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1965-03-11 第48回国会 衆議院 決算委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年三月十一日(木曜日)     午前十時四十分開議  出席委員    委員長 堀川 恭平君    理事 田中 彰治君 理事 田村  元君    理事 勝澤 芳雄君 理事 田原 春次君    理事 長谷川 保君       金子 岩三君    湊  徹郎君       神近 市子君    堂森 芳夫君       高田 富之君    森本  靖君       山田 長司君    吉田 賢一君  出席政府委員         通商産業事務官         (公益事業局         長)      宮本  惇君  委員外出席者         検     事         (刑事局刑事課         長)      伊藤 栄樹君         会計検査院事務         官         (第五局長)  宇ノ沢智雄君         参  考  人         (電源開発株式         会社総裁)   吉田 確太君         参  考  人         (電源開発株式         会社総裁)  大堀  弘君         参  考  人         (電源開発株式         会社理事)   浅尾  格君         参  考  人         (福井県議会議         員)     笠羽清右衛門君         参  考  人         (福井和泉村         長)      杉本 又助君         専  門  員 茨木 純一君     ————————————— 三月十一日  委員福永健司君、栗原俊夫君及び松原喜之次君  辞任につき、その補欠として湊徹郎君、千葉七  郎君及び高田富之君が議長指名委員選任  された。 同日  委員湊徹郎君、高田富之君及び千葉七郎辞任  につき、その補欠として福永健司君、松原喜之  次君及び栗原俊夫君が議長指名委員選任  された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  国が資本金の二分の一以上を出資している法人  の会計に関する件(電源開発株式会社)      ————◇—————
  2. 堀川恭平

    堀川委員長 これより会議を開きます。  国が資本金の二分の一以上を出資している法人会計に関する件について調査を行ないます。  本日は、本件調査のため、関係当局のほかに、電源開発株式会社より、総裁吉田確太君、副総裁大堀弘君、理事浅尾格君、福井会議員笠羽清右衛門君、福井和泉村長杉本又助君、以上五名の方に参考人として御出席を願っております。  参考人各位に申し上げます。発言をなさる場合には委員長許可を得て行なっていただくよう、お願いいたします。  次に委員各位に申し上げます。参考人よりの意見聴取は、委員質疑により行ないたいと存じますので、そのように御了承願います。  これより質疑に入ります。質疑の通告がありますので、これを許すことにいたします。  その前に勝澤委員
  3. 勝澤芳雄

    勝澤委員 資料要求を最初にお願いしたいと存じます。  水資源開発公団でありますが、下久保ダム関係で一が瀬廻し隧道の入落札経過業者指名予定価格決定、開札の状況等、二番目が本体工事の入落札経過、三番目が本体工事の現況、具体的工事業者事情等について資料を早急に出していただきたいと思います。
  4. 堀川恭平

    堀川委員長 承知しました。  それでは田中委員
  5. 田中彰治

    田中(彰)委員 参考人にお尋ねする前にちょっと総裁にお尋ねいたしますが、あなたこの前に速記録にあるとおり、金庫目途額封印したものをしまったのをあとで聞いたとおっしゃったが、私ども電発その他をいろいろ調査してみたところによると、あなたはその金庫にしまったのをあとで聞いたんでなく、あなたがそれを私に預けておけ、自分に預けておけと言って二日か三日それをお待ちになっておったという事実が、電発の中で一人や二人でなく相当そういうことが出ている。しかもその一切のことを知っているのはそこにおられる副総裁が知っておるんだが、あなたをかばって言わない。むしろ副総裁よりあなたがこの元凶であるということがだんだん調査してくるとわかってくるんだが、あなたこれに対してどうなんです。そういうことが事実なんですか、違っておるのですか。
  6. 吉田確太

    吉田参考人 この前御説明申し上げましたが、きょうさらに御質問でございますが、さような事実は絶対にございません。
  7. 田中彰治

    田中(彰)委員 あなたはそれはなるほど事実がないとおっしゃる。それは、もっとも犯人というものは警察当局へ行っても否認するということは許されると思うし、するのが当然ですが、しかしおかしいじゃないですか。それだけ一週間も山形県ですか山梨県ですか、そこのところの温泉場でとにかくやってきた、その封印したものが金庫にしまわれるときに、伝票やほかのものと違いますよ。それだけの重要なものが金庫にしまわれるときに、こういうぐあいにでき上がってきましたが、総裁、これを金庫に入れますからと言って断わって入れるのが当然なのに、前のあなたの話を聞くと、それはあとで聞いたんで、そんなことにまでこまかいところに関与しないと言われるのです。こまかいじゃないじゃないですか。この目途額が問題となって今日これだけの大きな問題が起きている。それにあなたがそういう重要な書類金庫にしまったあとで聞いた、われわれは今度よく調べてみると、あなたが二日間それを持っておられたことだけは事実だ。それを隠すために、金庫にしまったのを知らないと言っているんだ。これはもう電発にも、ここに刑事課長もおられるが、りっぱに言っている人がある。もう少し進展してくれば、自分証人に呼び出してくれるならば話してもいいと言っている。それはつまらない社員じゃない。ぼくは副総裁がこれを聞いておられて、よく調べたなと思っておられるかもしれない。私はどうもあなたのそのやっている行動というものに対して、どう善意に解釈しても、あなたを真正面に信じられぬ。ここにきょう参考人として電力特別委員長の方も来ておられる、あるいはまた杉本村長も来ておられるが、村でもこれだけの問題を起こして、これだけ国でも大騒ぎをして、国会でもそういう騒ぎをする、その重要な書類金庫にしまったときは知らなかった、あとで聞いたんだ、それはたいした問題じゃないのだというようにあなたは答えておられるが、それはおかしいじゃないですか。あなたがいままで当然中におられてきた常識上、おかしいじゃないですか。どうです、それについて。
  8. 吉田確太

    吉田参考人 この前申し上げましたように、会社組織が、いろいろと各部がありますが、この組織に対しておのおの組織の長に責任と権限を付与しておりますので、私はそれで十分である、そういう方法でその金庫に入れるときに見る必要は私はない、私は組織体会社総裁として運営しておりますが、これに対して私のとった行動は正しいとこの前申し上げたとおりでございます。
  9. 田中彰治

    田中(彰)委員 それはあなたが自分でそう思っているだけであって、組織体がどうであろうが国民血税でもって百億近いところの仕事をするんですよ。その仕事をする一番大切な書類金庫の中に入れてあとで聞いた、それが組織においてそうなっているからというが、そんな内規というものはあるのですか。そういうものをやったときには総裁に言わないであとから報告するという、そういう内規があるのですか、どうです。
  10. 吉田確太

    吉田参考人 会社の規定を見ていただけばわかりますが、従来そういうふうな一々何もかにも総裁が、あなたのおっしゃるそれを重要だ、そういうのでやっておりましては——総裁は全部の仕事おのおの場所場所でいずれもチェックする、そういうふうには会社運用がなっておらないと私は確信しております。
  11. 田中彰治

    田中(彰)委員 おかしいじゃないですか、金銭伝票一つとか料理屋の支払いとかあるいは外国の旅費とかいう小さいものは別としてですよ、とにかく一週間も秘密でもって東京を離れて、そうしていろいろな技術陣——そこにたくさん持ってきておったってそんなものは八百長なんだ、そんなものはわれわれ見てわかるものじゃない、そんなものを出してわれわれをおどして、そうしてやろうといっているんだ。だから社会党からそれを要求したとき、非常に喜んだ。そんなことで私は済ませない。社会党が何と言おうとだれが何と言おうと、きのうあたりの読売をごらんなさい、なあなあでやっているということが出ている。社会党の議員といえどもこれに対して何か言うなら、わしは選挙区に行って選挙区に訴えてやる。とんでもないことだ。あなたがそういう重要なものを、一週間もよそに行って秘密電話連絡も断ち、あらゆるものを断ってつくったその重要なものを金庫に入れてから、あとで聞いた。それが組織になっているというのなら、何か内規に、総裁がそういう重要な入札目途額とか、そういう秘密の密封した書類に関連しないのだ、それはまかしておいていいのだという内規があるのかと聞いているのだ。あなたはただ、総裁が忙しいからそういうところまで手がつけられないと言われるが、伝票なんかと違うのだ。内規にそういうものに関係しないでいいということがあるかないかということを聞いているのです。どうなんですか。
  12. 吉田確太

    吉田参考人 お答えいたします。  私は、そこまで一々こまかい内規はなくて、公正にやらせるという立場で、おのおのの部署に部長を置き、そして金庫には金庫を管理している——これは名前を申し上げますと今後の金庫の保守上困るからここでは申し上げませんが、それが常に保持しております。そしてそれが確認して、それを確保する、そういう責任をそれぞれとらしておりますので、私は内規にはそれがあるかないか、非常にこまかい話になりますので、そこまでは私、ただいまのところ承知しておりませんけれど、それをやったことは私は公正であると確信しております。
  13. 田中彰治

    田中(彰)委員 それはおかしいじゃないですか。日本の金で電発がやる資金がなくて、政府保証、すなわち国民税金保証してやらなければならぬ何十億というこの工事が小さいと言われるのですか。それじゃ電発でもってこの百億にのぼるようなこの工事をあなたは小さいと思われるのか、大きな工事と思われるのか、どう考えておられるのか。
  14. 吉田確太

    吉田参考人 仕事は非常に重大なことである。この工事が粗末なものではない。重大なる仕事である。これは私は確信しております。
  15. 田中彰治

    田中(彰)委員 その重大である、しかもそれを一週間も旅にまで出ていろいろなことをきめてきた。しかも電話連絡その他全部断ってやる。封印までしてある書類をあなたは金銭伝票か何かの一枚の書類のように思っておられるが、いま重大と言われたなら、その重大なほんとうの根本をなす重要書類に対して大切にしておかねばならぬのに、その書類がただ金庫番にまかしたからそれでいいんだ、そうあなた言われるのなら、なぜそれではくじを引くのに、あなたの前でくじを五本つくって、あなたの前で引かして、残りの四本をだれにも見せないで焼いてしまったか。あなたがそんなに軽くそれを見ておられるのなら、これをきめるくじなんというのはあなたが立ち会いでなくたっていいじゃないですか。おまえにまかして、おまえらにやらしておけばいいじゃないですか。あなたの言うことはさっぱり常識からはずれていることだ。あなたのそんなことばを聞いたらおそらく国民は泣いているだろうと思う。七十億も八十億も自分たち税金でやる工事、しかも重大だといって一週間も東京を離れて、電話連絡を断ち、すべての連絡を断ってそしてきめてきた、その目途額封印したものを金庫の中へしまうのに、何にも言わない。そうして今度は聞かれたら、大した問題じゃない、そんな小さいことにまで私は関係しておらない、何が小さいのだ。あなた、何十億という金を持っているのか。何が小さい。小さいということは、国民が泣いて納めている税金に対して無関心なあなたが言うのだ。何が小さいのだ。しかも金を借りてくる保証国民がしているのだ。佐藤内閣でもなければ電発でもない。日本国民全体が保証して借りてきている金なんだ。何が小さい。しかも内規にそういうことは総裁が関連しないでいい、関連しちゃいけないということを書いてあるならとにかく、金庫のことを言われないとおっしゃるなら、それでは金庫の中へ入れて、そしてこれがなくなったら金庫番責任で、あなたに責任はないのか。盗まれたり何かすれば、やっぱり責任はあなたじゃないか。それだからやっぱりあなたがどこの金庫へしまうか、しまうときに報告を受けて、そして注意しておけというような注意を与えてしまうということが当然じゃないか。どうなんですか。
  16. 吉田確太

