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1965-03-25 第48回国会 衆議院 決算委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年三月二十五日(木曜日)    午前十時四十二分開議  出席委員    委員長 堀川 恭平君    理事 壽原 正一君 理事 田中 彰治君    理事 福井  勇君 理事 勝澤 芳雄君    理事 田原 春次君 理事 長谷川 保君       竹内 黎一君    淡谷 悠藏君       栗原 俊夫君    堂森 芳夫君       山田 長司君    吉田 賢一君  出席国務大臣         国 務 大 臣 増原 恵吉君         国 務 大 拒 高橋  衛君  出席政府委員         総理府事務官         (北海道開発庁         総務監理官)  小熊  清君         総理府事務官         (北海道開発庁         主幹)     荒巻與四郎君         総理府専務官         (経済企画庁長         官官房会計課         長)      平山 正隆君         総理府事務官         (経済企画庁総         合開発局長)  鹿野 義夫君         総理府事務官         (経済企画庁水         資源局長)   鈴木 喜治君  委員外出席者         総理府事務官         (経済企画庁総         合開発局東北開         発株式会社監理         官)      喜多村治雄君         会計検査院事務         官         (第一局長)  保川  遜君         会計検査院事務         官         (第三局長)  小原  剛君         会計検査院事務         官         (第五局長)  宇ノ沢智雄君         北海道東北開発         公庫総裁    北島 武雄君         参  考  人         (東北開発株式         会社総裁)   伊藤保次郎君         参  考  人         (東北開発株式         会社理事)   潮田 保雄君         専  門  員 茨木 純一君     ――――――――――――― 三月二十五日  委員萬田尚登君及び神近市子辞任につき、  その補欠として竹内黎一君及び淡谷悠藏君が議  長の指名委員に選任された。 同日  委員竹内黎一君及び淡谷悠藏辞任につき、そ  の補欠として一萬田尚登君及び神近市子君が議  長の指名委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和三十八年度一般会計歳入歳出決算  昭和三十八年度特別会計歳入歳出決算  昭和三十八年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和三十八年度政府関係機関決算書  昭和三十八年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和三十八年度国有財産無償貸付状況計算書  昭和三十八年度物品増減及び現在額総計算書  総理府所管北海道開発庁経済企画庁及び総  理府関係政府関係機関)  国が資本金の二分の一以上を出資している法人  の会計に関する件(東北開発株式会社)      ――――◇―――――
  2. 堀川恭平

    堀川委員長 これより会議を開きます。  昭和三十八年度決算外三件を一括して議題といたします。  本日は、総理府所管北海道開発庁経済企画庁関係決算について審査を行ないます。  まず、当局より順次その概要説明を求めます。増原北海道開発庁長官
  3. 増原恵吉

    増原国務大臣 ただいま議題になりました昭和三十八年度の決算概要につきましては、お手元印刷物をお配りをいたしてございますので、それによって御承知をいただきたいと存じます。  何とぞ御審議のほどをお願い申し上げたいと思います。
  4. 堀川恭平

  5. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 昭和三十八年度の決算概要につきましては、お手元印刷物をお配りいたしてございますので、それによって御承知いただきたいと存じます。  何とぞ御審議のほどをお願い申し上げます。
  6. 堀川恭平

    堀川委員長 委員各位のお手元に配付してあります昭和三十八年度決算説明書は、便宜委員会議事録に掲載いたしたいと存じますので、さよう御了承願います。  次に、会計検査院当局より検査概要について説明を求めます。小原会計検査院第三局長
  7. 小原剛

    小原会計検査院説明員 北海道開発庁につきましては、検査の結果、不当事項として検査報告に掲記したものはございません。  以上でございます。
  8. 堀川恭平

    堀川委員長 次に、保川会計検査院第一局長
  9. 保川遜

    ○保川会計検査院説明員 経済企画庁の三十八年度決算につきまして、やはり特に不当として検査報告に掲記した事項はございません。
  10. 堀川恭平

    堀川委員長 次に、政府関係機関当局である北海道東北開発公庫よりの資金計画事業計画等につきましての説明は、便宜委員会会議録に掲載いたしたいと存じますので、さよう御了承願います。  これにて、説明聴取を終わります。      ――――◇―――――
  11. 堀川恭平

    堀川委員長 次に、国が資本金の二分の一以上を出資している法人会計に関する件について調査を行ないます。  本日は、本件調査のため、関係当局のほか、東北開発株式会社より、総裁伊藤保次郎君、理事潮田保雄君、以上二名を参考人として御出席を願っております。  参考人各位に申し上げます。発言をなさる場合には、委員長の許可を得て行なっていただきますようお願いいたします。  次に、委員各位に申し上げます。参考人よりの意見聴取は、委員質疑により行ないたいと存じますので、そのように御了承願います。  これより質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、これを許します。勝澤芳雄君。
  12. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 最初会計検査院のほうへお尋ねいたしますが、東北開発株式会社決算についての意見書が出されておりますが、これについてひとつ御説明を願いたいと思います。
  13. 宇ノ沢智雄

    ○宇ノ沢会計検査院説明員 先生のただいまのお尋ねは、この検査報告のことでございましょうか、意見書というのは。――東北開発株式会社につきましては、昭和三十八年度の検査報告の二百五ページ以下に記載いたしてございますが、検査の結果特に気のついた点といたしましては、三十八年度までに相当各事業多額赤字を出しておる、これが三十八年度末の欠損金の累計で見ますと、資本金の約九八%にも当たる三十五億余りとなっております。こういう点につきましては、会社経営なりその他について再検討の要があるのじゃないかというふうに検査院として考えておりまするが、会社のほうとされましては、三十九年度以降に五カ年の再建計画をお立てになって、目下鋭意再建をはかっておられるようでございますので、この点につきましては、私のほうで三十九年度の検査の際にその実績などについて十分検討をいたしたい、こういうふうに考えております。  それから二番目は、砂鉄資源開発をはかるということで、昭和三十八年四月にむつ製鉄株式会社及び砂鉄原料株式会社、この両社に対しまして、六億九千九百九十七万余円の出資をいたしたほかに、東北開発株式会社が持っておりました資産をこれらの両会社に譲渡いたしました上、これを融資に振りかえるなどをしたものが八億二千二百四十七万円ほどございまするけれども、その後私たちが三十九年の七月に、その後の会社状況を見ましたところが、どうも採算見通しが立たないというようなことで、具体的なむつ製鉄実施計画がなかなかきまらないということで、会社発足して以来一年数カ月を経ているにもかかわらず、川地買収だけしたにとどまって、毎月多額の経費を使っておりながら仕事はさっぱり進んでおらないという点で、これらの点についても今後十分検討の要があるのじゃないかという趣旨検査報告に記述してございます。  それからもう一つは、事業の執行にあたりまして購入いたしましたセメント製造用機械、これは総額では全部で十九億余りでございますが、三十八年度に支出いたしましたものは、ここに書いてありますように、支払い額三億五千五百万円ほど、その一部を設置いたしましてこれだけの金を使っておるわけでございますが、その後、この機械を設置いたしました直後におきまして、出荷を急いだ関係もございますけれども、試運転など十分な処置を講じないで機械を動かしたために思わざる故障ができて、当初予定いたしましたような製造原価ではセメント生産ができませんで、予定に比べまして相当な赤字を出しておる。しかもその機械が、契約に定めたような保証能力に達しないような状態であるにもかかわらず、納入業者との間に、一体どちらの責任によってそういうような事態が生じたのかというような点につきましても不明確となっておるというような状態でございましたので、そういうような点につきましても今後十分な相手方との話し合いなり何なりを早急に進めまして責任所在をはっきりする必要があるのじゃないかというふうな趣旨でございます。  以上でございます。
  14. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 東北開発の三十八年度末決算が三十五億六千八百七十二万円の赤字累積といわれておりますが、三十九年度の見込み、それから四十年度の見込み、これはどういうふうになっておりますか。これはどちらでしょうか。企画庁あるいは東北開発、おわかりになるところでひとつ御説明願いたいと思います。
  15. 鹿野義夫

    鹿野政府委員 いま委員のおっしゃられましたとおり、三十八年度末で大体三十五億六千九百万の赤字決算になっておりますが、三十九年度の見込みでは十六億五千万、四十年度の現在のところの見込みでは約七億八千万程度赤字になるのではないかと予想いたしております。
  16. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 累積はどうなりますか、三十九年、四十年度。
  17. 鹿野義夫

    鹿野政府委員 三十九年度では十六億五千万を足しますと五十二億一千九百万でございます。さらに四十年度七億八千万を足しますと六十億、端数が百万ばかりございますが、六十億ちょうどというふうになります。
  18. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そこで再建計画に伴って四十年度以後営業収支関係はどういうふうな経過をたどっていきますか。
  19. 鹿野義夫

    鹿野政府委員 再建計画は三十九年度を初年度といたしまして五カ年で経常収支において大体黒字ベースに持っていくということを目標に考えております。その結果再建計画の一応の目標は、四十年度におきましては、損益の姿を十一億八千万予定いたしました。さらに四十一年度の姿は赤字が三億八千万、四十二年度で一億四千二百万、四十二年度で黒字ベースになって五千九百万程度黒字が見込める、つまり三十九年度を初年度といたしまして、五年目に五、六千万黒字ベースにいけるというふうな見通しで一応再建計画を立てている次第でございます。
  20. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そのときの赤字の総計と、赤字を今度はどういう形で償却する見通しがあるのですか。
  21. 鹿野義夫

    鹿野政府委員 再建計画でも赤字の異計は四十二年度ではピークになりまして六十八億ぐらい見込まれることになります。その後四十三年度以降黒字ベースになりまして、年々おそらく――これは単なる想定に近いものでございますが、三、四億の黒字ベース予定されるのではないかということで、赤字をその後の黒字によって償却していくというのも一つ方法でございますし、再建が一応でき上がって、一つのちゃんとした会社になったときに、その累積赤字についてどういう形で処分するのかというのも今後の検討問題ではないかというふうに考えております。
  22. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 東北開発株式会社目的から考えて、この赤字が最終的には六十八億、その後の償却を考えても、黒字で回復していく、こういうことですが、東北開発株式会社性格と、それからいま言っておる再建計画というものとの関連性において、一体この会社ができた設立のときからどういうふうに理解したらいいのでしょうか。具体的にいいますと、私は、東北開発というものの持っている性格からいいまして、企業採算に乗らないものというものも相当あるのではないかと思います。そういう立場からものを考えてみると、赤字をつくった原因とそれを解消していく方向というものは、やはり会社設立趣旨に沿った方向がとられなければならぬと思うが、そういう点はどうお考えになっておりますか。
  23. 鹿野義夫

    鹿野政府委員 開発会社は、東北後進性を打破するために東北にいろいろな事業をやって、殖産をやっていくということを一つ目的としてつくられたと思います。東北開発するという公共的な一つの広い意味での使命を持ってきておりますが、同時に、会社株式会社形態をとっておりますので、会社全体としては一つ企業採算ベースに乗ってやっていくということが、基本的な考え方でつくられているというふうに考えます。したがいまして、おっしゃいますように、いろいろな事業をやっておりますから、若干の赤字会社もあり黒字会社もあるということで、全体として企業ベースになっていけば、会社としては大体の目的を達成するといいますか、そういう形で開発を進めていくということであればけっこうかと思いますが、全体としての赤字がどんどん累積していくということでございますと、これ自体一つ会社といいますか企業体をなさないような状態になってまいりますので、そういう意味では再建計画を立てて、あくまで企業採算ベースでぎりぎり採算のとれる線に持っていきたいということで、機構の整備といいますか、余分なところは縮小し、また資金的にも金利負担が非常に過重になっている点につきましては、政府からの出資をして、その点の金利負担を軽減する、あるいは積極的に、さらに利益のあるような会社は――会社といいますか事業につきましては改良、増設を加えてやっていきたいという形で、大体五年後を目標にして採算ベースに乗せていきたいというふうに考えておるのでございます。個々にたまってきた赤字に対して会社性格からいってどう処理するかということを考えますれば、おそらく今後もちろん長期にわたる会社でございますから、会社利益金において漸次なしくずしにその累積赤字を消していくことが一番順当な手段ではないかというふうに考えているわけでございます。ただ、非常に大きな赤字をかかえてしまっていることが会社の全体の士気その他にも非常に影響があるということで、その累積赤字をどう処分するかという問題は、また別途検討する問題ではあろうかとわれわれは考えております。
  24. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 これほど膨大な赤字が出てきた原因というのはどういうふうに把握されておりますか。
  25. 鹿野義夫

    鹿野政府委員 大きく見まして、会社三十二年発足以来ほとんど毎年赤字を重ねてきているわけでございますが、一つ会社のやっている仕事の中に若干斜陽的な傾向の仕事をかかえていたという面、あるいは経済情勢もその後少し不利になっているという点もございます。また二面は会社経営企業採算ということについて十分な配慮がなかったというようなまずさも、私どもの立場から見ますとうかがわれるというふうに思います。全体的に見ますと、会社事業の規模対していままでも若干過大な人間をかかえていたという、人件費圧迫というものが一つございます。また、すでに累積されてきたそういう赤字あるいは事業計画のまずさから来る若干の不稼働資産的なものの持つ金利、そういうものの金利負担がかなり大きかったというふうな点もうかがわれます。端的に申し上げますれば、金利負担人件費の問題と二つの圧迫がありまして、赤字累積してきたというふうに言えようかと思います。
  26. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 三十二年の発足した当時から赤字累積になってきた。発足当時から赤字会社であった。最初から赤字会社であるということになれば、この会社というのはその赤字を何とかしなければならぬというのはどこに問題があるんですか。最初から赤字だったら、将来これは永久に赤字会社最初からつくったんじゃないですか。それを黒に転換しなければならぬというのは、そこに問題があったわけです。その問題点をどういうふうに把握されているかということです。基本的な問題の把握が私は不明確だと思うのです。ですから、表面に出てきた問題だけの取り上げ方をして問題を糊塗しようとしている、こういうふうに思うのです。そういう点についてどうでしょうか。
  27. 鹿野義夫

