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1965-03-30 第48回国会 衆議院 決算委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年三月三十日(火曜日)     午前十時四十七分開議  出席委員    委員長 堀川 恭平君    理事 壽原 正一君 理事 田中 彰治君    理事 福井  勇君 理事 勝澤 芳雄君    理事 田原 春次君       根本龍太郎君    福永 健司君       神近 市子君    栗原 俊夫君       堂森 芳夫君    森本  靖君       山田 長司君  出席政府委員         厚生政務次官  徳永 正利君         厚正事務官         (大臣官房会計         課長)     戸澤 政方君         厚 生 技 官         (医務局長)  尾崎 嘉篤君         厚生事務官         (医務局次長) 大崎  康君         厚生事務官         (薬務局長)  熊崎 正夫君         厚生事務官         (社会局長)  牛丸 義留君         厚生事務官         (社会保険庁医         療保険部長)  坂元貞一郎君         厚生事務官         (社会保険庁年         金保険部長)  實本 博次君  委員外出席者         大蔵事務官         (国有財産局国         有財産第二課         長)      村田  博君         厚生事務官         (社会保険庁長         官官房経理課         長)      中村 一成君         会計検査院事務         官         (第三局長)  小原  剛君         会計検査院事務         官         (第五局長)  宇ノ沢智雄君         医療金融公庫総         裁       安田  巌君         医療金融公庫理         事       河野 鎮雄君         医療金融公庫監         事       山口 喜雄君         専  門  員 茨木 純一君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  昭和三十八年度一般会計歳入歳出決算  昭和三十八年度特別会計歳入歳出決算  昭和三十八年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和三十八年度政府関係機関決算書  昭和三十八年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和三十八年度国有財産無償貸付状況計算書  昭和三十八年度物品増減及び現在額総計算書  (厚生省所管厚生省関係政府関係機関関係)      ――――◇―――――
  2. 堀川恭平

    堀川委員長 これより会議を開きます。  昭和三十八年度決算他三件を一括して議題といたします。  本日は、厚生省所管決算について審査を行ないます。  まず、厚生政務次官からその概要説明を求めます。徳永厚生政務次官
  3. 徳永正利

    徳永政府委員 昭和三十八年度決算概要につきましては、お手元に印刷物をお配りしてございますので、それによって詳細御承知いただきたいと思います。  何とぞ御審議のほどをお願い申し上げます。
  4. 堀川恭平

    堀川委員長 委員各位のお手元に配付してあります昭和三十八年度決算説明書は、便宜委員会議録に掲載いたしたいと存じますので、さよう御了承願います。  次に会計検査院当局から検査概要について説明を求めます。小原会計検査院第三局長
  5. 小原剛

    小原会計検査院説明員 厚生省所管事項につきまして御説明いたします。  検査報告指摘いたしました事項報告書の三五ページ以下にございますように、健康保険厚生年金保険及び船員保険保険料徴収並びに保険給付の問題、それから公共団体事業主体となって施行いたしました簡易水道事業経理の問題、この二つでございます。  以下、簡単に申し上げますが、三五ページ二一五号は健康保険及び厚生年金保険、二一六号は船員保険の各保険料徴収に関する事案でございまして、いずれも保険料算定基礎となります被保険者の賃金の把握が的確に行なわれなかったことによるものでございます。  二一七号は、健康保険事業における保険給付に関する事案でございまして、事業所から報酬を受けておる者に対して傷病手当金を給付していたものでございます。  二一八から二二四までの七件は、公共団体補助事業として施行いたしました簡易水道事業国立公園整備事業におきまして、工事の施行が不良なもの、事業計画実施にあたっての調査が十分でなかったため補助目的を達していないものなどを指摘したものでございます。  不当事項として指摘しましたものは以上でございますが、このほかに厚生年金保険船員保険の両特別会計保険福祉施設管理運営につきまして、厚生大臣改善意見を表示したものがございますが、報告書の一一四ページ以下に全文掲げてございますので、それによっておわかりいただきたいと思います。  以上でございます。
  6. 堀川恭平

    堀川委員長 次に、政府関係機関当局である医療金融公庫からの資金計画事業計画等につきましての説明は、便宜委員会議録に掲載いたしたいと思いますので、さよう御了承願います。  これにて説明聴取を終わります。     ―――――――――――――
  7. 堀川恭平

    堀川委員長 これより質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、順次これを許すことにいたします。勝澤委員
  8. 勝澤芳雄

    勝澤委員 最初会計検査院指摘事項から御質問いたしますが、この健康保険あるいは厚生年金保険あるいは船員保険保険料徴収不足というのは、毎回こういう形が出ておるわけでありますけれども、具体的に対策というのはどういうふうになされておりますか。
  9. 坂元貞一郎

    坂元政府委員 厚生年金保険、それから健康保険保険料収納の問題でございます。毎年度会計検査院から徴収不足につきまして御指摘を受けます。また当決算委員会におきましても、毎回御注意を受けているわけでございますが、この問題につきましては、何と申しましても、保険料算定基礎になっております報酬把握のしかたというものがなかなか的確に行なわれがたい、こういう事情があるわけでございます。これにつきまして、従来から私どもとしましては、報酬把握やり方等についていろいろくふうをこらし、また行政指導等を通じまして、的確な把握努力をいたしてまいっているわけでございますが、なかなか十分な収納成績というところまでいっていないわけでございます。それはいま申しましたような事情によるわけでございます。それで私どもとしましては、今後の対策としていろいろ検討をいたしておるわけでございますが、やはり根本的には私どものほうの、つまり実施機関側から申しますると、行政監察と申しますか、そういう方法をさらに強化していくということが一つ方法でございます。それから第二の方法としましては、つまり保険料を納めてもらいます事業主等方々に対して、積極的に制度趣旨その他の点についてPRをしていく、これが第二のポイントであろうと思うのでございます。したがいまして、そういうポイントの点につきまして、社会保険委員とかそういう方々を通じてこの制度趣旨についてPRをいま強力に進めている、こういうことでございます。結論的に申しますと、行政指導なり行政監察というものを強化しながら、片一方事業主方々に対して趣旨の普及を徹底していく、こういうようなやり方を現在やっております。それからまた今後もそういうやり方についてさらに特段のくふうをこらしまして努力をしていく、こういう考え方でいるわけでございます。
  10. 勝澤芳雄

    勝澤委員 これは毎年度指摘事項で、そしてまた指摘される率といいますか、たとえば健保ですと、調査した個所に対して指摘される個所というのが四一%だとか、あるいはまた船員保険ですと三八・六%ですか、こういう形であるわけですね。毎年いろいろとお考えになっているようですが、根本的な問題もあるわけですから、やはりそういう点を含めて、もう少し簡便にして、そうしてこういう結果が出ないようなことを考えてもらいたいと思うのです。検査院も何回も指摘しているようでありますし、いま三十八年度決算ですけれども、いまのお答えでは三十九年度にまた同じようなことが出てくると思うのですよ。やはりそうならない対策というものをつくるべきだと思うのです。きつくやれとかどうとかいうことではなくて、制度の上からも出ているわけでありますから、やはり把握のしかた、そういうものについてもう少し私は研究を要するのじゃないかと思う。三十九年度はもう一回はしかたがないとしても、ぜひ四十年度からはこういうことのないようにすべきではないか。私はちょっと検査対象に比べて指摘個所が多いと思うのです。そういう点についての研究をぜひなお続けていただきたいと思うのですが、いかがでしょう。
  11. 坂元貞一郎

    坂元政府委員 確かにおっしゃるとおりのこと、私どもも十分常日ごろから考えているわけでございます。標準報酬のいわゆる把握のしかたというものが非常に複雑になっているという意見が別にあるわけであります。そういう点からしまして、納めてもらいます事業主方々の届け出というものが完全に、適正に行なわれがたい、こういう点は先生指摘のとおりでございます。こういう点につきましては従来から努力をいたしておるのでございますけれども、なかなか十分に行なわれがたい面もございますので、昨年度あたりから事務改善研究というものを、私ども役所の内部だけで持ちまして、いろいろこういうこまかな点から、仕事やり方等についての簡素化合理化、そういうものについて研究を進めているわけでございます。したがいまして、そういう研究の結論を待ちまして、いま申し上げましたような点についてなお一そう努力をしていきたい、こういうように考えておるわけでございます。
  12. 勝澤芳雄

    勝澤委員 厚生省仕事というのは、わりに零細な人たちを相手にやる仕事が多いわけでありまして、実はそういう点については事務的には実によくやられているわけでありますけれども行政のロスが出ている点がたくさんあると思うのです。そういう点で厚生省全体について、あらゆる福祉団体を含めて検討しなければならぬ点があると思うのです。たとえば薬の問題を一つ取り上げてみましても、二、三年前からサリドマイドの問題がいわれているわけでありますが、それがまた今度かぜのパブロンの問題が出てきて、同じようなことがいわれているわけであります。厚生省というのは表面的にはずっとうまくいっているようですけれども、ほかの者に比べて一つつつけばどこもかしこもうまくいっていない点があるわけです。ですからそういう点はぜひひとつ力を入れていただきたいと思うのです。  そこで次に、今度は指摘されております福祉団体関係厚生年金保険船員保険特別会計、この関係でありますけれども最初にどういう団体がどういう施設管理しているか、こういう点についてまずお尋ねしたいのです。
  13. 中村一成

    中村説明員 最初健康保険関係では、全国社会保険協会連合会という団体がございまして、これに健康保険病院を七十四、それから日雇い健康保険診療所四カ所の経営を委託しております。それから都道府県にございます社会保険協会というところに健康保険保養所七十八カ所をお願いしております。次に厚生年金保険関係では、財団法人厚生団病院七つ、それから会館二つ老人ホーム七つ体育施設一つ経営を委託いたしております。それから船員保険関係では、同じく財団法人船員保険会保養所及び休療所四十八カ所、病院診療所五カ所、母子寮一カ所、これだけの経営をお願いいたしております。
  14. 勝澤芳雄

    勝澤委員 いまの団体役員や、あるいは前歴や給与の状態はどんなふうになっていますか。
  15. 中村一成

    中村説明員 役員給与等につきましては、後ほど文書でもって詳しく資料を提出させていただきます。いまちょっと手元に持っておりませんから。
  16. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それでは、その点は資料で出していただきまして、この検査院から指摘された内容によりますと、これは三十六年十一月に設立された年金福祉事業団にその設置運営を行なわせることになっておるが、いまもってこれが政令が出されていない、こう言われておりますけれども、これはどういう理由政令が出されていないのですか。
  17. 中村一成

