないのです。更生法の問題もありますし、社会問題もあるし、労働者の問題もあるし、金融機関の問題もありますし、企業全体の問題もあるし、その地方の人を悪化したことおびただしいのです。全くそうなんです。この会社に向かって私は何の恩義もないけれども、この会社に向かって更生法による保全処分の手続の前日値引きの申し入れをやっておる、というような状態もあるのでございます。ですから、私はいまの御報告はきわめて遺憾です。いまの段階においてもなおあなたのほうとして調査は必要があるかどうか。あるのならば、公取の今後の運営につきましても私は示唆を受けるものがあろうと思います。日本の経済もしくは企業あるいは産業全体を推進する上におきましても有益な資料がとり得るものだろうと思います。社長以外に、ほかの人は知らなかった。二つの重要な銀行を代表した取締役が入っておるが、これも知らない。知らないというと語弊がありますけれども、いわゆる粉飾決算の問題ですね。というような、ともかくちょっと考えられないような非常識ないろいろな間違いがございます。ですから、公取委員会といたしまして、いまの下請遅延防止法の二条二に違反するようなこと並びにそんな手形で物を買う、下請さすというようなことは、独占禁止法の二条七項四号に該当しておる不公正な取引をしてきたものじゃないか、こういう点も十分に究明してしかるべきじゃないかと思うのでございます。ですから、遅延防止法だけの問題とせずに、独占禁止法自体の不公正な取引という観点からこれは見るのかどうか。さりとて、せっかく更生法で更生しようといういま、管財人もできておるのですから、妨げになるようなことがあってもよくありませんけれども、しかし、いずれにしましても、従来十分にやっていなかったのだから、いまの段階においてこれはさらに十分に何かこの点あなたの立場から御調査になることが必要ではないであろうか、こういうふうに思うのですが、この点はどうですか。
  80. 渡邊喜久造

    ○渡邊(喜)政府委員 お話の点は私もよくわかります。現在の段階に至りまして、われわれのほうとしてどういうふうな手段をとるべきかというような問題は、いろいろいまここですぐどういう手があるだろうかということを申し上げるまでの準備ができておりませんが、とにかく一応山陽特殊鋼のこの事案というものは、一つの大きな教訓の事案でございますので、お話のような点もございますので、いままで私のほうで大阪のほうの事務所の報告を受ける程度にとどめておりましたのですけれども、いまの御忠言を受けまして、私のほうからしかるべきものを出しまして、とっくりいろいろな事案を調べてみまして、どういう種類のものがあるか、あるいは公正取引委員会として、この問題あるいは今後の一般問題として、さらにどういう点に留意すべきかという点などについては大いに検討してみたいと思います。
  81. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それはまことに私はけっこうと思います。  そこで、最近会社更生法の乱用というような説さえ出るほどにあっちこっち更生手続が続出しつつある状態であります。こういうときでありますので、この際相当綿密な御計画のもとに、これは公取の将来のためにも、産業界、経済界のためにも、ひとつ資料をとるべく、ぜひ最も近いときに御調査をしていただきまして、その結果をひとつ当委員会に報告してもらいたいと思います。これはいかがでしょう。
  82. 渡邊喜久造

    ○渡邊(喜)政府委員 調査をいたしまして、どういう結論あるいは結果が出ますか、これは別としまして、調査の結果につきまして当委員会に報告することにつきましてはけっこうでございます。
  83. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そのようにしていただくなら、私は御注文申し上げたいのでありますが、やはりこれは一つは会社更生法という法律の欠陥もあるわけでございます。いわば五百億円の借金を背負い込んで、そしてずいぶんたくさんな下請業者が泣いて、そして山陽特殊鋼自体は更生法のみのをかぶって安全に操業計画も立てられるのです。ところが下請業者は泣きの涙で、助けてもらう人はないのです。おそらくは数年間たな上げにしてしまうでしょう。もらえないのですよ。今後は取引は現金でしましょうというようなことになるかもしれない。取引は現金にしたところで自分のほうはもらえない。債権は一体どうなるのですか。債権がもらえないだけでなく、ある業者のごときは、たとえば市中銀行あるいは相互銀行あたりに担保を提供した。自分の財産をみな入れて担保を提供して、山陽特殊鋼の手形割引をやっていた。その担保を全部押えられちゃった。今後活動の能力なし。こういう面に対して今後これは特殊な金融措置も必要なんでございます。私は反面こういうような将来の立法措置等——親会社だけが更生して子会社が倒れてしまうということです。子会社に従事する従業員は何の保護も受けないということです。親会社の従業員は、これは共益債権として債権は保護されます。