    鹿野政府委員 東北開発株式会社は三十二年に発足し、三十二年そのものの年だけで申し上げますれば赤字が出ておりませんが、三十三年度以降毎年赤字が出ております。開発会社はもちろん、先ほど申し上げましたように、株式会社として発足しておりますし、発足するときの気持ちはもちろん、黒字といいますか、企業採算のとれるベースでもって会社を運営していくというたてまえ、目標のもとに出発しております。その後それぞれやっております事業あるいはセメント事業あるいは福島のカーバイド事業、会津のハードボー工場等個々事業において採算が少しずつ悪くなって赤字累積してきたわけでございます。それは企業一つのまずさであろうかと思います。あるいは、客観的な情勢の変化その他もございますけれども、当初の計画の若干のまずさもあり、また経営の面でのまずさもあったかと思います。目下それをいろいろな角度から検討しながら、そのまずさを切り捨てながら立ち直らしていきたいというふうに考えております。
  28. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 その企業採算のとれる事業だというのが三十二年当初の考え方だ。それだったら、こんなに各部門ごと赤字累積するのは、私はおかしいと思う。やる仕事、やる仕事、みな赤字が出ておるのでしょう。たとえば三十八年度の検査報告を見ても、セメント事業で二億九千万化工事業で二億八千万ハードボー事業で二億一千万土地造成事業等関連事業で二億、亜炭事業で七千四百万、本社部門で二億五千五百万、総額でもって三十八営業年度だけで損失が十三億、こう書かれておるわけでありますから、黒字部門は初めからない。初めから赤字をつくるためにつくった会社だと実は断定せざるを得ないわけです。企業採算がとれる事業をといいながら、企業採算がとれなかった原因をもう少し私は明確にすべきだと思うのです。それが何も明確にされていないように私は思う。事業経営のまずさとか、あるいは経済の何とかと言っておるけれども、この東北開発株式会社の持っておる本質的なものが、あらゆる部門におきまして、ほかの産業との競合ということで、条件が満たされていない。こういう点などが一番大きな原因であるし、それと、なおかつ、それは役員の汚職に発展した、あるいは極端に言えば、あらゆる各階層において腐敗と堕落が生んだ結果だと私思うのですよ。これは、具体的にここ数年来問題になりました。私は当時会計検査院に言ったのですけれども、検査院はだらしがないじゃないか、こういう本質的なあり方というのは、もう一、二年前に指摘をすればこんなことにならなかったのではないのか、あるいは経済企画庁も同じことです。監督官庁としての監督責任というものが何もないじゃないか。ですから、初めの発想は、企業採算がとれる事業というふうに考えておったならば、私はこうはならなかったと思う。その点の自己批判とか、あるいはこれに対処する方法はまだ――私は今度のむつ製鉄の問題を見ても漫然と行なわれておる。これはあと伊藤総裁のほうによく聞きたいと思うのですが、こういうように思うのですよ。そういう点について、私は認識を改めてもらいたいと思う。  そこで次に、一つの例で、ここに出ておりますけれども、会計検査院から指摘をされておるセメント製造用機械、これは最近新しいことなんでしょうけれども、一体こういうことがどうして起きたのか、経過あるいは原因について説明を願いたいと思うのです。
  29. 潮田保雄

    潮田参考人 セメント機械は、一昨年になりますが、九月にできる予定だったのが、いろいろ延びまして、いま御指摘になったようなことになったわけでございますが、これは一つは、日産千トンということについて、もう一つはっきりした、ほんとうに千トン出すのだという考え方があったかどうかという点が一つあったのでございます。それからもう一つ、今度レポール二号と称する機種の機械神戸製鋼から買ったわけでございますが、これが、前にもレポール一号を川崎重工から買った、かなり機械の種類が違っておったというような点が、建設段階において建設業者並びに工場のほうの認識のしかたが非常に違っておった、なれてなかったという問題が一つあるわけです。それからもう一つ、新しい方法神戸製鋼としては初めて試みた機械の部分がございまして、これについてのふなれがあったわけであります。これにつきましては十分その後いろいろ会社と交渉いたしまして、最近その点が改善されまして、まあ日産千トンの能力をようやく出す段階になったということで、その面につきましてはほぼ解決する段階になっておるようでございます。理由といたしましては、大体私はそういうふうに認識いたしております。
  30. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 これは責任所在はどうなっておるのですか、どちらが・・。どういうことなんでしょうか。
  31. 潮田保雄

    潮田参考人 ただいまの御指摘の問題につきましては、ほぼ能力が出てきたという問題については、これは十分こちらといたしましては先方修理費をかけさせまして、人も何回か大勢よこしていただきまして修理をさしたという意味で、その責任は向こうに十分持ってもらったということでございます。  それからあと、実は燃料費の問題がございまして、この問題につきましては、いまの段階ではなかなかできないということになりまして、先方といたしましてはこれを要するに損害賠償と申しますか、そういう話し合い段階に持ち込みたいというふうに言っております。それで十分その面の正しい計算をいたしまして、正しい金額の算出に手を尽くしたいと思っています。
  32. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 損害額はどれくらいと推定されるのですか。
  33. 潮田保雄

    潮田参考人 私は、実はそちらのほうの機械の専門でございませんし、それから社の事業担当でございませんので、ちょっと私が申し上げるのはこの際妥当じゃないと思います。
  34. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 わかる人が御答弁ください。
  35. 潮田保雄

    潮田参考人 いまいろいろ作業中でございますが、一応生産数量がそのとおり出なかったといういままでの問題、それから燃料につきましては、いままで出なかったという問題と今後の問題、これなど計算いたしますと、かなり大きな金額になると思うのでございますが、実際問題としてそういう能力どおり、契約どおりいかなかった場合の補償の問題につきまして、いろいろ国内の例、それから海外の例、そういうものを参考にいたしまして目下検討中でございます。
  36. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 補償要求金額は別として、損害額はおおむねどれくらいと推定されるのですか。
  37. 潮田保雄

    潮田参考人 この問題につきましては、いまいろいろ計算の過程でございますので、追って数字を後刻差し上げるようにしたいと思います。
  38. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 会計検査院にこれは指摘された問題なのですか、あなたのほうからこういうふうにしたいと言われた問題ですか。検査院のほうでちょっと答えてください。
  39. 宇ノ沢智雄

    ○宇ノ沢会計検査院説明員 これは、三十九年の東北開発株式会社検査の際指摘をしたものでございます。  それから、ちょっと御参考までに申し上げておきますが、こういうようなことで、装置が保証能力に達しないということで、製造原価をどのくらい増高させたかという点につきまして申し上げますと、三十八年度中で約千七百三十二万円、これだけ増加している。これは東北開発株式会社から出していただいた数字でございます。
  40. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 あとからの説明はよくわからないですが、しかし、初めのほうはわかりました。検査院検査指摘によってこういう問題があったということですね。検査院からそういう指摘があって、それに対処するためにいろいろ手だてを講じたと思うのですけれども、いまの程度しか何か会社のほうでやられていないのですか、どうでしょう。
  41. 潮田保雄

    潮田参考人 千トンの能力をフルに出すためにいままでずっと引き続きその修理、改善、そういった方面について努力を重ねてまいったということは、先ほど申し上げたとおりでございますが、それと同時に、そういういままでの段階では検収ということにいきませんので、まだ未払いが一億六、七千万ございます。それをとめて、今後の賠償の問題とひっかけて考えたいと考えております。
  42. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 日産千トンはもう生産されているのですか。
  43. 潮田保雄

    潮田参考人 日産千トンの段階は一日あるいは二日はすでにかなり前から出ておるわけでございますけれども、引き続き千トン、月平均して日産千トンということを確認しなければ、私どもは検収できないというたてまえをとっておりまして、ほぼ最近その段階に達しております。
  44. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 具体的にいつから日産千トン、契約条項どおりな機械になったのですか。
  45. 潮田保雄

    潮田参考人 具体的にいろいろ資料が出ておりますが、ここに出ておる資料はちょっと古うございますので、これも二月、三月毎日の表ができておりますが、きょうあいにく持ってきておりませんので、これまた後日お目にかけたいと思います。
  46. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 これじゃ実はきょう何のために来てもらったかよくわからないのですが、決算委員会であなたのほうに来ていただくということは、せめていま審査をしておる三十八年度の検査報告に載っておることぐらいは十分説明ができるようにしてきていただきたかったと思うのです。それすら説明ができないということじゃ、一体何のために出てきたのかと思うんですよ。あなたのほうは、この会計検査院説明書を出しておりますが、この説明書はいつお出しになったのですか。
  47. 潮田保雄

    潮田参考人 昨年の十二月ごろ報告を出しまして、ちょっと数字は古うございますが、ここに十二月の数字は持ってきております。一月、二月、三月はこれより非常によくなっておりますが、十二月の数字を申し上げます。  一、二、三は休んでおりまして、四日から動かしましたわけでございますが、四日が百一トン、五日が九百六十九トン、六日が千四トン、七日が千八トン、八日が千七トン、九日が九百三十七トンというふうにまいりまして、一々申し上げるのはなんでありますが、(「十二月の平均だ」と呼ぶ者あり)平均は十二月はなっておりません。ただし一-二月につきましては、あいにく数字を持ってきておりませんが、これは大体千トン近くになっております。二月は九日何トンかになっていたと記憶いたしております。
  48. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 この機械はいつまでに完了する機械だったのですか。契約はどうなっておるのですか。
  49. 潮田保雄

    潮田参考人 一昨年の九月でございます。三十八年の納入期日でございますが、クリンカー用の粉砕用ミルは四月二十日、それから原料粉砕ミルは三十八年の五月三十日となっています。その後工場において組み立て、今年九月据えつけ完了し、試運転に入りました。
  50. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そうすると三十八年の五月幾日かにこの機械が設備されると同時に日産千トンということになるのですか。そういう理解でよろしゅうございますか。
  51. 潮田保雄

    潮田参考人 私は技術屋でございませんので、責任ある確かなことは申し上げられないわけでございますけれども、いまの期日は契約の納入期日でございまして、実際はそれよりはずれたということと、それから納入いたしましてから能力どうりフルに出るのに、普通の機械でしたら半年くらいかかるというふうに認識いたしております。
  52. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 監理官のほうではもうちょっと詳しくわかりませんかね。どうなんでしょう。経済企画庁で、この機械のいま言った納入でいつから千トン出るのかということ・・。
  53. 喜多村治雄

    ○喜多村説明員 この機械装置につきましては、会計検査院指摘があります以前にすでに納入期日がありまして、そして契約上の搬入という事実はあったわけでございますが、その後、キルンの前の部分にありますプリヒーターの部分が十分に調整する能力がなかったという事実と、それからキルンのあとにありますところのクーラーが故障いたします回数が非常に多かったという事実のために、私どものほうからもこの契約に基づくところの残額、つまりこの契約では前払い半額、それからあと半額をはっきり契約どおりの装置になりましたときに、検収後に払うということでございますが、これを私どものほうでも特に留意いたしまして、検収が済まない限りこれを支払ってはならないという指示をしております。したがいまして、現在のところ、いま潮田理事から御説明がありましたように、千トンがスポットに出ることはございますけれども、それが何日か続いて千トンの能力を確保するということはございませんのと、それから燃料原単位が契約どおり確保できないということもございまして、現在の段階ではまだ支払っておりません。そういうことで、契約上は確かにいま潮田理事が行いましたような納入期日ということで契約いたしておりますが、現在の段階では検収はいたしておりません。そういう事情でございます。
  54. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そうすると価格が五億二千万で、いままでは三億五千万しか払っていない、この差額は今日現在払っていないということですか。
  55. 喜多村治雄

    ○喜多村説明員 いまだ払わせておりません。
  56. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そうしますと、東北開発は「これについてはその責任関係十分検討し、機械メーカーの責に帰すべきものについては慎重に折衝し対応の措置をとる考えであります。」こういうふうに具体的に処置はとるんですね。
  57. 潮田保雄

    潮田参考人 さようでございます。
  58. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 お聞きのとおりの東北開発の契約の実態です。事業運営の実態です。これはまことに私は残念だと思うのです。赤字が出るのは、これはあたりまえじゃございませんか。これで再建計画ができる、しようとしている。総裁いかがですか、これ。一体事業経営をどうやられておるのか、いかがですか。
  59. 伊藤保次郎

    ○伊藤参考人 勝津委員からたびたびそういう御忠告といいますか、御意見を拝聴しておりまして、またその点はまだ改めないで再びこういう傾向を見たことは、まことに私最高幹部として済まないと思います。ただ問題が一つ考えられるのは、企画庁からも御答弁ありましたけれども、当社は株式会社であるということに非常に重点を置いて、会社はそうでありますから、しかしそこに私どもは実際仕事をやってみますと、株式会社というものは赤字を出さないという性格を持っているんだというふうに断定されますが、私は就任以来三年有余になりましたが、やはりわれわれの責任観念というものは、低開発地域の開発にあるんだということを私は信念としてきたつもりであります。したがって赤字を出したということに対して、言いわけはまことに見苦しいわけでいたしませんけれども、しかし実態から見ますと、あの地方に仕事をする場合には、ほんとうにベテランをもって商売をさせるか、あるいは最高の技術者をもって計画をさせるかでなければ、ほんとうの赤字を避けることはむずかしいんじゃないかと私は思うんです。  それからもう一つは、会社の契約がだらしないからだという御批判はありますが、しかし会社の人間が非常になまけていると私は思いません。ただその意に染まぬ人が普通の商事会社のように、あるいは普通の技術会社のように、人の精神はそろっていないということは、これは私は認めます。私自身もその点は大いに不服はあります。ですからこの際会社性格論からいいましたら、私はやはりあくまでも低開発地域に臨んで開発を急ぐべきだと思うのであります。これはしかし限度があります。赤字を幾ら出してもかまわないということは、むろん考えるべきではありませんけれども、しかし赤字をこんなに出してはいかぬのだ、株式会社というものはそういうものだという御意見が確定しましたならば、この会社はこのままで存続ということは非常に困難になりはしないかと思うのです。しかしながら私ども考えますことは、世間の皆さんの世論も大体参考にいたしておりますけれども、どうしてもこの会社の使命というものはもっともっと活発に低開発地域に働くべきだという御意見もありますので、それに御鞭撻をされてわれわれやってきたつもりでありますが、しかし何といっても国家の大事なお金をこうやって湯水のごとく流しているということに対しては深く反省いたしますが、それじゃこれがいつから直るかという勝澤先生の御意見のように終局はいくんじゃないかと拝聴しておりますが、この点は私は、まだここで来年からどうするとかこうするということは、はっきりした責任ある回答は申し上げかねます。大体そういう考えでおるわけでありますから、赤字を出すことはまことに国家に対して済まぬことでありますけれども、われわれの仕事性格が、やはり赤字は避けられないものじゃないか。現在もしこれを避けるとすれば、会社の機構なりあるいは会社の内容なり組織なりをほんとうに商売人としての構想を持たなければその御期待には沿えない状態であると私は考えます。
  60. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 総裁、国策会社ですから私は赤字を出すことについてどうこう言っているのじゃないのです。ですから、正しい赤字ならけっこうだというのです。いまあなたお聞きになっておったでしょう。私、知らないと思ったからあなたに聞かないのです。あなたのところの会社で五億二千万セメント機械を注文をして、契約どおり履行されずにおくれて入ってきて、なおかつ使えないものだ、生産能力がないものだ、契約違反のものが入ってきておった。それをしも会計検査院からいわれて何とか損得賠償の要求までしましょう。一億七千上方がまだ未払いになっているやつですよ。そう言っている重大な問題が、担当の理事ではないかもしれないけれども、総裁も、そこにいらっしゃる理事の方も知らないような事業運営じゃ困ると言うのです。とにかくきびしい再建をしなければならぬ会社ですよ。その心がまえがなっていないと言うのですよ。一職員じゃない。会社の重役なんですから。重要な会社経営に影響する問題なんですよ。それをあまり中身もよく知らない。そのことを私は言っているのです。あなたが総裁になってからひもつきの役員はみなおやめになったでしょう。悪いことをした人はみな刑務所に引っ張られたでしょう。どの代議士もあなたのところに圧力をかけて、あなたのところの仕事のやり方をやりにくいようにはしなくなったでしょう。あなたの考えに従って経済閣僚なり、協力して再建方策を立てるようになったはずなんですよ。四、五年前になりますが、この決算委員会で何回もあなたに来ていただいてそうなっておるにもかかわらず、なおかつこういうことが起きるのはどういうわけですかと私は言っているのです。株式会社です。何の会社でもやっぱり事業なら事業の倫理があります。慎重に研究して慎重にやったものなんですから、それがそのとおり運営されなければ膨大なものがそれによって損をしているからそういう要求をすると言われている。一億七千万をまだ払ってないから、差し引き計算をしてもらい分になるのか、やり分になるのかよくわかりませんけれども、それはそれでいいかもしれませんけれども、そういう心がまえを私は言っているのですよ。国策会社赤字になることについてどうこういっているのじゃないのです。そういうことが起きるのは当然なことです。だから、あなたが総裁にならない前の、とにかく今日では土地を買えば二年たち、三年たてば土地の値段が上がってもうかるものになっておるにかかわらず、今日でももうからぬような土地があなたの前に利権と結びついて買われた事実、そのままになっていることも私は知っております。そういうことについて、あなたはかわったのですから追及いたしませんけれども、せめてあなたになったらこういうことが起きないようにしてもらわなければ困る、こういうことを言っているのですから、ひとつ誤解のないようにしっかりと御答弁を願いたいと思います。
  61. 伊藤保次郎