    中村説明員 この年金福祉事業団設置されました以前から、健康保険厚生年金船員保険福祉施設につきましては、先ほど申しました団体経営を委託いたしておったわけでございまして、この年金福祉事業団が発足いたしまして、その事業の大きな目的でございますところの厚生年金国民年金船員保険融資に関する仕事がそのおもなる仕事でございまして、現在のところ社会保険関係福祉施設につきましては、従来どおりやり方でやっていくという方針で、ただいまその政令ができていないわけでございます。
  18. 勝澤芳雄

    勝澤委員 この法律ができたときには、これらのものはこの年金福祉事業団運営をさせるということで、この法律はつくったのではないのですか。
  19. 中村一成

    中村説明員 私どものただいま承知しているところでは、少なくとも具体的にはこれらの福祉施設運営事業団にやらせるかどうかにつきましては、別にそのように具体的にはきまっていないように聞いておるわけでございます。
  20. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうすると、ここに出ている法律年金福祉事業団法の十七条で業務の範囲がきめてありますが、ここにいわれている老人福祉施設、あるいは療養施設その他の施設、これは具体的には何をさしておるのでしょうか。
  21. 中村一成

    中村説明員 ただいまのところ、年金福祉事業団がみずから事業を営んでおる、ここに書いてあるものは、現在はないわけでございます。したがいまして、政令もまだできていない次第でございます。
  22. 勝澤芳雄

    勝澤委員 法律をつくったときに、必要でない法律をどういうわけでこういうふうに入れたのですか。法律設置するときに、必要だからこういう法律ができたと思うのですが、もう設置されて何年ですか、三十六年十一月ですから、もう四年もたっておりますけれども、この法律そのものが要らなかったわけなんですね。ですから、ここにこういうふうに入れなければならぬ必要性、あるいは、実はでき上がったけれども、全然これがないという理由、そういう点がちょっといまの御説明ですとわかりにくいわけですけれども、もう少しわかりやすい御説明を願いたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  23. 中村一成

    中村説明員 私が、といいますか、社会保険庁の立場で申し上げるのは、あるいは当を得ていないかと思うのでございますけれども、現在の段階におきましては、社会保険関係福祉施設運営につきまして、まだこれを年金福祉事業団のほうに経営を移すというところまで、何といいますか、そういうようになっていないわけでございます、としか、お答えできないわけでございます。
  24. 勝澤芳雄

    勝澤委員 会計検査院はこういう指摘をされているのですか。検査院の御意見はいかがですか。
  25. 小原剛

    小原会計検査院説明員 いまお話がございましたように、法律にそうなっておるわけでございまして、この関係は、労災保険におきまして、労働福祉事業団法という法律に基づいて保健施設をつくる、なお、保険法の中に事業をこれにやらせるという規定があり、現実にこれを実行されているわけでございますが、それと同じ趣旨でこの法律ができたとわれわれ考えております。したがって、法律ができており、保険法にもそういう規定法律の制定に伴って改正で入っている。その現状において、その後の事情によって、当時つくった法律が事実実情に合わないということで、また別な法令的な処置を講ずるならば別として、現状においては適当でないのではなかろうかというふうに考えます。
  26. 勝澤芳雄

    勝澤委員 私も検査院と同じような考え方を実はするのですが、もしいまあなたの言っているような考え方とするならば、この法律をつくるときに必要性がなかったのじゃないだろうかというふうに思うのですが、その点もう少し当時のこともよく御検討願って、もっとわかりいい解釈といいますか、あなたのほうの見解を出していただきたいのです。
  27. 實本博次

    實本政府委員 いまの先生お話ごもっともでございますが、ただ、年金福祉事業団のできました当時はそういう考え方であっただろうと思います。ただ、現実に施行されましてから、年金事業団設置法規定いたしております事業の中で十七条の一号のほうが非常にかさんでまいりまして、三十六年からずっと年度の経過を見てみますと、還元融資原資として、年金福祉事業団は、三十六年に五十億、三十七年に百億、それから三十八年に百五十億、三十九年に二百六十億、それから来年度は三百七十億を還元融資仕事に、第一号のほうの仕事に、それだけの還元融資原資が与えられる、こうなってきておりまして、現実の問題といたしましては、このほうの還元融資仕事が非常に大きくふくらんでまいっておりまして、こういう仕事をやるところに第二号のような被保険者福祉施設を行なわせるということは実は適当ではないのじゃないか。同じようなケースといたしまして、労働福祉事業団福祉事業そのもの専門に行なう団体がほかの社会保険ではございましたりしまして、実はこれは別途そういう還元融資を行なうことがもっぱら業務になっている年金福祉事業団とは別に、そういう専門的に福祉施設運営する団体にやらしたほうが適当ではないかというふうな実情にいまなってまいっているものでございますから、先ほど経理課長からも申し上げましたように、厚生団といたしましても、病院七つとか、それから老人ホームが十幾つとかいうふうに相当福祉施設の数がふえてまいっておりますので、社会保険庁といたしましては、別途、そういう福祉事業福祉施設だけを専門的に運営管理してまいる団体を実はつくっていきたい。勝澤委員会計検査院からの御指摘もそのとおりでございますので、目下のところ、そういうふうな方向整理をいたしてまいりたい、こう考えておるような次第でございます。
  28. 勝澤芳雄

    勝澤委員 いまのお答えよくわからなかったのですが、年金福祉事業団がいま行なっている貸し付け業務というものがだいぶ広がってきた。したがって、いまの仕事をやらせながら、こういう福祉問題は別の角度でまたこういう事業団というようなものをつくってやっていきたい、こういう意味ですか。
  29. 實本博次

    實本政府委員 おっしゃるとおりでございまして、還元融資といいますか、そういう資金貸し付けの、回収してまいります資金管理仕事をやる専門団体にいまの年金福祉事業団をしていって、そして福祉施設運営をする団体というものを別に設置してもっていったらどうであろう、そのお手本を先ほど申し上げましたような労働福祉事業団などに求めて、ほかにもそういう例がございますので、そういうふうにしていきたい、こう考えて、いまだにまだ年金福祉事業団のほうにその仕事をお願いしてない、こういう始末でございます。
  30. 勝澤芳雄

    勝澤委員 現在はこの福祉事業団福祉事業関係はどういう形で管理が行なわれているのですか。
  31. 實本博次

    實本政府委員 これは管理の面は国が管理いたしておりまして、経営厚生団という方針に、委託して経営いたしておるわけでございます。
  32. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうすると、年金福祉事業団と別のものをつくるということになれば、いま言いました健保連ですか、それから厚生団船員保険会、この三つを一つにしたようなものをつくって、それが直接管理をする、こういうことですか。
  33. 實本博次

    實本政府委員 その問題につきましては、いろいろ御意見がございますが、社会保険庁なり厚生省といたしましては、やはり労働福祉事業団のような特別の根拠法律を持った事業団に主にしたいこう考えているわけでございます。
  34. 勝澤芳雄

    勝澤委員 しかしそれは私はたいへん残念なことで賛成できないと思うのです。それはなぜかといいますと、この三十六年十一月のときにわざわざ年金福祉事業団というものをつくって、その中にこういう仕事もやらせましょうという構想でやったでしょう。そうしておきながら、四年もたって何もやらせずにおいて、また新しいものをつくろうという、一体何を考えているのかよくわからないのですよ。なぜ年金福祉事業団にこの仕事を移せないのかという質問については、あなたの答弁は仕事が多くなったからということでしょう。仕事が多くなったらここで人を入れさえすれば何も別のものをつくらなくてもいいじゃないですか。わざわざこういうものをつくってやらせるようにしていながら、やらせないところがよくわからないわけです、当初からやらせないのですから。二、三年やらしてみたけれども、足らなくなって、忙しくて何かつくらなければならぬというのは、これは理屈が通りますよ、ごまかしもできますけれども、初めからこれにやらせるのだという法律をつくっておいて何にもやらせずにおいて別のものをつくろうといっても、これはちょっと聞こえない話ですよ。だから私は先ほどから前提として、厚生省業務についてはこうじゃないでしょうかと言う。薬務行政にしても何にしてもこまかいところに目の届いたようなやり方をしていますけれども、どこかに抜けているところがあるわけです。それがいまもやもやとして政治問題としていろいろ出ている現象だと思うのです。これなんか私はまさにその一つの例だと思うのです。これは検査院指摘されて現状というのが出てきたわけですけれども、これは当然法律に規制されたとおりにやりますというのが、あなたのほうの態度だと思ったら、いまの態度を聞いているとそういう態度じゃないわけです。これはどうでしょうか。やはり検査院から指摘されたように、法律で規制されたようにやることが困難なのでしょうか、もう一度お尋ねしますけれども
  35. 實本博次

    實本政府委員 形式的に申しますと、確かにそういう法律設置事業内容が書いてございますから、そういうふうにするのが一つ方法であると考えられるわけです。ただ先ほどから申し上げておりますように、設置当初はそういうふうに考えておりましたが、年金福祉事業団仕事のうち還元融資仕事が、つまり実質的に申し上げますと、金融公庫たる色彩の仕事が非常にふえてまいったものでございますから、むしろそういう公庫的なもので、これも毎年また還元融資の額が相当ふえてまいりまして、地方に出先機関を持たなければならないのではないかというふうな伸び方をしてまいっておるものでございますから、そういう金融公庫的なものと、別途福祉施設運営だけを運営させるものを、厚生団がいまそれをやっておるわけでございますが、それを福祉事業団のように法律上の設置根拠を持たしたものにしていきたい、こういうふうに考えているものでございますので、そういうふうな方向社会保険庁といたしましても検討いたしておるということでございます。
  36. 勝澤芳雄