賃金債権は保護されますけれども、子会社の下請会社の従業員はだれの保護も受けないというふうに、問題がたくさんあるわけです。問題がありますから、私は、いろいろな角度から資料も出ておりますので、公取らしい徹底的な究明をしていただいて、御報告をお願いしたい。これをぜひ頼んでおきます。これは御注文だけでよろしゅうございます。公取委員長はけっこうであります。  そこで、これはほかの問題もあるのですけれども、関連しますので、舟山さんも見えておりますのでちょっと伺いたいのでございますが、中小企業金融公庫のほうにおきましては、商工組合中央金庫あるいはその他の政府関係機関も御協力になって、山陽特殊鋼の問題はいろいろと金融措置が達成されましたならば多とするのでありますけれども、このような事態に直面いたしまして、たとえば資金量を特別にそのほうへ予定して流していくとかなんとか、そういうようなことはもうできているのですか。どうですか。将来材料を十分に検討した上でそうするということでやるのか、あるいは、そうでなくして、従来の計画に基づいてある資金を出すということになるのか、その辺は、中小企業金融公庫といたしましては、融資対策はどういうふうになっておりますか。
  84. 舟山正吉

    ○舟山説明員 山陽特殊製鋼の関連下請業者に対しまして公庫の取引のありました分につきましては、すでに三月末日まで、すなわち先年度中におきまして三十二件、二億二千八百万円を融資しております。これは大体業者の方々からの御要望を十分充足した数字でございます。それで、その後、今年度になりましてからも、いろいろこれに関連したものの需要もあると思いますが、年度初めのことで資金ワクというものも一応の配分目安はありますけれども、それにとらわれずに必要な資金をお回ししたいと考えております。
  85. 壽原正一

    壽原委員長代理 吉田委員にちょっと申し上げます。大臣のほうを先にやっていただきまして・・。
  86. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 先にいたします。  先ほど来、例の山陽特殊鋼の問題が当委員会に出ました。そこで、あなたにぜひ伺いもし、御意向も聞いてみたいと思うのですが、これはやはりすでに十分ないろいろな資料を持っておいでになると思いますけれども、また、御報告もあったと思いますけれども、これは、一つはこの種の大企業、それにつながる下請の企業、それから下請企業との関係、あしたこのような破滅の運命にたるともゆめ知らずして取引をして、全力をあげておったというようなことが下請業者全体に非常な悲惨なことになっておりますことは、あるいは会社更生法というものをこの機会に見直さなければならぬという世論は大体一致しております。下請代金遅延防止法につきましては、すでに政府のほうにおいても改正提案をなさっておりますことは——実はこれは私の選挙区ではないのでありますけれども、私、先日行ってみますと、ずいぶんと問題が多過ぎるのであります。この時代における、経済界、社会の一種の縮図みたいな感じを実は私は受けます。こういうときに、大阪には有力な通産局もあったり、あるいは大蔵省におきましてもなかなか御尽力になっておりますけれども、やはりできましたら大臣が直接一ぺん行かれて、そうして何かと事情もお聞きになって、長時間は要りませんから、お聞きになりましたら、今後中央におきまして政府が施策する上において、なまの非常に生きた参考の資料が得られると思うのであります。これはぜひそうおやりになったらどうかと思うのですが、それはどうでございましょうね。
  87. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 四月になりまして多少時間的な余裕もできました。早く行きたい、こう思っております。ところが例の万国博の問題等がございまして、この土曜、日曜、月曜にはちょっと行きかねたのであります。今度の土曜、日曜には短時間でも現地へは行きたい、こう思っております。
  88. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そうしますと、今度の土曜、日曜というと十日、十一日に現地に行かれるということなら、これはいろいろな意味において収穫だと思いますので、せっかく御調査をよろしくお願いしたいと思います。  それで、これにつきましてちょっと一点だけ伺っておきたいと思うのでございますが、会社更生法で管財人が更生計画を立てて、あるいは銀行融資がさしあたって十三億円ですか、されるそうでありまして、ある程度の運転もするそうでございますが、しかし下請業者は、実はこの間県庁の指導等によりまして、ようやく数日前有力な二十数社が協同組合を結成したのです。これに対しまして、いまも舟山総裁からも、しかるべく融資になる積極的な体制を伺って、私は地元のそれも同様と思いますが、やはり問題の一つの焦点は、下請業者の立場、それから親と下との関係、公取が調べてもなかなか真相がわからなんだというような状態であります。いかに社会的に下請業者が一種の不公正な、弱い立場に置かれているかということを思いまするので、ひとつ下請業者のあり方、関係というものを特段に御配慮になってお調べになってはどうであろうか、ことに取引が納品後六カ月とか十カ月とかいうような手形も普通に行なわれておるのでございますが、こんなことは全くわれわれとしても見てあぜんとしておるような状態でありますので、特に対下請関係について今後の立法資料にもなりますし、施策の上にも重要なことになりますので、御調査になって、従来のその上にさらに積み重ねまして、施策の資料が得られるようにしてもらいたいと思いますが、この点はどうでございましょうか。