    吉田参考人 会社組織を申しますが、総裁の下に副総裁を置き、しかも経理——金庫を担当している部の経理部長がおります。経理部長の下に経理課長がおります。そうしてその金庫を管理しているかぎは、ある責任ある人が持っております。そうしてそれらの組織の上に立って動いており、みだりに総裁が、ことばは悪いかもしれませんが、独裁するがごとくにその組織運用を乱るようなことを私はいたしたくない。やはり組織はきちんとつくった組織で、その職制、その責任、それらのそれぞれが責任を持つ、そういう組織体でなければ大きな組織体煙用はできない。そうしてそれぞれの総合化された上に立って最後の判断をする。補佐の大堀、名担当している理事のそれぞれの意見を聴取し、その上に立って最後——これはもっと詳しく申し上げますと、定款によれば、会社役員会多数決によって決議する。この多数決決議はなぜやるのかとまで考えましたが、いずれも内閣任命でありますので、総裁と副総裁内閣任命であって、理事が、たとえば大臣任命であったならば、その場合にはやはり多数決決議は起こらないのだ。立法の精神がそこにあるのだ。そういう組織をいやしくも総裁独裁するがごとくに途中に手を入れるのは組織を乱るものであって、やはり綱紀の粛正、また会社おのおの責任を持って仕事をする上には、必ずそういう組織体責任おのおのが持ち、そうして下に下っていく、そうして金庫はだれが持つ——この間の場合は、やはり山岸という資材部長が立ち会った上で責任者に渡した。私はそういう組織運用を乱ることをしたくない。それから先生の御注意の、ささいなことと私は申しておりません。事柄は重大でありますが、そういうふうな運営をしなければ会社秩序が乱れてしまう、そういうふうに考えておる次第でございます。
  17. 田中彰治

    田中(彰)委員 総裁、あなた一体何を言っておるんだね、どこの会社へ行ったって、会計係員から金庫の係から、そんなことがあることは、あなたから聞かなくたってどこにでもあることだ。私はそんなことをあなたに聞いておるのではない。金庫係はどこの銀行にもありますよ。電気までかけてある。けれども、重要なもの、たとえば銀行でも大きな現金をきょうどうしてもこの金庫にしまっておかなければならぬような場合は、やはり頭取がおれば頭取、副頭取がおれば副頭取が、必ずこういう現金をこういうところの金庫にしまって、これこれこういうぐあいに保管しました、そこで万事遺漏のないように頼む——そういう重要な書類を持ってきて、総裁、この金庫にひとつ今晩から入れますからとあなたに断わって、あなたがよくこれを守って注意しなさいと言うことが、何が独裁なんだ。これが民主主義だ。何が独裁なんだ。そんなことをあなたに黙ってやることが民主的であって断わることが独裁だなんていうことでは、あなたは頭がどうかしていると思う。そうして日本主義なんだ——そんなことはあなたから聞かなくても、どんなへっぴり会社へ行ったって、やはり下は給仕から上は社長までちゃんとそういう秩序があるんだ。そこで重要なことがあるときは、その責任というものは、やはり社長なり、あるいは専務なり、あるいはあなたのところでは総裁が負わなければならぬ。それだから、そういう重要なものを持ってきたら、これをきょうは封印して持ってまいりました、これの封印をあけるまでこういう目途額のこの入札をするまでは金庫にしまっておきますからといってあなたに断わる、あなたがそれに対して間違いのないように注意を頼むということが何が独裁なんだ、つまらぬことをおっしゃるな。あなたの答弁はまるで赤ん坊のような答弁じゃないか。そうかと思えば、今度決算委員会でいじめられたら、とにかく夜夜中通じて県庁へ行って、県知事がこの水利権の認可を出すのに地元の解決がつかぬから出さぬといったら、大蔵大臣にまで頼んで電話をかけさして、大蔵大臣だってこんなことになっていることを知らない。そうして国際信義にこうだとかああだとか、そういう入れ知恵はなかなかうまい。そうして料理屋でどんちゃん騒ぎして、あれに来い、これに来い、何がそれが民主主義だ。何がそれが独裁なんだ。金庫にしまうときにしまいますといって断わることが——何が独裁なんだ。注意しなさいといって注意することが何が独裁なんだ。そんな考え方を持っているから、そこでこんな事件を起こす。それを恥じておらない。東京電力なんかどうだ。あなたが東京電力から追われたときに赤飯をたいて祝ったのがたくさんあるじゃないか。あのガリガリ亡者がこの東電から出たというので、大喜びして、赤飯をたいて祝ったという。そうして来る早々、こんな事件を起こして申しわけないとも言わぬで、何が独裁だ。一週間も旅へいってつくってきた重要書類金庫にしまうときに、一応金庫に入れますからと言うことが民主主義の原則じゃないか。それを言ったことについて——それが独裁だ、それに対して注意しなさい、重要な書類だからといって忠告を与えることが何が独裁だ。そんな考えを持っているからこんな事件を起こすのだ。国民がこれを聞いたら泣くわ。あなたに幾ら言ったってカワズの顔に小便引っかけるようなものだから、これはこのくらいにしておいて、ほかのことに移ります。  きょう参考人に来ていただいた笠羽清右衛門さん、県会議員の方にちょっとお尋ねするのですが、その前に、実は証人に申請して証人として発言を求めたかったのですが、私のほうは証人であろうが参考人であろうが、正直なことを言っていただきたい、国会ですから、国民血税が正しく使われるか使われておらないか、不正があるかないかということをここで審議する決算委員会ですから。実は証人となりますと議長の承認も得なければならぬし、いろいろ議決もしなければならぬので、きょう間に合わない、それで参考人に切りかえたわけなんです。  実は一点でいいのです。いろいろもめたり、あなたも御迷惑されておることだけは聞いておりますが、私にこういう投書がきておる。「去る本年二月三日福井県の県庁において、前通産大臣福田一氏福井電力特別委員長笠羽氏とが会見して、福田氏は「水利権許可」について笠羽氏の協力を願い出た。しかし笠羽氏は地元和泉村の補償問題について、県当局並びに電源開発地元和泉村に対して、何ら解決していないため、簡単に水利権許可にならないだろう。」これは県会議員としてごもっともな意見だと思うのです。「むしろ、この入札白紙にしたらどうか、」「地元和泉村ではこの入札白紙に返すことを希望している」と述べている、福田氏の申し入れを拒絶した。しかし、福田氏は、「もしこの入札決定白紙にすれば、池田首相(前)と黒金泰美氏、(前)官房長官と私の」——私というのは福田氏が言っておる。「私の三人立ち会いのもとに、さきに鹿島建設より多額の政治献金池田氏に渡されているので、これを鹿島建設に返還しなければならないと述べたため、両者はもの別れとなった。こうした事実を、決算委員会で取り上げて糾明してもらいたいと存じます。なお、証人として、福井県会議員笠羽電力特別委員長福田一氏黒金泰美氏、杉本和泉村長らを召喚すれば、事実が明瞭になると思います。右の件について天地神明に誓って御報告申し上げます。」昭和四十年一月二十八日大野郡和泉尾崎一郎——これはあるかないか知りませんよ、最後田中彰治先生、こういうぐあいに来ております。こういううわさは私どもも聞いて、ここにおられる田村委員とも話したことがあるのですが、こういうことがあったのでしょうか、ないのでしょうか、ひとつ隠さないで、どうかあなた方の県民のためにも、国民のためにも、いろいろなこともございましょうが、お顔を拝見すれば若い、それで県会に出ておられるのですから、相当の信用と強い信念を持っておられると思いますから、遠慮なく申してください。
  18. 笠羽清右衛門

    笠羽参考人 田中先生、実は私はきのう三重県の県庁におりまして、本日お招きにあずかっておることは承知いたしておりませんでした。それからただいま朗読くださいました書面の内容の問題につきまして、私は実は、もし自分の耳が間違っておれば別でありますが、一番最後日付昭和四十年一月二十八日のように聞いたのでありますが、しかとそれに相違ございませんか。
  19. 田中彰治

    田中(彰)委員 ここには二月三日としてあります。
  20. 笠羽清右衛門

    笠羽参考人 いや一番最後の……。
  21. 田中彰治

    田中(彰)委員 手紙を出した日ですね。投書した日ですね。
  22. 笠羽清右衛門

    笠羽参考人 出した日は一月二十八日、いまお読みくださったのは……。
  23. 田中彰治

    田中(彰)委員 一月二十八日ですが、これは二月二十八日になっておったのですね。その日はいいとして、こういうことがあったのですか、ないのですか。日の違いとかなんかは……。
  24. 笠羽清右衛門

    笠羽参考人 実は先生、私が参りましたのは、福井県議会でどんなようなことを考えているか、どういうふうなことで電源開発の問題が行なわれておるかということをお聞きくださると思って期待して参りました。投書の一件だけは私は明らかにそうだとは申し上げるわけにまいりません。ただ、二月三日の日に、福田先生が、たしか節分の日であったと思いますが、おいでになりまして、  一応県会議長室でちょっとだけお会いいたしました。それは他の用件でございまして、そのときに実はここにいらっしゃる大堀総裁が四日の日であったと思いますが、福井県にいらっしゃるのであるがどうだろうということをお話しいたしました。そのときに水利権の問題はなるべく早く片づけてやってくれ、これは非常に大きな問題だし、早期着工早期開発をしなければならないから、そうしてくれというお話だけはございました。あの問題につきましては実は私どもの地域の開発のことでお話をいたしたことはございます。投書内容で私は全然池田総理とかそれから黒金泰美さんとおっしゃるのですか、そういう方の話はしたことはございません。ここで実は……。
  25. 田中彰治

    田中(彰)委員 あなた、したじゃないです、向こうからしたという……。
  26. 杉本又助

    杉本参考人 いや、いたしません。全然いたしておりません。むしろ、先生、この際、私どもはなぜ水利権の問題について苦労いたしておったかということをあなたのほうからお聞きくださると思って参った次第であります。もっと県政の本筋にわたって苦労いたしてまいりましたこの問題をむしろお聞き取り願ったほうがよいと思いますので、ただいまの当初の内容につきましては、私は全然知らないことばかりでございます。それから尾崎一郎と申しましたか、こういう人物も私は実は承知をいたしておりません。ただいまあなたのお読みになった二月三日のことは、なぜこの一月二十八日の日付でもって投書されておるか、この一点だけは先生のほうでどうかお取り調べを願いたいと思う。  以上のことだけお答えいたしておきます。
  27. 田中彰治

    田中(彰)委員 それは、あなたのほうの電力事情あとで聞くのですが、これは、いまこの問題になっておるのに重要な点であって、そうしてこの投書名前は変えたということで来ているのです。私のほうは投書が一月の幾日になっていようが、お会いになったのが二月の三日だろうが四日だろうが、こういうことがうわさされ、こういうことが書いてきておるんですから、しかも、天地神明にまでかけて間違いないと、あなたとも議論されたということが書いてきておるからお尋ねするんですが、そうすると、こういう池田氏の献金とかそういう話は絶対あなたお聞きになったことがないんですか。
  28. 笠羽清右衛門

    笠羽参考人 全然聞いてはおりません。
  29. 田中彰治

    田中(彰)委員 それではちょっと杉本村長さんに聞きますが、いまの私が読み上げたようなことを村長さんはお聞きになったことがありませんか。
  30. 杉本又助

    杉本参考人 二月三日に福田先生福井へ来られて、節分の、たしか三国の成田山の奉賛会総裁をしておられるので、そのために来られて、ついでに笠羽委員長に会って、水利権の問題を何とか早くできないか、こういうようなお話があったということは笠羽先生からもお聞きしました。池田総理とかそういうような問題については、私、全然聞いてません。それから念のために申し上げますが、先ほど名前は偽名を使ったと先生から申し上げましたとおり、そういう人は実在していません。
  31. 田中彰治