    勝澤委員 ことばの言い方というのがおかしいのですよ。形式的にはそうなっているというが、形式的じゃない、内容的にも、法律をつくった初めからそういう心がまえでつくっているのでしょう。それをただ形式的だという言い方というものはけしからぬと私は思うのですよ。法律をだれがつくったのですか。皆さんのほうが案をつくって、われわれが審議して、こういう法律でよかろうということでこういう法律をつくった。形式的にも実質的にも、そういう点はごまかしは許されないと思います。法律でこうきまっている、やってみましてこうだというのなら話がわかりますよ。しかも設置当初は、こう言う。明らかにこれは役人のごまかしですよ。政務次官大臣もいませんから、この問題はこの次に政務次官大臣にこちらへ来てもらいまして、きっちりしてもらいますから、ひとつよく研究しておいてください。いまのような考え方だったら厚生省から出てくる法律というものは、形式的には一体どうなんだろう、設置の当初はどうなんだろうということをよく聞いてからでなければ困る。法律をつくった、法律どおり実施をやっていると思ったら、都合の悪いところはやらないでおいて、法律をつくったけれども法律が悪いという、形式的にも設置の当初は、こういう理屈でやられたらいかぬと私は思うのです。年金福祉事業団仕事が多くなって、各所に出張所やなんかつくらなければならぬということなんですから、それはその仕事も必要でしょうけれども、片方の仕事もあるわけですから、設置当初に戻って、初めの考え方から出発してもらわなければ困ると思うのです。それでなかったら法律というものは一体何でしょう。  私は、もう一回聞きたいと思うのです。年金福祉事業団をつくったときのあなたのお考え方を聞きたいと思います。形式的だとか、実質的にはどう考えておったとか、形式的にはこういうふうに考えておったけれども、実質的にはやらせないつもりでおったというなら、そういうふうにお答え願いたい。ちゃんと政令できめるということになっておるのですよ。初めからそういうものなんですから、しかもそういう立場で検査院として――検査院は間違った意見は出しませんけれども、ときどきちょっときびし過ぎるというようなことの意見検査院として出てくることもありますけれども、こういう問題になるとはっきりしておると思います。一言の弁明の余地もないと思います。一言の弁明の余地のないものをいかにも弁明あるように言うことは役人の商売かもしれないけれども、これはひど過ぎると思うのです。ひとつこれは大臣なりによく話しておいていただいて、どうするのかもう少しこんな――まさに形式的なごまかしの回答というものは私は不満です。少し検討していただきたいと思うのですが、どうでしょう。
  37. 實本博次

    實本政府委員 法律の制定当初からそういうことではなかったのございます。私の言い方がもしまずかったら改めますが、設置当初は確かに法律上書いてあるような仕事等考えて法律ができ上がったわけでございますが、その後の経過を見ますと、そういうふうに、結果的には片方の公庫的な仕事のほうがふえてまいったものでございますので、その他いまの社会保険福祉施設のほうも年々数がふえてまいりまして、やはりこれはほかのケースのように別々に事業団と公庫的なものとを分けて運営させたほうがいいんじゃないかという意見が相当有力にございました。確かに先生並びに会計検査院からのお話のような年金福祉事業団で、現在ある中で両方ともやってもいいんじゃないかというような御意見もございます。それもわれわれのほうでいろいろ検討いたしておるわけでございますが、大体やはり公庫的なものとそれから福祉施設という被保険者なりその他の受給者の福祉をはかっていくための運営専門にやる団体をつくったほうが効率的であるというふうに考えられる意見が強くなっておるものでございますから、その方向で各方面からの意見を聞きながら検討いたしてすっきりさせたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  38. 勝澤芳雄

    勝澤委員 年金福祉事業団にこういう仕事最初からやらせることになっておるのですから、仕事をやらした中でいろいろ問題を発展させて考えるならば、私はそれは一つ考え方だと思うのです。何もやらせずにおいて、これは別の団体をつくろうというのはまさに国会を愚弄するのもはなはだしいことだと思うのです。むしろ今日の段階になったら、この年金福祉事業団を拡充強化をして、そういう新しいものをつくる必要ないですから、これを一緒にやらせるようにものを考えていくのが常識的なものの考え方ですから、これはあらためて大臣によくお聞きしたいと存じます。  それから次に、厚生年金会館の決算についてお尋ねいたしたいのですが、「厚生年金会館特別会計決算書」というのが財団法人厚生団から出されておるわけですが、たとえばこの中の人件費で、本給あるいは賞与あるいは雑費、こういう問題の中身にいつて御説明願いたいと思うのです。
  39. 中村一成

    中村説明員 私、いまここへ厚生年金会館の決算の書類を持ってまいっておりませんが・・。   〔勝澤委員中村説明員に書類を示す〕
  40. 中村一成

    中村説明員 この人件費の本給、賞与の内容につきましては、厚生年金会館の職員の給与につきましては、国家公務員に準じたやり方をやっておりますので、国家公務員の場合と同様の趣旨のものでございます。
  41. 勝澤芳雄

    勝澤委員 本給と賞与というのは、比率を見ていると公務員とはちょっと違う。どういう基準でやっているかよくわからないのですが。
  42. 中村一成

    中村説明員 ただいまの御質問につきましては、しばらく検討させていただきまして、後ほどお答えいたしたいと思います。
  43. 勝澤芳雄

    勝澤委員 その中で本給と賞与の関係、それから人員がどういうふうに配置されているのか。それから、そこへちょっと線を引いておきましたけれども、雑費というようなものの状況についてわかる範囲で御説明願いたいと思います。それはあとで資料説明していただきたいと思います。  次に、この意見書に指摘されております点でもう一つ施設運営の被保険者優先という点が守られていないという点を東京厚生年金会館ではいわれているわけでありますけれども、たとえば三十六年度経費約十三億をもって設置をされたけれども、何ら優先的な考慮が払わられていない。また老人ホームの六施設についても年金受給者の利用は、利用者の三・九%にすぎない、こういわれているわけです。ですから目的意識に沿った運営がされていないというわけですが、その現況はどうでしょう。
  44. 實本博次

    實本政府委員 厚生団運営いたしております福祉施設の利用状況でございますが、そのうちで特に御指摘の点は、被保険者または受給者の優先利用があまり考慮されていないじゃないかという御指摘でございますが、病院などは別といたしまして、ここに書かれておりますように老人ホームの例が出ておりますが、これはまだ受給者が非常に少なかったりあるいは受給金額が少なかったりするものでございます。  それともう一つPRが足りなかったりする面もございます。なるべく受給者なりあるいは被保険者の家族が利用できますようにPRをやっているわけでございます。ただ、これは被保険者の優先利用のケースになりますか、われわれのほうはそうだと考えておるわけでございますが、受給者が利用いたします場合は、老人ホームの入所者は約一割から三割近く料金を低廉にして利用させているというようなことをやっておるわけでございます。  なお、厚生年金会館等につきましては、来年度からなるべく受給者とそうでない人と、病院の宿泊施設なんかにつきましては差をつけていきたいというふうに考えているわけでございます。
  45. 勝澤芳雄

    勝澤委員 厚用年金会館なんかは一般の人も被保険者も同じなのですか、いまのお話を聞いていると同じように聞こえる。
  46. 實本博次

    實本政府委員 一々被保険者証を提示していただいて御利用いただくというふうにはなっておりません。たとえばホールの例をあげますと、ホールを使います場合に、労音など大体被保険者であるところの団体からの申し込みが多うございますので、そういう意味での利用の規制はいたしておりますが、一般的に出入りをする人に一々保険者証の提示を求めて云々というふうなやり方はやっておらぬわけでございます。  たとえば、結婚式場を使います場合は、その所属の会社名とか、申し込みの際にチェックするというようなことをいたして運営をやっておるわけでございます。
  47. 勝澤芳雄

    勝澤委員 実は私のところには厚生年金会館の決算書と契約の関係しかないわけでございますけれども厚生年金会館、老人ホーム運営の実態といいますか、どういう運営をしているのかという点について詳細に資料として次のときまでに出していただきたいと思うのですが、よろしゅうございますか。
  48. 中村一成

    中村説明員 ただいま先生のおっしゃいました資料は、取りそろえまして早急に提出いたします。
  49. 勝澤芳雄

    勝澤委員 次に、医療金融公庫にお尋ねいたしますが、医療法に基づく一般の療床の設置基準と、それから医療金融公庫貸し付け金による病床基準が異なっているようでありますけれども、これは医療公庫の基準を医療法の基準と同一にするように考えるべきではないだろうか、こう思うのですが、その点はいかがですか。
  50. 安田巌

    ○安田説明員 たいへんごもっともなお話だと思います。ただ、医療法のほうの基準と申しますのは、公的の医療機関がそれ以上は設置ができないという基準で、それで私どものほうは、これ以上のものについては公の金をお貸ししないというので、多少性質が違うのでございますが、実際問題といたしますと資金の需要に対する、私どもの持っておる原資が、どちらかと申しますと少のうございますから、都会地あたりの設置基準をゆるめますと、そちらへ集中するおそれもあるわけであります。そういった点ではできるだけ医療機関の配置の薄いところに重点を置きたいという趣旨でございまして、もうしばらく、わずかのものでございます。たとえば人口三十万以上の市の特別区で医療法が五八に対しまして公庫が五五でございますから、大体いまこっちではわずかの差をもう少しつけておきたい。そのうちまた先生おっしゃるように一本にする時期も来るだろうと思います。そういう事情でございます。
  51. 勝澤芳雄

    勝澤委員 原資関係でしょうが、そこで、病院の標準建設費と一般の建設費との間に相当の開きがあるわけですが、これはほかのところにもいろいろの問題があるだろうと思う。この建築単価の引き上げ、こういう問題についてはどういうようにお考えになっておりますか。
  52. 安田巌

    ○安田説明員 建築の単価につきましても、御指摘のように、必ずしも実際に受け取られる額と同じだとは言い切れないと思うのでありますけれども、大体こういった政府機関の融資につきましてはほかのほうとのつり合いもございまして、現在、私どものところとそれから年金福祉事業団なりあるいは厚生省へ直接地方債として公の病院等にお貸し願っているときの建築単価とか、そういったようなものが全部同じになっておるわけでございます。また機会がありますごとにこういう単価につきましては引き上げにつとめたいと思うのでありますが、設置以来大体三回ぐらい引き上げてまいったわけでございます。どうしても現実と少しずつおくれていくというような状態でございまして、いずれまたそういう点も十分研究いたしまして努力いたしたいと思います。
  53. 勝澤芳雄