  89. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ただいま吉田委員の仰せられましたことは、このたび私が参ったときの調査の眼目であろうと思います。現在まで大阪通産局を通じまして、三月十日の決済に対する手当て、それから会社更生法を適用される場合に、裁判所に対する通産省としての下請に対する考え方、こういうようなものにつきましては、逐次出先と緊密な連絡の上に対処してまいってきておるわけでございます。現在のところ、会社も操業開始いたしまして、これに伴って下請との関係が動いていくわけであります。片方におきまして、この手形に対する決済を何とか解決していく。両方面でだんだん動きつつある際でございますので、またこういうふうに操業開始後における下請関係の具体的な御意見もあろうかと思うのであります。ひとまず連鎖倒産的なことは防ぎつつ、本日まではきておるわけでございますけれども、これからどういう事態になるかという点もございましょう、いろいろ差し迫った重要事項がございますので、十日の日には参りたい、こう思って、その際お説のようによく調査をしてまいりたいと思います。
  90. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私は、兵庫県のいわゆるギンガム問題につきまして、これを中心としまして、結論的に大臣に伺っておきたいと思います。過日お伺いを予定いたしておりましたけれども、そこまでいきませんでした。  そこで伺いたいのは、一つは、おもに対米輸出の先染め綿織物のギンガム、これの全国の八割までは、兵庫県のいわゆる播州地域におきまして生産をいたしておるのでございますが、これが全く事もあろうに、近代化を叫ばれておる際に逆行いたしまして、三十台の織機が四台、五台というふうに分散をされて、そして、それは労基法に触れないように夫婦で共かせぎして、二十四時間ぎりぎり毎日働いておる、そういった者のみが利益をあげておる、そういった者のみが黒字経営を続けておる。労基法にくくられて、通常の労働者一人を雇うのに、九州まで行くのに最低は五万円、高いものは七、八万円かけなければ得られないのであります。しかもそのような状態のもとに、なけなしの金をもって老朽化しつつあるような工場を維持しておる、これがギンガム生産の実態でございますので、いまは、全く近代化と逆行する前時代的な様相を呈しつつあるわけであります。そしてだんだんと事務当局あるいは中小企業庁からもお伺いしたわけでございましたが、大臣に伺いたい点は、すでに昨年の九月に、綿スフ織物の生産の近代化の基本計画なるものをお立てになっております。そうしてこの基本計画の三十九年度末実施計画というものを策定しておられます。そこで、一体この基本計画というものは、この間概要の御説明を聞き、また文章そのものも検討いたしてみますと、基本計画と申しておりましても、これでほんとうに近代化するのだろうかという印象を私は受けたのです。といいますのは、たとえば、御承知のとおり、農業基本法ができてみましても絵にかいたもちであると言われておるごとく、農業の近代化はむずかしいのです。でありますので、この近代化をするというためには、今日どのようなことをしておられるのであろうか、こう見てまいりますと、まずそれは、ここにもおあげになっておりますが、近代化のモデルはどの程度のものにすべきかということにもなりましょうし、あるいは適正生産方式というものをどうするかというところから立脚していきますまいか。大事な点は、いろいろとあなたに御答弁をいただく時間もないのですから、二、三にとどめたいので重点的に伺いたいのですが、一つは、これに伴う資金計画におきまして、はたしてこの資金が投入されるのであろうかどうであろうか。資金の特別ワクが三十九年度十億円、四十年度五十億円とか聞くのでありますけれども、しかしはたしてその資金がこの地方にどのくらい流れていくのであろうか。そしてまたそれはほんとうに資金の受け入れ態勢ができるのであろうか、近代化という何か上のほうに掲げられたもので、資金もなし、やはり依然としてきょうのそれを嘆いてかこっていくということにいくのじゃないかと思いますので、まず資金問題の解決というものを通産大臣としてどのようにお持ちになっておるのであろうか、この自信のほどをまず伺っておきたいのです。