    ○伊藤参考人 いまのセメントの問題は、汚職とかあるいは不正とかいうことは私はないと解釈しております。相手に対する圧力が少し足らなかったかということは考えられますが、しかし、相手が不正なものを納入しても何も手を打たせなかったということは決してありません。これはきびしく向こうとやりまして、向こうでもほんとうにこの機械を直して上げますということをいっていますから、あと損害賠償の問題は、先ほどから答弁しましたとおり用意はしております。しかし、これは弁解してもしようがありませんから、いま勝澤委員の言われたことは、もっと大きな意味会社に警告を与えられたものだと思いますが、この点につきましてはわれわれも十分考えまして、そういう問題を再びだらしないと言われることがないようにあくまで努力するつもりであります。
  62. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 総裁、汚職があったとか不正があったとか私は言うんじゃない。不正があったか汚職があったかわかりませんよ。なかったと私は断言しません、あったという証拠はありませんから。ただ、こういうことが起きるようじゃ困るというのですよ。これが不正だとか汚職だとかいうことが起きたと私は言っているんじゃないのです。とにかく東北開発はきびしい会社なんですから、そのきびしさに対処してやってもらわなければ困る。  次の問題に移りましょう。  そこで、むつ製鉄の問題について企画庁長官にお尋ねしたいのですが、予算委員会で淡谷委員からいろいろ御質問があったようでありまして、きょうまた私のあとから少し質問をしていただこうと思っておりますが、そこで、私はあまり専門的なことはよくわかりませんけれども、概括的に申し上げますと、一体設立認可をしておきながら、今日の状態から考えて企画庁としてはこれからどうしようとしているのかという点を最初にお尋ねいたします。
  63. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 この点は、ただいまお話しのとおり、予算委員会において答弁申し上げましたような次第でございますが、昭和三十八年の四月に会社設立の認可をいたしたのでございますが、その前に、この問題は非常に多額の資金を必要とする問題でもあり、また技術的にも相当むずかしい問題であろうかという観点から、担当の専門の省であるところの通産省の技術当局にも十分審査をしていただきまするし、また、特にこのために四人委員会というものを委嘱いたしまして、すなわち、興銀の中山素平さん、日本製鋼の伍堂輝雄さん、石原武夫さん、堀越禎三さん、この四人の方。いずれもこういう問題についてはそれぞれの部面においての第一流の人であるというふうに考えまして、こういう方々にこの問題について材料を全部差し上げまして御検討を願った次第でございます。その四人委員会の意見としては、この問題は非常にむずかしいが、もしも、それぞれ販路の確保という問題が当然に非常に重要になってまいりますが、その販路についてもある程度責任が持て、またその他技術についても責任が持てるという形になるならば、委員会でも、三菱グループの提携によって技術と坂路について十分留意をし、また三菱グループから資本参加を得、社長も三菱グループからいただく、技術陣の派遣等も得られるということであるならば、このむつ製鉄企業は成り立ち得るであろうという趣旨の意見があったわけでございます。そういうふうな意見に基づいてこのむつ製鉄設立を三十八年の四月に認可をいたした次第でございますが、この条件のとおり三菱グループが資本参加をし、社長も派遣し、河畔に技術陣を得られたわけでございますが、それらの方々によってこれを企業に移す段階についての事業計画を立案していただきまして、直ちにその事業計画の一々についてよく検討してまいったのでございます。ところが、その後、特にその技術の一つとしては、スウェーデンにおけるところの新しい砂鉄を、原料とするところの製銑方法というふうな情報も得ておりましたわけで、それが相当に希望の待てるものじゃなかろうかという趣旨で、特に社上長以下技術者が向こうに参りまして、この問題についても検討いたしたのでございます。ところが、その間において、製鉄業においては非常に大きな技術革新がどんどん進行されておったのでございます。言いかえれば砂鉄を原料としないところの、高炉銑によるところの良質廉価な特殊鋼原料が得られるという時代に、だんだんとなってまいったような次第でございます。そういうことで、当初の事業計画がそのままではなかなかむずかしいのではなかろうかというところから、第一案、第二案、第三案と、いずれも、それぞれその問題について検討いたしたのでございますが、踏み切るためにはなかなか難点が多うございました。その後さらに事業計画を変更し、たとえばステンレス導入の構想を入れるというふうな考え方も入れた、第四案と称されるものも出てまいったのであります。そういうことで、それらの一々の問題についてずうっと検討してまいったのでございます。ところが、先ほど来、伊藤総裁からも御答弁申し上げましたし、局長からも御答弁申し上げましたが、東北開発株式会社は、これはもとより低開発地域の東北開発に何とか寄与しようという相当大きな理想を持って発足した会社ではございますが、しかし、どこまでもこれは株式会社であり、企業としてそれを推進する。政府としてはこれに対して相当大きな金額出資をし――もちろん、政府出資に対して配当を期待するというふうなことではなしに、または資金の面においてもお世話をする。そういうふうなことによって、純然たる民間の資本のみをもってしては、また民間の企業会計のみをもってしては困難だというふうな仕事に手をつけて、そして非常に開発のおくれておる東北地方の開発に寄与したいという趣旨でもって始めた会社ではございますが、そういうふうな事業計画をそれぞれ検討してまいりますと、これが黒字採算になるという見通しがなかなか立たない次第でございます。もちろん、政府といたしましては、三年五年の当初の赤字というものを気にしているわけではございません。こういうふうな大事業でございますから、事業を始める当初の相当の期間においては赤字が出てくることはやむを得ぬ、それだけのことは負担してかかるべきであるという考えを持っておるのでございますが、たとえば一年たっても十年たっても黒字になる見通しがはっきりしないというような場合におきましては、これがなかなか着手できにくいというふうに判断をいたしておったのでございます。ところが、その後になりまして、三菱グループから東北開発の総裁あてに、認可当時前提条件として認可をいたしたこの三菱グループからの企業提携について、辞退の申し入れがあったわけでございます。それで、その事実を実は昨年の十二月末に、三菱グループからこういうふうな企業提携を辞退したいという趣旨の申し出があった以上、東北開発総裁としては事業を断念するより道がないように思うという趣旨経済企画庁に対するお申し出がございましたので、その事実を閣議に報告はいたしました。しかしながら、この問題はそういうふうな経緯から見ましても、また特に下北開発ということに対して非常に大きな理想を持ってかかった事柄でもございますし、また、そのために地元においても相当な期待をお持ちになり、国も県も市町村もそれに協力し、準備するためのいろいろな施設も行なわれているというふうな事情もございます。そういうふうないろいろな状態を勘案いたしまして、今後に対する問題としてはどういうふうにすべきかということを慎重に、しかしながら、じんぜん日をかけることもできませんので、できるだけすみやかに、事業を中止するとはっきり決定するのであれば、その代案として何かないか、または何かこれを生かして、当初の理想であるところの下北開発というものをなし得るような方向にできないかという方向政府としては検討していきたいという趣旨のことを閣議に報告いたしまして、その後も、そういう姿勢で政府としてはこの問題と対処してまいっておるような次第でございます。
  64. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 このむつ製鉄事業を認可したのは、三菱グループなのですか、経済企画庁なのですか、どちらなんですか。
  65. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 経済企画庁でございます。
  66. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 事業認可をしたということ、それからもう一つは、地元の先行投資というのは、これはだれがさしたのですか。経済企画庁なのですか、東北開発なのですか。
  67. 鹿野義夫

    鹿野政府委員 むつ製鉄ができることを地元も非常に強く熱望しておられまして、地元としても協力態勢をしいておられたわけですが、地元の受け入れ態勢としていろいろな施設をすることについては、特に企画庁のほうとして、こうしろ、ああしろということを指図申し上げたわけではございませんが、むつ製鉄では、即刻事業に着手するという気がまえで臨んでおりましたので、そういう意味で、県知事あるいはむつ市長に対しまして協力方のお考えをただしたことがございます。なお具体的に個々の問題につきましては、むつ製鉄のほうから地元にいろいろ、こういう点を準備してほしいとか、こういう点について御検討願いたいといったようなことを依頼して、その結果、地元としてもかなりの先行投資的なことをやられて現段階に至っておる、そういう形でございます。
  68. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 それは結局、むつ製鉄をあそこにつくるという企画庁の考え方に従って地元が投資をして、それに従って地元の態勢ができたので、企画庁としてはむつ製鉄事業認可を与えた、こういう理解でよろしゅうございますね。
  69. 鹿野義夫

    鹿野政府委員 会社設立の認可をいたしました前後に、企画庁としてもいろいろ地元のほうに対して御相談申し上げ、またむつ製鉄のほうからも受け入れ態勢についての準備を御依頼申し上げたということでございます。
  70. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 地元の投資というものは、あくまでも企画庁の要請に基づいて地元としての受け入れ態勢というものはそういうふうに行なわれた。こういう点はあなたの出した局長の書面で青森県知事に出しておりますから、これに基づいて地元の能加勢というものができ上がって事業認可がおりた。事業認可がおりた中身というものは、やはり地元もそういう態勢ができておった、こういうことになるわけですね。
  71. 鹿野義夫

    鹿野政府委員 企画庁のほうから地元に対して申し上げたことは、地元の協力態勢についての御意向をお伺いしたわけでございますが、いまおっしゃいました事業認可はまだおりておりませんで、会社設立の認可がなされたわけでございます。それは設立の認可と前後してのことでございますから、そういう態勢ができたから認可したといいますか、認可するということで大体の諸般の情勢が固まっていたということで、地元に対してそういった協力態勢をお願いしたということだろうかと思います。
  72. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 この設立の認可をしたのは経済企画庁だ、こう言われておるわけですね。三菱グループが設立の認可をしたわけじゃないです。ところが、三菱グループが設立認可をするに至る一番大きな力になった、あるいはこの覚え書きによって大体見通しが立ったからこれで設立の認可をしよう、こうなったわけですね。そうすると見え書きが破棄されたということによってこの設立について少し見通しが暗くなってきたわけでありますが、そうするとこの覚え書きそのものの効果というのはどういうことになるのですか。ただ単に覚え書きを取りかわして、そしてやってみたらだめだったということだけで問題はないのですか。企画庁としてはどうお考えになっておりますか。
  73. 鹿野義夫

    鹿野政府委員 覚え書きが破棄されたといいますか、三菱グループのほうでもう・企業提携を辞退したいということを言ってまいりました。それはある意味では、先ほど大臣からかなり詳しく御説明なされましたとおり、非常にむずかしい、しかも大きな装置産業になりますので、十分な技術と販路という問題を確保しなければなかなかスタートできないということで、三菱グループがその任に当たってもらうということでできたわけでございます。三菱が辞退するということ、つまり覚え書きの破棄になるわけですが、そういう事態になりますと、事実上この形で砂鉄事業を進めていくということがきわめて困難になったということはもう明らかでございます。ただ、覚え書きを破棄したことについて、これはどういうことになるのかということになりますが、破棄した場合にその責めを云々する条件をつけておりませんが、当然三菱側としてもこの条件を破棄して企業提携を辞退したという事態についての責任を感じておられるだろうと思いますし、今後の事態について、もしむつ製鉄会社がどうしてもできないというようなことに立ち至った場合には、その善後処置等につきまして十分三菱のほうに対してもわれわれのほうからこういう事態に至った責任についてよく話し合いをして、果たすべき責任は果たしてもらいたいというふうに考えている次第でございます。
  74. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 その果たすべき責任を果たしてもらいたいというのは、具体的にどういうことですか。
  75. 鹿野義夫

    鹿野政府委員 具体的に言いますれば、いまのむつ製鉄会社は、多くの人をかかえて現在存立しておりますが、その中には、係の三菱の人たちも送り込まれてやっております。もし解散することになれば、そういう人たちの善後処置の問題が一つあるわけでございます。  それから三菱のほうから、会社設立にあたって、鉱区その他砂鉄精鉱等をむつ製鉄会社が買い取っている次第でございますが、そういう問題につきましても、今後どういうふうに処置していくかということについても、十分三菱側と御相談いたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  76. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 これは三菱とやってきたということですが、三菱以外のところとはどういう関係になっておるんですか。あるいはこれが辞退された前――前というとおかしいでしょうが、この覚え書きを考えられる前なり、あるいは辞退されたあとなりに、ほかとの提携というものについてはどうされておりますか。
  77. 鹿野義夫

    鹿野政府委員 ほかとの提携ということについては、現在の段階では何ら考えておりません。
  78. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 それはどういうことなのですか。不可能だからですか。あるいはほかに何かあるのですか。
  79. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 この問題については、先ほど私からお答え申し上げました際にもちょっと触れておきましたように、この事業自体は非常に困難であるという今日の段階に相なっておりますけれども、下北開発という理想は捨てないで何とか方法はなかろうかということで、それぞれ内輪話と申しますか、いろいろな話をやっている事柄はございますけれども、ここでそういうことを申し上げることは、そういうことを前向きに進めることには一つも寄与しない、かように考えますので、その点はこの機会に申し上げることを控えさせていただきたいと思います。
  80. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 覚え書きを結んだが、その覚え書きは一応辞退された。それについてのお考えは先ほど聞きましたが、予算委員会の質疑の模様を見てみますと、第四案については、その後どういうふうになっておるんですか。
  81. 鹿野義夫