    勝澤委員 最近の公庫の貸し付けの状況なり申し込みなりあるいはどのくらい、大体期間がかかるといいますか、申し込んでから結論が出るまでどんなふうに行なわれておるのでしょうか。
  54. 安田巌

    ○安田説明員 今年度で申しますと受け付けましたのが三百四十八億受け付けておるのです。それで審査をいたしましたのが二百十八億でございます。審査をしないで翌年度に繰り越さなければならないのが百三十億、こういった数字になっておるわけでございます。もちろん審査をしないで繰り越すものは、来年度において、またさらにそのうちでは貸さぬものもありますし、査定するものもあり、またお断わりしなければならないものもありますが、大体そういうような状況で相当需要が多くて私どものお貸しする額が少ないというような事情になっております。それで出てまいりましたものはできるだけ早く処理いたしたいということでございますが、早いものでございますと、銀行から参りましてから一月以内で処理いたします。処理いたしますけれども、ただ一般の受ける印象といたしましては、資金がございませんために、たとえば八月なら八月に処理いたしまして決定通知を出しましたものが、大体十二月とかあるいは翌年にお金が交付される、あるいは内定をいたしましても、年度を越えて来年度にお貸ししなければならぬというものも出てくるわけであります。そういう意味で多少おくれる傾向がございますが、しかし、仕事自体はつとめて早く、御迷惑のかからぬように急がせておるような現状でございます。
  55. 勝澤芳雄

    勝澤委員 資金のやりくりの関係もいろいろあると思うのですけれども、決定通知ですか、内定ですか、そういうものが出ることによって、地元の金融機関から先に借りてあとから返すということで、仕事のやりくりをやっておるようなところもあるようですから、そういう点で、とかくこういう仕事は決定がおくれがちになりやすいわけでありますから、申請を出したらなるべく早く結論を出して、その結論だけでも通知することによって、ぜひ促進をしていただきたいと思うのです。
  56. 安田巌

    ○安田説明員 全く同感でございまして、私どももそういうふうにつとめておりますが、今後も、そういった点について十分留意してまいりたいと思います。
  57. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それから監事の方にお尋ねいたしますが、昨年公庫法が一部改正になりまして、監事の意見というものは、いままでいろいろなところにおいては理事長を経由して厚生大臣意見を出すというふうに法律的になっておったところもありますけれども、一応監事の地位を高めて監事能力をあげ、公正なる運営ができるように、あるいはまた人事の任命も理事長と同格のような任命が監事は行なわれておるわけでありますから、そういう点で法律の上でも監事の地位というものが、直接大臣意見の具申ができる、こういう形に変わったわけであります。このことは独立した監事の運営をさせるためでありまして、また、その中のいろいろの問題については、監事が直接大臣意見を言うことによって、運営の妙を、あるいは間違いのない運営をさせよう、こういうことになったわけであります。こういう点からいきまして、監事として、いまの公庫のやり方、あるいはこうしたほうがいいのじゃないだろうかというような、いろいろな意見などがあったかどうか、あるいはいまのままでよろしいかどうか。そういう点等について監事としての御意見をお聞かせを願いたいと思います。
  58. 山口喜雄

    ○山口説明員 私は公庫が設立されましてから、ずっと任命されておるものでございますが、その間、ふだんの仕事の面におきまして、総裁をはじめ公庫の職員の方々に私の意見を随時申し上げております。いろんな会議にも出席をいたしておりまして、ふだんから気がつきましたことを率直に申し上げておるような次第でございます。したがいまして、今日まで面接厚生大臣に対しまして意見を申し上げましたというようなことはございませんが、常に私の申しますことは、総裁をはじめ各理事におかれまして十分に取り入れていただいておると私は考えております。なお現在の公庫のあり方について将来こうしたならばというような点についてのお尋ねでございますが、先ほど指摘がございましたように、資金の需要と資金量との関係上、決定が若干ずれる、あるいは資金の交付がずれる、こういう事情にございます。この点は何とか改善をいたしたい。私もまたそういう見地から何とかする必要があるのではなかろうか、こういうように考えております。ただし、これは資金量の問題があるのでございまして、事務的に早く処理いたしましても、現実資金がなかなか十分に早く回らないという悩みは、資金量をふやすかあるいは思い切って査定で減らしていくか、どちらかしなければ解決がなかなかむずかしい問題であろう、こういうように考えております。
  59. 勝澤芳雄

    勝澤委員 監事は、監事としての仕事を行なうための事務職員といいますか、あるいは監事室というか、こういう点は公庫ではどういうふうになっておるのですか。
  60. 山口喜雄

    ○山口説明員 私の直属の職員というものはおりませんが、公庫には監査室というものがございまして、これは総裁のお立場から公庫の業務を常日ごろから監査させるために職員が六、七名置いてございます。私の監査につきましては総裁とお話し合いをいたしまして、この監査室の職員を私の補助機関として使っております。あるいはまたそれ以外の各部課の職員につきましても私からいろいろと仕事をお願いできるように総裁とお話をいたしまして、そういうように常日ごろからいたしておるわけでございます。
  61. 勝澤芳雄

    勝澤委員 これは変わった話ですけれども、たとえば最近山陽特殊鋼の問題で、公認会計士という問題が一つクローズアップされているわけであります。公認会計士がどういう決算をしてきたかという点でいろいろ問題にされております。したがって、いま各公庫や公団やあるいは事業団や特殊会社等の監事の運営を見てみますと、いまあなたがおっしゃられるような形で常勤理事と同じような取り扱いをされ、監事室というものが内部監査として行なわれているわけでありますね。そういう中における監事というものは、なかなか責任は重大ですけれども、機構上は確立されていないことも私は承知をいたしております。しかし、それだからといって監事というものは今日やはりどうしても重要視されなければならぬ、人事の面におきわして、運用面、あるいは給与の面におきまして。監事の人たちは監事なりにいろいろの意見を持っていると思うのです。しかし、この法のたてまえからいって、それから法を改正して直接意見具申権を持たしたというたてまえから、こういう点から考えて、やはり内部監査と違った商い次元における監事の役割りというものが、私はあると思うのです。そういう点で、問題が起きてから監事が運営がどうとかこうとかということでなく、やはり監事としての立場からいま言った医療金融公庫のあり方というような点などにつきましては、やはり十分な見識を持って意見を出して、不十分な点は法改正をさせるなりあるいは行政上の是正をさせるなり、こういう点などについても、ひとつどしどし意見を出されるように要望いたしたいと思います。監事から理事になるという人事のたてまえからいきまして、いまの運営のしかたからいきましてなかなか扱いとしてはむずかしいと思います。けれども、やはり一朝問題がありますと、公認会計士はどうなっておったんだ、あるいはこの会社の監査役はどうやっておったんだという批判を受けるわけであります。しかし日常においては、監事というものはいつも、じゃまものではないけれども理事と同じような取り扱いをしながら、手足を持たずにおられたようでありますので、特にそういう点要望しておきます。  医療金融公庫はそれで終わります。  それから、大蔵省が来ていますから、先にこの問題をお伺いしますと。最近新聞に報道されたベル協会の問題でありますが、この問題につきましていろいろと調べてまいりますと、福祉諸団体に対する厚生省なり大蔵省なりあるいは国全体、政治のあたたかみといいますか、こういうものがとかく欠けておることの一つのあらわれとして、こういうものを見ることができるわけであります。最近ろうあ者の問題あるいは精薄児の問題、こういう問題が脚光をあびて、社会福祉の問題についてもう少しお互いが努力をし合わねばならぬじゃないだろうかという点が言われているやさきでありまして、ですから、私は少し変わった角度でこの問題を見でみるのも一つ方法じゃないだろうかと思うのです。  まず最初に大蔵省にお尋ねいたしたいのは、楽石社にこの土地を払い下げをした。そして楽石社がベル協会に転売をした。いま出ているのは、ベル協会がけしからぬ、こういう出方がおおむねあちらこちらでいわれているわけでありますが、やはり大蔵省からベル協会に払い下げされて、ベル協会がこういうことをしたということになりますと、確かにいま行なっていることと同じだと思うのですが、福祉団体である楽石社にこれが払い下げられた。そして楽石社が大蔵省の了解を得てベル協会に転売をした、私はこう見るわけです。大蔵省はそこを知らなかったという言い方をしておりますけれども、この辺は私は大蔵省というものは残念な役所だと思うのです。ほんとうのことをほんとうのように言えばいいと思うのですよ。これは裏づけをずっととっていきますと、それから出た資料をずっと見ていきますと、大蔵省も了解をしなければ、ベル協会は楽石柱から買えなかったという結論が、私はどうしても出るわけであります。だから、楽石社からベル協会に売ったという過程の中では、大蔵省としても承知していると思うのです。それを承知してないというところに、実は大蔵省のずるさがあると同時に、これが問題としてあちらこちらから言われることになる。大蔵省、たいへんいさぎよしとしないと思うのです。そこで、その楽石社に払い下げた経過からまずお伺いしたいと思うのです。
  62. 村田博

    ○村田説明員 問題の土地を楽石社に払い下げいたしましたのは、三十五年の一月二十日でございます。当時楽石柱は社会福祉事業を営む団体でございまして、ろうあ者を収容いたしまして授産、更生、こういった施設に充てるということでございましたので、私どもといたしましては当時これを監督いたしております厚生省あるいは文部省、東京都関係方面からの推薦状もございましたので、これによりましてこの事業は円満に運営されるようにということで払い下げをしたのが事実でございます。したがいまして、そういう関係で、社会福祉事業施設として営まるべしということで、三十六年十月三十一日から用途指定をやるというのが実情であるのでございます。
  63. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこで、この楽石柱と関東財務局長との間には国有財産売買契約書が取りかわされておるわけですね。その契約書に基づいて、これが違法な措置が行なわれた場合においてはこの手続に従って行なう、こういうことになるわけでありますね。それで楽石社に対してはこの手続に従って契約どおり行なうのですか。
  64. 村田博

    ○村田説明員 ただいまの国とこの国有財産をめぐります相手方との関係におきましては、楽石社が依然契約の相手方になっております。したがいまして、私ども法的にこれを追及いたします場合としましては、やはり楽石社の用途指定違反ということで追及せざるを得ない。こういうことで、契約条項のたしか三十四条だと思いますが、それによりまして、違約金をとると同時に、転売差益を徴求するということで収拾いたしたいと思います。
  65. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そういたしますと、具体的にはベル協会は楽石社に幾ら払って買ったのですか。その買った金額に対して、あなたのほうは違約金というものをどの程度の額をとるということになるのですか。
  66. 村田博