  91. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 吉田委員ももう御承知のように、近代化基本計画の中に資金計画もあわせて明示されておると思います。したがって私といたしましては、この計画が完全に履行されるように努力をいたしたいと思うのであります。ところが、いまのお話の中にもございましたが、なかなか受け入れるほうの実情というものが相当問題ではないかと思うのであります。側々のケースもございましょうし、それからこれからの適正生産方式をどういうふうに持っていくかというときにも問題が起ころうかと思うのでありまして、私としてはこの計画に基づいて個々の企業者のお考えやあるいは適正生産方式を十分考慮いたしながら進めていきたい、かように思います。
  92. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 いまここで資金計画の具体的内容を伺うことはちょっと大臣からは御無理かもわかりませんが、しかし一般的に資金の点は重要事項として指摘されておりますこともそのとおりでございますし、またそれは何人が考えましても当然のことでございますので、これはひとり播州織物というのじゃなしに、綿、スフ織物全体といたしましての通産省のお立場資金問題、これは特別に考えていきませんと、引き合わない、損をする赤字のところへはなかなか商業ベースの資金というものは流れていきませんし、特に播州地域におきましては担保力が弱いというようなことも伴いますのと、それからさっきから問題になっている山陽特殊鋼なんかの問題も響きまして、市中銀行の融資はいよいよ選別は厳選になってくる、こういうことであります。先般も事務当局に申し上げたのですが、実は資金問題のためにこの播州地域におきましては一流会社の手形が二十銭、二流以下になると日歩三十銭でないと割れないのです。こんな金が三月末に二億四千万円、一月当時、二月当時の調査ではざっと五億、同県の県庁の現地企業診断の結果、そのような状態があらおれておるのでございます。でありますので、資金問題につきましてはさらに特段の御配慮のほどをひとつよろしくお願いを申し上げておきたいのであります。これまた、資金問題にほんとうに力を入れるのでなければ、農業の金が農協から工業へいってしまうがごとく、引き合わない方面は実際はきませんし、またそれなくしては近代化の手づるも得られないことは、これは申すまでもないのでありますから、最重点的にこの点は扱っていっていただくべきであると思うのであります。  それからもう一つ、ぜひ伺わなくちゃならぬのは、大体どの規模のものをほんとうに企業体として推進するかということ、これは個々の問題もあり、あるいは団地的な問題もあり、あるいは合併した会社のこともあろうし、協業化と一体として考えるべきですけれども、その辺につきまして資金とのからみ合わせで相当これは精密な調査の上おやりいただきませんと、この基本計画書に出ておりますのでは、これはどこかのサンプルがあるだけで現地の実情に合うのやら合わぬのやらわかりませんので、万事現地の実情を前提といたしまして、いわゆる適正生産の方式というものも御決定いただく。もちろん現地だけではいきますまい。これは売りものですから、アメリカの関係もありましょうし、その他製品の種類、品質等の関係もありましょうが、ともかく私はこの種の問題は現地の一切の資料というものを重視するという立場でお立ていただきますこと。したがいまして、実施の計画も出ておりますけれども、これは現地の状況によって即応の体制で相当自由に変化、改定もし得る、こういうような弾力性を持ってやっていただいたらどうだろうか、こう思います。これは計画を実施なさる上において私は重要なことだと思います。というのは、大臣、この間私の兵庫県におきまして、農業のパイロットファームが実はできました。パイロットは設計できましたが、百姓から総スカンを食ってしまった。兵庫県ただ一つのパイロットファーム、相当ばく大な資金を投じておりますけれども、これはよかろう、これはよかろうと持っていったが、それはここには合いませんというようなことでございました。それは資金関係がある、酪農が五年で返せというようなことをいうのでは、これも合わない。あの方法、この方法もうまくいかぬので、ちょっとお手上げというたら少しきついですけれども、これは前途非常に危ぶんだいま一ケースとして注目しております。こんなこともありますので、基本的な実施計画があっても、ずばずばと当てはめていくのではなしに、地元地域の客観性、主体性というものを十分厳密に御調査になった上で、弾力的に実施するように持っていくべきだ、こう思いますので、その点につきまして、政府といたしまして、最高の方針はぜひともそのようにあってほしいと思いますので、これは方針の一端として伺っておきたいと思います。
  93. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 これは申し上げるまでもなく、私といたしまして、吉田委員と全く同感でございます。ややもすると、計画書に基づく机上理論的な推し進め方があって、そのためにかえって御迷惑をかけることもありがちのことでございます。現地の実情に適したどの程度の規模でやるべきかというようなことを考えていくことは、これはそのように私は将来を指導してまいりたいと思います。