    鹿野政府委員 第四案につきましては、技術的な内容等につきまして、三菱グループのほうにも意向をただしました。三菱のほうの意見では、なかなか第四案に計画されたようになることは困難であろうというような返事がございました。また、開発会社のほうも、第四案は企業的にむずかしいのではないかということで、第四案は成案を得られないという開発会社の意見であったわけでございますが、なお、この第四案につきまして、自民党のほうのむつ鉄の小委員会において、いろいろ学識経験者の方の御意見も聞いて御検討願ったのでございますが、現段階では、この企業化をするには時期的に現在においては困難であろうというふうな結論を得られたように承っております。
  82. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 東北開発の総裁にお尋ねいたしますが、総裁は就任されるときに、まあとにかく砂鉄で東北開発再建するのだ、こういう意気込みでお入りになったと思うのです。またそういう話を私は聞いたことがあります。今日このような状態で、むつ製鉄が、いま三菱グループとの話がつかず、この四案まで困難だという状態で、あなたはこれからどうされようとするのですか、その点についての御意見を承っておきたいと思います。
  83. 伊藤保次郎

    ○伊藤参考人 ただいまの御質問でございますが、私会社に入社したときは、もうこの案はきまっているのだ、もうすでにきまっているから、すぐ着工するのがおまえの責任であるというふうに言われて私は入ったのであります。しかしながらそれが具体案というものはまだはっきりしなかったのでありますが、あらゆる調査検討済みであるということ、それから原料である鉱区の獲得その他についても万全な措置をとってあるのだという当時の関係者あるいは大臣からのお話でございましたが、そういう意味仕事をしてもらうのだというお話でありました。しかしその後だんだん進んでいったのでありますが、なかなかその線に乗るということは容易でない。しかも先ほど御当局からもお話がありましたとおり、三菱グループというものが推薦された。その推薦された人たちの話を聞きますと、なかなか簡単にいくものじゃないのだという意見が出てきましたので、これはどうもとんでもない。だんだんに見込みが違ってくるのじゃないかという予感を抱きました。しかしこれも当初の話であって、その当時具体案というものは出なかったのです。ただこれをやる準備ができたから、予算ももらえるのだ、ほんとうに予算も認可していただきました。それで慰んだわけでありますが、いざ具体案になりますと、具体案というものは、だれにやらせるかという問題になりますと、詳しくは申しませんが、やはりこれは三菱グループがそれぞれ体制も整っているようだからあそこにやらせろという委員会の顧問というか、そういう方の御意見を採用されて、そしてこれをきめたと思うのです。しかしながら、その川の経過は省きますが、現状としましては、私も、できるだけ何べんも聞きましたが、とうてい現在では、第四案までが問題でありますが、あの構想では、国家がただやっておればいいというなら別だけれども、鉄鋼というものは国家の基幹産業として、国際的な標準を扱うのですから、そういうなまやさしいことでは経営すべきではないのだということがはっきり打ち出されたのであります。したがって、われわれも、ただ従来の政府が金を出してやる仕事とは断然区別して、これはどこへ出しても競争にたえるという仕事でなければやるべきではないのじゃないかというふうに考えたのであります。しかし、これはほんとうに純粋のいわゆる産業経営考え方であって、東北開発では、開発経営仕事とは多少ギャップがありますから、その点は、できるならばほんとうにやっていただきたいということを念願して今日に至ったわけでありますが、しかしペイしないのだ。それから事実上、あの線とは技術的に変わっているのだ、だから、この際はもっと検討していくべきだという結論が出たわけでありますが、現在の私どもの心境というか考え方としましては、これを捨てるというような意志は全然ありません。なぜかというと、あれだけの信用力を持っておりながら、捨てる理由は何もないと思うのです。また将来性というものは脇町なんだということは、学識経験者も言っております。ただ時期をもっと検討してやるべきだという結論になっておると思うのであります。ですからむつ製鉄事業は時期はおくれた。したがって政府の最終の考え方は、先ほど長官のお話もありましたとおり、ただ捨てるのではないのだ、今後必ず何らかの方法においてこれを生かしていくのだということで、当面の資金としまして五億円というものをつけてもらったわけでありますから、ですから、この問題は、決して楽観はできませんけれども、捨てたということには、そういう結論は全然出ていないと思います。ただ約束どおりなぜやらぬかという責めはわれわれ一応負いますけれども、もうやらなくてもいいのだという考え方は、育ったこともありませんし、またそんなことを考えたこともありません。あとはわれわれがどういうふうにこれを促進するかという問題が残されておるわけであります。したがって、今度党のほうの委員会で取り上げられた問題がありますから、あれが政調会のほうでどういうふうな判断を下されるかということをわれわれは期待しているわけであります。
  84. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 これは大臣、むつ製鉄はだれがやるのですか。経済企画庁がやるのですか、あるいは東北開発会社がやるのですか。一体責任はどこにあるのですか。だれも責任がないのじゃないでしょうか。総裁は、開発の総裁になるときに、とにかく何とか私は砂鉄とともに生きるか死ぬか知らぬけれども、そういうつもりで乗り込んできた、そんな話なんですけれども、いまの話を聞きますと、学者グループがどうとか、だれかがどこかできめてくれるのを待っているようなもので、一体これじゃ責任所在がないと思うのです。だから、国がこれだけたくさんな投資をして、これだけばく大な金をやって、一体どうしようというのですか。どこにも責任がないのでありますが、これは一体だれの責任でありますか、その点はっきりしていただきたいと思う。
  85. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 申すまでもなく、むつ製鉄を認可いたしましたのは、むつ製鉄会社を、東北開発会社から四億円の出資をし、三菱グループから一億円の出資をしてもらい、同時に、それと関連したところのいろいろな、先ほど申し上げましたような地上権、そういうことを前提条件として、政府東北開発株式会社に対してむつ製鉄の大株主になるわけでありますから、むつ製鉄会社設立することを政府が認可いたしたのであります以上、政府にはもちろん監督の責任が十分にあるわけでありますが、その事業の主体に当たるべきものは、第一次的にはむつ製鉄株式会社自体であり、またその大株主として責任の衝に当たる者は東北開発株式会社でございます。
  86. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 政府責任で、その大株主の東北開発株式会社、それではその東北開発株式会社でやることを自民党がきめてくれるのを待っているというのは、どういう意味なんでしょうか。
  87. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 政府といたしましては、先ほど御回答申し上げましたとおり、何とかして東北地方の開発をいたしたい、ことに下北開発がこの問題の焦点でございますが、その東北開発という理想は何とか実現させたい、そういう熱意のもとに東北開発株式会社を指導し、また政府としてなし得る援助をいたしたい、こういう考え方のもとに構想も練り、また努力をいたしてまいっておるのが実情でございます。しこうして、また自由民主党の政務調査会云々というお話は、自民党の諸君もまた東北開発に対する熱意から、何とかこれを側面からでも援助できないだろうかという趣旨でもって、そういうふうな研究なり努力をしておられるものと、私ども政府としては受け取っておる次第でございます。
  88. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 このむつ製鉄関係する諸問題というのは政府責任を持つものであり、経済企画庁長官が責任を持って、この問題を前向きでとにかく解決するのだ、こういうことなんですね。
  89. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 そういう心持ちをもってただいま努力しているところでございます。
  90. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そういう心持ちとそうだということとは違いがあると思うのですが、これはとにかくむつ製鉄がここにできて事業をやるかやらぬかというのは、経済企画庁長官、あなたの責任なんですね。
  91. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 企業経営の実態はむつ製鉄株式会社そのものでございます。しこうして、これの大株主としてその企業が成り立つかどうかというふうなことについての第一次の判断をするものは東北開発株式会社、その判断が誤っておるかどうかということについての監督をするのが政府責任であろう、かように考えます。
  92. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 これはどういうことなんですか、私はよくわからぬですがね。これは国の命令でとにかく地元はいろいろな準備をしているのでしょう。かりにそこへ東北開発が入ろうが、むつ製鉄が入ろうが、国の方針としてやられておるのでしょう。国の方針として東北開発株式会社がつくられているのです。監督だとか事業だとかいうのは――それは事業をやるのはあなたがやるわけでない。しかし、このむつ製鉄がここででき上がるかどうなるかというのは、これはやはりあなたが責任を持って、やってもらわなければいかぬですよ。地元にこれだけ投資をさして協力をさして、そしてむつ製鉄という会社をでっち上げて、これはあなたがつくったのですから、間接的には株主は東北開発かもしれませんけれども、監督権だとかあるいは事業運営だとかいう点はなんというのは、これは問題をすりかえるものですよ。東北開発株式会社あるいはその一環としてむつ製鉄をつくって、ここに下北におけるところの低開発地域の開発をしようという政府の方針に基づいてやられておるわけですから、これは最終的には私の責任です。私が最終的にはとにかく何とかしてこれを総裁と協力してやりますということにならなければおかしいと思うのですが、いかがですか。
  93. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 御承知のとおり、東北開発株式会社ができました、つまり会社を特別の法律によって設立したゆえんは、政府直接ではでき得ない事業会社にやっていただこう、こういう趣旨でもって東北開発のためにこの会社設立した次第でございます。したがってまた政府自体にも経営の問題についての責任を食えるような陣容も整えておりませんし、技術者も持っておりません。そういうところから政府としては、東北開発株式会社がやっておることが妥当な方向にいっておるかどうかという点についての監督をしていく。しかも同時に、監督と申しましても、先ほど来繰り返し申しておりますように、会社目的自体が東北開発ということにある次第でございますので、そういうような方向に、何とか政府が援助をし指導をするということによって前向きにそのことができるような方向に努力をしていきたい、こういう考えを申し上げておる次第でございます。
  94. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 東北開発に関する一切の権限というのは、あなたが持っているのでしょう。
  95. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 監督権は政府にございます。
  96. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 ですから、それは経済企画庁長官がお持ちになっているのでしょう。
  97. 鹿野義夫

    鹿野政府委員 東北開発株式会社法に基づきまして政府のほうで監督するということになっておりますが、監督というのは単に消極的な意味の監督ではなく、事業計画の認可等を通じて、あるいは具体的には資金的な供給その他を通じまして、開発会社を通して積極的な開発を進めていく、そういう積極的な意味での監督責任政府側で持っているという、ふうにいえると思います。
  98. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 自民党から第四次案以後一つの案が出されておりますが、これについては長官どういうふうにお考えになりますか。
  99. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 ただいまのお話はおそらくは第四次案ではなしに第五次案といいますか…。
  100. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 自民党の別案というやつ……。
  101. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 自民党の別案という問題だと思います。チタンとかバナジウムとかいう問題を取り上げてみたらどうかという問題でございますが、この問題については技術的な点が非常に焦点になるわけでございますので、通産省に対して、その点の検討をしてもらいたいという要請がたしか自民党のほうからあったというふうに聞いております。
  102. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 これは企画庁のほうでは検討していないのですか。
  103. 鹿野義夫

    鹿野政府委員 企画庁のほうでも内容を研究してほしいというお話があり、また通産省のほうにもいろいろそういう内容を――技術的な面が多分に含まれておりますので、そういう面でも一緒によく相談してといいますか、通産省のほうにも研究を頼んでやっていただいておるという状態でございます。
  104. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 それで検討している状況はどうなんでしょうか。可能性があるのですか。
  105. 鹿野義夫

    鹿野政府委員 酸化チタンとかバナジウムという問題が主体をなしておりまして、単純に私らの常識的なもの、あるいはちょっとした人からの判断を聞いたという程度では、責任を持ってどうだというふうなことを申し上げられませんので、かなりの時間をかけて通産省等の御意見を十分聞きませんと、いまの見通しどうであるかということを簡単には申し上げかねます。
  106. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 むつ製鉄のいまの現状から、具体的にこのむつ製鉄をどういうふうにするかという方向は、大体いつごろ、見通しとしてはきまるのですか。
  107. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 先ほどもお答え申し上げましたように、単に第四次案とか第五次案とかいう問題のみならず、実はいろんな方面から、何か東北開発の、特に下北開発に貢献し得るような仕事ができないだろうかという趣旨検討をただいま進めております。その内容についてはしばらく遠慮させていただきたきたいと思います。したがって、そういうふうな事柄の関係もございまして、いつまでというタイム・スケジュールを今日立てることは適当でないというふうに判断いたしております。
  108. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そうすると、それまではむつ製鉄はいまの状態というのはどういうふうになっているのですか。従業員もかかえているでしょうし、どうなっておりますか。
  109. 鹿野義夫

    鹿野政府委員 むつ製鉄会社も現在かなりの人間をかかえて、むつ製鉄のいままでのいろいろな案の作成等に従事してきたわけでございます。現在、人員は若干減少はして、またしつつある状態でございますが、むつ製鉄会社として、いまのいろいろな問題の結論が出るまで、会社としてはある程度の人員をかかえて、なおいろんな面から企業化の可能性を検討していくということになろうかと思います。
  110. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 東北開発の総裁、あなた大株主だから、それはいつごろまでに大体結論を出さなければならぬのですか。
  111. 伊藤保次郎

    ○伊藤参考人 いま検討しつつあるのですから、その回答がいつごろあるかということを一ぺん確かめない限りは、ここでいつごろだろうという想像では申し上げかねます。まだ私どものほうにも、むつ製鉄の幹部とも話し合いをしておりますけれども、いつごろその回答、指示が出るかということははっきりしませんので、私からここでは申し上げかねます。  それからもう一つ、さっき勝澤委員からお話がありましたが、東北開発は学識経験者を援用して責任をそっちに転嫁しているよりな口ぶり――そうでないかもしれませんけれども、そういうお話ぶりがありましたから、それはとんでもない面である、しかし専門的なことですから学識経験者の意見を聞くということは、われわれとしてどうしても必要なことで、聞いておるわけで、責任を転嫁する意味なんかで、やっておりませんから、そういう誤解のないようにお願いしておきます。
  112. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 やるやらないという、基本的な問題は大事なことですから。やるやらないという基本的な問題について、もう終わっていると私は思うのですよ。やるやらぬと、いう問題が終わっておるのに、学者に聞いているとかあるいは何とかかんとかいっているから問題が起きるのです。やるということをきめて、その方針に従って地元も全部ずっと進んできたのでしょう。それでいまになって、これはだめになったから、ああでもないこうでもないといっているから、私は責任がないと言うのです。責任はどこにあるのですか、こう言っているのです。だからあの東北開発のめちゃくちゃな中に、汚職や不正がごちゃごちゃしておる、政治の渦の中にあなたは入ったわけです。そうして砂鉄をとにかくやることによって東北開発を私が守りますとあなたは乗り出してきた。乗り出してきたあなたが、やるという方向に進んでおるのに、また戻ったりして、何か行ったり来たりしているから、一体どうなんでしょうか、こう言うのです。だから具体的にあなたとしてむつ製鉄をいつまでどうしたいのだ、どうしなければ困るのだ、こう私ははっきりしてもらいたいと思うのです。そのことを私はお尋ねしているのです。あとで大臣にもよく聞きますけれども、大臣、わけのわからぬ答弁じゃ困りますよ。何百人という人をかかえて、何万人、何千人という人がとにかく期待を持っておることなんですから。そうしてそれもここ数年前から、やるのだやるのだといってきたのですから。これは予算委員会で淡谷先生の質問を聞いてみれば、全く地元からいったらたいへんなことですよ。ですからそういう意味で、大体の見通しをいつまであなたとしては立ててもらわなければ困ると言っておるのですか、あなたはどう思っているのですか。
  113. 伊藤保次郎