    ○村田説明員 ただいま私どもの調査によりますと、ベル協会が楽石社に支払った金額というのは、受け取り証から見ますと四千七百三万一千円ということになっております。この四千七百三万一千円の中には、国に対します延納代金の立てかえ金が三百五十三万一千円入っておりますので、ベルのほうの考えております転売価格は四千二百五十九万三千円であるというふうに申されるわけでありますが、私どもとしましては、立てかえ金といえどもやはり転売価格の一部ではないかというふうに考えまして、四千七百三万一千円を基礎といたしまして、これから当初国が売り払いました代金が九百八十万でありますので、九百八十万を引きまして、それにプラス、違約金といたしまして、これは契約条項に定めるところの規定によりまして、五百五十四万三千五百五十円を徴収するというようなことで措置しておる次第でございます。
  67. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そういたしますと、四千七百三万から九百八十万を差し引いた三千七百二十三万と、それから五百五十四万、合計四千二百七十七万、これを楽石社から徴収する、こういうことですか。
  68. 村田博

    ○村田説明員 精密に計算しました資料はありませんが、大体四千二百万くらいになろうかと試算しております。
  69. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それで楽石社との話はおおむねついておるのですか。どういう状態になっておりますか。
  70. 村田博

    ○村田説明員 実はこれは私どものほうで内々こういう計算をいたしまして、相手方に提示するということでございますが、問題はこの転売価格の点につきまして、楽石柱のほうは全然これを認知しないわけであります。自分のほうはこういう金額であれを転売したのじゃないのだ、楽石社の言い分をそのまま申しますと、木造建物を売ったのであって、土地は売ってないのだ、まだ未払い分があるのだ、こういう言い方をしておりまして、転売価格がさだかではない。したがいまして、これにつきましては、今後法的手段に訴えて何とかこれを回収するという立場からいたしますと、よほど証拠力を持ったものを集めませんと、間違いを犯しても悪い。将来のことを考えまして、いまその辺の資料を集めておるというふうな段階でございます。
  71. 勝澤芳雄

    勝澤委員 少し聞きにくいことを聞きますけれども、大蔵省としては、楽石社からベル協会が買うというこの話し合いについては、あらかじめ何らかのお話があったわけですね。
  72. 村田博

    ○村田説明員 ただいま勝澤委員がおっしゃいましたように、三十八年一月十六日でございますか、ベル福祉協会の山下理事長から関東財務局のほうにお話がありまして、そのときのお話でございますと、楽石社から土地の一部の払い下げを受けたい、それについては、いままで楽石社のほうで延納代金が未払いになっておりますが、こういった分の立てかえもする、それから三年間楽石社からこの土地を借り受けた用途指定期間が切れましたら、その暁に国から楽石社に払い下げた価格によってベルが買い取る、こういう申し出があったわけであります。これに対しまして、国といたしましては、実はこういった用途指定の解除を途中でいたすということは行政上適当でない、むしろこういった希望がございますれば、しかも楽石社が必ずしもこの計画を一〇〇%実現していない、こういう現状からいたしますと、一たん楽石社との契約を解除いたしまして、そうしてあらためてベル福祉協会と契約を結ぶというのが筋かと存ずるわけでございますが、しかしながらその当時私ども考え方といたしましては、そのためには楽石社に対しまして買い戻すための予算措置をしなければならない、こういった国の事情もございまして、契約状態といたしましては、用途指定の変更という形で、かつまたベルにその段階で売ったとすれば幾らくらい国としていただかなければならぬか、その金額と、楽石社が当初払いました金額とを差し引いて、それを納めてくださるなら、しかも所要の手続をとってくださるならお認めいたしましょうということで、御回答申し上げたという経過がございます。
  73. 勝澤芳雄

    勝澤委員 厚生省のほうにお尋ねいたしますが、このベル協会というのは、三十六年の九月十四日に法人の設立認可の申請が出ているようでありますが、そうですか。
  74. 牛丸義留

    ○牛丸政府委員 そうでございます。
  75. 勝澤芳雄

    勝澤委員 この役員は、理事長が山下春江、理事が早川慎一、早川徳次、細川隆元、徳川義親、竹中錬一、塚田十一郎、松田正雄、南喜一、足立正、安西浩、水野成夫、鈴木一郎助、藤本敏文、それから監事が、白井規矩稚、大泉善一郎、こういうようになっておりますが、大体役員はそうですか。
  76. 牛丸義留

    ○牛丸政府委員 ただいまの役員のお名前、全部はちょっと聞き漏らしましたが、山下春江理事長、それから早川慎一、そのほか大体お読みになった名前が理事のメンバーであるというふうに承知しております。
  77. 勝澤芳雄

    勝澤委員 厚生省からこのベル協会に三千万円の国庫の補助金が出されておりますが、そうですか。
  78. 牛丸義留

    ○牛丸政府委員 昭和三十六年度の予算におきまして、ろうあ者福祉会館建設の補助金として、三千万円が日本ベル福祉協会に出されております。
  79. 勝澤芳雄

    勝澤委員 三十六年九月十四日に法人の設立認可がベル協会にあって、同じ三十六年度に三千万円の国庫補助が出されておるわけでありますが、そのときからこの福祉会館の施設の建設が行なわれておったのですか、この関係はどうなっておりますか。
  80. 牛丸義留

    ○牛丸政府委員 これは全国のろうあ者の福祉のために、東京において福祉会館を建ててもらいたいというような要望がろうあ者の団体からあったわけでございまして、その具体的な計画は、とにかく年度の途中において計画を樹立するということで、三十六年度の予算におきまして、ろうあ者福祉会館の建設補助金として三千万円の予算措置をしたわけでございまして、その後日本ベル福祉協会として、そういうものがろうあ者の要望もかねて具体化してきまして、そうして土地さがしなりそういうようなことがその年度中に行なわれるということでございましたので、三十六年度末でございますが、日本ベル福祉協会にただいまの補助金を交付するというふうに内定したわけでございます。
  81. 勝澤芳雄

    勝澤委員 実際に三千万円補助金の出たのはいつですか。
  82. 牛丸義留

    ○牛丸政府委員 これは三十六年度にただいま申し上げましたような経緯で補助金の予算化をしたわけでございますが、土地がちょっとまだその当時ははっきとしていなかったということと、それから建物の建設が三千万円では建設のごく一部でございまして、建物の総工事費との関係においてなかなか着工ができない、そういうふうな経緯もございまして繰り越しをいたしまして、三十九年の四月に三千万円の補助を交付しておるわけでございます。
  83. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうすると、三十六年に三千万交付することに決定して三十七年と三十八年と繰り越していったのですか。
  84. 牛丸義留

    ○牛丸政府委員 そうでございます。
  85. 勝澤芳雄

    勝澤委員 実在をしていない、まだ建設が進んでいないような状態でもこういう補助金の出し方というのはするのですか、厚生省は。ほかにも例がありますか。
  86. 牛丸義留

    ○牛丸政府委員 これは例外的でございまして、実は三十六年度に土地、建物は確定して、少なくとも三十七年の前半くらいで工事が完了して補助金を交付するというのが一般の補助金交付の例でございますが、何しろ土地をさがすのにだいぶ手間をとったということと、それから土地がようやく見つかって、あと今度は建物の建設費に追われた。しかし、こういう会館はどうしてもろうあ者のためにつくりたいというようなことで、その補助金をむしろ返納をして、再び予算化するというのがほんとうかもしれませんけれども、せっかくいただいた補助金でございましたし、ろうあ者のみんなの要望でもございましたので年度繰り越しをいたしまして、そして工事の建設のめどがついて補助金の交付確定をした、こういう経緯でございます。
  87. 勝澤芳雄

    勝澤委員 こんなに繰り越しした例というのは、厚生省始まって以来初めてですか。ほかに例がありますか。
  88. 戸澤政方

    ○戸澤政府委員 全部つまびらかではございませんが、これほど年度にわたって繰り越しているという例は、例としてはほかに記憶にはございません。しかし、通例ならば、こういう場合には一度返還措置をとらせるわけでございますけれども施設内容目的がこういうものでございますし、次年度は必ずできるという熱意を持って非常に努力しておったために、二年度にわたって繰り越したという事情でございます。
  89. 勝澤芳雄

    勝澤委員 私は、実は法律の手続のことはよくわかりませんが、どうなんですか。会計検査院から見たときに、三十七年の三月六日に、補助金の交付決定通知書まで出ているようですけれども、それが三十八年、三十九年と繰り越しされておるわけです。こういうやり方というのは、どうも補助金の交付のしかたとして私は適切なものじゃない、こう思うんですが、その点いかがですか。
  90. 小原剛

    小原会計検査院説明員 お話しのとおりでございまして、三十六年度から三十七年度は予算上の明許繰り越し、それから三十七年度から三十八年度は事故繰り越しになっておりまして、本来からいいますと、事故繰り越しがありました三十八年度内に事業が完成しなければいけないわけでございますが、厚生省からお話しのあったような事情がございまして、現実仕事は三十九年度にかかっておるというような一応実情のようであります。私も詳細については存じませんが、検査課といたしましては、そういった事情現実に三十九年度にしか事業ができず、したがって実績報告書等もまだ出ておりませんので、この補助金の交付がお話のようにいろんな面から見てちょっと異例の補助金のような感も私いたしますので、ことしの検査において十分検討したいというふうに考えております。
  91. 勝澤芳雄

    勝澤委員 こういう繰り越しのしかたというのは適切なものでしょうか。私は、こういうことがあっていいものかどうかという点について、実は疑問があるわけです。もしこういうことができるとするならば、やはりこれからの補助金の問題でも相当考えなきゃならぬ。そういう点を検査院としてきっちりとした意見をしておかないと、補助金のあり方として重大な問題だと思うのですが、いかがです。
  92. 小原剛

