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高橋(衛)
国務大臣 この点は、ただいまお話しのとおり、予算
委員会において答弁申し上げましたような次第でございますが、
昭和三十八年の四月に
会社設立の認可をいたしたのでございますが、その前に、この問題は非常に
多額の資金を必要とする問題でもあり、また技術的にも相当むずかしい問題であろうかという観点から、担当の専門の省であるところの通産省の技術
当局にも十分審査をしていただきまするし、また、特にこのために四人
委員会というものを委嘱いたしまして、すなわち、興銀の中山素平さん、日本製鋼の伍堂輝雄さん、石原武夫さん、堀越禎三さん、この四人の方。いずれもこういう問題についてはそれぞれの部面においての第一流の人であるというふうに考えまして、こういう方々にこの問題について材料を全部差し上げまして御
検討を願った次第でございます。その四人
委員会の意見としては、この問題は非常にむずかしいが、もしも、それぞれ販路の確保という問題が当然に非常に重要になってまいりますが、その販路についてもある
程度の
責任が持て、またその他技術についても
責任が持てるという形になるならば、
委員会でも、三菱グループの提携によって技術と坂路について十分留意をし、また三菱グループから資本参加を得、社長も三菱グループからいただく、技術陣の派遣等も得られるということであるならば、この
むつ製鉄の
企業は成り立ち得るであろうという
趣旨の意見があったわけでございます。そういうふうな意見に基づいてこの
むつ製鉄の
設立を三十八年の四月に認可をいたした次第でございますが、この条件のとおり三菱グループが資本参加をし、社長も派遣し、河畔に技術陣を得られたわけでございますが、それらの方々によってこれを
企業に移す
段階についての
事業計画を立案していただきまして、直ちにその
事業計画の一々についてよく
検討してまいったのでございます。ところが、その後、特にその技術の
一つとしては、スウェーデンにおけるところの新しい砂鉄を、原料とするところの製銑
方法というふうな情報も得ておりましたわけで、それが相当に希望の待てるものじゃなかろうかという
趣旨で、特に社上長以下技術者が向こうに参りまして、この問題についても
検討いたしたのでございます。ところが、その間において、製鉄業においては非常に大きな技術革新がどんどん進行されておったのでございます。言いかえれば砂鉄を原料としないところの、高炉銑によるところの良質廉価な特殊鋼原料が得られるという時代に、だんだんとなってまいったような次第でございます。そういうことで、当初の
事業計画がそのままではなかなかむずかしいのではなかろうかというところから、第一案、第二案、第三案と、いずれも、それぞれその問題について
検討いたしたのでございますが、踏み切るためにはなかなか難点が多うございました。その後さらに
事業計画を変更し、たとえばステンレス導入の構想を入れるというふうな
考え方も入れた、第四案と称されるものも出てまいったのであります。そういうことで、それらの一々の問題についてずうっと
検討してまいったのでございます。ところが、先ほど来、
伊藤総裁からも御答弁申し上げましたし、
局長からも御答弁申し上げましたが、
東北開発株式会社は、これはもとより低
開発地域の
東北の
開発に何とか寄与しようという相当大きな理想を持って
発足した
会社ではございますが、しかし、どこまでもこれは
株式会社であり、
企業としてそれを推進する。
政府としてはこれに対して相当大きな
金額の
出資をし――もちろん、
政府の
出資に対して配当を期待するというふうなことではなしに、または資金の面においてもお世話をする。そういうふうなことによって、純然たる民間の資本のみをもってしては、また民間の
企業会計のみをもってしては困難だというふうな
仕事に手をつけて、そして非常に
開発のおくれておる
東北地方の
開発に寄与したいという
趣旨でもって始めた
会社ではございますが、そういうふうな
事業計画をそれぞれ
検討してまいりますと、これが
黒字採算になるという
見通しがなかなか立たない次第でございます。もちろん、
政府といたしましては、三年五年の当初の
赤字というものを気にしているわけではございません。こういうふうな大
事業でございますから、
事業を始める当初の相当の期間においては
赤字が出てくることはやむを得ぬ、それだけのことは負担してかかるべきであるという考えを持っておるのでございますが、たとえば一年たっても十年たっても
黒字になる
見通しがはっきりしないというような場合におきましては、これがなかなか着手できにくいというふうに判断をいたしておったのでございます。ところが、その後になりまして、三菱グループから
東北開発の総裁あてに、認可当時前提条件として認可をいたしたこの三菱グループからの
企業提携について、辞退の申し入れがあったわけでございます。それで、その事実を実は昨年の十二月末に、三菱グループからこういうふうな
企業提携を辞退したいという
趣旨の申し出があった以上、
東北開発総裁としては
事業を断念するより道がないように思うという
趣旨の
経済企画庁に対するお申し出がございましたので、その事実を閣議に報告はいたしました。しかしながら、この問題はそういうふうな経緯から見ましても、また特に下北
開発ということに対して非常に大きな理想を持ってかかった事柄でもございますし、また、そのために地元においても相当な期待をお持ちになり、国も県も市町村もそれに協力し、準備するためのいろいろな施設も行なわれているというふうな事情もございます。そういうふうないろいろな
状態を勘案いたしまして、今後に対する問題としてはどういうふうにすべきかということを慎重に、しかしながら、じんぜん日をかけることもできませんので、できるだけすみやかに、
事業を中止するとはっきり決定するのであれば、その代案として何かないか、または何かこれを生かして、当初の理想であるところの下北
開発というものをなし得るような
方向にできないかという
方向で
政府としては
検討していきたいという
趣旨のことを閣議に報告いたしまして、その後も、そういう姿勢で
政府としてはこの問題と対処してまいっておるような次第でございます。