    ○伊藤参考人 この問題は、やるということになったわけです。現在はそうなっていますから、やるということは、基本方針は変わらぬと思うのです。ただどの案が一番いいかということが問題になったのであって、やらないほうがいいのだとか、何かその案はできないとか、東北は砂鉄の開発をやらないということは、われわれ一ぺんも言ったことはありません。ただ従来出てきた案の中には、適当な案じゃないということは、それはありました。ありましたが、今度の案はせっかくここまでしてありますから、われわれも毎日のように当事者と会いまして、いつごろこれはできるのだということは懇談をしておりますし、もうこの話はやめたというような話は一部にはいろいろな書かれたものはあったかもしれませんけれども、そういう精神はありません。それだけははっきり申し上げておきます。
  114. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 やるということはよくわかりました。いつからやるかということはどうなんでしょう。
  115. 伊藤保次郎

    ○伊藤参考人 いつからやるということは、やはり先ほど申し上げましたように、いませっかく検討しておるのですから、その案が私どものほうに回ってくるわけであります。回ってさましたら、当然これは進むべき方向ははっきりしていると思います。
  116. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 その案がいつあなたのところに回ってくるのですか。
  117. 伊藤保次郎

    ○伊藤参考人 何月の何日までといったって、そういうことは御意見を出されても、私は、いまそういう確答をする自分の権限はありません。権限というとおかしいのですけれども、そういう確信はありません。なるべく急がなければならぬということははっきりしていますけれども、勝澤さんの御意見は、今月中とかいつまでということなんでしょう。それはいまここで私は申し上げかねる。ただなるべく急いでやるということは、全くわれわれの責任ですから、やりますけれども、期限を切ってどうするかということはここでは私としては申し上げかねる。
  118. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 じゃ、いつからどういう案でやるかということは、だれがきめることなのでしょう。
  119. 伊藤保次郎

    ○伊藤参考人 それは一番最初に意見を出すのは東北開発だと思います。それからむつ製鉄東北開発の子会社ですから、親子の関係です。ですから、政府ももちろん責任はあるということは、先ほどから大臣の御答弁にもありました。しかしながら実際この問題を扱っておるのは、東北開発という会社が、その申請を受けてこれを政府にいって、これをやらしてくださいというのがわれわれの責任ですから、むつ製鉄はただ小会社として実際の仕事をやってくれ、いろいろな技術的の仕事をやってくれと頼んだ会社ですから、あくまで最終の結論の責任は、東北開発株式会社にあることははっきりしておると思います。
  120. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そうすると、東北開発株式会社むつ製鉄にやってもらうようになった。そうすると、東北開発株式会社がものをきめるのですね。そうすると、その東北開発株式会社がいつまでに大体どういう案できめようとしておるのかということが、今日の段階でいえぬのですか。いつまでの見通しを持っておるのですか。それはいえないならどういうことだからいえない、企画庁長官は何かえんきょくにいろいろ関係があるのでという言い方をしておるのです。あなたのほうはもう少し具体的にいえるでしょう。どうなんですか、総裁。
  121. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 総裁に対する御質問でございますけれども、この問題、東北開発のほうの、つまり努力しておられる姿と申しますか、状態は、私どもも逐一報告も受け、政府としてそれをお助けできる方面はあらゆる努力をしていきたい、こういうことで、私どももそのお話に関与しておる次第でございますから、先ほども申しましたとおり、こういう問題、いつまでどうというまだめどのついておる問題ではございません。何とかして東北開発という理想を実現させたいという熱意をもって今日この問題に前向きに当たっておるということを申し上げておきたいと存じます。したがって、この問題、具体的にどんな話があるんだ、どうするんだ、こうお聞きくださっても、どうもこれ以上の御答弁を申し上げることが今日の時点におきましては適当でない、かように私は考えるのであります。
  122. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 じゃ、ことばじりをとらえてなんですが、今日の時点でなく、いつの時点になったらいいのですか。
  123. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 ものごとはすべて相手のあることでございますから、相手の御協力を得られるのか、また得られるかどうかという事柄について見通しが立つまでは、ちょっと申し上げるのは適当でない、かように存じております。
  124. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 これは東北開発というものの宿命ですよ。経済企画庁が監督していながら、仕事をやる中身は通産省に聞かなければわからぬとか、通産省は東北開発を考えるよりもほかのほうの会社のことを中心に考えて、その立場から東北開発をどうするかということを考える。それが各項目ごとにセメントからハードボードからあらゆる部門にしわ寄せされておる原因だ、私はそう思うのです。それから市況の問題の見通しというような話なんですが、あなたは経済企画庁長官です。それが経済企画庁長官の商売なんです。経済の動きを見るのがあなたの仕事なんです。代々の長官の仕事なんです。だけれども、その経済の動きはこうだと、か何がこうだとかいう、そっちのほうのことを一生懸命やるけれども、事こっちのほうにかけると、力が入っていないのです。よく私は外務大臣にもいうのですけれども、外交問題については御熱心だけれども移住を見てみなさい。移住の問題はまるっきり外務大臣は知らないじゃないかといつか大臣にいったことがある。あなたの場合はそうじゃないと思いますけれども、もう少しやはり、いま一番問題になっているのは東北開発、このむつ製鉄がどうなるかというのは、この問題は、自民党内閣の命取りですよ。私はそういう認識に立っていないと思うのです。たいへん言い方が悪いですけれども、東北開発そのものも、先ほどの決算の中身を見てみまして経営についての緊張というものが私はないと思うのです。私はこれはたいへん残念だと思うのです。しかし、その国の方針に従っている地元は一体どうしたらいいんでしょうか。市長だって自民党へ入れば何とかなるだろうといって、自民党に無理に入れられた。自民党に入ったから何とかなるだろうと思ったら何ともならぬ。私はまことにけしからぬことだと思うのです。それを今日もなおかつ、まだ見通しがはっきりしていない。はっきりしていないものをはっきりしろといったって、はっきりしないんでしょうから、これははっきりするとき、もう一回来てもらって聞きたいと思うのです。そのうちにあなたは参議院選挙にでもなればどうなるかわからぬから、そこまでかせげばいいなんて考えていないと思うのです。思うのですけれども、しかし、私は代々の、あなたの前の経済企画庁長官まではどうも私の言うようだったと思うのです。ぜひひとつこの問題は、あなたが責任を持ってある程度のめどを私はつけてもらいたいと思うのです。特に要望いたしておきます。
  125. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 経済企画庁の長官である私に対する御批判は御批判といたしまして、私自身としては誠心誠意と申しますか、何とかしてこの東北開発という地域住民の輿望にこたえて、そしてその理想実現に一歩でも進めていきたい、こういう熱意を持って、おそらくは、私の時間の使い方を御検討くだされば、これにどれくらいの時間を費やしているかということをおわかり願えるかと思うのであります。それくらいに私としては努力をいたしておることはこの際申し上げておきたいと存じます。  なおまた、これは通産省に聞かなければという問題もございますけれども、これは、政府全体として東北開発株式会社というものをつくった、その会社をつくった趣旨から申しまして、何も経済企画庁だけの問題ではなしに、政府全体としてこれに当たるべき問題でございます。もちろん通産省としては各業態ごとに全国的な視野からもこれを検討しなければならぬという問題はございますけれども、しかし、東北開発のためには、その全国的の視野からの問題からもある程度の妥協をしてもらわなければならぬということは、私どものほうでも絶えず申しておりますし、通産省もその気持でこの問題には当たってくれておる次第でございます。したがって、その点について御批判は御自由でございますけれども、私ども自体としてはそういう考え方、そういうふうな姿勢でもってこの問題に対処しているということだけは、お答え申し上げておきたいと存じます。
  126. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 会計検査院から指摘をされましたこの購入セメント機械の問題について経過その他これからの方法について説明資料を要求いたしまして、それから、いまのむつ製鉄を中心とする問題については、今日の段階ではまだ明確にならないのでございますから、次の機会に譲りまして、私は一応質問を終わります。
  127. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 先ほどの御質問に答弁漏れがあったようでございますから、一つだけ追加さしていただきますが、東北開発株式会社について過去において相当大きな累積赤字が出、そしてそれをどうしても根本的に立て直すべきであるという考え方から、御承知のとおり今年度、それから重役陣も全部入れかえますし、また、内部の機構も改める。そして今日では、私どもの見るところでは会社内部が一致協力して非常な熱意を持って東北開発に対するいろいろな問題の処理に当たっておる、かように見ておるわけでございます。セメントまたはハードボード、カーバイド、それぞれいろいろの問題はございます。この問題については全体の市況の影響、投資の見通し等、ある程度違っておったというような面もございまして、必ずしも計画どおり行ってないことは、これは先ほど何かお話があったようにも思いますが、そのとおりだと存じますけれども、しかし、会社当局の努力に対しては、私どもはその努力は買ってやるべきだ、かように考えておる次第でございます。
  128. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 大臣が言ったので、どうももう一口言わぬと済まない。  私は、いま、熱意とか努力とか、そういうことばではないと思う。私はやはり実績だと思う、結論だと思う。そのためにとにかく申し上げておるのですから、その点はとくとひとつ考えていただきまして、まだ五月まで任期もあるようでありますし、どうせ大臣再選されるのは間違いございませんけれども、この国会の終わりころにはもう一度来ていただいて、きっちりやっていきたいと思う。それだけ申し上げておきます。
  129. 堀川恭平

    堀川委員長 淡谷くん。
  130. 淡谷悠藏

    淡谷委員 二月十五日の予算委員会でやはり私はむつ製鉄の問題で御質問申し上げました。きょうは勝澤委員から私の聞き足らぬ点について十分突っ込んだ御質問がございました。私はその他の点について若干お尋ねしたいと思う。この前の質問は二月十五日、その際に企画庁長官の御答弁によりますと、「この問題は非常に重要な問題だということで、第一案、第二案、第三案、さらにその後第四案と称するものもあったようでありますが、そういう問題について一々具体的に私の手元検討いたしましたのでございます。」ということを前提にしまして、「国が赤字を覚悟でどこまでもしゃにむに、見通しが立たぬのにやるということは、私どもとしては、これは国の税金を使う仕事でございますので、とうていそこまでは考えるべきでないということで、かりに相当期間赤字であっても将来黒字になし得るという見通しが立つかどうかという点について検討をずっと続けてまいったような次第でございます。」と言っていらっしゃる。その後、二月十五日から今日まで一月以上経過しておりますが、その間、むつ製鉄仕事をしないままに多くの人々をかかえて赤字要因をかかえておる。一体どうなっておるのか、この二月十五日以降のむつ製鉄に対する経過を大臣から承りたい。
  131. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 先ほど勝澤委員の御質問に対してお答え申し上げましたとおりでございますが、あの当時も御答弁申し上げましたとおり、この問題、非常にむずかしい問題、またデリケートな問題、それで、それがその後、このようにしてこんなふうな見通しが立っておるのだ、こういうふうになるのだということが、もしもお答えできるような状況であれば、これは私はこんな幸いなことはないと思いますけれども、それほどにむずかしい問題であるということを、この際は申し上げておくより道がないかと存じます。しかし、勝澤委員にも申し上げましたとおり、理想は捨てないで何とかして努力をいたしたいという、その努力は誠心誠意続けてまいっておるつもりでございます。
  132. 淡谷悠藏

    淡谷委員 大臣の前向きの姿勢は、さっきも勝澤委員に対する御答弁からも伺いました。たいへん力強く期待をするものでありますが、さっき会計検査院の御指摘によりまして、東北開発株式会社が大きな赤字をかかえて将来どうしようかということは頭痛の種らしいのです。そこで、お聞きしたいのは、東北開発会社は、いま再建段階に入っておるのか、清算段階に入っておるのか。私は再建段階に入っておると理解しておりますが、そのとおり理解してよろしゅうございますか。
  133. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 何ぶんにも膨大な累積赤字を持っておる会社でございます。したがって、これが再建をするためには、過去のそういうふうな負担を持っておったのでは、とうてい前向きに建設はできようがございません。そういうことで各事業別にそれぞれ具体的な再建計画を立てて再建をやりながら、同時に毎年、三十九年度においても十二億円の出資をし、それから四十年度においても、これはただいま御審議を願っておる四十年度の予算において十二億円の出資を計上している。そして一方において過去の整理をしながら同時に再建に進んでいる、こういうふうにお答え申し上げたいと思います。
  134. 淡谷悠藏

    淡谷委員 さっきの会計検査院の方の御指摘に基づきまして、私はこの際東北開発株式会社性格についてやはりはっきりした認識を持つことが大事じゃなかろうかと思います。非常に赤字が気になっておるようでございますが、もともと御承知のとおり、東北開発株式会社というのは、東北開発三法といわれます東北開発促進法、北海道東北開発公庫法と並んで東北開発株式会社法としてつくられたいわば東北開発のための重要使命を帯びた会社だと私は思います。そのために総裁、副総裁は総理大臣の任命であります。理事の諸君は株主総会の選挙によりまして総理大臣がこれを認めて任命されるのであります。いわば国策の一端を負っているという会社というような自覚をはっきり持たれまして、この赤字というものも、さっき勝澤委員が言われたとおり、赤字が出ることよりも何のために赤字が出たか、この赤字を出すことによって開発に貢献しているかどうかが開発会社の存廃を決定する重要な分かれ道だろうと思うのであります。しかもセメントにしましてもあるいはハードボードにしましても、これは契約その他でいろいろ指摘されたようでございますけれども、最も大きな赤字要因は、業界の圧迫によって思うとおりのものの生産ができない。炉にしましても、レポールキルンにしろシャフトキルンにしろ、これはむしろ会社自体の自由な選択にまかせられずに、業界と競合するという立場から、いわば大資本の圧迫によってできた赤字というものも今日までに相当な量にのぼるということも、これは検査院の方にもはっきり御認識を願いたい。ですから要は、開発会社の将来の仕事開発のために出す赤字であれば、これは私はむしろ赤字というよりも国の開発費であると考えております。しかもこの会社再建する上において、今日のむつ製鉄という事業は非常に大きな期待をかけられた仕事なんです。セメントも、ハードボードもたいしたことはない、化工事業もあのとおりです。あと仕事見込みがないからこの辺でたくましい再建の一歩を踏み出そうといったのが、三年前の伊藤総裁の抱負であったと思いますが、いかがですか、伊藤総裁、その決意は変わりありませんか。
  135. 伊藤保次郎