    小原会計検査院説明員 いま申し上げましたように、三十六年から七年の明許繰り越し、それから七年から八年の事故繰り越し、これは一応適法と思います。ただ、そうなりますと、三十八年から九年に二カ年繰り越すことはできないわけでございます。したがいまして、現実に三十八年度事業はおくれておるということでございまして、法律上の繰り越しではもちろんございません。ですから、三十八年度事業がなお三十九年度までまたがっておくれておることはまことに遺憾な次第でございまして、そういった点について事業が完成した年度において、われわれとしては検査をして十分調べたいというふうに考えておりまして、三十九年度に繰り越されたというふうにわれわれは考えておりません。繰り越しはあくまで三十八年度まででございまして、三十八年度事業がおくれた遺憾な状態になっておるということでございます。
  93. 勝澤芳雄

    勝澤委員 補助金というものの支出の性格からいって、いまあなたがお聞きのような状態の中での繰り越しが行なわれた。それは仕事の性格じゃないのですよ。ろうあ者という仕事の中身の問題じゃないわけです。事業というものが、まだ土地がきまらない、何もできていないような状態でこういう繰り越しがいいかどうか。その点についてはいかがでしょう。
  94. 小原剛

    小原会計検査院説明員 三十六年から三十七年の明許繰り越しは、これは予算上の措置でございますので問題ないと思います。それから、三十七年から三十八年の点でございますが、これは三十七年度におきましては事業が具体化しておったようでございますが、私聞いておるところによりますれば、まだ現実には仕事が始まっておらないように承っております。したがいまして、仕事が始まって、それが完成しないというようなことで事故繰り越しするならば適当でございますが、まだ仕事にも着手しない段階で事故繰り越しということはいかがかというふうに考えます。
  95. 勝澤芳雄

    勝澤委員 実際に仕事が始まったのはいつですか、厚生省
  96. 牛丸義留

    ○牛丸政府委員 三十八年度からでございます。
  97. 勝澤芳雄

    勝澤委員 着工と竣工はどういうふうになっておりますか。
  98. 牛丸義留

    ○牛丸政府委員 三十八年の何月でございましたか、ちょっと月は忘れましたが、三十八年度に着工いたしまして三十九年度一ぱいかかって――いま三十九年度でございますが、いま竣工しておるわけでございます。結局二年度にわたったわけでございます。
  99. 勝澤芳雄

    勝澤委員 こういう例外はいままで初めてだ、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。もしほかにあるとすれば、ほかの例外も資料として出していただきたいと思います。いかがですかその点。
  100. 牛丸義留

    ○牛丸政府委員 社会福祉関係の工事としては、私の承知しております限り今回が初めてだと思います。
  101. 勝澤芳雄

    勝澤委員 山下さんは、厚生政務次官をされたのは、いつからいつまでですか。
  102. 牛丸義留

    ○牛丸政府委員 はっきりといつからいつまでかはわかりませんが、年はたしか昭和三十九年ごろではなかったかと思います。
  103. 勝澤芳雄

    勝澤委員 これは政治家のやったことで事務当局はなかなか言いにくいでしょうけれども、やっぱり私は少し行き過ぎだと思うのです。この三千万円の交付のしかたは少し無理があったと思うのです。無理だとあなたは言えないでしょう。言えというのもそれは無理な話ですから言いませんけれども、三千万円の出し方というのは少し私は無理があったと思うのです。場所も土地もきまらなかったときに三千万というのがきまった、まあ呼び水として出した、こういう出し方はあるのかもしれませんけれども、あと、これ以外に競輪関係から出ているようですが、その金額はいつごろ出ておりますか。
  104. 戸澤政方

    ○戸澤政府委員 競論は最初三十六年度に千七百万円出ております。これは建設費に充当するためでございます。それからこれは四十年度の予定でございますが、二千六十二万円、これは中の訓練装置といった設備費関係でございます。
  105. 勝澤芳雄

    勝澤委員 これを見てみますと、三十六年度に、まだあまり明確になっていないもので厚生省から三千万円も出し、その上競輪から千七百万も出しておるということについて、私はちょっと疑問があるのです。それからこのできたそのものについて、四十年度で二千万円出そうという考え方については、一つ考え方としてよくわかる面もあるわけですけれども、例外の例外であっても、少しこれは事務当局としてチェックすべきではなかったかと思うのです。やはりこれは出し方としてちょっと不自然だと思うのです。ある程度地所のめどもつき、建築のめどもつく段階でものを発展させるのはいいですけれども、これはだいぶ御無理をされたという点がある。  その点は、契約その他の関係が出ておりますから、あなたのほうの補助金の点も出ておりますし、会計検査院としても私の意見とそう違っていない考え方をいたしておるようでありますから、いずれあとでまたこれは質問いたすことにいたしまして、その次に、いまこのベルで一般から言われているのはマンションができたということが一番注目されているわけですね。あれがマンションでなくて普通の住宅だったらどうだろうかという点も、この間私も現地を見てそう思ったわけです。いま建設省が空閑地利用という点でげたばきの住宅をやっていますね。三階まで自分のところで使って三階以上を住宅公団で使う、あるいは分譲にするという方法があるわけですね。ですからそういうふうにものを考えてみると、こういうふうなやり方というのは必ずしもいま言われているような言い方にもならないように思うのです。社会福祉事業団に対してそれ相当の補助金を出して、そしてそれが自立されておるならいいですけれども、いまのような厚生省あるいは大蔵省の取り扱いで、それについての補助金はなかなか出にくいということになるならば、ああいう土地を与えることによって、その土地の上に必要な自分たちのものをつくる、それ以外は資金を回収するためにああいうやり方をするということについては、必ずしも私は悪いとは言えない点があると思う。ただそれがマンションであったから問題になった。極端に言えば、貧乏人の住宅でなくて金持ちの住宅でもいいじゃないか、住宅ができればそれだけ住宅事情が楽になるという言い方もあります。ですから、やっぱりそういう点については、今度は厚生省の立場としては、いいことはいい、悪いことは悪いで追及すると同時に、ああいうことについてもやはり検討すべきだと思うのです。悪い悪いと言われているばかりが能ではないと思う。いい面も考えて、どういう前向きの形で――一つの例として、いま福祉団体のいろいろな福祉施設に対する補助金を有効に生かし、あるいは国の財産をああいう福祉団体に払い下げる場合には二分の一になるわけですから、そういう点なども考えあわせながら、大蔵省と一緒になって、どうしたやり方がいいだろうか、この際、研究してもらいたいと思う。それから悪いことは悪いのですから、ちょっと無理なことはやはりしないほうがいいと思う。無理なことは無理でやめて、ああいう問題を契機に一つやり方として研究すべきだと思うのです。これを楽石社に払い下げずにベル協会に払い下げになって、そうしてああいうものの建て方が一つ考えられるが、それがマンションではなくて普通の――住宅公団の話を聞いてみますと、真偽はよくわかりませんけれども、ある一時期には住宅公団に相談したことがあったという話も聞きました。ですから、そういう経過をはっきりすることによって、いまの社会の疑問や不信にしっかりとこたえて、福祉団体についての厚生省あるいは大蔵省の協力を求めたやり方というものについてはきっちりすべきだと思うが、いかがですか。
  106. 牛丸義留

    ○牛丸政府委員 いま勝澤先生も御指摘のように、私どもとしても、ああいう民間社会事業というものの経費は、建設の当初の資金とそれを維持管理していく経常的な資金の両面から、自分の財産の処分なりあるいは収益事業ということは当然許しておるわけでございます。したがって、いろいろな事業を現在各社会福祉法人がやっておりますその事業なりあるいは資産活用の一つとして、ああいう高級住宅が適当であるかどうかという問題でございます。私どもは、方針といたしましては、社会福祉の自分が所管する社会福祉事業、たとえばこの場合、ベル福祉協会は、ろうあ者の福祉事業をやるわけでありますから、その場合ろうあ者の福祉事業に支障のあるような事業なりあるいは資産活用は禁止すべきではないかというように実は考えておるわけであります。この場合にマンションというようなものがはたして、ろうあ者の会館の経営に支障があるかどうか、これはいろいろと私どももこれからも慎重に検討すべきではないかと思いますが、この問題といたしましては、私どもとして、あのろうあ者の福祉事業には支障はないというふうに考えて積極的に承諾したわけではございませんが、当初もくろんだ寄付金その他も思うように入らないというようなことで、この程度までそういう特殊な事情があるならばやむを得なかろうというようなかっこうでこの地上権の利用になったわけであります。これはただいま御指摘のような一般論といたしましては、どの程度までが一体社会福祉の収益事業として適当であるか、あるいは資産活用としてどういう点が妥当であるかという点は、十分ひとつ原則的な方針を立てまして、世間の批判にもたえ得るような線で確定をしていきたい、かように考えておるわけでございます。  それから最後に、ちょっと私先ほど説明不足でございましたが、工事が非常に長くなったという点につきまして、実は三十六年度の予算で三十七年度に一応繰り越しをやる、これは先ほど会計検査院から御指摘があったように、一応繰り返しがあったと思います。三十七年から三十八年の繰り越しは事故繰り越しであって、そうして工事が着工になったわけです。三十九年度まで繰り越すということは、これは非常に期間が長いわけでございますが、あのときの実際の事情は、これは私が社会局長になってからのことでございますが、資金繰りが非常に困難になりまして、工事を着工して、途中でそのままになった経過がございます。そういうことで、普通の状態ならば、三十八年度で当然工事が完了すべきものが、途中の資金繰りが非常に――これは主として寄付金が予定どおり入らなかったというような関係で、工事をやって、その途中でできなくなったということで、やむを得ず三十九年度まで繰り越したということでございます。この事情をちょっと先ほど言い漏らしましたので、述べさしていただきます。
  107. 勝澤芳雄