    田中(彰)委員 そうすると、福田さんは、あなたのほうへ行かれたのは、ただ水利権許可をしてくれと、こういうことだけなんですか。村長でいいです。
  32. 杉本又助

    杉本参考人 先ほど申し上げましたとおり、三国に成田山の節分の豆まきに来られた、こういうように聞いております。
  33. 田中彰治

    田中(彰)委員 豆まきに行って、それで、ただ笠まきだけで終わってお帰りになったんですか。水利権の問題について、そのとき笠羽委員長なんかとお会いになったりして、そういう話が一つも出なかったんですか。それはどうなんです。あなたのお聞きになっている、知っておられる程度のもので……。
  34. 杉本又助

    杉本参考人 水利権に対して協力していただきたいと、こういうようなお話があったということを聞きましたが、池田総理とか黒金さんとか、そういう話は、私は全然聞いてません。
  35. 田中彰治

    田中(彰)委員 そうすると政治献金の話はお聞きにならないのですね。
  36. 杉本又助

    杉本参考人 はい、聞いてません。
  37. 田中彰治

    田中(彰)委員 それでは、電気特別委員長に聞きますが、水利権の問題でそこにおられる吉田総裁が行かれたときに、ああそうかとか、水利権はもうやらなければならぬのだといって、御満足して水利権許可書をお出しになったんですか。あとそれに対しては、もう水利権許可を出したんだから、あと地元には何の不服も不平もないんだ、こうおっしゃるんですか、その点、忌憚なくひとつ……。
  38. 笠羽清右衛門

    笠羽参考人 少し長うなるが、よろしゅうございますか。
  39. 田中彰治

    田中(彰)委員 なるべく簡単に。
  40. 笠羽清右衛門

    笠羽参考人 簡単に済ましてもよろしゅうございますが、水利権の問題は、実は、電発開発に根本的な誤りがございます。ちゃんと水利権をとり、工事の承認を得てから、それからすべての補償を終わってから着工するのが最初の電発の大前提だというふうに承っておりました。そして、そういうふうにせずに、途中でどんどん、どんどんと強行方針をやってまいった。たとえば水利権の承認も得ずに、ちゃんと指名もやり、入札もやって、そして地元を非常に不満のどん底におとしいれた。これは私はいまでも割り切れないというのが実情でございます。やはりやるならば、さきの藤井総裁は早期にやりたいから、実は一工区も二工区もすべてのものを全部出してしまって、それからやめたいというふうにおっしゃっておられました。それが新しい総裁になって、一工区と二工区だけやって、それからこういう問題を起こしたことは、私は電発当局の責任だと思っております。そして、これあるがゆえに水利権の問題につきましては、私どもはどうしても補償が円満に解決ついて、それから着工してほしい。何といっても民生の安定が先でございますから、そうしてそのことで協力しさえすれば、私は早期に着工もできたし、こんなに問題がごたごたしなかったというふうに、いまでも考えております。だから、あなたのおっしゃる、水利権の問題についてどうかというのでありますが、水利権の問題につきましては、実は知事の権限ではございますけれども、一つの政治的なはからいでもって、地元の昨年の十二月二十二日の県議会で、地元が出してまいりました請願書を採択いたしました内容は、いろいろありますが、今後の補償問題が平和裏に完全妥結を見るまでは、一切の着工は、これを和泉村は拒否する、よって、県当局並びに県議会においても、本村の真意を御採択の上、水利権施工認可等、き然たる方針のもとにおとりはからいくださるよう請願いたしますと、このように二人の地元の紹介議員がございまして、非常に長い間苦慮したのでありますが、その間、むろん電源開発当局ともいろいろ折衝いたしました。そんなようなわけで、妥結がどうしてもできませんので、実は今日まで至っておったような始末であります。  それから、あなたがさっきおっしゃいました、たしか、総裁は二月二十八日にいらっしゃいましたが、それ前に高橋補償理事が二十四日にいらっしゃいました。私は、この高橋さんに申し上げたのは、むしろ、県でなしに、地元和泉村においでになって、誠意を持ってお尽くしになれば、大体まとまるであろうと、そして私ども水利権——県議会が二月二十七日に招集されておりましたので、二十八日は休む、それから一日、二日、三日、四日、五ひと一応休会、議会の中でこの問題をよく審議いたしまして、五日の日には大体無条件で水利権をお渡しすることができる、それから村長は十日までには地元のほうを円満に片づける、そして村長みずからも十五日の日には村議会を開いて事を非常に円満な形でやろうという実は申し合わせをいたしたことがございます、それがどういうわけか、二十八日でなければならぬということで急遽おいでになりまして、その間大蔵大臣からも知事のほうへ電話があった。これは私どもの立場から申しますと、おそらく県議会の決議を無視するものである、議会を軽視するものである。何も、条約違反してはならないということは私どもは地方議会におったってよく知っております。だからそれなるがゆえに円満な妥結方法に非常に苦労いたしました。そうしてどうにかそういう裏話のできておるときに、強引にというほど、二十八日を非常に希望していらっしゃった。私は、たとえ大蔵大臣といえども福井県の県政に容喙する一つの手段であったというぐあいにいまでもふんまんを持っております。私どもは五日にお渡しすればそれで十分間に合ったと思います。そんなふうに考えております、以上でございます。
  41. 田中彰治

    田中(彰)委員 杉本村長にお聞きするのですが、あなたの和泉村役場の助役で宇野重豊という方はおられますか。
  42. 杉本又助

    杉本参考人 います。助役をつとめています。
  43. 田中彰治

    田中(彰)委員 この助役さんとあなたとは、和泉村のいろいろな問題を解決する上において意見の相違とかあるいは摩擦というようなものはないのでしょうね、どうなんですか。
  44. 杉本又助

    杉本参考人 大体においてありません。
  45. 田中彰治

    田中(彰)委員 そこで、このあなたのほうの助役さんからも非常に不満といろいろな内容にさわったことをここに書いてきておるのです。これは助役さんのほんとうの名前です。判も。あなたにごらんに入れますが、これは一般の投書と違って、こういう判なんです。どうです、間違いないでしょう。
  46. 杉本又助

    杉本参考人 間違いありません。
  47. 田中彰治

    田中(彰)委員 そこで、あなた方も口封じとかいろいろな関係でおっしゃらないのだが、こういうものを送達しますと、やはり鹿島建設にこれを早く、しかもこういう高い金額で地元の解決をつけないうちに請負さした、これについてあなた方は、鹿島にやらした請負のすべてが正しいのだと思われますか、やはりおかしいのだと思われますか、特別委員長どうです。
  48. 笠羽清右衛門

    笠羽参考人 私は、事の経過を非常に注意深く見守っておりました。電発だけがなぜかような入札の方法をとらなければならないのであるか、これはいまもって疑問にたえないのであります。  それから最高に落札したという形の問題につきましては、これは法的に何ら誤りがなかったということをかつて副総裁も申されました。これは実質的には問題は、こういう国家の最高機関で審議されておるのでありますから、私は、多くは言いたくありませんが、こういう入札の形でもし今後行なわれるということになりますと、福井県は非常に不満でございます。そうして電源開発のやる本工事だけが最高に落札したのに、一部電発の直営工事である取りつけ道路とか、トンネルとか、そういったものは最低に落札をさしておる。これは非常に矛盾と撞着に満ちたものではないか。かりにダンピングをやって悪いとすれば、どれもこれも高いところにやればよろしいのではないか、こういったことがみんなの中に非常に懐疑心を生むようになりました。だからこういう形で行なわれるようなことであるならば、あなた方のおっしゃるように確かに国費の乱費ではないか。むしろ一歩進んで、すべてまた湯上もあるし、山原もあるし、鷲もあるし、石徹白水系もあるのだから、この際一挙に白紙にしてしまって、みな一緒にやったらどうかという意見が私どもの県議会の中では一致した意見でございます。
  49. 田中彰治

    田中(彰)委員 そこで、あなた、この入札方法を知っていますか。どうしても佐藤と鹿島に、高く入れようが安く入れようが、落ちなければならぬ。御存じですか。
  50. 笠羽清右衛門

    笠羽参考人 私は知りません。
  51. 田中彰治

    田中(彰)委員 ちょっとあなたここをごらんください。あなたもごらんなさい。この四十四億九千万円というようなものが一番高い目途額。最低額というものをここに入れているんです。制限価格四十一億八百三十九万というやつ。わかりますね。だから普通からいうと、普通入札方法でいくと、これに近いこことかあるいはこことかいうものが入らなければならぬ。わかりましたか。そこで、間も熊谷も前田も西松も、これはみんな商売人で入れていますから、この間というものは幾らも違わないのです。ここで七百八十万しか違わない。片一方は六百万しか違わない。一番下でも一千八百万しか違いません。わかりますね。そこで鹿島が入れたのはそれよりも一億三千八百二十万違うわけです。これだけ高く入れたわけです。その高いのに落ちた。これが何か方法があれば、ここのどこかに落ちるんでしょう。ところが落ちないのです。これは利益というものを幾ら与えたらいいか。こういうものをやっておいて利益を幾ら与えたらいいか。そうするとこれは七分ぐらいだ、ここで九分、これだけの利益を与えたらいいんじゃないかというので、こういうものをつくったわけです。わかりましたか。そこで今度は、鹿島にやろうと思うと、鹿島が一億、これは四十一億三千八百万で入れなくても、もう少し安く入れても高く入れても鹿島しか落ちないのですよ。この一番あとの四十億八千五百九十万、いいですか、一番下がここなんです。一番上がここなんです。わかりましたか。この間どこが入れたって、ここへもこなければ、ここへもこなければ、ここへもこないのです。これは八五で引いたということ、大うそこきの総裁が言っておるんだ。八五で引かなくてもいい、八七に引いてもいいのです。もっと下の、幾らに引いてもかまわないのです。いいですか、もうここより落ちない入札方法なんです。佐藤もそれなんだ、わかりましたか、だからこの人たちが鹿島に落とそうと思えば——目途額なんというものは、見せたことがわかっているんだけれども、見せなくても、請負業者というものは、このものに対してたいがいどれだけの目途額かというようなことはわかるんです。これはもう村上という、こういう土建の専門家の人がいま通産省の政務次官をやっている。目途額がわかるのです。だからこの目途額は四十四億九千万、これは四十三億だったって、一億くらい違ったって、二千万、三千万違ったって、鹿島にしか落ちないようにできておる。だからこれは、どこへだれが入れたって絶対に落ちない。佐藤もそうなんです。しかもこういう入札方法というものはいままでやったことがないんですよ。いままで電発でやったことがない。この土地の入札でやったことがない。そこで、そこに刑事課長もおられるが、公ではこうとかああとかいうこと、研究その他のことより言えないけれども、体験上やはりこれは紙か声でこの目途額とかこの入札の方法においてとにかく知らしたものである、あるいはそういうもので、とにかくだれが見ても不完全である、何かあったなと思うと言われているのです。会計検査院のほうでも言われておるのです。この入札方法とは、公の入札でなくて、随意契約のなれ合いの契約入札方法であるということを言っておる。だからあなた方の言われている、あなた方地元が正しければ、これを白紙に戻して、通産大臣電発にきめた、いままでやってきた入札方法でやらなくちゃならない。どこへも落ちないようになっておる。  そこで委員長村長さんに聞きしますが、これはどうです、両方の方でどっちでもいいから答えてもらいたいのだが、この水利権の施工認可というのと着工証明書というのは違うのですか、同じですか。
  52. 笠羽清右衛門