    ○伊藤参考人 ただいまの淡谷先生のお話は私はそのとおりだと言いたいのです。赤字赤字と言いますけれども、これはただ会社の成績をあらわす一つのインディケーターで、それに非常にこだわるから私は申し上げたのですけれども、毎年われわれの予算の中には、五年間にわたって十二億ずつ、合計六十億の再建資金を国家からもらっておるということは大へんなことだと思います。つまりこの会社赤字が相当出るだろう、出るけれども、もっと再建的にやってやるのだという指示を――指示といいますか、命令といいますか、与えられたものとわれわれは思っております。しかしながらやはり仕事をする以上は、赤字というものが気持ちのいいものじゃないということははっきりしております。ですからなるべく赤字を出さないように合理的に経営をしていきたいというのは当然でありますが、先ほど申し上げましたように、私どもにはそれだけのそろっていないものが相当ありますので、その点は皆さんもお認めくださっておると思いますが、しかし今度の問題で一番焦点になっている製鉄問題をどうするかということについては淡谷先生から再三言われましたが、その点はやはりこの会社性格から当然やり抜かなければならない問題だと思います。ですから、この問題と赤字問題とは関係がないように私は思うのです。国土開発において最重点である問題は、赤字がどうだからといってどうだというようなことではなく、しかし技術的に成り立たない問題をどうでもやれということはどうかと思っております。しかし先ほど落ちついたんじゃないかという話もありましたし、それから回答はいつごろするのだというお話もありました。これは決定的なことは返事できないので申し上げなかったのでありますけれども、なるべく急がなければならぬことははっきりしていますので、その努力を続けるとともに監督官庁とも十分打ち合わせまして、どういう回答で進むかという点についても結論を出したいと思っております。  以上であります。
  136. 淡谷悠藏

    淡谷委員 むろんこの経営上のまずさやあるいはその他のまずさからくるものは許されるものではないと思います。  そこで、さっきの検査院の御報告に基づきまして若干御質問を申し上げたいのですが、東北開発株式会社で斜陽的事業あるいは人件費の過剰、金利負担のために赤字を加えてるといったようなお話がございましたが、一体検査院は、この斜陽的興業というのは何をさして言っておられるのか、お伺いしておきたいと思います。
  137. 宇ノ沢智雄

    ○宇ノ沢会計検査院説明員 先ほど淡谷先生から本会社性格から見表していろいろな、たとえばセメントその他につきましても、業界の、圧迫とかいうようなことによって、やはりこの会社経営の実績がうまくいかないのだというような点で、ひとつ検査院もその点は十分理解してほしいというような御意見でございました。そういう点につきましては、今後十分そういうことを考えて検査していきたいと思います。  それで実はこの検査報告で、三十八年度に指摘いたしました事項は、別に私たちは会社が不当だといって責任者の責任を追及するという意味でこれを書いておるのではございませんで、やはりこの際会社の実情を叙述しまして、それによって多少なりとも会社の実態を皆さんに御承知願って、政府関係機関の御努力はむろんでありますけれども、各方面の御協力によって何とかしてこの会社をうまく経営に乗せていってもらいたいという趣旨でございますので、その点ひとつ誤解のないようにお願いしたいと思います。  それからいまお尋ねのどの事業が斜陽事業かという御質問でございまするが、先ほどいろいろお話が出ておりました会社再建計画というものが先生のお手元にも届いておると思いますので、それをごらん願えれば、実は将来どういうふうにして、再建計画をやっていくかということによって、どの産業は将来会社としても漸次整理していくかということがうかがえると思いますので、私からその点具体的にどの産業かということはちょっと言いにくうございますので、そこらでひとつ御了承願いたいと思います。
  138. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それはさっきあなたの御答弁にあったから聞いたんです。あなたの御答弁で斜陽産業のために赤字になっておると言われたので伺ったのです。
  139. 宇ノ沢智雄

    ○宇ノ沢会計検査院説明員 私は斜陽産業ということばは一言も答弁で申し上げなかったつもりでございます。
  140. 淡谷悠藏

    淡谷委員 おっしゃらなければそれでよろしゅうございます。  そこで、さらにお聞きしたい点がもう一、二点あるのですが、むつ製鉄の問題で、会社が新しい会社に譲渡した財産というものがあるのでございます。ひとつその財産の内容は何であるか、お聞きしたい。どちらからでもけっこうです。
  141. 潮田保雄

    潮田参考人 お答えいたします。  むつ製鉄に対しまして譲渡いたしました内容は、金額的には一億六千万でございますが、この中で一番大きいのは、先ほどもお話がございました砂鉄製鋼二万トンの五千六百万でございまして、その次に約六千万建設事業費が一番大きなものでございますしそれから姉妹会社の砂鉄原料に対します内訳は、融資の形でただいま、残っておりますが、総額六億三千二百万円でございます。その中で一番大きなものは、鉱業権が、一億八千万、これがその半分以上を占めるわけでございます。
  142. 淡谷悠藏

    淡谷委員 この原料会社性格はどうなっておるのですか。むつ製鉄の中に入っておるのか、それとも別な会社なのか。いまの御説明だと、六億三千二百万円何か鉱区みたいな権利があるというのですが、これは原料会社へいったのですか、むつ製鉄のほうへ譲渡されておるのですか。
  143. 潮田保雄

    潮田参考人 いま一度にお答えいたしましたが、一億六千万円のほうはむつ製鉄株式会社、それから六億三千二百万円のほうは別会社砂鉄原料株式会社。これは原料を供給するためにつくりました別の会社であります。
  144. 淡谷悠藏

    淡谷委員 企画庁長官にお伺いいたしますが、実はあなたにお伺いするのは気の毒なんです。これは前の宮澤長官のときに計画されました仕事で、宮澤長官も在任中にこの片をつけたいと苦労された。いわばあなたが前長官の片のつかない問題を引き受けて、いま大英断で曲向きにやっていただこうというのですから、あなたに突っ込んだ質問をするのはまことに申しわけのない点もありますけれども、これは企画庁長官という責任上ひとつお許しを願いまして、お聞きしたいのですが、いまのむつ製鉄がもし不幸な結果になるとしますと、この影響が非常に大きいことは、私前に申し上げておきました。これがどうも二年半、三年という間新しい赤字要因をつくりながら、まだ事業開始ができない原因は、いままでの質疑応答の中で二つ理由があるように思います。一つは、砂鉄その他の鉄鋼の市況が変わった、このように情勢が変わりましたというのですが、これは企画庁としてはちょっとつけられない理由だと思います。不況を見定めるのはあなた方の本業なんですから、それが一年足らず、一年のうちに市況が変わったから事業開始がおくれたという、これはみずからを放棄することになる。もし一年、二年先の見通しが変わるようであれば、ここ一年、二年でまた市況が変わるかもしれないという論理になるのであります。しかもこの認可をしました――あなたはさっき三十八年の四月と言われておったようですが、正確に申しますと、三月二十三日です。このときはすでに鉄材の景気は落ちておったのです。むしろ通産大臣もそれを承知の上でオーケーを与えたということをはっきり言っておるし、日時からいっても、この景気云々という理由は成り立ちません。もう一つの理由は、三菱が協力をやめた。私は最大の理由はここにあるだろうと思うのです。この前にも私は予算委員会で一応この契約内容を読み上げまして、長官の御意見を伺ったのですが、読み返してみましても、この契約内容というのは非常に重大なんですね。いわば三菱が鉄源の関係でほかの各社に比べて手薄である、三菱としても砂鉄から特殊鋼の原料を得るということについて乗り気であったということで、多くの鉄鋼メーカーの間から三菱を選んだのだろう、しかもこれは政府委員の御答弁なんです。むしろこっちが懇願したのではなくて、三菱自体が手薄な鉄源がほしいために積極的に乗り出したというのは、この覚え書きにはっきり出ております。決してこっちから無理やりに頼んで、国策に協力してくれというので――それもあったでしょうけれども、その根本をなしておるものは、やはり三菱自体の積極的な意思です。そのために三年前に三菱の中から伊藤総裁がみずから乗り出してこられた。この覚え響きを見ますと、グループの中の立ち会い人として、三菱製鋼株式会社の社長三浦政雄氏が署名をしている。この三菱グループの三浦政雄氏が現在のむつ製鉄の社長でしょう。以下三菱製鋼株式会社、三菱鋼材株式会社、三菱鉱業株式会社、こうしたまさに日本の大財閥の代表として、東北砂鉄鉱業株式会社の社長の西島直巳氏が総裁とはっきり結んだのが、この契約書であります。いまさらこの契約書を、もうからなくなったから一方的に破棄しますなんというような軽いものじゃないと私は思う。しかも内容はどうですか。「今回のむつ製鉄株式会社設立の経緯はその出発点として立地条件が低開発地域開発という国家的見地からむつ市に決められたという特殊事情に鑑み」これが覚え書きの前提です。ちゃんと開発会社の特性を考え、性格を考えて取りかわしたのが、この覚え書きなんであります。しかも「東北開発株式会社出資は当初八〇%とし、三菱側出資は二〇%とする。」という次に、「但し三菱側は将来逐次高めて行くより努力する。」とも書いてある。このような項目がずっとありますが、特に重大なのは第六項であります。「今回三菱グループより社長選出要請の経緯に鑑み、」――三菱グループから社長を選出要請したと書いてあるのですよ。はっきり自分たちのほうの要請なんです。その「経緯に鑑み、すべて円滑に行くよう特に協力するものとする。」と書いてある。三菱のほうが協力すると書いてある。七項に「三菱グループとしてなるべく早く採算に乗せ技術責任を全うする為予算の範囲内で計画の変更修正等をやることを認めるものとする。」明らかに積極的にこの仕事をやろうという意図が見えている。この覚え書きをわずか二年足らずでおくめんもなく破棄しようということは許すべきじゃない。一体この覚え書きを破棄した場合には、どうするこうするといったようなことは何かありますか。これは覚え書きにすぎないのだ、いつ破棄してもいいのだ、これが一体天下の大財閥の三菱のやることですか。財界としての責任はどこにある。これを一体当時の締結の当面の責任者である伊藤総裁はどう考えられましょうか。
  145. 伊藤保次郎

    ○伊藤参考人 これは過去の経緯からいえば、まことにいま委員の言われたことがそのとおり当たっておると思います。しかしながら、私もそのグループの出身の一人でありますが、企業として産業としてやる場合には、将来性というものを確保しなければ、ただしゃにむにやったっていかぬというのは一般の観念だろうと思います。その観念から出発して、これをやってみたところで、とうてい現状ではこれは持続ができないだろうというのが、三菱側の説明でありました。ですから必ずこれは、われわれはいやだからやらぬというような頭から出た言動ではないと私は思っております。その説明も何回も聞きました。聞きましたが、同じことを繰り返してすみませんけれども、とにかく、この仕事をやってもおそらく産業として問題にはならぬじゃないかということが第一点。われわれはそういうところにできないものをあくまで責任を持ってやるということは、国家に対してもぐあい悪いから、われわれは辞退しますというのが向こうの趣旨でありました。しかし、過去のいきさつから見ますと、鉱区の問題なんかも触れられましたようでありますが、鉱区が売りたいからこういうことをいったんじゃないか、あるいは自分たちの要らないものをさばくためにそういうことをやったんじゃないかということを、二、三そういう話を聞きました。これは全く重大なことであります。したがって、少なくとも現在私としては考えておりません。そういう汚職に足をかけたような問題は、この間には絶対私はないことを考えております。ただ、ここまで来た問題が、向こうもやる、やったからわれわれも一番先に用意すべきものは原料であります。原料がなしにあの地域において仕事をすることはできませんので、三菱だけでなくして、ほかの会社からも鉱区を譲ってもらって、そして鉱区を集めたのであります。それが私ども就任する前から準備をしておりました。したがって万全の策を講じてこの会社はスタートをしたことははっきりしているのです。その意味において三菱から鉱区を譲るかという商談をしましたところが、われわれも三菱グループに入ったんだから鉱区は譲りましょうということで、折衝をした結果、この鉱区の譲渡ができたんです。もしこれがほんとうに三菱ができないできないということは三菱はどうか知らぬけれども、仕事そのものはできないということはだれも言っておりません。ただ、従来の案では不適当だということをいうに過ぎないのですから、この問題の解決には、もしほんとうに三菱が、われわれがどうこれから折衝されても再び出る意思はありませんというならば、鉱区なり全部向こうから買い戻してもらわなければならぬ事態も生ずるのじゃないかと思うのです。そこまでまだ言うのは早いかもしれませんけれども、淡谷先生の御質問には相当きびしいものがありましたから、私は最終的な自分の考え方をここで申し上げるわけでありますが、私はもう一度ほんとうにこの試案が成り立って、これならばやれるということになれば、それじゃだれに頼んでやるのかという問題が必ず起きるのでありまして、その場合には、われわれはほんとうにまじめな意味において相手の反省を求める。そして従来のものをもとに返して、あくまでも責任をもってやる姿勢にあるかどうかということははっきりさせなければ、私も、責任はここで終わらぬ責任であると思っております。ここはまだそこまで申し上げるのは早いかと思いますが、そういうことに触れられての御質問でありますから、私は念のために申し上げておきます。
  146. 淡谷悠藏

    淡谷委員 ちょっと総裁、誤解があるようですから申し上げておきますが、私のいったのは三菱が砂鉄鉱を売りたいからこういう覚え書きをつくったといったのではなくて、鹿野局長のこの前の私の質問に対する答弁の中に、多くの鉄鋼メーカーがあるのになぜ三菱を選んだかという質問に対して、三菱のほうは当時鉄源の関係で手薄である。いわば自分の砂鉄鉱を持っておるけれども別な鉄鉱資源もほしいからやったんだという御答弁があった。しかも、いまいろいろ総裁お話しございましたけれども、この計画をどうやるかについては、さっき読み上げたように、非常に三菱側に責任があるのです。私のほうで採算に合うようにやっていくということをいっておる。いわばあなた方の案を待つまでもなく、身内から伊藤総裁を出し、三浦社長を出しておる三菱は、自分の身になってこの事業採算ができるように心配してやるのが筋じゃないですか。しかも、これに対して企画庁のほうでは、企画庁の四人委員会の委員、石原武夫氏、堀越禎三氏、伍堂輝雄氏、中山氏、この四人の名前もちゃんとここに出して確認されたのがこの覚え書きなんです。企画庁の責任はのがれられません。しかも、もしこのむつ製鉄事業を開始して、どんどん事業がうまくいってもうかっていると仮定した場合、もうもうかったんだからお前さんたちは要らぬといって三菱を振り切りますか。三菱がおおといいますか。たまたま不幸にして今日これができない、先行きも暗い、あるいは別な鉄関係の資本統制の新しいもくろみがあるかも知らぬ、そういう場合になって、逆に三菱からもうやめました、二年前とは情勢が違ったからやめましたと一方的な破棄に応ずる理由があるかどうか。私はないと思う。伊藤総裁、いまじゃれっきとした東北開発株式会社の総裁なのですから、姿勢をちゃんと持って、三菱に対しても堂々と違約を責めるような度胸があってもいいと思う。これは単なる事業じゃない。覚え書きにもいっておるとおりに、国家的見地からむつ市に定められたという特殊事情にかんがみて結ばれたはっきりした成文があるでしょう。私はこの際、あなたの一生の仕事として、この実現のために三菱という財閥に向かっても、ちゃんとした姿勢で立ち向かうような決意がほしい。これは私の要望であります。  次に企画庁長官にお伺いしたいのですが、私この前のあなたの御弁答で非常に満足いったのは、宮澤さんは従来一案、二案、三案、四案とも見ていないという答弁なんです。実際は見ているでしょう。見てないはずがない。私は正式に見ておりませんからイエスともノーとも言えません、というのはあの人の逃げ口上なんです。一体だれが抑えたのですか。長官が来る前だから、開発局長、あなたは第一案、第二案、第三案、第四案というものをなぜ正式に宮澤長官に見せなかったのですか。あなた方で自由にこれを押し殺したのですか。この点明らかにしておきたい。
  147. 鹿野義夫