    勝澤委員 一つのいい問題点として出ているわけでありまして、私も中を見まして、いろいろ苦労をされて、またこれからの独立採算につきましてもいろいろと無理をしているなという点について、よくわかるような気がします。そのためにまた厚生省厚生省なりに、あるいは大蔵省は大蔵省なりに、言えない話が幾らでもあるようですけれども、やはりそういう点は遠慮なく、今日の状態はこうなんだとすっきりすることによって福祉事業の実態というものがはっきりすると思うのです。よく問題になるのですが、たとえば国鉄で、鉄道弘済会というのは独占的な企業として売店をやっておる。その収益があがって養老院あるいは精薄児童の施設をやる。日本でもなかなか有名な施設だということで、私も養老院を見たことがありますけれども、りっぱなものです。しかしこれだけのものを経営していくにはやはりこれに相当する収益をあげなければならぬということは必然だと思うわけです。ですから、ああいうろうあ者の問題を、一つのその中だけで、厚生省がやっているようなかっこうをするには、やはりやっているかっこうをするだけのかっこう料というようなものを出さなければいかぬわけですから、そういう点で努力をしているのはわかるのですけれども、そういう実情をもう少しあからさまにすることによって、いま批判が出ているいろいろな問題、最近水上さんが自分の娘さんですか、子供さんの関係で、とにかく一つの精薄児童という問題について大きくなっているわけでありますから、そういう中でやはり実情をあからさまに出すことだと思うのです。夜が明けたらマンションになっておった、一体なぜなんだという点が、やはり深く突き進んだ全体の世論になってないわけですから、そういう点では厚生省もふたをかぶせ、大蔵省もまるで逃げて歩いている。調べてみればやはりちょっとした変なところがあるから――ちょっとしたじゃありません、たくさんの変なところがあるから、こっちのいいところをほおかぶりしてしまうということでなくて、いいことはいい、悪いことは悪い、きっちりすべきだと思う。いずれ先ほど補助金の問題につきましては別の機会にやることにいたします。
  108. 堀川恭平

    堀川委員長 福井委員。
  109. 福井勇

    ○福井委員 勝澤委員の了解も得ましたし、委員長からも了解を得ましたから、三分ばかりちょっと、大蔵省の国有財産課長が帰りますから、お尋ねしたいことがあります。  いま六大都市以外の中都市の大蔵省管轄の国有財産の払い下げについては、どういう方針で各財務局に通達がいっておりますか。簡単に。
  110. 村田博

    ○村田説明員 大都市、中都市を含めまして、経済が密集している、こういった地域におきましては、私ども、処分方針といたしましては、まずその土地における地域別の地域開発計画あるいは都市計画、あるいは最近では新産都市計画、こういったものを中心にいたしまして、まず公共、公益的なものを優先させる。その次には、民生の安定あるいは産業の保護奨励、こういう面からの企業の誘致、こういう二点から考えておりまして、その他個別事案といたしましては、住宅の確保ということも次の段階としては考えたおりますが、とりあえず第一段階といたしましては、公共、公益的なものに最優先を置き、それが実現するような処分をするということを基本といたしております。
  111. 福井勇

    ○福井委員 ちょうどいい話が――私は知らずにおったが、新産都市といえば、もちろん新産都市と工業整備特別地域も当然含まれておるはずですが、そういう地域に対しては、そういう地域の公共的なものという解釈でよろしゅうございますか。
  112. 村田博

    ○村田説明員 たとえば当該国有財産地を含みます土地が住宅地に指定される、あるいは企業誘致予定地に指定されますれば、そういう方針でしか処分しない、こういうことであります。
  113. 福井勇

    ○福井委員 私は具体的な細目についてはきょうは質問しませんが、たとえば東海財務局などにある問題を持っていくと、いま国有財産は払い下げないんだといちずに言ってしまう気配が濃厚であります。一般の者が言っていった場合に一々取り合っておったのでは、市井の人々がどんどんやってきて、払い下げてもらいたい、どうのこうのと言ったときには、そういう返事をしておかなかったら始末に困るだろうということは想像つきますが、私たちが尋ねに行っても、しかるべき東海財務局の窓口などは、払い下げないということについて本省から言ってきておるので、どうにも一切手がつきませんというような返事、木で鼻をくくったという、そういう表現ではない、表現はきわめて親切であるが、そういうことをたびたび私は聞いておるので、計画しておったのではないが、ちょうど国有財産課長がいるのでお尋ねしておきたいのですが、幸い、新産都市並びに工業整備地域に指定されたところの公共的なものであれば優先に考えるといういまの発言がありましたので、私は、それに非常に関連のあることなので、そのように進めていきたいと思います。  その次に、それに関連しておりますが、官庁用の公務員住宅をつくろうかという気配があるので、某土地は払い下げはちょっと困難だという点もございます。ところが、それは大蔵省の公務員の住宅でもなく――公務員は全般を合同して含めるやつもあるらしいのですが、中都会のまん中で住宅としてはきわめて不適当で――具体的にいえば、豊橋は工業整備地域だから、豊橋ということをあからさまに言いましょう。そのまん中に公務員の住宅を建てるなんということは常識では考えられないので、払い下げを防ぐための口実として使っておるとしか私は思えない。公務員の住宅を建てるというような場合だったら、工業整備地域以外のところにも――あの辺は、東京都を移してもいいじゃないかという発言が出たぐらいのところですから、幾らでもあいている。だから、そういう環境のいい、また空気のいいところはわれわれが提供してもいいから、国有財産のいま遊んでおる、住宅に不適なところはどしどし払い下げてもらうように、いまの課長方針にのっとったものだったら、中央から払い下げないというような誤った通達が下のほうにしみ込まぬように、文書でいくとあまりにもかたくなってしまうが、注意でなくて、配慮しておいていただきたい。これだけ希望しておきます。  以上で終わりです。
  114. 村田博

    ○村田説明員 ただいまの先生の御発言に対しまして、私ども取り扱いといたしましては、決して売り惜しみをするというようなことはいたしておらないのでございますけれども、ただ残念ながら私どもの事務処理能力に限界がございまして、したがって仕事に緩急順序をつけるということをいたしておりますので、どうしても優先的にそれを処分しなければならぬというようなものについてはその性質上早くいたしますが、それに入らないものはどうしてもおくれてしまうという事態は、あるいはあろうかと存じます。  それから先ほどの豊橋のお話でございますが、私、具体的にその土地の立地条件を存じませんけれども、少なくともその宿舎地にするのに不適当な土地でございましたら、むしろそれを交換財源としてほかに適当な地域がございますれば、その土地と交換していただくということは十分考えられますし、また現にそういう方向で相当解決しているのもあるわけでございます。御了承いただきたいと思います。
  115. 勝澤芳雄

    勝澤委員 関連してもう一つ、ちょうどいい話が出ましたから。  国有財産払い下げの申請は、なかなか、役所の事務の関係で一年、二年、三年たつ、そうしてそこで払い下げができる。そうすると申請をして許可が出るまでに二、三年あるわけです。ですから申請した側から考えると、役所の事務の遅延によって、政治力がなかったために、あとから出たのを先にやったけれども、個人のものはうしろに回ってしまったという不満があるわけです。ですからやはり払い下げをする場合、払い下げをする時点の評価もあるでしょうけれども、申請をした時点も考慮に入れた評価のやり方について、私は少し検討してもらいたいと思う。これはいつか会計検査院にもそういう話をして、検査院としてもそれは検討に値する事項だということで話が出まして――そうだと思うのです、国民からいえば、申請した時点で、それが半年か一年――半年くらいの間ならがまんするでしょうけれども、一年、二年たちますと、このごろ地価の値上がりというのは激しいものですから、自分が出したときの申請から違うわけです。ですから、何とか早く払い下げをしてもらうために、無理な工作をする、こういうことは私はあまりいいことじゃないと思うのです。そういう点で、申請の時点と払い下げ時点の、この問題の払い下げ価格の評価の問題については、どういうやり方が適切であるかという点はぜひ検討をしていただいて、次の大蔵省のときにぜひ御答弁できるようにしていただきたいと思う。
  116. 村田博

    ○村田説明員 その件につきましては、私どももかねがね非常に重要な課題といたしまして、課内でも検討いたしておりますが、とりあえずの段階といたしまして、宅地造成をするという場合に、その中に農道畦畔というのが含まれまして、これの処理がおくれるため宅地造成の事業に非常に支障を来たすという例も間々ございます。そのほかにはやはり小規模財産でございますが、自分の宅地なりあるいは隣接した土地に、昔の公共財産、たとえば水路であるとか道路であるとか、そういったものが残っておる、しかもこれを売ってもらわないと宅地としての整理、形がつかない、こういったようなケースにつきましては評価のほうでできるだけの配慮をするということで、逐次そういった面につきましての通達は出しておりまして、できるだけいまの時価というものと払い下げとの関係を考慮してしかるべき価格が出てこないか、出せないものだろうかということで、できる範囲からやっておるような事情にございます。したがいまして総括的な問題といたしまして、いま先生の御指摘になりました問題につきましては、なお今後十分検討いたしたいと考えております。
  117. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それでは薬務行政について簡単にお尋ねいたしますが、最近薬品による死亡事故が多発しておりまして、このことは薬品に対する一般国民の知識の不足もありますが、一方、製薬会社をはじめ、これを取り扱う業者あるいは薬局、あるいは医師等の不親切や認識不足が原因をなしておるものもあるわけであります。厚生省は、薬務行政の元締めとしてもっと国民大衆の立場に立つた行政を行なうべきではないかという声が高まってきておりますし、先般発生したかぜ薬による死亡事件、あるいはまたサリドマイド禍やあるいは中性洗剤による人体並びに河川の汚染による事件、あるいは某製薬会社がその所属職員に対し、新薬試験のため人体実験を半ば強制的に行なった事件等があるわけでございまして、このような現状にかんがみて、厚生省としてはどういう薬務行政を行なっているかという点について、簡単に概況を御説明願いたいと思います。
  118. 熊崎正夫

    ○熊崎政府委員 最近、御指摘のように、いろいろと薬の問題が世上で論議されておりまして、私どもも現在やっております薬務行政につきまして根本的な再検討を必要とするという御意見につきましては、これを率直に私ども批判のことばとして受け取りまして、改善をしてまいりたいということで、逐次現在検討いたしておるところでございます。何ぶんにも薬務行政の対象に主としてなります製薬企業といいますのは、日々経済行為を行なっておる会社組織を持っておるところでございまして、急激な変動を行なう場合にもなかなかその辺むずかしい点もございますので、逐次改善に移すということを私どもは考えておるわけでございます。一般的に薬務行政につきまして、いろいろと御指摘を受けておりますのは、製薬許可にあたりまして、多少十分な検討が足らぬのではないかという御批判が多いと思いますが、この点につきましては私どものところでは中央薬事審議会の中に種々の特別部会、その特別部会のもとに調査会という専門委員会をつくりまして、委員は三百名をこえる大世帯でございまして、薬の種類に応じて会社のほうから申請が出たものをそれぞれ調査会あるいは特別部会、常任部会というふうな段階でこなしておるわけでございます。
  119. 勝澤芳雄