  94. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そこで私はそのようにしていただく限りは、たとえば現地の当業者あるいはその他の従業者あるいは現地の産業指導しておるような地方出先あるいは府県庁、そういったところからもどんどんと意見なり要望なりあるいは実情の報告なりをおとりになって、またこちらからも人事が交流的にどんどんいって、全く寸分の狂いもない適切な実質的な効果、成果があがるような基本計画の実施をやってもらいたい。たとえば四十七インチ広幅ギンガム普通片四丁格子づき二十四台の織機を並べておいて、かりに二千万円なら二千万円要るといたしましても、やりようによりましては、一千万円でできると思います。あるいは土地、建物の活用いかんによりまして、みえを張らずにあるいはまた共同購入の方式もあるのでありますから、いろいろな点におきまして計画なり実施なりの上によほどくふうというものがあるならば、これは適切な対策が立つと思いますので、この点につきましても、結局現地の意見、希望、実情の報告というものを具体的に精密なものを、刻々と動くものをとってもらいたい、死んだ去年の材料によることなしにやってもらいたい。また一部のものではなしに、体験者とか専門家的なものを十分とってもらって、たとえば重病人に対する投薬、治療のごとくに、誤れば命がないのだというくらいの緊迫、責任を持ってお互いが気合いを合わせていくということでやってもらいたい。私はやはり播州地域のギンガム問題の解決をほんとうにおやりになりますならば、日本の繊維産業につきまして、これは重大な示唆を与えることになり、これの得る効果というものは、ひとりこのような地方の綿織物だけではございません。幾多の合繊問題につきましても、十大紡も、この間、聞いてみましたら、青息吐息の面があると思いますので、私はいろいろな面で生きた通産行政ができる、真に日本産業指導的な役割りを行政がなし得る、行政はそこまで踏み込んでいくという必要が今日あると思いますので、こういう点につきましても特段の積極的な気がまえを持ってこれに対処していただきたい、こういうふうに思いますが、いかがでしょう。
  95. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 吉田委員の御意見わかりました。これは関係者を糾合した実施推進協議会のようなものをつくりまして、その協議会の中で、十分意見をひとつ参酌いたしまして、仕事をやる上に、万遺漏なきようにつとめるようにいたしたいと思います。
  96. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 大臣に対してはこれで終わりました。  ちょっとほかの方に一、二点残っておりますので、簡単にお尋ねいたしまして終わることにいたしたいと思います。  それでは、ほかの方はよろしゅうございますから、中小企業金融公庫総裁にちょっと伺っておきます。  産業に対する金融機関としてのあなたのお役目は、きわめて重要でございますことは、われわれ存じておりますのですが、いま大臣質疑いたしておりました兵庫県のギンガム問題。これはあなたのほうのみならず、さらに小さく国民金融公庫あるいはまた商工中央金庫など相協力してやってもらうべきなんですが、綿織物の輸出につきましてあなたのほう——私は前から、これは一つの私自身の懸案なんですが、輸銀との関係ですね。あるいは内需その他の国内において開銀との関係、この関係をもっと積極的にお互いの分担、あるいはまた輸銀のほうはあれか知りませんが、輸出という観点に立って特に融資をする。いまのようた倒産続出のギンガムを中心としました青息吐息の企業全体に対しまして、輸出という観点で、輸出物の生産という観点で特に力を入れるということは、全くこれはしろうと着想にすぎないのでしょうか。あるいは、特にそれはいろいろ検討の余地があるのですか、それはどういうものでございましょうね。
  97. 舟山正吉

    ○舟山説明員 私のほうの立場からいまお尋ねの点について申し上げますと、輸出入銀行のほうはプラント類その他長期の延べ払いをたてまえといたします輸出物件の金融をやっておると思います。また開発銀行のほうは、地方開発のほうに力を入れておりますので、あるいは繊維業者の方に対しても融資する道はあるのかと思いますけれども、中小企業に関します限りは私のほう、それから商工中金、これは何といっても主力にならざるを得ないと思っております。またそのほかに国民金融公庫とございますが、この三機関はそれぞれ金融の性質に応じまして職能が分かれておる次第でございます。  私のほうは、申し上げるまでもなく、長期設備資金を主力としてやっておりますので、また一般の貸し付け方針の中に特定中小企業の輸出振興融資という制度もございまして、これは特に特ワクでやっております。これも相当西脇地区には出ております。  なお、細目につきましてはお尋ねがあれば申し上げたいと思いますけれども、西脇地区と申しますか兵庫県下の織物につきましては、私のほうも輸出産業の重要性というようなことにかんがみ、また中小企業対策としてもきわめて大事な地区であるという観点のもとに、十分力を入れてやっておる次第でございます。