    笠羽参考人 着工証明と水利権の認可は違うとおっしゃるのですか。
  53. 田中彰治

    田中(彰)委員 違うんですか、同じですか。
  54. 笠羽清右衛門

    笠羽参考人 私は違うと思っております。理由を申し上げますか。——着工証明というものは、結局本工事に着工しておらなければならぬと思います。
  55. 田中彰治

    田中(彰)委員 そこで、こういうことがあったのですか、ないのですか。ひとつ読みますから御回答願いたいのです。吉田さんが答弁するに、世銀から借り入れる金が二千五百万ドル、なお調印は一月十四日午後五時、日本時間で、これは一応した。内容の条件としては、水利権施工認可、着工証明も入れて、三月十四日午後五時までに日本政府のオーソライズした証明書を提出しなければならぬ。そこで、吉田総裁がこれをとりにいかれたときに、こういうことをいわれておるのです。二月二十八日、吉田総裁水利権使用認可書及び工事施行認可書を交付されたときに、工事着工証明書の交付を強く要請したが、錦戸河川課長はこれを断わった。その理由は、福井県と世銀とは何らの関係がない。また現在、大野地区で施行している道路工事等は本工事とは認めない。よって着工証明は出せません、こう断わった。そこで三月六日、笠羽特別委員長は、錦戸河川課長に対して、水利権使用認可書に指令せる付帯条件の第一項及び第三項に基づき、厳重抗議したところ、河川課長いわく、今後の補償交渉と地元和泉村と電発との間に完全なる了解により円満妥結の協定文書の交換成立まで本工事の着工証明書は絶対にこれを認可しないと言明があった、右の言明に対して確認書は、三月二十一日県議会議長に対して文書をもって提出する。三月八日、笠羽委員長杉本村長は、錦戸課長より、前記の言明を再確認した、こういうことがきているんですが、これはどうでしょう。事実なんでしょうか。
  56. 笠羽清右衛門

    笠羽参考人 それはどこから参っておりました。それは厳重抗議はいたしました。ただ、問題といたしましては、先ほど、五日の日に一応県議会の審議を終えてから、水利権を無条件でおろすように知事との間で話はできておりました。それから地元村長にも十日ごろまでまとめなさいな。ところが、そうしよう。十五日ごろには村会を開くからという打ち合わせができておったことは事実でございます。ただ、そこで二十八日に条件つきの水利権を渡したものだから、非常に五日の委員会は紛糾をいたしました。主として議会内部で行なわれていること、議会決議というもの、そういったものは外部の声でもって左右されるようなことは、知事はこれはだめではないか。今後渡してしまった以上、早く政府電発へ行って覚え書きをとってこい。あと政府電発責任であるから、一応地元と円満な解決を早くするようにという一札をとってこいという強硬な意見がございましたのと、それから、ただいまのその文章は、非常にあなたはかたくお読みになりましたけれども、私どもは内輪でございますから、結局、工事というものはどういうことだといったところが、私のほうの河川課長は、工事というものは本工事を指すんだ。たとえばつけかえ道路とか、トンネル、橋とかそういったものは一つの付帯するものであって本工事ではない。だから工事の証明はできないんだ。やっておれば証明をすることはできる。それから、あなたの水利権を二十一日までに出せというのではありません。実は二十三日で県議会も終わりますから、二十三日の日に電源開発特別委員会がございます。その資料としていかなる形の水利権書類をつくってあるのか、それをまず提出しなければならぬからつくっておきなさいということでございます。お読みくだすったおことばはずいぶんかたさがございますけれども、私どもはそんなようなぐあいで、話し合いの中で行なわれたことは事実でございます。
  57. 田中彰治

    田中(彰)委員 そうすると、この水利権の施工認可書をとるときに、吉田総裁から着工証明もやっぱり要求されたのですか。いかがですか。
  58. 笠羽清右衛門

    笠羽参考人 その内容のことは承知はいたしておりません。
  59. 田中彰治

    田中(彰)委員 そうすると、水利権の認可をしたときは、もう着工証明を出さなくても着工してもいいんだというお腹なんですか。水利権の認可はしたけれども地元のすべてが解決つくまでは工事に着工できない、だから着工証明は出さない、道路なんかつくっているのもほんとうの着工とは認めない、こういうようなお考えなんですか。どうもあんたのお話を聞いているとどっちだかわからない。
  60. 笠羽清右衛門

    笠羽参考人 どっちかわからないというのは、あなたのおっしゃるのがよくわからぬのであります。実は私ども水利権を条件つきで渡した。だから、五日の日委員会は非常に意見が紛糾いたしました。知事はその間に立って非常に苦労しただろうと思うのでございますが、私どもは早期に着工して早期に開発したいという意向は持っておりました。ただ、事のずれですね。着工証明の内容はよくわかりませんから、二十一日に一応書類を全部委員会に出せるようにしておいてくださいよ。その中で、実はあなたのおっしゃる着工証明とか、そういうのじゃないけれども、着工はさせないといっておる。それから、条件のうちでも、紛糾を生じないという三つばかりつけてあるわけであります。これはどうだといったところが、河川深長は、実はトンネルや橋や道路だけでは本工事でない以上着工ではないんだという意見の表明だけはございました。証明書云々は私はよく知りませんが、結局そんなふうな形で資料として一応二十一日までには提出される運びにはなっております。それでおわかりになりましたでしょうか。
  61. 田中彰治

    田中(彰)委員 あんたのほうは、着工証明というものは二十一日に出すのですか、着工して何でもしていいという証明を。どうなんです。
  62. 笠羽清右衛門

    笠羽参考人 二十一日に出してまいりましたものを、たしかこの二十三日の最終の委員会でこの資料を検討いたすことになっております。
  63. 田中彰治

    田中(彰)委員 そこでちょっとくどいようになるけれども、どうですか、いまの水利権の施工認可で電発がすべて工事をどんどんやっていいと思われるのか、あんたのほうでは地元の全部が解決するまでは工事に着工してはならぬというかたい意思なのですか。いや、やるならやってもいいんだという意思なんですか。そこで、私のほうでは、水利権の施工認可というのと着工証明は別なものであると信じている、私どもはしろうとですから。そこで、水利権の施行認可で、総裁のこの前の答弁によると、あと墓地なんか片づけるのは昭和四十三年からでき上がるまででいいのだ。あとそういうものは触れないでいいんだ、解決するんだ、で、工事に着工できるんだ、こういうことを総裁がここで答弁されておる、この前の委員会で。そこで、私らはそれはできるものなり、それでいいんだと思っておったところが、あんたのほうからこういうものが私のところに来たのは、着工証明は出していない、だから、道路を敷いたりいまやっておるのは本工事と認めない、付帯工事だ。全部地元が着工していいという証明書を出すまでは工事に着工させないんだと錦戸河川深長がいっておるのです。あんたのほうは、特別委員長で、いや水利権の施工認可したんだから、本工事だろうと付帯工事だろうとやっていいんだ、総裁の言われるとおり、水をためるまでにすべての解決ができればいいんだ、これを承諾されておるのか。いや、それはだめなんだ、全部きまりつかぬから本工事に着工させないんだ、着工していいという証明も出さないんだという意見なのか、これをちょっと。これはあんたと私の取り引きじゃないのです。世銀に対する一つの契約の内容に触れているので、これを聞いているのです。
  64. 笠羽清右衛門

    笠羽参考人 着工証明の問題は、さっきお答えしたとおり、別に着工させるとかさせないとか、そんな権限は私ども持っておりません。事務的な形で錦戸課長はそういう見解を示したことは事実でございます。
  65. 田中彰治

    田中(彰)委員 そうすると、もうこれで水利権の施行で全部どんどん工事をやっていっていいんですね。
  66. 笠羽清右衛門

    笠羽参考人 それは地元と一応よく相談をしてやらなければなりません。私どもはそういう形で考えておるわけであります。紛糾のないように、円満に妥結した上で工事をやっていこう——そして知事が出した水利権の条件をよくごらんくださればわかると思います。
  67. 田中彰治

    田中(彰)委員 村長、あなたの考えはどうなんです。もう水利権も施行したから工事にどんどん入っていく、そして水をためるまでに、総裁の言われるように、四十三年までに村の解決をおいおいしていく、それでいいからどうぞ工事にかかってくださいとおっしゃるのか、それは困るのだ、しっかり地元を解決しなければ、小さい道路の一本や小さい橋の一つはいいけれども、これは本工事じゃないのだから、本工事に着工してもらっちゃ困るのだという地元意見なんですか。これははっきりしてもらわぬと、あなたのほうでいろいろなことを言って投書されても、私のほうでは、あなた方がここで証言をして、私どもはこれを処理するのだから、なれ合いではいけませんよ。
  68. 杉本又助

    杉本参考人 知事の水利権を認可するその認可証に条件がついています。私たち和泉村といたしましては、昨年の十月に、いままで前総裁は、御母衣ダムとか、いままでの補償方式とは違って、九頭竜は補償が大体全面的に解決するまでは本工事にはかからない、いわゆる九頭竜方式でやるのだ、かように申していました。ところが、水没の個人補償の基準は、昭和三十八年の十一月に協定ができまして、三十九年に順次個人補償の交渉をして、三十九年度には大体九〇%完了いたしたわけでございますが、その十月にまだ個人補償の交渉中に、御承知のとおりに第一工区と第二工区の入札がございました、率直に申しますと、私はしろうとでございますから専門的なことはわかりませんが、せり市ならば高いところに落とすのが普通でございますが、競争入札して最高のところへ落札するとは、私、いままで聞いたことがございません。非常にこの入札に対しては疑問を持っていたわけでございますが、そういうような補償が全部解決する、いわゆる九頭竜方式でやるんだ、こう電発の藤井総裁が申されながら、自分でその九頭竜方式をやらず、中途で本工事入札を行ない、しかも最高価格で落札した、これでは残された和泉村の補償がどうなるか、非常に不安を持ったわけでございます。  そこで、昨年の十月に、県議会に対して、まだ奥地に残っている五部落の補償の問題、村の公共補償——私の村はこの電源開発によって約四八%人口が減りまして、昭和三十一年に町村合併によって適正規模町村は人口八千ということでございましたが、地理的な関係で二村合併して約五千の村になりましたが、その四八%がこの電源開発のために水没し、ほかへ移住しなければならないので、こういうようなあと和泉村の育成の問題、そういうようなあらゆる村の補償あるいは要望が円満に妥結するまでは、水利権並びに事業の施工許可証を与えてくれるな、こういうように県に対して陳情いたしましたところ、県議会におかれましては、昨年の十二月二十二日の本会議で採択、決議されたわけでございます。そこで、電発と早期にわれわれは解決いたしたいので、いろいろ交渉を現在も続行中でございます。ところが、そういうような妥結を見ぬ前、二十八日に、知事さんは、私がせめて十日間延期していただきたい、何とかこの十日間でこぎつけて円満な妥結を見たいから、十日間水利権許可をしていただきたくない、こういうように要請をしたにもかかわらず、二十八日に水利権を出したわけでございます。しかしながら、その条件にもありますし、和泉村としては、今後残された補償について円満妥結するまでは工事の着工を拒否する決意でございます。
  69. 田中彰治

    田中(彰)委員 あなたのお話を聞くとよくわかるのですが、ぼくは特別委員長に聞きますが、非常に疑問に思っておるわけだ。総裁が行かれたときに、開花亭とかいう料理屋でいろいろな関係をまとめるためにやられて大騒ぎしたが、ほかの者はみなおっかながって行かなかったが、あなただけ行ってくると言われてそこでいろいろ話をされたということを言われたが、そういうことはあったかなかったか。
  70. 笠羽清右衛門