    鹿野政府委員 第一案、第二案、第三案も、結局むつ製鉄のほうとして成案を得られませんという形で最終的に出てまいったわけでございまして、それで開発会社のほうを通して役所のほうに第一案、第二案というものが正式に提出されたことはなかったわけでございます。そういう意味で正式な手続きを終えて宮澤長官にいろいろ御審議を願うということは、その時期においても行なわれなかったわけでございます。具体的な内容については、いろいろ事務当局から御説明はいたしております。私らもその案を正式には受けておりませんが、もちろん内容については、十分いろいろな角度から勉強しております。そういう意味で前に高橋長官のほうから十分見ておるというお答えがあったと思います。
  148. 淡谷悠藏

    淡谷委員 私は、その点は将来の企画庁の機構の上からもはっきりさしておきたいのです。むつ製鉄株式会社設立を許可したのは企画庁です。設立を認可した以上は、あくまでも事業会社が前提である。したがって、事業をやるためのいろいろな配慮や指導監督は企画庁自身がおやりにならなければならない。一体正式の書類が出るには、あなたのほうとしてはどういう手続が要るのですか。どこからどういう手続を経てくれば正式の手続ですか。お伺いしたい。
  149. 鹿野義夫

    鹿野政府委員 むつ製鉄会社のほうとしては事業計画をつくられて、これでやっていけるという確信のある案ができますと、それが親会社である東北開発株式会社のほうに提出されます。東北開発株式会社のほうは、それを親会社として十分検査をいたした上、企画庁のほうに正式に届け出て、こういうことで子会社であるむつ製鉄会社仕事をやっていきたい、こういうことになります。そうして、むつ製鉄会社に対する親会社である東北開発株式会社からの出資とか融資とかいう措置がこれに伴ってとられていくということになるわけでございます。
  150. 淡谷悠藏

    淡谷委員 あなた方は、その手続処理をしなかったのですか。正式じゃない書類は幾度も検討したといったって、実際においては一案をつぶし、二案をつぶし、三案をつぶして、第四案において初めて第一案から新しく長官によって検討されているのです。あなた方はどこからどう提出された書類によって検討されておるのか。正式な手続を経ない書類をなぜ検討しておったのか。
  151. 鹿野義夫

    鹿野政府委員 しばしば御質問がありますように、むつ製鉄創立以来、会社設立以来、かなり時間を経ておりますし、事業会社は少しでも早くやっていきたいというふうに、監督官庁立場からも考えておりますので、正式に案が手続を経てくる前に、原案的なものでも十分内容を説明を聞いて、手続その他の検討の時間を少しでも節約したいという考え方から、むしろ積極的に案を検討していたということでございます。
  152. 淡谷悠藏

    淡谷委員 その案はどこから出た案ですか、はっきり答えてください。しかも時期を早めたいために正式の書類じゃないのを検討した結果が、三年も時期がおくれているんですよ。これは役所だからいいけれども、むつ製鉄はそのために四億から五億の欠損を出しているのですよ。あなた方の意向に全然反するのじゃないのですか。どこからどういう手続を経て提出された書類を、あなた方のほうはどういうふうに検討されたのですか。
  153. 鹿野義夫

    鹿野政府委員 それはむつ製鉄のほうでつくられている案を、開発会社を通してもいろいろいただいておりますし、むつ製鉄から直接いろいろ資料をいただいている、その資料の一つとして、原案といいますか、まだ検討中の案を幾つかの段階でまた拝見いたしております。その一案、二案の前にも、二月案、九月案というような案もございますので、これらの案についてももちろん勉強さしていただいております。
  154. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それをだめだといってけったのは一体だれの責任なんですか。宮澤長官は見てないと言うのですよ。それじゃ、企画庁の最終決定権は一体だれにあるのですか。
  155. 鹿野義夫

    鹿野政府委員 淡谷委員のお活は少し誤解があるかと思いますが、正式な案が、成案としてむつ製鉄会社としてできなかったわけですね。それに至るまでにいろいろな試算が、それはもう事業計画でございますから、一つ計画をつくるまでに幾つかの試案というものがあるわけなんです。そういうものについてもできるだけ、何といいますか、全体の姿が整ったようなものについてはいろいろ事前に御説明を聞いたり、考え方や何かについてただしているわけでございまして、正式の案が出てきておりませんし、その正式の案について長官にお見せするということはできなかったわけであります。案自体はむつ製鉄会社において成案を得られないということで、こちらにお届けにならなかったわけでございますから、当然私らとしては正式の案を大臣にお見せするわけにはいかなかったわけであります。
  156. 淡谷悠藏

    淡谷委員 結局そうすると、内密には柳津長官にも見せておった。それに対して宮津長官もその案ではいかぬというような話があったので出さなかったのだと理解してよろしいのですか。
  157. 鹿野義夫

    鹿野政府委員 案そのものというよりも、内容的な案の説明を私らがいろいろ申し上げて、そのときにはそれに対するいろいろな資料を国としてお見せしたり、何かしたかもしれませんが、案そのものを内々お見せしたというような、そういう正式な案はなかったのでございます。それをつぶしたとかつぶさないとか、否定するとか否定しないというようなお話がございますけれども、それはむつ製鉄会社自体において、一案二案、三案、その前にも二月案、九月案というものがございましたが、そういうものをいろいろ検討した結果、成案が得られません、企業採算はこの案ではとられませんということで、むしろむつ製鉄自体でそれを否定した形になって、一案から三案までは結論が出ているわけなのでございます。役所のほうで、この案はいかぬとか、これじゃできないじゃないかということで、そういうことになったということではなくて、企業主体であるむつ製鉄自体の検討の結果、成案が得られない、こういうことになっておるわけでございます。
  158. 淡谷悠藏

    淡谷委員 御苦労はわかりますが、外から見ていると、まるで嫁いじりみたいなやり方ですよ。企業じゃなくて、会社の認可をしたのは企画庁でしょう。企画庁の認可が得られなければ事業会社はできないのですよ。それを出してくるいわゆる素案をあっちこっちけちをつけて、長官にも見せないで、どうもこれじゃだめらしいから、引っ込めろと言っておるのじゃないですか。引っ込めたらこう書き直しなさい、こういう点を直しなさい、そういう知恵を授けて三菱グループとも話をして、覚え書きに基づいて通るような素案をつくってやるのが企画庁の任務じゃないですか。できたものにけちをつけるばかりが企画庁じゃない。なぜ、あなた方が認可したむつ製鉄株式会社事業会社でいけるような企画を三菱グループの覚え書きに基づいて早急につくらなかったか。その点を私は非常に遺憾に思う。あなた方はつべこべいうでしょうが、この一点を私は強くあなた方に要望しておきたい。今度は高橋長官がみずから一線に立って第一案から第四案まで検討されているというのですから、私は、必ず明快な答えが出ると期待いたします。  次に、東北開発株式会社の総裁ですが、承りますと、あなた方の理事の中ではこの案に終始反対をしておったという人がいるそうですが、これはおりますか。おったらはっきり言っていただきたい。開発会社として、この事業に対して案をきめてやらなければならない責任があるが、終始反対をしているといううわさを聞いているけれども、こういう事実があったかどうか。なかったならなかったでよろしい。
  159. 伊藤保次郎

    ○伊藤参考人 うわさのことですから、一々だれが言ったとか、だれがこういうことを考えているらしいとか、そういうことはわれわれはタッチいたしません。ただ、正式の検討は常にやっております。しかし、人間ですから、感情的にいろいろ言ったりしたことはありましょうけれども、しかし、いつでもはっきりした結論を出すべくわれわれは討論しております。ですから、いまのお話によりますと、何か感情を交えて、そんなことは、やる必要はないのだというふうな、私利私欲でやっているようなお話のように聞えるのでありますが、そういう点は全然ありません。その話は世間の話ですから私もいろいろ耳にしたことはあります。しかし、平生耳にしておりますから、私はそういう点を見のがしているわけではないのであります。あくまでも正当な議論を重ねた上で、私は、その議論なり意見なりを発表しておりますから、いま淡谷先生の言われたような、内部でこそこそと、人に聞かれては悪いような、そのような態度をとっているような者は私の会社理事にはおりません。議論すべきときは正々堂々とやっております。ただ、従来やったのは、いろいろの方面から意見をまとめてきまして、その意見を発表する場合には一々根拠を言うております。たとえばこういう専門家はこういうふうに言っているそれは、バナジウムとか、ああいうものはなかなか軌道に乗らないじゃないかという意見もあるということは、お互いに参考意見として言うておりますけれども、しかし、終始反対を唱えればいいというようなことは全然ありません。これははっきり申し上げておきます。
  160. 淡谷悠藏

    淡谷委員 なければ一番よろしいのですが、今後もそういう意見の混乱がないように十分前向きにお進み願いたいと思います。  それからもう一つお聞きしたいのですが、どうもむつ製鉄株式会社事業発足がおくれておりますので、原料会社の維持がむずかしくなって、市価を判って東北砂鉄株式会社に原鉱を売っているということを、この前も御答弁がありましたが、これは総計でどのくらい売っておられるか。幾ら売られておりますか。
  161. 潮田保雄

    潮田参考人 お答えいたします。むつ製鉄の親会社と申しますか、姉妹会社がこういうことで非常におくれておりますので、すでに先行投資をする――年間十五万トン、十二万トンの鉄をつくりますためには二十万トン、三十万トンの砂鉄が必要だということでかなり先行投資をして、会社もその準備は早くやっておったのでありますが、むつ製鉄のほうが実現が非常におくれておりますので、現在持っている鉱区は、自立のために、死活のために砂を現在七、八千トン掘っておりますが、一段は決して市価を割っておりません。だんだん安くなりつつある傾向はございますけれども、市価を判っておりません。まず大体自立のベースでただいま操業を行なっております。
  162. 淡谷悠藏

    淡谷委員 具体的にはトン幾らなんですか。
  163. 潮田保雄

    潮田参考人 二、三カ月前の記憶でございますけれども、二千六百五十円の売り価であると思っております。
  164. 淡谷悠藏

    淡谷委員 総量どれくらいになりますか、何年か売っておりますが。
  165. 潮田保雄

    潮田参考人 いまの御質問、月産どれくらい掘っているかという御趣旨でございましょうか。
  166. 淡谷悠藏

    淡谷委員 このむつ製鉄会社設立をされました以後、二千六百五十円とは限りませんけれども、東北砂鉄鋼業株式会社に原料会社から売った砂鉄の総量です。売り始めてから今日まで何年たっておりますか、継続しておるでしょう、ずっと。
  167. 潮田保雄

    潮田参考人 掘り始めましてから約一年、昨年の四月ぐらいから掘りまして二、三千トンベースで前半参りまして、現在七、八トン掘っております。大体推算でございます。
  168. 淡谷悠藏