  98. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 あなたのほうは担保というものを相当厳重にお考えになるのでしょうが、これは損をすると困るでしょう、支払いできないというような事態が起きては困るので、もっともなことだと思いますけれども、やはり必要なところは担保力が弱い、いろいろなこういう逆境に遭遇しているような小さな業者は担保力が弱い、こういうことになっているのですが、担保にこだわらないということも無理かもしれないが、その辺はどういうものか、やはり厳重に行なっておかねば償還の確実を期することができないというようにおっしゃるのでしょうが、この際伺っておきたいことは担保のあるのとないのとの比率はどのようになっているのでしょうか。
  99. 舟山正吉

    ○舟山説明員 私のほうも政府資金を取り扱うことでありますからいろいろの検査機構もございます。そのためにいわゆる金融ベースに乗った金融でなければならないということになっておりますが、担保として不動産その他ということでまいっております。しかしそれには貸し出しました金額でできました設備を担保に入れる持ち込み担保というようなものも認めているというようなことは、市中から比べまして非常に恩恵的な措置ではないかと思います。それからまた順位等も第一順位に限りませんで、ただ貸し付け金額に見合う担保というものは一応そろっておりませんといけないというたてまえでありますが、実情は市中あたりに比べまして業者の方に十分御満足のいくような措置になっているのではないかと考えます。
  100. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 市中銀行なりその他相互銀行なりさらに個人の金貸しということになりますと、漸次担保というものに重きを置いてまいりますが、やはり調査を正確になさって、またできるだけ指導もし得るような機会があるならば、そんなにむざむざとそう御損をかけるようなこともなかろうじゃないかと思ったりするのですが、その辺の実態は専門家でないからむずかしいことでありますけれども、いまの事態に即応する政府資金の投入ということになりますから、反面におきまして非常事態に最大の役割りを持ってもらうのが政府金融機関であって、市中銀行以上にその辺の使命がやはりあるべきではないだろうか、可能な範囲——市中銀行ではなかなかできない。あくまでも商業ベースか知りませんけれども、できないものをできるだけ援助していくという態勢をとるべきではないだろうか。この間、お聞きになりました山陽特殊鋼あたりの問題でも、信用保証協会からけられる、相互銀行がけってしまう、あちらもけり、こっちもけり、結局金融の道がないという一例もございます。でありますので、その辺はむずかしいと思いますけれども、どうか無過失もしくは若干過失がありましても、有益な事業に従事しておるようなものにつきましては、できるだけ金融機関金融機関なりにこれは大きな役割りをぜひ果たしていただく、こういう観点で私のほうでだんだん指摘してまいりました兵庫県におけるギンガム産業の育成と、そしてまた維持と、また今後の発展のためにこれは最大の御努力をお願いしたい。お願いするというのは陳情的なことになってしまいますけれども、これは当然政府関係金融機関といたしまして重要な一使命であるというふうに考えますので、この点はしかるべく御配慮をお願いしたいと思います。  以上で終わります。
  101. 舟山正吉

    ○舟山説明員 御趣旨は十分承っておきたいと思います。  なお、一言いたしますれば、私どもの貸し付け長期にわたりますものですから、一応の担保がそろっておらないと貸し出しにくいという面もございますけれども、また一面長期貸し付けを受けるということは市中でできないことでございまして、業者のために非常に利便になっておる点もひとつ御了承願いたいと思います。
  102. 壽原正一

    壽原委員長代理 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  すなわち、国が資本金の二分の一以上を出資している法人の会計に関する件調査のため、来たる八日、本委員会に参考人として関係者の出頭を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  103. 壽原正一

    壽原委員長代理 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  なお参考人の人選等については委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  104. 壽原正一

    壽原委員長代理 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時一分散会      ————◇—————