    笠羽参考人 それは総裁がいらっしゃった当時ですか。
  71. 田中彰治

    田中(彰)委員 そうです。
  72. 笠羽清右衛門

    笠羽参考人 総裁のいらっしゃったのは四日でございましたね——四日においでになりまして、そうして問題は奥地五部落の残存問題でありました。それからいろいろ話し合いをいたしましたが、話は一応別な形で簡単なものでありました。それから開花亭に行ったかどうかという話でしたが、実は正副議長と私と一応およばれを受けたことは事実でございます。そうして議長と副議長とは、どうもおかしいから行きたくないというので、黙って行かないからという話でありました。私には、だれも行かぬのも都合が悪いから君は行ったらどうかと議長が申しました。そこで、一応総裁、実はこういうふうなことだからと申したところが、実は新任のあいさつに来たんだから、ぜひひとつ出てきてくれ、実は八月の二十八日に初めて就任して、それからまだ福井県にあいさつに来たことがないので、そういう意味で御招待しているということでありましたし、私も御辞退したのでは、議長も副議長も行かず、それから新任のごあいさつであるならば一つの社交的な儀礼として私だけが出席いたしました。  それからどんちゃん騒ぎはいたしません。私のほかにおりましたのは、局長と副知事の三人だけであります。それからいらっしゃったのは、総裁と高橋理事地元の本部長と次長でございました。それくらいおったところが、みんな紳士でございますから、話をしたのは一時間ばかりであったと記憶いたしておりますが、どんちゃん騒ぎはいたしておりませんし、はなはだ清潔な会合であったと私はいまでも自信を持って申し上げることができます。
  73. 田中彰治

    田中(彰)委員 そこで特別委員長、あなたがいまいろいろなことを言われるが、二十五日の総裁答弁の中で、地元の補償は民家数軒を残してほとんど終わっている、こういうことをここで言っておる。これは速記録にあります。そこで私のほうは、そうじゃないんじゃないか、村内の各学校をはじめ一切の公共物については補償契約はできていないではないか。さらに墓地については、地元民は祖先伝来の墓地を最も大切にしているので、これが改葬については種々の手続を要するが、改葬契約すらも終わっていないとのことである。いわんや無縁仏については、墓地、埋葬等に関する法律とその施行規則によると、死亡者の本籍地に照会し、回答を得ない場合は三回以上、二種以上の日刊新聞に公告し、最終公告から二カ月以内は手をつけることはできない、こういうことも言い、これに手をつけたときは刑法百八十九条により二年以下の懲役となり、さらに死体や骨をいらえば三カ月以上、五年以下の懲役となる、こういうようなこともある。そのほかにいろいろ保安林等の問題があって、この保安林等も、ただ知事が許可しただけではなかなかできない。やはり農林省その他いろいろなことをやっていくと、これにも相当な手続が要る。それだからこういうものをしないで、水利権の認可書を持ってきただけで、ただアメリカの世銀に水利権の使用認可をもらったからこれで何でもできるのだ、そして自分は、国会では数軒残っているだけだと言われている。これはどうですか、村長さん、数軒残っただけで全部解決しているのですか。
  74. 杉本又助

    杉本参考人 私、村長はつとめていますけれども、五軒か十軒か、残っていることを、確かな報告は受けておりませんので存じませんが、私の想像では旧戸の、いわゆる先祖伝来私の村に居ついた人は数軒だろうと思います。ただしよそから、いわゆるダム屋と言っていますが、入ってきている新戸の家屋は、戸数はまだ三、四十戸あるのではないか、かように考えます。
  75. 田中彰治

    田中(彰)委員 どうも村長さん、あなた方の話はおかしい。あなたがそこの村長で、地元とかそういうものはみんな解決ついた、数戸残っているだけだ——いま私が読み上げた学校も私のほうでは解決をつけておらぬと見ている。鉱業権もたくさんありますよ。その他墓地もある、保安林もある、いろいろなものがあるのをあなたがお知りにならぬで、五、六戸だけ残っているのなら、それでやらしたらいいじゃないですか。
  76. 杉本又助

    杉本参考人 私がいま申し上げましたのは、個人補償の家屋の問題で、あとに残っているのは、まだ奥地の部落も全面的な解決はついていません。しかしこれは県の責任で解決していただくことになっていますので、ほぼ見通しがついてきたわけでございますが、水没家屋としては、旧戸の人が数軒、あるいは新戸の人は三、四十戸あるやに聞いています。つまり学校とかそういう公共的な村の補償は、村有地の水没、いわゆる水没するところの学校、役場、診療所、そういうような問題は、大体補償の交渉は進んではいますけれども、いまだ妥結していませんし、まだ、あとの村の育成に対するわれわれの要望、そういうようなことも現在話し合い中で、いわゆる公共補償というものは全然まだ妥結していません。先ほど申し上げましたのは、いわゆる個人の、四百戸なら四百戸あるうちでもうどれだけ残っておるのかというような御質問と私考えまして、それは旧戸のうちでは数軒、あるいは新戸がまだ三、四十軒はあるだろう、かように考えます。
  77. 田中彰治

    田中(彰)委員 そうすると、旧戸の古い部落のは残っているが、これは解決しなければならぬが、新たに人ってきた三十数軒のは解決しないでもそのままやっちゃっていいんだ、こうお考えになるのか。  それからもう一点、ほかの人もございますから……。あなたはほんとうのところ、いまの道路とかそういうものはつくっておるけれども、この解決を全部しなければ着工してもらってはいけないんだ、着工におれは反対するんだ、いや、やってもいいんだ、どっちなんですか。これによって世銀の規則にいろいろなものが出てくるのです。
  78. 杉本又助

    杉本参考人 新戸のものは——旧戸さえ解決つけばいい、そういう考えは持っていません。それから道路とかそういうものは、先ほど申し上げましたとおり、村の公共補償、それから和泉村のあとの育成の問題、それから数軒残っておる問題、そういうような問題がともかくも解決するまでは、円満に話し合いの済むまでは本工事は反対だ、これは和泉村として反対だ、これに間違いございません。
  79. 田中彰治

    田中(彰)委員 そこで総裁に一言お尋ねしますが、世銀との契約の中に、水利権の使用の許可書さえとれば工事に着工していい、着工証明書も要らぬ、それからほかの解決も水没するまでに解決すればいいんだ、世銀との契約内容はそういう簡単なものなんですか。水利権の使用の許可書も必要だが、工事着工の許可書も必要、そしてこういう補償も全部解決しましたという内容的報告も必要——これに対する総裁意見はどうなんですか。
  80. 吉田確太

    吉田参考人 この前申し上げましたように、水利権、これは正式にいいますと九頭竜川水系のこの発電所の水利使用許可申請に対する許可書、これが世界銀行の借款の一つの条件ということを弁護士側の意見として必要とする、こういうふうに思っております。  いま一つ、着工証明書という、まことに先生のおことばを返すようですが、工事を実施する、工事実施の認可申請書というものを私のほうは福井県知事に出しております。そして水利権の水利使用許可書、同時に工事を施工してよろしいという認可書、この二つが私のほうの弁護士側の見解で必要だというので、そういうものをとって、それを弁護士に届けております。同時に、たしかそれを世界銀行に私のほうは打電はしたと思いますが、私のほうがとったかどうかは、そういうことを私のほうで証明してみても、第三者の向こうが信頼を置く弁護士の証明が要るので、先生のおっしゃる工事着工の——先ほど来工事着工証明書とか言われましたが、それはおそらくこういう意味だろう。工事実施認可申請に対する認可しますというのを二月の二十八日付でいただいたのでありまして、しかしながら、これから円満に、村との紛争を来たすようなことをせず、そういうことを振りかざさずにやってくれというお話でございまして、工事仕事をする点はだいじょうぶだというので認可書をいただいております、
  81. 田中彰治

    田中(彰)委員 そうすると、特別委員長、あなたもお聞きになったでしょう。村長さん、あなた方の村から来るのと、あなたの御答弁と、どうも違うんだ点いま総裁の話を聞くと、いいですか、錦戸河川係長の言うのと違って、水利権の施工認可書をもらったということは、もう工事に着工していいのだ、あなたが工事に着工してもらっては困るとか、錦戸課長が、これは本工事と見ないとか、それからこの工事に対する着工証明書とかいうものに触れているが、そんなものはもうないのだ、水利権施工認可書で全部できるのだと総裁が言われておるのだが、あなた方の考えと違うのだが、どうなんです。あなた方も、権利を渡した以上は、もうそれでいいのだという考えなんですか、いやそれはそうだけれども水利権施工認可だけれども工事につくことと違うのだ。それは施工認可書で何をやってもいいということがほんとうなのか、あなたのほうの反対されていることがほんとうなのか、どうなんです。これはあなた、はっきりしておかないと、あとでいろいろなことで、速記録に残るのですよ。
  82. 杉本又助

    杉本参考人 私、水利権さえおりればどんどん仕事してもいいのか悪いのかは、そういう法の解釈のことは私自体は知りませんが、とにかくも、してもいいのでも悪くても、私たちの補償が円満に妥結するまでは、和泉村としては反対するのだ、こういうことでございます。
  83. 田中彰治

    田中(彰)委員 特別委員長、どうなんです。施工認可というものと着工というものと見解はどうなんです。
  84. 笠羽清右衛門

    笠羽参考人 私は、工事は本工事工事であるという河川課長の話は、これは適当だと思っております。
  85. 田中彰治

    田中(彰)委員 不適当ですか。
  86. 笠羽清右衛門

    笠羽参考人 いやいや、適当だと思っております。別に疑義はないつもりですが、先生、何か私の考え方に誤りがございますか。
  87. 田中彰治

    田中(彰)委員 いまあなた、総裁の話をお聞きになったでしょう。水利権の施工認可で工事は着工していいのだという世銀に報告がいくのです。これでもう工事の着工のすべての認可書だということを言われている。ところが、それは水利権の施工認可はしたけれども、本工事に着工するということは認めておらぬのだ、こういうふうに村長さんも思っておられる。この錦戸という人も、これは反対なんだと言っているのだが、あなた、特別委員長として総裁の言われるとおり、もう工事に着工していいのだ、いやいけないのだ、どっちなんですか。それなんですよ、その一点でいいのです。
  88. 笠羽清右衛門

    笠羽参考人 平和で円満な妥結を見ればよろしいわけであります。平和で円満な補償が済めば、私は現地主義でございますから、現地がそれでよしとすればよいと思います。紛争の種のある間はだめだと思っております。
  89. 田中彰治

    田中(彰)委員 それがおかしいのですよ。平和だといっても、平和で済んでおらないのだから、残っておるのでしょう。それだから村長とかこの錦戸という人は、工事に対する着工というものは認めないのだ、道路とか何か小さいものをやっておるのは、そんなものは本工事じゃない、付帯工事だ、地元の問題が全部解決するまではだめなんだ。ところが、あなたが平和にいけばというが、平和にいけばいいのだが、いかなければやはり本工事の着工に反対なのか賛成なのか。一たんこういう施工証明を出したのだから、これでやられてもしかたがないのだ、こうお考えなのか、絶対いけないのだとお考えなのか、どうなんですか。
  90. 笠羽清右衛門

    笠羽参考人 紛争のある間は絶対にいけないというのが私どもの考え方でございます。
  91. 堀川恭平

  92. 勝澤芳雄

    勝澤委員 県会議員の方と村長さんに申し上げますが、決算委員会というのはわりあい党派を別にして国民的な立場で真相を究明していこう、こういうことでやってきたわけです。 いまもそうやっておるわけです。そういう立場で、私は実はこの問題がこの委員会で取り上げられてからあなた方の名前もちらほら出ておるので、一度来ていただきたいと実は思っておったのです。たまたま先回、田中先生がさっき読み上げられました投書がありましたので、まあそれなら幸い投書の中身を確かめる、こういうことでおいでを願ったわけであります。時間がありませんから、経過について簡単な御答弁でいいですからお願いしたいと思います。  村長さんにお願いしたいのですが、和泉村の尾崎二郎という人の投書があったわけです。その投書があったんで、私は皆さんに来てもらうことに賛成したのであります。尾崎一郎という人は和泉村には、さっき県会議員の方は承知していないと言っておられますが、村長さん御存じですか。
  93. 杉本又助