    勝澤委員 最近の医薬品の許可はどういう形でやっておるのですか、経過は。
  120. 熊崎正夫

    ○態崎政府委員 いわゆる薬といいましてもいわば新規に開発される全く世上に出てない薬品につきましては、これは新薬ということで、年間大体四、五十くらい、しかも海外から輸入される医薬品が非常に多いわけであります。量的には四、五十でございますから、そう大した数じゃございませんが、この新薬につきましては、外国の輸入品であろうと、あるいは国内で開発されたものであろうとを問わず、まず許可申請にあたりましては、厳重な動物実験をやる、しかも動物実験をやる場合におきましては、例のサリドマイド事件が起こりまして以来、胎児試験を厳重にやる必要があるということで、胎児試験のデーターをとった上で、それが安全性が確保されたということになりました場合には、これを臨床実験に移すということで、臨床実験の結果、有効性が確認された、しかも副作用については、これこれの割作用があるというデータを会社側でつくりまして、それで許可申請を出してくるわけでございます。大体二年、長きは三年、四年といったものもあるわけでございます。それが、先ほど申し上げましたように、許可申請を出されましたデーターにつきまして、まず調査会の先生方にお願いをいたしまして、データの不足等につきましては、これをさらに再三にわたって訂正をさせまして、それで特別部会、常任部会という形になって初めて厚生大臣の許可がおりる、こういう形になるわけでございます。その他、世間におきましては、新薬、新薬というふうにいわれておりますけれども、現在非常に多種類にわたりました薬の種類といいますものは、これはすでに過去におきまして許可をされました薬の岡積同効、同じ種類のものできき目も大体同じだ、しかし場合によれば名称を変えたい。たとえば、何々の薬にBをつけたり、あるいはVをつけたり、強力というような名前をつけたり、また化学方程式も、従来の許可されました品目につきまして、あるいはカフェインを入れるとか、あるいはアルコールを入れるとか、あるいは砂糖を入れるというような、中身を若干変えた、あるいは錠剤にしたりあるいは液体にするというふうな、非常に手を変え品を変えた種類の同種同効の医薬品の製品が非常に多いわけでございます。これが年間大体五、六千の品目についての申請がありまして、これを私どもの局でこなしておるわけでございます。
  121. 勝澤芳雄

    勝澤委員 最近の医療品の生産額といいますか、状況あるいは医薬品の数というのは、大体どれくらいあるのですか。
  122. 熊崎正夫

    ○熊崎政府委員 大体、医薬品を製造する場合には、まず製造品目の承認をとりまして、それからあと製造の許可に入る。許可に当たってもやはり製造の許可の承認をとるわけでございますが、品目の承認は現在のところ大体八万から十万くらいの多種目にわたっておりまして、そのうち、品目の承認はとっておっても製造に着手しないものが相当あるわけでございまして、現在市販されております種類のものは、いろいろな薬その他を含めまして品目ごとにいたしますと、大体四万程度になろうかと思います。しかし、その中で、いわゆる治療薬として健康保険のほうの薬価基準に登載されます品目につきましては、大体五千品目というふうに御了解いただきたいと思います。
  123. 勝澤芳雄

    勝澤委員 この薬事法に基づいて医薬品の申請を出すわけでありますが、おおむね期間はどれくらいの間にきまってくるものなんですか。
  124. 熊崎正夫

    ○熊崎政府委員 先ほどもちょっと触れましたが、いわば新薬ということになりまして、純粋に開発された、全く新しい薬につきましては、現在のところ許可申請が出て、それからあと許可になるまでの間には大体一年、長いものにあっては五年たってもまだ許可をいたしてないものもございます。しかし、もう一つ、新薬じゃなしに、同種同効の、品目を変えたり化学方程式を若干変えるといったような医薬品の申請につきましては非常に件数も多いわけでございまして、申請をいたしまして許可するまでに、早きは六カ月、大体六カ月から七、八カ月の間に許可をするというふうな形になっておるのが実情でございます。
  125. 勝澤芳雄

    勝澤委員 炭鉱の災害が起きるときによく問題になるのですが、鉱山局というのは通産省にあるわけですが、通産省という役所は業界を保護し奨励していく立場なんですね。そういうところが実は完全な取り締まりができるだろうか、鉱山保安の取り締まりというのは労働省でやるべきものじゃないだろうかという意見が、ここ数年出ているわけでございますけれども、それを考えてみますと、厚生省の薬務局というのが、どうも業界の育成ということに重点が置かれて、国民の保健という点を忘れられておるのではないだろうか、こういう議論が最近出ているわけでありまして、事実はともかくとして、あらわれている現象は、医薬に対して薬務局の行政やり方というのがなまぬるいじゃないかという点があるわけでございます。たとえばサリドマイド事件が起きたというような点につきましても、それに対する処置というものは相当長い期間にかかって被害者がたくさん出て、にっちもさっちもいかなくなってから、まあ世論に押されて何らかの解決をする。今度のアンプルのときも、やはりそれと同じようなことが言えるのではないだろうか。そういう点から薬務局の行政というものが、国民の保健は守るこういう立場からやはりものを見なければならないと思うのです。これはあなたに聞くことがいいか悪いかわかりませんけれども、老婆心ながその点についてのお考えを伺っておきたい。
  126. 熊崎正夫

    ○熊崎政府委員 そのような御批判をいただいておることは、私どもも十分承知をいたしております。しかし通産省の場合と厚生省の場合とは相当違うのではないかということを私は申し上げたいわけでございます。薬務行政自体はあくまでも私は国民の立場に立って、国民の健康を増進し、疾病を治療する立場で良質かつ低廉な薬を提供していくという立場に立って、行政運営をやっていかなければならないということは、私どもも常にそれを念願にいたしております。ただ片一方におきまして、業界の育成ということが、これは当然付随的に出てくるわけでございますけれども、しかし業界の育成をやること自体、厚生省については実は何らの権限も持っていないわけでございまして、たとえば資金的な手当をする、あるいは輸出入の問題につきましても、これはあげて通産省のほうとの折衝で行なわれておるわけでございまして、ただ薬事法の規制のもとに製造業者、販売業者として取り扱っておりますために、そういう形で通産省と相談をしなければならない場合が非常に多いわけでございます。それからもう一つ製薬会社、製薬会社といいますけれども、私どものほうで薬務行政の対象にいたしております製薬会社は大体二千三百程度でございますが、それ以外に六万五千以上になります薬剤師、二十万をこえます小さな、これは普通の流通過程で言いますと小売りになりますが薬局、それから配置販売、特例販売、そういった零細な小売り店も薬務行政の対象になっておりまして、このような、対象範囲の非常に広い業種を相手にして行政を続けておるわけでございます。特に今度のアンプル事件あたりにつきましては、私どもとしましては、むしろ業界のほうから非常に酷に過ぎるというくらいの強い批判も逆に出ておるような事情もあるわけでございまして、私どもは常にあくまでも国民の立場でものごとを考えていくということを今後とも堅持してまいりたいと思っております。
  127. 勝澤芳雄

    勝澤委員 最近薬事法の改正をすべきじゃないかという意見がだいぶ出ておるのですが、これについてのお考え方はいかがですか。
  128. 熊崎正夫

    ○熊崎政府委員 薬事法の改正自体の焦点がたまたま社会問題として出ておりますアンプルの問題なりあるいは治験段階におきましても、事故対策の問題なりあるいは広告規制の問題ということで批判にのぼされておるわけでございますが、実は先ほど申しましたように、製薬許可の申請にあたってのもろもろの問題等につきましては、私ども法律改正をやらないでも、行政措置で相当改善する余地はあるという考え方を持っておりますし、また広告規制の問題等につきましても、法律的にはこれははっきり広告規制の条文があるわけでございまして、多分に行政運営でもって解決する余地のある部分が非常に多いわけでございます。ただどうしても法律改正をやらなければならないという問題になった場合には、これは私は現在の日本の医療制度の根本につながる問題と申しますか、いわゆる医薬分業制度が各国のように必ずしもすっきりした形で行なわれておらないというふうな問題を含めまして、なかなか法律的に形式的には割り切られても、実体的にはなかなか割り切れない問題が多分に残っておるという点でもって、私どもは法改正自体の問題につきましては、もう少し時間をかしていただきまして、各方面の意見も調整しながら慎重に検討してまいりたいというつもりでおります。
  129. 勝澤芳雄

    勝澤委員 行政指導の中で、監督の中で、ある程度の、何といいますか規制はできるということでありますので、まあ私もしろうとであまりよくわかりませんけれども、しかし、一般的にいま言われていることは、何か薬務行政というものはたよりないという感じを受けますし、私自身、実は薬を飲むときに、これだいじょうぶだろうかなという疑問を持つようになったというのは、これはやはり最近の国民一人一人の考え方じゃないかと思うのです。かてて加えて先ほどお話の、何万という薬、同じ病気の中でも何種類もあるわけです。何かやはりこの辺の問題も解決する方法はないだろうか。テレビ、あらゆる場所を見れば広告がある。薬九層倍と言われているというような点から、やはりもっと強力な――それは人々によってかぜ薬のきき方も違うかもしれないけれども、そんなに種類がたくさんなくてもいいじゃないかという点も考えてみますと、やはりこの際、何か過大な広告あるいは過当競争、無理なお互いの売り合いというようなものを少し検討さして、そして一たん事故が起こったときには、その事故をうわべだけでなくて、本質的にやはり解決する、そのためにやはり行き過ぎたくらいの規制をやるべきだ、こういうように思うわけでありまして、そういう点からぜひまた次の機会に私はもう少し突っ込んだ御質問をいたしたいと存じますけれども、ぜひ国民の期待にこたえた薬務行政というものをこの際早く確立して、そして信頼にこたえていただきたいということを特に要望いたします。      ――――◇―――――
  130. 堀川恭平

    堀川委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  すなわち、国が資本金の二分の一以上を出資している法人の会計に関する件中、電源開発株式会社関係調査のため、本委員会に参考人として関係者の出頭を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  131. 堀川恭平

    堀川委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  なお、参考人の出頭日時及び人選等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  132. 堀川恭平

    堀川委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  次会は公報をもってお知らせします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十二分散会      ――――◇―――――