    淡谷委員 高橋長官、いまの点をお聞き願いたいのです。鹿町局長は、第一案と第二案、第三案、第四案までの検討の中に、砂鉄の原料価格を三千二百円と見積もっているのです。原料会社というのはむつ製鉄を育てるための子会社でしょう。それがいわば砂鉄を三菱系の東北砂鉄には二千六百五十円で一年間出しておる。同じ犠牲を払うならば、なぜむつ製鉄のためにこの原料をさかなかったか。三千二百円の原鉱の値段が二千六百五十円、しかもそのままの値段であるならば、明らかに採算は立つじゃないですか。こういうことを事務的な段階でやって、聡明なる長官の裁断を仰がないところに重大な失敗があった。私は、少なくともこういうような事務的な誤りがむつ製鉄を殺していると思う。長官が第一案から第四案まで検討されているというこの前の御答弁で、私は非常に期待を持ちますが、さまざまな案も出るでしょう。苦しくなれば何でもやるでしょう。しかし、要は、このむつ製鉄計画は、長い間埋もれておった砂鉄資源、全国でもまれなる砂鉄資源開発することが最も急であるという立場に立ってやった仕事であります。したがって、この際、こだわらずに第一案から第四葉までもう一ぺん再検討するような決断があるかないか聞いておきたい。非常に事務的な手落ちがあります。ここにも材料だけはあるのです。第一案から第四案までの。
  169. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 先ほど冒頭の御質問の中に、この前の私の答弁について、経済見通しを立てるのはおまえのほうの仕事じゃないか、そういう見通しを誤ったのは、自分自身を否定するものじゃないかというお話がございました。もちろん経済企画庁は、経済見通しを立てて、そして日本の経済運営の基本方針を立てるのが、その職責でございます。したがって、そういう点については十分な注意をし、配慮してまいっておるのでございますが、具体的な一つ一つの商品の値動き等についてまで一々見当をつけるということは、とうてい不可能な事柄であります。しかしながら、この問題は具体的に経済企画庁自身が監督をしている問題でございますので、もちろんその市価の動き等につきましても十分な検討をしてきておったのでございます。しこうして三十七年の暮れごろから砂鉄の値段がだんだん下がってきたということは御指摘のとおりでございますが、鉄類につきましては、過去の経緯を調べてみましても、ずいぶんと世界的に市価の変動が激しい商品でございます。そういうふうなところから、これが今後永続的にそういうような下降性をたどるものであるかどうかというふうな点については、まだ私どもの段階では、なお一時的な景気変動の商品の、つまり価格変動の波の経過ではあるまいかというふうな判断をいたしておったような次第でありまして、その点についておかしいじゃないか――もちろん判断を誤ったことは確かでございますが、そういうような事情にあったことも御了承を願っておきたい、かように存じます。  それからまた、勝津委員に対してもお答えを申し上げましたが、またこの前の予算委員会においてもお答えを申し上げましたが、私自身、なるほど正式な案ではございませんけれども、むつ製鉄検討されており、また親会社である東北開発株式会社においても校訂しておられる案を、経済企画庁でも事務当局内でずっと検討しておりましたので、その問題を一々検討してまいっておったわけでございます。御指摘のとおり、第一案等におきましては、製鉄の原料価格は三千二百円でございました。ところが、その後のいわゆる技術革新と申しますか、高炉銑から大量に良質の鉄原料が得られるという事態に漸次なってきたことは、淡谷先生よく御承知のとおりだと存じます。それから特に特殊鋼については、昨年の春ごろからむしろ業界全体として非常に異常な現象が生じてきており、今日私ども日本経済全体の立場からも、この問題に非常に頭を悩ましておるような状況でございます。したがって、それがかりに二千六百五十円の問題につきましても、なおその値段だけでは何とも申し上げかねる。と申しますのは、年間十二万トン、十五万トンという量をその値段で得られるかどうか。非常に掘りやすいところ、経費のかからないところをある程度の単価で、きわめて能率的に得られるという場合と、しからざる場合とは相当違うと思いますし、また最近のくず鉄の価格または外国からの砂鉄の価格等、そういうふうなものを比較して考えました場合に、そういう点をいろいろ検討した結果として、三菱グループが辞退を申し出たのは、その点にあるのじゃなかろうかと、私どもは判断をいたしておる次第でございます。したがって、私は前向きに何とかこの東北開発という理想を捨てないで、その地域住民の御期待にも沿い得るような方向に苦労していきたいということを申し上げておりますのは、この案をそのまま認めようという趣旨において、申し上げておるのではないのでございます。
  170. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これは、一案、二案、三案、四案の詳しい検討は、他日また機会もございましょうから触れませんが、一例をあげますと、いまの三千二百円で見ておったこの単価を二千六百五十円で売っておるのは、東北開発会社自体だということをお考えを願いたい。これはたとえ一年にせよ、この安い原料価格でやれば、同じ損が出ましてもむつ製鉄が出発していれば――むつ製鉄が出発しないで損が出れば損はしっぱなしなんです。むつ製鉄が稼働すれば、その損は損でなくなるでしょう。これは確かに事務的な段階でわからないかもしれませんが、経営の面からいっても、政治の面からいっても、三菱系統には二千六百五十円で一年間売れるものが、なぜむつ製鉄には売れなかったか、この点が非常に遺憾なんです。しかもこの買っております東北砂鉄鋼業株式会社は、この覚え書きの主任当人じゃないですか。三菱グループの代表じゃないですか。少なくともむつ製鉄企業採算をとれるように措置するというならば、自分は安く買わなくてもかまわないから、むつ製鉄には安く売るという気持ちがあってもいいのじゃないですか。長官どうですか。この覚え書きの当人が安く買っているのですよ。これはどう思われますか。なぜこの点をもう少し、総裁なり長官なりが三菱に対して強く要求しないのですか。その点は残念ながら局長段階ではできない政治的な折衝だと思う。他人ならいざ知らず、このむつ製鉄株式会社をつくろうという覚え書きに三菱グループの代表として調印した東北砂鉄鋼業株式会社の社長西島直巳氏のところに、この企業採算割れの砂鉄を引き受けてむつ製鉄には三千二百円でこれを引き受けろ、これはどういうわけなんですか。そこにこの問題の暗さがあるのじゃないですか。どう考えますか。
  171. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 先ほど伊藤総裁もお答え申し上げましたように、東北開発株式会社株式会社でございます。したがって、もちろん政府出資を、今後再建のためではございますけれども、六十億円毎年出資をしていこう、そのほかになおかつ来年度におきましては二億の出資と三億の別別の融資というものまで加えて、そして前向きにやっていきたい、こういうふうに考えておる、そういうような有利な国の助成を受けた範囲において何とか会社としての企業経営を成り立たせていこうというふうにお考えになるのは、これは東北開発株式会社として当然の要請であろうと存じます。  しこうして、ただいまの問題は、三菱関係の方方におかれましても、伊藤総裁もそのほうの経験の方でございますし、またいろいろそういう問題についてお気持ちもあることのように私も感じられますし、そういうことでこれを法律上の問題、裁判所の問題というようなことにしたのでは、これはどうにもならなくなる問題であろうかと存じます。そういう趣旨におきまして、むしろ何とか東北開発に対してそれぞれの方々が協力して、国もまたそれに対して熱意を持って当たるということで、そういう気持ちで事に当たりたい、そういうことで、その点を掘り下げてまいりますと、自然いろいろと感情的な問題、または話がぎこちなくなって、問題がかえってわれわれの意図する方向と違った方向にいきかねないこともあり得るかと存じますので、その点の答弁は遠慮をさしていただきたいと思います。
  172. 淡谷悠藏

    淡谷委員 私の質問はこれで終わりますが、ただ事態は非常に重大だというこの感覚だけははっきりお持ち願いたい。先般も申し上げましたが、これは単なる経済的な損失とか地元の感情とかというものではないのです。いまや大きな政治不信をはらむ問題として政治問題に転換しつつある。しかもそれが、内閣総理大臣が任命する東比開発株式会社の総裁の性格から見ましても、これはやはり他のほうにも波及する政治的な性格のものだということを長官もはっきり御認識願いたいと思う。われわれ自身もしろうとながらこれに対しては研究を積み、協力も惜しんでおりません。特に当面の責任者である企画庁長官は、ほんとうにこれは文字どおり第一線に立ってこの問題の解決をしてもらいたい。しかもこの会社性格上、むつ製鉄の失敗というのは、私はおそらく東北開発株式会社の死命を制するものだと思うのですよ。東北三法をむだにするかしないかという大事な突破口がむつ製鉄の解決いかんにあるので、どうかその政治的な重大性を十分認識されまして、一日も早くこの問題の満足のいくような御解決を願いたいという御決意を伺って、私の質問を終わります。
  173. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 先ほど来繰り返し御答弁申し上げておりますとおり、東北株式会社の使命と申しますか、何とかしてこの低開発地域であるところの東北開発について事業を通じて寄与していきたい、そういうことでこの会社ができておる次第でございます。そしてその再建計画をこの三十九年度から開始いたしたような次第でございます。また会社におきましても、会社の重役並びに機構を一新いたしまして、気分を新たにして、前向きに何とか地域住民の御期待にも沿い、またこの会社が成り立つようにしていこうという熱意に燃えている次第でございます。ただむつ製鉄問題は、技術的その他いろいろな関係から非常にむずかしい問題だ、これは淡谷さん御自身非常に御研究になっておられますので、よくおわかり願えると思うのでございます。したがって、これはもっと広い視野から、幅広い立場から、何とかして開発に寄与するような何らかのことをいたしたい、こういう趣旨で私どももあらゆる努力を傾倒していきたい、かように存じておるような次第でございます。
  174. 淡谷悠藏

    淡谷委員 終わります。
  175. 堀川恭平

    堀川委員長 吉田君。
  176. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 東北開発株式会社に関連して、若干私も伺っておきたい、こう思います。  だんだんとこう質疑応答を伺っており、また検査院の報告書等によってみましても、大体この会社は三十八年度におきまして、十三億円の欠損を出しております。そしてその欠損の内容を見てみますと、事業別に、セメント事業では二億九千余万円、それから化工事業で二億八千余万円、ハードボー事業で二億一千余万円、土地造成事業等の関連聖業で二億余万円、亜炭事業で七千余万円、本社部門で二億五千余万円等、それぞれなすところすべて欠損ならざるはなしという事業の実情でございます。三十八年度における年度末の累計欠損は資本総額の九八・八%に当たる三十五億六千余万円という累計になっております。これは一体どういうものでしょうか。  長官に伺いますが、私は、さっきからだんだん伺っておりますと、一株式会社の問題というよりも政治問題だというように御指摘をされておりましたが、これは非常に重要なことであって、今後企画庁が指導役になって、開発に関する相当幅の広い、深さのある、いろいろな社会情勢に応ずるような各種の……。
  177. 堀川恭平

    堀川委員長 吉田委員に申し上げますが、吉田委員は出たり入ったりしておられたからおわかりにならないでしょうが、みなもう同じ質問をされたのですから、議事録を見ていただくということで、本会議も開かれますから、どうでしょう。
  178. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 わかっておりますよ。本会議の時間も知っております。だから委員長の御要請に協力いたしますと申し上げておるのです。それを委員長は制限なさるのですか。
  179. 堀川恭平

    堀川委員長 制限はしませんが、同じ質問ですから、議事録を見ていただいたらどうでしょうかということです。
  180. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 御注意はお受けして、御協力はいたしますが、一応いろいろの角度からものを観察いたしますので……。  そこで親方は日の丸だから、政府出資のような大半のものは持っておるというような、その辺に責任感の問題が由来するのであろうか、あるいは当初の計画に由来するのであろうか、あるいは経済界の激変する事態に即応しないところのそういう人的構成に由来するのであろうか、一体どこがこの欠損のほんとうの本筋だということを、これやはり企画庁といたしましては会社を督励して根本的につかむことが必要でないか。相当の年月そのままたなざらしになった状態に置かれておるのでありますが、これは企画庁といたしまして、あなたのほうで根本的な病源というかそのよってきたるところは明らかになっておるのですかおらぬのですか。
  181. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 この問題は会計検査院からもかつて指摘を受け、また当委員会その他の各委員会においても何度か御論議をいただいております。政府といたしましては会社の内容について徹底的な審査と申しますか見直しをいたしまして、そうしてその結果として今年度を第一年度とする再建計画を樹立いたしたような次第でございます。もちろんその原因は那辺にありやという問題につきましては、ただいま御指摘のありましたようないろいろな原因がそれぞれからみ合っておることと思いますが、詳細につきましては局長から御答弁申し上げます。
  182. 鹿野義夫

    鹿野政府委員 会社がこのような赤字の事態に至ったことについては、先ほどもほぼ概略申し上げたわけでございます。また企画庁のほうといたしましても、生産性本部にも依頼いたしまして事業の内容を詳細に洗っていただいて、原因がどこにあるかということを検討して、それらの調査をもとにして再建計画の大綱、いま大臣のおっしゃられました再建計画の基本となる考え方会社側に示しまして、いま会社側はそれをもとにして三十九年度を初年度とした再建計画に入っているわけでございます。  そこで、ここにこういうような赤字累積した原因はどこにあるかということでございますが、一つにはごく最近のいろいろな市況の変化ということがあって、たとえばセメントの値下がりとか亜炭の値下がりとかいったことがかなり大きな原因にはなっておりますが、もう一つの面としては、それぞれの事業計画されたときにおいて若干実態にそぐわない計画、設計過大であるとかそういった面のまずさというものも一つ累積されてきてもおります。また会社のほうのいろいろな販売その他を通じての経営のやり方、企業としての経営のやり方にまずさがあったという点もございます。それから大きくは、過去の蓄積されてきた赤字、あるいはちょっと申し上げましたような過大資産等のためにしょい込んでくる金利負担がかなり大きい。これは普通の企業でいいますと、三ないし五%程度のものが全体の売り上げの中に占める金利負担の割合になっておるわけでありますが、開発会社の場合はそれが十数%になるというような事態、そういった金利の大きな負担、圧迫。もう一つは、事業もいろいろやっており、また子会社を持っておるという関係もございますが、総体に会社の機構が頭でっかちといいますか、管理機構その他が非常に大きくなり、また人員についても事業生産荷その他に比べますと割り高といいますか、わりに人数が多くなっているというようなことから人件費の部分がかなり大きくなっておりまして、これも一般の製造会社等に比べますと格段の開きがございます。そういう点、まず機構の縮小、余剰人員の整理あるいはいま申し上げました金利負担については、政府からの再建資金の導入ということでこの一、二年十二億ずつの出資をいたしておりますが、そういう点で金利負担の軽減をはかるというような形を一つの基本といたしまして、そこで個々事業について詳細な再建計画を立て、その方向で進んできておる次第でございます。
  183. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 いま伺ったところによれば、普通の営利会社といたしましてはそんな報告は企業責任者が株主総会でできっこありませんよ。これはまさに別の角度から見た重大な負託に反する行為ですよ。たとえば過大投資もあるし、人員が過剰でもあったし、設計も見誤っておるし、いろんな買い取ったものについても不要なものが出ているし、あれもこれもあって、これは営利会社といたしまして責任者の述べる立場では全然ございません。さっきも私申し上げましたように、大体日本の官庁が関与いたします企業というものが、とかくこういう成績をあげるのではないか。企画庁にいたしましても設置法によりますと、この会社を監督しなければならぬ立場にある。監督するということになれば設計の状況はどうか、あるいはまた投資状況はどうか、運営の状況はどうか、いろんなことについて相当逐次手に取るように報告があってしかるべきである。それで初めて監督ができる。その結果、そういたしました、検討して見ればあれやこれやある、他によって企業診断をしてもらう、原因を追及したらこれが出ました、再建案を立てます。それは抽象的な監督かもしれませんが、やはりこの種の監督機関というものはもっと厳とした存在でなくてはならぬと思います。かなり最近におきまして、たとえば関西におきましても山陽特殊鋼というようなああいう問題も出ておるのですが、経営とかいうようなものについて自己に損失がなかったらあまり厳格な責任を負わないというような風潮すら看取されますので、この辺については企画庁は何ら監督の責任は負わないということになるのですか。
  184. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 東北開発株式会社につきましては、ただいまお話しのような、また鹿野局長から御答弁申し上げましたような経緯というか事実もございましたので、会社の重役陣も全部一新いたしまして、また機構も改正し、そしてそれぞれの事業部門ごと責任体制を確立して、そして何とかこれを再建していきたい、こういう非常な意欲のもとに今年度当初から発足いたしました。しかもそれが今日は会社当局も従業員も上体となってそういう方向に非常に努力していただいておる、かように見ておる次第でございます。
  185. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 この問題は去年から私も聞いておりますが、きょうは会社の新しいいまの総裁におきましては、過去を反省して、検討して、そして具体的な詳細な相当自信のある内容のあるものを打ち立てて、きょう議題になるならば報告してしかるべきでないかと思うのですが、やはり抽象的なことを言われるだけだというような緩慢さでは、また来年も大半問題を持ち越していくのではないか。原因を追及したら簡単ではありませんよ。社会的に持っている企業責任を感じないものの四百四病がすっかり出ているというような印象さえ受けますので、したがいまして、きょう見えている総裁はみなを納得させるような詳細な自信のあるいろんな御方針なりを展開する、こういうふうにあってしかるべきでなかったかと思いますが、それが聞けなかったのはたいへん残念であります。  時間がないようですから、きょうはこれで質問は終わっておきます。いずれいろいろな案があるようでありますから案を追って、当委員会に対してもできるだけ早い機会に資料を出して――東北だけの問題ではありません。日本全体の政府出資のこの種の機関の社会的重要性を考えまして、私は、すみやかにこれがわれわれの前に提示せられるように御希望申し上げまして質問を終わります。
  186. 堀川恭平

    堀川委員長 参考人各位には、委員会の調査に御協力いただきましてありがとうございました。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後一時五十分散会      ――――◇――――-