    杉本参考人 私の知っている限りでは、実在していません、
  94. 勝澤芳雄

    勝澤委員 次にお尋ねいたしますが、三十八年の十二月の十六日に、和泉村の村議会として「九頭竜川電源開発に伴う住民の福祉に関する決議」というものがなされておるわけでありますが、これは村長さん御存じですね。
  95. 杉本又助

    杉本参考人 はい知っております。
  96. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それでは次に三十九年の二月一日、村長さんと村議長さんの名前電源開発の高橋理事にあてて、「九頭竜川電源開発に関する要望書」が出されておりますが、これは御存じですね。
  97. 杉本又助

    杉本参考人 日にちは覚えておりませんが、そういう要望書を何回か出しています。
  98. 勝澤芳雄

    勝澤委員 これを見てみますと、「此の度、我が村内の水没補償も、既に調印を終え、逐次公共補償、奥地残存対策並びに移住対策等の諸問題も、その解決に鋭意努力致しつつある折柄、本工事の着工に当り、」以下いろいろ書いてあるわけなんですが、まあいうならば、地元の意向を聞いて工事を促進をしてくれ、こういう要望だと存じますが、そうですね大体、大まかに言いまして……。
  99. 杉本又助

    杉本参考人 いまのその要望書は幾日に提出したものでしょうか。   〔勝深委員参考人書類を示す〕
  100. 杉本又助

    杉本参考人 奥越の電源開発は、昭和三十二年ごろから北電、電発の両者が検討していましたわけですが、その間いろいろな紆余曲折はございましたが、同じ公共質業で開発をするならば、大規模な開発和泉村としては希望していたわけでございます。そうして、たしか三十八年の十二月の電源開発審議会で決定されたと思いますが、(勝津委員「いや村長さん、その書類を出したか出さぬかという話だけでけっこうです」と呼ぶ)これを出したことは間遠いございません。
  101. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうしますと、地元ではこの工事を促進をしてくれ、そうして地元意見を聞いてやってくれ、こういう二本立てで出ているわけです。そこでお尋ねしたいのは、この要望書なり決議書を見てみると、この工事は端的に言って御母衣ダムをやった間組にやらしてくれ、こういう要望書なり決議書になっているわけですが、そういう決議なんですね。
  102. 杉本又助

    杉本参考人 簡単に言えばそういうことでございますが、理由といたしまして……。
  103. 勝澤芳雄

    勝澤委員 理由はよくわかっていますからいいです。理由は、経験があって地震があったけれども心配ない業者だと、こう言われているわけですね。そこでこの決議に基づいて県議会の特別委員会においても地元の御母衣ダムをやった間組にやらすべきだ、こういう決議が出されておりますが、そのとおりですね。
  104. 笠羽清右衛門

    笠羽参考人 私のほうは地元本位でございます。しかもそれはよく調査した上であります。
  105. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこで先ほど村長さんは、藤井総裁が九頭竜方式ということを言われたとおっしゃっている。九頭竜方式というのはどういう方式なんでしょうか。
  106. 杉本又助

    杉本参考人 御母衣とかその他のダムでは補償が解決しなくても本工事をどんどんとやってきて、本工事をやりつつ補償をやっていったのだ、そうすると、あとほど補償が非常に高く要求されて困る、したがって、九頭竜は補償が解決してから本工事に着工するのだ、これが九頭竜方式だ、こういうことを総裁は言ったのだと思います。
  107. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうすると、九頭竜方式というのは補償問題だけなんですね。いまあなたが言われたのは、あなたが理解している藤井総裁の言う九頭竜方式だということですね。そうしますと、藤井総裁のときでも、あなたのほうは早く着工してくれという要望はしておったわけですね。それが吉田総裁になっても、結局早くやってくれという点には変わりはなかったのですか。
  108. 杉本又助

    杉本参考人 ただ何でもかんでも早くやってくれじゃなくして、いわゆる公正妥当な、地元の納得のいく補償が前提でございます。   〔委員長退席、田村(元)委員長代理着席〕
  109. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それは補償が前提なのですか、入札のやり方が前提なのですか。
  110. 杉本又助

    杉本参考人 前にはとにかくも補償が前提であり、そういう補償でなければ和泉村は反対だ、それからこのロックフィル・ダムの問題が計画が発表されますと、地元住民並びに九頭竜川下流の住民は、普通のコンクリートダムとは違いますので、非常な不安動揺を来たしたわけでございます。そこで和泉村といたしましても、あるいは県会でもそうでございますが、隣の和泉村は非常に降雪量も多く、それから地震、水害の多発地帯でございますので、同じ自然的な条件にある御母衣にロックフィル・ダムができましたので、そこを視察しました結果、私の聞くところによりますと、日本ではどうしてもやはり自信のある技術者がなかったのだろうと考えますが、アメリカから五億とか数億の金を出して技師を雇って、その技師の指導のもとに間組がこのロックフィル・ダムを施工したと聞いています。したがって、そういうような技術を習得された経験のある業者にぜひとも長野ダムはしていただきたい、これは村民感情でございます。したがって、適切な補償とそして工事はやはり間組、これは二つとも同じでございます。
  111. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこで電源開発から出された資料を見ますと、ロックフィル・ダムは間組が御母衣と大白川をやった、西松が牧尾、皆瀬、石淵をやった、鹿島は魚梁瀬を工事中だ、それからコンクリートダムがずっとこう出ておるわけです。ですから電源開発で言っておるのには、五つの業者指名しましたね、この五つの指名業者は今日この長野ダムをやるについてふさわしい業者だと言っておるのですが、村長さんはどうお考えになりますか。
  112. 杉本又助

    杉本参考人 私はそういう詳しい業者の点は存じませんが、やはりこういう競争入札になれば、随契とは違って一社というわけにはいかないと思いますから、そういう業者が適当とすればやはり適当であろう、かように考えます。
  113. 勝澤芳雄

    勝澤委員 電発が五社が適当とすれば適当かもしれないけれども地元村長としては、御母衣をやった間でなければ困る、これが意思だ、こういうことですね。
  114. 杉本又助

    杉本参考人 間が一番適当だ、これは私たちの調査の結果そういうように考えますが、随契ならば一社に随契ということはできますけれども指名入札の場合は、やはり全国での有数な、技術も経験も豊かな業者を選定されたことと思います。
  115. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこで、電発は八月二十日の理事会で、藤井総裁のもとでこの五社の指名業者をきめたと報告されております。それを今度は九月に入って、九月三日に吉田総裁のもとで再確認をしたという報告になっております。八月二十日に藤井総裁は五社を内定した。そうして九月三日に吉田総裁がそれを再確認された。そうして九月二十四日に最終的に入札が行なわれたわけであります。この業者がきまって入札が行なわれる間に、九月十六日です。間組が適当だからこれに入れないと困る、こういうのが村長議長、それから副議長電源開発事業委員長、こういう名前で出されておるわけです。こういうことが出ておるのですね。
  116. 杉本又助

    杉本参考人 出ています。
  117. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこで藤井総裁は、この工事は間組にやらせるということをあなたとお約束をしたことがあるのですか。
  118. 杉本又助

    杉本参考人 したことはございません。
  119. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうしますと、この工事は、あなたも村長さんをやられておるのですから——地元は間組にやらしてくれといっている。間組でなければ、地元は不測の事態が起きるとかあるいは工事着工は困るとかいわれている。こういうことを村議会で決議して持っていったときに、あなたが電源開発総裁なら、四十数億という大きな工事地元が間組にやらしてくれというから、電発総裁として間組にやらせなければならぬと言うことはできますか、どうですか、あなたが村長でなくて、電発総裁なり、あるいはこのあなたの決議を受けた立場の人ならですね。それはあなたが普通の人と違う村長という高い地位におられる、あるいは特別委員長という高い地位におられるのですから、私は言っておるわけです。その点どうお考えになりますか。村長さんと笠羽さんから……。
  120. 杉本又助

    杉本参考人 私がもしその衝に当たったといたしますと、それが適当だと判断すれば、やはりできると思います、随契ならできないでしょうが、要するに指名には当然入れると思います。適当でないとすれば、あるいは入れなんだかもわかりません。
  121. 勝澤芳雄

    勝澤委員 これは競争入札で五社でやったわけですから、五社の中に間は入っているわけです。ですから地元村長の要望を聞いて、これを競争入札で間に入れる方法があるかどうかということです。あるいはまたこれを随契で間にやらせることが、あなたが電源開発総裁という立場でできるかどうかということを私は聞いている。この決議の内容が実現できる決議なのかどうなのか、こう聞いているわけです。
  122. 杉本又助

    杉本参考人 私はわかりません。とにかく村民感情としてそういうことを電発に陳情いたしたわけでございます。
  123. 笠羽清右衛門

    笠羽参考人 私のほうは、実は入札の問題というよりか、電源開発の専業は福井県の大きな事業であるから、三つのことを電源開発総裁にお願いをしたことがございます。第一は福井県を基地とすること、それから福井県の道具や資材を使うこと、それから業者は、福井県には飛島、熊谷、前田といったような全国有数のものがあるから、そういう形をぜひ御採択願いたいということを実は私どもはお願いをいたしました。しかもそれはいまなおそういう形が私どもの支配的な空気であります。  そこで第一工区、第二工区のうちで、ロックフィル・ダムの問題について申し上げますと、実は三十六年のときでありましたか、北電と電発との競願の最中でありましたが、結局共同開発ということになりました。そして一応ストップしたあとで、三つの原則をもって私ども政府や要路に向かってお願いいたしました。そんなような経過がございますが、ロックフィル・ダムに関する限り、和泉村は間組だというぐあいに強く意見の表示をいたしてまいりましたのは、さっきあなたのおっしゃった三十八年の十二月ごろからであったと思います。その前に、実は私どもは、ロックフィル・ダムというのはどんなものだろうか、土と石でつくるものだ、これは非常にあぶないではないかというような意見がございまして、どんどん御母衣に向かって私どももいろいろ調べますし、いろいろ意見等も電発に聞いたことがございます。あるときは和泉の方々と一緒に参ったこともありますが、前の伊藤理事——たしか建設理事でございますか、ロックフィルは間でないとできないだろう、これは何といっても日本有数の最初のものだから、これはこれでなければだめだろうということをはっきりと申されました。それから、かわられました石田理事なんかもそういう見解を表明されたことも、事実であります。それから、当時の用地部長であった檜川さんも一応、それと申されませんでしたが、なかなか特殊な工事であるから、しかもアメリカの高い技術をもってやっているのだから、まさか福井県内の業者だというぐあいにおっしゃるのはちょっと筋が違いはしないか、むしろ日本有数の立場ということでやられたらどうですかというようなお話がございました。そのときはそんなことでありまして、私どもの考え方からいたしますと、四国の魚梁瀬のほうも実は見てまいりました。それから、西松がたしか農林省の何かで小さなロックをやったということも聞いておるのであります。西松も福井県の出身でございまして、心の底では、第一工区、第二工区は前田、熊谷二つ入っておりましたので、どっちでもいいが、とってくれればよいがという気持ちがございました。実は私どもは、そこで石田理事に聞いたことがあります。一体こんなに二つ入ってとれるのかどうかと言ったところが、おそらく下のほうは前田か熊谷かどっちか知らぬがとるだろう、これははっきりとおっしゃいました。しかしながら、私どもは、どうも入札の実態に触れると——田中先生さっき入札のことをおっしゃいましたが、どうも電源開発入札は特殊なものだ、どこかに線を引くのだからむずかしい点もあろうということもおっしゃったことがございます。   〔田村(元)委員長代理退席、委員長着席〕 そこで、ロックフィル・ダムだけは特殊な技術経験の豊富なもの、それからイタリアあたりでは、ダムではないが、くずれてきて、ダムの水がはね上がって四千人も死んだというようなことや、その他いろいろ外国でそんな例があって、これは非常に大切な問題であるから、地元でもどうかひとつそういう立場で協力してくれというお話がございましたし、ただ単に認識を得ずしてそういった問題で私ども経過いたしたわけではございません。以上でございます。
  124. 勝澤芳雄

    勝澤委員 県議会のあなたが九月八日に決議した申し入れを見ましても、この中でも、御母衣ダムの施工業者の間組でやってもらわなければ困る。「今回のロックフィル・ダム工事が万一他業者決定する場合は、和泉村はその決議に基き、絶対反対の行動に出る決意であるから県議会も挙げてこれに反対し、水利権工事施工認可等については一切これを阻止せられたし」と、こういうことが県議会の特別委員会の決議として、業者が五社きまったあと入札までの間に、実はこういう書類が出ているわけです。あなたもしろうとかもしれないが、私もしろうとですよ。競争入札ということになれば必ず二社以上になることは、これは間違いない。その間違いのない五社を指名している中において、間でなければ困るということが決定的に、村なり県議会なりできまって、これで競争入札が可能でしょうか。これなら競争入札は不可能なんですよ。どうなんでしょうか。
  125. 笠羽清右衛門

    笠羽参考人 当時和泉村の指導層の政情がそうなっておりましたから、実はそういうことも副総裁その他にも申し上げたことがあります。前の藤井総裁も、あまりひいきの引き倒れにならぬようにしたほうがよかろうという話がございました。地元の問題を非常に取り上げてまいりましたのは、実は三十二年以来、非常な不安な中で、あるときは台風がございましたり——三十四年と三十六年にあった。それから村も非常に不安定でございましたから、やはり村の言うとおりやってくれ、そういう意向がございました。それ以外、別に他意はございません。
  126. 勝澤芳雄

    勝澤委員 電発の方式を申しますと、この九頭竜ダムが行なわれるまでは、電発入札というものは談合によって見積もり合わせの契約が行なわれてきたというのが、今日までの私たちの調査で明確になったわけです、小森までの状態を見ておりますと。三社なり四社なりが入札をする。必ず落札はしない。むろんロワー・リミットは設けてありますよ。落札はしない。落札はしないから、一番安い業者と下のほうの電発の予算とが、ひどいのは十億も違うわけです。その十億違うやつをおりてきて、予算一ぱいに取られた。これがいままでの電発のやり方ですから、談合によって見積もり合わせがやられてきたということになれば、それは地元の意向なりあるいは会社の意向なり政治が関与して、この仕事はどこに、この仕事はどこにという振り当てがなされてきたかもしれませんよ。今度の入札は、過去と違って、この見積もり合わせの予算目途額の下にロワー・リミットを設けて、ロワー・リミットにすぽっと入ったわけです。それが廃品が入った。そうして、ほかのものはロワー・リミットより下だった。ですから、電源開発入札の歴史の中で、とにかく初めてあったことなんです。だから実は問題になっているわけです。その中で一番問題になっているのは、地元の人たちが、村も県もあげて、このロックフィル・ダムはとにかく間でなければいけないんだ——だから、世間でも、間に落ちたり地元の人に落ちたらよかったけれども、変わったところに落ちたからということが流布されているわけです。ですから、私は、間に落ちるようにするには一体どうしたらいいだろうかと考える。あるいは鹿島に落とすためにはどうしたらいいだろうかということを考える。そこで、村長さんや県議会の皆さんですから、こういう決議というものがなされたときに——道路公団でも水資源公団でもそうだと思うのですが、一体そこの施政者というものは、どうして世間をごまかすなり、あるいはどうやって地元の要望に沿うか、あるいは偶然か、あるいは故意か、こういうふうになるわけです。ですから、この問題は、突き詰めていけばいくほど、実は一番最初の段階から、地元業者ということでなくて、間ということになっているわけです。それはいまのお話で、ロックフィル・ダムを見てきた、方々回ってきた結果そうであった。あなたはしろうとじゃない、私よりも専門家ですよ。私は、電発技術陣を総動員して五社を指名して、五社が正しいものだ——いま私の知識では、やむを得ませんけれども、そうだと思っておる。現実にやられておりますから、思っておるわけです。ですから、そういう中で見たときに、一体高いのに落ちたというのは確かにおかしいことです。おかしいことだけれども、いま皆さんが地元で起きている問題から考えてみると、やはり村長さん、議会が間、間とこう来たわけですから、それを実行する電発が、もし間に落ちなかったら、今度は村長さんや県議会の皆さんはどう考えるだろうという点で、私はほんとうに疑問に思うのです。抽象的に、県が推薦する業者を入れてくれというなら、それはわかりがいいわけですよ。だれも政治家ですから、ダムがあるのですから、おい、その指名におれの推薦するのを入れてくれよとかなんとかあると思うのですよ。それは五人から十人の中に入るでしょう。しかし、ぴたりときめて、これにやらしてくれという決議を突きつけられて、これをきめなければ何もかもやらないぞと言われたときの入札方法というものは、一体どう入札したらいいだろうかということになる。  それと村長さんにお尋ねしたいのですが、これは藤井総裁に早くやってもらいたかったという地元の意向じゃなかったのですか。
  127. 杉本又助

    杉本参考人 先ほども申し上げたとおり、一応電源開発審議会でもそういうように開発決定されたのですから、公正妥当な、地元民の納得のいく補償を前提として早期に開発していただきたい、こういう考えを持っておりました。
  128. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうすると、藤井さんのときに早くやってもらいたかった、こういうことですか、地元の意向は。
  129. 杉本又助

    杉本参考人 藤井さんのもとにと、そう特定な人じゃなくして、とにかく地元民の納得のいく補償をして早期に開発してもらいたい、こういう一貫した考えです。
  130. 勝澤芳雄

    勝澤委員 五社の業者指名したのは、私が申しましたように藤井さんです。これはここではっきり藤井さんから答弁があったわけです。それが吉田さんに確定されて、入札までの間に地元としての決議書が出ているわけですから。じゃ、これから地元が決議をした、入札が変わった、地元としてはどうされるのでしょうか、いかがですか。
  131. 杉本又助

    杉本参考人 先ほど先生がおっしゃられた私たちの聞いている範囲内においてもいままでの入札は話し合いで話がきまった、私たちもそういうようにほのかに聞いておりましたので、先生もそうおっしゃいましたが、そういうような方法、よその地区でも業者の推薦をしたところが、調べてみたところが、ございましたし、こういう業者にしていただきたい、そういうつもりで推薦いたしたわけでございます。
  132. 勝澤芳雄

    勝澤委員 従来の方式でやれば、談合が成立さえすればかりにできたかもしれないと思うのです。ですから、今度の場合は従来とどう違っていると思いますか。どうでしょうか、村長さん、何でこういう入札が行なわれたかと思いますか、率直なところをひとつ聞かしていただきたいのです。われわれも困っているのです。
  133. 杉本又助

    杉本参考人 私はなぜこういうような入札が行なわれたかわかりませんが、先ほども申しましたとおり、せり市ならともかくも、少なくとも入札で最高価格に落札するということはふしぎでなりません。したがって、そういうようなふしぎは先生方にひとつ明瞭にしていただきたい、かように考えております。
  134. 勝澤芳雄

    勝澤委員 第一工区、第二工区の場合、最低というと西松と奥村になっているわけです。これですと、村の意見あるいは県の意見というのが採択されないということになる、それはどうなんでしょう。
  135. 杉本又助

    杉本参考人 なるほど村の意向が採択されませんが、やはりわれわれはそれがいいと思って、陳情いたしたわけで、それが必ず実現しなくても、いまの最高に落札したよりも最低に——これがわれわれしろうとの考えでは常識上普通だろう、かように考えております。
  136. 勝澤芳雄

    勝澤委員 やめておきます。
  137. 堀川恭平

    堀川委員長 神近委員
  138. 神近市子

    ○神近委員 副総裁大堀さんにお尋ねします。  こういうようにダムが開発される場合に、地元からこういうような陳情、たとえば特定の業者指名して、ここにやらせてくれというような要請をたびたび受けていましたか。
  139. 大堀弘

    大堀参考人 あるいはお手元にまだ届いていないかもしれませんが、私が前藤井総裁のときからお手伝いをしておりました関係上、八月ごろ特に急いでやれ、早期にやれという御陳情と、先ほど来ございましたように、御母衣をやった業者にやらしてもらいたいという御希望は承っております。ここにおいでになります……。
  140. 神近市子

    ○神近委員 いままでの工事です。
  141. 大堀弘

    大堀参考人 いままでのところは、ちょっと私も在任期間が一年余りでございまして、それより前のことは、私としてよく承知いたしておりません。
  142. 神近市子

    ○神近委員 それではいままで短期間で経験がないとおっしゃるならば、いままでやってきた方は、お隣の浅尾さんですか、そういうことを御存じの方は。
  143. 浅尾格

    浅尾参考人 お答えいたします。  私も理事になりましてからまだ日が浅うございまして、去年の四月になったばかりでございます。しかし土木部長当時のことを申し上げますと、ある工事がだんだんと着工が近づいてきますと、自分のほうはこういうところをやらしてもらいたいということはおりに触れて申し出てくることはよくございます。
  144. 神近市子

    ○神近委員 地元から要請があったとおっしゃるのですか、なかったとおっしゃるのですか。
  145. 浅尾格

    浅尾参考人 地元からの要請は、いままであったことは記憶しておりません、その以前のことはあまり存じておりませんから。
  146. 神近市子

    ○神近委員 以前のことは皆さん御三人とも御存じない。だけれども、聞いたこともないのですか。たとえばこういう和泉村から要請が出れば、前にこういうことがあったかなかったかということは、御協議のときに出るわけでしょう。それでも聞いたことがなかったというのですか。
  147. 浅尾格

    浅尾参考人 私の記憶では、なかったように思っています。
  148. 神近市子

    ○神近委員 この要請が出たということは非常に珍しいケースで、特に特定の工事者を指定してあるということに私どももひっかかりができるわけなんです。それで、この最高価格に入ったとか、それから最低がどうだとかということでなくて、この動機が御母衣ダムだけが原因なのか、ロックフィル・ダム、これはおそらくはかに上椎葉がロックフィル・ダムだったと思うのです。これはセメントではないからというのがいまの地元の理由のようですけれども、地震に対してはセメントのほうが強いか、あるいは土のほうが強いかということになれば、土のほうが安全性が強いのじゃないか。そういう点は学者か何かのお話をお聞きになったのですか。これは杉木村長さんにお尋ねいたします。
  149. 杉本又助

    杉本参考人 ロックフィル・ダムというのは、われわれの聞いたのは——私、実際専門家じゃございませんからわかりませんが、土と石とで固めるのだ、こういうことを聞いたわけでございます。したがってこの長野ダムがロックフィル・ダムだという計画が一応発表されますと、和泉村はむろんのこと、その下流の住民が非常に心配して不安動揺したわけでございます。そこで御母衣ダムを調査視察した結果、ちょうど日本でもああいう大きいダムは初めてのことで、アメリカから、非常に高いお金を出して技師を雇って、その技師の指導のもとに工事を施工した、こういうように聞いています。したがって、そういうような技術をじかに指導を受けて工事をやった業者にしていただきたい。  地震について、コンクリートよりもロックのほうが安全性があるとかないとか、そういうことは、私全然知っていません。ただわれわれしろうと考えで見ますと、土と石で固めたものは地震にも弱いんじゃないか、そういうふうな考えを持っていたわけでございます。
  150. 神近市子

    ○神近委員 そういうヒントを得るようなお話は、たとえば間組の人が話してくれましたか。それとも全く関係のないところであなた方がお聞きになったのですか。これが一点。  それからもう一点は、その近所に間組が工事をしたというところが何カ所かあるんじゃないですか。たとえば道路、橋というようなもので、そういう工事にかかっているということはないですか。
  151. 杉本又助

    杉本参考人 ヒントを与えた、そういう話ですが、これは私、電発開発昭和三十二年から問題になっていましたので、いろいろと電発の人方にも会いましたが、結局御母衣のああいう大きいダムは、アメリカからそういうような技師を頼んできた——これは間組ではなくして、ちょうどその当時電発の用地部長をしておられた檜垣さんから、あのダムはアメリカからそういうような技術者を頼んで、そしてその指導のもとにやったんだということを聞いています。  それから、私の村内で間組が工事をやった、橋をかけたとかどうとかいうような御質問だろうと思いますが、間組は私の村内で何ら一つ事業はやっていません。
  152. 神近市子

    ○神近委員 こういうことをお尋ねするのは、いま電発の方がおっしゃったように、地元から特定の業者指名して、国会までこの要請が出るということがいままでなかったことだから、これが問題になっている。私どもも多少の疑惑を持つということなんです。それでもし要望がいれられなかったということで、あとどうなさるというようなお気持ちなんですか。たとえば、いろいろなことが、ここの要請書に書いてある。こちらの言うことをいれなければ、ちょっと思い知らせてやるぞというようなことにもとれるわけですけれども、どういうことをこれは意味するのですか。
  153. 杉本又助

    杉本参考人 何でも陳情する場合に、聞いてもらえなければいたしかたがないという陳情は、私たちはいたしません。それが住民の希望ですから、ぜひともそれを実現さしていただきたい、そういうように陳情いたしているわけでございます。  それから特定の業者、私いま忘れましたけれども、いろいろなダム地点をうちの公共委員会で調査してまいったわけですが、やはりそれは電発さんの工事であったかどうかは、いま覚えていませんが、とにかくそういうような、地元業者を推薦したというようなことも、私聞いています。これがわれわれ間組を——とにかくもああいうような指導を受けた間組に業者をしていただきたい、こういうような陳情をいたしたわけでございます。それが聞きいれられなかった場合はどうするか、こういうようなお話でございますが、一応そういうような時期、決定になってみなければわかりません。やはり私一存で、ここでお話しすることはできません。
  154. 田中彰治

    田中(彰)委員 ちょっと関連。村長、あなたも、そこに県会議員電力委員長もおられるのだが、何か地元業者で熊谷、前田、西松もあなたのほうの村の人だ、もちろん村の人にやらしたいということが、それは人情としてあることであり、しかしあなた方がそうやって、たとえば間であろうと、熊谷であろうと、前田であろうと、西松であろうと、やらしてくれといえば、電発があなた方の要求をいれると思われたのか、あるいはいれない、やはり公正にやる、こう思われたのか。  それからもう一つ、間というような特殊なものがいま出ているんだが、間とか鹿島ということで言うこともおかしい。それは何だというと、われわれは、間にやらしたい、鹿島にやらしたいと言っているのではない。いままで入札したことのない方法を用いたということと、高いところに落ちたということ——制限価格がなければいいけれども、制限価格というものを設けてあって高いところに落ちたということはふしぎなんです。それから両方合わせると八億数千万円の金が余分に出ている。こういうことは国民血税上おかしいじゃないか。それじゃ西松とか前田とか熊谷とか間とかあるいは奥村とか大成とかいうものがこの請負をこのままで落としてやれないかというと、だれもやれると言っている。そうすると、安いほうへ落としたほうがいい。そこで、ただあなた方の考え方が、間から頼まれたり、熊谷、前田から頼まれたりして、そしてこれにやらしてくれと言ったのか。前田とか熊谷とか西松は地元の人だから、地元工事だからこれにやらしてもらいたいという、地元の愛情というんですか、それで言ったのか。間に対しては——上椎葉ダムなんか漏れて、ずいぶん民間が迷惑している。これは鹿島がやった。それだからあなた方が、間にやらせれば工事が安全である、体験者だから、大きなダムだから、どうせやるなら間のほうでやってもらいたいというようなことで言ったのか。あるいは電発とか間の関係者が、これは間にやらしてくれと頼んでくれと言われて頼まれたのか、この点なんです。どうも社会党の諸君の質問はおかしいと思う。間とか熊谷とか、そんなことは要らない。そこにきちっとやればいいわけだ。だから、あなたが頼まれたのか、頼まれないで、村の安全のために間とか、あるいはまた郷土愛のために前田とかなんとか言ったのか、それをひとつはっきりあなたのほうで言われたらいい。
  155. 杉本又助

    杉本参考人 私は、政治は——私も政治の末端に携わっておるものでございますが、民生の安定が第一だと考えます。したがって先ほども申し上げたとおり、ちょうどこの開発計画が発表されると同時に、和泉村はもちろん、下流の住民が、ロックフィル・ダムということにしろうとなためにそういう事情がわからないので、土と石で固めるようなダムをつくってもらっては困るというような、非常な不安動揺を来たしたのでございます。日本でああいう大きいダムをこしらえたのは御母衣だけだと聞いています。したがって御母衣を調査して、そして電発の方々にもいろいろ意見も聞きました。ところが、御母衣のダムはアメリカから技術者を頼んできて、その指導のもとにできたんだ、それをした業者は間組だ、こういうことを聞きましたので、そういう技術を習得した経験豊かな業者にしていただきたい、こういう考えのもとに陳情いたしたわけでございまして、決して特定な業者、間組その他の業者から一切頼まれもいたしません。また地元業者としては——私たちはぜひ地元業者にしていただきたいというのが人情でございますが、ロックだけは非常に不安があるので、そういう経験を持った業者にやらしてください、その他はやはり福井県の出身の日本のそういう前田とか熊谷とか、いろいろありますが、そういう業者にしていただくのがこれは人情でございます。しかしながら、決して熊谷さんからも前田さんからも間さんからも、どこの業者からもそういうような頼みは受けておりません。
  156. 田中彰治

    田中(彰)委員 あなたのほうでそういうロックフィルのダムに疑惑を待たれて危険を感じられて御母衣とかその他へ行って見学されたんですか。見学された場合は、団体で行かれたのか、一人か二人で行かれたのか、その点どうなんですか。
  157. 杉本又助

    杉本参考人 住民でバスを買い切って行った部落もありますし、いわゆるダムサイト下流の住民がそういうことに非常に熱心でございました。それから村としましては、役場吏員と、私も行きましたし、議員でやはり公共委員あるいは残村委員、そういうような委員会で、村議会で見学し、あるいは調査されました。
  158. 田中彰治

    田中(彰)委員 特別委員長、あなたが、ちょっとどうも、不利なことになると横を向かれるような態度なんだけれども、実際に、間だろうと、鹿島だろうと、どこだろうと、これはおれたちにやらしてくれとか、何か特殊な村に運動行為、あるいはまた電発でも、これはあすこでなければならない、あすこへやらせるように運動しようというようなことがあったんですか、絶対ないんですか。
  159. 笠羽清右衛門

    笠羽参考人 そういうことは絶対ございません。そこでちょっと申し上げます。和泉村は特殊な形で、かつて北電、電路と実は競合をいたしました。公益局長時代におられた副総裁よく知っておられます。私どもは、どうも福井県の苦悶は奥越にあると思いまして、越県合併で石徹白村は向こうへ行ってしまった。残村のほうは、実は期待する、ダムになると思っていたのがなりませんでした、北電を期待したために。これがまだ残っております。そんなようなことで、どうも和泉村の言うとおり、はれものにさわるように言うことを聞かなければ、これはどうしてもいけない。和泉村の言うとおりやれば円満に平和に事はおさまる。これが私どもの基本でございます。そうして、それは次のような事情です。三十二年に、してやると言った、すると言った。これは何も福井県でも、それからわれわれ和泉村でも、どうか開発してくださいと電発にも北電にも一ぺんもお願いしたことはありません。国の電力計画でここがよいからやるんだ、こういうことでした。それから二度、台風にあった。民生が非常に安定を欠いておりまして、今回電源開発をやるという場合には、やはり和泉村の言うとおり、とにかくも、悪いことは別でありますが、言えるだけのことは指示して聞いてやりたい、そうして村半分なくなってしまうのですから、奥地部落も全部電源開発責任を持ってやってくれ、金は、福井県は非常に貧弱でございますから、ほかの精神的などんな協力でもするが、そんなようなことで奥地五部落も実は妥結の方向は見出してございます。したがって、前田とか熊谷とか申しましたが、これは一つの土建の名前が出れば、私は必然的に県民の感情の中で、これは申したわけであります。どうするかということは、これは電源開発のやることですが、ただ問題は、最高に出た場合に、これは、こんなにたくさん金があるならば、当然定額補償の上にプラスアルファせよという地元意見は私は正しいと思う。それから最高の権力を持っておられるこの国会の国権の中で、この問題を取り上げておることを、実は新聞その他であなたの活躍ぶりを非常に期待して見ておりました。そんなようなことで、今後、この問題につきましては、だれが見ても最も公正で妥当で、不明朗な中でこの問題の終結のなされないように、私はよくお願いいたしたいと思う。
  160. 田中彰治

    田中(彰)委員 ちょっと、もうこれでいい。——私はあなたにそれを聞いておるのではないのだ。つまり、和泉村が、間組だとか熊谷だとか、そういうことを言ったのか。何か人に頼まれたとか、何か指示があったとかいうことで言ったのか。ほんとうにダムというものを見学して、そして、間がいいとか、前田がいいとか、あるいは西松が地元だからいいとかというような、ほんとうの明朗な気持ちなのか、何か腹に一物あって言ったのか。それをあなたがどう考えられるかということを言っておる。あなた特別委員長だから簡単でいいです、一言で。
  161. 笠羽清右衛門

    笠羽参考人 和良村の、一言と申しますけれども、三十九年二月一日、それから三十八年十二月十六日の、これを持ってこられまして、説明を聞いてからあと、私は、なるほどこれはやむを得ないことだということで、一応そういう形で認めたわけでございます。何も頼まれてはおりません。
  162. 田中彰治

    田中(彰)委員 やむを得ぬとは何ですか。正しいと思ったのですか。だれかから頼まれたり、何かそこに不純なものがあると思ったのですか。それを聞いておるのです。
  163. 笠羽清右衛門

    笠羽参考人 不純なものがあったとは思っておりません。
  164. 田中彰治

    田中(彰)委員 終わり。
  165. 堀川恭平

    堀川委員長 参考人各位には委員会の調査に御協力をいただきまして、まことにありがとうございました。     —————————————
  166. 堀川恭平

    堀川委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  すなわち、国が資本金の二分の一以上を出資している法人会計に関する件中、電源開発株式会社関係調査のため、本委員会に参考人として関係者の出頭を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  167. 堀川恭平

    堀川委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。なお、参考人の出頭日時及び人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  168. 堀川恭平

    堀川委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  次会は公報をもってお知らせすることといたしまして、本日はこれにて散会いたします。   午後零時五十六分散会